株式日記と経済展望



ページを繰り越しましたのでホームページからどうぞ。


日銀はロスチャイルドの手先だ

2001年6月29日
昨日の日銀の金融政策決定会合で財務省の副大臣からインフレターゲットの政策提言がされましたが、日銀サイドは量的緩和をしても効果が無いと否定されました。もはや財務省の大臣がいくら意見を述べても、日銀は言う事を聞かなくても良い事になっています。それは98年4月から日銀法の改悪により、財務省の支配下から独立したためです。

もはや日本経済をコントロールしているのは日本政府ではなく、中央銀行である事が明白になっている。つまり現在のデフレ状況を作り出しているのは日銀である事は明らかだ。政策決定会合においても意見は述べる事は出来ても財務省には何の権限も無い。メンバーは日銀のシンパによって固められている。どうする事も出来ない。

10年にも及ぶ大不況は90年3月の「不動産関連融資総量規制」から始まっている。それまで二桁増だったマネタリーベースの対前年同月伸び率をほぼ一貫して絞り続け、92年にはマイナスにまで引き締めてしまった。不況が長期化したにもかかわらず金融の量的緩和は行われず、引き締めは続けられた。日銀は金利は下がっているから金融緩和をしていると誤魔化した。

アメリカのFRBのグリーンスパンはブラックマンデーのときも、LTCMの破綻の時も資金供給を十分行なう事を宣言して市場のパニックを収めている。アメリカの市場関係者は中央銀行の資金供給量が重要である事を良く認識しているからだ。日本ではインフレの再発を恐れる学者やマスコミの論調が強く、資金の量的金融緩和を言う学者は少なかった。

日銀は量的金融を引き締め続け、アメリカはドルをジャブジャブ供給して景気の回復を図った。その結果95年には円は1ドル=79円にまで円高が進んでしまった。日銀とFRBの陰謀によるものである。円高にする事により日本の輸出産業の工場のアメリカ進出を促すためである。しかし日本はアジアに工場を持っていってしまった。アジアはドルにリンクしていたからである。

そこでアメリカはアジアのドルペッグを切り離すために円安に持っていき、アジア諸国のドルペッグ制を切り崩した。そのためにアジア金融危機が起きた。日本の輸出企業の工場の海外移転は進み、その恩恵をアメリカやアジア、中国が受けている。日本の製造業の弱体化をアメリカは企んだのだ。それをマスコミでは製造業からサービス業への構造改革と言っている。

これから先、アメリカは円安に持っていき日本の空洞化した輸出企業に大打撃を与える事を企んでいるだろう。その上で日本企業を安く買いたたく。こんな恐ろしいことを国際金融資本(ロックフェラー・ロスチャイルド)は企んでいる。その陰謀の手先として日銀や政府内部で彼らの手先になっている政治家や官僚がいるのだ。


日本でパソコンが普及しないわけ

2001年6月28日
値嵩のハイテク株の値下がりが止りません。ネット株や通信株や半導体株や携帯関連株などです。ソフト株も業績が良くても安くなっています。5分の1や10分の1になってしまった株も珍しくありません。確かにアメリカのIT革命は終わりましたが、日本のIT革命はこれから始まるところなのですが、株式相場では終わってしまったようだ。

日本ではインフラすらまだこれからの問題で、光ファイバーが家庭に入るのも5年先の話だ。つなぎのADSLですらこれから普及し始めるところだ。まだこれからなのになぜネット株ブームは終わってしまったのだろう。そもそもIT革命とネット株ブームとは別のものなのだろう。

日本ではパソコンというものになじめないものがあるようだ。ゲームにしてもワープロにしても日本では専用機が発達して普及しました。メールにしてもパソコンよりも携帯電話がメール利用の主流になっている。アメリカなどではパソコンは何でもできる汎用品で、ソフトを入れ替えるだけで、ゲーム機にもワープロにもメールのやりとりにも使いこなしてきた。

ゲーム機も専用機の方が安くて高性能で機能的に出来るから、ファミコンとかプレイステーションは世界的なゲーム機として普及しました。ワープロも漢字変換がネックになって専用機が普及した。メールもポケベルから始まって携帯電話がメール専用機のようになって普及している。パソコンはどうしても専用機に比べれば中途半端だから、凝り性の日本人は専用機を作ってしまうようだ。

たしかにパソコンは何にしても使い勝手が悪い。そして値段が高い。CPUも化け物のようにでかくて高熱を発する。ファンの音もうるさい。あんな不細工なものは日本人には受け入れられないのだろう。日本ではパソコンは一部のマニアのものであり続けるだろう。

ソフトにしてもあんなに不安定では日本人には我慢が出来ないだろう。正常に使っていてもトラブルが出る。OSが不安定だからだ。専用機ならそのような事は許されない。西洋人なら多少出来そこないでも平気で使っているが、日本人には我慢出来ないのだ。完璧なノートラブルなOSやソフトを作らないと日本人には受け入れられないだろう。だからパソコンは日本では普及しないのだ。


構造改革でデフレが解決するか?

2001年6月27日
今度の参院選挙はタレント候補の乱立になるようだ。比例で票を集めるにはそれが一番手っ取り早い。自民党がそのように選挙制度を変えてしまった。その名簿の下には各利権団体の役員がずらりと並んでいるだろう。議員バッジは勲章の代わりでしかない。参議院も衆議院も比例代表選挙を止めるべきだ。弊害の方が多いように思う。

小泉内閣を攻撃している大橋巨泉氏の立候補を非難する人たちがやはり多い。小泉・真紀子親衛隊の人たちだろう。小泉首相は「なんてったってアイドル」なのだから人気は絶大だ。しかしどうも小泉首相は信用が出来ない。やはり選挙用の内閣としか思えなくなってきました。

今にして思えば最初の施政方針演説も25分で終わってしまった。週間ポストによると原稿は具体策がいろいろ書いてあったのですが、小泉氏がみな削ってしまったらしい。改革するといいながら総論ばかりで皆先送りになっている。今日の新聞にも道路特定財源の一般化は良く議論を尽くしてからということで先送りされました。

「構造改革なくして景気回復なし」というスローガンも意味が通らない。10年も不況が続いているのは、政府の景気対策が不適切だった事と、日銀の金融政策が間違っていたことが原因だ。政府や日銀が「構造改革遅れが不況の原因」と言っているのは、彼らの政策の失敗を覆い隠すための隠れみのだ。

だから政府や日銀は御用学者を総動員して「構造改革」をテレビで連呼しているのだ。構造改革すればデフレが治るのか、そんなことはない。デフレは金融政策の問題であり、日銀にその責任がある。森永卓郎著「日銀不況」からの引用です。

日銀はこれまで量的緩和は効果が無いと言い、量的緩和をすればハイパーインフレになると主張してきた。ハイパーインフレになるというのなら、量的緩和は効果がある事を認めた事になる。効果があるのか無いのか、どちらなのだろうか。上手くコントロール出来ないというのが日銀の主張のようだが、日銀以外の世界の中央銀行はみな上手くコントロール出来ると言っている。そうでないというのなら、海外から人材を連れてきた方がよい。

確かに物価を上げ、それを一定の上昇率で止めるのは難しい。しかしそれをやるのが中央銀行の役割の筈だ。そもそもインフレターゲットを設定して金融調整を行なうという手法は、イギリスやカナダやオーストラリアなど、アメリカを除く先進国のほとんどの国で採用されている。彼らが出来て、日銀が出来ないという論理は成り立たない。

(日銀は国際金融資本家たちのGHQのような存在だ。日銀は彼らの指示により、日本の経済成長や資産価格も為替レートも決めている。日銀はもはや日本政府は手も足も出せない現代のGHQだ。テレビなどのマスメディアはGHQの支配下にある。だから「構造改革」を連呼して国民を洗脳している。小泉総理も彼らの操り人形だ。)


大橋巨泉氏の参院選立候補

2001年6月26日
7月の参院選に大橋巨泉氏が民主党から立候補するそうです。小泉人気を利用している自民党政権への疑問は私も同感です。選挙で勝てば勝つほど喜ぶのは自民党の主流派だ。そして「自民党をかえる」というスローガンは掛け声だけに終わってしまうだろう。利権政治は政権が代わらない限り断ち切れるものではない。

民主党の管幹事長がロスまで行って大橋巨泉氏を説得して成功したのですが、今の日本で小泉総理を批判する事は勇気が要ります。小泉首相や田中外相を追及した野党政治家に抗議の電話やFAXやメールが殺到するのは恐ろしい世の中だ。そんな日本人の付和雷同性は戦前とちっとも変わらない。

大橋巨泉氏はそんな日本国民やマスコミの姿勢に危機感を抱いて、立候補を決めたのでしょう。まさに大政翼賛会的な90%という国民の支持率は異常だ。日本外交は空転し、経済は「悪化」している緊急事態になんの手も打っていない。小泉人気に安住して危機感がないのだ。株価が落ち込んでも何のコメントも聞かれない。

