株式日記と経済展望

ページを繰り越しましたのでホームページからどうぞ。


NHKの洗脳放送で洗脳されれば、台湾は中国領という宣伝が
行き届いて、台湾はやがては中国に平和裏に併合されるだろう。


2009年5月31日 日曜日

30日、東京・名古屋・大阪で一斉に反NHKデモ 参加を!

東京5・30 NHK「JAPANデビュー」に抗議する国民大行動・第2弾

【街頭宣伝】

11時00分〜13時30分 JR「渋谷」駅ハチ公前広場

永山英樹、松浦芳子、水島総、三輪和雄、柚原正敬 (以上50音順) 各氏 ほか、文化人、地方議員数名が登壇予定。

【抗議集会】13:00〜14:30 集合場所:代々木公園 けやき並木 中央(NHK本部正面)

※JR「原宿」駅・表参道口あるいは東京メトロ「明治神宮前」駅より徒歩5〜10分。東京都道413号(表参道通り)からNHKホールへと通じるケヤキ並木をお進みください。

登壇予定者:加瀬英明、クライン孝子、藤岡信勝、藤井厳喜
          水島総、松浦芳子、西村幸祐、永山英樹
          柚原正敬、井上和彦、大高未貴、saya
          他文化人、地方議員多数登壇予定

緑の風船デモ行進(NHK包囲抗議デモ)・・・14:30〜

■主 催:
草莽全国地方議員の会、「NHK『JAPANデビュー』」を考える国民の会、日本李登輝友の会、台湾研究フォーラム、在日台湾同郷会、台湾団結連盟日本支部、メルマ
ガ「台湾の声」、NHK報道を考へる会、誇りある日本をつくる会、昭和史研究所、日本世論の会、日本会議東京都本部、日本文化チャンネル桜二千人委員会有志の会ほか


日台友好団体がNHKに抗議デモ 5月30日 産経新聞

NHKスペシャル「JAPANデビュー アジアの“一等国”」に出演した台湾人や日台友好団体から放送の内容が「一面的だ」と批判が相次いでいる問題で、草莽(そうもう)全国地方議員の会など15団体は30日、東京、大阪などのNHK施設周辺で抗議デモを行った。

 NHK放送センターがある東京・渋谷で行われたデモには約1100人が参加。「放送内容を訂正せよ」などと訴えた。台湾人から寄せられた「言うべきことを言わず、好む所を選んで曲解した。人をばかにした、自尊心のない行為だ」などとのメッセージが流れると、通りすがりの家族連れも耳を傾けていた。

 番組は日本の台湾統治を特集。先住民の写真に「人間動物園」の字幕をつけて“見せ物”にしたと紹介するなど、事実との相違が各方面から指摘されている。

 この問題では、台湾日本人会と日本企業などで構成する台北市日本工商会が「日台交流に支障をきたすおそれがある」と、懸念を表明する意見書をNHKに送っている。


「NHKは日本国民のための番組を作れ!」 5月30日 古森義久

「NHKは台湾人に謝れ!」

こうしたシュプレヒコールが新緑にこだまするように、遠くまで澄んで、響きわたりました。

同様のNHKへの抗議メッセージを大書したプラカードを掲げた男女が粛々と行進していきました。

秩序と品位を保ちながら、整然とデモ行進を続ける人の数は1000人にも達するのでしょうか。とにかく大規模といえる人数です。

5月30日の土曜日の午後、渋谷区のNHKの周囲での抗議の集会と行進を目撃しました。所用でほんの数日、東京にもどり、もうすぐのワシントンへの帰任に備えて、ちょっとした買い物を渋谷ですませ、代々木の自宅へもどろうとしたところ、このデモに遭遇しました。

抗議の対象はこのブログでもすでに取り上げたNHKの台湾に関する偏向番組です。台湾の人たちが日本の統治をすべて悪だったとして怒り、憎んでいるように現代の台湾を描いた偏向番組です。

しかしそのNHKへの抗議を初めて目前に見て、感ずるところ大でした。

まず参加者たちが文字通りの老若男女、ごく普通のきちんとした感じの人ばかりなのです。市民社会での規則に則った民主主義的な意思表示だと感じざるをえません。威圧的な暴力的な無秩序な要素をツユほども感じさせません。いくつもの集団がそれぞれリーダーに導かれ、静かに、しかし毅然として行進し、ときおりNHKへの抗議のメッセージを熱をこめて叫ぶのです。

思わず私もこの整然たるデモ行進の列に従い、しばらく一緒に歩かせてもらいました。この体験だけでも一時帰国のかいがあったと感じたほどでした。NHKもこれほどまともな日本国民の抗議を無視するというのでは、こんごよほどの覚悟が必要でしょう。


(私のコメント)
昨日はNHKへ「アジアの一等国」偏向報道に対するデモに参加してきました。ちょうど午前からの雨も上がって5月の新緑が映える時ですが、NHKの前の公園には台湾の緑の旗がはためいた。私も台湾の緑の旗をもらってデモ行進しましたが、NHKの社屋は非常に広大でまさに日本の国営放送局のような威容です。

デモ行進はNHKを半周するように歩いたのですが、その広さにはビックリするだろう。旗を持ちながら歩いたので写真などはあまり撮れなかったのですが、NHKの各ゲートにはガードマンが2,3人ずつ立っていてデモ隊を見つめている。NHKの敷地と建物は渋谷の繁華街から少し離れているので人通りは無くでも警備の警察官ばかりがいる。

1100人程度の規模のデモとなると警視庁の機動隊が出動していて機動隊のバスが3台が並んで駐車していた。しかしマスコミの取材はほとんど無く、もちろんNHKのテレビカメラも見かけない。もし左翼のデモなら100人程度のデモでも全国ネットのニュースで放送されるのでしょうが、中国におもねるNHKは徹底的に無視をするようだ。

これと同じような事は北京五輪の聖火リレーでもありましたが、抗議デモは徹底的に排除されて長野の町は5000人の中国人工作員によって赤い旗に埋め尽くされた。普段は留学生とか駐在員としている人たちが、いったん事があれば工作員となって活動するのでしょう。

北朝鮮の核実験などでも緊張が高まっていますが、北朝鮮への制裁が許可されてくれば、北朝鮮の工作員も何らかの行動を起こすだろう。中国や北朝鮮のような独裁国家は非常に多くの工作員を養成して日本に送り込んでいますが、日本のマスコミに対する工作活動も非常に活発なようだ。それに対する民主主義国家の体勢は非常に脆弱であり、日本には防諜機関も無い。

当然、NHKにも中国の工作活動は行なわれていて、{アジアの一等国」のような中国のプロパガンダ放送が行なわれてもおかしくは無い。「株式日記」でもNHKは日台分断工作を行なっていると書きましたが、このような方法は韓国等に対しても行なわれて日韓の国民の対立感情は非常に高い。2ちゃんねるなどには反韓感情が書きたてられていますが、根本原因は朝日新聞などのマスコミが作り出したものだ。

いずれはNHKによって反台湾感情が作られて日台は分断されるのかもしれません。NHKではそのような意図はないと言っているが、国民の視聴料で運営されている放送局が中国のプロパガンダ放送をしているようでは監督官庁の鳩山総務大臣の決断が求められている。「アジアの一等国」ではサブリミナルなどを用いた洗脳手法も入っていたようだ。


左翼偏向番組のサブリミナル技法 5月27日 台湾は日本の生命線

国内番組基準の中で「通常知覚できない技法で、潜在意識に働きかける表現はしない」と定め、サブリミナル技法を禁じているNHKだが、五月十日放送の大河ドラマ「天地人」の本能寺爆発シーンの直前に空、水田、明智光秀役の俳優の横顔の三つのカットが計〇・二秒間映し出されたのは同技法ではないかと疑われている。

これに関してNHK広報部は「死を目前にした織田信長の気持ちを印象的に伝えたいと考えての演出。時間は短くても知覚でき、ドラマとも関連のあるカットで、サブリミナル技法ではない」としているが・・・。

それでは四月五日、五月三日に放送した「NHKスペシャル/JAPANデビュー」の第一回、二回放送のオープニングのタイトルバックで〇・三秒映し出されたベトナム戦争での米軍の写真は何か。

NHKはこれについてもサブリミナル技法ではないと説明しているが、それではあのような肉眼では判別できない写真をわざわざ画面一杯に映して「何を印象的に伝えようとした」のか。

あの左翼的な番組内容から見て、きっと伝えたかったのは「米帝国主義の愚かさ」「米国に代わる中国の擡頭」「二十一世紀は中国の世紀」と言った政治的メッセージではないか。

だから私は、「天地人」よりも問題は深刻だと思っているのだが、こちらはマスコミに取り上げられることもなく、それほど話題になっていない。

だからNHKもわざわざ説明しようとはしない。間違いなくこのまま闇に葬ってしまおうの魂胆だ。

■語りたがらない視聴者コールセンター

五月二十五日のチャンネル桜の番組に出演したNHKの元政治記者で「NHKを正す会」代表の大谷英彦氏は、もしサブリミナル技法が本当に使われていたことが明らかになれば、「NHKはすっ飛ぶ」と言っていた。

そこでさっそく翌二十六日、私はNHKの視聴者コールセンターに電話して見た。「本当にそのようなことをしたのか」「一体何のために」と。

応対に出た責任者(スーパーバイザー)は最初から、その話はしたくないと言う感じだった。米軍の写真のことは「知らない」と白を切る。それから「サブリミナル技法はやっていない」とも言い切った。

「知らない」だとか「やっていない」だとか、こう言って逃げる気なのだ。

そこで私が「あなたは写真のことを “知らない”のに、なぜ“やっていない”と断言できるのか」と聞いたら、その答えは、「番組から資料が来ているが、そこでは“やっていない”となっている」とか、「“やっていない”と言うことしか“知らない”」とか。とにかく逃げることばかりを考えている。

そしてその挙句、「資料に書かれていること以外は答えられない」。

それでは私は誰に聞けばいいのか。彼は「番組に手紙などで聞くしかない」と言って来た。しかし「番組から返事はあるのか」と聞くと、「わからない」とのふざけた態度。

もし「返事がなければどうすればいいのか」と尋ねると、「督促するしかない」と。「督促しても無視されるなら、どこに訴えればいいのか」と聞くと、自らの不利を隠すためだろう、私を愚弄するかのようにこう言った。

「自分で知恵を絞って、どうすればいいかを考えたら」「番組は“やってない”と言っているのだから、たぶんそれ以上の答えはないと思うが、聞くだけ聞いて見たらどうか。努力する意味はあると思う」

相手があまりにも不真面目なので、「サブリミナル技法が事実なら大変なことなのだ」と話すと、「そのとおりだ。サブリミナル技法は国内の放送では禁じ手だ」と言いながら、なお「やっていない」と言い張る。

そこで再び「写真を見てもいないのに、“やっていない”と断言していいのか」と言ったら、「仕事として、“やっていない”と言っている」と言われた。

たしかに抗議からNHKを守るのが彼らの「仕事」ではある。

■録画して「犯罪」の証拠をさらせ

とにかく逃げることばかり考えて、話は矛盾だらけ。その辺を衝いて追い詰めて行ったら、「揚げ足を取るな」と怒り出した。窮鼠猫を噛むと言ったところだったが、なぜNHKは堂々と「ベトナム戦争の写真はサブリミナル技法ではなく、××の目的で使用した正当なもの」と説明できないのだろうか。

第三回、第四回の放送はそれぞれ六月七日、六月二十八日に放送される。番組のHPでは不可解にも放送日時は未定となっているが、放送視聴者コールセンターに問い合わせて確認したのだから間違いなさそうだ。

そこで全国に対し、あのオープニングを録画するよう呼びかけよう。録画して静止画にしてみれば、あの米軍の写真がはっきりと見える。「なぜこのようなものをわざわざ・・・」とも思えてくる。

そしてそれがNHKのサブリミナル技法と言う犯罪的行為の動かぬ証拠となる。

この話を闇に葬らせてはならない。みなで追及して、これから問題にしていくのだ。NHKを「吹っ飛ばす」ために。



(私のコメント)
5月29日でも「テレビを見ると馬鹿になる」と書きましたが、民放のバラエティー番組で馬鹿になり、頭が空っぽになったところでNHKの洗脳放送で洗脳されれば、日本国民はみんな洗脳されて中国のプロパガンダを信じてしまう。やがては台湾はもともと中国のものという宣伝が行き届いて台湾は中国領になるかもしれない。

自民党や民主党は日中友好という事で、中国からの留学生を30万人にしようということですが、中国は独裁国家であり、両親を人質にされて日本に留学生として送り出して、浸透工作を行なっている。長野市が中国国旗で埋め尽くされたように、気が付いた時は台湾も中国に平和裏に併合されている事も考えられる。


【映像分析】NHK「JAPANデビュー」OPに組み込まれた作為[桜 H21/5/2]

これまで数度に亘って分析してきたNHKスペシャル「JAPAN デビュー」のオープニング。そこに組み込まれたサブリミナルを、改めて動 画で御説明します。

【台湾】JAPANデビュー アジアの一等国【台湾】1

【台湾】JAPANデビュー アジアの一等国【台湾】2

【台湾】JAPANデビュー アジアの一等国【台湾】3退学させられた

【台湾】JAPANデビュー アジアの一等国【台湾】4 人間動物園

【台湾】JAPANデビュー アジアの一等国【台湾】5

【台湾】JAPANデビュー アジアの一等国【台湾】6

【台湾】JAPANデビュー アジアの一等国【台湾】8





中国にしてもアメリカにしても、話し合いを続けるフリをして、日本から
資金をせしめて北朝鮮をおとなしくさせることを15年以上もやっています。


2009年5月30日 土曜日

北朝鮮、統一戦線部副部長を処刑か 対南政策失敗で 5月18日 産経新聞

【ソウル=水沼啓子】韓国の聯合ニュースは18日、北朝鮮の朝鮮労働党統一戦線部の崔承哲副部長が、対南政策に失敗した責任を取り、昨年処刑されたとみられると報じた。

 聯合ニュースは、対北朝鮮消息筋の話として「表面的な(処刑の)理由は南北経済協力事業をめぐる個人的な汚職だが、実際には韓国の新政権(李明博政権)の対北政策に対する誤った判断と、韓国の太陽政策が北朝鮮社会に及ぼした影響などに対する責任を問われた」と伝えた。

 また、ほかの消息筋も処刑された事実を確認した上で、「北朝鮮が崔副部長に着せた最大の罪は、北朝鮮社会全体の対南依存度を高め、韓国への幻想を植え付けたこと」と説明した。

 崔副部長は1956年生まれ。金日成総合大学卒業。南北閣僚級会談をはじめ、さまざまなレベルの南北会談を統括していた実力者で、金正日総書記の信任も厚く、直接、対南事業を報告していた。


「戦争で南朝鮮は火の海、廃虚に」北の委員会が報道官談話 5月19日 産経新聞

北朝鮮の対韓国窓口機関「祖国平和統一委員会」は18日、韓国の外交通商省が北朝鮮の核問題や「衛星」打ち上げを国連などで非難し南北関係を破綻(はたん)させたと主張、「このままでは戦争が起き、南朝鮮(韓国)が火の海、廃虚となるのは避けられない」と警告する報道官談話を出した。朝鮮中央通信が伝えた。

 韓国の李明博政権が南北関係の進展と核問題を一体化させ、北朝鮮との懸案について、国連や日米などとの多国間外交を通じて取り組もうとする姿勢をけん制したとみられる。

 談話は、外交通商省が韓国政府の中でも「最も悪質で無分別な反民族的集団」と非難。開城工業団地で韓国側職員が拘束されている問題を、国連人権委員会に持ち込もうとしていることについても「立場をわきまえず介入している」と批判した。(共同)


「日本全土が報復圏内」「修羅場に」と警告 北朝鮮 5月29日 産経新聞

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は29日、自民党内で敵基地攻撃能力保有論が取り上げられ、麻生太郎首相が法的な可能性に言及していることなどを「再侵略の野心の表れ」と非難、「日本が再侵略戦争を起こすなら、全土が報復打撃の圏内となる」と警告する論評を掲載した。朝鮮中央通信が伝えた。

 論評はまた、「日本の主要都市である東京、大阪、横浜、名古屋と京都には、日本の人口の3分の1以上が住み、工業の基幹部分が集中している」とした上で、「強力な反撃が行われれば、日本は修羅場になるだろう」と強調した。(共同)


北、弾道ミサイル発射準備か=射程5000キロ以上−韓国紙 5月30日 産経新聞

【ソウル30日時事】30日付の韓国紙・東亜日報は、北朝鮮が射程5000キロ以上の「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」の発射準備をしていることが確認されたと報じた。核実験後、国連安全保障理事会で新決議採択に向けた議論が進んでいることに北朝鮮は反発しており、軍事的緊張をさらに高める意図があるとみられる。
 ワシントンの消息筋によると、北朝鮮の平壌に近い兵器研究所で製造されたミサイルを列車で移動させる準備をしていることが米国の偵察衛星で分かったという。4月5日に咸鏡北道舞水端里から発射された弾道ミサイルも同研究所で造られた。
 北朝鮮は4月29日、国連安保理が北朝鮮企業を資産凍結の対象に指定したことに反発し、安保理が謝罪しなければ、核実験と大陸間弾道ミサイル発射を含む「自衛的措置」を取ると警告。5月29日も安保理を改めて批判し、「さらなる自衛的措置が不可避だ」との立場を表明した。 


制裁よりも核武装 5月27日 ワイルドインベスターブログ

北朝鮮が核実験を再開し、ミサイルを発射したことで騒がしくなっています。

しかし、私は全然驚きませんね。というのも6者協議は時間稼ぎの茶番であって、誰も本気で北朝鮮の核武装を止めようだなんて思っていないからです。

今こそ「核武装論」+「分担金永久滞納」!にはこう書きました。

****(以下、抜粋)********************************

このように北朝鮮が安保理で吊るし上げられること自体が中国を追い込んでしまうので、そうならないようにウヤムヤに遅延させることが6カ国協議という茶番でした。

中国が「北朝鮮を説得する時間をくれ」というのは、たてまえに過ぎません。そんなことする気もなければ、できもしないでしょう。実体はおそらく安保理の制裁賛成派の切り崩しと、日本国内への工作強化です。

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中国にしてもアメリカにしても、何の影響力もないくせに話し合いを続けるフリをして、日本から資金をせしめて北朝鮮をおとなしくさせることを15年以上もやっています。本気で核拡散を防ぎたいんだっだら、イラクの前にやってますがな(笑)。

しかし、北朝鮮のおかげではっきりしたことがあります。

  1. 核を持っている国は攻められない(イラクは持っていないから攻められた。北朝鮮はおそらく攻められない。日本は核を持っていないから落とされた。)
  2. ある国が「核を持つ」という強い意思を持ったとき、誰も止めることはできない。インドもパキスタンも一時的に非難されたが、他国はすぐに「核を持った国」として現実を受け入れ、いまでは両国とも国際支援を受けている。

中国やロシアは怒ったふりをしていますが、内心はどうだっていいんですよ。北朝鮮が核武装したら、その現実に対応するだけです。

ということはですね、日本が核武装したところで、彼らが「核武装した日本」という現実に対応を迫られるだけで、こちらはあまり困らないということです(笑)。

私はこれまで、アメリカとの関係を重視して「核武装論」にとどめようと思っていました。しかし北朝鮮だけでなく核武装になんのペナルティもないこと、そして国際社会が核拡散を止めようという意志を全く持っていないことを考えると、持たない理由がなくなってしまったのです。

北朝鮮はすでに日本に届くミサイルを開発し、核弾頭も作りました。そして常日頃から「東京を火の海にする」というような発言をしています。

一方で「最凶やくざアメリカ組」の新しい組長さんは、「核をなくして平和な社会」をどうやら本気で考えているようです。中国・ロシアは笑いが止まらないでしょう。平和主義者の組長が脳みそお花畑な夢を見ているうちに、その手下を片っ端から痛めつけて傘下におさめ、組長を孤立させるだけです。

アメリカの傘の下にいるときは幸せでしたねえ。しかしアメリカさんがボケかかっている現状を見ると、いよいよ我々も自主防衛を本格的にやらねばならないようです。

それにしても、日本のマスコミはあいかわらずですな。

「国連安保理の決議が注目される」「中国との連携で話し合いを」なんて、まるで他人事のように批評しています。そこに「日本はどうしたいのか?」という意志は存在しません。真っ先に狙われている国のくせに、徹底して他力本願です。

ここは北朝鮮を見習うべきでしょう。

彼らは少なくとも国としての意志を持ち、大国に対してもそれを貫き通しています。彼らをの行動を止められないのは、他の国が「オメー、核武装したらぶっ殺すぞ!」というそれ以上強い意志を持っていないからです。いくら軍事力が強くても、意志がなければ能力はないのと同じです。オバマは完全に舐められてますからね。

最初は何から手をつけるか迷うでしょうが、まずは核武装の意志を固めましょう。なあに、北朝鮮にできるんだから日本だってできますって。

最初の一歩を踏み出せば、それに対応した法整備も必要になりますし、同時に自己イメージも変わります。これまでの他力本願な日本ではなく、自分で道を切り開く国になるのです。

「やればできる」
「やってみれば大したことはない」
「できないのは努力が足りないからだ」

こういった思考回路が復活すれば、泣き寝入りすることもないでしょう。

日本の核武装

日本をおちょくりながら踊り続けた6者協議に、お似合いの結末だと思いませんか?



(私のコメント)
「株式日記」では一貫して日本の自主防衛と核武装を主張してきましたが、ようやくその主張が日本でも広まってきました。田母神論文は政府から非常に危険思想視されて田母神氏は航空幕僚長の職を罷免されましたが、北朝鮮の核から日本を守るには日本の核武装しか方法はないだろう。アメリカにしても北朝鮮の核武装を裏では黙認してきました。その目的は日本から金を出させる事です。

北朝鮮は言いたい事は言い放題で、やりたい事はやり放題でも中国やアメリカは何の手出しもしていないのだから黙認しているという事です。経済制裁も中国の国境ではトラックの往来が激しく何の効果も上げていません。六カ国協議は結局なんだったのでしょうか。議長国の中国も北朝鮮を泳がせてアメリカの出方を伺っているのでしょう。

アメリカはイラクやアフガニスタンで手一杯だから何もする事が出来ない。イラクに対しては大量破壊兵器を開発しているという大義で戦争を仕掛けましたが、イラクには何もなかった。何もないにもかかわらずイラクに15万もの兵士を5年も米軍を送り込んでいるから足元の経済が破綻してしまうのです。

ベトナム戦争の頃のようなバターも大砲もというような国力は今のアメリカにはありません。大砲を作りたくてもクライスラーやGMが潰れているようではF22も生産を止めてしまった。いずれはバターも大砲もなくなってアメリカは軍隊を世界から引き上げて国内に閉じこもるようになるでしょう。だから「株式日記」では自主防衛と核武装を主張しているのです。

北朝鮮は日本全土を修羅場にすると北朝鮮の機関紙が報じています。機関紙が報じているのだから北朝鮮政府の意思でもあるのでしょう。ならば日本政府は何らかの対抗措置を講じなければなりません。国連の制裁決議も何の効果もないでしょう。中国は北朝鮮への援助は続けるでしょうから北朝鮮はやりたい放題の事が出来る。中国も表向きは困ったような顔をしていますが、中国が協力しなければミサイルも核爆弾も出来ません。

アメリカ政府もその事はよく承知しているのでしょうが、アメリカは韓国からも米軍を引き揚げてイラクに戦力を回している。冷戦が終結した以上は朝鮮半島の戦略的な意味はなくなりどうでもいい地域になりました。ただ中国は北朝鮮がなくなれば緩衝地帯がなくなるから援助している。韓国も北朝鮮は崩壊すれば難民が押し寄せるから援助してきたのですが、援助は核開発に使われてしまったようだ。

日本としては朝鮮半島がどうなろうと対岸の火事ですが、北朝鮮の核に対しては対抗措置を取らなければならない。敵ミサイル基地を叩く能力を持つことも必要ですが、核で報復できる能力を持つことも必要だ。そすれば北朝鮮も先制攻撃は仕掛けられないだろう。これは日本だけではなく韓国や台湾についても言えることだ。

そうなれば中国にとっては韓国、日本、台湾と核武装国家に囲まれる事になり最悪の結果になる。アメリカが中国に対してG2と言っているのは米中でもって極東アジアの非核化を守ろうという事ですが、北朝鮮が核武装した事によって押さえ込む事が難しくなる事は中国も承知しているはずだ。

もし北朝鮮の核武装が国連の非難決議だけで終わってうやむやに終わるのならば、日本政府は非核三原則を破棄するぐらいの脅しは行なうべきだ。アメリカは何もなかったイラクを攻撃するよりも核を開発している北朝鮮を攻撃していればイランやイラクに対する押さえになったのでしょうが、アメリカは順番を間違えたようだ。

訳が分からないのは中国の意図であり、北朝鮮が核武装すれば目の前に核武装国家が出現して、短距離ミサイルで北京が核の脅威にさらされる事になるのですが、核開発を容認してきたのはどうしてなのだろう。中国が北朝鮮を潰そうと思えば石油パイプラインのバルブを閉めるだけで済むはずだ。ところが中国は石油を送り続けている。

アメリカとしても中国が北朝鮮を何とかするだろうと見ていたのでしょうが、中国に裏切られたのだ。アメリカの残る手段としては日本の核武装を容認するカードを示す事ですが、日本政府も核武装を仄めかす様な態度をとるだけでも中国に対しては脅威になるだろう。現在においては核武装論もタブーではなくなり、平成11年に西村防衛事務次官が「核の論議を行なおう」といっただけで罷免された頃とは違う。


西村政務次官を葬るな 月刊日本 平成11年12月号

では、なぜ北朝鮮は西村眞悟代議士をそれほど恐れるのか。貧困と飢餓にあえぐ北朝鮮にとって喫緊の課題は資金導入である。現在、日本国内で経営破綻した朝銀(信用組合)へ金融安定化のための公的資金一兆円が国民の知らないところで導入されようとしている。これに対し最も強硬に反対を唱えているのが西村代議士である。『週刊文春』誌上で反対論をぶち上げたこともある。もう一つ、金丸訪朝以来の懸案である日本の北朝鮮に対する戦後賠償金の問題がある。九月十七日アメリカと北朝鮮が経済制裁解除と引き替えに、テポドン打ち上げを当面停止することで合意したというペリー合意が発表された。このペリー合意には密約があったといわれている。それは、テポドンの中東アラブ諸国への輸出断念の見返りに、アメリカが日本に強要して戦後賠償金として百億ドル(一兆円強)を北朝鮮に支払わせる、というものである。アメリカは腹を痛めず、北にいい顔が出来るという、日本をダシにした帝国主義外交だった。
  横田めぐみさんを拉致、ミサイルと核で日本威嚇を続ける北朝鮮になぜ巨額の血税を貢がなければならないのか。政務次官として政府に入った西村議員が、当然のこととして反論を唱えることは火を見るより明らかであった。
  村山元首相と野中幹事長代理が、戦後賠償金問題と国交正常化交渉で訪朝すると北朝鮮紙『朝鮮新報』が報じている。金丸に訪朝後、金の延べ棒が贈呈されたという噂がながれたことがあった。朝銀への一兆円、戦後賠償金百億ドル、併せて二兆円強の我々国民の税金が闇に消えていく。そしてそれを強力に推進する政治家たちという犯罪的な構図が明らかになりつつある。西村辞任報道の中で、確信犯・朝日新聞のほかにNHKが公営放送と言う看板をかなぐり捨てて、突出した報道を繰り返したのは異様だった。NHKの生殺与奪の権を握るのは郵政省である。郵政族のドンは言わずと知れた野中広務自由党幹事長代理である。
  西村眞悟防衛政務次官の辞任劇から、ピョンヤンの高笑いが聞こえてくる。


(私のコメント)
アメリカや中国や日本の政治家にとっては北朝鮮問題は利権の温床であり、日本のマネーをめぐる駆け引きが行なわれている。これらの密約は表に出る事はないが、日本から北朝鮮に1兆円の金が動けば10%の1000億円がキックバックで入ってくる。日米中の政治家にとっては喉から手が出るほどの利権ですが、朝日新聞やNHKといった左翼マスコミはこのような事は記事にしない。

野中広務は朝銀信用組合に一兆円もの公的資金をつぎ込みましたが、この中の多くが北朝鮮に流れた。そして北朝鮮からのキックバックで野中広務は利権を拡大していった。北朝鮮がからめばマスコミは記事にしないから政治家にとってはおいしい利権だ。それを横取りしようとしたのが小泉純一郎でありアメリカもバックについている。ブッシュが北朝鮮をテロ支援国家から解除したのも利権がらみであり、アメリカにとっては拉致問題など他人事に過ぎない。




テレビを見るとなぜ馬鹿になるのだろうか? 視聴者は馬鹿だから、
こんな程度でもいいだろうと言う感覚で作られている番組が多い。


2009年5月29日 金曜日

Web1.374力を身につけよ! 『ウェブはバカと暇人のもの』 5月13日 教えて君

光文社から刊行された新書 『ウェブはバカと暇人のもの』が話題を呼んでいる。本書の内容は、かの有名な『ウェブ進化論』の真逆をいくものだ。ウェブ進化論の世界は、限られた一部の人たちの話であって、ウェブが一般化した今となっては理想論でしかないと切り捨てる。そう、「ウェブはもうこれ以上進化しない」のだ。

「ウェブはテレビを超えることはない」「インターネットより電話がもたらした革命のほうが計り知れない」「ウェブがなくても人は生きていける」。だから、ウェブにこれ以上過剰な期待をするのはやめようよ、というのが著者の主張だ。

本書を読み進めていくと、思わずうなずいてしまう点が多々ある。確かに、ウェブから生まれた有名人は出尽くした感があるし、ウェブの話題の中心はテレビや芸能人のものばかりだ。あなたの周りにいる、ウェブにヘンな幻想を抱いているオジさんたちにこそ読んでもらいたい1冊といえる。



テレビを見るとバカになる 2008年10月29日 服部弘一郎

昨日の映画史の授業で話した内容。授業では特にテレビに限らず、映像には人の思考能力を停止させてしまうパワーがあるという話をした。人間は外部からの情報を五感で受け取り処理しているのだが、そのうち8割は視覚、1割は聴覚からの情報だとも言われている。映画やテレビなどの映像情報は、この両方に働きかける。その圧倒的な臨場感に、人は太刀打ちできない。人は目の前にある映像情報が何を語っているのかを受け止めるだけに掛かりきりとなり、その映像がなぜ、どんな意図で作られているのかまで考えることがなくなってしまう。人は映像の前で考えることをやめる。つまりバカになるのだ。

 でも原因はそれだけじゃない。

 一般的な日本人は、小学生の頃から学校で文章の読み書きを習う。大切なのは文章を「読む」ことと「理解」することは別だということ。文章を読むだけなら、文字さえ読めれば誰にでも読める。ノーベル賞学者が書いた学術論文を、小学生が「読む」ことは可能なのだ。ただ読むだけならば。しかしそれは、書かれた内容を「理解」することとは違う。そんなことは誰だって知っているはずだ。小学校以来の国語の授業というのは、要するに「読む」ことを「理解」に結び付ける訓練をひたすらやっていたわけだ。だから日本人のほとんどは、「読む」ことと「理解」との間にある隔たりを知っている。ノーベル賞学者の学術論文を読んで、それが自分にはまったく「理解」できないことを認識することができる。

