株式日記と経済展望


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世界の株式・今年最も下落したのはドイツ
「日本病」がドイツに感染したのか

2002年12月31日
【ロンドン福本容子】世界の主要国で今年最も株が下落したのは?答は日本ではなく、意外にもドイツ。指標のDAX指数は年間約45%の下落で、ニューヨーク市場・ダウ工業株30種平均の17%、日経平均株価の18.6%、ロンドン市場・FT100指数の27%を大幅に超える下げ率を記録した。

日本と同じく、雇用制度が硬直的な点や、米英と比べ経営者が人件費削減に動きにくい環境があることも問題視されている。03年後半に景気が上向くとの見方はあるが、株式市場は米相場が下落するたびに大幅な値下げを続け、日本以上の悲観ムードに包まれている。[毎日新聞12月30日] ( 2002-12-30-20:06 )

ドイツでは、すでに「日本病」に感染したのではという懸念が広がっている。たとえば、不良債権の処理に苦しむ銀行が貸し渋りをしている点だ。メリルリンチのリポートは最近、「ドイツの銀行は日本化している」と警告した。日本の「デフレ病」の三つの主な症状のうち二つが既にドイツに現れている。一つは生産の縮小、もう一つは物価の下落だ。ただし、三つ目の通貨供給量の減少はドイツでは起きていない−−−今のところは。(ニューズウィーク日本版11月6日号)

 ドイツの日本化を示す指標はほかにもある。このほど、欧州委員会がEU(欧州連合)経済に関する恒例の「秋季経済見通し」を発表した。その一環として取りまとめられた02年に関する各国の財政収支推計をみると、ドイツの財政赤字が今年は対GDP(国内総生産)比で3・8%に達する見込みとなっている。日本の場合にはこれが8%を超えているから、それに比べればまだまだマシだ。だが、EUの中でみれば突出して悪い。(浜矩子・同志社大学教授)

日本病がドイツにも感染し始めた。銀行の不良債権の増大と貸し渋り、所得の低下と増える失業、さらには財政赤字の増大はまさしく日本病の特長だ。それにもまして株式の暴落はドイツにとって悪夢を見る思いだろう。バブルとは無縁のドイツ経済がなぜ日本病に罹るのだろうか。

ドイツは通貨統合によりマルクからユーロに切り替わった。その時にドイツマルクは割高に交換され、ユーロ通貨圏でマルク高が固定されたようになってしまった。輸出してもユーロ圏外からの受け取り金額がそれだけ目減りする。マルクの時代なら切り下げ効果で調整されたが、ユーロになってからは為替変動でドイツだけの調整が出来ない。

東西ドイツの統一は、旧東ドイツ地区への投資や、資本主義化された東ヨーロッパ諸国への、ドイツからの投資が期待された。その際にドイツの銀行の融資は当然大きく膨らみ、バブルと同じ状況になったと思われます。しかしながら膨らんだ投資の中には、当然上手くいかなかった投資が不良債権化してドイツの銀行に重くのしかかっている。

旧東ドイツへの政府の開発投資も、巨額の政府出資を強いられ、その反面、旧東ドイツ地区からの税収は望めない。ドイツの国際企業も東ヨーロッパなどへ投資したものが利益となって収益に結びつくのは先の話だ。それらの企業の用地買収も重い負担となり、さらには建設投資の縮小が円滑に行われていないようだ。日本の公共事業と同じ結果をもたらしている。

日本病はドイツのみならずアメリカにも感染が広がってゆくだろう。経済のグローバル化は日米独の先進工業国から、通貨も人件費も安い諸国へ生産拠点を移動させる。アメリカの場合その穴埋めをベンチャービジネスなどの新しい産業が行ったが、日本やドイツなどは新しい産業への労働者の移動が上手くいっていないようだ。

しかし新しい産業とは何なのか、アメリカを見てもその実態がはっきりわからない。「IT革命」のように新しい産業のように見えて、幻想に終わる可能性がある。日本でも竹中大臣がIT産業で500万人の雇用創出と言っていたが幻に終わった。

アメリカも利下げと減税で自動車や住宅の購入が盛んだが、連邦政府がこのような景気対策を打っても、地方政府の税収の落ち込みが不動産への増税につながり、その結果不動産バブルも弾けてアメリカの銀行も不良債権の増大に苦しむだろう。アメリカも日本病とは無縁と言うわけにはいかない。

「日本病」におののくドイツ経済 浜矩子・同志社大学教授



対「北」経済制裁で核放棄迫る、米が封じ込め戦略
対北朝鮮、送金停止へ法整備…自民が外為法改正案
万景峰号の入港停止検討を=高村元外相

2002年12月30日
 報道によると、米政府筋は、北朝鮮が核兵器開発に突き進むならば、北朝鮮を経済的崩壊に追い込む考えを強調。この場合には、韓国に対し南北交流を停止するよう求めることも検討されているという。また、北朝鮮の収入源を断つことに照準を絞り、イエメン沖で今月行ったようなミサイル輸送船臨検行動を米軍と同盟国が強化することも戦略に盛り込まれたという。。(読売新聞)[12月30日1時55分更新]

マッカーサーは北朝鮮の奇襲攻撃を知らなかったのか。答えは「ノー」である。マッカーサーの情報部は、北朝鮮軍南進の動きを正確に把握していた。しかし知らぬふりをした。金日成やスターリンや毛沢東に、アメリカが朝鮮半島に軍事的な野心を持っていることを気づかせないためだった。最近になって発見された当時の資料の中に、それを証明できる資料が多数見つかっている。

 朝鮮半島はロシア、中国、それにアメリカの同盟国の日本が、互いにゴリゴリと音を立てて押し合う戦略の要衝なのである。別の言い方をすれば、グランド・パワーの中国とロシアが、シーパワーのアメリカと日本と、互いの影響力拡大を求めて覇権を競い合う地域なのである。これから朝鮮半島で和平と統一が進めば、必ず、グランド・パワーとシーパワーが押し合ってゴリゴリと軋む音が聞こえてくるだろう。私にはすでにその音が聞こえているのだが・・・・・。(軍事アナリスト 神浦 元彰)

表題は今日のニュースで流れていたものです。アメリカが北朝鮮を封じ込める戦略をとり始めました。日本政府ももそれに呼応して、在日朝鮮人の北朝鮮への送金の停止や、万景峰号の入港停止などの法整備に取り掛かった。前から言われていたことなのですが、自民党の実力者の反対や親北朝鮮の野党などの反対で出来なかったことが、アメリカ政府の圧力で一気に実行されるようだ。韓国はどの程度封じ込めに協力するのだろうか。アメリカはノ・ムヒョン次期大統領を試しているのだろう。

アメリカは金正日政権を倒すことに目標を置いているのか、それとも北朝鮮を潰して韓国に統合させるのかはわからない。朝鮮半島を安定させるのならば現状のままで、金正日を追放して別の政権を作らせるだろう。中国も統一朝鮮を望んでいない。ロシアは朝鮮半島は統一されたほうが、太平洋進出のためには都合がいい。だからアメリカは朝鮮半島の統一は阻止したい。

昨日ビデオにとっておいた「朝まで生テレビ」を見たのですが、1ヶ月も経っていないのに、かなりピントがずれて来てしまっている。核開発の再開や、ノ・ムヒョン大統領の選出や、イージス艦のインド洋への出港など、大きな情勢変化があった。ビデオによると、核開発問題より拉致問題のほうが重要とか、拉致被害者5人は一時的にでも北朝鮮に返すべきとか、平沢議員に北朝鮮に行って交渉しろとか、田原総一郎の言うことは無茶苦茶だ。

日本の学者や評論家やジャーナリストの言うことがクルクル変わるのは、問題の本質がわかっていないからだ。彼らによると北朝鮮が「拉致問題は無い」と言えば、日本の警察が有ると言っても信じない偏向ぶりだ。このように日本のジャーナリストは状況判断を誤り、日本の世論をミスリードし続けている。そして真相が明らかになるとケロッと態度を変える。終戦前後の学校教師の変化を田原総一郎は批判していたが、自分自身がそのようになっていることに気が付くべきだ。

私は北朝鮮問題については当初から、金正日政権を倒さなければ問題は解決しないと指摘してきた。朝鮮総連の行動も批判してきた。外務省のチャイナスクールも追放しろと主張してきた。イージス艦派遣も早くから主張してきた。昨日も書いたとおり、中国は世界帝国の再建を目指して動き始めた。アメリカはそれに対して対抗手段を打っている。それに対して日本のジャーナリストは「中国の脅威は幻だ」とテレビを使ってプロパガンダをしている。しかし毎年17%もの軍事費の伸びは明らかに異常だ。

このようにいつ第二次朝鮮戦争が始まるかも知れず、テポドンがいつ東京に生物化学兵器を積んで飛んでくるかもしれない時に、日本のマスコミは一斉に今日から正月休みモードに入ってしまった。日本のマスコミは「タマちゃん」報道で浮かれているのがお似合いだ。日本国民は何事も知らぬが花なのだろう。これは明らかに間違っている。北朝鮮が韓国ないし日本でテロ攻撃をしてきたらどうするのだろう。原子力発電所の多くが稼動を停止する。これは点検のためではなく、テロ攻撃に備えるためではないのか?神浦氏は次のように述べている。

この米軍の戦力とイラク軍の戦力を比較するなら、大人と子供というより、プロボクサーと子供の喧嘩といったほうが合っている。まさにアメリカの軍事力の凄さを見せ付けている。ちょうど第2次大戦で、瀕死状態の日本に原爆2発を投下して、世界にアメリカが開発した核兵器の凄さを見せたのと同じである。ブッシュ大統領にはフセイン政権を倒すという目的と、アメリカの軍事力の凄いさを世界に見せつけるという目的を強く感じる。 この圧倒する強さがアメリカにテロを呼ぶし、対米テロを激化させることになる。この軍事力の強さは、同時にテロに対する弱さにもなってくるのだ。このお正月に時間がある人は、岩波文庫の「ローマ帝国衰亡史」を読むことをお勧めする。特に若い人にお勧めである。(神浦元彰)

日本軍事情報センター 軍事アナリスト 神浦元彰



中国が再び世界帝国の野望を抱き始めた。
アメリカはどのように対応して行くのだろうか。

2002年12月29日
「歴史問題」とは「近代」の意味の修正を迫るものである。中華帝国対日本。「近代」を除いては、日本が中国と対等以上であったことはない。世界帝国への復位を開始した中国にとって、少なくとも東洋においては対等な国などあり得ないのである。

 中国の「歴史問題」カードは、日本に中国の「冊封」を受けることを求めるものだ。「近代」以前の関係への復帰を求めるものなのである。請け合ってもよいが、日本が「臣従」するまでこのカードはいつまでも切られ続けられるであろう。

 中国は「現代」において世界の盟主をめざすが、その「支配」領域は東洋にある。その中で、別の「近代」(欧米の近代)を生き抜いてきた日本を屈服させないことには、東洋「支配」はいつまで経っても完成しない。中国にとって、絶対に見過ごすことはできない「歴史問題」なのである。

日本にとっては受難の正念場が続く。アメリカの次は中国である。かくして日本のアジア戦略は、アメリカばかりではなく中国によっても阻まれようとしている。悲観せずに言うと、日本の21世紀のカギは、アメリカと中国とに、どうつきあうかである。
(吉外井戸のある村より)

北朝鮮の核開発問題において、中国はこれを認めないことは、ロシアのプーチンとの宣言ではっきりしている。しかし世界帝国を目指す中国にとって、従属国である北朝鮮がアメリカに屈服するのを見過ごすのは、中華帝国にとって面目が丸つぶれだ。しかしアメリカにはとても今のところ対抗できない。

中国としては、金正日政権が倒れてしまわないように、韓国の反米勢力を煽ってノ・ムヒョンを大統領に選ばせ、韓国の「太陽政策」で北朝鮮を持たせるしか方法がない。日本の外務省のチャイナスクールにも命じて、小泉首相を訪朝させ、国交回復により多額の援助資金を出させようとしたが、日本の世論の思わぬ反発を食らって、この陰謀は上手く行かなかった。これはアメリカの妨害工作と見るべきだろう。

朝鮮半島は歴史的に見ても中華帝国の支配地区であり、軍事的にも経済的に見ても中国には対抗できない。朝鮮半島の南端部は百済のように日本の助けを借りれば対抗できるが、韓国も米軍駐留で何とかもってはいるが、経済的に中国に飲み込まれた。台湾もすでに中国に飲み込まれている。その中国の脅威が日本に押し寄せている。

アメリカとしては日本が中国の影響下に入りつつあるのを見て、慌てて日本国内の親米勢力の梃入れをして反撃にうつった。日本が中国の支配下に入ればアメリカは西太平洋の軍事拠点を全部失うことになる。前にも書いたが、クリントン政権は何を考えて、親中反日政策を行ったのか、戦略的な意味がわからない。キッシンジャーは何を考えていたのだろう。

日本としては二つの巨大帝国の間をうまく立ち回らなければならない。現在はアメリカのほうが強いからアメリカと同盟を結び中国と対抗している。反対に中国が強くなったら中国と同盟を結びアメリカを追い出して対抗すればいい。ブッシュ大統領の登場で、対中国政策もまともになったかと思ったが、どうも信用できない。日本に住み着いたハゲタカどもが引き上げない限り信用してはならない。

中華帝国にとっての日本という存在 吉外井戸のある村



バブルを作り出した福井氏を日銀総裁にしてはならない。
私は前経済企画庁長官の堺屋太一氏を推薦する。

2002年12月28日
 日本の支配者 5 人のうちこれまで、一万田尚登、佐々木直、前川春雄、三重野康、と 4 人が登場した。5 人目の支配者は、福井俊彦である。ヴェルナーがかつてインタヴューした日銀担当の銀行員の証言で次のように述べられている。「 窓口指導は営業局長が決めていた。営業局長は日銀で最も強い力をもち、いつかは総裁になる人物だった。

バブル時代の営業局長は福井で、20 年前の局長は三重野だった」 (p。235)。当時の副総裁三重野と営業局長福井というコンビがバブル経済をあおりにあおった張本人であったわけだ。そして、三重野が総裁を務めた 1989 年から 1994 年の後、大蔵省出身の松下康雄総裁の時期に副総裁として実権を掌握していたのが、福井俊彦である。三重野総裁、福井副総裁が、90 年代の出口のない長期不況の間、信用創造を絞りつづけてきたのだった。大蔵省がどれほど財政出動をして景気刺激策を試みようとも、日銀が信用創造を絞りつづけている限り、通貨の量が不足しているため、本格的な景気回復には至らず、財政赤字が拡大し、国債残高が膨大なものとなっていくだけだった。(古谷公彦)

日銀の速水総裁の後任に福井俊彦氏の名前があがっている。しかしながら福井氏はバブル経済を作り出した張本人である。このように官僚というものは、いかなる失政をしても責任を問われることはない。一時的に処罰されても、すぐに官僚仲間によって救済される。このようなエリート官僚支配は許してはならない。しかしながら先日次のようなニュースが流れた。

日本経団連、日本商工会議所、経済同友会の財界3団体は20日までに、来年3月で任期切れとなる速水優・日本銀行総裁の後任候補として、元日銀副総裁の福井俊彦・富士通総研理事長(67)を推薦する方針を固めた。複数の財界首脳が明らかにした。小泉首相は次期日銀総裁について民間人を起用する方針を示しており、財界が一致して推す有力候補に福井氏が浮上したことで、次期日銀総裁の人選を巡る動きは大詰めを迎えた。

 財界では、日本経団連の奥田碩会長が18日、「日銀OBも民間人だ。(総裁に就任しても)構わない」と述べたほか、19日には日本商工会議所の山口信夫会頭が「(日銀に)精通していないと思い切ったことはできない」と述べ、福井氏を念頭に日銀OBの就任を求めた。ただ、福井氏は98年3月、日銀幹部が起こした接待汚職事件の責任を取って日銀副総裁を辞任した経緯があり、任命権者である小泉首相がこうした点をどう判断するか注目される。(読売新聞)(12月21日03:01)

日本のマスコミは、このような新聞辞令を垂れ流し、日銀官僚たちは思いのままに、世論形成をしてゆく。政治家たちはまったく経済の事には音痴な人物が多い。だから小泉首相はじめ日銀後継総裁人事を財界人に丸投げしてしまう。しかし財界の首脳たちも、金融のプロとはいえない。日銀に対して睨まれたく無いから、日銀のOBを推薦することになる。こんなことで後継人事を決めていいものではない。

福井氏はバブル経済を作り出した直接の張本人だ。金融行政に詳しい人なら誰でも知っている。彼は金融を引き締める時に大幅な金融緩和政策を行い、行政指導で銀行を不動産投機や株式投機に走らせた。多くの人は銀行の押し売りにも近い融資を押し付けられた。そして融資されたお金は使い道が無いから、営業特金という形で証券会社に流れ、証券会社には俄かファンドマネージャー続出した。

まとまった融資を受けた人は土地を買いあさった。何の役にもたたない山林までもが投機の対象になった。これは銀行にも責任があるが、日銀の行政指導が一番の原因である。そして景気が過熱しているにも拘らず、金融の引き締めが遅れ、バブルが崩壊した後は金融緩和が遅れた。三重野総裁は株式をやったことがないことを自慢し、マスコミはそれを「平成の鬼平」と持ち上げた。

それでは後任の日銀総裁は誰が良いのだろう。第一条件は景気回復優先政策の持ち主で、経済行政の経験者で、日銀の金融行政にも関係して、官僚にも政治家にも顔の効く人物というと、堺屋太一氏が頭に浮かぶ。2年ほど前にも一度噂に上った。しかしながら小泉内閣で経済政策を批判され、政権からは遠ざけられているが、経済に対する見識から言うと堺屋氏が一番適任だと思う。

おそらく小泉首相は福井氏を選ぶだろう。金融行政も丸投げだから日銀のプリンスに丸投げして、日本経済を破局に導く。そのことによって「前川レポート」のように、日本経済を世界に開放することが完成する。具体的には韓国のように国際金融資本に支配され、たまった利益は資本家たちに吸い取られ、中南米のようにヌケガラとなるのだ。つまり「前川レポート」とは彼らの戦略書で次のようなものである。

株式の持ち合いを行うことによって外資による企業買収を防いできたという、『日本株式会社』を成り立たせていた仕組みを根本的に変える必要を感じた。そこには、日本との度重なる貿易摩擦を繰り返してきたアメリカの意向もあったのだろう、彼らはこれまでの体制を捨てて規制緩和、自由化を行ない公式、非公式のカルテルを破棄して、日本経済を世界に開放すれば、生産性があがると考えた」(円の支配者)(p。269)。

小泉首相のところには、ロックフェラー氏をはじめアメリカの財界人が日参している。小泉首相の権力基盤がアメリカにある以上、彼らの指名する人物が日銀総裁となる。竹中大臣のように。

三重野、福井コンビが長引く不況を作った。「円の支配者」



日英同盟の謎 英国を制するものは大西洋を制す
日本を制するものは太平洋とインド洋を制す

2002年12月27日
まず、打破すべきは、戦後、自民党政権が一貫して堅持してきた、いわゆる「吉田ドクトリン」です。「吉田ドクトリン」とは、日本の安全保障を米国に依存し、日本はもっぱら経済成長に専念するという国家戦略であると言っていいでしょう。吉田さんご自身は、晩年、占領下の一時期とは言え、ご自分が総理であった時に、後に「吉田ドクトリン」なる名前がつくことになる政策をとったことを厳しく反省しておられます。この国家戦略の下、その必然的結果として、日本は、道義がすたれたカネまみれの国になってしまいました。