「構造改革に伴う痛み」という抽象的な言い方は、国民をごまかそうとしている。経済が落ち込んでいる時に、さらにデフレ政策をとることに堺屋前長官も警鐘を鳴らしている。株式市場もそんな底割れ不安を感じ始めている。今の内閣でほんとに経済がわかっている人はいない。

経済は一度クラッシュしてしまうと立て直すのはとても困難だ。98年のミニクラッシュの後遺症からまだ回復していない。「日銀」の速水総裁によると、「構造改革」で大クラッシュさせないとだめなのか。不良債権の多くが中小企業のものだ。そうなれば経済問題ではなく社会問題となってくる。失業者が増えると言った問題ではなく、社会的政治的問題となって取り返しのつかない事になるだろう。

今度の都議会選挙で「構造改革」は支持されましたが、中身はまだ何も無い。私は景気回復が先でなければ構造改革は出来ないと考えます。失業者の受け皿も無しに改革を断行しても失敗する。前向きな投資も行なえない。政府の財政赤字はますます増え、財政再建は失敗する。

日本はどうしてアメリカや北欧でのバブル崩壊から脱出した実例から学ぼうとしないのだろうか。公的資金で銀行を救い、金融の量的緩和で景気を立ち直らせて、財政再建とIT革命で「構造改革」を成功させている。学者やマスコミの銀行救済批判に日本政府は手を打てなかった。そして毎年巨額の赤字財政を残し続けた。景気が回復しない限り財政赤字はなくならない。


小泉効果で都議選自民勝利

2001年6月25日
昨日の都議会選挙では50%を超える投票率で前回の投票率40%を10%も上回りました。前回棄権していた無党派層の中から小泉支持で自民党に入れた人の分が多いのでしょう。小泉首相の「構造改革」の支持は圧倒的なようだ。公明党も民主党も「構造改革」で健闘しました。共産党や社民党は反自民票を失い小泉人気の煽りを受けてしまったようだ。

行財政改革は強力な政治力が無いととても出来る事ではない。そして小泉総理は「自民党を変える」事が出来るのだろうか。自民党を変えなければ、行財政改革は出来ないだろう。郵政族、建設族、運輸族、文教族、厚生族とさまざまな利権をもった議員だらけで、その下には官僚たちが彼らを支えている。田中大臣と外務族議員と外務官僚の関係を見ても改革は簡単な事ではない。

私は自民党を変えるには、自民党を野党にする事が一番手っ取り早い方法だとおもう。利権構造が断ち切られるからだ。彼らはそれを一番恐れる。だからこそ敵対する筈の社会党や公明党とも連立を組んで政権にしがみ付くのだ。小泉氏を総裁に選らんだのも、野党に転落するのを恐れたためだ。村山総理大臣を担いだ時と同じ事で、政権があってこその自民党なのだ。

だから、小泉人気で選挙で自民党が勝利する事は、「自民党を変える」事から遠ざかることになる事になるだろう。小泉氏が、もし自民党を変える事が出来なければ、自民党を新旧の二つに割って新自民党を作っていくしかないだろう。今のままの自民党では変える事は難しく不可能だろう。自民党はすでに時代に合わなくなっており、耐用年数は過ぎた政党だ。

一つの政党が何十年も政権を握り続ければ政官業の癒着構造が出来て腐敗してしまう。だから小選挙区制が出来て政権交代が起きやすい制度にしたのに、それは機能していない。相変わらず自民党内での政権のたらいまわしが続いているだけだ。小泉氏は「小泉内閣が出来た事は政権が代わったのと同じ事だ」と言っていました。

ようするに小泉政権は今までの政権保持の仕組みをそのまま利用しているだけだ。国民も政権が代わったと錯覚してムードに流されているのだ。小泉内閣が本気で政治改革に取り組むのなら自民党を離党して、政党再編成して取り組まないと出来ないだろう。

行財政改革は具体化すれば官僚たちの抵抗が激しいだろう。族議員も動き出す。今は小泉内閣の味方をしているマスコミもいつ寝返るかわからない。もしスキャンダルが小泉内閣に出たりしたら、細川内閣のように簡単に葬り去られる。そうなる前に大胆な行動に出た方が良いと思う。


日本国民は田中真紀子の親衛隊か

2001年6月23日
相変わらず田中外務大臣の問題が続いている。何度注意されても治りそうにない。訪米に際しても日程のドタキャンが相次ぎパウエル国務長官との会談でも、またも言った言わないの問題を繰り返し国の信用を失っている。外務委員会での鈴木宗男議員の挑発にのってまたまたトラブルを起こしている。

今度の問題は議員の質問に対する権利の侵害行為で、質問時間の2時間を1時間にしようとしたり、質問内容を制限させようとしたり、行政の立法に対する権利の侵害行為だ。憲法違反行為であり、他の大臣ならとっくに辞任させられているはずなのですが、ワイドショーも人気に迎合して田中真紀子応援団となって相変わらずの調子だ。

森総理は資質の無さで辞めさせられましたが、田中外相は資質も無く、問題ばかり起こしているのに、小泉総理はなぜ解任しないのだろうか。外相訪米に100点満点付けたり、大成功と言ったり、田中外相を擁護している。このままだと首相の任命責任にまで影響が出て来るのではないか。ワイドショーはこのまま「ガンバレ真紀子」コールをしていると、小泉内閣を危なくさせかねません。

小泉総理の「骨太の政策」もあまりにもたくさん課題がありすぎて、ほんとに出来るのだろうかと心配になります。選挙目当ての無責任なスローガンに過ぎないのだろうか。人気のある田中外相を辞めさせないでいるところを見ると、ますます選挙目当ての人気取り内閣に見えてしまう。この点では森前総理の方がまだ見識があったといえる。このままでは橋本派の思う壺だ。

「週間文春」に日本人は60年周期で発狂すると書いてあります。確かに60年前はアメリカと戦争を始めた。さらに60年前は幕末で国民は「ええじゃないか」と日本中踊り狂った。そして現代は小泉内閣に90%の支持率だ。さらに田中外相の異常言動に拍手喝采している。その社会的背景は「社会不安」だろう。ヒトラーはまだ登場していないが、田中真紀子親衛隊は存在しているようだ。


小泉総理のメルマガに180万人

2001年6月22日
加藤の乱でインターネットが話題になりました。新しい技術によって中央の政治家と国民との距離が近くなりました。小泉首相のメールマガジンが大変な評判です。すでに購読者が180万以上にもなっているそうです。総理大臣と国民とは双方向で意見を交換出来る事は画期的な事だ。今までは手紙か電話かFAXしかありませんでしたが、一般的ではなかった。

すでに2万件以上国民からのメールが届いているそうです。手紙や電話やFAXでは不可能な事だ。このようなインターネット民主主義はどのような変化をもたらすだろうか。まず選挙でもネットを利用出来るようにすべきと、前から私は主張しています。

現在の選挙活動で政策を訴える方法はほとんどない。ポスターと車に積んだラウドスピーカーで自分の名前を連呼するだけだ。金ばかりかかってばかばかしい。ネットを利用出来れば安く有権者に政策を訴える事が出来、やりとりも出来るのだ。政治家の意識も少し遅れているのだろう。

以前私はネットで政治募金が出来るように提案した事があります。そしたら自民党はカードを利用した政治献金システムを取り入れる事を、新聞のニュースで知りました。わざわざパーティーを開く必要もないし、手数もかからず、公明正大だ。これからはネットを有効に使った政治家が出て来るようになるだろう。

有権者からのアクセスが増える事はそれだけ政策のブレーンが増えるのと同じ事だ。代議士に必要なのは政策秘書ではなく、ホームページ管理者だろう。メールの管理や情報の発信などの専門家がいれば、小泉首相のように数百万人とのやりとりが出来るようになります。その数百万人から1000円の募金を集めれば数千万円になります。

田中長野県知事はそうしたネットを利用した新しいタイプの政治家だろう。だから記者クラブなどを廃止して、直接市民にアクセスして自分の意見も言えるし、市民の意見も聞ける。小泉総理も間に新聞記者やテレビメディアなどを利用しなくとも数百万人の国民に直接意見が言えるのだから画期的な事だ。小泉総理ばかりでなくすべての政治家がメールマガジンを利用すれば良いのだ。そして会費を政治献金として集めればよいのだ。

私は新聞やテレビのマスメディアに不信感を持っている。新聞記者やテレビの記者は資質も低く、内容は作為的なのが多い。政治家も新聞やテレビをあまり相手にせずネットで直接国民を相手にしていった方が良いと思う。いずれは音声や画像で、ラジオやテレビ以上の情報発信が出来るようになる。


製造立国と軍事金融帝国の対立

2001年6月21日
アメリカは世界最強の軍事力を持つ帝国となっている。ソビエトとの軍拡競争との競争に勝ち、まさに世界を支配する帝国となっている。現在でもNMDなどの開発で成功すればその地位は揺るぎ無いものになる。ロシア、EU、中国など一斉に反発している。以下は内田勝晴著「家康くんの経済学入門」からの引用です。