 しかしながら映像については、誰もそうした訓練を受けていないのだ。そこでは「見る」ことが「理解」したこととイコールだと思われている。でも「見る」というのは、単に目の前の文章を「読む」こととじつは何も変わらないのだ。「読む」ことがそのまま「理解」とイコールではないように、「見る」ことも「理解」とイコールであるはずがない。だがそれが、ほとんどの人にはわからない。映画を見て、テレビ番組を見て、それで自分はその内容を「理解」したと思っている。

 映像についても「見る」ことと「理解」することは別だということを、多くの人が自覚しなければならないのだ。映像を「見る」だけでなく、それを「理解」するためのスキルを身に着けるべきなのだ。これは最近、メディア・リテラシー教育という形で少しずつ教育現場にも取り入れられていると思うのだが、まだ試行錯誤しながらおっかなびっくりやっているだけ。

 現代人は文章を読む機会や時間と同じくらい、あるいはそれ以上に、映像に触れて暮らしている。ならばその理解能力を、子供の頃からちゃんと訓練しておくべきなのだ。小学生に読書感想文を書かせるなら、映画やテレビ番組についての感想文も書かせるべきじゃないだろうか。



テレビを見ると馬鹿になる。 2007年10月31日 編集室

”1億総白痴化”と言う話は聞いた事がある方も多いでしょう。私が明治の年寄りからよく聞いたのは、”小説を読むと馬鹿になる”でしたが(^^; それはさておき、”1億総白痴化”が言われたのも半世紀以上前の、既に遠い昔話で、今のテレビとはまったく異なる、テレビ黎明期の頃の話です。で、なんで今更、テレビを見ると馬鹿になるなどと言うかについて、話を進めて行きます。

 では、『人はどうして馬鹿になるのか?』 を考えた場合、今のテレビは3つの要素が該当すると思われます。

1:考えないと馬鹿になる。

 今のテレビは何でもかんでも説明付で、考える必要はありません。テロップや説明・解説付きなので、早口でわかり辛くても、聞き取ろうと神経を使う事も無ければ、”答え”が出ているのですから、そのセリフに何の意味があるのかを推察する必要もありません。だから、何も考えなくていいし面白いんです。もちろん、ストレスの発散やエンターテイメントとしての娯楽性を否定する訳ではありませんが、ニュース報道や真面目な(筈の)討論系やドキュメンタリー系の番組でも、このような状況を見る機会があるのはいかがなものかなと思う次第です。(いや、それらもバラエティーなんだよと言えば、それまでですが)

2:作ってる側が視聴者を馬鹿にしている。

 人はどうして頭が良くなるのでしょう。もちろん、自ら志を立てて独学で能力を高める方も多くいらっしゃるでしょうが、子供の頃の多くは、それらを理解せずとも親や教師が、頭が良くなるように、立派になるように育てるからだと思うのですが、今のテレビではそのような環境は無く、逆に、視聴者は馬鹿だから、こんな程度でもいいだろうと言う感覚で作られている番組が少なくは無いのではないでしょうか。(テレビをあまり見ない自分が言うのは、なんとも説得力が無いのですが、『こんな番組信用する筈無いでしょ?』と言いながら制作している人気番組プロデューサーの弁などは以前にも述べましたが、これこそが馬鹿にしている態度ではないかと私は思います) 間接的にでも、人は馬鹿にされ続ければ馬鹿になるもんだと思いますが、特に、高学歴の者が多いと聞く、今のテレビではそれが顕著なのではないでしょうか。(昔は、高学歴になるほど、謙虚で腰の低い、頭の下がる偉い方が多かったと思うのですが…)

3:作ってる側が馬鹿

 人が頭が良くなるには、直接的、間接的を問わず、頭の良い人の影響を受ける事が重要です。あまり、頭が良く無い人の影響を受けると、自然と馬鹿になってしまうのではないでしょうか。今のテレビ番組の制作に携わっている人も同様に、放送のプロとしての意識が欠如し、(不祥事が絶えない事からもわかるように)世間知らずで高給取りの、言わばお役人のような面々が増えた事で、そのように世間の一般感覚と乖離した馬鹿な人が増えている事に繋がり、出来上がった番組も、間抜けな内容になっている事も決して珍しくは無いように思われます。それの表れとして、まだ記憶に新しい、(いい加減な取材をした)朝ズバの不二家や、(適当に捏造した)あるあるの納豆などがあるのだと思いますが、実害が無いならば批判はされないのですから、制作手法が同じ番組は多数存在する筈ですので、これらは馬鹿な番組としては、氷山の一角ではないでしょうか。

 もちろん、色々な規制が強まった結果、志などが消えうせ、視聴率とスポンサーの為だけに働かねばならないかのような環境があるのだろうなと言う事は推測できますが、ネットと同じで、果たして数字のみに踊らされ続けて、決して良い結果が現れて来ない事と、類似点があるのではないでしょうか。

 そんな訳で、我が家ではNHKの受信料は払ってますが、テレビ番組は殆ど見ないようにしています。特に、制作者側が視聴者を小馬鹿にしているのが垣間見れると、非常に気分が悪く、時間の無駄なので、消すかチャンネルを変えるにしています。情報系番組などでは、そもそも、ネットで調べたほうが速くて、一方的な結論では無い、多面的な視野で考察できる、より詳細な情報が得られるケースも少なくは無いですからね。

とは言え、いずれ、『インターネットをすると馬鹿になる』の意見が大勢を占める日もそう遠く無いかも知れません。あのビル・ゲイツ氏も、娘には、馬鹿になるからとネットをさせて無いそうですが。



(私のコメント)
テレビを見るとなぜ馬鹿になるのかという問題は、いずれインターネットをするとなぜ馬鹿になるのかという問題に変わって行くだろう。テレビも見る時間が少なければ問題はないのでしょうが、暇な人が一日中テレビを見続けていることも多い。ひょっとしたら若年性痴呆症もテレビの見すぎに関係があるのではないだろうか? 最近のテレビではバカ番組はほんとうに増えてきて、バカを売り物にするバラエティータレントまでいる。

『ウェブはバカと暇人のもの』という本は、ウェブで話題になっていることはテレビや芸能人の話題ばかりでテレビ以上のものではないらしい。確かにその通りであり、真面目な政治経済サイトは数も少なくアクセス数も少ない。それに比べるとペットの写真を貼り付けただけのサイトやタレントのサイトは数万ものアクセスがある。結局ネットを見る人はテレビを見ている人とたいして変わりがないと言うことだ。

ユーチューブなどの動画サイトもテレビの隙間を埋めているだけであり、テレビ番組の投稿ばかりが多い。「株式日記」自体もテキスト主体のウェブですが、新聞記事以上の情報があるわけではない。結局は新聞や雑誌の隙間を埋めているだけでありそれ以上のものではない。ウェブがなかなか商業化できないのもその辺に原因があるのだろう。

「株式日記」でもテレビ番組の批評が多いのですが、テレビは映像と音声で伝えられる情報は30分や1時間では限りがあるからウェブで穴を埋めているようなものだ。しかしそのテレビも質が年々低下してきて内容の無いものが増えてきている。だからテレビばかり見ていると馬鹿になるといわれます。作り手自身が視聴者を馬鹿にしているからバカ番組が増える。

テレビ局が赤字になったり新聞や雑誌が廃刊になるのはネットの影響というよりも、経済不況による広告収入の落ち込みによるのが原因だろう。それに対してウェブは無料のメディアだから不況の影響はないが広告を収入源とするビジネススタイルは成り立たない。だからテレビ以上の事は出来ないだろうし、ネットに対する期待は以前ほどはなくなってきた。

ウェブは個人のメディアであり、個人でも記事を書いたり動画を配信する事が出来るようになりましたが、テレビのように数百万人も視聴者に同時配信する事は無理だし、新聞のように数百万部も売り上げる事は無理だ。ユーチューブにしてもいまだに赤字でビジネスモデルとして成り立つのだろうか?

つまりネットはテレビや新聞の補完的なメディアであり競合するものではないだろう。もしテレビがくだらない番組ばかり放送するようになればネットで叩けばいいのであり、マスコミに対する個人の意見を反映して行けばいいのだと思う。「テレビを見れば馬鹿になる」という意見もネットがあればこその意見であり、ネットの方がレベルが高いという訳でもない。

私も多くのブログを見て回るが、『ウェブはバカと暇人のもの』という本に書いてあるように、メモ書き程度の記事しか書けない人がほとんどだ。「2ちゃんねる」がネットの代表的なメディアなのでしょうが、読み応えのある記事を書ける人が本当に少ない。多くがコピペであり自分のコメントが書けない。

服部氏や編集室のブログにあるようにテレビ番組は馬鹿者向けに作られていて、何も考えずに済むように作られている。発言やコメントもわざわざテロップをつけているから画像と音声と文字が同時に入ってくる。だから分かったような気分になるのでしょうが、理解する事とは別の問題だ。読んだり見たり聞いたりしたところで自分の頭で考えなければ理解できるわけではない。

ブログでもって読んだ本の感想文を書いたり、テレビ番組の批評記事を書いて見ればどの程度理解できたかが自分で分かるだろう。「株式日記」でも本の批評やテレビ番組の批評などを書いていますが、自分で考えないといい記事は書けない。ネットはどうせ暇人がやっているのだとすれば考える時間は十分にあるはずだ。

最近ではNHKスペシャルの「アジアの一等国」という酷い番組がありましたが、このような国民を洗脳するような番組を流して世論を誘導している事に対する批判記事を書きました。テレビでやっているから真実なのだろうと言う思い込みがあるから、テレビのナレーターの言う事を視聴者は信じてしまう。NHKのプロデューサーも、国民は馬鹿で何も知らないから洗脳してやれと放送したのでしょうが、ネットで問題にされてデモ騒ぎまで起きている。

だからテレビ番組を見る時は、放送内容の裏を見るようにしないと騙される。NHKの大河ドラマの時代考証はどうなっているのだろうか? ドラマはおもしろければ歴史事実はどうでもいいのだろうか? 国民は馬鹿だからドラマや映画を事実だと思い込んでいる人が多いが、映像や音声などで見せ付けられるとそれが事実だと信じてしまう。直江兼継は泣いてばかりいますが戦国武将が泣いていたら戦にならないだろう。

「ウェブはバカと暇人のもの」という本にあるように、テレビもバカと暇人のためにあるのであり、利口で忙しい人はテレビをみる閑もないしネットで時間を潰す閑もない。テレビもネットもしないから利口な人はますます利口になり、テレビやネット三昧な暇人はますます馬鹿になっていく。やはり本当に重要な情報は本などを買って読まないと得られないのだと思う。




盧 武鉉は、金大中のような狡猾さは持ちえず、純粋無垢な左派政治家
として戦略・戦術を持たない丸裸で、北の将軍様に凋落されたのでしょう。


2009年5月28日 木曜日

盧 武鉉(ノ・ムヒョン)の自殺と北の暴発 5月25日 東北工程

以下、前大統領の遺書全文を引用します。 
 

「非常に多くの人に面倒をかけた。

 わたしにより多くの人々が受けた苦痛は非常に大きい。この先、受ける苦痛も察することができない。

 余生も他人に荷物となることしかない。

 健康状態が良くなく、何もできない。本を読むことも、文字を書くこともできない。

 あまり悲しむな。生と死はすべて自然のひとかけらではないか。

 申し訳なく思うな。だれも恨むな。運命だ。

 火葬してほしい。そして家の近くにごく小さい碑石をひとつだけ残せ。

 昔から考えていたことだ。」 
  (太字は敬天註)


 これが、前大統領のパソコンに打ち込まれていた「遺書」の全文でありますが、私は、引用太字の部分「火葬してほしい」に着目しました。

 韓国通の方ならお分かりのように、人が亡くなった場合、韓国では日本のような火葬ではなく土葬する習慣が一般的であります。

 日本とは違って死者の「魂」や「輪廻転生」・「死後の世界」という形のないものを一切信じず、現世での形に固執するため生前の姿そのまま弔う風習が厳然と続いています。

 これは韓国だけでなくシナも同様であり、専門家に言わせると「原始的な宗教習俗」がそのまま残存している現れではないかということであります。

 つまり、「土葬」が当たり前の風土に於いて「火葬してほしい」とわざわざ遺言に残した背景が気になったのであります。
 遺書にもあるように「火葬してほしい。そして家の近くにごく小さい碑石をひとつだけ残せ」と家族に厳命しています。

 以前、特に韓国に関する情報知識を得るために資料等を見ていて、驚愕したのは「墓暴き」でした。
 通常の日本人では理解不能なことなのですが、韓国では死者の生前の所業に対し怒りや憎しみを抱いている輩が永遠の眠りについた死者の墓を暴き、遺体を毀損する悪行を平気で行うのであります。

 おそらくプライドの高い前大統領は自分の死後、次々に明らかにされるであろう自分の所業に怒った人々に死んで尚、辱めを受けることに堪えられなかったと想像致します。
 そして、自分の葬られた場所を近親者だけに分かるように、目立たなぬようにひっそりと供養してもらいたいという思いからの遺書であったと思います。

 そこには、左派の人間として金大中から引き継いだ「太陽政策」を推し進めるにあたっての一般国民には知られたくない部分もいずれ明らかになり、総括されるであろうという覚悟があったのだろうと推察するのであります。

 北と南に分かれてもいても、元は同族・同胞であります。
 日本で言えば、愛知県を境に東と西に国を分断したようなものであります。
 互いに血を分けた親戚・一族が存在しているのが、現実としての朝鮮半島でもあります。
 イデオロギーの差異などは「血のつながり」からすれば些細なことでもあります。
 おそらく、我々日本人では想像も付かない、同胞同士の「北と南のやり取り」があったのだと思います。
 
 前任者の金大中が金を使ってノーベル平和賞を得て、韓国で初めてのノーベル賞受賞者として韓国人の誇りの象徴の立場で自らの生命を永らえることを確立しました。

 そのあとを引き継いだ盧 武鉉は、金大中のような狡猾さは持ちえず、純粋無垢な左派政治家として戦略・戦術を持たない丸裸で北の将軍様に凋落されたのでしょう。

 北の将軍様にとっては、これほど無い南における忠実な部下を得たのに失脚し、盧 武鉉が自殺したことにより、「死人に口無し」でさらには前政権時の南北の間の様々な密約まで晒される懸念に危機感を持って、絶望的ともいえる心情を吐露した行動に出たと考えます。

 盧 武鉉の自殺によって被った北の痛手は相当なものであると想像したのであります。

 当初、前大統領の死を知った時、北の工作員による口止めと勘繰ったのですが、自分なりにその後の北朝鮮の反応や動きを見ると、金正日と盧 武鉉の間にあった思惑による策略が、現政権が成立することによって無残に打ち砕かれたのではないか?と想像するものであります。

 今日一日の動きを見ても、北は盧 武鉉というかけがえのない同志を失って相当追い詰められているのではないかと勘繰っているのであります。


追悼盧武鉉韓国前大統領 5月25日 月見櫓

5月23日早朝、韓国の盧武鉉前韓国大統領が登山中に滑落、頭部に重傷を負ってそのまま死亡されたそうです。

遺書があったということで、自殺と断定されているようですが、謀殺じゃないかと疑ってる韓国ウォッチャーも少なからずいらっしゃるのではないかと思います。それは今後の成り行きの中で明らかにされたりされなかったりするでしょう。

全くの個人的見解ではありますが、私は自殺説にはやや懐疑的です。

厚顔無恥に人の皮をかぶせたような朝鮮人の中でも、選りすぐりの鉄面皮エリートでなければなれないのが韓国大統領職です。更に歴代の韓国大統領の中でも、突出したお笑い芸人っぷりを発揮していた盧武鉉が、「収賄で逮捕されるかも」程度のことで自殺するようなタマとは到底思えません。

仮に本当に逮捕されたとしても、仮にそれで有罪判決が出たとしても、仮にどんなに重い刑が言い渡されたとしても、前例を鑑みれば恩赦が行なわれる可能性は極めて高く(ほぼ100%と言っても良い)、死んでまで回避しなければならないほどの重刑を負わされることは、ほとんど考えられません。

更に、盧武鉉の自殺に関する報道を見る限りでは、奇妙に思える点がいくつもあります。

まず遺書がパソコンのファイル内にあったということ。パソコンで作成した文書は、誰が作成したものかわかりません。ですから、法的拘束力のある遺言書などは、一定の条件の下に、自筆あるいは印字されたものに自筆の署名と押印が必要になっています。

遺言書にそういう決め事があるのは「この文書は、確かに故人の意思を表した文書である」ということを証明するためです。逆に言えば、パソコンで作成されたファイル内の文書だと、「故人の意思で作成された文書ではない可能性もある」とみなされるということです。

もちろん、遺書と遺言書は異なります。しかし「パソコンで作ってファイルに保存されているだけの文書は、誰が作成した文書なのか、正確には判断出来ない」といういうことを、元弁護士であった盧武鉉が知らなかったとは考えられません。

また盧武鉉の最後の登山に同行したのは警護員一名だったそうです。報道によれば、【みみずく岩(筆者註:自殺現場)に立ち村を見下ろしながら考えに沈んでいた盧前大統領は6時40分頃警護員に「ひょっとしてタバコを持っているか」と尋ね、警護員が「ありません。持ってきましょうか?」と言うと「その必要はない」と言った】そうです(ハンギョレより)。

この「みみずく岩」とは同記事によると【登山路に沿って20分程度上が】ったところにあるそうです。すると、この警護員は警護担当者が自分ひとりしかいないにもかかわらず、タバコを取りにいくためだけに往復約40分の間、盧武鉉をひとりにするつもりだったのでしょうか。

更にこの時、もし盧武鉉が本気で自殺しようと思っていたとしたら、「タバコを取ってきてくれ」と警護員に言った方が都合が良かったはずです。何故なら、そう言うことで盧武鉉は、約40分間というたったひとりの時間が得られたはずだからです。

また盧武鉉はカトリック信者で洗礼も受けております。皆様ご存知の通り、カトリックにおいては、「神に対する罪」として、自殺を厳に戒めています。

もちろん、これらの考察は全ては国際常識を備えた文明人を基準とした考察ですから、国際常識のない亞人類にはそのまま適用出来ないかもしれません。

ですから、盧武鉉自らダイブしたという可能性も全くないとは思いませんが、何とも釈然としないものが残ります。

ただし盧武鉉に、自ら死んででも隠さねばならないことがなかったとは思っておりません。それは、誰もが思いつくとおり、北朝鮮との関係です。

盧武鉉は、「親北朝鮮」で片付けるにはあまりにも北朝鮮に偏った、ありていに言ってしまうと北朝鮮工作員としか思えぬほどの姿勢を貫いておりました。もし収賄で逮捕されれば、金の流れと共に、当然その部分も集中的に突付かれるでしょう。

それを考えれば、自殺の可能性は十分にあります。しかしその場合は、自らの人生を恥じたり悲観したり悩んだり、責任を感じた末の自殺ではなく、工作活動失敗の責めを負った工作員の自決と理解した方が良いでしょう(ただし、もしそういう事情であったとすれば、自殺した可能性と同時に、工作活動失敗の責めを負わされての【処刑】であった可能性も出てきますが)。

いずれにしても、この人については色んな評価がありますが、とりあえず弊ブログとしては朝鮮半島を舞台に踊り狂った「稀代のエンタテイナー」という評価を下しておきたいと思います。そういう意味では、まことに惜しい人を亡くしました。

もし今後長く存命であれば、近日収賄容疑で逮捕されていたであろう確率は極めて高く、更にはそれまでの北朝鮮との関係の露呈や、失言舌禍の期待も十分にあり、韓国及び朝鮮半島ウォッチの素材として長く楽しめただろうにと思うと、まことに金の卵を産む鶏を失った心持ちです。

ともあれ、死ねば皆仏と申します。謹んで故盧武鉉前韓国大酋長のご冥福をお祈り申し上げます。

もっとも仏になったと言っても彼の逝き先は、おそらく彼が愛した地上の楽園の、初代国家主席のいるところでしょうけれど。


(私のコメント)
朝鮮半島の雲行きが怪しいのですが、北朝鮮という訳の分からない国家があって、周辺の国に対してミサイルを発射したり核実験をしたりして嫌がらせを繰り返している。日本としても放置しておくのが一番いいのですが、多くの日本人を拉致したり、パチンコ資金を送ってもらって生活している。偽札を印刷したり偽タバコや覚醒剤を密売するなどヤクザそのものなのですが、国民はマスゲームに励んでいる。

金正日はろくでもない指導者なのですが、誰もその地位を更迭する事が出来ない。国民が300万人も餓死しようが平気な男なのだから、誰かが立ち上がって始末してしまえばいいのでしょうが、それが出来ない北朝鮮の国民性が一番の問題でしょう。日本も朝鮮半島を36年間まともな国家として成り立つようにいろいろ指導してきたのですが、北朝鮮は国家としても自立が難しいようだ。

南の韓国も厄介な国であり、竹島を占領したり、経済が破綻してカネを貸せと言ってきたり、日本の歴史教育にクレームをつけたり従軍慰安婦問題をでっち上げたり日本海と東海と言い直せとか何かとからんでくる。朝鮮半島の民族性は長きにわたる中国の属国支配によって歪んでしまったからなのだろう。

このような国民を統治するには金正日のような異常な独裁者か、韓国の大統領のような責任転嫁の名人でないと務まらない。政治が行き詰まると日本が悪いアメリカが悪いと責任転嫁して国民を煽る。盧武鉉前大統領が選ばれたのも、米軍車両に少女二人が引かれた事故で反米感情が盛り上がって左翼の盧武鉉が選ばれた。

韓国はアメリカや日本の援助がなければ成り立たない国家であり、北朝鮮もロシアや中国の援助がなければ成り立たない国家だ。北朝鮮は現在では中国からの援助で成り立っているのですが、それでもミサイル実験や核実験を行なえるのは中国の支援があるからだろう。中国というのも食えない国であり、アメリカには北朝鮮の核実験やミサイル実験に反対するといいながら陰ではもっとやれと北朝鮮に命じている。

さらに北朝鮮は韓国に多くの工作員を送り込んで韓国を取り込もうとしているのですが、米軍が駐留しているから南北の統一は出来ない。朝鮮半島が南北に分断されたのは米ソ両国のエゴからですが、ロシアが手を引いて北朝鮮が崩壊すれば韓国による統一が行なわれるから中国の北朝鮮支援が続いている。

このような複雑な政治情勢だから盧武鉉前大統領の死は謎が多い。自殺かどうかもはっきりせずパソコンに打たれた遺書も本人が打ったものか分からない。前大統領には警護員が1人付いていたのですが、どのように崖から飛び降りたのかがはっきりしない。そのとき警護員が付いていたのかいなかったのかもはっきりしない。

盧武鉉は市民活動家出身でありネットによる選挙活動で選ばれた大統領だ。支援したネチズンはノサモと呼ばれましたが30代の若い支持層が中心だった。しかし政治には素人に近く韓国の政府や議会には北朝鮮の工作員が深く潜入しており、次第に盧武鉉大統領は取り込まれていってしまったようだ。

最初から反米が旗印で当選したからアメリカの支援を受けるわけにも行かず、次第に北朝鮮系の政治勢力に取り込まれてしまった。アメリカ政府もこのような韓国に嫌気がさして米軍を撤退させ始めている。韓国の国民は慌てて親米的な李明博を大統領に選びましたが、盧武鉉前大統領の北朝鮮との結びつきを追求し始めた時に死亡事件が起きた。

盧武鉉が北朝鮮の工作員だったとすれば口封じの為に自殺を強要されたのかもしれない。盧武鉉は退任の際に政府の機密情報を持ち出した容疑がかけられた。抹消しなければならないようなまずい活動をしていたのかもしれません。単なる親族への汚職事件程度なら自殺する必要もなく以前の大統領も恩赦で救われている。

盧武鉉は北朝鮮の為にどんな事をしていたのか? ネットゲリラ氏によれば核兵器の材料が韓国から陸路で工業団地に運び込まれていたという推理だ。中国からだけではなく韓国も北朝鮮のミサイル開発や核兵器開発に関わる協力が行われていたとすれば、北朝鮮も口封じの為に盧武鉉に自殺を強要するかもしれない。日本の政治家にも北朝鮮に取り込まれた人物もたくさんいるから気をつけるべきです。


韓国は北朝鮮の核武装を支援していた!? 5月27日 ネットゲリラ

盧武鉉の死と北朝鮮の核実験なんだが、誰がどう見ても関係ありそうな2つの出来事の裏にあるストーリーを、勝谷誠彦の××な日々のメールで書いているんで、要約してみよう。なかなか良く練れたストーリーです。

まず、ノムピョンの「自殺」時に、警護の人間が立ち会っていなかったというのが明らかになったわけだ。勝谷氏は「警護の人間がそばにいたなら、飛び降り自殺なんかさせる筈がない」と以前から言っていたので、ここでひとつ読みが当たった事になる。で、ノムピョンを「殺して」でも守りたい秘密が、南北朝鮮の間にはあったのではないか? それは、明らかになったら韓国の国際的な地位を脅かすほどの大きな秘密に違いない、というわけだ。で、ノムが死んでからすぐに核実験。コレはナニを意味しているのか?

ノムピョンが北朝鮮に迎合してやっていた事業に、開城の工業団地というのがあるんだが、その工業団地の建設に当たって、韓国からの「陸路の輸送手段」に、北朝鮮が異常にこだわっていた。で、それは
韓国から核兵器の材料を運び込むためではなかったのか? というのが、このストーリーの出発点になる。で、ノムピョン時代には、大統領の側近に北朝鮮工作員がいて、アメリカ軍が試しにダミーの情報流してみたら、5分後には北朝鮮側に漏れていたそうで、ノムピョン政権が予想以上に北朝鮮とズブズブだった事実がある。

なので、韓国は北朝鮮の核武装を、実は裏で支援していた、というわけだ。将来統一したら、この核兵器で日本に対抗しようというのが彼らの考えであって、日本は核兵器を持たないので、自分たちがコレで優位に立てると勘違いしていたわけだな。まぁ、コリアンの異常なまでの日本に対する反抗心から考えて、ここまではあり得る話ではある。





GMの債権者は、GMの株式を受け取るよりも倒産してくれた方が
CDS(倒産破綻保険)で補償されるので倒産に掛けた方がいい。


2009年5月27日 水曜日

金融革新がGMを破産に追い込む 5月13日 ニューズウィーク

金融危機から1年近くが経ち、ようやく何が起きているかの実態が明らかになりつつある。

 米政府が大手銀行を対象に行った厳格な「ストレステスト(健全性審査)」の結果、多くの大手銀行は破綻しそうにないという投資家の信頼感を取り戻し、政府の指示で自力の資本増強に奔走している(大手銀ウェルズ・ファーゴなどの新株発行を引き受けることで投資銀行は大儲けしており、その意味でストレステストは金融界に対する景気刺激策にもなっている)。

 一方で、連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)や連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)、GMの金融子会社であるGMアクセプタンス・コーポレーション(GMAC)のように再建不可能な組織には、追加の公的資金注入が行われることも明らかになってきた。

 市場は「生存者」と「死者」を区別しはじめたのかもしれない。それが言い過ぎだとしても、生き残れそうな企業に金をかけ、先行きの暗い企業からは手を引きはじめたのは確かだ。

 懸案の自動車業界でも明暗がはっきりしつつある。クライスラーはすでに連邦破産法11条の適用を申請している。

 難局を乗り切れる公算が最も高いとされてきたフォードは5月12日、普通株3億株を発行し14億ドル以上の資金を調達した。会社に未来があると思わなければ誰も株など買わないわけだから、これはまさに投資家による信任投票だ。

金融革新が債権者の行動を変えた

 そして、残るはゼネラル・モーターズ(GM)。6月1日に巨額債務の返済期限を控えており(社債保有者に対する270億ドルの債務を含む)、返済できなければ破産を申請する可能性が出てくる。

 GMの行く末について賭けるとしたら、「破産」に大金が集まるだろう。そして、実際にGMが破産すれば、「空っぽの債権者」シンドロームを裏付ける新たな証拠となるかもしれない。

 われわれが初めて「空っぽの債権者」説を論じたのは数週間前。背景にあるのは近年の金融革新で、借り手が債務不履行に陥った場合に社債保有者などの債権者に保険金が下りる保険が登場したことだ。そのため、借り手が破産したほうが儲かると考える債権者が現れはじめている。

 企業が正式に破産した場合のみ保険金が支払われるため、社債保有者は社債を株式に交換する債務削減策を敬遠し、企業を破産に追い込むよう仕向ける可能性が高い。

 GMも「空っぽの債権者」シンドロームの典型例になりそうだ。債務を削減すれば政府の追加支援を受けられるため、GMは債権者にある取引をもちかけた。

 GMが破産申請をすれば、債権者への支払い方法をめぐってカネのかかる裁判が延々と続くことになり、債権者には好ましくない。そこでGMは、債権者に株を渡し、引き換えに債務を帳消しにしてもらうという提案をした(政府が50%、全米自動車労組(UAW)の医療保険基金が39%、既存の株主がわずか1%、そして社債保有者が10%の株式を割り当てられる)。

債務株式化に応じては損をする

 もっとも社債保有者にとっては、この提案はさほど「お得」ではない。なぜか。

 政府と労働組合の管理下に置かれた企業がグローバル市場の激しい競争に勝ち抜けると信じていなければ、債権者が債務の株式化に応じるわけがない。

 しかも、債権者の多くは「空っぽ」の債権者。彼らにとっては、GMを救うために債務を減らすより、GMが破産したほうが利益を得られるのだ。

 ジャーナリストのへニー・センダーは、この状況を英フィナンシャル・タイムズ紙で解説している。GMの社債保有者は、かつての額面270億ドルから今では10分の1の価値しかなくなった社債を、GMの株式と交換するよう求められている。もしGMが立ち直れば、株式はそれなりの価値になるが、立ち直れなければ価値はゼロだ。

 センダーが言うように、貸し倒れに対する保険であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)に多くの債権者が加入しており、GMが正式に債務不履行に陥った場合のみ保険金が支払われる。

「GMが債務不履行になった場合、CDSの加入者にとっては24億ドルの利益になるという試算がある」と、センダーは書いている。一方、株式は紙切れになっても債務不履行にはならないので、債権を株式と交換してしまえばCDSのメリットが享受できない。

 つまり、債権者は二者択一を迫られているわけだ。債務の株式化に応じずにGMが破産すれば、6月に規定の保険金を受け取れる。債務の株式化を受け入れてGMが破産を回避すれば、将来価値が上がるかわからない株式が手元に残る。

 債権者はどちらを選ぶだろう? この問いに答える前に思い出してほしい。債券に投資する人は株式投資を選ぶ人に比べて、確実なリターンを重視する人種だということを。

 これでは、GMの6月破産説に賭ける人が多いのも無理はない。



GM破産間近:迫り来るチャプター11 5月25日 The Economist

米ゼネラル・モーターズ(GM)の社債保有者は、破産裁判所の判断に望みをかけようとしている。

米ゼネラル・モーターズ(GM)が5月末、業界下位のライバルメーカー、クライスラーに続いて米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請し、製造業で史上最大となる倒産劇の幕を切って落とすのは、ほぼ確実だ。

