株式日記と経済展望



不安な債券相場の動き

平成12年8月12日
ついにゼロ金利が解除されました。新聞、テレビも大々的に報道しています。普通なら0,25%の金利の変動など朝刊の片隅にしかのらないようなニュースです。それなのにこれほどの大騒ぎになるのは、それだけ国民が金利にナーバスになっているからです。昨日の市場の反応としては、日経ダウは141円高、NY株式は119ドル高、ナスダックが29ポイント高、円は1円以上の値下がりです。債券は1,73%で大きな変わりなしです。前宣伝が効いていたようです。

一番懸念しなければならないのは、日銀と政府与党とのドタバタ劇だ。このようなマスコミを介しての議論の応酬は、国民をますます不安に陥れます。政府の議決延期請求権まで行使するとは意外でした。日本経済の実態はほんとはどうなのでしょうか。日銀・政府の発表する数字は確かに景気回復を示す数字が出ています。企業業績も好転しています。それなのに株は値下がりして、債券は値上がりしたまま利回りは低位安定しています。

拓銀、長銀、日債銀と大手都市銀行が潰れ、銀行は4つのグループに再編成され、公的資金の注入や毎年の引当金の積み増しで金融危機はひとまず収まりました。日銀は金融危機はもう峠を越えたと見ているのでしょうか。そしていくつかの大手企業が潰れても切り抜けられるとみてのゼロ金利解除の決断を下したのでしょうか。

SOGOにしても94年から債務超過の状態で、興銀の支援で持たしてきましたが、新生銀行の特約で倒産しました。まだ多くのこのような企業倒産は続出するでしょう。その実体は日銀だけが知っているのでしょうか。不良債権の実体は今後の景気次第にかかってきています。景気が再び腰折れすれば不良債権は増大するでしょう。

国家の財政赤字が続き、国債の増発で「不景気の金利高」という最悪のシナリオも考えられます。つまり一番恐いのは債券の暴落です。債券が暴落すれば銀行は再び巨額の含み損を抱える事になります。銀行もそのために債券を長期からリスクの少ない短期の債券にシフトする動きもあります。ゼロ金利解除がそのきっかけにならなければ良いのだが。


ゼロ金利解除でアメリカ株大暴落

平成12年8月10日
速水日銀総裁の連日のゼロ金利解除に向けた積極発言を繰り返しています。そのたびに金融市場は振り回されます。実際にゼロ金利を解除した時のショックを和らげるための地ならしのためか、あるいは金融市場や政府与党の反応を見るためのアドバルーンか。先週はゼロ金利解除なしとの見方が有力でしたが、今週に入っての速水日銀総裁の積極発言で11日の金融政策決定会合でのゼロ金利解除が決定しそうだ。それに対し政府・自民党から激しい反対意見が出ています。学者評論家の意見も二つに分かれ、経済界もゼロ金利解除の意見が出ています。

このように大きく騒ぎ立てるのは、ゼロ金利の解除、継続のいずれを選択しても金融市場が混乱し、世界から不信をかうだけではないかと思います。景気の動向だけを見ればIT産業を中心に景気回復の動きが見られます。99年2月のゼロ金利政策実施によりIT株を中心に株式は2000年4月には二万円台まで上昇し、それなりの効果はあったと思います。その頃から速水総裁のゼロ金利解除発言が出て株式は大暴落して8月初めには15000円台まで下落しました。外人を中心とした値嵩IT株売りのためです。

株式は景気の先行指標として見るならば今年の後半は厳しい景気の後退が予想されます。今はとてもそのような事は想像も出来ませんが。そのようになる可能性としてはアメリカの株式が大天井を打ち暴落の可能性がある事だ。NY株は三尊天井を形成しており、ナスダックも3月の大天井を確認し37%も下落し、新高値をとれぬまま再暴落するか分からないからだ。9月のパレスチナ独立、11月の大統領選挙があり、アメリカの国内情勢は大きく変わる可能性がある。さらに日本のゼロ金利解除で資本の流れが逆流すれば、なおさらアメリカ株暴落の可能性が高まります。

アメリカ経済の減速がささやかれています。大統領選の目処が立てばインフレの危険を冒してまで景気を支え株式バブルを支える必要がなくなるからだ。それでなくともアメリカの国際収支は大赤字で、いつドル暴落が爆発するか分からない。そのためにもアメリカは景気にブレーキをかけ、グリーン・スパンFRB議長も6000ドル台からバブルだといってきた株式を、正常なレベルまでソフトランディングさせる必要がある。しかし株式をソフトランディングさせる事は難しい。クリントンも今年で退任する以上、スキャンダル逃れのために株高を演出する必要がない。

アメリカ株式が大暴落したら日本株式も輸出ハイテク株中心に暴落するだろう。外人もそれを見越して4月から売り越しているのかもしれない。グリーン・スパンの3度にわたる金利の引き上げは、ドル安によるアメリカからの資金流出を防ぐためであり、逆にEUや日本から資金を引き上げさせるためである。そのために円もユーロも安くなった。そうしなければアメリカの国際収支の大赤字をファイナンスできないからだ。しかし速水日銀総裁がゼロ金利解除すればアメリカ株式は暴落の可能性がある。そのために政府・自民党はアメリカから圧力をかけられ宮沢蔵相初め、ゼロ金利解除に反対しているのだ。


IT革命に日本が遅れている理由

平成12年8月8日
最近森総理大臣が盛んにIT革命と述べています。IT担当大臣として中川官房長官が任命されるほどの力のいれようです。たぶん堺屋経企庁長官の入れ知恵によるものではないかと思います。日本中が不景気の最中にIT関連産業は好景気に沸いています。企業の設備投資もIT分野の設備投資が主体となっている。ネットで結ばれたパソコンを一人一台で仕事をする環境になるまでIT設備産業は景気が良いでしょう。おかげでパソコン・モバイル部品は不足気味で、関連設備投資は盛んです。