その米軍に対し、政府は、米国の同盟国の中で飛び抜けた額の何千億円もの駐留経費負担を行ってきていますが、米軍は本当に喜んでいるのでしょうか。むしろ、米軍が日本から引くに引けないという状況を生みだしているだけではないのでしょうか。日本政府から提供される潤沢なカネは米軍人を堕落させているのではないでしょうか。私は、「吉田ドクトリン」を打破するため、自民党を解体して政界再編をなしとげ、同時に防衛庁の大改革を断行した上で、憲法解釈を変更し、日本が集団的自衛権を行使できるようにするとともに、駐留経費負担の諸外国並みへの削減を行いたいと考えています。このことによって、初めて日米関係を損なうことなく在日米軍基地の大縮小が可能となり、我が日本の自立の条件が整うと考えます。(元・防衛庁審議官 太田述正)

最近は北朝鮮問題をきっかけとして、書かなければならない問題が山積みだ。いったい何を今日書いたら良いのか絞りきれない。9,11テロ事件以降、日本の文化人、評論家、学者、ジャーナリストなど自由に文章を書ける立場の人たちの意見が迷走し、膨大なニュースが飛び交っているのに、一般大衆はどのように受け止めるべきかわからないでいる。私なりに問題に切り込んでいるのですが、間口が広がってしまって収拾がつかない。

問題は日本の国家戦略に対して誰も真剣に考えていないと言うことだ。戦後においては一応「吉田ドクトリン」なる国家戦略が存在した。西ドイツも日本と同じような国家戦略を持っていたが、国防政策は適時に切り替えている。しかしながら日本はアメリカの要請にも関わらず、憲法9条を金科玉条として安住し、日本の政治家は外交防衛政策をアメリカに丸投げしてしまっている。

その為に日本の国家戦略というものが立てられないでいる。現代の日本の時代的な状況は明治初期によく似ている。その頃の国家戦略はロシア帝国の南下を如何に防ぐかという問題だった。もしロシア海軍が太平洋に自由に出入りできるようになった場合、太平洋およびインド洋はロシアの勢力圏に入る。同じように現代は中国海軍の拡大により、中国海軍の太平洋、インド洋への進出は防がねばならない。

中国海軍の外洋進出は、太平洋、インド洋に面する国家に影響をもたらす。ASEAN諸国はひとたまりもないだろう。日本が眠り続けていたならば。現在のところアメリカが日本に海軍基地をおいて、睨みを利かせているが、何時までも続けてはいられないだろう。アメリカ帝国の衰退ないしは崩壊は数年後に迫っている。それはアメリカ自身が一番よく知っている。(国家機密だが)

イギリスは最盛期の頃、中国の香港まで基地を作り、世界の海を制圧していた。しかしロシア海軍の太平洋進出阻止はイギリス海軍のみでは出来なかった。だから日英同盟を結びロシア海軍の太平洋進出阻止に成功した。朝鮮半島および台湾を日本の領土としたのも、大英帝国の戦略の一環である。朝鮮半島がロシアの勢力下に入れば太平洋進出を阻止できない。台湾が中国の勢力下に入れば、中国海軍の太平洋進出を阻止できなくなる。

もし日本がこのまま衰退して、ロシアや中国の勢力下に入ることがあれば、アメリカ帝国は世界の覇権を失うだろう。アメリカは現在においても石油を半分は海外に依存している。将来は多くを中東の石油に依存せざるを得なくなる。その場合インド洋をはじめとする制海権がロシアや中国の手にあった場合、アメリカの国力は不安定なものとなり世界の覇権を失うだろう。この事は以前の日記でも書いた。

クリントン大統領の親中国政策はいまだにその意味がわからない。冷戦中ならソ連に対する牽制としての意味があった。しかし今は中国がロシアを飲み込むような勢いだ。100年後にはシベリアの大地は漢民族のものとなっているだろう。近代化した中国海軍はアメリカの直接の脅威となって跳ね返ってきた。だからアメリカは日本海軍をインド洋まで進出させた。いやでも日本海軍に肩代わりさせるつもりだ。

元・防衛庁審議官 太田 述正ホームページ
クリントン政権の親中国・反日政策の真相 グレアム・グリーン



日本人はなぜボケてしまったのだろうか
海外から日本を見る視点が必要だ

2002年12月26日
日本の若い人たちの多くは、基本的にシャイな人たちが多くて、ステイ先の家族と溶け込むことを避ける人が多いです。食事が終わると、あと片けも手伝わずに、さっさと自分の部屋に閉じこもってしまいます。

1.人との交流の仕方がわからない 
2.英語の誤りを恐れるばかりに無口になっている
3.アメリカ流の社交に堅苦しさを感じる

結果、日本人同士でいた方が気が楽なので、みんなで固まっているようですね。アメリカに30余年も接している僕が観察した限りではそんな感じです。ステイ先に馴染むことができずに、気まずい思いをして別れるケースが多いようです。学生の側からどんどんと殻を破って、アメリカを吸収してやろうとして欲しいものですが、周りに余りにも多くの日本人留学生が多いためか、日本人のグループを自分達の保護区にしていて、例え一年の留学であってもアメリカ人との接点が限られたまま終わっているようです。そうでない人もいるのですが、確率からいうと8:2の法則が当て嵌まります。(小野沢昭志)

日本の若い米国への留学生は多くなる一方ですが、基本的な社会常識すらも身につけぬまま、アメリカでホームステイしているようだ。私の身近にもいたのですが、アメリカに1年間語学留学して英語がまったく身についていなかった。アメリカでの話を聞こうとしてもあいまいな返事しか返ってこない。外国という異質な社会に飛び込むと、引きこもり状態になり日本人だけで固まってしまうようだ。

一般社会人も同じで、日本人村を形成して、日本人ばかりと交際して、ひたすら本社からの帰還辞令を待ちわびる、情けない日本人が増えている。国際的な企業に就職すれば、そんなことは覚悟の上だと思うのですが、現地のアメリカ人との交際は避けているようだ。日本が貧しかった頃は海外生活は人々の憧れの的だった。ところが日本が豊かになるにつれて海外生活を嫌がるようになっている。

日本全体が引きこもり的になり、鎖国的心情になってきている。日本人の海外旅行が当たり前になり、外国の事情がわかるようになるにつれて、海外生活を嫌がるようになった。特に欧米人との社交などは「横メシ」といって日本人ビジネスマンは嫌がる。これは言葉の問題だけではなくて、社会風土の違いから来る、国民的な性格の違いと、温室の中で育った日本人と、厳しい生存競争からくる厳しい性格が、情緒的に合わないのだ。

日本人が論争を嫌う心理と、日本人の引きこもり鎖国的心理とは共通している。中国人や韓国人が靖国問題などで抗議してきたら、論争することより謝ることを優先してしまう。だから余計に中国人の不信をよけいにかって怒らせてしまう。政治家などもすぐに謝って丸く治めようとするから余計に拗れるのだ。抗議してくる中国人や韓国人も心の中ではやりすぎと思っているのに、日本人がすぐに謝るから不誠実と思うようになる。

アメリカ人などが英語で何か話しかけてきても、日本人は顔を背けるか逃げて行ってしまう。「英語がわからないので、日本語でお願いします」と答えたほうが誠実だろう。それから外国人排斥的な感情も露骨になってきている。在日朝鮮人などへの嫌がらせも多いようだ。ネットのBBSなどでもそのような書き込みが多い。

私の場合、中国やアメリカを非難攻撃していますが、悪いところを示して非難している。ハゲタカファンドも日本人に非難されるのは覚悟でやっている。それをマスコミなどは押さえつけようとするからかえって感情的な反発を招き、爆発すると押さえが効かなくなってしまう。あくまでも論争で問題点をはっきりさせて解決させようとする発想が日本にはない。とにかく謝って丸く治めようとする。だから日本人を中国人は倭人と言った。

ネット時代になって海外に住む日本人からの情報も手に入りやすくなった。小野沢氏もアメリカ在住20年でマウンテンバイクの商売をなさっている方で、現在シアトルに住んでいる。マスコミには載らないアメリカの情報がわかる。以前にもドイツ在住のクライン孝子さんを紹介しましたが、日本に住んでいる人より日本の情報に詳しい。インターネットのおかげだろう。

ボスは迷文家 評論蚊はチクチク 小野沢昭志



500年前ヨーロッパだけが何故テイクオフしたか
ペーパーマネーを信用して創造したからである

2002年12月25日
マネ−が貴金属だった時代、貴金属が存在しない場所では経済発展は起こりえなかった。スミス由来の経済学は商品同士の交換をのみ論じる。道徳論から出発したスミスにとっては、欲望の塊ともいうべきマネ−は直視しえないものだったのかもしれない。本開発論は事実観察的立場を取る。欲望の塊も客観的観察の対象でしかない。マネ−を媒介としない物々交換は、人類史上で有意の記録は残していない。この点、スミスの経済学は事実無視である。

この図式で考えると、ヨ−ロッパがテイクオフする第一条件は、貴金属が他の世界から流れ込んで来ること。この点についてはすでに述べた。しかし貴金属マネ−だけに拘っていたとしたら、ヨ−ロッパの決定的テイクオフはありえなかった。ヨ−ロッパだけがテイクオフした理由。それは信用創造、つまり必要に応じていくらでもつくり出すことができるペ−パ−・マネ−を生み出した点にある。

銀行券は預金証券を定額化、少額化したものである。預金貸付銀行が貸出しをすればするほどマネーが増える。これが信用創造である。預金貸付銀行はマネーを必要に応じて創出する社会的システムである。初期の預金貸付銀行は、しばしば利益を追及する余り貸出しを膨張させすぎて破産した。しかし1694年にイングランド銀行が設立されると、次第に中央銀行として機能するようになり、銀行のなかの銀行として破綻しやすいぺーパー・マネー・システムを安定化するのに貢献した。以上の経緯でイギリスだけが、いち早く中世末期のマネー不足状態から脱出できた。

イギリスは、まず産業革命で世界の工場になり、そして少し遅れて、世界の銀行になった。インターナショナル・ペ−パ−・マネ−の誕生1870年頃から、日本やドイツなど、次々と近代国家の形を取り始めた。具体的には、中央銀行制度や金本位制を取り入れたのだ。しかし実態は伴っていなかった。

それはともかく、19世紀後半、それまでイギリスの国内マネーにすぎなかったポンドが、インターナショナル・マネーとして通用するようになった。このことは、世界経済あるいは国際経済を論ずる場合、イスラム・アラブの金の解放と同程度の、最大級の重要性を持っている。

ドル体制いくつかの出来事が、ドルをインターナショナル・マネーに仕立てた。第一は、1934年から1941年までの8年間にアメリカに1万5000トン、金額にすれば170億ドルの金が輸入されたこと。脱線だが、このことを指摘した経済学の書物がない(知るかぎり)のは驚かざるをえない。1990年に「マネ−文明の経済学」を書いた時、確認したのだが、このような重要なこと抜きでは、20世紀後半の世界経済は理解できない。

第二に、アメリカ以外の地域が第二次大戦によって荒廃したのに、アメリカだけは破壊を免れ、そればかりでなく、近代的な経営管理技術により生産性において圧倒的な優位を保っていたこと。マ−シャル・プランアメリカは、マーシャル計画の下、1948年から51年にかけてヨーロッパに125億ドルという未曾有の巨額の資金を援助した。また1950年の朝鮮動乱は多額の軍需を日本に与えた。いわばアメリカは世界にドルをばらまいたのだ。

ユーロ・ダラーは無限の信用創造によって膨張する可能性を最初から持っていた。ユーロ・ダラーが膨張し始めるきっかけをつくったのは1973年のオイル危機である。原油価格が一挙に4倍になり購入資金に不足した各国政府はユーロ・ダラーでドルを調達して急場をしのいだ。1970年代半ば頃より、最初から国内規制を受けないオフショアー・バンキング制度が成長し始めた。1974年には3900億ドルだったユーロ・ダラーは1981年には1兆8000億ドルに達したといわれた。1990年頃、それは5兆ドルにも達したといわれていた。
(東京国際大学教授 関岡正弘)

このように国際通貨の歴史を振り返ってみると、マネーの価値とは労働力と生産力の事であることがわかる。まずイギリスが産業革命によって世界の工場と呼ばれ、圧倒的な生産力を誇った。その為にイギリス・ポンドが国際通貨となった。

その後、二度の世界大戦を経て、アメリカが世界の工場となり、USドルが国際通貨となった。つまり信用創造の面からはゴールド(金)は二次的な役割しか果たしていない。金はもはや商品地金としての価値しか認められていない。それよりも技術力や生産力のほうが通貨の信用の裏づけとなっている。それを決めるのは労働力の量と質だ。

1970年代から日本が世界の工場と呼ばれ、世界中に日本製品が溢れた。しかしながら円はドルに変わる国際通貨とはなっていない。相対的にアメリカの産業力は低下して来ているが、ドルが国際通貨の役割を果たしている。円がなかなか国際通貨としての地位が向上しないのは、円での決済が認められないからだ。米国国債もサムライ債で発行されれば、円も国際通貨として認められるだろう。

500年前、ヨーロッパだけがなぜテイクオフしたのか 関岡正弘
現代文明を支える社会システム 関岡正弘



浜田幸一の暴言にも真実あり
「日本はアメリカの植民地である」

2002年12月24日
浜田幸一が老いてますます元気である。政界引退後は政治芸者としてテレビから連 日お座敷がかかる。言うことの大部分は相変わらず滅茶苦茶で、真剣に耳を傾けるに値する内容は乏しいが、最近のあるテレビ番組で彼が吠えた一言は明快だった。浜田の一言とは「日本はアメリカの植民地。アメリカがいいといわなけきゃ、何ひとつできやしないんだ」。論壇では珍しくないこの種の直言だが、大衆番組では過激過ぎてめったに聞かれない。(天本 唯)

まず広範な国土にわたる米軍基地の存在も,占領時代の重要な遺産です。‥たとえば,日本では,一千万をこえる人口が集中している首都に巨大な米軍基地(横田基地)があり,首都の海の出入口(東京湾)にアメリカの機動部隊の根拠地(横須賀)があります。こういう国は世界にほかにはありません。‥‥日本の米軍基地は,日本とアメリカの政府が相談して,合意のもとに提供したものではありません。すべて,全面占領の時期に,占領軍の絶対権力で日本の国土をおさえ,米軍基地にしてきたところばかりです。それをあとから『安保条約』という形でひきつぎ,その骨格がいまでも残っているのですから,首都圏に基地が集中するという異常なことが,戦後五十年を迎えるいまでも,平気でつづいているのです。(神戸女子学院大学 石川康弘)

もし、日本で民主的に国民政府が誕生し、その国民政府が、日米安全保障条約を廃棄したり、アメリカ政府やアメリカの金持ちに隷属する政策をきっぱりとやめれば、大変なことになるであろう。アメリカが、日本を、「敵国」もしくはそれに準ずる国として扱うことは必定である。そして、アメリカとその同盟国は、日本に苛烈な経済制裁を加えるであろう。さらに、アメリカに睨(にら)まれたくない国も同調する可能性がある。実際にアメリカ主導の経済制裁が発動されれば、農産物や石油を輸入に依存し過ぎている日本は、極度の貧困と困窮に追い込まれるのである。(中根 敦)

昨日の「たけしのTVタックル」は2時間の特別番組で、8人の国会議員を揃え、お笑いバラエティー番組をやっていた。その中で悪党党幹事長のハマコー先生が「日本はアメリカの植民地」と吼えていた。「アメリカがYESといわなければ何一つ出来ない」ということは、アメリカが「帝国」であり日本が「植民地」であることの証明だ。この事は私も何度も言って来た。政治家も官僚もマスコミもアメリカに対する恐怖心は相当なものだ。

「日本はアメリカの植民地」という過激な言葉も、ハマコー先生というキャラクターと「お笑いバラエティー番組」という抜け道があるから言える言葉だ。それほど日本のテレビ番組はアメリカの検閲下にあり、反米的発言をする人物はテレビに出られる可能性は無い。どう言う訳か左翼の人たちも冷戦崩壊後は反米的発言をしなくなってしまった。イラク攻撃反対の反戦デモ一つ行われない。その代わり戦前の日本批判ばかりしている。

いま反米、反帝国主義を言っているのは、私のような民族主義者ぐらいになってしまった。アメリカは左翼の反米は黙認しているのに、極右や民族主義者の反米は徹底的に叩きのめす。だから「お笑いバラエティー番組」の中でしか真をついた議論は行われない。お笑いタレントしか真実のことが言えないのだ。小泉首相が「日本はアメリカの植民地」などとは絶対に言えない。

番組の中で自由党の西村眞悟議員が「占領期間中に作られ、国際法でも認められた自衛権を否定した憲法は無効である」と言っていた。確かに主権の無い占領期間中に、改正の難しい憲法を押し付けられれば、その憲法の正当性に疑いがもたれます。実際上国会で憲法第9条を改正するのは難しい。日本には自衛権はあるが、自衛権を発動する軍隊は無い。自衛隊は警察予備隊であり、日本国内でしか活動できない。このように日本の国防体系は出鱈目だ。誰も真剣に議論しようとしない。真剣に議論がなされるのはテレビの「お笑いバラエティー番組」の中だけなのだ。

自民党は本気で憲法を改正するつもりは無い。昨日公開された外交文書でも、ニクソン大統領から改憲を言われても佐藤首相は拒否した。自民党にしてみれば安保さえあれば外交、防衛と言った難題はアメリカに丸投げすることが出来る。だからこそ日本の国会議員はアメリカに日本の利権を売り渡し、公共事業やODAなどの仲介ビジネスで手数料を稼ぐ事が出来るのだ。

風来坊の独り言 天本 唯
日米安保体制の真実 中根 敦
「帝国主義論」 神戸女子大学 石川康弘



北朝鮮は国連決議により解体されるだろう
韓国はノ・ムヒョン大統領で統一から手を引いた

2002年12月23日
政治家や識者たちはこれまで、金正日体制の崩壊は好ましくないと考えてきた。早期崩壊を避けるために、希代の暴君に支援を与え続けるという政治判断を下してきた。その結果が、核兵器と生物化学兵器による脅迫である。もうそろそろ政治判断を変える時が来ている。金正日体制が崩壊したとして、もうこれ以上、誰が何を困るのだろうか。いま冷静に計算し直せば、韓米日にとっても、中露にとっても、失う物よりも得る物のほうがはるかに大きいのではないか。北朝鮮国民にとっては、金正日体制が倒れて失うものは何ひとつない。
(RENK代表/李 英和)

しかしそれにしても、なぜアメリカは今回この一連の北朝鮮交渉で、日本を前面に押し出し外交への道筋をつけようとしているのだろうか。

 理由は二つあると当地ドイツでは観察している。一つは、何よりもアメリカはその二十一世紀世界戦略において、イラクと水面下で密かにリンケージしている北朝鮮たたきに日本を加えようとしていることだ。特に極東戦略における安全保障面ではゆくゆくその主導的任務を日本に委ねようとしている。二つは本来なら南北分断の当事国韓国こそが、この任務を遂行すべきなのだが、アメリカは、韓国では荷が重すぎ、実力不足と踏んでいることだ。

 ドイツの統一達成では旧西ドイツは、味方であるはずのイギリスやフランスからも「強いドイツ」再現懸念もあって妨害に遭った。にもかかわらず孤軍奮闘し初心を貫いて見せた。ところが今の韓国はその気迫に欠けている。宿願の南北統一にしても、北のペースに巻きこまれねじ伏せられる危なっかしさがある。金大中大統領の「太陽政策」がまさにそうだ。そのせいで自国に四百人以上もの拉致被害者を抱えながら今も未解決のままである。

 それに比べて日本はどうか。確かに過去において北にへつらった外交を行った。だが今回、どうやら世界は拉致問題における毅然(きぜん)とした日本の姿勢に接し見方を変えはじめた。

