株式日記と経済展望


中国食品で死人が出るくらい尻に火がつかなければ、本当に危険だと
言うことがわからない民族なのでしょう。安全ボケ平和ボケも甚だしい


2008年1月31日 木曜日

食糧自給率40%弱の悲劇 1月31日 佐藤守

「中国製ギョーザで中毒」とマスコミは大騒ぎだが、食糧自給率が40%をきっている状況では、当然の結果でもあろう。以前私が中国の農村で目撃した“衝撃の事実”をご紹介したが、日本で使えなくなった粉状の農薬を、上半身裸の老農夫が葉物野菜に『花咲じじい』のようなスタイルで撒いていた。2000年秋のことだったから、彼は既にこの世にいないかもしれない。

 人件費が安い、日本の農業を継ぐものがいない・・・など、理屈はいくらでも付けられるが、要は儲け第一主義と、取り締まり官庁の『不作為』が生んだ悲劇だと思う。生鮮?食糧は検査するが、冷凍食品は全く検査していないというのだから聞いてあきれる。国民の生命を何と考えているのか、ガソリン値下げ問題よりもはるかに喫緊の問題ではないか!

 ところで今回の問題でおかしく思うことは、この症例が発生したのは昨年12月のことだったということである。今まで関係者は何をしていたのだろう? 対策に追われていた?らしいが何の対策だろう。またまた隠蔽か? 千葉、兵庫県警が動き出したのでたまりかねて公表したのではないか?

 テレビでは、スーパーなどであわてて対象食品を回収するところが出ていたが、既に一ヶ月以上も経っている。

メタミドホス」という有機リン系の殺虫剤が混入していたそうだが、これは致死性が極めて高い有力な化学兵器の原材料である。冷凍食品製造のどの過程でこの殺虫剤が混入したのか?

 餃子の具に混入するとしたら、ギョーザの製造現場にあったわけだから、製造場所にゴキブリや鼠などが徘徊していたのか? 袋詰めの過程だとしたら、袋の保管場所で使用されていたものか、いずれにせよ衛生観念が乏しいこの国では、工場全体が相当不潔だということが出来る。

 具の野菜に農薬として使われていたものが混入したのだとしても、急激な症状が出るほどの量が残っていたとは考えにくい。

 製品をダンボールなどに箱詰めにして倉庫で保管している間、鼠などに食われないように駆除剤として使用していたとしたら、直接餃子本体に付着する可能性は低いだろう。

 一番可能性が高いのは、いわゆる「悪戯」か、それとも日本人を殺傷する目的の「テロ」ではなかったのか? 何しろこの製品は間違いなく日本人の口に入るのだから効果は抜群である。

 以前、韓国から輸入されたキムチに昆虫や不潔な物体が混入していて、現地では日本人向けだからといって「唾を吐きかけていた」という情報さえあった。

 米国から輸入していた狂牛病牛肉問題は、日米間で大問題になったことは記憶に新しい。

 さて、今回、日中両国政府はこの問題をどう取り扱うだろうか? ただでさえも中国に対しては「及び腰」の政府である。その上中国政府も8月のオリンピックを控えていて、食の安全が確保できなければ大きなダメージを受けること間違いない。開催さえおぼつかないだろう。それとも各国に「弁当持参」で参加する様に要請するつもりだろうか?

 今、中国南部は、歴史的な寒波で100万といわれる人民が、正月に帰郷できないと騒いでいる。50万を超える軍隊が除雪作業中だというが、交通網も電気も途絶え、温家宝首相が現地に飛んでいる。

 そこへこの毒物騒ぎである。日本で使われていない殺虫剤だという以上、中国側に何らかの問題があることは歴然としているが、それにしても我が国の対応振りも極めて悪い。こんなことでは危機管理が十分だとはいえまい。7月のサミットはどうするのだろう?

 スーパーで品物を手にとって見るがよい。鰻や野菜は勿論、落花生、梅干にいたるまで中国産で埋め尽くされている。福岡名産の「ふぐ」でさえも、安いのは中国産だったから驚いた。

 もっと恐ろしいのは、家庭の主婦が直接購入するものは、聊か値が張っても「安全第一」に選ぶことが出来るが、外食産業などで出される料理の中身までは手が届かないということである。

 その昔、通産省のお役人と防衛論議をしたことがあったが、軍事力の整備よりも「食糧と油」の確保こそが、安全保障の根幹である!と力まれて、「今この国のどこに脅威が存在するのですか!」と小ばかにされたものだが、その官僚は事務次官にまで出世した。

 今や「ガソリン値下げ隊」とか、今回のような中国食品による「食糧危機」でこの国の安全保障は完全に行き詰っている。そして誰も責任は取らない。

「中国製ギョーザ中毒事件で、兵庫県が県警から『ギョーザのパッケージ内部から農薬を検出した』と情報を得ながら、丸一日公表していなかったことが30日、分かった」と産経は報じた。阪神淡路大震災の時も、県知事は温泉にいて指揮できず、多くの県民が犠牲になったが、兵庫県にはまだ危機管理体制は出来ていないらしい。

 これが万一『悪戯』や『テロ行為』であったら、政府はどうする気だろうか? 自分の身は自分で守る、というのが『専守防衛の基本』のはずだが、同盟国にまかせっきりだといつかはこうなるものである。食糧自給率向上にもっと真剣に取り組むべきではないか?



中国食品は危険だといったのに 1月30日 訳わからんこのシャバは

【筆者記】
中国食品は危険だと何度言えばわかるんだろうか。
千葉県市川市に住む飲食店の女性店員(47)ら親子5人と、千葉市稲毛区の母娘2人が、生協で購入した中国製冷凍ギョーザを食べて食中毒の症状を起こし、入院していたことが本日わかりました。

市川市の5人のうち、二女(5)は意識不明の重篤となっているが回復している模様だそうだ。
調べたところ、恐ろしいことにギョーザから有機リン系毒薬「メタミドホス」が検出されたそうです。

千葉県警捜査1課は、ギョーザの流通経路などの捜査を始めた。5人は22日夕に冷凍ギョーザを食べ、 嘔吐や下痢の症状を訴えたそうです。
また兵庫県警は本日、中国製の冷凍ギョーザを食べた同県高砂市の自営業の男性(51)と家族2人が、嘔吐や下痢などの食中毒症状を起こしていたと発表した。

その高砂市の男性は今月5日午後6時50分ごろ、自宅で妻(47)と二男(18)の3人でこのギョーザを食べ、病院へ搬送された。3人は10〜14日入院したが、現在は回復しているという。

ギョーザは、ジェイティフーズ(東京都品川区)が輸入した「CO・OP冷凍食品 手作り餃子」で、千葉県は本日、絶対に食べないように呼びかけている。

しかし、千葉県の親子は22日、そして兵庫県の親子は今月の5日、いったい、どれだけの日時が経っているのでしょうか。今日は30日だ、今まで保険所は何をしていたのでしょうか、被害にあった家族の中毒の原因は今日わかったのでしょうかね、当日、何を食べたかくらいは把握出来るではずですよね。ましてや日本では使われていない毒物ですよ。

ギョーザから有機リン系毒薬「メタミドホス」が検出されていたとわかった日はいつなんだろうか、この問題は徹底して調べる必要があります。
しかし国民の「食の安全」を行政は今まで何をしていたのでしょうか、症状が出て一週間以上もたち、もしこの期間で多くの犠牲者が出た場合、誰が責任を取るのでしょうか。

高砂市の自営業の男性家族は今月の5日ですよ。こんな月末までわからなかったのか、まったく疑問です。
兵庫県警は食品衛生法違反容疑などで捜査を始めたそうだが保険所や関係するところにも捜査をすべきですよ。

本当に残念だが日本政府のみならず日本国民は、あれだけ世界中で騒がれ、毒物入りと危険視されている中国食品に対して懲りなければわからない民族なのか。やはり痛い目にあわなければわからない平和な民族なんですか。どこの国で食品に対してテレビメディアが「食べないようにお願いします」と国民に訴える先進諸国がどこにあるか、まるでアメリカ映画を観ているようだ。毒物が混入したなど戦時中じゃあるまし冗談ではない。

今まで中国加工食品どころか、うなぎ、きくらげ、冷凍ほうれん草など2006年には基準を上回る農薬や添加物などが含まれ、その数は一年間だけで539件に上っています。そして鉛入りの子供のおもちゃなどの危険にについて何度も私はブログで追求をしてきましたがもはやこれまで。

死人が出るくらい尻に火がつかなければ、痛い目に遭わなければ本当に危険だと言うことがわからない民族なのでしょう。安全ボケ、平和ボケも甚だしい、今は自分で自分を守るしかありません。

相手は危険極まりない民族だと言うことはいやというほどわかっているはずです。食の安全どころか、金儲けに結びつくならば何でもありの国家です。まだ日本人はこの国を大変危険な国だとはわかっていません。

しかし今更、慌てて商品を片付けても遅いんです。何度も危険だと言われ続け、輸入する業者も業者だが商品には危険だとわかっている「中国産」と記載してある以上、自己管理いや防衛ぐらいはすべきです。

しかし、いくら何でもひどすぎます、この国は。中国産の違反が50%以上だといわれ続け、中国の国民すら、どこの省で生産されたかを確認するそうだ。

なんでもありの国民すら危険だと思っているのに、ましてや生産地が中国産と明示されている加工食品を購入するとは、中毒になった家族の方には申し訳がないがやはり中国産に対し気をつけてもらいたかった。

全ての問題は中国の食品製造会社、天洋食品であるのは間違いのないことです。ただメディアは中国の批判を極力押さえ、危険だとは言っても強くは言えないし、買うなとも言えません。やはりこのような商品を防ぐには徹底したチェックをすることは出来ないと思う、中国からの全商品を輸入させないことだ。
つまり問題は加工食品を販売していたJT(ジェティフーズ)と輸入・卸をしていた双日食料だ。

いまさら「商品を作っている天洋食品の工場で製造されている全商品を自主回収します」と謝罪をしても単純に天洋食品の問題では片付けられません、中国産の野菜を加工した食品ですから、要は中国のどの加工商品にもありえることですよ。
この会社は数年前にも冷凍餃子から今回と同じ有機リン系毒薬「メタミドホス」が見つかっているんです。

しかし、メタミドホスは極めて毒性の強いもので神経系統が決定的なダメージを受けてひどい場合は死に至ります。中国でも生産使用が禁止されている毒物ですよ。
支那の農民など禁止されていることなど知っているわけがない、知っていたとしても生産向上の為、使用する、それほどいい加減な民族なんです。こんな連中に今更、何を言ってもわかるわけがない。

事実、中国ではこの有機リン系毒薬「メタミドホス」で死亡者まで出ているんです、しかし中国共産党は多くの食品からメタミドホスが検出されたとしか発表しない、つまり13億の民の中で死亡者が80人など大した数字ではないんです。この国には人間の価値なんてあるわけがない。従ってこんな国に指導など出来るわけがありません。
つまり、この問題は輸入・卸をしていた双日食料とJT(ジェイティフーズ)の食品管理責任ですよ。
そして、国民の食に対する安全を怠っている行政の怠慢です。


(私のコメント)
機能から中国製の冷凍餃子に農薬が混入されていたニュースで大騒ぎになっていますが、事件そのものは1ヶ月以上も前のものもあり、保健所や警察は何をしていたのだろうか? テレビのニュースでも被害者は保健所に届け出ても話を聞くだけで何もしなかったと答えていた。

細菌や毒物によるテロも考えられるのだから、1ヶ月以上もの空白は危機意識のなさを証明するものだ。マスコミだって食品偽装事件で内部告発を呼びかけていたくらいなのに、保健所の食中毒事故などを調べていなかったのだろうか?農薬が検出されても兵庫県は発表までに一日の空白があり公表が遅れていた。まさか兵庫県職員がJT株を売り抜けるためにインサイダーでもやっていたのだろうか?