まだ日本企業のIT化はまだ始まったばかりで、情報を命とする商社ですら取り組み始めたばかりで、昨日のテレビ東京のWSBでも放送していましたが、若手社員が取り組み始めて試行錯誤の段階のようです。このように日本企業のIT化が遅れているのも、良くも悪くも企業構造に原因があるのは以前書いた事があります。IT化が一番進んでいるのは大胆にリストラを進めた証券業界でしょうか。それでもオンライン証券はスタートを切ったばかりです。

企業のIT化は確かに人件費の節減になりますが、設備投資はそれなりにかかります。インフラ整備もまだこれからの段階で、電線株が上げているのも通信インフラがまだ整っていなくて、まだこれからの段階だからです。電話回線はNTTがネックとなって高速化と低料金化が遅れがちです。有線ケーブルも規制がネックとなって普及していません。無線通信回線も技術やコストの問題があります。NTTの光ファイバーを全世帯につなげるのは後10年ぐらいかかるらしい。

以上のように企業文化や通信インフラの遅れで、日本はIT化においてアジア諸国にも後れを取ってしまっている。意外とインドとかフィリピンあたりでは英語が公用語であるので、ソフト開発力は有利に働いています。日本ではパソコン教育すら来年から取り組み始める段階で、教員自体がパソコンを十分に操作できません。更に英語教育は今までの教育実績からいって絶望的です。インターネットは英語が公用語となっており、ソフト開発も分厚い英語のマニュアルが読めなければできません。

このように日本がパソコン文化に後れをとってしまったのは、NEC、富士通、シャープなど各自が各様のOSをつくり、特に98シリーズは日本の標準OSとなり世界から孤立してしまった。そのためにソフトハウスは大きな回り道をさせられてしまった。ゲームソフトは世界一なのに残念でなりません。日本企業は所詮パソコンを玩具として見ていたのではないか。パソコンメーカーですらパソコンをゲームマシンとして扱われ、ビジネスには大型コンピューターという常識が覆されるのに時間がかかってしまった。

しかし携帯電話がインターネットのモバイル端末として1000万台も普及したのには驚いています。私は携帯電話を使っていないし、必要も感じていなかった。そろそろ私もデジタルデバイドの仲間入りのようだ。政治家がIT革命といい始めたのも携帯電話の便利さに気がついたからではないか。日本式IT革命は携帯電話から始まったといえる。Iモードは世界標準になれるだろうか。


日本経済の低迷の原因は空洞化にある

平成12年8月6日
「自分の会社の利益だけを考え、企業の社会的責任を考えない経営トップは経営者と呼ぶに値しない経営屋に過ぎない」3日から始まった日経連経営トップセミナーの基調講演で奥田トヨタ自動車会長はこう指摘し、従業員の幸せや国全体の利益を考える事が経営者の責務と強調しました。しかし長引く日本経済の不況の原因が、大企業の海外生産移転にある事を奥田会長は自覚しているのだろうか。以下はイギリスの「エコノミック・ジャーナル」誌のキース・カウリングとフィリップ・トムリンソン教授の論文からの引用です。

「日本の戦略的失敗」
市場の自由化が進むと、日本の大企業は政府からの統制から離れて自社の戦略的利益を自由に追求できるようになった。1981−1995年の間に、日本の多国籍企業は海外現地法人に4700億ドル以上を投資した。・・・このような成り行きは日本の大企業には利益をもたらしたかもしれないが、日本の国内産業には深刻な打撃を与えた。

特に現地生産の増加は日本の産業空洞化を悪化させ、それが長期的な経済的衰退と停滞をもたらすかもしれない。日本の多国籍企業に生産拠点の移転をほぼ無制限に行わせた事は、日本経済の大きな戦略的失敗であったと見られる。

対外直接投資の増加により日本の工業地域への投資が海外に向けられ、結果として将来的な国内産業の成長と発展の可能性は縮小した。通産省は、かなり多くの日本企業が、東アジアなどの海外生産拠点への投資を増やしている事から、その分国内投資が犠牲になるのでないかとの懸念を強めた。通産省は、海外生産拠点が魅力的である主な理由は、賃金と原材料費の低さにあるとしている。

海外調達の増加は系列企業への需要を危機的なレベルまで下げ、日本の中小企業を系列から切り離し、長期債務返済のための売り上げ確保を極めて困難にした。そして1991年以降、中小企業の破綻と倒産件数が過去最高記録を次々更新していった。

海外現地生産への切り替えがまだまだ増加傾向にある事を考えると、日本経済の空洞化の影響はこれから更に拡大する可能性が高い。この現地生産への切り替えは、製造部門だけではなく、サービス分野にも影響をもたらす。この動きは、製造業ほどまだ活発化していないが、将来、大きな影響を与えることが予想される。その結果、日本の失業率および倒産は恐らく現在よりも更に増え、日本経済の長期的な発展プロセスは、低いレベルでかつ安定性を欠いたものになる可能性が高い。

以上が論文の趣旨ですが、トヨタ、ホンダ、ソニーといった多国籍企業の繁栄は、中小企業の犠牲と日本人労働者の失業のもとに築かれたということです。当分日本経済の不況は続くと断定せざるをえません。日本政府はこのような国内企業を発展させる政策にスタンスを移さなければ多国籍企業栄えて国滅ぶ事になりかねません。


資産デフレの原因は税制にあり

平成12年8月5日
国税庁は4日平成12年分の路線価を公表しました。全国の平均値は前年比7.0%の減少で下落率は前年の7,1%とほぼ同じです。バブル崩壊後の地価下落は依然続いています。政府の発表によれば景気は回復しているとの事ですが、地価には反映されて来てはいないようです。建設省によると、土地は日本の国民総資産の7割を占める。アメリカの場合は24%、イギリスは15%という事を見れば、日本における土地の資産が、いかに比重が高いかわかる。もうすでに経験している株式相場の暴落に加え、土地の価格がさらに下落するとすれば、これはまさにデフレ・スパイダルだ。

