株式日記と経済展望

ページを繰り越しましたのでホームページからどうぞ。


国会内で話し合われるべき国防問題が、お笑いバラエティー番組で
しかできないのは何故なのか? 在日米軍が恐ろしいからだろう。


2008年12月31日 水曜日

「たけしの TV タックル」に田母神前空幕長が出演


もっと議論を!(田母神氏 TVタックル) 12月30日 日本はどうなる

昨日29日には田母神氏が
今年最後のTVタックルに出演しました。

田母神氏は4日連続テレビ出演です。
どんどん出て頂き、
国が敬遠している
こういう話をテレビなどの
公の場でやっていくことが
今の日本では大切だと思います。


田母神氏 TVタックル出演1 (You Tube)
http://jp.youtube.com/watch?v=MEVL9kyRQ-I

田母神氏 TVタックル出演2 (You Tube)
http://jp.youtube.com/watch?v=u7ES0_OviUw

田母神氏 TVタックル出演4 (You Tube)
http://jp.youtube.com/watch?v=3YlrjgX0gVc

田母神氏 TVタックル出演5 (You Tube)
http://jp.youtube.com/watch?v=F9wY0DhLWBQ


内容を一部を書き出してみます。
(言い方は少し変えます)


<その1>

森永卓郎 「田母神さん、軍人、軍人とおっしゃいますが、
       日本は軍じゃないですよ。自衛隊です。
       日本は軍隊を持ってはいけないと憲法に書いてある」

田母神俊雄 「それだったら文民統制は成り立たないじゃないか?」

森永卓郎 「何でですか?」

勝谷誠彦 「軍だから文民が統制するんだよ!」

森永卓郎 「軍だからじゃないんじゃないですか

勝谷誠彦 「だから、それは今までずっと言い換えて、
       目の前の現実から目をそらしてきただけなの。卑怯ものどもが」

森永卓郎 「戦力は持たないって書いてあるんですよ。憲法に」

田母神俊雄 「話にならん!」


〜森永氏は文民統制が全くわかっていないようです。
文民統制ということが絶対であるかのようにマスコミもいいますが、
文民統制なんてわかりにくいことを絶対視することは危険です。
都合のいいように文民統制という言葉を使いすぎです。

だいたい今の政治家は自衛隊を軍とした場合、
緊急時に軍を使いこなせるのでしょうか?
右往左往して全てが後手になるのが見えています。〜


<その2>

山本一太 「思想信条の自由というのは憲法で保障されているから、
       田母神さんが何かおっしゃるということも、
       いろんな考えをお持ちだということもいい事なんですが、
       やはり、航空幕僚長という自衛隊のトップですから、
       自衛隊を代表する立場で、政府見解と違うことを言うのは
       不適切だったと思います」

田母神俊雄 「先生方にも考えていただきたいのは、
        自衛隊は本当に戦えるようになるには、
        村山談話なんかを強制されて戦えますか?」

森永卓郎 「なんで自衛隊は戦わないといけないんですか?

田母神俊雄 「自衛隊は戦える体制をとることによって、
        日本に対する侵略を抑止するんです。
        北朝鮮の工作船が来て、勝手に動き回るのはなぜですか?
        日本が工作船を沈めないからですよ。
        沈めたら来ませんよ。はじめから」

三宅久之 「私は肩書き付で田母神さんが言ったことは、
       とがめたりすることはないと思っています。
       なぜならば、本来なら国とか議会でやるべきことを
       怠りすぎているから、彼は身を捨てたけれども、
       これによって歴史認識などについて、日本が侵略国家だという
       意見があったってかまわない。侵略的要素も満州事変から、
       1931年から歴史の中でずっとあったと思うから」


〜山本君よ!政府見解と違うこと言った閣僚や議員はなぜ更迭されないのですか?

そして、森永氏はよほど平和ボケしているようです。
自衛隊が戦わないなら誰が戦うのですか?
理想の中で生きているのはいいが、危機感を持った方がいいです〜


<その3>

森永卓郎 「田母神さんにひとつ聞きたいことがあるんですが、
       たとえば、米軍機と航空自衛隊機が訓練飛行中に、
       仮にどこかの国が米軍機を撃ち落して、敵がそこにいる時、
       田母神さんが幕僚長だった時に、どのように指示を出しますか?」

田母神俊雄 「できないでしょう。法律的には」

森永卓郎 「その時は撃ってはいけない?」

田母神俊雄 「撃ってはいけないでしょうね。
        それはその時に、日米同盟関係は日本が
        助けなければその瞬間に終わりです。崩れます

勝谷誠彦 「法律がそう決めているから」

田母神俊雄 「法律がそう決めているから、そうしかならないでしょうね」

阿川佐和子 「森永さんだったらどうします?」

森永卓郎 「私は絶対撃っちゃいけない」

長島昭久 「見捨てるの?」

森永卓郎 「見捨てる!当たり前じゃないですか」

三宅久之 「見捨てて退却するんだよね」

森永卓郎 「だってそうしなきゃどんどん戦争になっていくじゃないですか」

勝谷誠彦 「そのまま攻め込まれていくの?」

長島昭久 「もう戦争になっている。撃ち落されているんだから」

田母神俊雄 「そういうことが戦争を誘発するんです。
        日本の沖縄の上空をロシアの爆撃機が飛んで行ったりする。
        これは飛んで行っても撃ち落されないから入ってくるんです。
        入ってきたらよその国と同じように撃ち落されると思ったら入ってきません」

森永卓郎 「集団的自衛権の行使の法律を変えて、
        撃ち落せるようにした方がいいと?」

田母神俊雄 「私はそう思う」

平沢勝栄 「森永さん、拉致というのは泳いで連れて行かれたのではなく、
       船で連れて行かれたでしょ。
       北朝鮮の不審船というのは日本海でウロチョロ、
       ずっと1960年代からしている。
       日本の航空自衛隊や海上保安庁はその船をほとんど見つけている。
       見つけて追いかけている。
       追いかけて北朝鮮の領海まで行ってそのままUターンして帰ってきた。
       だから日本は何もしないということで次々と拉致された。
       その時に実力行使をしていればその後の拉致は起こっていない」

森永卓郎 「そんなことはない」

平沢勝栄 「いや、そうしていれば起こるはずがない」

田母神俊雄 「よその国は外交交渉のバックには軍事力があるんです。
        言うことを聞かなければ叩くぞ!という外交交渉をやるんです。
        日本の場合は お前、言うことを聞かないか!じゃあ話し合うぞ!
        というわけです。
        これでは外交交渉になりません。

森永卓郎 「それでも戦後60年間、日本は戦争せずに繁栄してきた

阿川佐和子 「それはアメリカに守られてきたから」

森永卓郎 「そんなことないです」


〜森永君。自国は助けてもらっても他国は助けない。
それで同盟関係は続けられますか?
きっと自衛隊員は憲法違反してでも戦うでしょう。〜


<その4>

勝谷誠彦 「田母神さんはずっと言ってきたんです。
       なぜ今回だけ問題になるのか」

阿川佐和子 「なぜなんですか?」
 
勝谷誠彦 「クーデターにあったのは田母神さんなんです。
       つまりそれを騒ぎにして売った組織が自衛隊の中の背広組に。
       私は知っていますけど」

阿川佐和子 「えっ! チクったの?」

勝谷誠彦 「騒ぎにして政治的問題にしたのがいるんです。
       背広組の中に。
       それだけは覚えておいてください」


途中で歴史については歴史学者でもないもの同士が議論しても
しょうがないような発言がありました。
それは歴史学者にゆだねたほうが良いと。
確かにそれも一理です。

であるなら、いち政治家で歴史学者でもない村山富市という
社会党という左翼のものの談話が
そのまま政府見解となって、閣議決定までされ
今も生き続けるのはおかしくないのですか。


「国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、
植民地支配と侵略によって、多くの国々、
とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。
私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、
疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め・・・。」


国策の誤りとは何をいうのですか?

アジア諸国の中には独立に寄与し感謝している国もあります。

「この歴史の事実」とはどれほど検証されたものですか。それは個人の考えではないですか?


どんどん議論するべきです。



(私のコメント)
最近のテレビは年末になっても「今年の重大ニュース」の特番を放送しなくなりました。日本のテレビ局は報道局として許可されているはずですが、NHKはともかくとして民放では一年を振り返る番組が少ないようです。その代わりにバラエティー番組と再放送のドラマが多くなった。この一年を振り返っても視聴率が取れないからかもしれませんが、数ヶ月の間をおいてニュースを振り返る事は重要だ。

「株式日記」もバックナンバーを過去11年にわたって公開していますが、当時はどのように見ていたか? そして現在から見てどうなのかを比べてみれば、将来を占うヒントのようなものが見えてくるのではないかと思う。去年あたりはブログがブームになって書き始めた人が多かったのですが、長く続く人は少ないようです。

半年ぐらいは身の回りのことを書いて続けられますが、それ以上になるとネタが尽きてきて止めてしまう。ブログの一番いいところは自分の専門分野などをブログに書くことによって情報の風通しが良くなる事ですが、日本では専門家がブログを書く事は少ない。大学教授などもどうしてブログを書かないのだろうか? 

日本はブログ投稿数において英語圏を上回るブログ超大国ですが、ネットが登場したことで日本の国民世論が大分変わってきた事も確かだ。ブログなどにおける政治的スタンスは保守的な人が多く、2ちゃんねるやTAHOOなどのアンケートでも保守派が圧勝している。特に歴史関係のブログは圧倒的に保守派のブログが多くなり、「朝まで生テレビ」などのアンケートでも田母神支持が60%を越えている。

しかし新聞各紙の社説などでは産経を除いて田母神批判をしていますが、ネットなどでは田母神支持が7割を超えている。なぜこのようにマスコミとネットは対立するのだろうか? マスコミは世論をリードするものであり、朝日新聞や毎日新聞といった左寄り新聞によって世論は作られてきた。テレビでも同じであり右寄りのオピニオンは一部の雑誌によって記事が載る程度に抑え込まれてきた。

しかしネットの登場によって一般国民でも不特定多数の人に意見が発表できるようになり、マスコミとの論争が起こされるようになった。マスコミや御用学者の多数は東京裁判支持であり、政治家も大戦を肯定的な観方を言えば大臣のクビが飛んだから、歴史観を述べる事はタブーになってしまった。

田母神論文でも歴史観を述べる事は、言論の自由が保障されているのだから解任の理由にはならないだろう。また政府見解に反する内容だからというが何処の部分が政府見解と異なるのかがはっきりしない。歴史認識を外交問題としてきたのは日本の政治家であり、中国や韓国が抗議してきても講和条約で解決済みと問題にすべきでなかったのですが、朝日新聞などが中国政府に炊きつけて外交問題にしてしまった。

保守派が反論しようとしても新聞の投書欄には載らないし、テレビでは御用学者しか出演させないのだから世論操作はマスコミのやりたい放題だったのですが、ネットがその流れを変えた。だからネット対マスコミの論戦から田母神問題も出てきたことであり、10年前だったら田母神氏のクビが飛んで終わりだ。しかしネット側は田母神氏を支持して戦わなければならない。

最近では田母神氏のテレビ出演が続いていますが、問題点が浮かび上がってきたように見える。本来ならば国会内で議論すべき問題なのですが歴史認識の問題は中国や韓国がうるさいから政治家は逃げ回っている。言論で戦うのが政治家の役目ですが、安倍総理も麻生総理も村山談話や河野談話を踏襲して論争から逃げてしまっている。

「たけしのTVタックル」で、田母神論文を仕掛けたのは防衛省の内局の人間である事が勝谷氏の発言ではっきりしてきた。防衛省でも内局と制服との対立があり、田母神氏は内局から恨まれてマスコミにチクられたようだ。テレビでも言っていたが何年も前から言ってきたことが何故今になって問題になるのか? 麻生総理も本意ではないのだろうが中国や韓国が騒ぐから田母神氏をクビにしたのだろう。

このように日本では歴史観を討議する事は容易ではなく、学校教育の場でも近代史はタブーになってしまって教えられていない。そして東京裁判史観に基づいた教科書が使われて「日本は侵略戦争をした犯罪国家」と徹底的に教え込まれてきた。今でも国旗掲揚や国家を歌わない学校があるようですが、そんな国が世界の何処にあるのだろう?

戦後教育で育てられた左翼の裁判官が自衛隊の違憲判決を下していますが、これでは田母神氏でなくても自衛隊の誰もが発言したくもなるだろう。田原総一郎は田母神論文は言論クーデターだと言っていますが、第一線で働く自衛官にとっては迷惑な話だ。しかも朝生で本人欠席裁判まで行なっている。

もちろん田母神論文の中でも歴史問題には議論になるものが多くありますが、現政府を批判したものではない。あるとすれば後半部分の日米安保体制を批判したと思える部分だ。


「現在においてさえ一度決定された国際関係を覆すことは極めて困難である。日米安保条約に基づきアメリカは日本の首都圏にも立派な基地を保有している。これを日本が返してくれと言ってもそう簡単には返ってこない。ロシアとの関係でも北方四島は6 0 年以上不法に占拠されたままである。竹島も韓国の実行支配が続いている。

自衛隊は領域の警備も出来ない、集団的自衛権も行使出来ない、武器の使用も極めて制約が多い、また攻撃的兵器の保有も禁止されている。諸外国の軍と比べれば自衛隊は雁字搦めで身動きできないようになっている。このマインドコントロールから解放されない限り我が国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない。アメリカに守ってもらうしかない。アメリカに守ってもらえば日本のアメリカ化が加速する。日本の経済も、金融も、商慣行も、雇用も、司法もアメリカのシステムに近づいていく。改革のオンパレードで我が国の伝統文化が壊されていく。



麻生総理が田母神航空幕僚長を解任したのが上記の部分で政府に反した言論であるとするならば、それなりに理解は出来る。日本政府は安保堅持であるし国内の米軍基地を返してくれとは口が裂けても言えないだろう。集団的自衛権も解釈で否定しているが自衛隊にとっては酷な内容であり、そのような状況が生じたら自衛隊は米軍を見捨てて逃げなければならない。これでは田母神氏でなくとも政府が批判されてしかるべき問題だ。

田母神氏は、このような状況が続けば我が国の伝統文化が壊されていくと批判しているが、誠にごもっともな内容であり、日本は63年経った今でも日本は米軍の占領下にあり国内には米軍基地が百ヶ所以上も全国に点在している。さらに米兵のために基地外に住宅が次々建設されていますが、二十数万円の住宅手当と5万円の光熱費が米兵に与えられており、思いやり予算で日本政府が支出している。

政府は日本がいまだにアメリカの占領下にあるとは口が裂けても言えないだろうが、麻生首相と浜田防衛大臣が慌てて首を切ったのは、田母神論文がそのことを批判しているからなのだろう。しかしその理由は麻生総理はいえないだろう。グアム島の米軍施設の建設費用の7000億円も日本政府が負担するようですが、日本がアメリカの植民地なのだから当然なのだろう。




結局はオバマ新大統領に代わってもアメリカはチェンジ出来ずに、
経済政策も軍事政策も破綻してイスラエルと共に滅びるのだろう。


2008年12月30日 火曜日

狙いは米政権移行期…ガザ空爆、イスラエルが周到に準備 12月29日 読売新聞

イスラエル軍が27、28の両日、パレスチナ自治区ガザを支配するイスラム原理主義組織ハマスの拠点に行った大規模空爆は、1967年の第3次中東戦争後では最も激しい攻撃となり、中東全体に影響が広がることは必至だ。

 米国の政権移行期にタイミングを合わせた点も見逃せず、オバマ米政権登場に期待してきた中東和平の推進派にとって、大きな衝撃となった。

 ガザ地区は第3次中東戦争以来、イスラエル軍が占領してきたが、軍は2005年にガザから撤退し、それをハマスが「抵抗運動の勝利」だと喧伝して勢力を伸長。07年にはアッバス自治政府議長率いるファタハを武力で追い払い、ガザを実効支配した。ハマスはイスラエルと度々衝突してきたが、ガザの人道状況悪化に伴い今年6月、半年間の停戦に合意した。

 イスラエル政府は今回の作戦を、停戦と並行して着々と練り上げていたフシがある。同国紙ハアレツによると、バラク国防相は半年前、国軍に、ハマスの訓練所など標的を定めるよう指示していた。2月に総選挙を控えた政府は、強硬姿勢を示す必要に迫られていた上、オバマ米次期政権がブッシュ政権の「ハマス排除政策」を転換することを阻止したい思惑もあった。ハマスが今月19日に停戦終了を宣言した後、政府は「停戦は維持すべきだ」と表明したが、作戦実施に向け、ガザの過激派によるロケット弾攻撃再開を待ちかまえていた可能性が濃厚だ。

 ただ、今回の攻撃にどれだけ効果があるかは疑問だ。空爆にはハマスを軍事的に弱体化させる狙いがあるが、専門家の間では「一時的な停戦がやっとで、恒久平和にはつながらない」との見方が強い。一方、パレスチナでは27日、アッバス議長が支配するヨルダン川西岸各地で、反イスラエルのデモ隊が同国軍と衝突した。攻撃が長期化すれば、イスラエルや米国が支持する議長の政治生命が揺らぐ可能性もある。

 攻撃で、オバマ政権誕生早々に中東和平が動く可能性もなくなったとみられる。

 アラブ諸国では、「外交重視」をうたうオバマ氏が、「ならず者排除」を貫くブッシュ政権の中東政策を転換するとの期待が強かった。

 ブッシュ政権とイスラエルは、アッバス議長との和平交渉を進める一方、ガザへの経済封鎖でハマスつぶしを図ったが、ガザ住民の生活が困窮する中、ハマス支配は逆に強まった。「ハマス抜きの中東和平は困難」(交渉関係者)との見方も広がり、欧州連合(EU)では、アッバス議長とハマスの「和解対話」による分裂解消を優先すべきだとの意見も浮上していた。

 27日の攻撃は、ハマスが何らかの形で、和平交渉にかかわる可能性を当面つぶした。イスラエルの意図は短期的に達成されても、より大きな目標である中東和平の実現は今回の攻撃でさらに遠のいたのは否めない。(エルサレム支局 三井美奈)



悲しいなれという麻酔薬 12月29日 佐々木良昭

イスラエル政府が徹底的にやる、まだ攻撃を継続すると言っている以上、ガザの惨劇はまだ終わったわけではないが、パレスチナのガザに対するイスラエルの攻撃は、300人近い死者を出している。アルジャズイーラ・テレビを見ていると、アラブの大衆による大規模デモが、全アラブから伝えられ、大衆は怒りに燃えている。

 しかし、今回のガザ攻撃をめぐる緊急アラブ・サミットの開催は遅れ、外相会議も遅れそうだ。リビアのカダフィ大佐はすでに、緊急アラブ・サミットには出る気がないむねの、発言をしている。彼によれば「どうせアラブの首脳が集まったって、イスラエル非難が行われるだけで、実質的な行動は決められないだろう。」ということのようだ。

 アラブ諸国のこうした態度に、業を煮やした大衆は、ガザのゲートを閉鎖したままで、イスラエル軍にパレスチナ人を攻撃させたとして、エジプト大使館に対する抗議デモを行っている。

 エジプト政府がイスラエルに対する、軍事攻撃を決断しない限り、どのアラブの国も、軍事行動を起こすことはありえない。つまり、エジプト大使館に対する抗議デモは、エジプト政府に立ち上がってほしいということなのだ。

 しかし、エジプトもイスラエルと戦争を、起こすだけの決断が出来ないのではないか。アメリカはすでにお伝えしたように、ガザからのハマースをはじめとした、パレスチナ各組織による、イスラエルに対するミサイル攻撃が続いている以上、イスラエルには反撃の権利がある。この戦闘を終わらせるためには、ハマースの側が攻撃をやめることが先決だ、という立場を発表している。ヨーロッパ諸国も停戦を呼びかけるだけで、それ以上の行動をいまだ取っていない。

 ハマースは多分、徹底抗戦するつもりだろう。ハマースの首相イスマイル・ハニヤが言った「死を恐れない」という発言は、本音であろう。この戦いを途中でやめたのでは、パレスチナ問題は元の木阿弥に、なってしまうからだ。

 しかし、アラブもヨーロッパもアメリカも、具体的な行動を起こしていないことから、ハマースは相当の犠牲者が出ることを覚悟しなければならないだろう。ここで気になるのは、レバノンのヘズブラがどう決断するかだ。

 ヘズブラはハマースとは比べものにならない、本格的なミサイルやその他の兵器を、所有している。そのヘズブラの兵器が火を噴くとき、アラブ諸国は立ち上がらざるを、得なくなるのではないか。

 ハマースやヘズブラが何処まで頑張って、アラブ諸国政府に立ち上がらせることが出来るかが、今回の重要なポイントであろうか。2006年にはレバノン戦争で、多数の人が殺され、長期にわたるイラク戦争では、毎日のように何十人という人たちが、死亡している。

 ガザの犠牲者の数は、それらに比べればまだ少ない。アラブの大衆が騒ぐのも、新しい出来事だからであろうか。イラクの犠牲者にはアラブは慣れっこになり、ほとんど関心を払わなくなった。

 慣れは人の死をも、通常の出来ごとの様にしか、受け止めなくさせてしまうようだ。そう言う私も、イラクでの犠牲者の記事を見ても、詳しくニュースを読む気になれなくなっているというのが本音だ。

 アラブの人たちにも、日本の人たちにも、世界の人たちにも、ガザの状況を時間の経過の中で、影の薄い関心のない、出来事にはしてほしくない。あまりにも悲しい、出来事ではないか。


(私のコメント)
ガザ地区のパレスチナ人の死者は300人を越えたようですが、イスラエルの空爆は今でも続いている。ガザ地区との国境付近にはイスラエル軍の戦車が集結していて、地上侵攻するかも知れない。しかしハマスもイランから武器供与を受けてイスラエルにロケット攻撃で反撃している。イスラエルの最終的な目的はイランの原子炉の空爆にあるのですが、報復の名の下にイラン空爆を実行するのだろうか?

しかしイランを空爆するにはアメリカ軍の協力なしには実行不可能だし、アメリカは政権の移行期で動きが取れない。イスラエルもハマスもアメリカの政権移行期でのオバマ新政権への牽制にあるのでしょうが、これで早期の和平交渉は出来なくなりオバマ新大統領もしばらくは動きがとれなくなるだろう。

パレスチナ問題では2006年の7月から8月にかけてのイスラエルとヒズボラとの戦争がありましたが、レバノン南部でも戦闘が再開される可能性がある。イスラエルはガザ地区のハマスとレバノン南部のヒズボラに挟まれた形となり、二正面作戦を強いられる事になるかもしれない。四国ほどの国土面積と700万人ほどの人口では、とても戦争が出来る国ではないのですが、アメリカの援助で戦争をやっている。

イスラエルはアメリカの援助なしには存在し得ない国であり、アメリカからの援助が無くなればすぐに消滅してしまうだろう。だからイスラエルはアメリカでのロビー活動に国運をかけて行っているのであり、連邦議会選挙などにも干渉を行って反イスラエル的な議員に対する相手候補への応援などによって、連邦議会議員はイスラエルの顔色を伺いながら外交を行なうようになってしまった。

これは民主主義政治への侵害行為でもあるのですが、在米ユダヤ人団体は政治活動に熱心であり、豊富な資金力でマスコミをも自在に動かしている。一般のアメリカ人は単純な国民が多いからマスコミのプロパガンダに簡単に乗せられてしまう。9・11テロ事件も謎が多いのですが、テレビ報道などでサダム・フセインがテロに関係あるかのように報道されてイラク戦争が始まってしまった。

つまり民主主義政治は愚民政治化しやすくて、それは最近の日本の政治にも当てはまる。国の支配層にとって見れば大衆は騙されやすい愚民であってくれたほうが都合がいい。テレビでキャスターが「小泉改革を支持しよう」とキャンペーンを張れば選挙で300議席も自民党が大勝した。愚民はテレビは真実を報道していると信じているのだ。

しかしイラク戦争が5年も続いていればアメリカ国民も騙された事に気が付いて、イラク戦争からの撤退を主張するオバマ氏が大統領選挙に大勝して選ばれましたが、イスラエルにとってはアメリカ軍がイラクから撤退する事は脅威であり、オバマ新政権に対してイスラエルロビーは必死の工作活動をしている事だろう。

民主主義国家に対しては、国会議員に対するロビー活動は非常に有効的であり、場合によっては金や女で買収できる。日本でも国会議員のスキャンダルはマスコミによって暴露されて議員は失脚してしまう。アメリカや中国の工作機関は国会議員たちのスキャンダルを収集しては、言う事を聞かなければ暴露して失脚させる。

アメリカにおけるイスラエルロビーが非常に強力なのもモサドという諜報機関があるためで、能力はCIAをも上回るほどで、アメリカ政権内部にも深く食い込んでいる。イスラエルロビーの次に強力なのはチャイナロビーであり、アメリカの大統領は時間が経つにつれてイスラエル寄りで中国寄りになっていく。

このようにしてアメリカとイスラエルは一体化して、世界から白い目で見られるようになり、もしかしたらアメリカとイスラエルは一緒に滅亡の道を歩むのかもしれない。アメリカにはユダヤ人は3%ほどしかいないのですが、非常に強力なロビー活動と工作機関の働きでアメリカの国益が損なわれている。しかしその事に愚民化したアメリカ人は気が付かない。


米新大統領の中東政策の行方は?(4)(『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』の要約から[3]) 12月14日 土井敏邦

中東地域には米国にとって大切な3つの利益(インタレスト)が存在する。1番目は、ペルシャ湾で産出される石油が世界中に輸出される仕組みを維持すること。2番目は、大量破壊兵器(WMD)が中東地域、ひいては世界中に拡散するのを防ぐこと。3番目は、中東地域から送り出されるテロリストによる反米を標榜するテロ攻撃を抑え込むこと。

しかし多くの場合、〈イスラエル・ロビー〉に属する諸団体が推進している政策は、米国の中東地域における利益を損なってきた。([2]p.10)

〈イスラエル・ロビー〉はまず、米国の対イスラエル支援が継続されることを確かなものにするために活動する。次に中東地域でのイスラエルの利益、とくに安全保障が確保されるよう、米国の力を利用しようとする。

最近では、〈イスラエル・ロビー〉は、米国の立法府、行政府の指導者に働きかけを行い、次の2点を米国政府に求めている。まず米国政府の力で、イスラム教シーア派を武装解除する。続いて、レバノンがイスラエルの友好国となるよう米国が手助けをする。

〈イスラエル・ロビー〉を形成する主要な団体は、米国政府がある程度の規模の米軍を、中東地域に派遣するよう促している。それはイスラエルに対する様々な脅威に対処させるためだ。([2]p.12)

イスラエルを強く支持する人々は、米軍がイラクから撤退し、中東地域から他へ転進することに反対している。米軍が中東地域に駐留することで、イスラエルの敵国に脅威を与えるからであり、米軍がそれらの国に対して行動を取る必要に迫られるからだ。([2]p.12)

米国の政策決定者たちにとって、イスラエルの敵を打ち倒すという戦略が、米国の敵を打ち倒すことにつながるのだ。イスラエルと〈イスラエル・ロビー〉は共同して、自分たちのこうした主張を現実なものにしようと、米国内で活動し始めた。

イスラエルと〈イスラエル・ロビー〉の努力は実を結んだ。ブッシュ政権は徐々に、イスラエルへの脅威は米国への脅威でもあるという〈イスラエル・ロビー〉の主張を受け入れるようになった。([2]p.15)

米国の中東政策は、イスラエルを利することを目的に決定されている。イラク戦争開戦前後、多くの評論家や政治家は、次のように主張していた。「ブッシュ大統領の中東政策とイラク戦争開戦の決定には、部分的ではあるがイスラエルを利する意図がある」([2]p.17)

〈イスラエル・ロビー〉は、米国の中東政策に大きな影響を与えているのか? もしそうならば、そうした米国の中東政策は、米国やイスラエルの利益にかなっているのか。最初の疑問に対する答えは明らかに「イエス」だ。2番目の疑問の答えは「ノー」である。([2]p.17)



(私のコメント)
日本はイスラエルとは違って、工作機関は持ってはいないしロビー活動も経済問題に限られている。またイスラエルとは違って国家存亡の危機には直面していないから、イスラエルのやっていることは非常識に見える。しかし日本の隣にはイスラエルと同じように国家存亡の危機にある韓国があり、アメリカや日本の援助が無ければ成り立たない国家だ。

韓国にはKCIAといった工作機関があり、日本には民団という政治団体がロビー活動をしている。これはアメリカとイスラエルの関係とダブル関係であり、他人事ではない。チャイナロビーも在日中国人が増大するに連れて影響力が強力になってきた。長野で行なわれた聖火リレーでは五千人もの中国人が動員されて長野市は中国国旗に埋め尽くされてしまった。