「拉致被害者家族の会」の真摯(しんし)な国民活動に触発され、ともすれば腰が引け揺れる政府や外務省を突き上げ、最終的には国際社会を味方につけたからだ。そうだ、ひるむことはない。いっそのこと日本はこの機会に、北朝鮮崩壊の引き金を引くぐらいの気概を見せてはどうか。それぐらいの気概をもってこそ二十一世紀、日本は極東におけるリーダーとしての地位を築くことができるのではあるまいか。
(2002/10/25 (産経新聞朝刊) 正論 クライン孝子)

北朝鮮が崩壊した場合、その復興に手を貸せるのは日本しかいない。本来ならば東西ドイツ統一の例を見るまでも無く、統一は韓国がなすべき仕事だ。しかしながら韓国は「太陽政策」を掲げるノ・ムヒョン氏を大統領に選出した。北朝鮮を援助していくことにより、金正日体制の存続を選択したのだ。

外交的に深い関係にあったロシアと中国は、北朝鮮を見放し援助を停止してしまった。アメリカはイラクやアフガニスタンで手一杯だ。私は今まで韓国の動きを見守っていたのですが、結局韓国国民は「太陽政策」に批判的だったイ・へチャン候補を選ばなかった。金正日の恫喝に韓国の国民は戦争を恐れた。

もし北朝鮮が崩壊した場合、二千数百万人の北朝鮮国民の救済が一番の問題となる。北朝鮮の産業はほとんど崩壊状態であり、インフラも老朽化してしまっている。軍隊や警察や行政組織も再編成するまで時間がかかる。日本政府はその為の北朝鮮再建計画を立てておくべきだろう。経済的には巨額の資金を必要とする。

韓国経済は1997年にいったん破綻してしまっている。日本の援助で立ち直ったが、北朝鮮を支える力はない。日本も北朝鮮問題には干渉せず、放置しておけば援助する義務は逃れられる。しかし遅かれ早かれ北朝鮮は自己崩壊してゆく。そして放置しておけば大量の難民が発生する。日本にも影響は逃れられない。

最近の金正日の行動は支離滅裂である。本人は恫喝しているつもりだろうが、核開発の凍結の解除は国連の制裁決議につながり、それでも中止しなければ国連軍の軍事制裁を招くだろう。北朝鮮国内も反体制グループの活動が活発になってきた。金正日も中国への亡命の噂すら出たほどだ。

何はともあれ外交音痴の小泉首相はパンドラの箱を開けてしまった。拉致被害者5人が日本に帰って来た事でもはや引き返せない状況となってしまった。外務省の田中局長の暴走に乗り、小泉首相は官僚に踊らされたピエロになってしまった。ここまで来てしまったら金正日独裁体制をひっくり返さなければ、問題の解決はこじれる一方である。
金正日は完全におかしくなった様だ。以下のようなニュースが流れている。

朝鮮中央通信によると、北朝鮮の政府機関紙「民主朝鮮」は22日、「核問題にかこつけてわれわれに不当な圧力を加えるのは、事態を軍事的対決へと追い込む無責任な行為であり、自殺行為のようなものだ」と述べた。同紙は「日本がわれわれに背信する道を進んでいるのは世界で最も卑劣で汚い行為だ」と非難した。(共同)(毎日新聞)[12月22日22時11分更新]

金正日の疲れと経済体制の後退 RENK・李 英和
日本は北朝鮮崩壊の引き金を引け クライン孝子



ロックフェラーと共産主義の関係は石油にあり
共産主義は地球支配を目指す億万長者の陰謀

2002年12月22日
ボルシェビキ革命以前、既にロシアは世界一の産油国アメリカに次ぐ石油資源国だった。しかし革命による混乱と破壊の為、ロックフェラー一族のスタンダード石油は事実上ロシアから占め出された。彼らがロシアの石油事業に進出し、その事業の一部を確保したのは、革命後数年経ってからだった。1926年、ニューヨークのスタンダード石油とその子会社バキューム石油は、ヨーロッパ市場にソ連の石油を輸出する取り決めを結んだ。当時の報道によれば、この取引の一部は、ロックフェラーからソ連共産党に貸し付けられた7500万ドルの資金で穴埋めされた。27年、ソ連共産党の秘密の相棒、ニューヨークのスタンダード石油は、ロシアに石油精製施設を建てた。この施設はソビエト経済を回復させるのに測り知れない貢献した。

ロックフェラーとその同盟者は、1917年の革命でロシアに彼らの植民地を作った後、ソビエト体制の維持・発展の為、今日まで精力的な援助をを続けてきた。1918年以降、彼らの団体がソ連に対して強力な経済援助をして来た事は、以上に示した幾つかの事実からも明らかだが、我々にとって無視出来ないのは、彼らが西側の重要な技術情報を悉くソ連に渡してきたという点である。

以上の経過は、北京についても当てはまる。デイヴィド・ロックフェラーとネルソン・ロックフェラーが毛沢東の指導する共産主義中国との関係正常化、並びに貿易の確立を要求すると、リチャード・ニクソンとヘンリー・キッシンジャーは、又もやその為に、共和党の綱領とニクソンが公約した100の約束を破棄したのである。其の結果、共産主義中国の虐殺者達との間に貿易の門戸が開かれたのである。ニクソンは、北京の人民に対する御機嫌取りが余りにも唐突出会った為多くの批判と注目を浴びたが、其の影に隠れて実際全く注意が払われなかったもう一つの事態が進行していたのである。それは、東シナ海の尖閣列島近くの油田が発見されたという事実である。
(ロックフェラーと共産主義の関係より)

ソビエトや中国はなぜ、アメリカに続いて速やかに原爆や水爆や大陸間弾道弾を開発することが出来たのだろうか。その裏にはロックフェラーのコネクションが効いているようだ。核兵器や長距離ミサイルの機密を教えてあげるから、石油の利権をよこせと言ったような、国家ぐるみの巨大な陰謀があったと見れば筋が通る。

アメリカのダブルスタンダード外交は、表では共産主義ソ連と激しく対立していると見せながら、裏ではロックフェラーがソ連と貿易を独占していた。これほどぼろい商売があるだろうか。商売敵はことごとく「悪の帝国と手を結ぶのはけしからん」と規制しながら、自分だけは対共産圏貿易でマネーを膨れ上がらせていく。

ロックフェラーは戦争でも敵味方の双方に金を貸し付けて、アメリカとその戦争相手国の利権を独り占めしてゆく。イラク攻撃もアメリカの軍需産業に金を儲けさせながら、イラクに脅しをかけて、ロシアやフランスに握られたイラクの石油利権を、ロックフェラーが奪い取る戦略だ。ロシアのプーチンも先日のニュースでイラクの石油採掘の権利を放棄したと報じていた。

ロックフェラーはこのようにアメリカ大統領をも自在に動かして、巨万の富を膨らませてゆく。中国へもロックフェラーの欲望の手は伸びている。ASEAN諸国の経済発展に遅れをとった中国は、周恩来とキッシンジャーの会談で、ロックフェラーに全面的に利権を開放した。その観点から見れば英国の香港の無条件返還も納得できる。

ケ小平は英国のサッチャー首相を脅して、香港の無条件返還を迫った。ケ小平がこのように強気に出られたのも、背後にロックフェラーがいたからだ。サッチャー首相はショックのあまり飛行機のタラップを踏み外してしまった。香港が中国に返還されれば、それは中国の利益でありロックフェラーの利益でもある。

ロックフェラーは只同然で手にした利権を、高値で売り抜けている。外資系証券会社や世界のマスコミを使って「中国投資ブーム」を煽り、華僑はじめ世界中の投機資本が中国に投資をした。ロックフェラーにしてみれば中国をWTOに加盟させたり、オリンピックを開催させたりすることは簡単なことだ。日本のNHKすら{中国投資}を煽っている。ロックフェラーは高値で利権を売り抜けて笑いが止まらないことだろう。

アメリカのマスコミも日本のマスコミもロックフェラー財閥のことはほとんど触れようとしない。しかしロックフェラーのことがわからなければアメリカや世界の動きが読めない。デビット・ロックフェラーやキッシンジャーのインタビューを聞いたところで何もわからないだろう。彼らの事が書かれた本も奇麗事しか書かれていない。私としては公開された事実を分析して行くしか方法がない。

ロックフェラーと共産主義の関係



ローマ帝国の18代コンモドゥス皇帝とアメリカ帝国の
43代ブッシュ大統領は帝国を崩壊に導くバカ息子だ

2002年12月21日
コンモドゥスは「スタイル抜群、金髪でハンサム」だったそうです(新保良明『ローマ愚帝列伝』講談社)が、皇帝となるやゲルマンとの戦いもそこそこに、ローマにひきあげてしまいます。政治を官僚に任せ、放蕩三昧の生活を送ったといわれ、「残忍」「放蕩」「誇大妄想」、はては「ローマ帝国を崩壊に導いた愚帝」と悪評に事欠きません。さらに、「グラディアトル(剣闘士)になった皇帝」として悪評をはせました。182年には皇帝暗殺計画が発覚し、その首謀者は実の姉でした。その後も彼のまわりでは陰謀が渦巻き、結局コモンドゥスは暗殺されてしまいます。(有限会社 赤石印刷)

一方、チャベスとフジモリが異なっていた点は、フジモリは失脚するまで親米を貫き、CIA出身の側近モンテシノスに頼り続けたのに対し、チャベスは自らの政権を一応安定させた後、かねてから考えていた反米戦略を実行に移したことだった。チャベスはもともと陸軍落下傘部隊の軍人で、国内の左翼ゲリラと戦うのが仕事だった。ところが、あるとき「貧しい国民が左翼を支持するのは、左翼が、貧富の格差を放置してわが国を支配する裕福層とアメリカに敵対しているからだ。敵は共産主義でなく、帝国主義だ」と気づき、それ以来密かに軍内で同士をつのり、クーデターの機会をうかがうようになった。(田中宇 ベネズエラとアメリカ)

アメリカはイラク攻撃に執着するあまり、南米とアジアでの反米の動きを制止しきれないようだ。南米のベネズエラに対してはCIAを通じて反政府デモをけしかけているが、ベネズエラ国軍はチャベス大統領を支持しており、逆に反米の火に油を注ぐようなものだろう。韓国もチョン・モンジュン氏の直前の支持離脱工作にも拘らず、反米派のノ・ムヒョン氏が当選した。ノ氏は日本やアメリカとの関係はほとんど無く、CIAもコントロールが難しいだろう。北朝鮮政策でも対立が予想されています。

このように世界情勢はイラク攻撃にかかれるような状況ではないのだが、アメリカのマスコミは執拗にイラク攻撃を煽っている。もし本当にイラク攻撃を始めた場合、世界各地で戦争反対のデモの嵐に見舞われるだろう。唯一アメリカを支持している英国も及び腰だから、世論の反対が強まれば、韓国のようにブレア政権が倒れる事もありえる。世界の嫌われ者アメリカは外交的に全く孤立し、アメリカの崩壊を早めるだろう。

日本のマスコミはなぜもっと正々堂々とイラク攻撃反対を主張しないのだろうか。マスコミのアメリカを恐れる恐怖心は異常に高く、アメリカにゴマをする記事ばかり書いている。北朝鮮とイラクの扱いが正反対なのに、どうして「おかしい」と抗議をしないのか。石油が目当てだとどうして報道しないのか。マスコミ報道は専らいつ攻撃が始まるかばかりに記事が集中している。

塩野七生氏のの「ローマ人の物語」を読んでみたのですが、丁度マルクス・アウレリウス帝の時代の本が最近出版された。ローマ帝国はライン川からドナウ川を国境としていたのですが、ゲルマン民族の侵入が激しくなりアウレリウス帝は生涯を戦闘に費やした。そして実の息子に皇帝の地位を継がせたのですが、これがローマ帝国のけちの付き始めで、コンモドゥス帝は帝国を崩壊に導いた皇帝として名を残しました。それを映画にしたのが「グラディエーター」です。

制作年代からしてブッシュ大統領を意識して作られたものではありません。しかしながらあまりにもブッシュ大統領とコンモドゥス帝との共通点がある。ブッシュ大統領はベトナム世代でありながら戦争を忌避した。そしてインチキ選挙で大統領となり、親から子への世襲制大統領となった。コンモドゥス帝も初めての世襲皇帝であり、戦争忌避者であった。さらには放蕩三昧の生活歴も共通している。ちょうど時代も帝国の頂点から崩壊への転換点であることも共通している。

米国がこれから崩壊へ向かうという説には異論があるという人がいるだろう。それはアメリカが流すプロパガンダに汚染されている証拠だ。アメリカという国は軍事も経済も、無尽蔵と思えた石油に支えられて作られた帝国だ。しかしながら1965年以降は巨大油田の発見はぴたりと止み、ドルショック、オイルショック、双子の赤字と経済はブレーキがかかり始めた。さらには兄弟国家ソ連の崩壊はアメリカ帝国の崩壊をも決定付けている。アメリカ帝国は巨大なるが故に石油無しには成り立たないのだ。

アメリカ国民も誇大妄想にとりつかれ、傲慢な言論を吐く学者が増え始め、それが日本人グローバリストに伝染している。ハドソン研究所の日高氏もその一人で、最近の著書で「探査技術の進歩で石油の確認埋蔵量は増え続けている」と書いている。それならば何故アメリカはあせってイラクの石油を強奪する必要があるのか。少し考えればわかる矛盾に日本人研究者は気が付くべきだ。

剣闘士とローマ皇帝コモンドゥス 映画「グラディエーター」の背景
ベネズエラとアメリカ 国際ニュース解説 田中宇



韓国の反米感情がノ・ムヒョン候補の勝利の原因
米国は在韓米軍の撤退と南北朝鮮の統一の容認か

2002年12月20日
「中国が台湾を征服するために台湾の軍事封鎖をし、米国が米艦へのミサイル攻撃を恐れて中国に反応しないような場合、アジアの指導者たちは、興隆する中国に靡(なび)くことになるだろう。日本も北京と取引し、在日米軍基地の閉鎖に応じるようになるだろう。朝鮮統一はまた、在韓米軍を追放することになるかも知れず、かくては、近代化された中国の外洋艦隊を前にして、アジアには米軍基地が排除されてしまっているということになる」

米国、とりわけ長期展望の中で、最悪の事態にも備えるべき、軍事戦略立案者たちは、早くも中国の有り得べき脅威に対処できるよう、戦略の見直しを始めている。そのなかで、米国が中国からの有効な軍事報復を恐れて、中国の台湾軍事封鎖を座視すれば、アジアの多くの国が中国の覇権下に入る。朝鮮も南北話し合いのなかで、米韓条約廃棄、在韓米軍撤退ということになるかも知れない。日本も北京と取引し、日米安保廃棄、在日米軍基地閉鎖ということになるかも知れない。あるいは、日本にナショナリズムが高まり、米国が不甲斐ないと分かれば日本自身中国に対抗できるよう、核武装しようということになるかも知れない。
(現代国際政治経済研究所所長 入江通雅)

私の日記で何度か韓国における反米感情の高まりを指摘してきました。おそらく北朝鮮の工作員による世論工作も効いているのだろう。その兆しはソルトレーク五輪やワールドカップなどでも見られました。韓国ではアメリカ人が襲われる事件がよく起こっている。韓国では内政の不満を、反日感情や反米感情を煽って目を背けさせている。大統領選挙にその成果が現れた。

韓国の若者は日本の若者より気骨があり頼もしい。日本の若者は完全にアメリカに去勢されて骨抜きにされ牙を抜かれてしまった。そして髪の毛を金髪に染めて、ご丁寧に青い目のコンタクトまでしている。それで自分はアメリカ人になりきったつもりでいるのだろう。戦後の日教組の教師たちの教育の成果だ。アメリカはナショナリズムが反米になることを恐れ、反日教育を施し自虐史観を子供に植え付けた。

経済面においてもアメリカは80年代からジャパンバッシングで日本弱体化政策をとってきた。このような教育面や経済面での結果が、日本の若者の精神を蝕んでいる。日本の政治家は全てアメリカの言いなりであり、事あるごとにアメリカへお伺いをたてに行く。安全保障の関係上仕方が無いのかもしれないが、経済的利益までアメリカに献上する必要があるのだろうか。

中国の反米感情も韓国に劣らず高まっている。これは共産主義の代替としての愛国主義が原因だ。中国には昔から漢民族の中華思想があり、外国を見下し憎悪の対象としている。それが反日感情や反米感情となって噴出している。最近行われた世論調査でも中国人の親日派は6%しかいない。あとは反日か無関心である。やがてはこのような中国の若者の愛国主義は、アジア征服への野心となって現れるだろう。

アメリカは日本のナショナリズムを徹底的に根絶やしにする反面、韓国や中国のナショナリズムは放置してきた。それは反日感情を煽るのに都合がよかったが、反米感情も煽る結果となり、韓国においては反米派の大統領の誕生に結びついている。この事がやがては日本へも影響して、中国や韓国の反米勢力と連帯してアジアにおけるアメリカ軍の拠点を全て失う結果となるであろう。昨日の韓国大統領選挙の結果はその現われだ。

米軍の対中認識を示すアジア2025 入江通雅



日英同盟はアメリカの圧力でなぜ廃止されたのか
無能な在米外務官僚が日米大戦の原因を作った

2002年12月19日
大西洋に向ってはニューヨーク港に『自由の女神』像を建て(1886年・明治19年)「悩める者よ来れ」という一方で、太平洋の門戸を閉ざすアメリカの方針、東からの白人は歓迎するが西からの黄色人種は許さないという、人種差別の態度が、この法律で明確になったのである。更に重要なことは、この問題と同時に、日露戦争の前(1902年・明治35年)に締結された日英同盟がアメリカの圧力で廃止されたことである。

日本に好意的であったアメリカも、世界史上でコロンブスのアメリカ発見以後で最大の事件とされる日露戦争に勝った後の、日本を仮想敵国として太平洋に着々と海軍を増強しつつあった。万が一、日米が太平洋で争うことになれば、当然、日英同盟によって、英国は日本の味方をしなければならなくなる。すると、アメリカは大西洋の英国海軍にも目を配らなければならず、これはアメリカに、絶対的に不利である。

第一次世界大戦後、日英同盟の主たる目的であったロシアとドイツの脅威が消滅したために、日英同盟の存続はアメリカを敵視するような誤解と嫉視が生じていたのである。日本を仮想敵国とみなしたアメリカは真剣で巧妙な外交手段を駆使し、対米関係を考慮しなければならない、当時は排日政策を推進していた英国自治領のカナダを巻き込んで、日本の切なる願いや抵抗にもかかわらず、日英同盟の廃止に追い込んでいた。外務官僚はその点が分かってなかった。
(藤井整の伝記。より)

アメリカのイラク攻撃の戦争パラノイアぶりは異常だ。経済制裁はもとより、あらゆる外交手段を使ってイラクを追い込み、対イラク全面攻撃を仕掛けようとしている。アメリカがこのように戦争に執着するのは、戦争を定期的に行わなければ国家形態が保て無いからだ。アメリカの歴史を見れば、戦争に次ぐ戦争の歴史だ。

日本も戦前にアメリカという戦争パラノイアにとりつかれ、太平洋戦争を起こしてしまった。その遠因としては、日英同盟の廃止と、アメリカ国内の日系人に対する人種差別がある。その象徴的法案である排日移民法の成立には、植原政直駐米大使の失態が原因になっている。1924年の法案審議の最中に、「もしこの特殊条項を含む法案にして成立をみんか、両国間の幸福にして相互に有利なる関係に対して、重大なる結果を誘致すべきは本使の関知せざるをえざるところにして」と恫喝してアメリカ議会を怒らせてしまった。

日本人の移民や帰化が認められなくなると、密航という形で入国する日本人が増え問題を拗らせた。このような事は日本人のプライドを傷つけ日米関係は悪化していった。さらには通商関係においても1930年にホーリー・スムート法が成立し、アメリカの関税障壁が築かれ世界貿易は半減した。日本の貿易は大打撃を受け、新たなる市場を求めて大陸へ進出していった。この事が日米関係を決定的に悪化させ、日本に対する経済制裁へと繋がって行った。