 ほんの半年足らず前、GMのCEO(最高経営責任者)だったリック・ワゴナー氏――米財務省の自動車作業部会にその座を追われる前のこと――は、世界第2位の自動車会社にとって破産は「選択肢にない」と発言していた。

 ワゴナー氏は、GMの事業構造が複雑なために、何年間も中途半端な状態で放置され、その間にも、地位を失い、先行きが不透明な会社の商品を顧客がますます敬遠していく事態を恐れていた。

 だが、GMの前CFO(最高財務責任者)で、新たにトップに就いたフリッツ・ヘンダーソン氏は、破産がほぼ避けられないという事実を受け入れたようだ。同氏は4月27日、無担保社債保有者に対し、彼らが保有する債務270億ドルを、再建後のGM株のたった10%と交換する債務削減案を提案した。

失敗するよう仕組まれたような債務削減案

 この提案――プライベートエクイティ(非上場株投資会社)出身で、バラク・オバマ大統領から自動車作業部会を率いるよう指名されたスティーブン・ラトナー氏の指示によるもの――は、あえて失敗するように仕向けられた提案のように見える。

 ヘンダーソン氏は、5月末までに金額ベースで債務の90%以上を保有する社債保有者の合意を得られなければ、この提案は無効になると明言している。さらに悪いことに、社債保有者は、全米自動車労働組合(UAW)や米政府自体よりも不利な扱いを受けると分かったうえで、この提案を呑まなくてはならないのだ。

 GMはUAWに対し、退職者向け医療保険基金に204億ドル拠出する義務を負っており、4月の提案では、UAWはこれと引き換えに現金102億ドルとGM株のほぼ40%を受け取ることになっている。

 一方、米政府――一部の推計によれば最終的にGMに最大500億ドルを融資する可能性がある――は、残り50%の株式を受け取る。

 当然ながら、社債保有者はこうした扱いに不満を抱いており、破産裁判所に望みを託す覚悟のようだ。社債のうち、約60億ドルは数万人の個人投資家の手元にある。

残りを保有する127の銀行、ヘッジファンド、ミューチュアルファンド(投資信託)の中には、デフォルト(債務不履行)に保険をかけるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)によって破産申請から保護されているところがあり、それらの機関にとっては、投資に対して巨額の評価損を計上するよりは破産の方が望ましい。(後略)


(私のコメント)
ゼネラル・モータースの再建計画の提出期限が今月末に来ますが、GMは倒産させてから再建させないと会社の再建は出来ないだろう。UAWとの医療保険の負担も引き継いだのでは会社が成り立たないし、債権者に対する債務も引き継いだのでは負担が大変だ。つまりは倒産してきれいさっぱりして会社を再スタートさせないと再建は軌道に乗らないだろう。

このまま放置していれば政府が身代わりに資金を投入し続けなければならないので、今月いっぱいで決断を下さなければならない。GMが儲かっている会社ならUAWの医療保険も支払って行けるし債権者にも配当していく事ができる。しかし売上げが四割も落ち込んだのでは莫大な赤字が出て倒産は必至だ。しかしGMは倒産させるにはあまりにも巨大で影響が大きすぎる。

売上げが落ちたのは日本の自動車メーカーも同じであり、トヨタショックと言われるくらいであり同じ問題を抱えている。しかしトヨタ、ホンダなどは売れる高性能車を作っているから何とか持ち堪えられるのですが、GMやクライスラーは大型車が売れなくなって、燃費のいい高性能車を作る事が出来ないから倒産の危機に直面している。

GMについては2月4日にGMはサブプライムローンで自動車を売って、それを証券化してウォール街で転売していたと題して書きましたが、車作りよりも金融で儲けてきた会社だ。いわば自動車版サブプライムローンを作ってウォール街に転売して儲けて来た。これでは技術力は落ちる一方になり、GMは金融で儲ける会社になってしまった。

金融というのは製造業のようにそれ自体が利益をもたらすものではなくゼロサムゲームの世界であり、製造業に付随した産業だ。製造業がダメになった国家は金融で儲け続ける事はできない。アメリカの製造業は中国などの人件費の安い国に工場を移転させて来ましたが、それでは本国の空洞化が進んで慢性的な貿易赤字国になる。

GMも中国に工場を建設して車を販売していますがアメリカ本国並みの売上げ台数を数えるほどになりました。だからGMが倒産したら中国企業が買収するかもしれません。しかし中国の自動車メーカーには技術力がない。ニュースによればトヨタがハイブリッドカーの技術を供与して再建させるらしい。

クライスラーもイタリアのフィアットと合併して再建させる予定ですが、フィアットには小型車のメーカーであり、ダイムラーとの合弁でも上手く行かなかったのがフィアットではアメリカで売れる車を作る事が出来るのだろうか? オバマ政権ではリッター15キロ走る車を目標に規制を定めるようですが、アメリカのSUVはリッター4キロしか走らない。

石油もドル安でじりじりと価格が上がってきており去年のようなガソリンの高騰が近いうちにやってくるだろう。そうなると電気自動車やハイブリッドカーを作る技術がなければ自動車メーカーは存続の危機に立たされることになるだろう。UAWは非常に強力な労働組合であり、電気自動車を作ることは組合が反対すればなかなか出来ない。ガソリンエンジンを作ってきた組合が電動モーターを作ることは出来ないからだ。

今回の再建策もUAWに有利な再建計画ですが、債権者との交渉はまとまっていないし9割の合意を取り付けることは不可能だ。債権者の中にはCDSでリスクをヘッジしているから倒産したほうがいいという債権者がたくさんいる。クローズアップ現代ではその事には全く触れていない。また倒産してCDSが行使されても、リーマンブラザースとは違ってGMは巨大企業だから債券額も巨額だ。


GMシリーズ 5月23日 ぐっちーさんの金持ちまっしぐら

一方のクレジットデリバティブ。
行使、という行為はどこかが倒産しないと行使に至らない、というきわめて特殊な構造をしている訳ですね。

要するに行使することが滅多にない。 金利デリバティブを扱っている人は毎日運転しているドライバーだとするとクレジットデリバティブを扱っている人はおよそサンデードライバーだということで、突然ブレーキを踏んで交通事故を起こしたり、渋滞を予測できずにつっこんっで言ったりという事故が起こりやすい、ということがいえます。

つまり「抜いたことのない伝家の宝刀」みたいなもんで、GMの場合そのかかわりあい方、はリーマンの比較ではありません。

考えられる最悪のパターンは

GMがつぶれた→クレデリを行使して安心していた→決済日になってもお金が入らないよ→でも相手はゴールドマンだから大丈夫でしょ→実は最後はAIGが持っていてそもそもカバーされるべき代金がカバーされなかった→入札してもGMの債権はあまりにも多すぎるので応札者がなく・・・・・

紙の上ではヘッジしているのだが、肝心のお金が入ってこないよ・・・・

という事態です。



(私のコメント)
GMはあまりのも巨大だからGMが倒産すればアメリカが倒産するような話になってしまうのであり、GMを存続させるのも大変だし倒産させるのも大変な話だ。オバマ政権では倒産させて再建させる路線のようですが、UAWの医療保険などは国民保険制度に切り替えて救済していく方針なのだろう。当面GMはゼネラル・モータースではなくてガバメント・モータースとなって再建されるだろう。問題は売れる高性能車が作れるかどうかだ。


債務削減、期限内合意できず=GM、破産法申請が濃厚に 5月27日 時事通信

【ワシントン、ニューヨーク27日時事】経営危機に陥っている米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の債務削減交渉で、債権者の9割(債権額ベース)から同意を得る同社の目標達成が27日、困難な情勢になった。再建策の要である過剰債務の大幅圧縮が難しくなったことで、GMは連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用申請に踏み切る可能性が極めて濃厚になった。
 GMは、社債などを保有する一般債権者に対し、270億ドル(約2兆6000億円)の債務を、再建後の新生GMが発行する株式10%と交換することを提案。しかし、26日午後11時59分(日本時間27日午後0時59分)の回答期限を過ぎても、要請に応じた債権者は極めて少数にとどまったもようだ。
 米メディアによると、GMは債務削減協議について、交渉の期限を延長するか、これ以上の交渉を中止するか、などの対応を27日朝(同27日夜)までに発表する方針だ。 




バーナンキがいま実行している政策は、90年代の日銀政策を批判した部分
から生じたものです。再び日本経済はデフレに戻る。ポール・クルーグマン


2009年5月26日 火曜日

日本経済・再浮上への三大戦略 ポール・クルーグマン

4%のインフレ・ターゲットを設定せよ

サブプライム危機に端を発する大不況によって、トヨタなどの大企業が報酬カット、雇用削減など厳しい状況に立たされています。しかし日本企業が短期的に清算される危険はほとんどないでしょう。

一方、私は嫌々ながら、アメリカの自動車会杜を支持しています。救済しなけれぱ、彼らは一カ月足らずで消滅してしまうからです。3月16日に大統領の作業部会の幹部か「(GMなどを)経営破綻させることが作業部会のゴールではない」と語るなど、破綻回避の選択肢がとられるようにも思えますが、時間を稼ぐのはよいアイデアでしょう。長い目で見れぱピッグ・スリーは生き残れないかもしれませんが、金融危機の真っ最中で破綻させるのはよい結果を生まないからです。

トヨタや日産は、まだピッグ・スリーのような状況に至っていません。日本政府は彼らに対して直接援助を行なうのではなく、他の手段でスランプの深さを制御すぺきでしょう。確実にいえるのは、誰かが自動車を製造しつづけるということで、そのすべてが中国に移ることはしぱらく起きそうにありません。自動車産業の動向が目下の問題であることは間違いありませんが、たとえマクロ的に世界経済が復活しなくとも、クルマは限界が来て動かなくなる時期が来る。あるいはそれが、非常に古臭く見えはじめるのです。しばらく時間はかかるでしょうが、自動車産業は再ぴ回復軌道に乗るでしょう。もちろん自分たちかノーマルと思っているところまで戻るには、何年もかがるかもしれません。

そのような状況のなかで自動車をはじめ、電機、電力などの企業が次々と定期昇給の凍結を表明しています。しかしそうすることで、景気はさらに悪化する可能性がある。ここにあるのは「合成の誤謬」です。昇給凍結や給与カットは一人ひとりを引き締めるために有効ですが、皆がそれを行なえぱ、全体として事態は悪化してしまう。デフレ傾向のいま、このような方法をとることは、日本経済にとって望ましい選択ではありません。

再び日本経済はデフレに戻る、という見立ては現実的になりつつあります。先の景気拡大時でさえ、日本は著しいインフレにはなりませんでした。インフレになりさえすれぱ問題は解決するという意見もありますが、それはほんとうに難しい。インフレ・ターゲットを設定すれぱプラスになるでしょうが、これまでは誰進んでそうしませんでしたし、できませんでした。日銀が「10年後には物価水準がいまよりも60%高くなっている」と約束すれぱ、それで問題はかなり解決するでしょう。はたして日銀はそう約束できるのか。そこでわれわれは悩んでしまうのです。

日銀はこれまで同じような間違いを繰り返してきました。1990年代の最悪の時期にもそのようなマネジメントを行ないませんでしたし、2000年8月に行なわれたゼロ金利政策の解除も明らかに時期尚早でした。なぜ日本の政策決定者は拡大を諦めるのか、疑問に思わざるをえません。日銀がもっと創造力のあるマネジメントをしていれぱ、日本の経済もきちんとしていたし、日本経済はいまほどひどい姿にならなかったでしょう。FRB(米連邦準備制度理事会)議長のバーナンキがいま実行している政策は、90年代の日銀政策を批判した部分から生じたものです。

FRBは金融市場でスプレッド(金利差)をかなり滅らしました。借り手もこれまでほどプレミアム(オプションの価格)を払っていません。状況は落ち着きを見せています。量的綬和は本当の成果を生んでいるのです。FRBはとてつもなく革新的で、積極的に行動しています。

いま日本は需要が不十分であるという、根本的な問題を抱えています。たしかに「失われた10年」のあと、経済は回復を見せました。でもそれは輸出に頼ったもので、けっして盤石なかたちではなかったのです。そして再び日本経済は元に戻ってしまいました。そういう意味では「失われた10年」を超え、「失われた20年」に突入しようとしているのです。

日本は継続的に、マイナスの実質金利をとる必要があります。それができる唯一の方法は、たしかなインフレ・ターゲットを設定することです。日本のインフレ率は他の先進国が目標にしている2〜3%の範囲にまで達したことがありません。アメリカは潜在的に2〜2.5%の範囲、イギリスも2.5%に設定しています。永久に需要が不十分な状態で、日本は他国よりも高いインフレ・ターゲットを設定ずぺきであり、理論的にいえぱ4%が妥当でしょう。まずは実行可能な将来の物価標準ターゲットを設定し、そのターゲットを達成できるかどうか、自己評価をすぺきです。

もっとも最近の日銀は、CP(ロマーシャルペーバー)、社債の買い取り、劣後ローン引き受け、長期国債の買い取り増額など積極的な政策を打ち出しています。その政策はすべて望ましいことだといってよいでしょう。


大規模な財政出動が経済を強化する

もちろん金融政策だげではなく、危機においては大規模な財政出動が行なわれるべきです。日本の「失われた10年」は、財政出動が一時的には経済を強化することを教えてくれました。インフラ整備と公共事案への財政出動を行なうことで、多くの人が直接雇用され、長期にわたってそれが効果を発揮するのです。

一部には財政出動で特定産業に資金をつぎ込み、技術保全を図るべき、と考える人もいるようですが、そのような考え方に対して私は懐疑的です。何を維持する必要があるかを決定する点で、政府はきわめて成績が悪い。われわれが求めているのは需要を維持するための政策で、どの産業や職業を救済する必要があるかを決める政策はいま、それほど必要とされていません。

しかしアメリカでいえぱ、巨大な金融セクターなどはもちろん縮小するか、改革しなけれぱなりません。アメリカは実体がないとわかっていても、表面上儲かっているように見えるものに対しては報酬を出します。しかしそれとて、どのように改革されるべきかははっきりしない。ちなみにAIGの210億円に上るポーナス支給が問題視され、アメリカ下院がその90%に課税を行なう法案を通しましたが、これは悪い法案でした。無実の人を罰し、もっと罪を背負うぺき人を罰していないからです。FRBはボーナス支給を知っていた、という話も出ていますが、そうであるならぱ、信じられない政治上のミスでしょう。

その他の景気刺激策としては減税がいわれます。しかし経済学的に見れば、減税と景気対策にはほとんど関連がありません。アメリカで滅税政策がとられているのは政治的な理由からで、少しでも共和党が支持を得て、選挙運動のときの公約を果たすためです。減税が景気対策としての意味をもちうる唯一の理由は、インフラ整備のプロジェクトをより早く実行に移せるという点だけでしょう。


アジアで共通通貨圏はつ<れない

おそらくいま、多くの人が関心を寄せているのは為替の問題ではないでしょうか。円高によって、多くの日本企業が苦境に陥っているからです。日本と中国の預金の超過分がアメリカや新興市場、とくに新興ヨーロッバ国につぎ込まれるベルトコンペアがありましたが、現在はそのベルトが壊れた状態です。世界がよりリスキーに見えれぼ円が上がります。自分が作り出していない危機に日本がこれほど痛めつげられるのはアンフェアのように思えますが、それほど世界経済は複雑です。

その流れを逆にするためにも、財政刺激策は一助となるでしょう。米国債につぎ込まれるお金を拠出するということで、円か下がる手助けになります。そしてグローバル経済が回復する。そこまでいげばまた円は下がります。ちなみに一時、円が一ドル=90円台後半まで戻した理由はもちろん、投資家の心理が少し改善しているからです。

10年後、もはやドルは基軸通貨の地位を失っている、という議論もあるようですが、正直なところ、それについてはまだ頭の整理ができていません。かつては基軸通貨としてのドルはなくなる可能性が高い、と考えていました。いま世界が向かっているのは二つの通貨、すなわちドルとユーロの世界です。しかしユーロには弱点があることもわかってきました。ユーロゾーンのほとんどは財政上のトラブルがかなり大きく、その結果、市場か断片化されてしまい、現在のボジションはあまりよくありません。しかしこの危機を乗り越えれぱ、基本的にはほぽ同じGDPで、ほぼぽ同じ金融上の精巧さをもつ二つの通貨域が誕生します。そうなれぱ、ますますドルの役割は侵食されていくでしょう。

もしドルが基軸通貨としての地位を失ったとき、日本はどう対処すればよいのでしょうか。間違ってはいけないのは、たしかに日本はドル資産をたくさんもっていますが、そのほとんどは直接投資のかたちになっていることです。日本の貿易は圧倒的にドル建てでなされていますが、それかどのくらい重要であるかははっきりしません。それがユーロや円建てになったとき、どれくらい状況が変化するかもわからないのです。

ドルヘの懐疑とともに、「東アジアで円主導による共通通貨圏を構築し、自国通貨でピジネスができる圏域をもつべきだ」という提言もあるようです。たしかに共通通貨が貿易を促進するという論文はいくつかありますが、一方で共通通貨の大きな間題は、asymmetric shock(非対称ショック)でしょう。すなわちそのブロックのなかで特異な問璽か生じると、調整か非常に困難になってしまうのです。イギリスではポンドが急落しましたが、そのことで輸出業にはより競争力が生まれ、そこから回復や希望が生まれています。しかし同時にスペインでは失業率が8%から14%にまで短期間で跳ね上がっている、という状況が生まれています。

それでもヨーロッパは貿易上の連結が大きいので、効率のよさかあり、労働の流動性も担保されています。ヨーロッバ法があるので、たとえぱスペイン人がドイツに移動しなくても、一つのブロックとして機能するのです。一方で東アジア地域がかなり異なった経済域であることは明らかで、そこでいま筋の通るレートを選んでも、5年後にはかなりズレが生じてしまう。中国の元が円と比べて価健が下がっているかもしれませんし、逆もまたしかりです。いかなる基準で見ても、アジアは最適通貨圏としては理に合わないように感じます


1500兆円の個人金融資産が世界を救う

いまこそ日本は内需経済への転換を図れ、という議論もあるようです。それは政府レペルで決定すべき問題ですが、踏まえるぺきは、いまの日本は19世紀末のイギリスのような状態にある、ということです。人口が縮小し、貯蓄率の高い成熟経済であった当時のイギリスは対外投資を促進し、商品の輸出から資本の輸出国へと変貌を遂げました。同じように現在の日本もまた、資本輸出国でなげればなりません。需要の点で輸出型であるからです。

日本経済がもっと内需に基づくべきであったのは確かですが、それでも通常の状態においては資本輸出型経済でなけれぱならないのです。もし金融危機が1930年代の世界恐慌の再来になるなら、多くの世界貿易が閉鎖され、各国は保護主義になるでしょう。そうなれぱ日本も内需型経済に移行すべきでしょうが、現段階でそれを選択すぺき、ということにはなりません。いまのところ、アメリカ市場は日本にとってまだ、よいターゲットです。

もちろんアメリカの個人消費が簡単に回復しないことも事実でしょう。アメリカは貯蓄率か0.4%の状態でしたが、それが70%にまで上かってしまいました。アメリカにとって、さらに世界にとっての問題は、何がそれに取って代わるか、ということです。もしアメリカが完全雇用を維持することができれぱ、貿易赤字を減らすことで消費需要の滅少分が埋め合わせられます。それでも他の国はどうするか、という問題が残ります。

日本の儲けたマネーが結局、米国債に還流されることについては批判もあるようですが、構造自体は大いに理にかなっています。つまりは日本が生来的に資本輸出国であること、アメリカがある程度は資本輸入国であることに基づいているのです。さらにいえば、この時期にアメリカと一緒になってヒットを打てば、景気刺激策を通して世界に多くの資産を供給することになる。しかし、本当に長期的な視点で見れぱ、その構造かどうなるかはわかりません。中国がこの危機から内需主導で復活を果たせぱ、いずれ日本は米国債を買わないで、余剰預金を使って中国に投資するときが来るかもしれません。

「失われた10年」以降、日本の景気は中国に引っ張られた面が大きく、その中国が金融危機で痛んでいるいま、今後の日中関係を心配する声もあります。日中経済はリンクしていて、日本からの中間商品の提供がなければ中国はここまで早く成長できなかったでしょうし、日本も中国からの輸出引力がなけれぱ回復はありませんでした。おそらく今回は中国のほうが日本より早く立ち直るでしょうが、その連携がどうなるかによって、回復がいかに生じるかというプロセスも異なってきます。中国は本当に内需を拡大しようとするか、アメリカが回復すれぱ、再ぴ多くの商品をアメリカに輪出するだろうか。そのあたりはまだ明確ではありません。先ほど述べたように、いまは資金の流れるベルトコンベアが完全に壊れた状態だからです。

いずれにせよ日本とアメリカ、そして中国が大変な状態にあることだけは確かです。どの国がどうやって混乱から抜け出すか、それを指摘するのは非常に難しい。トルストイの『アンナ・カレーニナ』の冒頭に「幸せな家族はすべて似通っているが、不幸な家族はそれぞれ違う風に不幸である」という一節があります。いまの日本、アメリカ、中国はそれぞれ違ったふうに不幸なのです。

もちろん、日本のように余剰金のある場所から貯蓄が投資として流れるのは、全体としていいことです。1500兆円ともいわれる日本の個人金融資産が動き出せぱ、日本だけではなく世界中が助かるでしょう。日本が「人生は短い、楽しもう」というようなキャンペーンを行なって、貯金を使ってもらうだけで、それは世界経済の回復につながるのです。


デフレが過ぎ去ったあとの世界

「金融危機の元凶はウォール街の大手投資銀行で、金融工学の悪用が発端」という認識は、多くの日本人に共有されているようです。それを契機に新自由主義やグローバル資本主義、規制綬和を否定する論論調が現れ、支持を得つつある、という声も聞こえます。

それは単純にウォール街だけの問題ではありません。ヨーロッバの銀行がお金を貸しすぎたことにも過失があります。ウォール街にはスペインの住宅パブルに対する責任はありません。しかしもちろん、今回の元凶を象徴するような行為がアメリカで起こっていたことは疑いがないでしょう。アメリカの金融界にいた人たちは、自らの行為を生産的であったと主張しますが、彼らは実際には富をつくっていたのではなく、破壊していたのです。

そもそも、規制緩和が新産業を生み出す鍵になる、という議論は間違いです。第二次世界大戦後の25年間における産業成長は、きわめて規制された環境で起こりました。むしろいくつかの点では、新しい規制が鍵になるかもしれません。もしわれわれが気候変動について本当に真剣になるなら、環境技術への投資が増えざるをえないでしょう。温暖化対策としてキャッブ・アンド・トレード方式(政府が温室効果ガスの総排出量を定め、それを個々の主体に排出枠として配分し、個々の主体聞の排出枠の一部の移転または獲得を認める制度)を行なえぱ、それだけで化石燃料に関連する製品のコストが上がります。それによって省エネや風力や太陽光発電などの投資が促されるのです。

最後に、これから世界はどのように動くのでしょうか。まず、株価についてはまったく予想することができません。3月半ぱからNYダウや日経平均は急反発しましたか、株式市場はあまりに多くの要素に影響されるので、何かの指標として株価を使うのは適さないのです。株価と実体経済には、それほど信用ある関係がありません。ノーベル賞経済学者であるボール・サミュエルソンの「株式市場は最後の5つの景気後退のなかで9つを予測した」という言葉があります。つまり市場の動きの予測はそれほど難しく、株価はわれわれにあまり多くを教えてくれないのです。私はむしろ金利に注目しています。それは株価にいま何が起きているかについて、重要なヒントを与えてくれるでしょう。

デフレが過ぎ去ったあとの世界はどうなるのでしょう。これまでバブルは絶えず起こりましたし、ごれからも起こることは間違いがありません、問題はそれを対処可能な範囲に収められるかどうかです。1960年にアメリカで株式バブルが起こり、たくさんの人々が莫大なお金を失いました。しかし経済上の対応はうまく行なわれたのです。70年代に起こったラテン・アメリカでのハイリスク・ハイリターンの貸し付げブームも同じで、それは各地域にとってはひどい経験でしたが、グローバル危機は発生しませんでした。われわれには規制された金融市場があるので、バブルが発生しても本当にそれが破壊的になるほど大きくなったことはないのです。

エール大学教授のロバート・シラーは、その薯書『根拠なき熟狂』で、"Bubble is a natural Ponzi scheme."(バプルは、自然発生するねずみ講のようなもの)と述ぺています。資産価格がどんどん上かり、しぱらくそれが続く。人々は上昇がずっと続き、皆がお金持ちになれると信じ、懐疑的な人が馬鹿であるかのように思いはじめます。ところが結局それは弾けて大変な事態が訪れる。これを完全に防ぐ方法を考え出した人はまだいません。

また日本には「世界大恐慌が第二次世界大戦の下地をつくった」という歴史認識があるようですが、そのような政治的危険性が差し迫っていることも確かでしょう。現在、もっともリスクがあるのは東欧のウクライナ、ベラルーシ、バルト諸国、ハンガリーなどで、これらの国には民主主義が根付いていないために今回の危機に直面して大きく揺れています。

戦争の危険性も議論されていますが、落とし穴にはまってはいけません。第一次世界大戦以前に出版されたノーマン・エンジェルの『大いなる幻想』では、「戦争の結果生じる避げがたい経済的混乱は、勝利の結果がもたらす経済的利益を不可能にしてしまう」と述ぺられています。これは戦争が起きない、という予測であるように広く解釈されましたが、実際はそうなりませんでした。もちろん一般論として、近代においては意図的な侵攻ばたしかに割に合いません。ロシアのグルジア侵攻がよい例でしょう。どちらにも非があるように見えますが、その勝利はロシア人にいったい何をもたらしたのでしょうか。

今回の危機によって、かつての日本やドイツがたどった道を再び歩む国はないように思います。それでもクレージーな人たちが政権を奪取し、何を行なうかわからないというリスクはあるでしょう。『フィナンシャル・タイムズ』がこれから4年先、世界が暗黒郷(理想郷の反対)になっているという話を掲載していました。サラ・ペイリンが大統領になるなど、ひどい事態が起こりうる可能性は存在しています。そしてそのような政府が誕生すれぱ、うっかり戦争になってしまう可能性も否定できません。1930年代の政治状況に比ぺれぱ、現在の世界はそこまで悪くは見えませんが、今回世界中で起こっている大量失業は、けっして平和にとってよいことではないのです。


(私のコメント)
先日のフジテレビの「報道2001」に来日したポール・クルーグマン教授が出演していましたが、与謝野金融財務大臣とも対談していました。1時間ほどの対談だったそうですが番組は編集されているので全部ではないし、通訳を挟んでいたから実質的に30分ほどの対談だったのでしょう。対談の焦点はインフレターゲット政策が撮れるかということですが、目標金利を4%にしてそれが出来るのだろうか?

金融緩和には金利調整と量的調整の二つがありますが、金利は0,1%の金利でこれ以上下げようがない。ならば量的な金融緩和がありますが、これは日銀が発表している数字を見ないと分からないが専門化でないと良く分からない。しかし2007年から日銀は量的な引き締めでマネー供給を絞っている。

「株式日記」では日本銀行が世界の中央銀行であり、世界にマネーを供給していると書いてきました。なぜ日銀がマネーを供給できるのかというと「円」が世界で最強の通貨であり、世界に人は世界最強の通貨しか信用しないからだ。外貨を今一番貯めこんでいるのは中国ですが為替が自由化されていないから国際通貨となる事が出来ない。だから実質的に経常黒字国の日本の「円」が一番信用されている。

実際には円キャリートレードで、アメリカのヘッジファンドがゼロ金利の円を調達して世界に再投資されてきたから新興国バブルが発生したのですが、アメリカの住宅ローンにも日本からのマネーが供給されていた。だからポール・クルーグマン教授の言わんとする事は、日本はもっと世界にマネーを供給しろということでしょう。

本来ならば基軸通貨であるドルが世界最強の通貨であるべきなのですが、70年代頃から経済競争力で日本がアメリカを上回ってしまったので1ドル=360円から1ドル=90円台にまで上がってしまった。常識で考えればこれほどの通貨の切り上げは考えられない水準なのですが、90円台でも日本の経常収支は黒字だ。

貿易では輸出が大幅に減って落ち込んでしまいましたが、金融収支が大幅な黒字なので経常収支は黒字だ。まさに日本こそ金融大国であり巨額の利子配当が世界から毎年入ってくるようになった。だからこそ輸出が大幅に落ち込んでも円は売られずに高くなってきていますが、その分ドルが円に対して安くなってきた。

ドルの方が使い勝手はいいのだがドル安を回避するためには円を買うか、石油や金を買って目減りを防ごうとしている。ドルの基軸通貨の補完を円が行なっているのであり現代はドル円の基軸通貨体制なのだ。一時はユーロが高くなってユーロがドルの補完通貨としてなるかと思われましたが、ユーロはEUがアメリカ以上の金融危機でドルに対して値を下げてしまった。

日本銀行や財務省はこのような構造を理解しているのだろうか? 日本だけを見ればこれだけ金融を緩和したのに景気は良くならなかったといわれていますが、日本の金融緩和は世界のバブルの要因ともなった。アメリカのヘッジファンドから見れば金利の安い日本で金を借りて成長が見込める新興国に投資をするのは確実な投資行動だ。

なぜこのような構造になったかというと、日本の金融機関が弱体化して投資活動が出来ない為であり、株式投資においても国内の株式市場の6割が外資系証券会社が売買している。日本にはゴールドマンサックスやモルガンスタンレーのような投資銀行はなく、金融投資革命に乗り遅れてしまった。

日本の銀行や証券会社に世界的な投資活動をしろと言っても無理なのであり、情報も人材も日本にはない。国内の証券投資も国債ばかりを買うのみで株式投資などの運用では外資系証券会社に負けてしまっている。金融が自由化されて世界的な視野で見ないと金がどのように回っているのかが見えないから失敗してしまう。

日本のバブルの発生から崩壊までの原因を日本の中で見つけようとしても見つからないのであり、日銀の金融政策だけが原因ではない。世界的な投機マネーが投資先を見つけようと駆け回っているのであり、日本の金融機関にはこのような世界的なネットワークは無い。円高円安などの動きも円だけ見ても分からないのでありドルやユーロのカネの流れを見ないと説明がつかない。

どうしたら日本の景気が良くなるかといえば、クルーグマン教授が言うように財政の拡大を続けて国家的な大プロジェクトをするべきなのだ。宇宙開発や海洋開発など日本政府はなぜかビビッてしようとはしないが、アメリカのアポロ計画なども景気対策だったのだ。本当に財政の限界が来れば円は安くなるし金利も上昇してくる。ところが政府はそれを恐れて財政再建に走ってしまった。

番組ではクルーグマン教授は商店街の100円ショップなどを見て回ったが、再びデフレの値下げ競争が始まっている。物価が下がるという事はカネの値打ちが上がっていることであり、これでは国民はカネを貯めこんで使おうとはしなくなる。置いておくだけで値打ちが上がるからだ。値打ちを下げるには政府がカネを使ってばら撒く必要がある。

マネーの値打ちはその国の経済力にあるのであり、ジンバブエのような国で紙幣を刷ってもインフレになるだけだが、日本ではカネを刷らないとデフレになってしまう。クルーグマン教授は定額給付金は0点だと言っていたが、12000円ではなく12万円ずつ毎年配ったらどうだろうか? 

