株式日記と経済展望

ページを繰り越しましたのでホームページからどうぞ。


小泉自民党と神埼公明党は未納二兄弟
完納小沢民主党は年金で参院選で勝てる


2004年5月15日 土曜日

<小泉首相>議員当選前も未納はないと明言

小泉純一郎首相は10日、衆院議員に当選する前の国民年金保険料納付に関し、「(未納は)ありません」と明言した。首相が議員当選前も含めて納付していたと具体的に説明したのは初めて。小泉首相の議員当選前の保険料支払いに関しては、細田博之官房長官が首相説明前に「わかりません」と言及を避ける一幕もあった。(毎日新聞)
[5月11日1時7分更新]

<小泉首相>計6年11カ月間年金未加入を明らかに

小泉純一郎首相が国会議員当選後の80年4月から86年3月までの6年間を含む6年11カ月間、国民年金に未加入だったことが14日明らかになった。近く発売の「週刊ポスト」が報道することを受け、飯島勲首相秘書官が同日夕、急きょ公表した。首相は同夜、「加入すべき期間は全部(保険料を)払っている。未加入と未納は違う。(政治責任は)まったくない」と強調した。しかし、未納・未加入問題が政権トップを巻き込んだことに野党側は「国民にウソをついた。首相は政治家を辞めるべきだ」(岡田克也・民主党幹事長)と強く反発している。。(毎日新聞)
[5月15日1時42分更新]

小泉首相、強制加入だった時期に年金未加入の可能性 asahi.com

小泉首相の年金の加入状況をみると、加入を義務づけられていたのに手続きをしていなかった時期があった。

 首相は20歳になった62年1月から3月までの3カ月間は「浪人中の予備校生」だったことを理由に、加入の手続きをしていない。国民年金制度が始まり、国民皆年金になったのが61年4月。厚生労働省年金局によると、当時の法律では予備校生は強制加入の対象だという。

 首相は、父親の急逝を受けて69年8月に留学先のロンドンから帰国し、70年3月までの8カ月間は未加入だった。この間、衆院選に立候補し、落選している。法律では、日本で住んでいた市町村から留学先へ転出する手続きをすれば加入義務の対象外だが、住民票が日本にある場合は加入の義務が生じる。この点について会見した飯島勲首相秘書官は「住民票をロンドンに移動していたかどうかは、まだ確認が取れていない」としている。

 70年4月から74年11月までは不動産会社に勤め、厚生年金に加入していた。この間、72年12月に衆院に初当選。その後もしばらく厚生年金に加入していたが、勤務実態がない場合は加入資格が問題になる。

 80年3月までは国会議員は国民年金の「適用除外」、つまり加入できなかった期間だ。80年4月には国会議員も任意加入できるようになった。

 80年代の前半は高度経済成長から安定成長への移行や自営業者の減少により、国民年金の財政に陰りが見え始め、抜本改革の必要性が国会で議論された時期だ。

 この結果、85年の年金法の大改正で、現在の基礎年金制度が導入され、国民年金、厚生年金、共済年金の間で財政調整が始まった。最も大きな理由は「国民年金の救済」だった。こうした時期に任意加入していなかったことについて首相は「法律上問題がないことを確認して加入しなかった」と説明している。

 国会議員が国民年金の強制加入の対象になった86年4月以降、未加入・未納の期間はないとしている。ただ、飯島秘書官は「社会保険庁に確認はしていない」という。 (05/14 21:28)

賭けに出た小泉首相、小沢民主の追求必至 ブルームバーグ

2004年5月15日(土)09時37分
 5月15日(ブルームバーグ):小泉純一郎首相が大きな賭けに出た。小沢一郎
氏の民主党代表就任受諾にタイミングを合わせて自らの再訪朝を発表。得意の「サ
プライズ」を演出し、国民の注目を民主党から奪い返した。
  しかし、首相自身の国民年金未加入も判明。首相は、国民年金の加入が義務付
けられた1986年以前の未納であって「未払いではない」と強調。政治責任も「まっ
たくない」と言い切ったが、野党からはこれまでの発言の経緯から「虚偽説明だ」
として退陣、議員辞職の要求が噴き出している。
  22日の再訪朝、日朝首脳会談を控え、「剛腕」小沢氏率いる民主党が主導する
野党が、年金保険料の未納・未加入が判明した閣僚に対する不信任・解任決議案、
さらに小泉内閣に対する不信任決議案や首相個人に対する議員辞職勧告決議案など
を今国会に提出に打って出る可能性もある。
  6月末の政権移譲を目指すイラクでは、米兵によるイラク人虐待事件が発覚し、
ブッシュ米政権は逆風に直面している。対イラク開戦以来一貫して米国を支持して
きた小泉政権にも飛び火しかねない。
  前門に「小沢民主党」、後門に「年金問題」が立ちはだかるなか、22日の再訪
朝で拉致被害者家族8人の早期帰国や国交正常化交渉に向けて、目に見える形で結
果を出せなければ、6月16日の国会閉幕と7月の参院選を前に、政局混乱にも発展
しかねない。

◆疑問残る「未照会」と「消極的説明」

  首相の年金未加入判明では、首相サイドが、年金加入・保険料納付の状況を社
会保険庁に照会していないことや、これまで説明責任をなぜ積極的に果たしてこな
かったのか疑問も残る。また再訪朝の発表直後に未加入を公表したことも、不自然
さは否めない。
  社会保険庁に照会の結果、衆院議員当選後の保険料未納が判明した福田康夫氏
は官房長官を引責辞任。厚相時代の未納があった菅直人氏も民主党代表の辞任を余
儀なくされた。連立与党を組む公明党でさえ、神崎武法代表ら執行部を含む13人の
未納・未加入を公表、処分に至った。しかし首相の足元の自民党だけは「個人個人
が発表すればいい」(小泉首相)と、党として公表を見送っている。
  これまで60歳以前の保険料納付について、「きちんと払っている。調べてみれ
ば分かることだ」、「(衆院議員当選前も未納は)ない」と語っていた小泉首相。
  14日夜、「なぜ社会保険庁に照会しないのか」と詰め寄る記者団に、首相は「私
は何か不思議なんことがあったら調べたらどうか、と秘書官に言っている」と答え
るのみで、照会には極めて消極姿勢。飯島勲首相秘書官に至っては、未照会の理由
について「説明する必要はない」と記者団に食って掛かる場面もあった。

◆「首相は辞任、議員辞職を」と民主・岡田氏

  民主党の岡田克也幹事長は14日午後の記者会見で、小泉首相に国民年金未納期
間があったことについて、「自らの問題を覆い隠そうしたことは信じられない。国民
に対して堂々と嘘を述べた。誠に恥ずべきことであり、辞任に値する。首相以前に
政治家として辞められたらどうか」と厳しく批判、退陣と議員辞職を強く求めた。
  また共産党の市田忠義書記局長は国会内で記者団に「国民に嘘を付いてきたと
いうことは、政治家としてイロハをわきまえていない。重大な責任を免れない」と
批判した。

  「私自身の年金保険料未払い発表までの対応の仕方に不手際があり、政治不信
を増幅してしまった」??。福田氏が官房長官の辞任を表明した会見の席上、理由
をこう説明したのは記憶に新しい。首相は14日夜、説明責任は「これから国会の審
議で(果たす)」と述べたが、野党が責任追及で攻勢を強め、首相が批判の矢面に立
たされるのは必至だ。

UBS証券の政治経済アナリスト、岡崎維徳氏は、首相が退陣しなければ野党
は内閣不信任決議案を提出するだろうと指摘。民主党の新代表に就任する小沢一郎
氏は、「年金問題で小泉政権に戦線布告した」とみる。首相にとっては訪朝で成果を
出せるかが、生き残りのカギになりそうだ。


(私のコメント)
年金をめぐる政局はいよいよ小泉首相の年金未納疑惑にまで発展してきました。法律的には問題がなくても、年金問題を審議する国会議員が未納だったりしては国民感情が納まらないでしょう。今度の年金改正で19段階で年金の掛け金が引き上げられ支給額が減らされる。ここまで来たら抜本的な改正をしなければならないのに、年金官僚が作った改正案をそのまま通してしまった。

国会議員には議員年金と言うものが有って、わざわざ国民年金など払う必要がないという自覚の持ち主が国会議員の中に多くいたということでしょう。もし議員年金と言うものがなくて年金が一元化されていれば国会議員の皆さんも無関心ではいられなかったでしょう。公務員の共済年金にも問題があり一元化の問題は避けられない問題でしたが、小泉内閣は強引に押し通そうとしたところに問題の火の根があります。

だから未納自体は「うっかりしてました」で済むことなのなのに、菅民主党代表は三党合意で幕引きをしようとしたことを問題にされたのであり、神崎公明党党首は法案が通るまで隠していたことが問題であり、小泉首相は10日の記者会見で未納はないと虚偽の答弁がばれてしまった。最初から明らかにしていれば問題はなくとも、週刊誌でばらされてから公表することは政治家として責任を問われるだろう。

12日の日記で指摘したように、小泉首相は北朝鮮への訪問で一発逆転を図ることで、参院選の中央突破を図るようだ。たぶん金正日から拉致被害者の子供と引き替えに様々な条件を持ち出してくるだろう。小泉首相が8人の子供達と一緒に日本へ帰国できればこれほどの選挙の宣伝材料はない。逆に交渉が決裂して空拳で帰れば逆効果になるから、金正日から足元を見られて交渉は厳しいものとなるだろう。

このような、あまりにも見え見えな訪朝に対してマスコミも冷ややかな反応を見せている。それでも無条件で8人の子供が帰れば参院選の勝利は間違いない。しばらくは帰国した子供達でワイドショーは持ちきりだろう。しかし金正日が厳しい条件を突きつけてきたら、小泉首相は突っぱねても受け入れても厳しい批判を浴びることになる。

たぶん表面的にはある程度の条件は呑んで、裏交渉で巨額の援助が約束されるのだろう。そうなれば森派の森会長は巨額の援助資金の数パーセントはキックバックされてくるから、参院選でも選挙資金は賄える。今までは中国、北朝鮮は橋本派の資金源になっていましたが、少なくとも北朝鮮は森派が仕切ることになる。

ただし森派の中でも勢力争いがあるから、今までは福田官房長官ー田中均ルートが交渉窓口だったのが、山崎ー平沢ルートが窓口になったことによって福田氏は頭にきて官房長官を辞めたのかもしれない。しかし交渉がまとまらなければ金も動かないから小泉首相も厳しいところだ。金正日にとっても日本からの援助は今すぐ欲しい。だからすでにある程度裏交渉で話はついており、22日の訪朝は小泉首相は8人の子供と一緒に帰ってくるだろう。

問題は小沢氏が民主党の代表になったことによって、小泉首相の風当たりもきつくなって来ることだ。年金問題で参議院選挙が争われることになると、北朝鮮からの凱旋効果もあまりないかもしれない。その辺の世論の動きも読みきれないところがあり、年金は生活に密着した問題だから対応を誤ると自民公明党は選挙で負ける可能性もある。




覇権国家米国が潰れる原因は、@日本が米国債を
買わなくなる。Aユーロが世界の基軸通貨になる事


2004年5月14日 金曜日

覇権国家の行方5  ロシア政治経済ジャーナル No.260

前号では、世界一の借金国米国が潰れる直接的理由として、
1、日本 が米国債を買わなくなる 2、ユーロが基軸通貨になる
の二つを挙げました。 実際に、この二つが起こることはあるのでしょうか?

▼日本は米国を支えつづける

まず、日本が米国債を買わなくなる可能性は? 日本政府はこれまで、

1、超金利政策を取り、意図的に米国に資金を流している。(資金は低 金利の国から高金利の国に流れる=儲かるから)
2、米国債を大量に購入している。(政府はその額を公表しない)
3、自国財政が火の車であるのに、月数兆円と言う為替介入を行い、 米ドルを救っている。
4、何の利益にもならないイラク復興に莫大な金を出している。(その金 は米国企業に流れる) 等々、自国民を犠牲にして米国を救っています。

日本は米幕府の天領ですから、この状況は、米国が滅びるか、日本が 財政赤字で滅びるまで永遠に続くことになるでしょう。 【日本は、稼いだ金を全部、暴力好きで金使いの荒い夫(米国)に貢ぐ、 あげまんの妻である】 日本は長引く不況で、失業者が増え、残った人の給料も減り、労働時 間も延びている。 しかし、そんな犠牲のおかげで、景気が回復してきています。

日本政府は、その金をまたどんどん米国に回していく。 つまり、今の状況はまだまだ続くということですね。 【日本は、最後の一円が米国に流れるまで米国を支えつづける、仏様 のような国である】 つまり、「日本が米国債を買わなくなり、米国が滅びる」という事態は、 しばらく起こらない。

▼ユーロは?

さて、もう一つの可能性は、ユーロが基軸通貨になること。 こっちの方は可能性が高いですね。 米国とEUを比較すると? ・国内総生産=共に10兆ドル以上でほぼ同じ。 ・国際収支、米国は万年マイナス、EUは多少プラス ・資本市場の規模 ドル債シェア45%、ユーロ債38%、ただしユーロ債の シェアは増加傾向 このように経済力で見ると、米国もEUもだいたい同じと言えるでしょう。

EUは、 ・米国は、独・仏を中心とする反米勢力(古い欧州)と、その他の国々 を分断することに必死 ・新しく加盟した10ヶ国は、発展途上国 ・EU憲法・EU大統領を作るプロセスにある 等々、移行期の問題を抱えています。

しかし、米国は ・国際法を無視してイラクを攻めた=世界の信用を失った ・イラクの石油利権を武力で奪った=フランス・ロシア・中国の信用を失 った ・イラクの復興利権を独占した=戦争に賛成した国(例、スペイン・イタリ ア・ポーランド・韓国、その他多数)の信用を失った 等で、国際的信用は日に日に失われています。

米国か?EUか?と選択を迫られた場合、反米の、ロシア・中国・アラブ 諸国は文句なしに、EUを選択するでしょう。 そうなると、EUはこれらの国を説得しながら、徐々に基軸通貨をドルか らユーロに転換していく。 これでフィニッシュですね。

▼戦争は。。。

米国は現在、1、時流が敵(衰退期) 2、対外債務・財政赤字・貿易 赤字 3、ユーロの挑戦 という大きな問題を抱えている。 これを何とかしなければいけないので戦争をするのです。 戦争をする理由は、

1、ブッシュの支持基盤の利益(=石油業界・軍産複合体・キリスト教 右派・イスラエル)
2、公共事業(=軍産複合体の利益・復興利権の独占) ももちろんですが、国家戦略的目標は、
3、覇権国家の地位を維持すること にあるのです。

その為に、「核もってます!」と宣言している北朝鮮は放っておいて、 原油埋蔵量世界2位のイラクを攻めた。 「フセインはアルカイダとつながっている!」「イラクは大量破壊兵器 を持っている!」と嘘をつき、大義名分なき戦争をする米国は、それ だけ追い詰められているということなのです

しかし、歴史を見ると戦争は諸刃の剣。 人道的お話は抜きにして、戦争が国家の発展に寄与することも確か にあります。 例えば、日本は100年ほど前、日清・日露戦争により、世界5大国の 仲間入りをした。 ところが、「成熟期・衰退期の戦争は、その国の没落を速めるだけ」と いうのが真理。

例 1、スペインは1588年、英国に敗れ覇権国家の地位を明渡した
2、英国は第1次大戦により、経済NO1の地位を米国に奪われた
3、ロシアのロマノフ王朝は、日露戦争(1904年)・第1次大戦(1914年) により疲弊し、革命で崩壊した
4、清朝は、1914年の日清戦争後、欧米日に分割され、植民地化された 等々。

米国が現在行っている戦争も同じ。 米国政府は、世界最高の知能を結集して戦略を立てています。 しかし、時流に孔明が勝てなかったように、人智では変えられないこともあ る。 米国の戦争は、同国の没落を早める結果にしかならないのです。

▼その時米国は?

これらのプロセスはゆっくり進むのか、それとも米国が戦争を繰り返し、 疲弊し信用をなくし急速に進むのか、今の段階ではなんともいえませ ん。 しかし、決定事項であるとは言えるでしょう。 そうなった時、ドルは紙切れになり、米国内ではハイパーインフレが起 こり、同国はソ連と同じようなプロセスを体験することになる。

でも、ロシアは現在でも、大国ですね。 米国の地位は、覇権国家から一つの極まで落ちぶれますが、一つの 極であることに変わりありません。 その時世界は多極主義になる。 あるいは、米国が失墜する前に大戦争を起こせば、第1次大戦後に国 際連盟が作られ、2次大戦後に国際連合が作られたように、より強力 な国際機関が作られる可能性もある。

冗談のような話ですが、そんなことを考えている人たちが世界にはいる ということも、頭の片隅に入れておいてください。

為替市場介入35兆円−景気維持のための最後の手段−未来経済研究室

 為替レートの決定は市場に委ねるのが原則であるところから、日本の介入政策に対しては、国内外から批判も多い。しかし、この介入が行われなかった場合にどうなっていたかと考えると、そう安易に批判もできないように思える。というのは、アメリカの国際収支が、きわめて厳しい状況になっているためだ。

 03年のアメリカ経済は、イラク戦争が一応の終息を見たことと、大規模な減税の効果で、年後半に一気に需要拡大のペースを加速させた。それにともなって貿易赤字も拡大し、商品・サービスを合わせた貿易赤字は通年で4900億ドルと、過去最高水準を記録した。ところが、貿易の赤字を埋めるべき資本取引においても、ヨーロッパ諸国からの投資が低迷を続けており、赤字を埋めるにはまったく足りない事態となっていた。不足額は2000億ドル、日本円で22兆円。03年の日本のドル買い介入額とほぼ一致する。アメリカの国際収支の不均衡は、結果的には、日本政府が市場介入でドルを買ってアメリカの国債に投資したことで埋め合わされる形になったわけだ

 もし仮に、日本の巨額介入がなければ、アメリカの国際収支は、アメリカの金利上昇を通じて、需要と輸入の縮小、ヨーロッパや日本の民間資金の流入という形でバランスする方向に動いただろうと想定できる。そうなると、その影響は日本やヨーロッパ、アジア諸国にも及び、世界経済は縮小均衡に向かう悪循環に落ち込んでいた可能性も否定できない。日本政府による累計35兆円のドル買い介入は、単に円高を食い止めて日本の景気を支えただけでなく、世界経済が悪循環に陥るのを防ぐ役割も果たしたのである。



(私のコメント)
平成15年度の政府日銀のドル買い介入は35兆円もの巨額に達しました。それに対する政府日銀の説明責任がなされないのはなぜなのだろう。4月から政府日銀のドル買い介入がぴたりと止んだ後も円は高くなるどころか今日は114円台と円は一ヶ月の間に10円も安くなっています。

この事は日本政府が為替介入による効果に疑問があるのみならず、他の要素で為替相場が動いていることを証明するものだ。アメリカ経済はバブルの崩壊を防ぐために利下げから大減税やイラク戦争による景気刺激策と、ありとあらゆる景気対策をとっている。11月の大統領選挙まではアメリカはどんなことでもやるだろう。

アメリカが長年巨額の貿易赤字を出しながらも経済が破綻しなかったのは、アメリカのドルが世界の基軸通貨であり、ヨーロッパやアジアの貿易黒字国からの資本の還流があったからだ。特に日本からの資金還流が大きな割合を占めている。どんな赤字企業でも銀行が支えてくれればその企業は潰れずに済む。日本が銀行でアメリカが赤字企業と言うことになる。

ちょうど日本とアメリカの関係は徳川時代の幕藩体制のようなもので、日本という外様大名は参勤交代で巨額の支出を強制され、生かさず殺さず状態で置かれているようなもので、領民からの不満に関わらず大名はひたすら幕府に忠誠を尽くすことを要求されている。外国からの攻撃は幕府が責任を持つ事になっているのだから、鉄砲などの武器は制限された。

ところが徳川幕府はアメリカからのたった4隻の軍艦が来ただけで腰を抜かしてしまうほどの弱体ぶりで、これを見た薩摩や長州は倒幕に立ち上がった。アメリカも同じく大した武器を持たないベトコンに苦戦して、国力の限界を見せましたが、イラクでも13万の軍隊を送って支配しようとしてますが、抵抗は強くなるばかりで統治に失敗をしている。

さらにヨーロッパの巨大市場の誕生はアメリカにとっては逆風であり、EUのユーロの登場はアメリカのドルの地位を脅かすもので、ロシアや中国や中東やアフリカなどヨーロッパとつながりの深いところはユーロへと基軸通貨を切り替えていくだろう。中南米やアジアやオーストラリアなどもアメリカ以上に大きなEU市場を無視するわけに行かないから、ある程度はドルからユーロへ切り替えるだろう。

問題なのは世界第二位の経済大国の日本ですが、ドル一辺倒なのは納得がいかない。日本にしてもユーロ経済圏と関係を深めていかなければならないのですから、手持ち外貨をドルからユーロにある程度変えておくべきだろう。産油国にしたってユーロでなければ石油を売らないとされたら日本もユーロを持たざるを得なくなる。

歴史を振り返ってみると日本は意外な役割を果たしていることに気が付く。日本は明治維新以来、まず清帝国と戦争をして勝って清帝国を滅ぼした。次にロシア帝国と戦争をして勝ってロシア帝国を滅ぼした。第二次世界大戦では英国と戦争をしてアジアから英国を追い出して大英帝国はただの英国となった。日本は一世紀足らずの間に三つの帝国を滅ぼした。

残るアメリカ帝国に引導を渡すのはまたしても日本なのだろうか。アメリカは軍事力では圧倒的な力を持っていますが、経済力では巨額の双子の赤字を抱えて、ドルが世界の基軸通貨でなければアメリカはアルゼンチンのような状態になっていただろう。いかに強大な軍事力でも他国を支配して言うことを聞かせるのは困難だ。

日本だってアメリカの軍隊に出て行ってもらって自主独立しようと思えば出切るはずですが、日本の政治家や官僚はアメリカの力を借りて日本を支配しているから、安保や憲法を変えたくない。しかしアメリカがイラクで躓いて没落したらどうなるのかを政治家達は考えるべきだろう。それとも日本の支配階層はアメリカと心中するつもりなのだろうか。





関岡英之(著)「拒否できない日本」(文春新書)
米国政府による日本改造(構造改革)が進んでいる


2004年5月13日 木曜日

日米通商摩擦に発端が

建築基準法の改正は、実は阪神・淡路大震災が起きるはるか以前から決まっていたことなのである。それではこの法改正は、誰の、どのような利害に基づいて決められたのだろうか。一見、純然たる日本の国内問題のように見える建築基準法改正の背景を知ることによって、意外にも日本とアメリカの関係を新たな角度から見つめ直すヒントが浮かび上がってくるのである。日本の建築基準法の「仕様規定」から「性能規定」への歴史的転換のきっかけは、日米通商摩擦にその発端をたどることができるのだ。

阪神・淡路大震災からさかのぼること六年前の一九八九年五月、アメリカは悪名高い通商法スーパー三〇一条を日本に対して発動した。このときスーパーコンピューター、人工衛星とならんで標的にされた三品目のひとつが木材、つまり建築材料だったのだ。この三つの分野で、外国企業の市場参入を阻む不公正を行っているとアメリカは日本を攻撃した。

木材についてアメリカは、日本の建築基準法や製品規格などがアメリカ製木材の輸入を妨害していると非難した。このとき日本政府は、建築基準法は度重なる災害の教訓から日本の稿密な国土の状況に即して定められているのだから緩和する意思はないと抵抗したが、アメリカは一方的な制裁をほのめかせて圧力をかけ続けた。

ついに日本政府は、在米日本大使館の村田大使の名前でアメリカ通商代表部のカーラ・ヒルズ代表宛に書簡を出した。日付は一九九〇年六月十五日となっている。「木材製品に関連して日本政府が講じる措置」というタイトルのその書簡には、日米両国政府問の合意内容として、「建築基準は原則として性能規定とすることが好ましい」と書かれていたという。

大震災のどさくさにまぎれて法改正?

