株式日記と経済展望

ページを繰り越しましたのでホームページからどうぞ。


政官財の癒着を断ち切ることが目的だった「規制緩和」や
「民営化」政策が、逆に新しい利権政治を生み出している。


2009年1月31日 土曜日

不動産業者、6000万円で転売=1万円の「かんぽの宿」−鳥取 1月29日 時事通信

2007年3月、旧日本郵政公社から鳥取県岩美町の「かんぽの宿」を土地代を含め1万円で購入した東京の不動産開発会社が、半年後に鳥取市の社会福祉法人に6000万円で転売していたことが29日分かった。民営化を控えた郵政公社が、年間2670万円の営業赤字(05年度)を出す不採算施設として売り急いだ結果、買い手企業に短期で巨額の利益をもたらした格好だ。
 建物は1億円以上をかけて改修され、現在は老人ホームになっている。関係者によると、この社会福祉法人は設立に際し、閉鎖されるかんぽの宿を取得しようとしたが、既に他施設と一括で売却されることが決まっていた。このため、仲介業者を通じて売却先の不動産開発会社と交渉し、6000万円で引き取ることで合意。関係者は「郵政公社が1万円で売却したとは知らなかった」と話している。(2009/01/29-20:49)


109億円で買う「オリックス」はやっぱりボロ儲け 1月25日 ゲンダイネット

日本郵政がオリックス子会社のオリックス不動産と結んだ「かんぽの宿」(70施設)を一括譲渡する契約には怪しい話がたくさんある。年間40億円の赤字を出す施設とはいえ、譲渡総額は109億円で、1施設当たりの平均金額はたった1.5億円。しかも、一括譲渡の物件の中には、「かんぽの宿」以外にもおいしい物件がイロイロある。首都圏にある9つの社宅もそうだし、もう1件怪しいのが、さいたま市のJR「さいたま新都心」駅前の官庁街区に立つ「ラフレさいたま」だ。都心までのアクセスが抜群にいい上、建設費だけで譲渡金額(平均)の200倍を投じた“超豪華ホテル”である。

「ラフレさいたま」は旧郵政省管轄の簡易保険福祉事業団(現日本郵政簡易保険事業本部)が2000年9月に建設した。地下2階、地上16階建てで、延べ床面積は3万5000平方メートル。187の客室と、25メートルプール、温水クア、フィットネスクラブなどの施設があり、総工費は、土地(62億円)と建物(217億円)で279億円。家具や機器類の付帯設備を含めると初期投資で軽く300億円はかかったシロモノだ。

「さいたま新都心のシンボル的存在ということで、円形のアトリウムなど細部にこだわり、設計・工事監理費だけで5億円もかかった建物です。当時の建物の施工単価が1平方メートル当たり50万円だったのに対し、ラフレは同70万円とケタ違いでした」(地元不動産業者)

 バブル時代並みのコストをかけた建物を開業から8年でタタき売るなんて、どう見てもヘンだ。そもそも建設費の原資は簡易保険加入者が納めた保険料。手放すにしても、なるべく高値で売って加入者に還元するのが当然だ。視察した社民党の保坂展人衆院議員が言う。

「ラフレは年間9000万円の赤字のうち、7割は減価償却費(6500万円)です。立地が良く、満室率は7割を超え、フィットネスクラブの会員は5000人いる。年間売り上げが22億円もあり、今後、十分採算が取れる施設です」

 ちなみに「ラフレさいたま」開業当時の簡易保険福祉事業団理事長の成川富彦氏は、旧郵政省出身。ラジオの旧エフエムジャパン(現J―WAVE)社長や財団法人逓信退職者連盟(現日本郵政退職者連盟)など関連団体に“渡り”を繰り返した典型的な天下り役人だ。

 日本郵政は取材に「一切応じない」(報道担当)という対応。そもそも、国民に理解を得ようとする発想がない。公正な入札が行われたのかが、ますます怪しくなってくる。


郵政民営化でオリックス宮内義彦会長ボロ儲け -国民の財産「かんぽの宿」が改革利権の手に落ちる!? 1月24日 すくらむ

「かんぽの宿」70施設で32億円以上。首都圏社宅9施設で47億円。合計79億円を「郵政民営化」により、オリックスは儲けたことになるわけです。(日経が報道している前述の「ラフレさいたま」の300億円はどうなっているのか?さらなる疑惑を呼び、まさに今出ているのは「氷山の一角」なのか?)これが、「郵政民営化」の正体、「官から民へ」の正体だったのではないでしょうか。

 ちなみにウィキペディアでは、「宮内義彦」氏のことを次のように解説しています。(1/24現在)

 政界と強力なコネクションを持ち、行政改革推進本部・規制改革委員会、総合規制改革会議、規制改革・民間開放推進会議などの規制改革関連の審議会の長を10年以上歴任した。市場原理主義の信奉者として知られ、混合診療の採用や労働保険の民間開放などを持論としている。自ら長を務める審議会において「市場経済による競争社会は強いものが弱いものを取り込む「弱肉強食」社会ではなく、優れたものは消費者に支持され、劣ったものは消費者に支持されず消えていくという当たり前の社会、「優勝劣敗」の社会である」と持論を述べた上で規制緩和を実施し、同時に自らが保有する企業規模の拡大を図った。そのため、「国民の命と健康を軽視している」との批判もあり、「政商」と揶揄される事もある。

 また、『小泉規制改革を利権にした男 宮内義彦』(有森隆+グループK著、講談社)という書籍では、要旨次のように宮内氏を評しています。

 官僚の“既得権益”打破をとなえ、宮内氏は「改革利権」を享受してきた。宮内氏は規制緩和という、反論しにくいテーマを選び、好き勝手なことをやった。規制緩和には反対とは言いにくいことを百も承知で、宮内氏は行動。政府の審議会のトップとして規制緩和の情報をいち早く知ることで、その分野に自ら乗り出していく。着地点を想定しながら方向性を決める委員会を主導する宮内氏は、情報という武器でも一歩先んじた。インサイダー情報を活用した“政商”と言われても仕方ないだろう。

 最後に、金子勝慶応大学教授による「規制緩和を叫び、規制緩和で儲けるオリックス宮内会長は許されるのか」(ゲンダイネット2006年7月25日掲載)を紹介します。

 政官財の癒着を断ち切ることが目的だった「規制緩和」や「民営化」政策が、逆に新しい利権政治を生み出している。

 ホリエモンや村上ファンド、日銀の福井総裁が槍玉に挙げられてきたが、その大元締は、オリックスの宮内義彦会長だろう。彼は「規制改革小委員会」の委員長を90年代半ばから務め、2001年には「総合規制改革会議」の議長になり、現在でも「規制改革・民間開放推進会議」の議長に就いている。この10年間「規制緩和」と「民営化」を推し進めてきた張本人だ。

 宮内会長が主導する規制緩和が実施されるたびに、オリックスはそこに投資をし、新会社を立ち上げてきた。(中略※オリックスが様々な新会社を立ち上げ利益を上げてきた実例が語られています)

 問題は、レフェリーがプレーヤーを兼ねていることにある。実際、宮内会長は内閣府の「総合規制改革会議」議長という政策決定の重要なポストに就きながら、その規制緩和で儲かる会社の代表取締役会長を同時に兼ねている。規制改革の結果、庶民が泣いているのに自分はボロ儲けでは、誰もその政策をフェアなものとは思わないだろう。

 自民党の政官財の癒着政治があまりにひどかったために、規制緩和はそれをなくすための“特効薬”だと、国民は信じ込まされてきた。しかし米国に見られるように、規制緩和は新しい利権政治を生む。規制緩和を推進すれば誰かが儲かって、誰かが損をするのだ。当然だろう。みんな、だまされてはいけない。


(私のコメント)
昨日の報道ステーションで「オリックスによるかんぽの宿疑惑」を放送していましたが、今日のテレビは大相撲力士の大麻騒動ばかりが大きく報道されて、「かんぽの宿疑惑」どのニュースショーでも報道されていない。国会の代表質問でも出て来た問題なのにテレビが及び腰なのはなぜなのだろう。新聞も2面に小さく報道していますが、1面トップに出てきてもおかしくないニュースだ。

なぜならばこの問題は政局に繋がるほどの大疑獄騒動だからだ。オリックスの宮内会長といえば小泉竹中構造改革の黒幕であり、現代の政商ナンバーワンでありマスコミや政界にも大きな影響力を持っている。さらに宮内会長のバックにはアメリカの政財界が連なっており、アメリカの政権が交代してブッシュ達の影響力が小さくなってきたから問題として浮き上がってきたのだ。「株式日記」では小泉改革の真っ最中にもこの事を問題にして書いてきました。


オリックスの宮内義彦会長こそ怪しげな外資の水先案内人だった。彼こそトロイの木馬なのだ。 2004年8月30日 株式日記

先日はモルガンスタンレーのロバート・フェルドマンこそ竹中平蔵の黒幕だと告発しましたが、外資による日本乗っ取り工作は彼らだけで出来るものではなく、多くの内部協力者がいる。その代表格の人物がオリックスの会長の宮内義彦なのだ。宮内会長は小泉首相の懐刀であり、数多くの諮問委員会のメンバーとなって、小泉首相の「構造改革」の中心的人物になっている。

規制緩和にしろ構造改革にしろ外資にとっては日本経済を乗っ取るための方便であり、小泉首相や竹中大臣が、途中でルールを変えてまで創造的破壊行為をするのはなぜか。昨日まで良かった事が今日からいけないと決められたらプレーヤーはとんでもない被害をもたらす。コンビニにおいても薬の販売が認められるようになりましたが、売れ筋の商品を奪われた商店街の薬屋は大損害だ。

日本の国民も小泉首相の「構造改革」と言うものがどのようなものか分かり初めて来ている。メガバンクの統合も国民は望んでいないにもかかわらず進められている。金融庁が銀行を締め上げているからですが、郵政の民営化も国民は望んでいないにもかかわらず小泉首相は進めようとしている。しかし今一番しなければならないのは日本の景気の回復であり、「構造改革」しないと景気が回復しないとは、内橋克人氏によればご破算主義なのだ。


(私のコメント)
「株式日記」ではこのような警鐘を鳴らしてきたのですが、翌年の2005年9月11日の郵政選挙では小泉自民党が大勝利して296議席を確保した。現在の自民党議員はこの時の選挙の議員だから小泉チルドレンだけでも80名おり、小泉構造改革路線を転換させるのは相当な抵抗がある。本来ならば安倍政権の時に明確な政策転換を行なうべきだったのですが、国民は構造改革の痛みに耐え切れなくなり参院選では生活が第一という小沢民主党に大敗した。

一昨日の施政方針演説で麻生総理は構造改革路線からの転換を明言しましたが遅すぎたのだ。確かに郵政民営化自体は賛成できても郵貯簡保の340兆円が外資に持っていかれるのは反対だ。郵政が持っている「かんぽの宿」も外資系企業であるオリックスが数千億もの資産価値のある物件を百億足らずで買収しようとしていた。

郵政が払い下げた「かんぽの宿」には1万円で払い下げたものがあり、購入した民間業者が半年後に6000万円で転売して儲けていた。これらは簡易保険で作られたものであり、郵政省の役人が天下り先として「かんぽの宿」が次々と作られていった。これらを止めるには民営化が必要だったのですが、民営化には民営化なりの利権が出来てオリックスが魔の手を伸ばしていた。

社会保険庁のグリーンピアもそうだし、運輸省の「道の駅」もそうだし、銀行の不良債権も二束三文で売りに出されて行くが、一連の官僚叩きはこれらの施設を吐き出させて安く購入して転売利益を稼ごうという民営化ビジネスなのだろう。政府の審議会などに参加していればこれらの情報が真っ先に入ってくるから、議長を務めていたオリックスの宮内会長はいち早く手を打つことが出来る。

「規制緩和」も「民営化」もそれ自体はいい事なのでしょうが、それで甘い蜜をすするグループがあり、国会で厳しくチェックしなければならないのですが、小泉構造改革が暴走して痛みをあちこちにもたらしている。人事院の総裁の反抗的態度を見れば分かるように政治家はバカにされきって官僚は言う事を聞かない。昔陸軍今官僚と言う位で官僚のほうが政治的実権を持っている。

だから「かんぽの宿」も「グリーンピア」も「道の駅」も官僚によってどんどん作られて天下り先は増える一方だ。法律で禁止しても官僚はそれを守らずに政令で骨抜きにして政治家達をせせら笑っている。大臣には省庁にたいする人事権は無く一日所長のようなもので、大臣といってもお客様であり、これでは官僚を政治家がコントロール出来ないのは当然だ。

それに対して小泉内閣では「官から民へ」と打ち出したのでしょうが、民といっても政府癒着企業や外資企業に利権が移ることに過ぎないのではないか。確かに官僚は天下りや渡りなどで仕事もしないで巨額の報酬などを手にしている。それに対して政治家は官僚の抵抗などでどうすることも出来ないできた。官僚も若いうちは国のためを考えているのでしょうが、40すぎると天下り先のほうが気になるようだ。

郵政の民営化問題も目的は正しくても手段が汚れきっていたのでは意味が無い。「かんぽの宿」も役人の無駄使いの典型ですが、簡保や年金資金を無駄使いしても誰も処分される事なく時間が経つとまた同じような施設を作り始める。だから抜本的には公務員の給与法を改正して年功賃金を改めて終身雇用にして天下りを無くす事だ。あるいは民間との人事交流を盛んにして民間でも通用する人材にしなければならない。

官僚が優秀なのならば天下り問題は起きないのですが、民間企業ではとても使いものにならないから「かんぽの宿」や「グリーンピア」などの施設を作って、そこの理事長に収まって渡りを繰り返すのだ。郵政が民営化されればそのような事は出来なくなりますが、「かんぽの宿」が老人福祉施設になったように有効な使い道が出来るはずだ。




中谷巌も、アメリカ帝国洗脳教育のプログラムの一環で、計画的に
育てられた人材だったのだろう。電通に洗脳されている日本馬鹿国民


2009年1月30日 金曜日

竹中平蔵 だけが、今も、アメリカの全面後押しで、テレビに出て、
田原総一郎のどす黒くなった顔の横に並んでいる。NHKニュース9より


経済学者、中谷巌の転向  〜新自由主義は死んだのか?〜 1月16日 カトラー

佐高:12月15日に出された新著のタイトルが興味深いですね「資本主義はなぜ自壊したのか」という
中谷:懺悔の書です(笑)。
佐高:なぜ考えが変わったのですか。
佐高:新自由主義的な考え方は、日本の伝統に合わないのです。日本は縄文時代から1万2000年も島国の中でお互いに折り合いをつけ、配慮しながら生活する知恵をつけてきました。つまり社会を重視してきた国です。それに対し、新自由主義は、歴史を断ち切ったアメリカ人たちが、個人個人で市場の中で折り合いを付けていく、という流れから出てきています。かつてアメリカに留学して経済学を勉強したとき、あまりにも見事な理論体系に魅了されました。・・・・論理の美しさに惹かれて私はアメリカかぶれになった。一方、日本では談合や系列、癒着など負の面が目についた。構造改革が必要と思い、旗振り役になってしまった。

ここまで、身も蓋もない自己批判を行っているのだから、その新著には、米国流から脱却した新しい経済理論や経営論が展開されているのだろうと半分期待しながら、正月の休みにその本を読んでみたのだが、全くの期待はずれだった。
かつては、内閣のブレーンとして日本経済の舵取りに大きな影響力を与えた人物が、それまでの自分を全否定して著した本がこの程度のものでは、中谷を信用して後をついていった人々は正に裏切られた思いだろう。

借り物の理論から別の借り物にジャンプしているだけ

中谷の立場は、上に紹介した週刊金曜日のインタビューの内容に全て集約されている。要は、米国流の新自由主義的経済理論にかぶれたが、市場原理に基づく米国資本主義が沈没しそうだから、この際、自分はその泥船から乗り換えると言っているに過ぎず、そこには自分の頭で物事を考えた痕跡が何も見えない。借り物の理論から別の借り物の理論にジャンプして見せているだけという意味で、この本に書かれている「転向」論は、論理的にも倫理的にも全くお粗末極まりないものとしかいいようがない。欧米のアカデミズムの世界でこんな形の「転向」を表明したら、軽蔑されて一顧だにされないだろう。しかし、よくよく考えて見ると、海外でもてはやされている「理論」を輸入し、それを流行の服を着替えるように鏡の中の自分にあれこれ合わせてみるというのは、日本の人文系アカデミズムが明治以来疑いもなくずっとやり続けてきた「伝統」でもあった。理論の背景にある本質は、とりあえず横に置いて、表層的な「技術」だけを真似するというのが「和魂洋才」という言葉のそもそもの意味でもある。
私などは、ここで表明されている「日本の伝統に合わない」から、それまで信奉してきた考え方を捨てるという中谷の言い方にはひどく違和感を覚えるが
、彼にとっては、海外から持ち込んできた理論やイデオロギーをスイスイ乗り換えて見せることは不自然なことでも何でもないのだろう。もっといえば、「懺悔の書」としてこの本を書いたことで、米国の理論に「かぶれていた」段階から、「日本の伝統」を重視するという、日本人としてより地に足のついた自分に脱皮できたと中谷は考えているふしさえある。

新自由主義に対する非難の大合唱

米国流の行き過ぎた金融資本主義、そして、それを推進した新自由主義的な考え方に対する批判が、世界的な経済危機をきっかけに噴出し、日本では大合唱のようになっている。米国流金融資本主義を批判するところまでは、良しとしても、問題はその先である。グローバル化する世界の中にあって、破綻した米国流の金融資本主義に代わる強力な理念、ヴィジョンを打ち出せるかどうかが、知識人には求められているのだが、中谷が提出している答えらしきものは、単なる「日本回帰願望」に過ぎない。この本の第6章では、「今こそ、日本の『安心・安全』を世界に」というタイトルが掲げられ、島国で侵略を受けて来なかったという歴史のもとで日本人がいかに平和友好的な民族であったか、また長期の互恵戦略にいかに長けた国民であったかということが強調され、日本文化、日本人のメンタリティの素晴らしさを世界に提示していくことが今後のヴィジョンとして臆面もなく語られてている。新自由主義的な「自由と挑戦」を唱えていた人物が、今度はその正反対の「安心・安全」という旗を掲げているわけだから、中谷の後を追ってきた人々にして見れば、悪い冗談でも聞かされているような気分だろう。(中略)

「安全・安心」とは砂漠の蜃気楼のようなもの

私自身も自分の人生ができれば「安全・安心」に満ちたものであって欲しいと願っている弱い人間の一人にすぎないが、それ自体を人生の目標にしようなどとはさらさら思わない。
中谷の「転向」論の決定的な欠陥は、「安全・安心」という、砂漠の蜃気楼のようなゴールを示し、それが、あたかも「日本回帰」することで手に入れられるかのような錯覚をふりまいている点にある。そして、こうした中谷の議論は、二重に人々をミスリードするものだろう。
第一に、この世界は、次の時代に向けて脱皮するための新たな産みの苦しみの時代に入っていて、特権的な「安全・安心」な場所などは、日本はもちろんのこと、もはやこの世界中のどこにも存在しえないのであり、安全・安心という蜃気楼は、そうした厳しい現実を隠蔽することにしかならないということだ。加えて、日本回帰という安易な方向性を示すことで、ただでさえ内向きなこの国をさらに自閉させ、結果的には閉塞感をますます募らせることになるだろう。

国境を越えて動き回るグローバルマネーの流れは、もはや誰にも押しとどめることができない。今更、鎖国時代に戻ることなどできず、グローバル資本主義以外の経済体制を選ぶというような選択肢そのものがありえない。そして、今、世界を覆っている経済恐慌の根本的な要因は、そうしたグローバルマネーに対して、国家単位の対応では、それが例え米国のような巨大国家であっても対処できなくなったことにある。今回の危機を10年後にふり返った時、歴史は、リーマンブラザースが破綻した日をグローバルマネーというモンスターが米国という超大国のパワーを凌駕した日として記憶にとどめられることになるだろう

新自由主義が中産階級崩壊の元凶か?

前回のエントリー記事でレポートした年越し派遣村は、マスコミも大きく取り上げ社会問題化したが、マスコミの論調にも「新自由主義」対する批判が目についた。具体的には小泉内閣時代に施行された派遣法の改正など、規制緩和に批判の矛先が向かっていたが、日本の中産階級が小泉構造改革によって崩壊し、格差が拡大したかのようにいうのはお目出度すぎる結論だ。
ここでも根本的な要因は、経済のグローバル化にある。中国をはじめ新興国が世界の製造業の中心地となり、工業労働力の需要も国外へと大きくシフトした。世界競争に晒されている製造業は、コスト競争に打ち勝つためには、工場を海外にシフトするか、国内の労働コストを下げるしか道はない。その帰結として中産階級が従事していた仕事が減少するということが、先進諸国に共通した現象として生まれたのであり、日本では最低賃金を現在のようにワーキングプアを生み出すようなレベルに設定したり、日雇い派遣を認めるなど、明らかな政治の失敗もあったが、国内の経済政策の如何に関わらず、格差の拡大や中産階級の崩壊は避けようのない現実であったとまず認識することが必要だろう

大きな問題は、この間、政治の対応が余りにお粗末だったことだ。前回のエントリー記事でも触れたが、厚生労働省が雇用のミスマッチを解消するためにおこなったことといえば、「私の仕事館」のような役立たずのハコモノを580億円もかけて建設し、毎年10億円もの赤字をたれ流すようなことであり、本来、セーフティーネットの整備に使われるべき税金が、ゼネコンの懐を肥やしたり、役人の天下り先の確保に使われてきたといっても過言ではない。派遣労働者の人々が、その身分ゆえにに、先ず最初に雇用を切られてしまう悔しさは痛いほど理解できるが、年越し派遣村のような事態を招いた根本要因は、派遣切り=ホームレスという図式を生んでしまった政治の無策にある。

セーフティネットの未整備、雇用のミスマッチ、政治の失敗

雇用のミスマッチの問題もある。派遣労働者の中には、工場を渡り歩くような生活に見切りをつけて、農業に従事できないかと考える若者も出てきた。一方、農業の現場は、これまで問題を先送りしてきた農政の無策によって、後継者不足と高齢化のために崩壊寸前だ。しかし、現状では、若者が農業に飛び込む道筋は全く見えてこない。驚いたことに、都会の若者が身ひとつで農村に飛び込んで農民になろうとしたら、当面の生活費や肥料、種、資材の費用として1000万円近くの資金が求められるという。電車賃も無くて遠隔地から日比谷の年越し派遣村まで歩いてきたというような若者たちにとっては、農業は、今や高値の花である。仕事と共に住む家まで無くして路頭に迷う若者が都会にはあふれるで一方で、農村や介護の現場では人手が足りなくて悲鳴が上がっている。こうしたミスマッチを埋めることができないのも政治の無策がもたらしたものである。(後略)



中谷巌(なかたにいわお)の転向のことをどう考えるか。 1月28日 副島隆彦

副島隆彦です。 一橋大学の経済学の教授で、小泉改革までの20年間ぐらいずっと、日本の改革経済政策 の旗振り人のひとりだった、中谷巌(なかたに”がん”)が、転向して、懺悔(ざんげ)の本を書いた。と、聞いて、私は書店で買って、ぱらぱらと読んだ。2週間ぐらい前だ。『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社インターナショナル刊、2008年112月)。

 つまらない本だった。こんな甘いことを書いて、反省の書、自責の念に駆られて、懺悔(ざんげ)の書 というのか、と、私は、改めて、この中谷という学者を軽く見た。 自分が日産自動車の社員だったときに、ハーヴァード大学に留学するチャンスがあって、それで、向こうの大学のカリキュラムに合わせて、しっかり勉強すれば、4年間とかで、きちんと理論経済学の枠組みを習得できる(できた)ということを、得々とずっと書いている。

 彼も、このように、アメリカ帝国(属国群)洗脳教育のプログラムの一環で、計画的に育てられた人材だったのだろう。

 すでに、15年前に、「中谷巌の経済学の教科書を勉強しても、日本の現実とは合わない。中谷が言うことは、ハズレばかりだ」と、1995年ごろに、1990年日本バブルが崩壊したあとに、中谷は、日本の財界人たちから、捨てられていた。 中谷にしてみれば、アメリカ経済学を一所懸命に、勉強して、それを日本に応用して活用して、日本経済の建て直しに、役立てようとしたのだろう。

 そして、1992年からの、”ゴジラ”・ビル・クリントン・チームの日本上陸、と日本の金融叩(たた)きのめし計画が始まった。ロイド・ベンツエンと シュルツの二大キャリア官僚大御所 をさっさと降ろして、ロバート・ルービンと、ラリー・サマーズが出てきた。

 そして、それを、2000年からのブッシュ共和党 が引き継いで、さらに露骨に、アメリカ主導の官製不況(上からのクーデター・不況)を、日本に、まるで、焼き鏝(やきごて)を当てるようにして、実行した。「ゼロ金利、財政赤字、円高」の3本セットでの、日本脅し、日本たたきであった。

 そして、2007年4、5月ぐらいから、アメリカ自身がついに金融崩壊を開始した。 その前の2000年2月のネット(IT)バブル崩れも激しかったが、それは、2001年「9・11」の捏造の大進軍ラッパで、戦争経済(ウォー・エコニミー)への突入で、一旦は、乗り切った

 ”マエストロ(巨匠)グリーンスパン”と、皆で熱狂してグリーンスパンを褒め称えて、一本20万円(2千ドル)のブルゴーミュ・ワインを開けて、ニューヨークで金融人間たちが、毎日、乱痴気騒ぎをしていた。日本でも、ソロモン・スミスバーニー、モルスタ、リーマン、メリル、ゴールドマン、シティなどに勤める「外資の手先、年収4千万円から2億円」の、馬鹿どもが、30台ぐらいの感じだった、汐留(しおどめ)あたりの高級ホテルで、外資金融ユダヤ人どもの手先となって、日本企業を乗っ取るたびに、大盤振る舞いの大宴会をやっていた。それは、2006年中はやっていた。いや、2008年の夏までは、やっていた。

 さすがに、2008年の7月13日の、ポールソン財務長官の、自己暴露、のファニーメイ、フレディマックの合計530兆円の世界中への負債の公表、そして、2ヵ月後の、「9・15のリーマン・ショック」のあとでは、この大騒ぎは消えた。この男どもの周りに群がっていた、「外資大好き女(実態は、売春婦ども)」も消えていなくなった。

 私は、彼らの姿を、しっかりと目撃している。 今は、彼らが住む品川や汐富(しおどめ)の2億円のタワーマンションが、大暴落している。外資金融人間どもは、ほとんどが解雇されて、会社の実態は無くなった。上司だった金融ユダヤ人どもは、さっさと辞職してアメリカに消えていなくなった。

 日本の年金運用団体や、共済組合の幹部たちの、地獄が今から始まる。運用資産の元本(がんぽん)吹き飛ばしで、自殺する、では済まない。 外資の手先の金融人間どもは、転職もきかず、家の中でぶらぶらしているらしい。

 さて、そういう中で、2009年に入った。11月、12月、年末から、この1月は、オバマ当選のお祝いぐらいで、何もなかった。世界中の大金持ち(スーパー・リッチ)たちは皆、バカンスで帰ってくるはずがない。ようやく、今日からのダボス会議(ずっと山の上の、奥の方らしい。ふつうの人間たちは近寄れない)で、スイスに集まってスキーをするのだろう。 自分の会社が破綻したり、投資で大失敗したりした人間たちは、もう消えていない。ナスダックを作った詐欺師のハーバード・マドフが集めていた4兆円はもう一円(1ドル)も返ってこない

そうやって、2009年の2月を迎える。副島隆彦は、そろそろ次の金融本を書く。

 中谷巌は、本気で反省しているのだろう。この本の中で、6箇所ぐらいで、本気で反省していた。あとは、自分だ、若い頃からどんなに経済学を勉強したかと、ブータン国は貧しいが国民は仕合せだ論を、ずっと書いているだけで、読む方は疲れる。 この男には生活の苦労がない。いい人なのだろうが。

 中谷が、転向すると、他の、馬鹿の一つ覚えの、日本でしか通用しない×新自由主義(ネオリベ)という愚かなコトバで動いた、小泉・竹中改革で、温度を取った、連中も逃げを打って、静かになって、奥に引っ込んで、出てこなくなるものか。

 竹中平蔵 だけが、今も、アメリカの全面後押しで、テレビに出て、田原総一郎のどす黒くなった顔の横に並んで、「日本は改革を進めないから景気回復しないのです」とまだ言っている。テレビ・新聞(すんわち、電通)に 洗脳されている日本馬鹿国民の方も、そろそろうんざりして来ている。

 もっともっと、大損して、自分で痛みを感じなければ、今の自分たちの愚かさを自覚するものか。もっともっと多くの金融人間が、崖から落ちればいいのだ。私、副島隆彦は、冷ややかに見つめ続ける。愚か者は、すべて自業自得で滅んでしまえ。

 以下の日経BPの記事には、中谷のことを、「変節」と見出しで書いている。変節と言うのは、日本語では、相当にきつい言葉だ。政治転向、思想転向、宗旨変え、変心、改心 などを、英語でも、 recantation リキャンテイション、とか、conversion コンヴァージョン と言う。他にも、10とおりぐらいある。転向して人間的に成長すれば、mature up マチュア・アップ とも言う。

