株式日記と経済展望

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麻生政権が二次補正を今国会に出せない本当の理由とは?
国際決済はドルだけでやるんだって時代は終わりました


2008年11月30日 日曜日

麻生政権が二次補正を今国会に出せない本当の理由 11月27日 ぼやきくっくり

●現在11月26日。今開いている臨時国会は本来ならこの数日間で終わる。閉じられる。ところが法律によって臨時国会は2回延長できる。2回だからたっぷり延長できるが、実はいつまでもできるわけではなく、来年の1月の末までには閉じなきゃいけない。どうしてかというと、国会法という法律があって、毎年1月中には通常国会を開きなさいと書いてあるから、常識的に言うと、1月30日金曜日には通常国会を開いてなきゃいけないから、前日の29日までに臨時国会終えなきゃいけない。

●まず補正予算の前に、2つどうしても上げなきゃいけない法案があって、1つは新テロ特措法、もう1つは金融機能強化法。新テロ特措法は10月21日、金融機能強化法は11月6日に衆議院を通過している。衆議院を通過してしまえば、参議院で何があろうとも60日経ったら衆議院に戻して、衆議院の3分の2で再可決できる。そうすると、いずれも60日経つのはいつか考えると、新テロ特措法は12月20日、金融機能強化法は来年1月5日に再可決できるようになる。

●問題は補正予算の方だが、補正予算は予算って名前が付いているからこれは扱いが別で、衆議院を通過してしまえば、その後とにかく30日経てば、参議院に関係なく自然に成立する。そうなったら万々歳じゃないかということになるが、実はその補正予算というのは、要は定額給付金を出しましょうっていう予算だから、定額給付金のお金はどこから持ってくるのか?という法律(関連法案)が別に必要で、その法律をわかりやすく言うと、要は埋蔵金の中から2兆円をくすねてきますと。埋蔵金はほんとは使い道が決まってて、国の借金の返済に使いなさいと決まっているが、いや、借金の返済をちょっと当面見合わせて、定額給付金を作るために一時期お借りしますって法律を、新たに作らなきゃいけない。それは予算案じゃないので、60日ルールが必要。

●もう1つ大事なことがあって、国会は跨(また)げない。国会が終わってその法律が成立しなかったら廃案になる。臨時国会の間にやらないといけないから、60日を考えると、そのもう1つの財源をどうしますかという法律を、1月末頃までに衆議院を通さなきゃいけない。ということは逆にいうと、本当に度胸があったらできる。衆議院で強行可決やって今すぐに衆議院を通してしまえばギリギリ間に合うってことになるのだが、今の麻生政権には強行可決やれるような体力がないから、衆議院の通過がちょっと遅れてしまうだろうと。はみ出すと、要するに財源が手当てできない、定額給付金がパアになる。パアになればおそらく麻生政権も潰れるか、そうじゃなかったら解散総選挙を破れかぶれでやるしかない。だから小沢さんは一時期喜んでいたわけで、本当はその攻防だけ。

●ごまかしと言わざるをえない。6兆円ぐらいの減収になるってもうわかってるわけだから、出せないはずはないので、本当は麻生政権が、衆議院で強行可決をしても国民に理解がもらえるような政権でなくなってる、というのが真相。


麻生総理の発言は、どの国際会議の場でも『ドル基軸体制を堅持』

青山繁晴
「はい。これは新聞報道、今現在の新聞報道によるとですね、いわば当たり前のことを言ったんだと、日米同盟があるから当たり前というふうに報道されてて、それからたとえばこの間のワシントンの金融サミットの後にも、新聞見たらですね、麻生さんがドルの基軸と、ドルは基軸通貨でいるのを守るんんだって言ったら異論は出なかったと。で、それ以外の話も特に出なかったと書いてあるんですけど、これは僕の自省を込めて言いますけど、実は国際会議、この番組で何度も言いましたが、国際会議っていうのはオモテ(ウラ?)の話は実はなかなか出てこなくって、僕は記者時代にもそれは取材できませんでした。ところが実際はその、このドルの話についてもですね、金融サミットでも、その会議の場では誰も何も言わない。ね。いわば麻生さんだけが浮いてたわけで、会議が、その間に挟んだコーヒーブレイクになると、もうメディアもいない、それから役人もほとんどいない中で、各国の首脳たちが、もうドルだけが基軸通貨、国際決済はドルだけでやるんだって時代は終わりましたよね、さあどうするかという話に実はなってて

山本浩之
「ああー」

青山繁晴
「だからコーヒーブレイクだから、公式の話じゃないですよ。でも一番実は充実した話でね、どういう話になったかというと2案出てるわけですよ。ドルだけが基軸じゃなくて、たとえば中東とヨーロッパはユーロ、それからアジアは人民元か円、というふうに地域で通貨を決めようっていう案と、それからもう1つは、とにかくもう基軸通貨っていう考え方をやめて、とにかく自分の国の通貨で勝負するんだ、決済するんだというやり方がいいんじゃないかっていう、そういう話も出てるわけです。その中で日本の総理だけが、いや、もう明らかに弱まっていってる、あるいはこれからもっと弱まるであろうそのドルをとにかく支えるんだと、何かアメリカの一部みたいな話をしてるから、実は世界が『?』と首を傾げてて、実はこういうことがあるんです。はい、ちょっと出して下さい」

村西利恵
「英国人の金融アナリストによると、『円にとってチャンスなのに、日本がドルを守る理由が分からない』と」

青山繁晴
「はい。えっとこれ、ま、ほんとは彼、名前出してもいいのかもしれないけど、非常に著名な人です。僕とは6年ぐらいの付き合いなんですが、その、日本の、円にとってチャンスというのはですね、要するに円で国際決済ができる時代がもう始まろうとしてるのかもしれないじゃないですか」

一同
「ええ」

青山繁晴
「それで視聴者の方、本当にね、たとえば今、韓国の釜山に行くとですよ、円で食べられる焼肉の量って3倍から5倍になってると思いますよ。つまり円が世界で一番、今現在では信頼性が高いんですよ。一番信頼されてるのが円だから、円で決済できるようになったら日本のビジネスは全く様変わりするわけですよ。ね。それなのに、どうしてその円のチャンスを活かさないでドルを守るという話をするんですかと。これはね、嫌味で聞いてるんじゃなくて、本当に聞かれるわけですよ。で、これをたとえば日本の財務省じゃなくて経済産業省の幹部にぶつけてみるとですね、いや、全くその通りなんだと。自分たちは国際貿易に関係してるから、どうして麻生さんはそういう話をするのかなあということをね。これ1人じゃないんですよ。経済産業省の中に複数いらっしゃるわけですよ。で、そうするとですね、やっぱり僕たちが考えることは、お上の、日本のお上のあり方が、とにかく戦争に負けてたからアメリカ、アメリカが第一、アメリカの言うこと聞いてたら大丈夫なんだという、お上を、お上がこうおっしゃってるんだからって、僕たちも付いてきたけども、で、それの利益も実はあったわけですよね、本当は。ところが金融危機が始まり、そしてアメリカは危機だからこそオバマさんという黒人大統領を生んだ。つまりアメリカやドル自体が傾いてる時に、日本だけそこにぶら下がってたら、そのまま共倒れにならないかということを、僕たちの側からやっぱりお上に対して考えるタイミングであって、それを考える時に、やっぱり今ちょうど目の前に大事な大事な考える材料があって、それは当然、アメリカ大統領選挙のことですよね。で、アメリカ大統領選挙を見る見方を変えたら、実はこういうことがあります(フリップ出す)」

青山繁晴
「はい。11月4日にやったばかりのアメリカ大統領選挙、これが素晴らしかったっていう話をしたいんじゃないんです。やっぱり光と闇があります。でね、光の方からもちろん学んでいくんですけど、闇の話もね、念のため最初にしておくとですね。これ、民主党のばらまき政策と書きましたが、アメリカの民主党なんです、もちろんね。で、ばらまき政策って、我が日本の自民党だけじゃなくてですね、このオバマさんが選挙中に、とにかくオバマさんはアメリカの民主党なんで、基盤が労働組合ですから」

青山繁晴
労働組合や、労働者にたくさん約束をしてしまいました。その中に、GMをはじめとする自動車メーカーをちゃんと助けますよということ言ってしまったから、その、いろいろ細かいことは言ってるけど、要はこれからアメリカの自動車メーカーの従業員の給料を、政府が払うと。メーカーじゃなくて政府が払うっていう、そのいわば究極のばらまきですよね。定額給付金どころの騒ぎじゃない

青山繁晴
アメリカの財政はとんでもないことになると。それも含めて日本がこのままくっついていったら危ないってことになるんですが、じゃあ光の部分は何かというと、皆さんご承知の通り、僕はこの番組でも言ったと思いますが、今現在も深刻な人種差別のあるアメリカで黒人大統領を生むことができた。危機が深いからだけれども、これやっぱり奇跡と言わなきゃいけない話ですよね。じゃあ具体的にどうして黒人の大統領が生まれたかというと、実はその生んだ本当の理由はこの制度なんです。はい、出して下さい」


(私のコメント)
二次補正予算がどうして今国会に出せないのかという疑問は党首討論でも明らかにされませんでしたが、ニュースやワイドショーでも説明がされないのはなぜなのだろう。それは国会日程の都合であり、今国会に出すと、議決が少しでも遅れると少しでも遅れると関連法案が議決できなくなり会期切れになってしまうからだ。

二次補正予算が会期切れで廃案になれば民主党の思う壺で麻生内閣は退陣するか選挙に打って出なければならなくなる。だから二次補正予算が今国会に出せないわけですが、青山繁晴氏が説明しているような事情らしい。麻生総理が小沢氏は信用が出来ないと言った意味は会期の事を言ったのだろう。

小沢氏は福田総理との大連立の約束も破っている。これでは小沢氏を信用して二次補正予算を出したら罠にはまった事になって麻生内閣は自爆する事になっただろう。このように国会は狐と狸の化かしあいで、議会のエネルギーのほとんどは選挙と国会の駆け引きでエネルギーを費やしてしまって、日本の国益や法案の内容などかまってはいられないのだろう。

今までなら役人任せでも何とか済んできたのですが、ねじれ国会ともなると強行採決もままならず、役人と自民党との連係プレーもままならなくなってきた。テロ特措法にしても民主党が反対すれば参議院は通らなくなるから60日で再可決で何とか通していますが、テロ特措法是か非かで選挙すればいいのではないかと思うのですが、そうすれば民主党はテロ特措法反対で戦う事になる。

国民の判断でインド洋給油は止めるとなればそれで止めればいいのだ。自民党は何が何でもアメリカの言う事を聞かないといけないと思い込んでいるが、国民の選挙でテロ特措法にNOと判断されたら止めればいいのだ。その為に外交的不利益が生ずれば国民にその責任があるのだ。

自民党はアメリカのCIAが作った政党だからアメリカにはNOとは言えない。アメリカにNOと言ったのは細川総理が始めてですが日本新党という非自民政権だった。つまり自民党政権である限りはアメリカにNOと言う事はないのであり、麻生総理がドル基軸体制を堅持すると言うのは当然のことなのだ。しかしそれで国益は守れるのだろうか?

91年までの冷戦時代までなら日米の安保体制も意味がありましたが、共産主義の脅威はアメリカの後ろ盾がないと守りきれなかっただろう。自民党はCIAからの資金援助で長期政権を維持してきたからだ。高度成長経済も日本の共産化を防ぐ為のものでありアメリカの援助があったから出来た事だ。

しかしソ連の崩壊で共産主義の脅威はなくなり、アメリカは日本に対して露骨に圧力をかけるようになりドルの買い支えをさせられるようになり、ドル安になるたびに借金はそれだけ踏み倒されたことになる。それだけ日米関係は深入りしすぎているのであり、日本はアメリカとも政治経済の一定の距離は保つべきなのだ。


対外純資産 過去最高250兆円 5月23日  読売新聞

財務省は23日、2007年末の日本の対外資産と負債の状況をまとめた「対外貸借報告書」を発表した。日本の政府、企業、個人が海外に持つ資産(対外資産)の金額から、外国の政府、企業、個人が日本に持つ資産(対外負債)の金額を差し引いた「対外純資産」の残高は、前年末比16・3%増の250兆2210億円と過去最高となった。

2年連続の増加で、世界2位のドイツ(07年末時点の円換算で107兆5715億円)を引き離し、統計を公表している国の中では1991年以来、17年連続で世界最大の債権国となったとみられる。原油高で中東諸国も対外資産を増やしているとみられるが、統計は公表していない。

 日本の対外資産は、前年末比9・4%増の610兆4920億円、対外負債は5・0%増の360兆2710億円と、いずれも過去最高だが、対外資産の伸びが対外負債を上回った。

 日本の低金利を背景に、金利の高い外国の債券や株式などへの投資が拡大した。



(私のコメント)
読売新聞の記事にもあるように日本は世界一の純資産大国なのですが、金持ちは強盗や泥棒に狙われやすい。だから日本の国防力を強化して核武装もして国益を守らなければならないのですが、日本人にはそのような自覚はない。250兆円と言う対外純資産もほとんどがドル資産であり、ドルが新ドルに切り替えられて旧ドルは紙切れになる可能性がある。そうなればドルの金融資産は紙切れだ。

今まではアメリカは世界一の消費大国であり、日本の最大の貿易相手国だった。しかし現在では中国が最大の貿易相手国になっている。それだけ国際経済情勢が変わってきているのに日本の政治家の意識はアメリカ依存症のままだ。今回のアメリカの金融破綻で国力の低下は明らかになりアメリカ国民の消費も激減するだろう。

日本の輸出産業は世界的なバブル景気で空前の利益を上げてきた。輸出の対米依存度も減ってきてドル基軸通貨体制は崩れつつある。青山繁晴氏も言うように公然と国際会議でもドル基軸通貨体制の次の事が話し合われている。にもかかわらず麻生総理はドル基軸通貨体制の維持を訴えていますが、そんな国は日本だけだ。もはやアメリカは池に落ちた犬だ。




「派遣切り」などで失業した非正規労働者が10月以降、全国で3万人
に達する。つまり第二、第三の「加藤」が発生する可能性がある!


2008年11月29日 土曜日

「派遣切り」で3万人失業へ=10月から半年間に−厚労省調べ 11月28日 時事通信

雇用契約を更新されなかったり、契約途中で打ち切られたりする、いわゆる「派遣切り」などで失業した非正規労働者が10月以降、来年3月までの実施予定も含め、全国で3万人に達することが28日、厚生労働省のまとめで分かった。
 全国の労働局やハローワークを通じて企業に聞き取り調査を実施した。それによると、契約切れなどで職を失った労働者は派遣が65.8%と最も多く、次いで期間工などの契約社員が19.2%を占めた。
 大半が製造業で働いていた人たちで、都道府県別では、自動車関連のメーカーが集まる愛知(4104人)が飛び抜けて多く、岐阜(1986人)や栃木(1680人)、長野(1616人)、広島(1568人)も目立った。



なんでこうもあっさり派遣労働へのスタンスが反転するんだ?〜『労働再規制』 五十嵐仁著(評:澁川祐子) 11月28日

今年7月、厚生労働省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」が派遣業務に関する報告書を発表した。報告書には、日雇いもしくは1カ月未満の短期派遣を一部を除いて原則禁止、という方針が打ち出されていた。これまで派遣労働の規制緩和を推し進めてきた流れが一変、規制強化の逆方向へと転じたことを示している。

 労働者派遣法をめぐる流れをざっとおさらいすると、同法が成立したのは1985年。その際、派遣の対象はコンピュータ関連など13の専門業務に限定されていた。それが、96年の改正で26業務に拡大、99年には原則自由化となった。そして、2003年小泉内閣のもとで製造業への派遣もついに解禁となり、専門業務への派遣可能期間の制限が取り払われ、その他一般業務への派遣は原則3年までと延長された。

 規制緩和を繰り返した結果、どうなったか。企業側は安くて使い勝手のよい労働力を手に入れはしたものの、一方で格差の拡大、ワーキングプアの出現など、さまざまな社会問題をもたらした。

 そこへ先の報告書の登場である。一時期話題をさらったホワイトカラーエグゼンプションも議会に提出されないまま立ち消えとなり、ここのところ規制緩和のかけ声はほとんど聞こえてこなくなった。

 本書は、こうした「規制緩和→規制強化」へと反転した時期を2006年と捉え、その前後の動きを追ったものである。著者は、大原社会問題研究所所長で労働問題に関する著作が多数ある人物。政治家、官僚、財界人などの発言を丹念に拾い上げ、いかにして政策が180度転じるに至ったかを描いている。

 著者は、「2006年転換説」の大きな要因として、規制緩和に強いリーダーシップを発揮してきた小泉内閣の退陣を挙げ、安倍内閣誕生を境に「官の逆襲」が始まったとしている。

規制改革会議 vs 厚生労働省

 そもそも小泉首相が強いリーダーシップを発揮することができたのは、経済財政諮問会議の存在が大きかった。「改革の司令塔」と呼ばれたこの会議の構成員は、議長を首相が務め、議員は民間人5人、閣僚5人の計11人。

 つまり、〈民間議員が結束し、閣僚のなかの一人でもそれに加われば、会議の議論は首相の思うままに操れる〉という仕組みを利用し、小泉首相と竹中経済財政政策担当相は、官邸主導の政策決定を押し進めてきたのである。

 「官から民へ」という規制緩和の流れは「官」の権限縮小につながり、官僚にとってはおもしろくなかったに違いない、と著者は推察する。だから小泉首相が退陣し、時を同じくして規制緩和に対する世論の風向きが変わると、「官」はいまがチャンスとばかりに反撃に転じたというのだ。

 その象徴的な出来事が、労働タスクフォースの見解に対する官からの反論である。

 労働タスクフォースとは、経済財政諮問会議と並び規制緩和のエンジンの役割を果たしていた、規制改革会議の下部組織である。この労働タスクフォースが07年5月に公表した「脱格差と活力をもたらす労働市場へ──労働法制の抜本的見直しを」という文書には、

〈一部に残存する神話のように、労働者の権利を強めれば、その労働者の保護が図られるという考え方は誤っている。不用意に最低賃金を引き上げることは、その賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらし、そのような人々の生活をかえって困窮させることにつながる〉

 とある。そのほかにも、

〈過度に女性労働者の権利を強化すると、かえって最初から雇用を手控える結果となるなどの副作用を生じる可能性もある〉

〈長時間労働に問題があるからといって、画一的な労働時間上限規制を導入することは(中略)自由意志で適正で十分な対価給付を得て働く労働者の利益と、そのような労働によって効率を高めることができる使用者の利益の双方を増進する機会を無理やりに放棄させる〉

 など、世論に反する意見が公然と発表された。この見解は労働組合やマスコミはもちろんのこと、厚生労働省、政府からも非難を浴び、規制改革会議は徐々に孤立していく。

 一方の厚生労働省は、同じ時期に「雇用労働政策の基軸・方向性に関する研究会」を発足させ、独自の報告書の作成に励んでいた。そして、労働タスクフォースのこうした見解が盛り込まれた規制改革会議の第二次答申が発表されると、〈基本的な考え方や今後の改革の方向性・手法・実効性において、当省の基本的な考え方と見解を異にする部分が少なくない〉とし、「一部に残存する神話」といった表現も不適切、と真っ向から反論し、規制改革会議の動きを封じ込めた。

 こうした財、政、官をめぐる入り組んだ攻防戦を経て、現在は「規制強化」へと方向転換したというわけである。

労働者は会議室に入れません

 また著者は、これら一連の会議における構成員についても疑問を投げかけている。

〈労働の規制緩和を進めるうえでの政策形成における特徴の一つは、「労働の排除」にありました。本来、三者構成でなければならない労働政策の形成において、その基本方針を打ち出す場から労働代表を閉め出したのです〉

 そもそも昨今の規制緩和は、バブル経済崩壊後の不況から脱し、経済のグローバル化に対抗するために、リストラや市場の開放が必要だという使用者側の論理を中心に展開されてきた。経済財政諮問会議も規制改革会議も、学者のほか使用者側の代表も入っているが、労働者側の代表は入っていない。

 また、官側の「雇用労働政策の基軸・方向性に関する研究会」にしても、使用者側、労働者側のいずれの代表も入っておらず、構成員は学者や研究者によって占められている。本書で取り上げられているなかでは、「成長力底上げ戦略推進円卓会議」のみが労働者側の代表も交えた会議である。

 こうした構成員で果たして公正な議論ができるのだろうか、というのが著者の訴えである。そして、公正な議論の場を設けたうえで、今後は「アメリカ型」の自由主義に倣うでもなく、「日本型」の官僚支配に回帰するでもなく、「第三の道」を探るべきだと締めくくる。

 断っておくが、本書は決して読みやすい本ではない。なぜなら、議論が複雑に入り組んでいるからだ。いうなれば、白熱するサッカーの試合を観戦しているようなもの。一瞬で思わぬところにパスが出て、攻守がめまぐるしく変わる。次々、選手も入れ替わる。

 これが本当にフィールドでの出来事なら「おもしろいゲーム」で済まされるのだが、実際は10年先、20年先の未来にも関わってくる議論である。あまりに短い期間で「規制緩和→規制強化」と対極へ振れてしまう制度の危うさを目の当たりにして、背筋が寒くなった。



読書日記 「労働再規制」五十嵐仁著 ちくま新書 10月28日 水口洋介

■「財界」内の二つの流れ

「新自由主義」路線(宮内義彦オリックス会長ら)と、旧来型の「日本型経営」路線(今井敬新日鐵会長ら)の対立を軸としながら、労働に関する規制改革を概観しています

財界内に、この二つの流れがせめぎ合ったのはそのとおりだと思います。

これは、「重厚長大」の重工業から「軽薄短小」の電機産業に移行して成長してきた「日本型経営」企業が、IT情報技術革命によって金融・情報産業が次世代の成長産業になり、このような「先進企業」(金融・情報産業)に交代していくプロセスなのでしょう。

もっとも、財界内部としては、どっちが勝ったということではないのではないかと思います。高度経済成長を支えてきた大企業連合は、グローバル経済と新自由主義路線を受け入れつつ変容しながら統合したのではないかと思います。

奥谷禮子氏のような新自由主義を「戯画化」した人物が主流になっていれば、労働側も攻めやすいのですが、財界総本山はもっと利口なようです。日本型経営を基本にしつつ、新自由主義的な労務管理を慎重に導入しつつあるように見えます。

■2006年の反転

著書は、その政治的現れが小泉政権であったとし、2006年を境に、新自由主義路線はほころびを見せ、「潮目」が変わり、労働再規制の反転攻勢がはじまりつつあると言います。

確かに、ここ数年のマスコミの変わりようは目を見張ります。それほど、日本社会が大きなダメージを受けているということなのでしょう。

■ある世論調査

同書に山口二郎・宮本太郎「日本人はどのような社会経済システムを望んでいるか」(世界2008年3月号)という世論調査の結果が紹介されています。結果は次のようなものです。

「アメリカのような競争と効率を重視した社会」を望む
   全体6.7% 民主支持者5.5% /自民支持者6.3%

「北欧のような福祉を重視した社会」を望む
   全体58.4% 民主支持者61.3% 自民支持者50.3%
 
「かつての日本のような終身雇用を重視した社会」を望む
   全体31.5% 民主支持者31.5% 自民支持者41.4%

高福祉高負担の北欧福祉型社会を、旧日本型より、多くの人が支持していることに驚きました。アメリカ型「競争」社会も嫌ですが、今までの日本型「企業談合」社会もゴメンということでしょう。なかなか興味深い調査です。

民主党の政策も、新自由主義政党から社会民主主義的な政策に変わりつつあるようですから。これは、政治的・風見鶏的「変節」であって、本心からではないのではと心配に思いますが・・・・。でも、総選挙の結果、大きな変化がおきることを期待しています。

■金融危機、そしてリストラの津波が

とはいえ、現在の金融危機により大不況がはじまるようです。1985年の円高直後、また、1990年のバブル崩壊直後のように、またまた人員削減の大リストラがはじまるでしょう。

1985年 ブルーカラーの中高年労働者が「雇用調整」されました。

1990年 全産業のホワイトカラーの中高年管理職が「リストラ」され、そして若者は正社員で雇用されなくなり、非正規労働者層が激増した。

2008年 この間、ふくれあがった「非正規労働者」が真っ先にリストラされるでしょう。つまり、若者たちの再受難です。彼ら・彼女らの「仕事」がなくなる。

この局面で、労働運動が頑張れば、労働運動が再活性化するチャンスなのかもしれません。労働組合には、不退転の決意で頑張って欲しいものです。

ワーク・シェアリング、積極的労働市場政策、そして同一価値労働同一賃金を実現する労働運動や労働政策が本当に求められる時期になったと思います。



(私のコメント)
最近の国会などを見ていると、国会議員たちが選挙で浮ついてしまって政策審議に身が入らないようだ。麻生総理の戦略としては出来るだけ解散を先送りにして、民主党の選挙資金を枯渇させて、民主党の経済対策の杜撰さを引き出して、選挙に打って出るつもりだろう。

水口洋介氏のブログにもあるように、新自由主義を望む人は6%程度に過ぎず、ほとんどが北欧型の福祉政策や終身雇用を重視した日本型社会を望んでいる。つまり小泉型の新自由主義政策はほとんど支持されない政策だったのですが、どうして小泉内閣の支持率は高かったのだろう?