食品会社にとっては販売店で毒物を混入されただけでも致命的な被害を被るから、パッケージなどの工夫を凝らしています。工場などで毒物を混入されればまさに食品テロともいえるような大きな被害も考えられる。しかし中国の食品工場での製品となると管理の目が行き届かなかったようだ。

最近では食品産業も安い中国製品におされて国内製品は割高なので押されぎみだ。冷凍餃子も一袋300円程度で非常に安い。物価や人件費の安い中国製品が日本のスーパーなどで幅を利かすのは市場原理から仕方がないのでしょう。北海道のミートホープなども安い中国製冷凍食品に押されて偽装を行なったのでしょう。

佐藤氏は食品テロ説を考えているようですが、残留農薬程度では重症になるほどの被害にはならないはずだ。中国では反日教育が行なわれているから嫌がらせの意味でテロが行なわれた可能性がある。先日も靖国神社で中国人による暴行事件がありましたが中国では暴行犯が英雄扱いだそうだ。BBSの書き込みだから話半分ですが、何らかの鬱積した感情が外国への輸出食品に毒物を混ぜる危険性があるのだろう。

2000年頃には中国野菜の農薬問題が起きて2006年からは検査体制も厳しくなりましたが、加工食品に対してはほとんどノーチェックで輸入されていた。去年もうなぎの蒲焼などで問題が起こりトラブルが続出している。日本の消費者もどうしても安いほうが買いやすいから買うのでしょうが、マスコミも注意を喚起すべき立場なのに中国に配慮して報道に腰が引けてしまう。

{株式日記」でもダンボール肉饅のことを書いたことがありますが、中国人ですら金持ちは国内産のものを食べないようにしているそうだ。アメリカでも牛肉は狂牛病や薬物汚染を心配して金持ちは特別に飼育された牛肉を食べている。アメリカ人には人間離れしたほど肥満した人がいるが牛肉の成長ホルモンが影響しているのだ。

このように食品の安全は注意が必要なのですが、市場原理主義が蔓延して安い粗悪品が良質な製品を駆逐している。ハンバーガーにしても牛丼にしてもジャンクフードが蔓延して日本人の舌がおかしくなってきている。良い物と悪い物とが見分けがつかなくなれば安い物が高い物を駆逐してしまう。気がついたときは食物加工品はみんな中国製になっていたりするかもしれない。

安心できる輸入先ならそれでもいいのでしょうが、毒入り野菜やホルモン入り蒲焼や牛肉などを食べさせられて食品アレルギーが蔓延してしまった。日本人の健康を考えればコストをかけても安全検査はすべきだし、生産から加工までのチェックも必要だ。根本的には安いものには何らかの欠陥があるとみた方がいいのだろう。




不動産市場は世界各国とも弱含み。ロンドンや上海などは投売り状態。
原油の下落も始まり、株、不動産も下げ始め本格的なデフレが始まる。


2008年1月30日 水曜日

バルティック 1月30日 松藤民輔の部屋

11月13日の11039から今年の1月22日までバルティックインデックスは43%下げた。バルティックの下げは市場全体がやはりベアに突入し、景気も大きく下落することを物語っている。これから20年もベアが続けば、地球温暖化も少しは関連するだろうな…。

バルティック指数とは、流通指数で、船価、船賃などを含む。ロンドン海運取引所が算出する外航不定期船の運賃指数であり、景気の先行指標になる。予見することを重要な仕事としている僕は、何かに先行する指標を探している。このバルティック指数は、景気より先行するパターン。43%も数ヶ月で下落したことは、株価の下落と同時に世界の景気が南向き(下向き)になることであろうし、現実的にそうなっていることも予兆。

不動産市場は世界各国とも弱含み。ロンドンや上海などは投売り状態だと聞く。サブプライム債BBBが1年前の95から現在は18。もはや紙切れになったBBBが売買されている事に驚く。このBBBの値動きが正確にこの1年間のNY株の動きを示してきた。

世界の銀行はサブプライムからプライムローンの処理に問題が拡大。景気が後退するなかで原油の下落も始まり、株、不動産も下げ始める本格的なデフレが始まる。金を除いて。



ソロスの歴史的発言とアメリカの危機 1月29日 ロシア政治経済ジャーナル 

アメリカの特殊性

アメリカは世界最大の債務国でありながら、どうして存在していられるのでしょうか?普通の貿易赤字国では何が起こるのでしょう?通貨が下がりつづけ、輸入品の値段が高騰、インフレが起こります。例を挙げましょう。


1994年のメキシコ。北米自由貿易協定(NAFTA)が発効したのは、94年1月。結果、アメリカからの輸入が急増し貿易赤字が拡大していきます。貿易赤字になると、赤字国の通貨が安くなる。メキシコ政府は、必死でペソを買い支えました。しかし同年12月、セディジョ大統領は、「これ以上ペソを維持するのは無理だ!」とあきらめます。

そして94年12月20日、ペソを15%切り下げ。これをきっかけに、資本が一斉に逃避し、外貨準備が底をつき、通貨危機に陥ったのです。通貨危機の影響で、メキシコの国内総生産(GDP)成長率は95年、マイナス6.9%。インフレ率は52%。

どうです?普通の国では、一年の貿易赤字でこの結果。ところが、アメリカではこういうことが起こらない。皆さんご存知のことと思いますが、理由は二つあります。

1、ドルが基軸通貨(国際通貨・世界通貨)だから


ドルは世界通貨なので、需要が多い。だからいくら刷っても刷ってもなかなか下がらないのです。どんな需要?

・アメリカと他国の貿易決済通貨として
・他国と他国の貿易決済通貨として
・世界各国の外貨準備として
・世界中の民間人の貯金として
 等々。

2、アメリカがドル還流システムをつくったから

貿易赤字でドルがどんどん流出していく。でもそれがリターンすればいいですね。どうやって? 例えば、

・高金利 (ゼロ金利の日本からどんどん金が来る)
・米国債 (日本や中国がどんどん買ってくれる)
・株 (外国人がアメリカ企業の株を買う)
・不動産 (外国人がアメリカの不動産に投資する)
 等々。

この二つの要素がきちんとしているかぎり、アメリカは永遠に借金しつづけることができるのです。これを大前研一先生はなんといっているか。

<この種の「債務」がアメリカの害になることはない。アメリカはブラジルとは違う。ブラジルの場合には、国際的に通用する通貨で、対外決済を行なう必要がある。それができないと、どこからかドルを借りてこなければならない。それに対してアメリカは、自国通貨のドルで決済することができる。ブラジルにとって問題なのは、現在同国で起こっているように、自国通貨の価値が下がれば、借りようとするドルが相対的に高くなることである。このような「債務の悪循環」は、国際決済通貨であるドルを国内経済でも使っているアメリカの場合には起こらない>

(「ボーダレスワールド」大前研一248p)

で、クリントンさんは、国家破産寸前のアメリカ経済をどうしたか?

ITバブル

一言でいえば、クリントンと側近たちは、ドル還流システムを強化したのです。
強化するとはつまり、「アメリカに投資すれば大もうけできますよ!」と宣伝し、自発的にドル買いをさせる。具体的にはITバブルを起こした。

90年代は、欧州・中南米・アジア・ロシアで金融・通貨危機が起こりました。97年にアジアで通貨危機が起こったとき、マハティールさんは「ソロスのせいだ!」と非難しましたが。いずれにしても「やっぱり投資するならアメリカよね」ということになり、株価が急騰します。

ダウは95年の4000ドルから00年には12000ドルまで3倍化(!)。皆さん、5年で300%の投資っておいしくないですか?クリントンさんは史上最強のラッキーガイ。彼は、IT革命と空前の好景気のおかげで、(モニカさんと不適切な関係をしたにもかかわらず)偉大な大統領の仲間入りをしたのです。

▼不動産バブル

これに対し、ブッシュは運が悪いというべきでしょう。00年から01年にかけて、ITバブルがはじけてしまった。で、どうしたか? FRBは01年、なんと11回(!)も利下げをした。その金はどこに回ったかというと、不動産にまわった。不動産価格は以後07年まで上昇をつづけ、アメリカ経済の牽引役になります。

ドル還流という観点から見ると、「ITバブルは弾けましたが、今度は不動産に投資すれば儲かりますよ!」(^▽^) で、今大騒ぎになっている、「サブプライムローン問題」ってなんだ。説明する必要もないと思いますが、サブプライムローンとは、信用の低い(年収300〜400万円)人たちへのローン。

お金のない人たちが、ローンを組んで家を買った。ところが、返済できない人の割合がなんと15%にも達してしまった。このアメリカの問題がどうして、世界中で大騒ぎになったのか。シティーとかメリルリンチ等々の金融機関がサブプライムローンを証券化し、世界中で売りさばいていた。

フィッチとかムーディーズが「トリプルA」の格付けを出すもんだから、世界中の投資家が買い捲っていた。

▼減税・利下げ、そして・・・


ITバブル崩壊時を見ると、ブッシュ政権は、大型減税を実施しました。さらに、FRBは01年11回の利下げをした。公定歩合は1年間で5.75%から1.25%まで下がった。もう一つ見過ごせないことがあります。数字には出てきませんが、01年のアフガン攻撃と03年のイラク攻撃が、アメリカの景気回復に貢献しているということ。

今回はどうでしょうか?

ブッシュは1月18日、個人・法人減税を柱とする対策を発表しました。規模は16兆円程度。しかし、株の下落は止まらなかった。FRBは1月22日、0.75%の利下げを発表。株はその後急騰しました。今後も利下げはつづくことでしょう。

こう見ると、アメリカ政府の対策は、ITバブル崩壊時と同じです。もう一つ、効果の高い公共事業(イラン攻撃)が欲しいところでしょう。

とはいえ・・・

ITバブル崩壊、住宅バブル崩壊を世界的観点で見ると、「ドル還流システムがやばくなっている」となります。利下げがつづくことで、ドル離れはますます加速することでしょう。アメリカ政府はIT・住宅バブルの後、(戦争のほかに)何を牽引役に選ぶのでしょうか?

とはいえ、ITバブル崩壊時(00〜01年)と現在では決定的に事情が異なっています。当時、もう一つの柱=ドル基軸通貨体制は磐石だったのです。今はどうでしょうか?

1999年、ユーロ誕生
2000年、フセイン、原油の決済通貨をドルからユーロにする
2001年、9.11とアフガン戦争
2002年、ユーロ現金流通開始
2003年、イラク戦争。アメリカ、イラクの原油決済通貨をユーロからド
ルに戻す
2006年、ロシア、ルーブルでの原油輸出開始
2006年、ユーロの市場流通量がドルを超える
2007年、プーチン、「ルーブルを世界通貨(基軸通貨)の一つにす
る!」と宣言
2007年、イラン、原油の決済通貨をユーロ・円にする
2007年、中東産油大国がつくる湾岸協力会議は、「2010年に共通
通貨をつくる」ことを確認


どうですか?不動産バブル崩壊で、還流システムも心配。ドル基軸通貨体制も、ほとんど崩壊寸前まで来ていることがわかるでしょう。これらの事実を全部理解した後、ソロスさんの発言をもう一度引用しておきます。

<「現在の危機は、ドルを国際通貨とする時代の終えんを意味する
            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ワシントン・コンセンサスではなく、新しい保安官が必要だ」と述べた。>
(ジョージ・ソロス ロイター1月24日)


▼なぜ?

なぜソロスさんはこんな爆弾発言をしたのでしょうか?ソロスさんのブッシュ嫌いは有名です。なぜか? ブッシュは、アフガン・イラクを攻撃し、今度をイランを攻撃したい。戦争の時代になると、全世界でナショナリズムが高まる。すると各国は、人の流れ・資金の流れへの規制を強めるのです。
(例、ファンドの規制、マネロン規制、オフショア規制、投資規制等々)

ソロスさんは投資家。投資家というのは、グローバル化が進み、国境がなくなり、世界共通ルールができて欲しい。それが一番儲けやすい環境ですからね。別に、ドルが基軸通貨でなくても儲かればそれでいいのです。

ブッシュ政権は世界を緊張させ、グローバル化と反対の方向にむかわせている。そんなわけでソロスさんはブッシュを非難しているのでしょう。ちなみにグリーンスパンさんやバフェットさんもブッシュに批判的です。

<「現在の危機は、ドルを国際通貨とする時代の終えんを意味する。
            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ワシントン・コンセンサスではなく、新しい保安官が必要だ」と述べた。>
(ジョージ・ソロス ロイター1月24日)


アメリカはなんでこうなっちゃったのか。もっと細部まで知りたい人は、下の情報をゲットしてください。詳細な資料つきで全部わかります。(おわり)


(私のコメント)
昨日は日本の超低金利政策について書きましたが、アメリカがバブル崩壊で超低金利政策をとった場合どうなるのだろうか? 超低金利政策をとったほうがいいのか? あるいは超低金利政策が出来るのだろうか? 株式市場や不動産市場が持ち直せばいいが、米政府やFRBはバブルを上手く軟着陸できるだろうか?