 私は、思想転向の研究もやってきた人間だ。本多秋五(ほんだしゅうご)や、中野重治(なかのしげはる、優れた文学者、思想家だった)、吉本隆明(よしもとりゅうめい)たちを、追いかけて、日本左翼(社会主義者、共産主義者)たちの、政治警察による拷問にあう恐怖の中での凶暴な政治弾圧による転向と、敗戦後の日本右翼、民族主義者たちの、ハレンチな転向(世界反共人間への転進)の二通りの転向を、ずっと研究してきた知識人だ。

 人間が、時代の変更、流れの変化に合わせて、生き延びようと思えば、転向する。 このことの重さを、私は、ずっつ自分の研究課題として背負ってきた。本当の知識人、思想家というものの持つ重みを、ここに集まる皆さんに身をもって教えたい。 副島隆彦拝



(私のコメント)
日本の経済学界のレベルの低さは、バブル崩壊を招いた後の迷走からも伺われるのですが、アメリカのハゲタカファンドに日本の株式市場は荒らされ、金融工学を駆使した投資戦法になすすべが無かった。彼らは日本の株式持合いの構造をよく知っているから、株式を売りたたけば銀行が自己資本を失い、貸し渋りや貸しはがしをしてくるだろうと読んでいた。

ヘッジファンドの金融工学といっても貸し株を利用した空売りであり、それまでの日証金から借りて売るのとは違った掟破りの方法で売り崩してきた。さらに企業スキャンダルも次々と暴露されて証券不祥事も相次いだ。これでは株式も立ち直るはずもなく銀行経営を直撃して企業は体力を弱らせて行った。

日本の資本主義はアメリカの金融資本主義によって撃破されて1997年の金融ビックバンで全面降伏する形になった。テレビでは竹村健一氏が金融ビックバンでロンドンのように金融センターになって景気が良くなるという事を言っていた。しかし金融ビックバンで行われた事は銀行の整理統合であり、長銀や日債銀は外資によって買われていった。

モルガンスタンレーやゴールドマンサックスといったアメリカの投資銀行のやり方は最近になって分かってきましたが、投資銀行はアメリカの金融国家戦略の中核でありアメリカ政府と一体であった。財務省の長官はポールソンやルービンのようにゴールドマンサック煮のCEOであった人物であり、MSやGSを敵に回すことはアメリカを敵に回すことと同じであった。

カトラー氏のブログに書かれているような中国などの新興国への投資はゴールドマンサックスの投資戦略であり、日本は中国の30分の1の人件費の国と輸出競争を強いられる事になり、日本の輸出企業の工場は次々と中国へ移転して行った。これはゴールドマンサックの戦略でも有りアメリカ政府の戦略でもあった。クリントン政権は親中反日政策で日本経済を弱らせてハゲタカファンドは日本企業の乗っ取りを企んでいた。

アメリカの投資銀行の悪辣なるやり方は、最近の金融危機を扱った本が沢山出るようになって明らかになりましたが、日本の経済学者たちは何一つ明らかにする事ができなかった。私自身も不動産の証券化について上手いやり方があると思う程度であり、サブプライムローンやCDSやCDOなどについては業界内部の人間しか知らない事だった。

日本の経済学者やエコノミストは政府の御用学者が多く、アメリカやイギリスのような金融立国を目指せと言った言論が主流を占めるようになり金融ビックバンが行なわれた。しかし日本の銀行や証券会社が投資銀行の真似をしろと言っても出来ないことは暴露された金融本を見ればよく分かる。ホリエモンや村上ファンドがやっていたような事を日本の金融機関が出来るわけがない。言って見れば国家的規模の詐欺師なのだ。

最近ではテレビでもサブプライムローンの悪質な手口が明らかになって紹介されていますが、日本のマスコミはアメリカの投資銀行のアナリストを神のごとく崇め祭ってテレビや新聞などによく登場した。WBSによく登場していたモルガンスタンレーのフェルドマン氏は今どうしているのだろうか? 竹中平蔵氏と親密だったから上手く立ち回るだろう。

副島氏も中谷厳教授の転向について厳しく書いていますが、日本のエリートたちは自ら進んでアメリカに洗脳されに行く。確かにアメリカのような世界一の経済大国に行けばその豊かさに圧倒されるだろう。戦後の日本から多くの学者もアメリカに留学したり移り住んでしまった人も多い。中谷氏もその一人であり、アメリカの真似をすればアメリカのように豊かになれると思ってしまっても不思議ではない。

しかし日本がアメリカの真似をして新自由主義を取り入れたところでアメリカのようになる訳に行かない事は明らかだ。文化も歴史も違うし価値観も異なる。今年の正月は派遣切りでテレビでは大報道をしていましたが、契約から言えば派遣切りされてもアメリカでは当然のことであり、会社にいったら自分の机が無かったというのは珍しくも無い。日本人がそれに絶えられるだろうか。小泉・竹中構造改革一派はそれで上手く行くと思ったのだろう。

日本の官僚も国会議員の卵たちもアメリカに留学してアメリカ流の価値観を身に付けて帰ってきますが、日本の事をもっとしっかりと勉強してから行くべきなのだ。日本経済はいつの間にかアメリカを追い抜いて15年早くバブルの崩壊を迎えた。日本のバブル崩壊を誰よりも研究したのがクルーグマンやバーナンキなどのアメリカの学者だった。日本が経済学者は何をしていたのだろうか?




英国はデフォルト常習国家、1340年にデフォルト、1672年にも
デフォルト、1932年にもデフォルト、最近は1976年にIMFに救済された。


2009年1月29日 木曜日

荒廃する英国 デフォルトまで囁かれる病状 01月27日 Financial Times

2009年は2.8%のマイナス成長、戦後最悪の不況に

 英国立経済社会研究所(NIESR)の試算によれば、英国のGDP(国内総生産)は2008年4月のピークから2.7%縮小し、既に1990年代の景気後退よりも激しい落ち込みを見せている。

 欧州委員会は、2009年の年間成長率がマイナス2.8%になると予想している。これは第2次世界大戦後に英国の経済統計が発表されるようになって以来、最悪の数字である。

 今のところ、今回の景気後退の最大の特徴は、すべての人が打撃を受けているということだろう。北部、南部、東部、そして西部で、失業率が急上昇している。ロンドンの金融街の国際金融機関であれ、バーミンガム近郊、ソリハルの自動車工場であれ、売り上げと融資は確保しづらくなっている。

 英国北部では、旧来産業が崩壊した後に誘致された外資系企業が続々と撤退している。日産自動車は、欧州で最も生産性の高いサンダーランド工場で1200人の人員削減を行う。

 ペナイン山脈にまたがる英国中部ブラッドフォード市の通信販売会社グラッタンでは、親会社であるドイツの小売りサービス大手オットー・グループが自国内で物流拠点を統合するのに伴い、全従業員3000人超の3分の1以上を削減しようとしている。

 不況はブラッドフォードに拠点を置く不動産専門法律事務所ハモンズ・ダイレクトにも襲いかかった。200人以上のスタッフを抱える同社は1月半ば過ぎ、仕事が8割も減ったことから、破産管財人を呼び、破産手続きに入った。

 こうした事業閉鎖は英国全土で広がっており、英国経済の健全性に対する懸念が高まるにつれて、為替市場では英ポンドが急落していった。一方、政治家はいよいよ大げさな物言いを始めている。

IMFによる屈辱的な救済を示唆するキャメロン党首

 野党保守党の党首デービッド・キャメロン氏は、1976年に国際通貨基金(IMF)に救済された英国の屈辱的な歴史が繰り返される可能性を示唆している。

 「もしこのまま労働党の無責任な財政路線を突き進めば、いずれどこかの段階で、それもかなり近い将来かもしれないが、カネが底を突く」

 キャメロン氏はこう警告し、2009年および2010年の政府の借り入れはどんな比較で見ても、1970年代当時財務相だったデニス・ヒーリー氏がIMFに救済を懇願せざるを得なかった時よりも多くなると指摘した。

 かつてジョージ・ソロス氏とともに伝説のファンド「クォンタム・ファンド」を立ち上げ、現在シンガポールのロジャーズ・ホールディングスの会長を務めるジム・ロジャーズ氏はさらに一歩踏み込み、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)の取材に対し、「単純な話、英国には何も売るものがない」と語った。

では、英国あるいは英政府は破綻するのだろうか? 「ナンセンスだ」とゴードン・ブラウン首相は言い切る。首相は、キャメロン氏は野党を代表して馬鹿げた行為を世間にさらしていると批判、ロジャーズ氏は自分の本を売りたいだけの投機家だと批判した。

 だが、ブラウン氏も英国がデフォルトする可能性については、そこまではっきり否定できない。何しろ、英国にはその歴史がある。

デフォルトを繰り返してきた英国の長い歴史

 エコノミストのケネス・ロゴフ氏とカーメン・ラインハート氏が国家のデフォルトの歴史に関する論文に記したように、英国の君主は頻繁に債務の返済を拒んできた。エドワード3世は1340年に、100年戦争の火蓋を切ったフランス侵攻に失敗した後、イタリアからの借り入れをデフォルトした。

 ヘンリー8世は妻を6人代えただけでなく、ローマカトリック教会の土地を没収した。「これは厳密には債券のデフォルトではないが、しばしば処刑を伴う資産押収は、金融の支払い義務の不履行に当たる」と、ロゴフ、ラインハート両教授は冷たく論じた。

 英国は1672年の「国庫支払い停止(Stop of the Exchequer)」でデフォルトし、前世紀には、戦費借り入れに対する利払いの「自主的な」削減という形で1932年に事実上デフォルトしている。そして1976年にはIMFに救済された。こうした事態は再び起き得るのだろうか?


 経済情勢が悪化していることに疑いの余地はない。1月下旬に英政府が発表した第2弾の銀行救済策は、銀行の脆さと、信用が再び経済全体に流れるようにするのがいかに難しく、時間がかかるかということに人々の目を向けさせた。

 ブラッドフォードで不動産仲介・鑑定業を営むヘイフィールド・ロビンソンのジャスティン・ロビンソン氏は、銀行に融資を再開させようとする政府の取り組みは、まだ効果が出ていないと言う。

 彼の顧客のある警備保障会社は、同社からリースしているオフィスを買い取るためのローンを受けられず、別の顧客は銀行から2万5000ポンド(3万4000ドル)の当座貸し越しの返済を求められ、オフィスから出ていくところだという。

銀行融資の再開進まず、失業者は300万人に

 3億2000万ポンドかけたブラッドフォード市の再開発事業も遅れている。オーストラリアのデベロッパー、ウェストフィールドは、ショッピングモールとオフィス棟、住居棟から成る複合施設は、経済が回復したら開発を再開すると主張しているが、現時点では、市のど真ん中に大きな裂け目が出来た状態だ。

 同市内の就職斡旋会社で働くニール・フランクリン氏は、仕事を失った多くの人にとって再スタートを切る可能性はほとんどないと話す。先週、彼が再就職先を斡旋できた人はたった1人で、新しい勤め先はハンバーガーチェーンのマクドナルドだった。「(マクドナルドは)今でも人を採用しているごく少ない企業の1社だ」と言う。

 ブラッドフォードでは失業率が既に9%に達しており、全国では現在200万人足らずの失業者の数が年末までに政治的に危ない水準とされる300万人に達すると見られている。公共財政は深刻な状況にあり、欧州委員会によれば、英国の財政赤字は来年、GDP比9.6%に拡大する見通しだ。

 1月第4週は、1週間通してポンドが金融市場で売りを浴びせられ、英国の主要貿易相手国の通貨に対して5.7%も値を下げた。(後略)


金融大地震に世界がやるべきこと、日本ができること(3) 1月21日 大前研一

◆もはや1国では救えないほど大きくなりすぎた銀行

 欧州に関して言うと、今回の金融危機で明らかになったことの一つに、欧州中央銀行の構造的な問題がある。これについては今回のコラムテーマの(1)で触れた。そしてもう一つ明らかになったことがある。それは「欧州の国はおしなべて銀行の規模が大きくなりすぎた」ということだ。

 例えば、英国の銀行トップ3を合わせると、その金融資産は同国GDPの3倍ある。スイスには大きな銀行は二つしかないが、そのUBS(United Bank of Switzerland)とクレディ・スイスの2行合わせると、なんとGDPの7倍だ。母国がたまたま英国にある、スイスにある、だから、英国、スイスが救済しろと言われたってそれはできない。欧州系の銀行は、もはや鬼っ子のように大きく、グローバル化しているのだ。

 それだけ大きくなれたのは、経営ノウハウがあったからであり、サクセスストーリーではある。その意味では決して非難さるべきことではないのだが、一朝事があった、倒れた、というときに誰が救うのかというと、国家はまったく救えない。にもかかわらず、資本投入したり口約束をしたりするところに国家の危機がある。例えばスイスで先の2行が危機に陥ったときに、スイスの国民が総出で助けようとしても救えないのだ。だから、わたしは「母国が救う」という今回のスキームはダメだと思う。アイスランドは一気に国がつぶれた。つまり、全世界は一緒になって、金融安定化のための新しい仕掛けをつくらないとだめだ。各国がバラバラにやっていれば、投機家の餌食になるだけである。

 そのような観点からすれば、昨年11月にブラジルのサンパウロで開かれたG20の共同声明などは、わたしに言わせれば「空念仏」としか言いようがない。「市場機能回復を図るためあらゆる措置を取る」とか「金融規制、監督体制を改善する」とか、まったく具体的ではない。「金融当局は必要に応じて適切に行動」に至っては、まさにそのとおり、確かにだれも反対できないが、それは「母の恩はありがたい」というのと同じだ。つまり彼らは、冗談じゃないかと思うほど、何も理解していないということだ。20人集まろうが、G8で8人集まろうが、何も理解していない。わたしがこうして分析している程度のことをして策を考えれば何か出てくるだろう。それもせずに、おためごかしを言っているに過ぎないのだ。G20の首脳が集まって、いかに皆何も理解していないか、というシグナルを世界に発信したに過ぎない。これは各国首脳の大きな怠慢であると指弾せざるを得ない。



(私のコメント)
インターネットの時代になって、世界の情勢が書かれたサイトが多くあり、新聞とテレビしかなかった時代とは大きく変わった。しかし沢山の情報がネット上に溢れて、情報が多すぎてどれを信じていいのか分からない。今世界がどうなっているのか、テレビは映像が無いと報道しないし経済問題は映像になりにくいからなかなか報道されない。だから日比谷の派遣村のような映像になりやすいものばかりがテレビに溢れる。

アメリカ発の金融恐慌のみならず、ヨーロッパの金融情勢も気になるのですが、テレビや新聞ではなかなか報道されない。そのような時にはネットでフィナンシャルタイムズ紙の記事などが詳しく記事にしている。ヨーロッパに金融機関は国家の経済規模の数倍あって、金融機関が倒産しそうでも国家が救済するという事は難しいようだ。

スイスにはUBSとクレディスイスの二大銀行がありますが、スイスのGDPの7倍の規模がありスイス一国ではとても大きすぎて救えない。イギリスも同じであり三大銀行の金融資産はイギリスのGDPの3倍もある。つまりイギリスの銀行が倒産しようとしてもイギリス政府ははたして銀行を救えるのだろうか。

このような怪物にまで成長したグローバルバンクをどこが救済するのだろうか? へたにイギリス政府が救済しようとすればイギリス政府のほうがデフォルトの危機に陥ることになる。国家のデフォルトというとアルゼンチンやロシアを思い浮かべますが、イギリスは歴史を見れば何度も海外からの借金をデフォルトして踏み倒している。

イギリスこそヨーロッパの韓国のような国であり、口先ばかり達者で威勢がいいときは言いたい放題だが、対外的な信用はゼロだ。大英帝国はなやかな時でも1932年に戦費の借り入れをデフォルトしている。だからアングロサクソンだから信用できるという人も沢山いるが、イギリスほどのデフォルト常習者もいない。だから世界の覇権国家であるアメリカもデフォルトしないと言う根拠は無い。

イギリスは世界一プロパガンダの上手な国であり、イギリスの新聞は一番信用が出来るという人が多いが、借金を踏み倒す常習犯の言う事が信用できるのだろうか? ジム・ロジャース氏が言うようにイギリスは小さな島国でありこれといった産業も無く、売るものは何も無い。大英帝国の繁栄もインドやカナダやオーストラリアなどの植民地からの富の移転で繁栄してきたのであり、大戦後に植民地が独立するとイギリスの繁栄は無くなった。

イギリスが最近の十数年にわたって景気が良かったのは北海油田の産出があったからであり、シティの金融街に世界から多くの資金を集めて金融で利益を上げてきたからであり、北海油田はあと数年で枯渇して、シティのグローバルバンクはサブプライムがらみの債権投資の失敗により破綻の危機の瀬戸際にある。

イギリスの将来はアイスランドが暗示しており、イギリスのシティから世界の投資資金が逃げ始めている。だからポンドが暴落しています。しかしムーディーズなどの格付け会社は英国国債に対してAAAの最高ランクをつけている。いかし英国は沈み行く船であり金融立国の政策が破綻した以上はイギリスを立ち直らせるだけの産業が無い。

あるとすればアメリカという超大国を操ってアメリカの繁栄のおこぼれをちょうだいしていくしかないだろう。その点ではイギリスとイスラエルは利害が一致しており、アメリカ軍をイラクに引き込んでイラクの石油利権のおこぼれをちょうだいしようとした。しかしブッシュはいっさいイギリス企業には利権を回さなかった。

将来的にイギリスが立ち直る見込みはあるのだろうか? イギリスのポンドは基軸通貨でもなくむやみに増刷すればインフレになってしまう。銀行には公的資金を投入して国家が銀行を保証しているが、それでもポンドは下落してイギリス野党のキャメロン党首はIMFに救済を頼まなければならないだろうと発言している。

先日のオバマ大統領の就任演説でもイギリスはアメリカにも見捨てられた存在となり、ヨーロッパの外れにある小さな島国になり、ポンドも棄ててユーロに加盟するしか道はないだろう。しかもユーロに加盟しても外様大名であり、大英帝国の栄光を取り戻す事は不可能だ。

先日のテレビでジェームスボンドの映画を放送していましたが、ロジャームーアの主演で1980年の映画だった。まだソ連は健在であり冷戦末期だった。だから今見ると違和感があって、出て来る新兵器も粗末なもので、スパイがロータスのような目立つスポーツカーを乗り回していたのは滑稽だった。80年代ならジェームズ・ボンドもソ連と戦う正義の味方にもなれたのでしょうが、現代のジェームズ・ボンドのダニエル・クレイグは悩めるボンドとなっている。

大英帝国が没落する結果となったのは日本を敵に回してしまったためであり、日英同盟を堅持していればシンガポール要塞も香港要塞も失わずに済んだだろう。しかし大戦後は日本はアメリカと同盟を組む事になり、イギリスは太平洋とインド洋の制海権を失ってしまった。つまり日本を押さえれば太平洋とインド洋の制海権が得られるのであり、アメリカの第七艦隊の基地は日本にある。

最近のアメリカも中国を戦略的パートナーとしてG2で行こうという戦略があるようだ。つまりアメリカも日本を棄てて中国と手を組もうという戦略なのですが、日本を敵に回せば西太平洋とインド洋を失う事はアメリカの戦略家には分からないのだろうか? オバマ大統領の外交顧問はブレジンスキーですが、彼は日本をひ弱な花と呼んでいる。


日本、ドイツの没落!世界は米中がリード―米通信社 1月27日 ブルームバーグ通信社

2009年1月25日、米ブルームバーグ通信社は記事「G7を忘れよう、米国と中国だけで十分だ」を配信した。金融危機の影響で日本やドイツなどG7参加国の実力は低下、真に世界的な影響を持つのは米中だけになると予測している。香港の中国評論新聞網が報じた。

中国は2007年にドイツを抜き国内総生産(GDP)世界第3位へと成長、日本を抜き世界第2位の座につくのも時間の問題と見られる。改革開放以来、中国のGDPは70倍にまでふくれあがった。わずか30年という短い期間でこれほどの成長をなしとげた例は歴史上存在しない。

金融危機の影響の下、日本やドイツをはじめとするG7参加国の影響力は低下している。すなわち世界をリードしているのは米国と中国の二国間関係だという。ブルームバーグ社はその意味で米中の対等な協議の場が必要だと指摘した。現在の米中戦略経済対話は米国が一方的に要求を突きつける場となっており、中国側から要望が提出された時には米国官僚は思ってもみない事態にぼうぜんとしたほどだったという。

しかし中国は少なくとも6500億ドル(約58兆円)の米国債を保有しており、その売却は米国に致命的な影響を与える。もっとも米国債の売却は不景気に苦しむ中国の輸出企業にとってさらなる打撃となる。つまり米中は経済的に相互依存の関係にある。これを考えれば、対等な協議の場を設けることは不可欠で、オバマ大統領にとって喫緊の課題となる。(翻訳・編集/KT)






オバマ政権は機先を制して人民元切り上げ圧力をかけ、中国が
金融パワーをてこにした政治的影響力を行使しにくくする。田村秀男


2009年1月28日 水曜日

【通貨で読む世界】「強いドル」という欺瞞 1月25日 田村秀男

米国の新財務長官に指名されているガイトナー・ニューヨーク連銀総裁の議会証言によると、オバマ政権経済チームは「強いドル」を推進し、通貨調整で「総合戦略」を検討中という。中国については人民元を不当に安く操作していると認定し、「オバマ大統領は中国の為替慣行を変えるためにあらゆる外交手段を動員する」とも強調した。オバマ政権が矛先を中国に向ける一方で、ドル安・円高を是正するなら日本にとって結構なことだが、「強いドル」というレトリックにだまされてはいけない。

 変動相場制に移行した1970年代以降、米政権が「強いドル」戦略を実行したのは、80年代初めのレーガン政権1期目と、ニューヨーク・ウォール街の要請に応じて世界の余剰資金をひきつけようとしたクリントン政権の一時期に過ぎない。あとはおしなべて「ドル安」政策に傾斜した。

 唯一の例外がブッシュ前政権の対円政策である。ブッシュ大統領は小泉純一郎首相(当時)の改革路線を後押し、2003年から翌年2月にかけての日本財務省による大規模な円売り・ドル買い介入を黙認した。円安傾向を受けて日本からは巨額の超低金利資金が米金融市場になだれ込み、住宅ローンなどの債務をまかなった。ドルはユーロや英ポンドなど欧州通貨に対しては下落したが、証券化商品の開発で欧州の余剰資金を引き寄せることに成功した。

 ところが2008年9月の「リーマン・ショック」で米国発金融危機が世界に伝播した。バブルにまみれたドルの金融商品を800兆円以上も買い込んだ欧州の金融機関が直撃を受けたため、欧州通貨などに対してドル相場は反転した。

 混とんとした国際通貨情勢の中でオバマ政権が今後、どんなドル戦略を発動するだろうか。

 07年末での米国の対外債権総額は17兆6400億ドルに上る。単純に計算して、ドル相場平均で10%下落すると、米国は1兆7640億ドルの為替差益を得ることになる。これはオバマ政権による財政支出拡大に伴う財政赤字見込額を優に上回る。30%のドル安で5兆2920億ドルに上り、金融危機の元凶になった証券化商品10兆8400億ドルの価値が半分に減っても十分補填(ほてん)できる。

 ユーロ安・ドル高で米国の欧州資産が目減りしても、基軸通貨ドルに挑戦してきたユーロは自滅同然だ。問題は米国債の最大の保有国、中国である。オバマ政権は機先を制して人民元切り上げ圧力をかけ、中国が金融パワーをてこにした政治的影響力を行使しにくくする。

 円はどうか。米連邦準備制度理事会(FRB)のゼロ金利容認とは対照的に、日銀はゼロ金利を拒絶したため、金融資産をドルよりも円で運用するほうが有利になり、ドルが売られ、円が買われる。放置して日本が困れば、ドル買い介入して米国債を買い増すだろう。中国も米国債を買わないと人民元は高くなる。オバマ政権の通貨戦略とは、ドル安容認路線しかないようだ。(編集委員 田村秀男)


いまこそ「100年に1度の対策」を 1月12日 田村秀男

世界はいま、「100年に1度」の経済危機を迎えている。生産や雇用、所得や消費などすべてがら旋状に下降するデフレスパイラルの恐怖が日を追うごとに募る。定額給付金などちまちました景気対策では日本を覆う不安を解消できるはずがない。いまこそ発想と政策の大転換が求められている。そこで(1)政府紙幣の発行(2)相続税免除条件付き無利子国債の発行(3)オバマ次期米政権から円建て米国債の引き受け−という大胆な政策を提案したい。100年に1度の危機には100年に1度の対策を打ち出し、危機を好機に変える戦略が問われている。

 (編集委員 田村秀男)

 日銀券とは別に、政府がお札を刷る政府紙幣とは耳慣れないかもしれないが、政府(財務省)がよく発行する記念硬貨の代わりと思えばよい。記念金貨とは違い、発行費用は紙と印刷代で済むから、政府は財政赤字を増やさずに巨額の発行益を財源にすることができる。

 まるで政府が「打ち出の小づち」を振るような話だが、きちんとした経済理論的な根拠もある。物価が下がり続けるデフレスパイラルとは、モノやヒトの労働の量がカネに比べて過剰なのだから、カネの供給量を増やせばよい。

 米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は2002年のFRB理事時代に「デフレのときはお札を大量に刷ってヘリコプターからばらまけばよい」とぶったことがある。この「ヘリコプター・マネー」論は、1930年代の世界大恐慌の教訓を徹底的に研究したシカゴ大学の故フリードマン教授が提唱し、学派を超えて何人かの米ノーベル経済学賞受賞者が賛同している。FRBは今回の金融危機に際し、不良金融資産までも買い上げ、ドル資金を無制限に供給する異例の政策に踏み切った。

 日本でも日銀が日銀券発行など市場に資金を潤沢に供給する「量的緩和」などで大々的な円資金供給に踏み切ればよいが、平時の感覚から抜け出られない日銀内部には「円の信任が損なわれる」との反対論も根強く、機動的な対応ができていない。

 日銀券に比べ、政府紙幣には政治主導という利点がある。政策目的に応じて政府紙幣による財源を柔軟に充当できる。給付金としてばらまくことで個人消費を喚起するのも一案だが、失業者対策などの社会保障財源に回す、さらには民間の新たな地球環境プロジェクトを補助し、日本版「グリーン・ニューディール」を推進するのも手だろう。

 もちろん、政府紙幣の発行額には限度もある。高橋洋一東洋大学教授は、その発行適正規模を「25兆円」とみている。

 一方、需要を喚起するためには、なかなか消費に回らない民間の金融資産を動員することも必要だ。このために国債を発行するわけだが、国内総生産(GDP)の約1・5倍に及ぶ政府の累積赤字を増やすわけにはいかない。そこで有識者の間で浮上している案が、相続税免除条件付き無利子国債である。

 日本の個人金融資産は2007年末で約1500兆円、このうち現預金は約半分、780兆円にも達している。個人は急落する株式を嫌って、金利がなくてもたんすに現金を留め置いたり、超低金利の預金で我慢したりしている。

 これらの預金者のうち、相続税負担に悩んでいる高齢者らに無利子の国債を買ってもらい、その代わりに相続税を免除するのだ。この財源を政府紙幣発行財源と合わせると、政府は大規模な経済総合戦略を実行できるようになる。

 政府の相続税収入は年間で1兆2000億円。景気が浮揚すれば法人税収などが伸びる。この相続税の減収を補って余りあるだけの税収増に結びつくような景気刺激策を考案する必要もあるだろう。

 米国の金融バブル崩壊の結末は結局、グローバルなデフレ恐慌であり、2009年にはさらに進行する可能性が高い。米国で発行され、世界にばらまかれた巨額の金融商品は、借金しては消費する米消費者の財源になっていた。それが消滅したのだから、世界の実体経済に大津波となって襲いかかる。

 中国ではすでに出稼ぎの農民など2000万人以上の労働者が輸出産業での職を失いつつあるし、日本でも最優良企業のトヨタ自動車までも営業赤字に転落、自動車産業を中心に3月までに8万5000人の非正規雇用者が失職する見通しだ。昨年1年間では米国では258万人、欧州でも110万人が失業した。

 地球上のカネの流れが凍りつき、企業はカネを使えない、消費者はカネを手放さない。物価は下がって生産も消費も縮小し、所得も雇用も消え去る。

 今回のデフレはこのように金融現象に始まり、金融の世界が病状をさらに悪化させるのだから、財政と金融の両面でかつてない次元の政策に切り替えるのは当然だ。

 米国はバーナンキFRB議長、さらにオバマ次期政権でも大統領経済諮問委員会(CEA)委員長になるローマー・カリフォルニア大学教授がいずれも大恐慌の権威であり、デフレ対策を意識した政策を金融と財政の両面で打ち出してくる。日本もこれに呼応して、従来の発想を大転換し、米国と足並みをそろえるべきだろう。

 オバマ氏は最近のインタビューで、財政赤字にこだわらず財政支出を増やすと言明している。その場合、米国の赤字国債を含む国債発行額は例年の4倍の2兆ドルに達する見通しで、市場ではドルや米国債の先行き不安が日々高まっている。ドルが暴落したり、米国債相場が急落したりするようになると、米国の金利は急騰し、世界経済はデフレ不況下での高金利という最悪の事態にまでこじれにこじれる。

 専門家の中には「日本は保有する米国債を放棄すべきだ」(三國事務所の三國陽夫代表取締役)との意見もある。貯蓄大国・日本は内向きにばかりならず、米国の経済再生も考慮に入れる必要があるからだ。三國氏は、日本の米国債放棄を「日本版マーシャル・プラン」になぞらえる。約1兆ドルもの債権放棄は国内世論からして受け入れがたいが、米経済の回復がなければ、日本や世界経済の復活は遠い。

 そこで政府紙幣発行と相続税免除条件付き無利子国債の大量発行と並んで、円建て米国債の引き受けも視野に入ってくる。

 日本が米国債を引き受けようにも、ドルが急落不安を抱えている限り、日本の金融機関や機関投資家、それに個人も米国債の購入をためらう。為替リスク不安が強いためだ。その点、円建て米国債なら為替リスクを米国側が負う。

 米国債の利回りは、円建てでも、日本国債よりも高く設定される可能性があり、日本の投資家は米国債を選ぶ可能性がある。その場合、日本国債の売れ行きに響くという恐れを財務官僚は抱くが、だからこそ相続税対策など、新たな魅力を日本国債に付与する必要があるのだ。

 円建て米国債は世界の投資家にも買われる。日本企業と取引する世界の企業は決済通貨として円資産を増やせる。その結果、円の国際化が促進される効果もあるだろう。

 こうした一連の財政金融面での思い切った政策転換は、厳しい時代だからこそ可能で、早急に議論に入るべきだ。米国や欧州、それに中国とも政策調整しながら世界的なデフレ脱却に向け、今こそ日本が主導性を発揮すべきだ。



(私のコメント)
政府の施政方針演説をテレビで見ていたのですが、どれも官僚が書いた作文を読み上げているだけで施政方針演説ではなくて施政方針朗読と言うべきだ。聞いている議員たちも半数近くが寝ており、国政には全く緊張感が無い。朗読の内容があれもやりますこれもやりますと言った総花的なものになるのは、各省庁の言い分を盛り込むからであり、朗読している本人は読み間違えないように朗読するのに精一杯だ。

せっかくテレビ中継されるのだから、オバマ大統領の演説のようにプロンプターを用いてもいいから国民に訴えるような演説を行なうべきなのだ。これでは内閣支持率も上がるわけはないのであり、せっかく全国にテレビ中継されるのだから支持率の上がるような演説は出来ないものっだろうか?