民主主義国家では独裁的権限を掌握する為には、マスコミを買収して国民を扇動して人気を高める事が重要だ。そして選挙で勝てば政権基盤は万全であり、逆らうものがいれば郵政選挙の時のように除名して刺客を送り込んで選挙で落とせば良い。しかしいつかは政策の歪みが出るから小泉首相は5年半で辞任して政界からも引退するようだ。

ボロが出るまでに一時的にしろ、小泉内閣の支持率が高かったのは事実だ。テレビのワイドショーでもB層向けの女性の刺客候補を重点的に取り扱って、ホリエモンなどのタレントを動員した選挙戦法は非常に効果的だった。郵政の民営化に反対した議員は悪役として扱われて多くの議員が落選した。

しかしB層の国民にとっては郵政の民営化の意味がどのようなものであるのかを理解するには難しかった。しかし地方の郵便局が次々整理統合されていくに連れて弊害が分かり始めた。しかし後を継いだ安倍内閣も福田内閣も小泉政治を全面的にひっくり返す事はできなかった。

新自由主義経済では、派遣労働者の規制緩和が製造業にまで認められて一気に派遣労働者が拡大した。しかしB層の若者にとっては規制の緩和といっても政治に無関心だから何のことかも分からず選挙にも行かない。B層の若者は知的なホワイトカラーの仕事など出来ないから製造業などの派遣労働者になるしかない。

このような体制にしてしまったのも規制緩和を進めた小泉内閣なのですが、渋川裕子氏の書評にもあるように、経済財政諮問会議が政策を決定して、それが閣議決定されて小泉政権の政策として実施されるようになった。自民党の総務会も多数決で押し切られるようになって小泉独裁政権が誕生した。

「労働再規制」という新書本は私はまだ読んではいないのですが、経済財政諮問会議は民間人5人と閣僚5人の議員で政策が決定されて、そこには労働者の代表はいなかった。いわば日本の支配層の代表だけで政策が決定されて実施される独裁政権が誕生してしまった。その政権基盤となったのが国民の高い支持率だ。

B層の若者にとっては小泉首相は単にかっこいい首相であり、歯切れの良い演説で人気を保ち続けた。安倍総理も福田総理もコイズミ的やり方を真似しようとしたのでしょうが、肝心な政策のボロが出てきて参院選挙では自民党は大敗してしまった。麻生総理もコイズミ的やり方を真似していますが、失言が多くてそのたびに訂正している。小泉総理は失言しても「人生いろいろ」とはぐらかし方が上手かった。

一番悪いのは政治に無関心なB層の若者にあるのですが、彼らは知的レベルも低く社交性もなく孤立しがちだ。しかし秋葉原で無差別殺人を犯した「加藤」のように知的レベルは低くても学力は優秀であり、両親も教育熱心な家庭だった。しかし不況が長引く日本では彼らを正社員として雇うところは限られていた。

B層の若者は学力は高くても、自分で考えて判断する能力は低く政治に無関心であり、これではいくら学力が高くても現代社会では知的能力が無くて使い物にならない。知的能力とは考える力であり学力の事ではない。「加藤」」のように学力は優秀だが孤立しがちな性格の持ち主であり、携帯などでも無視された事が犯行にいたった原因のようだ。

このような若者が増えた事は家庭や教育にも問題があるのですが、学力はあっても政治的白痴では社会の役に立つはずがない。ネットのサイトやブログを見ても政治や経済を論じたものはわずかだ。ましてや自分の政治的意見を述べたものは非常に少ない。あったとしてもテレビのワイドショーレベルの知識しかない。

しかしその彼らにも小泉改革の弊害が及んできた為に、彼らは「加藤」のような無差別殺人を行なうようになった。今年だけでも8件も無差別殺傷事件は起きている。いずれは政治家や官僚を狙ったテロが起きるようになるだろうとも書いた。そして恐れていたように「小泉毅」は元厚生事務次官を殺害するようになった。「株式日記」の恐れていた事が起きたのだ。

日本にテロの時代をもたらした小泉内閣の責任は重い。ニュースでも派遣労働者が10月から3万人も首が切られた事を報じている。彼らの中から「加藤」や「小泉毅」が出てくる可能性は非常に高い。しかし政治家達は、彼らに命が狙われるようなほど恨まれている事の自覚はない。




米国は何をどこまで助け続けるのか。いくらFRBにカネがあっても
足りない」と、資産の劣化と財政リスクをめぐる不透明感が一気に増した


2008年11月28日 金曜日

ドル急落は欧州勢のリパトリが主導か、米財政リスクに懸念も 11月26日 ロイター

[東京 26日 ロイター] 主要通貨に対して2年半ぶり高値圏で推移していたドルの急落が、外為市場の話題を集めている。主因は年末を控えた欧州勢のリパトリエーション(資金の本国還流)に伴うユーロ買い/ドル売りだったもよう。

 ただ市場では米政府・連邦準備理事会(FRB)の相次ぐ金融危機対策が米財政リスクという形でドル相場の重しになり始めたとの見方も浮上している。このままドル全面安に突入するとの指摘はまだほとんどないが、財政悪化とFRBの資産劣化が同時進行するシナリオが現実味を帯びるようだと、ドルの下値不安が一気に高まる事態も想定される。

 ドルは25日海外市場から26日早朝にかけて、円や英ポンド、スイスフラン、豪ドルなど幅広い通貨に対して下落。主要6通貨に対するドルの値動きを示すドル指数は84.71と、3週間ぶりの低水準をつけた。

 市場筋によると、ドル下落のきっかけとなったのは対ユーロでの売り。ユーロ/ドルは1.28ドル前半からわずか1時間で300ポイント近く急上昇。一時1.3081ドルまで上昇し、3週間ぶりの高値を更新した。金融危機に揺れる最近の外為市場では、世界的な株安で投資家がリスク回避姿勢を強めているとして、リクイデーション(現金化)需要やリパトリでドルが上昇。ドル指数は2年半ぶり高水準を更新していただけに、急激なドル下落の背景をめぐり、参加者の間では様々な情報や観測が飛び交った。

 前日のドル急落の主因とされているのが、年末を控えた欧州金融機関によるリパトリだ。例年、年末前の為替市場では決算を控えた米系金融機関のリパトリがドル相場を押し上げるが「欧州の金融機関にも12月の月初にかけてそうした動きがある。実際ここ数日、リパトリと見られるユーロ買いかなり入っている」(ある欧州系銀関係者)という。海外ファンドのドル売り仕掛け説もあったが、最近の激しい値動きと運用成績の悪化で、年末を控えてヘッジファンドの取引は減少ぎみ。「わざわざ米感謝祭の前にそんな仕掛けに動くとは思えない」(都銀のチーフディーラー)との見方が大勢だ。

 ただ、指数ベースで今年夏から一貫して上昇してきたドルが急反落したことで、市場では米国へのリパトリ需要の一巡とともに、ドルの下落局面入りを予想する声も上がり始めている。金融危機の震源地である米金融セクターをめぐる不透明感、破たんの可能性がささやかれる米自動車業界の行方、歴史的低水準へ急減速する足元景気、立て続けの大幅利下げで4年半ぶり水準まで低下した米金利など多数あるドル売り手掛かりに、相次ぐ財政出動で悪化する米国の財政問題というリスクが一気に現実味を帯びてきたためだ。

 7000億ドル規模の公的資金注入、オバマ次期政権下で打たれる大規模な景気刺激策に加え、FRBが25日に住宅・消費者ローン関連証券向け支援策8000億ドルを打ち出すなど、米政府、金融当局の対策は「多すぎて覚えきれないし、細かすぎて計算もできない」(邦銀ディーラー)ほど。「米国はルビコン川を渡った」(別の都銀チーフディーラー)ともやゆされる、なりふり構わぬ財政出動や中銀の資金拠出は財政リスクを急速に高めており、参加者もいやおうなく意識せざるを得ない状況だ。

 市場筋の推計によると、金融機関への貸し出しやコマーシャルペーパー(CP)の買い入れなど一連の金融危機対策で、FRBのバランスシートは1年前に比べて1.3兆ドル増加。その規模は既に2倍以上に膨らんでいる。

 FRBが今回打ち出した支援策には評価の声もある。「FRBが直接、政府機関発行モーゲージ証券(MBS)を買い取る策がうまく機能すれば、高止まりしている米住宅ローン金利が低下して、利下げ効果がこれまで以上に末端に浸透する。目詰まりを起こしているカネが通るパイプを機能させるにはいいアイデア」(別の外銀の為替担当責任者)という。

 実際、FRBが対策を発表した直後の金融市場の反応は、株高/円売りだった。日本時間の25日午後10時過ぎにニュースが流れると、米ダウ工業株先物は8500ドル台まで200ドル超、一気に上昇。株高を受けて外為市場では、ユーロ/円が125円台まで3円超上昇するなど円売りが進んだ。米株は引けにかけて急速に伸び悩んだものの「2日間で1000ドル近く上昇した反動にしか過ぎない。ドル安シナリオの実現にはまだ距離がある」(同じ外銀関係者)との見方が聞かれた。

 多くの関係者が休日に入るとされる米国の感謝祭を27日に控え「今週の薄商いが市場の現状を正確に反映しているかは疑問」(後出の都銀)との声もある。

 米国のバランスシート悪化懸念は金融危機が深刻になった今年に入り、市場でも常に指摘され続けている。決して目新しい切り口ではないバランスシートリスクが急に指摘され始めたのはなぜか――。

 ある邦銀関係者はその理由を、今回のFRBの救済策が、債券を保有している一般企業も含めた救済プランだったことにあると見る。「金融機関を救済する姿勢を示すのはシステミックリスクを避けるために意味があるが、傾きかけた一般企業まで財政出動で可能な限り救おうとしているのならば、いくらFRBにカネがあっても足りない」と、資産の劣化と財政リスクをめぐる不透明感が一気に増したと話す。

 米議会指導部は、12月8日の週に自動車メーカーが提出する経営改善計画を踏まえて支援策を検討する方針を示している。「米国は何をどこまで助け続けるのか。『焼け石に霧吹き』にならないといいが」。ある邦銀のプロップディーラーは、頭の片隅に置き続けてきたドル安シナリオの実現性を少しずつ意識し始めたと話している。



バンカメか、GMか― 「シティの次」に怯える米金融市場の混迷 11月28日 町田徹

「シティグループの次は、バンク・オブ・アメリカではないか」

 「健全と言われてきたウェルズ・ファーゴだって、ワコビア買収が重荷だ」

 「金融機関よりゼネラル・モーターズなどビッグ3が深刻だ。議会で、救済より、破たん処理を推す意見が強まっている」

 シティグループへの2度目の公的資金注入(11月24日)、連邦準備制度理事会(FRB)による総額8000億ドルの証券化商品の買い取り計画(11月25日)といった前例の無い大規模な金融機関の救済策を相次いで米金融当局が打ち出したにもかかわらず、米国市場の動揺は一向に収まる兆しがない。期待に反して、救済策の効果が長持ちせず、25日のニューヨーク・ダウは前日比で36ドル08セントの上昇にとどまった。

 複数の関係者に取材したところ、市場の関心は、次に経営危機が表面化するのはどこの金融機関(あるいは企業)かという話題に集中しているという。

 このように怯える市場を放置して、金融システムと経済を守ることはできない。これまでも何度か指摘してきたが、一刻も早く抜本策を講じる必要がある。改めて、その抜本策の要諦も示しておきたい。(中略)

桁違いの公的資金注入以外
危機解決の抜本策はない

 実は、シティグループが事実上破綻し、2ヵ月も経たずに2度目の公的な救済を受ける事態に至ったことと、米金融・資本市場が次の破綻先はどこかと疑心暗鬼になっていることには、密接な関係が存在する。

 中でも大きな影を落としているのは、シティが17日、人員削減策と同時に発表した会計処理方針の変更である。証券化商品など800億ドル相当の不良資産を時価評価の対象から外すと表明したのだ。これは今回の金融恐慌の中で、制度上の特例措置として容認されたものではあった。

 しかし、事態は、シティが予期しなかった方向に展開した。

 これを理解するには、米政府の危機対応を知っておく必要がある。

 実は、米国では10月初め、下院で一端否決された「緊急経済安定化法」が修正を経て、成立。ポールソン米財務長官は当初、ここに盛り込まれた資金7000億円を投入して、金融機関から不良債権を買い取ると説明していた。

ところが、ポールソン財務長官はこの資金のほぼ半分を、金融機関への資本注入に転用した。そのうえで、11月半ばなって「不良債権の買い取りはしない」と宣言してしまったのだ。このため、証券化商品の市場は大混乱に陥った。それまで以上に、買い手が付かなくなったのだ。結果として、それぞれの証券化商品にいったいいくらの価値があるのか、誰にもわからない状態に陥った。

 そんな中で、シティが不良債権を時価開示の対象から外す方針を表明したことは、同行への市場の疑心暗鬼を一気に高める原因になった。その方針を表明するまではなんとか10ドル前後を維持していたシティの株価は、あっという間に3ドル台まで急落した。つまり、ルールで認められていたとはいえ、ディスクロージャーを後退させる行為が、市場からシティへの退場勧告を発出させる引き金になったのだ。

 そして、米金融当局やバンカメ、その他金融機関は間違いを繰り返そうとしている。彼らはそろって、シティの事実上の破綻が時価開示の弾力運用が足らなかったせいであると誤解して、もっと極端な時価会計の弾力運用を検討中というのである。こうした措置に異を唱えているのは、一部の証券会社や会計士の業界団体ぐらいで、とてもまともな議論が行われる土壌はないという。それゆえ、市場はこれまで以上に極端な疑心暗鬼に陥っており、次に破綻するのがどこかを探っているというのだ。なんとも、皮肉な話である。

 もちろん、ディスクロージャーを大切にするだけで、今回のような金融恐慌を乗り切ることができると考えるのは間違いだ。

 今回、2度目となったシティの公的な救済劇が、いくつかの異なった用途に、桁違いの巨額の資金を投入しなければ、危機を克服できないことを示している。

 第一は、十分な自己資本の注入が必要だということだ。250億ドルの公的資金の注入から2ヵ月も経たずに、2度目の公的資金の注入が必要となり、新たに200億ドルの資金の投入を迫られた事実をみれば、その点に多言を費やす必要はないだろう。

 もうひとつは、損失が拡大する懸念のある不良債権を金融機関から早く切り離すために、あるいは、買い手が付かなくなった不良債権の価値が一本調子で低下して金融機関のバランスシートが急激に悪化する事態を防ぐためにも、公的資金の投入が避けられないということだ。(後略)



(私のコメント)
相次ぐアメリカ政府による金融機関への公的資金の注入が行なわれていますが、シティ以外にも次々と株式が売り叩かれて、次はどこかといった非常に恐ろしい状況になっている。日本にもこのような時期がありましたが、みずほ銀行が売り叩かれた2003年ころが山場だった。みずほはダメホと呼ばれるほどでしたが、1兆円の株式増資で危機を切り抜けた。

これに比べるとアメリカの公的資金の注入は非常に素早く、日本のぐずぐずした対策が反面教師になっているのだろう。日本がこれほど遅れたのは1996年に住専処理に6850億円の公的資金を使ったことが、マスコミの猛烈な非難を浴びせた事で政治が銀行救済に動けなくなってしまった。それに比べるとアメリカのマスコミは物分りがいいようだ。日本のバブル崩壊の恐ろしさを知っている為だ。

日本はバブル崩壊後の金融危機を封じる過程で、総額46兆円の公的資金を投入した。それに対してアメリカ政府は倍近い75兆円の公的資金で対策を打っているのですが、日本でも90年代半ばに手を打っていればもっと早く回復できていただろう。しかし財政赤字で大蔵省は大胆な景気対策には消極的になり、小泉内閣になって財政再建を優先してデフレにしてしまった。

政治が動かない為に日銀の金融政策にしわ寄せがかかってゼロ金利で量的緩和まで行ないましたが、日本の景気は回復せず、金融緩和した資金は海外に流れ出して世界をバブル経済にしてしまった。日本の政治家は経済危機に対して右往左往するばかりで、役人任せにしてしまった。当時の小渕総理も二兎追わないとして断固とした景気対策を打ったのですが、病に倒れてしまった。

しかしアメリカのバブル崩壊はまだ始まったばかりであり、銀行が抱える不良債権の額も決算期ごとに拡大していく真っ最中だ。75兆円の金融安定化法案の資金ももうじき無くなるだろう。シティは二度の公的資金の注入を受け実質的に国営化してしまった。さらに次はバンカメかといわれている。バンカメはメリルリンチを買収する予定ですがメリルリンチも爆弾を抱えている。

昨日もGMの経営危機を書きましたが、一般企業まで公的資金を救済すればFRBはいくら資金があっても金が足らなくなるだろう。今回の金融危機で世界的な資金回収の流れが起きてドルの揺り戻しでドル高が続いていましたが、野放図な政府による救済でアメリカの財政に不安が生じてきて一転してドルが下げ始め、ユーロが上げ始めた。

ビックスリーまで公的資金で救済されると、我も我もと大企業は政府の救済をすがるようになり、ドルまで売り叩かれるような状況になればGMも潰さざるを得なくなるだろう。アメリカは資本主義の総本山であり新自由主義や市場原理主義から言えば政府による企業救済はとんでもない事のはずだ。ところが銀行も保険在社も住宅ローン会社も次々国有化されている。

アメリカは二言目には日本に対して規制緩和と自由化を迫ってきた。ところが自分が危ないとなると公的資金で救済されて言っている事とやっている事が違う。さらにオバマ政権では90年代に金融規制に反対してきたサマーズやガイトナー元財務副長官が復帰する。アメリカ人には自己責任という自覚がないのだろうか? 

情けない事には日本の政治家も官僚もアメリカの言う事には従順であり、サマーズは宮沢大蔵大臣を恫喝して、「日本人は俺が言えばパンツまで脱ぐぞ!」とはしゃいでいたと報道されている。もっともサマーズはセクハラでハーバード大学の学長をクビになりましたが、それくらいアメリカ人は傲慢であり日本人は卑屈だ。そしてアメリカは最後には大盤振る舞いのツケを日本に回してくるはずだ。

ドルの基軸通貨体制が今まで保ってこられたのもドルに代わる通貨が無かったためですが、その為に日本は1971年のニクソンショックも1085年のプラザ合意も飲まされて、ドルが安くなった分だけ借金を踏み倒されてきた。その為にヨーロッパはユーロを作ってユーロをドルに代わる基軸通貨にしようとしている。今回のアメリカの金融危機もEUの誰かが仕掛けたものなのかもしれない。

一旦はドルの逆流でドル高ユーロ安になりましたが、落ち着いてくるとアメリカ経済の不安からドル安ユーロ高に戻り始めた。EUの金融機関も次々国有化されている状況はアメリカと変わらない。しかし実物経済においてはEUはしっかりしているから金融危機を克服するのはアメリカよりかは早いだろう。

アメリカは三たびニクソンショックやプラザ合意のような借金の踏み倒しができるだろうか? FRBは膨大に抱えた米国債を売らなければなりませんが国内では買う人がいないから、ほとんど外国に売らなければならない。しかし低金利の国債を誰が買うだろうか? 中国政府しかない。しかしニクソンショックやプラザ合意のような真似は中国政府は飲まないだろう。


アメリカを生かすも殺すも中国次第 11月24日 ロシア政治経済ジャーナル

▼アメリカを生かすも殺すも中国次第そもそも日本人は、中国をあまくみすぎだと思います。これは、覇権国イギリスが、アメリカを「ヤンキー」とバカにし。覇権国アメリカが日本を「ジャップ」「イエローモンキー」とバカにしたのと同じメンタリティーといえるでしょう。

私は、「中国は日本唯一の仮想敵」と思っていますが、「外交力は、世界一」だと思っています。

考えてみてください。アメリカは「自由」「民主主義」をひろげる「価値外交」。中国は自分が独裁国家なので、「儲かれば独裁でもなんでもいい外交」です。そして、不思議なことに、経済成長に不可欠な資源は「独裁国家」にあることが多いのです。

中国は、アフリカ・南米外交を積極的に展開し、味方につけつつあります。また、上海協力機構を強化することで、資源が豊富な中央アジアを取り込んでしまった。この地域で、アメリカは完敗しつつあります。

独裁国家ばかりの中東産油国もアメリカを恐れ、中国・ロシアの方にシフトしつつある。伝統的に中の悪かったロシア・インドとも和解を果たしている。

もっとも重要なこと。中国は、アメリカ(特に民主党)の政治家に金をばらまき、味方につけることに成功しています。よく陰謀論の人たちが、「米中は裏でつながっている」といいます。これは、「アメリカの大富豪が中国を支配している」といった論調。

しかし、現実をいえば、中国の金がアメリカの政治家を支配しつつあるのです。考えてみてください。中国は共産党の一党独裁です。

ロシアは、実質プーチンさんの独裁でも、大統領選挙も下院選挙もある。そして、下院には4つの政党があります。つまり、実質は独裁だが、形は民主主義。私はこれを「なんちゃって民主主義」と呼んでいます。

でも、中国とロシア、アメリカにいじめられるのはどっち?ロシアですね。アメリカの政治家が「中国は独裁だ!」と露骨に批判しているのをみたことがありますか?

ところがアメリカの政治家は、口を開けば「ロシアは独裁だ!」と非難している。まあ、ロシアが独裁なのは本当ですが、中国よりはマシでしょう。

なにはともあれ、アメリカ政界で一番強いのがイスラエルロビー。2番目に強いのが中国ロビー。残念ながら、「(仮想)敵ながら、あっぱれ」といわざるをえません。

さて。中国は経済面でもアメリカ支配に成功しつつあります。中国は現在、外貨準備で世界1位。(2位は日本)米国債は日本が1位で、中国は2位でした。

ところが。。。

中国は9月の時点で米国債保有でも世界一に躍り出たことがあきらかになったのです。中国の米国債保有高は9月、5850億ドル。日本は5732億ドルで、2位になりました。


ちなみに日本は、04年の6990億ドルが最高。その後、徐々に減少しています。これは正しい方向性といえるでしょう。なぜか?

1、ドル暴落で、米国債の価値も下がる可能性が高い
2、日本は、「金を貸している」ことを「政治的武器」につかえない

一方中国は、05年から米国債保有高を倍増させています。これは、中国の対米貿易黒字が膨大なこともあります。それと、日本と違って狡猾な中国は、米国債を政治的武器としてフル活用することができる。

この世界には、・お金を借りる人は、お金を貸す人のいうことを聞かなければなら
ないという基本的ルールがあります。

しかし、アメリカと日本だけは例外的に、

お金を借りる人(アメリカ)が、お金を貸す人(日本)を支配する

という異常な関係がつづいていました。しかし、普通の国中国が、「世界1アメリカに金を貸している国」になった。つまり、「アメリカはこれから中国の言いなりにならざるをえない」ということなのです。(涙)

日本は・・・。(おわり)



(私のコメント)
もしアメリカがニクソンショックやプラザ合意のような事を中国に仕掛けてくれば、中国は米国債を政治的に使うだろう。つまりアメリカは決定的に中国に弱みを握られてしまった。今ではドルを売ってユーロに買い換えることが出来ます。今ならユーロで石油を売ってくれる国が増えました。ロシアもクウェートもイランもユーロで売ってくれます。

オバマ大統領は大変な時代に大統領になったものです。90年代までは日本からカネを搾り取っていればドル基軸通貨体制は守れましたが、日本は弱体化して今や中国が世界一のドル資産の金持ちだ。アメリカは今や池に落ちた犬であり世界中から叩かれている。そんなアメリカにぺこぺこしているのは日本ぐらいで情けないが、中国が世界の覇権国になったら中国にぺこぺこするのは当たり前のことなのだろう。




GMは既に金融機関による45億ドルの運転融資枠を全額使っている。
銀行側が返済を要求してきたら、今すぐ破産申請するしかない状態だ。


2008年11月27日 木曜日

ビッグスリーに必要な「創造的破壊」 11月27日 J・Wチャイ

「ゼネラル・モーターズ(GM)の運転資金が年末に底をつくらしい」「いや、バラク・オバマ次期大統領が正式就任する2009年1月20日までは大丈夫だろう」

 「実質破綻している会社に500億ドルの資金をつぎ込むなんて論外だ」「いやいや、これだけ経済が悪化している時に、GMが破綻すると大変。破産を1〜2年先延ばしするだけでも500億ドルの価値がある」

 「米国の自動車メーカーが生まれ変わる絶好のチャンスだ。デトロイト・ビッグスリーをビッグツーにして、現経営陣を総入れ替えし、全米自動車労組(UAW)との契約も根本的に見直せばいい」「しかし、そんな建て直しができるスーパーマンのような経営者がどこにいるんだ?」

破産か救済か、確率は五分五分

 こんな具合に、10月頃から窮地に追い込まれたビッグスリー、とりわけGMの救済措置を巡る議論が喧しい。今年10月に米国で売れた新車の数は83万台だが、ネットに飛び交う議論まで含めると、クルマの購入者以上の人が“にわか自動車通”になったかのような、百家争鳴の状態だ。

 当のビッグスリーは、経営トップが11月18日から19日にかけて米議会公聴会に出席して、政府に救済を求めたが、話し合いは不調に終わった。3社は議会側が設定した12月2日の期限までに、大規模なリストラを盛り込んだ再建策を提示して議員を説得できなければ、支援を受けることができない。

 GMの今後の身の振り方としては、米連邦破産法11条(いわゆるチャプター11)の適用を申請する確率が50%。政府が援助に乗り出して、とりあえず急場をしのぐ確率が50%。全く予想がつかない状況にある。

 それにしてもなぜ、GMはここまで追い込まれたのか。

 同社は1985年に米国で42%のシェアを握っていたが、現在は約22%とほぼ半分に落ち込んだ。同社の凋落の最大の要因は、ホームマーケットの大きな落ち込みによる。

 従業員数は2000年に全世界で34万9000人いたが、2007年には26万6000人に減った。8万3000人減ったことになるが、そのうち7万4000人が北米である。同じ先進国の欧州も3万2000人減少した。その一方で、アジアは2万3000人、中南米は9000人増加している。つまりこの10年、GMは途上国で順調に業容を拡大してきたものの、北米で滅多打ちに遭い、欧州でも苦しめられた。途上国シフトを進めてはいるものの、ホームマーケットのあまりの落ち込みに、リストラクチャリングが間に合っていないのが実情だ。

 同社は2004年後半から現在までに730億ドルの損失を計上。株価は60年来の安値で2ドル前後を推移しており、この間、97%の企業価値を失った。

 バランスシート上は大きな不足が生じている。GMは担保つき銀行借り入れが65億ドル、無担保借り入れが469億ドル、UAW向けの健康保険未払い分が350億ドルあり、合計884億ドルの借金がある。一方、実質的な企業価値は約484億ドルで、差し引き400億ドルのマイナスとなる。今年中に100億ドル、さらに2009年1〜3月期に200億ドルの、少なくとも合計300億ドルを注入しなければ、存続が危うい。

JPモルガンやゴールドマンも気が気ではない

 キャッシュフローを見ると、GMが現在の企業規模を維持するために必要な運転資金は年間110億〜140億ドル。2008年上半期までは月平均10億ドル強を使っていたが、下期になるとこれが急増し、月平均20億ドルずつを消耗している。GMは既に取引金融機関による45億ドルの運転融資枠を全額使っている。約款のうえでは、銀行側が返済を要求してきたら、今すぐ破産申請するしかない状態だ。

JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスといった関係金融機関も金融危機によって痛手を負っている。ここでGMが破綻すれば、貸し倒れなどで多額の損失を被る可能性がある。そんな事態は何としても避けたいので、最近までクライスラーとの合併を裏で後押ししていた。事実上、既に破綻していると言ってよいGMがどうなるかに気を揉んでいるのは、当の自動車メーカーだけではないのだ。

 GM凋落の原因として、ピックアップトラックの利益に胡坐をかき、燃費の良い小型車の開発に乗り遅れたことが、繰り返し報道されている。しかし、そんな分析は今さら分かりきっていることで、ここに至っては、あまり意味がない。それよりも今、考えなければならないのは、事実上破綻しているGMをどうするかだ。

 その点、最近の米国のメディアの論評の中で、一番的を射ていたのは、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、デービッド・ブルックス氏の指摘だった。彼は資本主義市場における「創造的破壊をせよ」と喝破していた。私も同感である。

 資本主義の初期から1970年代まで、ビッグスリーとUAWは米国における中産階級育成の重要な役割を果たしてきた。土地が無限に広く、油が水よりも安かった時代に、米国は石油と自動車産業で成長してきた。その後、IT革命だ、グローバリゼーションだと世界が激動する中で、米国の自動車メーカーやUAWはついていけなかった。要するに、変化対応力が足りなかったのである。資本主義の世界では、変化に対応できない者は淘汰され、新陳代謝が行われる。それは必ずしも後ろ向きなことではなく、むしろ創造的破壊なのである。

21世紀型の新GMを作れ

 かつて米国のフラッグキャリアだったパン・アメリカン航空が破産しても航空業界は飛躍的な発展を遂げたし、モンゴメリーワードやシアーズ・ローバックといった老舗の流通業が落ちぶれても、ウォルマート・ストアーズ、ターゲット、コストコといった新興勢力が台頭した。全世界のGDP(国内総生産)の18%を担う米国の消費支出の受け皿である小売業が廃れるはずがない。それと同様に、世界一大きな自動車市場を抱える米国で、自動車産業が消えることは絶対ないのである。

 いまだ資本主義よりも社会に繁栄をもたらす別の“主義”が見つからない以上、資本主義が促す創造的破壊はこれからも続く。今後はグローバル化の進展に合わせて、破壊の圧力が強まるだろう。それに必要以上に抗っても仕方がない。今、大事なのは、地球環境に優しい21世紀型のクルマを作るメーカーを生み出すために、積極的に破壊するという発想だ。

 それができれば、案外シリコンバレーの新技術と、一回り小さくなった新GMが一緒になり、日本や欧州勢を脅かす日が来るかもしれない。私はそのシナリオで進む確率は意外に高いと信じている。無用な延命策は、その確率を減らすだけだ。



(私のコメント)
アメリカの金融恐慌は、金融が麻痺した事で当然実物経済にも多くの影響を及ぼしてくる。ローンが付かなくなれば住宅も買えないし車も買えなくなる。アメリカ政府は潰れかけた金融機関を救うのに手一杯であり、GMを救うだけの余力があるのだろうか? 