私はこれを知ったとき大変驚いた。「仕様規定」から「性能規定」への変更を主眼とする建築基準法の改正は、建築審議会が答申書で法改正を提言する七年も前に、日米両国の政府間ですでに合意されていたのだ。私はそのことを建設大臣官房政策課の監修により一九九〇年に出版された「日米構造問題協議と建設行政」(大成出版社)という資料を読んでいたときに偶然見つけた。そこですぐに日本経済新聞や朝日新聞の縮刷版を調べてみたが、一九九〇年六月前後にこの村田・ヒルズ書簡のことを報道した記事を見つけることはできなかった。

もしマス・メディアに公表されないまま、こうした政府間合意がなされ、あらかじめ決められたシナリオにそって審議会の答申がつくられ、阪神・淡路大震災のどさくさに紛れて法改正までしてしまったことが事実とすれば、これは驚くべきことではないか。審議会の検討作業や国会での審議はいっさい茶番ということになりかねない。あきらかにこれはアメリカからの内政干渉だ。しかもそれが日本の審議会制度などを利用して構造的に行われていることになる。

アメリカの公文書には堂々と記録

しかし不思議なことに、アメリカの公文書にはこのことが至極当然のことのように堂々と記録されているのだ。例えばアメリカ通商代表部が作成した『外国貿易障壁報告書』二〇〇〇年版には、日本の建築基準法の改正がアメリカ政府の要求に応じてなされたものであると、はっきりと書かれている。そして通商代表部は、この法改正が「アメリカの木材供給業者のビジネス.チャンス拡大につながった」と、自らの手柄として自画自賛しているのである。

建築基準法の改正以外にも、たとえば賃貸住宅市場の整備を目的とする「定期借家権制度」の導入や、中古住宅市場の活性化を目的とする「住宅性能表示制度」の導入なども、アメリカの建築資材供給業者のビジネス・チャンスを拡大することを目的とした、アメリカ政府の日本政府に対する要求によって実現したものであると堂々と宣言されている。

日本の国内では、建築基準法の改正や住宅性能表示制度の導入は、阪神・淡路大震災での被害の大きさからの反省や手抜き工事による欠陥住宅の社会問題化などがきっかけとなって日本政府内で検討が始められ、導入が決定されたものだと理解されている。それは日本の国民の安全と利益のためになされたはずだ。

しかし実はこれらの法改正や制度改革が、日本の住宅業界のためでも消費者のためでもなく、アメリカの木材輸出業者の利益のために、アメリカ政府が日本政府に加えた外圧によって実現されたものであると、アメリカ政府の公式文書に記録され、それが一般に公表されている。

日本国民には知らされていない

どうしてこのような奇怪なことが起きているのだろうか。日本の法改正や制度改革の決定プロセスには、アメリカの介入を許すようなメカニズムが存在しているのかもしれない。そしてどうやらわたしたち一般の国民は、そのことをきちんと知らされているわけではないらしい。建築基準法の改正を提言した答申書を隅から隅まで読んでみても、アメリカ政府が介在していることなどもちろんひとことも書かれていない。法改正のニュースを侯えた新聞報道でもいっさい触れられていない。当のアメリカ政府自身が公式文書でそのことを堂々と公表しているというのに。

数年後の日本を知る必読の文献

これから数年後の日本に何が起きているか。それを知りたいと思ったとき、必読の文献がある。アメリカ政府が毎年十月に日本政府に突きつけてくる『年次改革要望書』である。日本の産業の分野ごとに、アメリカ政府の日本政府に対する規制緩和や構造改革などの要求事項がびっしりと書き並べられた文書である。

『年次改革要望書』では、最近まで五つの優先分野が指定されていた。通信、金融、医療機器.医薬晶、エネルギーとならんで住宅分野がそのうちのひとつだったのだ。しかし二〇〇一年版以降の『要望書」からは住宅分野が優先分野から姿を消した。住宅分野に関しては、アメリカは欲しい物をすでに手に入れた、というわけである。

住宅分野に関してアメリカ政府が日本政府へ要求していたのは、ひとことで言えば木材製品の輸入拡大、ということに尽きる。もともと日本はアメリカにとって木材製品の最大の輸出市場なのだが、アメリカはビジネス・チャンスを更に拡大しようとして、過去数年さまざまな要求を日本に突きつけていたのである。日本政府がこれまで建築基準法の改正、「定期借家権制度」の導入や「住宅性能表示制度」の導入など一連の規制改革を進めてきた最大の理由はここにあったのである。

日本政府はなぜ外国業者の利益をはかるのか

私はなにもそれをインサイダー情報や内部告発などによって知ったのではない。アメリカの情報公開法のお世話になったわけでもない。アメリカまで行く必要さえなかった。自宅に居ながらにして、インターネットで誰にでも公開されているアメリカ政府の公式サイトから簡単に知ることができた。アメリカ政府自身が、その事実を公式文書のなかで堂々と公表しているのだから。

それにしても日本の政府はなぜ、外国業者のビジネス・チャンスを拡大するために、審議会に諮問して答申書をつくらせた上で法改正まで行うという、手の込んだ手続を踏んでいるのだろうか。なぜそこまでする必要があるのか。

クリントン政権の考え出した「年次改革要望書」

そもそもこの『年次改革要望書』とはいったいどういうシロモノなのか。日本とアメリカとの外交関係において、それはどのように位置づけられているのだろうか。アメリカ通商代表部の『外国貿易障壁報告書』二〇〇〇年版に、『年次改革要望書』というものが毎年提出されるようになったいきさつが書いてある。それによると、これは一九九三年七月の宮沢首相とクリントン大統領の首脳会談で決まったことらしい。

個別産業分野の市場参入問題や、分野をまたがる構造的な問題の是正を日本に迫るための、アメリカ政府の包括的なアプローチである、と説明されている。わかりやすく言えば、アメリカが日本に外圧を加えるための新しい武器として、クリントン政権が考え出したもの、ということらしい

この宮沢・クリントン首脳会談のときの政府間合意を根拠として、一九九四年に最初の『年
次改革要望書』が提示された。それは三十二ぺ-ジの英語の文書で個別産業分野としては農業、自動車、建築材料、流通、エネルー、金融、投資、弁護士業・医薬・医療・情報通信など、分野横断的なテーマとしては規制籍や行政改革、審議会行政や情報公開・独占禁止法と公正取引委員会、入札制度や業界慣行、そして民事訴訟制度などが網羅され・まさに日本の産業、経済、行政から司法にいたるまで、そのすべてを対象にさまざまな要求を列挙したものだった。

マス.メディアが今まで報道しなかったこと

日本政府も同時にアメリカ政府に対する要望書を提出することになっていて・表面上は対等かつ双方向という建前になっている。しかしもともとこの要望書は外圧の一手段としてアメリカから提案されたものだ。ことの発端からして双方向ではなかったのである。

外務省の公式ホームページには、日本政府が毎年アメリカ政府へ送った『年次改革要望書』は掲載されているが、アメリカ政府が日本政府へ提示した方は公開されていない。不思議なことにマス.メディアでも従来このことはほとんど報道されていないのだ。

二〇〇三年十月にもアメリカ政府から日本政府へ『年次改革要望書』が出されているが、なぜか主要な新聞はそのことを報道しなかった。二〇〇一年十月のときは・シンガポールで開催されたWT0」の非公式閣僚会議の際に田中真紀子外務大臣(当時).がゼーリック通商代表部代表と『年次改革要望書』を交換し合ったということを、十月十五日付けの日本経済新聞が小さなベタ記事で報道した。

しかし「米国側の要望内容は明らかになっていない」として、内容にはいっさい踏み込んでいない。日本の将来にとってこれほど重要な意味を持つアメリカ政府からの公式文書である『年次改革要望書』の全文が日本のマス・メディアで公表されたことはないのだ。それでは、アメリカ政府が日本政府に毎年どんな要求を突きつけているのか、われわれ一般の国民はどうやったら知ることができるのだろうか。

内政干渉を隠そうともしないアメリカ

種明かしをすればどうということはないのだ。アメリカ政府の日本政府に対する『年次改革要望書』は誰でも簡単に読むことができるのである。全文が日本語に翻訳され、在日アメリカ大使館の公式ホームページで公開されているからだ。過去数年のバックナンバーも、すべてそこで日本語で閲覧することができる。

私は大学院の修士論文を書くために、建築基準法の改正についてインターネットでいろいろ調べているときに偶然それを見つけたのだ。なるほどアメリカという国は堂々と構えているものだ。内政干渉の事実を隠そうともしない。伏せようと努力しているのは、干渉している側ではなく、もしかしたらされている側の方なのかもしれない。

要求の進捗状況は日米当局者が点検

『年次改革要望書』は単なる形式的な外交文書でも、退屈な年中業事でもないアメリカ政府から要求された各項目は、日本の各省庁の担当部門に振り分けられ、それぞれ内部で検討され、やがて審議会にかけられ、最終的には法律や制度が改正されて着実に実現されていく。受け取ったままほったらかしにされているわけではないのだ。

そして日本とアメリカの当局者が定期的な点検会合を開くことによって、要求がきちんと実行されているかどうか進捗状況をチエツクする仕掛けも盛り込まれている。アメリカは、日本がサボらないように監視することができるようになっているのだ。

これらの外圧の「成果」は、最終的にはアメリカ通商代表部が毎年三月に連邦議会に提出する『外国貿易障壁報告書』のなかで報告される仕組みになっている。アメリカ通商代表部は秋に『年次改革要望書』を日本に送りつけ、春に議会から勤務評定を受ける、という日々を毎年過ごしているわけである。(P47−P53)

関岡英之(著)「拒否できない日本」(文春新書)


(私のコメント)
私はこれまでも日本がアメリカの植民地であり、日本にある政府はアメリカ政府から見れば一地方の行政府にしか過ぎないと書いてきました。日本の総理大臣や外務大臣は飾り物でしかない。しかしこのように書いても単なる民族主義者のプロパガンダとしてしか受け止めてもらえなかった。しかし関岡氏の「拒否できない日本」と言う本を見れば、日本がどのようにアメリカによって統治されているかが良くわかる。

日本にももちろん国会がありますが、重要な法案ほど日本の国会では審議することが出来ない。五十年以上も日本国憲法は改正されることもなく店晒しにされている。安保条約と平和憲法とはセットとなって日本を縛り、真の独立国としての体をなしていないのだ。同じ敗戦国のドイツは着々とヨーロッパの明主として地位を固めているのに、日本は敗戦国のままなのだ。

イラク戦争を見れば半世紀前に日本にしたことをアメリカはイラクにしていることがよく分かる。憲法から何から何まで押し付けて統治するつもりだ。在イラク米国大使館は3000名もの人員を要して何をするつもりなのか。当然恒久的な軍事基地も作られて半永久的に武力による支配は続くのだろう。

日本にしたって何一つ変わらない。日本には米軍基地が作られ特に首都の東京周辺は米軍基地に囲まれている。これらの米軍基地は日本を守るための基地ではなく日本を監視するためのもので、一旦事が起きればアメリカは本性をあらわにするだろう。このように書くと少し大げさだと思われるでしょうが、単に国民は騙されているだけだ。

ポチ保守たちに言わせると、北朝鮮から日本を守ってくれるのはアメリカだけだと言っている。しかし日本が本格的な軍事力を整備すれば北朝鮮にびくびくしなければならないような国ではないはずだ。このような状態が続く限り日本はアメリカ政府からの『要望書』と言う名のアメリカ帝国から指示に従わなければならない。

ところがこの『要望書』の存在を日本の官僚達やマスコミはほとんど公にしてこなかったのは日本国民の感情に配慮したものだろう。小泉首相が構造改革と連呼するのもアメリカから毎年突きつけられる『年次改革要望書』を実施に移すだけなのだ。日本からもアメリカに『要望書』が出されているが、BSEの全頭検査を見ればわかるとおりまったく無視されているのだろう。

この『年次改革要望書』といえば単なる「お願い」のように思えますが、英語では「イニシアティブ」と言う言葉が使われており、これは「主導権」と言う意味でアメリカ主権の改革の要望なのだ。このような状況を放置していたら日本はアメリカのいいように「構造改革」されてとんでもないことになる。

よく自嘲的な言葉で「日本はアメリカの五十一番目の州」と言われますが、まさしくそのとおりで、アメリカは便宜上日本を独立国としているだけだ。そして当然のように日本に15年度は35兆円も米国債を買わして税金代わりにしている。さらに日本に駐留している米軍にも毎年5000億円も支払っている。これは決して小さな金額ではないが、それだけの金を年金に振り向けてほしいものだ。

日本のマスコミもすっかりアメリカ資本にイニシアティブをとられて、一部の左翼系マスコミを除いてアメリカ様様になってしまった。森田実氏が次のように指摘している。

小泉内閣の本質は「日本をアメリカ化する」ための政権である 森田実

関岡英之著『拒否できない日本・アメリカの日本改造が進んでいる』(文春新書、平成16年4月20日刊)は、全国民に読んでほしい本である。
 ここには、テレビはほとんど取り上げず、新聞が書かず、雑誌すらもほとんど取り上げていない日本の真実の姿が鮮やかに描き出されている。

日本のアメリカ化を先頭に立って推進しているのが小泉内閣である。小泉内閣の3年間の間に、銀行の90%は米国の金融機関に握られてしまった。製造業の70%が米国に握られた。東京のホテルのほとんどが米国資本のものとなった。流通も、食糧も、土木建築業すらも米国資本の傘下に組み入れられている。最近はマスコミがこれを応援している。それどころか、マスコミまでアメリカに握られてしまった。

 
最近、政官界内部で次のような噂が流れている――「広告業は米国資本に握られたため、テレビで米国批判を行うものは、テレビ界から排除されることになった。ほとんどの大手のコマーシャル提供の大企業は米国資本が握ったからだ」。
 ちょうどその頃、私はあるテレビで米国の日本支配、日本従属国化、植民地化について語ったあとは出演依頼がほとんどなくなったことを経験したので、思い当たることがあった。米国の影響力は巨大である。日本人の頭脳のなかまで変えつつある。




首相も未納?年金国会の泥沼
小沢民主党で政権が取れるか?


2004年5月12日 水曜日

●首相も未納!?〜年金国会の泥沼● 佐々木敏

菅直人・民主党代表(04年5月10日現在)の政策秘書・松田光世によると、小泉首相には国会議員になる前、国民年金の「未納」期間があったはず、という(『週刊文春』04年5月13日号 p.31)。

この説が正しければ、当時の年金制度から見て、72年の国会議員初当選以前、ロンドン留学から帰国し、故・福田赳夫衆議院議員(元首相。福田康夫前官房長官の父)の秘書をしていた時代の前後に、未納期間があった、ということになる(首相官邸Web < http://www.kantei.go.jp/jp/koizumiprofile/2_sokuseki.html > )。

なるほど、だから小泉首相は04年5月7日に、福田康夫前官房長官が「未納」を理由に辞任したときも、他の「未納6閣僚」には辞任しないように促したのだ。他の6人が辞めると、政局が混乱するどころか、いずれ自分自身が辞めざるをえなくなるからだ。

また、民主党と公明党が、全国会議員の年金状況を公表しようと言っているのに、自民党が応じないのも納得できる。

さらに、04年にはいって、小泉首相は、「福田-田中均(外務省審議官)ライン」を捨てて、山崎拓・前自民党副総裁と平沢勝栄・衆議院議員を中国大連に派遣して北朝鮮政府関係者と接触させ、日朝協議の準備をさせるなど、急に北朝鮮による日本人拉致事件の解決に熱心になったが、その理由も上記の説で理解できる。

いずれ首相の「未納」はバレるのだ。そのときの、この最大の「悪いニュース」を帳消しにするには、ほかのことで目立った成果「よいニュース」がほしい。だから、拉致被害者家族(蓮池薫さんの子供ら、3家族8人)の帰国を急いでいるのだ……と考えるのは、それほど的外れでもなかろう

マスコミでは、人道食糧支援再開、拉致問題を6か国協議から分離(日朝2国間協議に切り替え)、(04年5月23日には)首相再訪朝(産経新聞04年5月9日付朝刊1面)と、明らかに北朝鮮側に譲歩したがっている日本政府の姿勢への、憶測が飛び交っている。

もし、これらの憶測が事実なら、拉致問題の完全解決……つまり上記3家族8人の帰国だけではなく、死亡または行方不明と伝えられている、横田めぐみさんら他の行方不明者(拉致被害者)の安否確認……は、小泉政権にはできまい。「未納」問題で焦る小泉の足元を、北朝鮮側に見られるからだ。

やはり、この政権はさっさと退陣したほうがいい。

もし小泉首相の「未納」が事実なら、民主党は未納期間のある「鳩菅」を追放し、年金を完納していることが確実な小沢一郎・代表代行、前原誠司・NC外相、河村たかし・衆議院議員ら(完納3兄弟?)を押し立てて年金問題を争点に「『未納首相』は辞めろ」と04年7月の参院選を戦い、小泉内閣を潰せばいい。そうして民主党が政権を取れば、好きなよう年金制度を改革できるのだから、菅直人言うところの「年金一元化に向けた話し合いの場を確保する」ための与野党3党合意などは必要ない。

菅直人は政権を取る気がないから、政権を取った場合の閣僚集団であるNC(次の内閣、ネクストキャビネット)を無視して3党合意に走ったのだ。政権を取りたい小沢らがそれに怒るのは当たり前だ。

この問題については、いずれ小誌(メルマガ)でも検討してみたい。

不良債権問題の解決はヤクザの殲滅から 2ちゃんねる

43 :闇の声 :04/05/07 11:31 ID:vhrVg+Or

何を意図して急に辞任したのか・・・
いろいろ聞いているけれども、まだこれと言って確実な情報はないが
一つ言えることは、この辞任・・・決して民主党だけではなく自民党、ひいては
小泉にとってかなりの打撃だ
逆に言えば、これで小泉内閣は相当足腰がふらついてくるから民主党は迅速に菅直人の後任を決めて
(この場合、菅直人は議員辞職をして・・・その代わり、自分の足と目で新しい人材を発掘するキャラバンを
したら良いと思う 結局、自分だけが目立っていればいいと言う下卑た根性があの発言を生み、自分の政治生命に
打撃を与えたのだから、下野して縁の下の力持ちにでも成った方が良いだろうね)
その後継党首の下で自民党への攻撃をするべきだ
福田がいなくなると、結果的に四名だか五名の閣僚も辞任を考えなくてはならない
茂木を除けば全て重要閣僚だ
しかも、常識のない小泉にとって福田の存在は極めて大きく代わりはいないと思う
もし、民主党が小沢を正面に押し立てて、それこそ在野の知識人を総動員して
小泉改革のでたらめさを明らかにすれば、来る参院選での民主党は躍進できると思

しかし、そのためには思い切った手が必要であり、何らかの形で菅直人が執行部に残れば
むしろ失望を生んでしまうだろう・・・その場合、低投票率という形になって現れて
結果的に公明=創価の力が左右することになる・・・これは、自民党にとっても実は良くない
せいぜい、小泉=飯島の二人とその後ろにいる森がほくそ笑むだけだ
民主党の出方が、極めて重要だと思うし時期を外しては成らない

46 :闇の声 :04/05/07 11:51 ID:vhrVg+Or

民主党は、この際だから小沢に全てを託すべきだろう
聞いた話では、小沢自身も勝負の時と踏んでいると言うことだ
自民党内部でも、森−小泉の院政と公明支配に嫌気が差して
再度保守本流の政治を望む声もある

