株式日記と経済展望

ページを繰り越しましたのでホームページからどうぞ。


日本の経済学者のレベルは海外の学者にも論文が引用される事が
無いほど悲惨だ。日本の経済学界はゴミの吹き溜まりである。


2009年4月15日 水曜日

クルーグマン教授「米、日本の失われた10年より悪い」 4月15日 朝日新聞

【ニューヨーク=丸石伸一】ノーベル経済学賞を昨年受賞した米プリンストン大学のポール・クルーグマン教授は13日、ニューヨーク市内で外国人記者との会見を開き、米経済の現状について「日本の『失われた10年』よりも悪い」と厳しい認識を示した。

 クルーグマン教授は、最近の米株式市場で景気底打ちへの期待が高まっていることについて「経済指標に予想より良いものが出てきたが、これは急激な悪化のペースが遅くなったことを示しているだけで、回復の兆しとはいえない」と指摘した。

 さらに、いまの米国と90年代の日本との比較では「失業率の急上昇に悩む米国をみると、日本の『失われた10年』の方がまだましで、我々は日本よりも悪い」と言及。かつて欧米では日本の対応が遅いと批判されたが、「同じような状況に直面すると我々も同じことをしている」とし、「我々は日本に謝らなければならない」とも述べた。

 経営難に陥っている米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の救済の是非については「オバマ政権は完全な破綻(はたん)は避けようとしているが、それは簡単な道ではない」と指摘。ただ、政府支援のもとで破産法を申請させる「事前調整型」と呼ばれる処理について「アフターケアなどを考えて消費者がGMの車を買わなくなるのではないかと心配している。自動車会社は航空会社とは違う」とも指摘し、破綻には慎重な姿勢もにじませた。



ポール・クルーグマン 2008年10月14日 nandoブログ

 経済学は悪臭を放っている。経済学は間違いだらけだ。ただし、どこがどう間違っているのか、経済学者は気づかない。彼らは単に「自分は正しい」と言い張るばかりだ。
 そこにクルーグマンが出現した。彼は、「おまえたちは悪臭を放っている。悪臭に気づけ」と指摘して、「悪臭の原因はこれだ」と指摘した。それはまさしくすばらしい指摘だった。……これが彼の最大の業績であり、彼をして世界のスーパースターとした原因だった。
( → 二枚舌でない経済学者(英文) ……多くの経済学者が、「一方の見方ではこうですが、他方の見方ではこうです」というふうに、舌を二枚 使うが、彼は舌を一枚だけ使うので、信頼される、という話。ただしこれを「片手落ちの経済学者」と誤訳する人もいるが。)

 なお、この英語記事のタイトルである one-handed economist という表現によるジョークは、経済学の世界では古くから知られたジョークである。(私のそばにある本の漫画では、手が9本ぐらいあることになっている。うろ覚えだが。)
 経済学者というのは全然アテにならないということは、経済学者自身が悟っている。だから自嘲して、しばしばジョークのタネになる。他の分野ではこういうことはないのだが。
 とにかく、経済学というのは、アテにならないのである。そして、そのことを、クルーグマンはうまく指摘した。そのとき、凡人は単にジョークで皮肉るだけだが、クルーグマンはうまく物事の核心を的確に見抜いた。……こうして、ジョークを言う人は笑いを取るだけだが、クルーグマンはノーベル賞を受賞したのだ。

 クルーグマンの業績の大きなものは、主流派経済学全体への批判だから、これといって特別の話題だけがあるわけではない。多くの分野にまたがって、あれこれと批判がなされている。
 ただ、特に大きいのは、通貨政策だろう。主流派のマネタリズムの政策に限界があること(インフレ期に有効だとしてもデフレ期には無効だということ)を、「流動性の罠」という概念を利用して、うまく説明した。
 この概念(流動性の罠)は、もともとはケインズの概念だったが、それをうまく拡張して、より広い形で適用した。これはたしかに、立派な業績である。私もまた詳しく説明したことがある。

  → 2002年1月10日1月18日以降

 クルーグマンの最大の業績は、ここにあると言える。だから、上の説明(ここから始まり、長々と続く説明)を、ちゃんと理解すれば、クルーグマンの偉大さもわかる。
 彼は、今日の不況に対する現代経済学の限界を指摘したのだ。人々が「こうすれば不況は解決する」と述べたこと(量的緩和だけでOKということ)に対して、その限界を指摘したのだ。

 とはいえ、このことを理解できない人が多い。クルーグマンがいくら「量的緩和だけでは駄目だよ」と指摘しても、いまだに「量的緩和だけでいい」と主張する経済学者が多い。
 さらには、より楽観して、「今の日本経済は量的緩和のおかげで正常化した。日本は景気回復を果たした。今日のすばらしい日本経済の状況は、過去の量的緩和と不良債権処理のおかげだ」と主張する経済学者も多い。
( ※ 上のブログの池田信夫もそうだ。)

 そして、こういう連中が、「アメリカも日本の真似をして、バブル破裂期には公的資金の注入をすれば大丈夫ですよ」と言い張っているわけだ。日本の現状の株価やワーキングプアも理解しないまま。  (^^);

 実は、クルーグマン自身の成果は、あまり大したことがない。彼は「インフレ目標」という提案をしたし、これもまた彼の業績の一つと見なされているが、これは、当時は話題になったものの、実際にはたいした業績とは見なされない。
 なぜか? その政策の意味は、次のことだからだ。
 「中央銀行が『物価は上昇しますよ』と嘘をつけば、人々はその嘘を信じて行動するので、嘘が真実(まこと)になる」
 こういう「嘘から出た真実(まこと)」というのは、当時は「うまいアイデア」と思えたのだが、よく考えると、「人々は誰も嘘を信じるはずがない」というふうに思えてきたので、実効性はとうとう理解されなかった。(中略)

以上のような理由で、彼の「インフレ目標」という提案は、実は大したことがない、と言えるだろう。(ま、弱い不況のときには役に立つかもしれないが、大きな不況に対してはまったく無効だろう。)
 とはいえ、「インフレ目標」という主張を出す過程で、彼は他の人々の難点をうまく指摘した。「量的緩和だけで万事OK」というような主張は全然駄目だ、ということをうまく指摘した。そして、それは、主流派の経済学全体に対する批判でもある。

 その意味で、クルーグマンがノーベル経済学賞を受賞したことは、今日の日本でも、大きな意味をもつ。なぜなら、今日の日本ではいまだに、「量的緩和だけで万事OK」という主張がなされているからだ。そして、そのあげく、株価低迷やらワーキングプアやら、ひどい状況が何年も続いているのだ。

 ただし、金融界だけは見事に復活した。「金融システムの崩壊を防げ」という名目のもとで、金融界に対して多大な援助がなされたからだ。
 その一例が、ゼロ金利だ。おかげで、国民は利子所得を大量に奪われた。その一方で、企業は金利低下のメリットをろくに受けられなかったから、結局、その差し引きとして、利率の差益が、金融界に莫大に入った。国民の金が莫大に金融界に注がれた。
 こうして、日本国民が貧困化しても、金融界だけは見事に復活した。いや、これは不正確な表現だ。金融界は、国民の富を大量に奪い、国民を死屍累々にさせて、それと引き替えに、自分だけは肥え太った。死者の肉を食って肥え太る餓鬼のように。
 そして、こういう状況を見て、経済学者たちは言う。「金融システムが正常化したから、経済は正常化したのだ」と。
 なぜか? なぜ地獄を天国だと表現するのか? 実は、彼らにとって経済とは、「金融システム」のことであって、「国民の経済」や「生産活動」のことではないからだ。

 こういう連中は、今もまた、「アメリカは金融界に公的資金を投入せよ」と大騒ぎしている。それでどうなるかも理解しないまま。というか、それでどうなったか、日本の現状を理解できないまま。
 今の経済学者は、クルーグマンのノーベル経済学賞の受賞を、理解するべきだ。彼がどんな業績を上げたかを知るためではない。彼がわれわれの誤りをいかに記したかを知るためだ。彼について知るためではなく、われわれ自身について知るためだ。彼の放つすべらしい光を見るためでなく、われわれの放つ悪臭に満ちた闇を見るためだ。
 地獄のなかにいるときには、真実に目を開く以外にない。地獄を天国だと偽る人(つまり主流派の経済学者)の言葉をいくら聞いても、地獄から抜け出すことはできない。(中略)

で、なぜ、悪口を紹介したか? 悪口が妥当だから? いや、違う。「悪口がイナゴのように押し寄せてくる」ということがわかるからだ。そのことで、「彼が経済学の主流派と対決している」ということがわかるからだ。
 このことは大切だ。本項でも先に指摘した通りだ。クルーグマンは学界の異端児なのである。というのは、彼が間違っているからではなくて、彼以外の大多数が間違っているからなのだ。
 ただしそのことは、新聞ではあまり指摘されない。単に「リベラル」というふうな、政治的な色づけで示されるだけで、経済学的に「異端だ」というな意味づけはされてない。
 しかし、経済学的な位置づけは大切だ。彼は経済学の学界ではほとんど孤軍奮闘しているのである。(ま、スティグリッツという仲間もいるが。)

 こういう状況を理解するべきだ。「クルーグマンはノーベル賞を受賞したから、学界で広く正当性が受容されている」と思うべきではない。むしろ、彼の正当性は、学界はまだまだ理解できないのである。学界はクルーグマンよりもはるかに遅れているのだ。
 そのことは、ちょうど、南部陽一郎がノーベル物理学賞を受賞するのに、あまりにも長い時間がかかったことに似ている。偉大な人物ほど、正当に理解されるには長い時間がかかる。
 現代の学界はまだまだクルーグマンを理解できていない。この状況を正しく理解しよう。彼は決して主流ではなく、学界の異端なのだ。現代の学界の大半は、「インフレ目標とは何か」もまともに理解できないような、頭のかびた連中(マネタリズムの一派)ばかりなのである。

( ※ ちょっとマスコミを弁護しておこう。先には、昔のマスコミの誤解を批判した。だが、一概に、マスコミばかりを批判するわけにも行かない。というのは、マスコミは、学界の偉い先生たちの意見を鵜呑みにしているからだ。そして、学界の偉い先生たちが「インフレ目標とは量的緩和のことだ」と主張して、「量的緩和だけで大丈夫」と主張したら、それをそのまま鵜呑みにして記事にするしかない。……だから本当は、お馬鹿なのは、マスコミではなくて、日本の経済学界なのである。実際、経済学者の多くは今でも、なかなか正解にたどりつけない。その意味で、今回の新聞記事では、マスコミは経済学界よりも少し先んじているとも言えそうだ。……なぜ? もちろん、カンニングの効果で。   (^^); )


(私のコメント)
4月12日に「バーナンキ氏やクルーグマン氏も、金融緩和が全く景気浮揚効果がないと知った今、財政出動が必要だと言い出したのである。」という株式日記を書きましたが、バブル崩壊後の不況はケインズ政策でしか対応は出来ない。株式日記では政府の財政出動の必要性を書き続けてきたのですが、アメリカも同じ事態に直面して大規模な財政出動を始めた。それがグリーンニューディール政策だ。

日本の学者やマスコミの記者たちは、アメリカのやっている事はみんな正しいと信じている人たちばかりなので、麻生総理の15兆円の経済対策に対しても「バラマキだ」とは批判しないようだ。小泉・竹中内閣では財政再建を最優先して構造改革と称して新自由主義経済を取り入れた。その結果がワーキングプアや派遣切りなどに反映している。

「賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶ」と言いますが、日本の経済学者やエコノミストなどの愚者を分からせるには、実際にやらせてみて失敗しないと分かろうとはしない。もちろんデフレ経済下では財政出動したところで景気は良くなるわけではなく底割れを防ぐだけだ。

アメリカの1929年から始まった大恐慌も抜け出すには20年もかかったのであり、日本の失われた10年も、おそらく20年はかかるのだろう。リチャード・クー氏が言うように資産の大暴落でバランスシートが毀損してしまって回復するのは20年近くはかかるからだ。回復しても借金はこりごりだとしてなかなか借りようとはしないから信用は拡大しない。

銀行には預貯金の残高が積みあがっていくのに、借り手がいないのだから金利は低いままだ。だから日銀は銀行を潰す事で銀行の競争を減らして金利を上げさせようとした。それが小泉・竹中構造改革なのですが、郵貯の民営化も究極の狙いは郵貯も簡保もつぶす事にある。

日本のマスコミはジャーナリズムの役割を果たしてはおらず、財務省などの官僚の言われるがままの記事を書いているだけだ。だからデフレ下で財政再建に突っ走ってしまったのですが財政を切り詰めた分だけ、今回の経済対策で吐き出す結果をもたらしている。愚者は失敗して体験しないと分からないのだ。

不良債権にしても竹中平蔵は早期の処理を主張して障害を取り除こうとしましたが、企業や個人のバランスシートが借金の過剰ならば倒産や破産させるよりも時間をかけて解消させるしかないだろう。もちろん銀行に体力があれば債権放棄などさせて過剰債務を解消させる事が出来るが、銀行はむしろ貸し渋りや貸しはがしをして倒産させている。

だからこそ日本もアメリカも公的資金を銀行に大量に注入して貸し渋りを防ごうとしている。貸し渋りをしているくらいだから景気も回復するはずも無いから、政府が財政出動をしないと経済は収縮していってしまう。リチャード・クー氏を批判する人たちは戦艦大和論で批判しますが、分かりやすく言っただけで、グリーンニューディール的な事を言うべきだった。

太陽光発電にしても風力発電にしても現在は効率も悪く、火力発電や原子力発電の方がコストも安く効率もいい。まさに戦艦大和と同じですが、昨日書いたハイブリッドカーのように量産化して大量に売れないと価格も下げられない。太陽電池パネルにしても補助金を出して大量に売れるようにしないとメーカーの研究開発も進まない。戦艦大和にしても巨大石油タンカーを生み出す技術の元になった。

技術革新については昨日も書いたように、新しい技術に対して金を払って買う客が必要なのであり、G3携帯電話もハイブリッドカーも売れたから商品化が出来て技術の進歩が進んだ。それらに対して日本の経済学者はガラパゴスだと言って批判するが、経済の停滞は技術の停滞が原因なのであり、技術の壁を破るには積極的な技術開発投資が必要だ。だから戦艦大和もゼロ戦も作る意味があったのであり、ゼロ戦も戦後の自動車産業の元になった。

南堂氏もブログで書いているが、日本の新聞記者たちもバカな経済学者の言う事よりもネット上のブログで勉強しなおして少しはまともになってきたようだ。15兆円の経済対策でハイブリッドカーが売れてデジタル家電が売れれば技術開発も進むだろう。売れなければ技術開発が停滞して古い車や古い家電製品が溢れてしまう。ガラパゴスと言われようが技術開発は進める必要がある。財政再建では現状は打破できない。

日本の経済学者のレベルは海外の学者にも論文が引用される事が無いほど悲惨だ。クルーグマン氏はリチャード・クー氏の論文を引用して財政出動の必要性を論じている。日本の経済学界はゴミの吹き溜まりであり、池田信夫氏のブログを見てもそれは分かる。


リチャード・クーは地底人か 2008年8月25日 池田信夫

カエルの面に小便という言葉があるが、あらゆる経済学者から小便や大便をかけられても、同じようなバラマキ政策を主張するリチャード・クー氏の脳は、両生類以下なのだろうか。しかし朝日新聞(23日4面)によると、彼が「麻生太郎氏の経済政策の理論的支柱」だというから驚いた。クー氏は、日本の90年代を「失われた10年」ではなく、バラマキ政策の成功した「輝ける10年」としてこう評価するのだ:(中略)

こういう理論は、30年前から世界の経済学の通説で、実証的にも検証されたものだ。したがって80年代以降、財政で「景気対策」なんかやる先進国はない。この程度のことは(地底人には理解できないようだが)どんな初歩的な教科書(たとえば『中谷マクロ』)にも書いてある。麻生氏は教科書を読む時間はないだろうが、せめてこのブログにたくさんアクセスしてくる衆議院の秘書(?)に知ってほしいのは、地底人の話なんか真に受ける政治家は最底人だということだ。




今回の世界不況では日本の自動車産業の対応は速かった。トヨタ株の
復権はマーケットにも、産業界全体に対しても世直し効果は大きい。


2009年4月14日 火曜日

新型プリウス予約2万台突破 インサイト超えるペース 4月14日 中日新聞

トヨタ自動車が5月中旬に発売する新型ハイブリッド車(HV)「プリウス」の受注台数が、予約開始から2週間足らずで2万台を突破したことが13日分かった。ホンダの新型HV「インサイト」を超える受注ペースで、「すごいことになっている」とトヨタ幹部。HVの技術や価格競争は激化しており、低迷する国内自動車市場の起爆剤になりそうだ。

 新型プリウスは5月18日に発売予定。現行モデルはトヨタ店とトヨペット店で販売しているが、新型はレクサスを除く4販売系列すべてで扱う。

 予約は今月初めから本格的に受け付けを開始し、10日に2万台を突破。11、12日の土日でさらに数千台を上乗せした。競合するホンダのインサイトが発売開始1カ月で達成した1万8千台をすでに上回っている。

 2008年度のプリウス国内販売台数は約7万台。新型は、その3分の1程度を受注した計算になる。

 販売店によると、新型プリウスの納車は3−4カ月待ちの状態。最低価格を205万円程度と現行モデルよりも約30万円安くしたことに加え、今月から始まったエコカー減税やインサイトとの相乗効果が台数を押し上げているようだ。

 新型プリウスは排気量を現行の1500ccから1800ccとし、燃費はガソリン1リットル当たり38キロと約7%改善した。トヨタ堤工場(愛知県豊田市)などで、輸出分を含め月間4万4千台を生産する。



株で見る世の中:「世直し相場」につながるトヨタ自動車株の上伸=犬丸正寛 4月9日 サーチナ

麻生内閣の自動車購買刺激策もヒット

 トヨタ自動車 <7203> の株価が、「世直し相場」の役割を担ってきた。相場の中期的な強さの判断となる「26週線」を3月最終週に上抜いてきたことがある。実に、2007年7月以来、1年9ヶ月ぶり。下げに下げた同社株が底打ちから本格的な出直りに転じたことを意味する。しかも、総就業者数500〜600万人を擁する自動車産業界におけるボスである。世直し効果の役割は十分といえる。

 麻生内閣もこの主役の扱いを承知していた。自動車買い替えに補助金を出す。今は、節約ムード一色で、車検5,6回受けて、10年以上乗っている人はざら。そこに目をつけた。購入後13年以上の車を廃車として、新車を購入すれば1台当り最大25万円の支援。買い替えでなくても、低燃費の新車を購入すれば1台当り最大10万円が補助される。ドイツで採用されている方式だが、良いものは真似ればいい。

 既にスタートの休日の高速道路料金割引も好評だ。ETC車に限るというところもITに強い麻生内閣らしい。低燃費車と言えば日本。こつこつと、早くから頑張ってきた効果だ。これから花を咲かそうとしている。大型車一辺倒で、努力を怠ってきたGMなどアメリカの自動車産業とは明暗がはっきりしている。

 ハイブリット車ではホンダのインサイト(価格189万円)が発売後わずか1ヶ月で受注台数1万8000台と高人気。トヨタ自動車も新型プリウスを5月から販売する。排気量1800cc、走行距離リッター当り38キロ、価格は205万円程度。既に、受注台数は1万台を超えたという。今度の制度で13年乗った車からプリウスへ乗り換えるなら「205万円―25万円」=180万円。魅力的。

日本の物作り復権への足音高まる

 今回の世界不況では日本の自動車産業の対応は速かった。社会批判はあったものの、思い切った人員削減を行った。このため、回復に向えば収益の上向きは大きい。しかも、日本自動車産業の復権は、「日本の物作り」に自信となる。先のワールドベースボールでの日本チーム優勝は緻密なチームワークの良さであり、物作りの心にもつながるものであった。トヨタ自動車株の復権はマーケットにも、そして、産業界全体に対しても世直し効果は大きい。当面5000円相場がめどになるだろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)


(私のコメント)
3月14日の「株式日記」において少なくても現時点で、「ハイブリッドかEV(電気自動車)を持っていない自動車メーカーは生き残れない。これから着手しようとしても遅いのです。」と書きましたが、その頃はトヨタの株も3000円そこそこで株を買われた人はいるのでしょうか? それから1ヶ月も経たずにトヨタの株は4000円にもなっている。

マスコミではトヨタショックだのと騒いでいたのですが、マスコミの記者で株の事を分かっている記者はほとんどいない。株をやるにしても自分の専門分野を絞ってやる事が大切であり、マスコミの記者は所詮は耳学問であり受け売りに過ぎない。ハイブリットカーは売れるかどうかは最近まで分からなかった。

ニッサンやマツダがハイブリッドに乗り遅れたのは、ハイブリッドカーは過渡的な自動車であり作ることが難しかったからですが、トヨタやホンダも10年以上もデーターを収集しながら作り続けてきた。たとえ作ったとしても燃費が良くならなければ意味がない訳であり、走りも悪ければ売れるわけがない。だから欧米のメーカーも手を出さなかった。

ハイブリッドカーは一台の車にガソリンエンジンと電動モーターの二つの原動機を乗せて走るのだから非常に複雑な車になる。コストも当然かかるわけで1000万円ぐらいで売らないと赤字になるような車だった。ところがホンダのインサイトは180万円台で発売されるようになりトヨタの新型プリウスは205万円で発売される。

今月発表された経済対策ではエコカーに買い換えれば25万円の補助金が付く事になり実質180万円で買える事になる。インサイトは160万円台になる。ところがニッサンやマツダはハイブリッドカーを開発していないから絶好の機会を逃した事になる。カリスマ的に称えられているニッサンのカルロス・ゴーン社長も次世代車の読みを誤った事になる。

ハイブリットカーも10年たってようやく主力商品となり、世界的経済危機で車がぱったりと売れなくなった状況において救世主的な車となりつつある。ニッサンやマツダはエコカーの流れに乗り遅れて脱落していくのでしょう。アメリカのビックスリーも倒産は時間の問題であり、AUWを抱えたままではエコカーを作ることは無理でしょう。

確かにアメリカは軍事技術や宇宙開発技術でダントツの技術力を持っている。しかしそれを自動車に生かせないのはなぜだろうか? 問題はコストでありコストを無視すればロシアや中国でも有人宇宙船を打ち上げる事が出来る。問題はどうやってコストダウンするかであり量産しなければコストダウンは出来ない。量産するには売れなければ出来ない訳であり、新もの好きな国民がいないとハイブリッドカーは出来ない。

携帯電話でも日本はガラパゴスと言われていますが、車でもガラパゴス化して別世界となりつつある。このような現象に対して野口悠紀夫氏や池田信夫氏は批判的ですが、物作りは止めて金融立国を目指せと言ってきた。まさにプリウスもインサイトもガラパゴスカーと呼ばれるのでしょうが、携帯電話でも自動車でも日本標準が世界標準になるのではないでしょうか? ダントツの技術格差をつけてしまえば彼らは断念するでしょう。


なぁ、日本が独自のことをするとガラパゴスと呼んで、アメリカが独自のことをするとグローバルと言うのはやめないか?

野口悠紀雄や財部誠一のような日本の経済学者、エコノミスト、アナリスト、経済ジャーナリスト、言ってることが日持ちがしませんね。


ハイブリッドカーが売れる商品にまで開発できた事は奇跡でもあるのですが、ハイブリッドカーの成功が自動車用バッテリーの開発にも影響を及ぼしてきた。このようにもの作りには波及効果があり次々と新しいものを作ることが出来るようになる。リチウムイオンバッテリーのような高性能バッテリーが安くなれば産業革命的な技術変革が起きるだろう。

19世紀が蒸気エンジンの時代なら20世紀はガソリンエンジンの時代だった。21世紀は電動モーターの時代となり、ロボットなども電動モーターで動いて、鉄腕アトムの時代がやってくる。日本はその一番先端に位置しており、昨日のNHkの「クローズアップ現代」でも日本のロボット兵器が注目されている事が報道されていた。


「プリウス、インサイト……次世代車・爆発的普及前夜」(09/04/14) 日経エコロミー

新型プリウスの予約を受け付けたところ、1週間で1万台に上ったということです。発売までには予約が4万台に達するかもしれません。ハイブリッド車等の低燃費車は補助金や税制優遇が受けられることもあって、この自動車不況の現在、唯一明るい兆しがあります。次世代車の爆発的普及前夜ということでしょうか。

 今回から、このコラムはタイトルを一新します。これまで「2010年に生き残るクルマ」と題して環境対応車(エコカー)や自動車メーカーの最前線の動向を追ってきましたが、2010年が来年に迫り、今後のクルマの行方が明確に見えてきました。ちなみに、次世代車爆発というタイトルは、次世代車が爆発的に普及するという意味で、爆発炎上するわけではありません。しばらくのお付き合いをよろしくお願いします。

 では、なぜ次世代車なのか。なぜそれが爆発的に普及すると考えられるのでしょうか。その理由にはいくつかあります。

 まず、逃れられない背景として、地球温暖化と石油資源の枯渇があります。この2つの問題が、自動車の行く手を阻んでいます。これまでのエンジン車では、解決が非常にむずかしいので、それに代わる新しい自動車=次世代車が求められているということです。

 確かに、自動車を生産し、販売する義務を負う自動車メーカーと、それを監督する行政府は、次世代車の開発を促進しなければなりませんが、私たちユーザーには関係ないといういい方ができないわけではありません。果たしてそうでしょうか。

 地球温暖化は私たちに健康被害をもたらし、生活を困難にします。私たちがその防止に努めなければ、誰が防いでくれるでしょうか。これは私たち自身の問題なのです。なぜなら、そもそも私たちの生活のスタイルが、地球温暖化を促進してしまうものだからです。

石油はすぐに枯渇してしまうわけではありません。しかし、景気が回復すれば08年6月のように、ガソリン代が再び180円近くに上昇するという人たちが多くいます。そして、それほど遠くない未来に石油の供給不足が起こると心配されています。石油価格の高騰は、否が応でも私たちの生活を圧迫します。

 それを避けるには、石油の省エネルギーが必要であり、私たち一人一人が石油の節約に努めなければなりません。

 しかし、自動車に関しては、乗用車も商用車も、たとえエコドライブに努めるとしても限りがあります。自動車そのものが省エネになる必要があります。

 ごく当たり前のことですが、私たち自身が未来の地球を決定してしまうことを今一度確認する必要があると思います。そして、そこに次世代車が深く関係します。

 ただし、次世代車が高価では購入ができません。私たちの手が届く範囲の価格になってほしいものです。そのためには量産が必要です。量産を可能にするには、私たちが大量に購入しなければなりません。そのためには安くなければ……と、次世代車は鶏が先か、卵が先かという無限の連鎖に陥りがちなのです。

このしがらみから脱却するには、自動車メーカーが大量生産を決意すること、私たちは多少高くとも購入する決意をすること、政府は補助金で自動車メーカーと私たちをサポートする決意をすることが求められます。

 次世代車と呼ばれる新しい自動車は、上記の2つの問題を解決に向ける技術が使われている自動車で、具体的にはCO2排出量の削減と石油の節約あるいは代替燃料の使用が可能な自動車です。

■メーカー、消費者、政府が一体となって……

 そうした次世代車の普及が目前だという理由は、上記の3者の決意がいよいよ固まってきたと考えられるからです。

 自動車メーカーのうち、地球温暖化と石油枯渇に危機感の強いメーカーは、次世代車の開発を進め、一部のメーカーはすでに発売しています。そして、トヨタとホンダは、次世代車の代表であるハイブリッド車のコストダウンにすでに成功しています。(後略)





日本が安保理常任理事国になって日本の国際的発言力が増強
することをもっとも好まない国は同盟国アメリカに他ならない。


2009年4月13日 月曜日

History repeat itself (歴史は繰り返す) 4月13日 増田俊男

北朝鮮の飛翔体発射が人工衛星でなくミサイル発射実験であったことは衛星が軌道に乗っていないことで明白である。2006年7月の北朝鮮ミサイル発射と同年10月の核実験の北朝鮮にとっての政治効果は3年分の原油と経済援助(ならず者国家返上による国際金融機関からの融資資格確保)の獲得であった。

一方アメリカにとっての政治効果は、日本が難色を示していた安保理地位協定外(日本に義務のない)の沖縄の米海兵隊(8000家族)のグアム移転費用に対する対日要求のほぼ満額回答であった。アメリカは常に北朝鮮のミサイル発射や核実験はアメリカと同盟国(日本)にとって脅威であるというが、本当は対日脅威を増幅させるためであって、北朝鮮もアメリカも北朝鮮の脅威がアメリカを対象としていないことは両国阿吽の認識である。(最近アメリカの高官がうっかり口を滑らしてしまったが)

実は北朝鮮の脅威はアメリカと北朝鮮の共通の利益なのである。1998年8月30日のテポドン1号が秋田沖を通過した直後政府は重い腰を持ち上げ、将来兆円単位のコストがかかる日米共同MD開発(ミサイル防衛システム構築)の推進を決めた。いよいよMDのため今年から毎年5000億円を上回る予算を計上しなくてはならないから政府は財政難の折柄国民のコンセンサスを得る必要があった。

幸い今回のミサイル発射で野党といえども5000億円予算に反対できないだろう。MD予算の大半はアメリカの軍産複合体へ流れるのは言うまでもない。MDは1998年の研究段階からいよいよ今後は膨大なコストを要する防衛施設建設段階へと向かう。北朝鮮の軍事脅威は必ずこうした節目に起こるのである。政府は今回の北朝鮮のテポドン発射が安保理決議違反であることを国連議長決議で明確にできたなどと喜んでいるようだが、「もののわかる政治家」は地団駄を踏んでいるのではないか。

日本が安保理常任理事国になって日本の国際的発言力が増強することをもっとも好まない国は同盟国アメリカに他ならない。アメリカが必要な時にいつでも北朝鮮が日本に脅威を与える体制下に日本がおかれている限り、アメリカは日本を安保理の名の下に支配し続けることができるのである。

自国の安全(命)を他国(他人)に100%委ねている日本は、まだ国(一人前)になっていないのである。1945年の敗戦以来日本はいまだに敗戦国のままである。世界の独立国の一員になるための唯一の要因は自国の安全を自国で守ることである。「平和とは戦争準備期間であり、軍縮とは低コストで戦争に勝つことであり、核開発禁止は国連常任理事国(核保有ライセンス国)が核を寡占することである」。

誰でも平和を願うが、願わされていること(マインドコントロールされていること)を忘れてはならない。「平和ボケ」とは、真実を探求せず、「平和」という美しい言葉を念仏のように信じることである。信じることができるのは事実以外にはない。人間の歴史は依然として戦争の歴史である。日本はどこまで「知らぬが仏」を通せるか。“This is what matters”(それが問題である)。



日本に新しい核武装論!? 2008年5月24日 遠藤健太郎

日本が核武装なら軍拡競争に?