15、6世紀のスペイン帝国は新大陸を征服し、膨大な金銀を略奪したスペインは、それをさらに戦費につぎ込んだ。この強力な軍事力を背景に、思いのままに世界中から消費財や贅沢品、珍品などを集め、栄華をきわめた生活を楽しんだが、国内で産業を育成する事はしなかった。

スペインはやがてイギリスに制海権を奪われて没落した。イギリスは金銀を他国から略奪するだけでは国が豊かにならない事を知っていた。国内で工業、特に毛織物工業を興し、生産力を増強する事こそ、国を豊かにする道であるとわかっていた。アダム・スミスのおかげだ。彼は、軍艦の後ろ盾を持ち世界各地から金銀を集めるのが国を富ませる道だと説く重商主義を批判し、産業革命ないし産業育成が国の富む基本だという事を「国富論」で述べている。

現実に人々の生活を向上させる製造業は、儲けが少ない。一般的には、2ー4%といわれている。それに対して、ヘッジファンドのなどの儲けは、20ー30%と言われている。このヘッジファンドのの働きで、為替レートが二分の一になったり、二倍になったりする。これでは、自動車や機械などを輸出している製造業は、為替変動で儲けが不安定になり、やっていけない。

この国際的な暴れ者である投機資金を押え込みたいと思うのも当然だ。しかしアメリカはそれを許さない。金融業はアメリカの最も儲かる産業だからだ。自由な資金の流れこそ世界経済に必要で、それを妨げる規制は緩和・撤廃すべきだと主張する。ここに、ヨーロッパやアジアとアメリカ、工業国家と脱工業国家の対立がある。

(現在のアメリカはスペイン帝国と良く似ている。強大な軍事力を背景に、ヘッジファンドが世界のマネーを略奪して、思いのままに世界中から消費財や工業製品を買いあさっている。グローバリズムとはアメリカ帝国主義の事であり、金融という略奪手段で国は豊かにはならない。アダム・スミスが言うごとく、生産力を増強する事こそ国を豊かにする道である。

アメリカ国内はもとより世界で反グローバリズムの運動が起きている。グローバリズムで利益を得るのは一部の国際金融資本家たちだけなのだ。そして世界の中央銀行を支配下に置き、為替を自在にあやつり巨額の利益を上げて行く。日銀の国賊的行動もそれで理解出来るだろう。)


小泉革命はやらねばならない

2001年6月20日
株式相場が下げ止まりません。3月で大底を打って上げ始めた株価も、出来高の減少と共に売られて、外人の買いも止り、買い手不在の相場にまた戻ってしまった。最近は6月と12月には外人のファンドの売りがどうしても出ます。悪い材料も次々と出てきて売り叩かれています。銀行株の下げが目立ちます。

仕手株も投げ売りが出て、デイトレーダーの回転売買も止ってしまったようだ。今は様子を見ているしかないようだ。4月は過熱状態でしたが、最近は株式指標では買い信号を発している銘柄が多い。それでも連日下げ続けてとても買える状況ではない。しかし底を確認してから買おうととしても、いつ急騰するかわからない。いつどんなニュースが出るか解らないからだ。

3月からの相場も爆発的に出来高と株価が急上昇して、安く株を買えた人は少ないでしょう。今が二番底ならそろそろ買いのタイミングです。しかしいつ二番底かは誰にも解らない。株は安い時に買って、高くなったら売るのが鉄則ですが、安い時には買えず、高い時に飛びついて買ってしまう。ほんとに株は難しい。

最近は株式よりも経済全体がおかしくなっている。学者や評論家の意見も昏迷している。政治家も何をどうしていいのか分からない。ただ、与党も野党も改革を叫んでいる。しかし何をどう改革するのかよく分からない。予算の使い方に問題があるようだ。小泉総理でなければ言いだせなっかった事が次々と出てきている。

最近まで政界にはあまりにもタブーが多すぎて、手の付けられなかった問題が原因で、財政をおかしくしてしまったようだ。郵政も道路特定財源も地方交付税も特殊法人も、族議員がいて国家財政を悪化させてきた原因らしい。これを改めるには正に小泉革命でも起こさないと解決出来ない大問題だ。これらの問題はマスコミで取り上げても政界で取り上げられる事はなかった。

これらの官僚や族議員の既得権益団体は、戦前における陸軍のような強大な特権階級となり、誰も手の出せない聖域だった。一部の人や変人が言っていただけで、問題があまりにも大きすぎて誰も手が出せなかったのだ。野党も既得利益団体の一員だ。本当の改革派はほんの一部だ。

これらの問題を正面から取り扱った本は見当たらない。それだけ問題が政界のタブーだったのだ。小泉氏の郵政民営化論だけがわずかにあるだけだ。しかし税制の大改革をやるとなると、国会議員の総入れ替えしないととても出来る問題ではない。選挙制度も大改革しなければ、都市と地方の不公平は解決されないだろう。小泉首相のやらなければならない事はあまりにも多い。しかし革命はやらねばならない。


小泉内閣の景気対策はあるのか

2001年6月19日
田中外務大臣がパウエル国務長官との会談を終えました。テレビの画面を見ていても、どう見ても普通のオバサンにしか見えません。少しはしゃぎすぎのようで、パウエル長官にしてみればお客様扱いで、外交交渉と言った雰囲気ではなかった。NMDや沖縄の基地問題や京都議定書などいろいろ問題はあるのですが、パウエル長官に軽くかわされてしまったようだ。

アメリカ側としては田中真紀子を外務大臣としては見ていないようだ。国内においては官僚たちにはコワモテなのですが、海外に行くと単なるミーハーになってしまう。日本外交はこれで良いのだろうか。秘書官も6人体制で、今回の会談も二人の通訳を付けて、まるで御姫様のような体制だ。ワイドショーは相変わらず華やかに扱っている。

アメリカ側にとっては扱いやすい人物が大臣でいてくれた方がいい。田中外相のお父さんのようにやり手の総理大臣だと、アメリカの国益を損ない厄介な存在となると、アメリカは牙をむいて来る。結局は官僚たちのコントロールのもとに動くロボットになるしかないのだろうか。その官僚も頼りなく国際情報戦争にはとても太刀打ち出来ない。

小泉総理大臣は都議会選挙で歌までサービスしたそうだ。まさにワイドショー向きなタレントぞろいの内閣だ。小泉首相は外交と経済には弱いようだ。しかし担当大臣も塩爺はじめどうも頼りになりそうにない。日本経済は「悪化」している。株式相場もボリュームも落ちて下落している。しかし政府の反応は鈍い。支持率の高さに危機感が感じられない。

株価対策も大きく後退し、これでは個人の株離れは止まらないだろう。亀井氏が言っていた株価対策とは随分かけ離れたものになりそうだ。小泉内閣の景気対策はあるのだろうか。むしろ構造改革を優先した政策をとるのだろうか。しかし構造改革の形もまだ見えてこない。株式がこのまま下落を続ければ金融危機の再発も懸念されます。


江戸時代の通貨政策

2001年6月18日
以前に徳川吉宗の通貨政策により「享保の改革」に成功した話を書きました。徳川幕府が300年も続いたのは金本位制から離脱した管理通貨制度が出来たからだ。そこには通貨制度に通じた天才がいたたからできた。この事をわかりやすく書いた本があったので紹介します。以下は内田勝晴著「家康くんの経済学入門」(ちくま新書)からの引用です。

幕府は貨幣を増やしたが、その分だけインフレになったのでは、経済に良い結果を与えたとはいえない。萩原重秀はたぶん、試行錯誤しながら貨幣発行量を85%増やしていったのだろうが、現実の物価上昇率は15%にとどまった。

「元禄改鋳」は大成功だった。当時の経済に未利用の資源や人材があったからだろう。こういう状態の下ならニセ金の発行でも、モノを作り出し経済繁栄をもたらすきっかけになることを証明したのだ。

もし、新たに生産物を作る資源や労働力の余裕がなければ、貨幣の増量は生産増大につながらず、そのまま物価の値上がり、つまりインフレに終わってしまうだろう。

元禄改鋳がこれで終われば、めでたし、めでたしだった。しかし、貨幣の純度を薄める事で得た「濡れ手に粟」のような儲けをインフレになりそうだからと、あきらめるほど、為政者は自制的でも理性的でもなかった。

貨幣改鋳で味をしめた幕府は、さらに十数年後の宝永末期にも改鋳を行なった。これは激しいインフレを引き起こし、失敗に終わった。

頭の固い、通貨の本質のわからない新井白石は、この悪鋳を糾弾した。白石は萩原のことを、インフレで庶民を苦しめ、改鋳で儲けた銀座の商人から賄賂を取っていた「天地開闢以来の悪人」だと非難し、将軍に罷免をたびたび要求した。しかし、萩原ほど財政に通じている者がいなかったので、なかなか罷免は実現しなかった。