しかし施政方針演説の原稿を総理自分で書こうとしても官僚たちは許してはくれないだろう。国会答弁なども官僚たちが夜遅くまでかけてすり合わせを行ないながら書いているのであり、大臣が勝手な答弁をしては野党が騒ぐから官僚たちが一字一句まで尻尾を捕まれないようなそつの無い文章にして大臣に答弁させる。

このような体制ならば誰がなっても大臣は務まるのであり、平時ならこれでも上手く行くだろう。しかし今日は100年に一度の金融危機のときであり、大胆な経済対策が必要なのですが、自画自賛的な施政方針朗読であり、官僚たちにとっては思い切った政策を打ち出したつもりなのでしょうが、財政健全化が官僚たちにとっての施政方針なのだろう。

アメリカなどでは政権政党が代わることで思い切った政策の転換が出来ますが、日本のように自民党政権が続いていたのでは小泉改革が間違っていても自民党としては政策の転換はできないだろう。しかし野党も野党ズレがしてしまって何でも反対政党になってしまって政権担当能力が無い。

二大政党制ならば、与野党の政策は大して違わなくてもいいのであり、政党が交代する事で政策の転換をスムーズに出来るような政治になるべきなのだ。今の民主党は社会党などの左翼の残党がもぐりこんでおり、とんでもない法律が次々可決されて日本がおかしくなってしまうだろう。

自民党政治が長く続いたのは派閥政治が政権交代の役割をはたしていたのであり、小選挙区制になって派閥は弱まり党の執行部が強くなって党内野党がなくなってしまった。だから小泉、安倍、福田、麻生と総理は代わっても政策は大して変わらず、小泉政治の歪みが正されないまま来てしまった。

今の民主党にはとても政権は任せられないが、今の自民党も公明党の毒が回ってしまって死に体になっている。定額給付金も公明党のゴリ押しによるものですが、麻生総理も景気の落ち込みが激しい時にどうして消費税に拘るのだろうか? 景気が回復したら消費税というのでは、「景気を回復させませんよ」と言っているようなものだ。これでは今までとなんら変わりがない。


「株式日記」では大胆な政策提言を次々提案しているのですが、財政再建路線を堅持する官僚内閣ではどうにもならない。日銀の白川総裁も100年に一度という金融危機にあってもゼロ金利には抵抗して国内の景気を冷やしてしまった。三度日銀がゼロ金利にすれば三度ゼロ金利解除が間違っていたという事になるからゼロ金利には抵抗している。

ゼロ金利になると金融政策は効かなくなり量的緩和に踏み切らなければならない。しかし日銀は2007年から金融を引き締めて株も景気も下落させてしまった。日銀が政府の言う事を聞かなければ政府が紙幣を発行してデフレ経済を脱却させるべきなのだ。日銀はインフレを恐れるあまりにデフレにしてしまった。しかし日銀は誰も責任を取らない。

確かに2007年頃は都心の地価の高騰などミニバブルの状態になりましたが、日銀が0,5%まで金利を上げると世界同時株安になり、アメリカでは住宅バブルがはじけ始めた。それほど現在の日銀は世界経済に大きな影響を与える存在ですが、日銀はそれを自覚していない。リーマンショックで株や景気が大暴落しているのに日銀はゼロ金利に戻さなかった。

アメリカは実質ゼロ金利にしてヘリコプターから金をばら撒いているのに、日本は赤字国公債の発行は804兆円まで増えてしまって国債発行に及び腰になっている。ならば政府が紙幣を発行してヘリコプターから金をばら撒いてインフレと円安にして世界同時デフレを解消すべきなのだ。それくらい思い切った内需拡大策を打つべき時であるのですが、官僚たちはビビッてしまって財政再建を堅持している。

アメリカは近いうちに1971年のニクソンショックや1985年のプラザ合意の時のような借金踏み倒しに来るだろう。360円の1ドルが今では80円台になってしまってドル資産は四分の一になってしまった。それだけ踏み倒されたのだ。アメリカはドルをジャンジャンばら撒いてドルを安くしているのに、日本は日銀が円の価値を引き上げて円高にしてしまった。

アメリカは基軸通貨の座を狙っていたユーロがこけたので三度ドル安政策で借金踏み倒しに来るだろう。中国に対しては元の切り上げを迫り、ドルや米国債の買い入れを要求してくるだろう。しかし中国は日本ほど素直ではないので米中間がもめるかもしれない。ならば日中が共同戦線を組んで元建て米国債や円建て米国債を要求して為替リスクを回避すべきだ。




日本政府が「政府紙幣」を発行できるときは、米国連邦政府が
「政府紙幣」を発行するときか、日本が“独立”を果たしたときである。


2009年1月27日 火曜日

政府紙幣論といえば、03年頃〜日本のデフレ脱却の手法として
議論されてきた経緯がある(たけしのTVタックルより)

日本政府が「政府紙幣」を発行できるときは、米国連邦政府が
「政府紙幣」を発行するときか、日本が“独立”を果たしたときである。


小泉・竹中が政府紙幣を握りつぶした!? 2008年12月28日

当時私は竹中大臣にこの政府紙幣の発行がデフレ対策の切り札になると提案しました。法律では貨幣の発行権は政府にあるので、法改正なしに政府の判断でできる。当時は世界経済は拡大し、日本だけがデフレだったから、竹中さんも、そこまで深刻ではないだろうと判断してお蔵入りした。(高橋洋一氏)

>問題は通貨量を増やせばインフレと通貨価値の下落(つまり円安)という副作用がおきることだが、恐慌の真っ只中だからこそ、その心配は小さいと語る。

 週間ポストの記事読みました。
 高橋氏はさすがに政策通ですね。
 ただし、政治音痴なのかもと思いました。

 国内的には、政府紙幣の発行は特効薬になりうるのは確かなのですが、アメリカの顔色を伺うことが第一の小泉・竹中路線では、実行できないでしょう。

 麻生総理や民主党の小沢氏は、アメリカの金融筋の反対を押し切って、この政策を実行出来るのでしょうか?


政府紙幣は既に小泉政権時代に議論されていた!?2008年12月25日 山澤貴志

もはや政府紙幣はタブーではなくなったようだ。週刊ポスト(12月22日発売)巻頭記事の中に「04年に封印された政府紙幣」というくだりがある。
リンク

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「政府紙幣発行の財政金融上の位置づけ 実務的観点からの考察」そう題されたリポートが財務省財務総合研究所研究部でまとめられたのは04年4月小泉政権下で日経平均株価が7607円というバブル後最安値をつけた1年後のことだ。当時、竹中平蔵・経済財政相のもとには高橋洋一氏らが集まってデフレ乗り切りの対策チームを作っていた。

日銀券とは別に、財務省が新しく1万円札を刷って国民に配るわけです。経済用語でヘリコプター・マネーと呼ばれる政策です。当時私は竹中大臣にこの政府紙幣の発行がデフレ対策の切り札になると提案しました。法律では貨幣の発行権は政府にあるので、法改正なしに政府の判断でできる。当時は世界経済は拡大し、日本だけがデフレだったから、竹中さんも、そこまで深刻ではないだろうと判断してお蔵入りした。(高橋氏)

問題は通貨量を増やせばインフレと通貨価値の下落(つまり円安)という副作用がおきることだが、恐慌の真っ只中だからこそ、その心配は小さいと語る。

25兆の政府紙幣発行で物価は1〜2%上がり、為替も1ドル120円くらいの円安効果が予想される。平時にはインフレや円安を招くからやってはいけない劇薬だが、日本は物価連動債の利率が年率マイナス2%以下という超デフレが進んでおり、為替は1ドル80円の超円高です。いまなら政府紙幣のインフレ効果も円安効果も相殺されて経済には有効に作用する。この劇薬の封印を解くことを政治が決断できるかどうかが問われている。(高橋氏)

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高橋氏は小泉改革当時の財務省の実務担当者であり、かなり怪しい部分もある人物だが、小泉内閣において「政府紙幣」が検討されていたということ自体驚きである。今になって暴露話が出てきている背景には、FRB自身がバラマキ政策に転換したことが大きいのであろう。

週刊ポスト史上では、使い道として非正規100万人への失業手当、倒産予備軍15万社に1億円ずつ配分、老朽化した公共インフラへの公共投資を打ち出している。

果たして、政府紙幣発行の禁は破られるのか。勿論、ただのバラマキではさして意味がないことは当然だが、外需依存の市場が縮小することは間違いなく、従って、農業、介護、耐震性やインフラ修繕といった安全・安心に関わる社会需要へと投資し、アメリカ発世界恐慌のショックを和らげつつ、本来あるべき産業構造の転換を進めていくことは必要不可欠な政策であろう。


政府紙幣の実現可能性 2008年11月21日 雪竹恭一

理論的には今すぐにでも実現可能であるにも関わらず、今まで政府紙幣の議論がまともに取り上げられてこなかった(むしろタブー視されてきた)理由は、大きくは3つある。

@インフレ懸念の問題
Aモラルハザードの問題
B金貸しの抵抗

@Aが中央銀行独立論の論拠となってきたものであるが、@はデフレの経済構造に転換した現代では問題にならない。むしろ問題はAであろうが、確かに今までさんざんアメリカと市場の言いなりになって赤字を垂れ流してきた政府が、徳政令的に政府紙幣を発行して借金をチャラにしようとしても誰も納得しないだろう。

Aの壁を突破するには、政権交代が大前提で、国家紙幣を従来のばら撒きではなく、みんなの役に立つ(活力を引き上げる)ような活動に使うという政策への大転換が不可欠になる。新たなお金の意味や使い道ということの共認があって、初めて政府紙幣への転換は実現されることになるだろう。

しかし、当面の実践課題としては、Bとの闘いが大きな課題だろう。Bの壁が突破できればAは実現可能で、活力が出るような政策をみんなでじっくり考えてゆけばいい。

Bについては、金貸しは政治的にあの手この手を使って圧力をかけてくるだろうし、日本の政治家のアメリカ追従は当面変わらないだろうが、世界の世論は確実に金貸しの騙しを許さない方向に向っている。

現在の金融制度(その中心が中央銀行制度)成立の裏には金貸しの存在があり、戦争や今回の金融危機の裏にも金貸しの存在がある。しかも、それらがことごとく騙しによって成立してきたという事実が明らかになってくれば人々の金貸しに対する見方も変わってゆくはずだ。根本的には人々の事実収束と金貸しの騙しとの闘いになるだろうが、事実収束が進めば騙しが成立しなくなるのは明らかだ。

今まで壁だと見なされきた問題は決して壁ではなくなってきている。政府紙幣は必然的に実現されてゆくだろう。


もはや政府紙幣の発行しかない!(森永卓郎の日本経済探索) 2009年1月27日 森永卓郎

『経済アナリスト森永卓郎の日本経済探索 もはや政府紙幣の発行しかない』(NSJ日本証券新聞)リンクより転載します。
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自民党を離党した渡辺喜美代議士が麻生総理に突きつけた「7項目の提言」には重要な提案が含まれている。景気対策の財源としての政府紙幣を発行するということだ。政府紙幣というのは、中央銀行ではなく、政府が発行する紙幣で現行法上も発行は可能だ。

政府紙幣の発行自体は、目新しい提言ではない。ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツは昔から提言していたし、日本でも10年以上前から経済学者の丹羽春喜氏が提言し続けている。また、実際、アメリカではニューディール政策の中で政府紙幣が発行されたし、日本でも明治維新の直後に太政官札の発行で膨大な財政需要が賄われた。

本来、通貨供給増による景気対策は、中央銀行の仕事だ。しかし、今の白川日銀総裁は金融緩和に極めて後ろ向きだ。これだけの経済危機に直面しても、量的金融緩和どころか、ゼロ金利にもしていないのだ。日銀の金融緩和の遅れが急激な円高をもたらし、景気失速の原因をつくったことに対して何の反省もしていない。日銀が金融緩和をしなければ、政府がするしかないのだ。政府紙幣の発行には日銀の量的金融緩和よりメリットがある。日銀の通貨供給では、例えば、国債を購入する代金として日銀券を発行する。購入した国債の金利は、日銀の経費を差し引いた後、最終的に政府に納付金として納められる。通貨発行益だ。しかし、政府紙幣の場合は、発行額を政府の負債とする必要がないから、発行コストを差し引いた全額が政府の造幣益となる。それを景気対策に活用できるのだ。

もちろん、政府紙幣をあまりに膨大に発行すれば、通貨への信任が低下して、ハイパーインフレを起こしてしまう。しかし、デフレスパイラルに直面している日本経済にインフレの心配はない。発行限度は明確でないが、GDP(国内総生産)の10%程度であれば、何の問題もないだろう。

丹羽春喜氏は、政府がわざわざ政府紙幣を発行しなくても、日銀に発行権を売れば、印刷の必要がないと主張している。理論的には正しいが、いまの日銀は受諾しないだろう。白川総裁が理事時代にスティグリッツの政府紙幣発行論を批判しているからだ。

だから、政府が日銀券と同じデザインの紙幣を国立印刷局に発注すればよい。もちろん非常手段だから、政府紙幣はいずれ回収・償還した方がよい。だからGDPの10%、50兆円のうち、半分を景気対策に使い、残りの半分で市場を通じて国内株を買えばよいのだ。昨年末の東証のPBR(株価純資産倍率)は0・7倍だ。投資家心理が正常化すれば、すぐに2倍にはなる。つまり、莫大(ばくだい)な景気対策がコストゼロで実現できるのだ。

世界経済支配層は、“あまりにも虫が良すぎる”政府紙幣で経済が
順調に運営できることをみんなが知るようになったら困るのである

ゼロ金利政策が限界になった以上は政府が紙幣を発行して
デフレを抑えて制御されたインフレにする必要がある。


(私のコメント)
最近はテレビでもあちこちで政府発行紙幣について報道されるようになりましたが、昨日の「たけしのTVタックル」でも政府発行紙幣の事が出てきました。話の仕掛け人は元大蔵官僚の高橋洋一氏ですが、自民党を脱党した渡辺よしみ議員などもテレビなどで言っている。

このような政府発行紙幣については大学の経済学でも教えられてはおらず理解できない人もいるだろう。理解するには貨幣とは何かという根源的な問題があるからですが、一昨日の「株式日記」でも書いたように、貨幣とは生産力や労働力などの価値のことであり、生産余力が出てきたら貨幣を増やさなければデフレになってしまう。

ところがこのような原則は学校では教えられていないから日銀官僚には理解しがたい事であり、現に白川日銀総裁などは政府発行紙幣には反対だ。裏には大蔵官僚と日銀官僚との権力争いがあり、通貨の発行権とは中央銀行の権限である事を信じ込ませる事で日銀は銀行などを統制して政治権力までも左右しようとしてきた。

しかし政府に紙幣発行権があることがあることがばれてしまうと世界経済支配層にとっては都合が悪くなり、通貨をもって世界を支配することが出来なくなってしまう。昔から金融資本家は国家に金を貸して戦争をさせて、どちらが勝っても儲かるように二股かけて融資して武器などを売って商売にしてきた。

国際金融資本家はヒトラーにも金を貸してドイツを強国にして戦争を起こさせて、アメリカから武器を輸出させて大儲けをした。戦争ほど金融資本家を儲けさせるものはないのであり、国家が戦争をするには金が要る。ところが国家が紙幣を発行して武器を調達してしまうと金融資本家の出番がなくなるから、政府発行紙幣はタブーなのだ。

昔なら生産力も小さくて余剰生産に陥ることは少なかったが、現代ではオートメーションで工場生産されるから自動車も家電製品も過剰生産になりやすく、デフレ経済になりやすい。1930年代のアメリカの大恐慌や1990年代の日本のバブル崩壊はデフレ経済になり、ルーズベルト大統領は政府発行紙幣でデフレを脱却しようとした。日本でも高橋是清がゼロ金利国債を発行してデフレを納めた。

戦争が起きれば工場が破壊され家屋なども焼き尽くされるから供給過剰が収まりインフレになる。しかし現代では核戦争の時代だから戦争でデフレを終わらせる事は危険だ。ではどうしたら余剰生産力を解消できるのだろうか? それは政府が紙幣を発行して国民に配って消費させる事だ。消費といっても物を買うばかりでなく旅行やお祭りなどを行なって消費させれば生産力と貨幣とのバランスは取れるようになる。


もちろん生産力以上の政府紙幣を発行すればインフレになるから、インフレの兆候が出たら紙幣発行を止めればいい。日本やアメリカのような経済力があってゼロ金利になれば政府発行紙幣で調整するしかデフレ脱却の手段が無い。ドルは世界の基軸通貨でありドルを印刷すれば世界で使える。アメリカの経済力が通貨の価値の裏付けとなっているからだ。

最近の金融の世界的混乱でドルへの回帰が起きているのは当然のことであり、ドルは世界の通貨に対して値上がりをしていますが、唯一日本の円はドルよりも値上がりをしている。つまりドルよりも円の方が信用されて通貨価値が高いのだ。だから日本の円も基軸通貨なのであり政府発行紙幣を出せる。それに対して新興国の通貨はドルに対して暴落していますが、経済力が無いからだ。

大昔なら通貨の価値は農産物か金しか価値を裏付けられませんでしたが、現代では経済競争力のある国の通貨が世界の基軸通貨として通用するようになる。だから製造業を無視して金融資本主義でアメリカやイギリスは経済を運営してきましたが、アメリカはオバマ大統領が製造業主体の資本主義の再建を目指している。しかしイギリスはハシゴを外されて経済を復活させる事は無理だろう。アイスランドのように金融立国はいずれは破綻する。

24日にも書いたように、19世紀は石炭と蒸気エンジンと大英帝国の時代であり、20世紀は石油とガソリンエンジンとアメリカの時代であった。そして21世紀は電力とモーターと日本の時代がやってくる。このような技術革新が世界の覇権を決めるのであり、必ずしも人口や国土面積の広い国が覇権国家になるわけでないことは歴史が証明している。ゴールドマンサックスは中国やインドやブラジルやロシアがアメリカと並ぶ大国になると予想しているが、それは間違いだ。彼らに日本製以上のハイブリットカーは作れない。




クルーグマンの出番は40分ぐらいで、そのうち大部分は田原総一朗と
岡本行夫がしゃべっていた。岡本がしゃべるのは時間の無駄だと思った。


2009年1月26日 月曜日

衛星生中継のインタビューにもかかわらず、例によって田原総一朗が
一人でしゃべりまくってクルーグマンの発言は三分の一程度だけ。


クルーグマン on サンプロ 1月25日 kmoriのネタままプログラミング日記

今朝のサンデープロジェクトにクルーグマンがワシントンから生出演すると聞いたので、録画しておいて見た。

クルーグマンの出番は40分ぐらいで、そのうち大部分は田原総一朗と岡本行夫がしゃべっていた。田原*1は司会者だから質問を読み上げる時間は仕方ないとしても、クルーグマンが答えたあと同じぐらいの時間岡本がしゃべるのは時間の無駄だと思った。別に岡本氏に含むところはないが、彼は経済の専門家ではないし、せっかくのクルーグマンの話を生で聞けるという貴重な時間を削るほどの価値はない。要するに、ひっこんでて欲しかった。

また、遠隔中継+同時通訳による遅延のムダも気になった。定型の質問はリストを事前に配っておいてもうちょっと効率よく流して、余った時間をさらに突っ込んだ質問に割当てるぐらいのことはしてほしい。

話題はオバマ政権とアメリカの経済政策についてのみであり、答も従来から彼がblog等で表明していることばかりで特に新しい話はなかった。日本経済への言及は(質問されなかったので当然だが)なかった。これも、上記のムダを省けば聞く時間も取れただろうに。あるいは、朝日・田原は日本でのマクロ経済政策に否定的だからわざと聞かないようにしたと考えるのは考えすぎだろうか。

たとえば、あれだけもめたんだから「定額給付金をどう思うか」ぐらいのこと聞いたらどうなんだろう?あるいは、日銀が金利をゼロまで下げなかったことについてのコメントはどうか。彼が日本で有名になったのはブッシュ批判ではなく日本の間違ったマクロ経済政策への批判がきっかけだったことを考えてみれば、聞いて当然の質問なのだが。そんな企画は思いつきもしなかったとすれば、サンプロのプロデューサーだかディレクターだかはかなり無能なんじゃないだろうか。

以下、質問と回答。クルーグマンの答はなるべく忠実にしたけれど、実際とは違う部分もあるかも。質問文ははしょってます。


◆The Great Unravelingの内容について。

クルーグマン
「今は80%ぐらいの人が私のブッシュ批判に賛同してくれています」

◆あなたはオバマの就任演説を聞いてがっかりしたそうですが。

クルーグマン
「そうですね、それほど悪い演説ではなかったのですが、常套文句ばかりでもっと革新的(核心的?)な考えが必要だったと思うんですが。オバマ大統領が経済について語ったことは、できないことばかり。ワシントンの人達は真面目に取ってほしいときはできないということをよく言うんですね。

ですから、非常に大きな問題をきちんとはっきりさせなかったと思うんですよ。

どういったらいいんでしょうか。オバマ大統領は政府が行動を起こさなければいけないという点を強調した。これはいい点だと思うんです。長年、政府は小さい方がいい、政府が問題を解決することはできないことを強調する人が多かったんです。

しかしオバマ大統領は標準的な?みなが犠牲を払わなければいけない、みなが責任を負わなければいけないということで、言い過ぎは控えたいんですけれども、私が期待していたほどスリルに満ちたものではなかったんです。スピーチ・演説自体はホームランではなかったんです、野球にたとえればですね」

◆NYダウが急落し、失業率も7.2%と上昇、GDP成長率も-0.5%。ベアスターンズの買収、リーマンブラザーズの破綻、かなり経済はひどくなりました。ブッシュ大統領の間違いはどこにあったのでしょう。

クルーグマン
危機自体について言えば、金融システムが暴走したんです。金融機関が膨大なリスクを引き受けて経済全体をリスクにさらしてしまったのです。ブッシュ政権もそういうことを許してしまったんですね。私をも含めて多くの人達が、1980年代の日本に匹敵するバブルがあると警告していました。それに対してブッシュ政権は、投機を奨励するとか放置するとかで何も対策を打たなかったんです。危機を予防することは難しかったかもしれませんが、これだけ規模の大きな危機を招いたのはブッシュ政権のミスです」

◆日本はバブルがはじけた時に100兆円の損失を出しましたがアメリカの損は?

クルーグマン
「そうですね。同じぐらいの金額になる可能性が高いですね。1兆ドル。これは金融部門の損失でして、為替レートにもよりますが日本と同じぐらいになると思います。細かい内訳は違ってくると思いますが、日本とは姉妹経済ですから。金融システム自体で1兆ドル、アメリカ経済全体ということですと住宅バブルの破裂も含めると8兆ドル。金融システムの損失はもっと膨らむかもしれません。いずれにせよ金融システムは麻痺しますし家計部門にとっても大打撃ですよ。ですから、これだけ大きなバブルが破裂するとこれだけ滅茶苦茶になってしまうということです」

◆オバマ演説に不満があるとおっしゃいましたが、オバマ政権は総額8250億ドル投入すると言っていますが、どこに問題がありますか?

クルーグマン
「オバマ大統領の計画内容は妥当だと思います。部分的には十分効果がないところもありますが。インフラ整備の支出の方が減税、とくに企業減税より効果が高いと思います。プログラムの内容自体は悪くはありません。私が主に心配しているのは、オバマのエコノミスト達も言っていますが、そのインパクト自体は、経済後退部分の1/3しか押し上げる効果がないということだったんです。ですから不十分です。

私もオバマのエコノミスト達といろいろ議論したんですれども、迅速に実行できるプロジェクトが不足しているようです。それからあまり数を多くすると政治的困難を伴うと考えているようです。しかしこの計画は助けになると思いますが、問題解決にまでは到らないでしょう」

◆何が必要ですか?

クルーグマン
「そうですね、もっと規模を大きくしないとダメでしょう。私の推定では、そしてゴールドマンサックス等が出している推定、私の推定と一致しているんですけれども、おそらく50%積み増さないとダメだと思います。今の額よりも。それでも、今の景気後退は1年半は続いてしまうと思います、アメリカで。しかし、ブレーキがかかると思います。今の計画ではそれが見えてきません。これだけ規模が大きくてもまだまだ不十分なんですよ」

◆というと1.5兆ドルぐらい?

クルーグマン
「1.3兆か1.2兆ドルぐらいですね」

◆リーマンブラザーズが倒産したとき、金融恐慌が来るといわれたが、それは回避されると思いますか?

クルーグマン
「もう一段の金融の困難があると思います。昨年秋に救済案が出ましたけれど、まだ銀行等の金融機関が大きな問題をかかえています。さらなる金融部門に対する救済策が必要だと思っています。どの程度の数字が必要かというと、人々が口にしているよりさらに大きな数字が必要だと思っています。日本の場合は5000億ドル程度の銀行に対する救済ですみましたが、今のアメリカの経済規模は当時の日本の4倍ですから、2兆ドルぐらいになるんですよね。いま、2兆ドルという数字は誰も言ってませんから。もちろん大きな金額です。膨大ですよ*2」

◆公共投資が少ないと思いますが、なぜこうなったのでしょう。

クルーグマン
「いろいろ理由があります?タイミング、政治的な理由ですね。それから公共投資というのは実行するのに時間がかかるのです。3、4年かかるものもあります。それはやるべきだと思うんですけれど、なるべく結果を前倒ししたいと考えているので。それから議会の保守派の支持をとりつけるのも大変なんですね。そういう政治的な決定というのもからんでいますので、公共投資は我々が期待するほど大きなものにはなりませんでした。

分野によっては、たとえば公共交通ですね、はもっと投資が必要だとみんな期待していました」

◆Big3は救済を求めているが復活することはありますか?