昔は「GMにとって良い事はアメリカにとっても良い事だ」と豪語したGMの社長がいましたが、GMが倒産することはアメリカが倒産することと同じだ。しかしJ・Wチャイ氏が言うようにGMはすでに倒産状態にある。株価はすでに2ドルまで暴落して倒産価格だ。

GMは自動車そのものの売上げシェアの低下にも問題があるが、財務状況であり900億ドルの借金に対して企業価値は500億ドルしかなく、実質400億ドルの債務超過になっている。そして来年3月までに300億ドルの運転資金がないといけない。

GMを救うには900億ドルの借金を背負わなければならないから他のメーカーとの合併もままならない。GMは健康保険の未払いが350億ドルあるように、年金や健康保険の企業負担が重くて法人税も世界一高い。トヨタやホンダが本社をアメリカに移転しないのもこれらのコストが高い為であり、日本も法人税を安くしないと企業が出て行くという話はデタラメだ。

アメリカは労働組合が強いからトヨタやホンダも工場進出には慎重だったが、貿易摩擦がひどくなって進出した。日本のトヨタ工場は年収200万円以下の派遣労働者を使って正社員の半分の給料で済みますが、アメリカではそうは行かない。ライン工でも1000万円もの給料を支払わなければならない。

トヨタやホンダは円高で大変だといいながら、年収200万円以下の派遣労働者を使ってアメリカの労働者よりも安い給料で使ってアメリカに輸出しているのだから儲かるのが当然だ。そして不景気になれば派遣を切ればいいのだからトヨタやホンダは経営が楽だ。

GMも35万人の従業員から26万にまでリストラしましたが、アジアや中南米への工場移転で北米や欧州を減らしている。それでも退職した従業員への年金健康保険支払いなどが膨大だ。ならば一旦倒産して借金をチャラにして出なおしたほうがいいと言う意見も出てくる。製造業は倒産しても工場や設備や技術が残るから再出発は出来るが、金融機関は倒産させると波及効果が大きすぎて潰せないし、再建も難しい。

だからアメリカ政府はシティは救済してもGMは倒産させるかもしれない。GMが救われるには景気が回復して自動車の売上げが回復することが条件ですが、ガソリンが水よりも安い時代は二度とはやってこない。冒頭のマンガにもあるように電気自動車の時代は来年にもやって来る。それに対してGMやフォードは対応できないだろう。

80年代にも石油ショックなどでアメリカの自動車産業は危機になり、燃費の良い車作りが求められてきましたが、石油が安くなると大型のSUVなどを売って利益を上げるようになった。一度ダメになった産業は救済しても再生する事は難しい。むしろJ・Wチャイ氏が言うように倒産させて再出発させたほうが良いのかも知れない。

民主党のオバマ政権がGMを潰す事は難しいだろう。出来ればブッシュ政権のうちに片をつけて欲しいと思っているのかもしれない。しかし90年代のようにドルをいくら安くしてもビックスリーの作る車は海外には売れない。東京でもアメ車を見かけることはあまりないし、見かける外車はベンツやBMWばかりだ。

日本でも公的資金で救済したのは銀行だけであり自動車会社は海外メーカーとの合併で危機を切り抜けた。しかし日本の自動車メーカーもガソリンエンジンで走る車の時代から電気で走る自動車に時代に入りつつある。ドイツでは国策として電気自動車の開発に取り組むようだ。

つまり自動車もパラダイムの大転換の時期を迎えているのであり、既存の自動車メーカーはこのような環境の変化に適応できるのだろうか? アメリカでもシリコンバレーのベンチャーが電気自動車の試作に取り組んでいますが、数年後にはビックスリーは無くなっているかも知れない。日本のトヨタやホンダはどうなるかも分からない。


独、電気自動車で「国家プロジェクト」 11月26日 TBS

二酸化炭素を排出しない「究極のエコカー」として電気自動車に注目が集まっていますが、ドイツでは国を挙げてその普及に取り組む「国家プロジェクト」が立ち上がりました。

 ガソリン代がかからず、地球温暖化防止の切り札ともいわれる電気自動車。普及のカギとなるのは、高性能の電池の開発や、充電スタンドの整備ですが、効率よく生産を進めようと、自動車メーカーや電力会社の幹部、大学の研究者らが集まり、最新の電気自動車が展示されました。

 こちらがBMW用の充電スタンドです。このようにプラグを差し込んで2時間で充電が完了します。このダイムラー社製のスマートは、最新のリチウムイオンバッテリーを搭載し、1回の充電で100キロ走行できます。

 日本では三菱自動車が来年、250万円程度の電気自動車を発売する予定ですが、ドイツの各メーカーも日本に追いつこうと、開発を急ピッチで進めていて、これにCO2削減で高い目標を掲げる政府がバックアップする形となりました。

 「成功のカギは、学界・経済界・政治が密に協力することが必要だ。今回3者が肩を組むことができて喜ばしい」(ティーフェンゼー交通大臣)

 プロジェクトでは、2020年に電気自動車を100万台に、2050年にはガソリン車をすべてなくすという野心的な目標を設定していて、電気自動車をめぐる世界的な開発競争は激しさを増しそうです。(26日08:27)


(私のコメント)
24日の株式日記で書いたように、最近の車はコンピューターの塊であり、外見こそ自動車は昔と大して変わりませんが、燃料噴射システムやサスペンション,ブレーキ、ナビゲーション,オーディオ,空調などのセンサシステムなどコンピューター制御されて、自動車はコンピューターに車輪を4つ付けたように変わっている。電気自動車になれば限られたバッテリーのパワー制御でコンピューター制御が必要になる。

だから自動車自体は新興国でも作られていますが、自動車用のコンピューター制御プログラムは簡単にできるものではない。膨大なデーターの収集とプログラムのバグなどの修正などは数年がかりの作業だ。電気自動車になれば自動車も家電化して新興国で安く出来るようになるというエコノミストもいるが自動車を知らない人だ。単にパーツを組み合わせれば出来るというものではない。

GMなどが作るアメリカ車は大型で頑丈で燃費を気にしなければ良い車なのだろうが、ガソリンが無ければ走らない。これからも石油は投機筋に狙われて暴騰するときが何度も来るだろう。アメリカンスタイルの生活は車がないと成り立たないから車が無くなる事はない。しかしデジタルカメラやNC工作機械のように自動車も日本の独占商品になる事も考えられる。ドイツもエレクトロニクスに弱くてドイツのカメラも亡んでしまった。




日本の国会内には中韓ロビイスト議員やアメリカ・ロビイスト議員で
一杯だが、議員リストを公表するので衆院選挙では落選させよう!


2008年11月26日 水曜日

民主党金融チームが金融危機対応の追加策 11月25日 ロイター

[東京 25日 ロイター] 民主党の金融対策チーム(座長:大塚耕平参院議員)は25日、金融危機対応策の追加策として「行動計画」の原案を発表した。

(2)ドルの「完全追随」ではなく多極化指向の為替政策
 ・IMF(国際通貨基金)への資金支援だけでなく、特定国への個別支援



国籍法改正の真相です。 11月24日 カオスな世界をどう見るか

最近入手した情報をお伝えします。

日本に不良外国人が大量に流入する可能性があるとして、各所で話題になっている国籍法改正案が18日に衆議院を通過した。内容が内容だけに成立の裏で中韓ロビー議員が暗躍したのは言うまでも無いが、その実は全政党を巻き込むほどの大規模な工作活動が行われていたようだ。各方面への取材で国籍法を成立させた真の戦犯たちの全容と、この法案を何故急いで成立させなければならないかが判明したので、その真相をお伝えする。
 
 まず、自民党で推進していた代表格は河野太郎や猪口邦子を中心とする中韓ロビー議員だ。この2名は1000万人移民活動や二重国籍容認活動も推進しており、売国議員の筆頭各とも言える。だが、彼らとて所詮は陣笠に過ぎず、これらの議員にはそれを操る黒幕がいる。それは父親である河野洋平や二階俊博、古賀誠などの売国議員のボスたちだ。
 
 自民党議員の中には「今回の国籍法改正については問題点が多すぎる」として反対する議員が少なからずいた。しかし、「反対したらどうなるか分かっているんだろうな?」と自民党幹部から露骨に圧力をかけられた議員も多く、中には大島国対委員長がわざわざ事務所に乗り込んで脅した議員までいたという。総選挙も近く、法案に反対したことによる古賀誠選挙対策委員長の報復を恐れた大半の議員は、嫌々ながらも彼らに従う道を選んでしまったようだ。
 
 何故、そこまで執行部が圧力をかけたのかといえば、それは公明との関係の維持が目的だ。そもそも、大将が朝鮮人である公明党において、この法案を推進するのは当然のこと。この法案は今国会での最重要法案という位置づけとなっており、公明党が全政党でもっとも力を入れていたのは間違いない。そこで、「この法案が通らなければ次の選挙での協力にも影響が出る」と自民党執行部を強硬に脅し、もはや後の無い麻生首相も受け入れざるを得なかったようだ。
 
 では、民主党はどうだったかと言えば、民主党議員の多くはどのような法案か全く知らずに賛成してしまった議員が殆どというのが実情だ。事前に詳しいことを全く知らされておらず、法案が衆議院を通過する直前になって反対のFAXやメールで事の重大さを知ったという。現に筆者が取材に行った議員で詳しい内容と問題点を知っていたのは皆無、中には既に法案が衆議院を通過したことすら知らなかった議員までいた有様だ。
 
 このような状況に持っていくのは当然ながら入念な裏工作が必要であり、旧社会系議員や日教組系議員などの中韓ロビー議員が自民党や公明党の一部と結託して秘密裏に事を進め、それを知っていた小沢も黙認していたようだ。そういった意味では積極的に参加していたように思われる民主党議員も無知ゆえの被害者とも言える。
 
 では何故、この時期にこんな無責任に不良外国人を受け入れるような法案を通さねばならなかったのか?それは、世界恐慌の影響で近いうちに韓国経済が破綻することが確実であること、そして金正日の死去による北朝鮮の混乱に備えるためだ。日本を食い物にすることで長らえようとする売国議員が、南北朝鮮の崩壊が近いと察して焦るのも頷ける話だ。
 
 つまり、この法案を積極的に進めているのは売国政党である公明党、そして自民党・民主党内の中韓ロビー議員の連携、そして、脅しに屈した自民党執行部であり、国民不在のままに騙し討ちで可決されてしまった法案なのだ。この後、改正案は参議院に送られることになるが、衆議院よりもさらに状況の悪い参議院ではこの流れに太刀打ちできるわけも無く、この世紀の悪法が成立するのも時間の問題となった。
 
 結局、朝鮮の工作で日本はおかしくなっているのだ。

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誰が聞いてもおかしと思う法案を通してしまう怪しげな国に成り下がっています。

マスコミの対応も、創価学会が裏にいることを理解すれば納得がいきます。

まじめに反論してきた国民の皆さん。政治の実態とはこんなものですよ。正論で押しても、売国議員は日本以外の国の利益確保のために働いているのですからまともにとりあう気などないのです。

売国議員と呼ばれる人がいる選挙区の皆さん。

国を売るような議員を決して当選させないようによろしくお願いします。

公明党は庶民の政党を自負するならば、日本国民のことを考えた政治をしろと言いたい。(某宗教の某氏の言いなりの行動しかできずに)自分の頭で考えることができないようなおかしな集団が民主主義の政党と言えるのか。

売国議員リスト

http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/119.html


なぜ日本はここまで対米従属なのか 11月25日 天木直人

私はよく質問される事がある。なぜ日本外交はここまで対米従属なのかと。

  はっきりと「こうだ」と断言できる答えを、もとより私は持ち合わせていない。

  外務官僚の出世頭はすべて対米従属者であり、日米同盟至上主義者である。逆に、外務省では米国を批判する者は中枢を歩めない。それは事実だ。

  しかし、それはあくまでも偉くなりたいための保身のなせる業であり、対米従属の理由に対する答えにはならない。

 米国に逆らうと失脚させられる、脅かされる、あるいは命まで狙われる、という話が陰謀論のごとくささやかれるが、それを確認出来ない以上、これまた「答え」として公言する事は出来ない。

  昭和天皇とマッカーサーの歴史的会談の中で、国体護持と日米安保体制(日米同盟)が、昭和天皇の強い意向により表裏一体の形で作られた、という史実を知れば、なるほど対米従属はそこから始まったのか、と思ったりするが、戦後世代にまでそれが影響を与えているとは思えない。もはや過去の歴史の一こまだ。

  日本人は米国が好きなのだ、という理由は頷けるが、しかし米国への憧憬を抱く国民はなにも日本人だけではない。そのような国民は世界中に広く存在する。

  しかし、同時にまた、それらの国民は、米国の不当な政策に対しては激しくデモや抗議をする。米国が何をやっても「仕方がない」とあきらめる従順な国民は、世界ひろしといえど日本人くらいだ。

  結局は米国の占領政策が日本で大成功したという事ではないのか。

  この事についてはCIAの対日工作がつとに有名だ。自民党に政治資金を渡したり、読売テレビを動かしたり、A級戦犯を無罪釈放して総理に就けたりした、周知の工作である。

  しかし、また一つ米国の対日工作の史実が明らかにされた。

  11月17日の朝日新聞がその書評欄で「戦後日本におけるアメリカのソフトパワー」(岩波書店)という本を取り上げていた。

  松田武大阪大学教授の手によるその本は、1951年に「講和使節団」の一員として来日したロックフェラー3世が、東大を頂点とする日本の高等教育機関の序列化を図り、研究助成金をばら撒くことによって日本の指導的知識人たちが日米摩擦について口を閉ざすように仕向けて行った事を、明らかにしている、という。

  その本は定価6,000円もする本なので購読をためらっていたら、奇しくも発売中のサンデー毎日12月7日号で、フリージャーナリストの斉藤貴男が次のように書評していた。

 ・・・戦後60年以上を経てなお重要度を増す(米国の対日占領の)深層を、第一線の研究者が米国側の膨大な一次資料を駆使して描出した、刺激的な論考だ。
   米国の対日占領政策は、日本および日本人に関する仔細な研究に基づいていた。暴力的な押し付けではなく、ロックフェラー3世の掲げた文化交流が、露骨な人種差別意識にも彩られつつ進められた・・・圧巻は東京大学と京都大学とで繰り広げられたアメリカ研究セミナーの争奪戦だ・・・エリートとしての生き残りを賭けて米国に認められようとする大学人たちの生態は、そのまま現代日本の指導者の生き方に通じてしまっている・・・研究者らしく淡々としていた記述が、終盤に近づくにつれて強い苛立ちを帯びていく・・・

  なるほど、興味をひかれる。何としてでも読んでみたい本である。



(私のコメント)
午前中は参議院の国会中継を見ていたのですが、特定国への個別支援の事やネットで話題になっている国籍法の改正についての質疑がないのはどうしてなのだろう。特定国への個別支援の民主党案などもロイターで報じているだけでネットのニュースでも他の報道機関は報道していない。民主党の金融対策案なのだからニュースになってしかるべきものだ。

国籍法の改正問題も新聞やテレビは全く報道しないにもかかわらず、粛々と法案が審議されて可決されて行く。国籍法の改正は公明党が力を入れている法案でありマスコミ各社にも緘口令は敷かれているのだろうか? 最近では外国人参政権の問題や二重国籍を認める法案などが一部の議員による熱心な活動で検討されている。

自民党でも1000万人の移民受入れなどが検討されていますが、人口過密なこの日本に、少子化対策と称して移民などの外国人受入れ計画が進んでいるようだ。日本の支配層にとっては安い賃金で働く労働者であれば日本人であろうと外国人であろうと関係は無い。非正規労働の低賃金労働者が多くなれば支配層にとっては利益になる。

野党などの支持層も低賃金労働者だから、1000万人の低賃金労働者が増えればそれだけ野党にも有利になる。アメリカにオバマ政権が誕生したのも移民の増加による民主党支持層が増えた為だ。不可解な事に自民党の中川秀直元幹事長などを中心とした勢力が1000万人の移民受入れ計画の推進者ですが、国籍法の改正もその計画の一部なのだろう。

特別な能力を持つ外国人については今でも帰化などを積極的に受け入れているが、いわゆる低賃金労働者などの受入れは、不景気になれば失業して生活保護を受けるようになってしまう。中国人や韓国人の不法滞在は増える一方であり、滞在を認めさせるための手段として、若い女性ならば日本人男性との子供を産むことによって、出産後でも認知を認めるという最高裁の判例が出た。その為に国籍法の改正が行なわれる。

移民国家のアメリカやカナダなどでは、現地で生まれた子供なら外国人でもアメリカやカナダ国籍が取れる。だから韓国人や中国人は子供をわざわざアメリカやカナダまで出かけて出産する人が多い。アグネス・チャンなどもカナダで出産した。日本でもそれに近い制度にしようというのが国籍法改正の主旨だろう。

しかし現状においても在日外国人の生活保護を受ける世帯の割合が多く問題視しなければならない。増加の原因としては、韓国・朝鮮人の高齢化やフィリピン人女性の離婚の増加などが、急増の要因とみられる。


【社会】外国人の生活保護世帯急増、登録外でも37自治体が対象に  7月27日 読売新聞

生活保護を受給する外国人世帯が急増している。06年は2万9336世帯で10年前の1・7倍。一方、生活保護法は国民が対象で、外国人の保護受給は権利ではないとされ、福祉現場で運用に差も見られる。

主要73市・特別区への読売新聞の調査(7月)では、DV(配偶者からの暴力)を逃れるためなど、やむを得ない理由で外国人登録地と異なる自治体に生活保護申請した場合、37自治体は「保護できる」、25自治体は「保護できない」と回答した。

厚生労働省によると、全保護世帯は108万世帯。外国人世帯は、国籍別で韓国・朝鮮が最多の2万2356世帯。中国の2847世帯、フィリピンの2399世帯が続く。韓国・朝鮮人の高齢化やフィリピン人女性の離婚の増加などが、急増の要因とみられる。

日本人の場合、住民票を登録していない自治体でも受給できる。しかし、外国人に対する保護は、生活保護法の準用措置で、54年の厚生省通知は「申請は外国人登録をした自治体に行い、不服申し立てを認めない」としている。

読売新聞は、政令市、東京23区、県庁所在市に、外国人の保護実態、47都道府県に、不服申し立ての取り扱いを調査した。大阪市など37自治体は居住実態を優先し登録の有無に関係なく「保護できる」とした。25自治体は「登録地でないと保護できない」と回答。このうち19自治体は、居住実態は問わないとした。6自治体は登録と居住実態の一致を条件とした。

一方、保護打ち切り処分などへの不服申し立てを認めているのは大阪府だけ。05〜07年には12件を受理、2件の処分を取り消したという。厚労省保護課は「登録地と居住地が異なる事例は想定していなかった。現場で判断してもらうしかない。ただ、保護は権利ではなく、不服申し立ては認められない」としている。

(2008年7月27日03時14分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080726-OYT1T00903.htm



(私のコメント)
現在の日本社会では高度な教育を受けた人でないと、なかなか社会で働く先を見つけることが出来ない。日本人ですらフリーターやニートの増加で社会不適応者が増えてきている。秋葉原の無差別殺傷事件の犯人も、元厚生事務次官を殺傷した犯人もフリーターやニートだ。だから外国から移民を受け入れても日本社会に適応できないで生活保護で生活するようになるだろう。

日本でもグローバル化が進んで単純な低賃金労働が少なくなったから日本人の若者のもフリーター化している。あるとすれば日雇い派遣ぐらいであり、外国人移民が増えればそこに職業が集中する。そして高齢化すれば蓄えもなく生活保護を受けるようになり地方財政はパンクする。だから在日韓国人朝鮮人の数人に1人が生活保護で生活している。

このような日本への移民受入れ政策はアメリカからも圧力がかかっているのですが、アメリカはこのような内政干渉を平気で要求してくる。それに対してアメリカ・ロビイスト議員が1000万人移民受入れを画策している。このように日本国会には中韓米のロビイストが大勢いて、国益優先派の国会議員はわずかだ。だから中韓米のロビイスト議員は次の選挙で落選させるようにしなければなりません。


日本は女性進出と移民受け入れを  将来の衰退回避策と米報告書 11月22日 共同通信

【ワシントン21日共同】米国家情報会議(NIC)が発表した世界予測「2025年の世界の潮流」の中心執筆者であるマシュー・バローズ同会議顧問は21日記者会見し、日本の将来について、女性が長く働ける職場環境をつくり、移民を受け入れなければ「衰退する恐れがある」と警告した。

 バローズ顧問は、日本の将来をめぐる協議では高齢化や人口の縮小について多くの時間が割かれたと指摘し、高齢化で今後の経済成長の継続は「より困難になる」と予測できると述べた。

 その上で、日本が衰退しないためにはいかに困難であっても(1)より多くの女性が永続的に働く(2)移民に門戸を開く−政策に何らかの形で踏み切る必要があると述べた。



(私のコメント)
このようにアメリカも、中国や韓国と一緒になって日本に対して圧力をかけてくることが多くなりました。天木直人氏のブログにもあるように、アメリカのソフトな支配勢力はマスコミや教育界を取り込んで日本人を洗脳してアメリカに従順な国民にすることに成功した。そして日本にも移民を受け入れさせる事で日本の弱体化を謀っているのだろう。

アメリカ政府がなぜ日本に対して移民を受け入れろと言うのかは釈然としないのですが、ヨーロッパ諸国も移民を受け入れて社会問題化している。景気の良い時はいいが不景気になると移民の失業が増えて犯罪の増加や社会不安を抱えるようになる。アメリカも失業率が上がるにつれて移民に対する問題が表面化するだろう。アメリカでも中国人や韓国人が大都市にコロニーを形成してして国家内国家を作っている。


北京政権は、米国西海岸にシナ・コロニーの橋頭堡を築くという、新手の「人海戦略」を選択し、推進してきたように見えます。 2007年4月19日 株式日記




【シティ】が現在ないしは今後に抱えるであろう<不良資産額>は
30兆円以上に達し、現在、自己資本が2兆円余り足らなくなっている。


2008年11月25日 火曜日

瀕死のシティ救済で200億ドル追加注入 米政府が深夜の発表 11月24日 IZA

【ワシントン=渡辺浩生】株価が急落し経営不安が強まっている米金融大手シティグループに対して、米政府は23日深夜、シティの不良資産最大3060億ドルの損失を保証したうえで、200億ドルを追加的に資本注入する救済策を発表した。9月に金融危機が深刻化してから有力金融機関に対する大規模な個別救済は、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)以来。経営を圧迫する不良資産拡大を防ぎ、金融システム不安の払拭(ふっしょく)を図る。

 発表によると、政府は、シティの住宅ローンや商業用不動産融資に絡む最大3060億ドル分の不良資産を一定期間保証する。損失は290億ドルまでシティが負担し、それ以上の損失は最初の50億ドルを財務省が、次の100億ドルを連邦預金保険公社(FDIC)がそれぞれ負担する。

 保証の手数料としてシティは財務省とFDICに70億ドルの優先株を発行して8%の配当を支払う。不良資産はシティの貸借対照表(バランスシート)にとどまるが、財務への悪影響を事実上遮断する仕組みだ。

 さらに、政府は金融安定化法を活用してシティに別途200億ドルを資本注入する。政府は10月、シティに250億ドルを資本注入したばかり。追加注入の条件として、経営陣の報酬・ボーナスを制限する計画の提出を義務づけた。

 シティは低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)に絡んで、世界の金融機関として最大の約700億ドル(約7兆円)の損失を計上。7〜9月期まで4四半期連続の赤字となった。

 シティは簿外にも約1・2兆ドルの資産を抱え、その多くが不良資産化。世界同時不況が、不良資産を一段と膨らませるとの不安から、先週だけで株価は60%も急落。17日にはパンディット最高経営責任者(CEO)が約5万人の従業員削減を発表したが、下落に歯止めは掛からなかった。

 週末を徹して支援策を協議した財務省、連邦準備制度理事会(FRB)は共同声明で「金融システム強化と納税者と米経済の保護に必要な措置」と強調した。


シティという不沈巨大タンカーの幻想  11月24日 田村秀男

シティグループは巨大タンカーに例えられてきた。巨大な図体で巨大な金融資産を運ぶ。タンカーは船倉を幾多にも仕切っているので、少々船底に穴が空いても沈まない。

ところが、かつては不沈戦艦と讃えられた戦艦大和も沈んだ。内蔵する巨大な弾薬に火がつけば、自爆し、真っ逆さまに暗黒の海へと旅立つのだ。

シティの最大の問題は、今回救済対象になった「不良資産」ではなく、1兆2000億ドルとみられる簿外の債務にある。大半は大量破壊兵器金融派生商品であり、不良債権化しているはずだ。

シティの経営執行委員会議長はかのロバート・ルービン氏。クリントン政権の財務長官で、今回のオバマ次期政権の金融危機対策に絶大な影響力を持っている。次期財務長官が有力視されているガイトナーニューヨーク連銀議長は言わばルービン氏の代役。

ルービン氏はもとはと言えばゴールドマン・サックスの共同経営者でもあった。ポールソン財務長官と同じGS出身だ。


クローニズム(身内主義)の米金融帝国が身内だけで、この難局に立ち向かうわけだが、不透明な実態にメスも入れず、ただ公的資金、あとは不問というなら、いったいこの金融危機を乗り切れるはずがない。

1997、8年のアジア通貨危機の際、ルービン氏がこっぴどくやっつけたインドネシアのクローニー資本主義の権化、スハルト体制は崩壊したことを、よもや忘れてはいないだろうが。


金融危機情報(再度のシティ救済策は機能するか?) 11月24日 nevada

米国財務省とFRB、そしてFDICは週末返上で【シティ】救済策につき協議し、
まとめあげましたのが<30兆円の不良資産保証>と、<1.9兆円の資本注入>となっており、この発表を受けてフランクフルト株式市場では【シティ】株は40%程上昇しています。

では、今回の救済策は機能するでしょうか?
まず、今回発表になりました救済策で明らかになりましたことは【シティ】が現在ないしは今後に抱えるであろう<不良資産額>は30兆円以上に達するということであり、かつ、現在、自己資本が2兆円余り足らなくなっているということなのです。

また、今回の救済策の条件としましては、<無配>と<役員ボーナス削減>が盛られており、年金資金等は無配となる【シティ】株を保有できなくなると共に、401Kプランで【シティ】株を保有している個人は配当金がなくなりますので、年金運用プランに狂いが生じます。

今回の救済プランは株の暴落もあり、とにかく信用崩壊で資金繰りに窮している【シティ】を一時しのぎでも救うために考えだされた苦肉のプランであり、時間がたてば【シティ】が抱えます不良債権額は<30兆円>をはるかに超える額に膨れ上がり、再度の救済策を講じることになりますが、政府が決めました<70兆円の枠>を下手しますと【シティ】1社で使い切ることにもなりかねない事態に追い込まれ、今度は米国金融市場救済策が機能しないという事態に陥ります。

今の金融市場を安定させるには、付け焼刃の対応をとるしか道はないのも確かですが、金融機関救済だけに舵を切っているこの間にも世界中で<不動産価格>の下落は続き、<企業倒産>は増え、<消費>は減少し、急速に【世界同時不況】に向かっているのです。


(私のコメント)
アメリカ政府はシティを国有化して優先株を買い取るようですが、経営陣はお咎めなしで公的資金を注入する。これが出来れば日本ももっと早く危機から脱出できたのに、新自由主義的な考え方で公的資金による救済が遅れてしまった。竹中大臣は資産査定の厳格化で銀行を追い込んでいきましたが、今度のシティ救済をどのように見ているのだろうか?