インフレターゲット政策はこれくらいのことをしないと効果が出ないのであり、アメリカのバーナンキFRB議長はヘリコプターからカネをばら撒いている。本来ならば通貨の一番強い日本がするべき政策なのだ。財務省の与謝野大臣もクルーグマン教授の本を読んでいるそうですが、インフレターゲット政策の意味が理解できないのだろう。

クルーグマン教授も長期化する不況の特効薬は分からないと率直に言っていましたが、定額給付金の拡大番こそ特効薬ではないかと思う。ベビーシッター券の様に中途半端ではなく大量に配らないと使わなくて仕舞い込んでしまう。カネも派手にばら撒かないと使われずに仕舞い込まれてしまう。




小泉政権では、郵政改革法ばかりに注目が集まり、一方で問題の
多い法律がどんどん成立していた。裁判員制度もその一つである。


2009年5月25日 月曜日

裁判員制度に一言 5月25日 経済コラムマガジン

筆者は、とんでもないこの制度は、法律が成立しても最終的には実施されないのではとずっと思っていた。法律は出来たが実施されなかった法律としては、橋本政権の財政構造改革法がある。この裁判員制度については一部の熱心な推進者を除き、ほとんどの人々が反対している。このような制度が本当に実施されるなんて異常な事態である。政治家は一体何をやっているのかと思われる。

この法律は小泉政権下でほとんど議論がないまま成立したものである。小泉政権では、郵政改革法ばかりに注目が集まり、一方で問題の多い法律がどんどん成立していた。裁判員制度もその一つである。

興味本位で一度くらい裁判員を経験してみたいと思う人はいるであろうが、大半の人々は裁判員にはなりたくないと思っている。政治家も安易に成立させたこの法案がとんでもなく不評と知り、施行にあたり運用を大幅に手直ししている。この結果、実際に行われる裁判員制度は何がなんだかさっぱり分らないものになった。このいい加減さがまた批難の対象となっている。

日本には、何か問題になると、日本の実情を考えず欧米に実施されている制度を「猿真似」することが開明的と思っている浅はかな人々がいる。大学センター試験の前身である共通一次試験は、フランスのバカロレアを真似たものであった。これは評判が悪かったが、コンピュータ設備などの投資を行っていたため、止められずに続けられた。今日の大学センター試験もたいして変わらない。

また戦後まもなく欧米の真似をしてサマータイムが実施されたが、これも評判が悪くすぐに中止となった。今回の裁判員制度は、明らかに欧米の陪審制を真似たものである(同じ陪審制でも米国と欧州ではかなり違うが)。ところが日本でも、戦前、この陪審制が採用されたことがあった。しかしこれも問題が多く使われなくなった。

ところがこのような日本に合わない制度を、執拗に復活させようという頑迷な開明インテリが日本には結構いるのである。裁判員制度の推進者は、本来は陪審制の導入を狙っていた。しかしいきなり陪審制とは行かないので、今のところ裁判官の関与が大きい裁判員制度で妥協しているのである。

裁判員制・陪審制のどこが優れているのか色々な屁理屈が繰出されるが全く説得力がない。裁判官に市民感覚や常識に欠けるというばかげた理由を挙げている者がいる。本当に日本の裁判官の資質が問題なら、裁判官の採用方法や教育制度を改善すれば良いのである。

そもそも裁判官を始め法曹関係者の市民感覚だけを問題にするのが奇妙である。むしろ筆者は「市民」と言われている人々の方が怪しいと考える。だいたいマスコミに操作されやすい「市民」が人を裁くなんて最悪である。またこれだけ評判が悪い裁判員に進んでなろうという人はほとんどいない。むしろ裁判員になろうという者が、片寄った思想の持ち主や巨大宗教団体の関係者が多くなる可能性があり、かえって危険である。

アメリカン・フットボールのスター選手シンプソンの殺人事件の裁判で、米国の陪審制が注目された。この裁判では金持のシンプソン氏が、辣腕の弁護士を雇い、無罪を勝ち取ったといった印象が強い。この事件では、人種差別問題を巧みに取上げたり、陪審裁判を開催する場所を選ぶなどした弁護士の才覚によって無罪となったと皆は思った。

シンプソン事件では、さすがに米国民も陪審制に問題が多いことに気ずかされたはずだ。このような欠陥制度を日本に導入しようというのだから、推進者の頭がおかしいか、隠された別の思惑があると考えるべきである。裁判に健全な市民感覚を取入れるというなら、政治を通じ、裁判行政を改善することが本筋である。

だいたい筆者は、陪審制なんて未開な裁判制度と思っている。米国の開拓時代の遺物である。交通の便が悪かった時代、広い米国では、法律の専門家である裁判官による裁判なんて容易に開くことができなかったと考えられる。したがって犯罪者を裁くのは、法律の専門家ではない地域住民が中心とならざるを得なかったと思われるのである。

つまり陪審制はこの名残りと考える。米国でこのような未開な裁判制度が残っているのは、陪審制を有益と考える人々の力が強いからと思っている。具体的には有能な弁護士を雇える金持と、裁判をビジネスと捉えている人々である。

セガに対する特許訴訟
日本で密かに裁判員制(できるなら陪審制)を導入しようとした人々がいた。何故か長い間これが誰なのか不明であった。真相を誤魔化すためなのか意識的にガセネタが流されたような気がする。当初、この制度は裁判官の負担を減らすものという解説があった。裁判員制度は裁判官にとって極刑判決などのプレッシャーを軽減させるというのである。

真相は、日弁連の幹部と一部の弁護士が熱心に推進していたようである。それなら筆者も納得できる。どうも弁護士を増やすという行政サイドと、それに反対する一部の弁護士との間の妥協の産物が、裁判員制度と筆者は理解している。

日弁連の幹部は時代の遺物的な左翼的思想の持ち主が多い。彼等は観念的な言動が特徴である。これらの人々と裁判をビジネスと捉える弁護士が組んだのが、今回の裁判員制度の導入と筆者は認識している。両者は水と油のように相反するように思われるが、意外と両者は結び付きやすいのである。

経済の世界でも、経済改革や構造改革によって利益を得る者と、観念的に財政再建、構造改革、環境などを主張する人々は結び付きやすい。米国における金融の規制緩和や、日本における郵政改革の顛末を見ればその事がよく分る。ただ裁判員制度が刑事事件に止まっている限り、あまりビジネスにならないであろう。

筆者は、裁判員制度の推進者の本当の狙いは、米国のような民事事件まで広げた陪審制と見ている。今回の裁判員制度はそのためのワンステップである。陪審制は、裁判をビジネスと捉える野心的な弁護士にとってビジネンスチャンスを広げるものである。(後略)


裁判員制度は公明党が持ち込んだが目的はなんなのか?人権擁護法案と外国人参政権とセットで日本は乗っ取られる 2005年8月29日 株式日記

「裁判員制度」について教えて! 公明党

法廷を舞台にした欧米の映画では、裁判官ではない、一般の市民から選ばれた陪審員が並んで、弁護士や検事の尋問に耳を傾けているシーンがよく出てきます。「裁判員制度」とは、これと同じように、裁判に一般市民が裁判官と同じ立場で参加できる仕組みです。(中略)

政党の中で、03年に発表したマニフェストに、この制度の導入を盛り込んだのは、公明党だけであり、司法改革国民会議事務局長の須網隆夫氏も「公明党の尽力で司法の民主化へ突破口を開くものになった。敬意を表したい」(04年2月6日付公明新聞)と高い評価を寄せています。


(私のコメント)
最近の自民党は公明党におんぶに抱っこの状態であり、創価学会の協力を得なければ落選する人が数十人いるそうですが、山崎元幹事長もその一人だ。一応の自公協力体制は出来ているようですが前回の時のようなわけには行かないだろう。本来ならば公明党が強く反対すれば小泉首相も解散は出来なかったはずですが、公明党があっさりと解散を認めたのは意外だった。

公明党は何がなんでも与党でいる理由があるのだろう。地方では特に警察権力に深く勢力を浸透させており、創価学会が警察沙汰になることは珍しくなっている。創価学会がらみの事件があっても起訴されずに無罪放免になってしまうのだ。裁判員制度も公明党が強く推し進めた法案ですが、誰も望んでもいない制度が出来た事について私は不思議でならなかった。

これで創価学会は警察のみならず司法にも大きな支配権力を伸ばす手がかりが出来た事になる。創価学会員が多い地区で裁判が行われる場合に裁判員に創価学会員が選ばれる可能性が多くなる。また人権擁護法案も公明党は強力に法案成立を目指していますが、人権違反で裁判沙汰になっても創価学会関係に有利な形になるだろう。外国人参政権も同じ働きをする。

創価学会は警察のみならずマスコミへも深く浸透して、事件が創価学会員がらみの事件でも創価学会の名前が出る事はまずない。もし出るようなことがあればそのマスコミに創価学会の活動家の抗議が殺到するからだ。また扱ったマスコミの社員は出世の道は閉ざされる事になる。ネットで調べたところでは板橋の15歳の両親殺害事件も創価学会の活動と深い関係があったらしいのですが、新聞テレビなどでは創価学会の名前はまったく出なかった。

このようにして見れば長期間公明党が与党でいる理由がはっきりしている。警察、検察、司法、マスコミに深く根を下ろし、日本を創価学会が支配する事を目指しているのだ。このような事が書けるのはネットぐらいですが、公明党はネットにも規制をかけるようにしてくるだろう。その手始めとして裁判員制度があり、人権擁護法案があり、外国人参政権があるのだ。小泉独裁政権化したのも公明党の協力があったればこそなのだ。


(私のコメント)
4年前の株式日記で裁判員制度について書きましたが、裁判員制度は公明党が主体になって決めたものだ。しかし当時は小泉構造改革ブームであり、小泉首相の独裁的権力で悪名高い「後期高齢者医療制度」や裁判員制度などが、ろくな審議もされずに次々と可決されていった。当時は小泉信者がたくさんいて小泉内閣を批判すれば守旧派のレッテルを貼られて叩かれた。

小泉内閣の異常に高い支持率は個人のキャラクターにもあったのでしょうが、公明党のバックアップもあってマスコミ権力を掌握してテレビのワイドショーは小泉人気を煽った。しかし小泉内閣はアメリカの傀儡政権であり公明党創価学会の傀儡政権でもあった。その中で「裁判員制度」も決められたのですが、「人権擁護法案」や「外国人の地方参政権」も公明党が中心になって進められている。

これらの法案がセットになって成立すれば司法、立法、行政の三権力を創価学会が大きな影響力を行使する事が出来るようになるだろう。特に裁判員制度がいよいよ実施されますが、テレビでも様々な弊害が出てきている事が報道されている。性犯罪でも被害者の名前が裁判員の選定過程で公表されてしまうから、被害者の女性が裁判を訴えでなくなってしまう事が問題になっている。

凶悪暴力事件でも裁判員になった人が暴力犯に「お礼参りされる」おそれも出てくるだろう。創価学会員がからんだ事件に創価学会員が裁判員になればどうなるのだろうか? 弁護士や裁判官などには創価学会員が多くいますが、裁判員制度が導入された事でさらに創価学会の影響力が強まるのではないだろうか?

マスコミ関係にも創価学会の影響はかなり強力であり、創価学会員が起こした事件でも創価学会の名前が出る事は決してありえなくなっている。裁判員制度を公明党がどうして必至になって導入したいとは何なのだろうか? 創価学会がからんだ事件に対して裁判員に創価学会員が何人も入っていたら裁判はどうなるだろうか? 信濃町から無罪にしろと指令が来れば有罪も無罪になるおそれがある。

一般の人は仕事が忙しいから裁判員に誰も成りたがらないだろう。しかし公明党や創価学会員は違う。裁判員制度は特定の政治活動に熱心な人は参加したがるかもしれない。アメリカでも陪審員制度の欠陥は明らかなのですが、O・J・シンプソン事件も弁護士が人種問題にすり替えて無罪にしてしまいましたが、素人が裁判に加わる事で弁護士がやり手ならば有罪も無罪に出来るという事だ。

このように裁判員制度は公明党がマニフェストとして盛り込んでから二年で法律として制定された。裁判へ市民参加が出来るという事ですが、その意図は創価学会による司法への介入だろう。その事は2005年8月29日の「株式日記」に書いたとおりですが、裁判官や弁護士になるには司法試験に受からなければ成れない。しかし裁判員は国民が誰でもなれるものだから創価学会員がなる可能性も高い。

裁判員はコンピューターで無作為に選ばれるという事ですが本当のそうなのだろうか? 特定の裁判に特定の裁判員が選ばれる可能性も否定できない。裁判員が関与する裁判は死刑か無期懲役に成るような裁判が選ばれますが、一般の素人の裁判員が死刑の判決を下すには無理があるのではないだろうか? 世論調査では死刑廃止は少数派ですが、裁判員制度で、なし崩し的に死刑が無くなるのではないだろうか?


死刑容認、初の80%超/内閣府世論調査 2005年2月19日 四国新聞社

内閣府が19日付で発表した「基本的法制度に関する世論調査」で、死刑制度を容認する人が81・4%と、1999年の前回調査の79・3%から2・1ポイント増え、初めて80%を超えた。奈良市の女児誘拐殺人事件など凶悪犯罪が相次ぐ一方で、検挙率は低下するなど、治安悪化が背景にあるとみられる。死刑廃止を求めたのは2・8ポイント減って6・0%と賛否の差が広がった。

 死刑容認派は、75年の調査で56・9%と最低を記録して以来、連続で増加している。


(私のコメント)
死刑存続に関しては世論調査では8割もの人が死刑の存続を求めている。公明党が裁判員制度を取り入れることによって、死刑判決が減る事を狙っているのかもしれない。裁判官にとっても死刑判決を下すのはしんどい事でもあるし、法務大臣でも判子を押すのは誰もが嫌がる。当然裁判員たちも死刑判決を下す事には一生の心の傷になるかもしれない。

8割もの国民が死刑の存続を求めているのは、それだけ凶悪事件が増えている為であり、死刑が廃止されれば凶悪事件が増えると考えているからだろう。しかしだからと言って自分が裁判員となって凶悪犯を死刑にする判断を下すのはやはりいやだ。死刑ならずとも有罪判決を下せば被告からの恨みを買うし関わりたくない事だ。それでも公明党が裁判員制度を求めたのは創価学会の司法界への影響力の増大と死刑廃止に近づけるためだろう。




持ち家政策は人間を猛獣化する。自分の城を守るためにライオンと
化して、自分の城のためならば、周りの人間をどんな手段で蹴落とす。


2009年5月24日 日曜日

持ち家政策が人間を猛獣化した 5月20日 隈 研吾 竹森俊平

竹森 隈さんの著書『負ける建築』を読んで、建築規制であるゾーニング法(注:その場所で建設できる建物の種別とボリュームとをあらかじめ設定し、制限する法制度のこと)という概念に衝撃を受けました。ここにこそ住宅バブルの原点があると感じたのです。

 つまり、この法律のおかげで供給が限定されるようになったからこそ、住宅の資産価値が保証されることになった。普通は需要が増えれば、供給も増えて価格が下がり、住宅投資は儲からなくなる。ところが、供給が限定されているので資産価値が生じる。

供給を制限しビルを資産に変えた

 アメリカの場合、摩天楼が上へ上へと伸びていく中で、あえて建築の供給の制限を導入した。それで収入を保証し、同時にビルを資産の対象に変えた。そう書かれておられますが、なるほどこれがすべての始まりだと思ったのです。こういう動きはアメリカでは1910年代、第1次大戦の前に起きたのですね。

隈 そうです。1910年代はまず形態規制だけで、斜線制限や高さ制限といったものから規制が始まりました。

 ニューヨークの場合、1910年代は敷地の4分の1の部分までならば、ビルはほぼ無限大に高くしてもよかったのです。エンパイアステートビルやクライスラービルができた大恐慌前後の時代には、まだこの4分の1規制が生きていました。実際にはそんなに細いビルを無限大に高くしていったとしても、階段とエレベーターで中身がなくなってしまいますから、自動的に床面積の限界は出てきます。その後出てくるのが、容積率という考え方です。

 敷地面積の500%、あるいは600%などと容積率を決め、それ以上の面積になる床を作ってはいけないという制限です。

竹森 ヨーロッパではゾーニング法の代わりに、景観やスタイルの面からの形態規制がありましたね。都市におけるビルの供給には、自然な形で歯止めがあったということでしょうか。

隈 ヨーロッパの形態規制としては、ナポレオン3世が行ったパリの大改造の時の形態規制が一番有名です。抜け穴のない、アメリカの規制よりもっと厳しい規制でした。このためヨーロッパ都市の方が、建築は限定されていたと言えるかもしれません。

“安全な資産”というフィクションが生んだバブル

竹森 経済危機の発端はアメリカの住宅価格のバブルと言われています。過去のデータからして住宅の価格上昇の自然なトレンドは、可処分所得と同じスピードで住宅価格が上がっていくというものです。計量のモデルを作って住宅価格を予想すると、可処分所得だけで価格上昇の8割は説明できるということです。

 住宅の買い手は、住宅価格が自分の年間可処分所得の何倍になるか、といった目安で予算を立てます。だから可処分所得の上昇率と同じスピードで住宅価格は上昇する。前者は経済成長率にほぼ等しいので、ドル建ての住宅需要はちょうど経済成長率と同じスピードで上昇するということです。

 ところが供給の方がゾーニング法で制限されているために、住宅供給面積はあまり増えません。したがってドル建て住宅需要の増加は価格上昇だけにつながります。そうなると、少なくとも経済成長率と同じ大きさで住宅のキャピタルゲインが見込める、これほど確実な投資対象はないということになります。しかも経済成長が豊かな国ほど、住宅から安定した収入が見込めるようになります。

 これだけ安全な投資対象があれば、わざわざ工場を広げたり、新製品を開発したりといった、面倒くさいことをする人はいなくなってしまいます。経済学では金利、もしくは投資の収益率と経済成長率のバランスによって、バブルの発生の可能性が決まると言います。投資の収益率が高いところに流れていったお金が、その投資機会が利用し尽くされると、今度は自然に住宅、もしくは不動産に回っていくというメカニズムが働くわけです。


 例えば 90年代後半にIT(情報技術)ブームが起こっていた時は、お金はIT関連に流れました。それが一巡し、これ以上IT関連商品の供給が増えれば値崩れが起きるとなると、今度は自然に住宅へと資金が流れるという仕組みです。

 製造品の輸出に乗って成長率の高い新興国が、いつまでも製造業への投資を増やしていけるかというと、必ずしもそうとは言えない。製造品市場の先行きが見えなくなってくる。そういうところで、金が住宅市場に流れることになって、自然とバブルが起こる――。経済学者はこういったメカニズムを指摘しますが、隈さんの本を読んで、ゾーニング法こそ、バブル発生のカギだと思ったのです。

隈 面白いのは、実際にはゾーニングで資源を限定しているように見えながら、郊外へは拡張可能で、実際には限定されてないということです。

 画定しているはずの都心内の容積率ですら、実は行政は一度500%に設定したところを何年か後に700%に変更するという見直しはしょっちゅうやります。広場を敷地内に取ることで容積率に特別な割り増しを与える総合設計制度、ボーナス制度など、いろいろな緩和をやっています。実際には限定されてないにもかかわらず、限定された安全な資産であるがごとく感じさせるというフィクションがあったところが、バブルを生んだ原因ではないかと思います。

竹森 おっしゃる通りです。実にバブルのつくり方がうまかったと言っていいでしょう。
(中略)

自分の城を守るためにライオンと化す

隈 自己責任で成り立つ社会というのは、責任感がある、倫理的な価値を共有する社会のように見えますが、僕らが実際に接している、住宅を建てようとしている施主さんやマンションを買おうとする人たちは、いざ自分で家を持つとなると、何か人格が変わるみたいなところがあります。自分を支える資産であるから、一切の瑕疵があってはならない、クラック(ひび)1本入っただけで、自分の一生を返してくれといったような話になってしまう。

 バックミンスター・フラーという、アメリカの建築家で環境思想みたいのを最初に言った人がいます。この人がかなり早い時期、1930年代に、持ち家政策はアメリカ社会においては非常に問題のある考え方だと指摘しました。

 持ち家政策は人間を猛獣化する。自分の城を守るためにライオンと化して、自分の城のためならば、周りの人間をどんな手段で蹴落としてもいいとなると言いました。

 僕が設計という仕事を通して家を建てる人、あるいはマンションを買う人に接していると、やはりどんどん猛獣化しているな、と思うことがあります。グリーディー・キャピタリズムといったものも、結局は猛獣化する社会と関係があるのではないかという気がしました。

竹森 なるほど。皮肉なことですが、ブッシュのオーナーシップ・ソサエティーという思想にはそれなりに一貫性があることになりますね。つまり、それまではみんなで助け合って成り立っていたコミュニティーの住民が、家を持つことによって自分はほかの人とは違うと考えるようになる。そして社会も政府も何も要らないと思うようになる。こんなふうに人間のモラル自体が政権の都合のいいように転換したと考えられるかもしれません。

隈 アメリカが持ち家政策を進めることによって、20世紀初頭にヨーロッパとアメリカの経済的地位が逆転しました。それほどの力を持ち家政策は持ち得たっていうことですよね。

アメリカの持ち家政策は日本で地面信仰に変換された

竹森 日本がいざなぎ景気超えと言われる、2002年からの好景気を経験したのも、アメリカの住宅ブームが背景にあります。

 住宅ブームが起これば、当然、住宅価格は上がります。そうすると自分は豊かになると思う。今までは老後のことを考えて貯蓄していなければと思っていたのに、家の価格がこれだけ上がっているんだから大丈夫だと考え、貯蓄を減らします。しかも金利がその時は下がっていたので、ローンの有利な借り換えができる。住宅の担保価値は上がっていますから前よりも多めに借りて、しかも金利が低いから毎月の支払いは借り換え前とだいたい同じ。余計に借りた部分はボーナスと考えて車を買う――。

 2002年からトヨタ自動車のある愛知県が中心になって日本が盛り上がったのも、結局、アメリカの住宅バブルのメカニズムがあったからです。

隈 日本はやっぱり、アメリカ流のシステムとは違う文化だったような気がするんです。日本の都市は、江戸時代から明治時代までは、持ち家というより賃貸的なシステムによって支えられているものでした。家を資産と考えるという発想はありませんでした。

竹森 長屋という感じですよね、大家さんと店子がいたような…。

隈 木造の家は朽ち果てていくのが普通ですから、資産として見るなんていうことは、日本人の体質には合わなかったのでしょう。家を資産と考えるのは、戦後、アメリカに洗脳されたせいと言っていいのでしょうか。

竹森 終戦の時に都市は一遍焼けますよね。その時、長屋みたいなものが最初に焼けます。同時に戦争で自分のプロパティー(財産、所有物)が消えてなくなります。集合的な住宅が消えた段階で、プロパティーへの信仰が起こる。その後がバブルの時です。都心に家を持っている人が急に大金持ちになるということで、プロパティーへの信仰が盛り上がりました。一種の羨望感が住宅信仰を強くしたように思えます。

隈 おそらく日本ではアメリカ型の持ち家政策が地面に対する信仰のような形に無意識下で変換され、余計に宗教的とも言えるほど地面信仰が強くなった面があります。そもそもの日本的な住居感とは違うものが入ってきた時に、それを地面信仰にうまく変換した。地面信仰なら昔から日本にあったものだから、なじみやすかったんです。日本ならではの巧妙というか、危険な変換の仕方があったと思います。

50年後の超高層ビルのことなど誰も考えたくない

竹森 現在、土地は容積率が高いところの方が安全だという話を聞いたことがあります。つまり、容積率が低いと、土地の上にプレハブが載っているだけのようなもので、その不動産の価格は全部土地の価値に従って動くけれども、上にうんと大きな箱を載せておけば、箱自体の価値があるので、その方が土地の価値の影響を受けず、安全だという話です。

 高い建物を建てることによって、投資の収益を土地に影響されないようにするということでしょうか。これだけたくさんスカイスクレーパーができれば、空室の問題が当然、出てくるはずなので、本当に投資として安全なのかどうかは分かりません。

隈 そうですね。おそらく容積率が高い方がいいというのは、先ほどの資産の限定性の話で言うと、容積率が高い都心型の資産は、どんなにスプロール(都心部から郊外に宅地が無計画に広がること)が進んでも価値は下がりにくい、すなわち資産価値は限定されます。むしろ危険なのは、都市の周辺部です。ただ、中心部にもリスクがあります。容積率が高いところは建て替えが非常に難しいという問題です。

 例えば今の日本の超高層ビルを50年後に建て替える時に、誰がどのように建て替えるかについては、もう誰も考えたくないわけです。アメリカのエンパイアステートビルディングやクライスラービルといった1930年代のスカイスクレーパーは今でも建て替えずに存在しているから価値があるのです。

 これらのスカイスクレーパーが残っているのは、当時の設計に関する規制がそんなにシビアではなかったからです。高さ制限が厳しくなかったから、階高がすごく高いのです。フロアとフロアの間隔が空いていて天井がとても高いので、後で空調を付け替えることになっても、場所がたくさんあるわけです。

 ぎりぎりの高さまで階高を詰めるとか、ぎりぎりまで省スペース化を図るという設計ではなかったので、多くの空きスペースがあって、その空いているスペースをうまくやり繰りして設備を更新していくことができるので、70年たっても建て替えをせずに済んでいるのです。

 ところが、その後にできた、1960年以降の超高層ビルは、高さの規制が厳しくなったせいで、階高もぎりぎりだし、床面積もパイプスペースなどをぎりぎりに詰めてしまっているから、設備を更新しようにもできません。だからアメリカの例でも、30年代の超高層は残っているけれど、60年代以降のものは寿命が短いんです。

 建て替えるにも建て替えられないし、壊す費用もないという超高層ビルがこれからどんどんできる可能性があります。したがって、容積率が高いほど資産として安全だというのは、非常に大きなブラックホールを含んでいることになります。

竹森 みんな同じことを考えてどんどん超高層ビルができれば、供給が増えて家賃が下がることを全然、考えていないんです。そのことは誰も口にしない。怖くて口にできないという状況があるような気がします。
(中略)

隈 それは、その中で生き残ったものとそうでないもの、いわゆる、勝ち組、負け組と言われる社会ではなくなって、全部が元気のない社会になるということでしょうか。

竹森 金融危機が起こっている時は、お金を借りている人がダメなんです。ビジネスの内容の良し悪しには関係なく、貸し渋りが起こる結果、借りていれば借り換えができなくなって、資金繰りに詰まってつぶれてしまう。世界的に見ても、ヨーロッパのアイルランド、スペイン、ポルトガル、アイスランドといった高度成長していた国々が典型ですが、みんな借り換えができなくなってダメになってしまいました。

 そうなると、とにかくお金は借りない方がいいということになります。しかも現金を抱えようとする。次に何が起こるかというと、消費も減れば投資も減ります。そうするとどんどん経済の勢いが落ちてくるわけです。

 日本の場合はバブル崩壊の経験があるので、今回もお金をじっくり抱えて待っていれば、危機が頭の上を過ぎてくれるだろうと思っていたのでしょう。バブル崩壊後は、アメリカの消費ブームがあったおかげで日本も引き上げてもらえた。今回は引き上げてくれるところはどこもないという状態です。しばらくはこういう状態が続くという考え方と、アメリカは財政政策で何とかなるというのと、五分五分ぐらいで議論されていると思います。

隈 僕らが仕事をしている中で、一番、金融危機の影響が小さいのは中国なんです。中国では今、どんどん新しいプロジェクトが始まっています。実は先日も北京で契約してきたのですが、建築のプロジェクトのレベルで全く影響がないどころか、むしろ良いくらいです

竹森 ケインズ政策を一番忠実にやっているのが中国です。外需がダメならば内需しかないという考え方です。(次回に続く)


(私のコメント)
先日、優良農地が次々転用されてショッピングセンターや住宅地になっていると書きましたが、日本の都市計画はどうなっているのだろうか? 次々と畑や水田が潰されて住宅地が広がって行く。米を作っていたら30万円にしかならないが、商用地として貸せば250万円もの収入が入ってくる。

日本の兼業農家は潜在的な地主であり、決して貧しい農家ではない。道路が一本通れば億単位の金が入ってくるし、沿道沿いは住宅地にいつでも転用が出来るようになる。バブル期の頃は市街化調整区域や生産緑地などの方針で農家は農地を売り惜しんだ。黙って持っているだけで資産価値が上がっていくからで、急いで売る必要が無かった。

ところがバブルが崩壊して土地の値段が下がるにつれて、逆に住宅地の供給が増えている。東京にしても都心の工場跡地には超高層のマンションが立ち並ぶようになったし、都内のあちこちにも超高層のマンションの建設が続いている。中小のマンションの建設も多い。

バブルの頃までは土地は持っているだけで値上がりしていたから売らずに持っていたのが、最近は値上がりしなくなって値下がり気味だから買い手がいれば売ってしまう。新興のマンション業者が買って建売するから、乱売合戦になってマンションの値下がりは最近になって激しい。

土地価格が低迷している今こそ都市計画をきちんとして、住宅地の農地との線引きをきちんとして市街化すべき地域と農地としていく地域を分けないと住宅が点在して上水道も下水道もガスも電気も電話もインフラを整備するだけで市町村はその負担に耐えかねている。特に下水道の整備は金がかかり維持管理費も莫大だ。

日本の景気を立ち直らせる為には不動産市場を安定させなければならないのですが、乱開発が進んで住宅やマンションの供給は続いている。だから昭和40年代は空室率は5%程度だったのがバブル崩壊後は増え続けて今では空室率は12%にも拡大している。明らかに都市も地方も住宅は供給過剰であり、農地転用などを禁止して住宅の供給を減らすべきなのだ。

東京郊外にしても農地の宅地転用は進んで住宅やマンションが続々作られている。しかし供給が過剰だから立地が悪いところは売れないし空室だらけのマンションが多くなっている。私は千葉にアパートを持っているが建てた頃は近所にはアパートがなかったが、今では隣も周囲もみんなアパートだ。国道沿いには貸し店舗が立ち並んでいる。

バブルの崩壊は世帯数と住宅戸数とのバランスが崩れて起きる必然的な現象であり、不動産市場を立て直すには供給を絞らなければ値崩れは防げない。住宅需要を増やそうにも少子高齢化では住宅需要は増えない。だから地方においてはコンパクトシティー政策を進めて、公共施設を一ヶ所にまとめて住宅地域を限定しないとインフラの維持管理で市町村は大変だ。

都会地域でも中心部を高層化して通勤時間の短縮化を図り、市街化の広がりを止めて農地の転用を禁止すべきなのだ。超高層マンションも建て直す事まで考えているのだろうか? ゆとりのある設計なら給排水管の交換や空調設備の交換などで100年くらいは使えるのでしょうが、ぎりぎりの設計だと給配水管がいかれて30年で使えなくなるマンションが出ている。

五階建ての公営住宅にしても箱階段でエレベーターが付けられないから、全部解体して建て直さないと老人たちが使えない。住宅公団の役人たちは30年後の事など考えないからエレベーターの付いていない公営住宅をジャンジャン建てた。今も建て直す事が出来ない超高層住宅を建てているがどうやって解体するのだろう?