クルーグマン
「Big3が消滅する可能性はあると本当に思っています。Big3が存続することを保証できる人は誰もいません。なるべく不必要に消滅しないようにしたいと思っていますが、今現金も確保できませんし、まさに金融危機の犠牲者になってしまった可能性があります。本当は存続できたはずなのに。そうしたら本当にひどいことになります、100万人の失業者を新たに生みだすことになるので。是非避けたいところです。Big3に時間を与えてなるべく問題を解決できるようにしていきたいと思います。しかしBig3が2社、1社に整理されてしまう可能性もあります。時代は変わっているのです。Big3は存続できないかもしれませんがチャンスを与えなくてはいけないと思います」

◆(高野)緊急対策はわかりましたが、その先のことは。金融資本主義の後に地道な資本主義に戻れるのでしょうか

クルーグマン
「アメリカ人の社会というのは勤勉ですよ。一般市民は本当に勤勉なのです。職業的倫理観は失なわれていません。しかし金融産業というものが暴走してしまって、一握りのひとたちが大金持ちになり、破壊的な活動に従事していたんですよ、あとで判明したのは。オバマ大統領が今週末すでに発表したんですけれども、金融機関については規制を強化すると決めました。これはいい動きです。今の危機には間に合わなかったんですが、次の危機は未然に防止できるかもしれません。金融危機において救済の対象になったものは規制を強化する必要があります

◆アメリカの消費者がお金をつかいすぎたというのが根底にあると思いますが、70年代の家計の借金の20倍にもなっていますが、アジア諸国がモノを作って輸出しそのカネを貸し出してファイナンスしてきましたが、アメリカの消費過剰は変わるのでしょうか。

クルーグマン
「持続不可能なシステムでした。アメリカの消費者は一切貯蓄せず、住宅の価格が高騰することで退職後の生活の支えとしてきたのです。実際に返済することができないような借金をしてきました。グローバルに見ると、最後の頼みの綱の消費者としてアメリカ人はその役割を果たしていたんです。数年前に私は言ったんですが、アメリカ人はお互いに住宅を売りあって、中国から借りたお金で住宅の代金を払っていたんです。これはもはや続けることはできません。今回の危機はアメリカに限らずグローバルなものです。この危機ということに関していえば中国も大問題をかかえています。またヨーロッパの新興国、ラトビアとかスペインなども問題をかかえています。ですから危機を脱するときにはグローバルなシステムが変わるでしょう。誰が消費するとか資本の流れとか」

◆新政権は最初の100日間はいいがその後成果が出ないと批判されるそうですが、オバマ政権の100日後どうなっていますか?

クルーグマン
「新しい政策は打ち出されているでしょうが景気はもっと悪くなっているでしょう。今年の年内そして来年まである程度景気は後退せざるを得ないでしょう。調査によれば市民は辛抱強く待っています。100日間しか待てないというのは神話にしかすぎません。現実ではありません。オバマ大統領が問題を解決するには何年もかかると思いますよ」

◆景気が完全に回復しないとしても、ダウや住宅価格が下げ止まるのはいつごろでしょう。

クルーグマン
「ダウについてはわかりません。株価は読めませんから。住宅価格についてはあと2年はかかるでしょう。住宅のスランプはいつも長期化しますので。この住宅スランプが終止符を打つのは4年ぐらいかかるでしょう。2006年に住宅価格が下落しはじめましたから、まだまだ長くかかります」

◆2010年の回復は無理でしょうか?

クルーグマン
若干は上向くかもしれませんがおそらくそうならないでしょう。住宅価格はアメリカではまだ高すぎます。所得の水準とか家賃の水準と比較すると。ですからまだバブルから完全に脱したわけではないのです、今でさえ。それからまた余剰の在庫もありますよね。売れていない住宅の供給ということです。住宅価格はなかなか回復しません

すでに論文などで書かれていることばかり聞いて意味があるのだろうか?
イギリスのポンド暴落や日本経済に対する意見も聞くべきではないか?


(私のコメント)
昨日のサンプロではポール・クルーグマン教授のインタビューや佐藤優氏のテレビ初登場などがあって見てみたのですが、例によって同時通訳で国際衛星生中継の金のかかるインタビューにもかかわらず、田原総一朗と岡本行夫がしゃべり続けてクルーグマン教授の話は三分の一程度しか聞けなかった。

ニュースステーションの久米宏も外国人ゲストへのインタビューで同時通訳がついているにもかかわらず自分ひとりでしゃべり続けていたのを覚えているのですが、テレビのインタビューの時間は限られた時間だし質問は完結にしないと同時通訳の人はどこまで通訳するのか困るだろう。間に通訳を挟むと相手に話した事の八割程度しか伝わらない。

国際衛星生中継となると音声などがどうしても0,5秒ぐらい遅れてしまうのですが、テレビのキャスターなどはこの間が出来る事を異常に恐れていて、返事が返ってくるまでの間にまた話しかけてしまう。その為にテレビの視聴者は聞きづらくなるのですが、数秒でも間が空いてしまうとテレビ局では始末書が書かれるらしい。

日本では通訳なしで外人にインタビューできるテレビキャスターは僅かしかおらず、インタビューするのが仕事の司会者が英語が出来ないと言うのは、歌が歌えない歌手のようなもので、数億円のギャラをもらっている古館伊知郎も外人のインタビューは通訳任せだ。インタビューなどでは間に通訳が入るとどうしてもゲストとの間に壁が出来てしまうのですが、日本の放送業界はどうして英語などの外国語が出来る人材を採用しないのだろうか?

国際会議に出るような人材は英語などの外国語の習得に努めなければ国益を損なうような事も出てくるだろう。一般国民に対しては小学校から英語教育を強制しておきながら、実際に英語が必要な外交官や政治家やジャーナリストが英語が出来ないと言うのは業務にさしつかえる。麻生総理が漢字の読み間違いにはマスコミはたたきますが、テレビ局のアナウンサーが英語でインタビューが出来ないことは誰もたたかない。

英語が出来て当然の職業の人でも英語が話せないのだから、英語はほとんど必要の無い一般国民に英語教育を押し付けるのは最初から無駄な努力をしていることになる。田原総一朗は日本でも一番有名なジャーナリストですが、ブッシュ大統領へのインタビューは冷や汗もので相手はアメリカの国家元首なのだから粗末な聞きにくい英語は失礼になるとは思わないのだろうか?

田原総一朗の経済へのセンスは間違っている事は書いてきましたが、番組でもポールクルーグマン教授の経歴や業績を長々と説明する必要があるのだろうか? バラエティー番組ならクルーグマン教授を紹介する必要があるだろう。しかし報道番組を見る人ならばノーベル経済学賞をもらった経済学者であることを知らない人はいないと思うのですが、感覚がずれている。

インタビューの内容自体もすでに論文などで発表されたものばかりで、あらためて教授に話させる意味があるのだろうか? ワイドショーやバラエティショーならともかくレベルが低すぎるのだ。オバマ大統領の就任式における演説はアメリカでは評判はいまいちだったのですが、クルーグマンにとっても不満足だったものらしい。

しかし候補者の頃ならともかく、大統領になれば無責任な事は言えなくなり、麻生総理大臣も漢字を読み間違えただけで政局になってしまう。日本の総理大臣の施政方針演説も官僚が各省と打ち合わせをしながら書いたものを読むだけなのですが、アメリカでも同じだろう。しかしあれだけの演説が出来るのだから役者なのだ。

アメリカの金融システムについてはクルーグマン教授も株式日記でもいつかは破綻すると書いてきました。LTCMの破綻やエンロンの破綻などから感じられる事であり、今回はあまりも巨大な金融破綻であり、政府や中央銀行自体の信用にも関わってくるだろう。クルーグマン教授はアメリカの言論界でも過激派であり反体制的なコラムをニューヨークタイムズに発表している。

それがノーベル経済学賞を受賞したのはブッシュ大統領への当て付けであり、それだけアメリカの金融資本主義に対する批判が強まったからだ。公共事業に対する意見ももっと大規模な支出を要求していますが、それは日本の公共事業にも言えることだ。しかし田原氏は公共事業反対派でありクルーグマン氏への批判が無いのはどうしてだろうか? かねてから田原氏は公共事業は反対でありクルーグマン教授にその意見をぶつけてみるべきだっただろう。

オバマ大統領は就任演説で金融資本主義を批判して、本来の勤勉な資本主義に戻る事を主張しましたが、一握りの投資銀行が巨額の収入を独り占めして金融を破綻させてしまった。だからクルーグマン教授も規制の必要性を述べていますが、1997年のアジア金融危機においてもアメリカの金融資本の横暴は世界中から批判された。しかしオバマ政権内部にもサマーズがいますが、田原氏はなぜその事をクルーグマン教授に聞いてみないのだろうか?

今回のアメリカ発の金融恐慌はまだ全体像がつかめず、どこまで大きくなっていくのかも分からない。クルーグマン教授だって分かりっこないのであり、私なら聞いてみたいことは沢山あったのですが、田原総一朗の経済センスは最低だ。




白川氏(現日銀総裁)は、このシンポジュウムで、「政府紙幣も日銀券も
紙幣である」と批判しているが、造幣益の意味を理解していない日銀総裁


2009年1月25日 日曜日

政府発行紙幣25兆円で1人に20万円支給する(報道2001より)

硬貨は日本政府が発行しており造幣益となっている(報道2001より)


スティグリッツ氏の提案は間違ってはいない━白川、滝田両氏の批判に反論する━ (『月刊日本』平成15年7月号、丹羽論文)

白川氏は、このシンポジュウムで、「政府紙幣」も「日銀券」も紙幣であることには変 わりはないから、スティグリッツ提案は無意味であると、批判している(同じく『日本経済新聞』4月30日付号)。しかし、この白川氏の意見は、「政府紙幣」と「日銀券」のあいだにおける、造幣益の有無という決定的な違いをまったく見逃してしまっている。

 言うまでもなく、「日銀券」がいくら発行されても、それによって政府の財政収入と なるような造幣益が生じるわけではない。かりに、新規に発行された国債を日銀が購入し、その代金を新規に発行された「日銀券」で政府に支払ったとしても、それは、結局、政府が日銀からそれだけの額の借金をしたということであり、政府の債務がそれだけ増えるわけであるから、政府にとっては正味の造幣益が得られることにはならない。また、よく知られているように、「日銀券」の発行額は日銀の負債勘定に計上されるのであるから、
日銀自身にとっても、「日銀券」の発行によって造幣益が得られるわけではない。

しかし、そのような日銀券の場合とはまったく異なって、わが国の現行法のもとでは、「政府貨幣」の発行額は、政府の負債としては扱われないのである。現在、発行されて流通している「政府貨幣」の総額は4兆3千億円前後であると思われるが、それは、政府の負債勘定には計上されてはいない。その発行額(額面価額)から原料費や加工費などの造幣コストを差し引いた差額としての正味の造幣益は、政府の財政収入として一般会計に繰り入れられてきたのである(このことは、旧大蔵省スタッフの共同執筆によって平成6年に大蔵省印刷局より公刊された『近代通貨ハンドブック──日本のお金──』、 114頁でも明らかにされている)。

当然、「政府貨幣」としての「政府紙幣」も、同様な扱いとなり、政府に造幣益による(負債ではない正味の)財政収入をもたらすことになる。この点こそが、「政府紙幣」と「日銀券」の決定的な相違点である。白川氏は、この重要なポイントを知らないようである。榊原英資氏も、同氏の『中央公論』平成14年7月号の論文を見るかぎりでは、このことを知らないでいるようである。スティグリッツ氏が、政府紙幣の発行は「債務としては扱われず、…‥政府の財政赤字には含まれない」(『日本経済新聞』4月30日付に掲載された同氏の基調講演要旨)と言い切っているのは、さすがである。(中略)

滝田氏は、政府紙幣が発行されはじめたときに、内外の投資家が、日本の政府は「借金を返せなくなったので、返済義務のない政府紙幣を発行しはじめたのではないか」という疑いを抱きだすと、日本の通貨への信認が一挙に崩れ、日銀券も通用しなくなって、日本ではドル札が流通通貨となるといった「円の死」の状況となると述べ、「太政官札の轍を踏むのは日本経済の悲劇だ」と締めくくっている。

 この滝田氏が述べたような不安について吟味・分析しようとする場合には、そのような「政府紙幣」の大規模な発行、あるいは、私(丹羽)が提言しているように、直接には「政府紙幣」を発行せずに、ただ、400兆円ぶん、ないし、500兆円ぶんぐらいの政府貨幣の「発行権」を政府が日銀に売るといった間接的なやり方での「国(政府)の貨幣発行特権」の大規模な発動によって、巨額の財政収入が得られるようになったときに、わが国の政府は、その膨大な新規の財源を用いて、どのような政策を実施することになるであろうかということを、まず、具体的かつ現実的に考えてみるべきである。

 現在、わが国の経済においては、総需要の不足によって、膨大なデフレ・ギャップが生じている。すなわち、総需要が低迷しているために実現されえずに空しく失われている潜在GDP額が、年間400兆円にも達しているのである。このことを旧経済企画庁および現在の内閣府は秘匿してきたが、しかし、このように、現在のわが国経済におけるデフレ・ギャップの規 模がきわめて大きいということは、実証的に容易に計測しうることであって、疑う余地はない。言い換えると、現在のわが国の経済においては、このような膨大な規模のデフレ・ギャップという形で、想像を絶するほどに巨大な「生産能力の余裕」が存在しているのである。

このように「生産能力の余裕」がきわめて大きいのであるから、上述のごとく、租税徴収でもなく国債発行でもない「国(政府)の貨幣発行特権」の大規模な発動という手段で、国民にはまったく負担をかけずに、巨額の財政収入を新規に得ることができるようになった場合、政府が、その巨大財源を用いて、総需要拡大のためのケインズ的な積極的財政政策を大々的に、そして、幾年も続けて実施すれば、なにしろ、「生産能力の余裕」がいくらでもあるのであるから、需要の増大に応じてモノやサービスはどんどん生産され供給されうる。

すなわち、このような状況では、需要に対して商品の供給が追いつかないなどといった事態は起こらないのであるから、物価が高騰することもなく生産が大幅に増え、実質GDP は高度成長となり、国民の実質所得と生活水準も急速に向上する。しかも、これは一年かぎりのことではなく、中・長期的に持続させていくことも、困難ではない。そのような理想的な好況の高度成長軌道に乗った経済状態になれば、いわゆる不良債権、不良資産なども、あ っという間に優良債権、優良資産に一変する。

財源が、事実上、無尽蔵なのであるから、社会資本の完備、自然環境の改善、防衛力の整備、等々に加えて、年金制度をはじめ社会保障・社会政策の諸制度も十分に充実させることができる。また、これまでは国債発行残高の増加などで巨額に累積してきた政府債務も、この新規の無尽蔵な財源を用いて、どんどん償還していくことができるようになる。もとより、経済が高度成長になれば、政府の税収も飛躍的に自然増となり、必然的に、政府財政のプライマリー・バランスも黒字化する。

まさに、良いことずくめになるわけである。そうなれば、外国の投資家たちも、安心して 日本の証券市場や公社債市場に多額の資金を投入しようとするであろう。このように、きわめて良好な経済状態になったときに、そうであるにもかかわらず、わが国の通貨に対するわが国民の信認が失われるなどということは、ぜったいに、あり得ることではない。滝田氏のペシミスティックな指摘は、まったくの見当ちがいなのである。



財務省・日銀が機能しないのならば、県が「藩札」を発行して公共事業を行え 2003年5月8日 株式日記

亀井静香候補はなぜ政府紙幣を提案しないのか それは国際金融資本および日銀を敵にすることだ 2003年9月14日 株式日記


政府紙幣の法律はあり法改正は不要(報道2001より)

アメリカではルーズベルト大統領により政府紙幣が発行された


(私のコメント)
いつの株式日記に「政府日銀はどうして円高のメリットを生かさないのだろう?」と書きましたが、その国の通貨が高すぎた場合に政府紙幣を発行して国家の財政を穴埋めする政策のことであり、800兆円の国公債の借金も政府紙幣で回収すれば借金はチャラに出来る。この事はまえから主張してきた事ですが、ようやくテレビなどでも政府発行紙幣の事が報道されるようになった。

経済学を語る上では通貨とは何なのかが分かっていないと政府発行紙幣の事も分からないのであり、経済学では紙幣は金との兌換で価値を生じたという間違った常識がまかり通ってしまっている。白川日銀総裁などもその一人であり、日銀紙幣と政府紙幣の違いも知らないようだ。

通貨の価値とは労働力であり生産力などの経済的価値に裏付けされたものであり、日本は技術水準もダントツに高くて政治も安定している。アジアのどこかの国のようにクーデターが起きて通貨の価値が一瞬にして無くなるという事も無い。最近ではアメリカがデフォルト宣言してドルが紙切れになる可能性がでてきましたが、その前にイギリスが危なくなってきた。

イギリスは金融以外にこれと言った産業が無くて銀行も国営化されて、国が借金を支えきれなくなって国家破綻の可能性が出てきた。そのような国では政府発行紙幣などは発行できない。それに対して日本は政府が大借金を抱えていますがほとんど国内で消化されており政府が政府発行紙幣で国債を回収すればすべて借金はチャラに出来る。

マクロで考えても日本には1500兆円の個人の金融資産があるわけだから、まだまだ国債の発行余力があるのであり、バカな日本の経済学者が騒ぎ立てているだけだ。財務省の役人も財政が厳しいから消費税を上げたがりますが、政府発行紙幣で財政を賄えばいいのであり、円が高いという事はそういうことが出来るという事だ。

ジンバブエのような産業も何も無いところで通貨を乱発すればハイパーインフレになりますが、日本は円高で困るほど通貨は高く経済力もアメリカや中国や韓国などが悲鳴を上げるほど強い。だから日本は通貨発行余力があり、国民に直接配れば消費を刺激して景気は回復する。高橋洋一氏は元大蔵官僚であり榊原英資氏も元大蔵官僚であり政府発行紙幣を提案している。

これといった産業の無い国では金などが通貨の価値となりますが、金では利息も生まないし持ち歩きに不便だ。日本では江戸時代には米が通貨の価値の裏付けとなりましたが、通貨とは何かということを「株式日記」では2001年5月に次のように書きました。


江戸幕府の通貨政策 2001年5月31日 株式日記

昨日のNHKで「その時歴史は動いた」で八代将軍徳川吉宗の経済政策の事を取り扱っていました。「元文の貨幣改鋳」のことを扱っていましたが、インフレとデフレにおける通貨供給との関係を分かりやすく扱っていました。江戸時代までは米本位制の時代で、侍は米で給料をもらっていた。それを米穀商に売り貨幣に代えていた。

吉宗は「享保の改革」で幕府の財政を引き締め、米の生産を高めました。その結果米の値段は暴落し侍たちの生活は困窮しました。吉宗は米相場を高めようと米を買い上げたりしてみましたが思うように値が上がらない。米の供給が増えたのに通貨を引き締めていたから、米の値段は80文から20文まで値下がりしました。

そこで大岡越前之守は貨幣の増量を進言しましたが、吉宗はインフレを恐れて踏み切れませんでした。しかしいろいろ対策を打っても米相場は回復せず侍の生活はますます貧しくなり、やむなく大岡越前の守の進言を受け入れて、貨幣の増発に踏み切りました。その結果米価は20文から60文にまで回復し、他の物価は安定していました。


(私のコメント)
江戸時代の米と貨幣の関係考えればデフレインフレの関係を理解しやすい。米の増産力が増えれば江戸幕府は貨幣を発行できるのであり紙幣でもかまわない。現代なら生産力になりますが、IT革命やロボット革命で生産力は飛躍的に増大しているにもかかわらず政府日銀は貨幣を発行しないから円が高くなりデフレが生じている。デフレの時は政府が大規模な財政出動で公共事業を行なってもインフレに心配は無い。

最近の国会における自民党内の消費税論議を聞いていると経済のことを何も知らない議員が多すぎる。消費税を増税して財政を立て直すことよりも政府発行紙幣で公共投資をすべきなのだ。消費が少なければ国民に配って消費させればいい。円も高すぎて困っているのだから円を安くするにも政府発行紙幣は現代の打ち出の小槌なのだ。




オバマ政権は、グリーン・ニューディールと呼ばれる政策で、CO2排出
を抑制し、脱石油化を図り、米国の経済を立て直そうとしています。


2009年1月24日 土曜日

世界最速スーパーカーが EV計画 1月23日 レスポンス

米国のシェルビースーパーカーズ(SSC)社は21日、『アルティメットエアロEV』の投入計画を明らかにした。ガソリンをいっさい使わないピュアEVで、『アルティメットエアロ』が2008年に記録した最高速434km/hを上回る性能実現を目指す。

[世界最速 アルティメットエアロ 写真29枚]

SSC社は米国ワシントン州に1999年に設立。2007年にスーパーカーのアルティメットエアロを発売した。ミッドシップにはGM製の6.3リットルV8ツインターボを搭載。最大出力1183ps、最大トルク151.3kgmというモンスターで、0-96km/h加速2.78秒、最高速度434km/hを達成。文句なく世界最速の量産車である。

アルティメットエアロEVではエンジンに代えて、「AESP」(オール・エレクトリック・スケラブル・パワートレーン)を採用。2次電池としてリチウムイオンバッテリーを搭載し、充電時間は110Vコンセントでわずか10分。最大航続距離も約320kmと実用的だ。

AESPは充電時間が短いだけでなく、小型軽量、大出力化が可能などの特徴を備える。モーターの最大出力は200psが基本。電磁特性を変更することで、ピックアップトラックやSUV用には、最大出力を500psまで高めることができる。

さらに、大型トラックや軍用車など、過酷な使用が想定される車両には、モーターを2個搭載。この時のトータル出力は1200psに達するという。おそらく、アルティメットエアロEVには、この1200ps仕様が搭載されるはずだ。

SSC社はこのAESPを大手自動車メーカーにも納入する方針。同社はそのコストについて、「1000-1万ユニット規模で量産できれば、1個当たりのコストは5000 - 6000ドル(約45万 - 54万円)まで下がる」と試算している。AESPの大きさはエンジンの約18分の1とコンパクト。そして単体重量も約90kgと軽い。車両デザインの自由度を高める意味でも、自動車メーカーから注目される可能性は高い。

アルティメットエアロEVは3-6月に公開予定。世界最速のスーパーカーは、「世界最速EV」の称号も手に入れることになりそうだ。


電気自動車はビッグスリーを救うか 1月20日 館内 端

米オバマ次期政権は、ビッグスリー救済の条件として電気自動車等の次世代車の開発を要求しています。それに応えるような形で、デトロイトの北米国際自動車ショーでGM、クライスラーは電気自動車を発表し、フォードは近々に発売すると発表しています。果たして電気自動車は、ビッグスリーの苦境を救えるのでしょうか。

 次期オバマ政権は、グリーン・ニューディールと呼ばれる政策で、CO2排出を抑制し、脱石油化を図り、米国の経済を立て直そうとしています。

 その中には、家庭で充電できるプラグインハイブリッドを2015年までに100万台普及させる等の自動車対策が含まれています。ビッグスリーも再生を図るには、このグリーン・ニューディール政策に合致した戦略を取らざるを得ないでしょう。

 また同様の政策は、ドイツ、英国、フランス、日本、韓国だけではなく、中国も追従しようとしています。たとえばドイツは太陽光、風力発電等の再生可能エネルギー産業を、2025年に自動車産業並みに育てる政策を発表しています。英国は2020年までに9兆円を投入し、風力発電を7000基増設します。日本では環境省がグリーン・ニューディール政策を発表しました。この中には電気自動車の購入支援も含まれています。

 金融不安に端を発する経済危機の克服にはさまざまな政策が考えられます。しかし上記の新しい政策は、これまでのような土木建設系の公共事業ばかりではなく、環境・エネルギー問題の解決をもって新しい社会を構築するというものでしょう。「環境」と「エネルギー」が、新たな経済再生のキーワードになりつつあるということだと思います。

環境・エネルギーに関する新しい技術の開発には、株式市場も敏感に反応しています。たとえば、三菱自動車がフランスのPSAグループのプジョー、シトロエンに電気自動車をOEM供給するというニュースが伝わると、他の銘柄が大幅安になったにもかかわらず、三菱自動車株が急伸しました。

では、自動車の分野ではどんな自動車がそれを可能にするでしょうか。現在のところ、多くの自動車メーカーは、もっとも有望な次世代車として電気自動車を選択しています。これは、電気自動車が、数ある自動車の中でもっとも効率が高いことと、脱石油化が可能だからでしょう。燃料電池車の実用化が数10年先、あるいは実用化は不可能だといわれ始めた現在、ますます電気自動車が注目されるようになりました。

ビッグスリーが電気自動車に注力する背景には、上記の事情のほかに電気自動車が開発も生産も容易だという事情があります。これは、電気自動車の構造が簡単で制御が容易だからです。モーターショーへ急場しのぎで展示するには、ハイブリッド車よりもずっと電気自動車の方が楽です。

 GMは、プラグインハイブリッドの「ボルト」のほかに、「キャデラック・コンバージ」と呼ぶ高級プラグイン・ハイブリッド車を発表しました。これは、16kWhのリチウムイオン電池と163psのモーターを搭載し、バッテリーだけの航続距離が64kmで、それ以上は4気筒のガソリンエンジンで走行するものです。広義にはハイブリッド車ですが、エンジン車と電気自動車を切り替えて走ると考えた方が分かりやすいでしょう。したがって、制御はトヨタやホンダのハイブリッド車よりもずっと容易だと考えられます。

 クライスラーは、3種類の電気自動車を発表しています。「ダッジ・サーキットEV」と、「ジープ・パトリオット」と、「クライスラー200CEV」です。また、試作EVは5種類あって、そのうち1車種を2010年に発売するということです。

 フォードは、2010年にバンの電気自動車を、11年に小型電気自動車を、12年にはプラグイン・ハイブリッド車を売り出すということです。

 では、これらビッグスリーの電気自動車は、ビッグスリーを救えるでしょうか。残念ながら、そう容易なことではないと思います。というのは、品質と性能が安定した電池の量産には大きな壁が立ちはだかっているからです。

 GMは、08年には日立(新神戸)にリチウムイオン電池システムを発注しました。日立は、電池ばかりかハイブリッド車や電気自動車の重要なパーツであるモーターとインバター技術をもっていますから、GMはハイブリッド車や電気自動車の開発を有利に進められると考えられました。ところが、今回の発表は韓国のLG化学と電池開発の契約を結ぶというものでした。新たな戦略がうまく機能するでしょうか。

昨年12月末には、トヨタに遅れること12年で、ホンダがようやくGSユアサとの電池開発会社を立ち上げましたが、このようにハイブリッド車にしても電気自動車にしても、電池メーカーとの提携は絶対に必要です。しかし、フォードは、三洋電機からハイブリッド車用のニッケル水素電池の供給を受けていますが、次世代車のリチウムイオン電池となると、まだはっきりとした開発の契約先を発表していません。

 クライスラーになると、これまでハイブリッド車も電気自動車も開発の発表はありません。発表した3種類の電気自動車についても、その技術レベルは不明です。ましてや量産となると、超えるべき技術的な壁はたくさんあります。

 ビッグスリーは、ハイブリッド車と電気自動車の技術で世界トップの日本の技術を取り入れない限り、早急な開発、発売は難しいのではないでしょうか。しかし、それはビッグスリー支援金という米国国民の税金が日本に流れるということであり、米国国民はなんとも複雑な思いを抱くのではないでしょうか。



(私のコメント)
1997年のCOP3で京都議定書が制定されましたが、日本は1990年に比べて6%削減が義務付けられていますが、目標達成の見通しは立っていない。逆に7,7%も増加していますが、アメリカや中国やインドはこれに参加していない。私はこんな事を決めても目標達成は無理ではないかと思っているのですが、アメリカとヨーロッパの駆け引き合戦に日本が巻き込まれて翻弄されている。

大英帝国が蒸気機関によって出来た帝国ならば、アメリカはガソリンエンジンによって出来た帝国だ。18世紀にイギリスのジェームス・ワットによって蒸気機関が開発されて面織物工業がイギリス経済を支えた。さらには鉄道の機関車や海上の蒸気船は交通の新時代をもたらして大英帝国を支えた。

しかし20世紀に入るとガソリンエンジン車の普及によって、国内に巨大油田を有するアメリカが世界の覇権国家になった。まさにアメリカは石油の帝国であり、石油機関による軍艦や軍用機による軍事力は世界を圧倒するほどの国力をもたらした。アメリカが第二次大戦に勝てたのも石油によるものであり、ドイツや日本が負けたのは石油が無かったからだ。

しかし石油の時代もオイルピークを迎えてアメリカの世界覇権にも陰りが生じてきた。その象徴的出来事が去年の1バレル=147ドルの石油の高騰であり、アメリカ経済が金融危機を引き起こしたのも第三次石油ショックが背景にある。アメリカの自動車メーカーのビックスリーは倒産の危機を迎えていますが、ガソリン自動車の時代は終わりつつある。

19世紀が石炭、蒸気機関、大英帝国の時代なら20世紀は石油、内燃機関、アメリカの時代であったと言う事が出来るだろう。ならば21世紀は何の時代になるだろうか? それは電力、モーター、日本の時代が来るのではないだろうか? その象徴となるのが新幹線と電気自動車ということになるだろう。飛行機や船も石油が無くなれば代替エネルギーに変わらざるを得ない。

1879年にエジソンが電球を発明したように電気の歴史は新しい。同じ頃に発電機やモーターの発明もなされて照明だけではなく動力にも用いられるようになった。自動車も最初は電気で動くものでしたが、電池の性能が悪くてガソリン自動車に変わって行った。だから電気自動車はゴルフカートや遊園地の乗り物に使われるくらいで、一般の自動車の動力としては電池がボトルネックとなって普及しなかった。