 【時事通信より】米連邦議会調査局は22日までに、日本の核武装の可能性やその影響について分析した報告書を作成。日本が万一核兵器の開発を決めた場合、アジアでの核軍拡競争を招く恐れがあると警告した。
 また、世界的な核不拡散体制に打撃を与える事になり、日本に対する国際的評価は損なわれ、UN安保理常任理事国入りの可能性は無くなるとの見方が多いと指摘した。


 これが米国の正体であり、日本の「反日似非左翼」が「従米安保」を最も支えているという皮肉の根本でありましょう。

 米国は、こうした連邦議会関係者やシンクタンクから報告書を出させて「内政干渉に見えないよう内政干渉する事」を得意としています。この報告書は、米国内で大きく取り上げられるものである筈など無く、完全に日本国民向けでしょう。一種の世論誘導です。

 そもそも、かつて中川昭一代議士が指摘されたように、日本は出鱈目な「非核三原則」どころか「核は作らず・持たず・持ち込ませず・考えず・議論せず」の「非核五原則」状態です。つまり、日本に於いて改めてまともに議論する事もままなっていない事柄について米国が意見してきたわけです。

 その三原則を出鱈目と断ったのは、既に米国によって核は持ち込まれてきたからであり、以前より言われているように、やはり米国は日本の核武装を脅威に感じて決して許さないという事なのでしょう。

 反戦・非核を世界に訴えてきたつもりに浸っている日本を尻目に、まさに「つもりだっただけ」であるという証拠に、北京共産党の核武装を見過ごし、北朝鮮にまで核保有宣言をさせてしまいました。さらに北海道の目と鼻の先にあるロシアも、(極東地域は相当手薄ですが)言わずと知れた核保有国です。日本はもうとっくに薄汚い核兵器に取り囲まれているのです。

 広島・長崎の被爆体験を持つ日本が、なぜ核兵器の恐怖をかくも軽く看過しようとするのでしょうか。

 私は、広島・長崎の先輩たちがあんなにも醜く焼き殺され、生き残って尚「原爆症」に苦しめられてきた事を思えば、日本がそれ以上の高性能な(はっきり申し上げて世界トップレヴェルの)原爆を手にする事に抵抗はあります。まして日本には核武装より先にせねばならぬ事が山積しているのです。

 しかし、かくして核兵器の恐怖を一番よく知っている日本人は、核兵器そのものの持つ「もう使えないと言われる程の兵器」としての外交的威力をも一番よく知っている筈でしょう。にも拘わらず、特定アジア3国や原爆を投下した米国に一も二もなく「保有の放棄」を明言してしまう事はあまりにも愚かです。

 ついでに申し上げるなら、米国が日本の核武装に絡めてUN安保理常任理事国入りの話をするという事は、いかにUNが文字通りの第二次世界大戦連合国組織であるかを表し、こんなものに色目を使ってきた日本は間違いだったという事をむしろ鮮明にさせます。米国は「理事国入りなんかさせないぞ」と日本を脅してきたようなものです。

米国の核の傘に入り続けるという事
 私は先に「薄汚い核兵器」とわざわざ書きました。
 ならばこの地球上に現在「小綺麗な核兵器」なるものがあるかと言えば、恐らく一つもありませんね。米国の核兵器は、かろうじて「日米同盟」の名の下に日本にとって現状無害であるというだけで、繰り返しますが、彼らは既に30万人以上の大日本帝国臣民を虐殺しています。

 日本ほどの経済大国が核武装もせずに他国からの攻撃を一切受けないで62年間も過ごしてこれたのは、この薄汚い米国の核の傘に入り続けてきたからです。

 本当にこれでいいのでしょうか。しかもその米国が、仮に人民解放軍による日本侵略を目の当たりにして核攻撃も辞さぬという決死の覚悟で日本防衛に加担してくれる、と多くの日本国民は本当に思っているのでしょうか。昨今、この「日米安保」の出鱈目に日本国民も気付き始めたと思います。

 もし、日本が核保有宣言をするなら、同時に核保有国・日本として全世界の核保有国に「一斉に核を廃棄しよう」と訴えると良いでしょう。

 核兵器を持たぬ国の非核運動は「どうせ持っていないから言っているだけ」と一蹴されますし、日本のささやかな運動も「敗戦国の被害者面」で片付けられてきましたが、いよいよ核保有国・日本として言えば大変なプレゼンスを発揮します。その崇高な理念の下に開発されるなら、それに係る予算は決して無駄では無いとも思います。

 それでも手離そうとはしないであろうチャイナや北朝鮮、ロシア、はたまた米国の姿を見て、日本国民はいよいよ「反戦・非核」がかくも困難である事に係る「平和」の本当の意味を知るのです。

 私は、これまでの対特定アジア向け防衛の一環としての核武装論だけでなく、このような敢えて青い視点から核武装を論じていく事も必要ではないかと考えます。

 ともすれば、日本の核兵器が人類史上初の「小綺麗な核兵器」になるかもしれないのですから、私は一国民として大いに平沼赳夫代議士や中川昭一代議士らによって提起される核の議論に参加したいと思います。


(私のコメント)
日本への63年間にも及ぶ米軍による占領統治は現在でも続けられているのであり、それに気が付かない日本人は馬鹿なのです。ドイツは早くから気が付いているから東西ドイツの統合が実現した時点でアメリカからの独立に動き始めました。ドイツにはEUという共同体があるからそのような事が出来たのですが、日本は単独で行なう必要がある。

日本の政治家や官僚やマスコミは米軍とともに日本の支配階層としての地位を認められればいいのであり、政治家や官僚の世襲化が進んで身分の固定化が進んでいる。それは米軍当局にとっても都合がいい事であり、小泉純一郎の息子の小泉進次郎はアメリカのシンクタンクに留学して、支配階層として仕込まれて選挙に立つようです。

官僚たちも多くがアメリカに留学して帰ってきますが、多くがアメリカの工作員として仕込まれて来るようだ。アメリカに留学しないと官庁での出世も出来なくなりアメリカ帰りの官僚でないと幹部になれないシステムが出来てしまっている。これは発展途上国から多くの留学生を受け入れて、帰国後はその国の国家のエリート支配階層となっている構造と全く同じだ。だから発展途上国の若手政治家は皆英語が達者だ。

小沢一郎がスキャンダルを暴露されたのも検察とマスコミの連係プレーですが、アメリカにとって好ましからざる政治家は連係プレーで失脚工作が行なわれて、田中角栄のように処分されてしまう。平沼赳夫が脳梗塞で倒れたのも薬を盛られたのかもしれないし、中川昭一大臣がイタリアで薬の入ったワインを飲まされて記者会見でベロベロになってしまったのも、官僚とマスコミの仕業かもしれない。

佐藤栄作総理が非核三原則を打ち出したのも沖縄返還の代わりの代償として持ち出されたのでしょうが、単なる国会決議にすぎず法律でも条約でもないのだからいつでも撤回できるものだ。しかし米軍によって日本が支配されている現状ではどうすることも出来ない。

遠藤健太郎氏のブログいもあるように、日本は非核三原則ではなく「考えず、議論もせず」という五原則なのだ。北朝鮮が核実験をしたりミサイル実験をしたりしているのに、アメリカ政府の態度は妙に北朝鮮に寛容でありテロ指定国家も解除してしまった。その思惑としては増田俊男氏が書いているとおりですが、今回の北朝鮮のミサイル発射で日本のMD計画は大きく進むだろう。

アメリカは日本に金を出させる事にばかり熱心であり金蔓としか考えてはいない。日本を守ってあげているのだから金を出せという事なのでしょうが、アメリカが本土を核戦争の恐怖に巻き込んでまで日本を守るのかという事は安保条約のどこにも書いてはいない。いわばリップサービスであり、日本が焦土と化してもアメリカにとっては他人事に過ぎない。

アメリカに文句を言っても「自分の国は自分で守れ」という正論を言われるだけであり、ならば日本が核武装を検討しようとするとなんだかんだと言ってくる。現代においては核兵器以外は政治的には役に立たないものであり、核武装していないと外交交渉でも足元を見られて相手にされない。

アメリカが中国をアジアの覇権国家としてG2を言い始めていますが、これに対して日本は何の抗議もつけてはいない。北朝鮮の問題に対しても日本や韓国の意見よりも中国の意向を最優先している。アメリカが衰退して極東から手を引いた後もアメリカは中国を通じて日本を抑え込む事を考えているからだ。そうなれば韓国や台湾も同じ運命だ。

遠藤健太郎氏のブログにもあるように、日本の反日左翼もアメリカのコントロールで動いているのであり、護憲運動は日米安保堅持につながる行為であり、平和運動をすればするほど日本の自主独立からは遠ざかっていってしまう。自民党の結党の主旨は自主憲法の制定ですが、全くおざなりになっている。

最終的には日本から米軍がいなくなってくれないことには日本の自主独立はありえないのであり、小沢民主党代表の「第七艦隊がいてくれるだけで十分」という発言はアメリカ政府を刺激するには十分な内容だ。だから西松建設問題で検察が動いたのでしょうが、検察の背後にはアメリカの影がある。

第二次世界大戦前はアメリカは地理的に絶対安全圏にあり戦争を起こさせては漁夫の利を得てきた。しかしアメリカは自ら開発した核兵器とミサイルによって絶対安全圏ではなくなり、アメリカ本土への核攻撃の可能性が強まりましたが、核開発の広がりは止められない。

本来ならば核を持っていないイラクではなく、核を開発している北朝鮮に戦争を仕掛けるべきなのですが、北朝鮮の核には寛容だ。それは日本に対する核の脅威になり、日本はアメリカの核の傘に頼ることになる。それはアメリカにとって利益になることだ。だからアメリカにとっての裏の同盟国は中国であり北朝鮮なのだ。アメリカにとって一番恐れるべき事は日中が手を組んで反米同盟を結成する事である。




バーナンキ氏やクルーグマン氏も、金融緩和が全く景気浮揚効果が
ないと知った今、財政出動が必要だと言い出したのである。


2009年4月12日 日曜日

経済政策論争における勝者と敗者、さえない顔色の竹中平蔵氏
(サンプロより)


竹中平蔵氏とリチャード・クー氏の論争 構造改革か財政出動か 2月24日 おゆみ野四季の道

元経済財政担当相の竹中平蔵氏と野村総合研究所主席研究員リチャード・クー氏との間で実に興味深い論争が毎日新聞闘論(21.2.1)紙面上で行なわれた。

 それは一言で言って「日本の失われた10年は失敗だったのか、成功だったのか」という議論である。

 勿論一般的な評価は「失敗だった」と言うことで、竹中平蔵氏はその急先鋒である。
「財政拡大は需要落ち込みに対する一時的な時間つなぎの手段なのに、・・・不況脱出に不可欠な銀行の不良債権処理や経済構造改革を進めず、・・・・公共事業中心に時間稼ぎだけをやっていたため、財政にとんでもない借金だけが残った」と散々だ。

 それに対しリチャード・クー氏は「90年代のバブル崩壊後、不動産価格はピーク時から9割近く下がった。・・・(それなのに)90年以降GDPは縮小していない。それを可能にしたのが大規模な公共投資だ」と擁護する。

「何もしなかったらもっと悲惨な結果になったのだから平均して1%程度の成長をしたのだから上出来ではないか」と言っているわけだ。

 当初はクー氏の論説はほとんど無視された。クー氏は典型的なケインズ主義者だが、ケインズ経済学はすでに過去の経済学とみなされていたからだ。
竹中氏の言う「構造改革こそが規制ばかり多い日本の経済構造を打ち破り、グローバリゼーションの波に打ち勝てる唯一の方法」と思われていた。
「アメリカへならえ」と言うことだ。


 しかし、ここに来て状況が一変してしまった。日本・アメリカ・西欧がこぞって低金利政策をとり、政策金利がほぼ0%近くまでなったのに、まったく経済が好転しないので、各国は一斉に財政出動に動き出した。
「ほれ見ろ、金融政策を諦めて財政出動に政策転換したじゃないか。オバマ政権は72兆円規模だ。これは90年代の日本と同じじゃないか(日本は失われた10年間に約140兆円の財政出動をした)」とクー氏は言う。

「企業も家庭も紐を締めて金を使わないなら、あとは政府がその需給ギャップを埋める必要がある。恐慌時にはケインズ政策が有効だ」
さらにクー氏は鼻息があがって「戦争なしで恐慌を回避したのは日本だけの快挙だ」とも言う。

「日本は世界に先駆けて恐慌を経験したが、それを財政出動で乗り切った。この経験を今世界が真似ている。日本の経験は世界の模範だ。だから失われた10年は成功経験なのだ」と言う評価なのだ。

 考え込んでしまった。つい最近までマネタリストで構造改革派の竹中氏の天下だったが、リーマン・ブラザーズの倒産以降すっかり世界が変わってしまった。
今はケインジアンリチャード・クー氏の天下だ。


 クー氏によれば需給ギャップに相当する金額だけ財政出動が必要と言う。現在の日本の需給ギャップは約20兆円だと政府が発表しており、一方これに対する麻生政権が予定している財政出動は約12兆円なのだからまだ8兆円も足らない。
しかも放っておくと、この需給ギャップはますます拡大していく。

 だからとクー氏は言う。「赤字国債を発行してすぐさま10兆円規模の(内容は問わない)公共投資をすべきだ」

 一方劣勢の竹中氏は「基本は構造改革だが、止む終えず財政出動をするならば、将来の日本のためになる羽田空港拡張のような投資にすべき」と条件闘争に変更した。

 今回の経験で分かったことは、経済理論もそのときの状況によって正しかったり正しくなかったりすると言うことのようだ。
私など最近まで「経済理論は正しいか正しくないかのどちらかだ」と思っていたが、浅はかだった。

 経済が不況になり需給ギャップが現れてくるとケインズ経済学の時代になり、反対に経済が加熱している時はマネタリストの時代になると言うことのようだ。

 経済政策論議はそのときの経済状況によって左右されると言うことが分かっただけでもいい経験をしたと思っている。


「『財政出動』に向かう米国論調の留意点」(2009/01/22) リチャード・クー

それでは、このような巨額な資金を米国政府は実際にファイナンスできるのだろうか。実際、私が国内外で米国の財政出動の必要性の話をすると、世界最大の経常黒字国であった日本はともかく、世界最大の経常赤字国である米国が、本当に日本と同じようにファイナンスができるのかという質問を非常に多く受ける。

国内過剰貯蓄使えば財政赤字のファイナンス問題なし

 しかし、これまでの4.8兆ドルに至る議論のなかで述べたように、この4.8兆ドルは、米国の家計が新たに貯蓄を増やそうとすることで発生するデフレギャップである。逆に言えば、もしも米国の家計が4.8兆ドルも貯蓄を増やそうとしなかったら、最初からデフレギャップは発生せず、政府が景気対策を打つ必要もない。

 ということは、バランスシート不況下でデフレギャップが発生した時には、デフレギャップと同額の過剰貯蓄が同国内で発生していることになる。従って、バランスシート不況下での財政出動は、国内に新たに発生した民間貯蓄を政府が借りて使えば良く、新たに海外から資金調達する必要は、基本的には無い。つまり、経常収支が赤字であるか、黒字であるかにかかわらず、バランスシート不況下での景気対策に必要な資金は、その国の中で発生している民間の過剰貯蓄でまかなえるはずなのである。

 実際、日本でも経済がバランスシート不況に突入し、財政赤字が急拡大していく局面では、多くの財政再建論者が高金利の到来を予測し、日本経済はそこから破滅に向かうと警告していた。しかし、現実は全く逆で、政府債務がGDP比で急増する一方、金利は大幅に下落し、現在も国債の利回りは人類史上最低水準のままである。

これは当然の結果であり、民間が一斉にバランスシート修復に回り、お金を借りて投資をする人が激減しているなかでは、民間貯蓄を運用しなければならない立場にある銀行や生保のファンドマネジャー達は、資金量に比べ運用先がなく本当に困ってしまう。そこに政府が国債を発行する形でお金を借りに来れば、これら民間のファンドマネジャー達は喜んでこの最後の借り手にカネを貸すことになり、だからこそ国債の価格は高くなり、その利回りは低くなるのである。

バランスシート不況下の低金利は「自然の摂理」

 つまり、一回バランスシート不況が発生すると、政府は通常では考えられないくらい低い金利で資金調達が出来るのであり、またこれは経済という生き物が市場という場を使って、自分たちの救済を政府にお願いしている声と言えよう。

 その意味で、バランスシート不況下に金利が下がり、市場が政府に財政出動を促すのは、経済が何とか生き残ろうとする「自然の摂理」とも言えるのである。これは、民間が元気な時に政府が財政赤字を出そうとすると、市場が国債金利の上昇を介して、その政府の行動にブレーキをかけようとするのと全く同じ摂理である。

 実際、直近の米国の予想財政赤字額は、わずか数カ月前と比べても著しく増加しているが、米国債の利回りは急低下している。これは15年前の日本で起きたことが今の米国でも起きているということの証であり、米国の債券市場は、ここにきて完全に「バランスシート不況モード」に入ったと言える。そういったなかで、新大統領に財政出動を辞さないとしたオバマ氏が就任したことは不幸中の幸いであったと言えよう。

バーナンキ、クルーグマン両氏も財政出動の必要性にようやく気づいた

 また、これまでは金融政策重視の姿勢だったバーナンキFRB議長やクルーグマン・プリンストン大教授までもが、財政出動の必要性に言及し始めている。これらは彼等が10年前に日本に対して言っていたことと完全に逆であり、注目に値する変化である。

 例えば、クルーグマン教授が10月17日付けのニューヨーク・タイムズ紙に載せたコラム“Let’s Get Fiscal”は、これを読んだ何人もの人から「実はリチャード・クーが書いたのではないか」と言われたほど、これまでの彼の主張とは違っていた。

そのコラムの中で、彼は、バーナンキ議長が経済のためにできることは限られており、利下げをしても経済をわずかに押し上げることぐらいしかできないが、財政政策にはまだ十分にその余地があるとし、また今は、財政赤字の規模を気にする時期ではないとさえ述べている。これは、1999年11月号の文藝春秋で同教授と対談した時の私の主張とそっくりである。

 つまり10年前は、バーナンキ氏やクルーグマン氏は、日本は積極的な金融緩和で不況を乗り切るべきであり、一向にそうせず、財政出動ばかりに頼っている日本を強く批判していた。例えばクルーグマン教授は、私との10年前の対談の中で、当時の日本について「財政には余裕がないと思います。いま問題のカギを握るのは、現在の状況で求められていることがわかっているのに、積極的な金融緩和策をとることを拒否している頑迷固陋(がんめいころう)な日銀だ」とし、「マネーサプライが拡大していくと約束することによってインフレは起こせる。経済が回復基調に乗ったあとも、引き続き量的緩和策を取り続けると約束する。それが最も重要なポイントだ」と述べている。

 またバーナンキ氏も、当時は日銀の政策委員のなかで話を聞くに値するのは(金融緩和を主張している)一人だけだとまで言っていたが、そのバーナンキ氏自身が当時の日銀と同じ立場に置かれ、巨額の流動性供給も史上最速の金融緩和も、当時の日本と同様に全く景気浮揚効果がないと知った今、今度は、当時の日本政府が採っていた財政出動が必要だと言い出したのである。

 この2人が金融政策重視から財政政策重視へと180度スタンスを変えたことは、これまでの日銀の主張が正しかったことを認めたことになり、このことは、これまで金融政策万能論に傾斜していた米国の経済学界が間違っていたことを認めたことになる。

 米国経済学界の主流派を自負していたこの2人が、金融政策は万能ではなく財政出動も必要な時があることに気付いたことは、今後の日本の経済学界の論調にも影響を与えよう。日本の経済学界は米国の受け売りをする傾向が非常に強いからだ。(中略)

ただ「景気が悪いから財政出動」では不況は長引く

 ただ彼等の議論を聞いていて気になるのは、その大半は単に「景気が悪いから財政出動」であり、まだ彼等の認識は「バランスシート不況だから財政出動」にはなっていないという点である。

 この違いがなぜ重要かというと、前者の場合、財政出動で景気が良くなればすぐそこで財政出動はカットされる可能性が高いが、後者の場合なら、民間のバランスシートが回復するまでは財政出動は続けなければならないという意識が働くからである。

 実際にバランスシート不況を経験した日本でも、その当初はバランスシート不況という概念自体がなかったので、これまでの発想で財政出動を実施したが、それで景気が上向くと今度は皆が財政再建を言い出し、それで景気が悪くなると再び財政出動に走るということを繰り返した。この「ストップ・アンド・ゴー」の政策をやってしまったことで、不況は必要以上に長引いて、経済の体力も大幅に減少し、人々の景気回復への期待も大きな失望へと変わっていった。

 これと同じことが米国で起きる可能性は極めて高く、その意味では今回、財政出動があって景気が一時的に上向いても、決して安心してはいけないことになる。少し景気が上向けば、日本と同様、財政再建論者が再度台頭して来て、景気の回復を潰してしまう可能性があるからだ。その意味では、米国内の論調が財政出動に向かっていることは歓迎すべきことであるが、これが一過性のものなのか、それとも、バランスシート不況であるということを認識した上で実施されたものかは、しっかり見極める必要があるのである。



天敵、竹中平蔵氏を前に意気揚々と自説を述べるリチャード・クー氏
(サンプロより)


(私のコメント)
今日のサンプロではリチャード・クー氏と竹中平蔵氏の討論がありましたが、麻生内閣の経済政策にリチャード・クー氏の意見が大きく採用されている事はよく分かります。その結果15兆円の補正予算が組まれて追加経済対策が行なわれますが、小泉内閣の頃には考えられない政策だ。

小泉内閣では財政再建と構造改革が経済政策の中心であり、歳出も医療福祉政策などがカットされ、構造改革も製造業にも派遣労働が認められて賃金水準の低下が進んだ。小泉・竹中経済政策の失敗は明らかであり、財務省の経済官僚はバブル崩壊後の不況がバランスシート不況であることを理解するには東大を出た程度の知能では理解できないのだろう。

私自身も零細の不動産業者ですが、入った収入のほとんどが銀行の返済に回ってしまって消費に回すカネは無い。このような状態では政府が財政を出動させてカネを回さなければ経済はどんどん縮小していってしまう。企業がどんどんカネを返していけば、それだけ市場に流通しているマネーが消えてなくなることであり、それが信用の収縮だ。

金融政策では金利を下げたり量的な緩和をすることも必要ですが、企業や個人が借り入れをしないで借金返済に一生懸命の時は、借り入れも増えないからファンドマネージャーたちも資金運用に困ってしまう。企業も個人も使うよりも貯蓄に走り、銀行も借入先を探すのに苦労するようになる。だから国が国債を発行して財政出動させるのは正論なのであり、財務省はその事が理解できない。

しかしアメリカでも、バーナンキFRB議長やノーベル賞を貰ったクルーグマンが財政出動論者になったという事は、日本では唯一リチャ−ド・クー氏の言っていた財政出動でバブル崩壊後の経済収縮を回避できる唯一の手段なのだ。しかし日本では小泉・竹中政権下ではリチャード・クー氏はマスコミから追放されたような形になってテレビで見かける事はなくなった。

財政出動を主張すれば「子孫に借金を残すのか」という感情的な議論がなされて、財政再建路線が行なわれて「失われた10年」が「失われた15年」になってしまった。バーナンキもクルーグマンも金融政策でヘリコプターマネーをばら撒けばインフレになって、相対的に借金は縮小していくはずだった。ところがアメリカ政府の大盤振る舞いでも金利はゼロ金利のままでありドルも円を除いて高くなったままだ。

つまリ現在のアメリカやヨーロッパが直面している事は、90年代に日本が経験して来た事であり、日本はその意味では欧米を追い抜いて十数年も先の世界を走っている事になる。おそらく欧米でも赤字国債の増大で怯んでしまって財政再建を言い出す人が出てくるだろう。そのときは日本の経験を話して説明する必要がありますが、日本の経済学者やエコノミストはレベルが低いので無理だろう。

本当に景気が回復してくれば資金需要が増大して金利も上がって来るだろう。しかし政府日銀は無理やりゼロ金利を解除して金利を上げたが、三度ゼロ金利に戻さざるを得なくなっている。たしかに日本では2007年頃にミニバブルが発生しかけましたが、二度にわたって金利を上げて量的にも金融を引き締めてしまって、黒字倒産する企業が出てきてしまった。

経済常識からいえば赤字国債を大量に発行すればインフレになると言うのが経済学の常識だ。ところがGDPの1,5倍もの赤字国債が発行されてもインフレの気配もない。起きているのはデフレだ。円も高くなるばかりで常識とは逆の事が起こっている。アメリカでも同じ事が起こっているから、バランスシート不況では赤字国債増大=インフレという公式は成り立たない。

バランスシート不況下では会社も個人も貯蓄に走って使わないからインフレが起きない。だからホンダやトヨタは史上空前の利益を上げたが、従業員の給与アップには使わず内部留保を積み上げた。日本の大企業は内部留保をタックスヘイブンに大量に置いて日本には還流してこない。だからタックスヘイブンをG20で規制すれば日本にそれらの資金が戻ってきて株や不動産に使われるようになり、流れが変わるだろう。




麻生首相は、自民党本部でカツカレーを食べながらサルコジ仏大統領を
ボコった武勇伝を披露した。ロンドン会合でもメルケル独首相をボコった。


2009年4月11日 土曜日

【ドル帝国溶解】(上)新決済通貨「SDR」 中国提案に米は狼狽 4月9日 田村秀男

「ドル帝国」が揺らいでいる。19世紀の大英帝国は、植民地・南アフリカの豊富な金資源をもとにポンドによる世界帝国を築いたが、ドイツなど新興国の挑戦で弱体化した揚げ句、米国に世界の覇権の座を譲った。ただ、新秩序移行までは2度の世界大戦、その間の大恐慌という大災厄を経なければならなかった。今、二の舞いを避けるためだろうか、浮上しているのがドル溶解案である。ロンドンで開かれた主要20カ国・地域(G20)の金融サミット(首脳会合)を機に事態は動き出した。