アメリカや日本の持ち家政策は経済発展の為に大きな力となりましたが、持ち家が増えれば住民たちは城の主として野獣化すると言う事ですが、日本では地面信仰となって土地神話は生まれた。しかし日本は江戸時代も戦前も長屋生活が主体であり、先祖伝来の土地などあるわけがない。ところが戸建ての住宅を持つと人格まで変わってしまうようだ。

日本の兼業農家は戦後の農業政策によって生まれたものですが、小作農が土地を与えられて一国一城の主となりそれを守る事が使命となってしまった。だから道路を作るにも空港を作るにも地主の権利は絶対となり、成田空港は今も一部の地主が反対して完成しない。東京の外環道路も地主の反対で30年もたなざらしですが、土地信仰がもたらしたものだ。

土地は本質的に公共のものであり、土地信仰は戦後の高度成長期に生まれたものだ。だから政府や地方自治体が都市計画を定めても、兼業農家の地主たちは財産権の侵害だとして農地は次々転用されて住宅やショッピングセンターになってしまう。しかし乱開発が進めば残されるのは廃墟と化したショッピングセンターやスラム化した住宅だけだ。

まさに野獣化した持ち家の主は、正当な理由があっても国や地方に土地を売ろうとはしないから都市計画もままならなくなった。そして隣にマンションが出来る事すら日当たりが悪くなるとか環境が悪くなるとして反対する。その結果東京の高層化も進まず道路整備も進まず、成田国際空港の完成も目処が立たない。

バブルが崩壊して土地に対する信仰も薄れてきましたが、アメリカのサブプライムローンのように、日本でも持ち家でなくてもいい人まで持ち家信仰で持たせようという動きがある。マンション業者も建売業者も買う人はいなければ商売にならないから景気対策では持ち家に対する補助政策が行なわれますが、マンション業界の補助にはなっても経済対策にはならない。

江戸時代の長屋生活のように都会においては借家の生活が基本であり、マンションの建売は建替えにおいて大きな障害になる。賃貸マンションなら建替えは楽だが分譲マンションは一国一城の主ばかりだから建替えもままならなくなる。30年後の東京には老朽化して立替も出来ないマンションがスラム化するだろう。給排水設備も故障して赤水と下水の詰まりで生活できないマンションになる。誰も30年後の事など考えないからだ。

持ち家が住民を野獣化させるというのは日本においては土地信仰に置き換えられた。その結果バブルが発生して破裂した。持ち家も値上がりしていればいいが値下がりが続けば景気も良くなるわけがなく、政府は何度も景気対策を立てなければならなくなる。しかし根本的に立て直すには住宅の供給を絞って住宅市場を立て直さなければならない。ゼロ金利でも景気が回復しないのは住宅の供給が多すぎるからだ。




最大の問題点はアメリカが中東に介入するあまり、東アジアを中国に
譲るという選択をすることです。米中談合で沖縄や台湾を中国領にする?


2009年5月23日 土曜日

アメリカにとって、英国を失えば大西洋覇権を失い
日本を失えば太平洋の覇権を失い孤立する。


新冷戦時代『封じ込め政策』の復権 H16.03.22 山本英祐 江田島孔明

■先制攻撃ではなく中国・ロシアの『封じ込め政策』にアメリカは軌道修正すべし■
(山本英祐)

アメリカの戦後冷戦時代の基本戦略は『封じ込め戦略』でした。これによりアメリカは勝利したのでした。

アメリカは中東イスラムへの先制攻撃戦略ではなく、中国・ロシアを主敵とした『封じ込め政策』に軌道修正すべきです。

すなわち”ケナンやスパイクマンの現実主義的外交政策に立ちかえれ”ということです。

中東などのユーラシア大陸国家への先制攻撃は軍事的リスク が高く、中東・アジアの他地域で同時紛争が発生すればアメリカですら制御が困難となります。

すなわち、バランス・オブ・パワーによる軍事的包囲網構築と対共産圏への経済封鎖措置を主体とする勝利です。

この『バランス・オブ・パワー』の地政学における理論的な支柱は、ニクラス・スパイクマン(*)による『リムランド理論』です。

またソ連・東欧共産圏封じ込め政策はジョージ・ケナンによ り提唱され実際に遂行されました。 彼は地政学者ではありませんが、現実主義的外交政策を提唱した外交官であり国際政治学者です。

*ニクラス・スパイクマンNicholas J.Spykman
 (1893-1943)アメリカ人 地理学者、地政学者

スパイクマンは、ランドパワーとシーパワーの境界に位置する地域をリムランドと呼びこの地域の地政学上の重要性を主張しました。特にリムランドの中でも海上に位置する英国と日本は軍事的に極めて重要な位置にあると主張しました。

そしてハートランドを取り囲むリムランドの国々と同盟し、ハートランドの勢力と対峙すべきであり、「リムランドを制するものはユーラシアを制し、ユーラシアを制するものは世界を制す」と主張したわけです。

アメリカはリムランド諸国と同盟関係を構築しパワーバランサーとして、ユーラシア大陸における覇権国家の膨張を抑止すべきであるという優れた理論です。

一方、ジョージ・ケナンは1947年、フォーリン・アフェアズにXというペンネームで、「ソビエトの行動の源泉」と題された論文を投稿しました。この論文は忽ち大きな反響を呼び、(いわゆる”X論文”)外交論文としてあまりに有名です。

即ち、ソ連自身の内部矛盾により将来における崩壊を予言し、 ソ連に対抗するための有効な手段として封じ込め政策を打ち出したわけです。

戦後の冷戦において、アメリカはユーラシアを囲い込む地域すなわちリムランド(Rimland)に位置する国々と軍事同盟条約を結びユーラシア中央部に位置するソ連・東欧の共産圏を『冷戦』という形で封じ込め、結果的に崩壊させることに成功したわけです。

これにより戦後アメリカは、地政学者ハルフォード・マッキ ンダー(*)によるハートランド理論、すなわちユーラシアのランドパワー優位の理論を完全に否定することができたわけです。これはとりもなおさず、ニクラス・スパイクマンのリムランド理論やケナンの封じ込め政策の有効性が実践で証明されたわけです。

*サー・ハルフォード・マッキンダー
 Sir Halford J. Mackinder
 (1861-1947)英国人。弁護士、地政学者、下院議員
 主な著作:「英国と英国の海」(Britain and the British Seas)

ここでいうリムランドとの同盟とは、ユーラシア西側では、西欧諸国、トルコなどを含めたNATOであり、東側では、日本や韓国との同盟です。

これによりアメリカ・英国といったアングロサクソン海洋国家勢力は、ユーラシア外延部の欧州と、ユーラシア東端のリムランド重要国である日本等による「ユーラシア包囲」同盟を形成しました。

そしてユーラシア大陸ハートランドに位置するロシアとその衛星国家(東欧)そして中国を封じ込め、バランス・オブ・パワーで世界平和を維持しソ連崩壊に成功したわけです。

■アメリカの中東戦争介入は戦略的大失敗■(江田島孔明)

何故アメリカはイラク攻撃直接のような下策をとったのか?

思うに国防総省や国務省もバカではない限りこうなることは予想してたと思います。しかし、彼らにはイラク戦争に突っ走る理由があったのです。

その理由は大きく二つであり、一つはイスラエルの安全保障(ユダヤとイスラムの出生率の差から長期的にはユダヤ人国家として維持できないことが明白なため、周辺国直接支配を狙った)、もう一つは石油直接支配による決済通貨をドルからユーロへ移行させないこと、つまりドル機軸体制維持です。

果たしてこの目的は戦争によって達成されるのでしょうか?短期的には達成できても、長期的には維持できないと思います。日本はそれに備えるべきです。

私は、歴史を学んだ立場から、ユーラシアの「ハートランド」を志向するマッキンダーの理論は誤っており、正しくはリムランド理論が地政学の指導理論であると考えます。

これは、米ソ冷戦で実証されています。

■中東への介入はアメリカに「ニ正面作戦」、「三正面作戦」を余儀なくさせる■
(山本英祐)

仮にアメリカが、中東とアジアの二つの地域での戦闘を時間差攻撃で行ったとしても、即ちイラクを安定化させて朝鮮半島を各個撃破しようとしても、思惑通りには行かないと思います。

中東イスラム諸国はアメリカ軍が中東を睨んでいるときは面従腹背ですが、アジアなどで戦争が勃発し、アメリカ軍がそちらのほうへシフトすると、今度はサウジやイラクやイランでテロや紛争が再び激化する可能性が高いと思います。

そして、結果的に、両地域で戦争が火を吹き、アメリカは「ニ正面作戦」場合によっては「三正面作戦」を余儀なくされ、最悪の場合には第三次世界大戦へと引火して行く危険な導火線となると考えます。

それゆえ、今回の中東への介入は大きな戦略的失敗だったと私も考えます。

アメリカはそれゆえ従来の『バランス・オブ・パワー』理論と同盟国と協力した封じ込め政策に回帰すべきなのです。

それこそが世界に安定と平和をもたらす唯一の方法です。

特に『中国経済』の強大化と中国の膨張拡大こそがアメリカにとっての最大の脅威です。

これを放置しておけば台湾や韓国やASEAN諸国は経済的に中国に併呑されて行くことになります。

メルマガライターの田中宇や大前研一などの反日売国奴言論人や「経済売国専門新聞」である日本経済新聞はこれを狙っているわけです。

残念ながら現在の日本のリーダーは無為無策でパフォーマンスだけで生き長らえている小泉政権です。

彼には全く国家戦略とか経済浮揚戦略などはありません。これが現在の日本に取っての『最大の不幸』なのです。

早急に『政界再編』による『救国政権』の樹立が不可欠でしょうね。

■アメリカの中東戦争介入が東アジア戦争を不可避にする■(江田島孔明)

日本にとっての最大の問題はアメリカが中東への介入のあまり、東アジアでのパワーバランサーの役割を放棄し、大陸勢力の中国、韓国、ロシアといった国々との間で衝突の危険が増すことです。これは、近未来における東アジア戦争が不可避になることを意味します。そういう事態を避けるためにも、英豪と連携し、アメリカの中の勢力均衡派、シーパワー派と連携しアメリカをかってのシーパワーに戻す必要があります。

イラク戦争後、世界のパワーバランスは崩れてます。アメリ カは世界の安定のためのシーパワーによる海上交通維持(戦力均衡戦略)より中東直接支配を選択しました。

ランドとシーの二正面作戦は無理がありすぎます。今後の展開を想定するに、イランとシリアへの攻撃は時間の問題です。伸びきった戦線を保持するためには核攻撃しかありません。短期的にはそれで中東を抑えることができても。中長期的にはかならず破綻します。モンゴル帝国やアレクサンダーのように。

その破綻に備えて、環太平洋連合(http://www.boon-gate.com/12/)を英、豪その他海洋国家と構築する必要があるというのが拙著の主張。これら諸国共同で制海権を保持する必要があります。

私が見るに、世界はアメリカの衰退から戦国時代を迎える可能性が高いとの認識が前提にあります。

昨年の火星大接近はこのことを暗示していたかのようです。火星は軍神マルスの星、すなわち、戦争の時代の始まりです。イラク戦争への参戦も決まり、戦後日本はこのような環境に無かったため、あえて、危機に目を向け、豪州や英国との安保上の連携を主張することが喫緊であると考えたのです。

最大の問題点はアメリカが中東に介入するあまり、東アジアを中国に譲るという選択をすることです。米中談合で沖縄や台湾を中国領にするという可能性を懸念すべきです。そうさせないために、英や豪と共同でアメリカをかってのシーパワーに戻す必要があります。事は一刻を争います。そのための枠組みが環太平洋連合なのです。

そこで、島国日本にとって、安全保障の観点から制海権確保が重要であり、海洋国家間の同盟を提唱したものです。制空権だけを持っていても、シーレーンで原油運べませんから。兵員を含む大規模輸送はいつの時代も船なのです。

■中東と北朝鮮で戦争が起これば第三次世界大戦に発展する可能性が高い■
(山本英祐)

私は過去何度もこの論文で主張しているように、次ぎの中東戦争の火種はサウジアラビアの「王制倒壊」の可能性が高いと予測しています。世界第二位の産油国であるサウジの王制倒壊によるイスラム原理勢力による政権樹立はアメリカは絶対に阻止せざるを得ないでしょう。

アメリカはサウジの石油地帯を確保するためにサウジへの大規模な軍事行動を開始せねばならないでしょう。

アメリカがサウジに軍事介入するとなれば、サウジを始めとする中東で、『イスラム原理勢力vsアメリカ』の図式により泥沼の消耗戦・ゲリラ戦争が開始されます。

一方、同時期に朝鮮半島で北朝鮮が南侵攻撃あるいは金正日暗殺などにより政権が内戦状況に陥れば極東における第二戦線 が火を吹きます。

更に、日本における最大の危機は中国との戦争...すなわち『東アジア大戦』です。この場合には日米台湾韓国も巻き込んだ、核戦争・弾道ミサイル戦争の大規模な応酬に発展します。

中国に進出している日本企業は全滅します。

そしてアメリカが果して無傷でそのニ正面作戦を遂行できるでしょうか? アジアと中東で同時に全面戦争となった場合、アメリカは世界の治安維持を果すことは不可能となるでしょう。

そうなれば世界の秩序とパワーバランス大きく崩壊し、今度は台湾・中国・インド・パキスタンなどの地域紛争が一気に発火する可能性があるでしょう。

アメリカはそうなれば欧州から大規模に軍事力を撤退させざるを得ません。そうなれば、「KGB独裁帝国」化したロシアが西ヨーロッパを一気に狙える可能性が出てくるわけです。

来るべき第三次世界大戦では少なく見積もっても10億人以上の人口が消滅する可能性があります。それは戦争や大量破壊兵器や飢饉や恐ろしい疫病などによる犠牲者です。また核兵器もアジア・中東。欧州で大規模に使用される可能性が高いです。

我々は決して空想でこんなとを言っているのではなく十分に政治的・軍事的分析に基づくシミュレーションを行っているのです。我々には未来が予測できるからこそ現在その危険性をこうやって多くの人々に訴えているのです。

日本を取り巻く最大の脅威は『中国』なのです。そして欧州にとっての脅威はアメリカとの対立によるNATO体制崩壊とそれによるユーロ通貨危機と崩壊です。更にその後に来るロシアの軍事的脅威です。

その結果はおっしゃる様に「軍神マルス」の支配する時代すなわち、中東戦争であり、アジア大戦であり第三次世界大戦です。それは血みどろの宗教戦争でありテロリズムであり資源争奪戦であり核戦争のホロコーストなのです。そして同時に飢饉や恐るべき疫病の蔓延や飢餓なのです。

我々はそうした最悪の事態も想定した準備が必要となってきています。


(私のコメント)
韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領が飛び降り自殺されたと言うことですが、韓国の政情不安は今日の論点とも無関係ではない。アメリカは中東で深入りしすぎた結果、東アジアでは中国の政治的経済的攻勢が強まっている。アメリカは韓国や沖縄から軍隊を中東に移動させている。その結果アジアでは軍事バランスが大きく崩れている。

台湾や韓国はすでに中国に取り込まれつつあるのであり、アメリカは沖縄の海兵隊もグアムにまで撤退させる。韓国ー沖縄ー台湾と軍事的空白が生まれつつあるのであり、日本はそれに対して指をくわえて見ているだけだ。日本に対しても中国は工作員を大量に送り込んでプロパガンダを仕掛けていますが、NHKによる日台分断工作も行なわれている。

台湾は選挙で国民党の馬政権を選択した以上は中国に取り込まれつつあると見るべきだ。台湾では親日派が孤立してしまって、韓国では親日派自体が存在しない。それだけ中国のプロパガンダ攻勢が成果を上げているのですが、アメリカが中国とのG2体制を模索しているくらいだから日本としては動く事ができない。動けば米中に挟撃されて封じ込められてしまうかもしれない。

オバマ政権としては公約どおりにイラクから早く撤退すべきなのですが、逆にアフガニスタンへ戦力を回して中東にかえって深入りしてしまっている。アフガニスタンは内陸国であり空輸しか輸送方法がなく大規模な軍隊は展開できない。パキスタンも政情不安でありタリバンの聖域となってアメリカやNATO軍はいたちごっこを続けている。

私がアメリカのイラク戦争に反対したのも反米とか左翼だからというのではなく、戦略的バランスが崩れて東アジアにも影響が及ぶからです。アメリカは昨日も書いたように金融産業や住宅産業や自動車産業など壊滅的な状態であり、来週にはGMが倒産するかもしれない。GMが倒産するという事はアメリカが倒産するということであり、1991年のソ連が崩壊したあとはアメリカが崩壊する順番なのかもしれない。

だからこそ、来るべき大変動に備えて日本も戦略を考え直さなければならないのですが、ロシアのプーチン首相が来日して経済的つながりを求めていますが、日本とロシアの関係が強まれば中国が警戒するし、アメリカも疑心暗鬼になるだろう。ロシアはヨーロッパ方面ではNATOの拡大で追い込められているし南はグルジアで手を焼いている。残るのは東しか道は開けていない。

アメリカはキッシンジャーやブレジンスキーの戦略で中国との関係を深めようとしていますが、その目的は何なのだろう? 米中G2体制を築いてロシアやEUを牽制しようという戦略なのだろうか? EUやロシアにしても米中だけで世界の主導権を握られては脅威なのでありEUやロシアの中国離れが加速するかもしれない。

しかしG2体制はアメリカにとっては危険な賭けであり、中国がアメリカを裏切ればアメリカ包囲網が築かれて孤立してしまう。アメリカの裏庭といわれた中南米にも中国は手を伸ばしてきており、ロシアも南米に外交攻勢をかけている。米軍はイラクで釘付けされてアメリカ本国は外交的に包囲網を築かれつつある。

もともとアメリカ軍のイラク戦争は全世界を敵に回す危険性のある作戦であり、長期化すればアメリカ本国に致命的なダメージを及ぼす。それが金融危機ですが、アメリカ経済を支えてきた金融業が機能麻痺してしまった。アメリカは世界からカネを集めて金融で世界をコントロールしようとしたのでしょうが、ドル基軸通貨体制も揺らぎ始めた。

スパイクマンのリムランドにはヨーロッパ大陸、中東、インド、中国などが入るわけですが、この地域に世界の人口が集中しており、これらの国に陸側から接点を持つか海側から接点を持つかによってランドパワーとシーパワーに分かれる。アメリカは海側から朝鮮半島やベトナムやイラクを攻めたわけですが、長期化すれば陸続きのランドパワーに負ける。

問題はリムランドの中国が軍事力の拡大で海軍力を増強して外洋に進出を図っていることであり、ソ連のゴルシコフによる大海軍を思わせる。米英にとってはリムランドの中から大海軍が出来て通商路を遮断される事は脅威であり、それから見るとアメリカと中国のG2戦略は不可解だ。アメリカ海軍から見れば中国海軍など取るに足らないものと見ているからですが、ミサイル戦争の時代にそれが通用するだろうか?

ブレジンスキーやキッシンジャーはアメリカ滅亡を企む陰謀家なのかもしれませんが、第七艦隊の原子力空母が中国の対艦ミサイルによって撃沈される事はアメリカにとっては致命傷になるだろう。そうなれば日本は中国の100隻近い潜水艦に包囲されて手も足も出せなくなるだろう。そうなれば台湾のように戦わずして中国の勢力下に置かれる事になる。

在日米軍は何をしているのかといえば「自分の国は自分で守れ」と知らん顔をしている可能性もある。G2体制では日米安保は空洞化してしまうのであり、「ショーダウン」という近未来小説では尖閣諸島をめぐる軍事衝突ではアメリカの女性大統領は日本を支援しないと言うシナリオまであり、親中派のヒラリー・クリントンは実際上も動かないだろう。


米、元高官 仮想軍事シナリオ共著 「2009年、中国の攻撃で日中開戦」 ヒラリー・クリントン米大統領は日本を見殺しにする 2006年6月30日 株式日記


ブレジンスキーやキッシンジャーがどう思っているのか知りませんが、中国の軍部はタカ派であり過激なナショナリズムの暴走が止められなくなって軍事的な暴走になる危険性もある。日米安保があるからといってアメリカは必ずしも日本に味方するとは限らず、F22の売却も棚上げにされた。米中の秘密会談で日本を中国に譲る話もしているのかもしれない。

米軍がこのように弱気になっているのも、ミサイルによって海上戦力は無力になり、沿岸海域は対艦ミサイルによって空母も巡洋艦も近づけず、台湾も沖縄もその中にすっぽりと入ってしまうからだ。スパイクマンの地政学ではミサイルがなかったがミサイルを考慮した地政学ではリムランド諸国の沿岸海域は従来の海軍力は無力であり、アメリカの第七艦隊は張子の虎だ。




アメリカという国は、既に破産状態であり、国も大銀行も、粉飾しな
ければ実態を公表できない事態に追い込まれている、ということです。


2009年5月22日 金曜日

米国の「AAA」格付けに現時点では満足=ムーディーズ 5月22日 ロイター

[ニューヨーク 21日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは21日、米国の「AAA」格付けについて、現時点では満足、と表明した。ただし「永久には保証しない」との認識も示した。

 ムーディーズの首席アナリスト、スティーブン・ヘス氏が述べた。

 同氏は「格付けに長期的な圧力があることは、明白だ」とも述べた。

 ムーディーズは、米国の格付け見通しを「安定的」としている。同氏は「われわれは当然、米政府の財政を引き続き注視していく。米政府の財政状況には一部、長期的な脅威があり、われわれはそれを分析する必要がある。ただ、目先に何かがあるとは考えていない」としている。 

 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がこの日、英国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたことを受けて、米国も格下げされるのではとの懸念が浮上。米株・債券は売り込まれた。

 米債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニーの最高投資責任者、ビル・グロース氏は、米国は今後3―4年のうちに「AAA」の格付けを失う可能性が高い、との見方を示した。

 ムーディーズのヘス氏は「今回の危機とリセッションを受け、米財政は試練に直面している」と述べる一方、格付けが危うくなるかどうかは、債務がリセッション後も増加し続けるかどうかによる、と述べた。



米国債 格付けが下がらないのはなぜか(下) 2008年12月16日 九州企業特報

これだけの追加財政負担が予想されるのに、解せないのは、ムーディーズやスタンダード&プアーズ(S&P)、フィッチといった格付け機関が一向に米国債の格付けを見直さないことだ。08年12月時点で3社とも米国債にトリプルAなど最上級の格付けがなされたままである。

 日本国債に対して与えられた格付けを考えると、彼らがいかにダブルスタンダード(二重基準)で動いているかが分かる。米ムーディーズは、日本の長期債務が激増しつつあった1998年11月に日本国債の格付けをトリプルAからワンランク下のAa1に格下げしたのをはじめ、2002年5月のA2にいたるまで段階的に引き下げていった。S&Pも同様に01年2月から02年4月にかけて段階的に引き下げている。日本が失われた10年を抜け出した07年になってやっと格付けは引き上げられ、いまはムーディーズがAa3、S&PがAAである。

 日本国債は一時、世界最貧国のひとつであるボツワナ並みに格下げされたにもかかわらず、米国債の評価がずっと不変なのは不思議な現象だ。市場関係者の間では「怖くて格下げできないのだろう。おそらく政治的な圧力もあるに違いない」という観測が広まっている。せめて格付け機関が開示する「アウトロック(先行き見通し)」ぐらいは「ネガティブ(否定的)」に変更してもよさそうなものだが、みな「ステイブル(安定的)」から変えようとしない。これでは米国債の格付けは粉飾されているといっても過言ではない。

 フィッチは11月26日、トヨタ社債の格付けを一気に2段階も下げてAAとしたうえ、アウトルックも弱含みにした。フィッチのプレスリリースによれば、急激な円高や北米市場の縮小によって利益が大幅に減ることが引き下げ理由らしい。しかし、世界市場の縮小によってトヨタの利益が大幅に減ったといっても、12兆6,000億円もの連結利益剰余金のあるトヨタに、社債のデフォルトリスクが高まっているとは思えない。「格付けは目先の利益の低下を問題にする性質のものではない。大事なのは債券が償還時に支払われる可能性があるかどうかだ」と、市場関係者は言うが、まさにそのとおりだ。

 トヨタを格下げするというのであれば、なぜ米国債を下げないのか。
米国債は、日本や中国などの外貨準備や大手金融機関が保有し、MMFなど金融商品に組み入れられている。格下げしたときの世界的な大パニックを恐れて、格付け機関がだんまりを決め込んでいるのではないか。そう見る市場関係者は多い。



クルーグマン教授:景気の急降下局面は終了か、ドルは急落へ 5月21日 ブルームバーグ

ノーベル経済学賞受賞者、米プリンストン大学のポール・クルーグマン教授は21日、世界経済の「急速な下降局面」は終わり、その影響でドルが打撃を受ける可能性があるとの認識を示した。

  同教授はベトナムのホーチミンで講演し、米連邦公開市場委員会(FOMC)が実施した利下げや、住宅ローン担保証券(MBS)などの資産購入に加え、政府の景気対策により、危機が緩和したと指摘。失業のペースが鈍化していることを理由に、米景気は下半期にわずかに拡大する可能性があるとの見方を明らかにした。

  クルーグマン教授は「ほとんどの経済指標が急速な下降局面が終わり、安定したことを示唆している。金融システムへのショックという面では最悪期は終わっただろう」と語った。

  同教授は金融市場の緊張を示す指標が緊張緩和を示唆していると指摘。「昨秋のリーマンショックで一気に深刻化した緊張状態は和らいだ。コマーシャルペーパー(CP)の金利スプレッドは縮小し、社債の金利スプレッドもやや縮小した。銀行間貸出金利は低下している」と述べた。

  クルーグマン教授は現在の経済危機の1年目が大恐慌の最初の年に似ているとしながらも、1930年代の一連の金融市場崩壊のように一段と悪化する可能性は低いとの考えを明らかにした。

  さらに「景気は底入れしたとは思わないが、底はそれほど遠くはない。懸念しているのは底を打っても反発せず、底ばいが続くことだ。どの分野から景気回復が始まるかはっきりしていない」と語った。

             ドル安に

  ドル相場については、世界経済の安定と米国の経常赤字から打撃を受けかねないと指摘。「ドルは急落する、少なくとも大幅下落するだろう。ドル需要は危機によって一時的に膨張している。経済にとって良いニュースはドルにとっては悪いニュースだ。状況が安定すれば、逃避先としてのドルの需要は急減する」と話した。

  中国政府が3月にドルに代わる国際機軸通貨の創設を呼びかけたことについて、クルーグマン教授は「中国の新通貨提唱は基本的に、自分たちが犯した投資ミスから、何とか助けてもらいたいがための行為だ」と指摘。「中国はドルを買い過ぎた。今になって、このままでは大量の損失が出ると心配し始めている」と述べた。



(私のコメント)
アメリカでドル安、株安、債権安とトリプル安が起きていますが、金融危機後の一時的なドル高も終わりに来ているようだ。金融機関やクライスラーやGMに対する公的資金の援助などでアメリカ政府は莫大な支出をしていますが、その資金繰りに不安が出てきたためだ。中国にしてもこのままドルや米国債を買い続ける事には恐怖感が来ているだろう。

クルーグマン教授の発言もその点を言っているのですが、ドルの大幅下落を予想している。不思議でならないのは米国債が相変わらずのAAAの最高格付けなのですが、中国が買わなければどこが買うのだろうか? 一時的にはFRBが買ってもいつまでも持ち続ける事は出来ない。買う人がいなければ米国債の利回りはどんどん上がっていくのであり、実質ゼロ金利政策も効かなくなってくる。

日本の場合は国債の発行残高は増える一方ですが、金利はゼロ金利のまま張り付いたままだ。デフレ不況で金余りとなり国債の利回りもあまり上がりませんが、アメリカの場合は世界からドルが還流しなくなれば資金が足らなくなりカネの奪い合いとなって金利は上がっていってしまう。FRBは資金供給の為にさらなる米国債を買い続けなければならなくなる。これではFRBのドル札の印刷機も間に合わなくなるだろう。

その結果起きるのがドルの暴落であり、金利を上げなければ何処もドルを買ってくれなくなる。ドルの暴落は輸入インフレとなり、石油価格も再び上がっていくだろう。産油国はいつまでドルで石油を売り続けるだろうか? ドル安になれば石油高になり再び世界経済は冷え込んでしまう。緊急避難的にドルに資金回帰していた流れも終われば再びドル安だ。

インドの株なども急上昇していますが、インドの選挙だけではなくドルを売って新興国に再び資金が戻り始めたのだろうか? アメリカではGMの破綻で経済も一気に冷え込むだろうし、ドルを売って円を買う動きがこの二三日に出てきている。ドル安円高になれば再びミセス・ワタナベがFXで動くのだろうか? 円ドルチャートを見ると2007年から綺麗な三段下げの三段目が始まろうとしている。いよいよ1ドル=80円を割るかもしれない。

与謝野大臣はドル買い介入は今のところしないようですが、日米の金利差がほとんどないので円キャリーも起き難い。だからアメリカの金利が4%台に戻ればいいのでしょうが、それでは過剰な借金を抱えた企業や個人が持たなくなる。金持ちも金を使わなくなり貯蓄率が増えている。だから車も売れないし家も売れない。


アメリカの住宅着工統計 5月20日 武山祐三の日記

このところ経済の話しが続きますが、今日発表されたアメリカの住宅着工統計数値が、マイナス12.8%という大幅な落ち込みになっています。前年同時期の数字に較べてもマイナス54.2%と、ほぼ半減という危機的な数字です。これは何を意味するか。要するにサブプライムローン問題が一段落したどころか、更なる下落を続けている、という証拠を示しています。大部分のアナリストは、アメリカの消費は底を打った、と見ていただけに、これは衝撃的な数字のはずです。

 さらに衝撃は続きます。つい先日の米金融当局による「ストレステスト」の結果、予想されていた大銀行の資本不足は、想定されていた数字よりも少なかった、というニュースです。今朝のNHKラジオのニュース解説を担当していた慶応大学の・金子教授は、はっきりこう述べていました。これは「ごまかした」結果である、と。それと、今日の「田中宇の国際ニュース解説」では、米連銀が、各大銀行から受け取った投資ビークルという不良債権を、「スーパーSIV」として“簿外処理”している、という事実を暴露しています。いったいこれはどうしたことでしょうか。

 つまり、こういうことです。アメリカという国は、既に破産状態であり、国も大銀行も、粉飾しなければ実態を公表できない事態に追い込まれている、ということです。それかあらぬか、カリフォルニア州では、職員の給与が支払えず、大増税を求める法案を州議会に提案し、もし否決されれば、州刑務所に拘留されている大部分の囚人を釈放する、と発表したのです。

 このカリフォルニア州の財政危機は、他の州にも影響を及ぼし、最近連銀が発行する米ドルの信用崩壊を懸念して、モンタナ、インディアナ、コロラド、ミズーリ、ジョージア、メリーランドなどの州議会が、州独自の金と銀に裏打ちされた地方通貨を発行する法案を提出する動きに出ています。

 このようなアメリカの現状を見る限り、到底米国経済が以前の状態に復活するなど思いもよらないことが理解できると思います。

 この状態は、当然日本にも悪影響を与えます。日本は米国の消費活動に経済が支えられて来ていたのです。まだ多くの日本人はこの現状を認識していません。日本国内の動きだけでは、まったく先が読めないのです。