大事なことは、民主党の政策がまだ分かりにくい点が多く
党内が一つに纏まっているのか・・・極めて疑問であり、異分子を抱えたままで
現執行部よりも右よりの路線を走れるのか?と言うことだ
むしろ、纏まっていないし対立の根は深いと考える方が自然らしいね
鳩山の動きもおかしい・・・再度出ていくつもりらしいが、今回の事件・・・
これだけ菅直人にバッシングが来たのは、一つに賞味期限切れだと言う事だよ
まして、鳩山はもっと前に賞味期限は切れている
思い切った若返りと、小沢を中心とした判りやすい執行部、より現実的な
政策と論争で自民党を(と言うよりも自公路線)凌いで欲しい
それが、森−小泉によってめちゃくちゃになった日本の再建への早道だと
思っている



(私のコメント)
福田官房長官の辞任で小泉内閣に暗雲が生じてきた。福田官房長官の存在でなんとか常識のバランスをとってきた内閣が、後任の官房長官人事を見てもわかるとおり、小泉首相の弱点が出てきて政権に軋みが生じ始めている。今度の新官房長官では官僚達と党の議員達との調整は難しいだろう。

自民党内にも森派の一人勝ち内閣では不満が大分うっ積して来ている。小泉首相が首相でいられるのも参院選での党の顔として必要だからですが、年金問題でかなりまずい展開になりそうだ。小泉首相自身の年金未納問題がまだ表面化していないが、これが事実としたら辞任しないまでも参院選で叩かれるだろう。

民主党も小沢、野田、川村の完納三兄弟を揃えて戦えば、参院選挙でも、政権はとれなくとも小泉内閣を退陣させるだけの勝利は得られるかもしれない。岡田幹事長の可能性もありますが三党合意の当事者でもあり選挙を考えると可能性は薄い。やはり民主党の看板となると小沢氏が有力だ。民主党の候補者達にとっても勝てる党首がほしい。

二大政党制で過半数を制した政党が首相となるのだから自民や民主の大政党では党首が首相候補だから安易な党首選びが出来なくなり、カリスマ性が要求される。そうのような人材は自民、民主とも少なく自民ですら小泉氏に代わる人材は今のところ見つからない。だから7月の参院選は小泉ー小沢の一騎打ちになるだろう。

去年の衆院選では小泉ー菅の対決でしたが自民小泉の勝利に終わった。自民党にとっては菅代表のほうが相手としてやりやすかっただろう。しかし自民党の幹事長を務めた小沢氏では自民党の票も民主党に流れて小沢民主党が勝てるかもしれない。

小沢氏が代表を受諾へ 要請「真摯に受け止める」

民主党の菅直人代表辞任に伴う新代表人事をめぐり、小沢一郎代表代行は12日夕、国会内で岡田克也幹事長と会談し、代表就任要請に対し「真摯(しんし)に受け止める」と述べ、基本的に受諾する意向を表明した。正式回答は後日の再会談で伝える考えを示し、受諾する条件として挙党態勢の構築を求めた。
 岡田氏は、国会終盤を迎えていることから、できれば週内に決着させたい意向で、党内の最終調整を早急に済ませた上で再会談することになった。ただ、調整に手間取れば来週にずれこむ可能性もある。
 岡田氏は会談で「菅氏の後任の代表にぜひ決断していただきたい」と要請。小沢氏は「政権交代に向けてどのような態勢がいいか、党内各位に真剣に考えてほしい」と述べた。(共同通信)
[5月12日19時59分更新]




NY株続落、1万ドル割れ 5カ月ぶりの安値
世界的なハード・ランディングのリスクが高まっている


2004年5月11日 火曜日

NY株続落、1万ドル割れ 5カ月ぶりの安値

【ニューヨーク10日共同】週明け10日のニューヨーク株式市場は、米国が6月にも利上げに踏み切るとの観測を嫌気し、大幅に続落した。
 ダウ工業株30種平均は前週末終値比127・32ドル安の9990・02ドルで取引を終え、昨年12月10日以来、5カ月ぶりに1万ドルの大台を割り込んだ。
 ハイテク株主体のナスダック総合指数も21・89ポイント安の1896・07と、年初来安値を更新した。
 先週末に公表された4月の米雇用統計で台頭した6月利上げ観測に加え、日本の平均株価が今年最大の下げ幅を記録したことが重なり、ダウは2営業日連続で100ドルを上回る下げ幅となった。
 利上げによる業績悪化を懸念し金融銘柄が売られたほか、原油高で好調だったエネルギー関連株も株価水準を下げた。(共同通信)
[5月11日9時6分更新]

平均株価1万1千円割れ、下げ幅は今年最大の554円

週明け10日の東京株式市場は、米国で早期の金利引き上げ懸念が強まったことなどから全面安の展開となり、株価は今年最大の下げ幅を記録した。

 日経平均株価(225種)は6営業日続落し、前週末比554円12銭安の1万884円70銭と、2月26日以来約2か月半ぶりに1万900円台を割り込んで取引を終えた。東証株価指数(TOPIX)も4営業日続落し、同65・35ポイント低い1085・54となった。TOPIXの下げ幅は、米同時テロ翌日の2001年9月12日につけた67・32ポイント以来となる。

 第1部の出来高は約19億700万株、売買代金は1兆8780億円で、「出来高10億株、売買代金1兆円超え」の連続記録は、48営業日に伸びた。

 4月の米雇用統計が大幅な改善を示したことを背景に、米国の金利引き上げ時期が6月に早まるとの見方に加え、外国為替市場で進む円安・ドル高で、ドル換算ベースの資産の目減りを嫌った外国人投資家が、当面の利益を確保するため、積極的に日本株を売却した。東証第1部上場の97%に当たる1519銘柄が値下がりした。

 一方、10日の東京外国為替市場の円相場は、米国の早期利上げ観測の高まりと東京株式市場での株価急落を受け、円を売ってドルを買う動きが一段と加速し、一時、1ドル=113円42銭と、昨年9月19日以来の円安水準をつけた。午後5時現在、前週末(午後5時)比2円58銭円安・ドル高の1ドル=113円16―19銭で大方の取引を終えた。

 10日の東京債券市場も、長期金利の代表的指標である10年物国債の流通利回りが一時、前週末終値比0・05%高い1・515%まで上昇(国債価格は下落)し、株式、為替と合わせ、「トリプル安」となった。終値は同0・04%高い1・505%だった。(読売新聞)
[5月10日21時5分更新]

中国:双子のバブル モルガンスタンレー  04.12.2004 

世界的なハード・ランディングのリスクが急速に高まっている。

世界的なハード・ランディングのリスクが急速に高まっている。その引き金になるのは、中国の政策行動、コモディティ市場における信用事件、あるいはオーストラリアの債務バブルかもしれない。アングロ・サクソン諸国経済に見られる旺盛な消費は、そうした国において発生している不動産バブルを反映している。

消費ブームは、「金利は低下傾向を辿り、所得は増加し続ける」という家計部門の楽観論──現行の所得の伸びを上回る勢いで借入を行っているのもそのため──に端を発している。一方、中国の投資バブルの原因は、企業や不動産投機家の間で広まっている「ゴールド・ラッシュ」メンタリティーにある。巨額の資本流入が不動産需要と信用供給を支えている。中国の成長は基本的に、不動産の投機的在庫の蓄積と過剰生産設備に由来する。

双子のバブルの鍵は、アングロ・サクソン諸国経済における家計債務と中国における企業債務の急増を引き起こした米国の低金利にある。債務の急増は、アングロ・サクソン諸国経済における消費の拡大と不動産価格の上昇、ならびに中国における生産設備の急膨張となって現れている。金融市場は循環的なデータ・フローに敏感だが、筆者が思うに、実際のゲームは世界的な債務バブルがどの程度の期間持続し得るのか、また、どのようなショックがバブルを崩壊させるのかである。

オーストラリア、英国そして米国は、アングロ・サクソン人が誇る柔軟性のおかげで過去5年間、他の先進国を大きく上回るパフォーマンスを見せてきた。より分かりやすい説明は債務かもしれない。家計債務は、他のどの国よりも、あるいはそれぞれの国の歴史に照らしても、はるかに急速なペースで増加してきた。オーストラリアの家計債務の対GDP比率は、1998年から2003年にかけて39%ポイント(pp)上昇したが、英国や米国においてもそれぞれ19pp、16pp上昇している。

債務とGDP成長率とを結びつける環は不動産価格である。成熟した経済では規制面の制約のために、低金利時の不動産需要は生産増ではなく価格上昇に形を変える。正の資産効果は、大半の家計部門に波及するため、消費に対してとりわけ強力なインパクトを与える。アングロ・サクソン諸国経済における巨大な不動産バブルは、世界的な消費需要を支えている。

理論的には、これは家計部門の楽観論と低金利が続く限り持続し得る。だが、筆者が思うに、あらゆるバブルがそうであるように、今回のバブルも必ず最終的にははじけるだろう。オーストラリアの不動産市場はバブル崩壊の危機に瀕しており、それはすぐにもはじける可能性がある。その結果としての信頼感ショックが引き金となり、アングロ・サクソン諸国のバブルは崩壊するかもしれない。

中国は、かつてない投資バブルを経験している。今回の行き過ぎは、前回1993年当時のバブルの規模の2倍にあたる。外資誘致の点で中国は抜きん出ている。このため、中国は、これまでもそうだったように、通貨を切り下げることなくバブルに資金を供給することができた。外貨準備は、2001〜03年に2倍以上に増加した。不胎化が殆ど行われなかったため、この2年間に国内信用は55%も拡大している。こうしたバブルは、10年前に東南アジア諸国が経験したバブルに似ている。

将来に対する過度の楽観主義が、中国の投資バブルの原因である。米国の利下げは、巨額の中国資本が中国へ回帰するきっかけとなり、これが第一期投資ブームの発端となった。加速する経済成長で楽観主義がさらに強まり、資本流入が増加した。信用拡大は実質金利を引き下げ、不動産需要の急増の引き金となり、コモディティ産業ならびに不動産セクターへの投資をさらに増加させた。

中国で進行しているのは、筆者が思うに、巨大なピラミッド・ゲームである。かつて上海がそうだったように、地方政府は、地価が上昇するので債務を返済できるだろうと期待して、都市インフラを建設するために土地を担保に巨額の資金を借り入れている。しかし、上海モデルはどこでも通用するわけではない。上海は、香港と台湾の不動産投資家によって救済された。筆者が思うに、上海だけでも香港と台湾には手に余るというのに、他の多くの都市が同じ道を辿ることがどうしてできようか。

中国では不動産価格の大幅な調整が近く始まると筆者は見ている。住宅着工件数は、販売戸数に比べて急速に増加している。建築中の物件は、この5年間、販売戸数を上回っている。二桁の空室率は主要都市ではごく普通である。デベロッパーも買い手も投機的動機にとりつかれている。価格調整は、利上げあるいは投機家の資金では手に負えないほどの供給増によって引き起こされることになりそうだ。

バブルを破裂させる最有力候補は、FRBの利上げである。とは言え、現在の世界的な均衡は依然として米国の力強い雇用には不利である。このため、筆者は、FRBがすぐにあるいは積極的な利上げに転じるとは予想していない。

中国の投資バブルがはじけようとしていることは、世界的なバブルにとって最も明白なリスクとなっている。中国が大規模な投資バブルを経験していること、そしてこれ以上の効率性の低下を阻止するには政策行動が必要だということは、政治家の間でコンセンサスになりつつあるようだ。地方政府が中央政府の願いを裏切り続けている以上、新しい政策行動が近いうちにとられる可能性がある。中国で大幅な利上げが実施されるかもしれない。そのような措置は、資本収支の管理強化と抱き合わせで実施されよう。FDI以外の資本流入を一時的に停止する措置が導入される可能性がある。


(私のコメント)
昨日の東京の株式市場は554円の大幅な下げに見舞われました。新聞やテレビでは経済記者が適当な解説をつけていますが、グローバル化が進んだマネーの世界では、東京市場だけ分析してみたところで何もわからない。世界の投機的マネーは一旦金融センターに当たるニューヨ−クに集まりますが、そこから世界に分散して投資が行われている。

今一番金融界で注目を集めているのが中国で、NYが低金利で行き先を失ったマネーが中国へと流れ込んでいる。ところがその中国に異変が生じつつある。経済成長を伴った投機なら持続可能なのでしょうが、投機が投機を呼ぶ展開となってきては、中国政府もバブルつぶしの政策をとらざるを得ません。

アメリカも明らかにバブルなのですが低金利政策と大減税でバブルの崩壊を防いできましたが、原油相場が40ドルを超えるようになってきては、グリーンスパンも金利引き上げを仄めかして金融を引き締めるスタンスに変わってきている。金利の引き締めで利上げが予想されればドル高で中国などからマネーがアメリカに吸い寄せられてくる。

しかし中国も金利を引き上げれば元高圧力が高まる。当面はアメリカと中国の金利が高くなることで世界の株安が起きています。東京市場もNYの株下落で換金需要が出て東京の株と債券と円が売られてトリプル安となっている。このように金詰り気味になってきたのは、日本が大規模なドル買いが4月にぱたりと止まって、資金供給が弱まったせいだ。

NYの株価が1万ドルを割ってきて景気の先行きが不安になってきたら、グリーンスパンも金利を引き上げるに引き上げられない状況が出てくる。すでにアメリカ経済は金利と減税の特効薬の効果が薄れ始めており、株価の下落が続けば金利引き上げどころか超低金利を続けぜるを得なくなる。となるとアメリカは再び日本に対してドル買い圧力をかけて来るのだろうか。

以前の「株式日記」にも書きましたが、日本がアメリカ経済を資金供給することで支えるような形になっている。もう一つのアメリカへの資金供給国である中国もバブルつぶしで、金融の総量規制をとらざるをえない状況になってきて、さらに石油、鉄、銅などの工業原材料の高騰でアメリカへの資金供給は絞らざるをえない。

ただでさえアメリカはヨーロッパなどの資金が逃げ始めて、それを日本や中国などが穴埋めしていましたが、それが出来なくなってきた。つまりグリーンスパンの金利引き上げもしたくとも出来ない状況に追い込まれる。さらにNY株が下がり続ければ日本のようなゼロ金利に追い込まれることになるかもしれない。

しかしアメリカは日本と違って大貿易赤字国でありこれ以上金利が下がれば資金がアメリカからますます流出して経済クラッシュは避けられなくなる。それと同じように中国も不動産の高騰が限界に近づいており、中国当局が引き締めや総量規制に乗り出せばバブルの崩壊が起きるだろう。この二つの時限爆弾が破裂した時に世界経済はどうなるのだろうか。




田中宇の国際ニュース解説 ライブ版(3)
角さんを潰した立花隆はジャーナリズムを殺した


2004年5月10日 月曜日

【質問】

トラの尾を踏んだ田中角栄について

【田中宇】

例えば真珠湾攻撃は陰謀だった、アメリカに引っ掛けられた、けっこう今あんまりタブーじゃない。OKでしょ。田中角栄さんはやられたんだと、ロッキード、アメリカに。立花隆とか大統領の陰謀、僕もそれに引っかかってジャーナリストになっちゃった。だからアメリカニュージャーナリズムってあったじゃないですか。政治家の悪をたたけ。インベスゲイティブレポート、あれは僕はどうもね、最近思っているのは、当局者から別の説明、きれいな、例えばニクソンて言うのは中道派だったわけです。

中国と仲良くしようって言う。その反動としてウォーターゲートやられた感がある。とすれば、それはやっぱり、大統領の陰謀すばらしい、って言うのは騙されていたのかなって言う、つまりなんていうのかな。角さんだって金には汚かったかも知れないけれど、外交的に何かやろうとしていたわけでしょ。夢が。で、こっちはたたかれて、こっちもなくなっちゃった。それはやっぱり、立花さんとかもいいけれども、僕は、立花隆なー、二十年も騙されてたなと思うのは、やっぱ政治的に角さん潰すために、知ってかしらずか文芸春秋とか、使われた、知っててやったのかもしれないけれども、それはやっぱ日本が、よく文芸春秋が日本はこのままでいいのか、なーんていっているけれども、よくないよ、お前が角さん潰したからだろ、みたいな、そういうふうにも思うから。

そこまで考えてないでジャーナリストが政治家を叩くんだって言うジャーナリストって、早く会社辞めろ!って僕は言いたい。すごいするんだ僕は。だからかつての同僚なんかも、いまだに立花隆っていってる人がいるけれども、直接僕は言えない、悪いから、その人の人生半分以上それに費やしているから、だけども、ジャーナリズムって死んでるじゃないかって、70年代から。もともとプロパガンダだったんじゃないかなって言う感じが疑いとしてある。そんなきれいなもんじゃない、単に騙されているだけ、自分はきれいだって言うジャーナリストは、と言うふうに思う。

【質問】

日本が国防に協力しなければ日本が国防力をつけなければならない?国力をつけるとすればどういう事をつけなければならないか?

【田中宇】

国力というのは、まずは経済力。それから軍事力もあるけれどその前に経済力。それから僕の業種として言わせてもらうと国際情勢に対する分析力、これが外交力のベースになっているから、外交官がそれを知っていればいいんだけれども、国民がある程度知っていないと外交官がそれを説明した時にわかってくれない。例えば最近の日本だけれども、中国と日本は仲良くすべきだというと、お前は土下座主義者かとすぐ言われちゃう。それは国民が騙されているからですよ。よく勉強しないからです。

でもたぶん日本人のすごいところは、あるときに雰囲気が変わると、一昨日まで言ってたこととぜんぜん違うことを考えるようになるから、それはいいことであると思う。前は憲法九条死守ってみんな言っていた。ところがそう言っていた社民党はどうなったかって言うと、もうみんな、おたかさんもやめざるを得ないの凋落振りになっちゃった。だから今あんなこと言わないわけでしょ。昔憲法好きだった人なにしてるんだ、今は違う世界になって違う状態になっている、なんとなく感じているから、社民党に入れないわけですよ。じゃないかとおもうから。

だから明治維新のときもそうだった。幕府なもう終わりだと、なんだかわからないけれど開国だと、そしたらそれまで尊皇攘夷だっていってたやつが、いきなりやっぱり洋服がいい。ちょんまげ終わりだ。2年ぐらいの間に変わって一二年の間に。それで反乱も大して起きなければ、榎本武揚が幕軍を率いて、函館まで逃げてそこで終わり。なんでフランスとロシアに武器をくれと言わなかったのか。フランスとロシアは武器を売って、長州はイギリスが長州に武器を売る事になっていたら、日本は二分割されて、中東みたいになってましたよ。

でもイギリスはそれを望んでいなかった。海軍力を日本側まで植民地として直接支配してやるだけの余力を、あまりやりたくなかったイギリスはもう、大英帝国も左前になっていたし、そういうのはあるんだけど、結局明治維新の頃のやつみると榎本武揚とかは世界と日本のある程度知っていて、ロシアとフランスには援助を求めなかった。なぜなら分割されちゃうから。そういうのとけっこう頭がいいのと、皆が反対しない、8月15日にも反対しない、8月15日に何で竹やりを持って米軍に立ち向かってゆく、18日でもいいや、人はいなかったのかと僕は不思議なんだけれども、たいしていなかった。ちょっとはいたみたいだけれども、みんな上官から戦争は終わったんだって泣いて終わるって言う。

アラブ人だったら絶対そんなふうな事しないね、自分の部族のために立てこもって戦う。そういうことしなかったというのが、ある種歴史の転換点と言うものを、なんか敏感に察知する天然、天然の人って最近よく言うじゃないですか。日本人は天然なんだ、だから、国力って言うのはそういう風ななんか、そういうふうな日本人のアイデンティティ生かしてなんか、国際情勢に詳しくなくて、経済力をつけてアメリカから足をすくわれないようにして、なおかつ防衛と軍事力、どこが敵なのかと言うことをよく話し合わなければいけない。最小限の軍事力の場合。まあ核兵器って持った場合もあるか。わかんない。すぐ作ろうとすれば作れます。

【質問】

身の危険を感じたことはないか?

【田中宇】

何か身の危険を、けっこうみんな興味あるから、身の危険を発せられる前に警告があると思うわけ。まず暴力団が、自分の身体にぶち込む前に窓にぶち込む、自分の家に。必ず警告がある。で、僕のとこにまだ警告が来ていない。どこからも。アメリカ当局からも。日本当局はあまり警告してこない。と言うかむしろ陰謀屋として泳がせてあるんじゃないんですか。時々マスコミに呼ばれないでしょ、危険人物だったら。ときどき僕はテレビには出てるし、二万円しかくれない。(笑い)もしか、身の危険を感じたら論調を変えますから、そしたら僕の記事も深読みしてください。(笑い)

【質問】

田中さんのような見方が新聞や放送に現われないのはどうしてですか?