今のシティを資産査定の厳格化で査定すれば債務超過であり市場原理主義から言えば潰されるべき銀行だ。このようにアメリカは自分勝手であり原理原則もない国だ。このように住宅金融会社も保険会社も商業銀行も国で救済して国有化されていますが、そのカネはどこから出るのだろうか?

シティは10月に250億ドルの資本注入を受けたばかりだが、さらに200億ドルの資本注入を受ける。不良債権の額からしてシティはまだまだこれからも果てしなく資本注入を続けなければならなくなるだろう。アメリカの景気が回復すれば不良債権の発生も止まるだろうが、実体経済の悪化はこれからだ。

アメリカは90年代はITバブルを演出して世界から金を集めましたが、2000年以降は金融商品バブルで金を集めてきた。しかしデリバティブという金融商品は大量破壊兵器以上の破壊力を持つものであり、アメリカはもとより世界経済を吹っ飛ばすほどの威力がある。それを放置してきたのはアメリカ政府であり金融商品は金融立国の切り札だった。

アメリカの投資銀行の金融商品は高利回りであり、産油国や新興国などからの資金還流でアメリカは好景気が続いた。それに対して日本は超低金利政策で財政再建を優先して景気対策は行なわなかった。これは意図的に日本からアメリカに資金が流れるようにするためであり、政府日銀が増税や金融の量的引き締めで好景気になるのを恐れているかのように見える。

麻生内閣でようやく景気対策に力を入れるようですが、景気対策は続けなければ意味がない。90年代も3度にわたって景気が回復しかけては財政再建で潰してきた。それに対してアメリカは75兆円の金融安定化法案を通して次々と手を打っている。日本は貿易黒字国なのにその黒字を生かすことが出来なくてアメリカに還流させる政策をとっている。

アメリカはシティやGMといったアメリカを代表するような企業が潰れかけていますが、日本で言えばトヨタや三菱UFJが潰れるような事態がアメリカを襲っている。これではアメリカ経済もおしまいなのであり、アメリカを支えるような大企業がアメリカからなくなり、自動車産業も外国資本で経済植民地化していくのだろう。

金融だけはアメリカの戦略産業であり、製造業は競争力がなくなりメキシコや中国に工場を移転してしまった。しかし最後の牙城である金融も自爆テロで不良債権の山を作ってアメリカは自滅する。日本の戦略は崩壊しつつあるアメリカ帝国からどのような自立の道を探るかですが、アメリカ依存に固まったままの日本人の意識を目覚めさせなければならない。

アメリカは共産主義と戦い勝利を収めて新自由主義や市場原理主義のイデオロギーを日本にも押し付けてきた。しかし今度の新自由主義や市場原理主義はアメリカ政府自ら捨て去ってしまった。アメリカもEUや日本のような社会民主主義的な政策でオバマ政権もそうなっていくだろう。行き過ぎた規制緩和や弱肉朝食経済はアメリカ経済をも破壊させた。

これからのアメリカがどのようになるかは中国の出方にかかっている。アメリカはすでに金融経済対策で200兆円以上の金を必要としており米国債を売って賄わなければならない。しかし日本も中国も産油国もそれだけの買う金は無い。アメリカ国民も負債の山を抱えており長期不況で中国から物を買うことは出来なくなる。つまり中国はアメリカの輸出が出来なくなり、アメリカは中国にドルや国債を買ってもらえなくなる。つまり米中共倒れだ。

このような状況になれば、日本の戦略としてはアメリカや中国を経済植民地化して経済支配する事で21世紀は日本の世紀と呼ばれるようになるかもしれない。もはや軍事力では決着はつけられない世界では経済力が国力の決め手になる。規模としてはアメリカや中国が大きいのだろうが、資本力や技術支配力は日本が持つことになるだろう。つまり見えない資本技術帝国による米中の植民地化が進んでいるのだ。

韓国はすでに日本の経済植民地支配体制は固まっている。やがては中国もアメリカもそのようになっていくのだろう。アメリカも軍事力が使えないと分かって経済振興に本気になってかかれば復活の目もあるのですが、日本も米中に対抗できるだけの核戦力は持たなければならない。




開発コストに占めるソフトウエアの割合はDVDレコーダーでは約60%,
携帯電話では約80%に達している。付加価値がソフトウエアにシフトする


2008年11月24日 月曜日

「オープンソースが組み込み機器にもたらすインパクトとは」 11月22日 日経BP

「組み込み開発に押し寄せるオープンソースの波は日本の産業に何をもたらすのか」---2008年11月21日,組み込み技術展「Embedded Technology(ET) 2008」で「オープンソース・イノベーション:ソフト開発のエコシステムを求めて」と題するパネルディスカッションが行われた。

 パネリストはオープンソースのプログラミング言語Rubyの作者 まつもとゆきひろ氏,アプリックス 代表取締役社長 郡山龍氏,CE(Consumer Electronics) Linux Forumマーケティング・チェアでソニー テクニカルマーケティングマネージャ の上田理氏。モデレータは日経BP社 執行役員 日経エレクトロニクスの浅見直樹発行人が務めた。

自前主義から部門・企業のカベを越えた統一へ

 モデレータの浅見氏は日経エレクトロニクスの記事を示しながら「開発コストに占めるソフトウエアの割合はDVDレコーダーでは約60%,携帯電話では約80%に達している。組み込み機器を作ることはソフトウエアを作ることとイコールに近付いている」と指摘。そして「かつてはソフトウエアを部署ごとに自前で作っていたが,開発コスト削減と品質確保のためにプラットフォームの統一が大きな課題になっている」という問題意識を提示した。パナソニックは6年前,全社共通プラットフォームをUniphierと呼ぶチップとミドルウエア群に統一した。統一すれば当面は移行などのために作業は増える。しかし同社は10年後を見越して決断した。その経営判断が現在のパナソニックを支えている。

 さらに一企業の部門間にとどまらず,企業間のカベを越えたプラットフォーム統一が進行している。「5年ほど前,パナソニックがデジタルテレビに最初にLinuxを使い始めた。国内ほぼすべてのメーカーのデジタルTVがLinuxを採用しており,HDDレコーダーの多くやHDDビデオカメラにも使われている」(CE Linux Forum 上田理氏)。

 CE Linux ForumはLinuxを採用する家電メーカーなどが参加するコミュニティである。現在は世界のメーカーから技術者が参加しており,日本,米国,欧州,韓国などでイベントが開催されているが,その源流はソニーとパナソニックがLinuxを共同開発するために提携したことにある。

 ソニーでも自社でOSを開発していた。「プロプライエタリなOSは何でも自分で自由にできる。しかし,新しいデバイスの対応,新しいネットワークへの対応,バグの修正,全て自社で行わねばならず,その開発コストが重くなってしまった」(上田氏)。現在ではソニーの主要製品のほとんどがLinuxを採用している関連記事「ソニー中鉢社長がOSS推進フォーラム幹事に就任した理由」)。

世界の技術者による協業

 Linuxが普及した最大の理由のひとつは,オープンソースであることにある。

 Rubyの作者であるまつもとゆきひろ氏はオープンソース・ソフトウエアの定義と歴史を解説した。「ソースコードが公開されているオープンソース・ソフトウエアは開発者に問い合わせることなく情報が得られ,自由に改良でき,開発者同士が協力しやすい」(まつもと氏)。世界中の開発者が協力

 Rubyもオープンソースで公開したことで世界中からプログラマが開発に参加,まつもと氏が作業することなくCrayのスーパーコンピュータや,携帯電話向けOSであるSymbianにまで移植されている。またデンマークに在住していたDavid Heinemeier Hansson氏がRuby on Railsと呼ぶフレームワークを開発しオープンソース・ソフトウエアとして公開したことでWebアプリケーション向けにも普及。米GatnerによればRubyプログラマの数は現在100万人弱,4年後には400万人に達する見込みという。

 組み込みLinuxにおいても,企業のカベを越えた協力により改良が行われてきたと上田氏は言う。もともとデスクトップやサーバー向けに開発されてきたLinuxには,必要メモリー・サイズの大きさ,起動時間,省電力機能など,組み込み機器に使用するためには解決しなければならない課題が多数あった。しかし,競合する企業同士が協力したことで短期間に改良が進み,現在では携帯電話やデジタルカメラなど,消費電力や起動時間の制約が厳しい機器にも多数搭載されている。さらに省電力機能がブレード・サーバーのメーカーにも注目されるなど組み込み機器以外の分野にも効果をもたらしつつあるという。

 携帯電話向けJavaプラットフォームJBlendなどを開発するアプリックスの郡山龍氏は「ソフトウエアは人間の叡智だけで作られている唯一の工業製品であり,ソフトウエアこそが機械に生命を吹き込む」と組み込み機器におけるソフトウエアの重要性を強調。そして「昨日自分が書いたコードより,今日書いたコードの方が進歩している。昨日のソースはもういらない。誰かがすでに作ったものと同じものを作って人間の叡智を無駄遣いしないためには,昨日のソースコードは共有し,新しいこと,差別化になる部分に叡智を使わなければならない」と指摘した。

日本人はソフトウエアが苦手か

モデレータの浅見氏は「日本人はソフトウエアが苦手なのだろうか」という質問を投げかけた。

 ハードウエアに比べ,ソフトウエアでの日本の存在感は薄い。米GoogleはLinuxとJavaをベースにしたAndoridというソフトウエアを公開しただけで,自らはハードウエアを作ることなく「Google携帯」を誕生させた。日本人はソフトウエアが苦手なのだとすれば,組み込み機器の付加価値がソフトウエアにシフトしてくことは,日本の産業にとって不得手な分野の比重が大きくなることを意味しかねない。

 日本よりも海外に多くのユーザーを持つRubyの作者まつもと氏は「日本の開発者の技術が海外の技術者に劣ることは全くない」と断言する。しかし「商業的に成功するためにはリスクをとらなければならない。日本は失敗に厳しい社会で,利口であればこの社会でリスクはとれない」と,問題は「日本人」ではなく「日本」にあると指摘した。

 米Microsoftで日本語OS/2のプロダクト・マネジャーを務めていたアプリックスの郡山氏も「日本人のソフトウエア技術は高い」と言い切る。「日本はソフトウエアが苦手という論調が不愉快で,見せてやろうという思いがあった」(郡山氏)。同社のJBlendの累計出荷数は1億数千万台になるが,うち半数以上の約1億台が海外だという。

自由か無料か

 オープンソース・ソフトウエアはかつて「フリー・ソフトウエア」と呼ばれていた。浅見氏は「この『フリー』という言葉は『自由』を意味するのか『無料』を意味するのか」と改めて問いかけた。

 まつもと氏は「無料という表現には違和感がある」と語る。まつもと氏がフェローとして所属する企業であるネットワーク応用通信所もシステム構築などでソフトウエアを開発しビジネスを行っている。「無料であることよりも(改変や再配布が)自由であることから大きな恩恵を受けている」(まつもと氏)。CE Linux Forumの上田氏も「無償ソフトウエアと書かれると戸惑う。サポートすることも無料だと思われると悲しい」と述べた

 浅見氏は「メディアが『無償ソフトウエア』と書くことがソフトウエアの対価が低いことにつながるとしたら,自戒していかなければならない」と,ソフトウエアが大きな商業的価値を生み出していることを改めて強調した。



(私のコメント)
最近はブルーレイのレコーダーを欲しいと思って注目しているのですが、ブルーレイ機器に関してはパナソニックとソニーが一歩リードしている。それは開発スピードが他のメーカーとは違うからだ。DVDレコーダーの頃は東芝やシャープも同じレベルだったのですが、東芝やシャープはなかなかブルーレイレコーダーを出せなかった。

東芝はHDーDVDで負けたわけですが、ソフトウェアの開発スピードが遅くてHD−DVDの発売で出遅れてしまった。東芝は一社でソフトを開発していたから時間がかかってしまったわけですが、ソニーとパナソニックはLinuxを共同開発するために提携して開発スピードを速めた。

Linuxを採用していれば外部にソフト開発の委託や開発コストを下げる事ができるが、一社で囲い込んでいると時間もコストもかかるようになってしまった。Linuxが普及した最大の理由のひとつは,オープンソースであることにある。Linuxを使えるソフト技術者は世界に沢山いるわけであり、自由に改良でき,開発者同士が協力しやすい環境にある。

日経BPの記事にもあるように現在の製品開発費のほとんどがソフトウェアの開発費であり、ブルーレイレコーダーも携帯電話も60%から80%がソフト開発費だ。だから他社製品を分解して同じものを作ろうとしてもチップに内蔵されたソフトはコピーできないからコピー商品はなかなか作る事が出来ない。

だから中国や韓国が日本を追い上げて追い越すといっても簡単にはできない。プログラムの数百万ステップのわずかな部分をブラックボックス化すればコピーする事は不可能だ。だからこれからの産業はソフト開発力のある企業が利益を独占していく世界であり、一旦遅れるとなかなか追いつくことは難しい。

ソフトウェアの開発も要するに積み重ねであり、昨日自分が書いたコードより,今日書いたコードの方が進歩している世界であり、コードを覗くことは暗号を解く事と同じ作業だ。例えばWindowsのコードを覗くことは不可能だ。だからオープンソースのLinuxで開発する事が進んでいますが、強大なマイクロソフトのWindowsもすべてのソフトを一手に開発する事は不可能であり、Linuxに携帯や情報機器のOSは移ってしまった。

だからコンピューターが使われていないような日用品などにおいては中国も直ぐに作れるが、作ったとしても中核部品は日本やアメリカから輸入して作らなければならない。その意味ではパナソニックやソニーはマイクロソフトやインテルと同じような商売をしているのであり、東芝やシャープがブルーレイレコーダーなどで追いつくのはかなり困難だろう。

日本の携帯電話もガラパゴス化しているとエコノミストたちは言うけれど、日本の携帯メーカーは早くからオープンソースを使ってソフト開発しており、その開発スピードに海外のメーカーがついてこれないというのが実情だろう。黒船として登場したiPhoneも見かけだおしであり、デザインは斬新だがソフトがバグが多くてよく落ちるようだ。ソフトを改良していけばバグも解消されるのでしょうが、アップルが数年かけて開発されたiPhoneもこの程度なのだ。

アメリカなどは軍需産業がダントツにリードしていますが、軍事兵器はソフトの塊でありもちろん公開する事はできない。だから軍需産業のレベルがいくら高くても民需に反映されないのであり、アメリカやロシアや中国は優秀な人材を軍需産業に取られて民需産業は日本に立ち遅れてしまった。

自動車なども最近はコンピューターの塊であり、自動車本体よりも備え付けられたコンピューターのほうが価値を持つようになっている。だからGMやフォードが日本車並みの製品を作れといってもなかなかそれは難しい。なぜ戦車やミサイルを作る技術があるのに自動車は出来ないのだろうか? それはソフトが全く違うからだ。

自動車なども世界中の国が国産車を作っていますが、なかなか日本車やドイツ車のような高性能の車が出来ないのも、エンジンをコントロールするのもコンピューターであり、そのソフトはノウハウの塊だ。しかしソフトはコピーできないから自動車は出来ても加速が悪かったり、サスペンションコントロールが出来なかったり、燃料コントロールも悪くて燃費もよくなかったりする。すべてソフトに差があるからだ。

技術の分からないエコノミストたちは車のデザインや携帯のデザインだけで、韓国車も良くなったとかiPhoneのデザインを見て絶賛したりしているが、実際に使ってみれば見かけだおしなのはよく分かるだろう。それくらいソフトプログラム自体をコピーする事は暗号文を解読するようなものであり、技術を積み重ねながらソフトも書き換えていくような作業は真似が難しい。

日本が情報機器で一時アメリカに遅れをとったのはWindowsがブラックボックスであった為であり、Linuxのようなオープンソース・ソフトウエアを採用する事で、日本の情報製品はアメリカをリードする事ができるようになった。そうでなければWindowsが唯一のOSであったならば日本はアメリカに永久に差をつけられていたことだろう。Windowsだと改良が出来ないから日本のメーカーは手も足も出ない。

新興国のハイテク産業の進歩は著しいといっても、新興国は日本やアメリカから製造装置を一式輸入して製造しているだけだ。メモリーや液晶パネルの製造も韓国や台湾が世界一になりましたが、製造装置は日本から数千億の金をかけて輸入している。製造装置メーカーはそのノウハウまでつけて販売した。だから新興国は資金も技術も輸入して製造しているだけであり、市場を一時は席捲しても開発力がないから時間が経つと経済危機を起こすようになる。

昨日の株式日記でも書いたように、世界の覇権国とはダントツの科学技術力を持った国であり、現代では圧倒的にアメリカが科学技術力でリードしている。コンピュータソフト開発力もアメリカが圧倒的であり、日本の電機メーカーの多くもアメリカのソフトメーカーに開発を委託している。しかし主要産業の動向を見ると自動車や情報家電製品の品質は日本がリードしている。

コンピューター自体はアメリカがリードしていても、自動車や情報家電への組み込まれたコンピュータ技術が日本は強いのであり、オープンソースを利用して作られている。最近ではパソコンもWindowsからLinuxで動く小型のノートパソコンが多くなり、巨大ソフトメーカーのマイクロソフトも限界が見え始めた。オープンソースのLinuxの蓄積された技術がWindowsを越える日も近いだろう。

日本人のユーザーは世界一品質にうるさい国民であり、それが自動車や携帯などの情報家電製品にソフトの改良に結び付けている。それが世界一の製品を作り出す元になっており、大雑把なアメリカン人にはそれが出来ない。アメリカ人は自動車も安くて走ればいいと思っているが、日本人は燃費やハンドリングや騒音などにうるさい。携帯などもきびきび動く携帯でないと文句が出て売れないが、欧米の携帯は通話が出来ればいいと思っているから高性能品が出来ない。

つまりこれからはソフトを細かく改良できる能力が問われるのであり、アメリカや中国やインドなどにそのような製品が出来るのだろうか? パソコンのWindowsもバグだらけの欠陥商品なのですがアメリカのメーカーだからそれでも平気だ。日本のメーカーがパソコンOSを作っていたのならもっと完璧なものが出来た事だろう。

ソフト開発は小さなバグ一つが命取りになる事もあるから、大雑把なアメリカ人や中国人やインド人には限界がある。むしろ細かく緻密さが要求されるソフト開発こそ日本人が最適な条件を持っている。このような付加価値の高くてコピーできない製品こそ日本が作って行けば世界をリードできる国になれる。

任天堂は世界一の高付加価値製品を作るメーカーですが、一人当たりの利益ではゴールドマンサックスをも上回る利益を稼いでいる。ヒット商品のWiiにしても開発に何年もかけて出来たものであり中国や韓国がコピー商品を作るのは難しいだろう。最近では中国や韓国は日本で定年退職した技術者をスカウトして開発しているようですが、自前では技術者の養成に失敗しているからだろう。




「世界FRB」ができて世界共通通貨ができたとき、いま発行されている
通貨のすべてが「世界FRB」の通貨として認知されるわけではない。


2008年11月23日 日曜日

激突--アジア・日本VS欧米 宇野 正美:著

「アメリカはいまでもイギリスの植民地だ」

クリントン政権第一期目の折り返し地点に入ったあたりから、アメリカの政治・経済に大きな地殻変動が始まっている。それを最もよく象徴しているのが、クリントン大統領自身に起きている変化である。

クリントンとその政権の核であるルネサンス・グループが、反イギリスの意思を明確にしたのである。いや、正確にいえば、クリントンは、「イギリスを支配している者たち」に反旗をひるがえしたのである。この「イギリスを支配している者たち」とは、かつてアメリカを植民地として支配した者たちの系列に属している。そして彼らは、今日においてもなお、アメリカを植民地だと認識している。

いうまでもなくアメリカは、二百数十年前にイギリスから独立した。またいまではアメリカのほうがイギリスよりもはるかに優れた国力をもち、イギリスのかっての栄光はすでに消え去ってしまった。

しかしながら、「イギリスを支配する者たち」にとっては、いまなおアメリカは実質的に植民地以外の何物でもない。実際、彼らはアメリカ独立以後も今日に至るまで、アメリカの政治・経済を左右するだけの大きな力をふるい続けてきた。アメリカはいまなおイギリスの植民地である。イギリスのエスタブリッシュメントにとって、それは何ら疑問の余地のない「事実」なのである。

たとえば次のようなエピソードがある。日本で活躍しているアメリカ人の美術骨董家にアレックス・カーという人物がいる。彼はクリントンと同じように口ーズ奨学金でアメリカからイギリスに渡り、オックスフォード大学で学んだ。彼は、オックスフォード大学入学時の面接の体験を次のように書いている。

「中世のおかしな学服を着せられて大きなホールに案内されました。オーク張りの壁には何百年も前からの歴代の学長や貴族の肖像画がずらりと並び、部屋の遠くの方には学長と先生たち四人が座っていました。その先生たちは部屋に入ってきた僕を見ることもなく話し始めました。

『次はだれですか』
『ミスター・カーです。アメリカ人です』
『そうか。植民地の者か。こちらに来て何を学ぶのかね』
『中国学です』
『中国学? それは古典的な勉強だね。ラテン語のようなものだ』
そう言って学長はやっと僕に向かって話し始めました。
『植民地の者よ。君は中国の古典をこちらで勉強する気か? 古典というのは厳しいものだ。なまけるではないぞ! では下がってよろしい。次の人を呼びなさい』
(アレックス・カー『美しき日本の残像』新潮杜)

オックスフォード大学の学長がアメリカ人に向かって、「植民地の者」と呼びかける。それは、かつての大英帝国の栄光から抜け出ることのできない、時代錯誤の老人のたわごとなのだろうか。古い価値観や誇りの意識を守りたい一心での「虚勢」なのだろうか。そうではない。「イギリスを支配している者たち」にとっては、アメリカは今日においてもなお、「真実の植民地」にほかならないのである。

ロスチャイルドに背くクリントン

「イギリスを支配する者たち」をたばねているのが、第-章でも述べた、世界有数の特権階級ロスチャイルド家である。ロスチャイルド家は中世から近世にかけて、ヨーロッパの王や貴族たちの財産運用を任された「宮廷ユダヤ人」として最大の勢力を誇った。そして近代以降のロスチャイルド家が、金相場の実権を握り、巨大多国籍企業のネットワークを全世界に張りめぐらす世界最大の財閥であることはいうまでもない。

ロスチャイルド家は「宮廷ユダヤ人」当時も「大財閥」としてある現在も、ユダヤ地下政府と欧米エスタブリッシュメントの執行代理人の役割を果たしている。このロスチャイルド家が代々、アメリカの独立当時から今日に至るまで、アメリカの支配階層である東部エスタブリッシュメントを指導してきたのである。

ロスチヤイルド家のてこ入れによってアメリカのFRB一アメリカ連邦準備制度理事会一がっくられ、ロックフェラー、モルガン、カーネギーなどのアメリカ財閥が形成された。またアメリカは独立以来の二百数十年間、このロスチャイルド家とつながった大統領でなければ、だれも満足にその政治力を行使することができなかった。


アメリカが破産宣告するとき

そして一九九〇年代の現在である。クリントンとその核であるルネサンス・グループがアメリカ政治への取り組みを始めたそのとき、アメリカはまさしく再起不能の重病に陥るほどの疲弊状態にあった。

「では、どんな方法で彼らはわが国の息の根を止めようとしてきたのだろうか? それこそ本書の重要なボイントなのだが、簡単にまとめると、返せなくなるまで借金しつづけることによって、政治家たちはわが国の息の根を止めようとしているのだ」(H・フイギージュニア『九九五年合衆国破産』クレスト杜)