(私のコメント)
米国債の格付けもデタラメならば、ストレステストの発表も粉飾決算であり、常識外れの決算方法を取っているらしい。カリフォルニアでは職員の給与も払えなくなり、刑務所も運用できなくなり囚人を開放するらしい。日本では新型インフルエンザの報道一色ですが、アメリカ経済はインフルエンザどころではないらしい。車や住宅が売れないという事はアメリカ経済がストップしてしまっている事を意味している。

これは一時的な現象ではなく、ポール・クルーグマン教授が言うように景気の底ばいが続くということであり、日本のようにそれが20年続くのかもしれない。しかしアメリカのことだからイランと戦争を始めて戦争経済にもっていくのかもしれないが、オバマ大統領ではそうしないだろう。




集団ヒステリーとも言える新型インフルエンザ騒ぎは目立ちたがり大臣と
マスコミが作り出したものだ。冷静な専門家の意見を放送しないマスコミ。


2009年5月21日 木曜日

1968年のH3N2の香港カゼ・パンデミックが、その当時の人間に、H1N1抗体を与えている、との見方5月17日 笹山登生

1968年の香港カゼのパンデミックは、H3N2であったが、このときにヒトに与えた抗体が、今回の新型インフルエンザウイルスH1N1にも効力を発揮する抗体を与えているのではないか、との謎を、アメリカCDCは、想定しているようである。

このことについては、二年前の私のブログ記事
「H5N1鳥インフルエンザ・ウイルスに対して、H1N1ウイルスのN1部分に対する自然免疫が、効果を発揮しているとの学説
とも、関係してくるのであるが、ここでは、H1N1ウイルスのN1部分での自然免疫がH5N1ウイルスにたいして、効力を発揮しているとの研究成果であった。

これが、さらに、H3N2ウイルスの自然免疫がH1N1ウイルスにたいして、効力を発揮している、となれば、H3N2→H1N1→H5N1への自然免疫の連鎖が起きている、と、見ることも出来るというわけだが。(cross-reactive N1 NA immunity )

いずれにしても、過去のパンデミックによって得た自然免疫が、HAの差異を越して、N2部分の共有によって、H3にもH1にもH5にも、効力を発揮している、と見たほうがよさそうだ。

今回のH1N1パンデミックにおいて、なぜ低年齢にのみ感染者が多いかは、これで謎解きが出来るはずだが

このCIDRAPの記事
Fewer senior swine flu cases may hint at protection
においては、
なぜ今回のH1N1が若いヒトのみをおそうのか?について触れていて、その理由として
「過去にこれまでその人がどのようなワクチン接種を受けていたかがポイントになる。」として
「メキシコにおける感染者の51パーセントが20歳未満であること、アメリカにおける感染者の58パーセントが18歳未満であること、などから、それより年取ったヒト、特に60歳以上の人には、何らかの免疫体が備わっているのではないか、という推測ができる。」としている。

ちなみに、これまでのパンデミックをみてみると、
1918年はH1N1
1957年から1958年まではH2N2
1968年はH3N2
1976年豚インフルエンザではH1N1
となっている。

回のH1N1新型インフルエンザ・ウイルスは、これまでの上記のウイルスとは、似ていないものではあるが、なぜか、60歳以上の人は、今回の新型インフルエンザウイルスに対して、抗力を示している。

CDCは、これらのことについて、現在検証中である。

また、今日のワシントン・ポスト紙の記事「Age of Flu Victims Has Big Implications」では、今回の新型インフルエンザの犠牲者の年齢分布が、重要な鍵を握るとしている。

すなわち、1918年のスペイン風邪、1957年のアジアカゼ、1968年の香港カゼ、1977年のソ連型カゼに共通して言えることは、このいずれのときにも、若い世代が、多く罹患していたとしている。

この原因は、このいずれの場合も、ある程度の抗体が作用していたと見ている。

今回の新型インフルエンザにおいても、平均罹患年齢は、15歳であって、罹患者の三分の二が18歳以下であると言うことだ。

今回の新型インフルエンザが若い人にのみ影響している理由として、二つのことがあげられているとしているる

第一は、若い人ほど、その行動範囲が広く、濃厚接触の度合いがおおきい、ということであるる

第二の理由として、幾人かの専門家は、いくつかの仮説をあげている。

New York Medical CollegeのEdwin D. Kilbourne氏の仮説はつぎのとおりだ。

すなわち、いまの若い世代のうち、一定の割合の人たちは、これまで、H1N1との感染の機会がないか、または、H1ワクチンの接種の機会がなかったのではないのか?という仮説である。

今回のインフルエンザ感染の地理的な分布を見ると、著しい差が地理的にみられるが、これは、1968年にパンデミックとなった香港カゼの北米大陸とヨーロッパ大陸との感染度の違いと一致しているという。

このときは、1968年から1969年の冬にかけての第一波で、北米大陸の死亡者数の四分の三が、インフルエンザによるものであったのに対して、1969年から1970年の冬にかけての第二波において、フランスやイギリスでは、それを上回る四分の三以上が、インフルエンザによるものであったとしている。

つまり、この第一波と第二波との間において、ウイルスはH2N2からH3N2にシフトしたと、専門家は、見ているようだ。

このことから、ヨーロッパ人においては、北米人よりも、H2N2への曝露歴は、少なく、最近になって、ヨーロッパ人は、抗体を獲得したと、見ている。

そして、このことが、ヨーロッパ人をして、北米人よりも、「半分新しい(Half-New)H3N2」の到来に対して部分免疫を持っているのではないか、との推測をしている。

一方、第ニ波においては、N2部分の変異によって、ヨーロッパ人は、H3N2への抗体力が低下していたため、北米人よりも、インフルエンザによる死亡率が高くなってしまった、と、見ている。

今回においても、新型インフルエンザH1N1が、第二波において、どのような変異(ウイルスの免疫回避? immune evasion-によるウイルスのH部分またはN部分におけるチェンジ・コート-changes coats-)をするかによって、大陸別の犠牲者の数が、どう変化するのか、が注目されると、このワシントンポストは、結んでいるのだが。



新型インフルエンザへの世界の関心は、すでに、第二波へ 5月18日 笹山登生

ようやく国内感染本格化という日本ではあるが、世界の新型インフルエンザに対する関心は、すでに、第二波に向けられているようだ。

今回の新型インフルエンザの第一波への評価は、
@致死的なウイルスではない。、
A感染力はつよい。
B疾病率は高い。
C致死率は、低い。
といった評価のようである。

これが、第二波到来時においてのウイルスは、どうなっているか?というのが世界の関心のようである。

来月から南半球は冬に入り、今回の新型インフルエンザは、南半球においては、通常の季節性インフルエンザとともに、フル・シーズンに入る。

南半球のフル・シーズンを季節性インフルエンザウイルスとともに回り終えた今回の新型インフルエンザウイルスH1N1が、ふたたび9月に北半球に戻ってくるときに、どのような変異を遂げているのか、そして、どのような形での第二波の到来となるのか、というのが、その関心の源にある。

そこには、過去のウイルスにおける第二波に対するトラウマがあるものと思われる。

1918年のスペインカゼ(H1N1)では、第一波でいきのびたものが、第二波でやられ、また、1968年から1970年にかけての香港カゼ(H2N2→H3N2)においては、北米とヨーロッパとでは、第一波と第二波とで、ことなった特徴が見られたからだ。

1957-1958年のアジア風邪(H2N2)パンデミックにおいても、第一波よりも第二波のほうが、被害が大きかった。

今回の新型インフルエンザウイルスH1N1の特徴として
@若年層が多く罹患し、老年層には、何らかの免疫体があるように見られる。
A症状に豚インフルエンザ特有の嘔吐・下痢がみられる。
B患者ごとに潜伏期間にばらつきが見られ、あるものは、一日、あるものは3-4日と、差異が見られる。
Cメキシコでの高い致死率についての解明が明らかでなく、今回の新型インフルエンザの毒性についての解明が進んでいない。
D季節性インフルエンザウイルスに比較して、接触伝染性が強い。

などがあげられている。

第二波は、最初の第一波感染発見から勘定して、最低2ヶ月後から、最大2ヵ年後に到来といわれている。

早ければ今年の9月には、第二波到来の可能性が強い、と、言われている。

そこで、第二波は、どのような形の襲来となるのかについてだが、「Will H1N1 be back in deadly second wave? 」では、今回のH1N1が、今後季節性インフルエンザとなって、再び、第二波として来襲する場合には、どのような影響をアジア地域に与えるかを論じている。

ここでは、過去の福建株(H5N1)の第二波などを例に挙げている。

2003年から2004年にかけての福建株は、2003年12月の季節性インフルエンザシーズンと重なり、フランスでは、二百万人罹患、スペインでは、前年より20倍の罹患率となった。

特に子供の罹患がひどく、イギリスでは、7人の子供が死に、アメリカ・コロラド州では、5人の子供が死んだ。

いずれも、例年の季節性インフルエンザでは、1人か2人の死亡であったのが、である。

ワクチン計画の失敗にも懸念が残るという。

それは、1976年の豚インフルエンザ(H1N1)発生時のワクチン計画失敗のトラウマによるものだ。

今回のH1N1についてみても、、
現在のH1N1がシフトするのか?
毒性はどうか?
タミフル耐性を持って再来襲するのか?
などによって、今回軽微で終息した地域が、第二波では、思わぬ人的被害をあたえるのか?
などなど、わからないことが多いようだ。

ここにきて、WHOは、現在のレーティング・システムの改善を志向しているといわれている。

すなわち、現在のSARSやH5などの強毒性を前提とした感染の範囲の広狭をしめすアラートシステムと、今回の弱毒性であっても感染力の強いウイルスを前提とした毒性の強弱に応じたアラートシステムとの、二つのカテゴリーを縦横にグリッドしたかたちの、ハイブリッドなポートフォリオ・アラート・システムを考えているようにも見える。
(一部報道では、WHOは、(1)健康被害の大きさ(2)社会的インパクトの強さという二つの指標にたった、フェーズにかわるカテゴリー概念の導入を検討中との話もあるようだ。)

ここに、 DALY (Disability-Adjusted Life Year)という指標がある。

これは、「疾病の負荷」(Burden of Disease)を示す指標である。

インフルエンザによって、85歳の人が亡くなるのと、21歳の人が亡くなるのとでは、疾病が人口から生産的な人口を奪う率が異なるという、やや、顰蹙を買いそうな概念ではあるのだが。

若い人が死ぬエイズは、死亡数は少ないが、そのDALY値は高いのに対して、老人がかかる脳疾患は、死亡数は多いが、そのDALY値は、低い。

同様に、今回のH1N1は、死亡数は少ないが、若い人にのみかかかるという意味で、そのDALY値は高いとされる。
参考「Is H1N1 scare just a false alarm?」

いずれにしても、今回の軽微で終わった地域が、第二波でも、軽微で終わるかは、わからない。

いま必要なのは、第二波到来に備えた、定期的なH1N1やH3N2のモニター/定点観測であるものと思われる。



(私のコメント)
東京でも新型インフルエンザの患者が出たようですが、連日テレビなどでは新型インフルエンザの大報道でパニックを煽っている。私自身も「株式日記」では新型インフルエンザの事はほとんど触れていませんが、政府のインフルエンザ対策が大げさすぎるのではないかと思える。病状からして季節性のインフルエンザと大して変わらず空港で検疫するほどの毒性の強いインフルエンザとは思えない。

空港で検疫したところで潜伏期のインフルエンザは検出できないのだから無意味なのだ。その為に国内の発熱患者の検査が後回しとなり、調べてみたら神戸で高校生が集団感染していた。東京でも調べれば新型インフルエンザだと検出されるのかもしれませんが、新型インフルエンザといいながら香港カゼやソ連カゼと同じものではないのだろうか? 

当初は豚インフルエンザと言っていましたが、いかにも鳥インフルエンザを連想させるものであり、メキシコでの大量の死亡者は衝撃的でしたが、豚インフルエンザと確認できたものではない。アメリカの新型インフルエンザの実態もネットで発表されるようになりましたが、それは笹山登生氏が紹介しているように、自然免疫が効いているらしい。

だから今回の新型インフルエンザは若年者が罹りやすく中高年者の患者が少ない。罹った高校生たちの症状も軽くて入院した患者は1人だけだ。つまり弱毒性であり通常のインフルエンザと変わらないにもかかわらず、目立ちがりやの桝添厚生大臣がパフォーマンスで夜中の二時に緊急記者会見をしたりして大げさにしてしまった。

マスコミは豚インフルエンザといったり新型インフルエンザと言ったりしていますが、本当に新型のインフルエンザなのだろうか? 私は専門家ではないから良く分かりませんが、従来のインフルエンザが循環的に流行しているのではないかと思う。今回のH1N1インフルエンザも1976年のインフルエンザも性質は良く似ているらしい。だから免疫を持っていない高校生などが集団感染をする。

今回の問題はインフルエンザ自身の問題よりも、日本人の集団ヒステリーの方が問題であり、マスクを買いあさったり、政府の過剰な警戒態勢も他の外国に比べると集団ヒステリーと言える反応だ。「株式日記」ではこの問題は放置してきたのですが、テレビで冷静な対応をと呼びかけていますが、冷静にならなければならないのはマスコミだ。

日本にもインフルエンザの専門家はたくさんいるはずなのですが、政府には今回のインフルエンザの実態を進言している専門家はいないのだろうか? 季節性のインフルエンザでも毎年数百人いるわけだから今回の政府の対応は騒ぎすぎなのだ。笹山登生氏は5月11日の時点で季節性インフルエンザと同じ対応をすべしとブログで書いている。


今回のH1N1は、通常の季節性インフルエンザと同様の対応をすべし 5月11日 笹山登生

そもそもの日本における今回の新型インフルエンザ体制のボタンの掛け違いは、

@弱毒性であるにもかかわらずH5の強毒性インフルエンザウイルスにおける体制をそのまま、敷いてしまったこと、
参考
けっして「新型」ではなかった、日本政府の言う、今回の「H1N1新型インフルエンザ・ウイルス」」

AWHOのフェーズ警告を、地域的な広がりのものとして限定的に解釈することなしに、政府自身が、行動計画にもとづいて、H5警戒体制そのままに突入してしまったこと
参考
インフルエンザ対応におけるWHOのフェーズ段階とアメリカの対応段階との違い
(注-新しい情報として、WHOは、今回の反省のうえにたってか、(1)健康被害の大きさ(2)社会的インパクトの強さという二つの指標にたった、フェーズにかわるカテゴリー概念の導入を検討中との話もあるようだが。)

などがあげられる。

このようなボタンの掛け違いが、舛添厚生労働大臣のいきり立ったフライング記者会見につながったり、麻生総理や舛添厚生労働大臣の「本件感染は、我が国で確認されたものですが、空港における検疫の段階で対処したものであり、(政府の)新型インフルエンザ対策本部で決定した『基本的対処方針』の『国内で患者が発生した場合』には当たりません」等という現体制がはらむ矛盾を糊塗するような、苦しい言い訳コメントにもつながっているのだ。

いま、こうして、「感染者がいること自体は、なんらの不思議がない事態」、そして「不顕性感染伝播の事態」になっている以上は、今回のH1N1を通常の季節的インフルエンザとみなした、体制の見直しが必要なのではなかろうか。(後略)



(私のコメント)
日本人の集団ヒステリーは今回のインフルエンザ騒ぎでも世界で話題になっているようですが、大東亜戦争も日本人の集団ヒステリ−が引き起こしたものであり、中国に対する憎悪が「暴支膺懲」となって暴発してしまった。いったん集団ヒステリーの罹ると誰も止める人がいなくなってしまう事が日本の特徴であり、厚生省は面子に拘って検疫体制を変えようとはしない。

マスクを買いあさる日本人も愚かなのであり、厚生省のバカ役人も昔の陸軍海軍と変わりがない。エリートは自分の判断ミスを認めたがらないのであり、自分の無知を認めたがらない。今回のインフルエンザで死者がバタバタ出ているのなら緊急対策も必要だが、季節性インフルエンザと性質は変わりがないのなら、これほど大騒ぎする必要はない。

このような日本人の過剰反応は世界から見ても異様であり、マスコミ報道の仕方が異常なのだ。どのチャンネルのどのニュースを見てもトップニュースであり、弱毒性のインフルエンザにどうしてこれほど大騒ぎをするのだろう。インフルエンザの患者を出した高校の校長先生は涙の謝罪会見をしている。日本人の集団ヒステリーの犠牲者だ。


新型インフル 首都圏患者2人の学校 学園全体休校に 5月21日 毎日新聞

新型インフルエンザに感染した生徒の容体や様子などについての会見中に涙ぐむ洗足学園中学校・高校の前田隆芳校長=川崎市高津区で2009年5月21日、馬場理沙撮影




高橋洋一氏窃盗疑惑に見る、霞ヶ関に狙われたら、公安から徹底的に
スキャンダル探しをされる。事件を仕立て上げるくらい朝飯前なのである。


2009年5月20日 水曜日

◆現代プレミア ノンフィクションと教養


窃盗容疑の小泉ブレーン・高橋洋一元教授を起訴猶予

2009年4月27日20時27分共同通信より
東京地検は27日までに、窃盗容疑で警視庁から書類送検された高橋洋一元東洋大教授(53)を起訴猶予処分にした。被害品の返却や、勤務先を免職され社会的制裁を受けたことが理由。高橋元教授は今年3月24日夜、東京都内の温泉施設の脱衣所ロッカーから高級腕時計など計約30万円相当を盗んだとして、書類送検された。元財務官僚で、竹中元総務相のブレーン。08年3月に退官して東洋大教授となった。


佐藤優「「封印された高橋洋一証言」官僚無能論と窃盗事件」と公的金融改革骨抜き  5月19日 Economics Lovers Live

偶々、本屋の店頭にあった新刊のムックに目がとまった。事件の前に収録したものを、高橋さんが掲載を辞退したのにもかかわらず?収録したものみたいだ。内容を読むと正直にいって特に目新しい話題はなかった。長谷川幸洋さんとの共著『百年に一度の危機から日本経済を救う会議』や『霞が関をぶっ壊せ』での議論を読んでいればわかる内容かと思う。

 例えば佐藤氏は官僚を本当に怒らせた発言が対談の中にあると書いているが、どれも前からの発言ばかりであり、新奇な怒りの元を探し出すことはできなかった。むしろ今回の事件によって高橋さんが沈黙を守ることこそ、高橋さんによって批判されていた勢力にとって思うツボである、と佐藤氏が強調しているところは、僕もはっきり明言するが、本当にそう思う。そう思うだけにいまの状況は残念である。

 高橋さんは社会的な処罰をすでに十分すぎるほど受けたと思う。もちろんだからといって前と同じように彼の発言がそのまま社会に受けいられるほど甘くはないだろう。そもそも僕自身も釈然としていないこともある。いや、正直にいっていまだに今回のことを思うと怒りすらおぼえる。しかし高橋さんのいままでの発言を、事件を理由に完全に封殺するということは、僕には知的な意味でできないのも事実である。その意味でこの損失は非常に残念だ。だが残念ばかりもいっていられないので、使えるものは使うのが、いまの僕の立場である。この佐藤本もその立場でああろう。

 まあ、そもそもこのブログとか前のブログとかを昔から読んでいる人は、僕が高橋さん((暗黒卿と名づけたのは僕だが、もうこの呼称を使うのはこれが最後である)の意見に百%くみしていないのは周知のことかと思う。それでももったいない、と思う気持ちは否定することができないのである。

 例えば、今週の『週刊東洋経済』に産業再生法改正をめぐって橘木俊詔氏が、民営化が予定されている日本政策投資銀行を活用するのは疑問であると指摘があった。当然な疑問である。こういう財務省の性質の悪さと大胆さは、学者風情レベルではうっかり釣りにひっかかってしまう。橘木さんほどの人でも、相手の手札にのってしまい、民営化を予定されている公的銀行が、損失が過大になるだろう資金注入をひきうけるのはおかしい、というまっとうな議論をしてしまう。こういう議論は財務省の予想の範囲内である。では、そういった損失をひきうける新しい組織を作ろう、と言い出すかもしれない(あるいはもっと露骨に存続をかますかもしれない)。

 所詮、まっとうに立ち向かってもダメなのである。高橋さんであれば、おそらくこれは財務省の一部勢力による民営化阻止の露骨な動きであることを声高に指摘したはずである。天下り禁止という裏ワザで攻めて攻めまくったかもしれない(おそらく政治ルートとマスコミの合わせ技を使いつつ)。そういうねちっこい責め技を、いま日本の論壇はこういう官僚の露骨な巻き返しに対して欠けてしまっていると思う。お行儀のいい議論しかできないのだ。その損失を誰が埋めるのか、それはまだ全然わからない。だがこの損失を日本の論壇はよくよく意識しておく必要があると思うのだが、みなさんはどう思われるだろうか?


高橋洋一氏が窃盗容疑で書類送検 4月1日 もじもじスケッチ

今のところ本人のコメントがないので、真相は不明。ゆえに感想もなし。
客観的に見れば、現時点ではこれ以上書きようがない。

しかし、信じたくない気持ちを脇に置くとしても、この事件は不可解なのである。

<疑問点>
1,報道各社横並びで後追い取材がまったくない。

本間正明政府税制調査会会長が“愛人”と官舎で同棲していた事件は、完璧に財務省の仕掛けたスキャンダルだった。愛人と言っても半ば公認で、周囲では彼女の存在を知らない人はいなかった。その上で財務省は関西から会議に出てくる本間氏に官舎を用意していたのである。本間氏は竹中氏が推薦人であった。

財務省のリークから始まり、テレビ・週刊誌は独自取材と称して本間氏を追っかけ回していた。

今回は「霞ヶ関すべてを敵に回した男」の“犯罪事件”というインパクトがあるのに書類送検後、翌日になってもまったくの音無しの構え。本人への取材もなし。「盗った」「冤罪だ」「ノーコメント」「連絡が取れない」「行方不明」もない。なぜ書類送検の時点で発表があったのかは不明だが、大きく報道しながら、その後誰一人として取材を掛けた形跡がないのが不思議である。本間氏の時はストーカーしていたのに。

2,高橋氏は施錠忘れの他人のロッカーを開けて盗み、その後悠々と3時間も温泉施設で遊び、出てきたところを「持ち物検査」したらブツが出てきたという。

おかしいのは、被害者がフロントに紛失を届け出て、警察が急行し、その場でビデオを巻き戻して見たという手際の良さ。普通は被害届を出して、令状を取らなければ監視カメラのビデオチェックを出来ないはずである。おおぜいの利用客の中から、よく高橋氏を見つけたものだ。まさか犯人が犯行の後にのんびり湯に浸かっているとは誰も思わないだろう。たまたまビデオの中の男と同じ服装の男が警官の目の前を通り過ぎたのだろうか。すぐ判別できるような特徴のある服を着ていた?あまりに出来すぎの感じがする。

3,高橋氏はあっさり罪を認めて逮捕もされなかったという。高橋氏は24日以降、通常通りの生活をしていたのだろうか。大学側は本人と連絡がついていないようだし、その間の足取りがまったくつかめない。謹慎中のつもりで引きこもっていたのか。

4,庭の湯に勤務していた人の話によると、脱衣場には見えにくい埋め込み型の防犯カメラがあり、貴重品を入れるロッカールームには利用者に見えやすいタイプが設置されているとのこと。フロントで「指定番号付き」の鍵を渡されるので、番号を確認して自分のロッカーを開けることになる。開いているロッカーを探す必要がないので、偶然施錠し忘れたロッカーを開けたら高級時計が…という状況は考えられない。フロントに近く、混んでいる時間帯でもあり、他人の番号のロッカーを物色できるような構造ではないとのこと。

5,盗癖があれば、公職に就いていた人でもあり、53年の人生でどこからか漏れてくるものだが、噂すらなかった。逆に「霞ヶ関を敵に回した」ことを自覚してからは、高橋氏はカネと女問題には神経質すぎるくらいに気をつけていた。「そこまでするか!」という組織の怖さをいやというほど知っていたのである。

渡辺喜美も講演会で言っていた。
公務員改革で精力的に動いていた頃、身辺調査が奥さんにまで張り付いていたそうだ。四十肩だか五十肩だかで病院に行ったら「もしかして奥さんは喜美氏からDVを受けているのではないか?」というような憶測が流れたらしい。


霞ヶ関に狙われたら、公安から徹底的にスキャンダル探しをされる。事件を仕立て上げるくらい朝飯前なのである。人はどこかで小さな違反くらいはしているものである。

6,被害者は67歳会社員だが、現役で仕事をしている人ならボケてはいない。ロッカーの使い方もわからない老人ではないし、高級時計や何万円も置いて鍵を掛けないのは考えにくい。

逮捕されずに1週間後に書類送検された。さて高橋氏は起訴されるだろうか。

もし不起訴になったら「罠」の陰謀論が信憑性を帯びてくる。
高橋氏がごねて裁判になったら、決め手となった証拠のビデオを出さなければならない。粗い映像らしいが、「似た男」は本当に本人だったのか。その時計と現金はいつロッカーに入ったのか。高橋氏の“自供”どおりならクロで間違いないわけだが、自供がもし何かのバーターあるいは脅しが背景にあるとしたら・・・。本人は沈黙を守り、その後の情報が出てこないのは、何らかの手打ちがあって、取材も封印されているのではないか。いやいや、こればかりは高橋氏のコメントを待つより他はない。


まあ、普通に略式起訴で罰金刑で決着するのだろう。

さて、きょうは四月莫迦なので、高橋氏の弁明が待ちきれない短気な私としては、少しばかり趣向を変えて陰謀論を語ってみようか。

まず、警察発表の「自供した」は疑って掛かる必要がある。
小沢秘書が「虚偽記載を認める供述を始めた」と報道されたが、後から弁護士によって真っ赤な嘘であることがわかった。志布志事件や数々の「強引な取り調べ」によって「自供させられた」事件は枚挙にいとまがない。

取調官のストーリーに従って「自供」して、裁判で自供を翻すことは恒例行事なのである。地検はもっと強引で、何らかの取引を仕掛ける。ゆえに警察発表の「自供」は疑ってみるくらいがちょうどいい。

高橋氏が霞ヶ関方面に嵌められたと仮定する。「3度殺しても殺したりない」と言われたくらいだから、動機はじゅうぶんある。
目的は高橋氏に社会的死をもたらすこと。背任とか横領とかではなく、なるべく格好悪い事件がいい。「国策」の影も形もないような、せこすぎて笑われるくらいの事件でじゅうぶんである。

高橋氏には幸か不幸か?偏った性の嗜好はなかったようなので、その線の“仕込み”はなかったかもしれない(笑) 高橋氏に時計の趣味があったのかどうかは知らないが。もし高橋氏が時計収集が趣味であるとしたら、かなり見え透いた手口である。

霞ヶ関と自民党が長年培ってきた族関係と、自民党政権篭絡術をこれ以上ヤツに暴露されてはたまらない。高橋氏の口を封じ、改革派のブレーンとしての信頼を失わせれば目的は果たされる

まず仕事を奪うことに成功した。

想像するのもいやだが、万が一、高橋氏にもしものことがあったら、高橋氏に一連の謀略を語られることを恐れる勢力の仕業だと私は断定する。高橋氏は陽気で、かつ強い人である。与謝野と財務省にゴミだらけの資料室に左遷されても、ひとりぼっちの部屋で耐え抜いた。

民主党+社民共産は取り調べ可視化法案を成立させようとしている。霞ヶ関は大反対。おまけに民主党は過激な公務員制度改革をしようとしているので、その前に都合の悪い奴の取り調べをしなければならない。高橋氏は民主党からも相談を受けていた。小沢民主党と自民党の改革派、渡辺・江田一派、改革派のブレーン高橋ひいては竹中の失脚が果たされれば万々歳だろう。改革利権一派に地検の手が入るとあちらこちらでささやかれていたのは、そういう思惑を持つ勢力が存在するという証拠である。

霞ヶ関はなんとしても麻生政権を守りたいのである。公務員制度改革への麻生首相の対応を見ればわかることで、陰謀論でもなんでもない。元警察官僚の漆間官房副長官と与謝野財務相は霞ヶ関の守護神である。

もともと霞ヶ関の振り付けどおりに動くなら、首相が誰であれ政権に安定感は出る。麻生首相は自信家なので、ちょっとオーバーアクションになっていたせいで揚げ足を取られていた。自分のカラーを出そうとしないで、余計なことをしゃべらなければ“安定感”が出る。麻生さんが変わったのではなく、自分の分をわきまえ始めたというのが実際のところではなかろうか。


(私のコメント)
最近は公務員制度改革に関わる政治家や学者のスキャンダル暴露が露骨になっていますが、マスコミもそれに同調している。天下り禁止を主張してきた植草一秀氏が痴漢行為の現行犯で捕まりましたが、高橋洋一氏も窃盗の現行犯で捕まりましたが、事件の詳細が良く分からない。マスコミによる詳細な報道があってもいいはずですが、後追い取材が全くない。

いわゆる警察の記者クラブで発表された内容だけであり、本人の発言が全くなく警察による口封じが行なわれているのだろうか? 小沢一郎スキャンダルにしても本人の辞任で一件落着となり、二階議員ルートの解明は何処へ行ってしまったのだろうか? このように民主党が政権を取ると官僚たちにとってマイナスだと思われて小沢一郎が狙われたのだろう。

このように霞ヶ関では自分たちに歯向かうものはスキャンダルを暴露して血祭りに上げることで権力支配を続けている。マスコミも霞ヶ関に同調していますが、これほど次々露骨な国策捜査が行なわれると、かえって逆効果になるおそれも出てくるだろう。マスコミがいくらスキャンダルを暴露しても国民は「またか」と見透かしてしまう。

昨日は書店で「現代プレミア」という雑誌に、「封印された高橋洋一証言」という記事があったので立ち読みしたのですが、霞ヶ関に睨まれて罠を仕掛けられたら逃れる事は不可能らしい。スキャンダルネタを普段からかき集めて弱みを握って、言う事を聞かない政治家や言論人はマスコミに暴露されて制裁を受けるようだ。

最近では鴻池副官房長官辞任が新しいですが、公安などからのタレこみで写真を撮られたのだろう。黒幕は漆間副官房副長官なのだろうか? 小沢一郎が片付けば官邸内の鴻池副官房長官が狙われて失脚した。確かにスキャンダルになるような事をすることがそもそも悪いのですが、自分たちに都合の悪い者だけが霞ヶ関のヤリ玉に上がっているような気がする。

渡辺よしみ行政改革担当大臣も霞ヶ関に狙われて身辺をかなり探られたらしい。高橋洋一氏も霞ヶ関の出身だから普段からかなり用心はしていたらしい。捕まった窃盗事件にしても不可解な事だらけで本人の弁明などを聞いて見ないと事情がまるで分からない。痴漢や窃盗などはでっち上げようと思えばいくらでも出来る事であり、学者を失脚させるには一番だろう。

佐藤優氏も国策捜査で上げられた一人であり、口封じの為に500日以上も留置場に監禁されてしまった。鈴木宗男議員と関係が深かったから検察に上げられたのですが、これもマスコミが詳しく報道しないから本人の書いた本などを信じるしかない。植草氏なども本を出版して捜査の不当性を主張しているが、マスコミが機能していない以上は本人が警察や検察の不当捜査を暴露してネットなどで戦うべきなのだ。

東京地検は高橋洋一氏を口封じの為に起訴猶予処分にしましたが、何か言えば起訴されるということだ。警察や検察がこのようにやりたい放題の事が出来るのも、日本国民がおとなしいからであり、ネットでも「2ちゃん」あたりで少し騒いでいるだけだ。国民はバカだからテレビで放送された事が真実だと信じてしまう。これほど国策捜査のオンパレードでも抗議しているブログは少ない。

このような警察や検察の暴走はマスコミがチェックすべき事であり、真相を追究して真実はどうであったかを報道する義務がある。しかしマスコミは記者クラブで発表された事を垂れ流すだけなのだ。このような事をしていれば国民は新聞もテレビも見なくなるだろう。


高橋洋一氏、窃盗事件の奇妙な違和感!! 4月2日 信州の泉

植草さんもブログで書いていたが、高橋洋一氏のメディアの扱いは実に奇妙な抑制報道に終始し、ほとんどのメディアがそれを拡大報道する傾向はなかった。これはとても奇妙な話だ。植草さんが係わった事件は報道洪水のように、連日センセーショナルに拡大流布された。しかし、数十万円の時計を窃盗した高橋氏の場合は実に抑制された報道なのである。植草さんと高橋氏の社会的地位は、どちらも大学教授であるから似ている位階にある。高橋氏が最近、政府紙幣発行論で、テレビやメディアに華々しく登場していたことなどもあり、彼のネームバリューはそうとう上がっていたことはたしかだ。

 高橋氏のネームバリューと、数十万円の金品の窃盗という重さを思えば、メディアはこの事件を根ほり葉ほり掘り下げて執拗に調べてもいいはずだ。ところが今回は植草さんの事件とあまりにも報道規模が異なっているのはなぜだろうか。単純に考えれば、高橋洋一氏は構造改革推進派の重鎮だった。植草さんはそれを厳しく糾弾する側の有識者。報道落差は、この両者の立場の違いと決して無縁ではないだろう。

 あと私は、高橋洋一氏の今回の事件について腑に落ちないことがある。逮捕じゃなくて書類送検だったのは、逃亡の恐れがないからだという。それなら植草さんも逃亡のおそれは皆無だったはずだ。それはともかく、二つの文脈でこの事件が高橋氏の口封じであった可能性はあるかもしれない。高橋洋一氏は小泉・竹中構造改革のブレーンであり、強力に官邸主導政治を進めた中川秀直氏のブレーンでもあったことは重要だ。これが何を意味するかと言えば、高橋氏こそ、構造改革や郵政民営化(四分社化)の真相を知り尽くしている人物だということである。既得権益護持勢力は、高橋氏が経済学者の中谷巌氏のような回心を行うことを恐れているのだろうか。もしかしたら、この事件は「抜け忍」騒動なのかもしれない。

 つまり構造改革利権や郵政民営化利権の闇の部分を知悉している可能性があり、売国既得権益勢力から口封じの駄目押しを受けたという文脈である。これは仮に政権交代が実現し、民主党が構造改革の闇を暴くため、司直の捜査を入れる場合、構造改革利権を得た関係者は調べられることになる。この時、改革の理論的中心人物であった高橋洋一氏を中心として、関係者は軒並み調べられることになる。だから既得権益勢力は、今の内に高橋氏に脅しをかけ、他の関係者にも口を割らないように見せしめにした可能性もある。仲間を書類送検で済ませた背景には、他の関係者に対する恫喝の意味があるかもしれない。

 もう一つの文脈は、国際金融資本から、高橋氏の政府紙幣発行論に対する脅迫があるのかもしれない。政府紙幣発行は国際金融資本と真っ向からぶつかるしろものだ。財務省筋からの口封じの可能性もあるかもしれない。高橋氏は、ある講演会で、財務省が不景気でも増税する理由は、税収が多いと財務官僚はポケットマネーを作れるからだと言った。彼は財務省筋に仕掛けられた可能性もあると友人は語っていたが・・。

 違和感が拭いきれないのは、5万円の財布と数十万円もする高級時計を、鍵をかけずにロッカーに入れるだろうか?という疑念がある。金持ちなら気にせずにそのような行動をとるかもしれないというのは、私のような貧乏人の浅はかな考えで、実際の金持ちは用心深い。豊島園のような世俗的な日帰り温泉に金持ちが行くだろうか?5万円の財布なんか盗まれてもヘッチャラ、ブルガリの高級腕時計(数十万円相当)なんか気を使う必要なしなどという金持ちが、火曜日の夜8時に豊島園の温泉に入るだろうか?