 ドルを多国通貨と混ぜて溶かし込み、新たな合成通貨をつくったらどうか−。口火を切ったのは、中国人民銀行の周小川総裁である。周氏はロンドン・サミット前に「主権国家と無縁な通貨をドルに代わる貿易・金融取引の決済手段とするのが理想」という論文を発表した。

 この新決済通貨とは国際通貨基金(IMF)が発行する「特別引き出し権(SDR)」を指す。ドルや円は米国や日本の政府が保証するが、IMFが発行して各通貨との交換権利を約束するのがSDRである。SDRの交換レートはドル、円、ユーロ、英ポンドの4通貨の相場を総合して決めており、ドルが下落しても円やユーロの上昇で相殺されて価値は下がらない。

 この主張にオバマ政権は狼狽(ろうばい)した。周氏の背後には「脱ドル」に方向転換する共産党中央、いや胡錦濤総書記・国家主席がいるはずだ。周氏は親米派の市場重視派とみなされ、本来はドル基軸体制擁護派の胡総書記に取り入ってきた。

 それだけにオバマ大統領は論文が伝わった3月24日、ドルに代わる新たな国際通貨の創設は「必要ない」と否定。ガイトナー米財務長官もその翌日、「米ドルは依然として世界の基軸通貨であり、長期間にわたってそうあり続ける」と強調した。

 ドル換算で約2兆ドルの外貨準備を保有する中国のドル総資産は、米国債を中心に一兆数千億ドルに上るとみられる。世界最大の米国債保有国であり、米金融市場の安定の鍵を握る。昨年8月、米連邦住宅金融公社2社の株価が急落したとき、ブッシュ前政権はただちに2社を政府管理下に置いたが、それは「2社の債券を大量に持つ中国への配慮だった」(サマーズ国家経済会議委員長)という。

 クリントン国務長官は先の訪中時に、胡総書記に対し、中国の米国債購入継続を「評価する」とわざわざ言及し、中国の人権侵害は口にしなかった。ワシントンでは中国を取り込もうと、「米中G2」論が相次ぐほどだ。

 北京の独立系エコノミストの仲大軍氏によれば、中国国内では暴落するリスクが高まっているドル資産を大量に持たされる現状について、「中国は米国に拉致されたのも同然だ」との不満が高まっているという。だが、ドル債急落の引き金を引いて国富を喪失するのはまずい。結局は「ドルに代わる基軸通貨はただちにはないが、基軸通貨の役割が小さくなる漸進的な移行過程に入った」(中国社会科学院国際研究部の張蘊嶺主任)と判断するしかない。このためか胡国家主席はG20の場で「主要準備通貨の為替相場の安定性維持と、多様な国際通貨制度の開発が必要だ」と発言し、具体的なSDR代替案への言及は避けた。

 オバマ政権は時間稼ぎになると踏んでいるのだろう。「SDRの役割拡充に向けた検討は排除しない」(ガイトナー長官)とし、米国の支配力が強いIMF内部での論議にまかせる算段だ。

 しかし、ドル体制を溶かそうとするエネルギーの封印は解かれた。欧州、ロシア、産油国とマグマは動いている。(編集委員 田村秀男)


【ドル帝国溶解】(中)独仏の迂回作戦 「租税回避地」狙い撃ち 4月10日 田村秀男

 紙幣を乱発すれば価値を失い、国家は破滅的打撃を受けるという経済学の常識は米国には通用しない。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年9月に勃発(ぼっぱつ)した金融危機に対応するため、わずか4カ月で一挙に平時なら十数年もかかる追加資金供給に踏み切った。同時にゼロ寸前まで金利を引き下げたがドル相場は安定し、インフレ懸念もない。

 原油など国際商品や金融資産の大半はドルで取引されている。金融商品に投資していた欧州の金融機関が危機後、清算しようとしたらドルが払底し、欧州各国は米国に頭を下げてドル資金を融通してもらうしかなかった。商品市場からもドルが消え、原油相場は暴落、産油国ロシアからは投資資金が逃げ出した。

 金融危機までは、ドイツやフランスは欧州統一通貨「ユーロ」圏を拡張したが、危機の波及でユーロ圏から脱落する国が出そうな情勢になった。ロシアのプーチン首相はルーブル建ての石油輸出の準備を進めてきたが、今やその野望も吹き飛んだ。

 米国発金融危機のもう一つの側面は、挑戦者の意気をくじく米国の「焦土作戦」とも映る。米国自体、大量の失業者を抱え、大手金融機関や大手自動車3社の経営危機に見舞われているが、同時に基軸通貨ドルの威力を見せつけた。

 これに対し、フランスのサルコジ大統領は怒り、危機打開のためにワシントンで開かれた昨年11月の第1回20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)で「米ドルはもはや世界の基軸通貨ではない」とぶち上げたが、あえなく不発に終わった。

 今月2日にロンドンで開かれた第2回サミット前夜、サルコジ大統領はメルケル独首相と長電話し、金融規制の強化要求で一致した。最も重視したのが、「租税回避地(タックスヘイブン)」への監督・規制強化である。米議会でも課税逃れする企業や金融機関が問題視され、オバマ大統領も同意したことで独仏案はほぼ全面的に通った。

 ドルに代わる基軸通貨の検討を促した中国の胡錦濤国家主席やロシアのメドべージェフ大統領に比べると地味だが、周到に熟慮を重ねた上での独仏連合の対米本土迂回(うかい)作戦である。

 タックスヘイブンとは何か。主に英国領ケイマン諸島などカリブ海のリゾート地なのだが、超低税率を餌に世界の企業や金融機関、投資家の本社を帳簿上受け入れている。

 米国の金融機関の利用が活発化した契機は、2001年の「9・11」米中枢同時テロ後に制定された「愛国者法」である。愛国者法はテロ資金の監視強化を定めたが、中東産油国や中国の資本家など身元を知られるのを嫌う者が拠点をロンドンとケイマン諸島など英領に一斉に移した。世界の余剰資金はこれらの地域を経由し、米国のヘッジファンドや金融機関の投資ファンドに流入。米財務省統計によれば、昨年9月末で米金融機関の対外負債の4割、約180兆円がカリブ海にある。

 その米金融機関は住宅ローン債権などをベースにした証券化商品や金融派生商品を大量発行し、米欧を中心に販売した。タックスヘイブンはドルの信用を増殖させる米金融資本の巣窟(そうくつ)になっている。これらを厳しく取り締まれば、ドルの金融パワーは大きくそがれる。ケイマンに直結しているロンドンからユーロ関連の金融取引シェアを奪回できる。独仏連合はオバマ政権を欧州の規制の土俵に呼び込めば、焦土作戦に巻き込まれなくて済むと踏んだのだろう。米欧間の国際通貨の主導権争いはこれから本番を迎える。(編集委員 田村秀男)


【ドル帝国溶解】(下)アジア共通通貨構想 限界に来た日米G2 4月11日 田村秀男

 日米同盟の礎を築いた祖父・吉田茂の遺伝子なのか、麻生太郎首相の対米協調の決意は並ではない。ロンドンでの第2回金融サミット(首脳会合)を控えた先月、麻生首相は自民党本部でカツカレーを食べながら「サルコジ仏大統領をボコった武勇伝を披露した」(田村耕太郎参院議員のブログ)。ロンドン会合でも「メルケル独首相をボコった」(同)。サルコジ大統領は昨年11月、ワシントンでの初回サミットで基軸通貨ドルをおとしめ、メルケル首相は米国からの財政出動要請に反撃していた。

 麻生首相が独仏の抵抗に危機感を抱いた背景には過去の苦い教訓がある。ドル安を加速させた1985年9月の「プラザ合意」当時は黒字国の日本とドイツ(当時の西ドイツ)が協調していたが、ドイツが金利を引き上げ、対米金融協調で「ノー」と言った途端に起きたのが87年10月の株価の大暴落「ブラックマンデー」だった。結局、ジャパンマネーが米市場を支えたが、日本はバブルを呼び込んだ。

 90年代の米民主党クリントン政権は日本に黒字減らしを強要した半面で、IT(情報技術)革命を起こし、世界の投資家を引き付けた。ブッシュ前政権は日本からの超低利資金を住宅ブームと重ね、証券化商品、金融派生商品(デリバティブ)により天文学的規模でドル信用を増殖させたが、バブルとなって崩壊したのが、現在起こっている未曾有の金融危機である。米国内総生産(GDP)の2倍以上もあるとみられる問題金融資産の処理にどれだけの年数がかかるかメドが立たない。

 黒字国の出番だと思いがちだが、麻生首相がいくら力んでも日本はデフレ不況と高齢化の進行で所得は減り続けている。貯蓄率が急落し、倹約意識に目覚めた米国に逆転されかねない。

 対照的に、高い貯蓄率を維持する中国は昨年9月、日本を抜いて世界最大の米国債保有国となった。日本は米国債保有をむしろ減らしている。その中国も「ドル債暴落」を恐れ始めている。利にさとい中東産油国も対米投資に腰を引く。

 独仏にとっては日本の批判はさておき、周辺国を共通通貨「ユーロ」圏に取り込む好機である。旧東欧はユーロに加盟しようと自国通貨を切り上げる。するとドイツの対外資産はユーロ換算でかさ上げされる。今年ユーロに加盟したスロバキアの通貨は3年間で24%切り上がった。隣国のチェコも加盟に向け通貨切り上げに躍起だ。

 ユーロ圏に入ればドイツ企業はそこで為替変動リスクに煩わされず、低コストで製品を現地生産し、ドイツ国内と同じ価格で売って高収益を挙げられる。決済通貨ユーロの普及で日本企業のようにドル相場の下落で巨額の損失を被ることがないし、日本のようにデフレ病にかかることもない。政府がエコカーへの購入補助など消費者の背中を押すだけで成果を挙げている。

 ユーロをモデルに浮上しているのが「アジア共通通貨単位(ACU)」構想である。ACUは参加国通貨を混ぜ合わせて仮想通貨をつくる試みだが、円、人民元、韓国ウォンの主要3通貨間の比重すら決まっていない。中国は国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の国際決済通貨化を軸に、ドル、ユーロを超越した第3の国際通貨構想を練っている。河合正弘アジア開発銀行研究所所長は「SDRとACUは共存できるはず」とし、ドル基軸後に向け、中国、韓国、インド、東南アジアとの調整を促す。

 対米協調は堅持しても、円がドルを支える日米G2の限界をあらわにしたのが今回の金融危機だ。日本は多様な選択肢を持つときがきたのだ。(編集委員 田村秀男)


(私のコメント)
アメリカのドル帝国の座は1970年代から揺らいできたのですが、それは日本やヨーロッパ各国が戦災で大きなダメージを負った為であり、日本やヨーロッパが復興してくると、アメリカ経済の一人勝ちは出来なくなった。特にヨーロッパにおける二度の大戦は、ヨーロッパから資本や技術や人材をアメリカに移す原動力になった。

しかし戦後の平和が60年も続けば日本やヨーロッパの工業力も復活して、他の新興国も世界市場に参入してきた。70年代から90年代はドル帝国を脅かす存在は日本の円ぐらいだったから、日本に対しては構造協議などで手かせ足かせをして日本叩きをしていればよかったのですが、1999年にユーロが登場してドル帝国の座を脅かすようになった。

フランスのサルコジ大統領は「もはやドルの時代は終わった」と演説するまでになりましたが、アメリカが仕掛けた二度にわたるヨーロッパの大戦に対する恨みは大きい。ヒトラーを登場させたのもアメリカの資本家たちであり、資本家にとっては戦争は莫大な利益をもたらす。しかし核兵器の登場は20回世界を全滅させるだけの威力があり、世界規模の戦争は出来なくなった。

アメリカは朝鮮戦争やベトナム戦争などのような地域戦争しか出来なくなり、戦争でアメリカの国力を維持する事は出来なくなってきた。アメリカの経済力が陰りが出てきたのでアメリカは金融で世界支配を目論みましたが、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーなどの投資銀行は17世紀の東インド会社を思わせるような国策企業でありアメリカ帝国を支えてきた。

現在もドルが国際決済通貨であり、ドルの一元的な決済機能がないと貿易そのものが出来なくなり、イランや北朝鮮はそこから弾き出されてローカルな決済しか出来なくなってしまった。ドルが暴落するよりもドルが奪い合いになっているのは、今までのファンドの投資を解約清算するにはドルが無いと出来ない為だ。しかし新興国への投資は多くが焦げ付いてしまって回収が難しい

アメリカの大手銀行が抱えている不良債権も、CDOやCDSなどを清算しようとしても細分化された債権はどのように処理がなされるのだろうか? さらにはタックスヘイブンで運用されていた金融商品は欧米の政府が手を出せるのだろうか? G20ではタックスヘイブンに対する規制が決められましたが、税金逃れにタックスヘイブンを利用する事が難しくなるだろう。

このような闇資金も多くがドルであり、慌ててタックスヘイブンから他に持ち出そうにもドルが必要だ。日本から出て行った闇資金もタックスヘイブンで運用されてきましたが、規制がかけられて税務署の調査が入るようになれば、再び日本に戻ってこざるを得なくなるだろう。その為に闇資金をマネーロンダリングするには株式市場が一番であり、八百長博打みたいにして表に出すようになるだろう。

アメリカの投資銀行はタックスヘイブンを利用して税金を払わずに資産運用して儲けてきましたが、規制がかかるようになれば今までのようなやりたい放題は出来なくなる。アメリカの投資銀行は銀行ではないので自己資本に関わらず30倍ものレバレッジをかけた運用で大きな利益を稼いで税金も払ってこなかった。

このような国際的な脱税行為は外資系投資銀行の独壇場であり、日本国内の投資資金の多くがそれらの金融機関に流れて行ってしまった。だから90年代から日本の不動産や株式は売られて欧米の株や不動産が買われる様になったのは、外資系投資銀行とタックスヘイブンが関係している。

G20の会議でタックスヘイブンの規制が決められて以来、4月に入っても日本の株式が意外と堅調なのも、タックスヘイブンに資金を置いていても税金や規制がかけられるのならば日本に資金を戻そうと言う事なのだろう。サブプライム問題から起きた世界的な金融危機はカネでカネを稼ぐことには限界があるということであり、デリバティブ商品開発ではカモがいなくなればネズミ講のように破綻するしかない。

金融でマネーを膨らませていくにしても、実物経済の4倍程度が限度であり、アメリカのように実物経済の10倍にも膨らんだマネーの利子は実物経済の規模では払いきれなくなるのは当然の理屈だ。その差は負債となって残るわけですが、働いて返すか意図的にインフレを起こして返すしかないだろう。インフレというのは国民全体にかかる税金のようなものだ。

日本人は辛抱強く20年かけてバブルの清算をしてきましたが、アメリカはGDPの二倍もあるような問題金融資産の処理に数十年もかけて返済していくことに耐えられるだろうか? 日本や中国などの対外債務はデフォルトで踏み倒すことは可能ですが、国内的にはハイパーインフレになる。こうなるとドルは基軸通貨でも国際決済通貨でもなくなり、新たなる国際通貨が必要になる。




中国や韓国の反日は、朝日などの日本のマスコミが作り上げたものだ。
NHKは更に、台湾を反日国家であるとする宣伝番組を放送している!


2009年4月10日 金曜日

「NHKスペシャル/シリーズ・JAPANデビュー」より
台湾の被取材者が怒る反日番組

NHKの「被害者」としか思えないのが柯徳三氏
都合のいい話の断片だけを繋ぎ合わせる手口だったのだ。


「NHKスペシャル/シリーズ・JAPANデビュー」 4月9日 台湾の声編集部

転載転送歓迎】NHKの「反日」番組による「反日台湾宣伝」には、とんでもない台湾人の証言への操作があることが明らかになりました。
このレポートを転載、転送して中国を喜ばすだけのNHKの宣伝打破にご協力ください。
また一番下に抗議呼びかけの訴えもあります。これにもご協力ください。

ブログ「台湾は日本の生命線!」より ↓ブログでは関連写真も
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-716.html 

■取り上げられた一枚の中学生の集合写真 

NHKの「被害者」としか思えないのが柯徳三氏。八十七歳になる台湾のお爺さんだ。

四月五日に放映された「NHKスペシャル/シリーズ・JAPANデビュー」の第一回「アジアの“一等国”」は、日本の台湾統治と言う異民族支配の不条理をこれでもか、これでもかと強調する内容だったが、その不条理さを証言するため登場させられたのが老世代の台湾人。そしてその中心的人物として位置付けられていた一人がこの人だった。

番組では旧制台北第一中学校の生徒の集合写真が「台湾統治を象徴する一枚の写真」としてクローズアップされる。「台湾人日本文化を叩き込み、民族性までも奪った歴史が秘められている」からだと言う。視聴者は「何事か」と注目したことだろう。これは台湾人に対する同化政策(日本人化政策)への批判である。

先ず画面には映し出されるのは同校の台湾人卒業生の同窓会。「クラスメート五十人の内、台湾人は二人だけ。同化政策の実態は、台湾人には制限つきの厳しいものだった」とのアナウンスが流れる。

そこでカメラを向けられるのが卒業生の一人である柯徳三氏だった。同氏は先ず「小さいころは日本人になりたい、どうして台湾人に生まれたのかと考えた」と述懐する。

■日本統治への憎しみ証言だったのか

「狭き門を潜り抜け、中学校へ入学した台湾の生徒たち。しかし日本人が大多数を占める中で、より多くの差別と偏見を受けることになる」とアナウンスは続く。

柯徳三氏はそれを受ける形で、

―――台湾人の豚の角煮を弁当に持って行くと、日本人に笑われる。母に弁当は日本式にしてくれと頼んだ。日本式にして始めて堂々と蓋を開けられる。

と話す。

次いで「社会に出るとさらに露骨な差別を受けることになる」と強調するアナウンス。ここでも柯徳三氏の次の証言が用いられる。

―――いとこの姉さんが日本人の嫁になって日本行ったが、戸籍に入れない。こう言うのが差別でしょう。最後の最後まで、台湾人であることを隠さないといけない。

場面が変わって、「皇民化政策によって台湾人は台湾人であるとの意識を大きく変えられて行く」とアナウンスされると、再び柯徳三氏が登場。

―――酒を飲むのも日本酒。こういう人間に誰がしたの。日本だ。

―――喋るのも日本語。台湾語でこう言う演説はできない。

―――頭のコンピューターはすでに日本化されてしまっているから、あの二十数年間の教育は実に恐ろしい。頭が全部ブレーンウォッシュ(洗脳)されているからね。だから日本式に物を考えたり、日本式に日本語を喋ったりする。

そのように語る柯徳三氏だが、決して怒りや憎悪に満ちた表情ではない。実直そうな雰囲気の中に笑顔もあればユーモアもある。しかし多くの視聴者はアナウンスに導かれ、日本を痛烈に批判していると受け取ったはずだ。

■柯徳三氏に「真意」を尋ねて見えたもの

ところが柯徳三氏を直接知る私の知人たちは番組を見て、「怨み言ばかりを言う人ではない。もっと別のことも言っているはず」と口を揃えた。

私は同氏とは面識がないが、やはり違和感を覚えた。台湾人が受けた差別待遇への「怨み言」はよく理解できるが、しかしそれだけで、かつての激動の時代を総括するものだろうかと、これまで台湾であの世代から多くの話を聞かされてきた経験から、そう直感したのだ。台湾通の友人の中でも、私と同じように直感した者は何人かいた。

そして案の定、知人から「もっと重要な発言がカットされ、悩んでいるようだ」と聞かされたのだ。私はそれを詳しく知りたいと思った。そこで八日、柯徳三氏に国際電話を掛けた。

受話器の向こうの同氏は、番組で拝見したとおりの矍鑠とした方だった。私が「番組が意に沿わなかったと窺いました。そのことを話していただけますか」と聞くと、一気に話をしてくれた。

それによって同氏が、カメラの前で日本に対する「台湾人の思い」をさまざま話していたことがわかった。

聞けばどれもが、良くも悪くも日本人の心に強く訴え来るものばかりだ。アナウンスにもあったように、この番組のテーマは「過去と向き合う中から見えて来る未来」「未来を見通す鍵は歴史の中にある」だが、同氏の語ったとされる話は、まさに日本人に対し、今後持つべき心の在り方を問いかけるものだった。

しかし番組は、その立派なテーマの前提として「親日的とも言われる台湾で、今も残る日本統治の深い傷」を暴くことを置いていた。そこで採られたのが、そのために都合のいい話の断片だけを繋ぎ合わせる手口だったのだ。

以下は柯徳三氏から聞いた話のメモである。

■心外だ!台湾人が排日と誤解される!

―――私は日本による五十年間の台湾統治はプラス面が五〇%でマイナス面が五〇%と考える。NHKの取材を受け、インフラや教育のよさを語ったのだが、番組は全然取り上げなかった。

―――日本による差別待遇など、欠点への怨み事ばかりを取り上げ、あたかも台湾人が朝鮮人と同じく排日だとの印象を植え付けようとしているらしいが、これは心外だ。

―――烏山頭ダムを造った八田与一技師の話もした。いかに農民にいいことをしたかなど。八田技師の長男とは同級生だったことも話したが、怨み言を並べる場面ばかりが映された。

―――怨み言は、あのころの日本政府に対するものではない。私たちを健やかに育ててくれた日本政府には感謝している。

―――「日本に捨てられた台湾人の怨み言」であると解釈してほしい。黙って国民政府(蒋介石政府)に引き渡したときの怨みだ。

―――国民政府は日本政府の倍悪かった。(四七年の)二・二八事件では台湾人エリートが犠牲になったが、そのことをたくさん話したのに、まったく取り上げていない。

―――同窓会では怨み言がたくさん出たが、あれはみんなが押さえつけられていた感情をさらけ出したものだった。しかし私たちは日本に対し、一定の評価をしている。

―――敗戦で日本は台湾を投げ出した。切り離した。しかし償いがなかった。物質的な償いではなく、精神的な償いがだ。マッカーサーの命令により、やむをえなかったことは、台湾人はわかっている。しかし「捨ててすまなかった」とちゃんと言ってくれれば、台湾人は慰められたのだ。

―――「捨てられた怨みを並べた」と解釈して欲しい。

―――私は親日でも反日でもない。私にとって日本は養母なのだ。中国から切り離され、日本に養子として拾われたのだから。日本人に差別はされたが、私が今日一人前の医者として活躍できるのは(もう引退はしているが)、日本のおかげだ。

―――NHKには利用された、騙されたという気もしている。日本に対するネガティブな印象のところだけ取り上げられた。

―――台湾と日本との仲を引き裂こうとしているのだろうか。どうしてもそう見える。台湾へ来たことのない人が番組を見たらどう思うか。

―――NHKのバックには中共がいるのだろうか。NHKは中共にブレーンウォッシュされているのだろうか。それとも遠慮しているのか。

―――私は記者に対して「怪しからん」と話した。「北京総局を置いているが、その下に台北支局を置いている。それなら台湾総局とするべきだ。日本が本部なら、北京も支局とするべきだ。台湾は中国に属していない」と。だがそれは消された。

―――私は番組の中で「喋るのも日本語。台湾語でこう言う演説はできない」と怨み言を言ったが、それは中国語が話せないと言うこと。台湾語はもともと文章は書けない言葉。若い人から見ると、私たちは日本語ばかりを話す「かたわ」となってしまう。「かたわ」と言うのは「捨てられた人間」と言うことだ。

―――私は話の最後で「都合の悪いところがあればちょん切って」と頼んだ。それは「日本人が不愉快に思うような悪口の部分を切って」と言う意味だったが、逆にそれらばかりを取り上げられた。

私は以上の話を聞き、「広く日本人に伝えたい」と話したら、「そうして欲しい」と言われた。

■台湾の「親日」イメージ破壊としか思えない

戦後、台湾人に何の相談もなく突然彼らを他国へ譲り渡した日本に対し、「仕方がなかった。すまなかった」と一言言えばよかったのだと話す柯徳三氏。

そう言えば番組では、元日本兵だった台湾人も、「(台湾人は)みなしごになって捨てられた見たいだ。人をバカにしているんだ、日本は」と語っていた。番組は「日本統治の深い傷」を暴くとの文脈から、巧妙にもこの発言すら「日本統治」への怨み言として扱っていたようだが、怨みは明らかに台湾人の存在を顧みようとしない戦後日本に向けられていた。

柯徳三氏はそのような戦後日本の「未来」のため、日本人に「過去と向き合わせよう」(台湾人と向き合わせよう)と話をしたのだが、NHKはそれを操作して、逆に台湾の「反日」イメージを強調したのわけだ。まさに同氏が言うように「中共に洗脳された」がごとく、「台湾と日本との仲を引き裂こう」とするかのように。

これが視聴者への背信ではなくて何か、台湾人への侮辱的な利用ではなくて何か、そして柯徳三氏ら被取材者への裏切り、冒涜でなくて何かと言うことだ。

番組が「親日的とも言われる台湾で、今も残る日本統治の深い傷」と強調したところに、私は国内の反日メディア、さらには中国が警戒する台湾の「親日」(日本への深い理解)イメージを低下させようとの意図を感じないではいられない。柯徳三氏もまた「中共による洗脳」「中共への遠慮」があるのではないかとNHKを疑っている。

■台湾人の心の蹂躙をも厭わない強烈な反日番組

実は柯徳三氏は日本で『母国は日本、祖国は台湾』(桜の花出版)と言う本を出版されているが、そこにはこうある。

「今も日本の学校では、台湾のことがきちんと教えられていません。台湾が日本領だったということも、歴史の教科書に書いてはあるけれども、戦争のこともあって、近代史はきちんと教えられていません。教えられるとしたら、日本が悪いことをしたということばかりなわけです。だから、日本人は正しい歴史を直視していないと思います」

「大東亜戦争で、日本人が悪いことをした、悪いことをしたと、一生懸命、何十年も経っても謝っていますが、日本が戦争に突入していかざるを得なかった当時の状況を、日本人はきちんと学ぶ必要があるのです」

日本人のために、ここまで親身に心配してくれている柯徳三氏に対し、NHKはよくも裏切りに出たものだ。それどころかこの番組で、同氏が懸念する近代史の歪曲をやってのけた。そしてそのために同氏を利用した。

柯徳三氏はこうも書いている。

「台湾で育ったことのない日本内地人は、台湾という所に対して別に親しみも何も感じていません。それは無理もないことかもしれません。『台湾は中国の一部じゃないか』と考えている。NHKなどは地図でも台湾と中国を同じ色に塗っています」

中国の台湾併呑の主張にはっきりと従うNHKに、台湾人の人権を尊重するような顔で日本の台湾統治を糾弾する資格などあるのだろうか。

「NHKスペシャル/シリーズ・JAPANデビュー」は始まったばかりだが、早くもその第一回で、台湾人の心を踏み躙ることすら厭わない強烈な反日宣伝の意図を鮮明にした格好だ。

台湾の取材協力者をも侮辱!
国民の受信料で作られた反日洗脳番組に抗議を!