H・フィギー・ジュニアによれば、一九九五年には、連邦政府の累積債務は六兆五六〇〇億ドル(約六五七兆円)に達する。そしてこのまま利率が上がらないとしたら、合衆国が支払う利子は六一九〇億ドル(約六二兆円)になる。この二つの金額のうち前者は、年問の個人・法人所得税総額のじつに九倍、後者はその八五パーセントという「吐き気がするほど」莫大な額なのである。(一九九四年十二月二〇日の為替レート、一ドル一〇〇円一九銭で換算)H.フィギー.ジュニアは、この数字がいかに返済不可能なものであるかを述べたあとに、きっぱりとこういい切っている。

「これが合衆国の明日の姿なのである」(前掲書)だれが見ても、アメリカが破産宣言をするときがまもなくやってくる。そしてすでにH.フィギー・ジュニアが破産を予想した一九九五年が到来している。


世界共通通貨が発行される日

世界の主要な通貨、円、マルク、フラン、ボンド、リラなどの札には、いっのまにか申し合せたかのように、必ず空白部分がつくられるようになっている。なぜそのような空白部分があるのだろうか。一般には、偽造防止用の「透かし」のためだと思われている。ところがそこには、恐るべき陰謀が隠されているのだ。

おそらくそう遠くないときに、ワン・ワールド主義者たちはアメリカのFRBを超えた「世界FRB」をつくることになるだろう。彼らは約七〇年間にわたってアメリカのFRBを使い、十分な実験を積み重ねてきた。世界の統一的な支配を目的とする彼らの次のスケジュールは、ヨーロッパに拠点を移し、そこに「世界FRB」を創設することである。

そのとき「世界FRB」は、世界共通通貨を発行する。世界共通通貨が出れば、コンピュータによる処理に便利だとか、各地域、各国家間での取引きが瞬時のうちにはじきだされるから便利だとか、やたらに便利、便利と宣伝されることだろう。しかし「世界FRB」ができたときは、世界経済全体が奴隷化される瞬間でもあるのだ。

かつてロスチャイルド家の当主アムシェル・ロスチャイルドは、次のように語ったという。
「私に世界の通貨発行権をいただきたい。世界各国の法律をだれが作成するかは、いっさい意に介するものではない」

通貨は恐るべき力をもっている。事実、超大国アメリカは、FRBによってコントロールされてきた。そして「世界FRB」ができれば、全世界がコントロールされることになる。そこに、先ほど述べたドルの模様替えが大きな暗示を与えている。

「世界FRB」ができて世界共通通貨ができたとき、いま発行されている通貨のすべてが「世界FRB」の通貨として認知されるわけではない。ある通貨は国内向け、そしてある通貨は世界通貨となるのである。ちょうど今日の中国で、人民元と兌換元が発行されているようなものである。

各国通貨のうち、国内通貨はその空白部分をそのままにして使われるが、世界通貨として使用されるものには、「世界FRB」のスタンプが押されることになる。が、それは世界統一通貨がつくられるまでの一時的なことである。

現在、流通しているドル札には空白部分がない。しかし一九九六年に発行される新しいドル札には、世界の主要通貨がそうであるように、初めて空白部分がつくられることになっている。


デリバティブが大恐慌を引き起こす理由

ワン・ワールド主義者は、軍事的対決の前に、自らの最も得意とする経済恐慌を世界的な規模で起こすだろう。その大恐慌の準備はすでに整っている。その手段として使われるのが、デリバティブ(金融派生商品)である。

デリバティブは、先物、オプションやスワップなどを組み合わせることでつくられる派生商品のことだ。現在の世界では、このデリバティブがふくれ上がり、相場の変動を拡大し、世界経済を揺さぶっている。

デリバティブは本来、企業のリスク回避や金融機関の収益確保のための便利な手段であった。ところがそれがいまや異常発達して、時として企業経営や経済政策を翻弄するモンスターになってしまった。

さらに恐ろしいことは、デリバティブの広範な利用によって、国内外のさまざまな市場が地下茎のようにっながり一体化していることだ。その結果、金利や為替に対する金融当局の伝統的な政策が、思いどおりの効果を発揮できなくなっているのである。

アメリカの会計監査院は、こう警告している。
「取引残高が多い大手金融機関が、一社でも行き詰まることがあれば、金融システムが動揺しかねない」

デリバティブは、ちょうどブレーキの故障した自動車のようなものである。その自動車がまもなく下りの坂道にさしかかろうとしている。ブレーキのきかない車が下りの坂道に入れば、だれも止めることはできない。その車はスピードを増し、激突の破壊に向かって突き進んでいくだけである。

欧米エスタブリッシュメントとユダヤ地下政府は、ロイター電を使ってそれを演出していくだろう。彼らはそれこそが国際化であり、それこそが経済近代化である、と人びとを煽ることだろう。

やがてやってくる世界大恐慌は、このデリバティブを使って起こされることは間違いない。大恐慌が起きることによって、いまや二桁の経済成長を遂げつつある中国、さらには東南アジアは大打撃を受けることになるだろう。ユダヤ地下政府は、古くからそうした経済戦略を展開してきた。

「とりわけ投機を奨励しなければならない。この投機の狙いは工業を不安定にすることである:::だから工業が土地から得る富を吸い上げ、投機を通じ、全世界の富がわれわれの手のなかに収まるようにしなければならない。こうして彼らが無一文になり、ただ生きていくためだけにわれわれの前にひざまずくようになるだろう。彼らの工業を破壊するために、われわれを投機のほかに、もうひとつ思い切った賛沢を奨励させなければならない。つまり華やかなものによる強い欲望、財力を使い果してしまうような激しい欲求を募らせるわけである」

日本はバブル崩壊から多くのことを学んだが、現在、この言葉どおりのことが中国および東南アジアで起きっっあるといってよいだろう。

ところで大蔵省はデリバティブに対して、どんな対策をとっているのだろうか。まず大蔵省は各銀行に対し、デリバティブ取引きの内容を毎月報告することを義務づけている。

一九九四年一〇月初旬には、この第一弾として、取引きが始まったFRA(金利先渡し契約)とFXA(為替先渡し契約)を対象に、毎月末の売り持ち高・買い持ち高や時価評価額などを提出させるようにした。各銀行に、リスク管理を一段と徹底するよう促すのが狙いである。

さらに大蔵省は、オプションやスワップなど、そのほかのデリバティブ取引きについても、時価評価額の報告を求めたり、投資家への情報開示を進めることを検討し始めている。

大蔵省のこれらの対策は、ワン・ワールド主義者の怒りを引き起こしている。彼らは国際金融筋を使って、.さらにはマスコミを使って、東京金融市場は閉鎖的であると非難し、大蔵省のやり方は国際化に反すると攻撃を加え続けている。しかし大蔵省はいまのところ、デリバティブの危険性を熟知していて、その立場を変えようとはしていない。


宇野正美(うの・まさみ) 
昭和17年、大阪市に生まれる。昭和39年、大阪府立大学経済学部を卒業。在学中、聖書に出会い、それから20年間、聖書研究に没頭した。大阪市立天王寺商業高校で11年間、歴史と地理の教師を勤めたのち、昭和50年、大阪のビジネス街に「中東問題と聖書研究センター」を設立、主幹をつとめる。
聖書の預言から説く国際問題の講演はビジネスマンの間で大評判で、毎回、立ち見の出るほどの盛況である。



(私のコメント)
この『激突』という本は1995年に出された本ですが、今日の金融情勢を予言していた。デリバティブが破裂したらとんでもない状況になる事は私も予想していたが、どうしてFRBのグリーンスパン議長はそれを放置していたのだろうか? いや、グリーンスパンは放置していたのではなく、そうなるように仕向けていたのだろう。そうとしか考えられない。

デリバティブの破綻の端緒はサブプライムローン破綻から始まったが、売り抜けようと思えば売り抜けるだけの時間的な余裕はあった。売れなければ先物を売っておけば損失は防ぐ事ができた。ゴールドマンサックスのポールソンCEOはサブプライムローン証券を売り抜けて利益を出していた。

ポールソン財務長官はベアスターンズを救済してリーマンブラザースを破綻させましたが、どうしてリーマンブラザースだけ破綻させたのだろう。デリバティブが複雑に絡み合って『激突』という本に書かれているように、一つが破綻すればどのようにそれが広がっていくかわからないのだ。

おそらくリーマンブラザースは潰せという「奥の院」からの指令があったからだろう。一変に潰せば大惨事になりますが、少しづつ潰して行って流れを作って「世界FRB」を作るシナリオがあるのだろう。フランスのサルコジ大統領が「ドルはもはや基軸通貨でない」という発言も「奥の院」が言わせているのだろう。

アメリカという国が破綻することは90年代の頃から見当はついていたのですが、クリントンは抵抗してITバブルを作って世界から資金を集めてアメリカを破綻から救った。借金が膨大でもそれ以上の金を集められれば破綻は免れる事ができる。さらに日本や中国からの資金還流もアメリカを支えた。ブッシュも911テロにもめげずに住宅バブルで抵抗したが、サブプライムでアメリカも息の根を止められた。

「奥の院」とは「イギリスを支配する者達」であり、彼らにとってはアメリカは植民地に過ぎない。役に立たなくなればアメリカは棄てられる運命にある。「株式日記」でも世界の覇権を握るには必ずしも国や人口の大きさや経済力や軍事力の大きさが条件ではないと書いたことがあります。

イギリスが世界の覇権国家になれたのも世界一の科学技術力があったからであり、金融力の力があったためだ。つまりイギリスは先端的技術力で世界を支配したのであり、GDPの大きさから言えば18世紀まで中国が世界一の大国であった。戦争に勝った負けたは直接的には関係ないのであり、イギリスからアメリカに覇権が移ったのも科学技術力がアメリカがイギリスを上回ったからだ。

ならばなぜアメリカがイギリスを科学技術力で上回る事ができたのだろうか? それはナチスドイツのユダヤ人迫害で多くのユダヤ人がユーロッパからアメリカに移住した為だ。原爆を発明したオッペンハイマーもユダヤ人だった。このようにヨーロッパから優秀な労働力を得る事でアメリカは軍事力経済力共に世界一となり覇権国家となった。

しかし最近のアメリカは中南米諸国からの移民の増加などでラテンアメリカ化しつつある。彼らは教育レベルも高くなく世界最先端の科学技術を維持できる人ではない。むしろドイツや日本が戦災から復活してきてアメリカに追いつき始めたことでアメリカは科学技術力が相対的の衰え始めた。

アメリカの宇宙計画を支えたのはドイツから移住したドイツからの若い技術者だったのですが、フォン・ブラウンも死んでアポロ計画以降の宇宙開発は急速にダウンした。ソ連の宇宙開発もドイツから連れて来た科学者の役割が大きかった。このように見れば世界の覇権国家となるためには科学者の質であり、アメリカやロシアや中国が経済力で大きくなる事はあっても自前で科学技術力を高めていく事は難しいのかもしれない。

アメリカが現在まで世界をリードできたのも、世界から優秀な科学者を集めてきたからですが、経済力が衰えれば人材は集まらなくなり単なる大国になるだろう。アメリカの大学はイギリスの大学から見ればランクが落ちるのであり、「激突」で書かれている様に、アメリカ人がオックスフォード大学の入学の面接を受けた時にアメリカ人を「植民地の者」と言うのは、イギリス人にアメリカ人はいまだに馬鹿にされる存在なのだ。

『激突』によれば、いずれヨーロッパを中心とした世界銀行が出来て世界共通通貨が発行されるようになるという。そうなればアメリカの巨額な借金もチャラになり、イギリスが世界銀行の主導権を持つようになるのだろうか? 日本の800兆円の借金もチャラになるのだろうか? 紙幣などには空白部分があるが空白部分に世界通貨の印刷がなされて通用するようになるのだろうか?

複雑に入り組んだデリバティブを清算するには勘定を旧勘定にして、世界銀行が出来た際に新勘定がなされて全面的にチャラになるのかもしれない。そうなればいくら外貨を貯め込んでいてもチャラであり借金も徳政令でチャラになるのかもしれない。IMFのSDRのようなものが世界通貨になるのだろうか? ならば損したくない人は純金などに換えておいたほうがいいのかもしれない。




金融安定化法案が一時的に評価されたのですが、その後『公的資金
を注入しても、垂れ流しになって、銀行を救えない』ということでした。


2008年11月22日 土曜日

米金融界の縮小が現実化 11月22日 BusinessWeek誌

11月17日、米シティグループ(C)が5万3000人の人員削減を発表した。これにより、同行の昨年末以降の人員削減者数は、世界全拠点雇用者の2割に達した。今年、広く予想されていた“金融界の縮小”というシナリオが、まさに現実化しつつある。

 金融関係者や投資家にとって重要なのは、こうした業界の縮小傾向は恒久的なのか、それとも一時的な変化なのかという問題だ。

 今年前半は人員削減を見送る金融機関が多かった。米金融コンサルティング会社セレントが今年発表したリポートで指摘しているように、金融機関が「迅速な収益の回復により、痛みを伴う経費削減策は回避できるのではないかと期待」したためだ。しかし、この期待は外れた。

 膨らむ一方の損失により、ベアー・スターンズ、リーマン・ブラザーズ、ワシントン・ミューチュアルなどの米大手金融機関が、破綻か、ライバル行への吸収合併という運命を余儀なくされた。

「悪いが、ボーナスの前に辞めてもらう」

 米メリルリンチや米ソロモン・ブラザーズを渡り歩いたウォール街歴32年のベテランアナリスト、スティーブン・マクレラン氏は、昔からウォール街では11月に社員を解雇することが多かったと言う。12月のボーナスは年間給与の75%以上を占めることもあり、その前に解雇すれば、「証券会社は従業員を11カ月働かせたうえ、年末賞与を支給せずに済む」とマクレラン氏は指摘する。同氏は『Full of Bull: Do What Wall Street Does, Not What It Says, To Make Money in the Market』(仮題『ウォール街のリポートは常に強気:市場で儲けるには金融界の“建前”発言は無視し、実際の行動に注目せよ』)の著者でもある。

 実はこうした過剰な高額報酬を支払うウォール街の風潮こそ、金融界で最も大きなあおりを食うかもしれない。多くの業界観測筋は、この先金融界では、事業規模の縮小や効率化、規制強化が進むと予想している。

 「金融界が1年前の状態に戻ることはない」と、米資産運用会社ナショナル・ペン・インベスターズ・トラストのジェームズ・キング社長兼CIO(最高投資責任者)は言う。

 金融界は収益の重要な柱を失った。特に住宅ローン債権、クレジットカードローン債権などの投資対象資産を担保にした証券化商品で手数料を稼いできた証券化事業部門は惨憺たる状況だ。信用危機により、多くの証券化市場が崩壊した。

◆過度な事業拡大のツケ

 ここ数年、金融機関は新規の事業分野に手を広げてきた。「中核事業分野以外に手を広げすぎたため、持続させることは不可能だった」と、米モーニングスター(MORN)傘下の米コンサルティング会社イボットソン・アソシエイツのチーフエコノミスト、ミシェル・ギャンベラ氏は指摘する。

 リスクを恐れない投資は、投資銀行や、シティグループのような商業銀行の特徴となっていた。だが、そうした時代の終焉を予見する向きは多い。信用危機での苦い教訓や規制の強化など原因は様々だろうが、こうした金融機関が同様のリスクを取るのはもはや不可能だろう。巨額の利益を求めて、自己資本の30〜40倍の資金を借り入れ、投資に回す時代はもう終わりということだ。

米調査会社TABBグループの国際コンサルティング部門を率いるロバート・イアティ氏は、こうした傾向は定着すると予想し、「資本をリスクにさらす余裕が金融機関にはなくなるからだ」と説明する。つまり、ウォール街の金融機関が果敢にリスクを取ることで果たしてきた一定の役割は、もはや果たせなくなる。

 例えば、米ゴールドマン・サックス(GS)や米モルガン・スタンレー(MS)は、リスク志向の投資銀行から保守的な傾向が強い金融持ち株会社に姿を変えてきている。 (後略)


『金融危機から始まった米国の不運』 【森田レポート】 11月20日 ケンミレ株式情報

日本のバブル崩壊は、金融引き締めによる不動産バブルの崩壊という流れは一緒で、その後の経済の悪化、株式市場の暴落も一緒でしたが、日本は円高に、米国はドル安にと為替は逆になりました。

一番の違いは、日本の場合は経済危機から始まったので、企業が先に努力をし、その後に金融危機が起こって公的資金が注入されました。しかし、米国の場合には『先に金融危機』が起こったことが不幸でした。

最初に金融安定化法案が一時的に評価されたのですが、その後の流れから『公的資金を注入しても、垂れ流しになって、銀行を救えない』ということでした。ここで、再びマーケットは『現在の金融政策では、金融危機は解消されず、景気も回復しない』と考えるようになりました。

特に、今回の米国の自動車ビッグスリー問題は『今の危機を端的に表している事象』です。ビッグスリーにお金を投入しても、ビッグスリーの経営問題が解決しない限りは銀行と同じように『税金の垂れ流し』になります。そこで、マーケットは『ビッグスリーの自助努力が先』という判断をしたのではないかと思います。それが、株式市場が上昇せず、ダラダラとした展開となった原因だと感じて、昨日もあのようなレポートを書きました。

何が言いたいのかと言いますと、銀行も企業も『自助努力が先』であり、自立出来る体制が出来上がったあとで『資金不足を補うための公的資金を注入』すれば企業は再生されるということです。もっと言いますと、景気の回復や金融危機の回復には時間がかかるということです

◆では、政治に何が出来るのか

民主党が議会を征し、大統領も民主党が取りました。昔のクリントン大統領と、米国の経済危機の時には民主党の大統領が誕生するのが米国でしたので、歴史から考えれば今回のオバマ新大統領の誕生は米国の歴史通りの流れになったということです。

違いは金融危機です。この金融危機は、誰も対応出来ない早さで『津波のように、一気に押し寄せた』ことです。そのため、政府が出来ることは緊急避難的な対策となり、民主党政権となりますと『労働者保護の政策』となります。

つまり、企業が倒産すると労働者が失業しますので、単純に大企業を倒産させられないのが民主党です。基本的には減税がもっとも得意で、次が保護主義ですが、今回はG20で保護主義はしないという合意が出来ていますので、本当に切羽詰まらなければ保護主義には走らないと思います。

いずれにしましても、政治が出来ることは『時間稼ぎ』となります。銀行に公的資金を注入したり、大手企業に公的資金を注入することですが、この間に銀行や大手企業がどこまで自分で健全化出来るかどうかが勝負の分かれ目になると思います。(後略)



(私のコメント)
最近は超大国アメリカの没落の生の実況中継をしているような感じになるのですが、国家戦略であった金融立国アメリカは破綻しつつある。博打で生計が成り立たないのは当たり前のことなのですが、強大な軍事力を背景に相手に圧力をかけて八百長賭博をして大儲けをしてきた。

中国には労働者をただ同然で働かせて製品を作らせて輸入して、ウォルマートを通じて販売して大儲けをしている。日本からはゼロ金利で金を借りて新興国の高利の債権を買って金利を稼いできた。まさにアングロサクソン民族そのものの生き方であり、自分は働かずに武力で脅してカネを巻き上げるのは得意技だ。

しかしそんな真似が出来るのは強大な軍事力がある間だけであり、アフガニスタンの山賊やイラクのゲリラを相手に苦戦するようになって、アメリカ軍の弱点が露呈されてロシアのプーチンやベネズエラのチャベスや北朝鮮の金正日にも馬鹿にされるほどの体たらくになってしまった。レーガン大統領の頃なら冗談一つでソ連のゴルバチョフは震え上がった。

そんな落ち目の親分に忠誠を尽くしているのは日本の麻生首相ぐらいで、10兆円の金をIMFに提供してアメリカのご機嫌を取ろうとしている。しかしフランスのサルコジからも「ドルはもはや基軸通貨ではない」と言われるほどアメリカの権威は落ちている。無敵と思われたアメリカの投資銀行は消滅して、シティは倒産の瀬戸際まで追い詰められている。

数年前はアメリカのヘッジファンドが日本企業にM&A攻勢をかけて乗っ取るのではないかという勢いでしたが、今ではアメリカ企業が投売りされている。シティの株価も80%以上も下落して3ドル台にまで落ちた。以前は日本のメガバンクをシティが買収するという話もあった頃に比べると感慨深い。

アメリカは軍事と金融で支えてきたのですが、金融がダメになれば軍事力も軍縮しないと財政が持たなくなりアメリカがパンクする。そのような状況でオバマ次期大統領が選ばれたわけですが、オバマは超大国アメリカのゴルバチョフになるだろう。そして日本はソ連崩壊における東ヨーロッパのようなもので、自立の道を探らなければならない。

ソ連の崩壊でもって共産主義は滅び去ったのですが、アメリカの崩壊で資本主義も変質を迫られている。アメリカは金融機関のみならず自動車産業すら国有化されて社会主義国家になろうとしているかのようだ。GMをはじめとするビックスリーが倒産すれば数百万人の失業者が出ることになる。そうなると大変だから一時的に国営の自動車会社が出来るかもしれない。


金融と革命の迷宮  10月21日  田中 宇

最近ヘラルド・トリビューン紙のサイトに、ドイツ人は金融危機に対して冷静に対応していると分析する記事が出た。その中で目を引いたのが、ベルリン在住の筆者の知人で、かつて東ドイツの共産党員だった80歳代の女性が、昨今の米国の金融危機について語った、以下のくだりである。

「(米金融危機は)驚くようなことではないわ。独占資本主義から、国家独占資本主義に移行する際、大きな危機が発生するのは当然よ。これは、あなたたちのシステム(資本主義)の、最後の段階なの。(東独の)共産主義政権時代には、このことは、子供たちが学校で教わる(基礎的な)ことだったわ」(関連記事

 大企業が経済の主力である「独占資本主義」は、不可避的に、金融恐慌や大不況、戦争といった危機をもたらし、危機への対策として政府が全面的に介入し、経済は国家独占資本主義に転換するが、この転換は延命にすぎず、本質的には、資本主義は死滅に向かい、大衆への収奪が強まり、最後には社会主義革命が起こるというのが、マルクス経済学の理論である。1980年代まで、旧東独など、多くの社会主義国の学校では、この資本主義の発展プロセスを教えていた。

 米国で、戦争ばかりやった政権の末期に巨大な金融危機が起こり、破綻しそうな金融機関に、政府が次々と資本を注入する今の事態は、マルクス経済学の視点で見ると、まさに独占資本主義から国家独占資本主義への転換を意味している。この10年あまり、米経済は金融で大発展したが、ブッシュ政権の重過失的な数々の失策の末、自滅的な金融財政の崩壊が今まさに起こり、金融の独占資本主義は終わり、米英の金融機関は国有化され、中国やアラブ産油国、ロシアなどの「政府投資基金」や「国営石油会社」といった「国家独占資本主義」の象徴的な存在が幅を利かせている。



(私のコメント)
アメリカの銀行や企業ももはや自助努力ではどうにもならない状況であり、資本主義の究極的段階である国家独占資本主義へと進むのであろうか? オバマの言う「CHANGE」とは社会主義革命の事なのだろうか? オバマ政権のスタッフが次々と決まっていますがクリントン時代の財務次官だったガイトナー氏が選ばれ、国務長官にはクリントンが選ばれ経済担当補佐官にはサマーズ元財務長官が選ばれた。つまりクリントン政権時代のスタッフが大量に政権復帰する。

こうなればオバマがどうであれ実質的にヒラリークリントン政権であり、ヒラリーは名を棄てて実を取った事になる。そうなれば90年代のジャパンバッシングの再来であり、アメリカの経済政策の皺寄せを日本が背負う事になるだろう。もはやアメリカにとってのアジアのパートナーは中国であり、だからヒラリークリントンを国務長官に指名したのだ。

そうなれば従軍慰安婦問題や在米日系企業への嫌がらせが復活するだろう。北朝鮮問題も米朝国交回復で裏切られて日本政府は梯子を外される。ますます日本はアメリカの言うがままにされて、年次改革要望書で内政干渉まがいの要求を突きつけてくるのだろう。しかし今度はアメリカが金融や経済でピンチに立っているのだから日本のほうからアメリカに注文をつけるべきなのだ。日本叩きをやめなければ米国債も売り飛ばしてアメリカを叩きのめす事もできるだろう。




米国の経済崩壊、ドル覇権体制の崩壊に備えた、英国の新たな
世界戦略の一つが、かいま見えてきた。世界共通通貨構想の復活か?