 真相は当事者たちから聞くまではわからないが、この事件には奇妙な違和感がある。





NHK「マネー資本主義」 アメリカは世界に金融商品を売りまくったが、
今では売るに売れないただの紙切れ。ルービンは金融詐欺師だった。


2009年5月19日 火曜日

株の世界では証券会社に中年主婦が現れたら天井だということわざがある。
NHKスペシャル「マネー資本主義第二回」より

アメリカは世界に金融商品を売りまくったが、今は売るに売れない紙切れ
ルービン、サマーズ、グリーンスパンはまさに金融詐欺師だったのだ


マネー資本主義 5月17日 50代オヤジの独言

ドラマ仕立てで松平さんがレポートする「3000万円雑木林から発見」というニュースの現場。そこでも金融危機の原因はアメリカですよね!という声が聞かれた。

マエストロと言われたグリーンスパン議長。しかし今はアメリカ議会の公聴会で金融危機を招いた張本人として非難を浴びている。

何故危機を防げなかったか?元FRB長官達に尋ねる。答えは「謎だ。」だった。なぜマネーは制御できないほど膨れ上がってしまったのか?第2回はアメリカの政策についてスポットを当てる。

マネーは100ドル紙幣を積み上げると月に到着する額だった。日本円にすると7京円。1兆の7万倍である。

3000万円のドラマは取調室の場面。拾った主婦が評言する。山菜採りにいったら見つけたという。刑事は御伽噺の「青い鳥」にたとえるが、青い鳥の結末がわからないという。

主婦は「余っていたから捨てたんじゃないですか?」

先進国のマネーサプライは2倍に増えて、それが怒涛のように流れ込んだのが、アメリカの住宅だった。砂漠のゴーストタウンのような現在の町、1年前は活況を呈するニュータウンだった。住宅ローン会社が無謀な貸付に走り、ウォール街が買い取ってくれるためだ。ローン債券は投資銀行は金融商品に生まれ変わり、他の金融機関に販売される。こうしてリスクが見えにくくなり、膨れ上がったバブル経済は息詰まった。

再び、取調室で、カツ丼を食べながら、なんでオカネが余って金融危機が起きたのか?を刑事が尋ねて、主婦がレクチャーするスタイル。

グリーンスパン前FRB議長。FRBはアメリカの中央銀行。16年間の議長の間、ブラックマンデーを乗り越え、1998年のLTCM破綻においても金利を下げて、危機を回避した。彼の一挙手一投足が金融政策の方向とされ注目を集めた。

1926年ニューヨークの下町に生まれたグリーンスパンは幼い頃より数字に強く、大リーグ好きだが、スコアなどをつけることに才能を発揮。プロのジャズプレーヤーになるが、休憩時間は難しい金融の本を読んでいたという。

コンサルタント業に転進した彼は25歳でランド・アインスタン女史にめぐり合う。主人と奴隷ではなく互いの利益のためにという市場主義、自由放任主義がこのとき彼の基盤となった。

しかし、99年からずっと異例の低金利を長期間放置したことがカネ余りを生み、市場が加熱するがグリーンスパンはそれを一部地域のものと放置。金融商品の危険性も指摘されながら放置された。

市場は安全だと解釈されて、モラルハザードが広がっていった。グリーンスパンがマジックを使うと信じられていた。

再び、取調室。カツ丼のグリーンピースを残す主婦。主婦はロバート・ルービンも問題だという。

ロバート・ルービンは財務長官でグリーンスパンの前の長官。ドル高政策を採ったことで知られる。為替相場の変動がどうオカネにかかわるかを松平さんが示す。そしてドル高へ仕向けることがアメリカにオカネが入ることになり利益をもたらすとした。

ルービンの任期中、ドルは8割も増えた。それ以前はドル安を容認していた。クリントン時代は輸出を盛んにするためにドル安容認政策を取った。ところが輸出が増えずに製造業復活の兆しは見られなかった。

クリントンはルービンを起用し、ルービンはゴールドマンサックス会長から転進し、ドル高で製造業中心から金融業によるアメリカの利益獲得へと方針転換した。口先介入から行なったが、これは機能せずにドル安は進んだ。日本も円高ドル安が急速に進み、当時の加藤紘一財務長官もアメリカに強くこの対応を要請した。団長を務めたのは武藤嘉文氏。「基軸通貨の値打ち堅持」を求めた。

日本はアメリカの国債を買って支えていた。ロバート・バウマン氏は副長官としてルービンを支えていたが、世界からの要請でドル高へ舵を向ける方針を進言したという。

当時の日本側榊原氏もアメリカと協調し、ドル高へと仕向ける介入を図ったという。

この結果、マネーはアメリカに世界から流入し、株価は急上昇。

グリーンスパンの低金利政策でさらに増殖。ルービンはウォール街に戻った。このときカネ余りの怪物が動き出していた。心配する人がほとんどいなかったという。

取調室。刑事はアメリカだけが、この金融危機をもたらしたのだろうか?と切り出し、奥さんFXをやっていらっしゃるようですね。奥さん、この3000万円はあなたが捨てたんじゃないんですかね。・・・

あまりの市場加熱にグリーンスパンも重い腰を上げて、短期金利の引上げを行なう。銀行は短期金利に上乗せして住宅ローン金利とするため、長期金利も落ち着くと考えたが、何度か短期金利を引き上げても、長期金利に影響が出なかった。’謎’だとしたグリーンスパン。コントロール手法がもはや通用しなくなっていた。

そのひとつが日本のカネ。ミセス・ワタナベ、FX取引をする日本の主婦の総標だ。膨大な家計のマネーがアメリカに流れた。

さらにゼロ金利の日本から右肩上がりを続けるアメリカに運用資金が流れた。円キャリード資金と呼ばれるこのマネーが流れ、世界もこの例に倣った。

アメリカ向けにに輸出で稼いだ資金が、アメリカにまた還流した。この世界から流れ込んだ資金が、銀行がいくらでも世界から調達できる状態になったために短期金利の引き上げが効果を生まなかった。

ようやく住宅金利が下がったのはグリーンスパン退任後、しかしこの時点では静かに収めることは不可能だった。グリーンスパンも能力が無かったとこの事態の責任を認めた。

取調室。刑事「FXで儲けた人が脱税で捕まるニュースを見て、税金を払わないようにするために、拾ったことにすればいいのではと考えたのではないですか?」と問う。

刑事「私達のもっといい暮らしがしたいという思いが集まって、金融危機を招いたんじゃないですか?税務署に申告したほうがいいのでは」

主婦「青い鳥の結末は、幸せを求めて世界中を旅したけど、結局青い鳥は自分の家にいた。というものでした。」

松平さん「アメリカのせいばかりにできない部分もあるぞと。我々が欲望をたぎらせ続けることは、再び金融危機の大波を被ることになりかねない。」

G8では総額5兆ドルの財政出動が決定され、再び巨大さを増す金融市場。果たして危機を生むことなくいけるのか?



マネー資本主義 5月17日 伊藤洋一

NHKの夜9時からの「マネー資本主義」の第二回を見ましたが、まあ金融のドラマとしては何とかして分かりやすいようにしたいという気持ちは伝わってきて、「どう作るのかな」と思って見ている人間には「そうきたか」と面白かった。

 ただし分かりやすいようにしたい、話を整理したいという気持ちが強すぎて、「ちょっとこれはどうかな」という点もいくつか。短期金利を上げても上げてもアメリカの長期金利が上がらない原因のところで、突然「ミセス・ワタナベ」が出てきたのにはちょっと驚きました。話を日本と結びつけたかったのでしょう。しかしそれは渡辺さんの責任ではなく、政策サイドの話が大きい。

 2000年代の半ば、アメリカ(というより世界の)の長期金利が上がらない謎(conundrum、グリーンスパン語)の理由としては、「市場経済のスパンの拡大(労働力供給量の潤沢さ)」「年金運用の長期化」「デフレ心理の残像」「ITを使った生産性の向上」など色々状況があったのに。まあ捨てて捨ててあれになったのでしょうね。

 翻訳にも問題があるように思いました。耳で聞いただけですが、日本がアメリカの長期債を売る売らないの話の中で、アメリカの発言者が「日本が長期債を売ればアメリカの金利に影響が出る」と言っているのに、下の帯では「アメリカ経済に影響がある」になっていた。これはちょっといただけないな、と思いました。

 問題は振り返りではなく、今の超刺激、超金融緩和を抜けた後に金融と財政をどのようなタイミングで引き締めに舵を切るかですが、その点を番組では最後に「できるのでしょうか」という疑問形で結んでいた。しなければバブルの繰り返しになります。

 一つ見ていて「あら」と思ったのは、昨年10月15日のクルーグマンとの私のインタビューのVTR、「あえて責任者を一人挙げろと言われれば、それはグリーンスパン」というクルーグマン発言部分が使われていたこと。半年しかたっていないのに、随分昔のような気がしました。

 あのVTRは惜しかったんですよね。ノーベル賞をもらった次の日でしたから、当然日本人として初めてインタビューしたわけで、当日でも電波に乗せることが出来たと思うのですが、クルーグマンがつかまったというのがうまく東京に伝わっていなかった。

 番組の最後に地球上の陸地という陸地からお金が落ちているイメージが映ったのですが、マネーの量をどう管理するのか、というのは今後ますます大きな問題となるでしょうね。締め過ぎればお金が回らなくなって大きな不況になる。締めずに膨らましすぎても市場の自律調整によって市場は収縮し、経済活動に不調をきたし、その結果不況になる。

 アメリカの金余りの張本人として番組はグリーンスパンとルービンの二人を挙げていた。しかしアメリカの好況、それをもたらした金余りを歓迎したのは、政治家も、市場関係者も、そして一人一人の国民もそうです。だからバブルは実は経済政策の問題と言うより、国の政治や、その背景ある国民の成長期待、富を歓迎する気持ちなどと密接に関係している。これらすべて関数をうまくコントロールしようとするのは非常に難しい。


経常黒字の日本や中国から経常赤字のアメリカに金が流れなくなれば
アメリカはショック状態になり金融危機をもたらした。

「株式日記」ではドル買いを止めろと言い続けたが、日本の財務省は
ドルを買い続けてグリーンスパンから「ドル買いを止めろ」と怒られた。


(私のコメント)
日曜日にNHKスペシャルで「マネー資本主義第二回」を放送していましたが、ロバート・ルービン元財務長官やアラン・グリーンスパン前FRB議長を犯人として批判していましたが、NHKの反米親中のスタンスがはっきりと見えています。「株式日記」のように反米反中のスタンスならバランスも取れているのですが、NHKの反米親中のスタンスは公営放送として問題だ。

もちろん金融危機の内容的にはその通りであり、アメリカに金融危機をもたらした犯人はルービンでありグリーンスパンだ。新自由主義的な金融の行過ぎた規制の緩和が金融商品の暴走をもたらして世界の金融機関を危機に陥れた。しかしその仕組みを一時間の番組で説明しきるには無理があり、一つの原因で片付けるには誤解を生ずるだろう。

世界の経済学者やエコノミストも本当にどれだけの事が分かっているのか疑問なのですが、バブルの最中はダンスナンバーが流れている限り踊りを止めるわけにはいかないようだ。アメリカの金融危機の前兆は日本のゼロ金利の解除に原因があるのであり、世界同時株安が起きた。これは円キャリートレードの逆流が起きて世界同時株安が起きたのだ。

円キャリートレードは「マネー資本主義」でも取り上げていましたが、アメリカのヘッジファンドも円キャリートレードは確実な投資として数十兆円もの規模になったようだ。円キャリートレードは米ドルに対してばかりではなくユーロやオーストラリアドルや韓国ウォンにも向けられて韓国のウォンが高くなって韓国が悲鳴を上げたし、ユーロも1ユーロ=170円まで上げたのも円キャリートレードが大きな原因だろう。

つまり日本のゼロ金利が世界への資金の供給源となっていたのであり、それだけ日本の円が高く評価されたのは日本の経済力の強さの証明だ。日本の円は1ドル=360円から1ドル=79円まで四倍以上にも値上がりしましたが、日本は相変わらず経常黒字国だ。それに対して中国は人民元が20%ほど切り上がっただけで中国の輸出産業は大打撃を負っている。

日本でしか作っていないものは円がいくら高くなっても日本から買わなければならないのであり、そのような日本の経済力が裏付けとなって世界に資金を供給できるだけの力がある。ところが世界的金融危機が訪れてアメリカが物を買う事が出来なくなると日本の輸出産業にも大打撃なのであり、日本からの資金供給を続けなければなりませんが、アメリカも国内事情でゼロ金利状態となり、金利差が無くなって円キャリーが起きにくくなっている。

アメリカ経済を再建するには大規模な軍縮が必要であり、オバマ政権は軍縮に取り掛かりつつある。その為には世界に展開している米軍を引き揚げさせなければならない。イラクやアフガニスタンからも米軍は引き揚げていくだろう。東アジアからも米軍は引き揚げていく事だろう。

アメリカの金融立国戦略はアメリカの最後の悪あがきであり、アメリカの投資銀行が作り出した金融商品は詐欺的商品であり、債権の証券化はリスクを転売する事であり、全体から見れば一種のネズミ講だ。よからぬ詐欺師が不良債権を大量生産してCDOとして転売すればとんでもない事になる事は分かりきっていた事だ。

アメリカは90年代にドル安にして製造業の再建を図りましたが復活する事はなかった。アメリカの自動車は日本でもヨーロッパでも競争力がなくて売れなかった。製造業はその国の文化やモラルなども関係があるのですが、アメリカは新興国であり文化も底が浅くて拝金主義的なモラルは製造業を堕落させた。

国家がそのような状況になれば楽して儲ける事ができる金融で稼ぐ事になり、ロバート・ルービンは財務長官になる事で金融立国へと舵を取った。本来ならば金融業は地味で儲からない仕事なのであり、昔から卑しい仕事と見られてきた。それを情報産業として国家機関と結びついてゴールドマンサックスやモルガンスタンレーなど政府系金融機関として育て上げて、投資銀行のエコノミストは国家経済を支えるスーパースターとなった。

まさにTIME誌の表紙になったように、ルービン、サマーズ、グリーンスパンはアメリカを救った救世主として評されましたが、今ではアメリカを陥れた極悪人となっている。まさに繁栄している時は神様と呼ばれ、不況になれば不況の犯人呼ばわれされるのはエコノミストの宿命なのだろう。

今ではミセスワタナベはどうしているのだろうか? 「マネー資本主義」ではFXで3000万円儲けた主婦が、拾得物として届け出るドラマをはさんでいましたが、FXはそんなに儲かるものだろうか? 為替相場は国の経済政策に深く関係しているし、ゴールドマンサックスなどは財務長官などから直接情報が入ってくるからインサイダーだと思うのですが、証券会社の社長を財務長官にするのは、泥棒に警察長官をやらせるようなものだ。

グリーンスパンもITバブルを住宅バブルで乗り切ろうとしたのでしょうが、日本と同じ失敗を繰り返したようだ。本来ならば買えないような貧しい人に住宅を買わせて借金を背負わせてしまうと金利を引き上げるには社会問題を起こしてしまう。アメリカにも住宅神話が出来て日本と同じ事をしているのですが、日本と同じように失われた20年がやってくるのだろうか?




ガイトナー財務長官は今月末から訪中し、経済関係の強化に向け中国
側と協議するが、訪日は予定されていない。米国債を武器に使う中国


2009年5月18日 月曜日

中国とのG2、議論活発に=対日重視外交の水面下で−米 5月14日 時事通信

【ワシントン14日時事】米国内で、米中を基軸として国際問題の解決を図るG2論をめぐる議論が活発化している。外交政策に大きな影響力を持つキッシンジャー元国務長官は、米中関係を新たな段階に引き上げるべきだと主張。同じく重鎮のブレジンスキー元大統領補佐官(国家安全保障担当)は、金融危機や大量破壊兵器の拡散防止などに中国と協力して対処するためG2論を提唱した。これに対し、外交評議会アジア研究部のエリザベス・エコノミー部長らが「G2の幻想」と題した論文で反論した。

 エコノミー部長らは、米中の協力不足は、両国の利益や価値観などに関する不一致が原因であり、単に中国との関係を引き上げるだけでは問題の解決にならないと指摘。オバマ政権が最初にすべきことは、日本や欧州連合(EU)と対中政策を調整することだと強調した。

 オバマ政権の外交政策に深く関与し、北東アジア情勢にも詳しい専門家は「G2論は、米中両国の利益にならない。日本は依然、第2の経済大国だ。G2は世界の経済問題を解決できないし、健全でもない」と述べ、G2論を一蹴(いっしゅう)した。

 実際、オバマ政権はアフガニスタンやパキスタンの安定化、長期的な中国への対処に関し、日本の重要性を認識している。クリントン国務長官は就任後、初の外遊で日本を訪問。オバマ大統領も麻生太郎首相を外国首脳としては初めてホワイトハウスに招いて会談した。ただ、オバマ政権はこうした対日重視外交の舞台裏で、対中関係強化も着々と進めている。ガイトナー財務長官は今月末から訪中し、経済関係の強化に向け中国側と協議するが、訪日は予定されていない。財務省当局者は「政権が国内経済の回復などに集中的に努力する中、訪問日程は限られており、今回の訪日は不可能。しかし、長官は近い将来、日本を訪れることを強く希望している」と説明した。


「中国を向かざるを得ない」米国 5月18日 JBプレス

米国が経済面の事情、特に米国債の消化を中心とする安定的な投資資金の流入を確保するという観点から、中国に強く配慮せざるを得ない状況であることが、ますます強く浮き彫りになっている。

 米国内では中国との「G2」を重視すべき、という声もあがっている。そうした中で、総選挙を経て今後発足する新政権が対米経済関係、特に外貨準備の運用問題でどのようなスタンスをとるのかが、重要な注目点になりそうである。

 オバマ米大統領は14日、ニューメキシコ州リオランチョで行われたタウンホールミーティングで、次のように語った。

「われわれが蓄積した長期的な財政赤字と政府債務は、持続不可能だ。われわれは中国やその他の国々から、このまま借金をし続けることはできない」

「われわれはそうした債務に対して金利を支払わなければならない。そしてそのことは、われわれがより多くの債務によって、われわれの子供の未来を抵当に入れていることを意味している」

「そしてもう一つ真実と言えるのは、中国などの国々は、いずれかの時点で、米国の国債を買うのに疲れてしまうだろうということだ」

「そしてそうしたことが起こった時には、われわれはお金を借りることができるよう、実際に金利を引き上げなければならないだろう。そしてそれは、誰にとっても金利が上がることを意味している」

 この発言を小さな記事ながらしっかり伝えていた日経新聞の16日朝刊の記事は、大統領が「財政赤字の削減と社会保障改革の必要性を強調した」と解説していた。中長期スパンを視野に入れた政策メッセージとしては、その通りだろう。

しかし同時に、この発言は、米政府が国債の主要な買い手である中国に対して、少なくとも短期的スパンでいかに気を使わざるを得ないかということを、如実に示している。

 15日に米財務省が発表した3月の対米証券投資(国際資本統計)で、中国が保有している米国債の3月末時点での残高は7,679億ドル(前月末比+237億ドル)となった。昨年9月以降、日本を抜いて、中国がトップに立っている。

 ガイトナー財務長官は就任直前の1月の議会公聴会で、米財務省が中国を「為替操作国」認定する可能性に言及し、中国からの反発を招いた経緯がある。米国債購入の「お得意様」の怒りを買ったままというのは、景気回復力が脆弱で、今後数年にわたって不安定な経済運営を強いられる米国にとって、決して得策ではない。

 このため、2月のローマG7や4月のワシントンG7は共同声明で、為替政策運営についての中国の姿勢を高く評価する、ガイトナー発言の失敗を埋め合わせようとするかのような記述を盛り込むことになったと考えられる。4月15日に議会に提出された米財務省為替政策報告は、当然のことながら、中国を「為替操作国」と認定するようなことはしなかった。

 さらに、ガイトナー長官は5月末から、就任後初の中国訪問を行う。米中の経済関係強化などの重要問題を協議する、とされているが、その中で中国の外貨準備運用における米国債購入問題が話し合われるであろうことは想像に難くない。中国がロシアなどと協調して提唱している「新基軸通貨」、SDR活用強化問題は、米国に対する牽制カードという位置付けでもあるのだろう(この問題については、3月31日「ドルに代わる「新基軸通貨」」をあわせてご参照)。

 ガイトナー長官は今回の中国訪問の前後に、隣の日本には立ち寄らない。クリントン国務長官がまず日本を訪れたこととは対照的で、経済問題では中国、外交安全保障問題では日本を優先する、という形のように見える。

 米政府は、少なくとも経済面では、まず「中国の方を向かざるを得ない」状況にあると言えよう。のみならず、米国内では、キッシンジャー元国務長官やブレジンスキー元大統領補佐官(国家安全保障担当)らを中心に、米中の「G2」を基軸として国際問題の解決を図るべきだ、とする主張が強まっているという(5月14日 時事)。

 では、日本は米国債購入問題で、どのようなスタンスをとるべきなのだろうか。マーケットでは先日、野党幹部2人の発言が話題になった。

 中川正春 民主党「次の内閣」財務相は5月13日、英BBCのインタビューで、民主党が総選挙で勝利して政権を担えばドル建て米国債の購入を控える、と発言して、外為市場で円高が進行する材料になった。中川氏は、「それが円であれば大丈夫だ。われわれは(米を)買うことを申し出るが、それは円建てであり、ドル建てではない」と発言した。

 一方、亀井静香 国民新党代表代行は13日、訪米時の記者会見で、次の衆院選の結果、民主・社民・国民新の連立政権が誕生することは間違いないとした上で、上記中川発言についてたずねられ、「間違ったことだ」「(国民新党が連立に入れば)そのようなことは絶対させない。米国を徹底的に支援する」と述べた。

 参院の勢力分野からみて、民主党が次の衆院選で単独過半数を確保するとしても、社民党や国民新党と連立政権を組まざるを得ないという見方が多い。ただし、自民党が分裂するなどして政界再編が進む場合には、話が変わってくる余地もある。

 この間、麻生首相は、基軸通貨はあくまでも米ドルであるという姿勢を強調しており、現在の政権の枠組みの下では、米国債中心の外貨準備運用姿勢は変わらないと考えられる。米国と中国が「ドル」「米国債」をテーマにして神経戦を演じるかたわら、日本のスタンスは選挙前ということもあって、なかなか定まってこない。だが、総選挙後には方向感が見えてくることになるだろ。その際には、為替相場により大きな影響を及ぼす材料にもなり得る。



(私のコメント)
キッシンジャーやブレジンスキーの提唱するアメリカと中国のG2外交戦略は、単なる中国に対するご機嫌取りなのか、それとも米中によって世界覇権を維持しようとする為の戦略なのかはまだ見えてこない。それならば日本もアメリカを揺さぶってみて反応を見るべきなのですが、それだけの事が出来る度胸が日本の政治家にはない。

先週のロシアのプーチン首相の来日は、そのための絶好の機会だったのですが、米中が連携を深めればロシアにとっては脅威であり、EUにとっても米中の連携は外交の主導権を奪われる事を意味する。EUとロシアはエネルギーを通じて深まってきていますが、イギリスは米中G2外交に対してどう見ているのだろうか?

日本にとってはG2体制は日本封じ込めを意味するものであり、米中間が緊密になる事は避けなければならない。しかし中国もキッシンジャーやブレジンスキーを取り込むことに成功してG2体制を着々と築いている。アメリカにとっては中国と組む事はEUやロシアに対する牽制になり、G20ロンドン会議でも胡錦濤国家主席とオバマ米大統領との初会談が組まれましたが、G2でG20をコントロールする事が見えてきた。

日本の麻生首相はイギリスのブラウン首相以外の主要国との会談は出来ず、相変わらず日本の影が薄い。アメリカやイギリスの二枚舌外交は外国を分割支配するための伝統的な政策ですが、イスラエルとパレスチナの二枚舌もイギリスの戦略であり、中国と台湾の問題もアメリカの二枚舌が原因になっている。

アメリカは日本周辺にも二枚舌外交を行なっており、北方領土問題も二枚舌外交が原因だ。米英は双方に都合のいい事を言っていれば領土を巡って紛争が起きて米英は漁夫の利を得る事が出来る。日本はソ連に対しても歯舞色丹で手を打って日ソ平和条約を結ぼうとしたがアメリカは4島でなければならないと横槍を入れてぶち壊した。しかし四島を占領地区から除外したのはアメリカなのだ。韓国の竹島や尖閣諸島にも同じ事をしている。

アメリカは中国に対してもG2という事を言いながら、日本が中国に接近する事には反対だ。日本の対中融和派である政治家には田中角栄を始めとして失脚工作を行なっている。小沢一郎が検察にやられたのも親中派の小沢一郎が政権を取る事を望まない為であり、アメリカは日中が対決する構図に持ち込もうとしている。ロシアにしても同じだ。

EUとロシアについてもアメリカは分断工作を行なっているが、要するにアメリカはいじわる婆さんのようなものであり、アメリカの国益の為なら敵と手を組んで味方を見捨てる事も平気で行う。具体的に言えばアメリカは中国と手を組むためには韓国や台湾を見捨てて中国の勢力下に追いやっている。それがアメリカの国益だからだ。

オバマ政権になって一番危機感を感じているのはイスラエルだろう。イスラエルは韓国や台湾と同じくアメリカの支援なしには存立し得ない国ですが、アメリカの国力の衰退はこれらの国の後ろ盾から手を引く事を意味する。それに対して窮鼠猫をかんだのがイスラエルであり9・11テロはアメリカに対する警告だ。

イスラエルや韓国や台湾は冷戦時代には重要な橋頭堡でしたが、冷戦崩壊後はこれらの国はアメリカにとっては重荷になりいずれ棄てられるだろう。日本も同じように90年代になってジャパンバッシングでやられましたが、ドルや米国債を買う事で何とか生き延びることが出来た。アメリカが中国をG2とおだて上げているのもドルや国債を買わせるためであり、用が済めば中国も棄てるつもりだろう。

キッシンジャーやブレジンスキーのG2戦略は中国以外の全ての国をアメリカの敵にしかねない危険な戦略ですが、オバマ大統領はその戦略に乗るのだろうか? 田中宇氏流に言えばキッシンジャーやブレジンスキーはアメリカを滅ぼしたがっている勢力であり、もしかしたらイルミナティーの手先なのかもしれない。

世界を支配するイルミナティーから見れば、今まではアメリカは唯一の超大国でしたが、金融破綻して石油がなくなれば軍事力も無くなりアメリカは利用価値が無くなり棄てられるのかもしれない。そのように考えないとキッシンジャーやブレジンスキーの行動は不可解であり理解できないものとなる。サブプライム問題もイルミナティーが仕組んだアメリカを滅ぼす自爆テロだったのかもしれない。昨日もNHKで特番をやっていましたが、グリーンスパンもわざとバブルを発生させて金融危機の元を作ったのかもしれない。

韓国や台湾やイスラエルは、このような事を見抜いて、直面する敵との融和を図ってアメリカに見捨てられる前に自立を図るべきだ。日本も同じ事がいえるのですが、自主独立を訴えても親米ポチ保守の政治家や官僚にはその事が分からない。アメリカは将来的には北米大陸に引き篭もった国家になるだろう。やがては幾つかに分裂してハワイなども独立して日本の勢力下に置かれるだろう。


イスラエルを生け贄の羊にするオバマ政権 5月14日 苺畑より

おったまげたねえ?、This was so unexpected、寝耳に水だよ、こんなことは期待してなかった。俺(ミスター苺)はこれを読んだ時、2000ポンドの金槌でどつかれたかと思ったよ。(カカシ注:ミスター苺得意の皮肉です。)下記はCBSニュースより。

イスラエルは、ホワイトハウスで日曜日に行われたワシントンで強力な親イスラエルロビーであるイスラエル公共業務委員会(AIPAC)の献金者300人を集めた密室会議の折り、ラーマ・エマヌエル首席補佐官が放った言葉に危惧を感じている。

合衆国によるイスラエルへの揺るぎない支持を表現しながらも、エマヌエル氏はイランとの交渉はパレスチナ独立政府設立への交渉発展に異存している。

と語ったとイスラエルメディアは報道している。

エマヌエルはそういう脅迫じみた発言が本当にイスラエルの方針を変えると信じているのか?今度新しく、首相の座に返り咲いたベンジャミン・ネタニヤフが突然エクッド・バラク首相に様変わりするとでも思ってるのか? いや、ラーマ・エマヌエルは大統領が回りに集めた他の取り巻き連中ほど馬鹿じゃない。

ということは、いったい何が起きてるんだ?なんでバラク・オバマ大統領の主席補佐官が大々的に公共の場でこの二つの問題を結びつける理由はなんだ? 俺にはひとつしか考えられない。エマヌエルは奴のボスのオバマが(オバマだけじゃない、反イスラエル、反ユダヤで凝り固まってるオバマ政権の官僚達たちも含む)がイスラエルにパレスチナの要求を飲めと強引に迫る政策は失敗が目に見えている。そこでローム・エマヌエルはこの失敗をすべてイスラエルのせいするべくお膳立てをしているのだ。

二つの独立国解決策がまたまた失敗した時、(片方の国しかそんな解決策に興味ないんだから失敗は避けられない)政権はバラク・オバマの失敗をすべてイスラエルのせいにしようともくろんでいるのだ。 オバマこそがパレスチナとヨーロッパ左翼が「待ち望んでいた」国際世論を反イスラエルにする運動の先導者なのだ。あわよくば国連が汚水みたいに垂れ流す反イスラエル条例すら否決しないでいてくれるかもしれないのだから。

この冷血でナルシシストなお膳立てによって、エマヌエルは中東に前代未聞の戦争をもたらすかもしれないのだ、この戦争によってイスラエルは滅ぼされ、世界の経済が壊滅状態に陥れられるかもしれない。主席補佐官のうじ名を考えると、かなり皮肉な状態だな。





日本の閉塞感は政治家や公務員にいたるまで特権階級が固定化され、
子供の時から教育から差別化されてエリートの子がエリートになっている


2009年5月17日 日曜日

12人中9人が二世議員、総理大臣は二世議員でないとなれない!