抗議先 NHK・「ジャパン・プロジェクト」の濱崎憲一氏

電話 03―3465―1111(代表)
「ジャパン・プロジェクト」の濱崎憲一氏を呼ぶ。


柯徳三氏もまた「中共による洗脳」「中共への遠慮」
があるのではないかとNHKを疑っている。

柯徳三氏は日本で『母国は日本、祖国は台湾』と言う本を出版されている


アジアの一等国 台湾報道抗議文 4月7日 杉田謙一

 1598001 渋谷区2−2−1
 NHK  プロジェクトジャパン アジアの一等国
       担当プロデューサー殿

拝啓
桜の花も今を盛りに鮮やかに色づき、春の生命みなぎる季節を迎えております。

さて小生、貴社の報道とりわけ先の戦争に対する番組報道にいささか疑問を抱いておりました。
 今回、日本の植民地支配の検証と銘打って、「プロジェクトジャパン」企画をされたことを深く憂慮しているものであります。貴社は民間にあらず。国民からの浄財を受信料として強制的に得て、番組作りに携わる企業体であり、それだけに正しき、中道の道を踏み外してはならない責務を持つ放送局であります。放映は一面的であってはならないとのより大きい責務を持つ放送局であるべきです。
 第一回、「アジアの一等国」台湾報道を見ました。あきれ返りました。台湾統治50年を日本が発展のための踏み台にした弾圧の50年と、国民に偏った見方を押し付けるかのような番組構成でしかない。

 早速抗議の電話をいたしました。相手は佐藤氏。50代後半の方。口ではNHKは決して反台湾ではないとの主張をされた。今回の報道主眼は日本の植民地支配の洗い直しであり、台湾における植民地支配を明確にするというテーマである(から仕方ない)と主張される。

 そんな勝手な冷たい歴史観をベースにして台湾や他国を描いてもらっては虚偽を語るに等しい。一面的事実を組み立てれば、どんな歴史観も存在できる。かつてマルキストらの全盛時代は、階級史観で物事を見ることもあったが、結果歴史の本質が隠され実態が捉えられなかった。史観そのものに欠陥があり、捨て去られた。特定史観を元に歴史を解釈することの危険性を日本の歴史学者らは十分体得したはずである。ここにきて、なんとNHKがその愚を冒し始めているとは。大いに疑問であります。

 ビデオにとってはいないから正確に表記できないが、「日台戦争」なる造語にも感じたが、「学会に承認されている説」とも思えない一学者の説で番組を構成して見える。中京大学「ひやま」教授の説とのことだが、一事が万事、史観に都合のよき見方をもちい、さも台湾統治の全体像を決する歴史観のごとき扱いをされた。一教授が「4000名以上の死者を出したであり戦争に値する」と語ったことを学界の定説のごとき表現で表現。私は戦争などと言った宣戦布告やそれに類する主体者と宣言があるわけでなく不当と判ずる一人であります。一事が万事、史観にとらわれ、主義に合う事象をのみ捉えて、台湾を語るなど持ってのほかと抗議するものです。
「植民地主義の検証」との方法論で台湾を語ることの非を強く訴えたい。悪意すら感じる。
(後略)


(私のコメント)
NHKスペシャルは、日曜9時からのゴールデンタイムに放送されるのだから、大河ドラマに続いて見る人も多かった事だろう。8日にもこの番組の事については書いたのですが、NHKに抗議の電話を入れた人も多いようだ。それに対してNHKは植民地支配を明確にすると言う目的で製作したと言う事です。

確かに植民地支配であったのですが、イギリスやフランスのような植民地支配ではなく併合であり、台湾や朝鮮半島には同化政策が行なわれた。だから朝鮮人も台湾人も日本軍兵士として戦ったのであり、朝鮮出身者でも将軍になった人もいる。しかしNHKの番組ではあくまでも植民地支配を強調して、批判的な発言部分だけを取り上げて編集して放送したのだろう。

個人の歴史的見解を言うのならば、それでもいいだろう。しかしNHKが歴史の真実はこうだという一方的見解を放送で押し付けるのは問題だ。功罪両面あるはずなのに一方の事しか取り上げず、NHKの意図としては台湾人=中国人であり中国に台湾が併合されるのは当然だと言う世論を作り上げたいのだろう。しかしそれは事実として違う。

しかし最近は長い蒋介石の国民党支配と教育によって台湾人への漢人化政策で、若い人の言葉も台湾語から北京語に変わりつつあるようだ。台湾を日本から取り上げて独立させたのはアメリカなのですが、アメリカも中国の工作活動で親中国派の政治家や学者が増えて、なし崩し的に中国は台湾を併合していくつもりなのだろう。

もし中台戦争が始まればアメリカは台湾を救わないだろう。アメリカ本土を核の脅威に晒してまで中国と戦争するつもりはない。今日の台湾や韓国の運命は明日の日本の運命である。アメリカも中国のプロパガンダ攻勢に負けて台湾から手を引いて行くだろう。チベット問題にもアメリカ政府は容認のようですが、日本の台湾支配は許せなくて独立させながら、チベットは中国のものとして人権問題にも黙認している。

NHKがここに来て、台湾を反日国家として番組を放送するのは、中国の意図と重なっているのであり、韓国も日本のマスコミによって反日国家となってしまった。靖国問題も事あるごとに中国政府や韓国政府の意見を求めて大々的に報道した。その結果、日本にも反中国人感情や反韓国人感情が大きくなってきている。台湾も同じ手で反日感情を大きく取り上げて反台湾感情を大きくしようというのだろう。その目的は中台併合だ。




大事なことはアメリカの力の衰退が我々の予測をこえたスピードで進捗
しており、軍事と経済の帝国の座を自らが滑り落ちていることである。


2009年4月9日 木曜日

宮崎正弘の国際ニュース・早読み 4月8日

◆G20は終わって、危機は去ろうとしているのか
オバマの欧州歴訪で露呈したこと。米国の衰退は予測以上にスピーディ

ワシントン・ポストは社説で、北朝鮮のミサイル発射をめぐるオバマ政権のジグザグ対応をこっぴどく批判した。
「支離滅裂で、ブッシュ前政権と変わらない」(4月7日付け)。民主党リベラル派寄りの同紙が、発足後まだ百日にもならない民主党政権を批判するのは異例である。これは保守の大物、ニュート・キング゙リッチ(元下院院内総務)が、「オバマの外交って、あれはファンタジーだ」と攻撃している原点とあまり変わらない。

 ▲外交の幻像

 オバマ政権の支離滅裂は、なにも北朝鮮対策だけではなかった。
 表向きは主役だから、どこかの国の“口パク人形”のように、派手な演出だけを深く吟味し、演技に凝るのは先輩のクリントン(元大統領)とそっくり。中味のなさ、というより外交の危うさはカーターに酷似している。基本の哲学が希薄なのだ。

 G20のあと、オバマ大統領はロンドンから欧州歴訪をつづけ、独仏国境で開催のNATO60周年記念の会議に出席した。
その後、チェコを訪問し、トルコへ飛び、6日にはイラクの首都バグダッドを電撃訪問、米軍兵士を励ました。

 毎日、テレビのトップニュースになる演出には余念が無く、歯の浮くような美辞麗句をつらねた演説に力点をおき、誠実な対話という意味では、あまり実がない。薄情な気がした。

 それはともかく、チェコは冷戦時代にニクソンが訪問して大歓迎を受け、1968年にソ連の戦車がプラハの街を占領し、長い沈黙があった。
チャスラフスカやバーツラフハベルら知識人が立ち上がり、自由への渇望はチェコ憲章になって結実し、そのごのポーランド連帯運動へと拡がった。その伝にあやかろうと、オバマはチェコでの演説に凝った。

チェコの民衆には自由の旗手、世界一の超大国アメリカへの憧れがある。
 チェコではNATOのメンバー入りして十周年を記念する式典があった。直前までチェコのトポレネク大統領は「米国の刺激策は地獄へ堕ちろ」と非難していた。
 プラハ城には三万人、場内に入りきれない人々はプラハの街頭を埋め、オバマはそこで三十分の演説。核廃絶、核拡散防止条約、部分的核実験停止条約批准などを訴えた。

 これは美辞麗句の羅列というより、本気で考えているとしたらオバマは我々が想像した以上に馬鹿である。
だが、それは表面的な考えで、いまなぜ、オバマがチェコで、そんなことを言うのか。タイミングと場所が問題である。


第一はNATO向けの配慮だ。なにしろNATOと米国との確執をようやく妥協してきたばかりである。
逃げの姿勢にはいったNATOを、アフガンに食い止め、増派を飲ませたわけで、これだけはオバマの得点である。

第二はロシアへの牽制、プーチンの露骨な反米路線へ裏側から近づいて牽制するのだ。
プラハの演説はそうした象徴的な歴史の意味が隠されている。

第三は米国内の議会対策である。
 いま、オバマ路線を批判する急先鋒は共和党。金融安定化法は共和党が全員、反対した。
 核拡散やら核実験禁止条約の批准は共和党が真っ向から反対している。議会取引に、これを遣い、景気刺激策を通過させようとする議会工作上のレトリックを、対外矛盾による外交演説でオバマは交わそうとした気配が感じられる。 

 トルコでは「ムスリムの国々とは友人であり、米国はテロリストとは闘うが、イスラムとは戦争をしない」と言った。
一部民衆には受けたがアラブ世界前代の反応はといえば、冷淡だった。
またパレスチナとイスラエルが別個の国家として併存する平和共存を訴えた。こうしてリアルポリティックスという意味からは、冒頭ワシントンポストが批判したようにオバマの行為は「支離滅裂」のオンパレードである。

 ▲帝国の座から滑り落ちつつある

 もっともオバマ歴訪の旅程なぞを総括するにあまり意味がない。
 大事なことはアメリカの力の衰退が我々の予測をこえたスピードで進捗しており、軍事と経済の帝国の座を自らが滑り落ちていることである。

 第一に2001年以来、米国はテロリストに主要敵と規定して、そのためにNATOを変質させ、欧州との大西洋同盟を劇的に変革させ、最大の敵だったロシアに歩み寄った。
敵の幻像を見た。
 チェコとポーランドへのMD配備はロシアを刺激したが対イラン向けと言い張った。オバマは核兵器廃絶への協議をロシアと開始すると言い放ち、同時にイランとは対話を始めると言明した。

 第二に中国が戦略的パートナーからステーク・ホルダー。さらに「G2」(米中同盟)へと大出世、この文脈から北朝鮮の核兵器、ミサイル実験への投げやり路線がでた。
これはブッシュ政権後半からの路線であり、ライスもヒルも、雪崩のような妥協路線に転落した。
 中国はG20直前にドル基軸は不公平、SDR通貨によるIMF改革などと提唱して米国を揺さぶったが、ロンドンの本番会議では一言も出さなかった。
 「主役とはゲームを降りると騒いで相手を脅かすことでもある」
(TIME、4月6日号)。

 第三にパキスタン外交の原点を見失った。
 パキスタンは対イラン、対アフガンの戦争拠点であるばかりか、長期的にはインドを牽制する一方で、中国圏からの脱却を間接促進するという裏に意図がブッシュ政権にはあった。

アフガニスタンのカルザイ政権維持のために増派する米国は独自兵力では不足し、NATOを頼る。
また補給路を確保するためにロシアと妥協し、マナス空港からの撤退と代替できるウズベキスタンの補給路をNATOの兵站ルートとして確保した。
 嘗てのシニア・ブッシュ時代のような中央アジアを飲み込もうとする覇気はどこにも感じ取れない。

 第四に旧来の同盟国に不信を与えた。日本、インド、豪州、韓国は、明らかに米国への不満を口にするようになった。いずれ、NATO60周年に続いて日米安保条約は2010年が改定から半世紀になる。
 日米同盟の見直しは、おそらくオバマが言い出すだろう。


 第五にゲーツ国防長官の衝撃的発言である。「次期戦闘機F22の発注をやめる」と言ったことは重大な戦略変更への布石ではないのか。
 日本の次期戦闘機はほぼF22で固まっていた。
 
しかも中国が2020年に空母貳隻保有を公言しているときにである。
同盟国への配慮もなく、米国のコスト・パフォーマンスだけを理由に次期防衛体制を変革する。ラムズフェルトのトランスフォーメイションを受け継ぐ形ではあるが、要するに「世界の警察官」の座を降りる準備を始めたのが米国なのだ。


 北朝鮮のミサイル発射行為を黙殺し、反撃もしなかった。
 旧ソ連圏中央アジアへの浸透作戦は殆ど捨てたも同然になった。
 モンゴルへの浸透は中途半端、人権問題での介入を中国に対して要求しない。台湾問題はむしろ台湾に沈黙を強い、ワシントンが台湾独立に圧力をかけた。
 イスラエルを聖域化せず、アラブ諸国へのテコ入れを強化し始める。

 ▲インモラル、モラルハザードの拡散、精神の喪失

 こうした外交の延長線上に国際的な経済政策がでてくる。
 もともと今回の大不況の入り口にあった落とし穴は詐欺的な金融商品だった。CDS(クレジット・デフォールト・スワップ)を安心と言って宣伝し、海外の投資家に購入させ、ついには破綻した。

 情報開示、情報の透明さを誇った米国で、じつはインチキに近い、というより金融工学の発明品が誰も数学的誤謬に気がつかずに、平気で投資してきた。ウォール街に札束が乱舞した。

 売る側も買う側も、レバレッジが30倍もかかった証券なんぞ、ありうる筈がないと常識的な計算さえ出来ず、マネーゲームに興じた。
 その行為こそはインモラルであり、次に政府のとった救済措置はモラルハザードであり、典型的なのはシティやAIG役員らの高額ボーナスの支払いである。これは倫理観の欠如をしめしてあまりある。

 ホワイトハウスで、経済ブレーンの顧問になったローレンス・サマーズ元財務長官のスキャンダラスな生き方には失望しかないだろう。
 高慢ちきな個性は、アメリカ人のスーパー・エリートによく見られる特徴だから論じないことにしても、財務長官時代の傲慢さは語り継がれ、政権を去るとハーバーと大学学長へと「天下り」。そこで出てきたのはパワーハラスメントのスキャンダルだった。
 大学を追われて、彼は何処へ行ったか。

 ヘッジファンドの役員となり、今度オバマ政権の助言者トップにつく直前、五億ドルのボーナスを手にしていたことが発覚した。

 ▲ジェラルミンの箱にのって米国は宇宙のどこかへ消えるかもしれない

 マックス・ウェーバーの言った「プロテスタントの倫理と資本主義の精神」は名著だが、いまの米国には適応不能の古典でしかない。
僅か230年ほどの建国の歴史しかないアメリカは移民の作り上げた文化多元主義の、あまりに人工的な文明であり、それがUFOとも錯覚した西部遇氏は、「(米国は)ジェラルミン色の巨大な円盤となって、宇宙の彼方に跳び去っていくのではないか」(『サンチョ・キホーテの旅』、101p、新潮社刊)。
逆にロシアの学者が予言するように米国六分裂という未来のシナリオもある。

 日本は米国に対して無謀にも、或いは無思慮にも全幅の信頼をおく危険性をはらんでおり、その対米依存型という外交の視野狭窄から早く脱却し、独自の地位を確保する努力を始めなければ、近未来に独立さえを失いかねないだろう。

 半世紀後、世界の基軸通貨はゴールドにリンクした「華元」(人民元の新バージョン)が世界の支配的通貨になっているというシナリオもまんざら全否定出来ないのが、いま世界をとりまく状況である。

 景気回復も景気刺激策も、その営為は人間が行う。
モラルとガッツをうしなった人間が、本気で景気の立ち直りに邁進するだろうか?
 日本はこれから総額75兆円もの景気対策、財政出動をするというのに、低迷を続ける経済、日本の問題はそのあたりにある。



(私のコメント)
90年代のアメリカは同盟国の日本を叩き、中国を戦略的パートナーだと接近して、日本にとっては試練の時代でしたが、クリントン以来の民主党オバマ政権が出来て、アメリカ外交がどのように変わるかが注目されますが、対北朝鮮外交やF22の生産中止など軍事面では軍縮に乗り出すようだ。経済状況から見れば当然の政策ですが、時間が経つにつれてアメリカの軍事的撤退が明らかになってくるだろう。

現に韓国からは軍隊をどんどん引き上げてアフガニスタンなどに回していますが、沖縄の海兵隊も空っぽだ。だから中国や北朝鮮に対しては融和的に出ざるを得ないのでしょうが、韓国や台湾やフィリピンやインドネシアやインドなど中国の拡大する軍事力に対する不安が高まっている。日本でも国会内で核武装論なども言い出す議員も出てきていますが、最低限敵国のミサイル基地を叩くだけの戦力は持つべきだ。

とは言ってもノドンミサイルなどの中距離ミサイルは移動式の発射台であり、普段は防空壕に隠れている。中国も同じであり台湾の傍には数百発の移動式のミサイル発射台が隠されている。韓国や台湾はアメリカの後ろ盾がなければ成り立たない国ですが、単独では中国にはとても対抗できる能力は無い。

このような状況でアメリカが米中のG2体制で接近を図っていますが、中国という国は弱みを見せればその弱みにつけこんでくる国だ。ドル基軸通貨体制でも揺さぶってきましたが、軍事面でも空母を建造するなどの外洋への軍事的野心を隠してはいない。アメリカはイラクやアフガンで動きが取れないのは分かりますが、アメリカは二正面で戦争が出来るだけの陸軍は持っていない。

ゲーツ国防長官はF22生産を打ち切ると発表しましたが、喜ぶのは中国だ。日本がF22を欲しがっているのに生産を中止するのは同盟国への嫌がらせだろう。もっとも日本の自衛隊は中国のスパイの巣窟であり、イージス艦などのデーターも中国へ筒抜けだ。自衛隊の対スパイに対する警戒もいいかげんであり、私物のパソコンを艦内に持ち込んでデーターを取り込んでいたのだから無神経もいいところだ。

結局は北朝鮮への国連の制裁決議も出来ないだろう。アメリカにはもはやそれだけの力は無く、ロシアや中国にも舐められてしまっている。アメリカとしては事を荒立てたくない事が見え見えであり、ロシアや中国には妥協に妥協を重ねて融和姿勢を維持して、アメリカ政府高官は頻繁に中国との往来を重ねている。

日本は未だにアメリカを全面的に信頼する事で外交と軍事をアメリカに丸投げしていますが、ゲーツ国防長官の北朝鮮ミサイル実験に対する反応やF22の生産中止に対する同盟国への配慮はどうなっているのだろうか? あるいは中国との裏取引で韓国と台湾を中国に差し出しているのかもしれない。日本だって米中の裏取引でやられるかもしれない。

日本は徳川300年以来の天下太平が続いている。だから国会議員も官僚も企業経営者も世襲する文化が復活しているかのようだ。世襲がなぜいけないかといえば幕末を見れば分かるように世襲武士にはサムライと呼べるような人材がおらず、重責を背負った老中たちは早く亡くなるひ弱なサムライばかりになった。現代でも首相が一年ごとに役職を投げ出しますが世襲の政治家では心身虚弱で持たないのだ。

このような流れから見れば、オバマ大統領が日米同盟の見直しを言い出すと宮崎氏は述べていますが、米中がこのように手を組んでいるのに日本、インド、豪州、韓国などに対する配慮の気持ちは無いようだ。アメリカにとっては真の同盟国はイスラエルしかないのであり、イラク戦争もイスラエルの要請で行なったものだろう。アメリカはイスラエルの言う事ならなんでも聞く。

オバマ大統領は小泉純一郎のように口だけは達者なのかもしれない。絶えずマスコミの反響を気にして国民の支持率だけが頼りなところはそっくりだ。外交や防衛政策もクリントンやゲーツを表に立てて自らの政治スタンスははっきりさせない。イラクからの撤退にしても戦闘部隊を非戦闘部隊と言い換えるだけの誤魔化しである事がはっきりと見えた。

小泉首相のどこが戦闘地域かという答弁にも良く似ていますが、イラクで米軍の駐留するところは非戦闘地域であり非戦闘部隊だと言うのだろう。まさに人生いろいろ、大統領もいろいろなのですが、オバマ大統領はあまりにも課題を抱えすぎている。国民の支持率だけが政治基盤であるだけに、美辞麗句を重ねた演説で、言っている事とは裏腹の事を部下たちにやらせている。




NHKスペシャルで、電話で本人たちに確認したところ、「日本統治より
国民党統治の方がひどかったと話したが、その部分は番組で削除された」


2009年4月8日 水曜日

NHKスペシャル「アジアの一等国」より
NHKによって「反日国家台湾」が作られていく!

台湾の親日イメージを否定するNHkの目的は何か?


「反日台湾」を強調したNHKスペシャルー「シリーズJAPANデビュー」 4月7日 台湾の声

1、漢民族弾圧を強調―日本の台湾統治史で反日宣伝 

保守派も太刀打ちできないNHKの反日番組 

今年は横浜開港から百五十年に当たることから、NHKは「これからの日本を探る」として関連番組を放送する「プロジェクトJAPAN」なる三年シリーズを開始。四月四日には「プロローグ」として「戦争と平和の150年」と題した番組を放送したが、これを見て「憲法九条の宣伝に過ぎない」と酷評したのは在日台湾人でメールマガジン「台湾の声」編集長の林建良氏。

医師でもある同氏は「かつての日本の防衛戦争を否定する内容。血液に白血球はいらないと言っているようなもの」と笑った。そして「国民の受信料で反日宣伝を行うのだから、左翼より悪質。これでは保守派も太刀打ちできない」とも。

そして翌五日、「NHKスペシャル」の「シリーズ・JAPANデビュー」の第一回を放映。百五十年前に世界にデビューした日本が第一次大戦の戦勝国となって一等国入りしながら、なぜ敗戦への坂を転げ落ちて言ったかを探るのがこのシリーズなのだそうだが、それがとんでもない反日内容となることを十分なまでに予感させるものだった。

台湾を「アジア支配の原点」と強調する意図

第一回の「アジアの“一等国”」は、一八八五年から一九四五年に及んだ日本の台湾統治の歴史についてだった。

番組のアナウンスによると、日本の「アジア支配の原点」を台湾と位置付け、「近代日本とアジアとの関係」を示し、そしてその上で「私たちはどう生きた。どう生きる」を考えさせようとの内容らしい。

「台湾」を語るに当たり、番組は冒頭で、「台湾人のほとんどは中国大陸から移り住んだ漢民族」と強調する。最近の台湾の古文書などの検証で、台湾人は漢民族に同化された原住民の子孫であることが判明しているが、番組はあくまで「漢民族の移民の子孫」との従来の「通説」を踏襲する。

それはともかく、「漢民族」との強調により、その時点で早くも、日本の「アジアの異民族への支配」の不当性を糾弾しようとの意図が読み取れた。

「漢民族弾圧」で語る台湾統治史

日本は初めての殖民地である台湾の統治成果を世界に示そうと力を注ぎ、「漢民族の伝統と誇り」を持つ台湾人の武力抵抗を弾圧し、第一次大戦後は同化政策を進めて民族自決主義の影響による台湾人の自治要求運動を弾圧し、支那事変以降は漢民族である台湾人の日本人化を強行するため皇民化運動を行い、台湾の南進基地化の下で約二十一万人もの台湾人を軍に入隊させ、中国、南方戦線へ送ったが、敗戦を迎えたと言うのが番組のあらすじだ。

この「あらすじ」自体には歴史歪曲があるとは言えない。「漢民族弾圧」と言う一つの歴史の側面を語る上で、このようなものを組み立てるのも可能ではあるが、その組み立ての動機については、番組の最後のくだりに登場するフランスの歴史学者、パスカル・ブランシャール氏の次の言葉でおおよそを知ることができる。

―――私たちは他社との歴史共有の道を探し当てなくてはならない。

―――私たちはもはや、正しく優れているのは自分で、間違い、劣っているのは相手と考えることはできない。

―――世界に目を向け、なぜ世界の人々は日本をこう見るのかを理解しなければならない。

台湾統治当時の日本人にすら想像も及ばないフランスの殖民地における人種差別政策の苛烈さはともかく、NHKはこれらのセリフに正当性を与えるため、当時を知る台湾の老世代に、次から次へと日本統治への恨みを、日本語で語らせて行くのだ。

2、台湾人の証言を操作し反日宣伝―ご都合主義の番組制作

■当時の不満を吐き出させて歴史の傍証に 例えば、

―――学校、職場で偏見、差別に苦しめられた。

―――(日本時代は)嫌だな!馬鹿にしよって。

―――役所では昇進の条件となるから、仕方なしに改姓名(日本名への改称)した。昔の姓を残したかった。

―――酒を飲むのも日本酒。喋るのも日本語。こういう人間に誰が育てた。日本だ。二十年間の教育は恐ろしい。

日本時代を懐かしがっているとされるあの世代の台湾人のこれらの言葉に、耳を疑う日本人は多かったかもしれないが、実際にあの世代には、相手を不愉快にさせまいと、日本人の前ではあまり語らない感情があるのだ。

それは当時台湾にいた日本人から受けた差別への恨みだ。同じ日本国民でありながら、感情面でも制度面でも加えられた差別への悔しさである。NHKはカメラの前で、彼らにそれを思う存分話させた、あるいは吐き出させた。そしてそれを日本の「漢民族弾圧史」の揺るぎなき傍証に仕立て上げた。

それを一つの歴史検証の方法だとしても、公正さが求められる番組の手法としてはどうだろうか。

上の掲げた発言は、日本統治時代の台北一中の卒業生たちのものだが、彼らをよく知るある日本人が「おかしい」と直感した。たとえ知り合いではなくても、台湾のあの世代と交流があれば、「何かがおかしい」と感じるのが自然だろう。

そこでその人が電話で本人たちに確認したところ、「日本統治より国民党統治の方がひどかったと話したが、その部分は番組で削除された」ことなどがわかって来た。

反日番組の障害だった「親日」クリアに成功

番組は最後に「親日的とも言われる台湾で、今も残る日本統治の深い傷。それは今後アジアの中で生きて行く日本が分かち合わなければならない現実。過去と向き合う中から見えて来る未来。百五十年前に世界にデビューしたジャパンの歴史が、私たち一人ひとりの明日を問いかけている」とのアナウンスで終わる。

私の長年の観察から言えば、これまで日本の反日歴史ドキュメント番組にとって「親日的とも言われる台湾」の人々の歴史証言は明らかに厄介な存在だったが、NHKはシリーズ第一回でこの点をうまくクリアし、「幸先より」と喜んではいないだろうか。

もしすべての台湾人が日本の統治に感謝、感激し、「日本の完全無欠の偉大な歴史」を宣伝する政治的番組を制作するとしたら、自ずとNHKと同様の手口を採用することになるだろう。「あのころはよかった」との証言をいくつも引き出し、それを集成して「日本統治の栄光」とアナウンスすれば一丁上がりである。

日本は台湾原住民を「動物」扱いしたか

番組では「五十年の統治を象徴する」として取り上げられるのが、一枚の台湾原住民、パイワン族の集合写真だ。アナウンスはこれを「人間動物園」の写真だと断定する。

約百年前にロンドンで日本の産業や文化を紹介する日英博覧会が開催され、約八百万人が訪れたが、そこで特に人気を集めたのが、パイワン族の家作りや暮らしぶりを見せるコーナーだった。そこではパイワン族の人々が客の前で「戦いの踊り」「戦闘の真似事」などを披露した。そしてその写真は、そのように「見世物」になった人々の写真なのだと言う。

英国では当時、インドなど殖民地の原住民の「見世物」を「人間動物園」と呼んだそうだ(その言葉が見られる英国の昔の文書が映し出される)。それは原住民を文明化するのを使命とされていた時代のもので、当時は「いいこと」。だから日本もそれを真似、パイワン族の「人間動物園」を展示したと断じるのである。

そしてこの写真は殖民地政策の政策を示して一等国と認められようとした日本にとっては「統治の象徴」と言う論法だが、それではあたかも日本人もまた、原住民を「動物」扱いしたと受け取られかねない。

「日本統治の深い傷」を拵えるNHK

英国が殖民地の原住民をどれほど「動物」扱いにしたかは知らないが、少なくとも日本人は台湾で原住民を帰順させた後、近代文明を知らない原住民一人ひとりを「天皇の赤子」と位置付け、人種差別意識から来る「蕃人」との蔑称を改めて「高砂族」と呼び、警察官(教師、産業指導を兼務)が並々ならない使命感を抱き、命がけで山岳などの部落に赴き、根気よく手取り合いとり教育を施し、国民意識、産業、衛生など近代観念を教え、その結果、原住民の出生率は上がり、劣悪な生活環境のなかで人口の増加を見ると言う成果を挙げたのだ。

もちろんその成果の根底には日本人警察官と原住民たちとの間の「人と人の心の交流」があった。そしてそのためにこそ原住民は、日本人への強い信頼感、親近感を戦後に至るまで抱いて来たのである。

ところが番組は渡英したパイワン族の遺族たちに写真を見せ、沈痛な面持ちで「悲しい」と言わせる。遺族たちはその渡英の話を聞かされていないとのことだから、たぶんNHKが「動物として扱われた」と聞かされ、「悲しい」と答えたのだろう。

このように遺族を悲しませることで、NHKは「日本統治の深い傷」をもう一つ追加した。

3、台湾の元日本軍人が恨んでいるのは戦後日本―なぜ正確に扱わない

笑顔の教育勅語の暗誦も「深い傷」

番組は皇民化政策の「行き着いた先」として「台湾人が日本軍の兵士として国のために命を捧げた」ことを挙げる。

支那事変、大東亜戦争時代の皇民化運動とは、近代国家ではよく見られた近代国民化運動の台湾版。それまでの同化政策を戦時の需要から急進的に展開したものだが、その結果、台湾人が国民の資質ありと認められるに至り、国民として従軍が認められたのだから、「行き着く先」と評するのは間違いではない。