宝永末期のインフレの混乱を収拾するため、やっと幕府は白石の意見を聞き入れ、ずっと以前の慶長金銀に戻す改鋳を行なった。そのために逆にひどいデフレに陥り、経済は深刻な不況に陥ってしまった。このデフレを救うために、さらなる貨幣改鋳を行ない、再び金銀貨幣を薄めたのは、八代将軍吉宗だった。

通貨は「瓦でもよい」と言った天才萩原の考えは、本当にすばらしい。金銀の存在量の制限から自由になり、通貨を経済の必要量に合わせて調節出来る管理通貨制度は、経済政策の基本をなす手段だ。

(バブルの時は資材は逼迫し、人手も不足していたので通貨の増大はインフレになってしまった。そうなると新井白石のような人物が出てきて、金融の引き締めでデフレにしてしまった。日本は江戸時代と同じ事を繰り返している。歴史の教訓はなかなか生かされないのは、学校の歴史教科書が悪いからだろうか。)


通貨が次々と死んでゆく

2001年6月17日
今日はテレビでリチャード・クー氏と竹中大臣が二つの番組で出ていましたが、不毛の議論が繰り返されている。竹中大臣の構造改革ははっきりせず、R・クー氏の財政も国債による公共投資では、資金を市場から調達して使うだけだからプラス、マイナスゼロで、景気にたいしては下支えにしかならない。番組でも使い方を問題にしていました。

R・クー氏の言うようにバランスシート不況で、企業は3500社のうち2000社は借金を返しし続けている。通貨は銀行に戻り貸出が返済されればその通貨が消滅する。つまり世の中から通貨が消えていっている。だからデフレになって物価が下落している。銀行の貸し渋りで通貨供給は絞られている。だから日銀は通貨供給をしていかないとデフレになってしまう。

だから国が銀行から借金をして投資をすればよいわけで、それだけ通貨が供給される。国債を発行する必要はない。それが生産的に使われ、設備や原材料や労働力があまった状態ではインフレは発生しない。問題は国がどの分野に投資をしていくかだ。必要のない地方の橋や道路は問題外だ。むしろ東京の再開発こそ一番効率的な公共投資だ。

東京は国際空港もなかなか整備されず、環状道路も30年もほったらかしだ。都心に住宅を作る事も必要だ。このような有効な公共投資は何倍もの波及効果のある投資だ。このような事を言うと「地方の切り捨て」だという政治家が出て来る。テレビでも言っていた。しかし地方は公共投資が消化しきれずにストップしてしまっている。生産性のない投資だからだ。

資金の流動性が減る原因の一つとして、企業が銀行融資から直接金融として株式市場から資金を得るようになったからだ。その資金は他からの投資を引き揚げて投資される。株式市場が資金を創造するわけではない。銀行とのつながりは減り預金も融資も減る。ペイオフが実施されれば大口の預金も流出する。その分銀行の融資枠も減る。

このように銀行の信用創造力が失われ、通貨がこうして消滅していけばデフレになるのは避けられない。景気を良くするという事は経済規模が拡大し、それに見合って通貨も増えていかなければならない。そのためには中央銀行が紙幣を印刷するか、銀行が融資を増やすしか方法がない。いま日本に出来る事は日銀が通貨を印刷するしか方法がない。

だから政府が生産的な投資を通じて市場に資金を供給して行く必要がある。単なる国債の買いオペでは効果が薄いだろう。借り手がいないからだ。だからこそ国が借り手となって資金供給して行く必要がある。国債から銀行借入れに切り替えて行けば一番手っ取り早い方法だろう。利払いや国債償還分を銀行から借り入れればそれだけ信用が創造される。


バブルは何故発生したか

2001年6月16日
バブルは何故出来たのであろうか。原因をさかのぼれば、日米の貿易不均衡の問題があり、円高の問題が引き金になっている。この二つの問題を政治的に解決するために、アメリカから「内需拡大」を日本政府は公約させられ、そのために財政政策と金融政策とで、「内需拡大」が図られる事になった。

リゾート法やら東京の国際金融センター構想が打ち出され、金融政策として低金利の長期化と金融緩和が行われました。この政策は間違っていたからバブルは発生してしまった。同じような状況にあった西ドイツでも貿易不均衡とマルク高の問題がありましたが、バブルは発生していない。むしろインフレ警戒から利上げを行ない金融を引き締めたからバブルの発生を防ぐ事が出来た。

ドイツはもともとインフレ警戒感が強い国であり、ドイツ政府も中央銀行も金融政策で「内需拡大」をしなかった事が正しかった。それに対し日本政府は本来やるべき規制の緩和や自由化などを怠った。このように1980年代の景気の良い時こそ、日本経済の構造改革を行なうべき時だったのだ。大蔵官僚たちが日本経済の舵取りを間違えたのだ。

日本政府は行き過ぎた産業保護と護送船団方式を転換出来なかった。政官業の癒着した体質が、この頃の構造改革を先延ばしにした。バブルの発生前なら日本産業界への「痛みも」短期で済んだ事だろう。戦後の成功した経済政策が改革を遅らせる原因となった。貿易黒字が定着しても輸出立国を変えられなかった。そして外資の参入や農産物などの輸入を制限して日本の企業や農業を保護した。

このためアメリカは日本を攻略する戦略を練り実行した。85年のプラザ合意がそのスタートとなっている。そのためにFRBとその手先となっている日銀がバブルの発生を仕組んだ。そして破裂させた。三重野日銀総裁の不可解な行動もこの為だ。大蔵官僚たちは見事にその罠にかかってしまった。

アメリカ政府と日銀は目的を達成しつつある。金融業界も自動車業界も流通業界も建設業界もみんなボロボロだ。今や外国資本の草狩り場になっている。農産物も生鮮野菜まで輸入されるようになった。やがてFRBと日銀は超円安にして日本の資産は格安で買取られるだろう。海外へ工場を移転させた企業も円安でやられる。

今頃になって政治家たちは構造改革を言い出している。今やるべき事は景気の回復だ。それも赤字国債による公共投資ではなく、「日銀」を日本の中央銀行に戻して、アメリカ自身が行なったような公的資金を使った不良債権の買取りと、公的資金の注入で金融を立ち直らせる事である。優先株を買ってもいいし、持合株を買取る事も有効だ。その資金は国債を発行するのではなく日銀が買取ればいい。

最近でもロシアのデフォルトやLTCMの破綻の際にもFRBは資金供給をして銀行を救済している。アメリカ自身がやっている事を日本ではやってはいけないと言う学者や専門家やマスコミが多い。みんなアメリカの手先になっている人たちだ。政治家も官僚も早く手を打ってほしい。マレーシアのマハティールやタクシン首相はとっくに金融危機に手を打っている。このままだと日本は韓国のようにされてしまう。


構造改革の痛みがやって来る

2001年6月15日
今日から東京都議会議員選挙が始まりました。ニュースでは党首の演説を扱っていましたが、共産党の志位書記長の演説が一番良かったと思います。「構造改革なくして景気回復なし」という小泉首相のスローガンに90%の人が支持しているのだから、これに異議を唱える事は守旧派と見られてしまいそうです。亀井前政調会長の政策が私の意見に近かった。ペイオフも反対です。

構造改革をするには、今が一番最悪のタイミングです。まだ構造改革の中身が良く分からないのですが、小泉首相は国会内の党首討論でも「2、30万の中小企業の倒産が出ても良いのか」という質問にも否定はしなかった。以前だったらそれだけでも大変な事だったのですが、日本はこれからどうなってしまうのでしょう。

速水日銀総裁は「構造改革の推移を見守る」として一段の金融緩和を見送るようです。明らかに日銀の権限を逸脱した行為だ。悪い景気指標が立て続けに出ている。緊急経済対策はどうなったのでしょうか。小泉人気で自民党の危機意識が薄れてしまっている。国民が痛みの正体を知った時はどう反応するのだろう。それでも構造改革を支持するのだろうか。

構造改革論者は銀行潰せ、ゼネコン潰せ、不良債権処理の促進を訴えている。それをしない限り景気回復はないとしている。問題はそれで済むかという事である。日本発の大恐慌になることはないか。金融パニックが起きて世界に波及する恐れはないか。どんなことが起きるか誰にもわからない。橋本内閣の時も財政再建路線を強行して金融パニックが起き、海外とくにアジアから批判が出た。

さらに一番の問題は政府や地方の財政だろう。これから次々と問題が表面化するだろう。国や地方が付いているからと安心していた事業が次々と破綻している。政府系の金融機関や特殊法人の事業の破綻がこれからの問題だ。そして、まず始めに小さな地方自治体の破綻から始まり、だんだん大きくなって来る。最終的には郵貯や国家財政にまで問題は拡大するかもしれない。

構造改革よりも緊急対策に追われるようになれば、構造改革は何のために行なうのか分からなくなります。デフレ状態なのにデフレ政策を行なうのはまともな政治家のする事ではない。資本主義とは対立しているはずの共産党が一番まともな事を言っている。日本の資本主義が上手くいっていないから当然なのか。