一般消費物価に比べて土地だけが毎年7%も下がり続ければ、土地を所有している人々の心理にも大きな影響をもたらします。さらに土地にかかる税金の負担も大きく感じられる事でしょう。さらにローンの返済を抱えているいる人はさらに悲惨です。これでは銀行など貸し手のリスクは高まり、不良債権は増え続け含み益は減り続けます。借り手も貸し手も両方とも含み益がなくなり、したがって資金の需要と供給の双方が減り続ける原因となります。

このような資産デフレにストップをかけるためには、超低金利政策と金融緩和政策が有力な方法でした。しかし金利はゼロ金利で、資金の量的緩和もとり続けていても、株式も土地も下がりっぱなしです。資産デフレを止めるもう一つの効果的な方法は、減税と政府部門の設備投資ですが、政府は毎年のように所得減税と公共投資を続けましたが、資産デフレは一向に回復の気配が見えません。

私が考えるには、税制が資産デフレの一番の原因ではないかと思います。土地が一番上がった頃は固定資産税も安く、買い替え特例もあり、相続税の節税も土地で相続するのが有利だった。以前は株式も売買回数や一定の株数以下の売買は場合は無税でした。それが来年度から申告分離課税となり、利益の25%も税金を取られる事になる。株式売買をするなというに等しい税制です。不動産売買も重い譲渡益課税の撤廃や、固定資産税も安くして、買い替え特例の復活や、資産相続の税金を劇的に安くする税制に改める事が有効だと思います。そうすれば海外からも日本の土地や株式を買いに来るぐらいになるだろう。

あいにく税制は消費税の税率の引き上げや、様々な課税強化の方向にあり、資産課税も強化される一方でしょう。これでは土地離れ株式離れが進むでしょう。これでは日本経済の停滞は長引き、かえって税収は伸び悩み、課税強化すればするほど財政再建は無理な事になるでしょう。アメリカ経済が活況になったのもレーガノミクスによる大減税によるものであり、IT革命などは好景気の副産物といえる。

超低金利と金融緩和は資本の海外流出を招き、所得減税と公共投資は赤字国債となってその残高は645兆円にも膨らんでしまった。それならば株式や不動産に対する資産減税政策をとっていれば、資産デフレは防げただろう。原因はこれしか思いつかない。しかし日本の役人や多くの政治家は社会主義者が多く、資産減税を言うと「不平等だ。金持ち優遇だ」と反対するでしょう。


特定調停法

平成12年8月3日
東証二部上場の中堅ゼネコンである井上工業(1858)が、特定調停法を使って主力取引銀行の群馬銀行などに約150億円の債務免除を要請していた問題で、同行は二日までに調停案に応じる方針を固めました。足利銀行など他の15行も追随、調停が成立する見通しとなった。成立すれば井上工業は143億円の債務が免除される。上場企業が同法の適用で調停が成立するのは初めてです。井上工業は2000年3月期に127億円の債務超過に陥り、3月9日に前橋地裁に同法に基づく債務免除を申し立てた。同地裁は7月19日に債務免除を認める調停案を提示していた。

特定調停法は施行から3ヶ月で裁判所が新規に受け付けた件数は4万件を越えるなど、SOGO破綻などで脚光を浴びた民事再生法と並び多重債務者にとって「駆け込み寺」的存在になりつつあるようだ。東京簡裁でも毎月千件近くの申請があり異例の多さだ。特定調停法では「調停の円滑な進行を妨げる恐れがある場合」は保証金を積まなくても手形の取り立て禁止や競売など強制執行の停止が図れるなど、申し立て人の経済的再生に向けた合意を形成しやすくなった。しかし安易な申請をして債務返済をのがれるなどの、借りる側のモラルハザードの問題もあります。この法案は議員立法の形で成立しましたが、以下はその議員の一人の山本幸三衆議院議員の著書の意見です。

バブル崩壊後7年が過ぎ、この間、景気対策として100兆円を超える資金が注ぎ込まれたのに、我が国経済の自立回復の目処はまだ立っていない。これは、今の不況の根本原因であるバランス・シート調整が遅々として進んでいないからである。

バブル期に、個人も企業も借金をして、土地・住宅などの資産を増やした。つまり、資産も負債も大きく膨れ上がったのである。ところが、バブルが崩壊をすると、負債の借金は減らないが、資産の価値が三分の一とか四分の一に目減りしてしまったのである。・・・資産価値が元に戻るには、まだ10年20年といった長期間を要しそうだ。そうなると、よほど力のある企業でない限り、到底持ちこたえられない。早晩、破産か倒産に追い込まざるを得ないということになる。

こうした時、欧米ではまず、銀行融資の多くが、ノンリコースローンといって、融資案件が失敗すると、その融資の担保を処分さえすれば、それで全てチャラということになっている。これは、欧米では、「貸し手責任」というものを重視する立場から来ているものである。

また、倒産法制が簡便で、裁判所に駆け込めば、すぐに保全命令が出て、一定期間内に再建計画を作り上げると、法定多数で債権カット等を決めてしまう事が出来る事となっている。ここでは、何とか債務者を再生させようという事が強烈に意識されている。

これに対し、日本では「借りた金は返さなければならない」の言葉で代表される如く、借り手の責任が100%で、銀行等の債権者は、どこまでも借り手を追いかけていくという商慣行定着している。また、倒産法制も、古色蒼然として使い勝手の悪いものであった。

その結果、欧米諸国では比較的短期間に処理されたバランスシート調整が、我が国ではなかなか進まず、その事が不良債権問題を長引かせ、今日に至るまで貸し渋りといった現象を引きずっているのである。