日本の場合はバブル崩壊に対して、株や土地は直ぐにでも回復して持ち直すと見ていて対策が遅れてしまった。以前なら補正予算を組んで景気対策を打てば景気が回復して株も土地も直ぐに上がったからだ。しかしバブル崩壊は1500兆円もの資産損失を生んで銀行もバブル企業も倒産の危機の瀬戸際まで追い込まれていた。そのことを政府日銀は認識していなかった。

当時の宮沢総理は銀行の不良債権の16兆円程度を公的資金で買い取れば解決すると思っていたようだ。しかし銀行も大蔵省も責任問題化するのを恐れて公的資金で不良債権の買取は行なわれなかった。銀行はバブル企業に追い貸しをして倒産を防ぎましたが4、5年たっても景気は回復しなかった。マスコミも景気対策をするとバブルが再発すると騒ぎ立てた。

結局は2003年ごろまで土地は下がり続けて株も7000円台まで下げてしまった。日銀はゼロ金利で量的な緩和をしても株も土地も回復せず、銀行に公的資金を注入して不良債権を吐き出させてようやく底は打った。要するに不動産バブルは不動産相場が底を打って回復しないと不良政権の額が確定しないから政府の手もなかなか打てないのだ。

アメリカも不動産バブルが崩壊し始めましたが、政府中央銀行の打つ手は限られるだろう。不動産がらみの債券の流通はストップして、住宅も下がり始めて底は見えない。これでは金融機関が不良債権の穴埋めをしても不動産の値下がりが何年も続いて金融機関も体力が尽き果てて倒産するところも出てくるだろう。

松藤民輔氏のブログによれば海運指数も43%も下落して景気の悪化が予想され始めた。アメリカの金融機関もリストラを始めたばかりであり、金融危機はまだ実体経済への影響は限られている。まだ多くのエコノミストが強気の見通しを述べて直ぐに回復すると予想を述べていますが、まだ現状の認識自体が混乱した状況だ。それはまるで日本の時と同じように見える。

株式相場や住宅相場が下落すにしたがって金融不祥事が次々とアメリカでも発覚するのではないかと思う。飛ばしや隠蔽工作をして経営内容をごまかそうとする。デリバティブなどの金融テクノロジーが中を不透明なものとしてしまう。フランスのソシエテジェネラルでは7500億円の不祥事が発覚しましたが、まだまだ氷山の一角だろう。

ロシア経済ジャーナルのメルマガではソロス氏の発言を紹介してドルを国際通貨とする体制の終わりを指摘している。アメリカ人の多くはまだドルが世界の基軸通貨であることを自然の法則であるかのように思っていますが、2002年のユーロの流通開始はドル基軸通貨時代の終わりの始まりだ。

ユーロ経済圏はアメリカ経済圏よりも大きくて流通量や人口などもアメリカを凌駕している。それに対してアメリカは巨大な双子の赤字を抱えて中南米国家のようになりつつある。事実アメリカ南部はスペイン語が幅を利かせはじめている。次期大統領が誰になるのか分かりませんが非常に困難な時に大統領になる。

2000年以前は泣いても笑っても国際通貨はドルしかなかったからアメリカは好き勝手なことが出来ましたが、ユーロの登場で風向きが変わり始めた。やがては基軸通貨の多極化が始まりドルはローカル通貨となるだろう。そうなれば双子の赤字はメキシコやブラジルやアルゼンチンと同じような経済パニックが襲うことになるだろう。

アメリカ人でも目先の効く人はドルからユーロや金などに切り替えている。日本人も今の内にドルを売って他の外国通貨に切り替えておいた方がいいだろう。アメリカの手先のようなエコノミストの発言には注意した方がいい。ソロス氏の方がよほどドルについてクールな見方をしている。ヨーロッパ人はドルを持たず中東産油国やアジアや日本がドルの山を持っているのですが、一斉に売り始めたらどうなるのだろうか?

このように「株式日記」でいくら書いても理解できない人には理解できないようだ。日本はアメリカと命を共にすべきではないし逃げられるうちに逃げた方がいい。90年代にアメリカが日本に対して行なったジャパンバッシングを忘れてはならない。アメリカは中国と手を組んで日本を潰しにかかってきたのだ。アメリカは台湾を見捨てて韓国も見捨てるだろう。中国にアジアの覇権を任せてアメリカはアジアから撤退するだろう。だからこそ日本は今のうちから自立の道を探るべきなのだ。




アメリカや中国を生かすも殺すも日銀の金融政策次第だ。政府日銀は
超低金利政策が日本にデフレをもたらしたのが分からないのだろうか? 


2008年1月29日 火曜日

なぜ、日本はデフレなのか? 1月29日 FIFTH EDITION

すいません、今日はバーナンキの話をしようと思っていたんですけど、最近、考えていた、「何で日本はデフレが終わらんの?」という話について、ちょっと思いついた話があるんで、書かせてもらいます。

もっとも、いろんなブロガーの意見のパッチに過ぎないものではありますが・・・!えーとですね。そもそも、なんですけどね、

ゼロ金利政策

量的金融緩和政策

というような、「市場を資金でジャブジャブにする」政策を、ここ数年、日銀は続けてきました。本来、こういう政策を取ると、インフレ期待があがって、長期金利は上昇します。また、市場に金が大量に流れ込むわけですから、経済がインフレ気味となり、本来は、物価が上がっていくはずだったんです。

これは、フリードマンが主張したように「全てのインフレは究極的には貨幣的現象なのだ」と言ったのに発しますが、基本的に、資金がジャブジャブになれば、インフレが起こるんです。これは、詳しく説明しなくてもいいかな。

政府がじゃんじゃんお札をすれば、貨幣の価値が下がります。貨幣の価値が下がれば、同じモノ・サービスに払わないといけない貨幣の数が増えるのは当然なんです。

それがインフレを招くわけです。ところが、日銀がこれだけお金をジャンジャン市場に投入したのに、日本はインフレになるどころか、デフレになってしまった。これが2000年代のなぞでした。なぜ?

で、なんですが、最近、いくつかのブログとかグリーンスパンの自叙伝「波乱の時代」とか日経で連載しているグリーンスパンの自叙伝読んでいて、「あー、日本がデフレになった理由がやっとわかった!」と思ったんで、それを今日は書いてみようかな、と。

まぁ、仮説なんですけどね。

グリーンスパンの伝記は、こちらなんですけど、これ、経済学の初歩的な教科書としても使えるようなものです。楽しく金利とか経済について学ぶならば、非常にお勧めの本です。で、今、日経の「私の履歴書」でグリーンスパンの自叙伝が連載されているんですけどね、今日の奴で、「謎」の話が出ています。

FRBとグリーンスパンは、2004年に、4年ぶりとなる利上げを行いました。グリーンスパンFRBは、かつて利上げをするときは、段階的に引き上げていくのが常だったので、市場はそれを織り込むだろう、利上げを開始すれば、長期金利の上昇が起こるだろうと、FRBは予想していたんです。

そして、そのことが、最終的には、住宅ローン金利の上昇を招き、それは住宅バブルを中和できるかもしれない・・・という期待があったようなんですね。もっとも、2004年には、すでに都市部の中古住宅価格は二倍近くに跳ね上がってしまったんですけど。要するに利上げが遅すぎた・・・ということでもあります。

【米経済コラム】サブプライムで大もうけしたあなたへ助言-M・ルイス

今日、こんなコラムを読みました。住宅バブルの崩壊に賭けてヘッジファンドをつくり、それで30億−40億ドル(約3190億−4250億円)儲けたジョン・ポールソンのお話です。

要するに、サブプライム問題ってのは、住宅バブルの崩壊の話なんですけど、それは、FRBでも、それから、ゴールドマンサックスやジョン・ポールソンのように、サブプライムの崩壊にベットして大もうけした人達間では、認識されてはいたわけです。

ですが、市場は、それらのサインを無視した。そして、何よりの問題は、FRBが金利を上げていったのに、長期金利が上がらなかったことです。

これが、アメリカの消費者をバブルに巻き込んでいった原因の一つになったんですがね。グリーンスパンは、これを「謎」と呼びました。普通の経済理論では考えられないことが進行したからです。グリーンスパンは、この原因について以下のように考えていました。いくつか引用します。


つまり、途上国における余剰貯蓄が、金融のグローバル化と合わさって、世界の金融市場にあふれ出した。そのカネが、アメリカの国債に流れ込んでおり、それが長期金利を押し下げている・・・というのがグリーンスパンの見方だったんです。

そのため、短期金利を上げても、長期金利があがらなかったという説明です。途上国のマネーが、それを買い支えてしまうので、長期金利が下がらないんです。そして、そのことが、一層の不動産市場の加熱を招いた・・・と。


ヘリコプター野郎

ぐっちーさんのブログからの引用になりますけど、日本では、日銀が市場にカネを流し込んで、資金がジャブジャブの状態なんです。普通、ここまで流し込めば、すぐインフレ気味になるはずだった・・・んです。

ところが、そうならなかった。現実には、郵貯などに国民が貯蓄を行い続け(超低利なのに)、そのマネーが国債に流れ込んで、その価格を維持しつづけたちゃったんです。だから、長期金利が上がらなかった。

ところが、ところがです。資金は、そこだけに都合よく向かわなかった。最近話題の、というか、もはや伝説クラスのトレーダーであるB・N・F氏が四年前に危惧してたことですが、

ジェイコム男ことBNF氏は単なるデイトレーダじゃない【資金ジャブジャブの影響】

そして、これが実際に日本で起こったことでもあります。無論、それは、スタグフレーションでなく、現実には、これこそが、デフレの原因となったんだと思ったんです。つまり、世界的な資金ジャブジャブ現象こそが、日本のデフレを引き起こしているってことです。

他の先進国と比べ日本経済はどこが特別なのか?

原材料価格の高騰に伴うインフレ期待の行方

輸入価格と輸入物価、国内物価への波及経路

それは、こちらのecon-economeさんのエントリを読んで、はっきりとわかったんですけどね。詳しいことは、上記のエントリを読んでもらうとはっきりとわかると思うんですけど、簡単にこちらでも、ご紹介させてもらいます。えーと、その前に、3つの論点を確認しておきたいと思います。

1、ここ5年ほど、世界的に、資金ジャブジャブが続いている。理由は、FRBの低金利政策、日銀のゼロ金利政策、途上国の余剰貯蓄のため。

2、あふれ出したマネーは、国債や株券だけでなく、一次産品にも流れ込む可能性がある。その場合、一次産品の価格高騰をも、もたらす。

3、日本は食料自給率が低く、鉱山資源などがないため、石油、石炭、天然ガス、レアメタルなどは全面的に海外に頼っている


さて、この3つの論点を踏まえた上で、日本の話をしますが、日本って国は、その性質上、食料と原材料を完全に海外に頼っています。そして、それらは、ほとんど生活必需品といっていいものばかりです。さらに悪いのは、国内で生産できないものであるということです。

そして、ここからが問題なんですが、それらが高騰した場合、日本国民は、それらを割高な価格で買うか、もしくは、買う量を減らさざるをえなくなるということです。

ここは、考える時間です。


皆さんの生活を考えてみてください。生活必需品が、全般的に値上がりしたとしましょう。そうした場合、皆さんは、生活必需品を割高な金額で買うしかありません。

そして、次が問題となります。生活必需品が割高になったとします。そうなったら、あなたが取るべき方法は二つしかありません。生活必需品が値上がりした分、他の製品やサービスを買うためのお金を減らすか、あるいは、全面的あきらめるか、です。

ここが問題なんです。

これが起こると、非常にまずいサイクルがまわります。

日本は、海外で生産された生活必需品が割高になっても買うしかない。

そうなれば、国内で生産されたモノ・サービスにまわるおカネが減る。

結果的に、国内で生産されたモノ・サービスの需要が減ることになるので、価格が下がる。

結果的に、輸入するしかない生活必需品の値上がりが、国内のデフレの原因となる。

というサイクルです。

日銀が、どんだけ金を市場に流し込んでも、インフレにならなかった理由が、これではっきりとわかったんです。というより、インフレにならず、デフレになっちまった理由ですね。

つまり、世界的にあふれ出したマネーが、一次産品に流れ込み、石油、石炭、天然ガスや食料品の価格高騰を招いた。そして、一次産品値上がりは、日本の家計の、国内における財・サービス購入の減少に結びついたということです。

つまり、資金ジャブジャブが、結果的に、ですが、日本ではデフレ圧力としても作用したということです。それが、日銀の資金注入によるインフレ圧力を相殺してしまった。その結果だということです。

ま、そこらのブログとか記事を読んでて、パッチワークみたいに張り合わせた結果なのですけどね。

まとめ

日銀は、2000〜2006年にかけて、大量の資金を市場に流し込みました。

そして、BNF氏のいうように、為替介入によって円からドルに変えられ、そのドルはアメリカの国債に流れ込みます。これが、アメリカで利上げが行われても、長期金利が上がらなかった理由です。日銀が流し込んだカネが、国債の価格を買い支えちゃったんですね。