今も昔もアメリカ外交は独善的であり横暴極まりない。これからも日本はアメリカに振り回され続けられるのだろう。だからこそアメリカの情報には細心の注意が必要だし、アメリカの真意に気をつけなければならない。しかしながら日本にはそのような情報組織が無く、外交政策の研究機関もない。だからイラク攻撃に対しても、対北朝鮮外交も右往左往する政治家ばかりで、川口外務大臣も小泉首相も何を考えているのかわからない。

アメリカ権力中枢は、独断で北朝鮮と国交回復して経済援助しようとした小泉首相を見限ったようだ。石原慎太郎や安倍晋三や菅直人など検討し始めたようだ。外務省官僚の対米外交音痴ぶりはひどい。アメリカの国家戦略を分析していないから、田中均局長のようなとんでもない官僚がスタンドプレーをする。それに政治家が振り回されている。

これからも総理大臣や国務大臣はクルクルと変わるのだろう。国内の政局には巧みな手腕を見せても、世界を見据えた大外交戦略を持つわけでもなく、アメリカを手玉に取れる手腕の政治家を望んでも無理なのだろう。行き当たりばったりの日本の外交では戦前の失敗を繰り返すだけだ。

先週のニューズウィークにライス補佐官の特集が載っている。以前にもこの日記で取り上げた人物ですが、ブレジンスキーやキッシンジャーの跡を継ぐ人物とされている。ライスはイスラム社会をも民主化出来ると考えている。黒人女性だからこそそのように考えているのだろう。記事では次のように書いている。

イスラム世界には政治改革が必要だと、ライスは率直に説いてきた。アラブ社会、とくにフセイン政権崩壊後のイラクがより開放的で民主的になるよう、アメリカは真剣に支援を考えていると、ライスは繰り返し口にする。アフガニスタンの復興支援でも、ライスは米政府の牽引役だ。「アフガニスタンが民主国家になり、パレスチナ自治政府が改革を果たし、イラクが民主化されれば、イスラム世界全体に強いメッセージを送ることになる」と、さきの高官はその動機を説明する。

中東の民主化を軸としたライスの新戦略は、米政府全体に受け入れられている。産油地帯の安定や中東和平交渉に悪影響を及ぼしたり、イラン革命のような事態を引き起こしかねないと、長年介入に消極的だった国務省にさえもだ。12月4日、米国務省政策企画部のリチャード・ハース部長は、最近の講演で米政府としては異例の自己批判を行った。「歴代の米政権はイスラム世界の多く、とくにアラブ世界で、民主主義の推進を重視してこなかった」さらにハースは、米政府は中東地域の民主化の促進に「積極的に関与する」という新方針を発表。数カ月以内に、コリン・パウエル国務長官が具体的な構想を発表する予定だ。
(ニューズウィーク日本版12月18日号より)

戦前の日本にライス補佐官のような頭の切れる戦略家がいたら、アメリカの黒人や有色人種の公民権運動に力を貸していただろう。それがアジアの解放運動にも繋がって行ったはずだ。ところが日本のバカな外務官僚たちは、アジアの諸国民たちを見下していた。この事は藤井整氏の伝記にも書かれている。日本の外交官は白人たちとのパーティー三昧で明け暮れて逆上せ上がっていたのだ。それは今も変わっていない。

太陽に向かって 日系人公民権運動の闘士・藤井整の伝記



竹中平蔵金融大臣と金融庁が不況の元凶だ
日本の金融政策が米国の意向で決められる

2002年12月18日
もし金融庁が金融機関への過った行政指導をやめれば、もし投資家やエコノミストや証券会社が金融市場を信頼すれば、マネーは必ず0.1%の預貯金や1%の国債から大挙して5%の不動産投信に流れる。

現にアメリカでは不動産投信が20兆円市場を形成して常時国債の1%上ザヤに買われているから、中央銀行が公定歩合を下げればマネーは即座に不動産投信を経由して不動産市場に流れるのである。

もし竹中大臣が銀行や過剰債務企業への恫喝(どうかつ)と介入をやめれば、もし金融市場が正常な金利裁定機能を回復すれば、日本の不動産投信はアメリカ以上の巨大市場を形成する条件を備えている。

本には1,400兆円の金融資産がゼロ金利に不満を持つ一方で、不動産が超高利回りで叩き売りされているからである。

不動産相場の割安は不動産を不動産投信に組み替えれば歴然とする。不動産投信を国債や預貯金や株式投信と並べてみれば5%配当は突出して高い。

不動産投信のリスクを恐れる人は資本市場の機能を知らない人である。そこに大きな利回り格差が存在する限り、資金はどんどん不動産投信に集まる。
(山本清治のクラブ9より)

連日による私の米国批判は、長引く不況の原因が米国の日本への内政干渉であるからである。この事を詳しく知りたければ、13日の金曜日の「通産省・国売り物語」を読んでください。政治家と官僚とマスコミが一体となって、自分の保身のために米国に日本経済がダメになる事がわかりながら利益を売ったのだ。

マスコミの世論操作は竹中大臣のような売国経済学者を総動員して行われる。さらにはテレビ、経済雑誌、新聞、有名ジャーナリストまでもが追い討ちをかける。執拗に続く「不良債権処理キャンペーン」は米国の意向を受けて行われている。その狙いは日本の銀行を締め上げて、所有しているビルなどを市中に吐き出させることにある。

ハゲタカファンドにとって不動産ビジネスほど確実に儲かる投資物件はない。新生銀行ほどハゲタカファンドに貢献している銀行はないだろう。たった10億円で売られた銀行が2年足らずで1兆円もの利益を上げている。柳沢金融大臣が米国のファンドに1兆円プレゼントしたようなものです。

その柳沢金融大臣が言うことを聞かなくなったから、米国は小泉首相に指示して竹中平蔵大臣に金融相兼務を命じさせた。自民党の実力者たちは米国を恐れて竹中大臣をクビに出来ない。「北朝鮮カード」が効いているのだろう。しかし北朝鮮系の信用組合には4000億円ほど、気前良く公的資金が新たに投入される。たぶんその内の何%かは政治資金としてキックバックされるのでしょう。マスコミはその事を知りながら記事にはしない。

政府が銀行を締め上げるものだから、不動産市場は暴落してゼロ金利の時代に、10%以上の高利回り物件が沢山ある。日本の銀行は不動産関連事業には融資はしないから、外人投資家の一方的な市場になっている。日本の資本がアメリカのファンドに流れ、それが日本の資産を買いあさっている。日本は自分の金で自分の資産が米国に奪われているのだ。

小泉内閣を支持してきた「おばさん」たちも、ようやく小泉首相の正体に気付きだしたようだ。「構造改革」とは課税最低限の引き下げや、扶養控除の廃止や、年金給付の引き下げ、などとなって跳ね返ってくることなのだ。消費税も引き上げることだろう。政治家と官僚とマスコミは日本国民を踏み台にしてますます巨大化していく。これを食い止めるには自民党政権をひっくり返すしかない。これ以上米国が日本を食い物にするなら、米軍を日本からたたき出すしかない。韓国の反米感情は他人事ではない。

世界最大のビジネスチャンス 山本清治のクラブ9
零細企業・個人の借入金問題 (経済コラムマガジン)



アメリカの国家戦略と日本の国家戦略
石油帝国アメリカの滅亡と日本の行方

2002年12月17日
アメリカにはあと七年分の石油しかなく、他国に依存しなければ経済大国No.1の地位を保つことができない。サウジアラビアとは、米軍基地を置くほどうまくつき合っているが、埋蔵量の多いイラクとイランは反米色が強い。石油利権を得るには、両国の政権を倒して、親米政権を作り上げねばならない。時間のかかる外交でやるよりは、戦争を仕掛けた方が手っ取り早いということになる。

私は一九八〇年代の中頃、米海兵隊の演習を取材したことがある。場所はカリフォルニア州の大砂漠地帯だった。今思えば、その時代から、アメリカは中東における石油戦争の準備をしていたのである。今回、イラクとイランだけを名指ししたのではいかにも露骨すぎるので、北朝鮮を加え「悪の枢軸」のイメージ作りをしたのではないか。 こう考えてみると、アフガニスタンへの「報復攻撃」は、イラクやイランにまで戦線を拡大するための入口であったという疑いが濃厚になる。つまり、アメリカの国家戦略として、いずれはイラクとイランに親米政権を作る構想があった。

アメリカの石油採掘可能年数は短いので、その実現は早ければ早いほどよい。ブッシュの父が大統領時代に試みた湾岸戦争が中途半端に終わり、息子の代になって同じ構想が蘇った。ブッシュ大統領のバックボーンが石油メジャーであれば、「夢よ、再び」となるのは自然の理である。先ず、イラクを、次にイランをという戦略のためには、「きっかけ」と「口実」ができるのを待つだけでよかったとも言える。そこにはまったのが、同時多発テロであったことは言うまでもない。(中村敦夫新聞2002年6月号より)

アメリカ政府にはイラク攻撃の強硬派と穏健派がありますが、双方ともイラクの石油をねっらっていることには変わりがありません。ブッシュ大統領の狂気とも思える外交姿勢はアメリカがいかに石油資源に対する危機感が強いかが現れている。しかしながらその実態は国家機密であり真相はわからないが、研究者によるとアメリカの石油資源はあと数年で石油生産のピークを迎える。

たとえイラクの石油を抑えることが出来たにしろ、アメリカは石油を海外からの輸入に頼らなければならなくなる。中東の油田地帯はアメリカの裏側にあり、反米感情の強い地域を軍事力で支配するにはかなり困難が伴う。湾岸戦争以降、外交でイラクに親米政権を作ろうとしたが失敗し、力づくでフセイン政権を倒そうというものだ。それほどアメリカはエネルギー確保に焦っていると見るべきだ。

2年ほど前のIT革命でアメリカは恒久的繁栄を手にしたという馬鹿げた事を言う、エコノミストたちがいたが、IT革命は幻であり、アメリカはエネルギー資源の枯渇により滅亡の危機を迎えていると見るべきだ。いかにコンピューターが優れたものとは言っても電気が無ければ動かない。如何に巨大な原子力空母があったとしても、艦載機はジェット燃料で飛んでいる。まさに石油が無ければ、アメリカは張子の虎だ。

アメリカの繁栄は1859年のアメリカ・ペンシルバニアのオイルクリ−クでエドウィン・ドレイクが石油掘削に成功したことによって始まったと見るべきだろう。それと同時に自動車と汽船の発達が輸送に革命をもたらし、アメリカは輸出大国となった。アメリカの繁栄の理由としてはさまざまな理由があるが、その歴史は石油生産の伸びと一致している。自動車にしても汽船にしても石油以外で動くものは例外的だ。

それから石油は1970年頃まで石油の大過剰時代であり、アメリカの黄金時代を迎えた。しかし1965年以降大油田の発見はぴたりと止み、2度にわたるオイルショックを迎えることになった。しかしそれはエネルギー欠乏時代が来る予兆に過ぎず、これからがオイルショックの本番が訪れる。日本においても影響は深刻であり、今までのオイルショックは価格の高騰であったが、これからのオイルショックは石油の奪い合いがもたらす油断が大きな問題となる。先日、日本石油連盟が石油の見通しを発表したが、大本営発表である。ドイツの学者は次のように警告している。

ポイントは、埋蔵量より、油田発見量と石油消費量の相関の数値なのです。30年前に比較して石油を発見する方法論や探知機は圧倒的に進化しています。しかし、その最新技術を投入しても、石油を発見するペースが著しく伸び悩んでいるのです。石油を4単位消費する一方で発見できるのは現在1単位にすぎません。消費が伸びる一方、発見が行き詰まりをみせています。このギャップが急速に開いています。極論すれば、石油は存在しているのかもしれません。しかし、ともかく発見できなければどうしようもないのです。

70年代のエネルギー危機と本質的に構造が異なることを確認してください。生産が急減するというのは非常にリアルな問題、巨大なインパクトを生む問題ですが、マスメディアも、政策決定担当者もリアルにとらえて備えをしていない現状を彼は真剣に批判しています。埋蔵量ではないのです。事実上の発見の行き詰まりによる生産急落なのです。エネルギーを効率良く使いましょうのレベルではもはやありません。5年以内に、アメリカの全産業を維持していくだけの石油量を維持できなくなることがわかっています。石油文明の終息の足は想像しているよる早いのです。備えや転換が劇的に必要です。(ドイツの学者のレポートより)


巨大油田の発見がなくなった以上は石油の枯渇は時間の問題だ。石油そのものはあるだろうが1バレル200ドルとか2000ドルとかに高騰すれば、近代文明の終焉を迎えることになる。早急に石油以外のエネルギーで動く自動車や飛行機や船が望まれていますが目処すらついていない。アメリカはあと数年で経済大国と軍事大国としての地位から転落することになる。中国、ロシアも高度成長することなく立ち枯れる。エネルギー資源の壁が立ち塞がるからだ。日本も例外ではない。

中村敦夫新聞2002年6月号
20世紀石油資源論(関岡正男
ドイツ人地質学者のレポート



西部劇「シェーン」と「天国の門」に見るアメリカの本性
「無法者の世界の保安官」に逆らえばテロリストの烙印

2002年12月16日
1892年に、舞台となったワイオミング州で、ジョンソン郡戦争、と呼ばれる抗争があった。牧畜業者グループと、主に東欧からの開拓農民との争いである。この戦争の経緯を真正面から映画化したのがマイケル・チミノの『天国の門』。牧畜業者側は、テキサスあたりから75人のガンマンを雇い、農民の追い出しにかかったのだが、米陸軍も介入して、けっきょくガンマンたちの多くは投降し、戦争は終わった。『シェーン』はこの戦争の後日談である。アメリカ人観客は、グランド・ティートンの山なみが画面に映った瞬間に、ワイオミング、ジョンソン郡戦争と連想する。シェーンは、「戦争」に負けてジョンソン郡から逃れてきたガンマンなのだ。

シェーンがやってきた谷で、もうひとつの同じ構図の抗争があった。シェーンは本来なら毛嫌いされておかしくはない立場なのだが、バン・ヘフリン一家の優しさと、奥さんの魅力に惹かれ、こんどは逆に農民の側について、ガンマンとしての腕を発揮することになったのだ。「戦争」の中でシェーンがどれほどの働きをしたかは、直接説明されないが゛初対面のジャック・パランスがシェーンの名を知っていることもからも、だいたい想像がつく。シェーンは、もはや生き延びたり、堅気になったりすることも不可能なほど、ジョンソン郡では大きな罪を犯してしまっていたのだ。(私の好きな西部劇より)

西部劇の「シェーン」はガンマンといえば聞こえはいいが、どの時代の何処にでもいるヤクザ、ゴロツキにすぎなかった。治安が悪かったからそれなりにガンマンの需要があった。治安を担当する保安官も無法者たちとたいした違いは無く、胸にバッチを着けているかいないかの違いしかなかった。ブッシュ大統領をはじめとするアメリカ人の精神構造はその時代からたいした変化はしていないのだろう。

「無法者の保安官」には法律による規定というものは無く、彼に悪者であると名指しされたものが犯罪者であり、実在したワイアット・アープなども、何人も人を殺しながら有罪には問われていない。喧嘩をする前に要領よく保安官のバッチをつけて相手を殺しながら、喧嘩が終わればバッチを捨てるといったのが事実だろう。ワイアット・アープ自身賭博場の経営者であったことからも想像がつく。

しかしながら西部劇の映画の中では腕のたつ名保安官として描かれている。「シェーン」にしてもハンサムなアラン・ラッドが演じて好人物に描かれているが、実際にあったジョンソン郡戦争を題材にした映画だ。当時の牧場は牛を全くの放し飼いで放牧しており、所有者もはっきりしない牛が多かった。だから他人の牛が自分の牛の群れに紛れ込んだりするとトラブルになり牛泥棒呼ばわりする事件が相次いだ。さらには牧場主と農家との土地の争いも起きた。その際に牧場主たちはガンマンを雇って解決しようとした。日本のヤクザの縄張り争いと同じだ。

現代のブッシュ大統領も、イラクのサダム・フセインを大量破壊兵器を持っているとして、軍事制裁をしようとしている。イラクが大規模な油田を持っていなければこのような目に遭わずとも済んだのだろうが、アメリカの石油財閥の強欲により戦争を仕掛けられるのだろう。国連の制裁決議は「無法者の保安官」バッチにすぎない。腕の立つ無法者の保安官ほど厄介者はいない。ブッシュ大統領を「うすのろ」と呼ぼうがなんだろうが、世界は西部劇の荒野と変わりなく、強いものが土地を占有し利益を独占してゆく時代だ。

アメリカはこれからも世界のあらゆる国に因縁を吹っかけて戦争を仕掛けるだろう。日本からは金を奪い、イラクからは石油を奪い、中国からは労働力を奪って帝国を維持して行くのだろう。その強欲さはアメリカの歴史そのものを見ればわかるとおり、牛の放牧の邪魔になるからとバッファローを絶滅させ、インディアンを滅ぼした。黒人を奴隷として使い、日系人を強制収容所に放り込み、アフガニスタンやイラクでは現在も無差別爆撃を続けている。その有様は西部劇時代の「無法者の保安官」そのものだ。

映画「シェーン」と「無法者の保安官」
「悪質な正義漢」と「律儀な無法者」



インターネットが韓国大統領選挙を変えている
15秒の政治家 田中真紀子の時代の終わり

2002年12月15日
【ソウル堀山明子】在韓米軍の装甲車が女子中学生2人を死亡させた事故に抗議し、連日続いている被害者追悼・反米集会は14日、さらに拡大し、全国57カ所で開かれた。韓国大統領選が19日に迫り、野党ハンナラ党の李会昌(イフェチャン)候補と与党・新千年民主党(民主党)の盧武鉉(ノムヒョン)候補は、世論の動きに神経をすり減らしているが、韓国にとって重要な米韓関係にかかわる問題だけに、慎重な構えを崩していない。

 この日の集会は「10万人」を目標に、市民団体がインターネットで呼びかけた。ブッシュ米大統領が13日夜、金大中大統領に電話し「深い哀悼と謝罪」を表明したことで、政府関係者は14日の集会の沈静化を期待していた。しかし、電話会談直後からインターネット掲示板には「謝罪になっていない」「国民に直接誤るべきだ」など市民の抗議が殺到。「電話による謝罪」が火に油を注いだ形だ。(毎日新聞)[12月14日23時30分更新]

今日の「サンデープロジェクト」において竹中平蔵大臣と田原総一郎氏が、銀行の不良債権処理について誤解であると全面否定していた。これは高杉氏などが「竹中大臣はメガバンクを潰してハゲタカファンドに売り渡す」と攻撃したからですが、かなり竹中大臣は堪えたようだ。インターネットなどでも竹中大臣は総攻撃にあっていた。

それに対して田原総一郎氏と竹中大臣はじめとする学者、評論家、若手政治家をそろえてテレビを使った反論を繰り広げていた。「報道2001」でも竹中大臣と、彼のお目付け役の外資系証券のフェルドマン氏が出演していた。このように彼らのグループは資金豊富であり、テレビなどのマスメディアを使って一方的な宣伝工作をする。

それに対する反対派の論者は、出演して意見を述べることは出来ない。まったく一方的な欠席裁判であり、言論の中立性を欠いている。彼らにとってテレビはプロパガンダの手段である。それに対して反対論者はインターネットなどで反論するのが唯一の手段になっている。視聴者の数から言えば比較の対象にならないほどの言論戦だ。

しかしながらインターネットの言論は次第に力をつけて、政治家も無視できないほどの力になってきつつあるのも事実だ。テレビや新聞が世論操作しようとしてもインターネットが反論して思いどうりにならないケースが増えている。北朝鮮問題もテレビが北朝鮮よりの報道をするとテレビ局に抗議の電話やFAXが殺到するようになっている。これもインターネットが原因になっているのだろう。