世界では反グローバリズムの世論が大きくなってきている。グローバリズムで利益を得るのは国際的な大企業だけだ。企業はもはや国家を超えた存在にまで巨大化し、国家をもその支配下にしている。国民のために国家は存在しているが、国民のために企業は存在してはいない。グローバリズムのために労働組合は弱体化し、賃金は安くなっている。ますます共産党的な考えに近くなってきました。


為替相場と信用創造量の関係

2001年6月14日
日銀の速水総裁は一段の金融緩和に慎重な見方を示しました。為替相場を見ているとどうも量的金融緩和をしているようには見えない。確かに日銀は札割れを起こすほど買いオペをしているように見える。R・ヴェルナー氏によると「多くのエコノミストは中央銀行の分析にあたって、日本銀行が短期金融調節と呼んでいるものを総和する事だけを考える。しかい日銀の純信用創造総量はわからない。それは日銀のすべての取引を合計すればわかる。」と言っている。

120円の円高基調を続けている事は日銀が量的金融緩和をしていないか、アメリカがより以上に量的金融緩和をしているかのどちらかであろう。「FRBと日銀との信用創造量の格差を計算し、為替レートの変化を照らし合わせると、為替レートのの変化の関係が非常によく分かる。1984年から2000年までの推移を見ると中央銀行の信用創造の相対的な量によって、為替レートを説明し、予測する事が出来た。」

金利や貿易収支も政治的安定性もいろいろ為替相場に影響がある。しかし決め手は中央銀行の信用創造量だ。リチャード・クー氏は為替相場でも間違った事を言っている。彼の「投機の円安・実需の円高」の中で次のように書いている。

「米国の財政赤字はドルの垂れ流しと思っている人がいるが、これはある条件が満たされた時のみ正しい見方である。その条件とは、政府が赤字を埋めるために発行した債券を、その国の中央銀行が買取った場合である。中央銀行がその国の国債を買取るという事は、中央銀行は輪転機を回して紙幣を刷って、その紙幣を政府に渡して遣わせているのと同じことになり、マネーサプライは急増する。そして、それが最終的にインフレをもたらす事になる。」

「日本や米国を含む多くの先進国は第二次大戦以降、政府が発行した債券を中央銀行が買取る事を制度的にも非常に難しくしている。従って中央銀行さえ節度ある金融政策を実施している限り、財政赤字の大小はマネーサプライの大きさとは関係ないのである。米国の財政赤字もドルの垂れ流しにはなっていないのである。」

実際にはR・ヴェルナー氏によると「1990年以降は円高ドル安だった。この頃、FRBがせっせとドルを創造して、アメリカ経済を浮揚させていた。日銀は逆をいってバブルを破裂させた。円が減ってドルが増えたのでドルは弱くなり、円が強くなった。」と書いている。やはり95年の超円高はドルの垂れ流しと、円の信用創造を急減させたための作為的なものであった。それは現在も続いている。

しかしR・クー氏は「なぜ利上げも大統領のトークアップも為替介入も効かないのか。その背景には、投機ではなく、実需のドル売り・円買いがあるからだ。投機だったら、そこまでやれば必ず効く筈だが、実需だったら効かないのは当たり前だ。」と書いている。しかし実際にはジョージ・ソロスのような投機家でもなく、日本の輸出企業でもなく、日米の中央銀行が共謀してやった事なのだ。中央銀行はその気になれば無限にお金を作る事が出来る。投機家や企業がどのように振る舞おうと、為替相場で中央銀行に太刀打ち出来る訳がない。

いずれ為替相場は円高から適正な相場に戻るだろう。その時に日本の製造業は空洞化され、日本の消費者は海外からの高い買い物をするはめになるかも知れない。工業製品も農産物も生産性の向上だけでは、太刀打ちできない水準になっている。構造改革をすすめる為に円高政策を日銀が取り続けるのはやりすぎではないだろうか。


不況を切り開くエネルギー技術革命

2001年6月12日
株式市況はN225がついに13000円を割り込みました。理由はアメリカ株式の下落や景気指標の悪化や金融機関の一部に不安感が出始めた事などいろいろあるようです。しかし小泉政権の支持率はますます高くなっている。田中外相の支持率も86%もあります。あれほどのトラブルを起こしても支持率には影響無いようだ。

私は大橋巨泉氏が言う事に賛成で、どうも信じられない。国民は政権が交代したような錯覚をしているのだ。いろいろ言っている見直し政策も選挙の後に先送りされている。小泉総理も9月までの選挙管理内閣と割り切ってやっているのではないか。小泉氏が思っていなくても橋本派はそう思っている。田中外相を交代させないのも人気を第一に考えているからだろう。

日米のIT関連株の下落が目立ちます。もはや投資家はIT関連株に興味を失っているようだ。それよりかエネルギー関連株に人気が集まっている。エネルギー産業の技術革新に注目が集まっている。燃料電池やマイクロガスタービンなどの発電設備に革命が起きているのだ。以下は広瀬隆著「燃料電池が世界を変える」からの引用です。

学者と政治家と官僚は、口を開けば情報技術だ、IT革命だと流行語を並べ立てたが、製造現場で見るエレクトロニクス産業はすでに成熟しきった分野であり、アメリカでは10年前に革命が終わっているではないか。それはほっておいても消費者が金を払う分野であり、当面それが収入をもたらすとしても、資本がそれを追いかけていたのでは、やがて大きな失敗に見舞われる事が歴然としていた。製造業は、日銭を追う投機業ではない。国民の資金を投入して育てなければならない産業は、別の所にあったのだ。

アメリカの自動車産業界は、燃料電池の完成に近づくための高度な技術を握るために、日本とヨーロッパの自動車メーカーが何処まで進んでいるかを、徹底的に調べ上げた。テーマが掲げられると、記録と解析に異常なまでの緻密さを発揮するこのアメリカ人の性癖は、嘘と詭弁を許さなかった。またその調査能力は、CIAと財務省の力も得て、質と量のいずれも高かった。

とりわけ燃料電池とエネルギーと石油・ガスの三者が関わるこのテーマは、星条旗を愛するメーカーにとって、自分にとっての生き残りだけでなく、アメリカ経済の浮沈を左右する大陸横断ハイウエイの輸送力と、全産業の生命線となったインターネット通信のデーターベースがかかった問題であり、ホワイトハウスの総力が結集されたビジネスであった。

(2月22日の日記にも同じような事を書いたのですが、エネルギー関連技術もアメリカに先を越されてしまった。日本の自動車会社の経営陣はすっかりぼけてしまったようだ。新しい技術が革命的であればあるほど、理解がないようだ。)


昏迷するデジタル革命

2001年6月11日
今日もマリナーズのイチローがホームランを打って100のヒット記録しました。NHKでは毎日のようにデジタルハイビジョンで衛星生中継されています。しかしこれをデジタルハイビジョンで見ている人はどれくらいいるのでしょうか。昨日のテレビでもアメリカの放送事情を「日高義樹のワシントンレポート」でやっていましたが、デジタルテレビは売れていないそうだ。

一足早く始まったイギリスでもデジタルテレビは売れていない。理由の第一としてはデジタルテレビが高いからだ。イギリスでは無料で配布しようと言う声まで出るほど普及していない。日本でも売れ行きが芳しくないようだ。チューナーだけでも10万円もします。デジタルハイビジョンテレビともなれば50万円以上もします。しかも大型でなければ意味がありません。

番組の中でも、これからも10年20年とアナログ放送は続けられると言う専門家もいます。計画ではあと数年でアナログ放送の打ち切りを決めていますが、延長せざるを得ないでしょう。アメリカではケーブルテレビが主流になっているので、地上波がデジタルになってもケーブルテレビは関係ありません。むしろインターネット放送やブロードバンド放送など新しい形態のテレビ放送も出てきています。

デジタルテレビは利用者にとってほとんどメリットがない事が原因だろう。それより壁掛けテレビのような物が売れるだろうと予想していました。ブロードバンドが進めば見たい番組だけダウンロードして見るようになるかもしれません。インターネット放送も多くの可能性も秘めています。

このように利用者が求めていない物を作っても普及していかない。大企業やお役所が作るものにはこのような物が多い。携帯電話も高機能化しているけれども、ほんとに消費者は求めているのだろうか。ビデオデッキも多機能になってもほとんどその機能は使われていない。パソコンもゲーム機もどんどん高性能化しているが売れていない。

テレビもパソコンもゲーム機も良いソフトが供給されなければ売れません。デジタル革命はハード機器では限界が来ているのだろう。高性能化がかえってソフト作りの障害になって高コスト化を招き、つまらないソフトが増えてきたような気がします。DOS時代のパソコンソフトやファミコン時代のゲームは賑やかだった。