去年の1月14日に「リチウムイオンバッテリー搭載の三菱の「アイ・ミーブ」が2010年に発売される。」と題して電気自動車について書きましたが、その頃はまだリチウムイオン電池の事はパソコンのバッテリーに使われているくらいにしか知りませんでしたが、三菱がテレビでCO2ゼロの車を開発していますといったCMをやっていた。しかしトヨタのハイブリットカーのほうが知名度は高く、エコロジーな車という評判はアメリカで評判になっていた。

電気自動車が一躍脚光を浴びたのは去年の夏の石油の高騰からですが、ガソリンがリッター190円になって買い控えが起きて車に乗らない人が増えた。おかげでガソリンスタンドが廃業するところが増えてガソリン自動車の時代が終わりつつあるのを感じます。今はガソリンは暴落して安くなっていますが、中国やインドなどの新興国の経済発展によって石油が高く高騰するのは間違いが無い。中国では1年に1000万台近くの車が売れるようになり、公害もひどくなってきた。

京都議定書によるCO2問題や公害問題や石油危機に対処する切り札が電気自動車であり、オバマ大統領はグリーンニューディール政策の目玉にしているのは電気自動車だ。しかしビックスリーは相変わらず大排気量車を作り続けて、エコロジーカーの開発は本格化していない。ヨーロッパの自動車メーカーもクリーンジーゼルカーが主流であり、ハイブリットカーや電気自動車の製品化は進んでいない。

電気自動車は構造が簡単だから日曜大工でも電気自動車は作れるのですが、本格的な量産電気自動車は三菱が今年の夏に発売するアイミーブが始めての本格的電気自動車になる。去年の暮れにはトヨタやホンダやニッサンも相次いで電気自動車の試作車を発表しましたが、量産化は来年になる。自動車用リチウム電池などの開発量産に時間がかかるからだ。

冒頭にニュースでアメリカのSSC社が電動自動車のスーパーカーを近く発表するそうですが、アメリカではベンチャー企業が電気自動車の製作をあちこちで進めているようだ。今までなら石油資本がこれらの新興自動車企業を片っ端から潰してきた歴史があるのですが、それくらいアメリカではオイルマフィアは恐い存在だった。

だからグリーンニューディール政策を掲げるオバマ大統領が登場したことは驚きであり、石油資本がそれだけ力を失ってきたのだ。そして21世紀は電気自動車や高速鉄道が普及する時代であり、電力とモーターと日本の時代がやってくる。電力はエコロジーな発電が普及して太陽電池で発電して電気自動車に充電すればCO2ゼロの社会が出来上がることになる。脱石油の時代はアメリカでもオバマ大統領を生んだ。




円高の要因は『ドルよりも円の方が安全だ』という事だが、日本の通貨は
安全だが、株式市場はリスクがあるという考え方は筋が通りません。


2009年1月23日 金曜日

『日本の株式市場、どこかでドカンと下がる?』【森田レポート】 1月22日 ケンミレ株式情報

“暴落=買いのチャンス”が近づきました

昨日のNYダウの大幅上昇があっても、今日の前場で日経平均は8000円を突破できませんでした。これから日本の株式市場が『大きく下がる』確率は、ますます高くなったと思います。
暴落相場で勝つには誰もが『株式市場はもう駄目だ』と思った時に買うことです。誰もがそう思うからこそ底になる可能性も高く安全性も高まります。
ただし、日経平均が7500円になっても7000円になっても、ダラダラと下がったのでは、暴落とは言えません。数字だけに惑わされず、どこから暴落が始まるかに注目しましょう。
目をそらさずに株式市場を見続けた人には、チャンスが微笑みます。
今週末が最後の銘柄準備のチャンスかもしれません。明日のコンサルティング・メールでは、より具体的な方向性をアドバイスする予定です。

昨日はアップルの好決算でNYダウは279ドル高の8228ドルまで上昇しました。当然、今日の日本の株式市場も8000円を突破して上昇すると思われましたが、前場の高値は7988円と8000円を突破出来ませんでした。

メリルリンチの機関投資家アンケートでは『相変わらず、日本市場は割安』という見方の方が多くなっていましたが、今日の寄り付きの外国人投資家は売り越しで始まりました。

円高の要因は『ドルやユーロよりも円の方が安全だ』という考え方からだと言われていますが、日本の通貨は安全で、日本の株式市場はリスクがあるという考え方は筋が通りません。

日本企業が駄目ならば円も下がるはずですが、日本企業は技術力勝負の時代に入れば、これは技術力で付加価値を付けて世界競争に勝つという経営姿勢を取ってきた日本企業ですから、通貨と同じように日本の企業も海外の企業に比べて安全だという見方があって当然だと思います。

ということは、まだ世界の投資家は『この当然なこと』に気が付いていないか、いくつかの市場で『まだ、日本株を買えない』のかもしれません。

円が上昇すると輸出で経済を支えている日本企業にはダメージがあるという理由で、今のところ日本株は売られています。しかし、これから円が高くなるということを考えれば、日本企業は『輸出中心の成長から転換する』ということになります。

昔、日米摩擦が起こった1980年代半ばに『アクションプログラム』や『前川レポート』という『内需拡大政策』が取られましたが、円が上昇して、欧米企業が悪くなれば、再びオバマ民主党政権ということもあり、日本に内需拡大政策が要求されると思います。
特に中国が既に内需拡大政策に転換していますので、中国がしているのだから『日本も内需拡大政策をしろ』という要求が米国から出る可能性は高いのではないかと思います
ここまでの話は『少し、先の話』であって、現在の日本の株式市場の動向ではありません。

今の日本の政治の動向

今日の8000円に届かないという日経平均の動きを見ますと、どこかで『日本の株式市場がドカンと下がる』のではないかと思います。

欧米や中国が“トゥービック・トゥーファースト”で景気対策を行っているのに対して、日本は歴史的な政権交替時期と重なったこともあり、それを守るために麻生総理が『経済を無視』して自民党を守ることを大優先にしているからです。

民主党の『選挙をしろ』という要求は、安倍・福田と二人の総理が政権を放棄し、麻生総理が全くの裸の王様状態になっていることを考えれば、選挙をしろという要求は民主党の要求ではなく『国民の要求』だと思います。

選挙が民社党にプラスになるので、間違った報道をしているマスコミもありますが、民主党が有利になったのは『民主党と自民党の自己責任の問題』であり、日本の政治の歴史から見れば『選挙は行われなければならない』と思います。

問題は『麻生総理が歴代の総理のような常識を持っていない』ということです。12月に自己利益から第二次景気対策を先延ばしにしておいて、1月になると『景気対策を優先しなければなにない』と言い方を180度変えていますが、これでは誰も信頼しなくなると思います。

歴史的転換点の自民党総裁が麻生総理であったことは『歴史が革命を求めている』という意思ではないかとも思ってしまいます。少なくても、小泉総理の時には『総理の考え方を国民が納得出来た』わけですが、今の麻生総理の言い分を納得している国民がどれだけいるかと考えた時に『日本は歴史的な時期にアンラッキーだったかもしれない』と思ってしまいます。

今後の株式市場の動向

私の中では株式市場が下がって、8000円で一旦リバウンド上昇が起こり、そこから再び下がるというシナリオがありました。そして、このシナリオ通りに株式市場は動いたわけですが、この8000円までのリバウンド相場が余りに短かったという印象があります。

そして、今回のNYダウの大幅上昇に対して『日経平均は8000円を突破出来なかった(22日前場終了時)』ということを考えますと、どこかで日本の株式市場が『大きく下がる』確率は高くなったのではないかと思います。

暴落相場は『財産構築投資=安全性重視の投資にはチャンス』です。
通常の相場では『どこで下がるか』『どこで上がるか』を探すのは簡単ではありません。しかし、暴落相場は『暴落したら買い』という投資方法で良い訳ですから『目で見て分かる』ほど簡単です。

問題は『どのような下げを暴落と考えるか』ということだけです。
私は7500円から7000円まで下がれば、日経平均は上昇に転じる確率が上がるので、リスクを取らない投資であれば『7500円から7000円まで下がるのを待ちましょう』と申し上げました。

しかし、これから『ダラダラと7500円まで下がったとしたら、暴落ではありませんので、7500円は買い場にならない』かもしれません。
暴落相場で勝つ方法は『誰もが、株式市場はもう駄目だ』と思った時に買うことです。したがって、暴落の始まりが8000円なのか、7500円なのか、7000円なのかで買いタイミングは違ってきます。

7000円で暴落が起これば、買いタイミングの日経平均は6500円とか6000円になるかもしれませんし、8000円割れで暴落が起これば、買いタイミングの日経平均は7500円前後になることもあります。

結論

日経平均の株価で買いタイミングを決めるのではなく、暴落したタイミングを買いタイミングと考えるのが暴落相場の投資方法だとケンミレは思っています。



(私のコメント)
イギリスのポンドが大暴落している事は一昨日書きましたが、世界の通貨はドルに対して暴落している。唯一日本の円だけがドルに対して高くなっている。日本の円が高いのは円が安全だからだと評価されているからですが、それだけ日本経済が評価されているのに株価は下げている。

確かに輸出企業は円高になると不利ですが、輸出中心の経済政策では円高メリットを生かすことが出来ない。なぜ日本政府は内需中心の経済政策が打てないのでしょうか? 公共投資などを行なおうとするとマスコミが公共投資はけしからんと大反対をしますが、中国などでは54兆円の公共事業などやアメリカでは80兆円の景気対策などケインズ政策が真っ盛りだ。

公共事業は財政再建に逆行するという財務省の言い分ですが、役人は景気の事よりも財政再建が第一なのだ。しかし財政再建するには景気を回復させることで財政再建させる事が正解なのであり、政府の歳出カットと増税ではデフレが酷くなるだけだ。財務省の役人はエンジンを逆噴射して日本経済を墜落させるつもりだ。「株式日記」ではケインズ政策を主張してきましたが、日本では少数派だ。


小室直樹 著 「経済学のエッセンス」 『断固としてケインズ政策を強行せよ』 2004年2月8日  株式日記

フーバー大統領は、黄金の一九二〇年代を受けて、あくまで均衡財政政策を維持しようとしたので、結局、どうしようもなかった。

一九三三年、大統領になったフランクリン・ルーズベルトは、積極財政「ニューディール政策」によって、米経済の立て直しを始めた。

しかも、ルーズベルトは経済を理解していなかった。せっかく始めたケインズ政策も、「専門家どもに反対される」と言って完遂はできなかった。だから結局、行きつ戻りつ。

景気は順調に回復しつつあったのに、膨らむ財政赤字に慄いた彼は、一九三七年に財政政策をやめてしまった。そこで景気は後戻り。結局、アメリカは、日米戦争によって大量の有効需要が発生するまで、不況のままであった。

ルーズベルトとは逆に、ヒットラーは、ケインズ政策を独覚していた。財政赤字なんか恐れずに、財政政策(巨大な政府投資)を強行し続けた(第三章参照)。景気はあっという間に恢復し、失業者は皆無となった。



(私のコメント)
つまり日本においてはヒトラーのような実行力のある天才的政治家が必要なのであり、バカな役人や経済学者の言う事を聞いていたらいつまでたっても景気は回復しない。ヒトラーの公共事業はアウトバーンの建設ですが、モータリゼーションの時代を先取りしたものだった。ルーズベルトのニューディール政策が思うような成果が出なかったのは専門家が反対したからですが、時代が変わる時は専門家の方が間違う。

小泉竹中構造改革が間違っているのは財政再建の方向が間違っているためであり、歳出カットと増税では財政再建は不可能だ。ヒトラーのような大英断で実行するだけの力が今の政治家には無いのであり、壮大なビジョンを描いて国民を引っ張るだけの事が出来ない。オバマ大統領への期待が高まっていますが、彼はグリーンニューディール政策を掲げている。


グリーンニューディールの"盲点" 環境問題の世界的権威が占う 1月22日 ニュースを斬る

 バラク・オバマ米大統領は早期の景気浮揚を目指して、2年間で8000億ドル(約72兆円)規模に上る景気対策を打ち出した。施策の中で注目されているのが、いわゆる「グリーンニューディール政策」だ。

 景気対策には、風力発電、太陽光発電、バイオ燃料など石油に代わる再生可能エネルギーの生産を3年で倍増し、住宅200万世帯を省エネ化するといった目標を新たに盛り込んだ。

 「2年間で300万人」という雇用創出目標に、グリーンニューディール政策による創出分は明記されなかったが、オバマ大統領は選挙戦における公約で、再生可能エネルギーの開発・導入に10年間で1500億ドル(約13.5兆円)を投じ、500万人の雇用を生み出すという大胆な目標を掲げてきた。

 環境も雇用も経済成長も。“一石三鳥”を狙う政策は果たして実現するのか──。地球温暖化など環境問題の世界的な第一人者で、歴代政権のコンサルタントも務めてきた米スタンフォード大学のステファン・シュナイダー教授に聞いた。 (聞き手は日経ビジネス、中野目 純一)

「地球市民」でなかったブッシュ前大統領の罪

 ――  シリコンバレーの環境ベンチャー企業は、技術力の点で欧州や日本の先行企業に追いつき、追い越すことができるのでしょうか。

 シュナイダー そうですね。残念なことですが、ジョージ・ブッシュ前大統領の下で米国は大きなチャンスを逃しました。彼が環境技術に対して熱心ではなかったからです。彼はオイルマン(石油業界の人間)で、プラネタリーシチズン(地球市民)ではなかった。

 後れを取り戻すために、米国企業は技術開発を急がなければならない。もっとも、シリコンバレーのハイテク産業の技術レベルは、決してほかの地域に引けを取ってはいません。

 特にシリコンバレーには常に、優秀な若い技術者やIT(情報技術)の研究者が集まってきます。だからこそ、依然として多くの起業家が、ここでハイテクベンチャー企業を立ち上げる。簡単にはいかないでしょうが、いずれは環境技術でもシリコンバレーの企業が必ず世界の先頭に立てると思います。

 それに日本やドイツなど環境先進国の企業との競争は大歓迎です。競争を通して切磋琢磨してこそ、再生可能エネルギーの供給サービスの質が向上し、利用料金も下がっていくのですから



(私のコメント)
20日の株式日記で金子氏と竹中氏の論争を紹介しましたが、司会の田原総一郎は金子氏がグリーンニューディールの事を説明しようとしたら発言を封じてしまった。竹中氏は財政再建派でありグリーンニューディールの話をされると竹中氏の負けになるからだ。グリーンニューディール政策では新技術がポイントであり、「株式日記」でも公共投資で「科学技術に投資せよ」と主張してきた。いまさら橋や道路を作っても景気も雇用も生み出さない。

実際に90年代からの公共事業を見ても橋や道路や箱物ばかりで、環境エネルギー関連に投資した地方があったのだろうか? 太陽電池パネルへの助成も小泉内閣の時に打ち切られましたが、竹中氏の弱点は科学技術に対する理解が浅いために新しい公共事業を打ち出すことが出来なかった。いったい何の為に経済財政担当大臣になったのだろうか?


環境省:「グリーン・ニューディール」日本版の施策公募 1月16日 毎日新聞

環境省は16日、環境政策を通じて景気回復、雇用創出を目指す「グリーン・ニューディール」日本版の施策の公募を始めた。地域活性化策から社会構造を変える内容まで対象分野は問わず、応募資格も限定していない。斉藤鉄夫環境相は「我々が思いも寄らなかったアイデアをいただきたい」と呼びかけた。

 グリーン・ニューディールに関しては、オバマ米次期大統領が500万人の雇用創出を掲げている。

 斉藤環境相は6日、「緑の経済と社会の変革」と名付けた日本版の策定を表明。環境ビジネスの市場規模を70兆円(06年)から100兆円、雇用数140万人から220万人への拡大を図る素案を公表した。効果の拡大を図ろうと、異例の施策公募に踏み切った。

 アイデアは電子メール(gnd@env.go.jp)でのみ受け付ける。詳細は環境省ホームページ(http://www.env.go.jp/)で、締め切りは2月16日。【大場あい】





親中、親イスラエルのクリントン国務長官で、イスラエルのガザ侵攻で
アメリカが動かなかったように、台湾が中国に侵攻されても動かないだろう


2009年1月22日 木曜日

ガザとラサ シオニズムと中華帝国主義に共通する過剰な被害妄想が招いた悲劇 1月21日 むじな@台湾よろず批評ブログ

レバノン滞在中の12月27日に突然起こったイスラエルによるガザ攻撃は、レバノンの地元テレビが延々と報じて、新聞雑誌もトップで報じていたので、私にとっては忘れられない出来事になった。とはいえ、レバノン住民は一部パレスチナやスンナ派急進勢力を除けば、実は「他人事」であり、平静そのものだったが。
(写真はレバノンの人権NGOがつくったガザ攻撃抗議ポスター)

それというのも、レバノン人の間にあるパレスチナ人に対する微妙な感情がある。極悪非道のイスラエルに抑圧されている同じアラブ系の同胞として、キリスト教徒も多いパレスチナ人にはキリスト教徒も含めて、総論としてはパレスチナ支持論は大勢を占めるが、パレスチナ人の不法滞在者が社会問題となっているという現実もあって、盲目的にパレスチナ人に加勢するというわけにはいかないからだ。

しかもレバノン人は長い内戦や内乱で、「争うこと」には疲れていて、まして他人事に巻き込まれたくないという感情もある。
またレバノンでは最大宗派になっているシーア派にしても、ハマースの基盤になっているスンナ派には若干の違和感もあるし、ハマースを過激な冒険主義と見るむきは、たとえ急進的なヒズブッラーの支持層であっても少なくないのだ。

とはいえ、やはり今回のイスラエルによるガザ攻撃は、あまりにも唐突であり、一面の道理もないという見方は、レバノンでも圧倒的だし、私もそれから国際社会の多くにも共有されている見方だ。台湾に戻ってきて見たところでも、国際報道では米国経由のバイアスが強い台湾でも、米国離れが進んでいることもあって、やはりイスラエル批判の世論のほうが多いことが確認できた。

まあ、それだけ今回のイスラエルのやっていることは、国連関連施設や病院も爆撃したことも含めて、常軌を逸しているわけだ。

そこで連想されたのが、昨年3月のチベット蜂起に対する中国の弾圧だ。偶然にも台湾の中国語表記ではガザは迦薩、加薩、ラサは拉薩で、薩の字が共通しているという類似性もある。だから、表題もガザとラサとした。

何が似ているといえば、イスラエルはナチスドイツによるホロコースト、ジェノサイドの対象となった被害の悲劇という過去の出来事をいまだにあげつらい、現在のパレスチナ人その他に対する加害、侵略、殺戮の正当化に利用し、さらにかつての被害を繰り返さないためという被害妄想にかられて、先手を打ってパレスチナ人に「テロリスト」などのレッテルを貼って、殺しまくって平気な顔をしている。しかも、それを批判する人間を「ナチスの手先」とレッテルを張って貶めようとする。

今の中国もかつての日本をはじめとする帝国主義諸国による植民地化、殺害、収奪といった過去の被害をあげつらって、現在のチベットその他に対する加害、侵略、殺戮、収奪を正当化している。ウイグルなどについては相手を「テロリスト」とレッテル貼りして、先制攻撃を正当化する手口はイスラエルとそっくり。さらに、それを批判する人間を「日本軍国主義、右翼」とレッテルを貼って、抑圧しようとする手口も一緒だ。

ところが今のイスラエルや中国がやっていることを見ればわかるが、イスラエルや中国こそがナチスの再来だということだ。いや被害妄想にとらわれて、殺戮も正当防衛だと思い込んでいたり、国際的な媒体も買収して強力に宣伝しまくる力を持っている分、ナチスよりももっとタチが悪いといえるだろう。

実際、イスラエルと中国は軍事協力も密接だ。似たもの同志だという点を互いに認識できているようだ。


もっとも、これまで欧米諸国に甘やかされて増長してきたイスラエルも、さすがに今回の攻撃は完全に裏目に出た。米国政府すら公然たる支持をためらい、欧州の伝統的な親イスラエル諸国も批判に回ったりしたように、イスラエルが孤立し、イスラエルの横暴が浮き彫りにされてしまった。
同様に、昨年のチベット蜂起に対する中国政府の弾圧も、国際的に強い非難を浴び、中国の横暴も浮き彫りになってしまった。

もっとも、イスラエルはユダヤ人の間ではそれなりに言論表現の自由は認められていて、ハアレツ紙などは批判的報道をしているし、ハアレツで活躍しているGideon Levy、Amira Hassのような良心的勢力が存在し、反戦の声を挙げることが可能になっている点だけは、中国よりは数倍はマシである。中国では控えめな民主化要求の「08憲章」すら弾圧の対象になってしまうのだから。

とはいえ、台湾から見れば、中国もイスラエルもキチガイじみた敵であることには変わりがない。

イスラエルは冷戦時代には、同じく国際的孤児だったアパルトヘイト時代の南アフリカ、および独裁体制だったROC国民党政権と仲が良く、核兵器の共同開発まで手がけていた。それが冷戦崩壊後に南アフリカとROCが民主化すると、今度は中国に協力相手を乗り換えてしまった。いずれにしても、台湾独立民主勢力から見れば、独裁時代の国民党、今の中国と結託してきたイスラエルは敵なのである。

台湾は残念ながら米国の影響も強いが、台湾の利益から考えれば、アラブとの関係がより重要であり、長期的な観点でいえば、アラブ側にたつべきだろう。それは石油といった目先の利益だけではなく、台湾にとって日本についで重要な東南アジアの大国インドネシア(そしてマレーシア)がイスラーム国家でありアラブとも関係が深いこと、さらに20年後の世界は中国人、インド人、ムスリム、その他がそれぞれ4分の1ずつを占めるだろうが、台湾および日本がその中で手を結ぶメリットが高いのは、まぎれもなくムスリムだろうから、今のうちから将来も見据えて、イスラームやアラブとの関係を緊密にしておくことだ。

民進党政権時代には、米国やイスラエルの妨害にもかかわらず、実際にレバノンのヒズブッラーとも関係を結んだり、またリビアとも関係強化を図るなど、アラブとの関係に配慮していたのだが、国民党政権になってからはイスラエル寄りになってしまっている。

台湾の発展のためにも、アラブとの関係は重要だ。そういう意味で、今回のガザ攻撃は実は台湾にとって他人事ではない。イスラエルを中国、ガザを台湾にたとえることができる。

もっとも、ハマースはテロリストじゃないかという反論も来るかも知れない。しかしそのハマースはアラブの中では比較的公正自由に行われた選挙で、パレスチナ人民の多数の支持を得た民主政府なのである。

その選挙結果を無視して、ファタハをむりやり政権にとどまらせようとしたのが、イスラエルと米国だ。「民主主義」をあれほど喧伝している米国とイスラエルが、パレスチナの民主主義の結果を認めず、踏みにじったのである。

テロリストというなら、パレスチナ人から見たら、イスラエルこそがテロリストだといえるし、そもそも911以降「テロリスト」なる用語は、完全に政治的なレッテルになってしまっている。それにハマースも一枚岩ではなく、イスラエルとの対話を認める勢力もある。それなのに、相手をテロリストなどとレッテル貼りするだけで、対話を拒んでいては、まともな政治ができるわけがない。
責任はすべて米国とイスラエルにあるといえる。

停戦およびイスラエルのガザ撤収が宣言された今となっては、イスラエルと米国にはハマースがパレスチナ人の民意を得た合法民主政権であることを尊重し、対話を推進することを求めたい。そして、イランやヒズブッラーとも対話すべきだ。

イスラエルはユダヤ人の出生率の少なさとパレスチナ人の出生率の多さから、早晩、自然消滅することになる。シオニズムには正当性がなかったとはいえ、イスラエル国家にも既成事実がある以上は、今イスラエルに住むユダヤ人にも生存権はある。だが、今回のガザ攻撃で、パレスチナ人からの恨みを深めてしまった。これ以上イスラエルが愚行を繰り返すことは、決してユダヤ人にとっていいことはないだろう。いや、このままでは近い将来、ユダヤ人は再びディアスポラになってしまうだけだろう。

時代の流れはパレスチナ人側にある以上、イスラエルは姿勢を低くして、パレスチナ人に寛容と慈悲を乞い、将来成立するパレスチナ国家において、ユダヤ人も生存する空間を要望するのが賢いありかただろう
もっとも、今の被害妄想にかられているだけのシオニストたちにはそんな知恵はないだろうが。


(私のコメント)
オバマ大統領の就任式に合わせたかのように、イスラエルとハマスの停戦がなされましたが、オバマ大統領はパレスチナ問題に対して何の発言もしていない。オバマ大統領一人で決められる問題ではなく、アメリカの大統領としてはイスラエルを支持せざるを得ないだろう。しかしイラクからの撤退を選挙公約としてきたから、イラクからは撤退してパレスチナ問題から一歩引いた立場になりたい。

アメリカはイラクを侵略して、イスラエルはガザを侵略して、中国はチベットを侵略して悪の枢軸国家ですが、この三国は政治的プロパガンダは強力であり、悪の枢軸が協力されると世界が何と言おうとどうすることも出来ない。アメリカは中国を抱き込んでG2体制を築こうとしていますが、アメリカと中国を裏で繋げているのがイスラエルだ。


イスラエル、対中武器輸出を米に謝罪  2005年6月19日 日経新聞
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20050619AT2M1900L19062005.html

【エルサレム=森安健】イスラエルのシャローム外相は19日、米政府の意向に反して 中国に無人攻撃機を供給したことについて「米側が許容できない行動を取ったとすれば 申し訳ない」とイスラエルラジオで謝罪した。イディオト・アハロノト紙はイスラエルが近く 米政府に書簡で公式謝罪するほか、今後はすべての武器輸出を米側と事前調整すると伝えた。

 ライス米国務長官は19日の記者会見で「イスラエルはわれわれの懸念を理解してくれた」 と述べ、シャロン政権の対応を評価した。

 イスラエルは90年代に中国に無人攻撃機を数十機販売。昨年「メンテナンス」と称して 新規部品を中国に送ろうとしたところ米側が「事実上の機能強化」として遮った。中国の軍事増強を憂慮する米側は、制裁としてイスラエルを戦闘機の共同開発から除外した。

 イスラエルは年間20億ドル以上の軍事支援を受け、米国にとっては世界最大の援助先。すべての武器輸出が事前報告制となれば、武器輸入の実態を第三国に知られたくない国 が相次ぎ取引を停止し、イスラエルの軍事産業にとって大きな損失となる可能性もある。



(私のコメント)
このアメリカとイスラエルと中国の見えない三国同盟関係については1月1日にも書きましたが、イスラエルの核開発にはアメリカが大きく関与しているのだろう。ミサイル技術などもクリントン政権時代に中国に供与されていますが、アメリカと中国の不可解な関係の背後にはイスラエルが関与している。イスラエルにしてもアメリカと中国を取り込んでしまえば恐いものはない。

だからこそイスラエルはガザでやりたい放題の殺戮が出来るわけですが、国連でいくらイスラエル非難決議が出されてもアメリカの反対で葬り去られてしまう。中国はアメリカやイスラエルとの関係を維持しつつ、アラブ諸国やアフリカ諸国に接近して資源外交を行なっている。ガザのハマスは中国製のロケット弾を使っていますが、イランなどが間に入っているのだろう。

中国は対立しつつ協調する外交がお得意であり、表では握手しながら裏ではナイフを突きつけあって外交を行なっている。北朝鮮やロシアやアメリカやインドやイスラエルなどと中国の関係は敵対と協調を使い分け外交を複雑にしている。日本は米中の狭間に立って外交をしなければならないのですが、日本は軍事的にはアメリカとの同盟を維持しつつ中国とは敵対して、経済的には中国と連携してアジア・アメリカ市場を維持しなければならない。

オバマ政権がどのような外交政策をとるのかはまだ分かりませんが、アメリカが日米を基軸にしていくのか、中国とのG2で行くのかは見極めなければならない。日本としては米中を分断するのが国益であり、中国にとっては日米を分断させて米中で日本を封じ込める事がアジア進出のカギになる。

アメリカの台湾政策が気になりますが、アメリカが台湾を見捨てるような事があれば、日本は非常なピンチに立たされる。アメリカと台湾は台湾関係法で台湾は守られることになっているが、中国の軍事力の強化とともにアメリカは東アジアから撤退する事も視野のうちに考えておく事が大切だ。台湾は中国、イスラエル、アメリカとの連携でガザ地区のように見捨てられる可能性があるのだ。

アメリカはイスラエルロビーやチャイナロビーが強力だから台湾問題も油断は出来ない。クリントン国務長官はチャイナロビー議員であり親中国、親イスラエルの反日議員だ。そうなると台湾問題も中国寄りになり、中国が台湾に軍事行動を起こしても動かない可能性がある。今回のイスラエルのガザ侵攻でもアメリカは動かなかった。




金融立国の末路、アイスランドの次はイギリスが国家破綻か?
やがては金融立国アメリカも破綻する。ドル債券は全部売れ!