以上が山本幸三議員の意見ですが、全面的に賛成です。今の日本に必要なのは借り手が倒産しても再び立ち上がって事業を起こす事が出来るような社会にする事が必要です。アメリカでは2,3度倒産経験のあるベンチャー企業家が沢山居るから景気が良いのだ。リターンマッチが出来てこそチャレンジ精神も沸いてきます。

日銀の速水総裁がゼロ金利解除に前向きな意見を国会で述べています。おかげでまた株が400円以上値下がりしています。今の日本はバランスシート不況で、たとえ0,25%の利上げでも打撃を受ける企業がかなり多いのではないか。


なんとも不気味な「ハゲタカ」外国資本

平成12年8月2日
今日の国会で民主党の管直人氏が予算委員会の質問で述べていましたが、新生銀行(旧長銀)を10億で買収した外国資本の非常勤取締役のティモシー・コリンズ氏とクリストファー・フラワーズ氏の二人が経営権を持つ米コンサルタント会社などに対し、アドバイス料などの名目で合計57億円を新生銀行が支払う事が明らかになりました。これに対し新生銀行は「経営再構築には、投資家である両氏のノウハウを活用する必要があり、妥当な金額と判断している」と答えています。私としては違法行為でない以上口を挟む筋合いのものではありませんが、どう考えてもおかしい。

破綻した長銀に対しては3兆6000億円の公的資金が投入され、これに加えてリップルウッドへの譲渡時には約9000億円が、損失穴埋めと資本増強などで追加投入されました。実に合計4兆5000億もの公的資金が投入された銀行が、外国資本の手に渡った。もちろん「かし担保特約」も契約の中に含まれていました。これだけの公的資金を投入しながら、なぜ外国資本に売却されなければならなかったのでしょうか。

最初は中央・三井信託銀行が最有力の譲渡先と見られていました。しかしながらわずかな差でリップルウッド側の方が公的資金の負担が少ないとして、リップルウッドに譲渡が決定しました。これはフラワーズ氏によるポール・ボルカー前FRB議長を通じた政治圧力があったようだ。このフラワーズ氏はまだ41歳で投資・買収のスペシャリストでボルカー氏とも付き合いがあり、そしてリップルウッドのコリンズ氏に長銀買収を持ちかけました。コリンズ氏も42歳と若くマネーゲームの達人です。

リップルウッドのコリンズCEOはワシントン政界にも太いパイプがありアル・ゴア副大統領とも親密だそうです。当然コリンズ氏もフラワーズ氏もボルカー氏も民主党系の人物です。リップルウッドの本社はニューヨークにあり、機関投資家から集めた資金で、未公開企業や経営破綻企業などを買収して、経営の立て直し後に売却して大きな利益を上げる企業だ。同社の手法を「解体屋」と断定する向きもあります。このような不気味な外国資本に金融再生委員会は売る必要があったのでしょうか。中央・三井信託銀行と比べるとその体質が違いすぎます。

長銀の親会社となるのは、リップルウッドを中心に欧米の大手金融会社10社以上が出資するニューLTCBパートナーズという会社です。ますますわけの分からない外国資本です。このようなところに長銀を売却した事により、日本の他の金融機関が振り回されるのは予想できた事です。しかし日本のジャーナリズムは「外資の新風に期待する」とか「邦銀や産業界への刺激にもなるはずだ」ともてはやしました。そのおかげで東証一部上場のSOGOや第一ホテルや長崎屋は倒産しました。これが金融界へ信用不安となって広がらなければ良いのだが。


世界を支配する「エシュロン」の正体

平成12年8月1日
29日の「サンデープロジェクト」で「エシュロン」という組織を特集で放送していました。アメリカの諜報機関といえばCIAが有名ですが、エシュロンという組織は軍の通信傍受を専門とする機関です。太平洋戦争でも日本が戦争に負けたのも通信が傍受され暗号がすべて解読されたため、日本軍の作戦はことごとく見破られて敗北しました。もともとアメリカは最初から地政学的に日本を支配下に置く事を目的として、様々な謀略を仕掛け日本と戦争をする事に成功し、予定どうり日本を占領する事に成功しました。

日本には三沢にエシュロンの基地があります。そこから極東地区すなわちロシア、朝鮮、中国、そして日本のすべての通信、電話、FAX、マイクロ回線など全ての傍受を行っています。インターネットやメールはアメリカ本土で傍受している事でしょう。インターネットやメールはそのプログラムにいったんエシュロンのスーパーコンピューターを経由するようにセットされているようだ。インターネットとはもともとアメリカ軍の通信組織の技術から発展したものだから、何の不思議もありません。

90年代になってソ連、東欧は崩壊しました。エシュロンがその情報力でソ連、東欧の軍事技術や政治軍事の秘密をすべて探知され、政治家や軍人高官の秘密まで全て知り抜いていたから、ソ連、東欧を崩壊させる事など朝飯前の事だった。ソ連崩壊以後はエシュロンのターゲットはドイツを中心とするユーロと日本に向けられています。ドイツや日本企業の企業機密や、政財界の有力者の秘密も彼等に筒抜けでしょう。ましてや日本政治家が携帯でやり取りすれば、その傍受は従来の電話より簡単です。企業のIT化が進めばますますエシュロンに筒抜けです。

最近になって軍事並びに経済もアメリカの一人勝ちの状態です。湾岸戦争やコソボ爆撃もアメリカのやりたい放題で、外国は何も言えない状態になってしまった。先端技術は皆アメリカが独占してしまっている。だからアメリカに金も集まってきて経済的繁栄も独占してしまっています。技術大国日本もアメリカに差をつけられ、稼いだお金もアメリカに吸い取られる仕組みになってしまっている。それに対しヨーロッパや日本は何も出来ないでいる。更にエシュロンはアメリカ国民やアメリカ大統領ですらエシュロンの監視下に置かれており、クリントンはスキャンダルで彼等の言いなりにならざるを得ないでいる。