このように民主主義国家は独裁国家に比べると非常に脆弱であり、愚民化され易くて、民主主義国家は国民の民度が高くないと上手く機能しない制度だ。正月のテレビ番組を見ているとバラエティータレントがバカバカしいゲームなどの番組が溢れている。これはアメリカでも同じでありニューヨークが何処にあるのかも知らないアメリカ人が多数いる。彼らが興味あるのはセックスとスポーツだけであり、アメリカ軍が中東でなにをしているのかも知らない。

結局はオバマ大統領に代わってもアメリカはチェンジ出来ずに、経済も破綻してイスラエルと共に滅びるのだろう。アメリカ国民がもう少しまともだったならばイラク戦争も起きなかっただろうし、イスラエルにこれほど引きずり回される事も無かっただろう。そんなアメリカに属国となっている日本はもっと救いがたいのですが、せめてアメリカとイスラエルの滅亡の巻き添えだけは食ってはならない。




省力化技術の発展により営農の適正規模が飛躍的に増大した
にもかかわらず,小規模農家に農地が滞留していることである。


2008年12月29日 月曜日

年商9000万円の農家が出現、IT企業よりも
農業に参入したほうが成功する確率は高い。


減反政策見直しへ、廃止を含め石破農相が示唆 12月28日 読売新聞

石破農相は28日、都内で記者団に対し、コメの作付面積を抑えて価格維持を図る減反政策を見直す考えを明らかにした。

 コメの生産への政府の関与を弱める方向にかじを切るもので、2007年夏の参院選で自民党が敗北する以前の政策に近い。自民党や農協の出方次第では、難航が予想される。

 石破農相は28日午前、都内で記者団に対し、「農業の持続可能性が失われている原因の一つは生産調整(減反)」と指摘した。さらに、減反をやめた場合のコメ価格への影響を試算したうえ、廃止も含めて「いろいろな角度から早急に検討する必要がある」と述べた。2009年夏までに一定の結論を出したい意向だ。

 減反をやめれば過剰生産でコメの価格が下落し、農水省が育成している大規模農家ほど悪影響を受けることが想定される。このため、段階的な廃止や、所得維持のための安全網(セーフティーネット)の構築を検討する。

 減反は1971年から始まった。30年以上続いてきたが、価格維持の効果が薄くなってきたことなどから、国は07年度から政策を転換した。国の役割は生産量の目安を示すだけで、農家側が実際の生産量を決める仕組みになった。

 しかし、過剰生産に陥って07年産米の価格は一時大きく下落し、農家の反発は夏の参院選での自民党敗北の一因になったとされた。その反動で、自民党の主導により08年産米から再び国や自治体の管理が強まっている。


戦後日本の農業保護政策 (明治学院大学)神門 善久 

戦後の日本農業における最大の矛盾は,省力化技術の発展により営農の適正規模が飛躍的に増大したにもかかわらず,小規模農家に農地が滞留していることである。本報告では,農地の滞留の原因を農業政策の歪みという観点から説明する。

機械化の普及過程や投入労働時間など,生産技術の面から戦後の日本農業を観察すると,1980 年頃には大規模農家(10ha 程度以上)が可能になっていたことを確認できる。1975 年には農用地利用増進事業が発足するなど,制度的にも大規模農業が成立する要件は整っていたと考えられる。

しかし,1995年現在で,いまだに都府県農地の四分の三は3ha 未満という農地改革以来の小規模農家に滞留している。明確な規模に関する収穫逓増が成立しているにもかかわらず,四半世紀以上にわたって農地の集積が遅れており,政策の歪みの存在を強く示唆している。

政策の歪みの典型として,減反政策,農地政策,農協政策の三つが指摘できる。減反政策は,いわば政府主導の生産カルテルである。生産効率の高低に関係なく全ての農家にほぼ一律に作付け面積の削減が課せられるため,大規模農家をとくに不利にする。たしかに,減反政策のおかげで米価が支持されるから,その意味では大規模農家ほど減反の恩恵を被っているともいえなくはない。

しかし,過去の生産関数分析の結果によれば,減反と高米価のポリシーミックスは,大規模農家を相対的に不利にすることを示している。そもそも,カルテルに頼るようでは農家の発意を減退させるから,この点でも企業的な大規模農家の存立を阻害する。

農業政策の歪みの第2 は,農地の転用規制である。表向きは,農地法ならびに農振法(農業振興地域の整備等に関する法律)によって厳しく転用が禁止されているが,実際には規制の運用が曖昧で,政治力次第で公共事業などの転用機会が発生し得る。ひとたび転用となれば莫大なキャピタル・ゲインが発生し,農家は農業経営ではなく転用期待で農地を保有し続けようとする。

所有権と利用権の分離が不完全なわが国にあって,せっかくの転用機会遭遇時に離作補償を強いられるのを避けるため,小規模農家は農地の貸出にさえ慎重になる。また,大規模農家が集落全体の農地を席捲しているよりも,小規模の多数の農家がドングリの背比べ状態をしている方が,票数も多くなるから,政治家に公共事業誘導などの圧力をかけるにも優位になる。

農業政策の第3 の歪みは,農協制度である。農協の組合長は農家間の選挙で選ばれるから,少数の大規模農家よりも多数の小規模農家の利益を優先する傾向がある。もともと金融業は政府による規制と保護が強かったが,農協の信用・共済事業の利益はとくに優遇されていた。この利益を背景に,共同販売や共同利用事業などを赤字でおこない,小規模農家を助けた(大規模農家は自力で設備投資をしたり流通チャネル開発をなしうるので,農協の共同販売・共同利用事業の最大の受益者は小規模農家と考えられる)。

このような歪んだ諸政策が採用された背景には,農水省自身が陰伏的であれ,小規模農家を滞留させたいという意図があった可能性を窺わせる。伝統的な小規模農家群は,居住地域が固定しており,用排水管理などで互いに監視し合うなど,票田としては魅力的な性格を持っている。昔ながらの小規模農家群が滞留している状態は,農業生産上は不効率であるが,政治力学上は強力である。農水省が農家と政治家の凭れ合いを促し,予算や人員確保に利用した可能性がある。

ただし,1990 年代中頃以降,農家の政治力に変化の兆しがある。新食糧法の制定やWTO 体制の発足も要因としてあげられるが,より重要なのは農家と政治家の橋渡し役をしてきた農協の経営基盤の弱体化である。従来,農協経営を支えていた信用・共済事業の収益性が劇的に低下した。

経済力を失えば農協の組織力・政治力も早晩喪失する。もちろん,一朝一夕で農業政策を巡る政治力学が変わるものではないが,1990 年代中頃以降,農業において市場原理がより強く作用する局面に移行した可能性がある。実際,農業予算面でも,公共事業の比重がゆるやかに低下しはじめるなど,政治力学の変化を窺わせる。

なお,本報告は,速水・神門「農業経済論」(岩波書店から近刊)の第9 章をベ−スにしている。



(私のコメント)
今年は石油と共に食料価格も暴騰して、米の輸出を禁止する国も出てくるようになり、食料自給率40%の日本において農業政策の見直しが叫ばれている。昨日の「報道2001」でも石破農水大臣や田中義剛氏をゲストに討論が行なわれていましたが、田中義剛氏は年商40億円の農家を経営しているタレント兼農家です。

年商40億円ならりっぱな中堅企業ですが、販路さえ開拓できれば農業ほど確実に儲かる商売はないと思う。少し前はIT企業が花形でありホリエモンや村上ファンドが時代の寵児と呼ばれましたが、今や金融業は破綻が続出してホームレスになるものが続出している。IT企業の社長ともなればモテモテでアイドルや女優さんとの結婚も話題になりましたが、農家には全く嫁の来手がないと言われていました。

サンプロでも以前に年商6000万円の農家の青年が紹介されていましたが、やる気さえあれば一人でも出来るしIT企業よりも儲かるのではないかと思う。にもかかわらず若者は実家の農家を継がずに都会に出てきて派遣などの仕事をしていますが、年収は200万円そこそこだ。


食糧自給率が40%しかない日本に大量の移民がやってきたら日本はどうやって彼らを食わせて行けるのだろうか? 2008年6月1日 株式日記

日本は必要な小麦、大豆、とうもろこし等、どこからも輸入できなくなり、日本国民が食べるものがなく飢えに直面するという事態に陥ります。 2008年7月22日 株式日記

高齢化と飼料高。今後、廃業する生産者は増えていく。それに応えるために、はざま牧場のような大規模農家におのずと集約が進む。 2008年7月28日 株式日記

現実の国際社会では、自国の国民も苦しいときにほかの国に食料を分けてくれるような国はないのだ。結局頼れるのは自国の農業しかない 2008年8月17日 株式日記


今年は食料がらみの問題が多く噴出した年であり、中国からの毒入りギョーザ事件もありましたが、汚染米の転売事件もありました。さらには世界的な穀物投機による暴動の多発などがあり、これらの事件は日本の農業を見直さざるを得ない事を示している。減反政策も食管制度の失敗からきているのですが、国民が米を食べなくなって米が余るようになったら国が買い上げる意味がなくなったのだ。

戦後教育でアメリカからパン食が強要されて給食もパンになった。米を食べるとバカになるとも言われた。アメリカの余剰作物を日本に押し付けるためだったのですが、最近になって小麦が高くなりパンも高くなって米が見直されるようになった。国内産の米と国際価格に差が無くなり、国内産の米も努力すれば輸出商品になる可能性が出てきた。

神門善久氏の記事にもあるように、日本の農家の4分の3が3ヘクタール以下の零細農家であり、生産の機械化や合理化で個人でも10ヘクタールの農地が耕作できるようになったにもかかわらず集約化が進んでいない。これは小規模農家の農地の貸し出しに慎重なためであり、農業は放棄しても農地は絶対に手放そうとはしない。だから日本全国に耕作放棄地が続出している。

これは公共事業などで転用されるようになれば農家には莫大な農地売却益が生じるためだ。例えば高速道路や新幹線が通るようになって用地買収などで農家には莫大な売却益が生じましたが、地方では高速道路に車が走ろうがどうでも良くて、用地買収による利益が目的なのだ。だから農家は絶対に農地は手放さない。人に貸すより耕作を放棄したまま持っていれば農地は農地であり税金が安く済む。

だからこれ以上高速道路や新幹線は作りませんと宣言して、農家の思惑を潰す事だ。むしろ農地法を改正して農業をやりたい人が参入しやすくする政策が必要ですが、農地法の改正は先送りにされている。大規模農家が農地を借りて耕作できるようになれば米の単価も下げられて、大規模化が一気に進むだろう。

マスコミでは農家の人口が減っていると問題にしていますが、大規模化には好都合な話であり、若い人が農業を継がないのなら農地は大規模農家に貸して収入を得るようにすればいい。しかし政治の怠慢が農業の近代化を遅らせているのであり、政策の歪みの典型として,減反政策,農地政策,農協政策の三つが指摘できる。

これからの日本の農業政策は大変動が起きて、新規参入や大規模化の競争が起きて、日本の米作りは一変するだろう。先進国ほど農業の合理化が進んで生産性が高くヨーロッパの国も食料輸出国になっていますが、日本の農業は後進国のままだ。石油が高くなり食料も高くなり国内と海外とのコスト差が無くなりつつあって、思い切った農業政策の転換で農業も輸出産業の仲間入りが出来るようになるだろう。




ゴールドマンサックスはリーマン破綻で350億ドルもの大金を手にした。
これからもCDS保険をかけて次々と潰してGSは保険金を手に入れる。


2008年12月28日 日曜日

米金融界が米国をつぶす  11月28日  田中 宇

▼裏で公金処理されたリーマンCDS

 米金融当局はCDSをめぐっても、財政破綻につながる公金の浪費(もしくは詐取)をしている。私は以前に「CDSで加速する金融崩壊」という記事を書き、破綻したリーマンブラザーズのCDSの清算時に、いくつかの金融機関が合計3000億ドル前後の巨額の支払いを義務づけられるのではないか、と書いた。

 実際には、リーマン関連のCDSでは、総額60億ドルの支払い義務しか発生しなかったと、とりまとめ役となった組織(DTCC)は発表した。しかし、フランスの大手銀行BNPパリバの幹部は、どうみても支払総額は2200億から2700億ドルはあったはずだと言っている。関連記事

 不可解と思いつつ、しばらくウォッチを続けていると、11月になって「ニューヨーク連銀が、破綻した大手保険会社AIGを救済するという名目でAIGに入れた資金の一部は、AIGが引き受け、ゴールドマンサックスなどの米欧の金融機関が保有していた、リーマンなどが発行した債権にかけられていたCDSの保険契約を清算するために使われ、資金はゴールドマンサックスなどに支払われた」という指摘が出てきた。(関連記事

 保険会社であるAIGは、保険の一種であるCDSを巨額に引き受けており、その中にはリーマン関連の債権に対するCDSもあった。それらの債権自体は、ゴールドマンなどが所有していた。リーマン破綻によって、ゴールドマンなどはAIGから保険金(清算金)を受け取る権利を持ったが、AIGが破綻すると、CDSの保険契約自体が無効になり、支払いを受けられない。ゴールドマン出身のポールソンは、公金を投入してAIGの倒産を防ぎ、AIGの株式の8割を米政府が買収して経営権を乗っ取り、AIGに投入した公金を使って、ゴールドマンなどが持っていたリーマン債権などに対するCDSを清算し、損失の発生を回避した。関連記事

 こうした資金の動きを、米政府は発表していない。裏側でAIGを経由した公金が使われたため、リーマン破綻にともなうCDSの表向きの清算額が小さくなったと考えられる。米当局はあちこちに巨額の不透明な公金投入をしたから、AIG経由以外にも裏側の経路が作られ、ゴールドマンなどがかけていたCDSが公金で清算された可能性がある。

 AIGには、総額1500億ドルの公金が投入された。そのうちわかっているだけで350億ドルが、ゴールドマンのほか、メリルリンチ、ドイツ銀行、UBSなどに、CDSの保険金として支払われた。ここでもドイツやスイスの銀行を仲間に入れることで、本質を見えにくくする仕掛けが作られている。

 リーマンのCDSが意外な少額で清算されたと発表されたとき、金融危機の拡大を恐れる金融関係者らは喜んだが、これはぬか喜びだった。実は、CDSは裏で公金で救済され、今後、米財政赤字の急拡大による財政破綻やドル崩壊という、最悪の事態が逆襲してくるだろう。

 AIG救済策を主導したのは、ティモシー・ガイトナーが総裁をつとめていたニューヨーク連銀だった。ガイトナーはオバマ政権の財務長官になる。金融機関を救う代わりに米財政を破綻させるやり方は、オバマ政権にそっくり継承されそうである。



大恐慌入門 ― 何が起こっているか?これからどうなるか? 朝倉慶:著

CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が崩れたら世界は破滅するしかない

問題は図(31頁)のように急拡大したCDS市場なのです。詳しくは後述しますが、CDSは金融商品の元金を保証する保険のようなものです。その想定元本は、現在でも5400兆円と世界のGDPに匹敵します。CDS市場には株式市場や債券市場、為替市場といった公の市場はありません。相対取引です。それゆえCDSの売り手、すなわち保険を引き受けたほうは、損害がでたら保証しなければならないわけですが、この売り手がそれに見合うだけの資金を持っているのか公開されていないのです。いわばいつパンクするかわからないわけです。

このCDS間題が、今回の金融危機を巨大な規模に拡大し、まさしく未曾有の危機にまで追いつめている原因といってもいいでしょう。私は、ベアー・スターンズが破綻した後の2008年4月5日の時点で、このCDSの問題についてのレポートを書いています。少し長くなりますが、ここに引用してみます。(中略)

AI.G破綻もCDSの巨額損.が致命傷になった

最近ようやく話題となってきたCDSの問題ですが、すでに2007年4月から私のレポートは、今回の危機について指摘してきました。そして予想通り、CDSが爆発しかかっています。このレポートで指摘した、AIGの展開と今後の動向を予想してみたいと思います。

まず、このレポートで指摘したように、早くからCDSのビジネスが危ないと判断して、撤退していたAIGが破綻したという事実です。これは何を物語るのでしょうか? CDSの契約は5年程度が多く、その他、ケースバイケースでいろいろあるのですが、すべてはオーバー.ザ.カウンターと一言って、店頭取引すなわち市場を通さない相対の取引なのです。

保険会社であったAIGは当然、保険の引き受け手、すなわちCDSの売り方だったわけです。そしてAIGが、その保険を引き受けていた2005年当時の経済状況は、極めて好況でした。すなわち、倒産が起こることなど考えられなかったのです。また、このビジネスにヘッジファンドやモノラインなどが大挙して参入してきた時期だったのです。そのため保証料すなわちCDSの値段はかなり安くなっていました。いわば、AIGとしては、ただのような金額で様々な金融商品を保証してしまったということなのです。

AIGは2005年にCDSから撤退しました。しかし、すでに契約していた膨大な保証(CDSの売り)が残ったわけです。1,2年は問題がなかったのですが、2007年から状況は一変します。折からの不況の始まりから、保証料が考えられないほど急騰したからです。AIGにしてみれば、すでに保証契約(CDSの売り方)を結んでいるものが、極めて安い値段で契約されているわけです(2年前の状態で安く契約したから)。

保険会社の感覚でいえば、5万円取らなければならない保険料を1万円で引き受けたようなものでしょうか。そのためAIGは決算期ごとに、その損失を決算に計上していきます。いわば、安く保険を引き受け過ぎたための損失(CDSを売っているのに、急騰して損失が膨らむ)です。それでも毎期損失計上できているうちは良かったのですが、9月のリーマン・ブラザーズの破綻によって、いよいよ行きづまってしまったというわけです。

AIGの最大の取引先はゴールドマン・サックスと言われています。CDSを決済せずに破綻させるわけにはいかなかったのです。すでにFRBから9兆円の融資を受けました。それでも足りず、今回わずか2ヵ月で、6兆円の追加資金投入になったのです。AIGのCDSの引受額は50兆円と言われています。まだまだ損失が膨らむ可能性は高いと言わざるを得ません。なぜなら、現在の急激な景気悪化で、今後も企業の破綻が続出するからです。保険金を払えなくなったAIGに代わって、米国政府が焦げ付いた保険料を払ってくれるというわけです。

問題は、いまでも残っている想定元本5400兆円と言われるCDSがどこにあるのか? そしてその引き受け手は、支払能力を持っているのか? ということです。レポートでも指摘したようにヘッジファンドが引き受け手となっているCDSが決済される可能性は、その額の大きさから不可能と考えられます。しかし、鳴りを潜めて、一切話は出てきません。いったいどこへいったのか? 金融機関が絡んでいないわけはないのです。AIGでさえ、払えなかった保険料がどうやって支払えるのか? 実態は深い闇の中です。

ここへ来てCDS危機が叫ばれるようになり、この問題解決のための議論が盛んにされるようになりました。そして、極めて当たり前の結論なのですが、この取引は市場でやるべきである、いわゆる株式市場や債券市場のように透明性を持った市場を構築するべきである、という話になってきたのです。2008年11月のG20においても、このような提案がなされていますし、ブッシュ大統領自らも、このCDS市場について言及しています。あたかもこの市場の取引所が作られれば、すべてが解決できるかのように。

そしてシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は、CDS市場の取引所を創立すべく名乗りを挙げました。これら一連の動きは、訳のわからないCDS市場の実態を明らかにし、今後、問題が拡大したり決済不能というようなことは起こさなくなるだろうということで、世間的には高い評価を受けています。

ところが、本当の事情通は、このような市場ができるわけがない!と確信しているのです。なぜかと言えば、そんなことをすれば、CDS市場の実態が明らかになるだけだからです。すでに書いているように、この巨額なCDS市場の損失は、いま現在も景気悪化から膨らみつつあり、それを引き受けたヘッジファンドの約170兆ドルという現在の資産価値から言って、決済できるわけがないのです。何しろ想定元本約5400兆円です。あの世界一の保険会社AIGが、やっと国の力を借りて決済しているものが、どうして私企業のヘッジファンドにできるというのでしょうか?

ヘッジファンドのCDS市場でのシェアは60%もあるのです。しかも2005年に撤退したAIGと違って、その後も続けていたのです。損失は天文学的数字となっているに違いありません。そんなものを、いま明らかにすることはできないのです。明らかにしたとたんに、世界の金融どころか、中央銀行、国家までもが破綻してしまうでしょう。

今回の危機が始まってから、様々な会議が開かれました。2008年4月のG7では、SIV(特定目的会社)の連結化が言われましたが、結局いまに至っても実行されず、かえって逆行して、時価会計の凍結となりました。提案とは逆に粉飾会計に動いているのです。今回また、同じような提案がなされ、評価されていますが、これも2009年の3月と謳っているだけで、いざとなれば、できなくなるのは必至なのです。なぜかと言えば、明らかにすれば世界が終わってしまうからです。

ブッシュ大統領は「非常に成功したサミツトだった」と2008年11月にワシントンで開催された金融サミットを自画自賛しました。また、麻生総理は「後世、歴史的なものと言われる。短期、中長期の対応が具体的な行動となったことは高く評価される」と述べました。まったく茶番劇もいいところです。

このような対応を見ていると、現在の危機は、隠しに隠して先延ばしされていますから、ある日突然、といった形の崩壊となる可能性が強いと考えられるでしょう。それはどこからでもやってきます。スイスやヨーロッパからくるかもしれませんし、中国かもしれません。もちろんアメリカの可能性も高いでしょう。いずれにしても、残された時間は少ないのです。



(私のコメント)
書店には金融恐慌関係の本が山積みされているのですが、どれを読んでいいのやら分からないくらいになっています。私もいろいろな本を買い込んでいるのですが、全部が全部紹介できないのですが、『大恐慌入門』はとても分かりやすく問題点を指摘している。

{株式日記」でもCDSの問題は何度も書いてきましたが、アメリカ政府は当面は公的資金ですべての破綻を先送りにしている。ビックスリーに対しても1兆5千億円で当面の危機は回避しましたが、ブッシュ大統領はイラクで靴をかわしたように危機を先送りにして逃げ切るつもりだ。

イスラエルがガザ地区を爆撃して220人もの死者を出しましたが、アメリカからのGOサインがあったからだろう。イスラエルはアメリカの後ろ盾なしには戦争は出来ないから、このような軍事行動は出来ない。へたをすればヒズボラとの全面戦争になり、ヒズボラの後ろ盾となっているイランとアメリカとも緊張が高まる。アメリカ政府は金融恐慌をイランとの戦争で吹き飛ばそうというのだろうか? イスラエルとしてはオバマに大統領が代わってしまうとイランは叩けなくなる。

オバマ新大統領になるとイラクから16ヶ月以内にアメリカ軍は撤退しますが、アメリカの対イスラエル政策はどう変わるのだろうか? アメリカは国内に金融問題を抱えて外交では中東問題を抱えて、一番微妙な時期に大統領が交代する。

田中宇氏によればオバマ大統領も金融機関を救って財政を破綻させるつもりのようですが、アメリカ政府そのものが国際金融資本に乗っ取られた政府であり、世界をゴールドマンサックスのような投資銀行が世界を金融で動かしてきた。ところがサブプライム問題から火の手が上がってきて、アメリカそのものが破綻しかねないほどの金融危機が襲っている。

その中でゴールドマンサックスだけが焼け太りのような形で、大金を手にするシステムを考え付いたようだ。田中宇氏の記事にもあるようにAIGが保有していたCDS保険債権はゴールドマンサックスが大量に保有していた。ゴールドマンサックスはわずかなCDS保険手数料を支払っただけで、リーマンが破綻したことで保険金が入る事になった。

ところが保険金はAIGが払うことになっており、AIGが潰れれば保険金が支払えなくなるから、ポールソン財務長官は急遽AIGを救ったとされる。なぜリーマンが潰されてAIGが救われたのかはいろいろ言われましたが、ゴールドマンサックスがリーマンがらみの債権を大量に保有して倒産保険金をがっぽりと350億ドルも得たらしい。

アメリカの金融界ではこのようなハゲタカがうようよしていて、次はどこかという噂が絶えない。CDSの保険金を支払って権利を得て、該当の会社を破綻させれば、これほど有利な投資は無いだろう。保険を引き受けたAIGは国営会社になっているからとりっぱぐれは無くなる。

財務省やFRBは公的資金を大量に使って金融機関や企業を救済しているが、その影では公的資金を得て利益を得ているハゲタカがいるのだ。CDSは相対取引であり不透明な取引であり、清算もどのように行なわれたのかが政府も公表しない。CDSも市場取引にする動きもあるようですが、CDSの問題は全く不透明であり実態が分かるとパニックになる恐れがある。

AIGも3年前からCDSはまずいという事で撤退していたのですが、それでも巨額な保険を引き受けてしまって国有化されてしまった。しかしそれ以降もヘッジファンドやモノラインがCDSに参入してきて爆発的に拡大している。ビックスリーですら破綻の危機に直面しているのだから、いつCDSの保険金支払い義務が生ずるかもわからない状況で、その規模は6600兆円にも達する。

もちろん保険を引き受けているところはそんな金があるはずも無い。財務省とFRBは空手形を切って問題を先送りにしていますが、問題が大きすぎて企業を潰せないのではなくて、問題が大きすぎて政府でも救えない状況が生まれつつある。ビックスリーも潰せは300万人の失業者が生まれるし、救うにはこれからどれだけの資金を投入したらいいのか見当もつかない。

CDSの実態もここがどれだけの保険を引き受けているのかがまるで分からないのですが、リーマン破綻の清算も金融機関が3000億ドルほどの支払いをしなければならないはずなのに、DTCCでは60億ドルの支払いですんだと発表されている。しかしゴールドマンサックスだけでもその数倍の保険金が入っているはずなのだ。AIGが国有化されたことで実態がますます分からなくなっている。

結局はビックスリーが破綻するとCDS爆弾が破裂してアメリカ経済が吹っ飛ぶ可能性があるからですが、FRBは自動車住宅ローン会社GMACまで銀行として認める決定をしているが、GMも金融機関であるという理屈で政府資金を使うのだ。それほどアメリカの金融が追い込められているという証明だ。


GMAC、TARPから60億ドルの融資申請か=クレジットサイツ 12月27日 ロイター

[ニューヨーク 26日 ロイター] クレジットサイツによると、米自動車・住宅ローン会社GMACは、政府の不良資産救済プログラム(TARP)から60億ドル程度の融資を申請した可能性がある。

 また、資本増強に向け、政府保証債を最大175億ドル売却する公算が大きいという。

 米連邦準備理事会(FRB)は24日、GMACの銀行持ち株会社移行を承認した。これにより、GMACは財務省によるTARPの対象となる。

 クレジットサイツのアナリスト、リチャード・ホフマン氏とアダム・スティア氏は「GMACは(TARPから)最高で63億ドル前後の(融資を)申請した可能性があるとみている」と述べた。

 また、暫定流動性保証プログラム(TLGP)のもとで承認されれば、GMACは連邦預金保険公社(FDIC)が保証する債券を最大175億ドル売却できるようになる可能性があるとした。

 GMACには投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメント[CBS.UL]とゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N:)が出資している。



(私のコメント)
このような事が許されるのならば、企業はみんな金融子会社を作って銀行にしてもらって、政府保証債をバンバン売って資金を得ればいいのかもしれない。しかし結局破綻すれば政府が支払いを引き受けることになってアメリカ政府の信用が損なわれて行く。ファニーメイやフレディマックやAIGなどが国有化されて、GMも政府保証で債務を引き受けて、アメリカの国家破綻は可能性が大きくなっていくのだろう。




村山社会党党首の談話や河野洋平の談話を「党是」とする自民党は
左翼政党に変わった。だから田母神論文は容認できず処分したのだ。


2008年12月27日 土曜日

更迭された田母神俊雄航空幕僚長の論文を読んでみた 11月1日 宮島理

 更迭された田母神俊雄航空幕僚長の論文「日本は侵略国家であったのか」を読んだ。要約してみる。同意できる部分には「◎」、同意できない部分には「×」、判断しづらい部分には「△」をつけた。


△大陸における国際法上合法的な権益を守るために日本は合法的に軍隊を動かした。
◎中国国民党のテロ行為により大陸における日本の軍事行動は泥沼化した。
△張作霖列車爆破事件、廬溝橋事件、日米開戦にはコミンテルンの関与があった。
◎日本が侵略国家であるなら列強すべてが侵略国家である。
◎日本は比較的健全な植民地統治を行い満州、朝鮮、台湾を発展させた。
◎日本の植民地統治では、現地人の教育、階層移動が行われた。
◎対中融和外交が日本の一貫した外交方針であった。
△ハルノートを受け入れたとしても最終的に日米戦争は不可避であった。
×大東亜戦争によって非白人国家が解放された。
×東京裁判は日本にすべての責任を押し付けるためのマインドコントロールだった。
×マインドコントロールによって日本のあらゆるシステムがアメリカ追従となっている。
◎集団的自衛権も行使できない歪な日米同盟は改善されるべきだ