無論、日銀だけでなく、途上国の余剰貯蓄マネーも、それを買い支えてしまった。同時に、これらのマネーが米国債を買い支え、アメリカの長期金利が低下し続けたことでアメリカの企業は業績が好調になった。お金借りやすいのだから、簡単に鞘がとれる。

結果として、株式市場と不動産市場が堅調になった。株式や不動産を担保にすれば、アメリカ人は安くカネを借りれるので、アメリカ人は、さらに消費地獄へと導かれていった。日本企業や、途上国の企業は、輸出を増やして、それをアメリカ人に消費させた。

日本企業は輸出でウハウハ。中国などの途上国も、輸出でウハウハだ。だから、みんな、このゲームに乗った。しかし、副作用があった。

流れ出したマネーは、都合よく債券だけにまわらなかった。現実には、不動産や一次産品にも流れ込んだのだ。欧州全域の不動産価格の上昇、それから、日本の都市部での局所的な不動産の上昇。インフレは起こらなかったが、不動産バブルの芽がまかれることになった。


そして、レアメタルやコモディティ、食料品などにも、マネーが流れ込んだ。中国、ロシア、ブラジル、インドの急成長によって、レアメタルや石油、石炭、天然ガス、それから食料品などの消費量が増えるので、それらが値上がりするという思惑もあったせいだろう。

結果として、一次産品が急激に値上がりした。

アメリカの場合は、食料やレアメタル、石油などをある程度、自国で生産できるので、それは、どちらかというと、インフレ圧力として作用した。(現在、アメリカにはインフレの兆しがある)

一方で、日本では、一次産品などを自国で生産できず、他国から輸入するしかなかった。そのため、日本の家計は、割高な輸入品を買う代わりに、国内財やサービスの購入を減らした。

つまり、市場の資金ジャブジャブは、日本ではデフレ圧力として作用した。

そして、最後に、考えられる対策

以上で見てきたように、ここ数年の日本のデフレの原因の多くは、輸入するしかない一次産品の値上がりが原因である。そして、その値上がりの原因は、世界的な資金ジャブジャブである。

絶対にやりそうにないが、効果が高そうなのは、アメリカと日本、それから中国が、一気に金利を引き上げることになる。

そうなれば、一時的に、これら三カ国で、企業倒産がおこり、失業者が3%くらい増えるだろうが、一方で、消費に急ブレーキがかかるので、一次産品の価格が下がる。

また、高金利になるので、マネーが不動産や株から債券に流れ込む。結果として、不動産バブルを防げる(かもしれない)。多分、3〜4年くらい、世界成長に悪影響がでるだろうけど、不動産バブルと一次産品の値上がりを止めれる。

結果としてだが、世界経済はいい方向に向かう(かもしれない)し、現在の日本を悪い方向へと向かわせているデフレも容易に退治できる。(ただ、そこに至るまでの数年間、デフレが酷くなる)。って所だろうか。

絶対無理だな。

まぁ、現実的には、ガソリンの暫定税率をはずして、食料品や天然ガス、石炭などにかかっている税金や関税なんかを半分程度にするか、もしくは、まったくなくしてしまうのが、いいだろう。そうすれば、値下げしたのと同じ効果がでるかもしんない。

ただ、これをやると、赤字だらけの国や地方自治体が、さらに困って、国債やら地方債やらを乱発することになり、それが将来の成長率を押し下げることにもなるんだけど・・・

これも無理か・・・・

そういや環境対策といえば

関係ない話だけど、環境保護するなら、手っ取りはやいのは、中国とかアメリカが金利を急激に引き上げるのが効果的です。ついでにガソリン税を上げるとか。二酸化炭素の排出規制とかより、はるかに。

だって、金利を一気にあげれば企業活動が一気に停滞し、消費も一気に冷え込むもん。そして、二酸化炭素の排出量なんてすぐに減るよ多分。そのうち、グリーンピースの人たちが、金利引上げのために、中央銀行の前で、デモとかする日が来たりして。

テロだな、これじゃ。


(私のコメント)
現在のような規制緩和と自由化が行なわれた世界では、国内の金融政策の効果が国内だけではなくて海外にも波及してしまう。政府日銀の金融緩和政策は債券が購入されることで金利の低下が起こり、金利の低下は株式や土地の値上がりにも効果がある。さらに金利の低下は設備投資や消費者ローン金利の低下にもなり消費も拡大する。・・・はずだった。

実際に政府日銀が金融緩和や量的緩和を行なっても金利が下がるばかりで設備投資にも消費にもあまり影響が出なかった。むしろ金利が下がることで海外との金利差が広がり円キャリーが盛んになって日本のマネーは海外に出稼ぎに行ってしまった。なぜならば日本の株式や不動産は下げ続けて底が見えなかったからだ。そして株も土地も2003年頃ようやく底を打った。

2003年に日本の株式市場は長期下落トレンドから長期上昇トレンドに転換した可能性が非常に高い。2005年10月15日 株式日記

グリーンスパン氏の著書にもあるように住宅バブルを警戒する意味で短期金利を引き上げていったのですが長期金利は上がらなかった。バカな政府日銀がドルを買いまくって米国債を買い続けたからだ。政府日銀はグリーンスパンの金融引き締めの意味が分からなかったようだ。そのためにアメリカで住宅バブルが発生してしまった。

「株式日記」ではこのようなドル買いはやめろと何度も主張してきた。ようやくグリーンスパンから止めろと言われてドル買いは止めましたが、このことからも政府日銀がいかに馬鹿であるかが分かるでしょう。彼らは主体的にものごとを考えて自主的な行動が出来ないのだ。

なぜ金融緩和が日本ではデフレになってしまうのか謎でもあったのですが、円キャリーで流れ出たマネーがアメリカの株や不動産を買い支えている時はアメリカの好景気が日本の輸出産業に好景気をもたらした。円キャリーで円安気味になったから輸出企業は儲かってしょうがない。しかし、投機マネーは一次産品にも向かっていった。

外国為替の事を考えるときは2000年以前と以後にはっきり分けて考える必要がある。2000年以前は国際通貨としてユーロが無くてドルが安くなる時はNO2の通貨である円がヘッジとして買われた。だから90年代は円が79円まで買われた。しかしユーロが登場してから円よりもユーロが買われるようになり、円は買われなくなった。むしろドルと円は連動するようになり円キャリーにおいても都合が良くなって円安気味に推移するようになった。

円安気味に推移するようになって海外の一次産品の物価高が影響するようになり石油やレアメタルや食品などの値上がりで日本企業は利幅が減って儲からず、従業員の給料も上げられない。むしろ正社員からパートや派遣等に切り替えられて手取りは減る一方になった。手取りが減れば消費も減ってデフレがひどくなってくる。

ではどうしたら消費が増えて景気は良くなるのだろうか? 日本には個人の金融資産が1500兆円もありますが超低金利だから利息収入がつかない。これが5%の金利なら毎年75兆円の金利収入があって消費はそれだけ増える。海外からもドルが売られて円が買われて円が高くなって一次産品が安く買える。日本企業は利幅が増えて従業員の給料も高くなるだろう。

しかし日本の金利は超低金利のままですが、アメリカから始まった金融危機は日本の利上げを難しくしてしまっている。なぜアメリカのFRBが利下げをするたびに株も下がるのか? 利下げをすれば日本との金利差が無くなり円キャリーの逆流が起きる。バーナンキはその事が分かっていないようだ。アメリカの株や不動産は日本からのマネーで買われて高くなっていたのだ。

金余り終焉を懸念 BRICsも急落、世界同時株安日本銀行が世界経済の動向を左右する時代が来ていた 2006年5月25日 株式日記

<以上のようなニュースを並べてみれば、日本銀行の金融政策が世界経済の動向に大きな影響を与えている事がよく分かります。だから日本銀行総裁の政策決定がいかに重要なものであるか、世界の株式市場の動きを見ればよく分かります。いまや日本銀行が世界の資金供給の大元であり、日本銀行が資金供給を締めれば世界経済は逆転を始めます。>


FIFTH EDITIONのブログでは一次産品の値上がりを抑え込むにはアメリカ、日本、中国などが利上げをして景気を冷え込ませて企業倒産などで需要や消費を減らして一次産品の価格を引き下げさせて、利上げをすれば株や不動産から債券にマネーが流れることでバブルは収まるとしている。しかし日本の経験から言えばバブルは潰すのではなくソフトランディングさせるのが正論だ。

世界の金の流れは、日本の超低金利によるマネーが金利の高いアメリカに流れてバブルを起こし、そのマネーがアメリカのファンドを通じて新興国に投資されて中国やインドなどが好景気に沸いた。しかし日銀がゼロ金利を解除して0,25%ずつ利上げをしたことでマネーの流れは逆転を始めた。

なぜ日本のデフレの原因が超低金利のせいなのか、風が吹けば桶屋が儲かるような話で複雑なのですが、世界経済は連動しているから政府日銀のような低脳官僚ではこのような世界経済にどのような影響をもたらすか予測が出来ないのだ。経済学の教科書では不景気になったら金融緩和すれば良くなると書いてありますが、グローバル経済では日本のような資金供給国はデフレになってしまう。

中国や中東産油国も経常収支が黒字だから資金供給国のように見えますが、中国もバブルが崩壊すれば投機資金も逃げて赤字になり、中東産油国も石油が値下がりすれば赤字になってしまう。ところが日本はバブルが崩壊しても経常黒字が続いている。それだけ産業技術力が強いからですが、石油が高くなっても日本の省エネ技術は世界に通用する力を持っている。つまり日本が世界の富の源泉を持っているのだ。しかし政府日銀がバカだからバブルを世界にばら撒いてしまった。

アメリカや中国を生かすも殺すも日銀の金利政策にかかっているのですが、福井日銀総裁はその事が分かっているのだろうか?




米国は、経済危機に際しての政府の行動が素早い。しかも野党の
民主党が政府に協力的である。完全に浮き世離れした日本の国会


2008年1月28日 月曜日

戦争をしている国 1月28日 経済コラムマガジン

モノラインの話
連鎖的な世界株安に対する米国政府とFRBの対応が素早い。これも一般の日本人が思っているより、米国の実態経済が悪いことを米国の当局が認識しているからであろう。事前の予想は「28日の一般教書でブッシュ大統領が景気対策を発表」「30日のFOMCで利下げが決定」であった。その予想を覆し、早めに対策が実施された。

しかも事前には10兆円程度と予想された景気対策が15兆円に増額された。また必要があれば、さらに財政出動の増額を検討するという政府のコメントが追加された。一方、30日の利下げ幅は「0.5%か0.75%で、0.75%の方が濃厚」と予想されていた。ところが22日に前倒しで0.75%の緊急利下げが実施され、さらに30日のFOMCで追加の利下げを行うことが示唆された。

しかし市場関係者の間には、「対策が遅すぎる」「景気対策の金額がまだ小さい」という声がある。実際、サプライズを演出した景気対策の発表や緊急利下げの実施にもかかわらず、当初、ニューヨーク株式市場の反応は鈍かった。特に18日の大統領の景気対策が公表されたが、株価は逆に下落したのである。この下落が影響し、連鎖的に世界の株価が大幅に下落したのである(フランスのソシエテの持ち株処分も影響しているという話が飛出しているが)。

ニューヨークの株式市場が小康を取戻し、さらに反発に転じたのは、「モノライン会社」に対する対策が検討されているという報道が流れてからである。日本でなじみの薄いモノラインとは、金融証券に特化して保証業務を行っている保険会社のことである。一方、あらゆる分野の保証をしている一般の保険会社はマルチラインと呼ばれている。

以前、モノラインは、地味に保証料をとって地方債などの金融商品の元利を保証していた。しかし近年、モノライン(全てのモノライン会社ではないが)はサブプライムローン関連の証券の保証を行うようになった。サブプライムローンの急増によって、モノラインの業容は急拡大した。

ところがこのサブプライムローンが焦げ付き始めたのである。これによってモノライン会社が大きな損失を出し、資本不足になり、資本増強が必要になった。ところが格付会社(フィッチ)が、大手モノライン会社アムバックの格付をトリプルAからダブルAに引下げた。この格下げをきっかけに増資の引受け手がいなくなり、同社は窮地に陥っているのである。モノライン各社は地方債などの他の金融証券も保証しているので、モノラインの格下げや破綻によって、保証しているこれらの債券も格下げになる可能性が出てきた。

債券が格下げされれば債券の価格は下落し、これらを保有している金融機関は評価損を抱え込むことになる。サブプライムローン問題だけでも大変なのに、さらに他の債券の評価損まで引当てるということになれば、米国の金融界はパニックになる。したがってこのモノラインの救済策が検討されているというニュースが流れ、ニューヨークの株式市場は急反発したのである。