【田中宇】

時々呼ばれるんです。だからこれは極論で、間を細密な理論になってないのと、現場に言って無いからだと思うですけど、あんまり皆がこういう風なことを信じてしまうと、インターネットだからいいんですよ。今日来てくれている人はオタクだよね。やっぱり国際情勢オタク。普通の人がこういうことを、そうだそうだと考えるようになると、やばい、まずアメリカ嫌いになってしまうでしょ。それはやっぱし良くない。岡崎久彦はそういう理論なんですよ。

だから日本人はそんなに反米にならないほうがいいと。それは一利ある。だけど、こんな世界激動している時に知らないと損することが多いと、これからのこと考えると、だからインターネットぐらいがちょうど良いかなって思うわけ。知りたい人は知る。で、外務省の記者クラブの人はみんな、ある程度の人は僕の記事を読んでるらしい、から、取材にも役立っていると思うし、間接的に新聞や放送に使われていると思うから、それでいいんじゃないかな。


(私のコメント)
田中宇氏の講演会のテキスト起こしはこれが最後ですが、講演会の本編はあまり公開すると営業妨害になるので、次回の講演会で聞いてください。質疑応答の部分で一番多かったのは日本の政治外交の部分で、田中宇氏の見解が聞けたのは収穫だったと思う。

田中角栄がアメリカのキッシンジャーの手によって潰されたのは、、キッシンジャー自身が認めているところで、つまり共和党の保守本流と日本の司法官僚とマスコミとで田中角栄を潰したのは明らかだ。それ以来日本の独自外交の芽は摘まれてしまって、外交と防衛に関してはアメリカに丸投げしてしまっている。首相や外務大臣は単なるお飾りである。

田中角栄論に関しては「株式日記」でも書いてきましたが、角さんを潰した日本のマスコミと立花隆氏は、日本の自立を潰した功労者だ。日本の自立を論じようにも政治家達も口では自立を言っても実際にはアメリカの陰謀を恐れて何も出来ない。小泉首相の政敵が次々と潰されていくのもバックにアメリカの共和党の保守本流がいるからできるのだ。

だから日本の政治を語るにはアメリカの共和党の保守本流を知らないと何も分からない。逆にアメリカの保守本流がわかってくると日本の政界のこともよく見えてくる。結局は日本の自民党政治を潰すにはアメリカの保守本流から潰していかないと無理だろう。あるいは保守本流を説得して自民党と手を切らせないと難しい。

日本のマスコミもアメリカの手先みたいなものだから、反米を言う評論家や学者は冷や飯を食わされて、逆にアメリカの意のままになる連中は立花隆氏のように売れっ子ジャーナリストになるか大学教授や研究所の所長とかの美味しいポストにありつける。だから本当に反米論を書きまくることが出来るのはインターネットしかない。

私がなぜ反米論を書きまくるのは日本の自立を訴えるためですが、だから同じ反米でも左翼の反米とは異なる。私自身は冷戦崩壊以前は親米派だった。そして97年のアジア経済危機を見てアジア諸国がIMFの魔の手に掛かってアメリカ資本に乗っ取られるのを見て、アメリカの帝国主義に気付いて反米論者になった。

日本の自立と独立はアメリカの衰退を待つしか方法がない。それまでは嫌でもアメリカに面従腹背で言いなりになってゆくしかないのだろう。日本の政界、官界、財界を見ても骨のある人物はいなくなってしまった。田中角栄が最後だったのだろう。しかしアメリカに身も心も捧げて日本はそれでいいのだろうか。

イラク戦争を見てアメリカ人の本性が見えてきた。アメリカのキリスト教は狂っている。表面は奇麗事を言っていても、本性では異教徒を人として見てはいないことを収容所の写真は示している。アメリカ人一人一人に聞けば私は違うと誰もが言うだろう。しかしアメリカの福音派の教義をよく見れば異教徒は死んでもやむえないとしている。だからイラクであのような真似が出来るのだ。




年金改正法案をめぐる国会議員たちの無責任ぶり
三党合意は自民・民主の経歴詐称のボロ隠しのため


2004年5月9日 日曜日

■2004/05/08 (土)3党合意の汚い舞台裏・・・小泉の年金疑惑の核心 佐藤立志

 3党合意という、わけのわからない政治妥協が一日足らずで合意された。何を急いだのか。それは実は、年金の照会をしたら、自民党、民主党にも年金詐欺・経歴詐称がぞろぞろ出てきたのだ。もし議員全員が国会議員になる前の年金履歴を公表したら、経歴詐称がばれて年金国会どころではなくなることが判明したのだ。
 特に小泉首相は国会議員になった当時、国民年金は任意加入で、うまみがなかったので横須賀の不動産業者の社員として、勤務しているかのように装って厚生年金に加入していたのである。その後の選挙の時に選挙公報には、不動産会社社員としなければならなかったのに、それは載せていなかったのである。明らかに詐称である。
 しかも民主党議員にも厚生年金の名義借りをしていた議員が、ぞろぞろいることが判明し、急遽、自民党とこれで年金問題にはフタをして幕引きをはかろうとしたのが、あの3党合意なのだ。年金改革をやらせますよということを自民党が確約したかのような文書にして、実をとろうとしたのだが、国民から見れば、あまりにも唐突。
 菅代表を支持しているのは、年金履歴を公表できない連中である。いくら河村議員が公表を迫っても、議員辞職になりかねない公表なんかしないというのが、自民と民主との利害である。

■2004/05/07 (金) 福田長官の辞めた真相はこれ!! 佐藤 立志

 福田長官がやめた本当の理由は国民年金の未納問題ではなく、国会議員になる以前に厚生年金に加入していたが、これが勤務実態がないのに某会社に勤務していたことにして、厚生年金に加入していたという詐欺の疑惑が出てきたのだ。
 もしこの厚生年金の期間を詐称して年金を受け取った場合は、詐欺になる。
 マスコミがこの事実をつかんで、問い合わせたので、あわてて辞任ということになったようだ。
 国会議員の年金加入については、国会議員になる前も含めて公開しろ。
 国会議員になってからの納入期間に限定したのは、こういう不正が発覚するのを恐れていたからだ。しかも勤務していた会社と選挙公報に記載していたのと経歴が違う、経歴詐称が出てくるのだ。
 国会議員の加入状態については、社会保険庁の照会回答原本で公表しろ。そうすればごまかしがきかない。
 三閣僚の未納が発覚した後に社会保険事務所に「国会議員の名前で勝手に照会をするな」とアクセス禁止を通達している。笑えるわ。

国民的議論の高まりに水をかけた菅民主党は国民を裏切った 森田実

 5月6夜、自公2与党と民主党は幹事長・国対委員長会談を開き、年金制度改革関連法案の取り扱いを協議し、妥協した。「合意」は次の3点。
 (1)法律の付則に「年金一元化を展望し、検討する」と明記する。
 (2)衆参両院の厚生労働委員会に小委員会を設置し、一元化を含む社会保障全体の見直しについて2007年をめどに結論を得る。
 (3)与野党で社会保障全体を見直す協議会を設置する。
 この結果、同法案は5月11日の衆院本会議で採決されることが決まった。これにより、今国会成立が確実になった。

 民主党は最初に採決する修正部分には賛成する。だが、自公2与党と民主党の「合意」がこのまま法律に書き込まれたわけではない。民主党が求めた「2009年までに一元化」は最終的には「一元化を展望」という玉虫色の表現に変わってしまった。民主党執行部はこのようなほとんど意味のない表現に同意した。ただし民主党は政府案全体には反対する。
 これで国民の理解を得ることができるだろうか。困難だと思う。
 この「合意」の結果、国民が強く求めてきた国会議員の年金未納問題は曖昧にされそうな状況になってしまった。自公連立与党は、民主党が要求した「全議員の納付記録の一斉公開」を拒否した。民主党は近く独自に発表することになったが、結果から見ると、自公連立与党に押し切られる形になった。

 こうした与党に有利な「合意」を単に民主党の政治的稚拙さの結果と見る人もいるが、それだけでは説明できないと思う。民主党執行部は、菅代表を守るために、野党第一党がしてはいけない「国民への裏切り」をしてしまったのである。菅民主党で政権交代が実現できる見通しは暗いものとなってしまった。
 今回の民主党執行部の“妥協”は、菅代表を守るためだったと考えざるを得ない。年金未納について不運があったとはいえ、菅代表は躓いた。もしも菅氏が野党第一党の党首という地位にいなければ、謝罪声明を行うだけで許されたであろう。しかし、野党第一党党首の立場は重い。一片の謝罪声明だけでは許されないのである。菅代表は、この躓きの責任を取らずに押し通そうとすることは、福田官房長官ら小泉内閣の閣僚の責任を不問に付し、小泉政権を守ることにつながることを承知の上で、自己の延命をはかった。
 菅代表の責任は大きい。私は今まで菅代表に期待していたが、菅代表の今回の行動は支持できない。菅代表が潔く責任を取って辞任することを求める。

 5月7日朝の「めざましテレビ」の放送直後に、旧友から電話があった。
 「森田君に聞きたいが、今回の菅民主党の小泉自公連立政権への屈服は、君がいままで何回か言ってきた“平成版大政翼賛体制の完成”ではないのか。民主党までが小泉体制に組み入れられてしまったことではないか。君はどう思うか」と言うのである。
 私は答えた。
 「実はぼくが一番心配しているのはその点だ。菅代表の躓き、菅代表へのきびしい世論、それでも民主党代表の地位にすがりつく菅代表――この弱みを突いて菅民主党を小泉体制のなかに抱き込んだ、と見れないことはない。今後さらに研究してみる。改めてホームページで答える」。  

 日本の政治は、二大政党による政権交代という目標を捨てかかっているのであろうか。この問題は改めて書くことにする。

 ここまで書いたところに、福田康夫官房長官辞意表明のニュースが入ってきた。この辞意表明は民主党を「合意」に引きずり込むことに成功した直後だけにきわめて効果的なものとなった。辞任を回避して逃げ回る醜悪な菅代表が福田辞任の引き立て役を演じてしまったのである。福田長官一人の辞任によって他の未納6閣僚の責任が不問に付される可能性まで出てきた。国民の目が民主党によりきびしくなった結果である。これから問われるのは民主党の側である。


(私のコメント)
国内政局も福田官房長官の突然の辞任でにわかに流動的になってきました。年金問題も根本的に改正しないとどうにもならない問題ですが、役人達の作った法案をただ機械的にベルトコンベアーに乗せて法案を通してゆく構造はなんとかならないものだろうか。国会議員自身もどのように年金を払ってきたのか良くわからずに法案を審議している。

今の年金制度は破綻しているにもかかわらず、加入者の負担増と支給減で間に合わそうとしている。これでは真面目に支払っている人だけがバカを見る。その間に年金官僚達は年金の積立金で社宅を作ったり天下り先を作ったりで、年金の積立金を自分達のために使っている。国会議員たちはこのような官僚達のやりたい放題に目をつぶって来た。

国会議員たちの関心が法案が通るか通らないかの関心だけで、法案の中味などはほとんど関心がないのだろう。今度の国会は年金国会と言うことで十分な審議が尽くされると思ったら、自公の与党が多数を頼りに強引に押し切るかに見えた。しかし大臣達に年金の未払いが公になって、にわかに世論もこれは酷いと非難が巻き起こった。

少し引っかかったのは年金の支払い記録について、福田官房長官がこれは個人情報の公開になると発言したことだ。国会議員の経歴は選挙公報などで公開されており、年金の支払い記録が公表されると、公表された経歴と異なる経歴が暴露される議員も出てくる可能性が噂されている。他ならぬ小泉首相や福田官房長官がそれに当たる。

民主党の古賀議員の経歴詐称で辞職が必死と見られていますが、福田官房長官の突然の辞任は厚生年金への不正加入が発覚する恐れがあったために先手を打って辞任したのだろう。あとの小泉総理の厚生年金疑惑はどうなるのだろうか。三党合意はこの問題に幕引きを図るためにされたらしい。厚生年金不正加入問題は他の議員にも波及するだろう。

単なる未払いならうっかりミスで済まされるのでしょうが、民主党の菅代表が三党合意で決着をつけようとしたことに民主党内からも批判が高まっている。昨日から今日にかけて菅代表はテレビに出て釈明してますが、三党合意が裏目に出た格好になった。おそらく明日の10日には辞任せざるを得ないだろう。

民主党も菅ー岡田体制で活性化すると見られましたが、どうも左よりの路線で民意とのズレが気になっていた。民主党が政権をとるためには自民党の失策を待つべきで年金問題もその一つでしたが、民主党も同じ穴のムジナでは政権は取れるわけがない。自民党は小泉首相がコケれば後釜がいない。だから民主党は民意を読みながら政権が転がり込んでくるのを待っていればいいわけだ。

菅氏は政策で自民党と勝負しようとして左寄りにハンドルを切りましたが、むしろ自民党より右よりの政策をとるべきだ。そのために自由党と合併しましたが政策にその効果が出てきていない。だから菅代表では政権はとれないだろう。となると小沢一郎氏が後を継ぐのだろうか。

<民主党>「ポスト菅」 選挙手腕で小沢氏期待が大勢

菅直人民主党代表(57)の辞任が不可避の情勢となったことで、同党内の関心は「ポスト菅」の代表人事に移り始めた。7月の参院選に向けた党の立て直しを考えると、知名度で群を抜く小沢一郎代表代行(61)の昇格が有力な選択肢になる。しかし、小沢氏に批判的な勢力は「党内の自由な雰囲気が損なわれる」と強く抵抗することが予想され、「小沢代表」の是非を軸に後任争いが展開される見通しだ。中堅・若手の間には仙谷由人・党憲法調査会長(58)や前原誠司「次の内閣」外相(42)を推す声もあるが、広がりは乏しい。

 菅氏の年金保険料未納問題をめぐっては、大型連休中に岡田克也幹事長と小沢氏が会談し、菅氏の辞任を想定した善後策が既に話し合われている。こうした党内の空気を受け、横路孝弘副代表や鳩山由紀夫前代表らのグループに加え、若手議員の一部が小沢氏の代表就任に期待を寄せる。

 民主党規約によると、任期途中で代表が欠けた場合は、両院議員総会で後継を選出できる。事実上の「話し合い一本化」であり、新代表の任期は9月の代表選までの約4カ月になる。

 小沢氏は年金制度改革での3党合意に絶対反対の立場。このため、仮に代表に就任しても、合意の当事者だった岡田幹事長、枝野幸男政調会長、野田佳彦国対委員長の現執行部の留任は認めないとみられる。一方、菅氏は何人かの留任を求める可能性が高く、人事をめぐる綱引きが展開されそうだ。また、年金未納問題が発覚した鳩山前代表、羽田孜最高顧問らの代表就任は困難だ。

 小沢氏に距離を置く執行部の中にも「9月の代表選で改めて人心一新すればいい」と小沢氏の代表就任を容認する意見もあるが、小沢氏周辺は「参院選に向け党内の活力を高めるため、代表選の前倒しで一気に刷新を図る」とけん制している。

 党内調整による後継の一本化ができない場合は「執行部総辞職―代表選」というケースも想定される。菅氏が10日の両院議員懇談会で、3党合意の了承が得られないことを理由に辞意表明すれば、合意を了解した岡田氏ら執行部が全員辞職して代表選に突入するとのシナリオだ。岡田氏は「3党合意が承認されなければ、執行部への不信任と同じ」と総辞職の可能性もにおわせている。【因幡健悦、尾中香尚里】(毎日新聞)
[5月9日8時41分更新]




「石油危機」 ポール・クルーグマン
拡大する需要と限定的な供給


2004年5月8日 土曜日

The Oil Crunch The New York Times, 5.7.04

石油危機  ニューヨークタイムズ、5.7.04

Before the start of the Iraq war his media empire did so much to promote, Rupert Murdoch explained the payoff:"The greatest thing to come out of this for the world economy, if you could put it that way, would be $20 a barrel for oil."Crude oil prices in New York rose to almost $40 a barrel yesterday, a 13-year high.

彼のメディア帝国が促進するべき非常に多くをもたらしたイラクの戦争のスタートの前に、ルパート・マードックは支払いについて説明しました: 「あなたがそれをそのように置くことができたならば、世界経済のためにこれから出て来る最も偉大なことは、油のために1バレル当たり20ドルになるでしょう。」ニューヨークの原油価格は昨日1バレル当たりほとんど40ドルまで上昇しました(13年の高値)。

Those who expected big economic benefits from the war were, of course, utterly wrong about how things would go in Iraq.But the disastrous occupation is only part of the reason that oil is getting more expensive;the other, which will last even if we somehow find a way out of the quagmire, is the intensifying competition for a limited world oil supply.

ものがどうイラクに入るだろうかに関して戦争から大きい経済的利益を予想した人々はもちろん全く間違っていました。 しかし、悲惨な唯一の職業は油が、より高価になっている理由の一部です; もう片方(私たちが泥沼から方法をどうにか見つけても、持続する)は限られた世界原油供給の激化競争です。

Thanks to the mess in Iraq including a continuing campaign of sabotage against oil pipelines oil exports have yet to recover to their prewar level, let alone supply the millions of extra barrels each day the optimists imagined.And the fallout from the war has spooked the markets, which now fear terrorist attacks on oil installations in Saudi Arabia, and are starting to worry about radicalization throughout the Middle East.(It has been interesting to watch people who lauded George Bush's leadership in the war on terror come to the belated realization that Mr. Bush has given Osama bin Laden exactly what he wanted.)

供給はいうまでもなく、それらの戦前のレベルに回復するために石油輸出がまだ持っている石油パイプラインに対するサボタージュの持続的なキャンペーンを含むイラクで混乱のおかげで、何百万もの余分なバレル、毎日、楽天主義者は想像しました。また、戦争からの降下は市場に出没しました。それは、今、サウジアラビアで油装置に対するテロリスト攻撃を心配し、中東の至る所での過激化について心配し始めています。 (ジョージ・ブッシュの恐怖との戦い中のリーダーシップを賛美した人々がブッシュ氏が彼が望んだオサマ・ビン・ラディンを正確に与えたという遅れた認識に来ることに気をつけることは面白かった。)

Even if things had gone well, however, Iraq couldn't have given us cheap oil for more than a couple of years at most, because the United States and other advanced countries are now competing for oil with the surging economies of Asia.

しかしながら、物事がうまくいいたとしても、アメリカと他のものが国々を進めたので、イラクは大部分で2、3以上年に私たちに安い油を与えていることができませんでした、今アジアの急増する経済と油を競争しています

Oil is a resource in finite supply;no major oil fields have been found since 1976, and experts suspect that there are no more to find.Some analysts argue that world production is already at or near its peak, although most say that technological progress, which allows the further exploitation of known sources like the Canadian tar sands, will allow output to rise for another decade or two.But the date of the physical peak in production isn't the really crucial question.

油は有限の供給での資源です; 主な油田は1976年以来見つかっていません。また、見つけるためにもういないエキスパートは疑います。何人かのアナリストは、出力がもう十年間あるいは二十年の間上昇するのを技術的進歩(それはカナダのタールサンドのような既知の出所の一層の開発を許可する)が可能にするだろうと大部分は言うが、世界生産がピークに、あるいはそのピークに既に近いと主張します。しかし、生産での物理的なピークの日付は実際に重大な質問ではありません。

The question, instead, is when the trend in oil prices will turn decisively upward.That upward turn is inevitable as a growing world economy confronts a resource in limited supply.But when will it happen?Maybe it already has.

質問は代わりに、原油価格における傾向がいつ決定的に上向きになるだろうかです。成長している世界経済が制限のある供給での資源に直面するとともに、その上向きの回転は避けられません。しかし、それはいつ起こるでしょうか。恐らく、それは既に来ています。

I know, of course, that such predictions have been made before, during the energy crisis of the 1970's.But the end of that crisis has been widely misunderstood:prices went down not because the world found new sources of oil, but because it found ways to make do with less.

もちろん、私は知っています、そのような予測は、1970年代のエネルギー危機中に、以前に作られました。しかし、その危機の終了は広く誤解されました: 世界が油の新しい源を見つけたのでではなく、それがより間に合わせない方法を見つけたので、価格は下がりました。

During the 1980's, oil consumption dropped around the world as the delayed effects of the energy crisis led to the use of more fuel-efficient cars, better insulation in homes and so on.Although economic growth led to a gradual recovery, as late as 1993 world oil consumption was only slightly higher than it had been in 1979.In the United States, oil consumption didn't regain its 1979 level until 1997.

1980年代に、エネルギー危機の遅れた影響がホームの中で、より多くの低燃費車、よりよい絶縁などの使用に結びついたとともに、油消費は世界中で落ちました。経済成長は徐々の回復に結びつきましたが、1993年と同じくらい遅く、世界油消費はそれが1979年にあったより単にわずかに高かった。アメリカでは、油消費は1997年までその1979年のレベルを回復しませんでした。

Since then, however, world demand has grown rapidly:the daily world consumption of oil is 12 million barrels higher than it was a decade ago, roughly equal to the combined production of Saudi Arabia and Iran.It turns out that America's love affair with gas guzzlers, shortsighted as it is, is not the main culprit:the big increases in demand have come from booming developing countries.China, in particular, still consumes only 8 percent of the world's oil but it accounted for 37 percent of the growth in world oil consumption over the last four years.

その時以来、しかしながら、世界要求は急速に増大しました: それが10年前に荒くあった以上に、油の毎日の世界消費は1200万バレルです、サウジアラビアとイランの結合した生産と等しいそれがそうであるとともにアメリカの近視の低燃費車を備えた事が主な罪ではないと判明します: 要求の大きな増加は開発途上国をあおり立てることから来ました。中国は、特にまだ世界の油のわずか8パーセントしか消費しません。しかし、それは、過去4年にわたって世界油消費での成長の37パーセントを占めました。

The collision between rapidly growing world demand and a limited world supply is the reason why the oil market is so vulnerable to jitters.Maybe we'll get through this bad patch, and oil will fall back toward $30 a barrel.But if that happens, it will be only a temporary respite.

急速に成長している世界需要と制限のある世界供給の間の衝突は、油市場が不安感に非常に弱い理由です。恐らく、私たちはこの辛い時を終了するでしょう。また、油は1バレル当たり30ドルの方へ倒れるでしょう。しかし、それが起こる場合、それは一時的猶予だけになるでしょう。

In a way it's ironic.Lately we've been hearing a lot about competition from Chinese manufacturing and Indian call centers.But a different kind of competition the scramble for oil and other resources poses a much bigger threat to our prosperity.

ある意味では、それは皮肉です。最近、私たちは、中国の生産およびインドのコール・センターからの競争に関して非常に聞いています。しかし油および他の資源のためのスクランブルが持ち出す、異なる種類の競争、私たちの繁栄に対するはるかに大きな脅威。

So what should we be doing?Here's a hint:We can neither drill nor conquer our way out of the problem.Whatever we do, oil prices are going up.What we have to do is adapt.