もっとも番組はそれを「日本統治の深い傷」とする見地である。ここでも「傷」を負った元日本軍人の台湾人たちを訪ねて日本への不満、恨みを語らようと試みる。

場所はどこかの公園らしい。元軍人を含むおじいさん、おばあさんたちがカラオケで日本の軍歌を楽しそうに歌っているから公園に違いない。台湾の公園ではこうした光景はよく見られるのだ。

そこでは一人の元軍人が日本語で昔の話を滔々と話す中、我々は教育勅語がわかる(暗誦できる)と言った。すると取材しているスタッフの「エー!」と言う驚きの声が入る。「とんでもないことだ」との怒りの声にも聞こえたし、「それは格好の反日題材だ」との喜びの声にも聞こえた。 暗誦を始めたのは元軍人の横にいるおじさんだった。とても嬉しそうな笑顔である。

もちろん、だからと言って、この人が日本を恨んでいない証拠だとは言えない。ただ台湾へよく出かける人ならわかるはずだ。日本人を前に教育勅語を暗誦し、日本との心の近さ、親しみを示す光景は、台湾ではよく見られることである。「何だ、お前は勅語を知らないのか。それでも日本人かい」と言ってからかわれ、萎縮したことのある若者も少なくないはずだ。 だが番組ではこの暗誦も、悪意の響きを持つ「エー!」の対象となるのである。

ちなみに台湾人は戦後、東京裁判史観にも唯物史観にも染まらなかったから、その多くは教育勅語を軍国主義に結びつけ、批判することはない。だから笑顔で日本人に誇らしげに、そして懐かしげに読んで聞かすのだろうと、私はいつも思っている。だから「エー!」は馬鹿さ加減をさらけ出すだけでなく、台湾人には無神経で失礼である。

国民党の二・二八虐殺も日本の責任か

そして番組はこうアナウンスする。

「戦後台湾を統治したのは、蒋介石率いる中国国民党。日本兵として中国と戦った台湾人は、かつての敵の下で暮らすことになった。台湾人は日本人の奴隷となったと非難され、国民党と衝突。多くの人々が処刑されて行く」。

「国民党と衝突」と言うのだから四七年の二・二八事件のことだろう。この国民党による台湾人虐殺事件の発端は、苛酷、不条理な殖民地支配への台湾人の不満だが、その不満の根底に、前近代的な政治思想を持つ国民党によって、台湾人の近代的思想が「日本の奴隷化教育が齎した毒」と批判され、蔑まれ、差別されるとの状況があったのは確かである。

しかしこのアナウンスをよく聞けば、「日本軍が台湾人を戦争に駆り出したため、同じ漢民族であるはずの国民党に理解されず、そのため衝突が起こり、処刑された」との日本批判に思えないか。 もしそうだとすれば、国民党の中国人たちの反日歴史観に、番組は限りなく近づくことになる。

恨みは台湾人を「みなしご」にした戦後日本

このようなアナウンスがなされた後、再び元軍人が日本への恨みを語りだす。しかしそれは果たして台湾統治を行った日本人に対するものだろうか。

―――(台湾人は)みなしごになって捨てられた見たいだ。人をバカにしているんだ、日本は。(周りの人々を見ながら)間違っているか?本当のことだろう?(周りは台湾語で「そうだ」と頷く)

―――(あなたたちが日本へ)帰ったら、若い連中にはわからないことだが、八十歳以上の人に宣伝してください。台湾の当時の若い青年がいかに日本の民と協力して尽くしたかを。

これらは「日本統治」にと言うより、明らかに戦後の日本に向けた言葉である。台湾人を勝手に国民党に渡した戦後日本人に対してか、戦後補償もろくにしないで来た戦後日本人に対してか・・・。いずれにせよ、日本国民として戦った自分たちを他所に放り投げて「みなしご」にし、その存在に見向きもしないで来た戦後日本への恨みである。

4、親中・反日―NHKは台湾人の思いに興味はない

■NHKは台湾に対して何をしてきた

NHKもまた、その悪しき戦後日本人の最たるものではないのか。これまで台湾に脅威を与える中国の軍事政策に一度でも反対する番組を、国民に対して放映したことがあるだろうか。

数年前、NHKのニュース番組は、台湾をも含む中国地図を画面に映し出した。在日台湾人が抗議しても聞き入れられず、そのため台湾の最大手紙である自由時報はテレビ番組欄にあるNHKアジア向け放送の部分を長期間にわたって空欄にし、抗議の意を示したが、台湾には傲慢なNHKには、痛くも痒くもなかったことだろう。 あの元軍人は何を日本に訴えようとしたのか。

―――心を察してもらいたい。そうでしょう?命をかけて国に尽くしたんだよ。それなのに・・・ 何かを言おうとしたようにも見えたが、残念ながら「それなのに」で話は切られてしまった。

■NHKにとって重要なのは反日宣伝のみ

番組は、もっとこの元軍人に日本への積年の思いを話させ、それを正確に伝えるべきだったが、台湾人の思いなどより、重要なのは反日宣伝なのだろう。

NHKは「過去と向き合う中から見えて来る未来」と強調する以上、まずは自身が「台湾に目を向け、なぜ台湾の人々は日本をこう見るのかを理解」しなければならない。

台湾人が日本国民にさせられた歴史を批判するだけでなく、日本国民にさせられた人々にしっかりと目を向け、その人々とその子孫の国である台湾の行く末を、我がことのように憂い、さらにはその人々への恩返しとして、中国の脅威に晒されるその国の存立を応援するのが「今後アジアの中で生きて行く日本」の使命であると国民に訴えなければならないはずだが、NHKは明らかに、その中国の日本弱体化を目的とした反日歴史宣伝と歩調を合わせ、それとの「歴史共有の道を探し当てよう」としているのである。

シリーズが進むごとに明らかになるであろうNHKの中国優先の姿勢。これが夢見る「今後のアジア」には、もしや「漢民族」同士の「中国統一」も含まれているだろうか。今回の番組が、中国が恐れるところの日台の良好な関係を支える台湾の親日感情、親日イメージを否定して見せたことも気に掛かる。
--------------------------------------------------------------------- ■同番組は4月7日火曜日の深夜0時45分(4月8日水曜日午前0時45分)からNHK総合テレビで再放送の予定。

■国民の受信料で作られた反日洗脳番組に抗議を!
抗議先 NHK視聴者コールセンター  0570-066066
NHKスペシャル「感想・問い合わせ」 http://www.nhk.or.jp/special/

放送倫理・番組向上機構(通称BPO)ご意見送信フォーム https://www.bpo.gr.jp/audience/send/form.html 総務省・ご意見ご提案の受付 https://www.soumu.go.jp/common/opinions.html

彼らは日本兵として働きながら戦後の日本政府に見捨てられたのだ。

NHKは2.28事件で国民党によって28000人も殺された事を
報道もせずに、国民党統治を批判した事はカットして放送した。



(私のコメント)
先日の日曜日にNHKスペシャルで「アジアの一等国」をやっていましたが、日本の公営放送がこのような反日プロパガンダ放送をしていいのだろうか? 賛否両論を公平に扱うのがNHKの使命だと思うのですが、日本による統治の功罪の罪の方にばかり偏った編集の仕方をしている。

台湾人へのインタビューでも「国民党統治の方がひどかった」と述べても、NHKはそれをカットしてしまった。ナレーションでは国民党にとっては日本兵だった台湾人に対する憎しみとして断じていましたが、台湾は蒋介石の国民党に占領されてしまったのだ。マッカーサーはそれを容認した。アメリカ人から見れば中国人も台湾人も同じ中国人と見ているのだろう。

在日台湾人の林建良氏から見ても酷評されるような反日ドキュメントをNHKはどうして放送するのだろうか? 韓国の反日については先日も書きましたが、韓国も日本から朝鮮半島を取り上げて独立させたのだから、その責任はアメリカにあるのですが、日本からの経済援助を引き出させるために、民族差別問題を騒ぎ立てて国家賠償から個人賠償に移して金を出させようというのだ。

台湾についても同じであり、日本から台湾を取り上げて蒋介石に与えた。アメリカにとって台湾が重荷になりつつあり、大陸中国との関係の方が大切だから日本にその責任を押し付けようというつもりなのだろうか? それともNHKは日台関係を分断させて大陸中国との統合に進ませようという戦略なのだろうか?

そもそも番組内容が非常にずさんであり矛盾した事を平気でナレーションしている。台湾には500万人の漢民族がいると言いながら、南方系の民族をインタビューして民族差別を述べさせているが彼らは漢民族ではない。漢民族とは戦後大陸から来た200万の国民党が漢民族であり、外省人と呼ばれる人たちだ。

それ以前は台湾人と言えば本省人と呼ばれる人たちで、南方系の民族との混血が進んで言葉も北京語とは異なる台湾語を話していた。NHKにしてみれば漢民族=中国人であり、中国人=台湾人ということで言葉のすり替えを行なって、台湾も中国人の国であり大陸中国と台湾とが統一されるのが当然だと言うプロパガンダなのだ。


台湾人は漢民族ではない―知っておきたい隣国の真実 2月1日 台湾は日本の生命線

台湾では人口の八四%が所謂「本省人」で、一四%が戦後中国から渡って来た「外省人」、そして二%が原住民とされるが、これまで本省人は清国統治時代(一六八三〜一八九五)に移民してきた漢民族の子孫で、原住民はそれ以前に東南アジアから渡って来たマレー・ポリネシア民族(オーストロネシア語族=南島語族)と説明するのが常識だった。

沈建徳氏はこれまで、統計学の観点から、台湾の人口の歴史的変遷を克明に調査し、台湾の「本省人」が清国統治時代に同化(漢民族化)させられた原住民の子孫であり、移民の子孫とするのは古文献上の記録の政治的捏造であることを突き止めた人物。その研究成果の正しさは、医学界での住民のDNA調査でも裏付けられているのである。


(私のコメント)
NHK的視点から見れば漢民族=中国人=台湾人ということなのでしょうが、戦後の台湾は外省人によって統治され教育されてきた。言葉も台湾語から教育によって北京語に若い人は変わって来た。NHKは日本語を押し付けた事を批判しながら、戦後において台湾語から北京語に変えさせていることには批判しない。

北京政府から見れば台湾人も中国人であり漢民族だと言う事なのでしょうがNHKの見方と一致している。つまり北京政府=NHKなのであり、NHK内部には中国の工作員が多数おり、「クローズアップ現代」でも中国への投資を呼びかける番組を報道していますが、チベット問題などは聖火リレーで大問題にもなったにもかかわらずついに「クローズアップ現代」では報道されなかった。

このようなことからNHKスペシャル「アジアの一等国」も懸念しながら見ていたのですが、これでは台湾人も見ていてビックリだろう。つまりNHKは中国や韓国や台湾などとの離反工作を行なっており、反日的放送を繰り返しながら贖罪意識を植え付けて経済的援助を引き出す工作を行なっている。中国へのODAも韓国への賠償金も同じ理屈だ。だから日本はいくら経済援助しても中国人や韓国人は感謝しない。

このような中韓朝と台湾の反日意識を煽るNHKの意図は何なのだろうか? 考えられる事は戦前の全面否定であり、東京裁判史観がNHKには未だに根付いているようだ。番組ではイギリスやフランスが酷い植民地支配をしたのだから日本政府も酷い植民地支配をしたはずだと言う思い込みから番組は作られているように見える。

番組では1947年の2・28事件についてはわずかにしか触れられず、それが分からないと現在の台湾人の心境も理解できないのであり、国民党によって28000人もの台湾人が殺されたり処刑された。NHKは戦前の日本がいかに台湾や韓国や中国に酷いことをしたかという事にのみ視点が置かれて、功罪の功の部分が全く無い。

NHKは韓国や中国の反日意識を高める事に成功したので台湾に対しても同じ事をしようとしているのだろう。やがてはフィリピンやインドネシアに対しても同じような事をして反日意識をアジアに広めていくつもりだ。このようなプロパガンダは中国共産党のプロパガンダと同じであり、NHK=中国共産党として見た方がいいだろう。




武田薬品、ソニーや三菱商事、三井物産、マツダなども追徴課税され
ているが、いずれもタックスヘイブン絡みの脱税的行為と判断された。


2009年4月7日 火曜日

明るみになる大富豪への脱税指南 4月7日 日経ビジネス

先週閉幕したG20(20カ国・地域)首脳会合(金融サミット)は、脱税の温床とされるタックスヘイブン(租税回避地)の監督強化で合意した。G20と時期を同じくしてOECD(経済協力開発機構)は透明性で問題点のあるタックスヘイブンを新たに公表した。

 国際的に合意された税務情報の交換の基準に従っていない、いわゆるブラックリストに掲載された国及び地域にはコスタリカ、フィリピン、マレーシアのラブアン島、ウルグアイの4カ所が掲載された。

 また基準に従っているが導入面でまだ課題のある、いわゆるグレーリストに掲載されたタックスヘイブンはリヒテンシュタインやモナコ、オランダなど30、さらにその他の金融センターとしてオーストリアやチリ、シンガポール、スイスなど8カ所が挙げられた。

秘密のベールを破り始めた2つの事件

 G20でも問題視されたタックスヘイブンは、前回の記事で紹介したようにタックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)の代表、ジョン・クリステンセンによれば11兆5000億ドル(約1100兆円)の個人資産を持つ。

 タックスヘイブンがこれだけの富をかき集めてきた裏には、世界中の富豪が脱税目的で保有する隠し口座との関係を取り沙汰されている。しかし、OECDが問題視してきたように、情報開示に非協力的な彼らの姿勢から、その実態は分厚い秘密のベールに包まれてきた。ところが、そんな状況を一変させるかもしれない大きな事件が、2008年に2つ起きたのだ。

 1つは2008年2月に起きた事件だ。これはタックスヘイブンで悪名高いリヒテンシュタインのLGT銀行の元従業員でデータ入力係のハインリッヒ・キーベルが1400人ほどのクライアントの情報をDVDに入れて盗み、数カ国の当局に売った事件だ。各国の当局はそれぞれ数億円の報酬を払ったと言われている。

 これによってドイツ当局は600〜700人の顧客情報を入手し、それを基に2008年2月14日にビジネス界の大物などを脱税で起訴した。さらにその1週間後には、米内国歳入庁(IRS)は150人の米国人の脱税調査に入った。

 これと同時に英国、イタリア、フランス、スペイン、オーストラリアも米国にならい、次々と脱税調査に入った。現在、キーベルは逃走中だが、元CIA(米中央情報局)要員の知人は「南米に潜んでいると聞いている」と言う。

(中略)

米顧客の約4万7000人が米国で納税していない

 事件は先に述べたように今年2月18日に、UBSが米当局の求めに応じて、285人の顧客の口座情報を提供して一段落したかのようだが、そうはいかなかった。それから1週間もしないうちに、数十人の米国人顧客が、スイスの銀行機密法を破ったとしてUBSを訴えたのだ。一方、米司法省は、約5万2000人(昨年推定の1万9000人から増加)の米国人すべての口座記録を提出するように要求している。

今年3月4日に上院の国土安全保障・政府問題委員会で開かれた「タックスヘイブン銀行と米国の租税順守」に関する公聴会で、先の上院議員、レビンはこう述べた。

 「他の国は、脱税に目をつぶり、タックスヘイブンにある金融機関が、その脱税から利益を得ることを許しているオフショア・タックスヘイブンにうんざりしている」

 先の恒久調査小委員会で証言したマーク・ブランソンは、UBSにある口座で米国の税金を払っていない米国人は約4万7000人いる、と証言している。一方、IRSのダグラス・シャルマン長官は、同じ場で「オバマ政権は、オフショアの税金の悪用に対し、積極的な行動を取ると確約している。裕福な個人がオフショアを利用して、処罰を受けないで脱税する環境を許すわけにはいかない」と強調した。

提供口座情報を基に脱税会計士を逮捕

 シャルマン長官の厳しい姿勢を示すかのように、金融サミットが開催された4月2日、米政府はUBS事件で提出させた個人口座情報を基に、スティーブン・マイケル・ルービンスタインというフロリダの会計士を逮捕し、起訴した。容疑は2007年に虚偽の税務申告をしたこと。

 起訴状によると、ルービンスタインはUBS主催のアートイベントでUBSのバンカーと定期的に会っていたという。彼は税金逃れをするために、保有するUBSの口座からモナコにある別の口座に移し、さらに英領バージン諸島にあるペーパー会社を経由して、米国に環流させていた。TJNのクリステンセンによれば、まさに典型的な脱税方法だった。

 このUBS事件は、米国人の脱税摘発のみならず、スイスの根幹とも言える銀行機密法の終焉にまで発展するのか。クリステンセンは「歴史的な変遷の時期がついに来た。機密法はいずれ過去のものとなるだろう」と自信を見せる。



G20のターゲットはタックスヘイブンだ 4月2日 永田町異聞

今日からロンドンで始まるG20サミットの隠れたメインテーマは、タックスヘイブン(租税回避地)対策だろう。

表向きの議題である金融や財政出動については、参加各国の思惑の違いがあり、足並みをそろえるのはむずかしい。その一方で、G20メンバーではないスイスやカリブ海諸国などのタックスヘイブンをやり玉にあげ、巨額の税収奪還をはかりたいという思いは共通しているようだ。

グローバル経済のなかで企業が国際化し、各国間で法人税の奪い合いが起きているのは周知の通りだ。企業は、税金の安い国に納税し、資金をため込んで国際競争に勝ち抜こうとする。

これに対して、不況の深刻化による税収不足に悩む各国は、企業からタックスヘイブンに移転されるカネを奪い返すのに躍起になり始めた。たとえば、守秘義務厳守で知られる「スイス銀行」に対する米国の強硬姿勢だ。

大手銀行UBSが米国人顧客のために組織的な脱税工作をしていたことがわかり、米捜査当局が米国免許取り消しをちらつかせて顧客の資料を要求、さすがのUBSもこれには逆らえず、情報を提供した。「スイス銀行」の力の源泉ともいえる守秘義務に風穴があけられた瞬間だった。

タックスヘイブンによって、米国が取り損なっている税金は毎年、1000億ドルにのぼるとみられ、オバマ大統領も上院議員時代からこの問題に積極的に取り組んできている。

タックスヘイブンとは、企業や富裕層への税率が低い国で、有名なところではカリブ海のケイマン諸島、スイス、モナコ、シンガポール、リヒテンシュタインなどがある。これらの国に本社を移すか、子会社をつくって利益を移し替えるなどの方法で、数々の有名企業が税金を逃れているのが現実だ。

日本では、株式の50%超を日本居住者または日本企業が所有するペーパーカンパニーとみなせば、海外所得にも課税されるが、その税法の抜け穴を見つけて、巧妙に大企業がタックスヘイブンを利用してきたことがわかっている。

2006年、大阪国税局が武田薬品に1223億円の申告漏れを指摘、ソニーや三菱商事、三井物産、マツダなども追徴課税されているが、いずれもタックスヘイブン絡みの脱税的行為と判断されたわけである。

タックスヘイブンは、低い税金を設定して外国企業や大富豪のマネーを集め、マネーロンダリングの温床にもなっているが、流入したカネで辛うじて国家を維持している小国が多いという点で、問題は単純ではない。しかも、グローバル競争下における、企業の成長システムとして組み込まれてしまっている面もないとはいえない。

それでも、G20に集う各国首脳は景気刺激や金融危機対応などで巨額の財政支出を強いられており、これまでのようにタックスヘイブン問題に対して悠長な構えではいられない。

今朝の各紙は当然のことながら、G20が財政出動、金融規制監督強化、保護主義防止などでどれだけ協調できるかを注視する論説を展開しているが、「本質的な対応策を協議する準備はできていないように思われる」(田中直毅)という専門家の冷めた見方もある。

財政出動やファンド監視について米国と欧州各国の温度差が指摘されるなど、G20の成果に暗雲が垂れ込めるなか、タックスヘイブンへの圧力強化だけは明確な姿勢が打ち出されそうな気配だ。  (敬称略) 



(私のコメント)
日本を代表するような大企業がタックスヘイブンを利用して脱税しているようですが、テレビなどではこのようなニュースはあまり報道されないようだ。その反面では竹中平蔵などが盛んにテレビに出ては日本の法人税が高すぎると主張している。海外に子会社を持つような大企業ともなればタックスヘイブンの子会社に利益を集めて脱税したくなる気持ちもわかりますが、個人や零細企業などはこのような脱税は難しい。

小泉純一郎や竹中平蔵は外資から貰ったワイロをスイス銀行に隠しているといわれますが、G20の会議によればタックスヘイブンを利用した隠し財産の秘密はだんだん守られなくなりつつあります。スイスなどの小さな国ではこれといった産業もないから昔から金融立国で銀行業が主要な産業となってきた。シンガポールなどもそうでしょう。

しかしアメリカ発の国際金融危機で、世界の金融機関は大きな損失を抱えるようになり、各国政府資金によって救済されるようになり、その代償として認められてきた特権が剥奪されてくるようになりました。銀行経営幹部の高額なボ−ナスも批判を浴びて返上させられるようになりました。

タックスヘイブンを利用した脱税行為も今までは見逃されてきましたが、世界主要経済国にとってはタックスヘイブンの存在を認めることはできないと言うことで意見は一致している。G20会議にはいわゆるバナナ共和国は参加していないから話はまとめやすい。アメリカやイギリスなどの経済大国も金融立国を経済戦略としてきましたが、投資銀行などの国策企業が破綻したりして金融立国戦略の破綻がはっきりしたから、再びもとの産業立国に戻りつつある。

アメリカもドルという基軸通貨の特権を利用してドル札を刷り散らかして世界から物を買ってきた。アメリカ国民もサブプライムローンやクレジットカードローンを利用して物を買いまくってきましたが、今やその流れは逆流しつつあります。バーナンキFRB議長などはヘリコプターマネーでインフレを発生させて国や国民の債務の縮小を図ろうとしていますが、それは上手く行くだろうか?

だからアメリカのインフレを見越して金や石油などが買われましたが、実際に起きているのはドル高と超低金利などのデフレ経済だ。それだけ信用収縮の規模が大きく、政府やFRBがいくら大盤振る舞いをしてもインフレにならない。これは日本でも90年代から起きている現象なのですが、信用がいったん毀損されると信用の回復はなかなか難しい。

その結果主要各国は税収も落ち込んで、大企業や資産家がタックスヘイブンに隠しこんだ資産に税の網をかぶせなければならなくなった。「株式日記」では累進所得税の復活を主張していますが、大企業も個人の資産家もタックスヘイブンに資産を移して租税を回避している。竹中平蔵やホリエモンたちは税が高くなれば海外に行ってしまうと主張していますが、タックスヘイブンにも税の網が被さるようになれば海外に逃げても同じ事だ。

バナナ共和国や新興国などでは海外からの投資を呼び込むために税金を安くしたり金利を高くしたりして呼び込んできましたが、金融立国のアイスランドの破綻を見れば分かるようにタックスヘイブンとしての国家戦略はいったん破綻すると実体経済がないだけに救いようがなくなってしまう。

タックスヘイブンの規制を強めてしまうと、スイスやシンガポールなどの金融立国はまさに命取りになりかねないのですが、G20などへの協力もしなければならない。日本でも多くの大企業や資産家等がタックスヘイブンを利用していますが、住居を香港やシンガポールなどに移している人もたくさんいる。半分以上そちらで生活して半分近くは日本で生活すれば税金は日本に払わないし、香港は15%の税率だから安くて済むからだ。

しかしタックスヘイブンへの規制が強くなれば、実質的に日本で稼いでいれば日本の税金が適用されるようになるだろう。オランダなどもタックスヘイブン並みの税制で企業を呼び込んでいますが、リップルウッドなどは日本で2000億円の利益を稼いでもオランダに会社があるから日本には全く税金は払わなかった。

G20の経済規模は世界のGDPの80%だから、残りの180ヶ国は20%の経済規模しかない小国ばかりだ。だから金融で食って行くしかないわけですが、税金逃れにタックスヘイブンを使うことは難しくなっていくだろう。日本の税率が40%でタックスヘイブンが10%の税金でも10%の税金を納めれば済むのではなく残りの30%は日本に税金を納めさせられるだろう。だから国籍でも変えるしか方法は無くなる。

企業にしても同じで、タックスヘイブンの子会社に利益を隠しても連結決算でまとめて税金を収めさせられるような規制になるだろう。ソニーや三菱商事、三井物産、マツダなども追徴課税されましたが、もはやどこに利益を隠そうとばれる時代が来たのだ。バブル崩壊後に日本の金回りが悪くなったのは裏金がみんなタックスヘイブン逃げてしまったからですが、香港やシンガポールの裏金もいずれ炙り出される時が来るだろう。マネーロンダリングは出来ない時代が来つつある。




ハイブリッドカーは燃費がいいだけではなく、加速性能や高速走行でも
長所が生かされ始めた。新型プリウスは10モード燃費が38キロもある。


2009年4月6日 月曜日

トヨタ プリウス 新型の燃費公表…38.0km/リットル 4月3日 レスポンス

トヨタ自動車は、5月中旬発売予定の新型『プリウス』において、国土交通省審査値の10・15モード走行燃費が38.0km/リットルであると発表した。

これは、「平成22年度燃費基準+25%」を達成するとともに、JC08モード走行燃費で32.6km/リットル(国土交通省審査値)を実現。省エネ法に基づき策定された新たな燃費目標基準である「2015年度燃費基準」も達成したとしている。

また、排出ガスについても、NOx(窒素酸化物)、NMHC(非メタン系炭化水素)の低減により、国内の排出ガス基準最高レベルとなる「平成17年基準排出ガス75%低減レベル」の認定を取得。

4月1日に施行された「環境対応車普及促進税制」の対象車となり、「自動車重量税」および「自動車取得税」が免税(100%減税)、また4月1日施行の「グリーン税制」により「自動車税」も50%減税の措置が受けられる。

トヨタ調べによると、2009年3月現在、量産ガソリン乗用車での比較で、新型プリウスの燃費は世界トップだという。



「買うならプラグイン・プリウスか」(09/03/31) 3月31日 舘内端

新型プリウスに試乗しました。まだ発売前のプロトタイプ(原型)ですが、仕上がりは大変に良く、燃費はごく普通に走ってリッター27km、少しだけ気を使って走ると32kmとこれも驚異的なものでした。しかし、プリウスはまだ進化します。家庭でも充電できるプラグイン・ハイブリッドでは、さらなる燃費の向上が期待できます。

 新型プリウスは、5月中旬に発売されるということです。しかし、ホンダ・インサイトの人気が高く、計画の3倍も売れていることもあって、発売前のプロトタイプの試乗会がメディア対象に開かれました。

場所は富士スピードウエイですが、本物のコースではなく、その周囲の一般道をぐるりと回るものでした。しかし、信号こそありませんが、一時停止あり、速度制限あり、上り坂、下り坂もあって、道路の条件は公道と変わるものではありません。

 さまざまな走り方を試しましたが、ごく普通の走行の燃費は上記したようにリッター27kmという大変に優れたものでした。そこで、思い切ってアクセルを踏んで走ってみました。それでも21kmでした。もちろん、10・15モード燃費の38kmにはとても及びませんが、たいしたものです。

 ハイブリッド車の弱点は高速道路のように、加減速をあまり繰り返さない走行では、燃費が悪化しやすい点です。従来のプリウスも、燃費が悪化するほどではありませんが、向上幅は少ないものでした。

新型プリウスでは、ハイブリッド車のこの弱点を克服することもあって、排気量を1.5リッターから1.8リッターへと拡大しています。一般的には排気量を大きくすると燃費は悪化します。しかし、プリウスのハイブリッドシステムでは、高速道路であっても、1.5リッターの場合よりもエンジン回転数が低下し、その分エンジンの摩擦抵抗が少なくなり、燃費が向上するというわけです。

 残念ながら高速道路での燃費はチェックできませんでした。しかし、比較的速く走った場合でも、現行車に比べてエンジン回転数は高まらず、燃費の良さがうかがえました。

 しかし、もっとも驚いたのはEVモードで走行した場合です。電池に電気がたまるように注意しつつ走り、電気がたまったところでEVモードに切り替え、電気がなくなるまでエンジンを停止したまま走ります。これを繰り返した場合にはリッター40kmを超える燃費となりました。