作家・佐藤賢一さん、茂木健一郎さん対談 今の日本は革命前夜の仏にそっくり 1月27日 IZA

「今の日本は革命前夜のフランスにそっくり」。作家の佐藤賢一さんが、脳科学者の茂木健一郎さんと行った公開対談で、現在の社会情勢を独自の視点で語った。佐藤さんは『小説フランス革命』(集英社、全10巻)を執筆中。対談は第1、2巻の刊行記念として「日本はうまく変われるか」をテーマに、18日に東京都内で開催された。

佐藤さんは「フランス革命が起きたおおもとには、国家の財政破綻(はたん)があった。(革命を指導した)ミラボーが『国家の赤字こそわれわれの財産』といったが、変革は国家に弱みがないとできない。今の日本と同じ」と持論を述べた。

 興味深い共通項があるという。一つは、革命前に作家志望者が増えた点。「ミラボーは作家だったし、(政治家の)ロベスピエールやナポレオンも若いころ小説を書いている。革命前は、親が何だったかで自分の人生が決まったが、唯一の例外が芸術や学芸。小説家になりたがったのは、それしか突破口がなかったから」。一方、日本については「頑張ったら報われるという希望が薄れてきている。それでは満足できず、ブログで自分を発信したいという要求が社会の中でものすごく強い。非常に似通っている」という。

 そして、革命前の凶作と現在の金融危機。「誰が頑張ってどうなるというものではない。絶望感は場合によっては引き金になりうる。日本は革命が起きてもおかしくないところまで来ているのかなと思う」と続くところへ、茂木さんが「麻生さんがルイ16世ですか?」と冗談交じりに切り返し、会場をわかせた。

 佐藤さんは海外の歴史を知る意義にも触れ、「明治維新という成功体験だけで物事を考えるのは危険かなと思う。違う成功パターンを知ることは、自分たちの行動の選択肢を広げる」と締めくくった。



「下流の子は下流」は本当か? 格差世襲社会の現状を徹底分析 2008年08月25日 ダイヤモンドオンライン

「下流の子は下流?」 かなり刺激的なサブタイトルですが、現実にいまの日本は、そう言わざるをえない状況となっています。

 特集では、子どもの教育にはカネに糸目をつけない富裕層の話の一方、父親がホームレスになったために施設で暮らし、高校卒業後に施設を出たら自分もホームレスになってしまった青年の話など、対照的な事例が数多く出てきます。

 親の経済状態、生活状態によって受けられる教育が違い、それが最終学歴の差となり、職業、収入の差になっていく──。貧乏をバネに格差を乗り越えるどころか、まさに格差が「世襲」される社会になりつつあることがわかるはずです。自由主義社会の絶対条件である「機会の平等」は、いま風前の灯火です。

 学歴や資格、地位を得るには、試験など各種の選抜システムを経るだけに、本人は「自力で得た成果だ」と錯覚しがちですが、生まれつき手にしていた親の学歴、収入の差という「既得権」を元手につかんだ実績なのであれば、それは最初から公平な競争ではなかったのではないでしょうか。こういう競争を「出来レース」と呼びます。「世襲」とは、言い換えれば「出来レース」ということです。

 日本全体を見渡せば、政治家、高級官僚、経営者といった社会のリーダー層も、世襲にまみれています。選挙を勝つのに欠かせないのは「地盤、看板、カバン(おカネ)」といいますが、世襲議員が増殖する理由はまさにその点でアドバンテージがあったからにほかなりません。政治家というのは、「選挙」という一見、公平な競争を勝ち抜いて、自力でつかんだ地位のように思えますが、決してそんなことはないわけです。

 自らを明らかな特権階級と自覚するヨーロッパの貴族は、「ノブレス・オブリージュ(高貴な義務)」を素直に実践することができますが、自分は公平なレースを勝ち抜いてきたという誤解と奢りは、弱者の存在を見えなくします。そして、「貧しいのは自己責任」と勝者の論理を振りかざすようになります。リーダー層は、なぜいま自分がその地位にいるのか、自らに問い直す必要があるでしょう。

 現代の日本社会において、格差が存在することは仕方がありません。しかし、本人に原因のない格差の責任を本人に負わせるべきではない。産まれたばかりの赤ちゃんに、逆転不可能の人生を背負わせるような社会であってはなりません。

 そんな問題意識を込めた特集です。解決策は容易には見つかりませんが、まずはだれもが事態を自覚し、考えることにこそ意義がある。ぜひ、ご一読下さい。


麻生内閣は18閣僚中11人が二世議員、叩上げ議員は大臣になれない!


(私のコメント)
一昨日の日本テレビの「太田総理、秘書田中」で「二世議員は立候補を禁止します法案」を審議していましたが、それくらい日本の国会議員は世襲議員が多くなってしまった。昨日決まった民主党にしても小沢前代表も鳩山新代表も世襲議員だ。世襲議員は困難に直面すると問題から逃げてしまう。自民党の安倍内閣も福田内閣もそうだった。

宮沢内閣以来の内閣総理大臣は、驚く事にほとんどが世襲議員であり1年ごとにクルクルと総理大臣が代わった。日本の総理大臣となると国会答弁から外遊に至るまで毎日が非常にハードな日程をこなさなければならない。世襲の国会議員の多くがこの職責に耐える事が出来なくて総理大臣の座を放り投げてしまう。

公務員にしても、公務員の子が公務員になるケースが多くなってきている。昔は公務員は安月給だったのですが、今は民間の倍近くも給料が良くなっているから公務員の世襲化が進んでいる。特に地方公務員など議会選挙や首長選挙の手伝いなどで公務員は大きな影響力を持っているからコネで固めてしまう。

民間企業でも経営幹部が世襲だと他の社員のモラルが低下して優秀な人材が集まらなくなりますが、国会議員でも同じ現象が起きているのだ。選挙で選ばれるのだから何が悪いのかという意見もありますが、小選挙区制では世襲候補が党で公認されてしまうと党の支持者は選択する事が出来なくなってしまう。

公務員にも公務員試験がありますが、試験に受かるには教育レベルが高くなければ受からない。それには私立学校や塾通いが出来る裕福な家庭でなければ出来ないわけで、東大に入るには親が裕福な家庭がほとんどだ。一見公平な競争に見えますが格差社会は目立たないが出来上がって来てしまった。

フランス革命前の社会も親の職業で子の職業が決まってしまった社会であり、それから逃れるには小説家になるくらいしか方法がなかった。日本でも選挙区で世襲政治家が地盤を築いてしまうと新人の政治家が育たなくなってしまう。選挙区ではそれなりのメリットはあるのでしょうが日本全体では議員の質が低下して日本は沈没してしまう。

二世議員たちは選挙で勝ち抜いているのだからと身分を正当化しますが、地盤看板かばんで当選している不公平さに気が付いていない。日本社会が閉塞感で溢れてしまったのは無能な世襲議員の総理大臣が続いているからであり、今太閤的な田中角栄が総理大臣になった頃と時代が変わってしまった。

アメリカに支配されていたという点ではフィリピンは日本の先輩ですが、フィリピンを見れば日本の将来が見えてくる。フィリピンは1950年代まではアジアで一番豊かな国だった。しかし民主政治も腐敗すれば世襲に近い政治体制になり政治が堕落して二流国家になってしまった。アメリカの没落もブッシュという世襲の大統領がなったためであり、日本も世襲の総理大臣が日本を没落させている。


世襲大統領を強制する「民主主義」

エストラダがフィリピンの大統領に当選したとき、それはフィリピン社会の「漂流」の始まりであった。そしてエストラダがその腐敗と汚職に対する広範な人々の怒りの告発を受けて辞任においこまれた今は、フィリピンの「遭難」のはじまりである。エストラダというような、無能かつ下劣な人物がなぜ選ばれたのか、それは、大統領選挙というシステムそのものに根本的な問題があり、おそらくは避けることのできない事態であっただろう。しかし、フィリピンにおける真の問題は、エストラダではなく、アロヨである。

アロヨの登場は、マカパガルの娘であるという一点に基づいている。それは先のアキノと同様である。アキノはマルコスに殺されたアキノの妻という資格だけで登場し、農地改革を中心とする数々の改革を約束しながら、何一つ実現させようとせず、一家とともに国家を私物化し、フィリピンを単なるメイドとダンサーの供給地に転落させた。それが「黄色い革命」の内容である。

十五年前の「市民革命」の再演などと騒いでいるマスコミも、ではなぜこのエネルギーあふれる市民の皆さんが、かくも下劣な大統領を選ぶにいたったのかを明らかにしないのか。エストラダは単に映画界のスターとしての人気だけで大統領になったのか。そうだとすれば,フィリピンの市民はなんという愚か者であろうか。その愚か者が、裏切られたといって怒り、自分が選出した大統領をひきずりおろして、「ピープル」の力だの何だのと自画自賛し、しかもこれに追随するマスコミの醜怪さ。これこそが「民主主義」の本質なのか。「民主主義」とはかくもくだらないものなのか。

 このような事態は「おくれた」フィリピンだけのものなのか。もちろんそうではない。全世界に醜悪な「民主主義」を押し付けてはばからないアメリカがその手本を見せているではないか。アメリカ大統領選挙の混乱は、投票システムとか、読み取り機とかの問題なのか。そうではない。そこにあるのは「誰が大統領になっても何も変わらない」アメリカであり、「それなら同じ家族、家系から何人大統領が出ても問題ない」社会である。

共和党と民主党という党派間の闘争はあり、どの党が政権を取るかによって、利権を得る部分と失う部分はめまぐるしく交代するが、寄生的帝国主義としての政治そのものはいささかの変化もない。ブッシュ家の二代目の後には、あるいはケネディ家の何やらが登場するかもしれない。(後略)



(私のコメント)
日本も1980年代までは、がんばれば総理大臣にだってなれる社会でしたが、宮沢内閣以降は世襲議員でないと総理大臣になれない国になってしまった。これは日本だけではなく「民主主義」のお手本のアメリカでも世襲の大統領が生まれるようになり、二代目のブッシュ大統領の後もクリントン元大統領の妻が大統領の座を狙っている。アメリカといえども日本やフィリピンを笑えないわけだ。




和解により、Googleは裁判所がこの夏に著作権を認可するのを
待って書籍の提供を拡大し、数百万冊の書籍を利用できるようになる


2009年5月16日 土曜日

電子書籍の時代が迫ってきているのだろうか? 5月7日 大西宏

アマゾンが電子書籍リーダーKindleを米国で発売したのが2007年。大変なチャレンジをはじめたと思っていましたが、テッククランチの記事によると、Kindle版書籍が、販売数ベースでは、印刷された普通の書籍の35%が売れるようになったそうです。
Kindle版書籍の売上げ数は印刷版書籍の35%に達している

最高経営責任者(CEO)Jeff Bezos氏の発表シーンの後ろに映し出されているグラフを見ると、どうも今年の2月段階では13%に過ぎなかったものが、5月には35%にまで売上数が急増しているようです。
理由が、書籍数の増加なのか、第二段のKindle2の発売との相乗効果なのかはわかりませんが、さらにアマゾンは画面が2倍のKindleDXを、昨日から発売しているので、昨日この夏から発売することを発表しているので、かなり本気になってきていることが伺えます。

まず興味を引くのは、電子書籍の時代が来るのかということです。音楽のアルバムを持ち運べるiPodのイノベーションを成功させたアップルのジョブスは、Kindleが売り出されて間もない頃に、そもそも書籍なんか読む人はいないと辛口の発言をしたようですがどうでしょう。
ジョブズ氏、KindleとAndroidをバッサリ

「あの製品がどれだけいいか悪いか、そんなことはどうだっていい。現実問題みんなもう本なんか読まないのだ。アメリカでは去年1年で読んだ本が1冊以下の人が40%。だから考え方そのものが頭っから無理があるんだよ、誰ももう本なんか読まないんだから」

確かに本を読む人が少なくなったのかもしれないけれど、それでも本を読む人口は決して少なくなく、しかも、ユーザーの立場で考えると、別に書籍として本棚に保存しておきたいものはそう多くありません。
電子書籍化すれば読みたいと思った時にすぐに手に入る、印刷された本よりは安く購入できる、本棚に書籍が増えない、本棚をひっくり返さなくともすぐに探しだせる、もしタグなどをつける機能があれば付箋もいらないなど、結構電子書籍のメリットはあるように感じます。
大阪の古書籍店の老舗である天牛さんのお話では、「本は所有するものから消耗するものに大きく変化しました」ということだそうですから、その典型が「携帯小説」というカテゴリーかもしれませんが、さらにもっと電子化された書籍市場が広がってもなんら不思議ではありません。

日本でも、SONYが電子書籍リーダー「リブリエ」を発売しているのですが、どうもこちらのほうは鳴かず飛ばずで、昨年末に「Timebook Townでのコンテンツ販売は終了いたしました」というお知らせがありますが、そのお知らせがリンク切れになっていて、なにかもの悲しく感じます。
LIBRIe(リブリエ)

電子書籍という市場はきっとあると思います。ただ実現するのが難しいということでしょう。「リーダー」というハードを作ることはこのビジネスのほんの一部のパートでしかなく、ひとえにどれだけコンテンツを蓄積しそれを提供できるビジネスのプレイヤーが登場するかにかかっているということです。
「Kindle用の書籍は現在275,000冊分が出版されており、Amazonの総売上の中でかなりの部分を占める人気本がほとんど」(テッククランチ)だそうですが、日本語の電子書籍という市場を切り開くリーダーが果たして登場するのかという問題に突き当たりそうです。そういったリーダーが登場するまでもなく、やがてアマゾンが日本語版をつくるのかもしれません。


ソニーとGoogle、電子書籍でAmazonに対抗 3月23日 ITメディア

米Amazonの電子書籍端末「Kindle」に対抗して、ソニーと米Googleが19日に提携を発表した。Googleの書籍デジタル化プロジェクトで提供している著作権切れの書籍50万冊以上を、「Sony Reader」で読めるようにする。Sony Readerのユーザーは、オンライン販売サイトのSony eBook Storeを通じて書籍を無料で入手できる。提携金額は公表されていない。

 「われわれが目指しているのは自社のストアから本を買ってもらうことだけではない」と話すのは、ソニー米国法人のデジタルリーダー事業部門社長スティーブ・ハーバー氏。「この端末でアクセスできるコンテンツが増えるほど、ユーザーにとっての価値も高まると考えている」

 電子書籍業界の競争が激化しつつある中で発表された両社の提携。ソニーとAmazonは、新世代の電子書籍端末で優位に立とうとしのぎを削っている。これを制することができれば、AppleのiPodが音楽で実現したのと同じことを出版分野で実現し、端末の製造とデジタルメディアの販売で収益を上げることが可能になる。Amazonが先月発表したKindleの新モデル(359ドル)は、24万5000冊以上の電子書籍を利用できる。

 ソニーのReader(300〜350ドル)はこれまでに40万台以上が売れた。AmazonはKindleの販売台数を公表していないが、Citigroupの推計によれば昨年の販売台数は50万台。2012年までにKindleの年間売り上げは37億ドルに達する可能性があるとBarclays Capitalは予想している。

 Amazonは、ソニーとGoogleの提携についてコメントを避けた。

 Googleにとって、ソニーとの提携にはオンライン書籍サービスのユーザー層拡大を図る狙いがある。ここから新たな広告収入とサブスクリプション収入を上げたい考えだ。これは、デジタルコンテンツ検索からスタートしたハイテク大手のGoogleが、コンテンツ配布でも大きな役割を果たすようになったことを物語ってもいるが、出版業界の中にはそれを快く思わない向きもある。

 書籍をスキャンして検索できるようにするGoogleのプロジェクトを阻止しようとした2つの業界団体との間で、Googleは1億2500万ドルの和解を成立させた。しかし出版業界の一部には、これについていまだに不満がくすぶっている。和解により、Googleは裁判所がこの夏に著作権を認可するのを待って書籍の提供を拡大し、数百万冊の書籍を利用できるようになる。ソニーとの提携の対象となる書籍は今のところこの和解の範囲外だが、出版業界の中には、Googleが電子書籍リーダーのような新しい配信技術を活用して、自分たちを廃業に追い込むのではないかとの不安がある。

 「電子書籍リーダーが大きな市場になれば、もちろんGoogleが出版社の役割を果たすこともそう難しくなくなる」と、ドイツの出版・書籍小売業界団体で法務責任者を務めるクリスチャン・スプラング氏は言う。



DS、iPhone、フィルタリング問題 これからどうなる? 『電子書籍ビジネス調査報告書2008』 2008年7月22日 朝日新聞

7月9日、例年よりやや早く2007年度(2007年4月〜2008年3月)の電子書籍市場規模が発表された。

 電子書籍ビジネスに関する年次報告書ともいえる『電子書籍ビジネス調査報告書2008』ならびに『電子コミックビジネス調査報告書2008』(ともにインターネットメディア総合研究所/インプレスR&D)によれば、2008年3月期の市場規模は全体で355億円。数年来の勢いがいっそう増し、携帯電話向けの電子書籍が283億円、うちケータイコミックは229億円と、全体の約65%、携帯電話向け電子書籍の約81%を占めるにいたった。

 昨年度の報告書に見られた電子書籍配信サイトの飛躍的な増加は、この1年、落ち着きはじめている。かわりに「売れる」配信サイトがますます浮上し、上位数社がより強大になりつつある。アンケート調査の「サイトを選ぶ理由」に注目すると、2006年度までは品揃えや料金といった作品やサービスに関する回答が上位を占めていたのに対し、最新版では広告やバナーによる衝動買いがトップの「品揃えがよいから」に肉迫。市場が一定規模に達して、今後はいよいよ顧客獲得競争が激化していくことになるだろう。

 反対にパソコン・PDA向け市場は2006年度70億円から2007年度72億円と鈍化。すでにIT系のニュース媒体で報じられている通り、国内の読書端末とその配信サイトは撤収となる。読書端末についてはAmazon Kindle売れ行き良好のニュースと対比されるが、米シリコンバレー情報サイト・Teck Crunchの記事によれば、シティグループがその実売台数を1万〜3万と推定しており、売れ行きがほんとうに「良好」といえるかどうかは微妙で、読書端末や電子ペーパーに市場が開けるかどうかは、国内外を問わず、現段階では未知数である。

 ほかにDSやiPhoneなど、携帯電話以外のデジタル機器に対しても電子書籍・電子コミック配信ははじまった。ケータイではフィルタリングという課題も残されている。来年の報告書が発表されるころ、市場はこれまでと同様の成長率を保っていられるのか。引きつづき動向を見守りたい。



(私のコメント)
グーグルが電子書籍でかなり野心的な動きをしていますが、いずれは電子出版でもグーグルが最大手企業になるかもしれない。本や新聞や雑誌などの電子出版化は時代の流れですが、著作権や課金システムなどの問題があって電子書籍はなかなか軌道に乗らなかった。それに対してグーグルは業界団体と和解して数百万冊の出版が可能になった。

課金システムでも携帯電話で読む分には電話料金から引き落とせばいいのだからクリアできる。今でもクレジットカードで決済は出来るが手数料が大きいから1000円以上のものでないと割に合わない。電子書籍は印刷や製本がないからコストが安くて100円以下で販売されるものが多いから、小額課金システムは携帯電話の課金システムを利用すれば手数料も安く出来るだろう。

だから日本では携帯電話を利用した電子書籍がほとんどを占めるようになり、その内の8割がケイタイコミックだ。以前は専用の電子書籍端末などが売りに出されましたが普及しなかった。ネット上では著作権の切れた書籍の電子化が進んでいますが、これには著作権や課金システムは関係しない。

既存の出版社にとっては、新刊書も電子出版化が進むと中抜きとなって既存の出版社は存立が難しくなるだろう。既存の新聞社などもアメリカでは名門の新聞社が次々潰れている。作家などの著作権者にとっては取り分などがグーグルのように「売上高から37%をグーグルが受け取り、団体の手数料などを差し引いた分が著作権者の収入となる」ようですが、かなり著作権者の取り分が大きくなる。

既存の書籍の著三権者に渡る割合は10%程度であり、1000円の本が1万部売れても1割の100万円しか手に入りませんが、電子出版なら200円で1万部売れて取り分が50%なら100万円になる。読者にとっては1000円の本が200円で買えるのだから、かなり安くなる。しかし新刊書の電子出版は既存の出版社の抵抗でなかなか進みませんでしたが、グーグルやアマゾンなどで新刊書の電子出版が普通になされるようになるだろう。

「株式日記」も携帯で見ている方も多いと思いますが、これも一種の電子出版であり無料で公開しています。新聞社のニュースサイトなども無料で今は公開されていますが、ネットでの有料サイト化は難しいようだ。しかし広告収入に頼るビジネスモデルも世界的な金融危機で広告収入も落ち込んで難しくなった。

ネットでの有料サイト化が難しいのは、クレジットカード決済などの手続きが面倒なせいで手数料も高額だからですが、携帯電話ではポイント制で小額決済システムが完成しているからだ。パケット定額制で通信代も安くて済むし、ポイントを月額30円から2000円程度まで購入ができる。ポイントは使わなければ翌月に回せるから無駄がないのだろう。私は利用した事がないからよく分からないが、携帯だから可能なのだろう。

電子書籍ではケイタイコミックが独走しているわけで数百億円の市場になっている。ケイタイ小説やケイタイ動画なども広がっていくのだろうか。音楽などはケイタイやアイポッドなどにダウンロードして聞く時代となりCDは廃れてしまった。書籍なども電子書籍をダウンロードかストリーミングで読む時代となり、紙で製本された本は年寄り向けだけになるだろう。


「インフラ面の充実が携帯コミックのブレークに」ビービーエムエフ谷口社長  5月15日 エンタープライズ

―携帯コンテンツ市場が急成長した要因は何でしょうか?

谷口氏
 やはりインフラ面の充実が一番の要因で、パケット定額制が導入されたことが大きいですね。コミックの単価はひとつあたり30〜40円くらいだったとしても、ダウンロードするだけで2000円くらいの通信費がかかってしまっていましたが、定額制だとタダみたいな感覚になります。音楽も同じですよね。電話会社の戦略としてパケット定額制を導入することでどんなコンテンツが有効なのかを考えて、データ容量が大きいリッチコンテンツのように今まで現実的に買えなかったものをたくさん提供するようになったのも大きいですね。

―配信するマンガコンテンツの製作過程を教えてください。

谷口氏
 まず配信権を出版社や著者と契約し、契約が完了したらマンガを買ってきて作業をします。元のデータはもらえないので、紙からコンテンツに落とすんですよ。1枚ずつスキャニングして1コマずつ、読む順番を指示します。一話あたり30〜40円で携帯コンテンツとして売っているので、一話ごとにファイルを作っていかなければならないんです。われわれは月にこれを何十万ページと作って配信します。配信しているのはデジタルコンテンツなんですけど、アナログ的な人海戦術の作業が必要。そうなると人件費もかかってきます。東京だと場所もコストもかかりますから、いかに大量にそういう人を雇用できるか集められるかが大切ということもあり、中国に注目しました。今は南京と台湾にマンガコンテンツの製造工場があり、マンガのコーディング的なことを海外支社で賄っています。

―デジタルデータを出版社からもらえば、作業効率があがるのでは?と思うのですが。

谷口氏
 実は、作家はマンガのデジタルデータをもっていないんです。手描きの原稿を編集者がきれいにして、最終的には印刷会社に渡します。そこではじめてデジタル化されます。出版社と契約した場合に出版社からデジタル化されたデータをもらうことはありますが、それでもわれわれの作業はそんなに変わらないんです。というのは、携帯の画面上できれいに見えるための微調整が一番時間がかかるからです。チリみたいなごみなどもキレイに見えるように取り除いたりしています。

―『ケータイまんが王国』の展開について教えてください。

谷口氏
 今年の予想ダウンロード数は4億5000万。単行本にすると4500万冊くらいです。これはデジタルのすごいところ。本屋さんは場所をとるので常に新しい本を並べるが、デジタルは古い本も売り続けられるメリットがあります。

 『ケータイまんが王国』はそれなりの規模になってきましたから、うちのサイトで掲載している作品をうちのサイトだけで売るというだけではなくなってきています。2007年まで『ケータイまんが王国』だけで勝負していましたが、今は提携サイトがあります。例えば2008年の後半にYahoo!と共同で立ち上げたマンガサイト。Yahoo!ブランドでマンガサイトを立ち上げて、コンテンツは自社のものをすべて使う、といったBtoB的な戦略です。自社ブランドサイトだけでなく提携サイトも含めて販路を拡大しました。

 もう一つは海外への拡大。今は韓国と台湾ではじめていますが、5月からは中国にも拡大します。海外の携帯のコンテンツプロバイダに中国語や韓国語に翻訳したマンガコンテンツを販売委託します。

―御社のこれからの展開を教えてください。

谷口氏
 これまでは携帯で昔の作品を配信していたが、今後は新しい作品も配信していく必要があるだろうと思い、出版社を昨年作りました。作家さんに直接ケータイコンテンツ用にマンガを書き下ろしていただいて、ある程度話数がたまっていくと本として出版していくというビジネスモデルです。

 もともとマンガは週刊誌で最新作を発表して、話数がたまるとコミックスになって、そのあとコンビニ系のやすいマンガ本や携帯・ゲーム・映像化などで二次利用・三次利用というようなピラミッド的な販売構造になっています。この出版不況においてマンガは稼ぎ頭だけど週刊誌や雑誌は売れない。以前なら出版社は雑誌でもうけて単行本でもうけていたのですが、少しずつ雑誌の赤字を単行本で埋め合わせるといった形になってきたのです。出版社としても雑誌は毎週手間ひまかかるもの。

 弊社は、まず携帯で発表して単行本を売ります。われわれは作家さんに書き下ろしてもらったマンガを携帯に配信するためにデジタル化するので、大掛かりなコストがかからない。週刊誌と同等レベルのPR効果があれば、事業としては成り立つと考えています。現在書き下ろしで50タイトルくらいの連載がありますが、サラリーマンが好きそうなマンガを中心に携帯でまず発表して、次に単行本として出版し二次利用といった感じです。

―将来的な御社のビジネスの可能性や目標などを教えてください。

谷口氏
 中期的にはもっとマーケットシェアをとっていきたいですね。

 特に、われわれは出版社に近い業態を展開しているので、この出版不況でなかなかコンテンツを発表する雑誌がなくなっている背景をふまえて、そういったコンテンツの販売の受け皿になっていきたいと考えています。出版社にとって雑誌はやめるか続けるかどうかの瀬戸際と聞いていますから、続けてもらうためにも販売の受け皿としてうちのサイトを活用してほしいですね。もちろん出版社としては紙へのこだわりもあると思いますが、紙とともにデジタル流通の役割も大きくなるはずです。総合的な電子書籍という形の新しいメディアとして当分は併存する形になると思いますが、紙媒体が徐々にデジタル媒体へとシフトしていくのではと考えています。新しいジャンルのコンテンツも大歓迎です。

 あとは、海外。日本のユニークなマンガコンテンツの市場を作りたいですね。韓国、台湾だけでなく、中国、徐々にヨーロッパ、北米へ展開したいと考えています。幸いなことに弊社の幹部社員は元商社マンが多く海外勤務の経験がある人間ばかり。なので、海外に対してはあまり抵抗がないです。本命は中国です。華僑のビジネスに感化されているし、中国のビジネスの厳しさはわかっていますから、ここで大きく展開していきたいですね。



(私のコメント)
電子書籍の将来はケイタイコミックを見れば将来像が見えてくる。インターネットもパソコンで見る時代からケイタイで見る時代になってきた。そうなればウェブサイトの有料化もポイント制などで小額課金システムも可能だろう。しかし携帯電話の小さな画面で漫画やケイタイ小説を読むなどとはアナログ人間には理解できない事だ。さらにケイタイコミックは日本市場だけではなく世界に販売が出来るから市場は限りなく大きい。

さらに今までマンガ本をコンビニなどで買うことは若い女性には抵抗があって出来なかった事が、携帯電話でマンガを見ることが出来るようになって若い女性の読者が増えているそうです。特にエロ漫画などはエッチなシーンになるとバイブレータ機能がオンになってサービスが行き届いているそうです。



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