そうすると、私たちは何を行っていなければなりませんか。ここに、ヒントがあります: 私たちは訓練することができません。また、その問題からの出口を克服することができない。私たちが何を行っても、原油価格は上がっています。私たちが行わなければならないのは適応することです。

NY原油が一時40ドルに上昇、13年半ぶりの高値

【ニューヨーク=北山文裕】7日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物相場は反発し、指標となるウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)の6月渡し価格は前日比0・56ドル高の1バレル=39・93ドルで取引を終えた。

 原油相場は午前の取引で一時、90年10月以来13年半ぶりに1バレル=40・00ドルまで上昇した。その後は利益確定の売りも出たものの、過去最高値に迫る高値圏で推移した。

 イラク情勢の不透明感や、前週に発生したサウジアラビアの石油精製施設に対する攻撃を受けて、原油供給に対する懸念が強まり、買いが集まった。ガソリン需要のピークを夏場に控え、原油相場が上昇すると思惑も、買い材料となった。(読売新聞)
[5月8日10時50分更新]


(私のコメント)
投機資金が石油相場を押し上げている。供給が限定的なのに比べ需要が中国を始め着実に増え続けているからだ。中国だけでも車の生産が年に400万台を超えてガソリンを消費すれば需給にも影響してくる。しかもイラクはパイプラインが爆破されたり、サウジでは石油精製施設が攻撃されて欧米人の技師たちが引き上げ始めている。

イラク国内のテロがサウジへも広がり始めて、サウジの政治不安へ波及したら第三次石油危機が始まるだろう。皮肉にもサダム・フセインの存在がサウジをアメリカよりの政策をとらせたが、フセインがアメリカによって排除されたことにより、サウジはアメリカに頼る必要が無くなった。テロリスト達も安心してサウジ国内のアメリカ人施設を攻撃できるようになった。

アメリカから見ればサダム・フセインはイランのイスラム原理主義の防波堤であり、サウジアラビアの敵役として、サウジアラビアがアメリカに頼る役に立っていた。その重石を外してしまったのだからイラクのシーア派が政治的主導権を求め始めたし、サウジも反米へのウエイトを高める結果を招いてしまった。

サウジの王室もアメリカの石油資本と手を組んできたが、民族主義的な王室が主導権を持ってきて、アメリカの石油資本と手を切る事もあるかもしれない。湾岸諸国もアラブの暴れん坊のフセインがいなくなったことでアメリカとの距離をおくところも出てくるだろう。つまりアメリカは中東諸国からどこからも歓迎されない存在になってしまったのだ。

アメリカがイラクを侵略したことで逆にアメリカは中東諸国への影響力を失い、OPECの減産を阻止することも出来ず影響力を失った。サウジにとっても石油は出来るだけ高く売りたいし、いままでアメリカに気兼ねして石油価格の安定に貢献してきたが、今後はその役割を放棄するだろう。この点から考えればアメリカがサダム・フセインを排除したのは理解に苦しむ。




アメリカのキリスト教はなぜここまで狂ってしまったのか
アメリカ軍をイラクへ派遣した狂気の集団の米大統領


2004年5月7日 金曜日

イラク人虐待を謝罪=国防長官の辞任は求めず−米大統領

【ワシントン6日時事】ブッシュ米大統領は6日、ホワイトハウスでヨルダンのアブドラ国王と会談した後、共同記者会見に臨み、同国王との会談で、イラク駐留米兵によるイラク人への虐待問題について「わたしはイラク人拘束者と彼らの家族に屈辱を与えたことを申し訳なく思っている」と謝罪の意を示したことを明らかにした。同大統領がこの問題で、「ソーリー(申し訳なく思う)」と明確に謝罪の言葉を発したのは初めて。
 ブッシュ大統領はまた、同問題の責任をめぐりラムズフェルド国防長官の辞任を求める声が議会などから出ていることについて、辞任を求めない考えを示した。 (時事通信)
[5月7日7時1分更新]

国防長官辞任を要求=米大統領選のケリー民主候補

 【ワシントン6日時事】米大統領選挙の民主党候補、ケリー上院議員は6日、遊説先のカリフォルニア州で演説し、イラク人虐待問題を受け、ラムズフェルド国防長官の辞任を要求した。
 ケリー氏は、米メディアが報じるまでイラク人虐待写真のことを知らなかったブッシュ大統領も非難し、「大統領となった場合、わたしの指揮下では何が起きているかを最後に知らされることはない」と強調した。 (時事通信)
[5月7日7時2分更新]

クリスチャンは中途半端な理解のままに政治をやるな ミレニアム

tomi 2004/05/06(木) 12:40

キリスト教に通じていない人は分かりにくいだろうが、今の宗教右派は、2つの相反する思想を同時に信奉している。

(1)ディスペンセーショナリズム
(2)再建主義

(1)
ディスペンセーショナリズムは、終末論においてユダヤ教の原理をひきずっている。

それは、「武力によるイスラエル王国の建設とそのイスラエル王国を中心とした新世界秩序の建設」である。

ユダヤ教(旧約聖書の宗教とは異なる)はメシアをローマ帝国からの解放者と見ていたため、政治的メシアになることを拒否したイエスを殺害した。

ディスペンセーショナリズムは、キリスト教の中から生まれたから、イエスをメシアとして受け入れるが、終末に再臨されるメシアが武力によって世界統一するという考えを持っているという意味でユダヤ教と原理(武力による支配)は一致している。

しかし、歴史的キリスト教は、「支配とは武力によらず、聖霊による」と考える。つまり、「伝道とともに働く聖霊が一人一人の心を変えて、イエス・キリストに従う心が与えられ、それらの人々が世界を『教育と伝道によって』変えていく」と考える。

これは天と地ほどの違いである。

(2)
再建主義は、歴史的キリスト教の立場であり、世界を変える方法は、再臨のメシアによる外発的武力支配ではなく、聖霊による内発的自発的支配である、と主張する。

しかし、このような教理的な違いについて知らない人々が、再建主義のエレメントである「統治主義」を誤解して、「武力による統治を目指す」と誤解し、我々のことをネオコンと同一と勘違いしている。

今回のイラク戦争において、ネオコンとつるんだのは、ディスペンセーショナリストである。

その典型的な人物がTV伝道者で大統領選挙に出たこともあるパット・ロバートソンである。

彼は、ディスペンセーショナリズムを信じつつ、再建主義の一部を取り込んで独自の見解を作り出した。

そして、アメリカクリスチャン同盟という団体を通じてブッシュ大統領に影響を行使し、今回のイラク戦争を後押しした。

私は、彼らがイラク戦争を支持した時に、アメリカクリスチャン同盟に抗議文を出したが無視された。

(3)
ディスペンセーショナリズムを信じながら再建主義の教義を取り込むことによって、パット・ロバートソンは人々に再建主義について間違ったイメージを与えただけではなく、「クリスチャンが政治に口を出すとろくなことはない」という印象を人々に与えた。

福音的キリスト教が人々にこのような印象を与えたのはこれがはじめてではない。彼らは、間違った聖書解釈によって「飲酒の完全禁止」を主張し、それに基づいて禁酒法成立に影響を与え、国内を混乱させ、闇取引を行ったマフィアの勢力を拡大させた。

福音的キリスト教の大きな間違いは、「聖書が何も言っていないことを頑固に貫く」という点にある。聖書が何も言っていないことを頑固に主張することは実質的に別の宗教(つまり、カルト)を作ることなのである。

彼らが政治に関与するとろくなことができないのは当然である。

この薄っぺらな宗教は人々を変えることも社会を変えることもできない。聖書と社会について浅薄な思考しかできない人々が政治に関与することによって、人々に大きな誤解を与え、キリスト教離れを促進している。

再建主義を取り入れるなら、まず全部をよく検討してからにして欲しい。その武力覇権主義を捨てないままに政治に関わると人々に大きな誤解を与え、「結局、キリスト教と政治とは無関係なのだ」という間違った思想をさらに促進させ、聖書の真理を捻じ曲げることになる。


(私のコメント)
イラクにおけるアメリカ軍の暴虐は来るところまで来てしまったようだ。アメリカはベトナムでの失敗を懲りもせずに繰り返している。同じ失敗を何度も繰り返す連中のことを本当のバカと呼ぶ。アメリカ国内ではテレビなどを利用した政府のプロパガンダが国民に浸透しておかしくなってしまったのだ。

アメリカ国民は星条旗を振り回し、「ゴッドブレスアメリカ」を歌い、政府批判をすると非愛国的と攻撃した。戦前のナチスドイツを思わせる光景に私の悪い予感が的中してしまった。別に星条旗を振り回したところでテロリストが退散するわけでもなく、イラクへ攻撃をしたところで格好の反米テロリスト達の標的になりに行くだけだ。

アメリカインディアンのように民族ごと根絶やしにするのならともかく、イラク人を皆殺しにしない限りイラクはアメリカのもにはならない。アメリカ人の言いなりになるイラク人に統治させようとしたが、ここまで拗れればそれも無理だろう。アメリカとしてはより多くの軍事戦力を投入するか、全面撤退の岐路に立たされつつある。

60年代に頃のような圧倒的経済力をもっていたアメリカなら、ベトナム戦争の時のように50万人の大戦力を投入することも可能だったが、今では10万足らずの兵力による長期間の戦闘には耐えられない。キッシンジャーはイラクはベトナムのようなジャングルは無いから泥沼にはならないと言っていたが、すでに泥沼になっている。

このようなブッシュ大統領を支持しているのはキリスト教右派の勢力で7000万人もの信者を持つキリスト教福音派の団体で、彼らの支持がなければブッシュ大統領の当選はなかった。彼らの宗派はキリスト教原理主義的であり、ユダヤ教キリスト派ともいえるほどで、イスラエル王国の建設を目指している。

彼らの教義はまったく狂気の沙汰としか言えないが、武力で世界を統一しようとする野望は、アメリカの軍需産業や石油産業の野望とも一致している。本気で軍事力で世界統一しようと言うのなら、核戦争でも起こしてアメリカ人以外の人々を根絶やしにしなければなりませんが、これはさまに聖書の中のハルマゲドンの世界だ。

アメリカのキリスト教原理主義者の妄想はハルマゲドンの後のメシアの再臨を信じている。これが少数に人たちだけなら笑って済ませられますが、彼らがアメリカ大統領を選ぶまで勢力が拡大したらどうなるか。ブッシュは本気でアメリカ、イスラエル連合軍と世界軍との戦いを望んでいるのだろうか。

ノー天気な小泉首相は日本の軍隊がイラクのユーフラテス川沿いに派遣した意味をおそらく知らないのだろう。しかしネオコンとキリスト教原理主義者にとっては、東の果ての軍隊がハルマゲドンの地に来ることがどれだけの意味を持つのか、非常に重要なのだ。だからこそ私は自衛隊のイラク派遣に反対したが、アメリカの狂った人々はハルマゲドンの世界を実現すべく米大統領を動かしているのだ。

『アメリカ・ネオコン政権最後の強敵バチカン』
ハルマゲドンに憑かれた米国キリスト教対法王 

なぜアメリカは、こんなにおかしいのだろう
ブッシュ大統領を支えるキリスト教右派の正体

「なぜアメリカは戦争をしたがるか」 
「キリスト教国の苦悩」 内藤正敏 牧師 著

ブッシュ、ブレア、コイズミの3バカトリオは
宗教団体と国際金融資本に支えられている


鹿嶋春平太著「聖書がわかればアメリカが読める」 
米国のキリスト教は1200年の迫害を受けた異端派




イラク人質事件と森ビル回転ドア事故に見る
日本特有の反応と日本の超過保護社会


2004年5月6日 木曜日

回転ドア事故に見る日本特有の反応 アクエリアン

 六本木ヒルズの入口回転ドアに、幼児が挟まれ、死亡するという痛ましい事故があった。この事故後のマスコミの扱いに、「ああ。またこうなのか」と、日本社会特有の反応の仕方に疑問を持った。

 ビルのオーナーであり、管理者である森ビルの社長が、幼児の通夜に出てお悔やみしようと、わざわざ大阪まで出向いたが、門前払いを喰わされたという。遺族は、ビルの安全管理が不備であったために、愛児を殺された、とでも思っているのだろう。

 私が事故を知ってまず思ったのは、親の子供に対する管理責任としつけのことである。勝手に駆けだしていく子供に声をかけなかったのか。ふだんから都会は危険がいっぱいであり、それに備えるようにと、しつけをしてこなかったのだろうか。はじめての東京の盛り場へ、不慣れな子供を連れて出るのである。手をしっかりつないでおくなどの注意をどうしてしなかったのか。

 自分の振るまいと結果には、自分が責任を持つという原則をないがしろにし、安全は社会が守ってくれるべきだという、超過保護社会を日本は作ってしまった。何かが起きれば、管理責任が問われる。それをおそれて、過度な完全対策がとられる。安全措置が不十分なら責任を免れようと、過度の立て看板、音声による注意呼びかけが行われる。


 デパートや駅のエスカレータでは、終日「エスカレーターに乗るときは、ああしろ、こうしろ」と、お節介な放送がくり返される。京都駅の新幹線のホームで、注意事項を数えてみたことがある。8項目も注意点があるのだった。それをくり返しがなり立てる。JRや地下鉄のホームでは、電車がはいってくるから白線より下がれと言い聞かされる。乗った電車のなかでは、駆け込み乗車をするな、とご注意がある。この種の放送を外国で聞いたことがない。外国から帰ってくるたびに、この「騒音」に、日本社会の問題性をいたく感じる。

 公園の遊具の安全性が問われると、使用禁止や撤去の方向で問題を解消しようとする。使用禁止となっているジャングルジムを見たことがある。自由にブランコを漕ぎ、ジャングルジムを小猿のように伝い歩き、木登りをし、飛び降りたりした、私たちの少年時代の冒険の喜びには、今の子は無縁である。水戸の「少年の森」を昨日訪れた。木陰の傾斜地に、数々の木製の大きな遊具が備え付けられている。そのわきには、大きな立て看板があって、高いところに登るなとか、飛び降りるなとか、数々の注意事項が厳めしく書かれている。管理者は、その注意書きによって、いざというときの管理責任を免れようとしているかのようである。午前中の比較的早い時間だったせいか、遊んでいる子を一人も見かけなかった。

 アメリカのグランドキャニオンの絶壁の上に、防護柵がないのはよく知られている。断崖のどこまで行って大丈夫か、自分で判断すればいい。そこで落ちるようなことがあったら、それは自分の責任だ。スイスアルプスでもそうだった。断崖絶壁や氷河のへりなどに、これより先は行かせない、などの柵やロープは張られていない。日本では、公園、海岸、スキー場、・・・あらゆるところが、立ち入り禁止の柵や立て札だらけである。

 それでいて、基本的な生活習慣がおろそかである。車が通るせまい道を子供の手を引いて歩いている。車の通る側に子供を歩かせて平気でいる親がいる。子供の手を引くとき、車の通行にさらされる側を自分が歩き、車から子供を守ることなど当然ではないか。女性と二人連れで歩くときも同じだ。車道側を自分が歩き、女性を保護する姿勢を見せるのが、紳士というものだ。エレベータの乗り順にしても、出入口で先をゆずるのもそうである。そういう習慣がついていない親に限って、子に何かが起きれば、他者の責任をがなり立てる。

 学校は今は校門を固く閉ざしている。昔は学校は、ある種のパブリック・スペースだった。誰でもが自由に出入りできたし、生徒や先生たちと交流もできた。放課後や日曜日は、町や村の人々の運動場にもなっていた。一つ二つのきわめて例外的な事故が、すべての学校の門を固く閉ざさせた。門を閉ざすことによって、生徒を守るよりも、「外」に対する対処のできるように教育することの方が大事なのではないだろうか。しょせん子供たちは、危険が満ちている「外」へ向かって出ていくのだから。

 保護し、危険から遠ざけることによって確保できる安全もあるだろう。しかし、それだけに頼ろうとする社会のあり方でいいのか。世の中は危険がいっぱいである。その危険から、自分の判断で身を守っていく。その生活習慣をつけていくことの方がもっと大事ではないか。過保護に甘やかされた子を育て、それが親になり、何かが起きれば、自分ではなく、他に責任を問う。そんな甘ったれた大人で構成されているのがいまの日本社会のようだ。マスコミの最前線にも、そんな大人がいて、会社や国の管理責任を問う大合唱が始まる。何が起きても、このパターンである。

 公であれ、私企業であれ、施設にしても、食にしても、環境にしても、100パーセントの安全など確保してくれるはずがない。不安全な世の中に自分らは住んでいるのだ。それを前提に、まず自分の安全は、自分で判断して守る。過度の安全策を求めない。その代わり得られる、個が独立した社会の自由闊達さを享受する。その方が私は好ましく思える。

<回転ドア>六本木ヒルズなど大型14台撤去へ 森ビル

東京都港区の六本木ヒルズ森タワーで3月、男児が自動回転ドアに挟まれ死亡した事故を受け、ビル管理会社の森ビルは、六本木ヒルズの9台を含め自社管理ビルの大型自動回転ドア14台すべてを撤去する方針を固めた。小型手動回転ドア計82台についても、十分な安全対策が取れない場合、撤去する方向で検討している。(毎日新聞)
[4月24日13時14分更新]


(私のコメント)
今年の3月に森ビルの回転ドア事故が起きましたが、それに対して森ビルは大型自動回転ドア14台を全部撤去することに決めました。はたしてそれが最善の策なのだろうか。人の出入りの少ないビルなら自動ドアを二重にすれば済みますが、出入りの激しいビルの場合、回転ドアにしないとドアが開きっぱなしになります。そうなると空調が効かなくなります。

事故の一番の責任者は森ビルの管理運用に問題があったからですが、はたして大型自動回転ドアを撤去することが唯一の解決策だったのだろうか。メーカーも森ビル側も責任のなすりあいで、このような結果になったのでしょうが、事故はすでに何度も起きており、その時点で十分な対策が打たれていなかったから起きたのだ。

根本的には三和シャッターが製品の欠陥を十分に改善していなかったからですが、森ビル側も様々な対策を一つしか実行していなかった。だから製品自体は安全性の改良措置を施せば使えると思いますが、森ビル側は撤去することに決めたようだ。ワイドショーなどのマスコミが激しく叩いたからだ。

しかしワイドショーが唯一叩かなかったところがある。それは被害者になった子供の親の管理責任だ。都会には横断歩道や鉄道の踏切やビルのエスカレーターなど危険物がいっぱいだ。そんなところでは親が手をつないだりして事故を防ぐのが常識だ。横断歩道を飛び出して引かれたら車の一方的責任で車を廃止しろと言うことは考えられない。

しかしテレビのワイドショーは一方的に森ビルやメーカーを攻め立てて、親の管理責任を問うことはほとんどなかった。この点はイラクの人質事件でも感じたのですが、テレビのワイドショーには常識に欠けた面がありバランス感覚に欠けた報道が多いように感じます。それに対してネット世論が声なき声を代表してマスコミを攻撃している。

ここにあげたアクエリアン氏もそうだし、備忘録氏もアンケートをとって親の責任を第二位にあげて指摘している。


意外にも、「親」が僅差の2位。

親の責任を問う声はマスコミに(ほとんど)出てこない。ここにもまた、サイレントマジョリティが存在するわけだ。興味深いのは、掲示板にも正面から親の責任を問う声がないこと。この強力な自己規制を見よ。

回答一覧
  親 67
森ビル 78
回転ドアを作った会社 32
その他 23
合計 200


テレビのワイドショーなどは常識に欠けた人物をコメンテーターに招いて、過激な発言をさせて面白がっている面があり、プロレス中継のアナウンサーをニュースキャスターにしたり、この前までコメンテータをしていた人が事件を起こして捕まったりするケースが相次いでいる。だからワイドショーは正しくは世論を反映してはいない。

むしろ声なき声やサイレントマジョリティーの意見が知りたければネットを見たほうが分かると思う。イラク人質事件にしてもワイドショーや報道番組は意図的に人質家族を画面に映し出して「自衛隊のイラク撤退」や「総理への面会要求」を煽った。しかしこれに対してサイレントマジョリティーはこの事件は少しおかしいのではないかと言う声が巻き起こった。

法律的には危険なイラクへ行こうと、家族がテレビで「総理に合わせろ」と言うのは自由だ。しかし常識的には慎むべき状況ではなかったかと思う。だから家族達もテレビや左翼団体に利用されていることに気付いて発言を控えるようになった。

本来ならばマスコミが世論の代弁者にならなければなりませんが、実際にはそうなっていない。特定の勢力がマスコミを支配することで世論を誘導するような方向に行っているような気がしてならない。それを防ぐためには新聞やテレビが間違った報道姿勢をとったら、「声なき声」は声を出してマスコミに抗議すべきだろう。




田中宇の国際ニュース解説 ライブ版(2)
日本の新聞は解説をしないからつまらない。


2004年5月5日 水曜日

【質問】

日本の新聞の信憑性?

【田中宇】

日本の新聞は信憑性はあるんだけれども、解説をしないからつまらない。どういう意味か分からない。アメリカの新聞は解説はするんだけれど、解説が嘘だったりするから。事実は一つなんですよ。事実の解説がどういう風に書くかによって意味づけがぜんぜん変わってくる。解説で間違いを書いても何の罪にもならないし、誤報でもなんでもない。そう見えたって言えばいいんだから。だからむしろ意味づけに対する懐疑心を大せいにしたほうがいい。事実かどうかというのは、たぶん事実なんです。

事実以外書けないんだから。ただ事実の前後についてくる意味づけに、フィルターとして我々は見てしまっているわけ。それを含めて事実と思っているから、そうではないって言うことで、だから逆に僕の配信だとか、レンツドットコムとかの陰謀サイトでも見てバランスをとる。どっちが真実か自分が決める。もしくは自分で自分の見方、あんまりやると陰謀扱いされるから。陰謀扱いされて全然かまわないと思うんです。

仮説をどんどん出すのは一番・・・当事者は本当の事を言わないわけだから。それはウォルフォウィッツ話し聞いたりすればいいじゃないかと言われるんだけれども、ウォルフォウィッツに話聞いたってほんとの事を言うわけがない。嘘を付くのが俺たちの仕事だって言う、ネオコンは何度も言ってるんだから。

【質問】

読むことと書くことはどちらに時間をかけているか?