 以上。ここからはすべて私のコメントである。
 戦前の日本は、大陸に巨大な権益を抱えており、国民もその権益護持を期待していた。そのために必要に応じて軍隊を動かすことは当時の常識的な発想である。これは日本だけでなく、当時の列強すべてがそうだった。現在のように独立国家が自由な市場システムを共有している世界ではないため、広大な「市場外」を列強が軍事力で奪い合っていた。

 日本の外交方針は、一貫して協調外交路線であった。それは、対中国だけでなく、対アメリカもそうだった。しかしながら、中国国民党によるテロ行為が続いた。「われわれが血を流して獲得した大陸権益を守れ」と叫ぶ国民と、「われわれが汗を流して獲得した道路計画や年金計画を守れ」と叫ぶ国民とは同じである。だからいつの時代も国民は政府を非難して、自分たちの「生活」に積極介入させる。軍部も「省益」のために暴走した結果、日本は泥沼の戦争に突入した。

 日本の植民地統治は比較的健全であり、フェアなものだった。日本は収奪するどころか、与えるものの方が多かった。戦後日本の「謝罪と賠償」は、戦争に負けたことによるペナルティと、関係各国の「心の傷」に対するものである。対韓国で賠償金ではなく経済援助という形になったことが代表的な例だ。

 以上のような点では、田母神論文に同意できる。日本はいつまで敗戦のペナルティを負い続け、関係各国の「心の傷」に配慮しなくてはならないのかという苛立ちもわかる。ただ、同意できない点もある。

 コミンテルンの関与については、私もある程度はあったと思うが、その種の工作はお互い様という気もする。いろんな勢力がどんな工作をしようと、国家の戦略や外交がしっかりしていれば、破滅に至ることはない。

 たとえば満州事変は日本側の工作だったが、その後、インドシナ半島に侵攻したりせずに、あくまで満州で既成事実をどんどん積み上げていれば、軟着陸も可能だったのではないか。また、ハルノートにまで事態が悪化したとしても、適当に守るふりをして、ゆるやかな「冷戦」に持ち込むことも可能だったのではないか。日米による「権力闘争」は不可避だっただろうが、それが多大な犠牲を払う大戦争でなければならなかったかどうかは疑問が残る。

 もちろん、私が当時の日本にいて、時代の勢いに飲まれないという自信はない。おそらく、多くの国民と同じように、中国国民党のテロ行為に怒り、「暴支膺懲」という公憤に乗っかる一方で、泥沼化する状況に閉塞感を感じながら、何となく「南進」にも賛成して、真珠湾攻撃の一報で雲が晴れたような気分になっていたことだろう。後出しジャンケンで当時の状況を一方的に断罪するつもりはないし、日本人でありながら戦勝国に便乗して日本を糾弾するような都合のいい頭の構造にもなっていない。

 大東亜戦争によって非白人国家が解放されたという意見には賛成しかねる。非白人国家の解放は、それぞれの現地人による努力の成果だろう。少なくとも、日本人の側から積極的に主張するようなことではない。あまり言い過ぎると、「日本はGHQのおかげではじめて民主化された」「日本は朝鮮戦争のおかげで高度成長できた」というような一方的な主張に似てくる。

 東京裁判によるマインドコントロールで、戦後日本がおかしくなっているという意見にも同意できない。確かに戦後日本は軍隊アレルギー、国家アレルギーが強かった。しかしそれは、マインドコントロールというよりも、極度の厭戦気分から来るものだったと思う。何でもかんでも「アメリカ、日本、自民党が悪い」としながら日米安保と自民党政治に依存する「戦後レジーム」感覚は、厭戦気分と現実世界との矛盾から生まれたものだ。

 しかしその厭戦気分も薄れ、現実的な感覚を取り戻しつつある。だからこそ、「日本は侵略国家であったのか」という神学論争に持ち込まれやすいテーマではなく、真正面から国家戦略、外交を論じた上で、集団的自衛権行使へと議論を進めてほしかった。田母神論文をダシに、国会やメディアでは神学論争と現実論をごっちゃにした状況が続くだろうが、いい加減そういった惰性は最後にしてもらいたい。もっとも、それは田母神氏自身がまいた種ではあるのだが。

「戦争が起きたら国のために闘うか」という問いに
日本は「はい」と答えた人が僅か15%しかない!
自民党が行なってきた「反戦教育」で日本は滅びる


田母神前空幕長の論文で思うこと(小野盛司) 11月12日 信州の泉

これは「戦争が起きたら国のために闘うか」という問いに答えたものである。日本ははいと答えた人が僅か15%、それに対してベトナムが94%、中国が89%という現実をどう判断するか。

 確かに、もう戦争などこりごりという気持ちは分かる。二度とあのような戦争に巻き込まれたくないという強い日本人の気持ちがあって、反戦教育となったのだろう。しかし、やりすぎたというのは、このデータからも明らかだ。愛国心が育っていない。日本は悪い国だと教えてばかりいたら、日本は守らなくても良い。中国や韓国に将来占領されても仕方がないではないか、あるいは米国の一つの州になっても仕方がないという気分になるのではないか。本当に愛国心を教えなくてもよいのだろうか。

 過去の戦争のように再び近隣諸国を占領せよと教える必要は無いし、それは絶対にやってはならないことだ。しかし、日本民族は立派な民族だと教えるのはよい。日本は守る価値がある国だと教えるのはよいことだ。戦争というものは、勝てば侵略も正当化されるし、負ければ侵略は非難され悪者扱いされる。しかし、我々が生まれる前に起こったことで永遠に我々が悪者扱いされるのはまっぴらだ。我々が生まれる前に起きた戦争に関しては日本は3勝1敗なのだから、75%が善、25%の悪で、そんなに卑下することはない。いずれにせよ、戦後生まれの我々は過去の歴史に対しては第三者的な立場で十分だ。



(私のコメント)
昨日の日本テレビの「太田総理の証人喚問」に、東京のテレビとしては始めての登場になる番組に出ていた。ワンドショーや「朝まで生テレビ」などでは本人不在の欠席裁判を行なっていたが、どこがどう問題なのかがよく分からない。国会でのテレビ中継も行なわれなかったのはNHKの自粛によるもののようだ。

テレビ中継も出来ないほどの内容なのかよく分かりませんが、うやむやのまま更迭されて定年退職で片付けられた。いったい田母神論文のどこが問題なのか二ヶ月近くたっていろいろなブログなどを読んでみても、どこが問題で処分対象になったのかが分からない。要するに自衛隊員は文民統制に従って何も言ってはならない、ということなのだろうか?

しかし「文民統制」という言葉が一人歩きをして、自衛隊員が政治的発言をすることが「文民統制」違反になるらしい。自衛隊員には言論の自由が無いのだろうか? 自衛隊員には共産党員だっているだろうし、民主党員だっているだろうし、公明党員だっているだろう。自衛隊は国民軍であり一政党に所属するものではない。

だから自民党の政策を批判する発言があったからと言って処分するのは問題ではないだろうか? 信州の泉の小野盛司氏の示したグラフを見てもらえば、自衛隊のトップとしては自民党を批判したくなる理由もよく分かるだろう。日本のために戦うという人がたったの15%しかいないのは異常ではないだろうか?

小学校の社会科で、学校の先生から「日本は侵略戦争を行なった犯罪国家」などと教え込まれてくれば、日本に誇りの持てない国となり日本のために戦うという人がいなくなるのは当然の話だ。自民党は左翼に妥協に妥協を重ねてきて政権を維持してきましたが、自民党は党是を守って野に下るという気がないようだ。その結果いつの間には自民党は保守政党から左翼政党になってしまった。

「村山談話」を踏襲するという事は「日本は侵略戦争をした犯罪国家」ということを認めたことであり「河野談話」を踏襲するという事は従軍慰安婦問題を肯定するという事であり、日本軍は組織的に韓国の女性を強制連行して強姦してきたという事を認めるということだ。従軍慰安婦は20万人もいたという話ですが、20万人も強姦したというのなら強姦によって生まれてきた孤児がかなりいるはずですが、ニュースなどでは聞いたことがない。

宮島理氏のブログでは具体的に論点を整理して同意、不同意、不明と分けて整理して論じているが、「×」の付いた三つの問題は意見の分かれるところだろう。東京裁判史観から見れば当然「×」なのでしょうが、東京裁判が公正に行われたものであるという人はいないだろう。にもかかわらず東京裁判史観を受け入れて戦後教育が行なわれてきたのだから15%という数字になったのだ。

マインドコントロールがあったかなかったかをマインドコントロールにかかった人に聞いても無かったと答えるだろう。酔っ払いが「俺は酔っ払っていない」と言っているようなもので、時間が経てば分かる事だ。大東亜戦争も60年以上経ってマインドコントロールから覚めてきた人も出始めたという事が、田母神論文の正体なのだ。

今までなら右翼の一部が言っているだけといわれていた事が、自衛隊のトップが言い出した事に自民党は慌てているのだ。田原総一郎などは自衛隊の言論クーデターだと騒いでいますが、マインドコントロールが効かなくなって来た事に慌てているのだ。テレビマスコミは国民をマインドコントロールするための道具なのですが、インターネットが出てきて、国民の中にもテレビの言っていることが正しいのかと疑問を持つ人が増えてきたのだ。

だから自民党は田母神氏がテレビに出ることを嫌うのであり、マスコミに圧力をかけてテレビに出させないようにしているのだろう。自民党は保守政党ではなくなった事で国民の支持を失い、野党に転落するのは時間の問題だ。これは小泉内閣で保守政党の支持基盤であった地方を切り捨てたことである。




経済至上主義は、人間不在、人間の奴隷化を生み、それは、
回りまわって自分の首を絞め、結局、自分をも不幸にしていく。


2008年12月26日 金曜日

「ハケン切り」の品格 12月24日 小田嶋隆

 メディアの報道ぶりを見ていると、派遣社員を解雇した受け入れ先企業の冷血を責めるテの議論が目立つ。突然過ぎるじゃないか、と。

 でも、本当のところ、現行法からすれば、雇用責任の過半は、派遣先企業にではなくて、派遣労働者として彼らを登録している派遣会社にあるはずだ。

 なのに、派遣会社の責任を追及する論調はほとんど出て来ない。
 不思議だ。

 あるいは、「解雇より先に、なによりもまず役員報酬のカットが第一で、その次が従業員の給与の見直しであるべきだ。解雇という選択肢は最後の手段であるべきなんではないのか」式の、昔ながらの正論も、一向に主張されていない。

 ただただ、「かわいそうですね」「身につまされますね」「がんばってほしいですね」という情緒的な画面を流すばかり。彼らはやる気があるんだろうか。

 というよりも、そもそも、テレビ局は、派遣労働についてとやかく言える立場の職場ではない。

 あの業界(私も「派遣ディレクター」として籍を置いていたことがある)は、正規の派遣ですらない偽装出向や二重派遣やピンハネアルバイト労働の温床であり、タダ同然で働く業界ワナビーのアシスタントディレクター(彼らの中には「マスコミ業界で働けるなら時給なんか無くても良い」と思っている子たちが常に一定数いて、このことがADの最低賃金を引き下げている)や、スタジオの机の下で寝起きしているサービス残業スタッフみたいな人たちに支えられている、どうにもならないタコ部屋だからだ。

 でなくても、事実上の実働部隊であるところの制作会社の社員は、局社員の半分以下の給料で働いている。

 それでも、その制作会社の仕事を差配している局の社員たちが額面通りに優秀な人々であるのなら、それはそれでかろうじて細いスジは通る話ではある。が、どっこい、そうはイカの禁断症状で、局社員は、優秀であるよりは、むしろ良血な人々であるに過ぎない。具体的に言うと、毎年、テレビ局に入社する社員(数十人に過ぎない)の中には、少なからぬ数の政治家の子弟やクライアントであるところの一部上場企業重役の子女が含まれているのだ。で、これに、同業マスコミの関係者(Mのもんたの息子とかT原S一朗の娘さんとか)や、ミスコン優勝者が加わって、そうやってあらかじめ採用枠が埋まっている。よって無コネの試験突破組による就職倍率は実質数千倍になる。

 で、先頃、発表された「2008年全上場企業3733社年収ランキング」によれば、

《1位に輝いた朝日放送(大阪)は平均年収1556.7万円! 2位はTBS、3位はフジ・メディアHDと、ベスト3はテレビ局が独占。日本テレビ放送網も6位に入った。》(《》内、ZAKZAKより。リンクはこちら)てなことになっている。

 おそろしいことである。

 さて、労働者派遣法が改正されたのは小泉政権下の2004年のことだった。

 肝要なのは、法改正の事実そのものではない。法改正に先だってどんな議論があったのかということだ……と思うのだが、私の記憶では、たいした議論はなかった気がするのだね。

 一部に、低賃金労働の固定化や、派遣労働者の安易な解雇を危惧する議論があったのは事実だ。が、当時それらの意見はさして問題にされなかった。というのも、そのテのお話をする人たちは、あらゆる政策に対して常に危惧の念ばかりを表明している一派の人々で、一般人であるわれわれの多くは、いつも文句ばっかり言っている彼らの悲観的な語り口にうんざりしていたからだ。

 で、今回、彼らの懸念はモロなカタチで現実になった。
 突然の解雇という蟹工船以来の伝統的な筋立てで、だ。

 さよう。われわれは、彼らの声に耳を傾けておくべきだったのかもしれない。

 でも、多くの国民は、悲観論者の声をうるさがり、むしろ、もうひとつの声に耳を傾けていた。

 もうひとつの声というのは、具体的にはこんな感じのお話だった。

「圧倒的に安い労働力を背景に、シェアを拡大しつつある新興工業国の追い上げに対応するためには、派遣労働の解禁はもはや避けて通れない」

 なるほど。

 この話も、実は、現在、米国を舞台に、モロなカタチで現実化しつつある。すなわち、強い組合を容認し、労働者の待遇を高い水準に保ち、不況下でも雇用を確保する政策を維持し続けた結果、世界一の大企業であるGMは、ほとんど倒れかけているのである。のみならず、ビッグ3と呼ばれたアメリカの自動車業界がまるごと、ツブれようとしている。これまた、非常に深刻な事態だ。

 われわれはどうすれば良かったのだろうか。

 労働者の権益を守れば製造業が経営危機に陥るし、かといって業界の要望を反映して派遣労働を解禁すれば失業者が大量発生する。

 難しい問題だ。

 って、このセリフはいつものことながら、何の解答にもなっていない。

 が、私は、解決策を提示する立場の人間ではない。

 その代わりに(代わりにも何にもならないのだが)邪推を述べることにする。

 お国は、雇用問題の闇を隠蔽しようとしている。

 われわれパンピーも、一番やっかいなところからは目をそむけている。

 で、路上に放置されている猫の死骸を見なかったことにして通り過ぎる通行人みたいに、われわれは、息を止めて、早足で過ぎ去ろうとしている。(後略)



ねたみは自分を不幸にする 12月25日 ミレニアム

会社に入って働いた経験から分かるのは、この社会は、人々を奴隷にしようとしているということだ。

円安で輸出が進み、史上最大の黒字を出した自動車メーカーが、この米国の経済破綻による売り上げ減が始まると、とたんに非正規雇用の従業員を解雇しはじめた。

しかし、円安の時代に蓄えた巨額のお金を救済のために使用することを拒否している

企業の社会性を完全に無視した暴挙である。

こういう「人のために会社がある」という発想のない利己的な企業が長期的に繁栄するはずはないのだ。

今、解雇された従業員は、未来の顧客候補でもある。血も涙もない会社に仕打ちに対して抱いた恨みは、将来の不買につながる

だから、こういう愚かな利己的な企業は敵を増やしているのだが、それに気づかない。

歴史上、経済至上主義の人間不在は、共産主義の台頭を許してきた。

実際は、共産主義は、人間不在の権化のようなものなのだが。

解決は、「聖書倫理の復活」以外にはない。

経済至上主義は、人間不在、人間の奴隷化を生み、それは、回りまわって自分の首を絞め、結局、自分をも不幸にしていく。

こういう長期的な大局からものを見れない根本には、宗教の不在にある。

宗教といっても、悪霊が作った擬似宗教ではだめだ。

聖書啓示に基づく宗教以外、ことごとく我々を奴隷化するだけだ。

悪魔の究極の野望とは、殺人と奴隷化である。

よく再建主義の批判者は、「聖書律法を回復すると奴隷制度が復活する」というが、逆だ。

聖書律法を復活することによって、人間は解放される。

「だって、聖書の奴隷制度を復活せよと言うのではないですか?」と聞くだろうか。

「聖書の奴隷制度」とは、「犯罪の加害者が、被害者に対して強制労働によって負債を支払うための拘束制度」である。

それは、「償い」のためだ。

人に害を加えた人間に自由などない。

賠償するまで自由を奪われて何がおかしい?

自由とは、法を守る人間にのみ与えられる。

逆に、聖書律法を拒否するならば、「法を守る人間すらも奴隷にされる」奴隷制度が復活する。

聖書律法を拒否する共産主義体制を見たまえ。

ソ連では、個人的・社会的倫理が崩壊した。

十戒は徹底して無視された。

それによって、社会は混沌化した。

その社会的混沌を収めるために何が利用されたか?

警察と軍隊だ。

レニングラードの中心街のネフスキー大通りには、50m間隔で警察官が立っていた。

いたるところに尾行と盗聴があった。

クリスチャンは投獄され、礼拝の自由は奪われた。

聖書律法を嫌う社会とは、「まともに法を守る人間、まともに生きようとしているまじめな人間が不自由を被る」社会なのだ。

これは、共産主義社会だけではない。

日本のように、擬似共産主義社会でも同じだ。

官僚組織や大企業の組織に属するならば、お金はもらえるが、自由は束縛される。

週休2日は与えられるが、夏休みは5日だけ。

休みといっても、会社に毎日報告義務があるから、精神的に休養できない。

自営業になればかなり自由は増えるが、逆に自由にできる金がない。

年収1000万から3000万くらいの人間にもっとも重い税金がかかる。

贅沢税といって、車には重量税などいろんな税金がかかる。

この国の法律は、自由と金を両立できないように仕組みができている。

こういう人間を幸せにしたくない社会を作ったのは、「国が金を集め、それを再配分する」という共産主義の思想である。

誰が利益を受けているかというと、利権政治家と企業、ヤクザである。

山口組の利益はトヨタに匹敵するという。

もし、我々が自由と金の両方を得ようと心から願うならば、累進課税制度や相続税をはじめとする、「国のぼったくり制度」を否定することだ。

これはねたみの制度だ。ねたみは、のろいであり、人をのろえば穴二つ。自分にのろいが返ってくる。

人をねためば、そのねたみは自分の首を絞める。

人を祝福せよ。そうすれば、自分も祝福される。

人に金と自由と時間を与えよ。そうすれば、自分にもそれがやってくる。

クリスチャンは、金と自由が両立する制度を目指すべきである。

そして、個人的にそれを求めるならば、それは必ずやってくる。

クリスチャンの体は神殿であり、神殿からは祝福の水が流れ出る。

だから、クリスチャンであることを十分に発揮するならば、必ず祝福は他人を潤し、また自分をも潤す。

今の共産主義のねたみの体制を認めるならば、自分をも奴隷化することをわきまえるべきだ。



(私のコメント)
「派遣切り」が流行語のようになっていますが、派遣労働者は最初から契約が切れればいつでもクビにされる労働者の事であり、それが問題になっているから問題なのだ。小泉内閣の時に製造業にも派遣労働が認められるようになり、自動車や電気産業の工場では派遣労働者の割合が急激に増えて三分の一にも達している。

企業にすればこれほど好都合な法律はなく、労働法などの問題も無く雇用調整ができる。賃金も正社員の半分以下に出来るのだから企業は儲かって仕方がないだろう。経営の幹部は利益が多くなれば成果報酬としてボーナスなどに反映されるから、雇用調整型のリストラがこの数年で大きく行なわれてきた。

現代の若年労働者は奴隷になるために生まれてきたようなものであり、10代の7割が非正規雇用でフリーター化が進んでいる。非正規労働で身につくのは単純作業でありキャリアにはならず、仕事でステップアップしていく事は不可能だ。このような使い捨ての若年労働者の奴隷化は日本の将来を不安定化するだろう。

一番の問題は派遣先企業よりも派遣元の派遣会社にあるのですが、ピン撥ねが酷いらしい。派遣会社といえば聞こえがいいのですが、ヤクザの手配師が会社化したような業態であり、1日15000円の派遣料金に対して5000円がピン撥ねされて本人には10000万円が支払われる。ピン撥ね率33%のぼろい商売だ。

それでも若年労働者は羊のようにおとなしくデモ一つしようとはしない。多くが働くのを止めて家庭に引き篭もりニート化していく。若いときが一番技術が身につく時期を無駄に過ごして、気が付いて一生懸命働こうとしても、出来る技術も無ければ就職口は無い。

先日、麻生総理がハローワークで若者に何がしたいと聞いていましたが、引き篭もりのニートに何がしたいと聞いても意味がないだろう。彼らには労働意欲も無ければ勉強意欲も無く生きていく気力も無い。このような若者が増えたのは家庭や学校にも原因があるのですが、正社員として採用しても多くが仕事が勤まらずに3年以内に辞めて行く。「株式日記」では二年前に次のように書きました。


若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 派遣社員では結婚も子供も作ることは出来ない少子化社会 2006年11月19日 株式日記

「若者はなぜ3年で辞めるのか?」と言う本はベストセラーになったせいか、ブログなどでも書評の数も多い。本の題名が一人走りをしてしまっているようですが、日本企業の社会構造の問題点を突いた本なのですが、このような社会にしたのは小泉構造改革のせいなのだ。具体的に言えば人材派遣業法が改正されて一般的な職種にも派遣社員の活用が可能になった事で、企業は一斉に派遣社員に切り替えてしまった。

この本では新規採用を絞る反面、その穴を派遣社員が埋めている事を指摘していますが、そのような構造が長く続けば技術を持った社員が定年退職した時にその技術を引き継ぐ人材がいない事に気がつくようになる。最近では日本が誇る自動車メーカーでも大規模な欠陥自動車問題が起きていますが、部品などを未熟な下請工場などが作っているからだ。

このように一見したところ企業の体制は変わらないように見えて、現場作業は若い正社員ではなく派遣労働者が担うようになっている。格差社会とは中高年の正社員が1000万円以上の高給を取り、派遣社員が200万円で現場作業をしている社会なのですが、若い正社員にとっても中高年社員が辞めない限り上には上がれず、その事に30代で気がつくようになる。



(私のコメント)
トヨタの奥田元会長やキヤノンの御手洗会長などは会社のために良かれと思ってやっている事なのでしょうが、日本の為にはなっていない。トヨタは円安と非正規社員で史上空前の利益を上げてきましたが、社内留保して給与のアップには繋がらなかった。そして円高になって真っ先に派遣の首切りを行なっている。キヤノンも同じだ。

トヨタやキヤノンは外資系企業だと思ったほうがいいだろう。だから社名もアルファベットで書いているのだ。奥田元会長や御手洗会長は日本人の顔をした外人でありインベーダーなのだ。彼らは日本人の若者を奴隷化して日本が滅んだところで痛くも痒くもないだろう。

トヨタやキヤノンは世界企業となり巨大化して日本を彼らの好きなような体制に作り変えて行く。国民大衆はますますバカになり政治に無関心となり、若者はフリーターやニート化して働いて納税もしなければ年金も納めない。「株式日記」では何年も前からこのように警告をしても政治は一つも良くならない。トヨタやキヤノンが日本をダメにしているのだ。


日本経団連は「キヤノン御手洗」会長と「トヨタ奥田」名誉会長を追放せよ! 12月25日 ライブドアニュース

【PJ 2008年12月25日】− 「日本経済団体連合会」会長・名誉会長をご存じか。どう表現したらいいか分からぬ。あまりにいかがわしい。あまりに無節操。あまりにふしだら。あまりに汚らわしい。

 国民の血税から拠出された30億円もの補助金を懐に入れ、1000人超の派遣の首切りをするキヤノンの御手洗冨士夫が会長。期間工ら計約6000人解雇し、カネに物を言わせて言論を支配しようとするのトヨタ自動車の奥田碩が名誉会長だ。こんな輩が日本の経済人トップというのだから、この国の先行きはどうにもならない。

 やはり、トヨタもキヤノンも三流会社、いや三流以下だ。ちょっと景気が傾くと保身に走る。経済人としての矜持などどこにもない。自分だけ良ければそれでいい。派遣社員のことなど知ったことか。それをひた隠そうとうさんくさい環境活動を繰り広げる。そう、日本が誇る企業ではない。経団連の御手洗と奥田は、首を揃えて会長・名誉会長職を辞するべきだ。

 それにしても、このどら猫に鈴を付けるマスコミはいないのか? やはり「カネ」なんだ。カネ、カネ、カネ。広告くれりゃしっぽを振るマスコミ・ジャーナリスト。社会の木鐸などうそっぱちだったんだ。【了】





天皇陛下からの首相拝命を受けて開戦阻止に動く東條英機
しかし天皇陛下には忠実であっても首相としては無能だった


2008年12月25日 木曜日

「シリーズ激動の昭和 あの戦争は何だったのか 日米開戦と東條英機」 12月24日 何についても初心者日記

クリスマスイブだというのに、一人寂しい夜を過ごしております。食事のときに見るものがないので、最近ハマっている関ジャニ∞の最新ライブDVD「47」の本編でも見ようかと思ったのですが、その前にちょっとTBSで4時間半以上ぶっ通しで放送している「シリーズ激動の昭和 あの戦争は何だったのか 日米開戦と東條英機」を見てからにしようと思ったら、本当にちょっと見て「47」を見るつもりだったのが結局ドキュメンタリー編とドラマ編2部構成のうちのドキュメンタリー編終了までしっかり見てしまい、「47」はお預けとなりました。

自分にとってはこれこそが昔から興味を持っていた分野なんですが、今の気持ちが「47」>太平洋戦争なのと(こういう成人になってはいけないという見本)、何よりTBSの太平洋戦争に関する報道姿勢というものに不信感を持っていますので、テーマがテーマだけにそれほど見る気はなかったわけです。

でも、実際に見てみたら、非常に中立的といいますか、メインテーマである日米開戦に絡むいくつかのサブテーマに関してさまざまな角度からネガティブなもの・ポジティブなもの織り交ぜて偏りなく資料を提供していて、しかもそれに関しての番組側の意見なり評価なりを明確に提示することはなく、どちらかというと視聴者それぞれに判断をゆだねるような形の、あまり番組サイドの主張が強くない作りになっていまして、太平洋戦争に関する情報はいくらでも知りたい(とかいいつつ最近はほとんど太平洋戦争に関する本は読んでいないけど)、でも他人から意見や価値観や評価を押し付けられたくない私にとっては、ある意味願ったりかなったりの番組でした。いろいろ新しい情報を知ることができて(私が知らなかっただけかもしれませんが)非常に興味深かったですし、統帥権の独立などの問題に関する説明も客観的で分かりやすく、惜しむらくはいろいろなサブテーマを2時間弱の中に押し込んでいるためにどうしても一つ一つが浅く簡単に終わってしまうことで、これ、長時間のスペシャル番組(シリーズとありますが、事実上スペシャル番組でしょう、これは)ではなく、NHKの歴史番組みたいに1時間程度のシリーズものにして、一つ一つをもっと丁寧に掘り下げてほしいなあと思いました。

こういう日米開戦までの流れに焦点を置いた番組がもっと作られるべきだと思います。本当に過去の歴史から学んで戦争を二度と繰り返すまいとするのなら、どういう経緯で戦争に至ったか、その時代背景・当時の価値観・国際情勢・政治体制・法制度、そういったさまざまな観点から分析し、二度とそういう状況にならないようにすることが大事であり、効果的というか有意義なことだと思います、ただいかに戦争が悲惨で恐ろしいものかを訴えることよりも。



東條英機 12月25日 素人のライカ日記

今日、TBSで太平洋戦争の「石川光陽」の続編である、
「東條英機」のドラマをみた。

彼は本当に日本を戦争に陥れた戦犯だと思っていた。

が、最近、彼は当時の軍部(特に好戦的な陸軍=関東軍含む)をどう抑えるかに、
苦悩していたことを知り、今日の番組を楽しみにしていた。

ちなみに、「一日一善」の笹川良一も、(覚えている方は私と同年代ですね。笑)
軍部、特に関東軍など(満州国)と深いつながりを持っていたのは有名ですね。
彼は戦後、A級戦犯で捕まりましたが、
日本船舶振興会を興し、莫大な財産を得ました。
後に日本の黒幕として存在したらしいですが、
黒幕は黒幕として知られたら、黒幕ではないのでそれは不明でしょう。
そして、社会奉仕のおじいさんを演じたのです。
高校の時に知りました。

話を戻しましょう。
やはり、ビートたけし演じる、東條英機ははまり役だった。
彼との確執は有名だと聞いていたので、
石原莞爾などが出て来るかと思ったが、今回はスルーか。

しかし、やはり、アメリカと言う国は自分のことしか考えない国なのだと言うことを、
改めて、知った。
だからこそ、戦後、世界の覇権を握ることが出来たのだろうけれど。

戦前から暗号を解読して開戦させるのに苦心する所など、
湾岸戦争と全く変わらないのは流石としかいいようがない。

これも、イラクがクウェートに侵攻することを事前から知っていて、
イラクの侵攻を待って、正義と言う世論を持ち、アメリカはイラクに侵攻しました。
ここで、失敗したのは、フセインを打倒出来なかったこと(=殺せなかったこと)で
石油の利権は握れませんでした。

父の遺恨とも言うべき、イラクにブッシュは再侵攻しましたね。
今度は徹底的に利権を狙ったので、
今、イラクの石油ビジネスは欧米そして、日本にとってもバブルです。
それぞれの国益に適っていると思われます。
フセインも捕まえたし、願ったりかなったリです。
が、ブッシュには、今回の世界不況の責任を取って欲しいものですね。
全責任は彼にあると考えています。
アメリカのつけは我々が払わねばなりません。

国際法で戦争は認められています。
アメリカがイラクに侵攻したのは違法ではありません。
戦争は政治の一手段です。(クラウセヴィッツもそう言っていたかと思います。)

さて、なぜ、戦争は起きたのかという、今回のドラマでしたが、
やはり、消化不良でした。
前回のように、石川光陽の撮った、黒こげの子供の写真を、
B29の爆撃手や、パイロットに見せるようなことまではしませんでしたが、
特攻隊の無線を傍受した、暗号解読員のインタビューは悲しみとともに、
「臭」かった。

東條英機は悲劇の人かと思います。
国をまとめようと必死にもがきますが、
言われているように、その器はありませんでした。
軍部に担がれた、ピエロだったのかもしれません。

その軍部に関係していた者たちは、アメリカと取引をして、
生きながらえていることもあります。
731部隊の幹部は細菌兵器のメソッドと交換に釈放されています。

また、笹川氏の息子、笹川堯氏は現在、衆議院議員ですね。
先日のコメントは流石、「庶民の気持ちは分からない」と言っただけのことはあります。

記者のインタビューを受ける徳富蘇峰、戦争を煽った責任を痛感するが
明治、大正、昭和をリードした偉大な言論人は何を語るのか。


(私のコメント)
昨日のクリスマスイブの日にTBSで4時間半のスペシャル番組を放送していましたが、「シリーズ激動の昭和 あの戦争は何だったのか 日米開戦と東條英機」という番組で、前半はドキュメンタリーで.後半がドラマになっていました。TBSだから例によって東京裁判史観に毒されたドラマになるのではないかと思っていましたが、天皇の命を受けて開戦阻止に動く東條英機を描いたのはドラマとしては始めてではないだろうか?