2008年11月21日 金曜日

米国債が最上格トリプルAから転落する日 11月19日 辻広雅文(ダイヤモンド社論説委員)

米国債は、繁栄する米国の象徴である。

 比類なき国力を背景に、信用度は図抜けており、流動性はきわめて高い。各国政府がドル建て外貨準備の主要投資先として大量に購入し、その吸引力で米国は経常赤字を埋めることができる。一方で、米国債の金利は長期金利の世界的指標、つまり基準値である。したがって、米国債の格付けが最上のトリプルAであることは、侵されざる当然の地位だった。

 だが、その“不倒神話”を疑うものが少しずつ増えている。

 世界的金融危機を引き起こした責めを負い、金融システム救済と実体経済悪化を食い止めるために、米国は膨大な財政支出から逃れられない。その広がりは、まだ際限ない。どれほどの金融機関を救えばいいのか、もはや恐竜のごとき自動車ビッグスリーにどれほどの資金をつぎ込めば助けられるのか。どれだけ、橋や高速道路を作れば――オバマ新大統領は大規模な公共事業の必要性を言明している――、失業率は低下するのか。

 2008会計年度の財政赤字は4380億ドルであり、2009年度は1兆ドルを超えると見られる。金融危機、景気後退から脱出すべく、手を打てば打つほど財政赤字が拡大し、ドルの信認が揺らぎかねないというトレードオフに陥っている。

 現在起きている混乱が、いつどのように収束するのかは分からない。だが、一つだけ分かっているのは、このコラムで何度か述べたように、混乱が収束した後の米国は、金融産業の成長停滞によって、潜在成長率が落ちるだろうことだ。

 他方、格付けとは当該債券発行機関の債務支払い能力、すなわち信用リスクを表している。

 となれば、大量に国債を発行して借金を重ねていく一方で、今後、潜在成長率を低下させざるをえない米国の債務支払い能力を、これまでと同等に高く評価していいのだろうか、という疑問が湧いても不思議はない。実際、「米国経済の実態を直視すれば、米国債がトリプルAから格下げされても不思議ではない」という日本の金融当局、金融機関幹部は、決して少なくない。

 彼らの「米国経済の実態を直視すれば」という注釈には、格付け会社の判断に政治的要素が入り込んでいる、もっと言えば、米国の格付け会社であるスタンダード&プアーズやムーデイーズが自国の政府に弓を引くようなまねができるのか、という疑念が混じっている。

 実際、格付け会社の中立性に対する信頼は、今、大きく揺らいでいる。リスクの高いサブプライム関連の証券化商品に投資適格の高い格付けをしていただけでなく、証券化商品を組成する金融機関に、格付けを高くするためのアドバイスをしていたとされる。11月15日に閉幕したG20金融サミットで、EUは格付け会社に厳格な規制適用を迫った。

今のところ、格付け会社が米国債格下げに動く気配はない。ただし、今年1月上旬には、ムーデイーズが「米国政府が健康保険や社会保障費への財政支出を削減する思い切った政策を取れなかった場合、米国債は10年以内に最優良格を失うかもしれない」とコメントし、スタンダード&プアーズは9月、AIGを米国政府が救済した際、「財政にストレスを生じ、米国債のトリプルA格に圧力を加える可能性がある」と述べた。ともに警告としてはささやかだが、格下げの可能性に言及すること自体、かってはありえなかったことだ。

 では、現実に米国債が一段階引き下げられたとしたら、どんな事態が起きるのだろうか。

  悲観的に考えれば、“不倒神話”の崩壊で、株式、債券市場で狼狽売りが始まる。米国債価格の下落と金利上昇が波紋を広げ、住宅ローン、自動車ローンなどの金利が上がり、さらに米国景気は悪化する方向に動くことになる。

 長期金利の世界的指標、基準値である米国債金利が不規則な動きを示し、それが世界中の市場を不安定化させ、連動するように為替市場でドル売りが始まる。

  中国や日本を始め大量の保有ドル資金を米国債で運用している各国政府は、含み損を抱えることになる。嫌気した各国政府はドル離れ、米国債離れに動く。米国の資金調達能力が急速に低下する。さらに、経済は冷え込む。――これが、米国にとって最悪のシナリオだ。

 2003年、日本国債の格付けがムーディーズによってボツワナ並みに引き下げられたとき、実は、国債の暴落も金利の急上昇も起こらず、国債消化も難航しなかった。それは、日本が貯蓄過剰であり、当時のゼロ金利にも預金者が怒りもせず資金を引き上げなかったおかげで、金融機関が大量に国債を購入することができたからであった。だが、米国の場合、海外の買い手に大きく依存しているという構造の違いがある。

 だが、違う視点で見れば、各国政府はまったく逆に動くことになる。自国の外貨準備に大穴をあけるわけにはいかない。また、すぐに米国債に代わる投資商品があるわけではない。となれば、ドルを支援せざるをえず、少なくとも当面は米国債離れなどできない。不用意に動けば、自らを傷つけることになる。日本政府の発想は、明らかにそうだろう。

 その綱引きのどちらの力が勝るのか、は分からないが、米国債の格下げは、その綱引きを本格化させる“号砲”となる。それは、世界経済の新しい秩序を探る合図ともなる。

 いつも現実は、先回りして動いている。世界一の外貨準備を抱える中国は、政府系投資ファンドを設立し、さまざまな投資を始めている。それは、米国債一辺倒に傾いた運用の軌道修正に重きが置かれているのではないか。つまり、より高いリターンを狙った戦略ではなく、分散ポートフォリオの発想である。

  この世界的金融危機でわれわれが得たのは、リスクフリーの金融商品などこの世にありえないのだという教訓である。その教訓に、米国債が含められても不思議ではない。神話は疑うものが多数になれば、倒れる。それを後になって我々は、歴史の必然と呼ぶ。



米国債保有、中国が1位に 約57兆円で日本抜く 11月19日 朝日新聞

【ワシントン=星野眞三雄】米財務省が18日発表した9月の国際資本統計によると、中国の米国債保有高は9月末時点で5850億ドル(約56兆7千億円)となり、首位を続けていた日本(5732億ドル)を抜き、世界最大の米国債保有国となった。

 米国発の金融危機が世界的に広がっているが、中国は米国債への投資を続けていることが確認された。米財政赤字が拡大する中、米国債の安定的な引受先となっている。

 国・地域別の米国債保有高で、中国は前月に比べ436億ドル増え、日本は128億ドルの減少。3位は英国で3384億ドルだった。海外全体では2兆8605億ドルで、前月より1106億ドル増えた。

 中国の米国債保有高は、00年9月末時点では621億ドルだった。8年間で10倍弱も増えたことになる。中国は多くを米国債などのドル資産で持つ外貨準備高が06年1月に日本を抜いて世界一となっている。



(私のコメント)
サブプライム問題は格付け会社の責任が大きいのですが、G20でも格付け会社に対する批判が高まっています。格付け対象の会社から金をもらって格付けしていたのだから、酷い話ですが、そんな会社だから日本国債をボツワナ並みの格付けしたりしている。それに対して米国債はAAAの最高級ですが、中国や日本が買い続けている間は大丈夫だろう。しかし買わなくなったらどこが買うのか?

今はドルもマネーの逆流現象でドル不足で一時的なドル高ですが、フランスのサルコジ大統領が言うようにドルはもはや基軸通貨ではなくなりつつある。今は円キャリーが起きていたように、ドルも1,5%の金利ですがユーロは4%でキャリー現象が起きていた。ファンドもユーロ高と金利差でドルからユーロへのバブルがおきていたのですが、今はそれが逆流している。

しかしドル不安がまた台頭してくればドルから金利の高いユーロへのキャリーが再開されるだろう。新興国もドル資金の引き揚げで金融不安が起きていますが、新興国の通貨が安くなり金利が急騰すれば投機的なマネーが行くようになる。1997年のアジア金融危機もそうなりましたが、ロシアのようにデフォルトが起きる可能性もあるからしばらくはドル回帰は続くだろう。

このようにドルは不安定なのですが、本来ならば世界最強の通貨である円が基軸通貨となって行くべきなのでしょうが、日本にはアメリカの投資銀行のようなワールドワイドな投資が出来る人材がいない。だからアメリカのゴールドマンサックスやモルガンスタンレーに資金を貸して金利を稼ぐだけになってしまっている。

日本の円が基軸通貨になるためにはアメリカのような強大な軍事力が必要なのですが、日本人はそのような意識がないから円が基軸通貨にならずアメリカに丸投げしている。だから現在は日本の経済力とアメリカの軍事力が補完しあった関係であり、実質的にドルと円とはリンクしたようになっている。

問題は日米の政治家がそのような認識薄い事であり、日米関係は対等ではない。アメリカの軍事力は経済力に比べて規模が大きすぎるし、日本の軍事力は経済力に比べて規模が小さすぎる。だからアメリカは中国をパートナーとしてみれば日本の代わりとして補完関係を考えているのだろう。しかし政治的に米中は組める相手ではない。中国が民主化されれば組めるが、中国が民主化すればバラバラになる。

中国は世界一の外貨を貯めこんだ国であり、中国の経済力とアメリカの軍事力で補完関係にある。しかし中国の元は自由化されておらず中国の経済力は上海のビルと同じで砂上の楼閣だ。だから中国は日本が軍事力を持つまでのツナギであり、米国債を買ってくれればいいだけの関係だ。

このように考えれば田母神航空幕僚長の論文はアメリカ自身が望む事ではないだろうか? しかし麻生総理は直ぐに田母神幕僚長の首を切り国防力の強化を否定してしまった。これでは当分日本はアメリカのパ−トナーとなる事は出来ず、中国がアメリカのパートナーとならざるを得ない。このようなアメリカのジレンマが日本人には分からない。

EUはアメリカよりも経済規模や人口などでも大きな大国となりユーロはドルに代わる基軸通貨を目指している。だからアメリカにとってはEUが一番の脅威であり、アメリカは日本や中国と組んで対抗する関係になっている。しかし中国はアメリカに負けず劣らず大国意識の強い国であり、米中のパートナー路線は長くは続かない。

いずれにしてもアメリカ一国では経済はもたない状態であり、中国なり日本の資金力を必要としている。問題はアメリカ自身がどのような戦略を持つかであり、米中日でドルの基軸通貨体制を維持していくのか、EUが中心となった世界通貨体制に加わるのかが問題だ。オバマ次期大統領はどのような戦略なのだろうか?


「世界通貨」で復権狙うイギリス  11月13日  田中 宇

米国の経済崩壊、ドル覇権体制の崩壊に備えた、英国の新たな世界戦略の一つが、かいま見えてきた。それは、1944年のブレトンウッズ会議で英国代表のケインズが提案したが、米国の反対によって実現しなかった世界共通通貨(国際決済通貨)「バンコール」(bancor)の構想を復活させることである。

 11月15日に米ワシントンDCで「第2ブレトンウッズ会議」の通称を冠されたG20サミット会議が開かれる。この会議の発表されている主なテーマは、国際金融危機を繰り返さないための体制作りである。この会議に対し、英ブラウン首相は10月初めから「ブレトンウッズ2が必要だ」と言い続けてきたが、1944年のブレトンウッズ会議の主なテーマは、第二次大戦後の国際通貨体制の確立であり、金融制度ではない。

 なぜ金融制度の会議に、通貨制度の会議の名前をつけるのかと私は疑問に思っていたが、どうやらブラウンは、ブレトンウッズ2会議(11月15日のG20会議、もしくはその後繰り返されるであろう同種の会議)で、IMFがドルに代わる新しい国際決済通貨を発行する「世界政府」的な「新世界秩序」を提案するつもりらしい。(関連記事

 ブラウンは、明確な表明はしていないが「本物の国際社会(truly global society)を作らねばならない」といった、世界政府や世界通貨を想起させる発言を放っている。この発言を報じた英ガーディアン紙の記事は「ブラウンは新世界秩序(new world order)を目指している」という見出しがついている。「新世界秩序」とは、欧米の上層部が以前から目指していると、世界の陰謀論者たちから疑われている「世界政府」の別名である。(関連記事

 世界政府を目指す米中枢の動きに敏感な「孤立主義者(米国優先主義者)」である米共和党下院議員ロン・ポールは最近「新たな通貨体制と世界的な中央銀行が作られ、世界の全天然資源をも管理下に置くような世界政府が、しだいに作られていくのではないか。11月15日の会議は(米国など世界各国の)国家主権が奪われていく流れの始まりとなりうる」と述べている。(関連記事)(後略)



(私のコメント)
英国も英国で油断も隙もならない国であり、アメリカの威を借りながら世界通貨を作って英国の主導権を持とうとしている。アメリカはいまだに英国の植民地であり、二度の世界大戦もアメリカという植民地軍を動かして勝ったともいえる。アメリカが衰えて使えなくなれば英国は再び主導権をとって覇権を取り戻そうと考えているのかもしれない。

英国はBRICsを味方につければ主導権を取り返せると考えているのだろう。インドも中国も英国の植民地だった国であり、アメリカが衰退すればインドや中国を英国の植民地軍として使うつもりかもしれない。日本だってかつては日露戦争の時のように英国に操られて植民地軍として戦った事がある。英国から見ればアメリカも植民地軍だったのだ。




駒沢大学がデリバティブ取引で150億円の損失、慶応大学も225億円
の損失。アメリカの大学は数兆円単位で損失を出していると思われます。


2008年11月20日 木曜日

教育界に金融危機の余波、駒沢大が資産運用で損失―慶応、早稲田(3) 11月19日 (ブルームバーグ)

11月19日(ブルームバーグ):世界的な金融危機の余波が、日本の大学の資産運用にも暗い影を落としている。駒沢大学が金利スワップ・通貨スワップのデリバティブ(金融派生商品)取引で運用損失を計上したほか、有名大学でも損失を被っているとみられている。

  デリバティブ取引で約154億円の損失を計上した駒沢大学の小林清次郎総務部長は、ブルームバーグ・ニュースの取材に対して「フランス系とドイツ系の外資系金融機関2社に運用を任せていた」と述べ、「不動産を担保にみずほ銀行から約110億円の融資を受け、運用を解消したのでこれ以上損失が増えることはない。学生、同窓生、父母の方々に不安を与えて申し訳ないと思っている」と語った。同大学では、調査委員会を設置するが、詳細は明らかにしてない。

  今年に入ってからの金利スワップ市場では、5年物などで固定金利となるスワップレートが6月中旬に高水準を付けた。例えば、6月12日の円建てスワップ金利は1.78%台。その時点のスワップ取引で、さらなる金利の上昇を見込んで支払い金利を固定化した場合、現行の金利水準からは70ベーシスポイント(bp)相当の余分な金利を支払う計算になる。

       慶応など有名大が3月期決算で評価損

  2008年3月期決算では、慶応義塾大学の運用資産の評価損は225億円に上った。北村和夫運用担当課長は、ブルームバーグ・ニュースの取材に対して、「運用資産1000億円を超えて、現時点での評価損は約225億円で2008年3月末決算から変わっていない」と述べている。ブルームバーグ・データによると、世界の株式の時価総額は08年3月末と比較して4割近く目減りしている。マーケットが改善しないと、今年前半の評価を維持するのは難しい状況だ。

  慶大では、「資産運用のアロケーション(資産配分)は大学自体で行っており、ヘッジファンド、REIT(不動産投資信託)、商品などに投資している。デリバティブもヘッジ的なものでいろいろな通貨スワップに投資しているが、どの通貨かは言えない」(北村氏)と説明した。

ほかの有名大学でも評価損を抱えている。早稲田大学の08年3月末決算書では「運用資産は約1000億円で、政府保証が付いている格付けの高い外債を中心に運用している。3月末時点で評価損が約5億円あったが、その後9月末にかけて膨らんでいる」(大出達夫資金運用担当課長)もよう。

  市場では、「事業法人だけでなく、学校法人、宗教法人、医療法人など公益法人も運用を行っているところは影響を受けている。学校法人は、運用基準は緩いが、運用委員会を作って運用しており、ガバナンス(経営)の問題になりつつある」(大和証券SMBCチーフストラテジストの末沢豪謙氏)などの声も聞かれた。

  一方で、東京大学本部経理グループ長の松沢登氏は、「資産運用額(有価証券)は10月末時点では約800億円で、譲渡性預金(CD)、国債、債券(外債、社債、金融債)、特約定期、金銭信託などに投資している。運用先は銀行・証券会社17社。全て満期保有で途中解約しないことになっているため、評価損益は発生しない」と語った。



国内私大の資産運用利回り わずか1.6% 2008年1月9日  読売新聞

国内の私立大学が昨年度に資産運用で得た収益は1470億円で、収入全体の2・7%に過ぎず、米国の大学に比べて資金力に大きな差があることが、日本私立学校振興・共済事業団の調査でわかった。優秀な学生や研究者の確保に使う自前の資金力の差は、大学の競争力の差につながりかねないという。

 ◆米の大学は18〜28%

 調べたのは、4年制大学を設置する516法人の決算。その結果、昨年度に運用した資産は計8兆9500億円で、平均利回りは1・6%だった。

 一方、米国の調査によると、ハーバード大の3・8兆円、エール大の2・5兆円、スタンフォード大の1・9兆円など、資産運用のために単独で1兆円以上の基金を持つ大学が6校もあった。金融工学を駆使して、金融派生商品やヘッジファンドなどにも投資して、それぞれ年18〜28%の投資収益を上げていた。

 早稲田大は、金融機関で活躍したOBを招き、授業料などの収入の中から700億円を債券などで運用。今年度は、収益から30億円を奨学金に支出するが、大出達夫・資金運用担当課長は「大きな含み損は認められず、どうしても保守的になる。米国とは運用に20〜30年の差がある」と認める。国立大の場合、さらに条件は厳しく、運用は預金や国債などに限られている。このため、文部科学省は投資信託の解禁を検討している。



(私のコメント)
昔から学者バカという言葉がありますが、経済学者は沢山いても、生きている経済の事が分かっている学者はいないのでしょう。「株式日記」では小泉内閣以来株式投資は止めにしていますが、海外のデリバティブや訳の分からない金融商品などにも警戒を呼びかけてきました。デフレ時代には何もせず現金で持っているのが一番いいのです。

デフレで低金利時代はインフレで目減りする事もないのだから、訳の分からないものに投資をするのは間違っています。現金で持っていれば株や不動産が投売りされるのですから、そのような投げ物が出るまでじっと待っていればいればいいのです。日本はバブルの崩壊で資産運用もままならなかったのですが、1500兆円の金融資産は低金利のまま預けられてきた。それが結果的に世界的金融恐慌に巻き込まれずにすんでいる。

しかし日本の事業法人や公益法人は欧米のヘッジファンドに資金運用を託しています。大学もそうなのですが駒大や慶応は氷山の一角でしょう。しかし営利企業なら少しでも利回り良く運用するのが当然ですが、大学などの非営利法人が高利回りにつられて海外のヘッジファンドに預けるのは問題だ。10%以上の高利回りは詐欺だと思ったほうがいいと以前に書きましたが、欧米のヘッジファンドの破綻は「ねずみ講」のようにいつか破綻するものなのだ。

ヘッジファンドは規制がなくてレバレッジを50倍もかけて運用していたようだ。儲かっている時はヘッジファンドと利益を山分けできますが、わずかな値下がりで元本割れするほどの損失を負ってしまうのがレバレッジの恐ろしさだ。投資銀行は日本などから豊富な資金が得られた頃は、豊富な資金力で相場を上げてきた。

ところが日本のゼロ金利解除で円キャリーの逆流が始まり、世界同時株安が起きるようになった。この事は「株式日記」でも何度も書きましたが、世界に資金流れを知っていれば、そろそろ危ないと資金を一足早く引き揚げる事ができたはずだ。今年に入って近いうちに株の大暴落もある事を、松藤民輔氏のブログなどで紹介してきたのですが、資金運用者たちは私の「株式日記」を読んではくれていないようだ。


つまり読む人によっては「株式日記」は100億円の価値のあるブログなのです。




私たちの生活や教育の場から日本語が締め出される可能性よりも、
「英語の世紀」が日本語という言語の脅威になることはないでしょう。


2008年11月19日 水曜日

日本語が亡びるとき ─英語の世紀の中で 水村美苗:著

「英語の世紀」など到来しない――水村美苗『日本語が亡びるとき』を読む1 11月16日 平岡公彦のボードレール翻訳日記

(前略)

ご存知のとおり、現在でもすでに多くの学問分野において、最先端の成果が英語で書かれ、読まれ、蓄積されるということは起きています。それはそれらの学問分野のイノベーションを英語圏の研究者がリードしていることに起因しており、英語の優位はその結果でしかありません。
 
 水村さんの主張のオリジナリティは、来るべき「英語の世紀」では英語圏の国がリードしていない学問分野においても英語の優位が発生すると主張している点にあります。
 
「英語の世紀」では、国籍を問わず、あらゆる学問分野のエリート集団は事実上英語圏に包摂され、英語以外の言語はすべて学問の用をなさない〈現地語〉に格下げされることになります。
 
 水村さんの主張の当否は、この「あらゆる」がほんとうに起こるかどうかに懸かっています。この「あらゆる」が起こらないのであれば、現在の状況がそのまま継続するだけですし、もちろん各国語の全面的な衰退も起こりえません。
 
「英語の世紀」の具体的なイメージを、水村さんはアリストテレスを例に次のように説明しています。

 アリストテレスがいまだ読まれ続けているのは、かれの書いたものが〈テキストブック〉には還元できない〈テキスト〉でもあるからにほかならない。人はアリストテレスを理解するためには、最終的にはかれの〈テキスト〉へと戻らざるをえない。これから先も、ギリシャ哲学の専門家はアリストテレスをギリシャ語で読み続けるであろう。だが、英語の世紀に入り、〈学問〉が英語に一極化されるにつれ何がおこるか。それらの専門家も、アリストテレスにかんして何かを書くときは、〈自分たちの言葉〉で書かずに英語で書くようになる。すると、アリストテレスの引用も、〈自分たちの言葉〉に翻訳したものではなく、英語に翻訳したものを使うようになる。その結果、アリストテレスにかんして書かれたものが英語で流通するようになるだけでなく、しだいしだいに、アリストテレスの〈テキスト〉そのものが、英訳で流通するようになるのである。
(水村美苗『日本語が亡びるとき』筑摩書房 2008年10月 pp.251-252)

 哲学以外の学問分野においても、水村さんはこのような状況がどこの国でも生まれると想定しています。
 
 しかし、ほんとうにそんなことが起こるでしょうか?
 
 センセーショナルなタイトルから誤解される方も多いと思いますが、水村さんは「英語の世紀」になっても各国の〈国語〉が消滅してしまうとまでは言っていません。
 
 ですから、この例を日本に当てはめて考えるなら、アリストテレスの翻訳が、すでに日本語訳が流通しているにもかかわらず、英訳のほうが優先的に読まれるようになる事態を指します。
 
 そんなことはありえない。
 
 アリストテレスならよもや、と思う方がもしかしたらいらっしゃるかもしれません。
 ではほかの哲学者ならどうでしょう。カントは? ヘーゲルは? ニーチェは? いや、西洋哲学に限りません。孔子は? 孟子は? 老子は? と列挙していけばその非現実性はますます際立ってきます。
 
 もちろん、なによりもまず原典を重視する文学研究や哲学研究の世界で原典よりも英訳が〈テキスト〉として尊重されることなど絶対にありません。翻訳者の理解が正しいかどうかは常に疑問に付される余地があります。無論ボードレールの場合も同じです。
 
 もう少し一般化するなら、英語は〈国語〉から各国固有の歴史的・文化的蓄積に根ざした学問の主導権を奪いうるでしょうか? そもそも、そんなことを各国のナショナリズムが容認するでしょうか?
 
 私にはどこまでも非現実的な予測としか思えません。

水村さんの主張のおかしさの最大の原因は、学問のゴールを「国際的に活躍する研究者になる」ところに置いている点にあります。

 学問をするとは、苦労して英語で書き、なんとか国際的に活躍するしかないところまで、現実は動き始めているのである。たとえ日本にかんして何かを書くにしても、大きな問題を扱えば扱うほど、英語で書いたほうが意味をもつのだから当然である。
(水村美苗『日本語が亡びるとき』筑摩書房 2008年10月 p.256)

 以上のとおり、研究成果の海外での評価しか眼中にありません。
 
 ですから、「学問の成果を社会に還元する」プロセスが完全に抜け落ちています。でなければ、「各国語が学問的には空洞化する」などという短絡的な発想が出てくるはずがありません。
 
 たとえば、日本の社会学者や心理学者や経済学者が、日本国内の問題を真剣に考え、発言しなくなるとすれば、彼らの存在になんの意味があるでしょう?
 それらの学問が日本で意味を持つためには、あくまで日本の現状と真摯に向き合い、その改善に資する研究成果を日本人に日本語で届けていくしかありません。外国人に英語で読んでもらったってしょうがない。
 
 学問は、その性質上、本来〈普遍語〉で行われるものだという水村さんの主張に一定の真理を認めつつも、その学問が広く人々に普及するためには〈国語〉を必要としたという事実もまた忘れるべきではありません。
 
 ここで明確にしなくてはならないのは、「学問的叡知の蓄積」という言葉によって想定されている事態の具体的なビジョンです。
 
 私はそれが「あらゆる学問分野における最先端の成果が英語圏にのみ囲い込まれ、それ以外の言語圏には伝達されなくなる」という事態でないのであれば、危機感を感じなければならない必要はまったくないと考えます。
 
 実際、そのような状況がこれだけ情報通信技術が発達した現代において生じうるとは到底考えられません。だれもが欲しがる重要な情報は善悪を問わず確実に流通します。原子爆弾の製造法でさえ世界中に広まったという事実を私たちは歴史から学んでいます。
 
 その成果が滞りなく普及するのであれば、最先端のイノベーションがどこの国で起ころうと、享受する側にはまったく関係のない時代に私たちは生きています。
 
 イノベーションをリードすることによって名誉を得たいと考える人や、イノベーションの流れにいち早く乗ることによって利益を得たいと考える人にとって英語は不可欠に重要なものであり続けるでしょう。しかし、圧倒的多数のそれ以外の人たちにとって英語が今よりも重要になるとは考えられません。
 
 情報はそれが重要なものであればあるほど即座に伝達されます。
 
 それが発信者や媒介者に利益をもたらすような情報ならばなおさらです。特に情報の伝達のためのハードルが高ければ高いほど、そのハードルを越える能力のある人が得る利益は大きくなります。
 
 言うまでもなく「言葉の壁」も例外ではありません。
 
 英語圏で起こるイノベーションはそれ以外の言語圏を一時的にフロンティア化します。そのあいだであれば、ただ英語圏からその成果を紹介するだけで他の言語圏で有利な立場に立つことができる。このチャンスを利用しようとする人がまったくいなくなるとは到底考えられません。
 
 イノベーションをリードすることはできなくとも、「ついて行く」ことはできます。
 
 世界のトップ集団について行くことができる少数の人材を常に国内外に確保し続けることができれば、その言語圏は「遅れを取る」ことはあっても「取り残される」ことはありません。事実、日本はそのようにしてここまでの発展を実現してきました。
 
 愚かな為政者の血迷える政策変更によって私たちの生活や教育の場から日本語が締め出される可能性よりも、「英語の世紀」が日本語という言語の脅威になることはないでしょう。

 ただし、「英語の世紀」への過剰な危機感の増大が為政者の判断を誤らせる可能性はあるかもしれませんが。



「日本人にとって英語とは何か」 2006年11月14日 日本人の教育

(前略)
では、なぜ「ネイティブスピーカーの英語」ではいけないのか。その前に言語の性質について少し話をします。言語というのはその国の文化や国民性と密接な関係があります。両者は切っても切り離せない仲です。例えば、日本人の性格や文化は日本語なくしては存在し得ません。日本語が私たちを日本人たらしめているのです。

我々がもしスペイン語をしゃべっていたら、歌舞伎のような古典芸能は生まれていません。「おじぎをする」という習慣も存在しないでしょう。皆さんは、「思い」と「ことば」はどちらが先だと思いますか?頭の中で「思う」から言葉にできるのか、「ことば」があるから思うことができるのか。正解は後者です。言葉がなければ「ものを思う」ことができないのです。

犬や猫には言葉がないので、「思考」がありません。そして動物には「文明」や「文化」はありません。なぜなら言葉がないからです。人間には言葉があり、ものを考えることができるので、文明が生まれ文化が発展しました。しかし文明・文化は使う言語によって多種多様です。どの民族もその国に生まれたからには、先代から連綿と受け継がれてきた自国の伝統・文化を責任を持って育み、次世代につなげていく義務があります。そして「伝統・文化を受け継ぐ」ためにまずしなくてはならないことは、「自国のことばを大切にすること」です。

 ところが現在の日本を見るとどうでしょう。街には英語があふれています。お店の看板などもアルファベットやカタカナばかりです。面白いことにTシャツなどには必ずと言っていいほど英語や他の外国語がプリントしてあります。日本語が書いてあるものはむしろ「変わったTシャツ」です。日本人はなぜもっと日本語を世界にアピールしないのでしょうか。