多分この私のホームページもエシュロンの網にひっかかっているかもしれない。彼等は「キーワード」で絶えず敵を検索している。私のホームページもある日突然消えてなくなるかもしれない。もはやエシュロンは秘密組織ではなくなり、その存在を誇示する事によってますます世界支配を強め、世界を植民地化しようとしている。映画で「マトリックス」という映画がありましたが、コンピューターが人間世界を支配するのも、そう遠くない世界かもしれない。


孫正義は現代の織田信長

平成12年7月31日
私は以前からインターネット革命の旗頭としてソフトバンクに注目していました。しかしながらあまりに激しい株価の値動きについて行けず、早早に株式は売ってしまいました。98年の1月7日の日記にも書きましたが、ソフトバンクの財務内容は優良で野村がレーティングを「1」に引き上げたと書きましたが、当時は暴露本も出て危ない会社とされ1670円まで売り叩かれました。私もインターネットには注目していたのですが、99年の時のようなネット株ブームになるとは予想もしていませんでした。気がついた時は手の届かぬ株価となり、ただその動きを眺めているだけでした。今日はザラ場8170円まで下げましたが、これからどう動きますか。しかし現代の新しいビジネスの革命児としてこれからも注目していきたいと思います。以下は「孫正義大いに語る」という本で述べている事です。

世界のリーダーの中に日本人は、ほとんどいなくなってしまった。むしろアジア人達が日本を追い越して活躍している。この事に日本人は、もう少し危機感を感じるべきでしょう。マレーシアをはじめとするアジアの国々が、大変な勢いで追いかけてきている。

アメリカではクリントン大統領もゴア副大統領も、自分でインターネットに接し、電子メールを日常的に使っている。アジアとアメリカの挟み撃ちにあっているようなものです。ところが日本で、大企業の社長さんや大物政治家にパソコンやインターネットの事を話そうとすると、そういう次元のことは事務局にやらせたいと言われます。彼等の目から見ると、マニアの世界に見えてしまうわけです。

織田信長は子供の頃から鉄砲を撃ちまくって遊んでいたから、いち早くその威力に気づき、ほかの大名に先駆けて鉄砲隊を組織できた。明治維新の時は坂本竜馬が、日頃から自分で船を操縦していたからこそ、海上での通商を通じて薩摩と長州に手を組ませる事が出来たのです。

戦国武将の織田信長は、僕の心のヒーローです。その信長について、堺という貿易の要衝をおさえ、楽市・楽座を実施して税の流れをおさえたために、武将というよりも商人と見る人もいます。僕はその点に信長のすごさがあると感じています。志を抱いて、そのために戦いを勝ち抜こうとするなら、武将の部分も商人の部分も、クルマの両輪として必要なのは当然ですね。

ソフトバンクの孫正義社長をぼろくそに言う人がいますが、革命児であるだけに誤解される事も多いようだ。現代は経済の戦国時代であり、だからこそ孫正義氏のような人物が活躍できるようになったのだろう。


David Atkinson氏の警告

平成12年7月30日
今日の「サンデープロジェクト」の政党の政策責任者達の意見を聞いていて、私は絶望的になりました。多分明日の株式市場も暴落でしょう。現在の金融危機の問題がまるで分かっていません。これではSOGOの後から次々と流通や建設や不動産大手企業の倒産が出る事を、野中幹事長はじめ与野党各党は認めたようなものです。以下はゴールドマン・サックス証券金融調査室長のデービット・アトキンソン氏の98年8月の「エコノミスト」の記事「不良債権問題の解決にブリッジバンクは何の役にも立たない」からの要約です。

ブリッジバンク(銀行の一時国有化)は、あくまで第二分類の債務者をどのように保護するかという機能と、不良債権の所有者の名義を変更させる機能を持つに過ぎない。金融システムを維持する観点から見れば、マイナスを回避する程度の効果しかない。

そもそも政府自民党の「金融再生トータルプラン」における論議は、金融再生というより経済再生に重きを置いていた。つまり、不動産・建設業界の不良債権をどのようにどのように処理するのかと言う事である。銀行は不動産・建設業界の債務を免除し、つまり債権放棄を行って最終処理を行うという構想があったのだ。しかしこの構想は例の「徳政令」の話が出た6月下旬の時点で立ち消えになってしまった。そしていつのまにか、銀行をどのように整理するかという問題に摩り替わってしまった。

実体経済の中で、ある業種が過剰投資を行い、身動きがとれなくなっている度合いが大きければ大きいほど、たとえモラルハザードの問題があったとしても、問題解決の道は債権放棄しかない。・・・実は海外でも銀行が自ら進んで債権放棄をした例はあまりない。しかし海外の場合は、政府が強い権限を発揮して、債権放棄を行うよう指導した。

債権放棄を進め、不良債権を「直接償却」しなければ、問題は何も解決しない。これは何もアメリカだけに限らない。世界の常識である。不良債権の最終処理を行うために、銀行に対して債権放棄をせよと政府が指導するのは、世界の常識なのだ。

これは時間との戦いだ。国が銀行業界だけに気をとられているうちに、病巣が国全体に回り、やがて国益を大きく損なう事になる。それはもう目の前に迫っているのだ。

以上がデービット・アトキンソン氏の意見ですが、既に病巣は私企業を始め政府自体にも広まってしまった。銀行がまだ体力のあるうちに手を打っていれば、巨額の公的資金すなわち税金を使わずに済んだであろう。このままだとSOGOに続きいくつかの建設・不動産の倒産は避けられなくなりそうだ。こうなるとモラルハザードといわれようが、政府は連鎖倒産の輪を断ち切るために、あらゆる事をする覚悟がいる。森総理にはそれができそうもない。戦争の真っ最中に人を殺す事の是非を問うのはナンセンスなように「徳政令」でしかこの危機は乗り切れないと思う。具体的には新生銀行や日債銀以外の銀行に特約分を負担してもらうようにするしかないだろう。