日本の情報は全部筒抜け

2001年6月10日
フジテレビの「報道2001」で高村元外務大臣は、私が書いたとうりの事を言っていた。つまり日本の情報は皆アメリカに筒抜けであり、特に外務省はスパイだらけだ。だからおそらく外相会談の情報の漏れは官僚からではなく、外国の情報機関からマスコミに流されたものだろう。だから日本の新聞やテレビの報道は作為的なものが多い。

日本の主要な政治家の行動は逐一監視され、スキャンダルは情報機関につかまれている。ロッキードやリクルート事件など主要な政治スキャンダルはみな外国の情報機関から日本のマスコミに流されるのだ。橋本総理と中国人女性スパイとの関係も、情報機関からのリークだろう。普通ならばれる筈のない事が次々ばらされる。

日本は先日の金正男の入国事件に見られるように、日本の入出国はほとんどフリーパスに近い。防諜機関もない。まさに日本はスパイ天国であり、日本の主要な政治家や官僚は監視されて、あるいはその手先になっている。以下は浜田和幸著「乗っ取られる大国・日本」からの引用です。

アメリカの情報機関は日本の「悪習」をなくすと称して、官民の癒着体質を日本のマスコミを通じて社会問題化する作戦に出た。そこに介在したのは日米の「裏社会」の住人たちであった。彼らを使い、日本の金融機関と役人との、特殊な関係にまつわる情報を山ほど集めていたアメリカの情報機関は、情報を巧妙かつ小出しにマスコミにリークしたと言われている。

アメリカは日本の経済人や役人、政治家の情報を電波傍受や盗聴その他の手段によって専門的に収集していたようである。この種の情報収集の専門家に言わせれば「ノーパンしゃぶしゃぶ事件など、大蔵省の下級役人をちょっと血祭りに上げただけ。我々は高級幹部に関する、もっとスキャンダラスな情報を握っている」とのこと。

要は、日本の政治家や官僚トップの醜聞を、いつでも使えるようにストックしておき、必要最小限の情報を使って最大限の効果を狙おうとするのがアメリカの情報戦の常套手段となっているのである。

アメリカの諜報機関が、自ら作り出す場合もある。通称「ハニー・トラップ」と呼ばれる囮作戦などによって、脅し材料を蓄積していくのである。そして、最も効果的なタイミングを見計らって公表する。日本のマスメディアは政府批判の種となると、外国、特にアメリカの情報を無条件に受け入れる傾向が強い。

(このような方法によって、日本のみならずフィリピンのエストラダ大統領やインドネシアのワヒド大統領やペルーのフジモリ大統領も次々やられている。その目的は相手国を破壊する事ではなく、あくまでも弱体化させること。生かさず殺さず、自分の思う侭に相手を操る事が目的である。)


1970年代バブル崩壊の教訓

2001年6月9日
日本テレビの「ウェークアップ」で、糸瀬茂が食道癌と戦いながら病んだ日本経済に取り組んでいる特集を放送していました。糸瀬氏は構造改革派であり市場原理経済を主張しています。私とは見解は異なりますが、その壮絶な戦いには心痛めるものがあります。やはり日本人が外資系会社で働く事のストレスが病気の一因になったのだろうか。日本の会社もリストラ旋風が吹き荒れ、日本社会は荒んできている。だから凶悪な事件が続出している。

植草氏や原田氏や桝添氏や大田女史などへ、司会者の文珍さんが尋ねたところで景気回復への答えは誰も答えられない。政府があれだけ景気対策を打っても効果がないのだ。50兆円の税収しかないのに、80兆円以上の予算を組んで、借金は毎年30兆円も積み上がって行く。増税も歳出を減らす事も不可能だろう。答えは一つしかない景気を回復させるしかない。以下は「円の支配者」からの引用です。

バブルは戦後において二度発生している。1973年から始まった最初のバブルの崩壊は現在の状況とおんなじだ。不良債権で麻痺状態になると、銀行は貸出を減らした。総合経済対策が実施され金利が繰り返し引き下げられたにもかかわらず、経済は回復の兆しは見せなかった。そして財政赤字だけが膨らんだ。1974年には戦後初めてマイナス成長を記録した。

景気低迷が始まってから5年目の1978年、ほとんどの識者が希望を捨てたちょうどその時、工業生産がついに回復し、直前のピークだった73年10月の水準に達した。戦後最悪の不況は終わった。なぜか?経済回復の必要充分条件は、信用創造の増大である。1977年、日本銀行はついに窓口指導による貸し出しの伸びの上限を引き上げたのだ。

経済をコントロールしていたのは誰か?日本銀行の副総裁は前川春雄という人物だった。そして1975年4月から78年2月まで窓口指導を担当する営業局長を努めていたのは三重野康である。日本銀行の指導者たちは注目した。彼らは経済を回復させられるのは日本銀行だけである事を知っていた。

銀行が貸し出しを再開するには不良債権を償却して、バランスシートをきれいにするための資金が必要だった。いっぽう、日銀は国の銀行としての役割を果たして、紙幣を印刷して景気を浮揚させる事が出来た。日銀がお金を印刷しない限り、不況は続く。日銀はヨーヨーのように景気を操れるのだ。

(糸瀬氏は銀行に公的資金の注入が必要だと述べている。その外にも債券市場を操作して銀行を儲けさせたり、株価を上げて持合株を高値で買取れば、不良債権の引当金の手当ては出来る筈だ。日銀がその気になれば。)


ブレア政権選挙で大勝利

2001年6月8日
イギリスの総選挙で労働党のブレア政権が地滑り的大勝利を得ました。勝利の原因としてはブレア氏の人気と好景気が続いていることが原因のようだ。ブレア政権はまず一期目は「経済の安定」二期目は「改革の断行」を掲げています。改革の断行に於いては政権が安定していなければ出来ません。政権を安定させるには景気が良くならなければ安定しません。

小泉政権では「改革の断行」を公約として掲げている。しかし政権が安定しなければ政策は実行出来ない。国民の支持率がいくら高くても、自民党内の政権基盤は弱い。道路特定財源や地方交付税の見直しもすぐに出来る事ではない。早くも地方から反対意見が続出している。党の利権体質を変えなければならないだろう。

小泉総理はただの役者にすぎないのか、本物の改革者なのか分かりません。ブレア政権のように経済をまず立て直してから改革の断行を行なうのが正しい順番だろう。小泉首相はブレア首相と共通点がある。ブレアは労働党でありながら中道路線を取っている。小泉首相も自民党でありながら野党の政策を取り入れている。歯切れのいい演説も良く似ている。

国民の支持率が選挙に反映するならば、自民党単独過半数も可能だろう。イギリスも日本も小選挙区制の選挙制度だ。だから党首への人気の高さが選挙結果に反映されやすい。イギリスの保守党のへイグ党首の不人気が議席数を半減させました。自民党は破れかぶれで党員選挙で小泉氏を総裁に選びましたが、それが絶大な支持率となって反映されています。

野党も党内事情で党首を選ぶのではなく、自民党のように党員による一般投票で党首を選んで対抗しなければ、自民党に選挙で勝つ事は難しいだろう。民主党もこのままでは選挙で惨敗するのは明らかだ。小泉氏に対抗出来る党首を立てる必要があります。自民党は小泉氏を党首に選んだ事で党の改革が出来そうな印象を与えています。

国民が政治に無関心でない事は小泉内閣になって、国会中継の高視聴率で証明されています。今までは人相の良くない、やる気のない、無能な政治家が、官僚のメモを棒読みしながら、国会の審議が行なわれていました。それでは民意の反映されない官僚政治が行われるだけでした。

テレビで見たのですがイギリスの選挙では議員が街頭でチラシを手渡ししている。日本では車に乗って拡声器で自分の名前を連呼してまわるだけだ。選挙民との対話がない。イギリスでそんなことをしたらひんしゅくをかって落選するだろう。


迷走する日本外交

2001年6月7日
昨日の党首討論を見て、これでは野党は政権を取れないと誰もが思うでしょう。構造改革は野党の方が必要なようだ。民主党の鳩山氏は党首の器ではない。知性や教養はあるのだが政治家ではなく御公家さんタイプだ。日本の外務大臣が先日に日米安保からの自立をドイツとの外相会談で述べていたのに、どの野党も触れないのは何故か。

戦後50年以上続いた日本外交の基本政策を、田中真紀子外務大臣が変えようとしている。自民党とも総理とも異なる発言だ。田中外相は全面否定している。芸能ワイドショーはリークする外務官僚が悪いとしている。私はリークしているのは日本の官僚ではないだろう。ばれれば守秘義務違反で首だ。おそらく情報の出所はアメリカの情報筋あたりだろう。アメリカはすべての電話や無線やネットなどの傍受をしている。エシュロンというやつだ。それを日本のマスコミに流しているのだ。