2009年1月21日 水曜日

ポンド、対円最安値 英金融危機懸念で  1月20日 日経新聞

20日の外国為替市場で英ポンドが急落、対円で1ポンド=125円台をつけ、1973年の変動相場制移行後の最安値を更新した。英大手銀ロイヤルバンク・オブ・スコットランドが2008年12月期に過去最大の赤字に陥った見通しとなり、金融危機への懸念からポンド売りが加速。前日から10円以上も円高・ポンド安が進む場面もあった。

 英国では金融問題に加え、失業率の上昇など実体経済の先行き不安も強まっている。英イングランド銀行(中央銀行)は8日に政策金利を史上最低の年1.5%に引き下げたが、市場では一段の金融緩和を予想する声も出ており、ポンド売りの材料になっている。ポンドは対ドルでも急落し、一時7年7カ月ぶりの安値をつけた。 (20日 19:20)



回復困難なアメリカ経済  1月20日  田中 宇

欧州ではドイツも大変だが、それよりずっと大変なのは英国である。英国は80年代のサッチャー政権以来、米国と同じ金融システムを全面的に採用し、金融界の大きな利益が英国経済の根幹で、金融に頼る度合いは米国以上だった。ドイツは、米英から「欧州大陸型の金融システムは利幅が少ない。儲かる英米型を導入せよ」と圧力をかけられても、慎重に英米型を導入していた。

 英国は、07年夏までの金融の儲けも大きかった代わりに、その後の金融危機による経済全体への打撃も巨大だ。英政府はうまく情報を隠し、金融危機の全容を見せずにいるが、いずれ全崩壊を隠しきれなくなるだろう。英国のシンクタンクによると、英経済は今年2・7%のマイナス成長という、1931年以来の大不況が予測され、経済は「自由落下状態」だという。(UK is in freefall, warns think-tank

 これを書いている間にも、バブル的な資産を増やしすぎた英国のロイヤル・スコットランド銀行(RBS)が、英企業として過去最大の損失を発表し、同行の株価が急落、英政府が公的資金の追加注入(政府の株式持ち分を58%から70%に増やす)を検討せざるを得なくなっている。英政府は、金融危機と経済難で税収が先細る中で、金融システム崩壊防止のための公金注入増を余儀なくされ、財政破綻に向かっている。RBS Plummets Amid Concern Bank May Be Nationalized

 オバマは、英国の困難な状況に拍車をかけている。ブッシュ政権までの米国は、英国との関係について、ほとんど唯一の「特別な関係」を明言してきた。だが、オバマはこれを解消して「米国にとって特別な関係の国はいくつもあり、英国はその中の一つにすぎない」という方針に転換すると表明した。英国外務省は、この転換が脅威であると認めている。(Obama Plans to Make US/UK Relationship Less Special Than Before

 このオバマの転換は、非常に深い意味を包含している。米国が第二次大戦以来の「米英中心主義」を捨てることを意味しうるからである。私が以前から予測してきた「米国が、米英中心主義から多極主義に転換する」ということが、オバマの就任とともに片鱗を見せ始めた観がある。これについては、次回に分析する。



グレート・ブリテン 1月20日 ぐっちーさんの金持ちまっしぐら

この記事では通期の赤字がいくらか、とも出ていない。
280億ポンドです。今の為替で も約400億ドル、4兆円。
世が世なら6兆円。

何のことはない、シティーよりでかいじゃん・・・・

そして、アメリカ政府がシティー一行救済できずに四苦八苦しているのに、イギリス政府はこんなRBSをほんとに救済できるのか。疑問を持たない方がおかしいだろう。

事実、BOEはすべての不良債権を保証、証券買取までコミットしてしまったのですが、心配なのは勿論ポンドな訳です。 ヘッジファンドが生きてなくて本当によかったです、まじ。

くどいようですが、証券化商品の販売実績から見ると残高は欧州全体でアメリカの6倍あります。

そしてまだ損失がまともに評価された形跡はありません。アメリカの銀行はそれでも必死になって20だの30だのまで評価を落としていますので、さすがに同じものをいや、80です、とは言えないくなってきた訳ですね。

農中もきっかけはメリルが20と評価したものと同じシニア債券をたまたまもっていて、それを80台で評価したのがばれたから。

勿論売却した形跡はみられませんしね。(買い手が限られているので彼らと話をすればすぐにわかること)

さらにロンドン。
規制の厳しいニューヨークから逃げた怪しいロシア、アラブのお金 はここに集中しています。

住宅価格の上昇率はそのおかげでニューヨークの倍です。 国家財政も惨憺たるものでしかも金融以外ろくな産業がありません。

一方、ユーロはどうでしょうか。
域内の東欧諸国は産業すらま ともに育成されていないのにエマージングバブルでそれこそ世界中の金を集めてしま いました。

ドイツ、フランスだけで支えられるのでしょうか?

まあ、「素朴な疑問レベル」で危ないことはわかりそうなもんですよね。
イギリスもRBSを国有化するのはいいですけど、共倒れになるおそれもあり、その意味ニュー スとしてはかなり重大なのですが、いつものように日本の新聞だけ読んでいると事ほど左様に事態を過小評価します

一方どうでもいいニュースが大きかったりしますけどね。

実際アメリカよりも深刻な事態で、ポンドの急落、そしてなにより国債発行がどうなってしまうのか・・・ということですね

そういえばブンズは未達だったりしましたけどね。ユーロの場合も国債は楽観できません。
昔と違って全部ユーロ建てで発行されます、あたりまえだけど。
ドイツもフランスもイタリアもスペインもハンガリーもすべてユーロ建てで国債を出す訳です。

流動性があっていい、ということも言えますが、投資家から見るとそんなにユーロばっかりいらないよ、という面もあるんですよ。その意味での怖さは満点ですね。



(私のコメント)
最近はニュースが津波のように大量に押し寄せてきていますが、日本のマスコミは本当に重要なニュースがどれなのかが分からないようだ。定額給付金とか消費税がどうのこうのと言ったニュースに終始していますが、イギリスのポンドについては一昨日の株式日記で少し触れましたが、大変な事態になって第二次ポンド危機が来ている。このままではアイスランドに次いでイギリスが国家破綻するだろう。

金融立国が危ういのは、失敗すれば莫大な借金が残って跡には何も残らないからだ。一度金融で儲ける味を覚えてしまうと二度と真面目に働く意欲が無くなり国家は没落していく。アメリカも大戦後までは製造業大国だったのですがドイツや日本の追い上げでコストの安い中国などに工場を移転させてしまった。レーガン政権以降のアメリカは製造業を見捨てて金融立国を目指した。

金融立国の危うさはアイスランドを見れば一目瞭然なのですが、アイスランドは高金利で世界から投資資金を集めて世界に再投資して高利益を上げてきた。ところが投資資金が一斉に引き揚げるとアイスランドの銀行は破産して国家まで破綻してしまった。イギリスでも同じ事がおきつつあるのであり、イギリスから投資マネーが一斉に引き揚げていけばイギリスの銀行は破綻するしかない。

ポンドが急落すればイギリスの国債を誰が買うのでしょうか? イギリスのポンドはもはや基軸通貨ではなくUSドルのように紙幣を印刷してばら撒くという事ができません。イギリスも製造業はもぬけの殻であり、金融や不動産が産業として成り立たなくなれば、あとを支える産業は見つからない。分かりやすく言えばアイスランドと大して変わらないのだ。イギリスでも5人に1人が金融業で働いているので、多くの人が失業してしまう事になる。

日本の経済学者は昨日も書いたようにバカばかりだから米英を見習って金融立国を目指せと言う意見が沢山ありましたが、日本の経済学者は失業の心配が無いからデタラメな事を言い放題だ。日本が物を作れなくなれば食料もエネルギーも海外から輸入しているから飢え死にするか寒さで凍え死ぬしか無くなるだろう。江戸時代にまで戻るにしても人口を3000万人に減らす必要がある。

バラク・オバマ新大統領はアメリカの製造業を復活をかけて、中国に移転させた工場を戻す政策を打ち出すかもしれない。そうしなければ1300万人の失業者が救済できない。金融立国を産業の中心に据える事が不可能ならば製造業を復活させていかなければアメリカの復活は無くアイスランドやイギリスの後を追うだろう。


価格競争を超越した強さ:伊藤洋一(住信基礎研究所主席研究員)(1) 1月16日

金融業の敗北、製造業の勝利

まず、危機に晒されている国のかたちから考えてみよう。まだ現在進行形だから結論は急ぎたくないが、いまの時点でどんな国が壊れ、どんな国が価値を高めているのかは、かなり鮮明だ。壊れたという意味で最も分かりやすいのは、「金融立国」と呼ばれる一群の国々である。その代表例がアイスランドであり、その次に来るのがイギリスとアメリカだ。

それにしても、「金融立国」を一時は世界に誇ったアイスランドの壊れ方は、見ていても気の毒になるほどだ。あまりにも急激で、国民もいったい何が起こったのか分からないうちだっただろう。いまやアイスランドは、IMFやEUの支援さえ受けねばやっていけない国になった。

製造業がないとまではいわないが弱体化してしまい、金融立国であることを経済発展の柱にしていたイギリスも、置かれている状況は厳しい。何よりもイギリスの通貨ポンドが対円で演じた急落が、この国の状況の激変を物語っている。英ポンドが最近の高値である1ポンド=240円だったのはわずか1年前である。それがいまはどうだ。この原稿を書いているのは2008年12月の第1週だが、1ポンドはわずかに140円を買えるにすぎない。ポンドの史上最安値である。同国が置かれている状況の厳しさを端的に物語る

いまのイギリスには、これといった製造業部門の、これといった輸出企業はない。ポンドの急落は、金融立国イギリスの置かれた立場がいかに脆弱だったのかを物語っている。

GEやキャタピラー、ボーイングなど世界的に有名な製造業企業を数多く残しながらも、アメリカもこのところずっと金融に経済成長の軸足を置いてきた。NASAや米軍にいた科学者や数学者が米金融界に入り、さらに冷戦の終結後はロシア、インド、中国、東欧など世界中から数学者や科学者を集めた。そのウォール街をいってみれば心臓にし、その心臓を肥大化させて世界に大きな覇を唱えてきたのがアメリカだ。ドル高も、この金融での跳梁あっての力だった。

しかし危機からわずか2カ月後の金融立国・アメリカ経済の惨状は、目を覆うばかりだ。何よりも雇用の吸収先がないので、たとえば2008年11月の非農業部門の就業者数は53万人(当初発表)も減った。この原稿の執筆時点では12月の統計は出ていないが、金融危機発生後の数カ月の大幅雇用減少によって、2008年1年間の米雇用減少数は250万人に達しそうである

収入の源泉である雇用がこれだけ減少すれば、消費が振るわず、住宅を差し押さえられる人の数が増えるのは当然だ。2008年のアメリカにおける住宅差し押さえ件数は225万に達すると見られる。通常の年は100万件程度で、225万件は悲惨な数字である。

製造業の衰退が激しいイギリスも同じような状況で、その経済の深刻さを雄弁に物語るように、同国の中央銀行であるイングランド銀行は2008年の最後の3カ月だけで政策金利を4%近くも引き下げた。

つまり今回の金融危機が明らかにしたのは、人々が生活するうえでどうしても必要とするモノをつくる製造業をもたない国が置かれた惨状なのだ。

筆者は10月と11月に2回、それぞれ9日ほどニューヨークやシカゴに出張したが、本気で「この国は、いったいこれから何で食べていくのだろうか」と思った。思いついたのはごく一部の製造業と観光業、それに農業くらいだ。自動車はついにアメリカを支える産業に数えることができなかった。

GM、フォード、クライスラーの3社が資金繰りのところで国家資金を仰いでいる状態では、また米メーカーには売れる車が十分にないことを考えれば、自動車はアメリカにとっての有望産業から外れたと考えるのが自然だ。

そういう意味ではアメリカの先行きは暗い。(後略)


(私のコメント)
馬鹿な経済学者やエコノミストは円高で競争力がなくなるから中国やアジアに工場を移転しろと言いますが、アメリカ企業のように移転させた結果がどうなるか考えた事があるのだろうか? 本社だけがアメリカにあり工場が中国に行ってしまったら、その結果どういうことが起こったか? 現場軽視の技術の空洞化で、いくらIT革命で生産の合理化が出来てもテレビ会議で打ち合わせをしても物理的な距離は埋まらない。


アメリカ製造業の衰退 2007年9月30日 タイムコンサルタントの日誌から

アメリカという国が、製造業に対する興味を失って、大分たつ。かつてはあの大国の国民経済を支えた製造業が、今やGDP比率で14%以下しかない。雇用面で見ても、製造業で働く人間は、10人中1人ちょっとしかいない。私の友人には技術者が多いが、彼らはもはやかなり少数派の、マイノリティ的存在である。米国APICSの会誌も、年々薄くなっていき、もはや同封の広告程度になってしまった。

それに平行するように、製品リコールも増大している。記憶にあるかぎりでも、制御弁、PLC(機械制御用のロジック・コントローラ)、液体用安全弁、などなど様々な製品が欠陥が見つかり、回収対象になった。われわれプラント・エンジニアリング会社はそうした製品をつかって作った工場の顧客にたいして、きちんとした情報提供をする義務がある。しかしそうした欠陥製品を生み出す米国メーカーはたいがいどこかに買収されており、ひどく事務的な木で鼻をくくったような対応しかしない。なぜかって? ちょっと考えてみてほしい。働いている人間は、いつ首を切られるか分からないのだ。だとしたら、顧客よりも経営者の方だけを見て動かざるを得なくなる。

マネジメントを科学する」に書いたように、アメリカはテイラーの科学的管理法の理論を生み出し、さらにフォードの流れ作業方式による大量生産工場を生み出した。その二つは、米国を製造業によって世界第一の大国に押し上げる力をもたらした(それ以前の米国はむしろ農業国だった)。しかし、'80年代に入る頃には、米国製造業にはさまざまな問題が発生していた。ワシントンの政治家たちは、海外企業のダンピングだとか為替のせいにしたがったが、明らかに製造業の経営自体に、何かおかしな点があったのだ。どこでどうしてこうなってしまったのか?。

その答えは、アメリカの経営思想の中にあるはずだ。とくに、本社重視・現場軽視の思想の中に。それは、製造現場を単なるコストセンター、単なる道具と見なす考え方につながっていく。おかげで、80年代から米国企業は安い製造コストを求めて、どんどん海外に工場を移転していった。'90年代の初め頃、米国の友人が「In this country, 'production' means buying something that looks productive」と手紙に書いてきたのを思い出す。

その結果、何が起こったか。技術の空洞化である。技術とは、(私もエンジニアのはしくれだから書くのだが)科学の理屈だけでなく、現実からのフィードバックによって確立していくものである。その現場を、すべて自分の外に出してしまったのだ。「お前はおれの設計図と契約書の通りに作ればいい」という風に指示することがエンジニアの仕事になってしまった。そうなると、現場の問題から生まれる知恵や改良は、外注先のものになる。こんな状態が3年も続けば、賭けたっていい、自分の技術勘が無くなっていくのだ

私は、米国人の技術屋の友人たちの顔を思い起こすたびに、こんな状態を残念に思う。彼らだって、エンジニアらしく、良い仕事をして満足したいのだ。しかし、経営がそれを許さない。

とはいえ、ふと我に返って思うこともある−−はたして我々の国でも、それは他人事なのだろうか、と。






田原総一郎は竹中平蔵には好きなだけ話させるのに、金子勝には
「CM」とか「分かりにくい」と発言を遮ってしまう。公正を欠く司会だ。


2009年1月20日 火曜日

サンデープロジェクト 竹中平蔵と金子勝の討論
竹中平蔵が一方的にしゃべりまくったサンデープロジェクト


ガチンコ討論! 小泉改革は間違いか? テレ朝「サンデー・プロジェクト」(2009/1/18) 反日勢力を斬る イザ!

(発言要旨)
金子
「今のアメリカはまさに日本の不良債権処理の失敗の後追いをしている。多くの欧米諸国でも日本の失敗を繰り返してはならないという評価が主流になっている」

それが事実なら、日本の成功例を海外に紹介して評価されたというのは嘘だったと言う事になる。

竹中
「90年代に不良債権処理に反対したといろんな所で言っているが、私は不良債権処理をやれといった。政府は経営責任を問わなかった。だから私が金融担当大臣になって責任を問うようにした。
私がフィナンシャルタイムズに言ったこととウォールストリート・ジャーナルに書いた事そのままを金子さんは言っている。それをやったのが金融再生プログラムだ」

金子
「そのとおりですよ2002年」

財部誠一(経済ジャーナリスト)
「当時の不良債権処理プロセスを客観的に見ていくと、2002年に竹中さん達が金融再生プログラムをやる時には、自民党の長老との政治的なバトルだった。あるべき姿になるまでに政治闘争までやって査定して不良債権処理を進めた。これを評価しないと評価するものが無くなってしまう。2002年に2004年までに不良債権処理をするといった途端に株が上がった。90年代以降初めて銀行のクリディビリティきが上がった。これを評価しないと政治なんて要らないという話になってしまう」

小泉・竹中改革路線で格差が広がった?

竹中
「銀行の融資額全体の8.4%が不良債権だったのが1.5%に下がった」

竹中
「ジニ係数で見る限り日本は90年代から拡大していて、小泉内閣でジニ係数が拡大したという事実はない。小泉内閣の時代はジニ係数は緩やかになった。経済が良くなったから当然だ日本のジニ係数の拡大は高齢者が増えたからだという事でかなり説明できる。最近若者が格差を受けていることに問題がある。規制緩和して派遣が増えたからだというが、派遣は労働者全体の2.6%に過ぎない。
30年前に「会社が潰れるまで、正規やパートを解雇してはいけない」という東京高裁の非常に不都合な判例があった。これでは企業は変動の時代には危なくて正規雇用を増やせない。
その結果、若者の方が英語もITも出来るが、英語もITも劣る中高年の雇用が守られてその皺寄せが全部若者に行っている。
地裁でも「同一労働は同一賃金で無くていい」という判例を出している。それを変えるのが改革だ」

田原総一朗
「製造業に派遣を認めたのは2004年の小泉内閣だ」

竹中
「派遣は増えたが正規雇用は殆ど変わらず労働者の権利が守られない「請負」が減った。2004年、2005年は派遣に変えなかった。偽装請負の批判が出て、派遣が始まった。
日本の司法が誤った解釈をした。政府は正規と非正規が平等になるように改革すべきだ」

竹中
「日本は世界の負け組みになろうとしている。一人当たり所得は19位。規制緩和をもっとやるべきだ。小泉内閣は規制緩和をしようとしたが反対にあってそんなにしていない。やったのは「不良債権処理」と「郵政民営化」だけでその他は不十分だ」

水野和夫三菱UFJ証券チーフエコノミスト
「アメリカを見習った新自由主義的な構造改革はもう破綻した」

竹中
「『新自由主義』と評論家は言うが、小泉さんも私も新自由主義を実現しようといして政策なんてやらない。政策の現場はそうじゃないのだ。思想分類とは違う。そこにある問題があってそれを解決するためにどうすればいいかというのが政策だ」


竹中平蔵の詭弁 1月20日 教育の崩壊

2009.1.18 サンデープロジェクト テレビ朝日系
竹中平蔵と金子勝の討論

竹中は小泉構造改革のプラス面を強調する。
金子勝は小泉構造改革のマイナス面を強調する。

物事には必ずプラス面とマイナス面がある。
しかし竹中はそのマイナス面を全く認めようとしない。
そして未だに『小泉構造改革が失敗だったのは、その構造改革が徹底されなかったからだ』と言っている。
そうではなかろう。

私は『小泉構造改革が失敗だったのは、その構造改革が極端すぎたからだ』と思う。
その極端な発想を生んだ理由が、フリードマン式の新自由主義への盲信にあったと思う。
しかし竹中は、『政策は思想分類とは違う』として自らのとった政策が新自由主義であったことを認めようとしない。
これなどは詭弁のたぐいであろう。

問題はそのような盲信が経済分野だけではなく、日本人の考え方そのものにもおよび、政治・文化や教育など、さまざまな面にマイナスの作用を引き起こしつつあることにある。
教育改革も新自由主義的教育改革であったことは、今では誰でも知っていることである。
学校選択制や中高一貫教育はその代表的なものである。
教育界の格差は激しい。
PISA型の学力観も、国際競争というグローバリズムのもとに打ち出された学力観である。
その結果、今学校では大変な子どもの心の崩壊が起こりつつある。
そういう意味で『総括』が必要なのである。

竹中平蔵を、思想信条を大事にする良心的な学者だと思ってはならない。
彼はもはや政治答弁に終始する政治屋である。
自分の経済理論のバックボーンにある思想的背景を一顧だにしない、学者としての良心に欠けた詭弁家である。

彼の話のもって行き方は、自らの考えは間違っていなかったが、自分の考えに反対する抵抗勢力によってその政策が妨害されたから、構造改革が失敗したのだという論理をつくりたいようだ。
いや、構造改革の失敗すら認めていない。構造改革は失敗したのではなく、その改革の途上で挫折させられたのだという言い方をする。
失敗の責任をすべて他に押しつける言い方である。

金子勝が言うように『90年代から続いていた構造改革を小泉・竹中路線が加速させた』ことは、間違いのないことなのに、竹中はそのことを認めない。

竹中の論法は『構造改革』というものの実態を雲散霧消させることにある。
構造改革のいろいろな側面を取り出して、構造改革そのものが一体何だったのか訳の分からないものにしたいようだ。
小泉構造改革に思想的背景があり、その思想的後ろ盾により政策が極端に走り出したことも事実であるのだが、
竹中は先にも言ったように『思想分類を政策に当てはめてはならない』と、これまた自分に都合の良いことをいう。

彼はどんなことをいわれても自分の非を認めようとしない。
そして必ず構造改革のプラスの面を強調する。

それが行き詰まると、
『では、どうしたいのか』と逆に相手に詰問する。
司会の田原総一朗も、竹中の肩を持つように、金子勝にそう問いつめる。

そうではなかったはずである。
構造改革のマイナス面を認めようとしない竹中平蔵に対して、そのマイナス面を認めさせ、行き過ぎた日本の構造改革の総括をしてもらうことが番組の趣旨であったはずである。

しかし竹中は決して自分の非を認めようとしない。
これでは『総括』はできない。
そこに視聴者はいらだっているのだ。

構造改革以来、日本経済は外需(輸出)に頼り、内需を重視してこなかったことは事実である。
労働者派遣法を生み、その結果貧富の格差を生んだ。企業の内部留保は高まる一方で、労働配分率は逆に低下した。それが国民全体の需要を冷え込ませてきたことは事実である。

法人税減税をやろうとするのなら、その穴埋めに消費税を上げるのではなく、累進課税性を強化し、高額所得者からの増税を行えば良いではないか。

しかし竹中は『法人税減税は必須』の一点張りだ。

竹中の言いたいことは、前にも書いたが、次の2つである。
1 日本の法人税は高すぎる。
2 日本人の給料は高すぎる。

竹中が『同一労働、同一賃金』を主張するのは、
正社員の給与を派遣労働者と同一にすることである。
なぜなら、竹中によれば、『日本の正社員は恵まれすぎているから』だ。

これでは企業の内部留保だけが増えて、内需の拡大にはならない。
日本はますます外需依存型になるだろう。

それは大企業経営者の最も望むことでもある。
竹中平蔵は大企業経営者によって守られている。

そういう意味で大企業によって最も保護されているのは竹中平蔵自身である。


(私のコメント)
18日のサンプロで竹中平蔵と金子勝の討論があったのですが、竹中平蔵が一方的にしゃべりまくって、金子勝には「CM」とか「分かりにくい」と一方的に遮ってしまって、時間的に三分の二以上が竹中平蔵の発言であり、小泉構造改革の是非を討論するのに田原総一郎は竹中氏の弁明ばかり話させていた。「朝生」でもそうなのですが、自分が意図しない方向に話が進もうとすると田原総一郎は発言者の発言を遮ってしまう。

これでは討論会ではないのであり、竹中平蔵の一方的なペースになってしまう。発言すべてをテキストにすればよく分かると思うのですが、しゃべりまくる事で討論の主導権をとって相手をしゃべらせなくしてしまう。それに対して司会者も発言を遮る事はしない。視聴者も竹中氏のマシンガントークに圧倒されるだろう。

本来ならば小泉構造改革の是非を討論すべき場なのだから、竹中氏の弁明ばかり聞いていても意味がないのであり、金子氏も竹中氏の早口でまくし立てられるのに圧倒されてしまって振り回されてしまった。最後には田原総一郎が金子氏に「具体的にどうするどうする」と攻め立てて竹中・田原対金子の二対一の討論になってしまった。

最後には竹中氏自身が「新自由主義」の旗を降ろしましたが、水野和夫氏も「アメリカの新自由主義的な構造改革はもう破綻した」と述べているように、竹中氏がいくらしゃべりまくって誤魔化しても竹中・小泉構造改革路線は破綻したのだ。小泉元総理はマスコミにはほとんど出てきませんが、自分の政策の失敗を自覚しているからだろう。竹中平蔵という口先ばかりの学者に経済を任せてしまったからだ。

金子勝に構造改革の不備を追及されると、改革はまだ途中だとか、安倍内閣に申し送ったとか、責任回避ばかりしている。2002年から2006年まで大臣を歴任してきたのだから一度に出来なかったというのは言い訳であり、非正規雇用者に対するセーフティーネットまで手を打つ時間はあったはずだ。

私から見れば金子勝氏も構造改革派であり、銀行経営者の経営責任を問えと言って不良債権処理を強引に進めようとしていた。しかしアメリカでも公的資金を銀行に注入しているが経営責任は追及はしていない。本当の経営責任を問おうとしたらグリーンスパンまで責任が問われる事になるからだ。日本でも同じであり銀行に責任があったのではなく、政府日銀の金融政策の間違いがバブルの原因であり、銀行は被害者だ。

「株式日記」では2001年から2006年までの小泉内閣の経済政策に対して批判し続けてきましたが、バックナンバーを読んでいただければ分かると思いますが、小泉竹中内閣は日本企業を解体して外資に売り飛ばす事が構造改革だったのだ。しかし本格的な外資による日本企業買収が始まる前にサブプライムが破綻して外資自体が吹っ飛んでしまった。

竹中氏は頻繁に欧米に出かけては情報交換していますが、日本のマネーをいかに欧米の金融資本に献上するかを企んでいるのだろう。郵政の340兆円の資金もアメリカの経済再建のために使えとニューヨークで話している。渡部よしみ議員も同じことを言っている。つまり日本のマネーはアメリカの銀行の欠損の穴埋めに使われるのだ。

日本には十分な金融資産がありながら国内では使われずに海外への投資に流れてしまっている。内需をいかにして活発化させるかが問題ですが、小泉竹中構造改革では規制緩和しても新しい産業は生まれてこなかった。生まれたのは問題になった製造業派遣業であり、ホリエモンなどの怪しげなファンドぐらいで、金融立国路線も破綻した。

オリックスなども、どさくさにまぎれて「かんぽの宿」を格安で譲り受けようとしましたが、経済諮問委員会のメンバーには私利私欲で動いているメンバーがいる。構造改革は彼らにとっては追い風であり、外資の手先になることで国内の主導権を握ろうとしていた。しかし今や立場は逆転して日本企業がアメリカ企業を買収して行く立場に変わった。オバマ政権になってアメリカの出方が変わるのでしょうが、新自由主義経済から社会主義的な政策が行なわれるだろう。だから竹中平蔵も新自由主義の旗を降ろしたのだ。




アメリカのいちばん新しい雇用統計によれば、1000万を超える失業者
の上に、新たに仕事を無くしちゃった人が260万ぐらいいる
。青山繁晴


2009年1月19日 月曜日

オバマ政権は第三次クリントン政権か?