再び2年前の悪夢が来るのか

平成12年7月28日
公明党は金融再生法を一部改正し、「そごう」問題の時のように、借り手のモラルハザード防止を重視する新たな条項を盛りこむよう提案をしました。つまり「そごう」問題で批判を浴びた国による税金を使った企業救済を事実上、封じ込める事が狙いです。自民党はこの案を受け入れるようだ。また、「かし担保特約」の見直しも既に譲渡契約を結んだ日債銀に適用する事は、契約破棄につながりかねないとして見直す事は見送りとなるようだ。

経営危機にひんした企業の経営者には厳しい局面となってきました。最近の株式市場の反応は、それを物語っています。このように厳しく経営責任を負わされれば、日本の企業は次々と倒産してゆき新たな企業は生まれにくくなります。銀行はリスクに過敏になり融資を渋り、新たな企業が生まれにくくなります。日本に新たなベンチャー企業がなかなか生まれなかったのは金融制度に問題があったからなのですが、やっとそれに変化の兆しが見え始めたところなのに、その前に日本経済がおかしくなっています。

バブル経済は過度に土地担保金融制度に偏り、銀行の貸出競争による安易な貸出が、企業の過度な拡大経営の原因となり生じました。アメリカからの内需拡大の圧力のせいもあります。バブルの崩壊によりそれが裏目となり過重債務となって不良債権の大きなもとになって残っています。ゼネコン、不動産、小売り業といった産業は当時の国策にのっとった経営をしただけです。貸し手の銀行にも同じ事が言えましょう。だからバブルの原因は内需拡大を煽ったアメリカと、それに乗った日本政府に一番の原因があります。

アメリカの国際金融資本は日本で成功した事をアジアにおいても行い、過剰に投資を行いそして一気に投資を引き揚げ、経済が破綻したところを乗っ取って行きます。アメリカや日本のマスコミはそれを経済の構造改善と呼んでいるようですが。しかし不良債権の生じた責任問題は貸し手や借り手よりも日本政府の政策の誤りやアメリカ資本の謀略が一番の原因といえるのではないか。この辺の事は98年9月20日の日記にも書きました。


石原都知事を日本の総理に

平成12年7月27日
森政権のその場しのぎの政策運営能力に市場が「NO」という反応を示しています。日経平均は前場423円以上安い16079円、TOPIXは32円安い1472円と今年の新安値を付けました。相変わらず銘柄入れ替えのせいと言っている人もいますが、それでも新安値をつけている事はTOPIXが証明しています。日債銀の譲渡問題もどうなる事か分からなくなってきました。ソフトバンク側は「特約破棄なら買収断念」との構えを見せており、臨時国会でも論議の焦点となる事でしょう。

ここでの問題は「税金による私企業救済」だという批判に、亀井政調会長が同調してしまって、日債銀の譲渡問題がこじれ始めている事です。政治や経済問題は現実的に合理的に解決されるのが望ましいのですが、正義やモラルを持ち出すと戦争やら社会混乱の原因となるだけで、かえって悪化していくのは歴史が証明しています。政治のリーダーが「有能だがモラルに欠けた」人物が良いか、「無能だがモラルのある」人物とどちらが良いかというと「モラルに欠けても有能」な人物の方が良い事は現実を見れば分かります。ちょうどクリントン大統領と森総理を比べれば分かると思いますが。

一部のマスコミや評論家や政治家が「税金による私企業救済」は許されるのかというキャンペーンは私は反対です。正義の名の元に「つぶせつぶせ」と叫ぶ市場原理主義者達の意見に惑わされてはなりません。現在のような非常事態においては、いかに少ない税金で不良債権を処理し景気回復させるかが問題です。今や日本は645兆円もの公的負債を抱え、いつそれが爆発するか分かりません。もっと早く、たとえ正義とモラルに反しても税金で不良債権を処理して適切な経済再生法を整えていれば、アメリカのように経済危機からの脱出は出来たはずだ。経済の危機管理対策が立てられていなかったのが一番の致命傷だ。

役人達は金利を下げ公共投資を拡大すれば4,5年で景気は回復すると思っていたようだ。しかしゼロ金利にして645兆円もの借金をして公共投資をしても問題は解決できなかった。そして総理にふさわしい人材も、森氏が総理になるくらいだからいないのでしょう。98年7月15日の日記に「石原慎太郎を日本の総理にしよう」と書いた事があります。しかし何の反応もありませんでした。最近ではそのような声も出てきていますが、例によってアメリカの陰謀によって潰されるかもしれない。


不運なローソンの新規上場

平成12年7月26日
本日はコンビニの大手のローソンの東証一部の上場日です。7200円でBBされましたが、本日は売り気配から始まり前場は6100円の売り気配で引けました。親会社のダイエーはとても不運に思います。半年前ならコンビニはネット関連株として大人気でもっと高値で売り出され、同業のセブンイレブンと比較しても15000円以上の値段でBBされて、上場日も大幅高を付けた事でしょう。

今日は新規上場日としては最悪とも言えるタイミングです。「そごう」は倒産したばかりだし、次はダイエーの倒産も噂されるほどです。ネットバブルはすでにはじけ、外人は売り越し、消費不況はコンビニを直撃しています。セブンイレブンですら半年前は16000円台していましたが、今は7000円台です。この事によりダイエーは1000億円もの上場益の見込み不足が生じて、これがダイエーに影をさしています。

これからも新規上場ラッシュが続きます。東京株式市場は出来高も売買金額も減少気味です。ゼロ金利政策でも株式市場に資金がなかなか移動しません。株式ファンドも期待されて一時増加しましたが、野村の1兆円ファンドも額面割れでファンドブームも下火です。株式市場の需給悪化は一時的なものでしょうか。金融危機がいまだに去らず、大型倒産もこれからも次々と起こるのではないかと噂されています。