欧米からは東條英機といえばヒトラーやムッソリーニと並ぶ野心的な極悪人として描かれるのが常だった。「株式日記」でも東條英機の事についてはいろいろ書いてきましたが、東條英機を日本のヒトラーやムッソリーニ例えるのはヒトラーやムッソリーニに対して失礼だろう。戦後の歴史教育でも東條英機は戦争犯罪人として教え込まれてきたから、東條英機の親族は白い目で見られながら生活してきた。


我々ユダヤ人がもっとも感謝すべき人物は東條英機 2006年2月15日  株式日記

東條英機への歴史的評価についてはGHQによる歴史の改竄でヒトラーと並ぶ極悪人として日本の歴史教育がなされていますが、このことに関しても大東亜戦争の歴史的評価は後世の歴史家に任せるべきであると書いてきました。私自身は靖国問題などの時に大東亜戦争は人種差別撤廃と植民地解放のための戦争であったと書いてきた。

東條英機の人物像については連隊長としては優秀な人物であったのだろう。しかし政治家としては素人であり歴史の流れに抗する事はできず、戦争指導もまずかった。また、当時の日本国民は敗戦の責任を東條英機に擦り付けたが、当時は政府や軍部よりも国民世論のほうが強硬であり、反戦運動などはほとんどなかった。なのに戦争に負けると180度態度が変わってしまった。


(私のコメント)
東條英機が首相になった頃には、東條英機個人ではどうにもならない状況になっており、政権を投げ出した近衛文麿の後を引き継げる人材がいなくなってしまっていた。現在でも首相の政権投げ出しが続いていますが、戦前も戦後も日本の政治体質は何一つ変わってはいないのだ。

欧米などではヒトラーやムッソリーニといった強力な独裁者が出て来るが、日本の歴史を振り返ってみても独裁者と呼べるのは信長、秀吉、家康ぐらいだろう。戦国乱世の動乱の時代では独裁者でないと統治できないが、それ以外の時はいったい誰が最高権力者なのかがわからない。

昭和の動乱期も強力な人物の登場が望まれましたが、どれも小粒ですぐに政権を投げ出す。515事件や226事件が起きても誰が首謀者とも呼べず、政治家達もテロの恐怖に怯えて口を噤んでしまうような状況では強力なリーダーが生まれるわけは無い。政治家は精神的にも肉体的にも過酷な職業であり、命を狙われる位でないと政治家とは呼べない。にもかかわらず政治家は息子に政治家を継がせるが、これほど割りのいい職業はないと思っているからだろう。

ビートたけしは猫背でありとても軍人には見えなくて適役ではないが、高橋克実の武藤章や野村萬斎の昭和天皇や西田敏行の徳富蘇峰など適役で雰囲気も似ていた。ドラマの内容が内容なので2時間あまりの時間で当時の状況を描ききるのは不可能であり、誰にも分かるような状況説明も不可能だろう。

何しろ日本の現代史は歴史教育の中でも空白の時代であり、信じられない事だが東大を出た人でも日本とアメリカが戦争をしたことを知らない人がいるくらいなのだ。進学校では歴史が入試科目で無いから他の入試科目に切り替えてしまうからだ。エリート教育には歴史と古典の教育が不可欠なのですが、東大を出たエリートには歴史教育も古典教育もなされてはいない。

NHKの大河ドラマでも戦国と明治維新ばかりで明治大正昭和の時代は空白期になっている。当事者が存命だとドラマにしにくいといった面もあるし、戦争映画にしても戦争アクションが売りもので人物評価に焦点を当てたものは少ない。TBSドラマの「日米開戦と東條英機」は人物評価に焦点を当てたものであり、時代に流された東條英機が描かれている。

徳富蘇峰も偉大な言論人でありながら、その思想から戦後は忘れられた存在となり、名前すら知らない人が多いだろう。林房雄ですら「大東亜戦争肯定論」を書いて学界から追われたような存在となり、大学も公職追放で右翼の学者は追放され左翼の共産主義の学者で教育が行なわれて、GHQは目に見えない言論統制を行なった。

なぜ日本が負ける戦争に突入したのかを考えるヒントが徳富蘇峰の言論には見られるのですが、「日米開戦と東條英機」に登場する徳富蘇峰は政治と軍の腐敗堕落を知っていながら正す事ができなかったのは言論人としての誤りだろう。しかし多くの新聞や言論人のように戦前と戦後の豹変には加わらなかった。


徳富蘇峰『徳富蘇峰 終戦後日記―『頑蘇夢物語』』講談社、2006年

日本の敗戦という大東亜戦争の結末、その後の占領に対して、当時の日本人は、どのように受け止めたのだろうか。明治・大正・昭和の三時代を生きた言論人、徳富蘇峰は、日本の滅亡につながるとし、「恥を忍び恥を裏み、自分の意見を書き遺して、天下後世の公論を俟つこと」を選んだ。この日記は、蘇峰の大東亜戦争に関する考えと敗戦後の状況が述べられており、後世の議論の対象にして欲しいと残したものだと言える。

 まず、蘇峰が問題としたのは、敗戦の原因である。蘇峰が疑問視したのは、日本が悪いから戦争に負けた、さらには「軍官民総てが悪い」という主張であった。蘇峰自身、決して敗戦に対する自分の責任を感じていないのではない。勿論、大東亜戦争を侵略戦争だと考えていない。「今尚お日本の戦うたることを、義戦と信ずる」蘇峰は、ただ、純粋に「何故に敗戦したるか」を陳述したいのである。

 蘇峰は、敗戦の原因の主として、「戦争に一貫したる意思の無きこと」、「全く統帥力無きこと」を挙げている。今回の戦争は「言葉正しく、名順ではあったが、戦争の方法が間違っていた」というのである。そして、日露戦争における明治天皇の御親裁と昭和天皇の御親裁とを比較すると、「名に於て一であるが、実に於ては全く別物」だったとする。個々や組織としての政治家や軍人の問題、「国家的国民的戦争」であったにも拘らず、国民から乖離した「軍閥官僚の戦争」であったことへの批判と共に、昭和天皇の「御修養」を指摘する。ここで、蘇峰は、昭和天皇を「一点の非難を申上ぐ可き所なき、完全無欠の御人格」でありながら、唯一「万世を知ろしめす天皇としての御修養」だけが足りなかったとする。それは「輔導者の罪」であり、「輔弼の臣僚たる者共」に最も重大なる責任があると批判するのである。

 また、蘇峰は、八月十五日以降の筋なき変節を批判する。無条件降伏の発表前まで、「原子爆弾恐るるに足らず」と主張していた者が、発表後には、原爆を防ぐためには、あらゆる犠牲を払っても、たとえ「日本人たる誇りを失うても」良いと主張することに、嫌悪感を示すのである。吉田茂や幣原喜重郎などの以前からの「自由主義者」や「敗戦論者」、「社会主義者とか、共産主義者」などが、敗戦後、得意顔をして出てくることに対しては、蘇峰は「意外とは思わぬ」と問題にしない。しかし、「昨日まで熱心なる米英撃滅」の急先鋒が忽ちに「米英礼賛者」なるなどの豹変ぶり、時局の変化で態度を変化させる新聞の変節ぶりを目の辺りにして、堅実性を失っている、浅薄なる考えだと述べるのである。

 
ここに、八月十五日以降もあくまで大東亜戦争を「義戦と信ずる」蘇峰の面目があろう。日本の敗戦に自らの責任を感じていながら、筋を貫き、闘い続けることは、大きな苦痛である。勿論、敗戦の責任を感じ自決した者たちの潔さを否定するものではない。しかし、敗戦後、日本が崩れていく中で、自らは誹謗中傷を受けながら、生きて闘い続けることもまた潔いと言えるだろう。蘇峰の筆からは、闘い続けることの潔さを見ると共に、責任を感じながらも闘い続けることの辛さ、苦しさを見ることができるのではないだろうか。


(私のコメント)
「株式日記」では「戦争はまだ終わってはおらず思想言論戦は続いている」と書いてきましたが、歴史を勉強しなければ思想も言論もへったくれもないのだ。ところが安倍内閣も麻生内閣も村山談話や河野談話を踏襲して欧米列強との100年戦争に白旗を掲げたままだ。小泉首相のように「アメリカが日本に民主主義をもたらした」という人もいるくらいだから、自民党はアメリカの統治組織の一部なのだろう。




90年代に1ドル=90円への対応を もしトヨタが完了していたので
あれば、先期1年間の為替差益は約2兆円に達していた計算になる。


2008年12月24日 水曜日

トヨタの利益2兆円超は全て為替差益? 2007年5月11日 白象の気まぐれコラム

トヨタ自動車が一昨日(9日)に発表した2007年度3月期の連結決算によると 営業利益は過去最高の2兆2400億円です。 トヨタOBの私としては ご同慶の至りと言いたいところですが 利益のおこぼれに全く預かれないので 無念です。

決算発表を見ると 当初予算に設定した米ドルの為替レート\113/US$に対し 実績は4円の円安になる\117/US$となったので 為替変動の影響(為替差益)により利益が2900億円押し上げられたと説明されています。 ということは 為替レートが1円の円安に進むと トヨタの利益は 725億円押し上げられることになります。

なぜ為替差益が発生するかというと 海外の主要国向けの建値(インヴォイス価格)が日本円ではなく 現地通貨になっているからです。 例えば 米国向けの建値は米国ドルであり 1台US$10,000の商品なら 想定した為替レートより4円の円安になれば 1台当たり40,000円の為替差益を生みます。 

過去の米ドル為替レート推移を覚えていますか? 1990年代の半ばには 急激な円高により 一時的に為替レートが\90/US$まで進み 為替レート\100/US$前後が暫く続きました。 1990年代の半ばに トヨタは当然ながら 為替レート\100/US$に備えた価格を含めた対応をしたと考えられので 当時から先期までに17円(\117ー\100)の円安が進んだということは 1990年代の半ばに比べ 先期1年間の為替差益は1兆2300億円(725億円x17)に達していると見ることもできます。 1990年代の半ばに 為替レート\90/US$への対応を もしトヨタが完了していたのであれば 先期1年間の為替差益は約2兆円(725億円x27)に達している計算になり 先期のトヨタ営業利益は ほぼ全て為替差益という見方もできます。

利益のおこぼれに預かれない悔しさから チョット辛らつな見方を敢えてして見ました。 トヨタの決算内容を このように短絡して見るのは誤りですが 2兆円の利益に後輩が浮かれることのないよう トヨタの利益は 
「\90/US$という元の円高レベルに戻れば全て吹っ飛ぶ」恐れがあることを 警鐘として問題提起した次第であり 他意はありません。 


日本の自動車産業の強さはIT電気産業には移植できないと心得るべき  11月9日 風観羽 情報空間を羽のように舞い本質を観る

■夏野氏のお話を聞いて

11/6に一日だけ、THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2008(NCC2008)*1 のセミナーを聴講した。司会のカリスマベンチャーキャピタリストの伊藤穣一氏のお話や、元NTTドコモで、現ドワンゴ顧問の夏野剛氏のお話等、非常に興味深かったので、また別途書きたいと思うが、今日は、お話に触発されて考えた事について少し書いておきたい。

以前、夏野氏のインタビューを取り上げて、ブログエントリーを書いたことがあって(日本の中高齢層の覚醒を期待する - 風観羽 情報空間を羽のように舞い本質を観る)、その時も強く感じたのだが、夏野氏の、日本の中高年、中でも権力の中枢にいる経営者のインターネットや携帯電話等への無知、無理解への苛立ち、怒りはとても強いものがあるようだ。ルサンチマンと言ってももいいかもしれない。まあそれはそうだろう。NTTと言えば、失礼ながら、少なくともそのマインドはオールドエコノミーの代表格のような組織なのだろう。今更ながら、よくぞiモードのようなサービスを立ち上げることができたものだと思う。そして、それは単純にITリタラシーの有無ということだけではなく、『ものづくり国家日本』を支えた自負の背景にある、『日本的経営』『製造業パラダイム』がいまだに中高年のマインドを支配していることから起きる問題が複雑に影を落としていると思う。

このこと自体は、すでに何度か書いたことでもあるので、今回はもう少しだけ違う観点から、この構図についてふれてみたい。

■日米の成功フォーミュラの違い

今回のセミナーで、夏野氏からとても印象的な発言があった。NTTドコモ在籍中に、ドコモの研究所には一度も行ったことがない、というのである。これは、『技術偏重』『自社技術への過度のこだわり』の問題を揶揄しておられるわけだが、NTTドコモだけの問題ではなく、日本の製造業全般に見られる傾向だろう。その日本の製造業の強さは、『すりあわせ技術』にある(あった)ということは、昨今定説となって来ているので、あまりここで説明する必要はないかもしれない。中核企業の傘下に、長大な系列を組織して、設計の早い段階から情報を系列企業を含むグループ全体に流して共有し、知恵を出し合いながら進めて行く。いわゆる『垂直統合』モデルである。もちろん技術は自社開発で、系列内は深く共有するが、系列外取引はしない閉鎖性を併せ持つ。日本社会の企業/組織文化がこの『すりあわせ』に非常にフィットした結果、世界に冠たる製造業を創り上げることになった。

一方、パソコン等に典型的に見られるように、各部品がモジュール化/コンポーネント化し、すりあわせに神経を使うことなく、系列もつくらず、インターネットで簡単に世界中から調達する、所謂『水平分業』が米国を中心に追求され、グローバルスタンダードを形成してきた。契約できちんと業務範囲や仕様を決めてしまえば、技術も生産設備もほとんどいらない。少人数で世界を工場に見立てて活動することができる。IT産業はこの手法で米国を中心に大きな発展を遂げて来たわけだ。

■日本は『すりあわせ』にむく製造業だけが強い

日本はものづくりが強い、と豪語して来たわけだが、今やはっきりしてきたことは、『すりあわせ』にむく製造業だけが強い、ということだ。『すりあわせ』に最も向いていて、しかも今でも簡単にモジュール化できない代表格は自動車産業である。トヨタに代表される自動車産業は、失われた十年の間も一貫して世界の頂点にあって競争力を拡大して来た。アメリカ自動車産業の衰退と相まって、名実ともに世界一の座につくことはもう間違いない。一方自動車と共に世界の頂点に君臨していたはずの電気産業は、世界のIT産業のモジュール化、グローバル化が進むとともに、めっきり競争力を落として来ている。キャノン等の少数の例外を除けば、旗色が悪いことこの上ない。夏野氏のいらっしゃった携帯電話産業も例外ではない。

■カテゴリーエラー

私自身、日本のIT/電機業界に2001年以降お世話になり、内側から業界を見て来たが、この垂直統合と水平分業の競争ルールの違いの基本の部分でさえ、経営レベルで認識されているとはとても思えない事例が多い。つい最近も、『品質経営』なる珍妙な研修を外部講師を招いて受けさせられたが、目を覆い、耳を塞ぎたくなるような内容だった。IT/電気業界の経営のまっただ中にいて、従来の垂直統合の構図が次々と水平分業の競争力の波にさらされている我々を相手に、『トヨタに見習って製造業の復権をはかれ』というようなコンセプトに基づいて、ノミュニケーションやら、QCサークルやら、改善活動やらを説くのには、本当に閉口した。『カテゴリーエラー』そのものである。

だが、この研修を後生大事に受けさせようとするようなマインドは、自分の周囲の中高齢者の間では少なくともほとんど変化していない。夏野氏の嘆きを聞いていると、NTTドコモでもそうなのだろう。

■電機業界には猛毒?

失われた十年の間、輝き続けたトヨタの経営手法は、従来以上に高く評価され、電機業界でも参考にしようとした人も多かったようだ。だが、自動車産業には薬として作用するものが、IT電気業界には猛毒にもなりうることを気づいてはいなかったようだ。確かに、トヨタの経営のエッセンスの重要なものは業界を超えて参考にしうる。だが、IT電気業界にとって、トヨタというのはいわばフグのようなものだ。一流の料理人が料理すれば、大変美味しく食べることができるが、素人が手を出すと猛毒にあたることになる。

■すでに問題はその先へ

このような周回遅れの人達にとって大変残酷なことに、市場も経営環境も猛烈なスピードでさらに変化しつつある。『モジュール化』、『水平分業』を型通り実行しただけでは成功は約束されなくなって来ている。例えば、『モジュール化』、『水平分業』を体現して一早く成功した、デルも、もはやすっかり輝きを失ってしまっている。逆に日の出の勢いである、アップルは水平分業とは無関係だ。何より他人の考えたビジネスモデルを、学んで真似をするという手法自体が陳腐化している。

あきらかな不合理が温存された、日本のIT/電気産業でも、来るべき巨大な不況が状況を一変させる可能性がある。歴史を振り返れば、過去の成功の遺産に頼る余裕が社会に無くなる時には、洗い流されるように旧勢力が退場していくということが起こって来た。今度はどうだろう? 激動の時代を乗り切る側にいたいものだ。


(私のコメント)
ニュースではトヨタショックが大きく報道されていますが、それを分析した報道が無い。もっぱら大不況でアメリカへの輸出が落ち込んで利益が吹っ飛ぶといった報道であり、円高によるものであると分析した解説はない。2007年は1ドル=120円だったから2兆円もの為替差益で、バブル期を上回るような利益を計上しましたが、1ドル=80円台になれば為替差益は一気に吹っ飛んでしまう。

確かにアメリカは金融恐慌であり、自動車のローンもストップしてしまって車の売れ行きは急降下している。車の売れ行きは30%もダウンしているというニュースですが、それならば為替が変わらなければトヨタは1兆2000億円の利益が上がっているはずだ。だから一気に赤字になるのは売れ行きがダウンした事もあるが、為替が120円から80円台にまで上がった事が主な理由だ。

輸出メーカーにとっては為替の急激な変動が一番堪えるのであり、為替に対する投機的な資金は規制すべきだろう。石油も投機資金が入って1バレル=147ドルまで上がりましたが、いまでは30ドル台にまで落ちている。6ヶ月あまりで100ドルもの変動は経済に大きな影響をもたらすのであり、為替や商品相場には投機は規制すべきなのだ。

アメリカの金融資本主義は市場原理主義で規制の緩和が旗印であり、ゴールドマンサックスなどの投資銀行は詐欺的金融商品を次々作っては世界に売って手数料を稼いできた。金融機関のCEOは数十億ドルの年収を貰い、社員は億万長者が続出した。まさにアメリカの投資銀行やヘッジファンドは飛ぶ鳥を落とす勢いであり、日本の学者やエコノミストたちは物作りから金融へシフトすべきだと言ってきた。

しかし金融がいったん破綻してしまうと巨額な借金だけが残りあとには何も残らない。これからのアメリカには金融は破綻に伴う詐欺事件が次々と発覚するだろう。アメリカ政府も金融を野放しには出来ず、規制の枠を嵌めて行かなければならなくなって、失われた信用を取り戻すには長い年月がかかる事だろう。

トヨタやホンダの様な輸出企業は為替に利益が大きく影響するのですが、為替取引にも税金を課すようにすればいいと思うのですが、財務省は消費税の税率を上げるのは熱心だが為替取引に税金をかけることは考えてもいないようだ。石油や食料などの投機も規制すべきだし、株取引に税金をかけるよりも、これらに税金をかけて投機による乱高下を規制すべきだ。

アメリカの金融立国の戦略破綻してビックスリーなどの製造業の復権を図らなければなりませんが、トヨタが世界一の自動車メーカーなっている。円やドルなどの通貨の価値も結局は製造業の強さがバロメーターなのであり、アメリカは世界一の技術力がありながら製造業はヘッジファンドなどに食い散らかされてしまってしまった。

金融業は製造業に付随した産業であり、金融立国などというものは香港やシンガポールのような都市国家でしか成り立たない。アメリカが生み出した金融商品やデリバティブは詐欺的商品であり、いったん信用破綻が起きると市場が消滅して転売できなくなってしまうものだ。債権の証券化も誰がリスクを負うのかが不明になり、流通がストップしてFRBが一手に買っているが、FRBは大丈夫だろうか?

日本はバカ正直に物作りに徹してきましたが、通貨の信用を支えるのは物作りなのだ。だから円が世界で一番高くなっているのであり、アイスランドのような金融立国の通貨は紙切れになってしまった。人口が30万人の国家では何も作れないからだ。

日本のエコノミストの中には、自動車などもモジュール化して水平分業になるといって警鐘を鳴らしている人もいるが、自動車産業を知らない人だ。パソコンのような単純な物なら世界から部品を調達して組み立てるだけで成り立つものもあるが、デルなどがその代表ですが、やはりアップルのような「垂直統合」で成功している例は何なのだろうか?

デルのようなビジネスモデルは価格競争に巻き込まれて結局は自滅してしまう。やはりアップルのような独自の技術を持つところが一番強いのだ。自動車も同じであり世界から部品を調達して組み立てるだけの自動車は売れないし儲からないだろう。インドのタタという自動車メーカーが28万円の車を発売するといったニュースが去年ありましたが、工場すら出来ていない。

日本の電気産業が競争力を落としているのはモジュール化や水辺分業のグローバル企業に煽られたところがありますが、バブル崩壊に巻き込まれて積極的な投資が出来なかった面もある。発展途上国市場に乗り遅れて韓国や中国の電気製品が世界に溢れている。家電製品なら世界から部品を調達して組み立てるだけで成り立つ。

しかし情報家電となると部品を組み立てるだけではなくソフトプログラムなどの開発に技術力が必要になる。任天堂も世界一の付加価値商品を作る企業ですが、アップルの企業形態に近い。組み立てるだけの家電製品は中国や韓国に任せておけばいいのだ。いずれは価格競争に巻き込まれてインドやベトナムに負けるだけだ。やはり独自の技術開発力を持つところが強い。

トヨタは2兆円の利益を上げる企業になったというのは事実だが、為替差益によるものが大きく、これからの円高に対しての抵抗力がどれだけあるのだろうか? 為替変動が緩やかなのならば対応が出来るが、1年で30円も円高になると対応が出来ない。自動車が水平分業で出来るものなら中国やインドで作る事も出来るのでしょうが、自動車は典型的なすり合わせ産業だ。

日本が物作りに強いのは世界一品質にうるさい日本のユーザーがいるからであり、日本で作らないとユーザーの情報に対応が出来ない。日本のガラパゴス化という人がいるが、日本人ほど新しいものに飛びついて買う人はいないのであり、使いこなせる国民も日本が一番なのだ。日本の電気産業がスランプになったのも工場を海外に移したからであり、ユーザーの情報が工場に入らなくなったためだ。




広告に頼った経営というのは不況に対するリスクは高いです。
うまく行っている様に見えていたテレビ局もかげりが見えています。


2008年12月23日 火曜日

「広告収入で無償サービス」の時代はそろそろ終わりかな? 12月10日 novtan別館

既存のメディアも含めた、全経済活動に対する広告費の枠が未来永劫にわたって大きく増加しつづけていく、というわけでもない以上、どこかで頭打ちになると思うんだけど、当初の限られていたサービスだけじゃなく、猫も杓子もウェブになって来ている現状では、その限られたパイの一切れがそろそろ小さくなってきそうです。

Adsenceを張り始めたときに比べてクリック単価は落ちてきているようにも感じるし。

i-modeの公式サイトのたとえば月300円なサイトは10万人加入すればそれだけで日銭が月3000万入ってくるというなかなかよくできたビジネス。とりっぱぐれもない。広告収入は枠で売っているところも相場の変動にさらされやすいですよね。

売り手市場でない限り、広告に頼った経営というのは不況に対するリスクは高いです。うまく行っている様に見えていたテレビ局もかげりが見えています。パチンコのCMばっかりだし。

テレビの広告費がウェブに吸い取られているからだ、という話もありますが、広告費の増加以上にサイトが増加していることを考えると、その増えた分も一部の強大なサイトを除いては薄く分散しているように見える。とにかくPVがなければ話になりませんし、そのPVあたりの広告費もインターネットの利用者の増加により逆に落ちている。見る人が増えれば増えるほど、PVあたりの価値は落ちてくるよね。全PVに対する支配率、つまりサイト視聴率が重要なんだけど、未だ測りづらいものではあります。

無料サイトが増えれば増えるほど、一つの無料サイトの採算は合わなくなっていく。

広告でまかなえば無料でできるはずって考えている人は、新しいサービスを期待している人ではないのかなあ。

あれだけのPVを誇るニコニコ動画ですら黒字にならない現状(まああそこはコストもかなりかかっていますが)です。そろそろ有償化の波がやってくるか、勝ち組以外のサイトは淘汰され、新たな広告業界(さらにはその裏にいる巨大スポンサー企業)に支配されるメディアとしての枠組みが登場してくるかでしょう。

巨大企業の圧力を既存のメディアに感じていた人は、積極的にウェブのサービス有償化に対してコミットしていくべきじゃないかな、と思ったりしています。


有料サービスが抱える課題 − 少額決済について 12月22日 この先、しばらく道なりです

「失敗して当たり前」な有料Webサービスの条件 - インターネットください

「サイト存続のため、アバター買って」 カフェスタが異例の呼び掛け - ITmedia News

「タダが当たり前」の時代は終わる? カフェスタが「お金払って」と呼び掛けた理由 (1/2) - ITmedia News

有料ネットサービスが成功しないたったひとつの理由 - いつか作ります - 断片部

コンテンツで収入を得ていける仕組みをみんなで考えよう - novtan別館


ここ最近、再度有料サービスに関する話題が出てきているのですが、実際に有料サービスを運営する上での誤解が多くあるので問題がいくつか言及されていなったので、触れておきたいと思ったわけですよ。