韓国の大統領選挙においてもインターネットが大きな働きをしている。20代や30代の若い有権者は反北朝鮮感情より、反米感情の方が強いようだ。14日に全国で10万人規模の米軍への抗議集会が開かれている。これもインターネットの呼びかけによるもので、以前だったら大手マスコミさえ抑えておけば起こりえない出来事だ。

インターネットが選挙で有効な手段となってくると、以前のような宣伝カーに乗って名前を連呼するスタイルの候補者は落選し、ネットを有効に使った候補者が当選するような時代が来る。そのような時代になると小泉純一郎や田中真紀子のようなテレビを使った15秒政治家は時代遅れとなる。インターネットは次のように言っている。

●15秒の政治家、田中真紀子
 インターネットを使えるように公職選挙法改正案を提出して以来、数々の取材を受ける。その時に聞かれるのが、「インターネット選挙になることによって改善されることは何ですか?」ということである。もちろん、コストが安くなったり、双方向の政治ができたりすることが挙げられるが、私は何よりも民主主義が発展することだと考えている。

 今や、小泉人気、田中人気がすごい。しかし、これはテレビ映像15秒の中で作られた人気である。小泉さんも、田中さんもフレーズ短く、インパクトよく話す。ニュースステーションの久米宏さんは15秒で見事にまとめることで有名である。15秒とは、テレビコマーシャルの短いもの。15秒の中でピシッと言うと、テレビが取り上げやすい。そして、この15秒の映像は、何度も何度も繰り返し流され、人々に刻みつけられる。

 もちろん、短いフレーズがクローズアップされたとしても、他の部分に内容があれば問題ない。しかし、小泉総理の答弁を聞いていても「聖域なき構造改革」とか「おそれず、ひるまず」とかいう得意なフレーズは見事だが、肝心の内容となるとメモを見ながらボソボソというのが真実である。まさに、テレビが創った政治家だと言っていいと思う。もちろん、それを見事に利用しているのは認めるが・・・。

このようなテレビを使って15秒足らずのフレーズを何度も何度も国民に叩き込み、国民は知らずの内に洗脳されてしまう。いまだ国民はその洗脳から覚めてはいないようだ。権力者からの洗脳から逃れるにはインターネットを利用するのが一番だ。小泉首相のホームページを見ても内容は何もない。国会における答弁書の棒読みが彼の正体だ。国民はイメージだけを叩き込まれ踊らされているのだ。

インターネット解禁法 15秒の政治家からインターネット政治家へ
インターネット全開2000年米国大統領選挙 船橋洋一



<独立調査委>キッシンジャー委員長が辞任
やはり政権内部に9・11の黒幕はいるようだ

2002年12月14日
【ワシントン佐藤千矢子】キッシンジャー元米国務長は13日、ブッシュ政権が昨年の同時多発テロの警告情報を事前に入手しながらテロを阻止できなかった原因などを調べる独立調査委員会の委員長を辞任する意向を表明し、ブッシュ大統領も了承した。

 同委は先月27日に創設されたばかり。同時多発テロの犠牲者の遺族らが、調査の公正を確保するために、キッシンジャー氏が代表を務めるニューヨークの国際コンサルタント会社の顧客リストを公表するよう要求。これを支持する民主党と、公表の必要はないと主張するホワイトハウスの間で論争が続いていた。キッシンジャー氏は「(テロ調査と顧客との間で)利害の衝突が生じても解決できるかもしれないが、独立調査委の業務は著しく遅れることになる」と辞任の理由を説明した。

 今月11日には同委の副委員長が法律事務所を辞めるよう求められて辞任している。大統領は新委員長を早急に任命し、1年半以内に報告書提出を求めるとしているが、調査開始前に正副委員長が辞任する異例の事態に、調査の難航も予想される。(毎日新聞)[12月14日10時51分更新]

ブッシュ政権は二つの勢力から成り立っている。一つは親イスラエルのシオニストグループでありイラク攻撃を主張している。もう一つは共和党主流派の石油財閥グループでありイラク攻撃慎重派である。キッシンジャーはロックフェラーの番頭であり当然共和党主流派である。そのキッシンジャーが独立調査委員会の委員長から引き摺り下ろされた。それのみならず副委員長も辞任している。

9,11テロの真相を調べられては困るグループが、いろいろとクレームをつけて調査を妨害しようとしている。アメリカのマスコミも9,11テロの真相追及はほとんど行おうとしていない。3000名近い犠牲者が出た大事件であるにも拘らず、真相を究明しようとしないのは何故か。そしてテロリストグループを秘密軍事裁判で裁くのは、真実がばれるのを抑えるためではないのか。など、疑惑が疑惑を呼んでいる。

遅ればせながら誕生した調査委員会の委員長に、ブッシュ大統領はキッシンジャーを指名した。キッシンジャーは9,11テロの黒幕グループと関係を疑われているからクレームが付けられたのではない。真相を調べられたら困るグループからクレームを付けられたと見るべきだろう。米政権の二つのグループの勢力争いが原因だ。その色分けはイラク攻撃で強硬派と慎重派で明確に色分けされている。

ブッシュ大統領は板挟みになって動きが取れなくなっている。アメリカ軍部も高官はイラク攻撃慎重派であり、イラク攻撃強硬派は政府のもう片方のグループとマスコミだけである。国民からも反戦デモなどが起きるようになっている。状況からすればとてもイラク攻撃は無謀だ。しかし米テレビ局は盛んに戦争を煽っている。新聞もニューヨークタイムズを除いて強硬派である。いかにシオニストグループがマスコミに根強いか物語っている。

イラク攻撃慎重派は北朝鮮問題を取り上げることでブレーキをかけようとしている。北朝鮮のほうがテロリストにミサイルを売ったり、核を開発したりとやりたい放題だ。これはイラク攻撃の理由と矛盾する。アメリカ世論も北朝鮮のほうが脅威だと思い始めている。これに対して強硬派は第二の9,11テロを起こして対抗するだろう。

偽善の反戦ー自ら変更報道を認めたニューヨークタイムス(佐々木敏)



日米経済戦争・「通産省・国売り物語」(要約)
米帝国は日本を徹底的に滅ぼす、カルタゴのように

2002年12月13日
アメリカを弁護する知米派は「日本 叩きで盛り上がるのは議会・政府筋だけ」とよく言います。実際この時も「競争力の ある日本製品を締め出すのはおかしい」という意見も出ているのです。ところが日本 のマスコミは、「日米開戦を思わせる」と、通産官僚が持ち込んだ交渉相手の様子を 引用して、官僚の話を受け売りした記事で危機感を煽ります。「日本資産の凍結」と いう、まさに資本主義経済システムの根幹を棚上げする戦争行為を、アメリカが準備 しているかのような噂まで流しました。実はこれは、日本が米国債購入を止めた時の対応策として検討されたものだったの ですが、内政での輸入制限などとは訳が違う。

構造協議では「双方に意見を言う」と言いつつ、その実アメリカが一方的に日 本に要求を突きつけ、やがてここから、本来なら過去の不況時の財政出動国債を償還 すべきバブル景気時の日本に430兆もの公共事業を義務づけるという、経済原則を 無視した無茶な要求を呑まされることになり、まさに今日の財政破綻に至るのです。  これこそ構造協議の最重要課題であり、それがいかに常軌を逸した害の甚大な要求 かは、エコノミスト90−9/11の安倍基雄氏の論説に詳しいですが、構造協議で 持ち出された無茶な要求は、それだけじゃない。

ヤクザに差し出す「みかじめ料」に も等しい米軍駐留費負担増額すらも、この構造協議の中で持ち出され、そのために地 位協定の変更すら迫られるのです。こうした屈辱的な交渉はマスコミで、「大店法」 などを盛んにアピールする報道に隠れ、あたかも「アメリカは業者エゴを叩く国民の 味方」であるかのような宣伝がなされ、アメリカの外圧そのものを正当化する世論操 作が横行したのです。


中・韓の振りかざす歴史カードで自衛隊を派遣できない日本に「血を流さない卑怯 者」などと言いがかりをつけ、アメリカ好戦文化の勝手な情緒を振りかざしての無理 難題。その一方で、実は「海上保安庁の巡視船なら」という日本政府の検討を嗅ぎつ けたアメリカのマスコミが「軍艦を出そうとしている」などと嘘を報じて中・韓を煽 り、日本の足を引っ張る有り様でした。

露骨な日本叩きが横行しながら、「輸出でアメリカの労働者を苦しめるな。アメリ カで売るものはアメリカで作れ」と、政治要因でアメリカ進出を余儀なくされた日系 企業は「バイアメリカン」の差別を突き付けられました。こうした反日による嫌がら せに、投資も回収出来ないまま次々に撤退し、多くの日本企業が大きな痛手を受けた のです。   この時期、日本では、盛田氏と新日鉄の永野氏との論争がありました。「経済競争 で外国に遠慮すべき」と、盛田氏の露骨な外圧擁護は「そのためには時短だ、ゆとり だ」と、まさに「自らの競争力を削げ」という逆立ちした論理で、現在に至る日本産 業弱体化の素地を盛り上げたのです。

そして外交面でも中国との「戦略的パートナーシップ」と称して甘やかし、日本に 孤立感を迫るような愚かなクリントンの行動は、中国の増長を招いて、多くの識者か ら「最悪の外交政策」の烙印を捺されます。それが2000年選挙の民主党敗退の大 きな要因となった事は記憶に新しい所ですが、一方の市民団体・アカデミズムにおい ては「日本罪人視」「日本企業狙い撃ち集団訴訟」の暗黒環境がふてぶてしく居座り、 その不当を指摘すると「日本の肩を持った」と言われて学者生命が危なくなる・・・ とまで言われる知的抑圧状態が続いています。

アメリカが行った、最も悪質な保護貿易は、為替操作による相手国通貨吊り上げで しょう。「基軸通貨」の地位を悪用し、その地位を任せた「世界」の信頼を裏切って の円高攻撃。クリントン政権は発足当初から「為替を武器にする」と言明していまし た。そして、押し売り協議で日本が言いなりにならないからと、円高容認の口先介入 によって1ドル100円に迫る数値を出したのです。アメリカは頻繁に、通貨を梃子 に脅して押売交渉を行い、日本を含めた世界の「ドルユーザー」に破滅的な為替差損 を強制しました。投機筋は「基軸通貨管理国」のアメリカ当局の発言に機敏に反応し ます。そうした地位を利用した、これは最悪の国際経済犯罪です。ガットでも曖昧な 表現ながら禁止していた行為です。

そもそも基軸通貨というのは、世界中が準備通貨として必要とするものです。それ を裏付けとして自国通貨を発行する事になります。そして、市場が必要とする通貨量 は国内経済規模に見合う量であり、その分だけの通貨を発行できる訳です。つまり、 各国が自国経済発展に見合う量の自国通貨を出すために、それだけの外貨準備として のドルを必要とする・・・という事は、アメリカだけは世界中の経済成長に見合うド ルを発行できる。つまりアメリカは、世界経済全体の成長を担保に、膨大な通貨を印 刷・垂れ流しする事が可能になる。

「日本は黒字が大きいから、何を言われても仕方がない」という論理無視を、葵の 御紋のように振りかざすのが、アメリカや、それを擁護する従米派マスコミの十六番 で、下手をすると「黒字が大きい」というだけで、外国による不公正行為をガットに 訴える事すら「資格が無い」かのように強弁する暴論も多いのです。「黒字」という 結果主義によって自由貿易システムの出番を否定するような人は「自由経済の敵」と 言われて寸分の反論も出来ないでしょう。

逆に、対日進出したアメリカ企業は、強欲な搾取への欲望を隠そうとしませんでし た。東燃などは、エクソン・モービルが協調して過大な配当を要求し、92年12月 期にはなんと175%という配当性向を要求。利益を遙かに超える配当という、経済 の常識を踏み躙る暴挙をやらせて会社の資産を取り崩しを強要したのです。株主権の 乱用によって、過大な利益に舌鼓を打つアメリカの資本家達。その強欲な行動を「日 本は株主に対する認識が甘い」などと開き直るアメリカと、それを後押しするマスコ ミ・・・。

それまで一体誰がアメリカによるソフト技術独占を誰か批判したでしょうか? 航 空・宇宙技術独占は? 逆に自助努力でアメリカの独占に対抗しようとした日本を、 アメリカは叩きました。  「だからこそ日本が技術を解放し、テクノグローバリズムのリーダーになるのだ」 と、自称国際派は言いますが、日本の技術バーゲンで、国際社会における技術的リー ダーの地位に少しでも近づいたか? 事実は逆で、日本の影響力は今や見る影も無く、 ナショナリズムを振りかざして技術支配力を格段に強化したアメリカの、独り舞台に 成り果てたではありませんか。日本での共同研究で得た成果を本国に持ち帰って、特 許で囲い込む悪徳研究者が多数出現している(「乗っ取られる大国日本」浜田和幸著) という現実すら多いのです。

さらに言えば、アメリカの議員は「得票」のためにこそ、対日強硬派として行動し た。それはつまり、何だかんだ言っても、アメリカ市民は「日本叩き」を喜んでいた のだという事です。アメリカの政治家や官僚にとって、日本叩きは「ゲーム」だと、 多くの人が表現します。アメリカ側の、論理的には到底成り立たない我が儘は、まさ に「我が儘を通す」ことにより、自己の力を誇示する・・・。これを行う弁護士出身 の担当者が、「ゲーム感覚」で得点を競い、そのために、あらゆる手法で反日感情を 煽る。これは典型的に危険な衝突コースで、普通の国であれば当然反発します。

世界的に見て、外国に「言うことを利かせる」事の快感を求めて、政治大国を指向 して醜い争いを繰り返す独裁者の、なんと多いことか。それは民衆をも酔わせ、独裁 者の地位を堅固にします。そのためにこそ、イラクのフセインや金正日のように、危 険な軍拡に走って国民を不幸に陥れる罪人は、後を絶たない。アメリカの日本叩きも また、その同類です。

このような、相乗的に悪化する要求・譲歩・増長というサイクルを断ち切るために は、日本からの怒りによってアメリカの要求を拒否する他は無いということは、誰の 目にも明らかなのです。そして、多くの人の指摘するところでもありました。ところ が自民・通産の政官複合体は、「譲歩すればアメリカは宥められ、摩擦は収まる」と 主張し、言いなりを続けてアメリカの我が儘を肥え太らせたのです。「摩擦を未然に 食い止めるには、アメリカから言われる前に、進んでアメリカの意を汲むべし。」な どとアメリカ通を自称する提灯学者やに説法させて、日本の政治システムを丸ごとア メリカに奉仕する御用聞きと化していきました。小倉氏の言う「こうした論議に迎合 し、米国や西欧の批判を日本にとりつぐことだけを自らの存在意義としているエセ国 際主義者」とは、まさにこうした人達なのです。

通産OBの天谷氏は言います。摩擦は感情レベルだから理屈は通用しない。理不尽 でも言うことを聞け・・・と。彼に言わせると、アメリカが強くて日本が弱ければ日 米関係はハッピー。日本が強くなるとアンハッピーだ。だから日本は弱くなれ・・・ と。そして、相手にいかに「与える」か・・・という経済の世界を、相手からいかに 奪うか・・・という軍事の世界と混同し、項羽や源義仲を引用して「強くなった日本 も同じ運命を辿る」と脅しました。ビジネスでの顧客への奉仕による成功を、あたか も不道徳な軍事支配と混同し、努力によって繁栄する権利そのものを否定する。これ が「通産省最大の論客」と呼ばれた人の主張です。

不思議なのは、少しでもアメリカの要求に理解を示すような「考え」を政府の人間 が示すと、それは直ちに「国際公約」と取られて「実現」を要求される事です。これ では、まともな国なら、果てしなき突っ張り合いを演じる事を強制されるのと同じで す。ところが日本だけは、唯々諾々と「公約化」を受け入れ、政府もマスコミもその 「実現」を、あたかも「国家目的」のように自国を犠牲にしながら奉仕を続けたので す。 、日 本に犠牲を強い続けるアメリカが、「自分達の満足は日本の不満」という状況を作り 続けている。だからこそ「こんな事が続く筈が無い」という猜疑心に苛まれ、いつか 日本は造反するに違いないと、日本に対する敵視に直結する。その敵意を満足させる ために、「敵対不可能」なほどに日本を弱めるために、さらに日本を苛める・・・。

こうして、左右両派が、アメリカと中露の利益を代弁して「日本潰し」を競う。彼 等は日本を潰すための車の両輪であり、裏の同盟者なのです。そして今までの日本に おける「政治勢力」は、そのどちらかだった・・・。それはつまり、日本において「 政治的要求の正当な根源」は、日本人ではなく外国の利益だったから・・・。日本人 自身の利益に根源を置いても、それは「利己主義」と見なされた。その意味で日本人 は、本当の「主権者」としての地位を奪われていたのです。  こう考えると、今までの日本の「体たらく」は、極めて自然な成り行きなのです。 しかし、そんな「現実」を認めていいのでしょうか?
(通産省・国売り物語より)

通産省・国売り物語(かなり長文) 馬借



民主政調会長に枝野氏、国対委員長は野田氏

2002年12月12日
民主党新代表となる菅直人・前幹事長は12日午後、枝野幸男・前政調会長代理(38)、野田佳彦国民運動委員長(45)と党本部で会談し、枝野氏に新執行部の政調会長、野田氏に国会対策委員長への就任を要請、両氏も受諾した。枝野氏は新党さきがけ出身で、衆院当選3回。野田氏は日本新党―新進党出身で、衆院当選2回で、清新な顔ぶれとなった。

 菅氏は国対委員長について、当初、石井一副代表(68)を充てる意向で、11日夜に就任を要請したが、党内の反発が強く、最終的に起用を見送った。また、菅氏は、新たに幹事長代理に北橋健治衆院議員(49)を起用するほか、赤松広隆選挙対策委員長(54)、川端達夫組織委員長(57)はそれぞれ留任させることを内定した。角田義一参院議員会長(65)ら参院の役員は続投する。羽田孜特別代表(67)は、特別代表を辞任する考えを示している。新執行部人事は13日の両院議員総会で正式決定される。(読売新聞) [12月12日19時49分更新]

民主党の役員人事が発表され、ほとんどが40代という若手で組織するようです。先日私は民主党は自民党が一番嫌がる事をするべきだと書きましたが、菅直人新代表は私の提言を受け入れて?、若手で民主党を組織するようです。それしか自民党に対する対抗手段が無いからです。そうすれば自民党の若手も黙ってはいられないでしょう。

税制の改革を見ればわかるとおり、自民党は長老が税制調査会を牛耳って、税制は膠着してしまっている。民主党はここを突くべきです。課税最低限の引き下げや、扶養控除の廃止を自民党税調は決めたようだ。もし本気でそうするなら国民の反発は大きなものがあるでしょう。そうなってしまったら消費税の時のように民主党は地すべり的大勝が望めます。

株や土地の税制も私は提言していますが、自民党税調はまったく聞く耳を持ちません。資産デフレの原因は税制にあるのだ。民主党はここに重点を置いて減税で政策を訴えてゆけば、無党派層はきっと反応するはずだ。小泉首相の丸投げ政治は国民みんなが呆れ返っている。

一つ懸念されることは民主党の若手には竹中平蔵大臣と近い議員が多い。竹中流ハードランディング政策をとられたら最悪の事態になる。菅新代表はこの点をはっきりさせて新しい経済政策を打ち出すべきだ。