日本政府や日銀は景気回復の大宣伝を流し続け、その統計や数字を発表し続けています。これらは大本営発表のようなもので戦時中の日本のようです。確かにIT関連産業を始めリストラの進んだ産業の好決算が相次いでいます。いわば勝ち組みの産業界からは潰れる企業は早く潰した方が構造改善が早くなるといった発言も出て、マスコミの一部もそれに同調しています。そのような事を言っているのは輸出企業が多いようですが。

その反面に建設、不動産、小売業、金融といった国内産業は多くの不良資産を抱え泥沼から這い出せずにいます。輸出生産業は工場の海外移転や生産設備の合理化や技術革新もしやすい。その反面、国内企業は土地や不動産を多く抱え込まなくてはならず、また多くの従業員を抱えています。リストラといっても輸出生産業のように簡単ではありません。店舗の削減やパート社員の活用やレンタルやリースの活用も出来る事はやっているのでしょうが、土地だけでも1000兆円もの資産デフレの打撃を受けては、経営努力だけではどうにもなりません。

政府自身も国内の規制の緩和を怠り、国内産業の競争を妨げてきた事にも原因があるでしょう。SONYやトヨタとダイエーやゼネコンを比較するのは事情があまりにも違いがありすぎるのではないかと思います。バブル崩壊から立ち直るためには資産デフレ状態から抜け出す事が根本的な対策でしょう。


債権放棄とモラルハザード

平成12年7月25日
堺屋経済企画庁長官は「そごう」の経営破綻で浮上した金融再生法の見直し問題で、「金融再生法は1998年秋に成立し、まだ実例がない時に作ったから、細部にわたって再検討すべきだという意見が出てくるのは不思議でない」と述べ、金融再生法の見直しの検討が必要との見解を示しました。今日のニュースでは旧日債銀に対しては「かし担保特約」は見直されるようだ。ソフトバンクグループはどのように対応するのだろうか。

一私企業である「そごう」を「我々国民の税金で救うのはけしからん」という「国民の声」で経営破綻させられました。「そごう」向け債権の一部を国が新生銀行(旧長銀)から買い戻す根拠となった「かし担保特約」のせいで、直接税金で債権放棄をするかたちとなり、国の「金融再生委員会」による債権放棄は困難となりました。この事は、これからの企業の経営再建に対して大きな問題となります。

私は98年7月3日の日記の「要注意債権処理法私案」や、98年7月30日の日記の「不良債権の処理は債務免除から」にも書いたとうり、不良債権の処理には債権放棄により処理しなければ問題は解決しないと思います。欧米ではすでにこの方法で不良債権は処理されています。モラルハザードは貸し手の方の問題であり、アメリカで刑務所に1500人も入れられたのは違法貸出が問題となった事をモラルハザードと言っています。日本では借り手にモラルハザードの批判が寄せられています。日本とアメリカとでは根本的に不良債権に対する考え方が違うようだ。

もちろん借り手が違法な手段で借りたり、違法な使い方をすれば刑務所行きだし、借りた金は契約どうり貸さなければなりません。しかし善良な借入れで、いくらきちんとした経営を行っても予定どうり行かなかったり、経営環境が悪化すれば返済が滞る事もあります。そのようになった場合は担保処分して返済させるか、貸し手の判断で一部の債権放棄をして残りを回収するかして合理的に解決をはかるのが合理的的ではないかと思います。

新生銀行を買い取ったリップルウッドはアメリカ資本ですが、当初からの貸し手ではないため貸し手責任を問われる事なく、有利な条件で新生銀行を買い取りました。アメリカでは「かし担保特約」は折半でするのが普通のようだ。不良債権の処理はまだまだ時間がかかりそうだ。その処理がかたづくまで不動産の価格は下落を続けるのだろうか。


平成金融恐慌とゼロ金利

平成12年7月24日
速水日銀総裁が指摘するまでもなく、ゼロ金利は異常な緊急事態のために採られた政策である。景気対策からというより、デフレや金融恐慌対策からゼロ金利政策が採られていると言える。景気が回復したからと言ってゼロ金利を解除すれば金融恐慌を再発させる可能性を持っている。今は70兆円公的資金のおかげで一息ついているに過ぎない。銀行自身も現在の不良債権に対する引当金も十分と言えない事を知っている。金利が引き上げられれば不良債権がどれだけ増加していくか見当も付かない状況だろう。富士銀行は600円台になってしまった。

デフレ経済下ではゼロ金利でも、実質的に高金利とも言える。金利をマイナスには出来ないからゼロ金利が限界なのだ。このような状態でゼロ金利を解除して金利を少しでも引き上げる事はたとえ0,25%でもその影響は大きい。現在の日本は平成金融恐慌状態にある。景気刺激のための麻薬を打ちすぎて日本の金融は麻薬中毒の廃人状態にあるようなものだ。今、麻薬注射を止めたならば金融はショック死するかもしれない。さらに「そごう」のように債権放棄が否定されれば倒産となり、不良債権は更に増加する。今日の「そごう」の株価は10円になってしまった。

麻薬注射は長く多量に打ち続ければ麻薬中毒となり廃人となる。しかし今麻薬注射を止めれば禁断症状を起こして死に至るかもしれない。麻薬注射は確かに良くない。しかし麻薬を打ちすぎても死に至る。治療は困難を極めている。適切な治療を施せる医者は今は居ない。医者自身も借金中毒に犯されている。645兆円もの借金中毒に犯され赤字国債と言う麻薬注射を止められないでいる。

645兆円もの公的債務は財政再建の限度をすでに超えてしまっている。いくら税率を引き上げたところで税収入は限界がある。例えば今、消費税を15%にしたら日本経済はパンクをする。2年前の2%の消費税引き上げで、金融恐慌が起きかけて大銀行や大証券会社がバタバタと潰れた。もはや財政再建も不可能な状況になってしまっている。

645兆円の債務がどのくらいの金額かと言うと、年間500万円の収入の家庭が6450万円の借金を抱え、さらに毎年300万円の借金をして毎年800万円の家計支出を賄っている状況だ。つまり家計状況は破産状態にあると言う事だ。80兆円の予算に対して税収が50兆円しかない。それなのに銀行は破産状態の家に金を貸し続けているから、やりくりが付いている。そして収入の増加は見込めない。3%の経済成長をしても1兆円しか税収は増えない。これは絶望的な数字である。

これからどんな事が起きるのか考えたくもない。しかし近い内に恐れている事は必ずおきる。ゼロ金利解除がそれを早めるかもしれない。


速水日銀総裁に告ぐ!