しかしモノライン会社の救済は難しい。このことは当局も認めている。まず米国では保険会社を管轄するのは、連邦政府ではなく州政府である。だいたい市場に流れた「ニュヨーク州の当局は大手金融機関に1兆6,000億円の増資に応じるよう要請している」という話自体の真偽が不明(具体的な救済策は決まっていないと思われる)なのである。さらにもし仮に増資が実現してもどれだけ有効なのかも不透明である。いずれ州政府には手に負えず、連邦政府が乗り出す事態も予想され、解決まである程度の時間を要するものと見られる。だいたいモノライン会社は民間会社であり、ちょっと考えても救済策の実行が簡単に行われるとは思われない。

モノライン問題は意外なところに波及している。モノライン会社は一部の保険を再保険で外部に売却しており、日本の保険会社もこれを買っている。損保ジャパンは、モノライン会社の再保険を購入しており、先日、この損失を引当てたことを公表した。筆者は「モノライン会社の救済策」と「S&Pやムーディーズなどの格付会社のモノライン会社への格付」を注目している。このようにサブプライム問題に限っても、影響がこれだけ広がっているのである。

リアリズムの国
サブプライム問題のここまでの経緯を簡単に振返ってみる。サブプライム問題が初めて世間の注目を集めたのは昨年の7月後半であった。米国の大手金融機関がサブプライムローンで大きな損失を被ったという話が飛出し、これによって世界の株価が下落した。しかし当初、7〜9月の金融機関の決算が出て損失が確定すれば市場も落着くものと予想された。

10月、11月に金融機関の7〜9月の決算が出揃った。金融機関の損失は大きかったが、この発表によって金融不安の方は一応解消したと見なされた。ニューヨークの株価も10月、11月は小康を保っていた。当時は、これで後はマクロ経済の落込みがなんとかなれば、サブプライム問題は解決するという雰囲気であった。

ところが12月までの金融機関の決算状況が明らかになるにつれ、その損失額があまりにも大きくなっているので、一旦収まった金融不安が再燃した。またモノライン会社の経営危機が表沙汰になり、これが金融不安に拍車をかけた。一方、予想通りマクロ経済の落込みがはっきりしてきた。ニューヨークの株価も大きく下落し始めた(金融関連以外の銘柄も下落した)。

このように米国経済が抱えているのは「金融不安」と「マクロ経済の失速」の二つの問題である。米政府と金融当局(FRB)の今回の措置はこの両方を意識したものである。少なくともこれらを放っておけば、両者が相互に作用して事態が悪化し、両方の問題がさらに深刻化する。

筆者は、今回の政府とFRBの措置だけで、米国経済と米国の市場が回復するとは考えない。しかしこれらの対策が打出されていなかったら、市場はパニック状態になっていた可能性が強い。その意味で今回の一連の緊急対策は価値があった。

今後、短期金利はゼロ金利まで下がる可能性がある。物価の上昇率が2%ならFFレートを2%まで下げ、実質金利をゼロにするのである。一方、財政出動の方は一応青空天井と理解している。実際、政府も必要なら追加措置を講じると言明している。

サブプライム問題に端を発するバブルの崩壊は現在進行中である。筆者は、やはり住宅価格が落着くまで、金融不安は解消しないと考える。米政府や金融当局(FRB)は、金融不安が解消するまでずっとこれに対応することになる。しかし政府が金融機関に直接資本注入を行ったり、サブプライムローン関連の証券を購入することは難しいと考える。建前上では、少なくとも米国は自由主義経済の国であり、政府の経済への直接介入はなるべく避けたい選択肢である。

米国の住宅価格は依然下落を続けている。住宅市場調査会社によれば、米国の住宅価格は昨年だけで8.46%下落した。しかし底に達しているとはとても言えない。したがって米国経済の混乱はまだまだ続くものと考える。

それにしても米国政府は、効果が十分あるかどうかを別にして(今回の緊急対策にかかわらず、市場の混乱はまだまだ続くと筆者は見ている)、実行する経済政策が大胆である。自由主義経済の信奉者の集まりである国であり、政府が経済に関与することを本来嫌うはずの米国で、経済危機に際しての政府の行動が素早い。しかも野党の民主党が政府に協力的である。完全に浮き世離れした日本政府とは正反対である。

米国は建前の国であると同時に現実的なプラグマティズムの国である。平時においては原理原則の綺麗事を常に言っているが、危機に直面すると極めて現実的な対応を行う。まさに米国はリアリズムの国である。筆者は、これは米国が常に戦争を行っているからと考えている。ガソリン税で大騒ぎしている平和ボケの日本とは大違いである。



(私のコメント)
アメリカは市場原理主義の国のはずですが、いざ自分のこととなるとIMFがアジア諸国に対してどのようなことをやったかケロリと忘れて、バーナンキFRB議長はヘリコプターから金をばら撒いている。しかしそれ以上の金がアメリカから逃げているから焼け石に水でしょう。経営危機に陥った金融機関は10%以上の金利で海外から金を調達して凌いでいますが、海外から金を引き寄せるにはそれくらいの金利が必要になっている。

アメリカのファンドも海外に投資していたものを引き上げているからしばらくはドル高になることもあります。その期間中は金利を下げられますがドルキャリーの逆流が終わればドルの買い手がなくなり金利は急騰するだろう。アメリカは毎年100兆円もの金を借り入れないとやっていけないからインフレと金利急騰はいずれやって来る。

アメリカは現在イラクに17万もの軍隊を派遣しているから財政は切れないし、FRBがヘリコプターから金をばら撒いているのだから国債を大量発行しなければならない。国債を買う金は国民にはないから外国に買ってもらうことになるが、買ってもらうには金利を高くしないと買ってくれないだろう。中国や日本が米国債を買ってくれるだろうか?

アメリカのファンドはオイルマネーやチャイナマネーやジャパンマネーを集めて世界に投資していたから信用不安で解約が増えて投資を回収しなければならない。中国経済やインド経済などのデカップリング論を言う人がいるが、アメリカのファンドなどの投資で発展しているのだから投資が引き上げれば中国もインドもバブルは崩壊する。中国もインドも自立的な経済発展ではなく資本も技術も海外依存であり、資金が引き上げられれば1997年のアジア金融危機のようなことが起きるだろう。

今回はアメリカやヨーロッパのバブル崩壊も一緒だから世界的なものになる。問題は世界経済の牽引車だったアメリカ経済がおかしくなり始めているから注意が必要なのですが、ガソリンや食品の高騰が消費者に襲い掛かっている。住宅ローンの破産もじわじわと増え続けサブプライムからクレジットカードまで広がり始めた。そのような状況で金利を下げても効果は一時的なものであり、パニックはまだまだ続く。根本的には住宅価格が上げ始めなければ収まりませんが当分は無理だ。

日本の住宅バブル崩壊も底を打った事で終わりましたが15年もかかった。アメリカの住宅バブル崩壊も同じくらいかかるのだろうか? 手っ取り早く終わらせるには「徳政令」で借金をチャラにすれば終わるだろう。しかしそんなことをすれば金融立国の信用は失われて中南米諸国のような二流国家になってしまう。中南米諸国では貸した金は踏み倒されるのが常識だ。


Jingle Mails, Jingle Mails, Jingle all the way!  2007年12月27日 ニューイングランド通信

大手銀行 Bank of AmericaのCEO, Kenneth Lewisが今一番心配しているのが、Jingle Mailなんです。

Jingle Mailが何かというと、家のカギが入った手紙のこと。
要するに、住宅ローンを払えなくなった人がForeclosureして銀行に家をあけ渡すってことです。どうもこれが爆発的に増えそうだと言うのです。

普通だったら、何としても自分の家を守ろうと思うでしょ?
だって損失になりますし、信用も失っちゃいますもの。それに愛着のある我が家を手離すなんて簡単にはできません。米国でもいつもなら、ほとんどの人はそう考えます。

しかし、今回の住宅バブル崩壊で、新たな開き直り族が出てきそうなんです。

だって考えてみると、
1) 頭金をほとんど払っていない。
2) 家の価値が下がって、もしくはイクイティの引き出し過ぎで、住宅ローン額の方が家より高い。
3) しかもその家の価値がどんどん下がる。
4) 通常なら、Short SaleやForeclosureにより軽減された分の借金額は、所得として税金を払わなければいけないのですが、この税金が2009年まで免除されるということになった

http://www.usatoday.com/money/perfi/taxes/2007-12-23-foreclosure-tax_N.htm
っていう人がたくさんいるのですよ。

つまり、信用(クレジットスコア)は失いますが、それ以外に失うものが無いんです。
逃げちゃった方が得ということになるんです。
クレジットスコアだって、7、8年すれば回復できますからね。30年も高いローンと価値の下がる家に縛りつけられるよりはマシってことになってしまいます。

Ken Lewis氏によると、貧困層ではなくて、ちゃんとクレジットカードの返済しているようなクラスでも、Jingle Mailしちゃい始めたそうです。

そうすると銀行は売れない家をたくさん抱えて、叩き売りしてまでも損失を減らすしかなくなりますね。そうなれば住宅価格はさらに下がり、もっとJingle Mailがやって来る。

シェー!悪循環。

私はバーゲンハンターなのでいいんですが、この米国の状況、本当に悲しいです。



(私のコメント)
アメリカという国はプラザ合意でドルを暴落させて日本からの借金を半分チャラにしてしまった。国家がそんな風だから国民も住宅ローンを借りて値上がり分で物を買いまくり、住宅が値下がりしたら鍵を銀行に返してあっけらかんとしている。それ以上失うものがないからだ。自動的に「徳政令」が行なわれてモラルハザードもなんのその、アメリカ人は中南米化してしまっている。

日本では住宅ローンの「徳政令」は行われず一家は離散してホームレス中学生までいる国だ。日本はそんなアメリカに金を貸し続けてはドル安で踏み倒されている。日本人は生真面目だから何十年かけても借金を返し続けていますが、世界的常識から言えば借金は踏み倒すものだ。ODAなどの借款も永久的に借り続けて返す国などない。しかし日本は戦後借りた借款は全部きれいに返した。だからこそ円は高くなる一方で超低金利でも金を借りる国民は少ない。日本も中南米諸国のように借金は踏み倒すものという「常識」を持つべきなのだ。




この危機が、ドルを世界の基軸通貨とすることによるアメリカの
信用拡大の時代の、終焉を意味している。ジョージ・ソロス


2008年1月27日 日曜日

ドル崩壊に備え日本は外交も経済もアメリカ依存体質から脱却せよ カレル・ヴァン・ウォルフレン SAPIO 2008年1月23日号

『日本人だけが知らないアメリカ「世界支配」の終わりの』の著者カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は、これまでの日本とアメリカの関係は、外交的にも経済的にも世界でも例のない“異常な関係”だと指摘する。そしてドルの崩壊が迫っているいまこそ、日本はアメリカ依存の体質から抜け出すチャンスだという。


世界で進行するドル離れの動き

日本がアメリカに何も要求をしないでただ従う“異常な関係”にあることは、これまでに私は何度も指摘してきた。しかし、アメリカの経済が弱体化し、ドル支配崩壊の危機が始まっていることを考えると、いよいよ日本もアメリカとの関係を考え直す時期が来たといっていい。官僚の中にもこのことをきちんと理解している人は多いが、がんじがらめの巨大組織の中で、行動することができないでいる。誤解している日本人も多いと思ううが、日本人は実はアメリカ人をそれほど好きでないことに気づいているはずだ。大国としてのアメリカをもはや称賛できず、むしろ自分勝手なやり方を軽蔑し始めているように私には映る。しかし、アメリカと表面的とはいえ、仲良くしていていると便利であるし、有事の際は、守ってくれると考えているから、この異常な関係が続いているだけだ。

たしかに最大の貿易相手国であるし、それ以上に国際社会の中でアメリカは、日本にとって一種の保証人のような行動をとってきた。日本がやるべきことを、アメリカが代理で面倒をみてくれ、国際問題でも、日本の首相、国会、官僚が中心的な決断をしなくても、アメリカの決断に従えばよかった。この便利な状態から抜け出すことはかなりの勇気と行動力が必要である。その意味で福田首相が、フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで円高ドル安は、短期的には日本にとってよくないが、長期的にはプラスになる、と言っていたが、これには驚いた。既に世界各国の認識はそれで一致しているが、まさか福田首相が長期的とはいえ円高容認の態度を明確にするとは思わなかったからだ。