 プリウスの場合、電池の充電は原理的にはすべてエンジンによると考えてよいでしょう。したがって、電池だけで走るといっても燃料は使うわけです。

 これがプラグイン・ハイブリッドになると、家庭用のコンセント等、エンジン以外の外部電力で充電することができます。これですと、電気だけで走る場合には、EVと同様におよそ2円/kmという燃料代になります。一方、ガソリンではリッター10km、110円として11円ほどです。燃費も驚くほど向上し、燃料代は5分の1近くに低下します。

 トヨタは、このようなメリットのあるプラグイン・プリウスを09年12月に発売するということです。ただし、企業向けで、日本で200台、米国、欧州でそれぞれ150台の計500台に限られます。

 問題は、EVモードでの航続距離と価格ではないでしょうか。

 新型プリウスの電池の電力は、1.31kWhです。100ワットの電球を13.1時間点灯できる量です。電池の種類はニッケル水素ですから、電力の60%であれば寿命を悪化させずに使えます。0.786kWhです。EVモードの消費電力を100Wh/kmとすると、この電力で7.86km走れます。ただし、実際は電池の保護のために、現行でも新型でも航続距離は約2kmです。

プラグイン・ハイブリッドのプリウスは、リチウムイオン電池になります。現行の電力の4倍のリチウムイオン電池を搭載すると、5.24kWhとなります。リチウムイオン電池では電力の90%を使えるとすると、4.72kWhで航続距離はおよそ47kmです。プラグイン・ハイブリッドとしては十分な距離ではないでしょうか。

 また、リチウムイオン電池は小型軽量でたくさんの電気を蓄えられるため、4倍の電力でも体積、重量は現行の2倍で収まります。搭載は可能でしょう。

 車両価格はどうでしょうか。現行プリウスの交換用電池は、およそ12万円です。リチウムイオン電池も同じとして、4倍で48万円。ただし、最初から搭載されているものを除くとプラス36万円となります。

 新型プリウスのベーシックな装備の車両価格は205万円ですから、プラグイン・プリウスの価格は241万円となります。ただし、電池の補給部品の価格は工場出荷額よりもずっと高価ですから、実際にはもっと安くなるでしょう。量産された場合は、当初、想定されていた新型プリウスの250〜260万円よりも安いかもしれません。

 燃料代はどうでしょうか。プリウスの実燃費をリッター20kmとして往復40kmの通勤距離を走るとし、プラグイン・プリウスと比べてみます。ガソリン価格はプラグイン・プリウスが一般ユーザーに発売される頃の価格としてリッター180円とします。

 プリウスの燃料代は360円となります。一方、プラグイン・プリウスは、40kmをすべて電気で走るとして2円/km、計80円となります。差額は280円です。

 205万円と241万円の差額を解消するにはおよそ5万km、1300日かかります。それでもクルマの生涯燃料代は、プラグイン・プリウスの方が安くなります。

 一般ユーザーが買えるプラグイン・プリウスの車両価格が、果たして上記のようになるか分かりませんが、そうなった場合、CO2排出量も減少しますので、プラグイン・プリウスの一般への販売が待たれます。



(私のコメント)
最近はトヨタのプリウスを都内で良く見かけるようになりました。タクシーなどにも使われ始めています。十台に一台がプリウスではないかと思えるくらいですが、値段が高いのが玉に瑕だった。しかしホンダのインサイトが価格破壊で登場してきて、価格引き下げ競争が始まった。

新型プリウスは205万円になるそうですが、エコカー減税でトータルで見ると重量税や取得税がゼロで自動車税も半額になり安く買えるようになりました。ガソリンの燃費は車を軽くしなければ向上しないわけですが、ハイブリットカーは電動システムを組み込む事で燃費を向上させると言う車だ。

登場して10年経つわけですが、トヨタとしては売れれば売れるほど赤字になると言う車であり、技術宣伝用のトヨタのイメージキャラクターのような車だった。販売にもさほど積極的ではなく購入しても半年ぐらい待たされる車だった。それがハイブリットカーが注目されるようになったのは、環境問題の高まりと、石油価格の高騰が始まったからで、一種のステータスシンボルになった。

ハイブリットカーはガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせた車だから、非常に複雑であり海外の自動車メーカーは燃料電池車などを次世代車として開発した。しかし燃料電池車はコストが非常に高くつくので一台一億円もする。電気自動車もバッテリーの性能に限界があり、電気自動車用電池の開発はあと20年くらいかかるだろう。

だから次世代への過渡的な車として登場したのがハイブリットカーですが、製品としての寿命は意外と長くなりそうだ。ガソリンが安くなればガソリンで走ればいいし、高くなったらEVモードで走ればガソリンの消費は少なく走る事ができる。プラグインハイブリッド車ならば家庭で充電する事により50キロくらいはEVモードで走る事ができる。

燃費自体は軽自動車の方がいいのでしょうが、普通乗用車で燃費を良くするとなるとハイブリッドを採用せざるを得ない。トヨタのプリウスもエンジンを回して充電していくシステムであり、電池の性能が上がるにつれて電気自動車的な使われ方がなされていくのだろう。

今ではベンツやポルシェもハイブリッドカーを開発して2010年には量産車が発売されるようですが、高級乗用車やスポーツカーもハイブリッドの時代がやってきた。ハイブリッドカーは重たくなるだけでエコランしか出来ない車と言われてきましたが、エンジンとモーターを組み合わせれば加速性能や高速走行も生かせるようになってきたからだ。

トヨタは様々なハイブリッドカーを発売していますが、スポーツカーやSUVにもハイブリッドが採用されてきたのは組み合わせる事でより高性能が期待できるようになったからだろう。だから燃費だけではなく走行性能の改善の為にもハイブリッドが採用されるようになって来た。ポルシェカイエンは燃費もパワーもすごいようですが、値段もすごいらしい。


ポルシェ カイエン にハイブリッド 2月23日 自動車情報通

ポルシェは20日、『カイエンSハイブリッド』の概要を明らかにした。

フォルクスワーゲンと共同開発したパラレル式フルハイブリッドは、パワーと環境性能を高次元で両立。

2010年に市販される。

ハイブリッドシステムは、フォルクスワーゲンが2日に発表した『トゥアレグ V6 TSIハイブリッド』用と共通。

ガソリンエンジンは、アウディ『S4』用の3.0リットル直噴V6スーパーチャージャーで、最大出力は333ps、最大トルクは44.9kgm。

モーターもパワフルで52psの最大出力と、30.6kgmの最大トルクを発生する。

エンジンとモーターのトータル出力は374ps、59.1kgmと非常に強力。

その結果、0-100km/h加速は6.8秒と卓越したパフォーマンスを発揮する。

これは、4.8 リットルV8(385ps、51kgm)を積む「カイエンS」のティプトロニックS仕様の6.8秒と同じ加速性能だ。

ポルシェは「約140km/hまで、モーターだけで加速できる性能を備える」と説明している。

環境性能の高さも特筆できるレベルにあり、燃費は欧州複合モードで 11.1km/リットルを実現。

CO2排出量も210g/km以下とベース車よりも20%以上低減させた。

排出ガス性能は欧州のユーロ5と米国の ULEV2基準に適合している。

アイドリングストップ機能や回生ブレーキも装備。

ポルシェは「V8と同等の走行性能でありながら、燃費は4気筒並み」と自信を見せる。

電気モーターやセカンドクラッチが収まるハイブリッドモジュールは、エンジンと8速ATの間にレイアウト。

このモジュールは軽量コンパクトなのが特徴で、走行状況に応じてエンジンとモーターを制御する機能を持つ。

また、定格電圧288V、240のセルで構成されるニッケル水素バッテリーは重さ70kg、大きさは約35×63×29cm。

荷室フロア下に配置され、室内空間はいっさい犠牲にしていない。

市販時にはEVモードが採用され、バッテリー残量にもよるが、最大2kmまでモーター単独で走行できる。

また、アクセルを深く踏み込めば、エンジンはわずか 0.03秒という瞬時に再始動。

また、8速ATの8速ギアは約140km/h以上の高速域で使われる設定で、巡航時にはエンジンを停止し、モーターだけで走行する。

外観の違いは最小限で、ボディサイドの専用デカールと、リアゲートのハイブリッドエンブレムが識別点となる。

カイエンSハイブリッドは2010年に発売予定。このシステムが、ポルシェ『パナメーラ』のハイブリッド仕様にも導入される。

カイエンのハイブリッドは、米国がメイン市場となる見込みだ。

●ポルシェ・カイエンにハイブリッド仕様が2010年に発売される。

カイエン・ハイブリッドはパワーも燃費もかなりすごい。

日本で登場するのは2011年以降か?

登場すればうれしいのだが。





核弾頭が飛んできていないのに飛んできていると国民に流すわけだから、
パニックになる。間違えば、迎撃にまで発展し、核戦争にも突入する。


2009年4月5日 日曜日

誤発表:「世界的な誤報」…海外メディア大きく報道 4月4日 毎日新聞

北朝鮮のミサイル発射をめぐる日本政府の誤発表は、韓国でもNHK報道を基に大々的に報じられた。通信社の聯合ニュースは午後0時18分(日本時間同)、「緊急」扱いで「北朝鮮ロケット発射」と速報。だが8分後には訂正を流し、同30分に「そういう情報はない」とする政府当局者の発言を配信した。

 青瓦台(大統領府)では李明博(イミョンバク)大統領が関係閣僚を集め会議中で、突然飛び込んだ情報の事実確認に追われた。誤報と分かり、弁当を食べながら協議を続けたという。

 同ニュースは、誤発表について「確認より迅速な情報提供を優先した結果と受け止められている」との見方を示した。また、他のメディアも「世界的な誤報」などの表現で大きく報じた。

 世界の通信社も誤発表に振り回された。ロイター通信やAFP通信は日本政府の発表を受け、東京発で「北朝鮮がロケットを発射した模様」と至急電で伝えた。だが、「情報は誤りだった。日本政府が発表を撤回した」と至急電で訂正した。

 中国国営新華社通信は、聯合ニュースと共同通信の報道を引用して「北朝鮮がロケットを発射した」と速報したが、間もなく「情報は誤りだった」と訂正した。

 ロシアのタス通信も、日本政府の「発射」発表直後に「北朝鮮が通信衛星『光明星(クァンミョンソン)2号』搭載のロケット『銀河(ウンハ)2号』を打ち上げた」と至急電で報じ、後にNHK報道を引用しながら「発表は誤り」と至急電で伝えた。【ソウル西脇真一、北京・浦松丈二、杉尾直哉】



デュアルの思想  「誤探知」の教訓 4月4日 左側のない男

四月四日と四が二つも並ぶのだから、今日はあんまり縁起は良さそうではない。だから、きっと北朝鮮からはなはだ迷惑な疫病神「人工衛星」が打ち上げられるかもしれないと思った。だが、政府発表「北朝鮮から飛翔体が発射された模様」との正午過ぎの報道には、さほど驚かなかった。驚いたのは、五分後の「この政府発表は、誤って探知した『誤探知』」という訂正ニュースであった。二週間も前から通知していた事柄でこの体たらくだ。これがもし、予告もなく日本に向けて飛来する核弾頭だったら、取り返しのつかないパニックになるところだった。なにしろ、核弾頭が飛んできていないのに飛んできていると国民に流すわけだから、パニックになる。間違えば、迎撃にまで発展し、核戦争にも突入することだって考えられないことではない。単なる「誤探知」ではすまされない失態である。日本の防衛体制に不備があることを訓練ではなく、実地に思い知らせてくれたという意味では、北朝鮮には感謝すべきである。

 米早期警戒衛星に探知を依頼していることそのこと自体、日本の安全保障上問題だが、そこから情報を受ける防衛省/政府危機管理センターのお粗末さも相当なものだ。これでは、とても、緊急時の日本の安全保障は万全とは言えない。案の定、防衛省の最新鋭ガメラレーダー(千葉市旭市)の誤探知と判明した。米早期警戒衛星からはそのような飛翔体が発射された気配がないことから誤った探知と分かった。警戒衛星から発射されたとの情報がないのに、情報があったとわざわざ「付け加えて」、防衛省は(これで確認が取れたとして)政府に伝えたのか、機械と人間の間の関係にまで突っ込んで原因を探るべきだ。こういう場合、 

 デュアル(二重)思想が大事

だ。米の早期警戒衛星も二機ペアで警戒している。二機ともに探知した場合に初めて正確な情報、確実な情報として届けられる。悲しいかな、日本のガメラレーダーは一機のみ。これではいくら最新鋭でも、信頼性はない。このことを今回、あらためて示した。それでは、最新鋭の機器がとらえた「飛翔体」とはなんだったのか。この原因を早期に確実に把握するためにも、二機でチェックするシステムが最低限度必要なのだ。まさか、北朝鮮のいたずら、日本の防空体制がどの程度かをテストする「おちょくり」だったのかもしれない。

 今回の誤探知は、日本の安全保障は戦前の考え方とほとんど変わっていないことを示したといえよう。どんなに最新鋭であっても、いや、最新鋭であればあるほど、機器は二台でワンセットという考え方をしないと、その機器は役立たない。

 それともうひとつ、最新鋭の機器さえ整えれば、安全保障は高まるというのは間違いだという教訓も忘れてはならない。最新鋭の情報が正しいとしても、それが何を意味するのか、分析する有能な分析官の養成だ。日本にはこれができていない。このことを誤探知はさらけ出したといえよう。

  それと、歯がゆいのは、日本にも飛翔体の追跡はできないが、歴とした情報収集衛星が二セット(光学衛星+レーダー衛星を1セットとして2セット計4衛星)が地球軌道を二十四時間回っているのに、今回のような事態にはほとんど役立たないということだ。一日二回、世界中のすべての地域の上空を通過し、地上の様子の情報を送ってはくる。しかし、今回のような刻々と追尾しなければならないリアルタイムで対応しなければならないケースでは役立たない。早期警戒衛星というもう一段高度な軍事衛星が必要となる。そんなことを考えると、何のための情報収集衛星か、と嘆きたくなる。日本の防空はハード的にも、ソフト的にも、さらに、ハードとソフトをつなぐ人材のいずれにおいてもお寒い限りである。このことを今回の北朝鮮「人工衛星」騒動は教えてくれた。



米が「人工衛星」にこだわる理由  日刊ゲンダイ 4月3日 左側のない男

米は今度も「人工衛星」で切り抜けか

というのだ。北朝鮮は1998年にテポドン1号ミサイルを打ち上げている。日本の防衛庁は専門家のさまざまな精密分析から「人工衛星などではあり得ない」との見解をアメリカ側に説明した。しかし、当時のクリントン政権は発射したのは「人工衛星」と断定した。なぜだろうか。春名さんは当時、ワシントンにいて、米政府高官から同じ説明を聞かされたという。よくよく背景を探ってみると、人工衛星「光明星1号」の打ち上げという当時の北朝鮮の説明をクリントン政権が事実上認めたのは、どうやら「米朝枠組み合意」を守るためだったようだと書いている。高度に政治的なものだったというのだ。もし、そうだとすると、防衛庁は釈迦に説法ということになる。人工衛星ではないことぐらい重々承知していたのだ。それでも、素知らぬ顔で北朝鮮の言うように「人工衛星」であると、しらをきったということになる。

 で、今回はとなるわけだが、今回も、3週間も前に、デニス・ブレア米国家情報長官が(DNI)が上院軍事委員会で、人工衛星打ち上げとの北朝鮮の発表について「その意図だと信じる」と明言したというのだ。そういえば、ほかの高官の発言も、ミサイルだと言う人もいれば、衛星だという高官もいる。なぜだろうか。情報は確実につかんでいる。しかし、それをそのまま言えない状況があるというのが、春名さんの「読み」なのだ。つまり、オバマ政権の対北朝鮮政策がいまだ固まっていないからだという。それによって正確につかんでいるはずの情報の使い方が異なってくるのだ。「米政府・軍幹部の発言がぶれ、統一した見解が出せないのはそのためだ」と書いている。

 とすれば、事実がどうであれ、今の段階では、政治的には米国が人工衛星「光明星2号」と判断する可能性は高いことになる。これまで、日本政府は、ミサイルだ、ミサイルだと一本調子で無邪気に騒いでいる。しかし、米政府の政策が固まっていない以上、打ち上げ後に備えて、どう転んでも政治的な発言ができるように準備しておかないと、国際的には孤立する。事実、春名さんもコラムの最後で「米国が人工衛星『光明星2号』と判断すれば、強硬派は日本だけで、取り残されることになる」と指摘している。

 さて、そこで注目される小さなニュースを見つけた。4月3日付日経新聞夕刊総合面「ダイジェスト」欄である。隅っこの、それもわずか8行足らずの記事である。短いので全文以下にそのまま引用する。

 「ワシントン=弟子丸幸子 ウッド米国務省報道官代行は二日の記者会見で、北朝鮮が『人工衛星の打ち上げ』を通報し、準備を進めている問題を巡り、米朝間の"接触"は「先週」が最後だったと明らかにした。『北朝鮮は核問題を巡る六カ国協議の枠組みに戻ってもらいたい』と強調。ミサイルを発射した場合も六カ国協議の早期再開を目指す方針を示した。」 

とすれば、この点を重視するならば、米国は、打ち上げの事実がどうであれ、北朝鮮を刺激しないために、北が言うとおり「人工衛星説」をとることになる。 

 正確な情報を収集することは大事だ。正確な情報に基づいて国益を守ることはもっと大事なのである。情報はそのために使うものだというわけだ。国益がぶつかり合う国際政治はかくも非情なのだ。


米国は日本のために報復攻撃をしてくれると思いますか?
思う 46,8%   思わない 43,2%
日米安保は空洞化しており核の傘は破れ傘だ(報道2001より)


(私のコメント)
核ミサイル戦争の時代においては偶発戦争は起きないように万全の注意が必要なのですが、昨日の誤探知騒動は日本の自衛隊は大丈夫かという不安感を持たせる。日本は核ミサイルを持たないからそのような不安とは無関係でいられましたが、もし日本が核ミサイルを持ったとして、誤探知による偶発戦争が日本の場合起きうることを暗示させる。

日本人はテンション民族であり、異常なほどの神経質な性格を持っている。オリンピックの時など選手は緊張しすぎてベストタイムを出す事ができない。今回のミサイルレーダーサイトも担当の自衛官が過度の緊張を強いられた為に、勘違いを起こして誤報を発してしまった。

北朝鮮から日本までは7分ほどでミサイルが到達しますが、瞬時に防衛体制を整えないと手遅れになってしまう。米ソの冷戦時代は本物の核ミサイルが対峙しあっている時代であり、偶発核戦争の恐怖に米ソの首脳は耐えなければならなかった。それ比べると日本の政治家は太平楽であり国防の心配は無くみんなアメリカ任せでいるのだから二世政治家でも務まるわけだ。

アメリカの核の傘があると思っているから安心しきってきたのですが、最近のアメリカ政府の動きは核の傘の不安を持たせるものだ。もし中国なり北朝鮮が日本の核ミサイルを撃ち込んできたらアメリカは核で報復するだろうか? もちろんアメリカ政府は本土を危険に晒してまで反撃はしないだろう。しかし外交的には曖昧にしているから分からないだけの話だ。

日本は島国だから国境紛争とは縁がありませんが、戦前においては満州国境などで紛争が起きましたが、一発の銃弾でテンヤワンヤの騒ぎになった。その結果、日本全体が切れた状態になり天誅を加えるという名目で国境紛争から戦争へと発展してしまった。日本人はこのような軍事的緊張には耐えられない民族であり、切れやすく先制攻撃にまで行ってしまう。

北朝鮮のミサイル騒動にも日本は騒ぎすぎとも言えるのですが、核ミサイル戦争の時代ともなれば海などの自然の障害は防波堤にならず、先に核ミサイルを撃ったほうが勝ちになる。それを防ぐには核ミサイルで反撃するしか手段はないのですが、MDなどは気休めに過ぎない。

11時30分に北朝鮮のミサイルが発射されましたが、7分後には日本を通過していった。二段目のブースターが予定よりも近距離に落ちてきましたが、推進力が不足していたのだろうか? 日本が探知したのは発射から3分後で探知しましたが、予告時間が分かっていての時間だから、あまり当てには出来ない。

実際には24時間常時警戒していく必要がありますが、北朝鮮がノドンミサイルを打ち込んでくる時は百発ぐらい同時に撃ってくるだろう。そうなれば全部の迎撃は不可能であり反撃体制を整えなければ意味がない。反撃体制とは日本が核ミサイルで反撃すると言う事を分からせなければならない。

昨日の誤探知問題はMDシステムの欠点を示すものであり、装備がいくら整っていても人的なミスが起きれば日本中が大騒ぎになってしまう。ミサイル戦争の時代は人対人の神経戦の時代であり、米ソにしても核ミサイルの発射基地の人員教育には日頃からの訓練が必要であり、誤探知や誤操作でミサイルが作動しないようにダブルチェックシステムで予防している。

戦前から戦中の日本軍を見ても、長期にわたる対立と緊張が続く場合に、相手の出方を待つということが出来ずに、緊張に耐え切れずに先制攻撃を仕掛けてしまう。日清、日露、大東亜戦争も先制攻撃を仕掛けた。これは勝てばいいが負けると外交的にまずいことになり、日本は太平洋戦争の時もアメリカの出方を見るべきだった。

パールハーバーを攻めさせたアメリカや、グルジア軍が攻めてくるのを待っていたロシア軍のように、受けて立つ気構えくらいでないと失敗する。受けて立つのと後手に回るのとは全く違うのですが、情報分析力が決め手になる。ところが緊張状態が続くと冷静さを失って分析力が無くなり馬鹿げた事をしでかしてしまう。

今回の北朝鮮のミサイル実験はデーター収集のためには有効であり、ミサイル迎撃システムをチェックするには絶好の機会であり、国民の国防に対する関心を高める事に成功した。しかし冷静に見ればPAC3もイージス艦のSM3も能力不足であり金ばかりかかる兵器である事が分かる。気休めにはなるのでしょうが、核ミサイルを装備した方が安上がりだし外交的にも効果的だ

しかし日本は食料もエネルギーも情報もみんなアメリカに頼っている。それに対する日本の外交安全保障戦略が無いわけですが、日本の政治家はアメリカに頼るのみであり、アメリカが「G2体制」として中国と組むという事になれば日本はどうなるだろうか? 中国は核ミサイルを持つ自立した国家ですが日本はアメリカの半植民地だ。

同じ立場だったドイツは東西ドイツが統一後、ロシアと組んでアメリカからの自立の道を選んだ。EUを結成してユーロという国際通貨を作った。ロシアもEUや中国と組んでアメリカ包囲網を作っていますが、日本だけがアメリカ追随外交を繰り返している。アメリカは外交的に行き詰まってオバマを大統領にしてアメリカ包囲網を崩そうとしていますが、アメリカ発の経済危機で泣きっ面にハチの状態だ。

アメリカは血迷って中国と手を組もうとしていますが、そうなれば日本は自立の道を選ばなければならない。「G2体制」は日本にとっては脅威であり日米安保の空洞化を意味する。さらにアメリカは中国に気兼ねして北朝鮮の核保有を認めミサイル開発にも容認の姿勢だ。アメリカが日本を裏切るのなら、日本はドイツを見習って自立の道を探るしか方法が無くなる。




中国には、中国経済圏拡大と人民元をアジア地域の基軸通貨に
押し上げたいという政治的思惑もある。円は100円台に下落。


2009年4月4日 土曜日

金融サミットで集合写真に納まる麻生太郎首相(後列右から4人目)
国際会議では日本の存在がますます小さくなっていく。


G20 存在感増すアジア・太平洋6カ国 異なる思惑 IMF改革は一致 3月28日 フジサンケイビジネスアイ

 4月2日にロンドンで開催される主要20カ国・地域(G20)金融サミットに、アジア・太平洋地域からは日本、中国、インド、韓国、インドネシア、オーストラリアの6カ国が参加する。G20が閣僚会議から首脳会議に格上げされ、G7の意義が低下しているのは、世界経済におけるアジア・太平洋諸国の重要性の高まりを象徴している。各国首脳とオバマ米大統領との会談も注目される。

 ≪分析≫

 G20は1997〜98年のアジア通貨危機後、財務相・中央銀行総裁会議として99年に始まった。創設時と2008年の首脳会議への格上げの際に、アジアは中心的役割を果たした。アジア・太平洋の6カ国、特にG7のメンバーではない日本を除く5カ国は、G20を首脳レベルの会議として維持することに共通利益を見いだしている。

 経済のグローバル化が進むなか、新興国を加えたG20への拡大により、G7としては改めて主導権を確固たるものにする狙いがあった。しかし、世界経済は中国やインドに代表される新興大国と、韓国やオーストラリアのような活力あるミドルパワーが台頭している。急速な発展と官民の莫大(ばくだい)な貯蓄により、アジアは世界で相対的に重要な地位を占めるに至った。

 日本を除くアジア・太平洋の主要国は、世界経済を監督する国際組織で発言力が小さいと長い間、感じていた。こうした感情は、97年のアジア通貨危機に対するIMF(国際通貨基金)、世界銀行、米国の対応で深まった。

 現在の世界金融危機では、欧米の金融市場がその震源地だったことから、世界経済の「運営委員会」としてのG7の欠陥が露呈。アジアの不満はさらに高まった。

 アジアも現在の危機の余波により、貿易や株式市場で大きな打撃を受けた。このことは、アジア・太平洋地域の経済の脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにする一方、信用収縮による世界的危機への対策で、最大の貯蓄を持つアジアの存在感がますます増していることを明確にした。

 14日に英国で開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議では、IMF改革で参加国が一致した。米国と欧州はIMFと世界銀行の総裁を独占してきた暗黙の特権を放棄した。

 また、IMFの出資比率の変更が2013年から11年に前倒しされて、資金を2500億ドル(約24兆5700億円)から5000億〜7500億ドルに引き上げる計画のなかで、出資比率を増やすことになるアジアの加盟国には大きな役割が期待されており、影響力の拡大が必至となっている。

 ◆日本は複雑な立場

 アジア・太平洋諸国はG20首脳会議にそれぞれ異なった思惑を持つ。日本はアジアで唯一のG7参加国であり、G20に対して複雑な立場だ。昨年の北海道・洞爺湖G8(G7+ロシア)サミットに先立ち開催されたG20環境相の初会合で、日本はG20の強化に強い関心をみせた。

 しかし、G20は規模が大きすぎ、扱いにくく、G7の果たす調整役としての役割に取って代わることはできないと、日本の政策決定者は考えている。IMFで比較的大きな出資額と投票権を持つ日本は、IMF出資比率の大幅な見直しを支持するかどうか不透明だ。

 G20には中国が含まれる。日本と中国は地域の指導力をめぐってライバル関係にあることから、日本の指導力の相対的低下を加速すると不安視する向きもある。

 一方、その中国はG7からG20への移行で最も恩恵を受けている。G7の枠組みは、貿易・為替政策で「中国たたき」の場になる可能性があると、中国は懸念している。G20ならば他の新興国と協力することで圧力を緩和できる。

 先日、温家宝首相が中国の対米投資資産に不安を表明した。このため中国は、IMFが先進国に対する監視を強化するよう求めるだろう。また、IMFへの出資拡大の条件として、投票権の大幅な見直しを求めるはずだ。

 ◆米に近づく中韓

 さらに今週、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は「ドル時代の終焉(しゅうえん)」を唱え、より大きな課題をほのめかした。中国は、人民元の為替政策がG20首脳会議で話題にのぼることに抵抗するだろう。米国を牽制(けんせい)する中国の胡錦濤国家主席と、オバマ米大統領の初会談は最も注目される。

 韓国は、G20を首脳レベルの会議に保つことに最も乗り気だ。次回のG20は韓国で開催されることになっており、今回のG20首脳会議は、韓国にとって存在感をアピールする絶好の場となる。

 韓国は、FRB(米連邦準備制度理事会)と他国の中央銀行との間で最近合意した暫定スワップ(通貨融通)協定を恒久的なものにするよう、米国に働きかけている。米韓FTA(自由貿易協定)の先行きが不透明ななか、予定される李明博(イ・ミョンバク)大統領とオバマ大統領との初首脳会談が鍵を握る。また、ロンドンでは、韓国EU(欧州連合)FTAの妥結が発表されるだろう。

 ≪結論≫

 G20に対するアジア・太平洋諸国の期待は大きい。同地域が将来の世界経済を形づくり、米国との関係を築くうえで、G20は重要な新しい協議の場となるだろう。G7のメンバーである日本は別として、アジア・太平洋の参加国はG20で世界の経済運営に対する発言力を増すとともに、IMFの大幅な改革に最も大きな利益を見いだしている。


G20 中露がドル基軸に挑戦状 新基軸通貨へ綱引き 4月3日 産経新聞

【ロンドン=渡辺浩生】ロンドンで開催された主要20カ国・地域(G20)の金融サミット(首脳会合)で、ロシアが基軸通貨ドルに代わる国際準備通貨の創設を正式に提案した。中国もドル基軸体制の見直しを求めている。外貨準備が豊富な他の新興国が今後同調する可能性もあり、欧州もユーロの地位向上を狙っている。中露の挑戦で、基軸通貨の覇権争いに火ぶたが切られた格好だ。

 ロシアは2日、声明を通じて、地域通貨を強化する目的で金に一部裏付けられた新たな準備通貨の創設を国際通貨基金(IMF)とG20の場で検討するよう提案。メドベージェフ露大統領はサミットの場でも、「中長期的な課題」として同構想を提起した。

 ロイター通信によると、中国の胡錦濤国家主席は新準備通貨には言及しなかったが、「主要準備通貨の為替相場の安定性維持と、多様な国際通貨制度の開発が必要」と発言、ドル依存の体制見直しを訴えた。

 同行筋によると、中露の提案に米国からの特別な反応はなかった。しかし、G20に先立ち中国人民銀行の周小川総裁が打ち上げた新準備通貨構想は、本番でも隠れた主題として関心を集めることに成功した。

 ドルは1944年、戦後の米欧戦勝国が主導したブレトンウッズ会議でドル金本位制が確立され、英ポンドから基軸通貨の地位を奪い取った。金・ドル交換停止による変動相場制に移行した71年の「ニクソンショック」以後も、米国は圧倒的な経済と政治力を背景にドルの覇権を維持している。IMFによると、2007年時点でドルは世界の外貨準備の64.7%を占める。ユーロは25.8%、英ポンド4.4%、日本円3.2%と続く。

 しかし、今回の世界同時不況で米政府が大型景気対策を実施、財政赤字は1.7兆ドルと過去最大に膨らんだ。一方、米国に端を発する金融危機の影響を受けた欧州金融危機の深刻化でユーロの信認がゆらぎ、皮肉にも安定資産として米国債に資金が流れ込んだ。膨張し続けるドルは、インフレの危険をはらんでいる。

 暴落のリスクを抱えたドルに依存した新興国や途上国は「マクロ経済政策で十分な責任を果たせない」(ロシアの声明)と危機感を募らせる。

 1月の米国債残高は7390億ドル。世界最大の米国債保有国の中国と、巨額のオイルマネーを抱えたロシアが突きつけた「反ドル連合」は、インドなど他の新興国を取り込み拡大する可能性もある。中国には、中国経済圏拡大と人民元をアジア地域の基軸通貨に押し上げたいという政治的思惑もあるとみられる。

 米国は「今後もドルは世界の準備通貨であり続けることは明白だ」(ギブズ大統領報道官)と強気の姿勢を崩さない。1990年代に「円の国際化」を夢見た日本も、今回の金融サミットではドル基軸体制堅持の姿勢を鮮明にし、ドルとの“一蓮托生(いちれんたくしょう)”を強めている。

G20 日本の存在感低下を象徴?時計は北京時間
もはや東京はアジアのローカル都市になってしまったのか?