類希なる経済大国であるにもかかわらず会社名もそのほとんどがアルファベットですし、世界に誇る日本車のネーミングもほぼ100%アルファベットでしょう。外国で日本車に乗っている人からしてみたら、漢字の車名であればブランドとしての価値も上がってうれしいはずです。せっかく高性能な日本車に乗っているのにアルファベットだとどこの車だか分からない。

 昔から国内で漢字廃止論が出たり、英語公用語化論が出たりと、ある意味日本人は世にも珍しい、自国語を粗末に扱う民族です。それは有史以来、今日まで他国に侵略されて言葉を奪われたという経験を持たない日本の特徴かもしれません。

現在世界にはおよそ6000の言語があると言われています。その中には、話者総数が10人、20人という絶滅寸前のものもあります。そんなことは知らず、日本では小学校にまで英語教育を導入しているという有様です。国語もろくに出来ない子供に英語を教え込む危険性を日本人は知らない。私たちは日本語をもっと大切にするべきなのです。

 やっと本題です。なぜ「ネイティブスピーカーの英語」は問題か。これを説明するには本当は10枚くらいプリントが出せるといいのですが、それでは誰も読んでくれないので、国を米国に絞ってすごく端的に理由を言うと、@アメリカ英語を学ぶことが、米国の文化や生活様式をもれなく連れてくる、A守るべき日本の言葉・伝統・文化が廃れていく、B日本がダメになり、世界がダメになる、ということです。

「言語が文化と密接につながっている」ことは前述の通りです。終戦直後の日本人は、アメリカの生活様式にあこがれました。家中に行きわたる暖房や、冷たい冷蔵庫など、夢のような生活です。しかし、世界に誇る経済大国、技術大国となった現在の日本にはもはやアメリカから文化的なもので得るものはありません。むしろ科学技術などはこのへんにして、物質的に豊かになりすぎたこの国を自然と共存するような方向に向かせるべきなのではないでしょうか。

アメリカという国は立派な人がいたり素晴らしい点もある反面、まったく真似すべきではないこともたくさんあるのです。アメリカ在住者による世界資源の消費率(世界比)は33%にもなるという報告もあるくらいです。つまりアメリカ式の生活を維持するためには莫大なエネルギーの消費が必要になるのです。さらに有毒性廃棄物の排出率も半端ではありません。

アメリカ一国だけだから世界はなんとかもっているのであって、これを世界中の国々がやってしまうと地球はたちまちパンクしてしまう。ここに英語を米国の母語として学ぶことの大いなる危険性があります。いかに猛勉強して英語が達者になっても、カッコつけてアメリカ式の生活などするものではないのです。

 日本のように、国を挙げて全国民がある特定の外国語を習得しようという意向自体が実は大変危険なことです。自国の言葉や文化を絶滅の危機に追いやる可能性があるからです。しかし世界と渡り合っていくには英語をやらないわけにはいかない。だから日本の全国民が十分注意して英語学習に取り組まなくてはならないわけです。

そのためには、まず英語はあくまでも世界共通語であって英語国の所有物ではないのだと認識することです。そして英語の前に正しい国語と日本史をしっかりと勉強すること。英語圏の文化が入ってきたことによって押しつぶされた日本の良き文化はたくさんあります。英語学習はやり方によっては日本の文化を根こそぎ抹殺できるほどの力を持っているのです。アメリカかぶれになるのではなく、日本人としての誇りを持って英語学習に取り組むことが大切です。

★ 今後、日本の英語はどうあるべきか
 
 これ以上の英語国文化の日本への入り込みを阻止すると同時に、日本には成すべき使命があります。それは、世界中へ感謝の気持ちを込めて日本の素晴らしい部分を発信していくことです。日本人は今日まで、その極めて稀有な性格をもって様々な文明・文化の良い部分を吸収し、経済・技術面において大国となることができました。

そして今、世界への恩返しをするときなのです。日本の素晴らしいところは、多神教を基とした自然崇拝・先祖崇拝の精神、森羅万象との共存の精神を捨てることなく、類希なる謙虚さ・勤勉さをもって他国の優れた技術を手に入れたことです。今こそ日本人は自らの長所を再確認し、誇りを取り戻して、その素晴らしさを世界にアピールするべきなのです。そして、皆さんの英語がその日本の精神を伝えるための「道具」であってほしいと願っています。

英語はべらべらカッコよくしゃべることができればいいというわけではありません。しゃべる内容がなければ全く意味がない。他国の人からも決して尊敬されません。大げさではなく、間違った英語学習は日本を崩壊させる根源だと思います。逆に私たち日本人が「道具」としての英語を上手く使いこなせば、日本を活性化させ、世界を平和へ導く大きな宝となるのです。それこそが私たちが英語を学ぶ最大の目的です。決して、ペラペラになって米人友達を作り優越感に浸るためでもなければ、海外旅行中のショッピングを快適にこなすためでもないのです。


日本の基礎科学がどうして強いのかについては様々な理由があるが、私が見るに、日本語で学問をするという点も大きいようだ。韓国日報 10月10日 株式日記


(私のコメント)
ネット上では水村美苗:著『日本語が亡びるとき』という本が、梅田さんも小飼さんの書評などで話題になってベストセラーになっているのでしょうか? 大きな本屋で探しても見つからない本なので、私はこの本を読んではいないのですが、英語論に関しては今までも書いてきたので、コメントを書いて見ます。

最近では国際会議でも英語が公用語のようになってしまっているようで、米英の代表はともかくドイツ人もフランス人もEUの会議では英語で演説しているようだ。だからG7の会議でも日本の首相だけが会話に加われずにぽつんとしている例が多いのですが、麻生総理は例外的でスタンフォード大学院やロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに留学するなど英語がぺらぺらだ。

その代わりに漢字の読み取りが出来ないようで、総理大臣としては信じられないような漢字の読み取り能力のようだ。国会の答弁や演説の原稿などは役人たちが書いたものを読むだけなのですが、自分で書いたものなら読み間違いするはずがない。


麻生首相:漢字は苦手? 頻繁に読み間違い 11月13日 毎日新聞

国会答弁やあいさつで、麻生太郎首相=似顔絵=の漢字の読み間違いが目立っている。12日に母校の学習院大学で行われた日中交流行事のあいさつで、用意された原稿では日中首脳会談に関し「1年のうちにこれだけ頻繁に首脳が往来したのは過去に例がない」とあったが、「頻繁(ひんぱん)」を「はんざつ」と読み誤った。

 7日の参院本会議では、政府が過去のアジア諸国への侵略行為を謝罪した「村山談話」を「踏襲(とうしゅう)」と言うべきところを「ふしゅう」と答弁した。

 首相は12日夜、記者団から「読み間違いが多いという印象がある」と指摘され、「そうですか。単なる読み間違い」と答えた。【塙和也】



(私のコメント)
このように、有無(ゆうむ) 詳細(ようさい) 踏襲(ふしゅう) 前場(まえば) 措置(しょち) 頻繁(はんざつ) 未曾有(みぞゆう) と頻繁に読み間違いするのは、高等教育を受けた日本人には考えられない事だ。だから漢字の多い本を読むのが苦手でマンガを読むようになったのだろう。つまり海外留学が長くて頭が英語脳になってしまって漢字を受け付けなくなってしまったのだ。

このようにバイリンガルと言うのは安けれど、複数の言語を完璧に身につけることは不可能だと思う。つまり英語も日本語も100%読み書きできる人は存在せず、英語が100%なら日本語が50%程度の能力だったり、両方とも50%だったりする。会話程度ならどちらも出来る人は沢山いるが、専門分野の事までのレベルになると片方でさえ難しいのだから両方はまず無理なのだ。

だからどちらかの言語を100%身に付けてから外国語を50%とか70%まで身に付けていく事しかないだろう。気の毒なのは海外生活が長かった帰国子女たちであり、十分な日本語教育を身に付ける機会がなく、日本語も外国語も不十分なレベルでいた場合は悲劇だ。最初から自分の子供をアメリカ人として育てるつもりなら子供の頃からアメリカに留学させるのもいいが、そうでないのなら子供のうちから英語教育は無駄だ。

去年、韓国人でアメリカで33人殺害した犯人は8歳でアメリカに来た事で、韓国語も英語も不自由なまま育ち、発音など馬鹿にされた事を根に持っていたようだ。だから一つの分野のエキスパートになってアメリカで仕事をするようになって英語を必要に迫られてから勉強したほうがいいのだろう。それなら英語が下手でも当たり前であり馬鹿にされる事もない。

「日本語が亡びるとき」という本は読んではいないのだから書評するわけには行かないのですが、発展途上国においては高等教育は英語やフランス語などでないと出来ない状況になっている。英語で書かれた専門書を翻訳しようと思っても該当する言葉がなくて翻訳できないのだ。中国人や韓国人の異常な数のアメリカへの留学は自国では十分なレベルの教育が出来ないからだろう。


日本がノーベル賞を取れるのは自国語で深く思考できるから。我が国も英語ではなく韓国語で科学教育を行なうべき [10/09] 韓国日報

日本は初等・中等過程はもちろん、大学でも日本語で科学を教える。そのため、西洋で発達した科学を日本語に訳すのを当然の基礎過程だと考えている。漢字文化圏である東洋4国があまねく使っている「科学」「化学」「物理学」などの用語自体が、アルファベット圏言語を自国語で把握しようとした日本の知識人たちによる翻訳の所産だ。「素粒子」「陽子」「電子」などの用語も、すべて日本人が作ったものだ。

そのおかげで、日本人にとって世界的水準で思考するということは世界で一番深く思考するということであり、英語で思考するということではなくなった。これは外国語が苦手といわれる日本人たちが基礎科学分野でノーベル賞を多く取っていることや、益川と小林の研究が日本の大学から誕生したことにもよく現われている。

一方我が国は、小学校・中学高校過程では科学の基本概念をきちんと把握する教育をしないで、大学に入ると突然英語で科学を教える。名門大学であればあるほど、理学部・工学部・医学部の物理・化学・生理学などの基礎分野に英語教材が使われる。内容理解だけでも不足な時間に外国語の負担まで重なっては、韓国語で学ぶ場合に比べると半分も学べない。韓国の基礎科学は外国に留学に行くことを初めから想定して教えているわけだ。



(私のコメント)
もし日本の大学が英語で教育がなされるようなことになれば「日本語は亡びる」かもしれない。株式日記でもアイルランドがアイルランド語を失い英語が公用語になった悲劇を書きましたが、それはつい最近の出来事なのだ。やがてはドイツ人もフランス人も英語を公用語として使い、ドイツ語やフランス語は現地語として消えていく運命にある。アイルランド語が消えてしまった事がそのいい例だ。


アイルランド語を失ってしまったアイルランドの悲劇 母語を失った人々の悲哀を通して学ばなければならないことがあるのではないだろうか? 2007年11月15日 株式日記

田中氏も言っているように、日本は自ら進んで他国語を公用語にしようとしている珍しい国民だ。最近は小学校も英語教育が義務化されているが、文部省はまさにアメリカ政府の出先機関なのだ。アメリカ軍の基地が日本に存在する限り英語教育の強制はますます広まっていくだろう。それに対して日本国民は10年間も英語教育を受けても英会話一つ出来ませんが、これは国民の一つの抵抗運動だ。

アイルランドはほぼ母国語を失う事でアイルランド文化を失ってしまった。イングランドによる長い支配がそうさせたのですが、日本もアメリカによる長い支配を脱しないと英語教育の義務化によって日本文化は切り離されて行き、やがては英語が公用語となり日本の歴史文化は忘れ去られていくのだろうか?




エコノミストは株価大暴落の原因を景気や業績によって説明して
いるが、ヘッジファンドの資金量の半減こそ、大暴落の元凶だと思う。


2008年11月18日 火曜日

大暴落の元凶・ヘッジファンドの研究。 11月17日 山本清治

1,000兆円の資金が500兆円に半減。

(1)ヘッジファンドのピークの資金量を1,000兆円と推定する見方がある。その1,000兆円が年末には半分の500兆円に激減するという推定する見方がある。ヘッジファンドの資金量は流動的で、正確な統計データは取れないが、日本の株式の時価総額が500兆円から300兆円に激減したのだから、さもありなんと思われる。

(2)ヘッジファンドは金融工学が生み出した金融市場の鬼子であり、怪物である。巨大な資金量と最先端の売買手法によって世界の株式市場を支配してきたが、今や怪物は資産の解体、売却を急ぎ、巨体をのたうたせて苦悶している。

(3)例えば、過去3ヶ月間に同時進行した株式と石油の大暴落は、ヘッジファンドの顧客の機関投資家と、無制限に融資していた投資銀行が一斉に資金を引き揚げた結果として発生した。

(4)エコノミストは株価大暴落の原因を景気や業績によって説明しているが、需給関係を重視する私は、ヘッジファンドの資金量の半減こそ、大暴落の元凶だと思う。

(5)以下にヘッジファンドの近況を探り、大暴落の行方を推定したい。

ヘッジファンドはなぜ窮地に追い込まれたか。

(1)ヘッジファンドの最大のスポンサーは投資銀行であった。投資銀行は自らも多くのヘッジファンドを組成し、ノウハウを供与し、投資家から預託された元本の他に2〜5倍の資金を供給していた。

(2)しかし金融不況が深刻化し、投資銀行が組成した金融商品が焦げ付いて流動性を失ったためにリーマン・ブラザーズが倒産した。資金繰りに窮した投資銀行はFRBに支援を求めて商業銀行に変身した。

(3)商業銀行に変身した投資銀行はFRBから直接資金供給を受けて倒産の危機を脱したが、同時にFRBの監督下に置かれて野放図な融資ができなくなった。

(4)そのために傘下のヘッジファンドに自立を強制すると共に、その他のヘッジファンドからも資金を引き揚げた。

(5)ヘッジファンドは一斉に保有資産の売却に走ったから、株式や石油が大暴落し、債券や為替が乱高下したのである。

(6)しかしヘッジファンドの決算は11月と12月に集中しており、解約の受付は45日前までと決まっている。従って年内の玉整理は先週でピークを過ぎたと思われる。需給面から、今週以降は株式相場が反騰に転じる可能性がある。

すべての金融商品が大暴落し、乱高下した。

(1)ヘッジファンドはこれまで、元本の数倍に達する資金を運用して投資効率を高めていたが、投資銀行が商業銀行に変身し、最大のスポンサーを失った。

(2)これまでは買い6,売り4の割合で、売り買いを同時に執行し、小さな値サヤを積み上げて大きな成果を実現していたが、資金量が激減すればヘッジ機能も低下する。

(3)これまではヘッジの対象が株式、債券、石油、金、為替等すべての金融商品に及んでいたが、資金量が激減した結果、石油相場が147ドルから55ドルに大暴落し、世界中の株式が大暴落した。

(4)10月の暴落局面で東証出来高は連日30億株に達していたが、現在は20億株割れに縮小した。ヘッジファンドの手仕舞いが急進したからだろう。

(5)かくしてヘッジファンドの資金量は年末までに半減すると推定される。

借り株禁止の影響は大きい。

(1)ヘッジファンドは最先端の金融工学を駆使して売りと買いを同時に執行し、現物と先物の時間差を利用し、株式や商品間の値ザヤを確実に稼いだ。

(2)その際、売りは信用取引ではなく現物株を直接借りて売るという手法を開発したから、カラウリの実体が見えない。姿なき巨大な実弾売りを浴びて暴落する銘柄が続出し、ヘッジファンドは売買手法で圧倒的優位に立った。

(3)新興市場でもヘッジファンドは借り株を用いて売り崩したから、突然、根拠不明の暴落が頻発して、新興市場の人気が離散した。

(4)麻生首相は就任早々借り株によるカラウリを禁止した。金融庁は先週、初めて発行株式数の0.25%を超える借り株の明細を開示させた。

(5)借り株によるカラウリの禁止は世界的な趨勢となっている。ヘッジファンドの運用には大きな痛手となるだろう。

(6)ヘッジファンドの創始者であるジョージ・ソロスは先週、米議会の公聴会で証言し、ヘッジファンドの規制に賛成した。

(7)資金量が半減したヘッジファンドは、規制強化を受けてさらに資金を失う可能性がある。

(8)しかし10月以降、大暴落した日本の株式市場で個人投資家が買いの主役に浮上し、毎週3,000億円を買い付けている。次いで日本の公的年金も毎週2,500億円を買い付けており、推定2兆円の買い余力を残している。今後の日本の株式市場の需給関係は必ずしも悲観一色ではない。


世界恐慌時代を生き抜くベンチャースピリット 11月17日 佐々木俊尚

高級賃貸がいっせい解約されている

都心には家賃が月額70〜100万円の超高級賃貸マンションがたくさん存在している。金融資産が数十億円以上もある人であればこうした家賃を支払うのは何の苦労もないだろうが、そうした人の多く――特に結婚して子供のいる場合には、世田谷区や目黒区の住宅街に一戸建てを購入し、教育環境を整える方向へと進む場合が多い。

  だから高級賃貸に住んでいるのは、子供のいない新興企業ファウンダーか、そうでなければ外資系金融企業の社員だ。投資銀行を中心とする外資系金融企業の多くは都心の超高級賃貸マンションを数十室まるごと借り受け、社宅として使っていることが多い。私は以前、月刊文藝春秋で『平成ニューリッチの金銭道』という長い記事を書いたことがあり、この取材ではそうした話をあれこれと機器歩いた。

  ところが金融危機でその状況は一変している。高級賃貸を多く取り扱っている不動産業界の知人に聞いたところ、いまや外資系金融企業はそうした高級賃貸を一斉に解約し始めているという。だから誰でも名前を知っているような高層マンションの高級賃貸がどんどんがら空きになってきているのだ。

  そうしたマンションに住んでいた外資系金融の社員たちはどうしているのか。これまでは30歳代でも年収が数千万ももらっていて、我が世の春を謳歌していた。住まいはもちろん会社の借り上げの超高級賃貸。おまけに年に一度の長期休暇は、飛行機代とホテル代が会社持ちで海外に遊びに行けた。もちろんフライトはビジネスクラス、そして滞在先はアマンのような5つ星リゾートホテルである。

 ◆バブル期には気づかなかった幻想

  私が以前会った外資系投資銀行の社員は、こんなことを話していたことがある。2006年ごろの話だ。「いま別の投資銀行への転職の話を進めているんだけど、まだ条件の折り合いがついてないんだよね。こっちはバカンスの飛行機をファーストクラスにしてくれって言ってるんだけど、先方はビジネスで我慢してくれって」

  「ふざけるな」と思わないでもなかったが、しかし当時はアメリカを中心とした金融王国がこれからも永遠と続くように思われ、この帝国の時代には金融を握る彼のような人物が世界を支配していくのだろうかと考えたりした。いま思えばそれは単なる幻想でしかなかったのだが、しかし1980年代の日本のバブル期のさなかにはその行く末を予測できた人がほとんどいなかったのと同じように、しばらく前までは誰もアメリカ金融王国の終焉をまじめに考えていなかった。

  さて、その王国崩壊によって投資銀行というビジネスそのものが消滅しつつあって、外資系金融に勤めていた人たちの多くは、転職先がそもそも存在しないという愕然とする状況に直面している。もちろん年収を1000万円以下にまで落とせば転職先はあるだろうが、しかしこれまで3000〜4000万円の年収を取っていたような人たちが、そうした年収には気持ちはなかなかついていけないだろう。贅沢な生活のレベルを落とせなかった小室哲哉氏のように、自分の生活をランクダウンさせるのは、富裕層であればあるほど困難だ。

 ◆マンションを借りられなくなった外資系金融マンたち

  住まいも同様だ。会社の借り上げマンションが解約され、レイオフされてしまって、いきなり住まいがなくなるという事態になって、彼らはあわてて引っ越しの準備を始めている。とはいえ、いきなり狭い部屋には引っ越せない。100平方メートルの部屋に鎮座していた高級家具だってたくさんある。とはいえ今までのように家賃に70万も80万もかけられないので、家賃30万円前後のマンションを探して、彼らは街の不動産屋を探し回っている。家賃30万円というと、港区あたりでは1LDK。100平方メートルクラスを借りようと思うと、文京区や新宿区の端の方にまで後退しなければならない。

  しかし不動産業界の知人はこう話した。「いくら今まで豪華な生活をしていたといっても、しょせんは無職なんですよね。無職だと家賃30万円のマンションは絶対に借りられない。無職でも入居できるのは、せいぜい10万円以下のマンションまでです。それで僕らとしては『お父さん名義で借りてはいかがですか』と勧めたりするんだけど、父親が年収500万円ぐらいだったりすると、やっぱり家賃15万円ぐらいまでしか借りられない」

  そうして元外資系金融マンたちは、住まいもなくなって途方に暮れているのだという。(後略)



(私のコメント)
株式の出来高が30億株から20億株に激減しているようですが、外資系が売買の6割以上を占めていたのだから、外資の売買が半減した事で10億株も減ってしまったのだろう。アメリカのヘッジファンドは解約の続出で資金量が半減してしまった。10月11月は解約売りによるもので、竹中平蔵氏や木村剛氏は構造改革が足りないからといっていましたが、全くの嘘であり、ヘッジファンドの解約売りだったのだ。

11月中で一段落するのでしょうが、アメリカのヘッジファンドの解約売りがこれからもだらだらと続くだろう。ヘッジファンドに資金を供給していたのはゴールドマンやモルガンなどの投資銀行ですが、投資銀行自身の破綻によってアメリカのヘッジファンドの資金源が断たれてしまった。

投資銀行自身は商業銀行に転換する事でFRBからの資金が得られるようになりましたが、FRBの規制を受けるようになって、今までのような営業は不可能になった。90年代からの投資銀行やヘッジファンドはまさに無敵であり、日本の証券会社は株が売り崩された事で山一や三洋証券は倒産してしまった。

これで日本の証券会社は銀行系を含めて営業力を落として、日本の投資家の多くが資金運用を外資に委託するようになった。個人はネット証券などに切り替えたから、国内の株式売買のシェアは外資系証券会社が6割以上を占めるようになった。

外資系ファンドは先物と現物との売り買いの両建てでヘッジをかけながら投資するからヘッジファンドというのですが、株が上がっても下がっても利益が上がる投資法であり、90年代は先物を売って売り崩して現物を買ってきた。最後は銀行株などを無制限空売りでメガバンクを破綻寸前にまで追い込んだ。

ようやくアメリカでもヨーロッパでも空売りが規制されましたが、証券会社はジェイコム株事件で分かったように発行株式以上の空売りも出来る。山本清治氏のブログにも書かれているようにヘッジファンドの借株による売り浴びせはPKOによる買い支えを撃破していった。

日本の証券ディーラーは所詮サラリーマンであるのに対して、ヘッジファンドのトレーダーはプロ中のプロであり、勝負にならない。日本の株式投資信託は元本割れ続出なのにヘッジファンドは年に20%30%の高利回りのファンドが続出した。まさに佐々木俊尚氏が言うようにヘッジファンドのマネージャーが世界を支配しているように思えた。その秘密はどこにあったのだろうか?