さて、いまドル危機とか、ドル支配終焉がメディアで盛んに報道されているが、もはやこれぱ不可避であると思う。一昨年ドイツ銀行の専門家に会ったとき、彼は、「恐らく3年以内にドルの地位低下が起きるだろう」と予測していた。信じられないほどの財政赤字、増え続ける借金もその要素の一つだが、多くの専門家がドル危機を予測しているにもかかわらず、アメリカの政権ががドル対策をずっと放置しているからだという。そしてもっとも大きな要素は、アメリカ以外の国が、アメリカの自国をコントロールする長期的能力について信用しなくなってきたことである。

ただ、ドルを基準に各国通貨との交換比率を定めた1945年のブレトンウッズ協定のように、各国の話し合いでドル以外の通貨を基軸通貨にするという形ではなく、もっとインフォーマルな形でドル基軸が崩壊していくであろう。

ではなぜ、ブレトンウッズ協定のように協定を結んで、ユーロ体制にしないかと言えば、それはユーロがまだヨーロッパ域内での通貨統合作業が終わっていないためそちらを優先せざるを得ず、世界の基軸通貨となる準備が整っていないからだ。だから、徐々に移行していくしかない。

一昨年、大阪で行なわれたアジアでの地域統合の可能性を探るシンポジウムに出席したが、市場の統合だけでなく、さらに踏み込んでヨーロッパのユーロのような形で進める、アジアでの共通通貨の必要性も専門家の間で議論が交わされた。りドルの乱高下から受けるアジア各国の通貨への影響を小さくするため、共通通貨の検討は当然のことと思うが、外貨準備でもドルからユーロへのシフトが進むなど、すでにドル危機に備えて話があちこちで進んでいることには愕然とした。今から準備しておかないと、いったんことが起これば雪崩のように拡がり、対処が間に合わないからであろう。今の日本は、9000億ドル(約104兆円)超の外貨準備高があるの一で、ドル崩壊が生ずれば、数十兆円規模の損失を受けるだろう。この20〜30年で、膨大な日本のお金がアメリカに流れた。これはアメリカ国民にとってはプラスになるが、日本にとっては何のプラスにもならない。

中国はもはやドルをサポートしない

それでは、ドル崩壊はどのようにして起きるのだろうか。きっかけは、多くの不測の政治的要素が考えられるが、もっとも可能性が高いのは、アメリカのイラン攻撃である。最近「03年にイランは核兵器の開発を中止している」という米情報機関による報告が明らかになったので、すぐにアメリカがイラン攻撃を開始する可能性は低いかもしれない。しかし、ブッシュ大統領は依然、イランをテロ支援国家として、いまだ武力行使も辞さない考えを持ち続けている。実際にイラン攻撃が起きれば、連鎖的に他の事態を引き起こし、一気にドルか崩壊する可能性がある。例えば中国の反応だ。イランに原油の輸入の多くを頼る中国がドルを支持しなくなれば、保有する大量のドルを売り飛ばす可能性だって否定できない。その影饗は甚大で、ドル崩壊のきっかけになる。たとえイラン攻撃が起こらなくても、政治的なショック、戦略的なショック、何か予測不可能なショックが1つ起きれば、それがドルの信用不安へと連鎖的に向かう可能性があるので、やはりドル崩壊の可能性は過小評価できない。最近北京大学の専門家に会ったが、もしドルが崩壊しかかれば、中国はドルをサポートしないだろうとと話していた。

とは言ってもアメリカ人は、アメリカが世界経済の中心であると思い込んでいるし、ドルが基軸通貨であると思い込んでいるから始末が悪い。まるで自然の法則であるかのように当然のように思っている。アメリカでは現在大統領選の予備選がたけなわであるが、超タカ派のジュリアーニ(共和党)が大統領になれば、すべての点で今よりももっと悪くなる。特に外交面では、強硬な態度を取れば、世界がアメリカに従うと考えている。アメリカでも「脳あるブッシュ」と言われており、彼が大統領になればファシストのような国になるだろう。

オバマ(民主党)はどうか。彼はことあるごとに「外交オンチ」と指摘さているため、よほどのことがない限りいまの状態は変わらないだろう。対日政策もそのまま続く。だからこそ、日本はそれを逆手にとって、アメリカへの病理的な依存体質から抜け出すべきである。

ただ、ヒラリー・クリントン(民主党)がなった場合はどうなるか見えない。それは彼女が自分のパーソナリティが表に出ないようにしていることも関係している。

しかし今の大統領候補者たちを見ると、誰も対日外交政策のことを知らない。だから誰がアドバイザーになるかで日本への外交政策は変わってくるであろう。アメリカにとって日本は、経済的には重要であるが、政策面ではどうでもいい国なのである。黙って従ってくくれると思い込んでいるからだ。

今こそアメリカとの従属関係から脱出すべき

誰が大統領になるにしても、私が日本にアドバイスしたいのは、外交的にも経済的にも日本はもっとアジアの他の国とフレンドリーになり、強固な関係築くべきだということだ。。中国は日本にとってもっとも重要な近隣国である。中国に関して、有事になっても、アメリカは日本を助けることはないだろう。だからこそ、中国と友好と不可侵について総合的な理解に達することが重要であり、その後ASEAN+3(東南アジア諸国連合+日中韓)のような共同体を目指していくべきだ。それが日本にとってベストである。

もちろん、アメリカとの何も言わずに従属する異常な関係も考え直した方がいい。

このことをもっともよく認識しているのは、中曽根康弘と小沢一郎だが、中曽根はもう年をとりすぎているので、小沢が舵を取るようになれぱ、日本もアメリカ依存の体制から変わるだろう。小沢は、日本が外交面でアメリカに頼らざるを得ない、国際政治での弱さを理解している。だが、日本のメディアは小沢の徐々にでもアメリカの外交政策から距離を置こうとしている試みをきちんと評価していないのではないか。彼は大局的な見方ができる人で、物事を三次元的にみることができる数少ない有能な政治家である。彼なら、アメリカとの異常な関係を冷静に見直して、従属関係から抜け出す行動を取ると革新する。

世界的なレベルでみると、あちこちで経済的な地震が起きている。例えば、アメリカ最大の貿易相手国である中国は、近年ラテンアメリカとの関係を深めている。中国とラテンアメリカの06年の貿易額は702億ドルに上り、今までにないほど密接な経済関係になっている。このような小さな地震が世界中で起きてきており、日本は手を拱いて傍観している余裕はない。さらに政治的な面からみれば、先が見えない状態である。

今の日本の政治家は半分眠っている状態だ。アメリカとの妄想的な関係から抜け出せないでいるので、思考が止まった状態である。日本の政界が衆参ねじれ関係で不安定であることもあって、長期的な戦略を考える余裕がない状態である。その場限りの発想しかできないでいる。しかし、政治家や官僚の中には、頭できちんと理解している人がいるので、あとは日本の政治をもう少し安定させることだ。日本の政治体制はすぐに変わることぱないが、長期的な見方を行動に移せる人がトップに立たないと日本は先が見えている。

アメリカは日本との今の関係は変わらないと考えているため、余計に日本のことを考慮せずに、中国との関係を最優先にしている。日本はそういうアメリカと決別して、ドルに頼ることも徐々に減らしていくべきだ。実際にドル崩壊が起きれば、もっとも打撃を受けるのは日本ということを忘れてはならない。


(私のコメント)
日本には長期的な国家戦略を考える機能がなく、いるのは次の選挙のことしか考えない国会議員と、役所の利益と自分の天下り先のことしか心配しない役人たちだけだ。大学教授も民間のシンクタンクの研究員もたくさんいるにもかかわらず自分のテリトリーだけを守って全体のことを考える人がいない。だから突発的なことが起こると右往左往するばかりで何も出来なくなってしまう。

今までならアメリカとの関係を良好に保っていれば後はアメリカが何とかしてくれた。しかし90年代頃からアメリカはソ連崩壊に伴って同盟国よりも自国の利益を優先する政策を露骨に出してくるようになって、アメリカにとって真の同盟国といえる国が日本ぐらいになってしまったといえる。イギリスやオーストラリアもアメリカとは一線を画すようになってきている。

今でもアメリカは唯一のスーパーパワーを持つ国家といえるのですが、世界最強の軍事力を支えてきた経済力に陰りが見えはじめている。一番の原因は国内経済の空洞化とユーロの登場によるドル基軸通貨体制が揺らぎ始めて来ている事だ。10年前はユーロもまだ国際通貨として登場しておらずアジアも金融危機でIMFの管理に置かれた国が多かった。まさにアメリカ一人勝ちの世界だった。

まさにアメリカは世界の金融センターとして世界からマネーを集めて運用する金融帝国として恒久的な繁栄が続くと思われていた。さらにIT革命によってITの中核的な技術を独占して情報の独占的地位を保とうとしている。エシュロンという世界的な通信傍受システムは世界のあらゆる情報を逐一察知して、アメリカはまさに世界情報帝国としての地位を固めたように思えた。

しかし2000年のITバブルの崩壊と911テロ事件は、これらが虚像であることがばれてしまった。IT革命といっても通信技術の進歩に過ぎず革命ではなかった。エシュロンというシステムも911テロを事前に察知することも出来なかったようだ。犯人とされるビンラディンも今どこにいるのかも掴む事が出来ないでいる。NSAは単なる税金の無駄使いではないかと思う。

アメリカが誇る金融業も国家を支えるような産業になりうるのだろうか? 確かにITの技術と金融テクノロジーの組み合わせは向かうところ敵なしで、アメリカの金融会社では新入社員でも数千万のボーナスをもらう会社も出てきた。まさに金融業がアメリカを支えているような経済的繁栄を誇った。金融テクノロジーを駆使すれば大恐慌のような経済の波も克服できるかのように思えた。

日本のテレビも見ても、エコノミストや学者も評論家も日本は製造業は中国やインドに任せてアメリカのようなサービス業に移るべきだと発言していた。はたして日本はアメリカの真似をして金融立国を目指すべきなのだろうか? そしてそれは可能なのだろうか? 私自身は日本がアメリカの真似をしてもうまくは行かないだろうと思う。

確かに産業人口も製造業からサービース業に移るのは時代の流れだ。アメリカも多くの製造業を新興国に移してしまった。アメリカのスーパーストアでは外国製の日用品で埋まっている。自動車すらトヨタが世界一のメーカーになりGMは二位に転落した。今やアメリカが世界に誇る製造業は航空・軍需産業ぐらいになってしまった。

金融業はゼロサム産業であり金融会社が倒産すると後には何も残らない。しかし製造業は実業であり倒産しても工場も技術も残り立て直すことも可能だ。アメリカが誇るシティやメリルリンチが倒産したら後には何も残らず社員はタクシーの運転手に転業するしかないだろう。まさに今のアメリカはその金融業が破綻の危機に直面しているのだ。そして巨額な借金の山が築かれている。

ウォルフレン氏によれば、アメリカ人はドル基軸通貨制度が自然の法則であるかのように思い込んでいるから始末が悪いと指摘している。アメリカのドル基軸通貨制も金融テクノロジーも砂上の楼閣に過ぎないのを知らないのだ。中国もいつまでもドルを支えることはしないことも確かだろう。ジョージ・ソロスもドルの基軸通貨体制の終焉を次のように書いている。


過去60年で最悪の市場危機 George Soros 1月26日 ウォールストリート日記

今日の金融危機は米国の住宅バブルによって引き起こされた。この危機は、第二次大戦後に何度か見られたような金融危機と似ている側面もあるが、一点だけ今までと大きく違うことがある。それは、この危機が、ドルを世界の基軸通貨とすることによるアメリカの信用拡大の時代の、終焉を意味している点である。

経済活動においては小さなバブルの形成と破綻は普通に繰り返されるが、今回の破綻は、戦後60年間膨れ上がって来た、「スーパーバブル」と呼ぶべき信用拡大の終焉を意味する。

バブルの形成は、常に信用形成とリスクの誤認によって行われる。信用が拡大することで資産価値は上昇し、それが更なる担保価値の上昇をもたらすわけだ。そして住宅の購入が、その転売を期待してのみ行われるようになったとき、いづれ弾けるバブルの形成が始まる。

しかし「スーパーバブル」は、そんなに単純なものではない。

今まで信用の過剰拡張が問題に突き当たると、金融当局が常に介入を行い、流動性を供与して景気を下支えして来た。しかしこのような当局の行動は「モラルハザード」を生み、その結果として、繰り返し信用拡大が行われる結果となった。

このシステムはあまりにうまく機能して来たので、人々はロナルド・レーガンが「市場のマジック」と呼んだ仕組みを心底信じるようになっていた。私はこの考え方を「市場原理主義」と呼ぶ。市場原理主義とは、市場参加者が、各々の利益最大化を目指して行動すれば、市場は均衡点を見つけるだろうという考え方だ。