アメリカは、ヨーロッパとアジアが手を結ぶ事に賛成するわけがない。情報筋は会談の内容を逐一傍受しているだろう。田中外相の発言はアメリカの逆鱗に触れるものだ。だからアメリカは新聞にリークした可能性がある。日本の新聞はアメリカや中国からの情報を有り難がる傾向がある。そして特定勢力の支配にコントロールされている。田中外相の父がアメリカの謀略で失脚しているのに、アメリカの恐ろしさを解っていないようだ。

一個人の政治的見解なら問題はなくても、外務大臣の発言はその国の外交の公式見解である。それをその都度「そんな事は言っていない」と発言を翻す。それも2度や3度ではない。それでも芸能ワイドショーのコメンテーターは田中外相の官僚叩きを応援している。大臣の監督能力の無さが官僚の横暴を許しているのだ。テレビカメラの前で官僚を怒鳴り散らすのは正常な人間のする事ではない。これは一種のリンチだ。それを国民は喜んでみている。

国民の90%という異常な支持率も、田中外相の公衆の面前での官僚をどやし散らす行動に拍手するのも、テレビが「真紀子ガンバレ」と応援するのも集団ヒステリー現象だ。石原東京都知事のように、官僚は上手く使いこなしてこそ政治家と言えるのだ。それをテレビカメラの前で大恥じかかされては、官僚だって頭に来るだろう。小泉首相に何度諌められても田中外相は直らないだろう。

私は官僚の味方でも橋本派の味方でもない。日記を読み返してもらえば分かります。このままほっておけば小泉政権の命取りになりかねないから、こうしてしつこく警告している。木村太郎や久米宏がいくら「真紀子ガンバレ」コール繰り返せば繰り返すほど、小泉政権を危うくするだろう。日本外交も信用を無くします。

アメリカ外交の中心的人物のコンドリーザ・ライス大統領特別補佐官が田中外相に会見をしたいと言っています。この黒人女性はソビエト崩壊の戦略を立てた中心人物だ。並みの人物ではない。同じ女性でも月とスッポンだ。彼女を敵にしたら恐ろしい事になる。ここでも田中外相は何を言い出すか分からない。


日銀は日本を破壊(構造改革)するつもりだ。

2001年6月6日
株価が景気の先行指標なのは間違いないだろう。あらゆる情報の反映がそこに映し出されているからだ。まだ誰も知らない事でも、それ自体が生き物のように動き始めるのだ。3月からの株価の上昇は本物だろうか。新聞を見れば悪いニュースばかりだ。不良債権も増え続け、再び金融危機が起きそうな雰囲気だ。

小泉政権はまだ経済対策を打ち出していない。経済はこれからますます悪くなって行くような気配さえします。しかし隠された原因で株価は動き始めたようだ。外人は何故日本株を買い始めたのだろうか。何かを嗅ぎ付けたからだろうか。それとも他に訳があるのだろうか。以下は「円の支配者」からの引用です。

大蔵省の官僚や多くの政治家もやっと、景気を回復させるためには信用創造を増大させる必要があると気付いた。そこで遅まきながら、まっとうな三つの政策を実施した。第一は政府が融資保証制度を大々的に拡充し、中小企業への銀行貸出リスクをゼロに引き下げた事で、これは銀行の貸し渋り解消に役立った。これは飴だった。

第二は、金融再生委員会がもっと直接的な政治介入に踏み切った事だ。99年3月の10兆円の公的資金注入と引き換えに、金融再生委員会は公的資金を受け入れた銀行に中小企業への貸し出し増加目標を達成するよう要求した。こうして日銀の嘆きをよそに、金融再生委員会は日銀の領域を侵食した。

最後に2000年度の予算要求に財務省は8兆円の財政支出を計上したが、これはそれまでと違って国債発行によってまかなわれるのでなく、単純かつ効果的な銀行からの借入れをあてることになった。1990年代の大半のように民間資金を圧迫させずに効果を上げる事が出来た。

日銀のプリンスは面白くなかっただろう。1999年、彼らは日銀の信用創造量を急減させ、この年に回復した景気が再びスローダウンするように仕向けた。その結果、2000年には再び成長率も株価も下落した。速水総裁と山口副総裁は「量的緩和」は可能でも効果的でもないとにべもなかった。1999年を通じて、日銀は債券購入もCP購入も増やさなかった。日銀に抵抗されるのに慣れていなかった政治家の多くは、日銀の冷ややかな拒否に激怒し、もう手後れだと気付いた。

1999年を通じて円高が進行した。それは日銀は債券を国内市場で売却して、信用創造量を減少させ、すべての外為介入を不胎化してしまった。日銀は信用創造量を増やすどころか、減らした。そのため、1999年末には1ドル100円まで戻った。

(日銀が金融の量的緩和をしていれば円安になる筈である。しかしユーロが安くなっているのは欧州の中央銀行が量的緩和をして景気刺激をしているからではないか。アメリカのFRBも株価を支えるために量的緩和をしているようだ。日本だけが円高ぎみなのは例によって日銀の仕業だろう。)


田中外相「日米安保からの自立必要」発言

2001年6月5日
田中真紀子外務大臣の発言が迷走している。アジア・ヨーロッパ外相会議でのイタリヤ外相やオーストラリア外相にNMDに批判的発言をしたとかしないとか、ついに心配していたことが現実化してきました。田中外相は訪米して、小泉訪米の地ならしをしたいと言っていますが、アメリカのスポークスマンが必要無いと拒否しています。アーミテージ国務次官捕との会見をキャンセルしながら、何の為に訪米するのでしょうか。

今日の田中外相の会見では、NMDの研究には賛成と述べています。芸能ワイドショーのコメンテーター達は、「外相会談の内容をリークするのはけしからん」と相変わらずの調子だ。外相会談の時と、国会内で正反対の発言しても、何のおとがめも無い。国会軽視もはなはだしい。秘密会談でもなければ会談内容を公表されるのは当然のことだと思うのですが。相手方の外相も当惑しているようだ。

私が怖いと思うのは、テレビのワイドショーが田中真紀子・翼賛会になってしまっていることだ。本人がどんな不手際をしでかしても、「会談の内容をリークするのは外務官僚の真紀子潰しだ」ということになってしまう。90%の支持率ではどんな批判を言っても踏み潰されてしまう。

田中外相は小泉政権誕生の立役者だ。小泉首相も田中外相だけは切るわけに行かないだろう。人気や支持率に影響が出るからだ。気の毒なのは福田官房長官だ。森総理の尻拭いが無くなったかと思ったら、今度は田中真紀子外相の尻拭いに追われている。
何らかの手を打たないと、小泉政権の改革もこの事で足を引っ張られるだろう。

ただでさえ党内基盤が弱いのに、絶好の攻撃材料を与えている。株式市場も政権の危うさを感じて、大きく下げて一時13000円を割りました。外人投資家も「親中反米」の外務大臣では、いくら政権支持率が高くても安心して株は買えなくなります。小泉総理が田中外相に振り回されているのは情けない。

夕方のニュースで5月25日のドイツのフィッシャー外相との会談で、日米安保体制からの自立ともとれる発言をしていたことが明らかになりました。ついに「親中反米」もここまできたかという感じです。日米安保が無くなれば一番喜ぶのは中国でしょう。安心して台湾を開放することが出来ます。私も日米安保には反対だ。しかし憲法9条を改正して、自主防衛力を持つことが前提ですが。


円・ドル相場を支配するFRBと日銀

2001年6月4日
為替相場はどのようにして決定されているのだろうか。1985年のプラザ合意はあれよあれよという間に為替レートは1ドル240円から120円へ下落した。プラザ合意までは為替レートは財政赤字などのマクロの要因で内政的に決まるものであり、財政赤字を削減せずに為替レートだけを動かすことは出来ないと信じられていた。

しかし1980年から1985年のドル高は米国の高金利に釣られた海外からの資金流入がもたらしたとされている。ところがプラザ合意であっという間に動いてしまった。財政赤字でもドル高であったのが、プラザ合意で大きく動いているのは何故だろうか。高金利はドル高の原因ではなかったのか。

1995年のG7合意は逆プラザ合意と呼ぶ人もいる。95年の4月には1ドル79円まで行ってしまった。90年代の円高は巨額の貿易黒字が原因とされている。94年6月24日には米国のクリントン大統領が自ら全米テレビで「われわれは円高を望んでいない。ドル高を望んでいる。」と大号令を出しましたが円はほとんど動かなかった。口先介入も効果が無いときもあります。中央銀行の協調介入も効果が無かった。(FRBも日銀も裏では逆のことをやっていた。)

金利も財政赤字も口先介入も中央銀行の協調介入も為替相場には影響あまり無いようだ。基本的には貿易黒字だけだろうか。それ以外には決定的な要素は無いのだろうか。常識的には金利が主要な為替レートを決定しているとされている。しかし今までの円ドルレートと金利差を見ても経済理論どうりいかないようだ。