【田中宇】

読むことかな。だんだん読むことが早くなってきて、結局、人生の時間が限られているから、物事の進展速度がたぶん10年前よりものすごくはやっくなっているから、その代わりインプットする速度も早くなっている。と言うのは紙じゃなくていいから、例えば世界の100ぐらいの新聞を読んでいるのと同じぐらいのことがインターネット一台で出来るわけですよね。だからインプットと言うのは限りがない。だけど毎週火曜日にアウトプットをしなきゃいけない。があって、それが一日ぐらい掛かるから、丸一日半ぐらい掛かる。

一日目に書いて、翌朝みてだめだと半分ぐらい書き直すといった感じだから、どっちに時間がかかるかわからない。インプットと言うのは無限に増やそうと思えば増やせる。インプットと言うのが多いければ多いほどいろんな見方ができるし、それから対談なんかする時にでも、それは違います、なぜなら、と言っていろいろ言える訳です、駒を持っているから。それは違う意味だったりするんです。でもそれはいいんです、対談の時は。そう言うニュースを持っているって言うのは重要ですよね、詭弁、説明する時に証拠を得るでしょ。証拠作りというか。

【質問】

日本政治の分析解説はやらないのでしょうか?

【田中宇】

他の人がやっているから。・・・日本の政治はあまり面白くない。ダイナミズムがあまりない、必要がないというか、政治がダイナミックになる、例えば脅威と言うものがないですよね。テポドン飛んで来る、テポドン飛んで来るんだったらもっと北朝鮮のこと詳しくならなければならないし、朝鮮と日本との関係について、もっと突っ込んだ議論とか分析とかしなきゃいけないんだけど、単に嫌いだ見たいな、重村さんなんか朝鮮通と言われる、あの人なんか北朝鮮はこれからこうなる、そうなるって言ってなきゃ専門家でない、ピリオド。で終わりなんだ。詳しく説明してくれよ、お前が言っていることの本当の理論と言うものを、全然詳しく説明しないから、そういうのだめね。

彼は知っているんだと思うんだけど、なんでああいう風になるんだか知らないのかな。わかんないだけどね。カンサンジュンがだいっきらい。カンサンジュンと重村なんか顔あわせるたびにすごい喧嘩してる。ああ、これが日本の文化人かと言ったんだけど、だからそんなもんでしかない。政治家もそんな感じで、別にかまわないから日本は、海洋的に、周りがみんな海だから、あまり脅威と言うものをあまりない。軍事的になんていうのかな、あんまりそのアイデンティティがどうこうということを日本人が突き詰めて考えなくても済んできている。

現実そうだから、例えばエストニア人なんか考えたら周りがなんとか人ロシア人ドイツ人がいて、俺たちはこれこれなんだと言うことを絶対思わざるを得ない。スイス人とか、ヨーロッパを見習えとか言うのは、じゃあ、俺たちの島をヨーロッパにくっ付けてくれという、そお言う感じがするんだよ。だから日本はそういう島国にあって、しかも東洋でしょ。東アジアの他の国もあんまり隠然としたことしかやってないわけであって、そうすると日本とか東アジアの政治って言うのは、人々の分析力とか外交力とかヨーロッパみたいに、なんていうのかな、細やかな調整と言うのはやんなくていいんじゃないか、今のままでいいんじゃないという感じは日本の政治に対してしてるんですけど。これからはどうかわからない。

それから日本が積極的に世界に打って出る覇権国になる必要があるかどうか、ない、かもしれない。日本人のほとんどは覇権国になりたいと思ってない。軍に対する思い込みがない。軍に対する思い込みのある人でも、ほんとに日本がもう一回アジアの覇権に軍事的政治的にとりたいと思っている人はゼロだろう。たぶん。政治家中でも。いるとしたらそういう政治家どういう覇権とりたいのか聞きたいくらい。さっきちょっと言った海洋覇権、日本で可能性があるとしたら海洋覇権しかないけど、今東アジアの海洋覇権は100%アメリカが抑えているから、アメリカともう一回戦争しますかって言う話。

【質問】

日本で二大政党制は成立するか?

【田中宇】

アメリカは二大政党制というのは終わりでしょう。たぶん。ちょっと言ったように民主党て言うのは、やっぱり、共和党のプロパガンダ機関ていうのが出来ちゃっているから、二大政党制ていうのがなかなか機能しない。二大政党制が悪い点は何かって言うと、白か黒かて言うことになるでしょ。そうじゃない政治は。やっぱり、ここのことはこうだけど、ここはあっちでとか、そういう話であって、だからヨーロッパとか日本とか他の韓国とか、多党制で連立を組む。連立は弱い。弱いけれど白か黒かじゃなくて、たえず民意が問われるようになっているほうがいいんじゃないかって、だからアメリカの二大政党制って最初からペテンじゃなかったのかってすら思う。だからスペローとか誰だとか三人目の候補が出てくると必ず談合して二大政党が潰すわけでしょ。

第三番目の人が持っていたアジェンダ、こういうことを争点にしたい、その段階で潰されて二度と出てこない。全然よくない。だから二大政党制というのは日本でやるべきでないし、そういう意味で民主党って言うのは、民主党の支持者がいたら御免なさいだけれども、あんまりそのオルタナティブを出して無いから、アメリカに似た二大政党制になるかもしれない。良くない。僕は最近、民主党って言うのは好きじゃなかった。ネオコンみたいな人がいっぱいいる、民主党の中には、若手の外交通みたいな人と時々会って対談とかがあるんだけれども、それはやっぱりビンラディン悪いでしょう、見たいな感じでビンラディン、アルカイダってないよと言うと、こいつは陰謀家ていう、それで終わり。ピリオドだから。


(私のコメント)
講演会などの発言のテキスト起こしは、なかなか手間がかかって時間も掛かります。IBMのパソコンソフトで「ビアボイス」と言うのがありますが、買ってみて使ってみたのですが、ほとんど使いものになりません。テープレコーダーに録音したものを聞きながら、自分の声で入力していくのですが、認識率が悪くてとんでもない文章が出来上がる。

ICレコーダーと連携させて使えば使えるかもしれませんが、まだ試していないので実用になるのでしょうか。テレビ番組なども対談などをテキスト化できれば、ネットに載せるのは楽になるだろう。当面はテープレコーダーを聞きながらキーボードで打ち込んでいくのですが、田中宇氏の話が非常に早口なので、テープレコーダーの操作が大変だ。

しかし話し言葉をそのまま文章化してみると、意味は良くわかるのですが、だらだらと接続詞を使って長い文章になって、メリハリのない無駄な言葉が多いことが分かります。しかし無駄な言葉を話しながら次に話すことを考えているから、考えながらマイペースでワープロで書く文章とは少し違った感じの文章になるのだろう。

田中氏は日本の新聞は解説記事が少ないことを指摘している。新聞に限らずテレビもほとんどニュース解説がない。大きなニュースがあった時などは記者が出てきて解説しますが、表面的な解説ばかりだ。だからこそ田中宇氏の「国際ニュース解説」や私の「株式日記と経済展望」などの時事解説のホームページが大流行なのだろう。

新聞やテレビのニュースなどを見ても、田中宇氏や私のホームページを読んでニュースを見るのと、そうでないのとでは受け取る印象も違って見えるだろう。どうしても最近のテレビや新聞などは右や左のカラーフィルターの色が付いたニュースばかり流しているような印象を受ける。特に最近のイラク人質事件などは、ネット情報の深読みした見方が先行して、自作自演説が広まった。

テレビがあまりにも人質家族を使った煽動的な報道姿勢に批判が高まったからだ。テレビや新聞などには出ない情報がネットで出回り、マスコミ対世論と言った対立すらあった。以前ならマスコミの思いのままに情報を独占して流すことで世論を操作できましたが、最近は世論にマスコミが叩かれている。

911の陰謀論にしてもマスコミはまったく扱いませんが、ネットでは常識のように広まってしまっている。911が自作自演ではないかという説は私も当初から書き続けているのですが、それが世界的に広まって、知らないのはマスコミと政治家だけという情報の逆転現象が起きている。

結論から言えばテレビなどのマスコミはお笑いバラエティーを見るためのもので、ネットさえあればニュースは新聞やテレビが無くてもわかる時代が来たということだろう。これからのニュース解説者は新聞業界やテレビ業界からは出てこなくて、ネット界から出てくるだろう。だから田原総一郎氏や筑紫哲也氏などのジャーナリストは過去の遺物になり、ネットから新しい芽が出てきている。田中宇氏などもその先駆者になるのだろう。




田中宇氏の講演会の内容を一部紹介します。
「阿修羅」や「木村愛二」のサイトの愛読者だそうです。


2004年5月4日 火曜日

【田中宇】

うちがこんなに人気あると思っていなかったから。
僕がどういう風にやっているかというと、パソコンの前に一日中いるか、都内某所の喫茶店で、これで書けない書けないていって居眠りしちゃうから、となりの女子高生から見られて、そんなことばかりやっているから。
ちょっと待ってください。質問が一杯来てるから、一個一個、最後まで出来ないな。
最後まで出来ないんだけど、最初から読んでそれで答えてゆきますから。

【質問】

21世紀のアジアは中国とインドの時代になるという人がいますが本当でしょうか。
日本とアメリカと安保の関係をやめて自立できるか。
なぜアメリカはイスラムを敵にするのか。

【田中宇】

 ひとつ、中国とインドの時代になる?本当?中国とインドがどこまで成長するか?つまり世界のどこかで消費地がないとダメで、アメリカはもうクレジットクランチに近いんで、アメリカのクレジットカードを使っている人のうち、4,09%のが支払い遅延を起こしている、今日何処か出ていた。アメリカはクレジットカードで皆払って払いきれない。消費もアップアップなわけで、だからその点インドと中国はまだ貧しいでしょ。まだ紀元前みたいな生活している人も、最近はインドはいないのかな、とにかく人数は多いから、少なくとも成長市場になってくれないと困ると言う資本家が多いんですね。

上手く行くかわからないんだけれども、中国とインドを安定させて、それで経済発展させたいと、少なくとも短期的には、そういう人がアメリカの政権内には多いようだし、そういう意味ではインドと中国の時代になる可能性大きい。ただ、インドと中国は消費地としての役割をわかっているような感じもするから、彼らが傲慢になるかというと、まあそれは、僕は甘いというかもしれないけれど、あまり可能性はないんじゃないかと、特にインドに関しては、基本的に多様、中国に比べるとさらに多様で、しかも植民地を経ているから、なかなかその、覇権国としてのコアとなるような、文明的な存在というのが、インドはそれほど強くない、様な感じがするんです。

日本とアメリカと安保の関係をやめて自立できるか。さっき言ったようにゆっくりとアジアのほうに傾いてゆくだろうから、急に自立はしないし、角さんの例もあるから、しないほうがいい。それからもう一つは、80年代くらいにやってたはず、自立するとすれば。その時に円の国際化ということをやったらどうかとアメリカの金融筋から、おそらく言われてただろうから、その時に円の国際化をやっていたらその時に日本は経済覇権を強くもっていたかもしれないけれど、当時の大蔵省はやりたくなかった。やるガッツかなかったか、やるリスクが大きいと思ったのか見送っているから、それは日本中心とはあまり考えないんじゃないかと、もし今後日本中心とするならば海洋アジアという風なまとめ方をする可能性がある。地政学的に言って。海洋アジアって言うのはフィリピンとか台湾とか、シンガポール等もくっつくみたいな。

なぜアメリカはイスラム諸国を敵にするのか?宗教が背景か?宗教は背景じゃない、実は。これは軍事戦略や政治戦略であって、アメリカ人はイスラム教徒を好きでも嫌いでもない。イスラム教徒はアメリカを好き。だから、人民同士敵じゃない。ただ単に政治的にあの辺の国をやっつければ、イスラム教徒が反米になって都合がいい、新しい敵になってくれるだろうと、ソ連みたいな敵を欲してるわけですよ。アメリカのタカ派は。だけどもタカ派自体は今弱いから、次の状態になってます。

フリーメーソンと911のつながり。うーんわかんないな。フリーメーソン自体僕はよく知らない。例えばビルダーバーグとか、メーソンというのは僕はよく知らない。あまりよけいなこと言わんと。911はさっき言ったようなあれでは、テロを起こすことによってアメリカの有事体制を作るというような作戦だった可能性がある。フリーメーソンまで行くかどうかはわからない。だけどビルダーバーグとかその、昔は陰謀系の組織と思われていた世界支配の組織というのは、ビルダーバーグも、専門家の間ではそういうのもあって、ビルダーバーグは欧米の貴族とか政治家が集まって毎年一回五日間、去年はフランスで、世界のこれからの事を決定して、決定した後にG7が開かれて、各国の今の政治家達が来て、言ったとおりに決める、そういう組織があるとされている、欧米間の、日本でメンバーになっているのは緒方貞子さんだけだというんだけど、緒方さんは質問のためにだけ呼ばれたじゃないかというものあって、そう組織もあって、今まで陰謀団体と呼ばれていたのがあって、それでそいつらが、みんな暴露され始めている。それはどういう意味かって言うと、そいつらが作っていた陰謀的な世界支配が崩れているから、暴露されているんじゃないかとか、そういう風に思っているんですけど。

【質問】

台湾の独立問題になぜアメリカは干渉するか?

【田中宇】

それは、アメリカが中国と仲良くしなければならなくて、中国はアメリカに対して、台湾の問題だけはもし、台湾独立を容認したら、俺たちは怒るぜというのがあって、これだけは中国が絶対譲れない線としてあって、アメリカがそれを尊重しているから。どうしてアメリカが中国に甘いかって言うと、さっきから何回も言うように、経済的に中国が重要だから。アメリカの資本が中国にいっぱい入って行って、これから中国は発展していって、儲けさしてもらわないとアメリカの資本家が困るから、だから台湾なんかちっちゃい国だからほっとけ、かまわんとけ、そういうような展開じゃないかと思います。

【質問】

SARSについてどう思うか?SARS細菌兵器説

【田中宇】

僕はそうじゃないかと思います。細菌兵器じゃ、中国人の8割はSARSはアメリカの細菌兵器だと思っている。地元の人がそう思っているときはけっこう正しかったりする。アラブ人はアルカイダというのはアメリカが作ったものだし、サダムはもともとCIAのエージェントだった。これらは大体証明されつつあるから、サダムがつかまったとたんにCIAエージェント説が、ニューヨークタイムズあたりに公然と載るようになっているから、SARS細菌兵器説もあるかもね。アメリカはけっこう細菌兵器かなんかを使って人体実験をやったり、西ナイル熱なんかアメリカのある場所で時々流行ったりしてるんだけれども、これはやっぱりアメリカ政府の、細菌兵器を今でも作っている場所があって、アメリカは細菌兵器禁止条約に似たものをサインかなんかしてるから、本当はいけないんだけれども、フォートレトリックか、アースラックス日本語で炭素菌は、フォートレトリックで作らればら撒かれたんじゃないかと。当局がね。犯人はわかっているでしょう。ある科学者が犯人は私の同僚だと発表して、僕それで記事かいた事があるんだけれども、それでその説がますます強くなっているんですけれど、なかなかね、炭素菌まで記事の時間が回らない時間が。もうすぐ書いたりするときがあるかと思います。

【質問】

普段はレンスコム・ワットリレードハプンドットコム・グローバルフリープレスなどのサイトを毎日見ているのでしょうか?

【田中宇】

毎日見てます。これは誰が書いたの?すごいね。見てんだろうな。これらのレンスコム、ワットリレドハプンドットコムというのは陰謀を突き詰めたい人は絶対読んだ方がいい。英語だけどね。僕のサイトからでもリンクしてある、と思うから、どんなサイトを読んでいるかというところに、書いてなかったなかな。日本語だと「阿修羅」がけっこう、これらのサイトのものを翻訳して載せてます。あとなんだっけ、「木村愛二」さんとか、「2ちゃんねる」なんかの当該レスなんかにも時々翻訳が載ることがあります。TUPという翻訳をやっている集団がいるみたいで、そういう人たちなんかもレンスとかワットリレンドハプンドとか、ワットリレドハプンドと言うのは単に記事のリンク集なんです。それらのやつなんかをけっこう、そっちのほうが正しかったりするから、ニューヨークタイムスよりも。

田中宇の国際ニュース解説 ライブ 1月11日より


(私のコメント)
今年の1月に行われた田中宇氏の講演会の模様を一部紹介します。本当は全文を紹介したいのですが分量が多くて、一部しか紹介できませんが、一番興味深い部分だけテキスト起こしをしてみました。会場は池袋西武のコミニティカレッジで行われたのですが、300名ほどの会場は一杯で、メールマガジンの愛読者が多くて若い人が多かった。

内容としてはサイトに書いてあることの最新の事を話していましたが、メモだけで2時間半ほどの講演が出来るだけでも、普段からかなりネットで情報を集めていることがわかります。しかし読んだだけではすぐに忘れてしまうので、インプットだけではなくアウトプットもしなければ知識として身に付かないのだろう。

それから休憩時間などでは、若い女性が田中氏の周りに集まって、著書などにサインを求めていた。会場の様子はデジタルカメラを持って行ったのですが、パソコンに取り込むのに失敗して全部パーになってしまった。さいわいテープレコーダーを持っていったので全部録音しましたが、なかなか聞きなおす機会がありません。

田中氏は講演の話の中で「阿修羅」や「木村愛二」氏のサイトを紹介していましたが、当然、「株式日記」のサイトも読んでいると思います。アメリカ経済の解説に関しては「株式日記」の影響が出ているのではないかと思うのですが、国際ニュ−スに関しては田中氏のサイトが一番詳しくてわかりやすい。

ただ一番違うのは田中宇氏がすでに本を何冊も出版してテレビなどにも出演してプロとして活躍しているのに対して、私は単なるホームページのオーナーに過ぎません。だから比較しても意味はないのですが、講演会などで3000円の会費で300名集めれば90万円の収入になるのだからうらやましい。

最後にテレビに出ても2万円にしかならないと言っていましたが、テレビ局がいかに安いギャラでタレントを使っているかがわかって面白かった。テレビに出演して名前が売れれば講演会一回行えば数十万円になるのだから、それなりのメリットはあるのでしょうが、これからはネットで固定ファンを増やしていけばテレビに出て顔を売らずともいい時代が来たということを田中宇氏の講演会で感じた。




日本重視わずか2% 韓国与党、靖国反対は40%
盧武鉉大統領は北朝鮮を正当とする歴史観の持ち主


2004年5月3日 月曜日

日本重視わずか2% 韓国与党、靖国反対は40%

 【ソウル28日共同】韓国総選挙で圧勝した与党ウリ党の当選者を対象とした調査で、最も重視すべき外交通商相手国として63%が中国を選び、日本を挙げたのはわずか2%に過ぎず、小泉純一郎首相の靖国神社参拝に強く抗議すべきだと考える当選者が40%に上ったことが28日分かった。
 靖国参拝や過去の歴史に対する日本政治家の問題発言などへの反発が依然、根強い一方、総選挙で世代交代が大幅に進み韓国政界で日本への関心が急速に薄れていることが浮き彫りとなった。
 調査はウリ党が同日、韓国北東部に鄭東泳議長ら党首脳や当選者を集めて開いたワークショップで実施、計152人の当選者のうち130人が回答した。
 韓国メディアが伝えた調査結果によると、小泉首相の靖国参拝への韓国政府の対処方針として「外交的摩擦は避け、遺憾表明を通じて立場を示すべきだ」との答えが43%だった。「外交的問題が生じても日本に強く抗議し、断固たる措置を取るべきだ」とする回答も40%に達した。(共同通信)
[4月28日17時57分更新]

盧武鉱大続領誕生の背景 「北朝鮮に取り込まれる韓国」より

韓国は、どこへ行こうとしているのか。筆者は韓国研究を始めて三十年近いが、そのことをいま、たいへん危倶している。日本と韓国は友好関係にあり、それぞれが米国と安全保障条約、韓米相互防衛条約を結び、日米韓三国は事実上の軍事同盟に近い関係にある。韓国は歴史的には中国文化圏に属する大陸国家だったが、第二次大戦後に三十八度線ができたために海洋国家になり、自由貿易体制の中で経済的にも政治的にもほぼ先進国になった。

しかし、アメリカを中心とする三国軍事同盟の一員、あるいは海洋国家としての国のあり方を否定する人々や政治勢力が韓国の半分近くを占めるようになり、とくに朝鮮戦争を知らない世代の人たちの間ではそれが顕著である。韓国は現在の繁栄を自ら否定する自滅的な道を今後進むのか。最悪の場合、在韓米軍撤退、金正日政権との国家連合(連邦)結成、金正日政権主導の半島統一というシナリオさえ現実となる可能性すらある。

元北朝鮮工作員・金用珪氏は一九九九年、韓国で出版した著書『音なき戦争』の中で、一九七〇年代の中頃、金日成が対南工作員らに次のような演説をしたと書いている。「チリでのアジェンデの経験は、選挙を通じても政権を奪取することができるという可能性を見せてくれた。アジェンデが失敗した原因は選挙を通じて政権を握った後、あまりに急進的な改革を急ぎ逆クーデターがされてしまったことにある。……今、南朝鮮では金××拉致事件(西岡注・伏せ字は原文まま。金大中拉致事件のことと思われる)によって民心は傾いている。

このような民心をうまく誘導し信望の厚い核心たちを立侯補させれば国会にもいくらでも入っていくことができる。これからの対国会工作はフラクション(西岡注・労働組合などの団体の中に、党の宣伝・勢力拡大のために置く分派)工作にとどまらず、議席を確保する工作に転換しなければならない」盧武鉉政権の誕生は、ある意味で金日成が三十年近く前に演説した「選挙を通じた政権奪取」の実現といえるかもしれない。

筆者も含めて多くの専門家は、二〇〇二年十一月初旬の時点では、その結果を誰も予想していなかった。当時の世論調査での彼の支持率は全侯補者中三位で、与党・民主党内で侯補者に選ばれた当初のブームも去っていた。「過激な左翼である」というイメージが強く、「戦後の大韓民国の発展と繁栄を正面から否定する盧武銭が当選するはずはない」と考えていたからだ。