これは、明らかに間違った考え方である。というのは、このシステムは、政府の介入なしには機能しないことが明らかだから。にも関わらず、市場原理主義は80年代から圧倒的なイデオロギーとなり、市場はグローバル化して、またアメリカは外国への借金を拡大して国内の信用を拡大して行った。

言い換えると、グローバリゼーションは、アメリカが世界中から貯蓄を吸い上げ、自国内で作り出せる価値以上の消費を行うことを可能にして来た。その結果、経常赤字額は2006年時点でGDPの6.2%にも及び、また金融市場は消費者に、あらゆる手段で有利な借り入れをすることを勧めてきた。そのプロセスを、金融当局は介入によって下支えして来たわけである。

この「スーパーバブル」と呼ぶべき信用拡張は、金融商品が非常に複雑化し、当局がその価値を計算出来なくなって、リスクマネジメントを金融機関に頼らざるを得なくなった時点で、手に負えなくなった。同様に格付機関も、自らの判断で行うべき金融商品の価値計算を、その商品を組成し販売している、証券会社に頼らざるを得なくなったのである。これは驚くべき「責任放棄」と言えよう。

そして、発生の可能性が指摘されていた問題は、全て表面化した。

サブプライムローン問題はCDOの問題に派生し、地方政府や住宅ローン保証会社、再保険会社などを直撃し、数兆ドルに及ぶクレジットデフォルトスワップ市場にも多大な影響を及ぼした。投資銀行のLBOへのコミットメントは負債となり、市場の上下から影響を受けないはずのマーケットニュートラル戦略のヘッジファンドは、マーケットニュートラルではなかったことが明らかになって破綻に追い込まれた。ABCPマーケットは干上がり、リスクの高い資産をオフバランス化して資金調達をする手立ては閉ざされた。

そして決め手の一発が、金融システムの根幹とも言える銀行間貸出市場(インターバンク市場)が、各行が自分の問題処理に忙しく、また他行を信用できなくなったことで、機能しなくなってしまったのである。

その結果中央銀行は、今までには考えられないような多額の資金をインターバンク市場に注入し、また担保価値をあらゆる資産に認めることで、金融危機を回避しようと躍起になった。その結果今回の危機は、第二次大戦後で最悪のものとなった。

信用は今後しばらくの間、縮小の方向に向かうだろう。危機後に提唱されている資金調達手段は不完全で、生きながらえるのは難しいだろう。

アメリカ中央銀行が景気を刺激する手段も、最近になって外国政府がドルを準備資金として買い集めることを止めてしまったことで、その効果を失うだろう。投資家は今までFEDが何とかしてくれると期待して来たが、今回ばかりはそれが現実的ではないことと理解しなければいけない。

石油、食料、その他のコモディティの価格が堅調で、かつ人民元のレート上昇が加速している今、FEDはインフレ懸念についても真剣に検討しなければならない。FFレートが一定レベル以下になれば、ドルは売り圧力を受けることになり、長期金利は下がるどころか上昇することになるだろう。そのレベルがどこか見通すことは難しいが、現実になればFEDは完全に景気刺激手段を失い、機能不全に陥るだろう。

先進国の不景気入りがほぼ確実となってきた今でも、中国、インド、その他の産油国は好調を維持している。よって今回の金融危機は、グローバルな景気後退をもたらすのではなく、米国の相対的な地位の低下と途上国の地位向上という、グローバル経済の「再編成」を引き起こすだろう。

世界にとってリスクなのは、その結果政治的緊張が上昇し、アメリカが保守主義に陥って、グローバル経済を混乱させるか、最悪の場合は世界経済を不景気に引きずり込むことである。


(私のコメント)
ジョージ・ソロス氏によれば、アメリカの金融業自身がモラルハザードを起こしており、金融テクノロジ−といいながら非常に複雑化して当局も価値計算が出来なくなり、格付け機関も債券の格付けでモラルハザードを起こしてしまっている。外からは全く何がどうなっているのか分からないから信用不安だけがどんどん大きくなっている。

ヘッジファンドは相場が上がっても下がっても儲かる仕組みであるはずだった。しかしマーケットそのものが干上がってしまってはヘッジファンドもお手上げだ。債権の保険会社もローンの保証会社も過剰な補償額を抱えておりシステムそのものがクラッシュしはじめている。相場の神様がそう言っているのだから間違いはない。




日米民主党は隠れ国際共産主義者の巣である。リベラルとは隠れ
マルキストのことである。米中隠れ国際共産主義同盟と対立する日本


2008年1月26日 土曜日

日米民主党は隠れ国際共産主義者の巣 1月25日 きち@石根

米民主党、特にヒラリー一家は、別に日本が憎いなわけではないと思います。ただ、その政策軸が中国にあるために、我が国は二の次と言う感覚でしょうか。もちろん、クリントン家というのは、中国利権に深く入り込んでいるのですが対中重視の視点というのは、米民主党の党是と言っても良い。

それは別に親中という話ではなく、中国が共産主義の第二段階の実験場であるという意識からくるものです。私はよく”国際リベラル”と言いますがこれは”隠れ共産主義者”の宗教的思想展開の潮流であるという意味でもあります。

では隠れ共産主義者というのはソビエト崩壊によって生まれたのか・・・というとそうではなくて、ルーズベルト下の米民主党に巣食ったコミュニストがマッカーシズムによって駆逐され”リベラル”という看板に変えた時に近代隠れコミュニストという共産主義の看板を掲げない国際共産主義が生まれたわけです。これがアイゼンハワー時代以降の米民主党の軸になっているのです。

米ソ冷戦に対する米民主・共和の政策を見るにデタントと強行政策の裏での実際の対ソ戦略はソビエトと言う共産主義の実験場の温存とも言え、その対ソ戦略は巧妙に民主党が牽引していたとも言えます。そしてゴルバチョフによる大統領制導入により、実質的な実験は終了します。

ソビエトによる共産国家運営の失敗は、主に経済政策にみる国内疲弊でありましたが共産党独裁国家による資本主義原理の導入による第二段階の実験は中共に引き継がれました。

ではその実験は何を模索しているのかと言うと故ケ小平の更迭・復帰-江沢民以降のテクノクラート運営に見るように修正主義から、資本主義経済の導入そして社会民主主義への移行であります。ただし、所詮独裁国家ですので、国家破綻とともにその時点で中共での実験は終了するでしょう。

では、社会民主主義=”自由に見える”共産主義というコミンテルンの亡霊は、次の実験場をどこに指定するのでしょう。

■日本民主党は真性共産党を目指す

我が国には日本共産党が存在しますが実際は共産主義の本当の概念の遂行に失敗し、亜流の人道主義に侵されたと見なされコミンテルン支部の座を失います。コミンテルン、中共は、わが国に於いては旧社会党を友党として遇しました。つまり、我が国国風に対処できなかった日本共産党はソビエトにも中共にも(の共産主義の本当の深謀)見放されたのです。そもそも我が国は、一神教はおろか、一つの思想が(人工的にしろ、自然発生的なものにしろ)全体主義的なものとして定着する土壌ではないのです。

■ルーズベルトの陰謀論を払拭したい国際共産主義者たち

で昨年話題になりましたこの件ですが



【正論】元駐タイ大使・岡崎久彦 遊就館から未熟な反米史観を廃せ

■「靖国」の尊厳すら損ないかねず


http://b.hatena.ne.jp/entry/2610007  

私は別に岡崎さんが共産主義者などとはまったく思っていませんが微妙な節回しの変化にいささか面食らったわけです。



【土壇場の日米交渉】 戦争を欲したルーズベルト

http://www.okazaki-inst.jp/hyakuisan52.html

(岡崎久彦 「百年の遺産-日本近代外交史(52)」)

どちらにしろ、非常に慌てた靖国と岡崎さんの対応であったわけです。思うに岡崎さんは、米国務省の内情変化と、米民主党の選挙大勝の流れに慌てたのではないのかと。確かに故ヘンリー・ハイド議員のようなクレーマー保守のクレームばかりがクローズアップされましたが現実は違うと思っています。米議会・官僚に巣食う隠れ国際共産主義者勢力の一挙拡大の情報を分析されたのではないでしょうか。

だから今にして思えば親米保守の変節ではなく、国際共産主義者に総攻撃にあう前にカムフラージュに動いたのではないだろうかと。・・と善意に解釈出来ないでもないと最近思い出した^^

でルーズベルトに関してはルーズベルトの娘婿であったカーチス・B. ドール氏の著書が何故か靖国遊就館の展示変更問題があったあたりから極端に品薄になっているようで、中古で300円で手に入った物が、今では2万円近くになってます。どこぞが買い占めたとかは言いませんが^^

操られたルーズベルト―大統領に戦争を仕掛けさせた者は誰か

(カーチス・B. ドール (著), 馬野 周二 (訳) )

馬野さんについては、色々面白い本が多いので多少とんでも扱いされていますが、本著は訳と一部監修ですのでスルーということで^^ カーチス・B. ドールさんも陰謀論的要素はあるのですが事実の部分を拾えば非常に面白い。(ちなみに世界統一政府とかはどうでもいい^^)

結局、ルーズベルト民主党が共産主義者に汚染され”ロスチャイルドがファイナンスしたソビエト”に呼応する結果となったのは確かなようですし、もし、ルーズベルトの陰謀とも言える背景が歴史見直しによって露呈し、再考されれば面白い。というより、一番慌てるのは米民主党を筆頭に、我が国にも巣食う隠れ共産主義者ではないでしょうか。

共産主義というと前時代的錆びれた思想のように思われていますがリベラルという看板に変えて、ある種宗教のように拡大しています。共産主義者としての自覚はなくてもリベラリストの主張は、結局共産主義の概念に結びつくのです。

でルーズベルトに戻りますがルーズベルトはあきらかにコミンテルンの影響下にあったわけでニューディール政策などはマルクス主義まんまの経済施策でした。戦争特需とマッカーシズムなくして経済回復はなかったわけです。結局、トルーマンにしろ、米民主党はコミンテルンの影響下にありハル・ノートで、我が国の全ての譲歩を受け付けなかったのも我が国の講和交渉を無視し原爆を落としたのもコミンテルンの戦略であったわけです。

そもそも、我が国に対する自虐史観なども中韓が作り出したものではなく、国際リベラル連帯が誇張喧伝し拡大したものです。マッカーサーが共和党員として、「自衛のための戦争であった」と分析したのもホワイトハウス(民主党)から送られる日本統治の指示があまりにも現実を直視していないことに対する警鐘でありました。

そもそも、マッカーサーはあのようなプロパガンダである東京裁判など設置するつもりはありませんでした。ところが極東戦略を担当する米国務省の作成する対日施策を元にトルーマンから下された指示は、軍事裁判における「非人道性」の糾弾というあきらかなプロパガンダ裁判の設置であったわけです。

でその対日施策を考案した米国務省ですがその数年後に起こった米国務省共産主義汚染禍・・所謂マッカーシー追求の震源地となったのです。つまり、東京裁判史観=日本悪者史観というのはルーズベルトそして、米民主党・国務省に巣食う、共産主義者の策謀を隠蔽するために作られたものなのです。それを今も堅持しようとするのが米民主党を始めとする”隠れ共産主義者”のテーゼなのです。

もし、マッカーシズムと大東亜戦争の真実が結びつけば「共産主義とは何なのか?」という国際リベラリストの思考矛盾を引き起こします。(何故?というのはまた別に)で、思うに、安倍政権に暗雲が立ち込めるのはまさに、米国における共和党の敗北に歩調を合わせておりましてそれに呼応するように、一挙に我が国民主党待望論が起こります。結局、マスコミなどが一斉に論調を合わせたのも各界に蔓延る”隠れマルキスト”の蜂起であります。この”隠れ”というのは自覚のあるものもいますし自覚の無いものもいる。

ナベツネさんなんかは、さすがに”元”であるのでコミンテルンの残骸である刷り込みが頭を擡げたというのもあるかもしれません。で、我が国において国際共産主義を引き継いでいるのは日本共産党ではありません。それは旧社会党であり、分派した民主左派と社民党なのです。

そして民主党執行部はリベラル・社会民主主義のニューマルキストなのは、その思想開陳を見るに疑う余地はありません。

旧社会党からコミンテルンの残骸を引き受けた民主党とその執行部”社会民主主義者”であるリベラリストが合流し、まさに時代に合わせた国際共産主義政党が生まれたわけです。それが党員も多数の議員も自覚していない我が国民主党なのです。

我が国民主党については「小沢さんの極端なリベラル傾倒も政権をとってしまえば修正される・・・」なんていうのん気な意見もありますが根本から我が国を社会民主主義の実験場にしようとしている・・・ぐらいに思った方がいい。