1/14放送「アンカー」青山繁晴の“ニュースDEズバリ” 1月15日 ぼやきくっくり

「はい。あのね、まず皆さん同じ印象持ったと思うんですが、久しぶりにヒラリーさんテレビで見たと。すごい老け込んでやつれてね、お見かけだけじゃなくて、たとえばBBC、CNNはフルで流してましたけど、話しぶりにもお元気があまりないんですよね」

「いや、たぶん水面下でのせめぎ合いがすごいんだと思いますよ、実際は」

「今、室井さんが言った、そのクリントン夫妻の中国からの献金疑惑とかね、そういうの、実際の会議の裏ではずいぶん追及されてるから、この公聴会では絶対に中国寄りって姿勢を見せないように、すっごい気を遣ってましたよね。だから本来のこう、言葉が鋭いのもなりを潜めてて、もう日本にリップサービス…」

「リップサービスです、はっきり言うと。『日米同盟はアジアの礎』と言ってたけど、何も裏付けがないじゃないですか。感覚だけ言っててですよ、それで中国のその膨張する軍事力とか、たとえば大きくなってくる経済力どうするかって話はほとんど出てこなかったんで、まあそれだけアメリカの中に中国寄りの外務大臣、国務長官は困るんですよという勢力がちゃんとあるというね。それも分かるけど、やっぱりヒラリーさんは、そこまでやっぱり本心は中国寄りなんだということを逆にね」

「無理に天の邪鬼で見るんじゃなくてね、実際こういう外交安保の専門家の中では、そういう印象強いんですよね。やっぱりヒラリーさんと中国との関係っていうのは、公聴会ではっきり言えないぐらい深いものがあるんだなと。だから日本にとってはほんとに要注意です」

「そうですね。皆さんご承知の通り、もう来週、1月20日にはオバマさんの大統領就任式があるんですけど、その前にちょっと一言ね、それにつながる話をしたいんですけど。先週はこの『アンカー』お休みさせていただいてロンドンにいたんですけども、この時期のロンドンってけっこうたまたま行くこと多いんですが、もうびっくりしたのはですね、たとえば去年の1月なんかと比べて、もう円の力が極端に強くてですね。だいたい今、英国も不景気なんで、ふだんの1月のバーゲン、冬のバーゲンだいたいすごいんですけど、ふだんはだいたい4割から6割ぐらい安いのがね、もうあの7割5分とかね、必ず5割以上になってるわけですよ、値引きが。それもあの、イギリスの高級ブランドがずらりと、なんですね。それでたとえば、去年の1月の時はだいたい1ポンドが240円前後でしたけど、今年僕が行くと1ポンドがだいたい130円前後なわけですよ」

「ええ。だから円が倍ぐらいの力になってて、しかもその不景気でバーゲンがすごいから、英国の一流品がだいたい4分の1ぐらいで買えるなあと。4分の1以上でですね。で、あの(写真出る)これ実はオックスフォード大学を訪問したんですけど、そのオックスフォードの町でもですね、強い円を使えるバーゲンがあまりにもあってですね。次の写真も出してもらうと…」

「思わずオックスフォードの教室からですね、町のバーゲンの方を携帯電話で撮ってしまったんですけど、よく分からないかもしれませんが、町並みですね。イルミネーションがいろいろあってですね。だから、たまたま僕はこの時期のロンドンに行くことが多いけれども、冬のバーゲンに重なって、この円というものがどんなに強くなったのかと、世界の中で」

「だから今、ヤマヒロさんが言われたところが肝心なところで、円高は日本の危機だとずっと言われてきたけど、これを僕らはむしろ逆にもう前向きの覚悟を決めて、強い円といっしょに日本をもう一回やり直すんだという覚悟を決めたいと思うんですね。で、それを問題提起したいと思うんですが、この1月20日にオバマさんが大統領になる。そのオバマさんも決して浮かれてなくて、すごい覚悟を決めてるところがあるんで、今回はこういうキーワードをまず用意してみました(フリップ出す)」

「はい。今までは、いわば日本はアメリカの言うことを聞いてきましたね。だから大統領就任式もそういう目で見てきたんですけど、今度ばっかりは違う目で見たいなあという気持ちを込めて、これからお話ししたいと思います」

「はい。今日1月14日ですけど、もうちょうど来週の水曜日、日本時間で来週水曜日の午前2時に、ですからワシントンの時間で20日の正午になりますけど、来週の水曜日の午前2時に、オバマさんが聖書の上に手を置いて大統領に就任するという宣誓式が行われます。で、その手を置く聖書が、あるいは聖書も、と言ったらいいのかな、その聖書もリンカーン大統領が使った聖書を使うと。で、それぐらいリンカーン大統領にこう自分をなぞらえるっていうか、思いが深いんですが、奴隷解放の父だからということ、さっきのVTRでもあったんですけど、それはアメリカのメディアでもどこでも出てくるんだけど、本当はワシントンの僕の古い知り合いにメールをしたりすると、そのことよりもですね、みんながえーっという感じがあって、僕もそれはあるんですけど、なぜかっていうとですね、(岡安キャスターに)どうですか?リンカーンというと本当は?」

「そう、その通りで、実はアメリカ合衆国の大統領、現役で暗殺された初めての人がリンカーンなんですよ。だからリンカーン、リンカーンってオバマさんが言うのは、ひょっとしてオバマさんて、自分がこれからやる仕事の末に、つまりリンカーン大統領は奴隷解放やって、南北戦争もやったわけでしょ。それぐらいのすごい仕事の末に、殺されることだって覚悟してるのかなというのが、こうやっぱり伝わってくるわけですよね」

「で、アメリカのメディアも今まさかそんな不吉な話できないから、メディアに出てこないけど、そのワシントンの関係者って、けっこうその話で、ま、持ちきりっていうのは大げさかもしれないけど、ほんとはメールではみんな言うわけですね。で、そのオバマさんの覚悟というもので、やっぱりいちばん最初に彼が意を砕いているのは当然、景気対策のことですよね。今の世界同時不況といわれるやつをどうやって乗り切るか。まずこれを見て下さい」

「で、ここに書いてある雰囲気と、それから日本の報道の雰囲気だと、要は大盤振る舞いをして景気回復をしようとしてるんだというイメージでしょ?ところが実際は違います。というのはね、たとえば300万人を超える雇用を今後数年間の間に創りますと言ってんですが、これちょっとびっくりなぐらい控えめなんですね」

「ええ。というのはね、アメリカのいちばん新しい雇用統計によれば、去年2008年に新たに職を失った人、今までいる失業者、1000万を超える失業者の上に、新たに仕事を無くしちゃった人が実は去年の統計で260万ぐらいいるわけですよ。で、去年といっても本当は10月ぐらいから急に失業者増えてきたでしょ」

「ということは、年末年始考えると、新たに仕事が無くなっちゃった人がもう300万人を超えてるんです、明らかに。ね。ということは、オバマさんはこの300万人超と言ってるのは、今までの失業者は手を出せませんと。新たに仕事を失った人だけ何とかカバーしますと言っただけの、ほんとは控えめな話で、しかも数年間かかるわけでしょ」

「去年仕事を失った人は、数年間我慢しなきゃいけないのかって話だから、ずいぶんこれは控えめな話なんですよ。れからさっきロンドンの話をしましたが、ドルが安くなってるっていうのは本当は円に対してだけであって、たとえばユーロに対してはドルはむしろオバマさんが選ばれてから強くなってるんですよね。強含みと言ってますけど。今、1ユーロだいたい1.3ドルですけど、これがだんだん1.2ドルぐらいになっていく、つまりオバマ効果もあって、僕この『アンカー』でも言ったと思いますけど、ヨーロッパはオバマさんができてすごいなーと。ヨーロッパも本当は人種差別社会だから、アメリカってあれほどひどい差別社会がいざとなったら黒人を大統領にする、すごい新しい希望があるな、ドルはやっぱり行けるんじゃないかという雰囲気まであって、ほんとはもっと強気に出てもいいのに、オバマさんはそうじゃなくて控えめな対策を打ち出してるわけです

「というのはですね、僕はこの点、オバマさんって人はやっぱりすごい人なのかなと、ひょっとしたらすごいのかなと思うのはですね、僕たちは、僕自身も含めて1929年の世界恐慌って必ず習ったじゃないですか。中学ぐらいで出てきますよね。で、その時にやっぱりオバマさんの民主党のニューディール政策っていうのが成功して、あの世界恐慌から救われたんだというの、僕たち学校で教わったけど、仕事でアメリカに行くようになって、いちばんびっくりしたことのひとつは、そんなこと思ってるアメリカの人は実はいなくて、ニューディール政策は結局失敗した

「というのは、アメリカはやっぱり良くも悪くも自由の国だから、政府が仕事を創ってあげるっていうのは結局うまく行かなかったんですと。どうしてそれが最後には世界大恐慌から逃れられたかというと、本当はそのあとに世界大戦が起きたからであって、ほんとは戦争に救われたんだと。で、そういうことを実はオバマさんはちゃんと勉強してて、その大盤振る舞いだけで、つまり公共投資では簡単に景気回復しないってことを考えてるんじゃないか。これも僕だけの感覚じゃなくて、今、ワシントンやあるいはニューヨークで関係者が言ったり考えたりしてることなんですね。そして、じゃあどうするかというと、実は究極の公共投資、究極の公共投資っていうと、ヤマヒロさん何ですか?」

「その通り、戦争なんで、実はオバマ政権に対して日本は、これもひとつの日本の覚悟だと思うんですけど、思い込みは捨てた方がいい。というのは、やっぱりアメリカの民主党というと何となく反戦平和の党というイメージがありますが、そもそもベトナム戦争は、あの民主党のあの明るい希望だったケネディ大統領がやった戦争なんです。それを終わらせたのは共和党のニクソン大統領だと。イメージと違うんですね。そしてオバマ政権はすでにひとつ戦争を始めることを、実はもうはっきりと宣言してます。はい、出して下さい」

「はい。で、この“新”を取るとね、アフガン戦争って今までもあるじゃん、別にオバマさんが始めようとしてるわけじゃないって話になるかと思うんですが、いや、そうじゃないんです。今、アメリカはイラクとアフガン、両方戦争やってて、これじゃどうにもならないから、イラクからですね、オバマさんは今後16カ月以内に兵力を全部撤収すると約束して、実行するでしょうが、その若者たちはアメリカに帰ってこれるんじゃなくて、そのアフガンに行かなきゃいけない。最終的にはアフガンに行かなきゃいけない。さらにそこに3万人も増派するとオバマさんは考えてるらしいですから」(後略)


(私のコメント)
大統領就任式を控えてオバマ人気は高まっていますが、森内閣の不人気の後に登場した小泉内閣を思い出させます。ブッシュ政権ほど不人気な大統領はいなかったから、その分オバマ新大統領に寄せる期待は高い。しかもアメリカの外交内政ともに100年に一度あるかないかの一大危機にあり、外交はイラク戦争でどん詰まりで経済は金融恐慌で一刻を争うような難題が待ち受けている。

だから奥の院は黒人の大統領に任せてダメならリンカーンやケネディのように片付けてしまえばいいと思っているのだろう。アメリカが現代のローマ帝国になぞらえるならば、ローマ帝国の皇帝の多くが暗殺によって権力の座から引き摺り下ろしたように、アメリカ大統領も暗殺やスキャンダルで処分されてきた。

クリントンやブッシュは奥の院の言いなりになったから8年の任期を全うしましたが、オバマ大統領は暗殺を覚悟しているのかもしれません。リンカーンもケネディも黒人の地位向上に力を尽くした大統領ですが両方とも殺されている。だからオバマ大統領が殺される可能性は非常に高い。アメリカとはそういう国なのだ。

日本の総理大臣ならば暗殺する必要は無くスキャンダルをマスコミに泣かせば一発で退陣する。田中角栄首相も文言春秋の記事一発で退場した。奥の院は日本の首相まで自由自在に操る事ができる。安倍、福田、麻生と短命内閣が続くのも奥の院からの圧力をかわすためであり、無理難題を突きつけられると日本の首相は直ぐに辞める。それが暗殺されない唯一の抵抗手段だからだ。小泉内閣が5年半続いたのも郵政民営化の難題を実行したからであり、他の首相なら辞任していただろう。

ヒラリー・クリントンが大統領になれなかったのはネット型選挙に乗れなかったのですが、ネット型選挙によってオバマ大統領が選ばれたが、そうでなければクリントンが人脈や金脈でなれたはずだ。奥の院にとっては誰が選ばれようと同じであり、言う事を聞かせてやらせるだけだ。

だからアメリカがこれからどのような内政外交するかは奥の院が何を考えているかを分析すればいい。ロックフェラーもロスチャイルドも奥の院の一部に過ぎず、表舞台には出てこない。彼らのやり方は世界から優れた人材をスカウトして政治顧問としてアメリカの政権内部に送り込んで指導力を発揮していくのですが、大統領が誰であろうと関係ない。

奥の院にとっては金融恐慌は予想外の出来事であり、アメリカの経済帝国の崩壊を招く事になるだろう。ヨーロッパのユーロも大打撃を負っており、イギリスのポンドは青山繁晴氏によれば1ポンド240円から130円にまで暴落してしまった。しかも店では4割5割の値引きは当たり前で物価は4分の1になってしまった。

つまりヨーロッパやアメリカの繁栄の時代は終わりつつあるのであり、世界の繁栄の中心は東アジアに移りつつあると奥の院も考えているに違いない。だから国際金融資本は中国に集中的投資を続けてきたし、オリンピックや万博を開催して中国を近代国家にすることで繁栄を維持しようと考えている。しかし思い通りにいくのだろうか?

アメリカは1000万の失業者の他に新たに300万人の失業者が生まれて産業は崩壊の危機にある。金融立国の戦略は上手く行くかに思えましたが、強欲な手段で利益追求に走りすぎて思わぬシステムクライシスが起きて金融は機能不全に陥ってしまった。FRBはなりふり構わずドル札をばら撒いているが、後々になって思わぬ弊害が出てドル債はデフォルトするしか方法が無くなるかもしれない。あるいはジンバブエのような5億ドル紙幣が発行されるようになるかもしれない。

青山繁晴氏が言うように1930年代のニューディール政策は成功しなかった。アメリカが立ち直ったのは戦争のおかげですが、アメリカは再び戦争で立ち直ろうとしているのだろうか? しかし現代は核戦争の時代であり安易な戦争は仕掛けられない。奥の院にとっても戦争で儲けられる時代は終わったのであり、イランとの戦争もアメリカにとっては危険な賭けだ。

ブッシュ大統領はいやいやながらもイラク戦争には踏み切りましたが、イランとの戦争では拒否して戦争は行なわなかった。ブッシュ大統領もそのとたんに支持率が低下したのは奥の院の要求は拒否したからだろう。その代わりにオバマ大統領にイラクとの戦争を命ずるのかもしれませんが、拒否して暗殺されるのかもしれない。

青山繁晴氏によればイスラエルのガザ侵攻はオバマに対する圧力であり、イランへの戦争を求める圧力なのだ。イスラエルは崖っぷち国家であり、アメリカに対してなりふり構わぬ工作活動でアメリカを動かしてきたのですが、ブッシュは無能を装って逃げてしまった。アメリカがイスラエルの圧力から逃げれば、イスラエルだけでイランとの戦争に踏み切らざるを得ませんが、アメリカはバックアップするだろうか?

アメリカにとってはイスラエルは狂犬のようなものであり、出来れば逃げたいはずだ。しかし下手な事をすればイスラエルの工作機関は大統領を暗殺するかもしれない。ケネディ暗殺もイスラエルが関係していたという説もあるくらいで、バラク・フセイン・オバマはイスラエルの圧力でイランとの戦争に踏み切るのだろうか?




最近の母親は、赤ん坊に話しかけることを忘れ、テレビに子育てさせ、
テレビ脳では、他人との会話ができない、本も読めない子供ができる。


2009年1月18日 日曜日

テレビが消える日 2006年11月21日 内田樹

小田嶋さんは「テレビの終焉」をこんなふうに予想している。「W杯に合わせてDVDレコーダーを買った組は、完全にナマのテレビ視聴から撤退している。『いやあ快適快適。ゴールデンのバラエティーとかは、ハードディスクに丸録りしとくと10分で見られるな』『ドラマも倍速でいけるぞ』『ニュースはどうだ?』『報道ステーションなんかは、解説のオヤジの説教をトバせば、30分で見られる』『てか、古舘も要らないだろ』『うん、テロップだけ読めば、10分』・・・。」

その結果どうなるかというと「まず、CMが無効化する。だって、ハードディスク録画の番組を見るときには、CM飛ばしが前提なわけだから。これは非常にヤバい。ただでさえ、リモコンを握って生まれてきた21世紀のテレビ視聴者は、CM入りの瞬間、他局に退避している。ということはつまり、『CMスポンサーによる番組提供』という昭和のテレビを支えてきた黄金の無料視聴システムは既に半ば以上泥沼化しているわけで、この上録画視聴者がCMスキップを徹底していくのだとしたら、地上波民放局の集金システムは、根底から崩壊してしまう。」(223−4頁)

私は小田嶋さんのこの見通しはかなりの確度で事実を言い当てていると思う。ただ、私はこの集金システムは「根底から」ではなく、当面は「部分的にしか」崩壊しないのではないかというやや悲観的な見通しを持っている。たしかに、小田嶋さんの指摘のとおり、テレビCMはすでに末期症状を呈している。

ゴールデンのCMスポンサーの主流はすでにサラ金と薬屋である(深夜ワクになるとエロ本屋やラブホテルもCMを出している)。カタギのメーカーさんはもうテレビCMから退避しつつある。あんな番組にCMを出し続けていたら、企業イメージがダウンするからである。残っているのは「消費者はバカだ」ということを企業活動の前提にしているスポンサーだけである。

うつろな幻想を追う消費者から収奪することを経済活動の根幹にしている企業と、消費者と企業とテレビ局のすべてを騙すことを経済活動の根幹にしている広告代理店と、視聴者をバカにした番組を作れば作るほど視聴率が上がるという経験則から出ることのできないテレビ局の黄金のトライアングル。そこから生み出されるのがどのようなものか、想像しただけでなんだかわくわくしてくる。
少なくとも私はわくわくしてくる。

ふだんテレビを見ない私でさえ「そこまでひどいものなら」思わず見たくなってしまうくらいである。私が見たいのはそれが「スナッフ・フィルム」だからである。あるメディアが死ぬところをリアルタイムで放映してくれるのであるから、これは私だって見たい。だから、「テレビの断末魔」を垂れ流し的に放映したら、視聴率がどんどん上がることになる。

「おい、テレビ、ひどいことになってるぞ」「ほんとかよ?」「おお、見てみろよ、すげーぞ。信じられねーよ、あのひどさ」「わ、見る、見る」というふうになって、視聴率がうなぎのぼり。TV局もスポンサーも歓喜雀躍。「もっとやれ、もっとやれ」ということになる。

その段階で「こんなことしてたら、テレビは終わりですよ」という諫言を述べるようなまともな社員はもうどこにも存在しない。だって、「テレビが終わる」ことからテレビを延命させるというアクロバシーをテレビはもう選択してしまったからである。

「『テレビがもうすぐ終わる』とみんな思っているだろ。みんなその『死の瞬間』を見ようとしてテレビをつける。だから、今日もテレビは生きてられる。オレらの仕事はただできるだけこの断末魔を引き延ばすことだけなんだよ。それで飯が食えるんだから、『らくだ』のかんかん踊りとおんなじだよ」という狡知が今日もテレビを延命させている。

視聴者がこの「死ぬ死ぬと言うだけで、さっぱり死なないメディア」にいつまで面白がってつきあってくれるか、私には予想が立たない。あまり長くは続かなそうな気がする。というのも、『週刊現代』の先週のコラムで高橋源一郎さんが「テレビが消えた」という話を書いていたからである。

半世紀にわたるテレビ視聴を止めて、5年愛用したソニーのテレビを知人に譲り、高橋家はいま「テレビのない生活」に入っている。その理由を高橋さんはこう書いている。「ある日、タカハシさんは、長男と一緒に、ぼんやりとテレビを眺めていた。そして、ちらりと、テレビの画面を見つめている長男の顔つきを見て、愕然としたのである。

長男は床に猫背になって座り、口を半開きにして、顎を突き出し、ぼんやりと澱んだ瞳で、画面を見つめていた。タカハシさんは、長男の名前を呼んだ。反応がない。もう一度、呼んだ。まだ反応がない。そして、三度目、ようやく、長男は、タカハシさんの方を向いた。その瞳には何も映っていないように、タカハシさんには見えた。まるで魂が抜けてしまった人間の表情だった。」(「おじさんは白馬に乗って」第23回「テレビが消えた」、週刊現代11月18日号、65頁)



「あるある大事典」騒動、テレビの害毒は「協力金」 2007年2月7日 JANJAN

 デタラメばかりやっているテレビが、「儲かって儲かって……」という状況である。いまの日本は、まったくおかしな社会になっているが、その最たるものがテレビの儲けぶりだろう。

 東京のテレビ局(4大ネットのキー局)に行くと、その建物の大きさ、立派さに驚く。TBS(赤坂)とテレビ朝日(六本木)は以前から同じ場所だが、どんどん増築し、巨大ビル群に膨れあがっている。フジ(産経系)はお台場、日本テレビ(読売系)は汐留(旧国鉄操車場跡)と、巨大再開発地域に移転した。土地買収と社屋の建設に巨費を要する場所だ。

 それほどテレビが儲かるのは理由がある。テレビのコマーシャル料金は、「税金代わり」なのだ。大企業の広告費は電通などの広告代理店が取り仕切っている。代理店は企業に対して「広告費をケチって利益を計上しても、税金で持って行かれるだけじゃないですか。多額納税しても何のメリットもない。広告費は経費として認められますから、税金を払うつもりで支出するのが賢いんです。広告費を出しておくと、いざというときメディアに顔が利くというメリットがあります。何かあったときは、わが社がメディアに圧力をかけます。広告費は危機管理のための必要経費でもあるのです」というセールストークを展開している。

 総広告費をどう配分するのか?テレビは視聴率、新聞は部数をもとに、代理店が方程式をつくっているが、テレビの配分比率が増える一方。だからテレビは、景気低迷と縁のない「好況」を謳歌している。

 いま日本社会が音を立てて崩壊している元凶は、テレビであろう。大人の場合は、いったん身につけた知性を、テレビによって失うから「白痴化」であろう。

 受け身だけで楽しめるのがテレビだ。寄席を考えてみよう。客が全くの無表情だったら、落語家でも何でも、まったくつまらない。講談・浪曲等を含めて、聴衆の盛り上がりによってこそ、感動が得られるのだ。笑ったり泣いたりすることによって、聴衆も芸に参加していると言える。

 演劇も同じことだ。舞台俳優は、いつも客の反応を気にし、盛り上がらないときは、その理由を考えるという。映画になると、観客の反応が演技者に伝わることはない。それでも時間をつくり、切符を買うというのは1つの行動である。それによって映画館という特殊な空間に入り、映画という絵空事の世界に入り込む。

 テレビは、こうした能動をすべて捨てさせる。与えられたものの中から、楽しいものを選ばせるだけなのだ。その瞬間、面白くなければリモコンのボタンを押してチャンネルを変えるだけでいい。こういう生活に慣れきってしまうと、人間は自らの行動によって状況を切り開くことを忘れる。政治の流れを変えるために、投票所に足を運ぶことすらしなくなるのである。

 子どもの育ち方はとくに重要だ。ヒトは他のほ乳類と比べて、胎内での成熟度がきわだって劣っている。他のほ乳類並みの完成度で誕生となるためには、倍の妊娠期間が必要だという。未完成品として生まれる新生児の中でも、とくに劣っているのが大脳皮質の発達であるらしい。その大脳皮質は、母親らとの対話の中で完成する。

 赤ん坊は言葉が分からないのに、母親が語りかけるのは、大脳皮質を育てるための本能なのである。テレビに慣れきった母親は、赤ん坊に話しかけることを忘れ、テレビに子育てさせる。その結果、テレビ番組の楽しさだけにしか反応しない「テレビ脳」ができるという。テレビ脳では、他人との会話ができない、もちろん本も読めないと考えられている。「耐える」などは死語になり、代わりに「キレる」「ムカつく」という「新生語」ができた。人々はすぐにキレて、ナイフなど持ち出す。

 『本が死ぬところ暴力が生まれる――電子メディア時代における人間性の崩壊』(バリー・サンダース著、杉本卓訳、新曜社)という本が刊行されたのは1999年。電子メディアの普及によって、識字による自己形成が喪失したと説くこの本はほとんど話題になっていない。それこそ21世紀日本社会の危機であろう。


(私のコメント)
携帯電話とテレビが子供に及ぼす影響は非常に大きなものですが、その実態に気がつく人はまだ非常に少ない。携帯電話を子供に持たせるべきかという事がニュースになっていますが、子供に携帯電話が必要である理由があるのだろうか? 同じことはテレビにも言えるのですが、テレビや携帯に依存しすぎて脳の発達に大きな影響があるとすれば問題だ。

今日は「テレビ脳」に関して取り上げますが、テレビに子育てをさせる母親が増えてきた事で、携帯を使わないと他人とのコミニケーションが取れない子供が増えてきているようだ。携帯といっても通話ではなくメールでやり取りをして、1日に100通以上ものメールをする子供がいるそうです。

今までテレビの視聴に使われていた時間の他に携帯のメール発信の時間も増えた。さらにインターネットなどに使う時間が増えてテレビの視聴時間は減ってきたというよりも、テレビも見るしインターネットもしてメールの返事書きもしなければならなくなって、12時過ぎまで時間を費やしている。つまりテレビも見てネットもしてメールもするといった忙しい子供が増えたのだろう。

その結果、睡眠時間と読書や勉強の時間が確実に減る。これは大人にも共通している事であり、携帯料金やインターネットに使う費用は5000円から10000円位使うから、それだけ本代は確実に減る。平均的小学生や中学生のお小遣いは1000円から2000円程度ですが、親が子供に携帯を持たせれば5000円はかかるから大きな費用になる。

読売新聞の記事では1ヶ月に1冊も本を読まない若者が半数に及び、1−3冊程度が40%ということで子供の本離れが進んでいる。分かりやすくいえば本代が携帯等の費用に費やされて本離れが進んでいるようだ。私も子供の頃は小遣いが少ないから古本しか買うことが出来なかった。読書も普段から読んでいないと習慣にならない。

このように現代の子供の環境は変わって来て、テレビや携帯などが非常に大きな影響を与えるようになってきて、小中学校の学級崩壊も珍しくはなくなってきた。つまり暴れる子供や切れやすい子供が増えてきたという事が教育現場で問題になってきた。いろいろ原因は考えられるのですが、子供たちの生活環境の変化が影響している事は確かだ。

特にテレビや携帯等の普及は問題だと思うのですが、ある年齢までの子供はテレビや携帯などから隔離するくらいの対策を打たないと子供の一生に関わるような影響をもたらすだろう。私などもテレビ世代なのですが、幼児からテレビを見続けていると「テレビ脳」になって前頭葉が働かなくなり、知的関心が持てない人間が出来上がる。

小さい頃からテレビを見て育った子供は思考能力を失い、テレビが言った事しか頭に入らなくなり、バラエティ番組で納豆がダイエットに効果があると放送すると納豆が売り切れになるほど売れたり、バナナダイエットが放送されるとバナナが売り切れになりスーパーからバナナが消えた事がありました。

JANJANの記事には「あるある大事典」のケースが紹介知れていますが、それくらいテレビに洗脳されやすい人が増えた事を物語っている。ダイエットならネットや本などを買えばいくらでも情報は手に入るのですが、テレビのワイドショーでやるとニュースになるほどの影響を与えている。つまりテレビの情報しか信用しない人が増えて切るのだ。それが「テレビ脳」の恐さだ。

最近では毎日のように麻生内閣の支持率がニュースで発表されていますが、20%を割ったといわれると麻生内閣は支持されていないと言うテレビによって作られた世論が出来上がる。小泉内閣の時は反対に高い支持率が毎日のようにニュースで報道されて9・11総選挙では300議席に迫る大勝利したりする。

実際に小泉政治がそれほど良くて麻生政治がそれほど悪いのかは時間が経たないと分かりませんが、テレビによって作られたムードが政治を左右しているのではないだろうか? 納豆ダイエットやバナナダイエットなどの騒ぎなどを見るとそう考えざるを得ない。

内田樹氏のブログを見ても、子供がテレビに見入って魂が抜けたような子供の様子を紹介した記事を載せていますが、現代人の「無気力」「無関心」「無責任」といった現象は前頭葉が退化して「テレビ脳」になってしまった現代人の原因がそこにあるのではないかと思う。テレビCMはサブリミナル効果や繰り返しといった洗脳手段で商品を買わせていくのですが、テレビショッピングでつい入らない商品を買ってしまったというのも洗脳効果によるものだ。

アメリカの大統領選挙もテレビ広告の威力は絶大であり、テレビCMの量が多いほど効果が上がるのは洗脳効果によるものだ。テレビが支持すれば選挙に勝つというのは民主主義の悪用ともいえるものですが、ネットの普及によってその危険性が明らかになってきて若い人たちにはテレビを見ないと言う人が増えてきた。ネットでニュースも動画も見られるようになり、テレビ放送も録画してCMはカットして見るといった人もいる。

子供に対しても、テレビの見方や携帯の利用の仕方を大人や親が教えてやるべきですが、大人自体がテレビや携帯の利用に仕方を知らないし、テレビの弊害もまだ十分に認識されていない。テレビでしかニュースや情報を受け入れない人が多いからだ。インターネットやメールも利用の仕方もまだ試行錯誤の段階であり、子供にも有害サイトなどの対策も必要だ。

子供の携帯の所持も、携帯がないと友達とのコミニケーションが取れない子供が増えてきた。「テレビ脳」のように「携帯脳」があるのかもしれない。携帯を使って文章などを書いていると定型的な文章しか使わずにこれも前頭葉が退化していくようだ。若年性のボケなども前頭葉が退化することで起きる現象ですが、「テレビ脳」や「携帯脳」が原因になるのかもしれない。


認知症は感情が突出する 2006年8月26日 小林勇一

前頭葉が働かないというとき理性が働かない、抽象的思考ができない、これは文章が読めなくなる。文章は漢字などが読めなくなるのは漢字は抽象化した絵であるからだ。太陽とあれば太陽をイメ−ジしなければならないし山や川とあっても常にイメ−ジする働きが必要なのだがそれが脳の弱体化でむずかしくなる。つまり人間を人間たらしめたのは理性の前頭葉であり感情ではないのだ。感情で行動したら好き嫌いとかで行動したら常に喧嘩ばかりするようになるし人間は戦争で滅びてしまっただろう。嫌いでも付き合いしなければならないときもあるし自分の感情のおもむくままに行動はできない、頭に来てなぐりたいけどここはなんとか頭を冷し抑えておこうとなる。それで社会生活も成り立つのである。認知症になると感情は爆発して暴力になる。前頭葉−理性で抑えることができなくなるのだ。図では回りの前頭葉で感情が抑えられず前頭葉が正常に働かないので感情部分が突出して肥大化して抑えがきかなくなるのだ。
子供も感情の動物である。意にかなわぬことがあると欲望を達成するのには泣き叫んだり駄々をこねるとにているのだ。