英国の失われた10年から今日本が学べること
ケインズが指摘した英財務省と英国銀行の誤り

2002年12月11日
1920年当時、英国は長期の停滞を余儀なくされ、有名な英国経済人の多くは、『イギリ ス経済の構造を根本的に改革しなければならない』と主張し、具体的な問題点として、労 働市場の硬直性・政府予算の無駄遣いと国家債務の増大・戦闘的労組による賃金闘争・諸 外国の保護貿易政策・繊維産業や石炭産業・重工業のコスト高と合理化努力不足・当時の イギリス人の企業家精神の欠如等上げている。この構造問題に真っ向から挑戦したのがか の有名なケインズであった。ケインズは20年代の長期停滞の原因は英財務省と英国銀行 による金融政策の失敗であると確信していた。そのケインズがデフレの悪影響として具体 的に7点を指摘している。

1、 名目売上高が毎年低下する状況では企業家が萎縮する。
2、 将来の値下げを期待して、消費者が財・サービスの購入を延期する。
3、 デフレは実質利子率を上昇させ、投資を阻害する。
4、 デフレは貨幣保有量を増加させ、通貨の流通速度を低下させる。
5、 デフレ下では実質賃金が高止まりし、企業収益が低下する。
6、 過去の債務がデフレによって実質的に増加する。
7、 デフレ下で産業の合理化を進めると、デフレの影響がますます強くなる。

この7つを根拠に、リストラよりもデフレ解消が優先されるべきであると力説している。 ケインズの具体的な政策提案として、英国銀行による通貨増刷とポンドの大幅な切り下げ を主張した。この政策は、異端的で無責任であると批判された。 英国がこの失政と1930年以降の世界恐慌の影響により『失われた10年』を『失われ た20年』としたことを忘れてはならない。 今の日本の政府はリストラ・構造改革が本流であり、また日銀は通貨の増刷はインフレに 繋がると慎重な姿勢を崩さない。インフレターゲット論などもっての外である。 日本は、英国と同じ失敗の道を歩んでいるのだろうか、2003年3月末に速水日銀総裁 の任期が切れることで、政策の転換につながるのであろうか、私は楽観論を取りたいが。 (株式会社イカス(ICAS)メルマガより)

英国の経済学者のケインズの名前を知らない経済学者はいないだろう。しかしながら日本の財務省や日本銀行の職員や政治家たちはケインズ経済学を知らないのだろう。あるいは知っていてもケインズ政策を実施できない圧力を受けているのだろう。日本のテレビに出ているエコノミストでケインズ政策を主張しているのはリチャード・クー氏と植草一秀氏ぐらいだった。

それ以外の多くのエコノミストやテレビジャーナリストは「構造改革」の一本やりで、1920年代の英国そっくりの状況だ。特に田原総一郎氏をはじめとするグループは竹中平蔵氏をはじめ、学者や評論家や若手政治家を総動員して「構造改革」キャンペーンをしている。テレビのみならず日経新聞や東洋経済などの経済雑誌も論調は同じだ。長引く不況は「構造改革」が遅れているからという主張は尤もに聞こえる。

それに対して私は、日銀と大蔵省は金融政策の失敗を「構造改革」に押し付けていると指摘してきました。それがはっきりわかったのはリチャード・ヴェルナーの「円の支配者」という本を読んでからだ。日本の多くのエコノミストや東洋経済はこの本を「とんでも本」として評価している。しかしこの本は金融政策の本質を突いている。これ以降、日本でもインフレ・ターゲット論者が増えてきた。先月から日銀も株を買い始めた。しかし半信半疑なのか及び腰だ。

本来ならば民間銀行が手元に資金的余裕が出来たならば、融資として市中に資金が供給されるのですが、銀行は国債ばかり買っている。それでは金融緩和の意味が無いので日銀が直接株を買って資金供給するしかないわけだ。しかし10兆円では焼け石に水だ。アメリカは前から金融緩和しろと圧力をかけていたが、日銀としては何をどうしていいかわからなかったのだ。それに対してヴェルナーは日銀が株や土地を買えばいいと主張していた。

ケインズはデフレが実質利子率を引き上げ、タンス預金の増大させる事を指摘している。さらにデフレだと投資活動をするより現金を持っていたほうが有利である。リストラされる心配のないサラリーマンや公務員や年金生活者にとっては天国のような生活が出来る。じっと待っていればどんどん物価は安くなるから物を買わなくなり、じっとしていればいいのだ。

しかしそれは蛙の茹で殺しのようなもので、ぬるま湯で気持ちいいと思ってるうちに、気が付いた時は手遅れなのだ。サラリーマンはリストラされ、公務員は賃金カットされ、年金生活者も年金をカットされる。税金は重くなり失業者が町に溢れる頃は手遅れになっている。経済学者やエコノミストは1930年代の大恐慌の教訓を学んでいないし、ケインズ政策も時代遅れと思っているようだ。

ポール・クルーグマン教授はインフレターゲット政策として、インフレ率を4%にして貸付金利を2%以下とする事により2%以上のマイナス金利にして投資活動を起こせるとしている。しかし日銀にこのような金利調整が出来るだろうか。世の中にはインフレ率を量るメーターはない。その代わりになるものとしては株価がある。米国のグリーンスパンFRB議長は株価を目安に金融操作をしているようだ。

英国の失われた10年から今日本が学べること




米国戦略の三次元方程式(マイケル・クレア)
「米軍の近代化とエネルギー資源の確保」

2002年12月10日
ブッシュが目指した軍の転換には、二つの主要な目標がある。ひとつは、ミサイル防衛システムを構築し、かつハイテク兵器の分野における米国の優位を維持することにより、国土の守りを万全に固めること。いまひとつは、イラン、イラク、北朝鮮のような、米国に敵対する地域強国に攻め込む能力を向上させることである。そこでブッシュは、米国50州を守るミサイル防衛システムの開発を支持し、コンピュータ、高度センサー、ステルス機器、その他のハイテク技術を戦場で徹底的に活用しようという「軍事思想革命」を支持すると明言した。現大統領によれば、この政策が、米国の優位を「先々も」保証することになるはずだった。

報告書によれば、米国の外国石油依存度は、2001年には総消費量の52%だが、2020年には66%に増加する見込みである。総消費量の増加に応じて、現在は日量1040万バレルの輸入量そのものも、2020年には60%増の1670万バレル前後にまでもっていく必要がある。そのためには、産油国を説得し、生産量を上げて米国への販売を増やすようにさせるしかない。

まさにここにおいて、ブッシュ政権の軍事戦略とエネルギー政策の驚くべき並行関係が明らかになる。恒常的な政情不安を抱えた地域の石油資源にアクセスしようというエネルギー政策は、米国がそれらの地域に威力を及ぼす能力を備える限りにおいてしか実現しえない。政治の責任者はともかく、軍の幹部がこの結論に達したことは疑いない。国防総省は、2001年9月に発表した「4年毎の国防計画見直し」報告の中で、「米国とその同盟国が、今後も中東のエネルギー資源に依存しつづけ」、それへのアクセスが、さまざまな軍事的手段によって妨害されうることを認めている。次いで同報告は、米国がこうした脅威に立ち向かううえで必要となる兵器と部隊の種類を記述する。それらは、まさにブッシュが先に引用した発言の中で並べあげたものにほかならない。米国の軍事戦略は「米軍の世界的な威力到達能力にかかっている」と報告書は述べる。

米国指導者層の最初の意図がどのようなものであったにしても、国際安全保障に関する三つの優先課題(軍の能力の向上、新たな石油調達先の追求、対テロ戦争)は、もはや融合して唯一の戦略目標となっている。これらを別個に分析することは、次第に難しくなりつつある。米国戦略の全貌をくまなく記述するには、その目標を一語で言い表してみるしかない。それは「米国の支配のための戦争」と要約しうる。目標の一元化の長期的帰結を検討するのは時期尚早だとしても、さしあたり言えることがある。

まず、これらの方針は、いったん結びつくと、さらに強力に進められるということだ。国家安全保障の重要な側面をこれほど網羅した戦略を批判することは、たしかにきわめて困難である。それらが別々に示されたなら、個別に制約を課すことも可能である。たとえば、軍事予算を制限したり、石油の豊富な地域への部隊の派遣を減らすなどを要求することができる。しかし、これらの目標がすべて、反テロリズムの錦の御旗のもとにまとめられてしまうと、それについて論じることはほとんど考えられなくなってしまう。こうなると、ホワイトハウスの政策が、議会からも国民からも一定の支持を得るという状況になりそうだ。(マイケル・クレア ル・モンド・ディプロマティーク日本語版より)

以前にアメリカが国内石油の枯渇により、あと数年で国力のピークを迎えて衰退していくだろうと書きました。アメリカの国内石油埋蔵量や採掘可能な油糧はいろいろ調べたのですが、どうも良くわからない。民間の研究所が発表したデータはあるのでしょうが、信頼できるものはない。ソ連の石油埋蔵量をCIAが必死に探ったように、石油埋蔵量は国家の盛衰を左右する最重要機密だ。

チェイニー副大統領がまとめた報告書でも、あと二十年で輸入石油の割合は7割近くにもなる。ここにはコストのことは触れてはいないが、世界の需要量からして単価の高騰は避けられない。この事はアメリカ国内のインフラにも関係してくる。アメリカ国内の大型トラックが止まってしまった場合、国家機能は停止する。自動車がガス欠だと買い物一つ出来なくなる。アメリカの国家的危機はエネルギー資源の枯渇にある。それが限界に達した時、アメリカは一気に衰退するだろう。

最近のブッシュ大統領の軍事予算の増大と、アメリカ軍の世界展開は異常なものであり、油田地帯に集中している。たいした埋蔵量がないアフリカにも手を伸ばしている。アメリカのエネルギー資源の確保と軍備の近代化と増強は一体化している。アメリカの経済状況からして軍の規模は適正さを超えているが、9・11以降のテロとの戦いの名の下に、それに対する批判は封殺されてしまった。

超大国アメリカをもってしても、現在のような軍事展開を何年も続けていくことは経済的に不可能だ。その為にアメリカ軍は前方軍事展開をやめて、軍を機動力と殺傷力を高めることで対応しようとしている。その為の前方基地に出来た穴埋めを日本などの同盟国が負担することになる。日本のイージス艦のインド洋派遣もその戦略の一部だ。イージス艦を派遣することで沖縄や内地の米軍基地の縮小にもつながるだろう。

しかしこのようなアメリカの戦略は上手く行くのだろうか。現在はおとなしいロシアと中国は、石油の獲得を目指してアラビア湾岸諸国へ手をのばしてくる。さらにこれらの諸国は政情不安であり反米テロリストの巣窟だ。それらを軽歩兵部隊とピンポイント爆撃で押さえつけることが出来るのだろうか。タリバンが崩壊して1年以上経つのにアフガニスタンは内戦状態でありB52の空爆も行われている。こんなことでアメリカの戦略目的は達成は不可能だ。クレア教授は最後に次のように警告している。

ホワイトハウスが掲げるモデルが、最も重大な試練に遭遇するおそれがあるのがイラクである。大統領はフセイン体制転覆の意図を隠そうともせず、国防長官は侵攻計画を準備している。多くのアラブ諸国の指導者は、この侵攻によって、混乱と暴力が中東全域に広がると警告を発している。米国が現行体制を倒したあと、イラクに維持すべき大規模なプレゼンスにつきまとうコストと危険を指摘する声が、国防総省の高官の間からも聞こえてくる。だが、ホワイトハウスは一向に動じる様子もなく、何があろうとイラクを攻撃しようと思い定めているようだ。(マイケル・クレア)

米国戦略の三次元方程式 マイケル・クレア



小泉構造改革か不況克服かの選択である
「逆プラザ合意」こそ日本経済再生のカギだ

2002年12月9日
民主党議員とく若手議員のなかには、日本の有名大学を卒業したあとキャリア官僚になり、その後、米国の大学に留学した経験を持つ人たちが多い。彼らの多くは米国礼賛者であり、米国が日本より「上等な国」だと考えている。これらの人々は日本のこと(歴史のみならず文化、風土、慣習)にはあまり詳しくない。日本のことを十分に勉強しないまま、日本社会を「米国化」することが「善」だと考える傾向が強い。このような考え方の持ち主の多くが、自民党的な考え方をもちながら国会議員になるためのだけに民主党に入党し、国会に議席を得ている。小泉純一郎氏が「構造改革」を訴えて国民に支持されたとき、彼らはこぞって「小泉応援団」になった。野党第一党に所属しながら小泉内閣を後押しするという野党政治家としては致命的と言えるほどの大ミスを犯した。

いま民主党にとっての政策上の最大の問題は、小泉内閣が構造改革の名の下に推し進めている「弱肉強食」路線と訣別するか否かにある。弱い恵まれざる人々に政策の重点を置く方向に基本路線を転換できるか否かにある。民主党内には米国流グローバルスタンダートの信奉者が多い。比率では自民党を上回る。しかし、米国流グローバルスタンダートはすでに挫折している。小泉構造改革も色あせている。それなのに、民主党の一部は性懲りもなく米国流グローバルスタンダートを信じつづけている。小泉構造改革への幻想から覚めていない。このままでは、民主党は無用の長物になってしまう。

最近、私は旧知の民主党議員から「いま民主党内では世代交代という言葉は禁句です」と言われました。「世代交代と言われただけでキレる年輩者が多いのです」と言うのです。年輩の議員が「出番のなくなる」ことを恐れ、世代交代派に圧力をかけているようです。ある人はこう言いました――「いまよく起こっている恐るべき〃おやじ狩り〃と逆の現象が民主党内では起こっています。それは、おやじ政治家による〃若手の世代交代派狩り〃です」。民主党もジェラシー社会だと言うのです。本当だとしたら情けない話です。

民主党がこのスキャンダル攻撃を打ち破るためには、クリーンな若手政治家を指導者にすることが必要です。自民党側に弱みを握られた古参政治家をトップリーダーに据えれば、猛烈なスキャンダル攻撃を防ぐことは困難だと思います。政権をとるということは大変なことなのです。自民党のスキャンダル攻勢をはね返すことができなければ、たとえ総選挙で勝ったとしても長期政権は不可能です。このことも代表選にあたって考慮されるべき重要なポイントです。これは私の想像ですが、民主党の長老議員の多くはこのことを考えた上で若手の擁立をはかっているのです。
(森田実の時代を斬るより)

民主党が政権を取るためには、自民党が一番嫌がっていることをすべきである。それは世代交代である。民主党はどんなに良い政策を掲げたところで自民党に横取りされてしまう。自民党はそれほどえげつない政党であり、政権維持のためなら社会党や公明党とも平気で連立する現実的な政党だ。だから政策で立ち向かっても選挙を絡めなければ意味がない。

ならば自民党の最大の弱点は年功序列制度にある。自民党は70代80代の長老議員が幅を利かせる養老院政党だ。40代50代の若手もいるが多くが世襲政治家で、実力のある若手は数えるほどだ。実力のある若手政治家はその為に民主党に転向した人が多い。菅氏も岡田氏もその為に自民党を飛び出した。幹事長や役員も全員若手でやって見たらどうだろう。

自民党は政党としての寿命が尽きている。無党派層は有権者の過半数を占めるほどになった。無党派層は都市部のサラリーマン世帯が多く、自民党はその取り込みに小泉純一郎というカードを使って支持を増やした。民主党の改革的イメージをすばやく横取りしてしまったところはまさに自民党の面目躍如である。しかしそれはイメージだけで小泉内閣は馬脚を現している。

自民党は民主党議員より民主党的小泉首相で国民の目を誤魔化した。政権が変わったような錯覚を起こして高い支持率を得た。しかし経済は一向に良くならず悪化している。外交も老獪さを欠き外交戦略の無さを露呈している。小泉内閣が民主党的政治をして失敗したということだ。つまり構造改革を先行させることが失敗だったわけだ。景気回復を先行させなければ構造改革は失敗する。

民主党は政策転換できない小泉内閣の先手を打って景気回復政策を打ち出して選挙に挑むべきだろう。ぐずぐずしていたらまた自民党に政策を横取りされるから、すばやく明確に政策を打ち出すべきだ。先日の統一補選も自民党が勝ちましたが、小泉政治を批判した自民党の若手が勝って、政策のねじれ現象を起こしている。民主党は反小泉を掲げ景気回復を最優先課題とすべきだ。

日曜日の報道番組で菅氏と岡田氏が出ていましたが、岡田氏はまだ小泉構造改革の後を追ってるようだ。菅氏が言っていたように、小泉首相は構造改革をするとどうして景気が回復するのか説明できない。それは順番が間違っているからだ。大森実氏が指摘するように民主党の若手にはアメリカかぶれが多く、竹中金融相と言っている事が同じな議員が多い。だから民主党は小泉内閣と運命を共にすることになりかねない。この矛盾に民主党は気が付くべきだ。

つまり民主党は自民党の守旧派とは違った景気回復政策を打ち出すべきだ。民主党の熊谷氏は「逆プラザ合意」政策を打ち出している。確かにポイントを付いている。円高がデフレ要因の一つである。3日の日記の野口悠紀雄教授が指摘しているように、税制もデフレ不況の要因となっている。ところが自民党では党税調の長老議員がネックになっている。

民主党なら過去のこだわりも無いから、大胆な税制改正もできるはずだ。ところが鳩山氏などは課税最低限の引き下げとか見当はずれの増税を言っている。財務省の役人の言うことばかり聞いているから、小泉首相の言っていることと同じようになってしまう。小泉氏も鳩山氏も世襲政治家だから大胆な発想が出来ずに、役人任せの政策になってしまう。だから鳩山氏では民主党はジリ貧になり騒動になった。民主党は「景気回復なくして構造改革なし」とスローガンを掲げて出直すべきだ。

森田実の時代を斬る 「民主党の混迷」考
菅直人の「活動日誌」
岡田克也ホームページ



韓国における反米感情とナショナリズム
反米感情悪化で米下院委員長が訪韓中止

2002年12月8日
在韓米軍による女子中学生死亡事故により韓国国内の対米感情が悪化している問題で、米国のハイド下院外交委員長は7日、同日から予定されていた訪韓を急きょ取りやめた。韓国政府は不平等性が高い韓米地位協定の運用見直しなどを米側に求めているが、世論の反発は一層強まりつつある。 駐韓米国大使館関係者は7日、韓国で抗議デモが相次いでいることを理由に「ハイド委員長らの訪韓は延期する」と語った。北東アジアを歴訪しているハイド委員長らは7日に日本から韓国入りし、金大中大統領と会談する予定だった。死亡事故をめぐる抗議集会は7日も韓国各地で開かれ、米国大使館近くのソウルの中心部・光化門では大勢の若者らがロウソクを手に、被害者の2人の女子中学生を追悼した。また、選挙戦に入った大統領選候補者らも遊説先で地位協定問題を積極的に取り上げている。 (朝日新聞社2002・12・07)(18:42)

1945年、朝鮮半島は30年間の日本の植民地支配から解放されました。しかし、まもなく今度はアメリカとソビエト連邦(当時)という2つの超大国の力の及ぶところとなり、南北に分断されました。この時点から、米軍と韓国政府は「兵士の士気を高める」という名目で米軍兵士による韓国での買春を認めたのです。この「軍事化された買春」によって、多くの韓国人女性が米兵による凶悪な犯罪の犠牲者となっています。家父長制度が根強い韓国社会において、買春、とくに米兵による買春について、公に議論されることがないため、「基地村女性」は自分達の身におきた犯罪について声をあげることができないのです。

不公平な米韓地位協定があるために、韓国警察は米兵の犯罪を調査することも出来ず、逮捕した後も拘留することが出来ません。米兵による凶悪な犯罪が繰り返し起こるのは、きちんとした捜査もなければ、処罰もないからです。その結果、基地村女性は米兵の暴力、犯罪の犠牲となりつづけるのです。米兵による基地村女性に対する犯罪を解決するために、新しい方法を見つけなければなりません。まず、これらの犯罪を産み出す構造が、軍事主義・アメリカ軍が支配する買春の制度・不公正な米韓関係であること、また、女性達は家父長制度の犠牲になっていることを認めなければならないでしょう。(VAWW−NETジャパンのウエブサイトより)