今回は「少額決済」について、その難しさを説明したいと思います。

少額決済を妨げる手数料の問題

Webサービスの将来について話をするとき、必ず話として出てくるのが「少額決済システムの搭載」ですが、現在のところ、まともに成り立っているサービスがないということに疑問を感じないでしょうか。

これにはWebサービス屋のアイディアだけではどうにもならない事情があります。

最初に大きな要素として挙げられるのが決済ごとに発生する手数料の問題。

Webの決済手段というとクレジットカードや銀行引き落とし、WebMoneyなどがありますが、これらはタダで利用できるわけではありません。

クレジットカードの利用ごと、銀行の与信ごとにサービス運営者は各カード会社や銀行に対して手数料を払わなければならない仕組みになっています。また、ほとんどの場合各クレジットカード会社と直接やりとりをするわけではなく、決済代行の企業を介するため、手数料はさらに膨れあがります。

たとえば銀行であれば〜50円、クレジットカードが50円〜100円ほど、WebMoneyだと1決済あたり100円強の手数料がかかってきます。

つまり、100円未満の決済を行うと、ユーザーから入ってくるお金よりも、決済のために支払わなければならない手数料の方が高くついて赤字になってしまうわけです。


他諸々の経費を考えると、1決済あたりの最低単価は300円くらいに設定しないと、どうやっても赤字になってしまうのが現在の課金システムの状況です。

決済システムの開発は大変です

また、少額決済に限らず決済システムの構築というのは非常に開発負荷が高いのが制約になってきます。開発と保守に関する工数の大きさはサービスの採算分岐点をすごい勢いで押し上げ、以後の修正開発にも少なからず影響を与えます。

先ほど「決済代行企業を介する」と書きました。自分たちで作れば仲介の手数料分は稼げるじゃないか、と思われる方も多いかもしれませんが、自前で決済システムを構築するのはひどく大変なのです。

まずクレジットカードだけでもVISA・JCB・MASTERS・DC・ダイナーズ・AMEXと6パターン、さらに銀行引き落としを可能とするなら対応銀行分、WebMoneyを使うならさらにそれだけの決済システムを作らなきゃならない。その開発工数たるやどれだけか。費用を回収するためにどれだけの売上を立てなければならないか。

決済システムをまともに作ってかつサービスを黒字にするなど、よほど見込みがあるか見積もりを適当にやっているサービスでないと考えられない。

もちろんサポートコストも馬鹿になりません。売上1000万規模でも課金に関するサポート対応、請求業務で1人月は軽くかかるので、これに耐えられる運営を行わなきゃならない。

後払いは相当まずい

で、決済手数料が問題になるなら毎回の利用ごとではなく、月末に請求する後払い方式にすればいい、と思うかもしれませんが、後払いにした場合クレジットカード以外の決済方法では未払いが大量に発生するため全くおすすめできない状態に陥ります。

僕が以前関わっていた有料サービスでは銀行引き落としを選択したユーザーのうち2割が未払いになるという惨状。その時点での損失もさることながら、未払いユーザーに対する請求業務がさらに運営上のコストとして響いていました。

クレジットカードであればこの状況は回避できるでしょうが、万一サービスが大成功した場合、会員のカード利用情報をクレジットカード会社に一気に送信することになり、それもまた大丈夫なのか…と不安になることうけあいです。

携帯と同じようにはいかない

いや、携帯は成功しているじゃないか!という意見があるかもしれませんが、あれは

 ・携帯を持っている時点で他に登録のいらない決済方法であり、

 ・決済方法としてユーザーに信頼され、

 ・携帯で携帯のコンテンツを得るという逃げ場のない環境である

という3つの要因が前提となっているんです。


運営者側としても決済システムが用意されていること、請求業務が極めて楽なことなど手数料を払うだけのメリットが存在しています。

これをPCにあてはめることが難しいのです。

クレジットカードであれば決済方法として信用はあるものの、情報の重要度が高すぎて入力をためらうユーザーが多い上に、カードを持っていないユーザーも少なくない。

銀行振り込みは多くのユーザーが利用できる物の、即時決済の手段とならず、即時決済を避けると未払いのリスクが高すぎる。

電子マネーは手数料が高すぎてサービス運営者側にとって負荷が高すぎる上に、どの電子マネーもシェアが低くてまともな決済手段として使えない。

プロバイダ一括請求は携帯払いに近い感覚をもたらすものの、プロバイダの数が多すぎてとてもサービスに含められたもんじゃない(ついでに手数料も高い)。

現在PCの支払い方法として考えられる全てが携帯と全く異なる状況なのです。

じゃあ可能性はないのか?

というわけで、現在のところWebではほとんど少額決済のシステムを装備できないでいます。

とはいえ、将来に向けていくつかの可能性は考えられます。

それは「ポイント購入制」。まず一定額のポイントを購入させることで決済回数を減らし、以降は小さい単位で利用できるのがメリット。この方法ははてなや、paperboy&co.の「おさいぽ!」が採用しています。これを実施できるのは「資金的に余裕があり、ポイントを購入しても多彩かつ有益な利用方法があり、近い将来の発展が期待されている」企業に限られますが。


(私のコメント)
テレビ局も赤字のところが増えてきましたが、広告収入に頼った経営のビジネスモデルに陰りが生じてきています。テレビ局は電波を国からただで許認可を得て経営しているから、外からの参入が不可能であり殿様経営でこられた。CS放送などの参入もありましたが、CSはアンテナやチューナーなどを購入したり、有料放送で視聴者の数が増えないのでは広告収入も入らない。

テレビ局のビジネスモデルに陰りが生じてきたのは、不況のせいで企業が広告宣伝費を絞り始めたのが大きく、さらにはネットメディアの影響によるものが大きい。とくにネットの動画サイトは無限に増やせるから新規参入は無制限に近い。ユーチューブなどを利用すればテレビ番組の再放送なども見ることが出来る。しかも好きな時間に好きなところで見ることが出来る。(もちろん違法ですが)

テレビ局といった独占メディアでも広告収入に頼った経営は難しくなりつつあります。ネットの世界でもタダが当たり前の世界になり、有料サイトはどこも赤字経営だ。広告収入に頼るサイトもビジネスモデルとしては破綻が見えてきている。ではネットでどうしたら有料化を実現していけばいいのだろうか?

サイトが有料化されるのはかまわないけれども、手続きが面倒という事がボトルネックになっている。小額の即時決済システムはクレジットカードを利用すれば出来ますが、手数料がかかって一回300円以下の決済システムには向かない。クレジットカードを持たない人もいるし小額の決済で個人情報が漏れる危険性もあるから二の足を踏む人が多い。

会員制にして年一回の銀行振り込みでも、数百人から数千人の会員の管理だけでも大変な面倒であり、人を雇えば人件費がかかる。現在のところ上手く行っているシステムとしてはiモードや携帯電話の有料サイトなどですが、携帯電話がこれだけ普及して、しかもほとんどの携帯電話でネットが利用できるのだから、将来的には携帯でインターネットを利用する事がスタンダードになれば、携帯で課金システムが一番可能性があるのではないかと思う。

「株式日記」も携帯から見ている人が多いのではないかと思う。サイトも携帯にあり見る人も携帯からなら課金システムは簡単だ。しかしインターネットは世界中からアクセスがありどこの誰が見ているのかが特定できない。プロバイダーも星の数ほど沢山あるから即時課金システムは構築できない。

NHKは不特定多数を対象にした有料システムですが、テレビアンテナで視聴者を特定できる。しかし料金徴収員をたくさん雇わないと成り立たない。だからインターネットのサイトは有料化が非常に難しい。会員制にしてもクレジットカードの利用も小額決済には向かない。

可能性としてはクレジットカード会社を公営化して小額課金システム専用のカードを作ったらどうだろうか? たとえばNHKがクレジット会社を作ってNHK料金と共に有料サイトの利用料金を決済すれば安く出来るのではないだろうか? 現在ではNHKの料金引き落としは銀行の自動振り替えですが、これに課金システムを載せればいいのではないかと思う。

NHKも有料デマンド放送を始めましたが、いずれは現在の垂れ流し放送からデマンド放送に切り替わっていくだろう。NHKの視聴者は日本国民全員でありネットの普及率も100%に近くなって放送とネットの融合は近い。民間のクレジットカード一件の決済手数料は100円近くかかるそうですが、NHKが銀行との関係で格安で口座振替で料金を設定できれば、毎月20円程度の手数料で出来るのではないだろうか?

あるいは携帯電話会社が小額課金専用のカード会社を作ってもいいだろう。携帯電話料金もクレジット決済や銀行引き落としが多いから、有料サイト専用の決済システムを載せられないだろうか? 現状では銀行にしてもクレジットにしても手数料が50円から100円もかかり課金システムのネックになっていますが、NHKとか携帯会社の巨大システムで手数料を5分の1ぐらいで出来れば有料サイトもクレジットカードで利用することが多くなるだろう。

例えば「株式日記」を毎月100円での引き落としも20円手数料で支払っても80円が利益になる。「株式日記」の有料視聴者が1万人として計算すれば月収80万円の収入になることになる。NHKや携帯などの巨大料金徴収システムに載せれば手数料も安く出来ると思うのですが無理だろうか?

毎月100円なら有料サイトを10件ぐらい契約しても1000円で済むから可能性が出てくるだろう。現在の有料サイトは年間10000円とか毎月2000円とか非常に高い。株式情報サイトやエロサイトなら成り立つのでしょうが一般のサイトでは毎月100円ぐらいでないと有料サイトは成り立たない。

要するにクレジットカードによる有料サイト化が進まないのは手数料が高額なためであり、有料サイトも手数料を含めれば高額な料金になってしまう。銀行振り込みも小額でも1回あたり210円もかかるから銀行は振込み手数料が高すぎる。3万円以上だと420円だから銀行はいい商売だ。ならばクレジット会社が銀行を立ち上げて決済手数料を格安にすればいいのでしょうが、銀行が反対するだろう。

可能性のある決済システムとしてはポイント制による決済システムがあるそうですが、これで決済回数を減らして半年に一回決済すれば一回当たり100円の手数料でも毎月に直せば18円になる。しかしどのようなシステムなのか分からないから論評しようが無いのですが、クレジットカード手数料の低料金化しかないが、当面は引き落とし回数を減らすシステムを考えないと無理だろう。

もっとも「株式日記」は有料サイトにするつもりで作ったのではなく、日本国民に対する啓蒙活動のためですが、有料サイトが本格化した時には著名なライターも参入して来るから「株式日記」の役割は終了する事になる。その頃には新聞や雑誌なども有料化してデジタルコンテンツ時代がやってきたことになる。新聞や雑誌社がなかなかネット化しないのも有料化が難しいためであり、決済手数料がネックになっているからだ。




1965年1月、ジョンソン大統領との会談では、佐藤首相が「中共が核を
持つなら日本も持つべきだと考える」と発言したことが明らかになった。


2008年12月22日 月曜日

「日中戦争なら核報復を」 佐藤首相、65年訪米時に 12月22日 朝日新聞

1965年1月に訪米した当時の佐藤栄作首相がマクナマラ国防長官との会談で、その3カ月前に中国が初めて実施した核実験をめぐり「(日中で)戦争になれば、米国が直ちに核による報復を行うことを期待している」と表明、核戦争を容認していた様子が、22日付で外務省が公開した外交文書で明らかになった。

 長官との会談は1月13日に行われた。前年10月に実施された中国の核実験をめぐり、長官が「今後2〜3年でどう発展するか注目に値する。日本は今後、核兵器の開発をやるのかやらないのか」と迫ったのに対し、首相は「日本は核兵器の所有、使用はあくまで反対」と米国の「核の傘」の下にいる立場を強調した。

 続いて首相は「核兵器の持ち込みとなれば、これは安保条約で規定されており、陸上への持ち込みについては発言に気をつけて頂きたい」と断ったうえで「(中国との)戦争になれば話は別で、米国が直ちに核兵器による報復を行うことを期待している。その際、陸上に核兵器用施設をつくることは簡単ではないが、洋上のものならば直ちに発動できると思う」と述べた。長官は「なんら技術的な問題はない」と応じた。

 このやりとりは、60年1月の日米安全保障条約改正時の密約が前提にあるとみられる。「洋上」は艦船を指し、核を搭載した米艦船の寄港は、密約によって日米間の事前協議が不要とされていた。

 一方、その前日のジョンソン大統領との会談では、首相が「中共(中国)の核武装にかかわらず、日本は核武装は行わず、米国との安全保障条約に依存するほかない。米国があくまで日本を守るとの保証を得たい」と求め、大統領は「保証する」と述べた

 この会談で首相が「中共が核を持つなら日本も持つべきだと考える」と発言したことが98年、米国の公文書で明らかになっている。今回公開された外交文書でこの発言は確認できなかった。

ただ、マクナマラ長官に対しては「技術的にはもちろん核爆弾をつくれないことはない」「宇宙開発のためのロケットを生産している。これは必要があれば軍用に使うことができる」と発言している。

 「日本は核武装できる」としながら「核武装せず米国に期待する」と表明した佐藤氏はその後、「非核三原則」などが評価され、74年にノーベル平和賞を受賞した。(石塚広志、稲田信司)

 米国在住のマクナマラ元国防長官(92)は、朝日新聞の電話取材に応じた。65年1月13日付の佐藤首相との会談録にある日本の核軍備への言及の真意について「中国の核実験に対し、日本がどう反応するか懸念を抱いていた。日本が軍拡競争に巻き込まれていたら核が地域に拡散していたと思う」と述べた。

 また、日中が戦争に陥った場合に米国に核による報復を首相が求めた点については「発言は確認できない」としながら、「中国の核開発に脅威を感じ、米国が日本を守るという確約を得たかったのではないか。中国にも米国の核抑止力を知ってほしいと思っていたのかもしれない」と語った。

 〈菅英輝・西南女学院大教授(日米外交史)の話〉佐藤首相は「核は戦争を避けるため」という建前を超え、「核で報復を」と踏み込んだ。当時の国内世論のもとでこうした発言が表面化すれば、政権は吹っ飛ぶ可能性すらあった。米国が日本の核武装を懸念していることを佐藤首相はよく知っており、相手に警戒心を持たせる意図で核武装をほのめかしている。中国の核保有が現実となっていく中で、より確実な安全保障を取りつけるための外交カードの意味合いが強い。

 〈核持ち込みをめぐる日米密約〉60年1月の日米安保条約改正時に、日本国内での核兵器貯蔵・配備は日米間の事前協議が必要としたが、秘密合意で核兵器を積んだ米艦船の寄港、航空機の領空の一時通過などの場合、事前協議は不要とした。00年に米政府の公文書で明るみに出た。日本政府は密約の存在を否定している。

 外務省は22日付で、60年代を中心とする外交文書を公開した。76年から始まった公開の21回目となる今回は、日本の首相訪米▽国連への各国加盟状況▽核実験停止会議、などに関する資料がある。22日から東京・麻布台の外交史料館で閲覧できる。



今日発売された週刊現代に掲載された田母神発言は国民必読の発言だ! 12月8日 天木直人

より深刻な事は、田母神氏が日米軍事同盟の欺瞞性を喝破しているからだ。

 私は「日米軍事同盟は、平和国家日本の将来にとって発展的に解消されなくてはならない」と誰よりも強く主張してきた。

 だから、私にとっては、田母神発言の騒動が大きくなることを実は歓迎している。

 「何を言っても、何をしても、日本政府は我々のいう事を聞く」と高をくくっている米国政府に、「ついに日本人もこんな事を言い出すようになったか。気づいてきたか」と緊張感を与えるだけでも意味があると思っている。

 とりわけ、週刊現代の述べられた田母神氏の次の言葉は、注目すべきである。私が常日頃強調してきた言葉だ。それを元制服のトップが語る事の衝撃は大きい。

 「・・・敗戦国の日本は、戦後63年を経た今でも、戦勝国のアメリカの意向に添って動かされています。その典型例が国防です。日本の防衛は、冷戦終結から十数年を経ても、アメリカが担っています。日本各地に米軍基地が点在し、在日米軍が駐留している・・・(しかし)アメリカはあくまでも自国の国益に基づいて行動する事を忘れてはなりません。たとえば日本を守るよりも中国と組むことのほうが国益になると判断すれば、日本は一夜にして見捨てられるでしょう。
    実際、私はこの夏に訪米した際、米軍の高官に『尖閣諸島問題で日中が激突したらアメリカは同盟国として中国を攻撃してくれるのか』と質しました。すると案の定、曖昧にごまかされました・・・」

 この発言こそ米国がもっとも嫌がる発言である。政府も、外務省も、有識者も、みなわかっていながらこの言葉を決して口に出す事はない。

 おまけに田母神氏は、自衛隊の装備が米国から法外な値段で買わされていると次のような暴露発言までしている。元制服の幹部の言葉である。国会で追及ものである。

 「・・・私は身をもって体験しましたが、正直言ってかなり大掛かりにボラれています。同機種でも他国より高く買わされている可能性もあります。換言すれば、日本国民の血税が不当にアメリカに吸い上げられているのです・・・」

田母神氏はさらに続ける。「米軍の撤退がなければ日本は真の独立国ではない」と。

 これも私とまったく同じ考えだ。

 しかし、米国後の安全保障策について私と田母神氏との考えは正反対となる。

 すなわち田母神氏は自衛隊を強化し、核兵器保有も辞さないという考えだ。

 私は、いかなる国に対しても脅威にならない、いかなる国からも日本を攻撃させない、と公言し、憲法9条を世界に掲げる事こそ最強の安全保障政策であるという立場である。

 このいずれでもないのが政府の立場だ。

 つまり日米軍事同盟を堅持することこそ最善の安保政策だ。なんだかんだ言っても米国が最強の国だ。日本にとって一番信頼できる国だ。自由と民主主義の価値を最も共有できる国だ。その国と同盟関係を維持できるのから、ありがたく思わなければならない。あらゆる犠牲を払っても、国民に犠牲を強いても、これだけは守らなければいけない、これである。

 米国追従が国益だと考えるか、対米自立が国益と考えるか、そして対米自立後の安全保障政策を、改憲して自主防衛力を強化する方向か、憲法9条を堅持して平和国家を宣言するか、結局はこの三つの選択に帰着する。

 田母神発言に歓迎するところがあるとすれば、国民の前でこの三つの選択について考えさせるきっかけを作ってくれたという事であろう。

私が週刊現代に掲載されている田母神発言の中でもっとも注目したのは次の言葉である。

 これは私がいつも声高に主張してきた事と完全に一致している。

 「・・・米軍基地の縮小の問題に関しても、既得権益を持つアメリカに対して、日本は何も言えないでいます。日本政府が毎年、米軍に出している2000億円以上の、いわゆる『思いやり予算』も、自衛隊に回せたらどれだけいいかと思いますが、それも言い出せない。沖縄の米海兵隊がグアムに移転すると決まれば、その移転に日本は多額のカネを払う・・・オバマ政権はアフガニスタン問題に熱心なので、今度は自衛隊がイラクより格段に危険なアフガニスタンに派遣させられる可能性もあります・・・
 対米交渉を、アメリカの好き勝手にさせない方法が、一つだけあります。それは、交渉の中身を日本側がどんどんオープンにすることです。そうすれば日本の世論は『おかしいではないか』と反発する。国民が反発すれば、日本政府も一から十までアメリカの言いなりにはできません・・・」

 ここまで核心をついた言葉が政府関係者から出た事ははじめてではないか。

 国民が声をあげれば日本政府はそれを無視できない。

 そして、実を言うと、国民の声を無視できないのは日本政府だけではない。

 米国が一番気にするのは、その国の国民の世論なのだ。

 世論が反米になった時、米国はそれに勝つ事はできない。

 それは歴史が証明している。

 今日でもその実例を我々は世界中で見てきている。

 米国の言いなりになって国民を裏切ってきた政権や指導者は、一時的にその権力を振りかざす事は出来ても、最後は必ず悲劇的な末路に終わってしまうのだ。

 国民の声を背景に外交交渉をしてはじめて、政府はいかなる国に対しても力強い外交を展開できる。

 それは当たり前の事だ。

 その当たり前の事に背を向けて、国民に隠れて、国民に嘘をついてまで、対米追従外交を行なってきたからこそ、日本外交がここまで行き詰まってしまったのだ。

 対米交渉をアメリカの好き勝手にさせない唯一の方法、それは交渉の中身をどんどんと国民にオープンにして交渉することだ、とする田母神氏の主張に、私は全面的に賛同するのである。

田母神氏もまた米国の手のひらの上で踊らされる一人でしかない

 田母神氏は核武装論者である。彼は言う。

 「・・・日本が自立した国になるのにもっとも有効な手段は、日本が核武装することです。現実の国際政治では、核兵器の非保有国は、保有国の意思に対して、最終的には従属せざるを得ません。このため、日本が従属させられる立場から脱却するには、自ら核武装する道を選ぶのが一番早道なわけです・・・」

 私は対米自立論者ではあるが、軍事力を強化して自主防衛を図るという田母神氏らの考えをとらない。

 憲法9条こそ日本がとりうる最強の自立した安全保障政策であると考える。

 しかし、私がもし武力による自主防衛論者であれば、核武装まで行かなければ自主防衛はおぼつかない、とする田母神氏の考えに賛同する。

 軍事力で自国を守ろうとするのなら、誰にも負けない軍事力を持たなければ国を守れないからだ。

 そして今の軍事技術においては核兵器が最強の軍事力である。

 軍事力強化の行きつく先は核武装である。

 ところが日本が核武装することを米国は決して認めない。

 米国は、その言葉とは裏腹に、今でも日本を信用していない。

 その日本が核兵器を持つ事を米国は決して容認しない。

 その事を知っている田母神氏は、だから米国と対立してまで日本が独自の核兵器を持つべきだ、とは決して言わない。



(私のコメント)
今日の朝日新聞の記事は佐藤首相とジョンソン大統領の密約が公開されたという記事ですが、外交交渉の会談内容が公開される事は長い年月がたった後の公文書で公開されるしか知る手段が無い。佐藤・ジョンソン会談では中国の核武装に対する内容ですが、ジョンソン大統領は日本を守る事を保障するという約束が交わされている。

しかしこれは1965年当時のものであり、佐藤首相が回顧録でも残してくれれば意図は分かるのですが、佐藤首相自身も中国が核武装すれば日本も持つべきだという発言はアメリカの公文書で確認されているが、後の非核三原則との関連でどのような思惑があったのかはまるで分からない。

天木直人氏はブログで書いているように、日本はどうして外交会談の内容を公表したがらないのだろうか。それは会談の内容と国民世論との乖離は激しくて内容が公表できずに密約が多すぎるからだろう。核に対する国民感情も1965年当時と現在とは違うし、国防に対する感情も大分変わってきてはいるものの、政府は会談の内容を公表したがらない。

核武装に関しては現在でも国会内で話し合うことはタブーになっており、核政策に対する国民感情も政府や国会においても冷静な話し合いが行なわれる状況にはなっていない。中国に続いて北朝鮮も核武装しましたが、国内の核兵器反対運動は何の効果も生んではおらず、結果的にアメリカへの依存は高まるばかりになっている。

核兵器は無くせと言って無くなるものではなく、核兵器反対運動の感情はよくわかっても現実的な運動ではない。むしろ中国などの工作によって核兵器反対活動家が使われている可能性が大きい。日本政府自身も何度も核武装の可能性を検討したのでしょうが、アメリカの意向を慮って公にはされていない。

私自身は核武装は全面戦争を抑止する手段として有効であり、日本も核武装すべきであると考えてきました。中国も日本との外交交渉で核による威圧を効かせて来ているのだからこれに対抗するには日本も核武装するしか方法はない。それはアメリカがどこまで日本の防衛するのか信用が出来ないからだ。

ジョンソン大統領の頃ならば中国の核は玩具みたいなものであり、大陸間弾道弾も無かった。しかし中国はミサイル開発に全力を注いでクリントン大統領は中国に対して多核弾頭技術も供与している。これはアメリカのアジア外交が日本から中国重視に変わって行った事実からも推測できるのですが、米中の核による日本への見えない封じ込め政策によるものだろう。

田母神論文はこのような対米不信感を表明した部分もあり、米国追従が日本の国策だとする政策に真向から反対するから、自民党政府は慌てて田母神航空幕僚長を解任して論文の封じ込めを図っている。日本の左翼は究極のところアメリカを利するものであり、憲法九条を守る立場からすれば日米安保は解消できない事になる。

それに対して愛国保守派の自主防衛核武装論は究極的にはアメリカとの従属的日米安保は解消される事になる。従属的でない日米安保とは駐留無き日米安保であり日本の国内には外国の軍事基地はあってはならない。しかし親米ポチ保守からは田母神論文は小学生並みとこき下ろされていますが、痛いところを突かれているからマスコミを使って田母神論文を封じ込めようとしているのだ。

佐藤首相がどのような意図で非核三原則を打ち出したのかは不明ですが、日本の非核武装と引き換えに沖縄と交換したのではないかと思う。このような密約があったとすると沖縄が日本である限り日本は核武装できない事になってしまう。このような事は密約であり憶測に過ぎないが、日本の政治家は日本を外国に売ることで個人的利権を獲得している。

自民党はアメリカから金をもらって政治をしてきたし、社会党はソ連から金を貰って政治をしてきた。だからソ連崩壊と共に社会党も解党してしまったし、自民党もアメリカが崩壊すれば解党する運命にある。このような事はアメリカの公開された公文書から明らかになりましたが、佐藤首相の頃まで自民党はアメリカから金をもらって政治をしてきた。

田母神論文のルーズベルト陰謀論もアメリカの公文書が公開されれば明らかになるのでしょうが、アメリカはいまだに公開していない。だからルーズベルト陰謀論も妄想だと否定する学者は何らかの意図があって言っていることであり、コミンテルンの陰謀説もロシアからの公文書などが公開されれば明らかになることだ。

このような研究は東京裁判史観を否定するものであり、日本の現代史の研究からは除外されてきた事であり、アメリカやロシアや中国などからの公文書が公開されていけば明らかになるだろう。だから歴史解釈に政治が介入して言論を統制することは近代国家のすることではないのですが、公開しなければ誤った歴史解釈が広まってしまう事になる。

日本の自衛隊員の多くが田母神氏と見解は共通している事だろう。そうでなければ日本の真の独立はありえないのであり、自衛隊がアメリカ軍の下部組織になることを歓迎する自衛隊員はいないだろう。そうなる事を望んでいるのは自民党であり、だから田母神幕僚長を罷免したのだ。


田母神氏と文民統制。五百旗頭防大校長を即刻解雇しろ 12月21日 西村幸祐

12月20日に雑誌「WiLL」創刊4周年記念講演会があった。西尾幹二氏と勝谷誠彦氏の講演が予定されていて、急遽田母神前空幕長も講師として参加した。30分ほどの挨拶のような講演になるかと思っていたら、何と1時間半にも及び質疑応答を入れると2時間にもなった熱演だった。田母神氏の講演はユーモアに富み、簡単な言葉でご自分の解職劇の経緯、現在の自衛隊の問題点とそこから見える日本の危うい状況を説明、あっという間に時間が過ぎた。

田母神氏の講演は一級だ。聴衆からは拍手や笑い声が沸き起こり、彼の問題提起とその問いかけに全く答えられない与野党の政治家、メディアへの不満が一般国民の間で鬱積していることが分かる。したがって会場の熱気もすごかった。大人数が入る日商ホールが超満員。通路には悉く人が立ち、それだけ多くの国民の田母神氏への関心が窺われる。質疑応答では大学の女性教員から「どうやって学生に今の日本の問題点を伝えられるか」という質問も出た。

先日も書いたが、そういう熱気も当然で、ほとんどのメディア(特にテレビの無能さ、無知さは目を覆うばかり)や、共産党から自民党まで全政党も一斉にヒステリックな田母神バッシングをしたのだから、まさに反日翼賛体制が最高位の自衛官の一人である田母神氏を抹殺しようとしていたのことへの国民の怒りも多い。
自衛官には人権はないのか? とよく佐藤守元空将に言われる。彼も在任中、さんざんアサヒなど反日メディアの嫌がらせや偏向報道に辟易していたからだ。実際、いつも <人権> や <差別> を売り物にする反日サヨクの代表格、日教組は学校で自衛官の子供を差別し、人権侵害を行っている。


(私のコメント)
田母神氏の講演は大変な人気のようですが、ネットの動画サイトでも見ることが出来る。しかしテレビなどでは田母神氏を生で出演させる事は禁止令が出されているようで、一部のテレビ番組でしか出演は見られない。おそらくNHKの生中継が無かったように、政治サイドかマスコミサイドの自粛があったのだろう。

従来ならばマスコミが封印してしまえば言論統制など簡単な事だったのでしょうが、ネットの時代になるとマスコミが封印してもネットで火がついてしまう。田原総一郎氏は田母神氏を欠席裁判で断罪していますが、どうしてサンプロに出さないのだろうか? 