韓国の左翼内部でさえ、そう思われていた。左派月刊誌『マル』の十二月一日発行号(二〇〇二年十二月号)でも、「盧武鉉の大統領選挙勝利は奇跡という言葉以外、表現できない」と予想していた。ところが、その後投票までに起きた二つの出来事で、状況が一変した。一つは、一時期かなりの支持を集めていた現代重工業会長で韓国サッカー協会会長の鄭夢準氏の動向である。

当時、世論調査では、野党ハンナラ党の李会昌侯補が一位を独走していた。このままでは勝てないと考えた二位の鄭夢準候補と三位の盧武鉉侯補が前代未聞の世論調査による候補単一化を行い、わずかの差で盧侯補が統一侯補となり、侯補統一などできないと思っていた多くの国民にショックを与えて支持率を急伸させた。投票前日夜に鄭夢準氏が盧武鉉支持を撤回したが、それが盧陣営の危機感を生み、プラスに作用した。

もう一つ、盧武鉉の追い風になったのが、二〇〇二年六月に女子中学生二人が死亡した、米軍特殊車両(装甲車)による交通事故裁判である。米軍軍事法廷が十一月二十日、過失致死罪に問われた二人の米兵に無罪を言い渡したことで、反米気運が一気に盛り上がり、盧武鉉の当選につながった。盧武鉉は当選前、「なぜ訪米しなければならないのか」などとアメリカと距離を置く姿勢を強調していた。そのような人物が反米勢力に支持されて当選したわけである。北朝鮮の軍事的脅威に直面する国家の安全保障でアメリカからサポートを受け続け、成長と繁栄を果たした国の大統領が、である。

左翼的な発言が売り物の男

これは、韓国という社会の性格が変わってしまったと言わざるを得ない事態である。金大中前大統領は当選までに四回、大統領選挙に立侯補しているが、相手陣営から、「金大中は左翼だ」と攻撃され、「自分は左翼ではない、保守主義者だ」と、それを打ち消すPRを必死で展開するのが彼の選挙戦のパターンだった。しかし、盧武鉉は公然と左翼的な発一言をし、アメリカと距離を置くことが売り物になって当選してしまった。

確かに、二〇〇二年四月に盧武鉉が与党の大統領侯補に選ばれた当初は、新鮮なイメージがあった。貧困家庭に生まれて苦学しながら高校を卒業し、大学も行かずに弁護士となり、人権派として活躍していた。政治的な派閥を持たず、政治資金を無理して集める必要がないという事情もあって、スキャンダルとも無縁だった。

金大中大統領時代を含めて不正腐敗が続いていただけに、そのクリーンさが受け、この頃の世論調査では六〇%の支持を集めるほどのブームが起きたのだが、マスコミや反対勢力が検証したところ、彼の発言の過激さが判明したのである。たとえば野党国会議員として一九八九年に現代重工業のストライキ現場に行き、労働者の前で、「今回のストライキは法律上違法だ。……(しかし)メシを食えなくする法は法ではない。だから、法は正当なとき守り、正当でないときは守つてはならない……。労働者が一日休めば世の中は止まる(中略)」

「大学教授、国会議員、社長の全部が船遊びに行って水にドブンと落ちて死んだとしたら、残った労働者はどうにかして世の中を治めていくだろう。けれども、ある日労働者が伝染病にかかり寝込んでしまったら、我々の社会はその日で終わりだ。それにもかかわらず、法律、経済、社会関係などすべてのものを作るとき、皆さんが作るのか。そうではない。これからは皆さんの代表せんがこういうものを作らなければならない。それがまさに……労働者が主人になる世の中だ」と煽どう動していた。

また、一九八八年七月九日、国会本会議の対政府質問で「財閥を解体すべきだ」と主張した。「国務総理、いま我が国経済は根本的改革なしには経済民主化が不可能な状態にあると考えませんか。財閥を解体する意向はありませんか。昨日の経済分野質間でも表れたとおり、我が国経済の各分野で財閥が問題を起こしています。そのような点でも財閥は解体されなければなりません。

財閥総帥とその一族が独占している株式を政府が買収して、労働者に分配しましょう。この話は大企業を解体するということを意味するものではありません。買収と分配をみんな二十年据え置き、二十年分割償還程度なら労働者も十分可能でしょう。家のない庶民、中小商工人、農民のために負債棒引きとともに土地もすべて同じ方法で分配しましょう」共産主義者と疑われてもおかしくないアジテーションである。

「北朝鮮を主敵と断定することは適切でない」

また、「統一後の大韓民国の体制は、自由民主主義を維持するのか」と質問されると、「現段階では、それに答えることを控えたい」と言い続けていた。二〇〇二年四月四日のMBC(文化放送)テレビの討論で盧武鉉は、「統一以後の体制問題を明確に申し上げます。一九七二年七・四南北共同声明、九一年南北基本合意書、ここでは双方の間の理念と制度の差異を超越することにし、相互に認め合うことで合意しました。この合意は守られなければなりません。

その(統一)以後の体制について自由民主主義を明らかにすることは、吸収統一の意図があるかのごとく誤解があるので、南北関係進展に相当なる妨害になります」「模糊としておくのがよいです。自由民主主義で統一するといえば吸収統一するという意図を表に出すことですが、私が大統領になったとき、北朝鮮との関係で(完全に)南北関係を解決する。七・四共同声明、南北基本合意書でもこの部分を模糊として処理してあります」と答えた。

韓国の現憲法四条は、「大韓民国は統一を志向し、自由民主的基本秩序に立脚した平和的統一政策を樹立しこれを推進する」と規定しているから、憲法を支持できないと表明するのに等しい発言だ。「北朝鮮を主敵と断定することは適切でない」という発言も盧武鉉の過激さをよく表している。二〇〇二年四月十日テレビ討論会で「韓国の主敵は北朝鮮であるということについてどう考えるのか」という質問に対して、盧武鉉は「(主敵と断定することは)見解によっては適切でない」と答えた。

「主敵概念を廃止せよということか」という問いがつづくと、盧武鉉は、「そのように断定的に言うのではない。(主敵概念は)もともとなかったのが、九四年だったか、突然持ち出され、いろいろと複雑な問題を引き起こしている。そのような話をこのような席で必ず話せという理由は何か。適切でない」と言い返した。

二〇〇二年五月に予定されていた韓国の国防白書の最新版の発行が無期延期になるという事態があったが、その背景にあったのが「主敵」を巡る議論である。国防白書には、一九九五-九六年度版以来、「北朝鮮を主敵と想定する」と書かれていたが、二〇〇〇年の南北首脳会談以降、北朝鮮が「和解しているのに主敵と書くのはけしからん」と強く非難した。

このため、金大中政権は「主敵」という記述をなくしたかったのだが、なくすと逆に保守派から非難される。金大中政権は最終的には白書そのものを発行しないという戦術をとったのだが、金大中政権でさえ、「北朝鮮は主敵」という安保観を表立って変更することができなかったのに、盧武鉉は「主敵概念は適切でない」と断言したのである。夫人をめぐる言動からも、盧武の左傾性が見てとることができる。夫人の父親(故人)、つまり盧武鉉の義父に当たる人物は、南朝鮮労働党(南労党)の幹部だった。

朝鮮戦争時の一九五〇年六月から九月にかけて半島のほぽ全土を北朝鮮が支配していた間に、地下に潜っていた南労党の幹部たちが表に出て、盧武鉉の義父も慶尚南道昌原郡一現在は市)の統治責任者一郡党副委員長)となった。同郡では当時、人民裁判で「反動分子」などとされた九人の住民が虐殺される事件があり、義父は、その後国連軍が北上して大韓民国支配が復活したあと、事件に加担したとして国家保安法違反や殺人罪で無期懲役刑を受け、獄中で病死している。

もちろん韓国は自由民主主義国家で、北朝鮮のような「家族連座制」はない。結婚前に死亡していた夫人の父親のことが問題にされるべきではないという考え方もあるだろう。ただ、盧武鉉は二〇〇二年四月のある演説で、「妻の父が左翼囚だと知りながらも、判事になれなくても人間らしく生きようと、婚姻届を出した」(西岡注・最近まで韓国では左翼囚の家族に対する判事や将校などへの任用制限があった。

しかし、盧武鉉氏は結婚後判事に任用された)と夫人を横にして語り、「大統領になるために離婚しろということなのか」と夫人を弁護し、「国家保安法を廃止しましょう。濡れ衣を着せられて弾圧され、うなされ続けながら生きてきた人たちが胸を張って暮らせる世の中をつくりましょう」と述べた。これでは、義父が濡れ衣を着せられて無期懲役となったかのように聞こえる。しかも、大統領侯補に選ばれた直後に義父の墓参りに行ったが、義父によって殺された被害者の家族に対しては墓参りどころか、慰めの言葉ひとつかけることをしなかった。以前なら、それだけでも大統領候補失格であった。

北朝鮮のほうが正統という歴史観

もう一つ、盧武鉉の思想背景を考えるうえで見逃せない発言がある。ニ○〇一年十一月一八日、安東市民学校特別講義で盧武鉉は韓国の建国過程に関して次のような歴史観を披露した。

「その当時、ソ連を後ろ盾として共産主義国家を立てようとする勢力と、米国を後ろ盾として資本主義国家を立てようとする勢力が極限的に対立するなかで、『共産主義や資本主義が重要ではなく、民族の統一と自主独立が重要だ」と主張した中道統合勢力はことごとく殺されました。金九、呂運亨、金杢植……統合勢力はことごとく敗北してしまい、分裂勢力がそれぞれ力を得ました。

その後、米国を後ろ盾にした南韓の政府は、反共を自己の存立の根拠にすえました。アカを大体捕まえてからは、独裁政権に抗議する人々を弾圧する手段として反共理念を使いました。その際、もっとも技術があった人間たちが、日帝時代に独立運動家を捕まえていた親日派たちでした。直接剣を持って捕まえに動いた巡査出身らだけでなく、日帝官僚として植民地に服務した人間たちがこの国の主導権を握り、歴史を歪曲していったのが韓国の現代史でした」

彼は大韓民国の建国について、「建国直後に親日派をきちんと処断しなかったことが問題だった」と発言した。これは民族の純粋性という観点からすると、大韓民国よりも北朝鮮のほうが正統であるという第二章で見た「反韓史観」そのものである。実は現在、こうした歴史認識が蔓延していることが、韓国の社会全体が左傾化する最大の要因となっているのである。蔓延の背景に、金日成・金正日父子が進めてきた対南工作があることは言うまでもない。

李承晩大統領は大韓民国の建国にあたり、日本統治に協力した「親日派」処断のための特別委員会を立ち上げたが、処断は大々的にはなされなかった。国外にいた一部の独立運動家や国内で獄中にいた政治犯を別にすれば、大方の人たちは強制されたか望んでいたかを別にして「親日派」だったからである。

たとえて言えば、日本が冷戦時代に突然ソ連の支配下に入り、それまで英語を勉強した人間は親米派、帝国主義者だとして処断しようとするようなものである。義務教育で教えているのだから、英語を学んだことのない人はいない。当時の韓国人はみな、そういう程度には親日だったのである。

李承晩政権はさらに、「官僚」という課題にも直面していた。警察や軍人、行政機関、経済を動かせる実務者や専門家は日本が育てた人間しかおらず、彼らを全員追放したら国が運営できない。能力のある実務家を使おうとしたら、大多数は日本時代の教育を受けた人になったのである。朴大統領自身も、日本の士官学校を卒業した職業軍人だった。

その人たちが終戦(解放)後、再び日本の植民地支配の復活を目指して陰謀を企てたことなどない。大韓民国の建国後は、その専門技術を用いて、当然のこととして祖国韓国に尽くした。その意味では、日本に忠誠を尽くす「親日派」ではなく、韓国に忠誠を尽くした愛国者たちなのである。

しかし北朝鮮側は、「大韓民国の血には不純なものが混じっている」「大韓民国は誕生の時から不純だ」と韓国に揺さぶりをかけ続けた。自分たち北朝鮮は、親日派を完全にパージ(追放一して民族的に「純粋」な国をつくったというわけだ。


朝鮮戦争休戦後に米軍が南に駐留し続けたことを捉えて、「大韓民国は安全保障も外国によって守られているが、北はすぐに中国軍を戻している。急速な経済成長はしていないけれども、民族の力、自主自衡で着実に国づくりをしてきた」とも宣伝してきた。

このように歴史的事実にもとづかず、一方的に北朝鮮を支持し、大韓民国の歴史を否定する「反韓史観」を公然と表明していた人物がまさに盧武鉉氏であり、韓国民はその盧氏を選挙によって大統領に選出したのだ。金正日の高笑いが聞こえる。(P64−P74)


(私のコメント)
最近のニュースはイラク人質事件で占拠されてしまい、韓国で起きた選挙の異変はあまり報道されなかった。「株式日記」は韓国の選挙結果がどのような影響をもたらすかについて警鐘を鳴らし続けているのですが、韓国の親北朝鮮政策は盧武鉉大統領によって一段と推進されるだろう。北朝鮮の金正日は対南政策では攻勢に立っている。

2002年のワールドカップでは韓国国民の異常さを垣間見ることが出来ましたが、その時抱いた悪い予感は盧武鉉大統領の登場によって決定的になった。金大中大統領もかなり親北朝鮮政策をとっていましたが、盧武鉉大統領の登場は反米親北を一層鮮明にして、民族の統一の名の下に北朝鮮と韓国が統一することを本気で目指しているようだ。

在韓米軍が韓国から全面撤退することも近いうちにあるかもしれない。盧武鉉大統領はチリのアジェンデ政権のように一気に反米政策はとらず、徐々に政権を親北朝鮮派で固めて行くのだろう。韓国内の親米派は今回の総選挙で大きく衰退してしまった。

ニュースによると韓国にとってもっとも重視すべき外交通商相手は中国の63%であり、アメリカは26%に減ってしまった。日本にいたっては2%とほとんど国交断絶に近い状態になっている。まさにワールドカップの時の悪い予感は当たってしまったのだ。韓国国民は観念的であり現実を直視することが出来ず、理想の為に暴走して自滅することが多い。

韓国という存在そのものがアメリカと日本の協力なしには成り立たないことは、韓国の成立時から変わりはない。本来ならば朝鮮戦争のときに韓国は消滅していておかしくはなかった。その後の韓国の高度成長はアメリカと日本の協力があってこそ実現できたのですが、現在の政権はそれを打ち消そうとしている。

アメリカは韓国を放置しておけば、いずれ中国・北朝鮮勢力に取り込まれることは認識しているだろう。韓国国民から見ればアメリカは朝鮮民族統一を妨害している存在になっている。その統一の唯一の障害になっているのは在韓米軍の存在であり、北朝鮮の金正日の対南政策の焦点は在韓米軍の撤退だろう。

韓国は日本の隣国であるにもかかわらず日本国民の関心は高いとは言えない。韓国の国民の日本に対する関心度とは大きな隔たりがある。特に政治経済に関しては目が放せない関係であるにもかかわらず、韓国に関する報道は日本人拉致被害者に関連した報道でとり上げられることが多い。韓国の政治経済を論評したサイトを探しても「株式日記」が出てくる。最近の韓国関係の論評を下にまとめてみました。

親日行為」究明法成立 韓国、保守層強く反発
盧武鉉大統領は反米、反日そして親朝、親中である


韓国大統領の弾劾案、国会が可決
西岡力著「北朝鮮に取り込まれる韓国


韓国総選挙>ウリ党過半数への不安
大統領弾劾騒動と朝日新聞の記事の捏造


韓国与党ウリ党、「親日反民族法」改正に着手
今年1月に成立したばかりの反日法を強化する


サムスン電子の日本法人、PDP特許を巡り富士通を提訴
知的所有権侵害に見る韓国の国家としての後進性


なぜ日本人女性と韓国人男性の組み合わせなのか
三作続けて日本女性と韓国男性の恋愛ドラマの不思議





借金帝国アメリカ ドル依存で衰退する日本経済
アメリカ経済は、極めて大規模な自転車操業そのもの


2004年5月2日 日曜日

借金帝国アメリカ ドル依存で衰退する日本経済 山根 克也

小泉首相はアメリカのイラク戦争を支持・支援する理由を、「アメリカは日本の唯一の同盟国。日米同盟によって今の日本の繁栄はある」と繰り返し語っている。だが現実の日米経済関係をみるとき、「日米同盟によって日本が繁栄している」などというのは全く事実に反している。むしろ低迷を続ける日本経済の最大の問題は、過度の米ドル依存によってアメリカ経済に完全に従属してしまっていることにこそある。

■米・EU・日の三極構造

 アメリカというと世界の超大国というイメージがある。確かに軍事力という点では、間違いなくアメリカは世界のスーパーパワーだ。アメリカの年間軍事予算は約4000億ドル。この額は、世界全体の軍事費の40%を占め、世界の2位から14位までの各国の軍事費をすべて足し合わせたものよりも大きい。アメリカはこの圧倒的な軍事費にものをいわせて世界中が束になっても太刀打ちできない最新最強の軍事力を構築している。こうした圧倒的な軍事力を背景に、驕り高ぶるネオコンは「アメリカ帝国」などと豪語しているわけだ。

 ところが経済力という点ではアメリカは、決して世界の超大国ではない。かつてアメリカは、本当に世界でダントツの経済大国だった時代があった。1929年の世界恐慌直後、世界の工業生産の40・5%はアメリカに存在した。それに対してドイツは11・6%、イギリスは9・3%、フランスは7%、ソ連は4・6%、日本は2・4%にすぎなかった。だがそれから70年後の現在、アメリカの工業生産はEUよりやや少なく、日本をかろうじて少し上回る程度にすぎない。

 「アメリカ帝国」などと言っても、現在の世界経済の実体は、「アメリカの一極支配」ではない。明らかにアメリカとEUと日本の三極構造であり、それに中国をはじめ急速な経済成長を続けるアジア諸国が迫っているという構造になっている。現在の世界経済を特徴づけているのは、このアメリカ帝国が何を隠そう世界最大の貿易赤字大国・借金大国であるという事実だ。

 2月13日、米商務省が発表した2003年の貿易収支赤字は、モノとサービスの取引を合計した国際収支ベースで4893億7800万ドル(約52兆円)と前年比17・1%増加し、過去最悪となった。内訳は、対中国赤字が同20・3%増の1239億6100万ドルと過去最大を更新し、4年連続1位。2位は対欧州連合(EU)赤字で14・8%増の942億6200万ドル。3位は対日赤字で5・7%減の659億6500万ドルだった。

 アメリカの抱える赤字は貿易赤字だけではない。アメリカの財政赤字も本年度は史上最悪の5210億ドルに達する見込みだ。大赤字の原因は、財政的裏打ちがないにもかかわらずブッシュ政権が高所得者を対象とした大規模減税(向こう10年間で総額1兆3500億ドル)を行うとともに、先述したように年間4000億ドルもの軍事費の支出を計上しているからだ。

 こうした財政赤字と貿易赤字の急激な拡大に伴ってアメリカの対外負債残高(=借金)も増大。すでに2001年には、2兆3091億ドル(対GDP比マイナス22・99%)もの巨額に達し、その後も増大し続けている。つまりアメリカは世界最大の借金国=借金帝国なのだ。「普通の国家」なら債務超過でいつ債務不履行(デフォルト)に陥ってもおかしくない。会社や個人なら、とっくに破産している。

 ところがアメリカは、これだけ膨大な借金を抱えながら破産も倒産もしていない。むしろアメリカ経済は、大量生産―大量消費―大量廃棄というアメリカン・ウェイ・オブ・ライフを謳歌し続け、膨大な軍事力支出を続け軍事大国としての地位を維持し続けている。どうしてこんなことが可能なのだろうか。

■基軸通貨ドルの魔術

 借金大国アメリカが破産しないのは、毎年、アメリカの貿易赤字を上回る資金が世界中から流入してくるからだ。いくら借金が増えても、お金を貸してくれる人がいれば破産しない、という理屈だ。世界各国は、アメリカに輸出して儲けた資金で、せっせとアメリカの株式や債権(アメリカ国債など)を購入してきた。こうしたアメリカへの資金流入は、1990年の880億ドルから2001年の8650億ドルへと、10年間でなんと10倍にも増大した。アメリカは8650億ドルもの借金で4000数百億ドルの貿易赤字を穴埋めし、あまった分は国外に投資して儲けている。

 ふつう人は「儲かる話」でなければ、他人に金を貸したりしない。それは国際経済でも同じだ。アメリカに世界中から資金が集まってくるのは、アメリカの金利や株価が他国よりもずっと高く設定されているからだ。投資家たちは利回りの高さをみこんでアメリカの株式や債権を購入する。つまり喜んでアメリカにカネを貸す。

 日本やEU諸国は今、戦後復興―高度経済成長期が終焉し、構造的な需要不足(デフレ日本が典型)に陥っている。経済成長は完全に頭打ちで、株価も金利も低迷を続けている。それゆえアメリカに輸出してもうけた貿易黒字のいい投資先がない。それで資金がアメリカに環流してくることになるわけだ。例えば現在10年ものの日本国債の金利は1・2%程度だが、米国債は4%前後(レーガン時代の1981年には14%近くにまで上昇した)。金利だけで考えれば日本国債より米国債の方がはるかに有利な投資先だ。

 かくして世界経済には、次のような資金循環が成立することになった。世界各国は自国製品をアメリカに輸出して貿易黒字を儲け、その儲けた黒字分をアメリカの株式や債権に投資する。外国からの資金の環流によってアメリカの経済活動が活発化し、アメリカの消費が増大。ちなみにアメリカの世帯の貯蓄率はほぼゼロ%、時にはマイナスを記録する。つまりアメリカの消費者はお金があればみんな使ってしまう。場合によっては借金をしてまで消費する。アメリカの過剰消費によって世界各国からの製品輸入はふくれあがり、アメリカの貿易赤字と各国の貿易黒字はさらに増大する。世界各国はもうけた黒字分を再びアメリカに投資する……。