アメリカは製造業を棄てて金融立国を国の産業政策とした。まさにゴールドマンやモルガン・スタンレーは国策会社であり、ルービン財務長官やポールソン財務長官のように投資銀行のCEOが政権の中枢でアメリカ経済を動かしてきた。日本で野村證券の社長が財務大臣になるようなことは考えられない。

アメリカの経済戦略や政治戦略が投資銀行を通じて動かされるわけですが、90年代からゴールドマンサックスなどは中国への投資を戦略として立ててきた。まさに日本の株式を売って中国の株や不動産を買い捲ってきた。クリントンの外交政策も中国が中心であり日本は円高で79円まで吊り上げられて輸出産業は中国進出を強いられるようになった。

つまり日本から資金をゼロ金利で供給させてアメリカの投資銀行に流れて、投資銀行は中国などのBRICsの新興国に投資して投資利益を上げてきた。日本のような金持ちでお人好しは格好のカモであり、アメリカから言われるままにドルを買い米国債を買い続けている。その資金が投資銀行に回るわけだ。

ヘッジファンドの投資対象は株から債券から石油や不動産や為替に至るまでワールドワイドの投資であり、1997年のアジア金融危機もソロスなどのヘッジファンドが仕掛けてタイやインドネシアや韓国などが破綻した。そしてハゲタカのように死に体の企業を買いあさっていった。まさにアメリカ金融帝国主義があからさまになった時だ。

その当時のアメリカはITブームでもあり、ITによる企業運営は恒久的な繁栄をもたらすような幻想を世界に振りまいた。しかしエンロンやワールドコムやLTCMの破綻は今日のアメリカの金融破たんの前触れでもあったのですが、グリーンスパンFRB議長は住宅投資ブームでITバブルや911テロの危機を切り抜けようとした。

この頃が投資銀行の絶頂期であり、投資銀行の社員やファンドのマネージャーに億万長者が続出した。その光景は日本のバブル期そのものであり、彼らは都心の超高級マンションに住んで飛行機はファーストクラスで移動した。しかしアメリカもバブルの崩壊は例外なくやって来た。

無敵を誇ったヘッジファンドも、90年代の日本の証券会社のような破綻が相次ぐのだろう。しかし株や不動産の下落もまだ30%程度であり、日本みたいに五分の一になってしまったわけではない。それでも金融恐慌が起きてしまったのはCDSのような金融商品の規模が大きい事と、レバレッジを効かせた投資がわずかな値下がりで壊滅的な打撃をもたらした。

アメリカの企業も個人も過剰な債務を負ってこれから返し続けなければならない。政府も公的資金で金融機関を救っていますが、国家自身が破綻の危機に直面する事になるだろう。アイスランドは破綻してハンガリーやウクライナも危ない。フランスのサルコジ大統領は「ドルはもはや基軸通貨ではない」と発言しましたが、そうなればアメリカも破綻する。




そもそも「村山談話」という”歴史観”を国の政策として閣議決定して
歴代の内閣が継承するという事が根本的な間違いなのだ。


2008年11月17日 月曜日

田母神俊雄・前航空幕僚長の参考人招致で思う危険な歴史の流れ 11月11日 書道家の日々つれづれ

この「参考人招致」は端的に言って、無意味な政治ショーだったと言って過言はない。
しかしも国民から見て、日本の歴史感はいつの間にか20年も反転してしまったかのと思わせるものがある。
少なくとも、この四半世紀にはソ連の崩壊があり、日本国憲法の(日本の要人、政治家が白を切っていた)成立過程が米国の公文書館から明らかになり、暗号文書、未公開資料が明らかになった。
しかし、そう言う歴史の流れを無視する又は、否定するというのが、以前から述べている読売新聞の読売的日本の歴史観であり、監修した保坂正康氏など。
そして、「田母神俊雄・前航空幕僚長」問題で問答無用と一番激しく批判しているのが不思議と「読売新聞」であると言うことにある違和感がある。

そして、その理由の最たるものの一つが、単に自身の保身でしかないというのは、悲しいことではないか。
なぜなら、もし最新の新事実を採用してしまえば、自己の主張する歴史観の否定に繋がり、著書は紙くずとなるというからだ。
たとえば保坂正康氏などの似非保守派という人物がなぜ、「ナショナリズムの昭和」(諸君)という連載をしているのかと思ったら、同じ雑誌「諸君12月号」で西尾幹二氏が「雑誌ジャーナリズムよ、衰退の根源を直視せよ」で書いている。
それは、「論座」、「現代」、「世界」という「左寄り」の雑誌が衰退して廃刊になり、今や「文藝春秋」と「中央公論」が最左翼の座を占めたという。
そう言えば、「諸君」も(株)文藝春秋の発刊。
以前から雑誌「文藝春秋」というのは、何か奥歯に物が挟まったというか「言うべき事を言わない」雑誌であると思っていたから、最近ではあまり読んでいなかった。

そして思い起こされるのは、同じような現象が政治の世界にもあった。
元の社会党というのには、左派、中間派、右派という派閥があった。
もっとも保守に近かった党員は、当時の民社党へ分裂したから社会党右派といっても、南京大虐殺の碑を当時の中国の地方政府の反対を押し切って、自費とカンパで建てるような人達だった。
それが時代の流れによって、社会党左派は新社会党などに分裂した後消滅し、右派は民主党に合流して、残った当時の土井委員長(参議院議長)などの社会党中間派というの最左派になってしまったというのは歴史の流れだった。

ところが、前航空幕僚長の参考人招致の様子をWeb版の新聞で読んでいるとそんな社会の流れというものが何もなかった様だ。
そして、不思議なことに田母神俊雄・前航空幕僚長を参考人招致で読んでいながら、思ったほど発言させず、又「論文の内容」の一つさえ触れないという異常なものだった。
北沢俊美・参院外交防衛委員長(民主党・旧社会党系)は、
「本日、参考人に出席を求めた趣旨は、国民の代表機関たる国会の場において政府に対し、この問題をただす一環として招致したものであり、決して本委員会は、参考人の個人的見解を表明する場ではありません。参考人におかれてはこの点を十分に理解し、質疑に対し、簡潔にご答弁をいただきますようようお願いをいたします。」

と実は田母神俊雄・前航空幕僚長に発言させないように仕向けている。
一方、
「昭和の時代に文民統制が機能しなかった結果、三百数十万人の尊い人命が失われ、また、国家が存亡の淵に立たされたことは、忘れてならない過去の過ちであります。国家が存亡の淵に立った最初の一歩は、政府の方針に従わない、軍人の出現と、その軍人を統制できなかった政府議会の弱体化でありました。こうした歴史を振り返りつつ、現在の成熟した民主主義社会の下において、国民の負託を受けた国会がその使命を自覚し、もって後世の歴史の検証に耐えうる質疑をお願いする次第であります。それでは質疑のある方は順次、ご発言をお願いします。」
という北沢俊美の歴史観に基づくと宣言している。
なぜなら、日本人の「三百数十万人の尊い人命」をひっくるめて「忘れてならない過去の過ち」と過去の日本を守ろうとして戦った日本人を非難している点では無かろうか。
そして、「国家が存亡の淵に立った最初の一歩は、政府の方針に従わない、軍人の出現と、その軍人を統制できなかった政府議会の弱体化でありました。」ということは一面的で、「軍人が悪」いという東京裁判的歴史観と言える。
これは「ニュールンベルグ裁判」ではドイツ国民と「ナチス」を分離して、「ナチス」だけを裁いたことを、単に日本の東京裁判に導入したにすぎない。
しかも、ドイツでは、ベルリン裁判ではなく「ニュールンベルグ」というナチスの発祥地で行ったものであるというのことを、多分理解していないのに違いない。


そして、質問自体が基本的な事実に踏み込まず、概念的なものになってしまったと言うのは、民主党でさえ、「茶番劇」であることを認識すると共に「中国・韓国」に対する「忠誠心」を現したものだと言える。
【民主党・犬塚直史氏の質問】で
「しかし、今おっしゃったような侵略の定義は、一国の憲法を超えた問題。立法府の議題だということをご認識いただきたい。外から見て、国会がしている議論に歯がゆい気持ちをお持ちになるかもしれない。ただし、立法府で決まったことについては行政府が粛々と実行していく、という国家運営の基本をないがしろにするような言動について、私は田母神氏の個人的思想信条についてうんぬんするつもりはないが、しかし、この件への政府の受け止め方は軽すぎる。首相のぶらさがりの答弁も、非常に軽いことをおっしゃっておられる。防衛相は、今回の田母神氏の言動は3権分立という原則に対する重大な挑戦だとは思われないか。」

多分国民から見れば、「歴史認識」と言うものを政治で規定する。
それも国会で否決されて、閣議決定という裏技で発表規定された「村山談話」。
要するに、犬塚直史氏の言う「三権分立」に反して行政が独走したのが「村山談話」という、以後の国の政策を「思想」規定する政策である。

そして、「村山談話」に関して国会決議として、又選挙をしたとは認識していない。

だから、その「村山談話」は、閣議決定という枠を越えた越権行為ではないかというものだ。
しかも、その政府見解が「歴史的事実」であるとは言い切れない場合、「歴史認識」は個人に任せるべきことのはず。そして、その政府の権限を越えた見解を歴代政府が、なぜ守ってきたのか。
この事なかれ主義というのはどうしよう無いと共に、早々と中国へ行って「村山談話」を継承すると言ってしまったのは、麻生政権の大失点であるに違いない。


そして、参考人招致の議論が深まれば深まるほど、「民主党」という党には日本の国を任せられないと思う感情が強くなる。
なぜなら、法治国家である以上制約が多く、軍隊でもない自衛隊に「言論統制」まで行って、自衛隊を弱体化させる腹があるようにしか見えない。
多分、ことが起きたときには「戦わず」後ろの安全なところに隠れて、自分を守れ、「重要人物だから守れ」と主張するのが彼らかも知れない。
かって、ペルーの日本大使館占拠事件での日本大使は、平時には尊大で威張ってばかりいたが、テロリストに占拠された途端何の役にも立たなかったという事実がある。
そして、
河村官房長官「当然、自衛隊が厳格な文民統制の下にあるわけでございます。そのことを考えますと、自衛官の場合には、特に、航空幕僚長のような幹部がその立場において見解を公にする場合、これは文民統制との関係、あるいはその社会的影響、こういうものをしっかり十分考え、考慮すべき、当然そういうことだというふうに思います。やはり、ノブリスオブリージュといいますが、高い地位にある方は、非常に社会的責任が大きい。そういうことをしっかりわきまえて対応していただく。これもシビリアンコントロールの一つの根幹にある考え方だと思っておりますので、今回の問題が不適切だといわれるその所以だというふうに考えております。」

誰もが河村官房長官の言葉を聞いて「大笑い」したかも知れない。
なぜなら、自衛隊の高官に対して「ノブリスオブリージュ」たどいう。
普段から日陰者扱いして、いざ有事というときにはイラク派遣の時と同じように「自衛官本人の意志での発砲」というのは変わっていないだろう。

撃たれてから、応戦する。
今の軍隊というのは、撃たれたときは全滅する時だというのは常識ではないか。
まさか、日露戦争時代の武器を進攻する敵が使うと思っているのだろうか。
その上、自衛隊員に対して、「政府見解という自虐史観」を教育として「強制」する。
それに反することは、「言論統制」として取り締まるというのでは、自衛隊という頭のないサイボーグを作っているようなもの。
逆に言えば非常に危険な軍隊と言うことになる。
たとえば、ある政党が偶然政権を取り、反対派の要人を全て抹殺するという暴挙のクーデーターに出たとき、防ぎようがない。
しかも、その時の自衛隊はシビリアンコントロールによる絶対命令ということになる。


多分、民主党も自民党の人達もあまりに、シビリアンコントロールにも、軍隊と言うことにも無知蒙昧であるというのは、国民から見て情けないの一言に尽きる。


米高官、田母神氏更迭は「適切」 植民地正当化好ましくない 11月15日 共同通信

【ワシントン14日共同】米国務省高官は14日、政府見解を否定する歴史認識論文を発表した田母神俊雄前航空幕僚長を日本政府が更迭したのは「適切だった」と述べ、植民地支配を正当化する人物が自衛隊の要職に就いているのは好ましくないとの考えを示した。共同通信とのインタビューで語った。同氏の更迭問題をめぐり、米政府高官が見解を表明したのは初めて。こうした問題を再び起こさないようくぎを刺した格好だ。



(私のコメント)
田母神論文に対して田原総一郎氏はサンプロで「言論クーデターだ」と主張していましたが、歴史的評価に対して政治でもって認定する事は近代国家ではあってはならないことだ。ユダヤ人大虐殺などの出来事などは戦争とは直接関係の無い犯罪であり、だから犯罪と認定する事はできるが、国家間の戦争に対してどちらが正しくどちらが間違っていたという認定は政府が行う事はできない。

もちろん政治イデオロギーがはっきりした前近代国家なら、この戦争は正義の戦争だったと「正しい歴史認識」を学校などで教えたりしている。アメリカなどもその意味では前近代的国家であり、イラク戦争をアメリカではテロとの戦いとして教えているのだろう。これくらい一方的な「侵略」はないわけですが、サダム・フセインは大量破壊兵器を開発していた事実はない事が証明されている。アメリカ自身もそれを認めている。

アメリカ政府は田母神航空幕僚長の「更迭」を適切だったと評価しているようですが、まさにアメリカは前近代的国家であり他国の内政に平気で介入してくる。あるいは日本はアメリカの植民地であり、田母神氏の様な独立志向の不平分子が出てくる事を警戒するのは当然の話だ。

田母神氏は論文で「アメリカ合衆国軍隊は日米安全保障条約により日本国内に駐留している。これをアメリカによる日本侵略とは言わない。二国間で合意された条約に基づいているからである。」 「自分の国を自分で守る体制を整えることは、我が国に対する侵略を未然に抑止するとともに外交交渉の後ろ盾になる。諸外国では、ごく普通に理解されているこのことが我が国においては国民に理解が行き届かない。」と書いているが、どこがおかしいのだろうか?

しかし日本が自主防衛を決断したり、日米安全保障条約が日韓併合条約のような正体がばれるのを恐れているのだろう。冷戦時代ならソ連からの軍事的脅威から身を守る為に日米安保も存在意義はありましたが、冷戦終結で日本を侵略しようという国はなくなった。にもかかわらず日本国土に米軍がなぜ駐留を続けているのだろうか?

田母神前航空幕僚長にしてみれば、日本の航空管制空域を見れば分かるように主要部分は米国空軍の管制空域になってしまっている。旅客機が羽田から飛び立っても東に飛んで行けないのは米軍の管制空域になっているからだ。空は目に見えないから日本の空が米軍に占領されている事は国民は気がつかない。

米国の空軍基地がある限り一定の空域を防空識別圏を設定して防空しなければ空軍基地としての機能ははたさない。日本には134ヶ所の米軍基地があるそうですが、自衛隊があるのになぜそれほどの米軍基地が必要なのだろうか? 田母神氏でなくとも誰もが疑問に思うはずだ。特に野党の民主党、共産党、社民党など日頃から思っている事だろう。

ならばせっかく田母神氏を参考人招致したのなら、東京裁判史観やルーズベルトの陰謀論などを質問して、日米安保体制の欺瞞を暴くべきだっただろう。第一線の自衛官なら在日米軍があるために日本の自衛隊は日陰者になり継子扱いされている苛立ちがあるはずだ。だから米軍にとっては田母神氏は危険分子であり、麻生総理も真っ先に彼を処分したのは米軍を恐れたからだ。

田母神氏は「自衛隊は領域の警備も出来ない、集団的自衛権も行使出来ない、武器の使用も極めて制約が多い、また攻撃的兵器の保有も禁止されている。諸外国の軍と比べれば自衛隊は雁字搦めで身動きできないようになっている。」と不満を述べているが当然の不満であり、国会は日本の防衛問題をまともに議論しようとはしない。日米安保があるためだ。

アメリカの国務省の高官は自衛隊航空幕僚長更迭を「適切だった」と評価したが、米国空軍最高司令官の更迭を日本政府高官が「適切だった」と言う事を想像してみたらいい。まさにとんでもない発言なのですが、田母神論文は野党にとっても味方になるものなのですが、自民党も民主党も共にアメリカに操られた人形に過ぎない。その事に国民はいつ気がつくのだろうか?


非難しながらも対米従属を続ける日本外交の限界 11月15日 天木直人

(前略)
米国の利益を最優先し、その利益を日本に押しつけてくる米国の基本姿勢は、オバマ政権になっても変わりはしない。

 重要な事は、あくまでも日本の国益を守るという外交を追及しながら、米国との対立を避ける、そういう自主、自立した気迫ある外交の実現である。

 ところが現実はそれと逆の事を日本外交は続けてきた。

 不満、不信、時として憤りを覚えながらも、最後は国民の利益を犠牲にしてまでも米国に追従する、これが日本外交であった。

 そして、その対米追従外交は近年ますます強まりつつある。

 これでは健全な外交などできるはずはない。

金融危機が世界を震撼させた直後、世界の論調は、米国金融資本主義の破綻であり、ドル一極支配の終焉である、と指摘した。日本の論調もそうだった。そしてその考えは今も続いている。

 世界経済の苦境を抜本的に解決するには、長期的には、世界金融システム、ドル基軸通貨システムの変更なくしては困難だという認識は世界中に広まっている。

 その切っ掛けを話し合うのが今度の金融サミットのはずだ。

 仏のサルコジ大統領は、13日、「米ドルは第二次世界大戦終結直後には世界で唯一の基軸通貨であったが、もはや基軸通貨だと言い張ることはできない。20世紀の仕組みは21世紀には通じないというのがフランスの立場だ」とエリーゼ宮殿で演説して、ワシントンでの金融サミットに乗り込んで行った(11月15日毎日、読売)。

 中国もロシアも新興国も同様に、米ドル一極支配から新しい金融システムへ移行すべき時だとして、その新金融システムにおける影響力の確保を目指している。

 かつてアジア円通貨圏を構想したほどの日本だ。日本も本心では当然そう考えているはずだ。

 ところが、現実には、米国金融支配の権化であるIMFの強化を、今でもただ一人擁護する国となって金融サミットに参加している。

 不満を抱きながらも最後はすべてを米国擁護、米国追従、米国の代弁者に終わってしまう。

 ここに日本外交の深刻な限界がある。



(私のコメント)
私自身はアメリカの没落が日本の真の独立をもたらすと考えているのですが、自民党はますますアメリカ依存を強めている。つまり、右か左かの対立ではなくて、親米か反米かの対立になってしまっている。それが田母神論文で浮き彫りになってきた。もちろんテレビなどのマスコミは親米一色であり反日であっても親米に変わりがない。

安倍内閣は真の保守政権と期待されて登場しましたが、村上談話や河野談話を継承して保守派の支持を失ってしまった。麻生内閣も同じ過ちを繰り返していますが、防衛問題は絶好の選挙の争点になるはずであり、勝つ為には小泉内閣のように敵を作って攻撃する事が最良の方策だ。民主党の弱点は防衛問題にあるのである。しかし自民党自身も自主防衛政策に踏み切れない曖昧さが命取りになるのだ。




サンプロで竹中平蔵に代わってリチャード・クーが出演した。財政出動
を非難していた田原総一郎の意見がコロコロ変わるのは無責任だ。


2008年11月16日 日曜日

G20、財政刺激策でも協調 金融サミット、世界経済下支え 11月13日 日経新聞

金融・経済危機への対応策を話し合う14、15日の緊急首脳会合(金融サミット)で、主要国と新興国は協調して財政刺激策に取り組む姿勢を打ち出す。会合に参加する20カ国・地域(G20)のうち日本や中国、欧州各国が公表した経済対策は総額100兆円を超す。危機対応を巡る国際協調は、利下げなどの金融政策に続き、財政政策を通じて世界経済を下支えする新たな段階に入った。

 欧州は金融サミットを前に財政面での協調を加速している。ドイツは総額500億ユーロ(約5兆9000億円)の景気対策をまとめ、法人税の軽減、雇用維持の助成金拡充に取り組む。フランスは研究開発や製造業に今後3年間で合計2000億ユーロ近くを投じる。投資を促すため単年度ベースで約10億ユーロの税制優遇も導入する。



「日本経済を襲う2つの波とは何か」(EJ第2439号) 10月28日

今回のテーマは、いわゆるサブプライム問題に端を発する世界的金融危機について、リチャード・クー氏の次の新著をベースにして論ずることが目的ではじめたものです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  リチャード・クー著
  『日本経済を襲う二つの波/サブプライム危機とグローバリゼーションの行方』   2008.6.30/徳間書店刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、既に50回を超えており、総まとめを行うところにきています。ところで、リチャード・クー氏の本のタイトルにある「2つの波」とは何でしょうか。

 1つ目の波は、1990年度から2005年ぐらいまでの間に日本を襲った不況の波のことを指しています。いわゆる「失われた10年」とか「失われた15年」といわれる不況期を指しているのです。

 クー氏は、この不況の波を「バランスシート不況」と名づけて不況に対するひとつの新しい解釈――経済学のテキストに載っていない経済分析をしています。

 しかし、2005年くらいから日本の景気は回復し、これから順調に伸びようとしていた矢先に、米国発のサブプライム問題の影響で日本経済も深刻な打撃を受けつつあります。先進国の中では一番影響が少ないといわれている日本の株式が他国よりも大きく下げ、それに加えて円高が進んでいます。

 日本にとって一番大きい問題は、「内需が伸びていない」という点です。設備投資にしても消費水準を見ても内需拡大は一向に進んでいないです。なぜ、内需は拡大しないのでしょうか。クー氏はその理由の1つについて次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 企業がキャッシュフローの一部を金融資産の積み増しに回し、家計も過去に取り崩した貯蓄を埋めようとして貯金を増やしているからである。しかも政府まで「財政再建」を合言葉にして公共事業の切削に邁進している。政府から家計まで、みんなが内需を減らす方向に動いているのである。

  リチャード・クー著/『日本経済を襲う二つの波/サブプライム危機とグローバリゼーションの行方』/徳間書店刊より
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本の貯蓄率は一時大幅に減少しましたが、ここにきて再び上昇しています。健保問題や老後の年金・介護などの社会不安がそうさせる原動力になっていることは確かです。

 こういう状況から日本経済は異常なほど外需依存度が高まっており、サブプライム問題が起きると、外人投資家が現金確保のため、大量の日本株を売却しているので、株価が下落しているのです。それに日本の当局は多少景気が悪化しても「財政政策=悪」という考え方があるので、なかなか景気対策を打とうとしない。そういうところも外人投資家に読まれているのです。

 さすがに今回は、世界的な金融危機になりつつあり、麻生政権としては選挙対策もあるので、急に景気、景気と言い出してはいますが、財政政策としてはあまりにもへっぴり腰です。クー氏は、日本の内需が伸びないもう1つの理由として「グローバリゼーション」を上げています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 なぜ内需が伸びないのか。私は、その背景には「グローバリゼーション」の影響があるのではないかと見ている。そして、日本にとってのグローバリゼーションとは何かと言えば、それは「中国の台頭」に他ならない。中国人はやる気満々で、器用だ
 し、視力もいいし、ハングリー精神も充分に持っている。そのうえ日本人の数分の一の給料で働く準備がある。教育水準も低くない。中国が台頭してきたことで、世界の先進国の合計とほぼ同量の労働力が、一気に世界の労働市場に流れ込んできたのである。

  リチャード・クー著/『日本経済を襲う二つの波/サブプライム危機とグローバリゼーションの行方』/徳間書店刊より
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは大変面白い考え方であると思います。グローバリゼーションは、理論的にはすべての先進国が同じ影響を受けることになりますが、実際にはそれにうまく乗れる国と乗れない国が出てきてしまうのです。また、国の中でもこれに乗れる企業とそうでない企業に分かれてしまうのです。

 英語や中国語ができる優秀な人材を多く有している企業は有利であるし、資金も潤沢にあれば資本に対するリターンは大幅に上昇するはずです。つまり、グローバリゼーションは「勝ち組」と「負け組」を必然的に作り出すのです。

 リチャード・クー氏によると、日本は他の欧米先進国に比べるとこのグローバリゼーションのショックは大きいというのです。なぜなら、欧米先進国はかつてこれと同じ体験を今までに日本の進出によって味わっているからです。

 日本は現在、中国やインドに追い上げられています。追う立場から追われる立場への転換です。追い上げられる立場がどんなに大変なものか――日本は経験していないのです。

 1965年頃カメラといえば、ライカ、ツァイス・イコンなどを筆頭とするドイツ勢が世界を席巻していたのです。日本のカメラも注目はされていたのですが、世界から見ればカメラはドイツだったのです。しかし、それからわずか10年の間に日本のカメラが世界を席巻し、1975年にはドイツのカメラは世界市場から姿を消してしまったのです。ツァイスにしろ、レチナにしろ、すべて撤退してしまったのです。そういう急激に変化が中国やインドによって世界、とくに日本に対して起こってくる――これがグローバリゼ―ションであり、日本を襲う2つ目の波ということになるとリチャード・クー氏はいうのです。これが「2つの波」の意味です。   ――[サブプライム不況と日本経済/51]


(私のコメント)
今日のサンデープロジェ口に、久方ぶりにリチャード・クー氏が出ていた。90年代の頃は毎週のように出演していたのですが、小泉・竹中政権になって全くテレビで見かけることは無くなってしまった。サンプロだけではなくてすべてのテレビから追放されたように見かけなくなってしまった。同僚だった植草氏は国策捜査で捕まるし、財政出動派は罪人扱いされるようになってしまった。

しかし財政再建政策で財政が再建されたかというとそうではなく、逆に小泉政権時代にも250兆円も財政赤字が増えてしまった。だから財政緊縮政策は間違っているのだ。もちろんバラマキ型の公共投資は効果が少なく、長期的な視野に立った国家的プロジェクトを立ち上げて推進すべきなのだ。90年代の景気刺激政策は各省庁ごとの予算の割り振りが1%も変更される事はなかった。これでは効果的な対策は出来ない。

バブルの崩壊は、もともと資金需要が減って貸すべきでない人にカネを貸して需要を膨らませる事で起きる事ですが、これが日本でもアメリカでも起きたことなのだ。この為に金を借りた人は返す為に10年20年と時間をかけて返すしかないのですが、その為に消費が減って不況が長引いてしまう。徳政令で借金をチャラにすればいいのでしょうが、金融モラルが崩壊してしまう。

銀行は大企業に対しては債権放棄などで数千億もの債権放棄をしたのに、中小企業や個人に対しては強引な貸しはがしをした。小泉内閣になって自己責任や市場原理主義でダメな企業は潰す政策が行なわれた。これでは企業活動はますます萎縮して企業防衛に走ってしまう。企業は借金を返すだけではなくキャッシュフローの積み増しをしてしまう。

日本全体が借金の返済と貯蓄に走っていったら日本経済全体が縮んでしまう。そうなると国が借金して大きな事業を始めなければならない。しかし公共工事というと橋や道路や箱物ばかり作っていたのでは経済効果が上がらなくなってくる。せっかく作った橋や道路が使われないのでは経済効果が上がらない。むしろ作った高速道路は無料で使えるようにしないと効果が無い。

新自由主義経済によれば規制を撤廃すれば新規事業が起きて景気は回復するということですが、大企業は規制の撤廃で業績を上げましたが、従業員は規制の撤廃で正社員が減らされて非正規雇用が多くなって収入が減って消費も減ってしまった。日本はアメリカの経済政策の真似をして格差社会を作ってしまった。

アメリカは金融資本主義で、世界から金を集めて世界に投資をしてきた。規制の撤廃で投資銀行も次々と金融商品をこしらえて世界に売ってきた。同じ金融立国のイギリスでは5人に1人が金融業者であり、イギリスは製造業を切り捨ててしまった。当然日本も金融立国を目指せという学者も多くなりましたが、金融は所詮ゼロサム社会でありいつかは大きく躓いてしまう運命をもっている。

アイスランドも金融立国を目指しましたが、GNPの5倍もの金を高利で集めて運用していましたが、国家ごと破綻してしまった。金融業は確かに上手く行っている時はいいが、一旦躓くととり返しが付かない。アメリカの金融業も国家から公的資金を注入されて何とか持たせていますが、これでは国家財政が持たない。

ルチャード・クー氏は不況の波とグローバル化の波の二つの波を指摘していますが、日本はこの二つの波を乗り切れるだろうか? アメリカはグローバル化で製造業から金融業へのシフトを行ないましたが、GEは金融業に転換してDMは倒産の危機に瀕している。GMが倒産するという事はアメリカが倒産すると言ってもいいくらいの出来事なのですが、それくらいアメリカの製造業は空洞化している。

日本も中国などの新興国の追い上げを受けて製造業は空洞化していくのだろうか? しかしアメリカやイギリスやアイスランドの例を見ても金融立国には問題が多そうだ。金融業は製造業に付随した産業であり、金融資産がGDPの何倍も増えたところでどこかで矛盾が露呈して破綻してしまう。

アメリカはドルが基軸通貨であり、ドルは印刷すればいくらでも増やす事ができる。そしてドルや米国債を買う国があれば成り立つ。そしてドルや米国債を盛んに買っているのが日本と中国であり、アメリカは日本と中国から借金をしながら生活しているのだ。しかしそれは金融立国の神話が通用している間だけだ。日本はいつまでアメリカの神話を信用し続けるのだろうか?

そしてアメリカの神話を日本に広める役目をしたのが小泉・竹中内閣であり、日本のマスコミだ。小泉内閣はアメリカ型の新自由主義経済を目指してきた。日本にも村上ファンドのようなファンドが出来ましたが、このような犯罪すれすれのような事をしないとファンド運用は成り立たないのだろう。そうなればサブプライムローンのような詐欺的商品が出来ても国はチェックが出来ない。

製造業なら欠陥商品を作ればすぐに分かるが、金融業者がねずみ講みたいな商品で金を稼いでもばれるのは時間がかかる。CDOやCDSは外部の人間が見ても商品内容はまるで分からないようにできている。それを格付け会社がAAAの最高ランクをつけて販売していたのだからまさに詐欺なのだ。

日本でも食品などで産地偽装などが流行っていますが直ぐにばれて取り締る事ができるが、金融商品では今回のようなクラッシュが起きないとばれにくい。不動産の証券化も上手く行っていればばれないが、それは100年に一度起きるような出来事だ。だからアメリカやイギリスのようなペテン師国家に騙される様な事があってはならない。



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