◆「田母神俊雄(前航空幕僚長)」講演会
     http://mishima.xii.jp/koza/index.html
・日時 12月25日(木) 18時30分から20時30分
・会場 内幸町ホール(千代田区内幸町1-5-1 TEL: 03-3500-5578)
     http://www.uchisaiwai-hall.jp/data/koutsu.html
・会場分担金 おひとり2000円、学生1000円
・主催 国防問題研究会 共催 三島由紀夫研究会
・問い合わせ先  daihonei2div@hotmail.co.jp   
         携帯090−3201−1740






日本にはリスクをとる理論的根拠を持つ経済学者が一人もいない
のだろうか。日本の知的貧困が日銀政策や政府の政策に反映する。


2008年12月21日 日曜日

少な過ぎ、遅過ぎる日銀は防波堤を築けるか  12月19日 田村秀男

FRBは2000年当時、バブル崩壊後のデフレ不況下の日銀政策について「ゼロ金利下における金融政策」と題する論文をまとめ、「too little, too late」と結論付けた。
日銀は2001年から量的緩和・ゼロ金利政策を採用したが、不況からの脱出に効き目があったのは、むしろ財務省による2003年から04年にかけての大掛かりな「非不胎化介入」によりはずみを付けた円安だった。

金利は超低金利なので、米国との金利差に目を付けたヘッジファンドや外為証拠金取引に狂奔する「ミセスワタナベ」による円キャリートレードで円売りが加速。円安による輸出ドライブがかかり、自動車、家電に代表される輸出産業が非正規雇用を増やして内需も拡大。金融危機関に流し込んだ円資金は米国市場を潤した。米金融商品バブルの一端は日本の円資金だという見方は、程度の問題を度外視すれば、確かにあてはまる。

 日銀にはそんなトラウマがあるからだろうか、米FRBの後を恐る恐るついて行っており、いつ逃げ出そうかと考えている。そのためらいが、量的緩和を否定する0.1%の政策金利を墨守させる。

 本稿はそんな日銀を「憶病者」となじるつもりはない。
 FRBの実験は、本コラムで何度も書いたが、海図無き航海であり、恐らくコロンブスの大航海のようにどこにたどり着くかだれもわからないのだ。幸運であれば、黄金の国を発見するかもしれないが、巨大インフレ・ハリケーンに巻き込まれて海蘊と化すかもしれないのだ。

 ただし、FRBにあるのは、大恐慌時代から学んだFRB政策失敗と、日銀の失敗から学んだ教訓による。何もしないで失敗するときのリスクの大きさ(デフレスパイラル)と、冒険をしたときのリスク(インフレとドル暴落)の度合いを天秤にかけたのだ。いくら刷っても、他国にその付けが回せる基軸通貨ドルを持つアメリカだからこそできる壮大な実験なのだろう。

 日銀の場合、何も米国と同じことをする必要はない。屑になる金融商品を買い上げる必要もない。CPだって買い上げて大企業の資金繰りを助けることが、景気刺激策になるとは限らない。企業はその資金を手元に置くか、当座預金でもって手元流動性を積み上げ、デフレ不況の進行に備えるだろう。

 日本がめざすべきは、日本型量的緩和政策であり、その目標はあくまでもグローバル・デフレ波及防止である。日本のデフレの最大の動員は急激な円高である。世界的に超金融緩和に向かい、日米金利差が解消しているなかで、日本だけが円札の供給を抑えるなら、円高ーー株安ーー金融機関・企業の資産毀損ーー貸し渋り深刻化ーーデフレ不況という負の連鎖がひどくなる。

 防波堤を築く。この政策目標を定めると、自ずと日本型量的緩和の方策は決まる。
 それにしても、バーナンキFRB議長は豊富な業績を持つ経済学者である。日本にはリスクをとる理論的根拠を持つ経済学者が一人もいないのだろうか。そう考えると、日銀の白川総裁を責めてもしかたない。日本の知的貧困が日銀政策や政府の政策に反映するとすれば、政策リスクを背負う日銀はtoo late, too little 路線で行くしかないのだろう。
 

円札をどこへ供給するのでしょうか?米国債購入やドル買いですか?

円がこのまま80円を割るくらいまで上昇すれば、財務省主導による円売り、ドル買い介入に向かうでしょう。その場合、円資金は米国債に化けます。しかし、介入の効果を挙げるためには、円の最高値を見極める必要があります。

CPや社債購入などが、どの程度になるかわかりませんが、刷られた円はとりあえず、企業の手元流動性として積み上がります。あるいは、海外の現地法人などのドル資金用に回るでしょう。その場合、ドルで運用する関係上、米国債が買われます。そういう点で、円高の抑止になりますが、円札をどのくらい刷るかは全く読めません。

日銀白川総裁は量的緩和を明確に否定している、その意味は、量的にはさほど緩和しない、限定的だということですから、円高抑止効果もまた限度があると市場は読みます。そのメッセージ性の弱さから、円高が進むでしょう。

◆株価や不動産価格は企業決算で、「時価評価」になっている現状では、a) 銀行保有株を政府が買い上げることと、b) 社債を銀行に代わって日銀が買い上げることは、銀行の融資限度額が自己資本比率が歯止めをかけられて限り、最善策ではないでしょうか?

これらの対策は、主として企業の資金繰りを楽にするでしょう。しかし、株価のテコ入れというほどの威力はないと思います。上記で述べたように、現金が欲しい企業の手元流動性を楽にしますが、特に米欧で事業展開している大企業はとりあえず現金を持ち続け、さらなる資金ひっ迫とデフレ不況に備えるわけです。強い円資金を持つ以上、日本にはゆとりがあるとも言えます。だから、円札を大量供給して、日本企業をGMにしないようにすることが今は可能ですね。


(私のコメント)
アメリカがリフレ政策をとることで日本も遅ればせながらリフレ政策に踏み切るようですが、白川日銀総裁の政策は、相変わらず少なすぎ、遅すぎる事で効果を少なくしているようだ。日銀が三度ゼロ金利にすることは面子にかけてもしたくないのだろう。しかしバブルの崩壊から20年近く経つのに、いまだに景気が低迷して海外からのバブル崩壊をまともに受けて、企業はまたしてもリストラの嵐だ。

ただ日本はアメリカやヨーロッパとは違って円高であり、円高をどうして経済政策で有利な方向に生かすことが出来ないのだろうか? ヒントになる事はドル買いの非不胎化介入で円キャリーによって起きた円安だ。ちょうどユーロ高とも重なって日本は円安景気になった。トヨタやソニーは円安ユーロ高で空前の利益を稼いだ。

アメリカが同じくゼロ金利政策と量的緩和を行ないますが、だぶついたドルはドルキャリーが起きてドル安になるだろう。金利差からしてドルはユーロに流れて再びユーロ高になるだろう。円も量的緩和政策で円が溢れてユーロに流れ込むかもしれない。ヨーロッパもいろいろな経済問題を抱えてユーロは解体するという意見もあるがポジショントークだろう。

ユーロは、あくまでもドルに代わるべき基軸通貨の座を狙っており、ドルとユーロのデスマッチは当分続いていくのでしょうが、円こそ世界最強の通貨であるにもかかわらず政府日銀は円を基軸通貨にすることには反対のようだ。しかしドルとユーロがデスマッチを繰り返して共倒れになったら信頼できる通貨は円しかなくなる事になる。

円が基軸通貨になれない原因の一つが世界経済の事が分かっている人材の不足であり、バブル崩壊に際しての有効な手段を見出せない日本の経済学界はどういうことなのだろう。せめて「株式日記」で提案してきたような大胆な政策を言うような学者がいないのは致命的だ。バーナンキやスティグリッツのようなリフレ政策がなぜ出来ないのか。

しかしポール・クルーグマンがノーベル経済学賞を取り、ベン・バーナンキがFRB議長になっても、日本の竹中平蔵教授は構造改革が足りないといい続けている。しかし構造改革による派遣切りによって社会不安をもたらしたのは確かなのだ。これはマスコミのミスリードであり、マスコミの経済記者たちのレベルが、クルーグマンやバーナンキやスティグリッツを理解できなかったからだ。

日本にもリフレ政策を主張する学者はいたが、マスコミで取り上げられる事は少なく、もっぱらネット上で議論の対象になっただけだ。それだけ日本の経済学のレベルは低いのであり、日本の経済記者やエコノミストは「株式日記」を読んで勉強して欲しいものだ。

日本の経済学者は経済の事が分かっていないから、外国からBIS規制や時価会計制度を導入しろという圧力に対して何の反論もすることが出来ず、むしろBIS規制や時価会計制度をグローバルスタンダードだとして積極的に賛成してきた。しかし現在においてはBIS規制や時価会計制度で欧米の銀行を当て嵌めたらすべて破綻する。

ようやく日本の経済学界も風向きが変わってきて、テレビにもしばらく出られなかったリチャード・クーも出られるようになりましたが、風向きに敏感な経済学者は少しずつ構造改革からリフレのほうに転向してきたようだ。このように日本の学者は風向きによってコロコロと言うことを変えるのであり、アメリカに追随する事によって大学教授の地位に縋り付こうというのだ。


「転向」したという中谷巌の品性 12月16日 誰も通らない裏道

今朝の日経に中谷巌の新刊の広告が出ていた。
タイトルは『資本主義はなぜ自壊したのか−「日本再生」への提言』。宣伝文句は、

−−−−−−
これは私の「懺悔の書」である
「構造改革の急先鋒」といわれてきた著者は、なぜグローバル資本主義に疑問を!?
広がる格差、止めどない環境破壊、迫り来る資源不足、そして未曾有の金融危機−−すべての元凶は新自由主義にあった。構造改革は日本人を幸福にしたかを検証する。

−−−−−−

となっている。
つまり小泉構造改革の旗振り役だった人物が宗旨替えをしたということらしい。
そこで書店へ行ってパラパラと立ち読みをしてみた。
すると、やはり自分がいわゆる新自由主義、市場原理主義といった小泉構造改革の旗振り役だったことを記した上で、しかしそれが今になって間違いだったことを認めるという内容であった。
中谷の表現ではそれは「転向」であり、宣伝文句にもあるように、だから懺悔の書としてこの本を出版したらしい。

パラパラとながめただけなのでこれ以上、内容については詳しくは書けないのだが、それにしても私の記憶でもこの中谷という人物はワールドビジネスサテライトやニュースステーションなどにも頻繁に出演し、とにかく世論を“小泉改革”支持へと導いた元凶の一人で、その結果が今日の格差社会や雇用不安を生んだことは衆目の一致するところだろう。
つまりこの人物のお陰で非常に多くの人が苦況に陥っているわけで、明らかに現在の状況に対する責任がある。
そういう人物が「転向した」といって本を出版することは、版元(集英社インターナショナル)からすれば「ウリ」となる。つまり本を売る(=金儲け)きっかけになると考えるのは自然な話だが、問題は中谷もその話に乗ったということだ。
ちなみにこの本は四六判ハードカバーで定価1,765円となっている。
世の中の人をさんざん間違えた方向に導いた末に「私は間違っていました。本当に正しいのはこうでした」ということを知らせるにあたって、この大不況のご時世に「内容を知りたければ1,765円いただきます」というのだから呆れた話である。

今の時代、ブログを開設して無料で情報を提供することなど誰にでもできる。
せめて中谷がそうやって「私は間違えていた」ということを多くの人に告白し懺悔するのならば、まだ情状酌量の余地もある。が、さんざんぱら人をだましておいて「本当のことを教えてやるから1,765円払え」というその品性、感性が理解不能である。

おそらくこの本の初版は5,000部ぐらいがいいところだろう。いまどき1,765円を出して本を買うという行為だってそうそう簡単にできるものではない。それほど世の不況感は強い。
にもかかわらず平気でこういうことをやっている中谷というのは、つまり転向しようが何しようが本質的には何もかわっていないということである。



(私のコメント)
竹中平蔵が転向宣言をする時もいずれやってくるだろう。日本の経済学者は皆その程度で、日本からノーベル経済学賞を取る人は出ないだろう。出るとすれば大阪学院大学の丹羽春喜教授になるのではないかと思うのですが、ネット上でしか話題になっていない。政府発行紙幣というアイデアは「株式日記」でも紹介してきましたが、テレビでも渡辺よしみ前行革大臣も言っていたそうです。政治家の中でも研究会が開かれているそうですが、御用学者からは全く無視されている。


マクロ経済学という科学を捨てては重要国策の遂行は不可能だ 丹羽春喜

つまり、現在のわが国の経済においては、トータルとしての「自生的有効需要支出額」の年々の額を増やしていきさえすれば、それと比例的にGDPをもきわめて確実に増やしていくことができるということなのです。しかも、「自生的有効需要支出額」の中では「政府支出額」が大きなシェアを占めているのですから、政府は、この「政府支出額」を適宜に増減させることによって「自生的有効需要支出額」をコントロールすることができるわけです。したがって、政府はGDPの成長をもコントロールすることができるはずなのです。しかも、デフレ・ギャップという生産能力のマクロ的余裕が巨大で、インフレ・ギャップ発生の怖れが現実的には皆無である現在の日本経済においては、後述するように、政府は「国(政府)の貨幣発行特権」という「打ち出の小槌」財源をタブー視する必要が無く、それをいくらでも活用しうるのですから、なおさらのことです。にもかかわらず、上記で指摘したように、過去四半世紀の期間に、わが国の経済から、合計5000兆円もの潜在実質GDPを空しく失わせてしまったということは、わが国の政策当局の弁解の余地の無い大失態であったと言わねばなりません。

要するに、現在の日本経済においては、「有効需要の原理」は、きわめて確実に作動し貫徹しているのです。私(丹羽)は、このことを、経済理論的にも、計量経済学的にも、きわめて厳密に吟味・確認する作業を行なったのですが、そのようなアカデミックな研究・分析によって得られた結論も、本稿に掲げたこの簡単な付表から上記のごとく直感的に読み取りとりうることを、疑念の余地無く裏書きするものにほかなりませんでした(上掲、丹羽著新正統派ケインズ政策論の基礎』を参照)。すなわち、「有効需要の原理」の妥当性を否認するという当世風のスタンスは、まったく間違っているのです。





奴隷制度と無条件降伏という人類の悪智…ヨーロッパが1000年間
かけて廃止にこぎ着けた人類史上の英断をアメリカは全てパーにした。


2008年12月20日 土曜日

これから追い込まれるのはアメリカだ! 2005年10月21日 日下公人

ヨーロッパが作り上げた2つの叡智を無視するアメリカ

 日本は1500年前から歴史がある。アメリカなんて、いくら探したって200年か300年しか歴史がない。いかにアメリカの底が浅いか。これはアメリカに行って住んでみれば分かる。それはしょうがないことだ。アメリカ人の多くはヨーロッパに対する劣等感が心の底にあるから、その劣等感の裏返しとして傲慢に振る舞うわけだ。

 アメリカは、ヨーロッパ文明を尊敬したくないのである。その代わりにその源流とも言えるローマ、ギリシャ文明を尊敬する。ギリシャ、ローマ精神が、アメリカには実に素朴な形で生きている。ヨーロッパの人々が新天地アメリカに植民を始めた当初、カトリックは来ていなかった。だからカトリックの人は基本的には大統領にはなれない。J.F.ケネディは例外だけれど…。

 アメリカ人はヨーロッパの中世につくり上げられたものは嫌いだ。ギリシャ、ローマ時代のものなら喜ぶ。だからワシントンに行くと、官庁の建物はほとんどギリシャ、パルテノン建築。図書館とか博物館とか銀行とか、すべてギリシャ建築だ。しかし、ヨーロッパの中世1000年間はけっして「暗黒時代」などではなく、ヨーロッパ人が一生懸命つくりあげた叡智が2つある。これがアメリカには取り入れられなかった。

1つは奴隷制の廃止だ。ギリシャ、ローマには奴隷がいた。しかしヨーロッパ1000年の間に彼らは奴隷制を原則的に廃止した。完全に「ない」というと、実はあったという話がまた出てくるので「原則的に」と言っておく。実は、修道院の中にあったわけだから…。

 アフリカ人たちをポルトガルへ連れて来て、奴隷としてヨーロッパ中の修道院や教会が下男がわりに買っていたようだ。その取引記録がマドリッドにある。そのとき売れ残ったアフリカ人がマドリッドに住むようになった。その子孫たちのアフリカ人街がポルトガルにある。

 「何だか知らないけれど、やたらに多くのアフリカ人がここらへんに住んでいるんだよ」と日本のポルトガル大使が言っていたが、少しは事情を勉強してほしい。時には文化外交も担わなくてはならない外務省の人間として、赴任してしばらく経ってからもこの発言というのは、いかがなものか。過去の汚点をポルトガル人は外国人には言わないので、知る由もないのかもしれないが…。こうした抜け穴はあったものの、ヨーロッパには一応、奴隷制はなくなった。ところが、プランテーションの労働力が必要だったアメリカは、欧州大陸のそんな潮流に背を向けて、積極的に奴隷制を取り入れたわけだ。

アメリカの戦争の仕方は、相手のプライドを打ち砕き禍根を残す

 もう1つは戦争の仕方だ。ヨーロッパは散々戦争を繰り返した挙げ句、「我々は同じキリスト教徒だ。戦争をなくすことなどできようもないが、後々まで恨みが残るような戦争の仕方はもうやめよう」というところへ1000年かかって達した。

 アメリカはそうではない。戦争は、単なる利害対立の一つの「調整」の方法にすぎないのに、「神の召名による戦い」などと称して、「俺は正義を体現しているのだから、敵対する国は全て悪の枢軸だ」と相手に恨みを残す戦争の仕方をする。

その一番の被害者は、日本とドイツだ。「おまえらは正義に対する罪を犯している悪魔の枢軸国だ」「無条件降伏しろ、話し合う余地などない」と言われたので、ドイツはむかっ腹を立てて、このまま帝国の名誉ある滅亡を選ぶとヒットラーは思い詰めたわけだ。もう降伏などしない。このまま誇りあるドイツ人は最後まで戦って滅びて死ぬ。あとのことは考えない。実際、ヒットラーが自決せずに徹底抗戦をするなら、それに従いますというドイツ人はいっぱいいた。彼は決して恐怖だけで国民を支配していたわけではない。ドイツ人としての誇りを取り戻してくれた父性的存在として、男性からも、とりわけ女性からも敬愛されていたのだ。

 その結果、あの戦争は1年半長引いたとか、1年長引いたとか、そういう研究がある。いま本屋へ行くと、吉田一彦さんの『無条件降伏は戦争をどう変えたか』(PHP新書)という本がある。これは、よくぞ執念を持って調べたなと思う内容だ。

 奴隷制度と無条件降伏という人類の悪智…ヨーロッパが1000年間かけてようやく廃止にこぎ着けた人類史上の英断を、アメリカは全てパーにした。そういうことをアメリカにいると本当に感じる。発想がオール・オア・ナッシングでグレーゾーンというものがない。だから浅はかに見えるわけだ。こんな浅はかな国がやたらに実力を持っているというのは世界の不幸だが、それは翻ってアメリカ自身の不幸でもある。つまり、相手の恨みが残るような戦争をすると、自分に跳ね返ってくる。だから、アメリカに対するテロ、ゲリラがなくなることは今後もないだろう。(後略)



「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」を読んで 12月5日 ロゴ&ウェブデザイナー!

なんでこれほど無知なのか?
アメリカ人はみんな、おバカタレントでも目指しているのか?

町山氏は、「無知こそ善」とする思想、反知性主義があると指摘する。
キリスト教福音主義が原因だというのだ

福音というのは、福音=聖書を一字一句信じようとする生き方で、自らを福音派とするアメリカ人は全人口の3割を占めているという。「聖書以外の本を読まない」ことを誇りにしている牧師もいるんだそうだ…。

なるほどそれなら、いまだに天動説を信じていたり、進化論全否定というアメリカ人が多いという話しにもうなずける。

さらに私が気になったのはやはりヒロシマ・ナガサキへの原爆投下に関する部分。

リック・シェンクマンという大学教授の書いた「我々はどこまでバカか?(Just How Stupid Are We?)」(’08年)によると、自分たちの国が日本に原爆を投下した事実を知っているアメリカ人は49%にすぎないという。それって半分じゃん!(←町山調)

そして「右翼のバービー人形、アン・コールターの言いたい放題」として紹介されていたエピソード。

〜彼女は爆撃で民間人を殺すのが正しいやり方だと主張する。
「だって日本を爆撃して、原爆を落として殺したら日本人は羊みたいに従順になったわよ。」〜


温厚な私ですが、思わずフォー・レター・ワーズが口をついて出てしまいましたよ。



(私のコメント)
昨日の株式日記で、『ボブズボームは「米国は、敵を歴史的な観点から規定することができず、イデオロギーの観点からしか規定できない。つまり、米国の生活様式を拒絶する人々を敵と見なす。」と指摘しているが、アメリカはイデオロギー国家であり歴史観のある国家ではない。』と書きましたが、歴史観が無いとは、今現在のアメリカがしている事に対して後世の人はどう見るかという視点がないことだ。

もしアメリカ人がヨーロッパ的な歴史を持っていたら、広島や長崎に原爆を落としただろうか? アメリカ人は日本を無条件降伏に追い込むために原爆を使用したのであり、レイテ沖海戦以降は日本には軍艦も無くなり放置していても敗北は時間の問題だった。日本の周囲の海を潜水艦で封鎖すれば本土上陸作戦は必要は無かった。

アメリカ人は原爆を使用したのは戦争を早く終わらせるためだったと抗弁しているが、人類を絶滅させるほどの兵器だとは思わなかったのだろうか? 原爆を使用したのは当時のトルーマン大統領とごく一部の人間によって決断されたから、アメリカ人の総意であるとは言えない。しかし原爆を使用した事に対してアメリカの大統領はいまだに広島や長崎に慰霊に行っていないのはどういうわけか?

政治評論家のアン・コールターのように、「だって日本を爆撃して、原爆を落として殺したら日本人は羊みたいに従順になったわよ。」と言ってのけるアメリカ人もいるくらいだから、歴史観がアメリカ人には無いのだ。確かに戦後の日本人はアメリカ軍に骨抜きにされて、憲法九条と日米安保を墨守している。日本国内に外国の軍事基地が百ヶ所以上もあることに誰も不思議に思わない。

アメリカ軍が日本からいなくなれば日本の防衛はどうするのかという事を考えたくないのだ。終戦直後なら敗北のショックから立ち直れないのは仕方がありませんが、60年以上も経っているのに自立した日本を目指そうともしないのはアメリカに洗脳されてしまったからだろう。

しかしいずれは洗脳から覚める時が来るのでしょうが、どのようにしてアメリカ軍は日本人を洗脳して行ったのだろうか? 一つのヒントとして田母神論文に対するマスコミや政府のヒステリックな反応は、日本人が洗脳から覚めかけている事への恐怖心があるからではないだろうか?

日本人は小学校の時から東京裁判史観に基づいた教育が行なわれて、それは平和教育として行なわれてきた。アメリカ人はイデオロギーの観点からしか規定が出来ないから、「日本は侵略戦争をした悪い国家だったからアメリカが成敗した」ということになる。ブッシュ大統領によれば「日本に民主主義をもたらして親米国家にした」という理由で日本占領を正当化しているが、それをイラクにも当て嵌めてイラク侵攻した。

日本国内に百ヶ所以上もアメリカの軍事基地を置いていながら、「日本は親米国家」と思い込んでいるアメリカ人もオメデタイのですが、日本人もアメリカの代理人である日本人の顔をした政治家や官僚に統治されて、その事に気が付かないのもオメデタイ。

戦後において反米といえば左翼の専売特許なのですが、ソ連崩壊と共に左翼は力を失い反米活動は沖縄でわずかに見られる程度だ。本土の左翼はもっぱら反日となり反米闘争はしなくなった。日本の親米右翼は反共産主義から親米だったのですが、共産主義が解体した後も親米なのはどうしてだろう。アメリカとの同盟は認めても日本にアメリカの軍事基地が百ヶ所以上もある現実におかしいと思わないのだろうか?

田母神論文は航空幕僚長という自衛隊の要職にあった人の論文だから問題になったのですが、どこがどう問題なのかを明示して政府は処分すべきなのですが、政府もマスコミも封印したままうやむやにしてしまった。一番問題なのは日本を永久占領するつもりが、これに気が付き始めた日本人が出て来たから政府は慌てているのだ。田母神論文では次のように言っている。


東京裁判はあの戦争の責任を全て日本に押し付けようとしたものである。そしてそのマインドコントロールは戦後63 年を経てもなお日本人を惑わせている。日本の軍は強くなると必ず暴走し他国を侵略する、だから自衛隊は出来るだけ動きにくいようにしておこうというものである。

自衛隊は領域の警備も出来ない、集団的自衛権も行使出来ない、武器の使用も極めて制約が多い、また攻撃的兵器の保有も禁止されている。諸外国の軍と比べれば自衛隊は雁字搦めで身動きできないようになっている。このマインドコントロールから解放されない限り我が国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない。アメリカに守ってもらうしかない。アメリカに守ってもらえば日本のアメリカ化が加速する。日本の経済も、金融も、商慣行も、雇用も、司法もアメリカのシステムに近づいていく。改革のオンパレードで我が国の伝統文化が壊されていく。


歴史感覚から言えば当然出てくる疑問であり、アメリカによって日本の歴史や伝統を失わせていくことに危機感を覚えるのは当然だ。「米国の生活様式を拒絶する人々を敵と見なす」と歴史家のホブズボームは指摘するが、アメリカ占領軍は、日本をすべて歴史から遮断して、すべてアメリカのような社会に作り変える事を目指している。

昨日も書いたようにアメリカは、政治力と軍事力でグローバルな支配を目指していますが、英国における帝国の喪失という教訓が活かされないのは、アメリカ人に歴史観が無いからだ。イラク人からも5年に及ぶ占領支配は恨みを買うことになるだろう。そして63年に及ぶアメリカの日本占領支配はいつまで続くのだろうか?