平成12年7月20日
しばらく株式日記を休載していました。日記を書く気力もなくなったせいです。幸いな事に98年末を底に経済危機が何とか立ち直り始め、99年3月の公的資金注入で株式相場も誰もが驚くほどの上昇を見せました。ネット株を始め短期間に5倍10倍に値上がりする株が続出して、株で億万長者が続出しました。私はその頃に事業が危機的状況になり株どころではなくて、億万長者になるチャンスを逸してしまいました。(98年末にはソフトバンクの株を買っていたのに5000円台で売ってしまった。)

何はともあれ渡辺嘉美氏を始めとする自民党の若手議員による金融再生プランが実行され、なりふりかまわぬ小渕首相の景気対策により、なんとか景気も立ち直る兆しが見えてきました。私もHPで経済危機を訴える必要もなくなり株式日記を書く役割もなくなったと思ったからです。ところが小渕総理が病に倒れ、森総理に代わる頃から、にわかに流れがおかしくなり始め、ネット株が大暴落し、売買高も1兆円台から2,3割も減ってしまい、いかに株式投資家が損をしたかが伺われます。その反面低位株が買われましたが投信買いだけのエネルギー不足は明らかです。

4月頃から速水日銀総裁ゼロ金利解除を言い始めました。その言葉に市場は敏感に反応示し始めたのではないかと思います。更に「そごう」に対する債権放棄が破棄され倒産に追い込まれ、経済界に暗い影がさし始めました。私の株式日記にも何度も書きましたが、アメリカを始め銀行による債権放棄は合理的である限り当たり前の経済行為です。それに対し「私企業に対し国民の血税を使うとはけしからん」と言う公明党やマスコミの一部論調に対して森総理は迎合してしまって「そごう」は潰されました。

銀行の担保となっている土地が大きく値下がりしてしまった現在においては、債権放棄しか借り手である企業は立ち直る手段はないのではなかろうか。何しろ担保の土地が5分の1とか10分の1になってしまっては、担保を処分しても返せないのでは銀行にその分を債権放棄してもらわなければ返済に行き詰まる企業が続出するのは当然の事であり、企業の経営判断の誤りではないのは明白な事である。「そごう」も土地の値上がりはともかく暴落さえしなければ倒産はしないで済んだであろう。

さらに来月あたりには日銀はゼロ金利を解除するようだ。19日に日銀は景気回復宣言をしました。速水日銀総裁は不景気と金融危機の違いが分かっていないようだ。ゼロ金利は不景気だからではなく金融が破局的状況にあるから採られている政策であり景気対策としてゼロ金利政策が採られているわけではない。だから景気が立ち直りかけては政策を誤り10年経っても大不況から脱出出来ないのだ。金融危機から脱出するには結局は土地の価格が上がらなければいつまでも続くであろう。

土地の値段を上げるには土地税制から抜本的に変えていかなければ上がる事はないだろう。いまだにバブル潰し当時の税制のままである。日本のような土地本位制の国では地価が正常の状態にならなければ金融も正常にならない。政情不安の国では金本位制と言えるし、アメリカあたりは株式本位制となっているようだ。日本は今から土地本位制から株式本位制に代えていく事は良い事であろうか。株式を支配する事はアメリカのお家芸であり、そうなれば日本株式もアメリカの支配下に置かれる事になりかねない。


株価は今度こそ大底を打ったのか

平成11年 6月11日
東京株式市場が16億株の出来高を伴ってザラ場新高値の17483円まであり、95円高で引けました。やはり高くなると日本の機関投資家が売ってきます。主に銀行生保と言ったところが売ってきているのでしょう。7兆円の公的資金が入ったとは言え日本の機関投資家の自己資本不足は7兆円ではとても足りません。だから持ち合い株を売って資金を調達しなければならない構造は変わりません。

だから一部上場の銀行の保有株式の多い銘柄は17000円を越えれば、これからも売られ続けられるでしょう。外人買いがなければ日経ダウの上昇はありません。いくらGDPの第一四半期が1.9%のプラスとは言え、おそらく年度の後半には息切れがしてマイナスになる可能性もあります。

株式は景気の先行指標ですが、今回の相場は外人買いによるものであり、去年のように年度後半に売ってくる事もあるでしょう。ほんとに景気が底を打ったのなら外人買いは続くでしょう。そして国内投資家も買ってくるでしょう。しかし日本の機関投資家は売り続けるでしょう。だから一部上場株はあまり期待が出来ません。個人投資家は機関投資家の保有していない店頭株や2部上場の株式投資で行くべきだと思います。

今日は債券が売られて株が買われました。金利が上昇すると今の日本企業にとって致命傷になります。今の日本企業は低金利でなんとかしのいでいるのが現状です。だから株高も債券からシフトされるほど高くなると困る事情が出てきます。日本の銀行も企業も高金利に耐えられるほど体力が付くまでまだしばらくかかるでしょう。だから株高も金利に影響を与えるほど高くするのは問題があります。そこが日本経済のジレンマです。


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