韓国における女子中学生の死亡事故で、全国的な米軍への抗議集会が開かれている。日本でも沖縄などでこの種の事故はよく起きている。特に去年の「えひめ丸」の事故では9人の犠牲者が出たにも拘らず、事故を起こした米海軍のワドル艦長は除隊処分だけだった。このような事故はヨーロッパでも起きており事故を起こした米兵は無罪となることが多い。米兵の起こした事故で亡くなった犠牲者は泣き寝入りで、補償金を貰えればいいほうだろう。

韓国の事故はワールドカップ期間中に起こり、日本では僅かに報ぜられただけで、米軍の裁判で無罪となり、韓国で大問題となり、大きなデモ騒ぎになっている。ちょうど韓国の大統領選挙期間中でありタイミングは最悪だ。北朝鮮の工作機関も背後から煽っていることだろう。米下院外交委員長の訪韓が中止になるほどで、この問題は米韓の外交問題となっている。

近代の朝鮮半島の歴史は被植民地支配と被属国支配の歴史である。日本もアメリカ帝国主義の属国支配を受けており、だからこそ米兵が犯罪を犯しても無罪放免になる。もし自衛隊の潜水艦がアメリカの民間の船を沈め9人もの犠牲者が出たら、日本の潜水艦の艦長は除隊処分で済むだろうか。ヨーロッパもサウジアラビアも米軍の駐屯している国は皆アメリカの属国だ。その観点で見ると韓国の大規模な抗議デモは異例だ。沖縄でも事件の度にデモが起きるが小規模に抑えられている。

韓国の大統領としてはデモは抑えたいと思っているだろうが、韓国国民のナショナリズムの高揚は政府自ら煽っているだけに、どうすることも出来ない。これがナショナリズムのみならず反米主義への引き金になっている。アメリカはこの点についてどこにでもある熱病程度に考えているようだ。しかしこのことが米軍の韓国からの撤退につながると朝鮮半島での戦争の火種となりかねない。朝鮮日報では次のように書いている。

ここ最近、韓国または韓国国民の対米観は通常でない変化を経験している。米国に対する批判的な見解といっても反米情緒のレベルを超えなかった対米観が、部分的には段々、境界線を越え、反米主義へと移行する過程を目にすることができる。これは、韓国での米国の役割を否認する反米主義勢力の執拗な接近に起因する側面もあるが、根本的には、ワールドカップ(W杯)などを通じて目覚めた民族的底力と原動力、プライドと熱情の前で、米国の存在が障害物として存在するという認識と関係がある。 韓国の反米だけが問題ではない。米国の「韓国忌避」も通常ではない。米国防部と接触したある韓国予備役将星は、「最近、韓国への転勤を命じられた米軍将校の転役申請が増えている」とし、韓国は米国が最も嫌う勤務地となったと伝えた。(朝鮮日報
2002.10.22(火) 13:52)

韓国における戦前の従軍慰安婦問題も、現在における在韓米軍の「従軍慰安婦」問題が隠されている。運動家たちも直接に韓国政府や米国に抗議するわけにもいかず、旧日本軍の慰安婦問題を取り上げて抗議しているのだろう。このように政治的に抑えられた歪が日本へ向けられている。この構造は中国に対しても同じことが言える。

アメリカ軍が支配する買春の制度・不公正な米韓関係
反米情緒と反米主義(朝鮮日報)



マイナス金利の国債を発行すべきだ
700兆円の借金は問題ではない


2002年12月7日
新規の国債は一般に売るのではなく、マイナス金利で全部、日銀に引き取ってもらおう。文句をいう人は一人もいないはずです。金額とレートはその都度、情勢を鑑み、国会で決める。(これは内閣の仕事かな?)始めはおそるおそる0.5%程度にして、マイナス金利という概念の導入からくる、日本国内だけでなく諸外国の受ける衝撃も和らげる。しかし、いったん免疫が出来れば消費税と同じで、あとは抵抗もなくなる。円安になることは覚悟の上だが、かえって喜ぶ人の方が多いと思う。どの程度下がるかは心理的なものを多く含むので、その実験の意味合いもある。

現に実質的なマイナス金利というのはほとんどの時代に起こっていました。物価の上昇はたいてい銀行利息より高かったはずです。預けておけば大きくなって返ってくるというのは、銀行側の宣伝文句で、実際の価値は減っているのが普通です。しかしこれが正常な状態で、実際に利益を得るのは、そのお金を銀行から借り、何らかのリスクと自らの労働により、事業を展開した人です。このように多少のインフレ傾向は、お金も使わなければ原価償却していくものという現実をつくり、社会にも良い結果をもたらします。

現状のようなデフレ傾向は異常で、なにもしないのが得という、なさけない結果しか生まれてきません。これまでは借金をしても、その事業がなんとか。かつかつで維持できれば、インフレで借金が減り、土地が値上がりし、トータルでは儲かるということを起業家は知っていました。今の状態では賢明な企業人ならば、ほとんどの事業はやらない方が得と見ているでしょう。いくらベンチャー育成を叫んでみても、土壌が悪すぎます。このような場合こそ、意図的にお金も減価償却させるマイナス金利の導入が必要と思います。

それならいっそ、1000兆になったとき、金利だけはつけないようにして、日銀金庫室の奥の奥のほうに、100年樽漬けにしてしまいこんでしまうという方法である。将来貨幣価値がこれまで100年のように大きくかわれば、返済することは簡単であろう。100年後取り出してまだ無理だったら、また100年寝かせればいい。もっとも100年たったら樽の数が増えていたということも起こるかもしれないが、それは別に差し支えない。この方法は返さないというわけではないので、一般的にも受け入れやすい方法かもしれない。100年前の国家予算からみても、歴史的に十分に返せる根拠はある。(21世紀の提言 政治篇1より)

以上に書かれたアイデアは、頭の固い東大出の官僚や日銀総裁が聞いたら腰を抜かしそうなアイデアだ。しかし現在起きている日本経済の現象を理解するには、いい刺激材料だろう。経済学の常識から言えば毎年30兆以上もの赤字国債を発行して、その多くを日銀が買っているとすれば、その国の通貨は暴落し、金利は急騰してハイパーインフレになっているはずだ。現にトルコなどでは40%を財政赤字を国債で穴埋めしたため年率100%のインフレになってしまった。

しかしながら日本では円が高くなる一方である。金利は1%を割ってしまった。この現象を経済学者はどのように説明しているのだろう。日本の経済学者はこんな事をしたらハイパーインフレになるといい続けているが現実が見えなくなっているのだろう。この秘密は日本が貿易黒字国であり、円が安くなれば世界中のどの国も競争力が無くなり、日本の製品で溢れるからだ。1ドル200円とか300円になったら中国も東南アジアも価格競争力が無くなり真っ青になるだろう。

本来ならば世界一の日本の工業力は、世界一の豊かな経済を保証するものだ。しかし円高は円の手取りを少なくしてしまっている。その分はどこに消えているのだろうか。アメリカや中国や東南アジアに利益は転移している事になる。貿易収支がとんとんになる程度に日本が輸入すればこのような事は起こらないが、輸入すべきものがない場合は黒字になり円高になって調整される。

そうなるのなら黒字分を政府が借りて使えば、資金は滞留することなく回転する。日本が黒字国である間は日銀からどんどん借金して政府が使えばいいのだ。それでも景気が回復しなければマイナス金利の国債を発行して行けば良い。マイナス金利の国債は年月がたてばたつほど目減りして、やがては無くなってしまう。まさに日銀は打ち出の小槌である。円が高ければ高いほどこの政策を続ければ良い。そうすればアメリカの金融資本家も円高政策を諦めるだろう。

日本の財務省や日銀はバカ正直でありアメリカの言うことばかり聞いているから、日本経済はがたがたにされてしまった。このように通貨が高すぎて困る場合にはいくらでも打つべき手段はある。ところが通貨が安すぎる場合には、経済競争力を高めるしか方法がない。発展途上国はこれしか方法がないが、これは非常に難しい。日本から技術と資本を分けてあげて競争力をつけるしかない。だから中国は発展しているのだ。

政治的アイデアあれこれ 700兆円の借金をどうする



今年の流行語大賞は「ムネオハウス」とするべきだ

2002年12月6日
この1年間の世相を表した言葉を表彰する2002年の「日本新語・流行語大賞」(自由国民社主催)が3日、発表され、トップテンには「貸し剥(は)がし」、「声に出して読みたい日本語」、昼のテレビドラマで人気を博した「真珠夫人」、ノーベル賞の「ダブル受賞」、「内部告発」「ベッカム様」「ムネオハウス」「拉致」が選出され、小柴昌俊さんとともに、ノーベル賞を受賞した田中耕一さんは「ダブル受賞が、流行語にならない日が来るといいと思います」とメッセージを寄せた。「拉致」は「国民を震撼(しんかん)させた一語として記録した」として、表彰の対象にはしなかった。(読売新聞)[12月3日21時47分更新]

外国ではこうして個人にあやかって命名をする。だから、鈴木宗男衆院議員が自分の奔走した施設に名前を付けてもらっていることは不思議ではない。本人がつけなくても、ロシアの人が愛称で呼んでいるのだろう。確かにアフリカにあるというスズキ・ホールというのも問題かもしれないが、スズキというのは一般的な日本人の代名詞になっていて(実際、日本人はみんな鈴木だと思われている)、日本人が建てたホールだということを記念しているということができる。日本に個人主義が発達しないのは、こうした名前を施設につける習慣がないことも一つの理由である。もっと、個人名をつけるべきである。

鈴木宗男は「ワイドショー内閣」の中で見事な悪人ぶりを示している。出演料をもらってもいいくらいだ。どうしてこんなに人気があるか?別に僕が考えなくてもいいのだが、実は周りにムネオがいっぱいいるからだと思う。ムネオというのはどういう人かと定義すると、色々なところに口を出し(時には恫喝し)、自分のエラサを誇示し、実は怪しげに生きている人である。僕の職場にはいないが、妻の方の関係者にはいろいろいる。差し障りがあるので、今はとても書けないが、例えば、地方の大学教授で「文化ボス」になっているような人がいる。さまざまなことに自分の意見を通し(時には恫喝し)、自分が中心でギョーカイが回っていると勘違いしている。つまり、ミニ・ムネオにイジメられている人たちがいっぱいいて、今度のことで快哉を叫んでいるのである。 (欣二)

今年も流行語大賞が発表されましたが、去年も私はこの対象にクレームをつけました。「米百表」よりかは「ショー・ザ・フラッグ」のほうがインパクトがあると書きました。一昨年も「ブッチホン」という聞いたこともない言葉が選ばれている。どのような基準で選んでいるのか知りませんが、世相を表した言葉で言えば今年は「ムネオハウス」が、大賞に選ばれた「タマちゃん」よりかは印象に残る言葉だ。しかし「ムネオハウス」が選ばれても鈴木宗男は塀の中で、表彰式には出て来れない。

鈴木宗男は小型田中角栄のような人物で、各方面から広く薄く政治献金を集め、野中広務の子分として勢力を伸ばしていた。野中広務が最近大人しいのも、子分の鈴木宗男の失脚が影響しているのだろう。とにかく活動家であり、どのようなところにも顔を出し、アフリカまでも行動半径に入っていた。若手の議員を集めて「ムネムネ会」を結成して派閥の形成を狙っていた。しかし起訴された犯罪は金額が500万ほどの贈収賄事件で、彼が起訴されるなら他に逮捕されるべき議員は沢山いる。結局は田中角栄と同じく官僚とマスコミとCIAとで抹殺されたのだ。

これからは「ムネオハウス」のように、功績のあった議員の名前を公共施設に付ける事にしたらどうだろう。国会議員の先生方も喜ぶのではないだろうか。本州四国連絡橋も「宮沢橋」とか「三木橋」とか「原健橋」とか付ければ一生名前が残る。東京湾のアクアラインも「ハマコウライン」と付けるべきだろう。今度インド洋に派遣されるイージス艦も「きりしま」から「こいずみ」と名前を変えるべきだ。中国の日本のODAで作られた国際空港も「野中国際空港」と名づければODAのPRにもなる。欣二氏は次のように言っている。

世界のホンダを作りあげた本田宗一郎は最後まで会社名に自分の名前を付けたことを悔やんでいた。フルブライト上院議員もフルブライターたちが感謝のパーティを開いても誰も文句はいわなかった。鈴木宗男とフルブライト、二つの間の大きな違いは、本人と名前をつけた人々の志の高さ、低さである。日本には岐阜羽島駅をはじめ、政治駅、政治路線がいっぱいある。下手に名前を隠すより、大野伴睦駅としておいた方が日本の民度を推し量るのに有益だと思う。別に利権を使っているのは鈴木宗男だけではない。(欣二)

日本の自動車会社を見ると「ホンダ」とか「トヨタ」といった個人名をつけた会社が勝ち組となり、「東洋工業」とか「日産自動車」といった一般名の会社は負け組みとなっている。「東洋工業」も「マツダ」という名前だったら海外でも売れていただろう。西欧では個人主義が発達しているから、個人名をつけたほうが信用される。軍艦の名前でも人の名前をつけている国が多い。日本の軍艦も武蔵とか大和とかいった地名より、「ナカソネ」とか「イシハラ」という名前の軍艦のほうが強そうな気がする。

「ムネオハウス」を擁護する 欣二


対米依存外交は機能不全を起こしている
独自外交と自主防衛体制を構築すべきである

2002年12月5日
旧来型の外交政策は、いわば「受動攻撃型」の対米依存政策だった。何十年もの間、日本は外交大国になる道を自ら閉ざしてきた(かつてアジアのお手本とみられていたころの日本の経済力や影響力を思えば、もったいないことだ)。その代わり、厄介ごとはアメリカという兄貴分に押しつけたのだ。些細な問題ではアメリカと対立することもあった。そんなときは、口約束はしてもなかなか行動に移さないというやり方で、アメリカ側の要求の一部を巧妙に回避した。うまい戦略だった。国際安全保障にかかる費用の大半をアメリカの納税者に肩代わりさせ、日本人は「平和ボケ」の暮らしと経済発展を謳歌した。これならアメリカに従属するだけの価値はある、と思っていたのかもしれない。

だが、どんな戦略にも代償はつきものだ。いまアメリカは、新たな「パックス・アメリカーナ」を構築しようと必死だ。暴れん坊の中国は手ごわい競争相手になろうとしている。こんな時代に従属外交を続けることは、日本にとって得にはならない。北朝鮮はミサイルを振りかざして日本を威嚇している。だが、アメリカ抜きで軍事的にこの脅威に対抗できるかといえば、日本は準備不足もいいところだ。つまり、11月に私たちが目にしたのは、旧来の外交戦略の機能不全そのものだった。アメリカの強硬な対北朝鮮政策をなんとか阻もうとした小泉だが、日本には北朝鮮と渡り合うだけの力はなかった。国民は、世界の過酷な現実に直面して震え上がった。
(ニューズウィーク日本版2002年12月4日号)

小泉内閣は経済問題で行き詰まり、外交問題でも行き詰まりを見せて、お得意の行財政改革も道路公団民営化をめぐって「7人の侍」が仲間割れして収拾が付かなくなっている。マスコミもこのまま小泉内閣を応援していて良いのかという疑問もわいてきたようだ。経済問題や外交問題で重要な時期に、経済音痴で外交音痴の首相は、民間人を起用して問題の打開を図ったが、裏目に出ている。

民間人は口は達者だが交渉事は素人であり、何かやるたびにトラブルを巻き起こしている。いくら法律上強大な権限を与えられていても、国民から選ばれていないということで官僚たちも言うことを聞かない。田中真紀子のように4人もの外務次官の首を切った蛮勇は、民間人には出来ることではない。川口外相に北朝鮮へ行って金正日と交渉をしろといっても無理だろう。

政治家たちは狡賢いから難問に出会うと逃げてしまい、政治を民間人に丸投げしてしまった。失敗したところで民間大臣の首を挿げ替えるだけで、政治家たちは党内抗争に明け暮れている。いったい誰が日本の舵取りをしているのかわからない。このような不満は国民のみならずアメリカからもクレームを付けられている。外交防衛はアメリカに丸投げして、日本の政治家たちは安楽な身分を満喫していた。

日本の政治家で国際政治の修羅場に立ち向かえる人はどれだけいるだろうか。誰もいない。誰もいないから小泉首相が引き摺り下ろされること無く首相を続けていられる。野党もこれといった政策を打ち出せず内部抗争に明け暮れている。日本はなんと恵まれた国なのだろう。国民は大人しいし、デモ一つ起こさない。私一人でデモしても無意味なのでホームページを書いて憂さを晴らしている。

小泉内閣はようやくイージス艦をインド洋に派遣する。対米外交上それくらいのことをしなければ後が怖い。湾岸戦争の時でもこの程度のことはすべきだった。中国が軍事増強を続けている以上、日本もそれに対抗した軍事戦略を構築する必要がある。これは日本一国の事だけではなく、台湾やASEAN との連携を含めた意味で重要だ。アメリカに対しても、これは中国に対する牽制のためであり、東南アジアへの中国の脅威を封じ込める為のものだと説明すれば文句は出ないはずだ。

問題は日本国内の世論の了解を得なければならない。イージス艦の派遣問題一つとっても野党のみならず、与党連合の公明党や自民党内でも多くが反対している。それだけ親中国派が日本の政界に勢力をのばしているからです。中国はロシアとの友好を深め後ろを固めて、その矛先を東南アジアに向けている。アメリカがイラク攻撃にかまけている間に着々と橋頭堡をビルマなどに築いている。唯一邪魔な存在は日本であり、日本に対する威嚇のために靖国問題を利用している。

それに対抗するためには日本の海軍力を、東シナ海からインド洋にかけて常時見せ付けておくことが必要だ。だからイージス艦のインド洋派遣が必要なのだ。さらには中国の中距離核ミサイルの防衛のためにもMD計画は必要だ。日本が核武装できない以上、防衛のためにはこれしかない。日本の経済力と技術力を結集すれば出来るはずだ。さらには偵察衛星を飛ばして、ミサイル探知システムも作る必要がある。

ニューズウィーク誌が指摘するようにいつまでも対米従属外交は許されない。日本もある程度の軍事力を持たなければアメリカと中国という大国に挟まれて、どちらからも外交圧力に翻弄されて、日本は二つに分裂してしまうだろう。日本とアメリカとが軍事同盟を結んでいる以上、対中国には軍事的に対抗していかなくてはならない。しかしこれはアメリカに従属することではなく、アメリカが日本に対して国益を損なうようななった場合には、中国とも手を組んでASEAN諸国とも一体となってアメリカに対抗する布石でもある。

米国の対中軍事戦略 谷津和輝




藤原直哉 著「日本経済の闇がわかるFTの読み方」
アングロサクソン国家は世界をどう見ているか

2002年12月4日
はじめに

日本の経済情勢は、いよいよ敗戦直前の昭和20年8月を迎えるような雰囲気になってきている。「ジャパン・アズ・ナンバー1」と謳われた時代からわずか十数年でこのような事態になろうとは、いったいだれが想像したであろうか。そもそもバブル経済の崩壊は、政府だけの責任ではなかった。政府も民間も、そしてアメリカも、よくわからないうちにやってしまった失敗と言う面がとても大きかったと思うのである。だから日本政府は自分を含めてみんなの問題として、国民全体で解決すべく努力すればよかったのだ。

ところが政府は、問題が自分たちの失敗であるとして、これを隠し始めたのである。自分たちの無能さを国民の前にさらけ出す勇気も無く、無能であることが露見して統治に対する権威と権力を失うことを強く恐れたのであった。追い詰められた政府はまったく勝ち目のない玉砕戦へと突入することになった。国民には決して本当のことは言わない。その一方で日本経済の状況を厳しく見るIMFの経済レポートに反論し、日本国債の格下げを通達する格付け機関には噛みつきと、まさに玉砕戦にふさわしいなりふり構わぬ行動を繰り返している。