米国は、英国の帝国の喪失という教訓を理解するだろうか。それとも、
政治力と軍事力だけでグローバルな支配を維持しようとするのか。


2008年12月19日 金曜日

帝国の衰退について エリック・ホブズボーム 

16世紀にはスペインが、17世紀にはオランダが、強力な帝国を築き上げた。だが、グローバル化した帝国、すなわち世界中に散らばった資源を支えに、軍事基地網を張りめぐらせ、国際的な野心を誇示することのできる帝国の事例は、18世紀から20世紀半ばまでの英国と、20世紀半ば以降の米国の2つしかない。英国の力の源泉は海軍力の優越性であり、米国のそれは爆撃による破壊能力である。

 とはいえ、軍事的な勝利だけで帝国の長期的存続が保障された事例はひとつもない。(・・・)英国と米国はいずれも、もうひとつの切り札を持っていた。それは、グローバル化した経済という枠組の中でしかありえないものだ。すなわち世界の産業の支配である。まず、大規模な生産機構を備えていたことで、両国は「世界の工場」となる

1920年代を通じて、それから第二次世界大戦の後、全世界の工業生産の約40%を米国が占めるようになった。今日においても、この比率は22%から25%の間で推移している。2つの帝国は、他国が模倣しようとする手本でもあった。両国は国際貿易の要となり、その予算や金融、通商に関わる決定は、国際貿易の内容、物量、方向を左右した。さらに、英語の使用の途方もない拡大などを通じて、度はずれの文化的影響力を行使した。(・・・)

 両国の間には、こうした共通点以上に、数多くの相違点がある。最も明白なものは国土の面積である。英国は島国であって大陸ではないから、米国的な意味における国境を持ったことがない。様々なヨーロッパの帝国の一部になったことはある。ローマ時代や、ノルマンディー公による征服後、そして短期間ながら1554年にテューダー朝のメアリー1世がスペインのフェリペ2世と結婚した際のことだ。

だが、英国はそれらの帝国の中心の座を占めたわけではない。国内の人口が過剰になると、国外への移住や植民地の建設が開始され、ブリテン諸島は移民の一大輩出地となった。逆に米国は、本質的に移民の受け入れ地である。その広大な領土は、国内人口の増加と、移民の大波によって満たされた。移民の中心は1880年代までは西ヨーロッパの出身者だった。米国はロシアと並んで、ディアスポラを形成することのなかった唯一の帝国である。(・・・)

 国土と大陸がほぼ一致していることを基本とした拡張の論理的帰結、それが米帝国である。高い人口密度に慣れていたヨーロッパからの移民の目には、アメリカは無限かつ無住の地と映ったに違いない。入植者が持ち込んだ病気が、故意によるものかはいざ知らず、広がったことで現地民がほとんど壊滅したために、そうした印象はいっそう強められた。(・・・)とはいえヨーロッパ人が、この地を神から与えられたという確信をさておいても、自己流の経済システムと集約農業を強行するために、遊牧民族を端的に一掃することは必然のなりゆきだった。したがって、米国憲法は、「自由の恩恵にあずかる自然権」を享受する人々からなる政治体から、先住民を明示的に排除している。(・・・)

 英国およびヨーロッパ全般とのもうひとつの相違点は、米国が、同等の勢力を持つ国々からなる国際システムの一員だという認識を持っていないことだ。植民地という概念も、米国の見解とは相容れない。カナダを含む北米大陸全土はいずれひとつの国になるべきものだからだ。それゆえ、ハワイを別として、それまで人が住んでいなかった地域や、既にアングロサクソンが入植していたプエルトリコやキューバ、太平洋の諸島のような地域を、米国が本気で自国に組み入れようとはしたことはない。

大陸国家たる米国の海外における覇権が、大英帝国あるいは英連邦のような形をとることはありえなかった。世界中に入植者を送り出すこともなかったから、現地民の参加あるいは排除の下に、次第に自治権を獲得した白人植民地、つまりカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカのような自治領を作ることもなかった。南北戦争における北軍の勝利以降、合衆国からの分離独立は、法的、政治的に、またイデオロギー的にも考えられなくなった。国境を越えた米国の勢力の表出は、衛星国あるいは従属国のシステムという形をとることになる。(中略)

大英帝国の教訓

 さらに重要な点がある。英国経済が国際貿易の大半に関わり合っていたことだ。この帝国は19世紀の世界経済の発展の中心的要素だった。1950年代まで、英国による巨額の投資のうち、少なくとも4分の3が発展途上国に向けられていた。両大戦間期には、輸出の半分以上が勢力圏内の地域に向けられていた。ヨーロッパと米国の工業化が進むにつれ、英国は世界の工場ではなくなったが、国際輸送網の盟主の座を保ち、世界の仲買人、世界の銀行家、最大の資本輸出国であり続けた。(・・・)

 米国経済は、世界経済との間にこれほど象徴的なつながりを持ったことがない。だが、突出した世界最大の工業国であり、巨大な国内市場ひとつとっても、大きな影響力がある。技術革新や労働の組織化の分野で上げた成果によって、米国は1870年代以降、とりわけ世界最大の大量消費社会となった20世紀には、手本として仰がれるようになった。

 両大戦間期まで、極めて厚く保護されていた米国経済は、主に自国資源と国内市場によって発展していった。(・・・)

 旧世界に対する新世界の経済的支配は、冷戦期に確立した。それが今後もずっと続くと言明できる根拠はない。(・・・)

 既に工業化が広く進展し、また依然として最大の資本輸出国だったヴィクトリア時代の英国は、ヨーロッパと米国の工業化への対処策として、投資先を帝国の勢力圏内へと大きく転換した。21世紀の米国には同様の可能性はない。(・・・)グローバル化した世界において、米国の文化的支配と経済的支配は同義でなくなりつつある。米国はスーパーマーケットの発祥国だが、ラテンアメリカと中国を征服したのはフランスのカルフール・グループだ。英国との決定的な違いの結果、米帝国は自国経済を支えるために、常に腕力を振るわなければならなかった。

 仮に、冷戦の要請に従う「自由世界」という条件がなかったとしたら、米国はその経済規模だけで世界の手本となりえていただろうか。米国の金融格付機関や会計基準、ビジネス法の支配を確立できていただろうか。国際通貨基金(IMF)と世界銀行の金科玉条である「ワシントン・コンセンサス」を規定できていただろうか。大いに疑わしい。

 以上に挙げた一連の理由により、大英帝国は、米国の覇権構想を理解するためのモデルと見なしうるものではない。しかも、英国は自らの限界、特に軍事力の限界を知っていた。世界の新興盟主の中の世界王者というタイトルを永遠に防衛できないことを知っていた中堅国の英国には、他のいかなる国も持ったことがなく、これからも持つことのないだろう広大な帝国領域があった。だが英国は、全世界を支配することは不可能だと知っており、支配しようと試みたこともない。英国は逆に、世界を安定化による繁栄に導こうと試み、自らの意向を世界各地に押しつけようとはしなかった。

 20世紀半ば、海洋帝国の時代が終わりを告げた時、英国は他の植民地大国に先駆けて風向きの変化を感じ取った。その経済力を軍事力ではなく貿易に依存していた英国は、帝国の喪失という事態にも、諸大国に比べて円滑に順応した。かつて、史上最大の凶事となったアメリカ植民地の喪失に、やがて順応したのと同様である。

 米国はこの教訓を理解するだろうか。それとも、政治力と軍事力だけでグローバルな支配を維持しようとし、いっそうの無秩序と紛争、蛮行を生み出していくのだろうか



(私のコメント)
大英帝国は海軍力で世界を支配し、アメリカは空軍力で世界を支配してきた。アメリカの長距離爆撃機と原子力空母の作戦範囲が勢力圏であり、それは全世界に及んだ。アメリカは現代のモンゴル帝国であり、帝国の支配の及ぶところでは紙幣が通用した。ロシアなどでもドル札がルーブルよりも価値があったのだから帝国の支配力は及んでいたのだ。

マルコポーロがイタリアから北京まで旅行が出来たのもモンゴル紙幣が通用したためであり、現代のグローバル経済はアメリカのドル紙幣が全世界に通用するから成り立っている。世界貿易のほとんどがドル建てで決済されてきて、多くの国の外貨はドルを持つことが当たり前の世界だった。

アメリカは世界の警察官としての役割を押し付けられて、世界に軍事基地を展開してきた。必要な時は空母機動部隊が押しかけてきて何ヶ月も睨みを効かされればアメリカに逆らう国は存在しなかった。しかしそのような体制になったのは第二次大戦後のことであり、アメリカの世界帝国は60年ほどの歴史しかない。

ソ連や中国といった共産主義国家も最後まで逆らっては見たものの、1991年にソ連は崩壊して、中国は改革開放経済で実質的に共産主義は棄ててしまった。もはやアメリカに逆らう国は無くなり敵も無くなったかわりに味方もなくなり、ヨーロッパはEUを結成してユーロ経済圏を作り始めた。

共産主義を棄てたロシアも中国と手を組んで新たな体制を築こうとしていますが、アメリカの衰退を見越した行動だろう。イギリスもアメリカも「世界の工場」として全世界の産業を支配したから世界帝国となれたのですが、大戦後においてはアメリカの経済力は、全世界の工業生産の40%をアメリカが占めるようになった。

軍事力と経済力が帝国を支える車の両輪ですが、アメリカの経済力に陰りを生ずる事態が起きており、経済力が破綻すればもう片方の軍事力も支える事ができずに崩壊するだろう。これは大英帝国が経験した事ですが、大英帝国の教訓が生かせるのだろうか? 

歴史家のホブズボームは英国とアメリカの違いをあげて疑問を提示している。アメリカはかつてはイギリスの植民地であり独立戦争を経て独立した国であり、英米を一つの体制としてみることも出来る。だから多くの共通点もあるが異なる部分もかなりある。国土の大きさも違うし歴史の長さも違う。

アメリカは建国以来の歴史も短く、国家の存亡をかけた戦争も南北戦争以外に経験をしていない。それに対してイギリスは国内の革命や内乱を経験してきた。ボブズボームは「米国は、敵を歴史的な観点から規定することができず、イデオロギーの観点からしか規定できない。つまり、米国の生活様式を拒絶する人々を敵と見なす。」と指摘しているが、アメリカはイデオロギー国家であり歴史観のある国家ではない。

さらにボブズボームはアメリカをイギリスのような海洋国家ではなく、ロシアのような大陸国家に似ているとしている。だからアメリカは一つの孤立した世界であり、ロシアや中国に近い国家であり、帝国の崩壊もロシアや中国の王朝が滅んだ例を参考にしたほうがいいのだろう。だから政治力と軍事力で抑え込もうとするのだろうが、それを続ければ内部崩壊が待っている。




米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、ドル札をいくらでも刷って金融
機関や企業、さらに個人に流し込み、「デフレスパイラル」を止める。


2008年12月18日 木曜日

日銀追い込むグローバル・デフレ 12月18日 田村秀男

米国の連邦準備制度理事会(FRB)は「ゼロ金利」政策にまで踏み込んだが、その真意は「量的緩和」政策にある。金利をなくしてカネの流れに弾みをつけ、ドル札をいくらでも刷って金融機関や企業、さらに個人に流し込み、物価が底なしに下落する「デフレスパイラル」を止めようというわけである。

 日本は1990年代にデフレの恐怖を体験した。バーナンキFRB議長は日本の教訓から克服策を検討してきた。デフレ下ではカネはモノに対して値打ちが上がる。ならば使わずにおこうと消費者は考え、企業は投資を控えるので景気は一層冷え込む。需要が減退するので、物価はさらに下がる負の連鎖にはまる。

 閉塞(へいそく)状況の打開策はただひとつ。金利ゼロのドル資金を抱える銀行などが低利融資に走らざるを得ないようにする。カネが住宅や株式市場などに向かえば市況は底を打つはずだ。日本の場合、カネは余っているのに必要なところに回らない。超低金利下にもかかわらず銀行は預金であふれかえる。だが、企業には届かない。

 日銀は2001年から06年までの量的緩和政策とゼロ金利政策で世界に先駆けた。ところが本当に効果があったのか確信がない。金利を操作できず日銀券を発行するだけなら中央銀行は無力化すると恐れる。短期金融市場など不要になり、日銀OBの就職先もなくなる。

 日銀はこの際、大局を見据える必要がある。事態は今や「グローバル・デフレ」である。金融商品バブルによる欧米の金融機関の損失額は欧米の国内総生産(GDP)の3分の1、円換算で1000兆円を超える。欧米金融機関は一斉にこれらの金融商品を現金化し、損失処理するから、資金は絶対的に足りない。

 また、日本の金融機関も焦げ付きを恐れて貸し渋り、企業が資金調達のための短期の証書CP(コマーシャルペーパー)を発行しても銀行や生保が買ってくれない。大企業がそうなら、中小、零細企業はさらに深刻だ。米国の金利が日本よりも低くなって、円高ドル安が加速してデフレ不況を悪化させる。無関係だと思っていたら、いつの間にか日本自体がグローバル・デフレという大津波にのみ込まれかけている。

 選択肢はFRBと同じだ。量的緩和政策とそれを可能にするためゼロ金利の復活である。日銀がためらうなら、財務省がそのお株を奪うだろう。CPは財務省支配下の日本政策投資銀行に買わせる。財務官僚の権限はまだある。円高進行防止のために大掛かりなドル買い介入をし、新規に流した円札を市場に放置することで量的緩和の状況を作り出す。そうなると日銀はもはやいらなくなる。(編集委員 田村秀男)


(私のコメント)
銀行はBIS規制の制約があって、株や土地の値下がりで融資余力が無くなっている。政府の赤字財政で国債発行残高は増える一方だ。従来の伝統的な景気対策では打つ手が無くなり、日銀は非常手段でデフレ脱却を目指すべきだ。バーナンキFGB議長がやろうとしていることは非常手段であり、中央銀行が直接市場介入することで最後の貸し手の責任を果たす。

それに対して日銀は従来通りの金融政策しか行なおうとしていない。役人は前例の無い事はやろうとしないし、政治家は経済の事が分からない。日本の学者は欧米の学者の受け売りばかりで、日本経済の事が一番分かっているはずの日本人は思考停止状態だ。

バーナンキは従来からのヘリコプタマネーの理論家ですが、日銀はこのような非伝統的な金融政策には反対している。ヘリコプタマネーとは銀行から国債などを買い取る買いオペだけなく、機関債やモーゲージ担保証券なども買い取って株や不動産にも資金を注入してデフレ脱却を図る。

このように書くと株や不動産をもっていない人に不公平だと言う意見が必ず出てきますが、金を持っているにもかかわらず株や不動産を買わないリスクは自分で負うべきだ。デフレとは金持ちが金を溜め込んで使わなくなるからデフレになるのであり、金庫に退蔵された現金はデフレだと価値を増すからますます金持ちは金を使わなくなる。

もし1500兆円の金融資産のうちの10%の資金が株に向かえば株式市場は大暴騰するだろう。不動産市場に向かえば銀行の不良債権の処理が進んで、融資余力が増えて金融も活発化するだろう。このような経済の仕組みが分かっているからバーナンキは非常識な手段で市場介入する。

日銀がもしこのような手段をとらないというのなら、田村秀男氏が言うように日本政策投資銀行を第二日銀にしてやらせればいいのだ。デフレギャップが存在する限り紙幣を印刷してばら撒いてもインフレにはならない。国債を買い取る形でもいいし日銀が直接債券やCPを買う形でもいいが、そうしても円が売り込まれることは無く、円高で悩む日本だから出来る事なのだ。


難局に立ち向かう“ヘリコプター・ベン 12月18日 Financial Times

各国中央銀行は近く、デフレに対する最強の武器に頼らざるを得なくなるかもしれない。紙幣印刷機と空からカネをばら撒く「ヘリコプター投下」である。

 これはまさに、米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長が長年備えてきた局面である。この武器に効果はあるのか? 答えは紛れもなく、イエスだ。

 この武器を何の遠慮もなく使えばデフレは退治できる。だが、その後、正常な状態に戻すことは、ずっと難しい。

 バーナンキ氏はまだFRB理事だった2002年11月、この問題について有名なスピーチを行った。当時は2000年の米国株バブル崩壊からあまり時間が経っていない頃で、政策立案者らは米国が近く日本に続いてデフレ――物価が全般的に下がり続ける状態――に陥るのではないかと懸念していた。

2000年代前半のデフレ懸念は杞憂に終わった

 しかし、バーナンキ氏は当時、「近い将来、米国で深刻なデフレが起きる可能性は極めて小さい」と主張した。彼が指摘したのは、「米国の金融システムの強さ」だ。「過去1年間の激しいショックにもかかわらず、我が国の銀行システムはなお健全で、しっかり規制されており、企業と家計のバランスシートも概ねいい状態にある」――。

 「誇り(pride)」と「没落(fall)」という言葉が頭に浮かんでくる。6年の歳月と住宅・信用バブルを経て、バーナンキ議長は悲しみを覚えながら、前より賢明な人間になっているに違いない。

 バーナンキ氏の見解は、「問題から脱する最善の方法は、そもそも問題に陥らないことだ」というものでもあった。デフレ期待を反転させるのは難しいという懸念が、FRBが2007年8月の危機勃発以来、政策金利を急激に引き下げてきた背景にある。

 デフレは現実的な可能性なのだろうか。インフレのコア指数は、答えが「ノー」であることを強く示唆している。だが、期待インフレ率を示す1つの指標――一般的な国債と物価連動債の利回り格差――は、14ベーシスポイント(bp=1bpは100分の1%)まで縮小した。さらに、米国の10年国債の利回りは既に、危機が始まって6年経った1996年当時の日本のそれと同じ水準にある。

 では、中央銀行はなぜデフレを恐れなければならないのか。まず、デフレが起きると、通常の金融政策で実質マイナス金利を実現するのが不可能になる。デフレのスピードが速ければ速いほど、実質金利は高くなる。

 すると次に、1930年代に偉大な米国人経済学者アービン・フィッシャーが説明したように、「負債デフレ」――物価下落に伴い実質債務が膨らむこと――が致命的な脅威になる。GDP(国内総生産)比で見た民間部門の負債総額が、1978年の118%から2008年に290%まで膨れ上がった米国では、負債デフレは、大量破産と需要減退、さらなるデフレという負のスパイラルの引き金を引きかねない。

FRBが世界最大の銀行になる日

 FRBは既に、経済を浮揚させるために異例の対策をいくつも取ってきた。12月10日時点でFRBのバランスシートは2兆2450億ドルに達し、1週間で1240億ドル、1年間で1兆3780億ドルも膨れ上がった。

 FRBは国債や社債を幅広く保有しており、米国債4760億ドル、「ターム物債券」4480億ドル、コマーシャルペーパー(CP)3120億ドル、さらには米アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)向け融資570億ドルを含む「その他融資」2330億ドルを抱えている。この調子でいくと、FRBは世界最大の銀行になるかもしれない。

 FRBには何か制約があるかと思えば、そうでもない。ロバート・ムガベ*1が示したように、誰でも紙幣印刷機をうまく運転できる。金利がゼロになっても、FRBはまだまだ金融を緩和できる。実際、カネは際限なく創出できるのだ。




日本の政策担当者や5大新聞は、デフレ下での消費税増税の失敗を
謙虚に反省し、再び消費税を下げる段取りを取り付けるべきであろう。


2008年12月18日 木曜日

世界金融サミットの失敗 12月5日 デフレ・インフレの一般理論

今回の金融サミットは、残念ながら世界経済をデフレに導く第一歩となったかもしれない。

財政出動による各国の景気対策は大半の国で生産者側への優遇策、生産刺激策をとるだろう。それはデフレを促進するからである。世界はまだデフレに対する処方箋を知らないのだ。

世界の主要国が集まり経済を再生するサミットを開催し得たことはすばらしい前進である。

しかし残念ながら、政策の内容が今までの経済対策の踏襲に過ぎない。これでは、1929年の大恐慌の二の舞いになるだろう。

経済対策として消費者側に資金を投入せよと宣言すべきだったのだ。

決まったことは、世界規模での金融機関の監視の強化と、財政出動による内需拡大を図ることであった。

金融機関の監視の強化などは、デフレやインフレの失敗した経済(資金量と生産量の間に大規模な差がある場合)では、金融を独立させることは無意味でありこの決定は当然である。
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/アダムスミスの致命的欠陥、又は、けいんずの致命的欠陥参照のこと)

問題は財政出動による内需の拡大を図るというところである。

彼らがなさなければならないのは、財政出動による消費者への還元策であり、消費不足を補う政策を行うよう要請すべきなのである。

しかし各国に自由に財政政策を取らせると、多くの国で生産者側への刺激策を取ることになろう。消費が不足しているところにさらに物を作っても売れないのである。物は消費されて始めて所得となる。消費されなければ所得にならない。
これでは、借金が嵩むばかりで、デフレが進行するばかりである。

国によっては消費者側への財政出動を行い功を奏する所も出るだろう。しかしその他の多くの国で、生産者側への刺激策となり、消費に火が付かずに資金減少の大きな渦にのみ混まれるであろう。それが世界経済をよりいっそう難しくするであろう。

今回のサミットの決定により、少なくとも来年1年間はさらに景気が悪化することになる。我々庶民は各国の掛け声や宣伝に躍らされる事なく冷静に判断しなければならないだろう。

来年3月までに取られる財政出動の中身を確認しなければならない。正しく所得減税や、消費税の減額、などの消費者への還元策が取られたかどうかを確認する必要がある。

この資産デフレで資金が大幅に減少している渦中で、
徒に公共投資を増やしたり、低金利にし過ぎたり、生産者側に補助金を出し過ぎることは、多勢に無勢である。

この不景気は生産者側に問題があるのではない、資産価格の崩壊による借金増が、消費不足を招いたのである。この認識を各国は持っているだろうか、もし持っていたとしてもそれに対する的確な政策を実行できるだろうか。

できないであろう。今支配的な経済学はデフレに通用しないものであり、1929年来進歩していないからである。今回集まった人達に進歩した経済学を述べる人達はだれもいなかった。

今やることは資産価格の崩壊をさらに進めることではない。できるだけその崩壊を少なくし借金額を貯蓄額以上にしないことに重点がある。日本はこれに失敗したため、完全な所得デフレに入ってしまった。

世界はまだ所得デフレまで至っていない。まだチャンスは十分に残っている。しかしこのサミットで重要だったことは、生産者側への財政出動は役に立たないことを日本がはっきりと示すべきであったのだ。

しかるに日本で財政出動というとお決まりの生産者への優遇策、低金利、公共投資である。麻生氏は日本で無意味な26兆円の財政出動を行う張本人なため、何の役にも立たなかった。どころか逆のメッセージを与えたかもしれない。

はっきりと世界に消費側に投資せよとアナウンスすべきであったのだ。

日本は反面教師としてサミットに行き、生産者側への優遇策である、公共投資、低金利、補助金などすべてやりましたがデフレに勝てませんでした。
このような馬鹿げた政策をしないように提言すべきであったのです。



快挙:イギリスの2・5%の消費税減税 12月2日 デフレ・インフレの一般理論

さすがに経済学の発祥の地だけのことはある。理論が無くても何が問題なのかが良く分かっている。又日本のやり方も大いに反面教師になっているようだ。

これでイギリスは余程の事がない限り日本のような所得デフレまで落ち込まないだろう。

ただ少し早くに過ぎたきらいがある。イギリスは、今はまだ資産の暴落の渦中に有り資金が市場から大幅に奪われているところであるため、この消費税の減額による、資金の増加策が資金の減少額を上回ることは無いからだ。

資産の暴落が一段落着き、落ち着いたところでやれば効果的面であったろうに。
しかしこの消費税減税は、確実に、資産デフレを最悪の事態まで行くまでに、止め、所得デフレまで進まないであろう。すばらしいことだ。日本ももう少し利口であれば良かったのに。

もう少し後1年後ぐらいが良かったと思う。いずれその効果が無ければもう一段消費税を下げればいいだけだ。10%ぐらいまで下げれば既に回復基調に入っているだろう。

この消費税の減額がいいのは、借金が増えずに景気を下支えすることである。2、3年後の政府の政策余禄が違ってくる。これが企業への補助金や公共投資であれば借金が増えその効果もほとんど無いから、赤字財政の上に赤字を作ることになり、政策の余力を無くしてしまう。

しかも消費税のいいところを良く分かっていることだ。単なる所得減税は貯蓄に回る分が多く、消費に回るとは限らないが、消費税減額分は確実に消費に回り、売上が増えるからだ。

これをヨーロッパの他の国やアメリカが見習えばこの大恐慌ももはや怖くは無いだろう。もう既に回復の道筋が見えていると言えるだろう。

イギリスの心配なことは理論を知らないため、消費税の減額の効果が少なかった場合に、もう一段の消費税下げをできるかである。

ハートランド理論が分かっておれば難無くクリアできるであろう。(デフレ・インフレの一般理論http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi又はhttp://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarouデフレと消費税参照)

ここで日本の政策担当者や経済学者、政治家が良く検討すべきことは、イギリス政府は消費税の減額により増収になると踏んでいることだ。

私はイギリスの消費税減額は時期が少し早かったので、それほど増収になると思わないが、日本でやれば、確実に増収が期待され、経済はイギリスより速く復興に向かうであろう。

日本の政策担当者や5大新聞は、デフレ下での消費税増税の失敗やガソリン税の復活の失敗を謙虚に反省し、再び消費税を下げたり、ガソリン税を下げる段取りを取り付けるべきであろう。

それが日本の復活の第1歩なのである。



(私のコメント)
「株式日記」のホームページ版の表紙にもあるように、バブル崩壊の原因のひとつが消費税の導入にあるのですが、日本政府はどうしても消費税率の引き上げをしたいようだ。バカな財務省の官僚たちは消費税と所得税と同じように考えているが、消費税は売り上げた金額そのものに課税がなされて、売上げそのものを抑制するが、所得税は売上げから経費などを引いた利益に課税がなされる。

だから所得税を引き上げれば利益から払うわけだから、払う意思があれば税収は増える。しかし消費税は利益がゼロでも支払わなければならないから、消費税はコストと同じことになる。コストが上がれば利益がゼロならそれだけ赤字になります。赤字が増えれば税金も払えなくなるから税収が落ちます。

麻生総理も記者会見で言っていましたが、橋本内閣の時に消費税を3%から5%に上げましたが、5兆円の増収の見込みが9兆円の減収になり14兆円の見込み違いが起きた。ならば逆の事をやれば14兆円の増収が起きてもおかしくは無い。2%の消費税減税をすれば5兆円の減収になるはずですが、9兆円の増収になる可能性がある。消費税をゼロにすれば20兆円の増収になりプライマリーバランスも取れることになる。

「株式日記」ではこの事を何度も書いているのですが、読者にはサラリーマンが多いからピンと来る人はいないのだろう。私は不動産業で毎年50万円近くの消費税を払う立場ですが、消費税がゼロになればテナント料もそれだけ安くなり、入居者は確実に手元に利益が残りその分が所得税として計算されるからかえって増収になるだろう。あるいは税金で払うよりも使ったほうがいいという事で消費が増える。それで景気が回復するわけだ。

イギリスは先日、消費税の2,5%の減税を行ないましたが、日本で行なう定額給付金よりかはよほど効果的な景気対策だ。定額給付金は結局は2兆円の国の借金を増やすだけですが、消費税減税は国の負担にはならず、かえって増収効果が期待できる。このような一石二鳥の経済対策を財務省の官僚たちは理解できないらしい。

なぜ財務省や日銀の官僚はデフレ経済の本質が分からないのだろうか? 経済学ではインフレの事は教えてもデフレ経済の事は詳しくは教えていない。誰もデフレ経済の経験がないからだ。昭和初期の頃のデフレ経済を知っている人はこの世にはもういないわけで、昨日も書いたように日銀はインフレばかりを警戒してデフレにしてしまった。

バブルの崩壊当初は何処も過剰な債務を抱えて借入金の金利負担が大変で、銀行も貸出金利を下げて融資先を助けなければならない。それ以上に日銀はゼロ金利で銀行を助けて、預金者からの所得移転をしてきた。しかしバブル崩壊から15年も経って過剰な債務も大分整理がされてきたから、これからは消費を増やす政策に切り替えるべきだ。

一番消費を増やすに効果的なことは株や不動産の値上がりであり、2年前にはミニバブルが起きて都心には外国のブランド品を売る専門店がいくつも出来た。しかし都心部の不動産の値上がりだけで終わってしまった。株も18000円止まりで株式長者は誕生しなかった。

日本と欧米とで違うのは、日本は株も不動産も三分の一から五分の一までに下げてしまって上げ余地が大きいが、欧米では株も不動産も上げっぱなしで大して下げていない事だ。欧米はまだバブルが崩壊し始めたばかりで株長者や不動産長者が沢山いるから、危機感を持っているのは会社経営者ばかりで資産家はまだ余裕がある。

日本でも本当の資産家は金融資産を持っていたり不動産収入があって悠々自適な人がいるのですが、年金生活者も余裕のある人は毎月50万円もの年金をもらっている人がいる。そういう人にとってはデフレはありがたいことであり、天下り団体で優雅に生活している元官僚もそうなのだろう。

どうすれば株や不動産が値上がりするかでは、インフレ政策で上げていくしかないだろう。どうしたらインフレになるかといえば、中央銀行が直接市場から株や売れなくなった不動産投資証券を買うことであり、CPや長期国債も買っていけばインフレになる。そんなことをすれば中央銀行が不良債権を抱える事になると心配する人がいるが、元本は紙切れを印刷した紙幣だけなのだから、株や不動産が値上がりしたら買ったものを売っていけばいいだけの話だ。

アメリカのFRBはこのような大胆な政策を行なうようですが、まさしくヘリコプターから札をばら撒いて消費を増やす政策を行なう。日銀がやっていることは銀行がもっている国債を買うばかりで市場にはマネーを供給しない政策であり、これでは量的な緩和にはならない。日銀官僚には非伝統的な政策を理解する能力は無く、アメリカが行なう非伝統的な政策を見守るしか能は無いのだろう。

このような非伝統的金融政策は、経常黒字の日本こそ行なう政策であり、双子の赤字のアメリカではデフォルトの危険性がある。ばら撒いた札がアメリカから逃げ出せばドルは暴落するしかないのであり、ユーロや円は高くなりドルの独歩安でアメリカはアルゼンチンタンゴを踊ることになるだろう。


壮大なる日本の低金利過剰金融緩和政策の失敗。これはG7やIMFなどの要請でもあったようだ。日本だけでなく世界的な無知蒙昧であった。

壮大なる日本の低金利過剰金融緩和政策の失敗。これはG7やIMFなどの要請でもあったようだ。日本だけでなく世界的な無知蒙昧であった。

IMFやG7は、デフレの何たるかを知らず日本に低金利過剰融資政策と、実質GDPの成長率を高めることを要請したようだ。これ又無知蒙昧な日本の政策担当者は、彼らの要請に応えるよう動いていたらしい。その結果もたらしたのは、日本国内のデフレの克服ではなく、国内を見捨てた輸出主導の政策となり、実質GDPの成長のみをもたらした。国内生産の増加が国内で所得を形成せず、外需により名目成長率を引き上げたのである。また円の海外への流出は外国の金融資産の価格上昇を招いている。それが常に株価下落の危機をあおっている。

デフレ経済において実質GDPを成長の基礎におくことは、消費より供給に重点を置く事であり、反デフレ政策にならざる負えない。デフレは消費の拡大こそが第一義に重要であり名目GDPを基礎に置くのがまともな経済政策である。その結果企業は外需に活路を求めざるおえず、国内需要はようとして復活しなかったのである。

膨大な円資金の海外流出にもかかわらずなんと国内の回復が遅れていることか。しかもその円の流出が海外資産の高騰を招いている。日本のデフレを解消するために始めた低金利過剰融資政策が、日本国内のデフレをほとんど解消できず、海外の市場をインフレにしているのである。デフレに対して低金利過剰融資政策が無意味であることの証明である。

この後再び日本の輸出を押さえるため円高に進めて行くようである。しかし日本の現状はどうであろうか、かなり明るさが見えるとは言えまだデフレから脱したとはいいがたい。政府が抱える借金を返すほどの成長力がないため少しの衝撃で再びデフレに立ち戻る恐れが大きい。本来ならここでしっかりとしたデフレ政策を打つべき時なのだが、いかんせん彼らはデフレ対策なるものを知らないので、何もせず見守るばかりだ。みすみす機会を逃しているのを知らない。ここで政府関係者が今の状況を勘違いして、借金返しのために増税をすれば再びひどいデフレ状況に陥るであろう。(後略)




ドルはじゃぶじゃぶ、円は引き締めですから、円高が急激に進行する。
日銀はありもしない「インフレ懸念」にこだわり、資金供給を絞ってきた。


2008年12月17日 水曜日

リフレ政策ついに始まる 12月17日 Economics Lovers Live

バーナンキFRB、戦後世界経済で(ある意味で不幸であることには違いないが、それでも長期停滞に陥る日本にとっては最善のエールともいえる)はじめてのリフレ政策(ゼロ金利、FRBのバランスシートの拡張維持へのコミット、長期国債の買いオペの考慮=ほぼ実施予告など)始まる。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081216b.htm

 それとこれは時事通信などがhttp://charge.biz.yahoo.co.jp/vip/news/jij/081217/081217_mbiz011.html

 報道しているような長期国債購入枠をがっちりはめた、日本銀行のバランスシートの膨張を過度に忌避していた過去の日本の歪んだ「量的緩和」とはまったく発想が異なるもの。

 物価安定(現状ではインフレリスク事実上ゼロなのでむしろデフレ懸念が払拭されるまで)プラス経済成長率が安定的になるまで、中央銀行のバランスシートを事実上無責任に(これは政策責任を負わないという意味ではない。日本みたいに阿呆な責任=不況なのに増税、を負ったり、あるいは利下げによる預金利子率の消失の責任にコミットするなどのクレージーなものに無責任になるという意味)膨張させていくもの。

 その手法の中に、長期実質金利抑制を睨んだ長期国債買いオペとなればこれはもう日本流の「量的緩和」という表現は妥当ではない。むしろ日銀やこの時事通信の記事のように無理解・無知なマスコミの一部の書き手によって徒な混乱を日本国民に招くだけであろう。

 ともあれリフレ政策の本格的な始動が始まった。オバマ政権になればさらに強力な再分配や財政政策も行われるだろう。この効果がどうなるか。予測される効果をあげることができるのか。私はもちろんそうなることを支持している。これからリフレ政策の真偽が問われると同時に、それは世界経済の行方をも問うことになるに違いない。

 クルーグマンのコメントが今後のリフレ政策の行方をある程度正しく予見しているだろう。

Seriously, we are in very deep trouble. Getting out of this will require a lot of creativity, and maybe some luck too.