愚かだったアメリカ人は、ようやく武力でも金銭力でも世界を支配
できないと悟ったのだろう。だから黒人のオバマ大統領を選んだのだ。


2009年1月17日 土曜日

オバマ氏の下で再出発する米国 1月16日 日下公人

米国はもう終わりだと、わたしは8年前から言ってきた。ブッシュ大統領がイラク戦争を始めたときに、もうこれで米国はいったん終りになると思ってそう書いた。

 ナポレオンと同じなのだが、武力に頼るようになると必ず「攻勢終末点」を突破してしまう。それは自信過剰に起因するのだが、そういうフェーズに米国は達してしまった。

 さらに、米国は金融でも終わりを迎えた。2、3年前から、米国人の中にも「武力は行き詰まった状態のままだろうが、金融はそれより先に終わる」と言う人はたくさんいた。

 イラクのフセイン元大統領が大量破壊兵器を保持していると米国は言っていたが、一方でニューヨークでは別の大量破壊兵器をつくっていた。それが「サブプライムローンの毒入り饅頭」である。米国人がそれを世界にばら撒いた。世界にとっては、そのほうが怖かった。

 そして今では、誰もが「米国は大変だ」「もう終わりだ」と思うようになった。米国は今までのような「力の信奉者」では立ち行かない。今、「徳の実行者」へと変わらなければ、もう滅びてしまうだろう。その終わりかけのときに、なんとオバマ氏が当選した

 わたしはそのことに感心している。ブッシュの米国、共和党の米国、ワシントンの米国はもう終わった。ニューヨークの米国は、もっと悪い。そうすると、田舎の県会議員が大統領になるのである。

 オバマ氏は実績なんか何もない。それなのに今、大統領選挙に勝った。そういうところは、米国はすごい国だと尊敬している。オバマ氏で、米国は再出発を始めるのだろう。

◆インターネットを背景にオバマ氏は大統領選に勝った

 では、オバマ氏は本当に「徳の実行者」へと米国を導くのだろうか。今のところ、そうは見えない。だから、彼は幕間のピエロなのである。「力の信奉者」という芝居が終わって、次の芝居が始まるまでの、幕間にピエロが出てきておどける。オバマ氏はまさにその役割を果たすのだろう。

「オバマさんはどんな人?」と人に聞くと、「彼はグッドリスナーだ」とか「詩人だよ」とか、「彼はダンスしながら話すのがうまいんだ」とか、そういった答えが返ってくる。彼は賢いから絶対に失言しない。逆に言えば、いいことは何も言っていない。「ワン ピープル」とか「イエス、ウィ キャン」とか「チェンジ」とか、そんなことしか言わない。

 それらの言葉がちょうど時流に乗っていたから、オバマ氏は「自分は変なことしちゃいけないんだ」と思ったのだろう。「チェンジ」とだけ言っている。そして「黒人のアメリカはない、白人のアメリカもない。ユナイテッド ステイツ オブ アメリカがあるのだ」というスローガンだけで、それがちょうど情勢に合っていたから、スローガン以外言わないで勝ってしまった。

 それから、米国の大統領選で明らかになったのは、現代はまさにインターネット時代だということだ。オバマ氏はインターネットを使って、献金と若者のボランティア運動員を集めたところ、それがものすごく集まった。

 最近、日本でも2ちゃんねる発で麻生首相へのクリスマスカードが届くというのを聞いて、日本も米国と同じことになるだろうと思った。恐るべきインターネット時代が既に到来していて、それが若者を動かしている。

◆ヒラリー氏とオバマ氏の密約とは

 オバマ氏はインターネットを活用して献金集めをした。するとたくさんの若者が献金して、あっという間に5億ドル集まった。

 ヒラリー氏はそれをやってないものだから、自分の友達から借金をした。あるいは大企業に献金を頼んだ。しかし、大企業は逃げた。

 オバマ氏が5億ドル集めた勢いに飲まれてしまった部分もあるだろう。数多くの人から圧倒的に集金しているオバマ氏の勢いを見て、「これはもう米国はチェンジするんだ」と大企業の人たちも思った。「我々ニューヨークの大企業が大口献金をしてテレビの時間を買い占めて、次の大統領を決める時代は終わった、もうそういうことをしてもムダだ」と思ったのではないか。たくさんの人々がインターネットで盛り上がっているのを見て、大金持ちが引っ込んでしまった。

 それから、民主党の中でも、ヒラリー氏にするかオバマ氏にするかを大統領選挙と同じように州ごとに大会を開いて決めていった。州ごとに決めていくと、どうもヒラリー氏の旗色が悪い。借金していくら金をつぎ込んでも、旗色が悪いままだった。

 明日の州大会で候補が決まるのではないかという予測が広がった、その前の晩に、オバマ氏とヒラリー氏が2人だけで会談した。内容は公表されていないが、前後の状況などから推測がつく。

 どうもそのときにオバマ氏はヒラリー氏に、「明日であなたは負ける、自分でもそう思っているだろう、だからもう潔く『オバマさん、頑張って』と言ってくれないか」と頼んだのではないか。その条件として、ヒラリー氏が抱えていた借金にオバマ氏が助け船を出した。

 オバマ氏はうまく金をやって、ヒラリー氏を降ろした。そして当選した。

◆保守と革新の「1人2役」を演じるオバマ氏

 大統領選の候補に選ばれたあと、オバマ氏はヒラリー氏を最重要ポストである国務長官にすると宣言した。それまでオバマ氏は、ヒラリー氏はホワイトハウスの中で夫(クリントン元大統領)を陰で操っていた、だからヒラリー氏では「チェンジ」にならないと言って、ヒラリー氏を倒した。その倒したヒラリー氏を国務長官に就けるのだから、それはチェンジではない。また国防長官も留任させて、軍事力と外交は変わりませんというところを米国民に見せた。

 それにより、米国民の半分は安心した。つまりオバマ氏は賢いといえば賢いのである。「チェンジ、チェンジ」と言っておきながら、「チェンジはしません」と自分自身がチェンジした。そうやって国民を安心させた。

 オバマ氏は1月20日に就任演説をするのだが、そのときにはもう1回チェンジして、かつてのルーズベルト大統領のニューディール政策をしのぐ大風呂敷を広げ、「ニュー・ニューディール政策」を発表するに違いない。2度目のチェンジでは、また革新派に戻るのである。そして、1月20日以降は改革派と保守派の1人2役を演じる。

 そんなオバマ氏を、日本人の評論家はどう評論するか。きっと誰も評論できないだろう。日本の評論家はみんな大学卒の秀才だから、右派か左派か、前か後ろか、善か悪かと、いつも二つに分けたがる。それを分析と称するけれども、それではオバマ氏は語れない。

◆オバマ氏は米国が日本化するまでの幕間のピエロ

 日本の評論家に「1人2役演じる人を何というか」と聞いても、そんな言葉は大学で習っていないとの答えが返ってくるのではないか。そういう人のことを指して「プラグマティスト(pragmatist=実用主義者)」や、「バランサー(balancer=均衡をとる人)」という言葉がある。

 オバマ氏は、バランスをとりながら大統領になったのだから、賢いのだろう。これからの米国もまた、バランスをとりながら壊れないようにするのだろう。壊れたとしても、日本人の目から見れば壊れているが、米国人から見れば「まあこんなものだろう」という米国になっていくのではないか。

 米国の何が壊れていくかというと、まずニューヨークの米国が壊れた。「マネー、マネー、ドル、ドル」と言っていた人たちが、普通の米国人から切り捨てられるということである。その普通の米国人たちは、おそらくだんだんと日本人に似てくるのだろう。信用が大事だ、人徳が大事だという動きが米国で始まってくる。

 オバマ氏は、そこに至るまでのつなぎをする幕間のピエロである。ピエロというと悪口になってしまうが、オバマ氏はリンカーン大統領のゆかりの場所で、「チェンジ、ワン ピープル!」と火の出るような演説をした。つまり、リンカーン大統領は南北戦争を通じて「一つの米国」をつくり上げたと言ったのである。分かれ争う国は立たず、と。リンカーンが南北戦争をしたときの看板は、奴隷解放ではなく、「分かれ争う家は立たず」だった。

 その、米国を一つにして暗殺されたリンカーンゆかりの場所で、オバマ氏は大演説をぶった。「米国を一つにするためにわたしは命を賭けている、暗殺されてもいいんだ」と、みんながそう思うように演じた。それがただのパフォーマンスなのかどうかは、当選が決まってすぐ、オバマ氏が側近に「わたしが暗殺されないようにガードマンを2倍にしてほしい」と言ったことから読み取れる。

 とにかく、1月20日にオバマ氏が就任式と施政方針演説をして、まもなく暗殺されるだろうと、まことしやかにいわれている。もしそうなったら、オバマ氏はピエロでなく英雄になる。



(私のコメント)
アメリカにとっては疫病神であったブッシュ大統領が退任して、20日にオバマ新大統領が就任しますが、アメリカはどのようにチェンジ出来るのだろうか。アメリカはイスラエルロビーによって乗っ取られ、国際金融資本によって乗っ取られた悪の帝国になってしまって、イスラエルのガザ侵攻にも米国議会はイスラエルを支持する決議を下すほどになっている。

それに対してバラク・フセイン・オバマ新大統領1人でアメリカ外交を変えていくことが出来るだろうか。変えようとすればイスラエルが動いてモサドのスナイパーがオバマを暗殺するだろう。イスラエルはアメリカの支持を失えば消滅の危機になるからどんな事でもしてくるだろう。アメリカはイスラエルを見捨てるべきだったのですが、アメリカは最初からイスラエル支持一辺倒だったわけではない。スエズ動乱の時まではアメリカは中立だった。

スエズ動乱でイスラエルは英国が頼りにならないとしてアメリカとの同盟の道を選択した。もはや第二次世界大戦後はイギリスやフランスが主導する世界ではなくなって米ソが主導する世界であることをスエズ動乱は示した。イスラエルは工作員を送り込んで在米ユダヤ人を動員して米国議会を乗っ取ってしまった。英国も世界の覇権を失いアメリカとの同盟で外交力の維持を図ろうとした。


アメリカに依存する二つの国、イギリスとイスラエル。しかしイギリスはイラクから撤退して、アメリカ軍は補給路を断たれて絶体絶命か? 2007年8月30日 株式日記

アメリカが衰退する事はイスラエルにとってもイギリスにとっても死活問題であり、本来ならば止めさせるべき立場だろう。アメリカもようやく失敗に気がついて撤退時期を模索しているが、撤退するだけでなく国内に引き篭もって外国に関与しない孤立化政策をとるようになるだろう。これは国際金融資本や奥の院にとっては阻止しなければならない。

国際金融資本や奥の院にとってはアメリカが世界の警察官でないと困る事になる。イラクやアフガニスタンでアメリカ軍の強さを見せ付ければ中東一帯は大人しくなると見ていたのかもしれない。しかし結果は逆であり毎日のようにアメリカ兵の戦死が伝えられている。アメリカ軍は陸上戦闘では陸に上がった河童であり弱点を見せてしまった。



(私のコメント)
アメリカはこのようにしてイスラエルやイギリスの唆されてイラク戦争に踏み切ったのですが、アメリカの軍事力の限界を示す事となった。イラクを制圧しようとすれば40万人の兵力が必要ですが13万人しか動員できず、イラク軍は敗北させてもイラク国民の抵抗を抑え込むには兵力の大量動員が必要だ。

アメリカは60年代からドイツや日本の経済力の追い上げを受けて製造業の衰退が始まった。アメリカの経済力のリードは二つの世界大戦と国内で産する石油によるものですが、三度目の世界大戦を仕掛けるわけにも行かず、朝鮮戦争やベトナム戦争などのユーラシア大陸周辺での地域紛争しか起こせなかった。これではアメリカ経済は活性化しない。

そこで、アメリカは軍事力以外で金融による世界支配を目指す事にしたのですが、国際金融資本による世界支配と戦略は重なる。アメリカにとっても富がアメリカに集まるのならば軍事力と補完しあった強力な世界支配が出来るとアメリカ人は考えたのだ。それは2007年までは順調に行ったかに見えた。ニューヨークとロンドンは世界の金融センターになり恒久的繁栄を保てると考えた。

最近のアメリカ大統領は国際金融資本が生み出した大統領であり、ユダヤ資本でありイスラエルやイギリスも関与している。彼らに逆らえばケネディのように暗殺されたりニクソンのように失脚させられる。本来ならばヒラリー・クリントンが大統領の本命だったのですが、日下公人氏が書いているようにネット献金でオバマ候補はクリントン候補を上回ってしまった。従来ならなクリントン候補が圧倒的な資金力で勝っていたはずだ。

だからオバマ新大統領はケネディのように暗殺される可能性がある。ビル・クリントンはケネディのイメージで当選したのですが当選してからは見事にチェンジして国際金融資本の傀儡になってしまった。オバマ大統領もそうなるかもしれない。しかしオバマ大統領を生み出したネット世代の若い人たちは9・11の陰謀も知っておりケネディ暗殺の裏も知っている。だから国際金融資本も勝手な真似は出来なくなり当面はオバマと協調して時間をかけてオバマを取り込んでいくのだろう。

しかし国際金融資本は今回の金融恐慌で大きく傷ついており、以前ほどの影響力は無くなって来ている。バーナンキFRB議長は国際金融資本の所有物である金融機関を紙幣をばら撒いて救済しているが、やがてはハイパーインフレとなってアメリカと国際金融資本は共倒れになるだろう。一部の資本家は中国を次の世界覇権国とみなしてアメリカを見捨てるようですが、国際金融資本も分裂している。

オバマ新大統領はネット社会が生み出した最初の大統領となりますが、国際金融資本やイスラエルロビーはオバマを取り込むことが出来るだろうか? クリントンやブッシュは見事に取り込まれてしまったが、ネット社会では容易ではないだろう。以前ならマスコミを買収して世論を用意に操作できましたが、ネット社会では下手な事をすればブロガーの集中攻撃でキャスターは辞めさせられる。

韓国でもネット社会がノムヒョン大統領を生み出しましたが、日本ではネットが新しい総理大臣を選ぶまでになってはいない。日本では選挙にもネットを利用する事は禁止されているほどであり、日本でネットが総理大臣を選ぶ日が来るのはいつのことなのだろうか? 麻生総理もネットを上手に利用しているとは言えず、旧世代の政治家であることがばれてしまった。

アメリカでオバマ大統領を生み出したネット献金は日本ではまだ普及していない。「株式日記」でもネット献金制度を普及させるべきと書いてきましたが、自民党の総裁選挙でもたったの二週間の形ばかりの閉ざされた選挙では無理だ。国会議員選挙でもネットが解禁されていないのだからテレビの影響が一番大きく左右する。

日本とアメリカとの外交で大きな影響が出ると思われるのは、アメリカの大統領と日本の総理大臣が選ばれる背景が全く異なる事であり、日本ではネットのから遮断された世襲政治家が総理大臣になるが、アメリカではただの地方議員がいきなり大統領に選ばれるチャンスがある。

日本でもインターネット自体は普及しているのですが、政治に対する影響力はアメリカに比べると無力だ。政治経済のブログを書いているブロガーも少なく、ネットで国会議員を送り出す事が出来る日が何時ごろ来るのだろうか? 日本では相変わらず後援会頼みのどぶ板選挙であり、だから世襲政治家が選ばれて、総理大臣も小泉、安倍、福田、麻生とみんな後援会型選挙で選ばれた二世議員だ。

つまり日本からはオバマのような地方議員からいきなり総理になれることは当分望めない。まずは選挙でインターネットを使えるようにしなければなりませんが、国会では定額給付金の事ばかりが問題になっている。日本でもネットを使って民意が反映される選挙にすべきなのですが世襲政治家が反対しているのだ。




朝日新聞はニューヨークタイムズで一面に出た記事をどうして報道
しないのだろうか? 米軍も従軍慰安婦を強姦していたのだろうか?


2009年1月16日 金曜日

韓国人元慰安婦、韓国政府と米軍を告発 NYタイムズ紙 1月8日 産経新聞

米ニューヨークタイムズ(電子版)は8日、韓国の元慰安婦のグループが、1960年代から80年代にわたって米兵との性的行為を強制されたとして、当時の政府指導者に謝罪と賠償を求めて告発したと報じた。このグループは組織的な慰安施設の設置に直接的に関与したとして、米軍と韓国政府をあわせて告発した。

 同紙によると、元慰安婦のグループは朝鮮戦争後、韓国に駐留していた米軍の基地近くにあった慰安施設で米兵を相手にした売春を強要されたと証言。一帯では、米軍の憲兵隊と韓国当局者が施設を見回り、番号札を使って性病に感染したとみられる慰安婦を排除しており、性病が疑われた女性は警察当局が、窓に鉄格子がはまった「モンキーハウス」と呼ばれる施設に収容し、快復するまで治療が施された、と証言している。

 同紙は、韓国の専門家が、当時の韓国政府は米軍の撤退を恐れており、それを防ぐために手段を選ばなかったと指摘しているとし「慰安施設には韓国政府と米軍の積極的な関与があった」とする別の専門家の談話を伝えた。


【週刊新潮】韓国は在韓米軍に「慰安婦(売春婦)」を提供していた…ニューヨーク・タイムズが1面で報じるも朝日新聞は黙殺 1月15日 2ちゃんねる

「韓国」は在韓米軍に「慰安婦」を提供していた!

 ロクな調査もせずに発表された時の官房長官談話によって、今でも韓国から非難され、謝罪を要求され続けている旧日本軍の「従軍慰安婦」問題。が、ここにきて、その韓国政府自らが、かつて在韓米軍に「慰安婦」を積極的に提供していたとの証言が飛び出した。

 <元売春婦らが、韓国と米国が基地付近の売春を可能にしたと述べる>――。今月8日、米紙『ニューヨーク・タイムズ』が、こんな見出しの記事を掲載した。同じ記事は同紙傘下の『ヘラルド・トリビューン』紙翌日付にも掲載されているが、いずれも国際面と1面で半分近くの分量を割いた記事だ。執筆者は、両紙のソウル特派員である崔相薫(チェ・サンフン)。

 <韓国は長年にわたって、旧日本軍向け売春施設で韓国やその他の地域の女性が働かされていた戦時下の最も醜い歴史の一章、いわゆる従軍慰安婦問題について、日本政府がその責任範囲を曖昧にしていることを厳しく批判してきた>という書き出しの後 、記事はこう続いている。

 <そしていま、今度は、韓国の元売春婦グループが、北朝鮮から韓国を防衛していた米軍兵士を相手に、自分たちにセックスをするよう奨励するという、別種の虐待を行なったとして、自国の元指導者を告発した。彼女たちはまた、韓国の歴代政権および米軍が、1960年代から1980年代にかけてセックスビジネスに直接かかわり米軍兵士が性病に罹らないように売春が行なわれるよう、性病検査および治療体制を共に構築したとして、利用者を告発している><これらの女性たちは、(中略)韓国自体の歴史を厳しい目で検証することをせずに日本からの賠償を求めるのは偽善だと、歴代韓国政府を非難している

 そして崔記者は実際に米兵士相手の「慰安婦」だったという金愛蘭(キム・エラン)さん(58)に取材し、<韓国政府は、米軍相手の大手売春斡旋業者でした>という指摘や<政府はGI相手にできるだけたくさん商売するよう熱心に奨励し、私たちを“ドルを稼ぐ愛国者”として賞賛したのです>との悲痛な訴えを引き出し、さらに、他にも7名の元「慰安婦」らに取材した結果、<米韓当局は、番号札を用いて女性を識別し、兵士達がセックスの相手をより容易に見分けられるよう、売春宿に番号札の着用を強要していたと女性たちは述べる><性病に感染していると見なされた売春婦たちを韓国警察が連行し、女性たちによれば、窓に鉄格子がはまったいわゆる“モンキーハウス”と呼ばれる監視施設に監禁したという。この施設で、売春婦らは性病が治癒するまで治療を受けることを強要されたという>などの証言も得られた。

 同紙が独自に韓国および米国の公文書を調査した結果、<これら公文書の中に、女性たちの主張の多くを裏付けるものが見つかった><韓国では売春は違法であるにもかかわらず、基地付近での売春を韓国も米軍も容認していた、何十年にもわたり明らかであった>とも指摘。この後、記事は元韓国政府の役人、内務省副大臣らの過去の証言、それに研究者らの解説も載せ、最後に、<名字だけを公表するという条件で取材に応じてくれたジョンさん(71)>の、こんな叫びで締め括っている。<自分の人生について考えれば考えるほど、私のような女性は、わが国と米国との同盟関係の最大の犠牲者だという気持ちが強くなってきます。振り返ってみれば、私の身体は私のものではなく、韓国政府、そして米軍のものであったと思います>当事者の証言や関係者の取材、そして独自調査も踏まえた、なかなか読み応えのあるスクープ記事なのだ。

 ■日本への非難は偽善

 産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏によると、在韓米軍のために韓国政府が「慰安婦」を提供していたという問題は、韓国のマスコミで話題になったことはなく、なぜかこれまでタブー視されてきたのだという。

 「確かに報道では触れられてきませんでしたが、これまで研究者による書籍や論文では書かれていたので、実は何も新しい話ではないのです」そう語るのは、記事の執筆者である崔記者だ。

 「昨年末、慰安婦問題に関する集会があり、その際、近々国を相手に提訴する動きがあるという話を聞き、取材を続けていたのです。現在、ソウルには、元慰安婦の女性たちを支援する民間団体が3つありますが、今回はその1つが提訴することを決めたんです」

 実際、その元慰安婦支援団体『セウント』の副委員長を務める申英淑(シン・ヨンスク)氏が、「我々の団体には、元慰安婦の女性が165名加入しており、このメンバーで集団訴訟を起こします。請求する金額や提訴の日付はこれから協議で詰めますが、在韓米軍の関与もあったわけですから、韓国政府だけではなく米国政府も被告とする方針です。我々以外の支援団体も今後、歩調を合わせることになれば、原告団はかなり大規模なものになるでしょう」と、提訴の経緯を説明する。

 崔記者によれば、「60年代の韓国議会議事録には、米兵が休暇中にわざわざ日本に行って女性を買っている実態について議論され、これでは韓国にドルが落ちないから、外貨獲得の為に慰安施設を設置するべきと話し合われた内容が詳細に記録されている。韓国政府が積極的に米軍向け売春行為に関与したことは明らかです

 記事の冒頭にもある通り、これまで韓国は旧日本軍が慰安婦を強制的に連行していたと決め付け、日本に謝罪を要求し続けてきた。しかも、平成5年8月、時の官房長官、河野洋平氏がそれを公式に認めるという誤った「河野談話」を発表したため、日本政府が今もその呪縛から逃れられずにいることもご存じの通りだ。

 「談話に繋がる根拠とされ、朝日新聞が大々的に持ち上げたのが、吉田清治の著書『私の戦争犯罪――朝鮮人強制連行』でした。しかし、あの本は小説。私が現地調査をした上で、吉田に“あれは嘘だろう”と詰め寄ったら、本人も認めていましたから。結局、朝日新聞を始め、あの本を政治的に利用した人たちがいたわけです」(現代史家の泰郁彦氏)

 ちなみに、その朝日新聞は『ニューヨーク・タイムズ』紙と提携しており、同紙の記事を独占的に紹介することも多い。が、何故か今回の“スクープ記事”は一行も紹介することなく、完全に黙殺している。

 「元慰安婦たちは口々に“自国の問題を棚に上げ、韓国政府が日本を非難するのは偽善だ”と言ってましたが、私自身もまったく同感です」(崔記者)

 今からでも遅くはない。朝日新聞は、この崔記者に“正確な”慰安婦問題の原稿を依頼してみてはどうか。


(私のコメント)
従軍慰安婦問題は「株式日記」でもずいぶん書いてきましたが、満足な検証も行なわれずに日刊の政治家同士で曖昧な決着がつけられて、河野談話として外交問題にまでなってしまった。それがさらにアメリカに飛び火して米国下院議会で対日非難決議まで行なわれるようになり、日米関係に亀裂を生じさせている。

「あった」ということを証明するのは物的な証拠を含めて可能ですが、「なかった」ということを物的な証拠までそろえて証明する事は難しい。当時の状況を知る人なら分かるのでしょうが、従軍慰安婦というのは単なる売春行為であったのを、政治家の交渉で外交的な政治決着が行なわれた。

「あった」とするならば証人を日本に呼んで証言させて科学的な検証をすればいいと思うのですが、そのような事は行われていない。南京大虐殺なども中国の政治的キャンペーンに使われているのですが、これも科学的な検証が行なわれず「11歳の日本兵」まで出てくるような、要するに朝日新聞による反日政治宣伝なのだ。

中国や韓国などに外交的に配慮して日本政府はまともな反論をしようとはせず、曖昧な政治決着で対応してきた。それがかえって外交的にこじらせるもとになり、村山談話にまで繋がってくるのですが、どうじて日韓基本条約や日中友好条約で決着済みと片付けることが出来なかったのだろうか? 

それらの問題が大きく扱われるようになったのが90年代に入ってからであり、ソ連崩壊に伴って共産主義運動が敗北した結果、共産主義活動家が新たなる飯のタネとして反日運動や女性解放運動にスタンスを変えてきたのだ。中国もソ連の脅威がなくなることによって、新たに日本を仮想敵国とすることで愛国運動を盛り上げる必要があった。それには戦中の出来事を運動の中心にすることが決められた。

韓国も反日運動が韓国をまとめる手段であり、政権が危なくなってくると従軍慰安婦問題や竹島問題や靖国参拝を取り上げて反日キャンペーンを盛り上げる。その為には朝日新聞が煽れば韓国の活動家が呼応して在韓日本大使館前で国旗を燃やしてニュースにすれば、日本の政治家が右往左往して特使を送って政治決着をしてきた。

従軍慰安婦問題は韓国と米軍との間でもあった出来事であり朝日新聞はその問題を取り上げようとはしてきませんでしたが、1月8日のニューヨークタイムズが一面で記事にして取り上げられた。まさか米軍が道を歩いている韓国女性をさらって強姦をしたということではないのでしょうが、韓国政府の関与はあったようだ。物的な証拠があるからだ。

中国や韓国などでは反政府デモなどはよくありますが、日本では暴動にまでなるような反政府デモは無い。だから反政府活動に神経質になる事は無いのですが、韓国などでは政権が危うくなったりするから国民の敵意を外に向けさせる事で愛国心を煽って支持を固めてきた。韓国のノムヒョン政権や中国の江沢民政権などがそうだった。

90年代までは日中、日韓の歴史認識問題は問題が大きくなると中韓の政権は強硬に出ざるを得なくなり融和的に出ると政権が倒される。だから日本側は政治的妥協で謝罪して収める。しかしインターネットの登場で国民同士の論争になってくるようになって政治決着をつける方法がうまく行かなくなり、日本のブロガーも手強いから中韓政府は問題を煽らなくなった。

むしろ日本国内で田母神論文で見られるように、軟弱な中韓に対する政治家の対応に批判が集まるようになって来た。今回の韓国における米軍に対する従軍慰安婦問題も出るべくして出てきた問題であり、60年代から80年代に起きた出来事だからもみ消す事もできないだろう。


朝日新聞はニューヨークタイムズで一面に出た記事を報ずる事はなかったようですが、どうして報道しないのだろうか? 韓国人女性なら米兵に犯されてもたいした問題ではないと考えているのだろう。



242 :<丶`∀´>さん:2009/01/16(金) 00:12:04 ID:mWBcq/GQ 2ちゃんねる

(-@∀@)「お婆ちゃん。悪い日本人を懲らしめてお金を貰おうね」
<丶`皿´>「100万円くれるニカ?なんでも喋るニダ!」
  ↓
(-@∀@)「それでは、お婆ちゃんの体験談を聞かせてください」
<丶`皿´>「あたしは16だった1947年に強制連行されて、無理やり売春婦に・・・」
  ↓
(-@Д@)「はわわストーップ!1947年だと、戦争が終わってるよ!」
<丶`皿´>「そうニカ?よく知らんニダ」
  ↓
(-@Д@)「最近、ネトウヨも知識をつけてウルサイからね、ちゃんと話を合わせよう」
<丶`皿´>「わかったニダ!」
  ↓
(-@∀@)「終戦がで1945年だから、徴用が微妙だった44年ということにしようね」
<丶`皿´>「わかったニダ!1944年ニカ?おぼえたニダ!」
  ↓
<丶`皿´>「あたしは16だった1944年に強制連行されて、無理やり売春婦にされ・・・」
(-@∀@)「あひゃひゃ。その調子、お婆ちゃん!」
  ↓
<丶`皿´>「・・・収容所で3年間も日本兵に犯され続けた!」
(-@Д@)「はわわ!ストーップ!ダメだって、お婆ちゃん!」




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