これから終戦時の原爆に匹敵するような巨大な破綻が起こるかどうかは正直言ってわからない。しかしそう遠くない将来に、たとえば信用を失墜したみずほ銀行で破綻が起きたり、ダイエーの裏に潜む「闇」が明らかになっていくとしたら、それは、原爆級のスキャンダルへと発展し、事情を良く知る政治家や高級官僚はクモの子を散らすように逃げ出すだろう。そしてかつてのソ連や東ドイツが国家崩壊の道を辿ったように、日本という国が胡散霧消していく、というのが私の考える「第二の敗戦」のシナリオである。

日本政府の姿を見ていると、もうこれ以上対策もないし、言い訳も出来ない、前にも進めず後ろにも退けずという切迫した心境がひしひしと伝わってくる。しかし、日本のそのような姿や日本経済の実態を、日本の新聞から読み取ることが出来ない。その理由はおいおい明らかにしていくが、じつは私がこれらの情報を入手する際に大変重宝しているのが、イギリスの経済紙「フィナンシャル・タイムズ」なのである。

(藤原直哉著「日本経済の闇がわかるFTの読み方」のはしがきより)

日本の新聞やテレビは記者クラブで発表されたものを垂れ流しているだけである。ほとんどそこには分析記事といった気の利いたものは見かけない。大きなニュースには専門家と称する有名人がコメント記事を書いているが、これも本当のことを書くと掲載されなかったり、当たり障りのない内容にぼかされたものが多い。記者たちが政治家や官僚たちと馴れ合いとなり、ミイラ取りがミイラとなっている状況だ。

それだけに徹してくれれば新聞記者や放送記者は要らない。NHKなどが大きなニュースの後に放送記者が出てきてコメントを述べているが、うわべだけのコメントばかりだ。事なかれ主義がサラリーマンの生きる道だから仕方がない。その反面、特定の政党や外国の政治プロパガンダそのものを報道番組で流しているのも問題だ。報道に対するこのような無責任な態度が国民の不信をかっている。藤原氏が指摘しているようにフィナンシャル・タイムズ紙でも読むしか真実はわからないことがある。日本人には問題を分析するという習慣がないのだろう。

北朝鮮問題にしても、北朝鮮政府が「拉致」はないと否定すればない事になってしまう。中国が経済成長が8%と発表すれば、どんなに失業者が国内に溢れかえっていても8%とする報道規制があるようだ。これがひとたび金正日が「拉致」を認めると、日本中がひっくり返ったような大騒ぎとなり、連日連夜の大報道になる。芸能人のゴシップやスキャンダル報道よりかはましだけれども、その過熱ぶりはオーム真理教騒ぎの二の舞だ。日本の報道陣に見識や冷静な分析を望むのは無理なのだろう。

日本の国際報道の多くはアメリカの報道機関の垂れ流しが多い。だから9,11事件の後の報道はその弱点をさらけ出し、アメリカの独善性と世界世論とのずれを認識できていないようだ。イラク攻撃についても世界各地で大規模な反対デモが起きるほどなのに、日本ではまったくこのような動きはない。イージス艦も派遣するとかしないとかの問題で政府も揺れている。日本政府の政策と、国民世論の使い分けが出来ないからこのようになる。アングロサクソン国家では政府はアメリカに追随し、裏では国民世論を煽って反米デモをしている。どちらに転んでもいいように保険をかけている。藤原氏はFT紙に対して次のように述べている。

FTは、常に冷静で、一貫した批判精神を持つ、きわめて見識の高い新聞である。私はこの事を繰り返し述べてきた。いかしFTにも、難点がまったくないわけではない。毎日欠かさずこの新聞を読んでいると、ときには、さしもの辛辣な論調にも、微妙な揺らぎを感じる時がある。私はそれこそが、アングロサクソンの苦悩だと考えている。

この日記を書いている最中に日本政府はイージス艦の派遣を決定しました。8月3日の日記に「日本はイージス艦をインド洋に派遣せよと」題して書きましたが、やっと小泉首相も私の日記を読んで決断した、というわけではないのでしょうが、日本の国益と国民感情を使い分けて対応するのがアングロサクソン流の外交感覚なのだ。片岡鉄哉氏は次のように講演している。

日本の核武装に中国や韓国は反対するでしょうね。この時、日本の核武装を擁護してくれるのが米国で、米国が擁護すれば、中国・韓国は折れる。もし、米国も反対すると、どうしようもないことが起きる。日本無視。米国は日本のイージス艦の保護がほしいのですから、出すべきです。もし、出さないと韓国がイージス艦を持ち、日本は相手にしてもらえなくなる。イージス艦と補助軍を出すべきです。その代わり、お金はあまり出さない。米中仲が悪いから日本が存在できる。中国が民主化したときは日本はどうなるか??中国が共産主義であることは日本にとって感謝するべきことでしょうね。(片岡鉄哉講演会より)

日本人とアングロサクソン ビル・トッテン



デフレも不良債権も結果にすぎない(野口悠紀雄)

2002年12月3日
現在の日本経済ではさまざまな問題が絡み合って生じているため、それらの真の原因や対策を考えにくい。これを解きほぐすには、問題を次の三つのグループにわけて考えてみるとよい。

@第一の問題は、「デフレ」である。これは、一般的な物価水準が継続的に低下することだ。物価水準として消費者物価指数をとれば、この問題が顕著になったのは 2000 年ころからである。ただし、その進行率は、年率 1 %程度のマイルドなものだ。
A第二グループの問題としては、次のものがある。まず、地価や株価などの資産価格が下落している。地価の値下がりは、1991 年ころから一貫して続いている。株価については、若干の上下があったが、長期的にみると 90 年以降下落を続けており、特に最近の値下がりが激しい。下落率は、消費者物価のそれよりはるかに高い。銀行の不良債権や財政赤字の拡大も、このグループに属する問題である。
B第三の問題は、最近の急激な株価下落によって、金融機関などいくつかの企業が危機的な状態に直面していることだ。

右に挙げた三グループの問題のうち、中核にあるのはAだ。実際、@やBは、基本的にはAによって引き起こされたものと考えることができる。(その対策としては野口教授は以下のように述べている。)

第一グループの問題に対しては、金融緩和が行なわれ、円安誘導やインフレターゲットの設定が必要といわれる。金融緩和が継続すれば、過大な負債をかかえた企業の金利負担は軽減される。これによって企業破綻は防がれることになるだろう。しかし、古いタイプの企業が生き残ることになる。
第二グループの問題に対しては、株式の空売り規制の強化のほかに、国債発行枠 30 兆円が政治的に公約されているし、証券税制や土地税制の緩和なども提案されている。
第三グループの問題に対して、98〜99 年に金融機関に対する公的資金投入が行なわれた。また、整理回収機構( RCC )が設立されている。ペイオフの全面解禁も延期された。そして、金融検査の厳格化や公的資金の再投入が議論されている。しかし、これらの措置は、企業の収益力回復には何の関係もない。
(野口悠紀雄「超」整理日記 2002/11/02より)

現在の長引く日本の不況の原因は、さまざまな原因が重なり合っており、それが政治家たちの経済対策に対する混乱に結びついている。原因もわからずに国債を乱発して公共投資を繰り返しても、景気が回復しなかった。原因と対策に対する解明がおざなりになり10年以上もの無駄な年月を過ごしている。これらは日本の経済学者の責任である。

あまりもの日本の経済学界の迷走ぶりに、いてもたってもたまらず素人である私が、毎日ホームページで政策を訴えざるを得なくなってしまった。「円安誘導」や「インフレターゲット」も前から主張しているし、「証券税制」や「土地税制」もその主要な原因として指摘してきている。「RCC」や「株式買取機構」も早くから提唱してきた。

ようやく日本の経済学者の一部に、まともな意見を発表する人が増えてきましたが、わずか数年前は「構造改革」一点張りで、公共投資を増やすか減らすかの議論に終始してしまった。原因がわからないから公共投資を増やして一息つくと、財政再建で緊縮予算を組み不況に叩きこむ愚行を繰り返してきた。

マスコミも景気対策を政府がとろうとすると、バブルの再燃だと騒ぎ立て、政治家の足を引っ張った。住専の処理は、わずか6000億円で片付いたが、マスコミは我々の税金を投入するとはけしからんと大キャンペーンを張った。しかし公的資金で銀行を救済することは、欧米や東南アジアでも行われてきたことで、正しい政策である。

だから私は銀行の不良債権や、持ち合い株式を簿価で買い取り、銀行の機能を回復させることを主張してきました。しかしながらまだこの意見は極論扱いにされている。竹中金融大臣のように何が何でも銀行を潰して、アメリカの外資に売り渡すことを使命とする売国奴が政府要人ががんばっているから、どうすることも出来ない。

自民党の政治家たちはCIAから「北朝鮮カード」で脅されて動きが取れないようだ。正しい経済政策を行う政治家は、マスコミの悪質なキャンペーンで葬り去られてきた。そして経済音痴の小泉首相が祭り上げられ、株と土地の値下がりは止まりそうも無い。また正しい経済政策を提言しているエコノミストはテレビから遠ざけられている。

野口悠紀雄教授も以前は構造改革とIT革命派であった。しかしIT革命は幻に終わり、500万人の雇用は創出されなかった。専ら雇用を支えているのは建設業であり、構造改革を急速に進めると失業の増大になる。構造改革も長期的には正しくても、短期的には間違った政策だ。IT革命も短期的には間違ったが、長期的には正しいだろう。野口教授の分析も、短期的な政策と、長期的な政策の二つに分けて考えるといいだろう。

デフレも不良債権も結果にすぎない 野口悠紀雄 「超」整理日記 2002/11/02



日本の中国への謝罪外交がもたらすASEANの混乱

2002年12月02日
中華思想とは絶対神のように中国だけが世界の中心であり、漢族だけが世界に秀でた民族であり、周縁は夷(えびす)ども、日本や台湾は{化外の地}であり、野蛮である。すなわち中華思想は拡げっぱなしで畳んだことがなく、面子の問題に直面した場合、最後まで突っ張るか、うやむやにしてしまうのが得意技。ほかに選択肢はない。大風呂敷を畳むと、周囲から袋叩きに遭う。王兆銘しかり。李鴻章しかり。溥儀しかり。そして胡耀邦、趙紫陽しかり。従って新指導部は、むしろ軍部のご機嫌をとり、はやくリーダーシップを確立せんとして、逆に突拍子もない軍事的冒険にでる可能性も高いのだ。

中国経済が繁栄し、発展し続けると軍事力も同時に強化されるからアジア地域での政治的影響力は「決定的」なレベルにまで達するであろう。ASEAN諸国は、この点で日本にむしろ(対抗を)期待しているのに、日本はと言えば北京に謝罪ばかりしている。「地域ヘゲモニー」という観点に鈍感な日本には、このアジアの憂鬱な心配事を理解も咀嚼も出来ないのである。
(チャイナドリームの光と影 宮崎正弘)

中国の労働賃金はフィリピン、タイより20、30%は低い。海外からの直接投資規模は中国はASEANの5倍だ。ASEANは国際経済の食物連鎖の中でのニッチ(地位)を再構築する必要に迫られている。ASEANは、その挑戦にどう応えるか。中国とのFTA締結合意は、中国にはバラバラでなくまとまって行動しようとの防衛本能が働いている。日本との同様の協定締結に向けての動きも、中国に対する拮抗(きっこう)力をつくりたいとの思いがこもっている。このほどインドとの最初の首脳会議を開催、関係強化に乗り出した。域外のもう一つの大国をここに関与させようという均衡感覚の表れと言える。
(ガイアツとしての中国 船橋洋一)

小泉首相の外交音痴は対北朝鮮外交で証明された。外務省の一局長にいいように引きずり回されて、日本中が北朝鮮問題で大騒動だ。小泉首相もそれなりの計算があったのだろうが、国交を回復して、森派の北朝鮮利権は得られそうも無く、狂った金正日は日本へミサイルを撃ち込んできそうな状況だ。北朝鮮からの難民が増えてきて東ドイツの崩壊前夜を思わせます。このような時に訪朝するとは飛んで火に入るようなもので、とても支持率が上がったとしても割に合わない。

中国に対しても靖国神社参拝で、いらぬトラブルを起こして対中国外交に汚点を残している。小泉首相は自分が起こした行動がどのような影響をもたらすか計算できないのだろう。度重なる靖国参拝での謝罪外交はASEAN諸国へ不安をもたらしている。外務省のチャイナスクールが日本の外交をゆがめ、ASEAN軽視の外交は取り返しの付かないことになる。ASEAN諸国が中国の影響下に入った場合、通商的にインド洋と東シナ海とが遮断される恐れがある。

台湾が中国に武力統一された場合も、最重要な通商航路が脅かされる。それにも拘らず李登輝氏の訪日ビザを断っている。日本の外務省は明らかに間違っている。中国による日本とASEANとの分断工作に振り回されているのだ。ASEAN諸国はだらしの無い日本に見切りをつけているようだ。中国へASEANから工場をシフトする日本企業が増えている。ASEANにとっては踏んだり蹴ったりで日本への信頼を失ってしまった。台湾の王氏は次のように言っている。

”欺小怕大”、自分より弱いものをいじめ、自分より強いものを怖がったら、何時 たっても、またいくら金持ちになっても、そんな人間は決して尊敬されません。国も 同じです。中国は、シナ文化、中華式の尊大を捨てない限り、怖がれる国になって も、尊敬される国になることはありえないでしょう。日本も同じです。日本よ、(シッカリしてくれ! 王 紹英)

「チャイナドリームの光と影」Posted by 宮崎正弘
ガイアツとしての中国  船橋洋一



鷲田小弥太著:「日本人のための『論理学』」
日本語は”世界最強”の言語である

2002年12月01日
まえがき

私は日本人である。なぜか?国籍が日本である、というのは日本人の外形標準にしかすぎない。最も簡約で、意味の深い応えは、日本語を話すからである。日本語で話すと言うことは、日本語で考え、行動する、と言うことである。もしこの日本語が、漢語の俗語であったり、英語との混合物であったら、日本人の意識も行動も、チャイニーズの亜種であったり、アメリカンとの混合種であるかもしれないのである。

かつて、日本と日本人と日本語は、チャイナの圧倒的影響下にあった。明治維新以降は、西欧に、第二次大戦後は圧倒的にアメリカの影響下にあった。ところが、第二次世界大戦後、日本はアメリカの「属国」の観を呈してきたことを唯一の例外として、7世紀後半に建国して以来、日本、日本人、日本語は、しっかりと自立を保ってきたのである。

論理的思考や日本語論が読書界で注目されているのは、まことに結構なことだ。しかし、それらの議論が、日本人は、したがって日本語が、論理的思考に適さない、と言う問題意識に基づいてなされているように思えてならない。つまり、日本人と日本語は非論理的だから、正しい論理の道を示さなければならない、と言う問題意識は、日本人の思考と日本語の「特長」を、消去しかねない方向に進んでいるのである。

もちろん、日本人は、チャイナや西欧諸国を学んできた。その学びぶりは、むしろ徹底している。「学び」は「真似び」である。あまりにコピーするので、日本人は猿まね名人の異名をとってきたといってもいいだろう。しかし、日本人のコピーはどんなに原型から影響を受けても、猿まねにとどまらずにすぐに日本独自のものに変化させ、日本化してきたのである。

その典型が日本語である。日本人の論理である。日本語は、そのルーツがまったくわからない独特の構造をもっている。しかも、世界中のあらゆる言語と通訳可能である。どんな言葉をも翻訳して、自国語に取り入れてしまう優れものである。大げさにいえば、「一にして全」なのだ。すばらしい。

ところが日本人自身が、自国語に対して、劣等意識を持っているのである。日本人の論理は非論理的である、と思い込んでいるのである。この劣等意識が、日本語を論理的にするためには、論理的に思考するためにはどうしたらいいのか、と言う意識に結びつく。そして論理トレーニングを促す。これは、劣等意識が努力のばねになるという、いい例にはちがいない。

しかし、日本語は優れて論理的な言葉なのだ。日本人が論理的に考え、行動するためには、まず、劣等意識を振り払い、この日本語の長所を再発見し、再確認することから始めなければならないのだ。とはいえ、自国を、自分を誇るのは、複雑な意識を伴うものだ。しかし、誇ることの出来る自国、誇るに足る自国語をもっている、とはっきり確認することは、とても大切なのだ。その長所をさらに伸ばしていくことが、たどるべき最良の道なのだ。

こういう思いで本書を書いた。本書は論理的思考をテーマにしているが、同時に日本人論、日本語論で無ければならなかった理由を、了解していただけると思う。
(『日本人のための「論理学」』のまえがきより)

鷲田小弥太[ワシダコヤタ]
1942年、札幌市生まれ。大阪大学文学部哲学科卒業。同大学院博士課程修了。三重短期大学教授を経て、現在、札幌大学教授。専攻は哲学、倫理学

最近の日本人グローバリストによる、日本文化破壊工作は、文部省をはじめ政界、官界を洗脳しまくり、小学生から英語を学ばせるほどに悪化している。日本語は劣等言語であり、西欧言語に比べ、非論理的であるという迷信がばら撒かれた。政治家たちがそれに感化され、ただでさえゆとり教育で授業時間数が減ったのに、さらに英語教育を割り込ませてしまった。

このおかげで数学や理科や社会教育は大幅に減らされることになった。この悪影響は10年後20年後に大きな付けとなって返ってくるだろう。低学年の教育においては二ヶ国語を教える必要は無く、思考訓練に障害をもたらし有害無益である。日本人がなかなか英語をマスターできないのは、日本の少年少女たちの西欧文化への抵抗運動であり、いたずらに英語コンプレックスを助長するものだ。

外国語を学び始めるのは高校か、大学からでも十分であり、必要に応じてやればいいことである。最近では語学のためにアメリカの高校に行く留学生が増えている。しかし日本文化も知らないうちから、一番多感な時期にアメリカ文化にどっぷり漬かることは、無国籍の人間を作るだけであり、日本人でありながら心はアメリカ人という、帰国子女のような中途半端な日本人を作り上げるだけだ。

むしろ情報化時代の到来によってアメリカに留学せずとも、日本にいながらアメリカの情報がインターネットによっていくらでも集めることが出来る。アメリカの片田舎で独学で勉強しているのと条件は変わらない。さらには世界中の新聞も読むことが出来る。だから英語そのものよりも子供にインターネットの使い方を教えれば、いやでも英語は使えるようになってくる。使えなくとも翻訳ソフトでパソコンが通訳してくれる。鷲田氏はこの点について次のように書いている。

日本語には、どんな文化も、どんな言語も、ばんばん取り入れる悪食の習性がある。しかも何を食べても、日本語に同化してしまい、それでいて、日本語の体系をまったく変えないできた。日本語って万世一系なのである。パソコンは、日本語変換ソフトを使って、世界各地にあるあらゆる情報を日本語で簡単に入力することを可能にした。どんなものでもたちどころに、全部、日本語の体系に変換すると言うことである。それでいて、日本語の体系も論理も微動だにしない。フランス語のように、ラテン語に侵食・征服されるとか、英語のように、一時的にフランス語に征服された、などという変事をすこしも心配することが無い。(鷲田小弥太)

これからの時代はジョセフ・ナイ氏の言うがごとくソフトパワーが覇権を争う時代である。文化発信力が国力のバロメーターになるだろう。情報時代に国境が無い時代になって、情報発信力の無い文化国家はは、文化大国に飲み込まれてゆくだろう。かつてはアメリカがソフトパワー大国だった。しかし音楽においてはかつての勢いが無い。映画もネタ切れで日本映画をパクッてリメイクしているていたらくだ。歴史の浅い国は文化も底が浅いようだ。



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