 しかしリフレ政策には創造的な手段は豊富だろう。そして運も味方してくれることを願う(なぜならアメリカの政策スピードは日本に比すること10倍速であることは間違いないからだ)

 なお、日本経済は今後、FRBは無論のことイングランド銀行、ECBなどがこの国際リフレ競争を緩めないかぎり、次第に国際リフレ競争の敗者になるにちがいない。超短期的には為替レートの円高傾向といった不安定要因、株価不安定、短期的に業績悪化から雇用弱者の困窮、そしてさらにより深い不況と雇用の大崩壊を目にすることであろう。

 この責任は財政政策を小出しにしかしないのにもかかわらず政治的生命をなぜかかけてまで不況下での増税にコミットする現政権、そしてカルト団体か関東軍のように強固に不況なのに事実上の緩和政策の放棄を決め込んでいる日本銀行にすべて責任があることはいうを待たない。

 日本でも積極的なリフレ政策をいますぐにでもとるべきである。すでに議論の時間は終わった。

 しかし、はてなにこの歴史的な日をコメントしたいのに、夜中から書き込みができなかった。メンテナンスだとか混雑だとか犬がでてくるだけ。まるで何かの陰謀のようだ 苦笑。


円は「じゃぶじゃぶ」ではありません  12月17日 田村秀男

日本はすでに超低金利でおかねはじゃぶじゃぶとの見方があるが、それは違います。

現金と預金、投資信託、郵便貯金など現金化できるおカネ(流動性)を総合した広義流動性残高は、すでに前年比マイナス。これは日銀が日銀券供給を絞り込んできたためです。

銀行は海外向け貸し出しのために、国内では資金不足。資金が流れなくなっています。

日銀のこの政策は2006年の「量的緩和」解除以来で、量的には引き締めてきた結果と言える。

ドルはじゃぶじゃぶ、円は引き締めですから、円高が急激に進行する。日銀はありもしない「インフレ懸念」にこだわり、資金供給を絞り、その揚げ句に米金融バブル崩壊、そのあとは崖を転がり落ちていることが、このグラフから読み取れます。


「屑」資産でもドル札に換えるFRB  12月1日 田村秀男

ちょっと小生意気な小学6年生のおいっ子が突っ込んできた。「おじさんたちは景気が悪いと書いているけど、そんなに悪いなら国がお札をじゃんじゃん刷ってみんなに配ればいいじゃないの」。

フム、どう答えるか。

カネの信用がなくなって、インフレになるから駄目だ、なんて杓子(しやくし)定規の答え答をしたら恥かくぞ。物価がどんどん下がるデフレ経済では、カネを刷ってヘリコプターからばらまけ、というご託宣がノーベル経済学賞受賞者から提起されている。

経済とはカネが十分回れば、必ずよくなる。しかし、タダのカネを刷ってみんなに配ってもそうなるとはかぎらない。いま話題の定額給付金もそうだ。

例えばこのおいっ子たちが喜び勇んでお札を手にゲームソフトを買うとしよう。赤字経営のゲームソフト店のオヤジさんはその代金で一息つけるかもしれない が、銀行が運転資金を貸してくれないといずれ店をたたむ羽目になる。カネが回るという意味は、金融機関を通じて収益性のある事業や勤勉に働く勤労者の住宅 ローンなどに流れることで新たな事業や需要が生み出され、しかも返済されることで還流することだ。

つまり、たっぷりと資金を持っている 健全な金融機関と、借りたカネを返済する能力を持つ企業や個人が大多数を占める。とにかく金融機関がなければ、カネは回りにくい。金利が低ければ、低収益 の事業にも融資しやすくなる。ヘリコプターからばらまかれたカネは金融機関に集まってこそ生きる。

おカネを刷って金融機関に流すのは通常、中央銀行であり、日本では日銀、米国では連邦準備制度理事会(FRB)である。単に刷っているわけではない。中央銀行は国債など信用度の高い証券を買い上げる操作のために輪転機を回す。つまり、国債などの資産の裏付けがあるおカネを市場に流す。ほとんど値打ちのないような資産に値をつけて買い上げることはこれまでタブーとされてきた。そんなことをすれば、中央銀行は不良資産を大量に抱えることになり、それに見合って発行されるお札は信用を失うかもしれないのだ。

ところが、米FRBは 25日、そんな禁じ手を使うことを決めた。最大で8000億ドル(約77兆円)ものドル札を刷って、各種ローンが裏付けになっている「証券化商品」を買い 入れる。住宅ローン関連で6000億ドル、自動車、クレジットカード、学資などの消費者ローンと一部の小企業向けローンで2000億ドルの資金枠をそれぞ れ設定した、というのだ。

FRBの買い入れ対象はそれまでに問題含みの企業のコマーシャル・ペーパー、貯蓄型の投資信託(MMF)など多岐に渡り、しかも経営危機に陥った証券大手ベアースターンズ支援 290億ドル(約2兆8000億円)や保険大手のAIG支援1100億ドル(約10兆円)など、不良化するリスクの高い資産ばかりだ。

この結果、FRBの資金供給残高(保有資産)は証券大手リーマン・ブラザーズが破綻(はたん)した9月中旬以降の約2カ月半の間に一挙に 2.5倍に膨らんだ。しかも通常なら米国債という優良資産の占める比率は通常のレベルの9割から2割へと大幅に低下した。

FRBはジャンク(屑(くず))になりかねない金融資産と引き換えに1兆数千億ドル(百十数兆円)ものお札を垂れ流している。

外聞もメンツもかなぐり捨ててまで応急措置に踏み切らなければならないのは、金融商品バブル崩壊のために金融機関の資産が損なわれ、金融機関同士疑心暗鬼になってしまい、金融市場でカネが回らなくなったのが一つ。さらに、企業や個人も資産を失い、融資が受けられなくなったからだ。ビジネス活動も個人消費も冷え込み、景気がいよいよ悪くなる。ならば、この際、ドル札を刷ってばらまくしかないと思い切った策に出たわけだ。

さらに驚くのは、今回の買い上げ対象になった証券化商品というのは、「金融工学」を駆使してコンピューター空間で創造された仮想現実の金融商品である。こ れらの商品は市場での評価、つまり現実の価値が不明である。株や債券はまだ配当や元本という確かに実在する価値をバックにしている「実」であるのに対し、 証券化商品の大半は「虚」の金融商品である。FRBはあえてこの「虚」を現金化する。

市場経済というものには必ず帳尻合わせが起きる。ドル札が虚に染まれば、いずれただの紙切れに変わる。それでもそうならず、ドルの価値が安定しているのは、世界でドルの金融商品の清算に伴ってドル札が不足しているためだ。ドルが一転して過剰になったとき、どうなるか。米国はもとより、世界はまさに前代未聞、近代中央銀行制度史上初の巨大な実験の行方にかたずをのんで見守っているとでも言えようか。(特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)



(私のコメント)
アメリカがいよいよゼロ金利政策をとって米国債を買いまくって札をばら撒くようですが、日本は政府日銀が常にインフレを警戒して金利は下げても量的な緩和と、財政政策はとってこなかった。日本の量的緩和では銀行に現金が積みあがるばかりで市場には出て行かない緩和だ。

アメリカのFRBの緩和とは価値のなくなった金融商品を買ったり、企業が発行するコマーシャルペーパーを買ったりして市場に直接資金供給している。一時期日銀も株を買ったりしましたが直ぐに止めてしまった。これでは日本はいつまでたってもデフレ経済から脱却できるわけは無い。

アメリカが自慢してきた金融商品はとんでもない欠陥商品であったのだから、世界中の金融機関や機関投資家は大量に購入して金融商品の毒にやられてしまった。金融商品に保険をかけておけばAAAの格付けでアメリカの投資銀行は売りさばいてきた。欠陥だらけの金融商品に意味のない保険をかけていたら金融破綻するのは当然なのですが、ナスダックの元会長が5兆円の詐欺をするくらいの国だから欠陥金融商品を売りさばいてもおかしくは無い。

日銀の金融政策は平時なら正しい政策なのですが、バブル崩壊以降は金利はゼロ金利まで下げても量的な緩和はしなかったから失われた15年になったのですが、緩和はしても銀行どまりの政策だ。昨日も書いたように銀行は自己資本が少なくなれば貸すに貸せなくなるのであり、日銀や株式買取機構などが株を買って資産価値を高めないと資金供給した意味がない。

アメリカがゼロ金利政策をとったことで日本とアメリカンとの金利が逆転して、アメリカの資金が日本やEUに流出していく事態になるだろう。田村秀男氏が言うように金融商品の清算のために新興国の投資が引き上げられてドルが不足する事態になりドルの奪い合いが置きましたが、清算が済めばまた流出して行く。

ヘッジファンドも解約が殺到して現金化されて、それが米国債などが買われる一員ですが、米国債もいずれ危ないとなれば金利が急上昇していく事になる。FRBは長期国債も買って行くことを示唆しているから、まさしくインフレ政策なのですが日本のように10年も超低金利政策を続けて行けるのだろうか。国債の発行残高が膨大になって国債の金利が急上昇するようになればまさしくアメリカはデフォルトだ。

だから政府日銀が金利の上昇を警戒して引き締めているのも、政府が増税をちらつかせて不景気政策をとるのも国債の金利の上昇を最も警戒しているためだ。800兆円の国公債の残高で金利が1%も上がれば8兆円の金利負担が生じる。

アメリカの今回のゼロ金利と量的な緩和政策は米国債のデフォルトを予感させるものだ。しかしそうしなければアメリカの金融市場は凍りついてしまっているのだからFRBはリフレ政策をとらざるを得ない。しかしアメリカは巨額の財政赤字と経常赤字を抱えてリフレ政策をとればマネーはアメリカから逃げていってしまうだろう。

それに比べると日本は巨額の財政赤字だが経常黒字だからリフレで円安になる事も無く金利の上昇も少ないだろう。だから日本こそリフレ政策を行なっていればアメリカの金融破綻は防げたのかもしれない。日本が金融を引き締めたから世界同時株安が起きてアメリカの住宅ローンバブルがはじけたのだ。

つまり日本が金融緩和をしなかったからアメリカのFRBがゼロ金利でリフレ政策を行ないことになった。その結果アメリカは国債のデフォルトの危険を冒すことになる。日本が世界のマネーの供給源になっていたのだから、日本こそ金融を緩和して凍結した市場を回復させるべきなのだ。

冒頭に掲げたグラフは日銀が市場から資金を吸い上げてしまったから、世界的金融恐慌が起きたことを示す証拠だ。サブプライム破綻と日銀が資金を吸収し始めた時のタイミングが一致している。日本でもちょうどミニバブルが発生し始めた時で、マンションなどもバカ売れで外資も物件を買いあさっていた。だから日銀は資金供給を締めたのですが、アメリカのバブルも破綻させてしまった。

アメリカの投資ファンドはレバレッジを効かせた投資をしていたから、わずかな失敗で巨額の損失を抱える事になる。アメリカ政府がなすべきことはイラク戦争をやめて軍備の大幅な縮小で財政赤字を埋めなければなりません。昨日も書いたようにそうなればアメリカ軍は東アジアからも撤退して行くだろう。そうなれば日米安保も空洞化して日本は自分で国を守らなければならなくなる。

日銀は国内のインフレ退治のために金融引き締めを行い、世界のバブル崩壊を招いてしまった。直接的な原因はアメリカの金融商品にあるのですが、日銀の金融政策にも原因がある。日本こそ大幅な金融緩和を行い、株やCPを買って市場に直接資金供給すべきなのだ。株が上がれば景気も良くなり金利も上がり始める。そうなるまで日銀はリフレ政策を続けるべきなのだ。




アメリカが債務不履行に陥ることにでもなれば、超円高&アメリカ市場
壊滅で輸出産業が総崩れ、日米安保が事実上機能しなくなる?


2008年12月16日 火曜日

日足チャート <ユーロ/米ドル>


ドルが対ユーロで2カ月ぶり安値、FOMC控え 12月16日 ロイター

[ニューヨーク 15日 ロイター] 15日のニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで2カ月ぶりの安値をつけた。主要6通貨に対するICEフューチャーズUS(旧NY商品取引所)ドル指数も2カ月ぶりの安値に下落。

 米連邦準備理事会(FRB)が今週の連邦公開市場委員会(FOMC)で少なくとも50ベーシスポイント(bp)の利下げを実施し、政策金利(現行1%)がゼロに近づくとの見方が背景。

 ユーロ/ドルは1ユーロ=1.37ドル台まで上昇した。

 市場ではFOMC声明がどのような非伝統的政策手段に言及するかにも注目が集まっている。

 GFTフォレックス(ニューヨーク)の為替調査担当ディレクター、キャシー・リエン氏は「ドルが積極的に売られた。明日の利下げにより、ドルの金利がG10通貨中で最低もしくは下から2番目になるとの見方があらためて強まった」と述べた。

 ロイター・データによると、終盤の取引でユーロ/ドルは2.3%高の1.3686ドル。一時10月半ば以来の高値となる1.3702ドルをつけた。

 ドル指数は一時、10月20日以来最低の81.983まで下落した。終盤は1.8%安の82.169。

 ドル/円は0.2%安の1ドル=90.91円。ただ日銀の介入警戒感から円の上値は重くなっている。

 市場関係者は年末に向けてポジションを手仕舞い始めており、ドルの利食い売りも出たという。ドルは過去4カ月でユーロに対して25%値上がりしている。

 アナリストによると、これまで外為市場では経済指標が悪化すると、リスク資産を売り質への逃避でドルを買う動きが目立っていたが、ここにきて米経済の悪化を理由にドルを売る動きが出始めている。

 バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの為替担当シニアアナリスト、マイケル・ウルフォーク氏は「米経済と米金融市場に悪いニュースが相次いでいることは間違いない」と指摘。

 「(15─16日の)FOMCについては50bpの利下げが予想コンセンサスだが、75bp利下げの可能性もささやかれている。もしそうなれば、ドル売りがさらに続く可能性が高い」と述べた。

 米財務省がこの日発表した対米証券投資統計によると、10月の海外投資家の買い越し額は、過去最大の2863億ドルとなったが、為替市場の反応は薄かった。

 米ビッグスリー救済をめぐる先行き不透明感も、引き続き大きなリスク要因となっている。ビッグスリーのうち1社でも破たんすれば、景気後退が一段と深刻化し、他の企業にも影響が及ぶとの懸念が強まっている。

 ホワイトハウスは前週末、金融安定化法を活用してビッグスリーを救済する方針を示したが、ブッシュ大統領は15日、救済策の発表にはしばらく時間がかかるとの見方を示した。



米がアルゼンチン・タンゴを踊る日!? 仏のシンクタンクが2009年の米・デフォルトを予測 10月23日 Don't Believe The Hype

(論文要旨)
・ 最近の米ドル上昇傾向は株式市場の崩壊による一時的な現象にすぎない。

最近の政治改革のおかげで、ユーロは世界的経済危機の中にあって「安全確実な避難所」になり、米ドルに代わる投資先を提供する。

現在、米国債の膨張はすでに制御不能となっている。

・ 現在進行中の米国実体経済崩壊は、デフォルトを防ぐための代替手段(訳注:修正資本主義政策など)の実行を困難にする。

・ 2009年の米国に残された唯一の問題は、インフレーションが高率でおさまるか、それともハイパーインフレーションに襲われるかだけである
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また本論文はさらに、来るべきアメリカ債務不履行のインパクトは、去る1929年の大恐慌の比ではなく、アメリカの債務不履行に伴いドルならびに米国債は 90%程度減価し、アメリカ国内で経済的・社会的・政治的混乱が発生するであろうことも予測している。

さてアメリカが債務不履行に陥ることにでもなれば、超円高&アメリカ市場壊滅で輸出産業が総崩れになったり、極東におけるアメリカ軍プレゼンスが維持できなくなり日米安保が事実上機能しなくなるなど、アメリカの忠臣・日本も多大な影響を蒙ることが予測される。

アメリカ債務不履行に対応できるような解決策など存在しないかもしれないが、せめてアメリカ債務不履行の影響を少しでも緩和すべく、民営化路線など日本国富のアメリカ移転を促進する恐れの強い政策を凍結し、アメリカ一辺倒外交も見直してみる必要があるのかもしれない。


(私のコメント)
リーマンショックから始まった金融の大激変は、アメリカの投資銀行の終焉を意味している。その清算のためのドルの逆流で一時的にドル高ユーロ安となりましたが、逆流のそのまた逆流が始まったようだ。現在起きている世界的金融大恐慌はドル基軸通貨体制からドルとユーロの両基軸通貨体制に変わりつつあることの混乱だ。

ワシントンで行なわれたG20で、どのような事が話し合われたのかは分かりませんが、ブッシュは逃げてしまった。来年の4月にオバマ新大統領を迎えてG20が開かれますが、新しい基軸通貨体制が話し合われることになるだろう。最近のアメリカ政府の財政出動は常軌を逸したものであり、全部合わせると700兆円規模の財政出動になる。それだけの国債を発行して誰が買うのだろうか?

ビックスリーへの融資もアメリカの産業の衰退を象徴する出来事ですが、IT革命は幻でありアメリカの金融立国戦略は破綻した。アメリカで残っているのは農業と軍需産業ぐらいで、あとは流通や建設や不動産といった国内サービス産業ばかりだ。それらの国内産業は金融がストップして車も住宅も売れなくなった。

ヨーロッパの状況もアメリカと同じぐらい悪いのですが、アメリカのような双子の赤字はないし、経済の空洞化もアメリカほど酷くは無く、アメリカ経済がダメとなれば資金はユーロに流れざるを得ない。この2,3ヶ月のドル高でドルの強さが再認識されたという日本のエコノミストや経済ブログがいますが、メチャクチャな財政出動で来年中にアメリカの経済破綻の確率は高まっている。

ソ連の崩壊が10年に及ぶアフガニスタン戦争によるものなら、アメリカの崩壊はイラク戦争と金融破綻によって滅ぶ。オバマ大統領の誕生はアメリカ国民のやぶれかぶれの心理から生まれたものであり、イラク戦争を止められなかった事で無理が無理を呼んで金融がクラッシュしてしまった。

「株式日記」ではドルは紙切れになるから円かユーロか金などに換えておけと書いてきましたが、日本の機関投資家のドルに対する信仰は深い。アメリカのイラクからの撤退により国民の間に虚脱感のような心理が生まれて、ソ連のアフガン撤退後のような状況が生まれるのだろう。アメリカはベトナム戦争後にも二桁のインフレに襲われてドルの金本位制が検討された事がありましたが、今回も金本位制も検討されるだろう。しかしアメリカに金は残っているのだろうか?

アメリカは金融恐慌から実体経済へと影響が及んできて経済恐慌になるだろう。日本も影響は大きく輸出産業は大打撃だ。中国や新興国の輸出依存経済は日本より遥かに大きい。中国は豊富な外貨を抱えて影響は小さいという中国当局の予想がありますが、資本も技術も外資頼みの経済であり、アメリカに代わる巨大市場という見方は期待はずれに終わりそうだ。

フランスのシンクタンクが2009年にアメリカがデフォルトすると予想していますが、そのような見方は今後ますます大きくなっていくだろう。何しろ1年間に700兆円もの公的資金をアメリカ政府は調達しなければなりませんが、日本のようにゼロ金利にして10年間も耐え忍ぶ事がアメリカ人に出来るのだろうか? アメリカはすでにラテンアメリカ化しているのだ。

アメリカ政府の財政赤字は6000兆円にもなりますが、1年足らずで1000兆円増えて7000兆円になるだろう。だからオバマ新大統領がいつデフォルト宣言するかが問題なのであり、それまでにドル資産を処分できる人は処分しておいたほうがいいだろう。新ドルに切り替えられて旧ドルは大幅に切り下げられても日本政府は黙って受け入れるしかないのだろう。85年のプラザ合意や71年のニクソンショックで同じようにアメリカに借金を踏み倒されたのだ。


原田武夫:「1ドル=50円台時代」の到来と保険業界の激震 12月10日

米国における自動車大手3社(ビッグ・スリー)に対し、来年(2009年)1月末くらいまでは“延命”するためのブリッジ(橋渡し)法案が今週中にも米連邦議会で採決に回されるかどうかに焦点があてられている。これを受けて、現状の1ドル=92円台から95円台程度までの円安ドル高へ復帰するのではないかとの観測も一部には流れ始めている。

 しかし、こうした見通しが有効なのはあくまでも“極超短期”であることを忘れてはならない。去る6日から7日にかけて、オバマ米次期大統領は大手メディアに出演するなどして、自らの景気対策につき具体像を示し始めた。だが、そのために一体いくらの費用がかかるのかについて一切明らかにしていない。そのため市場関係者の間では「結局は絵に描いた餅に過ぎない」との見方が広まりつつある。

 もっと現実的な見方をする向きが注目しているのは、昨年夏より露呈し始めた現下の金融危機が始まる前の段階ですでに邦貨換算で6000兆円余りにも上っていた米政府の財政赤字について、オバマ次期大統領が就任するや否や「デフォルト(国家債務不履行)宣言」を行わざるを得なくなるか否かである。正確にいえば、「デフォルト宣言をするか否か」というレベルの議論ではなく、これが行われることを前提としつつ、「一体いつ行われることになるのか」にむしろ焦点が当てられつつある。

 オバマ次期大統領にとって“傷”が最も浅くて済むパターンが選択されるならば、来年(2009年)1月20日の大統領就任直後に「デフォルト宣言」ということになる可能性が高い。なぜならば、そうすることでオバマ新政権はそれまでの財政赤字の累積に対してはいわば免罪符を得る中、「CHANGE(変革)」の標語にふさわしい刷新策を続々と打ち出すことが可能になるからである。これに対し、最悪のパターンとなるのが、財政赤字の問題にはいったん目をつむり、とりあえずは景気浮揚策を打ち出すものの、結果的には財政負担の重圧に耐えられず、遅くとも6月までに「デフォルト宣言」を行うというもの。この場合、オバマ新政権に対する期待が一気に失望へと変わるため、マーケットでは米国債、そして米ドルが投げ売りになるとの観測がある。「その場合、1ドル=50円台も目指す可能性がある」(国内投資家筋)との現実主義的な見方も聞かれるようになっている。

 米国債が投げ売りになった場合、米財務省証券について中国勢に次ぐ第2位の保有を誇る日本勢(統計上はJAPANと記載)も当然“無傷”では済まないはずだ。しかし、米政府が公表している統計上、JAPANというカテゴリーで日本の民間セクターが一体どれくらいの米国債を保有しているのかはつまびらかではないのである。

 この点について現在、日本の主要各社が公表している財務諸表を点検してみる。すると、細かなことは判明しないものの、生命保険セクターが最大で10兆円、メガバンクが同じく最大で約10兆円程度、これに対し損害保険セクターが最も多くて4.3兆円ほどの米国債をそれぞれ保有していることが判明する。―――大変気になるのが、生保と損保との間にある明らかな“ギャップ”である。そこからは、米国債がデフォルトになった場合、日本の生保業界に大激震が走る一方、損保業界は生き残るという「青写真」が見えてくる。つまり、有り体にいえば来年1月以降、日本の保険セクターでは「損保が生保を食う」というこれまでは想定外の事態があり得るわけである。当然、それは“救済”という名目のM&A(企業買収)ということになり、日本株マーケットで巨大なマネーの「潮目」を作り出すに違いない。

 ちなみにこうした事情は必ずしも日本だけのことではない。ドイツでは現在、金融監督当局より11月20日付で国内保険各社に対し、「12月22日から来年1月11日までの間、各社経営幹部に対して必ず連絡が取れる携帯番号を教えること」という極秘の通達が出されているという情報がある。ドイツ政府はその理由などにつき、多くを語ってはいないようであるが、考えられる最悪の事態は米国における金融メルトダウンがさらに進む結果、米保険大手に何らかの形で激震が走り、その結果、世界的に保険業界の再編が進むというシナリオであろう。単純に資金繰りの悪化といった金融マーケット上の理由だけではなく、(通常は考えられないが)ある種の自然現象やテロによる保険金支払いの急増など、あらゆる可能性を考えておくべき局面が到来している(ちなみに11月26日に発生したインド・ムンバイの同時多発テロにより、保険金支払いをめぐり現地で最も混乱しているセクターの一つが保険業界である)。

 クリスマス、そして年末年始と浮かれ気分になりそうな季節だが、その陰で着実に進んでいる「米国債」「米ドル」、そして「保険セクター」をめぐる展開から目が離せない日々が続くことになりそうだ。(執筆者:原田武夫<原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA) CEO>)


(私のコメント)
「株式日記」でこのように警鐘を鳴らしても、日本政府はドルを売らないし買い支えるだろう。民間会社が持っているドル債券も売ろうと思っても、短期国債以外は売れないだろう。買う人がいないからだ。債券が買えないから株が買われているのでしょうが、現金で持っているよりかは株のほうが安全なのかもしれない。日本でも戦後の新円切り替えのときは株を持っていた人は救われた。株は紙幣とは違って担保があるからだ。



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