(私のコメント)
今日は朝から北朝鮮の打ち上げ花火がいつ上がるのかテレビにかじりついているのですが、12時16分に出た警報が誤報だったようだ。どこから出た誤報なのかは分かりませんが、いい訓練の場となっている。しかしながら北朝鮮のミサイルに怯えながら生活しなければならない日本はこれでいいのかと考えさせられます。憲法改正や核武装などの問題も北朝鮮のミサイルによる威嚇が続けば、日本の国民世論も変わるきっかけになるかもしれない。

日本は経済大国といいいますが、経済利権を守る為には軍事力のバックアップは必要であり、それが無ければ外国からいいようにカネの無心で取られていく一方だ。G20でも日本は1000億ドルを拠出するようですが、EU全部で1000億ドルに比べると多すぎるのではないかと思う。そんな金があるのなら国内の景気対策に使って欲しいものだ。

G7ではあまり目立ちませんでしたが、G20の国際会議となると日本の影の薄さが気になります。麻生首相はアメリカやロシヤやドイツやフランスなどとの首脳会談を持ちかけましたが時間がないと言うことで断られたようだ。それだけ日本の首相の存在価値が低いからなのでしょうが、麻生総理自身への支持率アップの為にはがんばらなければならないのに陰が薄いのは隠し切れない。

G20のプレスセンターでも、ニューヨーク、ロンドン、東京の時計が今までの国際会議では設置されていたのですが、それが東京から北京に代えられてしまった。イギリスもえげつない事をするものですが、国際的に見れば東京よりも北京の国際的な地位が高くなったと言う事なのでしょう。しかし日本の記者がイギリス当局に抗議するわけでもなく理由も聞かないのはどういうことなのだろうか?

円も1ドル100円に下落しましたが、通貨の価値と国際的な国の地位の高さは関係があるのでしょうが、円よりも中国の元の方にシフトして行く動きが活発化していくのだろう。輸出企業にとっては円高で大騒ぎしていましたが円安に振れているのは一時的な現象ではなく、日本経済の長期にわたる停滞と国際的な地位が日本から中国へシフトして行く現われでもある。

このようになった原因としてはアメリカ自身の態度が大きく影響しており、アメリカの国会議員たちも日本を素通りして中国に頻繁に往来を重ねるようになり、経済界も同じ動きだ。アメリカのシンクタンクもG2体制を打ち出してアメリカと中国による世界覇権の維持を考えているようだ。中国はいまや世界一のドル資産保有国でありそれを武器に対アメリカ外交の武器に使っている。日本は80年代から90年代にかけて世界一のドル保有国でしたがそれを外交に使うことが出来なかった。

日本の政治家や官僚たちのアメリカや中国に対する卑屈なまでの態度は見苦しいものですが、日本が半植民地国家であり外交と防衛をアメリカに丸投げした状態ではどうすることも出来ない。だから北朝鮮のミサイル発射でも日本国中が右往左往しなければならないのでしょうが、アメリカの国力の衰退と中国の国際的な地位の向上は、日本の真の独立のきっかけとなっていくのだろう。

日本の外交戦略としては中国をもっと煽ててアメリカに対する対抗意識を高めてアメリカを揺さぶらせる事だ。G20はそのいい機会であり日本は中国に戦略的な外交を仕掛けるべきだ。麻生外交はアメリカよりの姿勢を強めていますが、衰退するアメリカにとってはありがた迷惑なのかもしれない。北朝鮮の拉致問題も日朝関係の問題と突き放されてしまった。

ドルの暴落懸念は実現していませんが、中国の温家宝はアメリカに対してドル資産の保障を要求した。日本の首相が言っても効果がありませんが中国に首相が言えばアメリカは震え上がるでしょう。それだけ中国の首相の発言力は大きく日本の首相の発言力は小さい。それだけ中国からもアメリカからも足元を見られてバカにされているのですが、日本も金正日を見習って国威の発揚に努力して欲しいものだ。

アメリカの中国に対する卑屈なまでの態度は日本を不安にさせるに十分ですが、チベット問題や中国沿岸での米国海軍への嫌がらせにも米政府の反応はおとなしい。北朝鮮のミサイル発射も核保有にも容認の姿勢ですが、同盟国への裏切り行為であり日米安保の空洞化を予感させるものだ。


「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 4月3日

米中の「G2関係」は、それまでの米国との同盟国を傷つけていないのか?
  ワシントンポストが「周辺アジアの迷惑を考慮せよ」と

ワシントンポスト(4月2日付け)に寄稿したデニス・ワイルダー(ブルッキングス研究所客員研究員)は米中蜜月の“G2”という新しい関係に若干の反省をこめて次のように書いた。

 「これまで孜々営々として構築されてきた米日、米韓、米豪、米印関係など過去の同盟国に対して詳しい説明もないままに、米中関係が戦略的パートナーをこえた『G2』となることは、アジア全体への配慮を欠いていないか。
ダライラマへの北京の一方的対応や最近は海南島沖合での米艦妨害行為、またアルカィーダ戦争への消極的参加をみても、北京への不信が払拭できない。
 これは冷戦後の同盟の組み替えではないのか。
 就中、日本、印度へ(不信と猜疑心を運んで)重い代価を支払うことになろう。インドはすでに米印関係を“もっとも静かな、退屈な関係”と比喩したように同盟国に与えたのはハラスメントである」。
 
 同日、オバマ大統領はことし後半の訪中を発表した。直後、日本へも立ち寄ることを追加でとってつけたように表明した。



(私のコメント)
アメリカの動きとしては戦略的パートナーを日本から中国へ切り替えていると思われます。ならば日本もアメリカに頼らずに自主独立の戦略を模索すべきなのでしょうが、日本の政治家や官僚たちにはそれだけの気概がない。国際会議における日本の代表の影の薄さは政治家や官僚たちの意欲の無さの表れでもあるのですが、国民が怒り出すまで放置しておくつもりなのだろうか?




日本では今世紀に入ってから、世襲議員だけしか首相になっていない。
無税の政治資金の世襲は、機会の平等を損なっているのではないか。


2009年4月3日 金曜日

二世議員の政治資金相続税の物語 2月9日 生涯成長

政治家の特権、かつて国鉄や日航のタダ乗りや優待券、今激安の議員宿舎費用、歳費以外の調査費支給など、高額な外遊費用、そして資金団体の相続税免除、これでは政治不信は払拭できないでしょう。以下は、週刊文春の記事です。  

「二世議員の『世襲』猛批判」  ジャーナリスト・上杉隆氏 「週刊文春」(2月12日号)

多くの記事を書いていると、時に、筆者の意図しない反応を得られることがある。 新年特大号に寄稿した「二世議員の 『羞恥心』」がまさしくそれだった。 「チーム安倍」のひ弱さ政権の崩壊を受けて、二世議員の胆力に疑問を感じたのが一昨年の秋のこと。さらに無責任な福田首相の政権投げ出しを目の当たりにして、疑問が確信に変わったのが昨年秋だった。 そして同時期、永田町の常識とはかけ離れているようにみえた小泉純一郎元首相ですら、次男を後継者に指名した。

もはや世襲は、永田町では当然の文化であり、取材の材料には事欠かない状況になっている。 おかげで取材の副産物として政治資金の“相続”には税金がかからないという問題に辿り着いた。 これについては発注後、じつに多くの反応があった。 永田町での取材中、何人もの政治家や秘書から声をかけられた。 「ど真ん中のストライクだな。 あれは書きすぎだよ」(自民党衆議院議員)「悪いけどあの件について書くのなら、今後は一切取材に協力できないから」(別の自民党衆議院議員)「あんた、本当に永田町全部を敵に回すよ」(自民党議員秘書)

メディアもこの部分に強く反応した。 テレビでは、報道番組のみならずワイドショーなどの情報番組が盛んにこの点を取り上げた。 「久米宏のテレビってヤツは?!」(毎日放送)に出演した際も同様だった。 収録中、野中宏務、鈴木宗男、石井一、平沢勝栄らのたたき上げの代表格のような政治家たちと、世襲議員の弊害について話し合う時間があった。総じて二世議員の甘さと弊害については意見を一にし、誰もが厳しい考えを表明していた。 ところが、筆者が「例の政治資金管理団体(資金団体)に相続について触れると、途端に反応が鈍くなる。 不思議に思っていたところ、休憩中に謎が氷解した。 たたき上げの象徴と思われていた彼らもまた、地方政治家の息子だったり、あるいは、子供への「世襲」を準備している最中だったのだ。

永田町での異様な反応と反比例して、読者からの「共感」はこれまでにないほど上々だった。 次に紹介する声が、一般人の怒りを代表している。 「あんたの記事を読んでからというもの、悔しくて、悔しくて夜も眠れない。 なんで政治家だけが特別扱いなんだ!」 電話の主は、相続税の支払いに頭を悩ませた末、結局、何代も続けてきた店を閉じる活断を下した東京の呉服店の店主だ。 この不況下、同様の事情を抱える自営業者、および中小零細企業の経営者は全国に少なくない。 その中で政治家の世襲だけは例外なのだ。

日本では今世紀に入ってから、世襲議員だかしか首相になっていない。いったいなぜ、こうも政治家ばかりが優遇されるのか。 今回は、そのからくりともいえる政治資金の非課税相続の具体的なケースについて触れてみようと思う。 とりわけ、首相を排出した政治家一族を中心に取り上げよう。 内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)をつとめる小渕優子は、言わずと知れた故・小渕恵三首相の次女という典型的な世襲議員である。 彼女はどのようにして政治資金を相続したのだろうか。

○○年五月に急逝した小渕元首相の資金団体は「未来産業研究会」という。 TBSを辞めて父の秘書をしていた小渕優子が、同名の資金団体「未来産業研究会」の届出をしたのは、父の死から半年後の11月、同名でややこしいので以降は新・旧で記す。

<「迂回」寄附をくり返す>
○○年11月、「旧研究会」は、代表者を元首相秘書官古川俊隆に代えたその日に「解散」の届出をしている。 解散時、「旧研究会」の残高は約2億6千万円で、そのすべてを使い切っている。 そのうち、寄附支出が約1億6千万円を占めている。 寄附の内訳は、7千万円が「国際政治経済研究会」へ、残りの約9千万円が「恵友会」である。 これらは、ともに、小渕元首相の政治団体である。

小渕元首相関連の政治団体は「国際政治経済研究会」「恵友会」「恵和会」「恵山会」「平成研究会」などがある。 
資金団体は一代限りだが、政治団体は永続性があるため、いまなお存在している団体もある。

一方、01年3月に届出のあった「新研究会」の収入は約6千万円、そのうち団体からの寄附によるものが9割を占め、そのほとんどが「国際政治経済研究会」からのものだった(5千万円)。 つまり、父の小渕元首相が「旧研究会」に預けていた「遺産」は、「国際政治経済研究会」を経由して、娘の「新研究会」に相続されたのだ。 

もちろんその間、一切税金はかかっていない。 つまり、親から娘へ5千万円が非課税で相続されたのだ。 だが小渕元首相が死後、寄附した金額は約1億6千万円だったはずだ。 となると残りの約1億円はどこに行ったのだろうか。

実は、翌年も同様の相続が行われており、「新研究会」に、「国際政治経済研究会」かた2千万円、「恵友会」から5千万円が寄附されていたのだ。 要するに、「旧研究会」の解散時寄附された「国際政治経済研究会」への7千万円と「恵友会」への約9千万円は、2年かけて、それぞれ7千万円全額と、9千万円のうち5千万円が「新研究会」に寄附された計算になるのだ。 つまり、小渕優子は、政治団体を経由させて、父から1億2千万円を無税で相続したことになる。 しかし、「旧研究会」から直接、「新研究会」へ寄附しても、無税であることには変わりがない。 なぜこのような「迂回」をして寄附をするのか。 小渕事務所に聞いたところ、「お問い合わせ頂いた件関して、事実関係に間違いはありませんが、先代の『未来産業研究所』から、『国際政治経済研究会』と『恵友会』を経由して、優子代議士の『未来産業研究所』へ寄附するような形を取ったのには、特に理由はありません」という回答だった。

この回答に、政治資金の相続に対する政治家の反応が集約されているのだが、小渕家のケースは珍しく、特殊なわけではない。 法的にはなんら問題はなく、ほとんどの二世政治家が実際に行っている“遺産相続”に一手法に過ぎないのだ。 故・橋本龍太郎元首相の次男・岳衆議院議員の場合は、少し違った形になっている。 

06年、橋本元首相の資金団体「新政治問題研究会」には約6千万円の政治資金があった。そしてこの年、龍太郎が亡くなると、この「新政治問題研究会」の代表には、妻の久美子が就いたのである。 そして橋本の死後も、この資金団体は存続し、さらに9千万円以上の寄附をも受けた。岳の資金団体「情報社会政策研究会」への寄附などは見当たらない。 そこで、久美子代表に聞いたところ、「主人のやっていたことの残務整理とかがありましたので、私が代表をやっていましたが、遠からず解散しようと思っています。特に息子を応援するとか、今のところはそんなことではないですね。 政治資金については、今のところは全く考えていませんが、いずれ解散するときにはしかるべく考えなきゃいけないと思っています」との答えだった。 また、“相続”ではないが、息子への支援という点では、森喜朗元首相のケースも顕著だ。 石川県議会議員である息子の森祐喜に対して特別な支援が行われている。

<「そりゃ親子だからでしょう」>
森元首相が支部長をつとめる「自由民主党石川県第二選挙区支部」の収支報告(平成19年分)によれば、寄附金の支出として、「森ゆうき連合後援会」に計5百万円がある。 祐喜は自民党選出の県議なのでこれ自体問題はないが、寄附を受けている県議は、選挙区内に9人いる自民党県議のなかで、彼一人なのだ。 9人のうちの一人、自民党県連会長・中川石雄県議が、「へえ、そうなんですか。 私は承知していませんな。 そりゃ親子だからでしょうな。私は森さんからもらっていません。地元では『父親は息子に足を引っ張られているんじゃないか』なんていう人もいて、お父さんとすれば、心配のところがあるのかもしれないね。ただ党のお金となると、確かに他の県議に配ってもいい気はするね」と語る。

さらに、同支部は「人件費」として、「森ゆうき連合後援会」に168万円も計上していた。 備考欄に「無償提供」とあったため、石川県選挙管理委員会の担当者に問い合わせたところ、「後援会では人件費で計上しなかったので、こちらで計上したということだった」という回答だった。 それにしても、自民党支部に入るカネは、元は「政党助成金」であり、「国民の税金」だ。 それを森元首相が支部長を務めながら、長男の祐喜だけに配ったことは、「私情」によるものだと批判されても仕方ないだろう。 森事務所は代理人を通じて、「政治資金規正法その他の法令に基づき、適正に処理しています」と回答する。

政治資金の“相続”に話を戻す。 政治でもっともカネがかかるのは選挙だ。 とりわけ、最初の選挙は誰もが、事務所設置費や新規の人件費などでより多くの支出を迫られる。 選挙準備資金は、候補者にとって喉から手が出るほどほしいものなのだ。

○○年に政界を引退した元二世議員、久野純一郎も、「父が辞める時に残ったお金は、私の選挙にがぼっと使ったはずです」と語る。 問題はこうしたカネも事実上無税で“相続”できることで、二世政治家以外の人物が政治に参入することが妨げられていることだ。 世襲制限に反対する自民党衆議院議員の寺田稔は、「(世襲制限は)全くナンセンスである。立候補の自由、政治活動に対する侵害であり見過できない。 立候補の自由は民主主義の根幹であり、万人に相等しく保障されるべきである」と、昨年末「週刊文春」で行っている「世襲アンケート」に回答している。 しかし、現実は逆で、政治資金の世襲は、機会の平等を損なっているのではないか。

初当選時(○○年)の小渕優子の資産公開をみると、預貯金1200万円、他には以前つとめていた東京放送(TBS)株を千株保有するのみ。 資産からみると、ややリッチな程度のOLが選挙に出られる背後には、前述の1億2千万円の相続があるのは疑いない。 もし民間人が父親の資産を利用して政治に参画したいという志を持ったとしても、たとえば1億2千万円のうち、千百万円は相続税として消えてしまう。 他に金額には表れない後援会などの“相続”を考えれば、「立候補の自由」には、著しい不公平があるのだ。 

政治資金収支報告書の発表は、年一回、よって、小泉純一郎元首相から次男の進次郎への寄附行為はまだ確認できない。 だが、次期選挙に向けて、すでに父親からは後援会や各種団体への支援要請は済んでいる。 なぜ永田町からこのシステムを変更しようという声が聞こえないのか。

民主党は昨年末、政治家の世襲の制限について、党内議論を繰り返している。 しかし、現在、俎上に載せられている議題は、「資金管理団体の世襲を認めない」とあるのみだ。 すでに見てきたように、政治資金の相続は、資金団体をそのまま相続するのではなく、いったん他の政治団体を経由して、後継者が新たに作った資金団体に寄附されることが多い。 「資金団体」に限定したのでは、ザル法になるのは、目に見えている。 

そこで、民主党の政治改革推進本部事務局長であり、「公選法見直し小委員会」の座長も務める野田佳彦に聞いた。「半歩前進ですが、警鐘を鳴らすために、資金管理団体の世襲を認めない法案は提出しようと考えています。 公選法や政治資金規正法の見直しというのは、与野党である程度、成案を得るような形にしないと前進しません。共通の土俵ですからね。法文としてはハードルを低くしたわけです。 本当はもちろん、世襲自体を禁止したい。 ただ、これをいきなり法律で与野党合意というわけにはいかないでしょうから、まずは党の内規でやってチャレンジしてみようと」

ところが結局、民主党は昨秋の臨時国会に引き続いて、今回の通常国会での“世襲規制”法案提出を見送るようだ。 法制化の意欲を捨てていない野田ですら、「総選挙前のマニフェストに記載してもいい」というところまで後退している。 今回は、世襲の三要素である「地盤・看板・かばん」のうち、かばん(カネ)についてみてきた。 だが、これだけでも、改革の見通しはまるで立っていないことにお気づきだろう。 さらに強い反対が予想される「地盤」、つまり後援会の問題解決など不可能に思えてくる。 次回は二世議員が誕生しやすい土壌を作り上げている日本政治の「闇」にさらに迫ってみる。 (了)

これでも政治家は民主主義が行われていると理解しているのでしょうか。 自らの特権はそのままにして、日本社会は概ね公正・公平だというのでしょうか。 「小さなことで規律を破ると、大きなことでも規律を破るようになる」という言葉があるそうですが、「小さな特権を得ると、大きな特権も当たり前と考えるようになる」、そんなことにつながってきているように感じられます。 残念ながら、多くの二世議員はそんな人生環境を積み重ねてきたように感じられます。 中国では悪いことをしても、良いことを行えば相殺されるという考え方があるそうですが、特権を得ていても、それを上回る働きをすれば、その特権は是認されるべきだと、考えているというのでしょうか。

日本社会では、格差の是正、同一業務同一賃金、正規/非正規雇用、機会平等など差別ともいえる問題の解決が進まないのは、民主主義の浅さといえばそれまでの話ですが、一方、この状態で「人は生まれながらにして平等」「法の下での平等」といった憲法の精神が具現化されていると考えられているのでしょうか。



(私のコメント)
政治とカネの問題は小沢スキャンダルでも浮かび上がりましたが、議員の世襲化の原因の一つになっている。政治資金という名目でカネを集めれば無税だし相続税もかからないから世襲議員が圧倒的に有利になる。派閥の領袖クラスになれば選挙資金はあちこちから集まってくるから数十億円単位になる。大臣クラスでも関係団体から金集めが容易になるから巨額の政治資金が集まる。

小沢一郎も東北全域のボスとして君臨しているから西松建設も政治資金を出してきた。そして集めた金を小沢一郎はマンションなどを買って運用していたようですが脱税でつかまる事はない。政治資金管理団体名目ならば事務所費で届け出れば認められたからだ。しかしこれが個人の資産なのか資金団体の資産なのかが区別がつかない。

このような事は国会議員だけではなく地方議会議員などにも言えるのでしょうが、政治資金管理団体という名目で金を集めればマンションを買おうが自由に使える手段として使っている議員がいるのではないだろうか。一応は領収書などを取っておけば違反にはならないし、事務所費兼自宅として使えば生活費として使っても見分けがつかない。

昔は政治家といえば井戸塀議員といわれるくらい、カネに困窮して井戸塀しか残らないと言われたものですが、今では政党助成金が配られるから現役の議員は圧倒的に有利だ。テレビなどでは政治資金のやりくりに苦労する議員さんが活動費用が足りないとこぼすのが普通ですが、世襲議員になると親からの相続財産は政治資金には税金がかからないし後援会もそっくり相続しても税金はかからない。

このように国会議員や地方の議院となれば節税になると言うので議員になっている人も多いのではないだろうか? 海外旅行などをしても視察という名目で公費が使えるし、秘書という名目で親族もたくさん登用すれば節税になる。そうでなくても国会議員の息子や娘となれば一流企業にコネで入れるし、小渕少子化大臣などはテレビ局を辞めるまでに1200万円もの貯金があった。

このように日本には様々な議員特権が認められているから、自分の息子や娘に国会議員の職を継がせようとするのが当然だ。本当の政治の世界はヤクザの世界よりも厳しく精神的にも肉体的にも厳しい世界だ。プーチンや金正日やチャベスなどヤクザの親分よりも強面であり、このような連中と外交交渉をするのだから並みの人間には出来る事ではない。

しかし、安倍総理や福田総理などの二世議員は育ちのいいお坊ちゃんであり、ちょっと外国から脅されただけで首相の座を投げ出してしまう。世襲議員は議員特権を引き継ぐ為に議員になったのであり、政治に対する志に欠けるところがある。選挙期間中こそは選挙区をぐるぐる回るが、選挙以外では東京で生まれて東京で生活をしているから選挙区のことを知らない。小泉改革は地方切捨てと見られるのですが、世襲議員は選挙区の意向を無視して小泉総理についていった。

世襲議員にとっては選挙だけが唯一の障害ですが、金のかからない選挙という名目で様々な規制をして選挙活動が出来ないようにしている。その方が世襲議員にとって有利だからだ。田中良紹氏は次のように書いている。


政治とカネの本当の話(2) 3月9日 田中良紹

よく「選挙に金がかかりすぎる」と言う人がいる。そう言う人がいるために日本の選挙は民意を反映されない形になった。「金がかかりすぎるから」と言う理由で選挙期間は短くなり、お祭り騒ぎをやめさせられ、戸別訪問は禁止され、選挙カーで名前を連呼するだけの選挙になった。名前を連呼されて候補者の何が分かるのか。何も分からない。要するに「金がかかりすぎる」を口実に、国民に判断をさせない選挙になった。現職議員にとってその方が再選される可能性が高まるからだ。

 選挙期間が十分にあり、戸別訪問を認めて候補者と有権者とが会話をし、国民を選挙戦に参加させるためにお祭り騒ぎをやれば、国民に政治に参加しようという意欲が生まれる。「それだと自分たちに不利になる」と世襲議員や年寄り議員は考える。より若く、情熱があって、意欲的な議員が選ばれる可能性が高まる。政権交代も起きやすい。それをさせないための仕掛けが「金のかからない選挙」という名目で行われた。



(私のコメント)
結局は国会議員たちは自分達が有利になるような選挙制度を考え出して、世襲議員が有利になるような選挙制度にしてきた。未だにインターネットが選挙に利用できないと言うのもその一例であり、インターネットが利用できるようになると、よりスキルの高い議員が当選する確率が高くなるからだ。

日本の選挙では選挙期間が極端に短く、選挙カーで名前を連呼する事だけが許されている。立会い演説会も戸別訪問も禁止されているのは現役候補者が楽して当選できるようにする為であり、テレビのキャスターの選挙に金がかかりすぎるという批判は、結局は選挙では何もさせないと言う結果をもたらしている。それで選挙に行けと言われても候補者の名前もよく分からなかったりしている。

日本では政治の実権を握っているのは官僚とアメリカであり、彼らに逆らえば地検とマスコミが動いて田中角栄のように恣意的に摘発されて政治生命を絶たれる。その為には日本の政治家は無力であることが望ましく、世襲議員が増えていく事は望ましい事だ。それよりもテレビを利用した国民への洗脳で政治に無関心である事が望ましく、選挙にも行かない若い人が増えている。

国会議員にとっても国民は馬鹿であってくれた方が楽なのであり、だからこそ世襲議員がこんなに増えてしまったのだ。日本の国会議員がいかに無能であるかを見るには彼らのホームページを見れば良く分かる。実につまらない内容であり、読むに価しないようなものが多い。これではネットで献金を呼びかけても無駄だろう。




オバマ政権は日本の安全保障上において信頼できる政権か?
北朝鮮の長距離ミサイル実験を容認する意図は何なのか?