90年から95年までの円高ドル安はFRBの信用創造量が大きい為であり、逆に日銀は信用創造量を91年から減らしている。アメリカは1990年以降紙幣を印刷し信用創造量は増加し、アメリカは予想より早く不況から脱した。それに引き換え日銀は信用創造量を91以降減らし続け95年にはピークに達した。3月にはマイナスに転じた。だから79円まで円高になってしまった。アメリカは93年からドルの創造量を減らし始めてはいた。

アメリカがいち早く不況を脱したのはFRBのグリーンスパンが信用創造量を増やしたためであり、日本が不況が長引き円高が続いているのも日銀が純信用創造量を減らしたためである。日銀は2001年3月からデフレ対策として金融の量的緩和をしているはずだ。ならば円安になるはずだ。しかし119円と円高になっている。ほんとに量的緩和を日銀はしているのだろうか。


中央集権政治から地方自治へ

2001年6月3日
最近のテレビの報道番組はどうも迫力がない。与野党の対決というより自民党内の対立の方が問題のようだ。あるいは政府と自民党内との政策をめぐる対立があるようだ。道路特定財源とか地方交付税などに対して見直す動きにたいして、本格化すれば地方の国会議員は命懸けで反対してくるだろう。

地方は都会から上がる税金の再分配で生きている。地方単独では財政が成り立たない。熊本の松岡議員が地方と都会とは一体であり、都会ではインフラ整備が終わっているが地方はこれからだと言っている。地方は工業団地を作ったが軒並み失敗した。空港を作り、高速道路網を作り、新幹線を全国に引いている。さらに巨大なトンネルや橋を作っている。しかしそれらは大赤字で維持費すら賄えないような状態だ。

10年前のバブルも、リゾート法などというものを作って日本中をゴルフ場やリゾートホテルだらけにしてしまった。しかし観光客が来なければこれも維持費が赤字になるだけである。地方の国会議員は国からいかに予算を分捕ってくるかに政治生命を懸けている。そして様々な開発工事を行なう。埋め立て干拓工事も護岸工事もどれだけ必要なのだろうか。その関係工事で一時的に地方は潤う。農業関係も補助金を出して農業の振興をはかったが失敗している。

日本では地方自治や地方分権が行われず、中央政府にがんじがらめになって、独立しては何も行なえなかった仕組みに問題があるのだろう。あまりにも中央集権的政策が、地方の活性化を奪い、自立出来ないような仕組みにしてしまったのが原因ではないだろうか。中央官庁の役人の権限が強すぎて、地方の主要ポストは中央官庁の役人が占めている。

完全な地方自治ならば、国会議員が自分の選挙区の道路や橋作りに口出し出来ないはずだ。それが出来るのは国から金が出ているからだ。政治家、官僚、業界のトライアングル構造が地方の独立と発展を妨げているのだ。国会議員は国政に専念すべきで、選挙区に橋や道路を作るのは地方のやるべき仕事だ。


リチャード・クー氏は間違っている

2001年6月2日
リチャード・クー氏はFRBの出身である。そのFRBはロスチャイルド系の資本が7、8割入っている。言ってみればR・クー氏は国際金融資本の御用学者みたいなものだ。だから国際的にも顔が広く、米国政府の経済閣僚とも合えるわけだ。その彼が書いた「良い財政赤字、悪い財政赤字」という本で「マネタリストの誤り」を指摘している。

MITのクルーグマン教授は「とにかくがむしゃらにでもマネーサプライを倍にしてしまえば、物価は上がりデフレの問題は解決する」と言われれば、大半の人々はそう思ってしまうだろう。・・・日銀が量的緩和やインフレ・ターゲット政策を発表しても、資金供給が経済活動の制約要因になっていないなかで、日銀自身は実際には何も出来ず、またその発表を聞いて行動を変える民間の企業や銀行の数は限りなくゼロに近い事を考えると、そのような発表をしてもインフレになる理由は何もない事になる。

このようにR・クー氏は「マネタリストの誤り」を指摘している。そしてケインズ的政策を主張した。ケインズ的な政策による1ダースもの大規模な総合経済対策が実施された。しかしその効果は景気の下支えに終わってしまっている。私もこの本を読んでケインズ的財政出動しか方法はないと思った。しかしこれも限界だ。R・クー氏の主張は間違いである思うにいたった。いくらなんでもこれ以上財政赤字は増やせない。以下はリチャード・A・ヴェルナー著「円の支配者」からの引用です。

マネタリスト、ケインズ派、どちらの処方箋も効果がないとあって、エコノミストの多くは、不況は日本経済のシステムに起因しているという主張に耳を傾け始めた。不況脱出策はただ一つ、規制緩和や市場公開といった徹底的な構造改革を実施する事だと言うのだ。この結論はきわめて魅力的だった。

絶好調で衰えを知らない1990年代のアメリカ経済をみればなおさらである。古い経済システムを捨ててアメリカが先鞭をつけた繁栄のモデルを導入すべきだというアメリカやIMFなどの国際金融機関の圧力、それに日本やアジア諸国の内の世論は盛り上がった。しかしほんの10年ほど前には立場がまったく逆だったことは都合よく忘れ去られていた。

1990年代の大半を通じて、日本経済を分析した人々の大半は、貸出が伸び悩んでいるのは資金需要がないからだと主張していた。彼らが処方した政策は国内需要を政府の財政支出によって底上げすれば資金需要も増加するだろう、というものだった。10年にわたって政府はこのアドバイスに従い、政府の債務は歴史的レベルにまで増加し、日本の財政は蝕まれた。

純粋な財政政策の場合、大蔵省が国債を発行して資金を調達する。したがって、民間部門を刺激するための財政政策資金は、まず民間部門から吸い上げられる。国債を買う投資家は、その前にほかの投資先から資金を引き上げなければならない。財政政策は新たな購買力を創造しない。単にすでに存在する購買力を再配分するだけだ。財政政策は経済成長に対して中立なのである。

信用創造の額が変わらなければ、財政支出の増加はその分だけ民間部門の購買力を減らす。したがって、国民所得の中の民間の取り分は減少する。(量的クラウディングアウト)。とくに銀行の主たる顧客である中小企業は、1990年代の大半を通じて信用収縮(クレジットクランチ)に苦しめられてきた。これが需要を押し下げ、国内総生産を低下させた。

(このようにグルーグマン教授のマネタリストも説明が不十分だ。R・クー氏の財政支出政策は意味が無い。竹中平蔵氏や斎藤精一郎氏等の構造改革政策も間違っている。ではどうしたらいいか、R・A・ヴェルナー氏は経済回復の必要十分条件は、新たな購買力の創造だと提案している。続きはこの次にします)


田中真紀子外相への辞任勧告

2001年6月1日
小泉総理が田中真紀子外務大臣に「本来の業務に専念するように」との注意を促しました。もうすでに何度目の注意になるだろう。アジア・ヨーロッパ外相会議でもイタリア外相に不用意な発言をして、国会の外交委員会で訂正している。田中外相の親中反米姿勢は個人的意見ならともかく、現職の閣僚である。一度言葉に出てしまえば日本の外交姿勢ととられても仕方が無い。

沖縄の基地からの米軍の削減発言や、TMDに対する批判的発言は中国を喜ばせるための発言だろうか。これに対するマスコミの対応は相変わらず「真紀子がんばれ」と芸能ワイドショーではやっている。どう考えても外務大臣を首にされてもおかしくないほどの失態をいくつもしでかしている。野党は解任要求をなぜしないのか。自民党の実力者は何故黙っているのか。

国内だけですむ問題ならいざ知らず、このままほっておいたら取り返しのつかない国際問題になるだろう。人事も「フリーズ」されたままである。外務省内のいろいろな問題も悪いのは官僚たちではなく、不正を放任していた大臣にある。官僚を統率できない無能なお飾りの大臣が官僚の驕りと腐敗の原因だ。

田中外相にはとても官僚を統率できる能力は無いようだ。秘書官を五人から一人増やして六人になったそうだ。本来なら一人の仕事に六人がかりとは異常だと誰も思わないのでしょうか。女性大臣だからと大目に見ているのでしょうか。私が心配しているのは、このようなお粗末大臣を指名した小泉総理の任命責任に及ぶのは明らかだ。今のうちに手を打っておかないと命取りになります。

6月中にも田中外相は訪米の意向だそうですが、また何を言い出すか分からない。礼儀知らずのすぐヒステリーを起こす人物が訪米したところで日本の恥さらしになるだけだ。このような事態を放置している責任はマスコミの無責任な報道姿勢だ。手厳しく批判する評論家も少ない。だから私がこのように批判しているのだが、事態は改善しそうにない。

日本は今やマスヒステリー状態にあるのだろう。日本をこのようにしてしまった政治家や官僚に対する恨みが、「真紀子がんばれ」となって現れている。田中外相が派手に官僚批判をすればするほど人気は高まっていく。小泉総理への異常な人気も同じ原因だろう。反対勢力を攻撃すればするほど人気は高まる。理由などどうでもいいのだ。とにかく政治家と官僚に対する恨みの強さは、戦前の五一五事件や二二六事件が起きたときと変わらない。


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