 2年連続で過去最悪の貿易赤字を更新しても、テーラー米財務次官は、アメリカの株高や日欧との圧倒的な景気格差を理由に「赤字を穴埋めする米国への資本流入が滞ることはない」と豪語した。だが、ちょっと考えてみれば分かることだが、借金を雪だるま式に増やしつつ経済成長を持続し続けるなんてことができるはずない。資金の借り入れと返済を繰り返しながら、かろうじて倒産を免れ操業を継続することを「自転車操業」――自転車は走るのをやめると倒れるから――という。まさにアメリカのやっていることは、極めて大規模な自転車操業そのものだ。

 自転車操業を続ける企業の場合、「この会社はもう危ない。これ以上お金を貸しても踏み倒されそうだ」となると、誰もお金をかしてくれなくなり倒産する。アメリカの場合も、資本流入が資本流出に転じれば、ドル暴落や金利急騰を引き起こし、アメリカ経済は破産する。ところがアメリカの場合、最後の手段がある。ドル安政策を行うことだ。世界各国は、アメリカの株式や債権に投資している。つまりアメリカの借金は「ドル建て」になっている。ドルの為替レートが下落すればドル建ての借金も減る。

 ドルと円の為替相場でみた場合、かつては1ドル=360円だったのが今では1ドル=105円にまでドルは下落している(一時は1ドル=80円になったこともある)。いくらアメリカに輸出してドルを稼ぎ、そのドルをアメリカの株式や債権に投資して儲けても、ドルの価値が目減りしてしまえばその儲けはパーになってしまう(為替差損)。

 1985年9月、先進5カ国のドル高是正合意(プラザ合意)をうけ、1ドル=240円前後だった為替レートは急速に下落、1987年のG7ルーブル合意を経て下げ止まったときには1ドル=150円になっていた。この間、ドルは対円レートで約4割もの大幅な切り下げとなり、日本の対外純資産の為替差損は約3・5兆円に達した。貸し手である日本のドル債購入者からみれば、ドルの下落はアメリカという債務者に元利払い軽減を許したに等しい。まさに天から降ってきた「徳政令」だ。

 そもそも日本が貸し手でアメリカが借り手なのに、その債権が「ドル建て」というのがおかしいのだ。大規模な資本の流入が、流入国(アメリカ)の通貨建てで行われるなどという事態そのものが、国際経済の常識に反している。今年は日露戦争100周年だそうだが、当時日本政府は戦費調達のためロンドン市場で日本公債を売りに出した。当然、ポンド建てだ。いつ下落するかわからない弱小国日本の通貨・円建ての公債など買う投資家は一人もいなかったからだ。

 現代の国際経済においても、例えばメキシコはアメリカで公債を売りに出す場合、自国通貨ペソ建てではなくドル建てを原則にしている。メキシコの対外収支が悪化し、ペソが切り下がると、ドル建て債務の元利払いはその分、当然、増加する。アメリカも、70年代末のドル不安に際してマルク建て「カーター・ポンド」を発行したことがある。日本に米国債購入をお願いしたいのなら、東京市場で円建ての米国債を発行するのが当然なのだ。

 アメリカは、為替市場をドル安に誘導することによって、他国が保有するドル資産の価値=アメリカの借金を自動的に減らすことができる。こんなのは、「基軸通貨ドルの魔術」(『マネー敗戦』)というか、インチキ以外のなにものでもない。

■米経済との心中は御免だ

 こんなアメリカのペテンに引っかからないためには、ドル建てではなく、自国通貨で対外経済関係を結ぶことだ。ヨーロッパ諸国がEU結成―ユーロ発行に合意したのは、こうしたアメリカの為替操作によって自国経済が混乱させられ、大損しないためだ。ユーロ建てで貿易取引を行い、ユーロ建て債権を発行することでEU諸国は、アメリカ経済=ドル支配からの自由と域内経済の安定を実現しつつある。

 昨年3月、国連安保理においてフランス・ドイツ・ベルギーは、アメリカの性急なイラク攻撃の主張に対して反対を貫いた。アメリカのネオコンは、「古いヨーロッパ」「ヨーロッパは事実上のアメリカの属国・保護領にすぎない」などと揶揄しているが、EUは政治外交路線においても経済政策においても、着実にアメリカからの自立の道を歩み始めている。ところがわが日本は、EUとは全く逆に、政治外交路線においても経済政策においても対米依存・対米追随をますます深めてしまっている。

 クリントン政権の末期からアメリカの株価下落が始まり、ブッシュ政権になってアメリカの財政収支が大赤字に転落したため、世界の投資家たちはアメリカへの資本投下を手控えるようになってきている。暴落が予想されるドルを買う人が減り、ドル暴落のリスクをシェア(分割)するため、ユーロ建ての国際取引が増加し、ドル安・ユーロ高が進行している。中東産油国などにはユーロ建てで石油取引を行う動きがある。ちなみに北朝鮮も外貨決算をドル建てからユーロ建てに切り替えている。

 プラザ合意後のドル安で大損したというのに、日本政府は懲りずに米国債を買い続けている。「ニューズ・ウィーク」2004年2月11日号によると、日本政府の昨年の為替介入額は20兆円に達した。この額は日本の貿易黒字のほぼ2倍にあたる。今年は1月だけで、すでに6兆円を超える為替介入が行われている。昨年11月時点での日本の外貨準備高は6330億ドル=約67兆円 (1年前に比べ40・1%増)。来年度の日本政府の一般歳出約48兆円と比べるとそのあまりの巨額さがよく分かる。日本政府の為替介入は、米国債を買う形で行われており、昨年の介入額20兆円(外貨準備高総額だと67兆円)は、そのままブッシュ政権の予算となった。つまり日本政府が気前よく貸した金でブッシュ政権はイラク戦争の戦費を賄い、金持ち優遇の大減税=「ブッシュノミクス」を行っているわけだ。

 「円高」は、私たち日本国民にとってそれほど嫌がるべきことだろうか。確かに急激な円高ドル安は、トヨタなどアメリカ市場で利益を上げている大手輸出企業やドル債権・ドル株式保有者にとっては打撃だろう。だが円高になれば外国製品は格安で買えるようになるし、海外旅行も安く行けるようになる。輸入している石油や原材料の値段も下がる。円高は日本経済にとって必ずしも悪いことばかりではない。

 為替介入は政府の「外国為替資金特別会計」(外為会計)の資金を用いて行われる。財源は「政府短期証券(FB)」、要するに一種の国債(=国の借金)だ。日本は国が借金してアメリカのドル下落を必死に防いでいる。アメリカの貿易赤字・財政赤字が解消されないかぎりドル安圧力はなくならない。アメリカが借金大国であり続けるかぎり、ドル安は必然なのだ。

 戦後日本の経済成長を支えてきたのは、対米輸出による貿易黒字の蓄積だった。だが借金大国へと転落したアメリカ経済そのものには、もう日本製品を輸入する資金は残されていない。アメリカの貿易赤字・財政赤字が拡大する80年代以降の局面においては、日本は自らの貿易黒字が生みだした余剰のジャパン・マネーをアメリカに投資し、アメリカはそのカネで好況を維持して日本の製品を買う。これがさらに日本の貿易黒字を膨らませる。

 極端な言い方をすれば、日本は自分のカネで自分の製品を買い、それを貿易黒字と呼んできたようなものだ。だが貿易黒字で蓄積されたはずのドル資産は、ドル下落であっという間に価値が大幅に目減りしてしまった。ドルが下落すれば、日本の外貨準備高は何もしなくても評価損を生み出す。すでにこの間のドル安で7・8兆円もの評価損が生み出されている。

 結局日本は、アメリカの過剰消費(資源の大量浪費と環境破壊に帰結する)と財政赤字(膨大な軍事支出と金持ち減税)を支え続けてきただけだと言っても過言ではない。これが小泉首相のいうところの、「日米同盟による日本の繁栄」の偽らざる真の姿なのだ。先に引用した『ニューズ・ウィーク』のコラムには、「financial double suicide――日米が突き進む『金融心中』への道」というショッキングなタイトルがつけられている。借金漬けのアメリカ経済との心中なんてまっぴら御免だ。(後略)


(私のコメント)
昨日の日記の続きになりますが、現在アメリカがイラクで行っていることは、中東の石油を独り占めすると同時に、世界にアメリカの軍事力を見せ付けることで、世界に一国覇権主義を認めさせることだ。それはアメリカの産軍複合体と石油産業とイスラエル系のネオコンとが利害が合致して行っていることだ。

しかしその利害集団にもイラク情勢の混迷で軋みが生じ始めている。一番最初に脱落するグループは石油産業だろう。むしろ石油産業から見れば中東の安定こそ重要であり、イラクが民主化されたら周りのアラブ諸国は不安定化して、アメリカの石油利権だってどうなるかわからない。サウジアラビアの情勢も不安になって来ている。

産軍複合体にとってもイラク戦争は船や飛行機やミサイルの出番はなくなり、むしろイラク戦争の長期化で軍事予算もカットせざるを得なくなり、これ以上のイラク戦争の継続はメリットがない。最後までイスラエル系のネオコンは最後までがんばるだろうが、戦死者の増加は無視できない水準になり、キリスト教右派もネオコンとのコアリションは失敗だったと気付く時が来るだろう。

アメリカのマスコミもようやく反戦に傾くところが出始めたようだ。今までなら公開されなかったような写真が公開されるようになり、イラク戦争の違法性もいつまでも無視できないものになりつつある。5月中に大量破壊兵器が発見できなければアメリカ軍は撤退せざるを得なくなる。

アメリカがイラクで敗退するということは、中東の石油を独り占めできなくなると同時に、ドル基軸体制にも信頼が揺らいでアメリカ経済に破壊的な打撃を与えるだろう。アメリカのドル基軸体制は強大な軍事力が後ろ盾になっていますが、そのアメリカの軍事力もイラク一国を占領統治できないとなればアメリカ軍の権威はがた落ちだ。

ちょうど拡大EUが昨日発足しましたが、アメリカを上回る拡大EUと貿易したければ外貨をユーロで持たなければなりません。日本だってドル一辺倒の外貨保有をその分をユーロで持つ必要があります。 だから済し崩し的にドル基軸体制は崩れて行きユーロとの共存態勢になってゆく。

そうなると借金大国アメリカは資金還流の流れを断たれて、アメリカ経済はアルゼンチン化してゆく日本の巨額なドル債権も打撃を被って日本経済も道連れになる可能性が高い。まさに政府日銀の35兆円もの為替介入は狂気の沙汰としか思えない。日本としては、アメリカはもはや落ち目のヤクザの親分だからハイハイと言うことを聞いているフリをして、ぬらりくらりとしていればいいのだ。

アメリカが落ち目のヤクザの親分なら、新興ヤクザのEUにも義理立てしておく必要もあるだろう。日本としてはこの二つの勢力争いを見ながら、面従腹背で武闘派ヤクザのアメリカと経済ヤクザのEUとの間を泳いでゆく「しのぎ」が必要だ。映画の「仁義なき戦い」の金子親分の立場に日本はいる。




<為替介入>4月は8カ月ぶりゼロ 政府・日銀方針転換で
<東京市場>株今年2番目の下げ幅、円110円台


2004年5月1日 土曜日

<為替介入>4月は8カ月ぶりゼロ 政府・日銀方針転換で

 財務省は30日、4月(3月30日〜4月27日)の外国為替市場への円売り・ドル買い介入を行わなかったと発表した。介入額がゼロだったのは03年8月(7月30日〜8月27日)以来、8カ月ぶり。昨年から過去最大規模の介入を続けてきた政府・日銀が、米国などからの介入へのけん制や日本の景気回復基調を受け、今年3月中旬から介入縮小の方針に転換したことを反映した結果となった。

 政府・日銀は「為替は経済のファンダメンタルズを安定的に反映すべきで、それを超えた場合に介入する」(谷垣禎一財務相)との方針を掲げたうえで、景気回復を側面支援することにも配慮して、これまで巨額の円売り介入を行ってきた。03年度の介入総額はこれまで最大だった99年度の8兆6291億円の約4倍にのぼった。巨額の円売り・ドル買い介入の結果もあって、円高は1ドル=105円のラインで押しとどまった。

 だが、3月上旬に1ドル=112円まで急落させた「押し下げ介入」が米の強い反発を招いた。4月にワシントンでの先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)を控えていたこともあって、それ以降は、政府・日銀は介入を手控えてきた。【後藤逸郎】(毎日新聞)
[4月30日20時22分更新]

<東京市場>株今年2番目の下げ幅、円110円台

 30日の東京市場は、米国の早期利上げ観測の再浮上や中国景気の減速懸念から株価、円相場とも大きく値を下げた。

 日経平均株価の終値は前営業日の28日終値比242円50銭安の1万1761円79銭と3営業日続落し、19日以来8営業日ぶりに1万1800円を割り込んだ。下げ幅は、イラク情勢の悪化を懸念して下落した15日(同297円78銭安)に次いで今年2番目。

 円相場は、前日のニューヨーク市場の流れを引き継いで、円が売られ、一時、前営業日午後5時比1円50銭円安・ドル高の1ドル=110円57銭と、3月16日以来約1カ月半ぶりに110円台をつけた。【斉藤信宏、町田明久】

 ◇外国人投資家の売り先行

 30日の東京株式市場では、外国人投資家を中心に売りが先行し、日経平均株価は今年2番目の下げ幅となった。国内景気や企業業績の回復傾向は続いており、相場は連休明けにも反発するとの期待感が依然根強いものの、「米中の金融引き締めで、外国人投資家の日本株買いが峠を越し、調整局面に入った」(外資系証券)との慎重論も広がり始めている。

 東京証券取引所が30日発表した先週(4月第3週、19〜23日)の投資主体別売買動向(東京、大阪、名古屋3市場合計)によると、前週は10週ぶりに売り越した外国人は2355億円を買い越した。しかし、外国証券(11社)観測動向によると、外国人は先週後半以降30日まで6営業日連続で売り越しており、同日は外国証券の大量の売りが先行、株価全体を押し下げた。

 「外国人は日本株を割安とみて昨年から買い続けてきたが、株価上昇と円高の結果、ドルベースで見た割安感は急速に薄れている」(外資系証券)との見方も出てきた。

 クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券の市川真一ストラテジストは「世界的な過剰流動性で株式に流れていた資金の流れが米中の金融引き締めによって変化する可能性があり、30日の株価下落は、日本の株式市場が転換点に近いことを示している」と指摘。「日本の景気や株式市場は秋ごろまでは大幅な下落はないと考えるが、外需主導であることを考慮すれば先行き減速する可能性が高い。日経平均株価は4月26日の年初来高値(1万2163円89銭)が今年のピークになる可能性がある」と予測している。【若島正浩】

 ◇投資資金に米回帰の動き

 30日の東京市場で、株安と円安が進んだのは、米国と中国で金融引き締め観測が強まったためだ。これまで株価上昇を支えてきた世界的な過剰流動性(資金余剰)にブレーキがかかり、ドル高につられて、日本への投資資金が米国に回帰する動きが出てきたことが背景にある。世界経済の不安材料がデフレ基調からインフレ懸念の方向に転じつつある兆しと見ることも可能で、今後は米中の金融政策が世界経済回復の腰を折らない軟着陸に成功するかが焦点になりそうだ。【木村旬】

 株安・円安の契機となったのは、29日に発表された米1〜3月期のGDP(国内総生産)デフレーター。物価動向を示すデフレーターが大きく上昇したため、市場では「デフレが解消し、インフレ懸念が出てきた」との見方が広がり、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げの観測が強まった。

 これまでは米国の金融緩和政策に伴って、米国からあふれ出た資金が日本などに流れ、日本株上昇を支える一因となってきた。しかし、米国が利上げに転じると、過剰流動性が縮小し、市場ではドルの金利高を見込んだ米国への資金回帰が生じる。すでに「米ファンド勢の投資資金の手じまいの動きがみられる」(市場関係者)といい、これが日本の株安・円安につながった。

 また、高成長を続ける中国の温家宝首相が28日、ロイター通信に対し、「インフレ圧力の高まりを防ぐため、効果的で強力な対策を取ることが必要」と述べ、景気過熱を警戒する中国の金融引き締め観測を呼んだ。「日本の景気回復を引っ張ってきた中国特需が金融引き締めで減退しかねない」との懸念も日本株売りを誘い、株安がさらに円安を加速した。

 今後も「米国発の過剰流動性相場は終わりに近づいていて、米利上げ観測に下支えされたドル高の傾向はしばらく続く」(クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券の田中泰輔チーフエコノミスト)との見方が強い。

 8月にも予想される米の利上げだが、FRBが米国の雇用情勢などを見極め、景気回復に見合った適切な利上げ時期を判断できるかが注目点だ。中国が未知数の金融政策を適切にコントロールできるかも、世界経済の先行きを左右しそうだ。(毎日新聞)
[4月30日20時50分更新]

株も為替もホンモノ思考 増田俊男

株も為替も「情報」で動く。世界中を回っている投機資金がそれぞれの国のGDP(国内総生産)の何十倍になってきた現状では、一国の経済政策がその国の経済を動かすことは出来なくなった。国際投機資金が国内に流入すれば好況、流出すれば不況になる。だから一国の経済は国際投機資金に掛かっている。

さて、では投機資金は何によって動くかというと、それはシンボル化された情報によってである。アメリカは世界最大の財政赤字国で対外債務も世界NO.1だから、アメリカは情報を発信し続け、常に投機資金を惹きつけておく必要がある。実は無国籍の投機資金は「アメリカは潜在的破綻国家」であることを百も承知。

最近のFRBグリーンスパン議長が、アメリカの好況が確実になったとか、近い将来利上げをすると匂わせたりする真意をちゃんと知っている。放っておけばアメリカ経済は何時破綻してもおかしくないことを知っていながら、グリーンスパンの下手な芝居にわざと乗ってドル買いを入れる。アメリカのすばらしい経済ファンダメンタルを信じる世界の投資家の動きに乗った振りをして、猫も杓子もドル買いになったところでハイご苦労さんと売り逃げるつもりなのである。

グリーンスパンのようなカリスマ性のある御仁がまじめな顔をし発するシンボリックな情報のウラを読む以外に相場で勝つことは難しい。無理な演出もシンボル発言ももろい。アメリカは、グリーンスパンの神通力が通用しなくなる前に次なるシンボリストを打ち出してくるだろう。

私はグリーンスパンは来年引退と見る。グリーンスパン後のアメリカの政治経済は何処へ向かうのか?そして日本は?高知、鹿児島、新潟の「目からウロコの会」にご参加ください。2005年をはっきりさせます。


(私のコメント)
昨日は連休の中日でしたが、株式市場は大荒れの一時350円安までありました。アメリカではグリーンスパンFRB議長が引き締め観測など流すなど、世界的な過剰流動性相場に異変が生じている。日本政府・日銀は一年間に35兆円ものドルの買い支えを行い、世界中に資金をばら撒いた。それに対してグリーンスパンが引き締め観測を流すことで、日本のドルの買い支えを止めさせた。

いったい政府日銀はなぜ狂ったかのようにドルの買い支えを行ったのだろうか。現実に4月はドルの買い支えを1ドルも行っていないにもかかわらず、ドル高円安気味に動いている。つまり政府日銀が行った35兆円もの介入はせずともよかったのではないかということも出来る。35兆円といえば日本の国家の税収40兆円と同じぐらいの金額だ。

そんな巨額な金額を財務省や日銀の独断で介入することが許されるのだろうか。もし間違っていたと判断したとして35兆円もの米国債を売却できるのだろうか。アメリカ政府は売らさせてはくれないだろう。つまりたった一年で35兆円もの金をアメリカに巻き上げられたのだ。

私はこの事を去年の夏ごろからずっと書き続けてきた。「株式日記」のみならずBBSにも投稿して警告してきましたが、ほとんど無反応であり、業界筋も日米協調のほうの観点から、政府日銀の政策に異論を挟む人はほとんどいなかった。ところがビックコミックというマンガ雑誌で「ゴルゴ13」というマンガで、為替介入を題材にされるや否や、国会で話題になり政府日銀は為替介入をぴたりと止めてしまった。

為替介入を止めたとたんにドル安円高が進んだとすれば、政府日銀がやったことは正しいと証明されただろう。しかし介入をやめてもドル安円高は進んではいない。つまり35兆円もの為替介入は為替相場の為に投入されたのではなくアメリカ政府の資金繰りの為に使われたのだ。しかし日本の政府日銀がなぜそこまでしなければならないのか。

政府日銀はもちろんその事に対する説明責任を果たしてはいない。日本のエコノミストや経済学者もなぜ政府日銀が巨額のドル買い介入を行ったのか、納得のいく説明をする人がいない。漠然と景気対策とかデフレ対策としか言わない。はっきり言えば35兆円はアメリカ政府への資金供与なのだ。だからブッシュは小泉に感謝し、そんなありがたい政権をブッシュが潰すはずがない。だから丸3年も小泉政権は持っているのだ。

そんな金があるのなら日本国内の景気対策に使うべきだと指摘しても小泉首相が聞くはずもなく、自分の権力維持の為に巨額のツケは国民に回されてくる。日本国内では年金問題が未納7兄弟で大騒ぎですが、年金のように自分に直接関係がないと国民は興味を持たない。それがゴルゴ13を見ることで政府日銀はとんでもない事をやっていると気がついたのだ。

たとえ無駄遣いであっても高速道路や橋などで後に残ればそれなりに役には立つ。しかし米国債を買ったら最後、日本政府は勝手には売却できない。それほど重要な財政政策がマンガで指摘されるまで論点になることはなかった。マスコミも報道しなかった。「株式日記」が一人で大騒ぎしたのに、今頃になってニュースになるようになった。



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