2009年4月2日 木曜日

鹿児島・下甑島(しもこしきじま)で、弾道ミサイル防衛用の大型レーダー
「FPS-5」、通称「ガメラレーダー」の量産1号機が完成した。


ミサイル:北への対応をトーンダウンさせた米国 3月31日 朝鮮日報

北朝鮮による長距離ミサイルに転用可能なロケットの発射に対する米国の最近の対応は、今回の事態の重要性と危険性を「下向きに」評価し緊張を低めるものだ、と要約できる。

 米国は、今月27日にワシントンで開催した韓米日3カ国の対北朝鮮政策協議の前後から、こうした政策基調を確定した。この協議に先立ち先月12日には、ロバート・ゲーツ国防長官が北朝鮮のミサイルに対する迎撃の可能性を示唆し、強硬な対応を確約していた。しかしゲーツ長官は、それから50日もたたない今月29日、メディアのインタビューで「北朝鮮のミサイルを迎撃する計画はない」と表明、これにより自分の発言を事実上翻した。ヒラリー・クリントン国務長官も、二日前の27日に迎撃計画を否定した。

 米国のこうした立場の変更には、現実的な判断が働いている。米国は、ミサイル防衛(MD)システムを通じた強硬な対応を強調するのは現在の事態の危険性を増幅させるだけで、北朝鮮のロケット発射を防ぐことはできない、という判断を下した。またMDに否定的立場を取るオバマ政権が、初めての外交・安全保障の試験台でMD活用の可能性をほのめかすのは望ましくない、という決定を下したものと判明した。

北朝鮮のミサイル能力はまだ大きく心配する程度ではない、という判断も作用した。米国のマイク・ミューレン統合参謀本部議長は27日、CNN放送のインタビューで、「北朝鮮のロケットがハワイまで到達する可能性はあるが、米国本土を攻撃できる能力はまだ保有していない」と語った。北朝鮮のミサイルの性能が既存のものより明らかに向上してはいない状況で、過度の対応をする必要はない、と見たわけだ。

 国連安全保障理事会内での力学関係も、ロケット発射について「評価の切り下げ」を行う背景として作用した。常任理事国の中国とロシアは、北朝鮮が今回「人工衛星の打ち上げ」と主張し、第1段・2段ロケットが落下する予想座標まであらかじめ公開したことを受け、北朝鮮の主張にも一理あると見て、2006年に課された安保理決議1718号を再稼動させるのに消極的だ。現在の雰囲気では、これを非難する「議長声明」を出すことも容易ではない。

 オバマ政権には、北朝鮮がロケットを発射しても、北朝鮮問題を最優先課題にしようという考えはない。1993年の第1次核危機以降16年にわたり米国を悩ませてきた北朝鮮問題が、短期間で解決すると見る人物は、オバマ政権にはいない。

 オバマ政権の当面の課題は、経済危機克服とアフガニスタンの安定化だ。こうした状況でオバマ政権は、北朝鮮のミサイルの危険性を強調するよりは、なるべくその重要性を弱めて対話に誘導することが望ましい、と判断した。米国籍を持つ女性記者二人が北朝鮮に抑留されておよそ2週間になるが、公の場で釈放要求をしていないことにも、一脈通じる。



ミサイル:米保守層、迎撃に消極的な政権批判 4月1日 朝鮮日報

北朝鮮の長距離ロケット打ち上げの危機が表面化して以降、保守主義傾向が強い米シンクタンクのヘリテージ財団のウェブサイトには『33分』というタイトルの動画がトップページに掲載されている。北朝鮮とイランが長距離ミサイルを発射すれば33分で米本土を攻撃できるという意味だ。

 このドキュメンタリーはミサイル防衛(MD)システムを構築する必要性を強調しながら、オバマ政権を批判している。同財団のフュールナー理事長は「政府の重要な役割は敵から国民を守ることなのに、現在国民は守られていない」とオバマ政権の弱点を指摘した。

 オバマ政権が北朝鮮の長距離ロケット試験打ち上げを防げずに右往左往していることを受け、米保守層からは懸念の声が出ている。8年ぶりに政権を失い、求心力を失いかけた保守層には、オバマ政権の対北朝鮮政策に対する批判を契機に再集結を図る動きも見られる。

 下院政府監督改革委員会の幹事を務めるイッサ議員(共和党、カリフォルニア州選出)と下院外交委員会のフレーク議員(同、アリゾナ州選出)は3月26日、ホワイトハウスのジョーンズ国家安全保障担当補佐官に文書を送り、「北朝鮮のロケット打ち上げに伴う脅威を解消しようとするオバマ政権の意志が不足している」と批判した。

 その上で、米軍司令部は北朝鮮のロケットを迎撃する能力があるとしているが、オバマ政権に迎撃しようという意志が足りないため、国家安全保障が脅威にさらされていると指摘した。

共和党の大統領候補だったマケイン上院議員(アリゾナ州選出)と同党のグラハム上院議員(サウスカロライナ州選出)は、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表を務めたヒル国務次官補の駐イラク大使任命を撤回するよう求め、オバマ政権の対北朝鮮政策に対する不満を示した。

 保守色が強いウォールストリート・ジャーナルも30日付社説で、ゲーツ米国防長官が事実上北朝鮮のミサイルを迎撃する計画はないとしたことを強く批判した。

 同紙はゲーツ国防長官の発言について、北朝鮮のミサイル発射に強硬対応する日本にも役に立たないとして、ミサイル迎撃を主張した。

 同紙は西欧社会から多額のカネを分捕り、主権国家として認められることを目標にしている北朝鮮が、オバマ政権にも同様の代価を支払うように脅しをかけると分析した。

 ブッシュ前政権で北朝鮮問題を担当していた人物も批判の声を高めている。ホワイトハウスのグリーン前上級補佐官は、オバマ政権の北朝鮮政策に関する人事を具体的に批判した。同補佐官はメディアのインタビューに対し、ボスワース北朝鮮担当特別代表が「副業」として特使を務める点を指摘し、「韓国と日本からは、ただ北朝鮮問題を抑え込むことだけに関心があるのではないかとの不満が出る」と指摘した。国務省のアッシャー元上級顧問は「北朝鮮に対する米国と国際社会の無力さによって、日本が独自に核兵器を開発する可能性を高めている」と非難した。



(私のコメント)
北朝鮮のテポドン二号ミサイル実験ですが、日本にとって脅威なのはノドンミサイルであってテポドン二号ではありません。今度のミサイルは三段式で今までのテポドンとは異なる。射程距離が一万キロならアメリカ本土の西海岸まで到達しますが、実験してみなければ分からない。現在のところでは射程距離は六千キロほどでアラスカの一部がかかる程度だ。

だからアメリカとしてはお手並み拝見程度の構えであり、米本土に脅威にならないのなら、それほどの対抗措置はとらないと言うことですが、ミサイル迎撃システムの実践訓練としてみれば、これほどの訓練は無いだろう。日本にとってもミサイルが日本に落ちてくる確率はほとんど無く、これも実践的訓練の場でしかないだろう。

通常ならMDと聞いただけで野党や左翼団体がうるさくクレームをつけるのですが、国会でも北朝鮮に対する抗議決議が満場一致で議決した。タイミングよくガメラレーダーも完成してミサイル探知に活躍するようですが、SM3を装備したイージス艦も三隻がスタンバイしている。PAC3も都内をはじめ秋田や岩手に配備されましたが、3月4日の株式日記で書いたようにミサイルでミサイルを打ち落とすのは気休めでしかない。

米軍もイージス艦やコブラボールなどは飛ばすものの、それ以上の事はしないようだ。イランも二月に人工衛星を打ち上げましたが、北朝鮮のミサイルと関係があるのだろうか。中東の反米諸国と北朝鮮とは関係があるのですが、アメリカ政府は別として捉えているようだ。シリアなども北朝鮮の核開発技術が移転されようとしましたがイスラエルの爆撃で止められた。

朝鮮日報の記事にもあるようにアメリカにとっては北朝鮮問題は最優先課題ではなく、経済問題やイラクやアフガニスタンの問題で忙殺されている。オバマ大統領はこのような山のような課題に取り組まなければならないのですが、どれもが直ぐに解決されるような問題ではない。最終的には経済問題が悪化してこじれて長期化して、大幅な軍縮に取り組まなければならない。

G20においてはロシアとも核軍縮で話し合いが進められていますが、中国は毎年二桁の軍事予算の拡大で近代化が進められている。空母を持つという話も出ておりアジアにおけるパワーバランスが崩れようとしている。北朝鮮も核開発やミサイル開発でアメリカを揺さぶっているのですが、アメリカは当面は融和策で対応するしかないのだろう。だから米国籍の女性が北朝鮮によって身柄が拘束されましたが、アメリカは何の対応も示していない。


北朝鮮が米国人記者2人の起訴準備、拘束長期化へ 3月31日 読売新聞

【ソウル=前田泰広】北朝鮮の朝鮮中央通信は31日、米ケーブルテレビ局「カレントTV」(本社・サンフランシスコ)の米国人記者、ユナ・リー(韓国系)、ローラ・リン(中国系)の両氏に対する取り調べの結果、証拠資料と本人の陳述から「不法入国」と「敵対行為」の容疑を適用し、起訴を準備中だと報じた。

 北朝鮮当局が国外追放ではなく、裁判に持ち込む方針を決めたことで、2人の拘束が長引く可能性が強まった。事件の長期化により、米朝関係にも影響を及ぼすのは確実だ。



(私のコメント)
北朝鮮による拉致問題はアメリカは日本に対して他人事として捉えていましたが、米人記者二人の拘束は日本と同じ問題を抱えた事になる。しかしながらアメリカ政府は中立国のスウェーデンを通じて接触しているのみで外交問題とはしないようだ。北朝鮮としてはアメリカの出方を待っているのでしょうが、アメリカの弱腰な対応は予想外だ。

それに対して一番融和的だった日本政府のミサイル迎撃発言は驚きでもあるのですが、中国や北朝鮮や韓国は融和的に出ればつけあがるのであり、国内的に愛国心を煽る行為に出る。それに対して日本は態度を変え始めたのであり、北朝鮮の不審船は反撃して沈めたし、中国の靖国問題は小泉首相が参拝を続けて反日デモを止めさせた。

核開発をしたりミサイルを開発する行為もアメリカや日本を挑発する行為ですが、それで取引をして経済援助を得ようとしている。中韓朝は同じ文化圏であり外交においても対等の関係という事はありえず支配か服従かどちらかしかない。だから対外的には強く出ては叩かれてしまう。対等の友好関係は中韓朝の文化には無い。

日本は戦前においては強く出すぎて中韓朝に深入りしすぎて罠にはまりましたが、日本は断じて中韓朝の挑発にはのってはならない。挑発にのって手を出せば何にせよ金を要求してくるのがヤクザ国家の習性であり、南京大虐殺問題も従軍慰安婦問題も強制連行問題も強請りたかりの手段だと考えればいい。アメリカに対しても核やミサイルで強請りたかりをしているのであり無視をするのが一番いいとアメリカも考えているのだろう。

日本もそうしてきたのですが、結局は彼らを増長させたのみであり、出てきたら跳ね除ける対抗手段は必要だ。つまり中韓朝に対しては封じ込め政策が必要であり、経済的つながりは保つが軍事的な関係では対抗していく必要があるだろう。アメリカも朝鮮戦争では深く関与しすぎて日本と同じように深みに嵌りましたが、韓国は見捨てて米軍はいずれ撤退するだろう。

ミサイル時代においては朝鮮半島の軍事戦略的価値は低くなり、中国やロシアの勢力圏に入っても大きな影響はない。もともと朝鮮半島は地政学的に見て中国の勢力圏であり、緩衝地帯として置いておいたほうが中国やアメリカにとっては都合がいい。日本にとっても経済的なつながりは深めてもそれ以上の関係は組まないほうがいいだろう。文化が違うからだ。

アメリカ軍はいずれ極東アジアからも撤退して行くだろう。しかしロシアや中国に対する封じ込め政策は続けるだろうから、アラスカーハワイーグアムまで撤退はしてもそれ以上は進出はさせないだろう。ミサイル戦争時代においてはミサイル搭載潜水艦が一番の脅威でありロシアや中国はミサイル原潜を次々と保有して太平洋に進出してきますが、それを阻止するためには日本の海峡から出させない事だ。

アメリカの外交戦略としては中国とは経済的には深い関係は結んでも軍事的には同盟国とはなり得ない。アメリカは当面は中国の資金を必要としており強くは出られない。北朝鮮に対して強く出られないのも中国の意向に配慮しなければならないからだ。しかしこの関係が強化されれば、日本としては米中のG2体制に挟撃される可能性があるから、アメリカに対しては油断は禁物だ。




中国08年第4四半期のGDP伸び率は年率に換算すると約1%。モルガン・
スタンレー社は1・5%で、メリルリンチ社は0%に近いと試算した。


2009年4月1日 水曜日

例によってNHKは中国への投資を呼びかけるが外資は引き揚げている
クローズアップ現代より


どうなる中国経済?OECD「GDP6.3%増へ」 4月1日 サーチナ

経済協力開発機構(OECD)は3月31日、中国経済の見通しについて「今年の国内総生産(GDP)は前年比で6.3%増にとどまる」との予測を発表した。3月31日付で英字紙チャイナデーリーが伝えた。

 中国のGDPを巡っては温家宝首相がさきに開催された第11期全国人民代表大会(全人代)第2回会議の政府活動報告で8%前後の成長を目指すと公言したばかり。これに対して世界銀行は6.5%、アジア開発銀行は7%へと予想をそれぞれ下方修正した。ただしOECDは中国政府が大規模な景気対策を打ち出したことから来年にはGDP成長率が8.5%にまで回復するとしている。(編集担当:麻田雄二)


中国のGDP伸び率はほぼ0%近い、政府は中国経済の実態を隠蔽 2月19日 大紀元

【大紀元日本2月19日】VOAによると、中国政府がこのほど発表した08年第4四半期の国内総生産(GDP)伸び率について、一部のエコノミストは政治的および政権安定化を図る目的があり、実際のGDP伸び率は年率で約0%から1・5%と前期比で大きく下落したと指摘する。 

 中国国家統計局は1月22日、08年第4四半期の国内総生産(GDP)の伸び率が年率で前年比6・8%となったと発表した。中国の温家宝首相はこのほど、ヨッローパ諸国を訪問した際、08年第4四半期のGDP伸び率が6・8%になったことは世界に「自信、勇気と希望」を与えたと述べた。

 米国のドレクセル大学ビジネススクールの謝田・教授は本紙のインタビューに対して、「中国共産党政権は国際企業や各国政府からの投資を騙るために、これまでうそのGDP伸び率を系統的に作り上げてきた」と指摘した。

*中国共産党政権はGDPデータで中国経済の景気後退を隠した

 中国共産党政権がこのほど08年第4四半期のGDPは07年第4四半期と比べ6・8%増となったと発表したことについて、AP通信社は2月6日、米国や日本などの先進国は第3四半期と前期比でGDP伸び率を計算するが、しかし中国のように去年同期比でGDP伸び率を算出することはすでに時代遅れであり、去年同期比で算出したGDPデータは中国経済の景気後退の実態を隠すものだ、と指摘した。

 イギリスのスタンダードチャータード銀行の試算によると、08年第3四半期と比べ、中国08年第4四半期のGDP伸び率は年率に換算すると約1%。モルガン・スタンレー社は1・5%で、メリルリンチ社は0%に近いと試算した。

*前期比のGDP伸び率は経済実態をより反映できる

 VOAによると、米国国会図書館の国際貿易及び金融学研究員のウェイン・モリソン氏は中国08年第4四半期GDP伸び率に関して、中国政府と欧米エコノミストとの間に大きく差があるのは統計方法およびテクニカル面において大きく相違しているからだと示した。モリソン氏は「欧米のエコノミストは過去1年間における経済活動の変動を測り、その結果で去年第4四半期と今年第1四半期との変化を計算しようとしている。しかし、中国政府は各四半期のデータ、またはそれぞれの四半期のデータを前期と比較したものを報告しないため、人々は中国経済の実態を把握できていない」と述べた。

 一方、自由アジアラジオによると、米国インディアンナ州立ボール大学の鄭竹園・経済学教授も、前期比でGDP伸び率を計算することは、現在一国の経済活動の実態をより一層反映できるものだと述べたという。

*中国の景気後退、深刻化している

 AP通信社の報道では、メリルリンチ社の08年第4四半期GDP伸び率が年率で0%に近いとの試算は、中国の輸出、製造業、投資および消費需要の大幅な縮小という経済指標と一致している、と示した。
 
 また、このほど電力などの中国のエネルギー消費がマイナス成長となったことが発表され、エコノミストは、これは政府が発表した6・8%のGDP伸び率と矛盾していると指摘しているが、これに関して中国政府は説明せず、「このような主張を持っているエコノミストは中国経済活動における内在的な要因を理解していない」と反論した。

 さらに、米国国会図書館研究員のウェイン・モリソン氏は、中国失業率の急上昇は中国経済の景気の後退したことが中国政府の思ったより深刻だと説明している、と示した。同氏は「中国政府はこのほど2千万人以上の出稼ぎ農民工が失業したと発表した。中国政府の統計によると、農民工の失業率は都市部における農民工総人数の15・3%を占めている。これは非常に驚愕すべき数字である。なぜなら、この統計には農村部に留まった出稼ぎ農民の人口は含まれていないからだ。この失業統計は、現在中国が経験している経済危機は政府が推算したものよりも深刻であることを証明している」と話した。

*倒産ラッシュ加速

 米国発の金融危機が始まる前に、中国において企業が相次いで倒産していた。中国国家発展および改革委員会の中小企業司の統計によると、08年上半期において、中国全国ですでに6万7千社の中小企業が倒産した。世界金融危機の発生につれ、中国企業の倒産ラッシュが加速した。

 特に、珠江デルタにおける企業の倒産が深刻。香港メディアによると、08年年末から今年年初にかけて、深セン、東莞及び広州の4万5千社の企業のうち、倒産した企業はすでに約1万社で、失業者は数百万人に上ったという。

 また、最近中国各地の大学には企業から頻繁に人材募集取り消しの通知が届いているという。中国政府の発表によると、今年約600万から700万人の大卒生が「卒業する途端に失業してしまう」との運命に直面するという。

 中国中小企業の相次いだ倒産は外資系企業にも影響を及ぼしている。香港工業総会は1月31日、工場への受注が急激に減少しているため、中国大陸にある香港系企業が大きく打撃を受けており、2月から3月までの間に約1万社が倒産し、100万人以上の従業員に雇用の影響を与えるだろう、との見通しを発表した。

*中国共産党政権、系統的かつ持続的にうその経済データを作り上げている

 08年第4四半期の中国のGDP伸び率が0%に近いとのメリルリンチ社の試算に賛同する米国のドレクセル大学ビジネススクールの謝田・教授は「何年か前に、海外の経済学者が既に、中国共産党政権がGDPデータに関して系統的かつ持続的にうそのデータを作り上げていると指摘した。中国共産党政権が国際社会を騙し、各国からの投資資金が断たれることもなく永遠に中国に流れ込み、迫害政策で空っぽとなった中央財政を隠すために、うそのデータを作り上げている。また、地方政府の官員らは中央政府の「需要」を満たすことで出世できるため、うその地方GDPデータを報告している」と述べた。

 謝教授はまた、「過去何年間の間に海外からのホットマネーが中国に流れ込み、中国の安価な輸出品が輸出主導となる奇形の経済モデルの発展を刺激したときに、中国経済の実態が隠された。人々は林立した高層ビルや大規模なインフラ建設投資の前に、あるいは約2兆米ドル規模の外貨準備高の前に、中国政府は急速に後退している世界経済を救うことができると考えているが、しかし、欧米の投資家および政府はまた過ちを犯している。彼達は中国経済の本質を見抜いていないからだ」と示した。

 AP通信社も報道の中で、中国の実質GDP伸び率が政府の発表したデータよりも大幅に低下していることが判明すれば、中国が世界経済景気不況を救えるとの幻想を持つ人々が目覚めることができる、と警告した。

*真実がいつか現れる

 謝田教授は「中国人民大学の失業問題の専門家は最近、中国の真の失業率は20%以上で、政府の公表した5%や6%という水準のものではないと話している。同様に、世界金融危機の発生や中国輸出の急減が始まった後、外国資本は中国から撤退するだろう。こうなれば、中国政府が中国経済の実態を隠す手段が効かなくなり、間もなく、われわれはより多くのGDP急低下や失業率の急増及びインフレの急上昇などの報道を耳にするだろう」と話し、中国政府が発表したGDP伸び率が6・8%とのデータは、中国政府が目的を持って作り上げたうその経済データだ、と主張した。

 同氏は「中国のGDP伸び率が2ケタに保たれているならば、世界経済に大きな貢献ができ、より広く輸入を開放し、内需を拡大することができるが、しかし、中国ではこのようなことはできない。なぜなら、これまでの経済繁栄はすべて偽りだからだ。中国政府は「8%のGDP伸び率を保とう」との政策を実行し、失業大軍の増大により政権への脅威を避けながら、今まで言い通してきたうそを言い続けている。彼達は真相を最後までに隠そうとしているが、しかし、投資家のバフェット氏は「(世界経済という)潮が引いてはじめて誰が裸で泳いでいたかがわかる」と言ったように、真相もいつかわれわれの目の前に現れるだろう」と述べた。

電力などの中国のエネルギー消費がマイナス成長となったことが発表され、
エコノミストは、これは政府が発表した6・8%のGDP伸び率と矛盾している
クローズアップ現代より


(私のコメント)
昨日のNHKの「クローズアップ現代」で中国内陸部の発展ぶりを放送していましたが、確かに中国政府は内陸部のインフラ整備に重点を置いている。しかしそれで沿岸部の不振をカバーして7%の成長が見込めるのだろうか? 中国政府の経済統計はあまり当てにはならず、裏から見ることが必要であり、それがプロのエコノミストだ。しかし日本にはプロのエコノミストは少なく、中国政府の発表をそのまま報道している。

ちゅうごくのGDPを見る上では電力などのエネルギー消費を見たほうが正確であり誤魔化すことができない。そのエネルギー消費がマイナス成長なのにGDPが7%成長と言う事があるのだろうか? 工場も輸出の不振で閉鎖が相次いでいるし、失業者が数百万人も出ている状況で7%成長がありうるのだろうか?

確かに内陸部はクローズアップ現代で放送したような建設ラッシュに沸いているだろう。コマツの建設機械も売れている。建設業者も好景気で日本車も売れているようだ。日本のバブル崩壊当時も日本政府の地方への公共事業で比較的良かった。しかし5年10年と経つに従って公共事業も削減されてきた。

中国も4兆元の公共投資を発表しましたが、肝心の一般産業がそれに伴って発展するかどうかは景気次第だ。中国の13億人の住宅需要だけでも膨大な潜在需要がありますが、中国の一人当たりの所得はようやく3000ドルだ。5年前が1000ドルだったから所得が5年で三倍に増えた。


中国の1人当たりGDP、初の3000ドル台に 08年 2009年3月10日 日経新聞

【北京=高橋哲史】中国の1人当たりの国内総生産(GDP)が2008年に3266ドルとなり、初めて3000ドルの大台を突破した。中国政府は国民の所得水準の高まりで自動車など高額商品の購入にはずみがつき、個人消費の拡大につながると期待している。ただ中国の1人当たりGDPは日米欧の先進国に比べればなお10分の1程度にすぎず、中国が「発展途上国」である現実も浮き彫りにしている。

 08年の1人当たりGDPは、北京で開催中の全国政治協商会議(政協)で、元国家統計局長の李徳水委員が明らかにした。李氏は「国際的な経験に照らせば1人当たりのGDPが3000ドルを超えた後に、その国では都市化や工業化が加速し、住民の消費パターンに大きな変化が生じる」と指摘。中国で個人消費が急拡大するきっかけになるとの考えを示した。(07:00)



(私のコメント)
5年で所得が三倍に増えたのは驚きであり、日本は1000ドルから3000ドルになったのは11年を要している。ちょうど日本で言えば1975年頃の水準であり、日本もモータリゼーションに入りつつあった。しかし当時の3000ドルと今の3000ドルは同じではなく、単純には比較できないが高度成長時代であることには変わりがない。

家庭にはテレビをはじめ冷蔵庫やクーラーなどが普及し始める。豊かな家庭は車を持って中国は世界一の自動車大国になった。だから消費する電力もガソリンも膨大な量になり一つの壁にぶち当たる時期だ。日本も1971年にニクソンショックなどがあって産業の高度化が求められた。中国はその壁を乗り越える事ができるだろうか?

中国は輸入大国になって人民元を今のままで置いておく事はマイナスだろう。その為には人民元を徐々に引き上げていって、輸出も高付加価値のものに切り替えていく必要がある。日本が自動車などの輸出大国になったのも70年代ですが、中国は自動車の輸出大国になれるだろうか? 

2008年の石油の高騰は、日本における70年代の石油ショックの再来であり、中国がモータリゼーションに入ったことが大きな原因だ。日本と中国の中間にいるのが韓国ですが自動車輸出大国となり日本製自動車と競合するようになった。中国も戦略商品として自動車産業にかけている。韓国も一つの壁に突き当たっており、安さだけでは中国に追い上げられて品質では日本車の壁がある。

日本も90年代から経済の壁にぶち当たって停滞していますが、より高度化した産業を育てなければ韓国や中国に追いつかれて日本は新興国に埋没していく事になるだろう。しかし韓国や中国も一つの壁に突き当たっているのであり、それを乗り越えられるかは数年で分かるだろう。今までのように先進国から技術を導入する事が難しくなるからだ。

昨日も書いたように中国は経済発展で発言力を増してきていますが、金融や為替の自由化はまだ出来ない。国民所得が3000ドルになれば民主化も進む事が求められますが、出来なければ産業の発展も限界があるだろう。独裁体制を維持したままでは経済発展も限界がありソ連の崩壊がいい例だ。今のままではソ連崩壊の後を追うような事になるだろう。


人口ボーナス 2006年6月28日 本日の独り言

しかし中国政府は個人所得の低い経済段階で一人っ子政策をとったため、せっかくの人口ボーナスが短い期間で終わってしまいます。中国の高度成長は2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博の後は終わるという意見もありますが、ちょうどそのころに人口ボーナスも終わり高齢化問題の負担が重くのしかかることが予測されます。

問題は人口ボーナスが終わる段階でも中国は先進国型の経済構造や水準には達しない可能性が高いことです。日本では人口ボーナスが終わった1990年には一人当たりのGDPが27000ドルでした。中国では今は1700ドルで、2010年でも3000ドルにも達しないでしょう。
それは日本、韓国、台湾と異なり中国では産業構造の高度化が進まないという特徴があるためです。日本、韓国、台湾では人口ボーナスの間に2つの産業構造の変化を経験しています
1つは農村から都市へ若者が移り住み、ベビーブーム世代が製造業部門に吸収されていいく過程で、農業中心の産業構造から製造業中心の産業構造へかわりました。
2つめは経済発展にともない製造業からサービス業へ産業構造の転換がうまくいきました。
しかし中国の場合、製造業が中心の産業構造はもっていますが多くの労働人口はいまだに農業、農村にとどまったままです。また産業のサービス化ができていないという産業構造の遅れがあります。

これからの限られた時間のなかで中国政府がしなければならないことは、一人一人の個人の生産能力を高めることです。中国政府は大学の進学率を高め、研究機関の能力を高め、技術開発、生産性の向上を目指した策をとっていますがこれは若い世代の生産性向上策でしかありません。中高年(ベビーブーム世代)の研修にはつながっていません。持続的な経済発展と成長を続けるためには農村に留まり続けるベビーブーム世代をどのようにして労働の中に社会のニーズの中につなぎこんでいくかといくことが課題になります。

中国のような低所得国の高齢化は、高齢化問題と貧困問題が重なるというシリアスな問題をかかえることになります。中国の高齢化のスピードは日本よりかなり早いペースで進むと予測されます。中国の今年3月の国会では農村部も都市部と同じ社会保障制度を作るとありましたが、それが実現した場合、高齢化の過程で財政が新たな負担をかかえることになり、持続的な経済発展にはかなりの制約要因になることは間違いないでしょう。

東南アジアの国々では出生率が非常な勢いで下がってきており、いずれ人口減少社会に突入します。かつての人口爆発は終わり、これからは高齢者の人口爆発がおこるのがアジアの新しい姿になります。途上国が先進国になりきれない段階で高齢化、少子化の深刻な問題を迎えます。




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