共産主義というのは、亜流も含めて、実に大きなビジネスを生みます。それは、ソビエト成立時からボルシェビズム、現在の中共に至るまで、どれほどの金がスポンサー筋から流れたかを見ればわかります。

で中国における第二段階の共産実験が中国の破綻と言う結果で終了したとき、その時は、クリントン夫妻も”相手してくれる”かもしれません^^ その時は、さらに進化した”自由だと思い込まされている”国民に対する第三段階の”実験”が始まっているということでしょう。


(私のコメント)
なぜアメリカと中国とが同盟を結んで日本を封じ込めようとするのかを解明するには、アメリカにおける隠れ共産主義者(リベラル)の正体をつかむ必要がある。大東亜戦争における敵の正体は日本と共産主義との戦いであり、ルーズベルトのアメリカは隠れ共産主義国家であった。日本はソ連と共産中国と隠れ共産主義国のアメリカと戦っていたのだ。

アメリカ民主党の中には隠れ共産主義者(リベラル)がおり、国務省などが隠れ共産主義者(リベラル)の巣窟になっている。さらにはニューヨークタイムスなどのリベラル紙なども隠れ共産主義で、朝日新聞やフランスのルモンド紙なども連携して隠れ共産主義(リベラル)のネットワークを築いている。読売新聞のナベツネ氏などももともとが共産主義者なのだから総理の靖国参拝に反対するのも当然なのだ。

昨日も日本の左翼がなぜアメリカの手下となって護憲運動をして日米安保体制を守ろうとするのかの疑問を書いたのですが、隠れ国際共産主義勢力(リベラル)による連携と見ればはっきり分かる。「株式日記」ではライス国務長官やキッシンジャー氏などは隠れ共産主義者だと書いたことがありますが、共産主義国家中国と連携するのは当然なのだ。

クリントン夫妻も隠れ共産主義者(リベラル)であり中国と連携をとるのは当然のことであり、日本を敵視するのは日本が保守主義国家であるからだ。2007年4月6日にアメリカのリベラルについて書きましたが、アメリカは歴史も浅く守るべき文化も伝統も無い国家でありそこに本来の保守主義など存在するわけがない。


米国の保守主義は日本に来れば単なるリベラリズムにすぎない。 2007年4月6日 株式日記

ヨーロッパで保守=コンサーバティブといったときには、歴史・慣習・伝統を大事としようという当たり前のことですが、アメリカというのは、そうしたヨーロッパから離れて理念で作り上げた実験国家であり、その建国の精神は歴史から切り離されたところで個人主義や自由主義を最大限に掲げた、ヨーロッパでならば歴史破壊として警戒されるものがアメリカにおける保守になってしまっているなわけです。

つまり、保守という言葉に関してはアメリカはかなり特殊なものだし、アメリカ的な保守主義を日本に持ち込めば、それは日本という国の歴史・慣習・伝統を破壊しかねない、つまりそれは保守ではなくなるのです。

アメリカの保守主義は日本に来れば単なるリベラリズムにすぎません。アメリカ人は社会主義的な事や左翼的な事をリベラルと言いますが、日本人から見ればアメリカの保守主義はリベラリズムの亜種ということでしなないのです。

念のため断っておきますと、自由や民主主義が大切であることはその通りですが、個人の自由や民主主義が我が国の歴史の物語を否定し、慣習の体系を破壊し、伝統の精神を放棄するようであれば、場合によっては自由や民主主義に制限を加えることもありうる、自由や民主主義の暴走からそれらを守るくらいの構えを示すのが日本の保守なのです。

アメリカにはヨーロッパや日本で言うところの保守勢力はない。あるのは日常生活的な保守勢力で草の根保守と呼ばれている。むしろキリスト教原理主義勢力が保守勢力として最大の政治勢力となっている。だから宗教勢力としての保守勢力はあるが政治勢力としての保守は、アメリカには歴史も慣習も伝統も守るべきものがない。

アメリカで言うところのネオコンは日本から見ればリベラルであり、だからアメリカは絶えず日本に対して改革を要求してくるのだ。だから日本とアメリカとの保守勢力が連帯しようにもアメリカには保守勢力がない。だからヨーロッパの右翼に対してもナチズム的なレッテルを貼っている。だから安倍内閣に対してもアメリカの論調は攻撃的だ。



(私のコメント)
現代では共産主義は理念的にも実態からもソ連崩壊で消滅してしまった。しかし共産主義者たちはリベラルという名前に変えて隠れ国際共産主義活動を行なっている。その総本山がアメリカの民主党であり、共和党でもライスやキッシンジャーなどの隠れ共産主義者が活動している。

現代では左右の対立としてよりも保守派と改革派という形の対立軸が形成されてきているのですが、主流派と反主流派の対立でもあるし、穏健派と過激派の対立ということも出来るだろう。だから右の自民党と左の民主党の対立は冷戦時代のものであり、どちらの政党にも保守派と改革派が混在している。

「株式日記」は愛国保守の立場に立ちますが、「改革」を連呼する小泉首相の政策には保守の立場から反対した。しかし靖国神社を参拝することは保守派のすることであり小泉首相自身がねじれ現象を起こしていた。アメリカから改革を迫られていたから郵政民営化などの改革をしましたが、自民党保守派は反対した。

このようにアメリカは共和党政権でもリベラル国家であり、国際共産主義運動をグローバリズムと呼び変えて改革運動を進めている。共産中国がそれに連動するのは当然であり米中と日本の対立は隠れ共産主義と日本の保守主義との対立になるのは必然なのだ。安倍総理が極右の総理とアメリカから冷ややかにされたのも当然だ。

アメリカでもアイゼンハワーやニクソンやレーガンのような反共右派の大統領の時は日米関係は上手くいっていたのですが、ルーズベルトやクリントンのような隠れ共産主義の大統領とは険悪な関係となり軍事と経済の二つの大戦に敗れた。だからヒラリー・クリントンが大統領になった時は共産中国と隠れ共産主義のアメリカとに挟まれて日本は厳しい状況になるだろう。

日本における保守主義思想と共通する保守主義が存在するのはヨーロッパぐらいにしかない。保守主義とどこの国にもあるナショナリズムとは異なるものであり、守るべき歴史や伝統や文化のある国でなければ保守主義は成立しない。


アメリカの知的産物を振り返ってみれば、もう文学といい、芸術といい、学問といい、アメリカ的なるものはなきに等しい。 2007年2月16日 株式日記

アングロ・サクソンなんて簡単に言うけれども、やっぱり僕はイギリスのアングロ・サクソンとアメリカのアングロ・サクソンはどこかで通底はしているし、現在で言うと国際政治力学の中でブッシュとブレアは固く手を握っているけど、やっぱり国家の歴史を考えたら、大きく隔たっているものだと思います。.そのことを確認しなきゃいけない。

これ、僕の昔からの持論なんですけど、二〇世紀後半の冷戦体制の本質というのは、歴史破壊の旧ソ連と、歴史不在のアメリカの、要するに左翼同士の内ゲバにすぎなかった。

ソ連の第三インターナショナルはスターリンで、それに逆らったレフ・トロツキーの第四インターナショナルがあって、その首領の一人がアーヴィング・クリストルです。結局、いまのネオコンの世界観、人間観は、やっぱり左翼過激派のトロキツストのそれと同じなんだよ。しかも、トロツキーは世界革命、それも永続革命を唱えたわけです。いま、ブッシュが言っている全世界のアメリカ的民主化は。

自由主義という言葉自体が、アメリカとヨーロツパではほとんど正反対なんです。アメリカでは「自由は素晴らしい」ということになるでしょ? ところがヨーロッバの言語感覚からいうとリバタリアン、自由主義者というのは放埓、無軌道な不逞の輩どものことなんです。

西部邁氏が言うようにアメリカという国はヨーロッパから追放されたり食詰めて行った人たちが作った国だからアウトロー的な国家でしかない。歴史も伝統も無い野蛮な国であり、だから日本に対しても構造改革しろなどと平気で言って来る。彼らの本音としては日本をアメリカみたいな国に改造したいという事らしい。

小泉内閣では皇室典範を改正して2600年続いた天皇制まで変えようとしたが、さすがに国民の反対運動にあって断念したようだ。このように歴史のある国ならば歴史と伝統を守ろうという保守思想があって当然なのですが、アメリカのようにたった230年の歴史しかない国では保守思想が成り立ち得ない。

そもそも「構造改革」という言葉自身が共産主義用語なのですが、小泉総理は選挙演説で「構造改革なくして景気回復なし」と演説しているのだから、まさに日本に共産主義革命でも起こそうとしているのではないかと日本の保守派は抗議すべきなのですが、日本の親米ポチ保守派は思想的な奇形児なのだ。




日本の左翼はいつから反安保から護憲に変わったのか?
日米安保を前提とした護憲運動はアメリカの手先と同じだ。


2008年1月25日 金曜日

「憲法9条は沖縄の敵である」 政治学者ダグラス・ラミス

編集部
 ダグラス・ラミスさんは、現在沖縄を拠点にして執筆や講演活動を続けてらっしゃいます。昨年の8月13日、「沖縄タイムス」のコラムにショッキングな言葉を見つけました。「憲法9条は、沖縄の敵なのである」。これは、村主道美学習院大学教授のことばを引用したものですが、同コラム内にラミスさんの「9条の存在を保障したのは護憲運動のみならず、沖縄の軍事基地化だった」という言葉もありました。平和憲法のはずが、9条は軍事基地とのバーターで生まれたものであり、今もなおそれは続き今後もそれを継続していくのか? というラミスさんの問いかけだったと思います。
 事実、日本は9条を持ちながら同時に日米安保条約を持ち、沖縄をはじめ国内に多数の米軍基地をおいています。この矛盾を最も抱えているのが、沖縄だと思うのですが、9条と安保について、まずはお聞かせください。

ラミス
 昨年末、イギリス人のチャールズ・ワードという青年が沖縄にやってきました。彼は、高校生のときに日本の憲法9条の存在を知って感激して、去年の春から9条アピールのため、自転車で北海道から沖縄までの旅を続けていた、という人です。彼が沖縄にやって来て僕と会ったとき、こんな質問をされました。旅の途中で「沖縄には憲法9条は来ていないんだよ」と沖縄の人に言われましたが、それはどういう意味ですか、と。
 僕は「もちろん、憲法9条には沖縄には適用されないという条項があるという意味ではなくて、米軍基地に囲まれている沖縄の状況を表現するための比喩雨的な発言です」と説明した。その中で「日米安保条約」という言葉を使いました。そうしたら、彼は「なに、それ?」と聞くんですね。

編集部
 「日米安保」という言葉をそもそも知らなかった、と。

ラミス
 それまで、彼は街頭で9条のアピールをしながら1年近くかけて旅をしていた人です。もちろん、護憲運動をしている組織や個人にもたくさん会ってきただろうし、いろんなところでインタビューもしている。でも、その中の誰も「安保条約」という言葉を口にしなかったみたいなんです。彼は何年か日本に住んでいて日本語もできるんだけど、「安保」という言葉は沖縄に来て初めて聞いたと。これはすごいことだなと思いました。
 僕が日本の反戦平和運動に参加し始めたのは、60〜70年代ですが、あの時代はまず安保条約が第一だった。運動に参加したいという人がいれば、まず安保の説明から始めたし、これをわかっていないと日本の状況はわかるはずがない、という感じだったんです。

編集部
 映画『日本国憲法』」の中でも、1961年頃、関西の大学に通っていたラミスさんは、周りの学生たちからさんざん安保について聞かされていたし、安保と平和、戦争についてものすごく議論をした、という発言をされていましたよね。

ラミス
 でも、最近は、安保条約をまったく口にしないような、その部分にまったく触れないような護憲運動が存在しているようなんですね。9条が欲しいけれども米軍基地も必要だという、その動機はわからなくはないけれど、それは反戦平和運動とは呼べない。軍事力に守ってもらわないと不安だ、でも戦争をやるのは人に任せるということになりますね。

編集部
 9条は守りたい、でも安保条約で米軍に守ってもらわないと不安だ、と。その二つを同時に主張することが「矛盾」だと考えない人が多くなっているということでしょうか?

ラミス
 そう積極的に思っているというよりは、タブーのようにして考えないようにしている、ということではないでしょうか。積極的に口にすると、「私たちは戦争をしたくないけど、米軍にはやってもらいたい」という奇妙な議論になるから、はっきりした発言はしにくいでしょう。
 何ヶ月か前にも、東京にある国連大学でのイベントでこんなことがありました。交流会で、ふたりの女性が僕のところに来て、「9条を世界遺産にするという話がありますね。実現したらうれしいのですが、それは可能だと思いますか」という話をしていた。そこで僕が「安保条約がある限り可能性はないんじゃないですか。国内に米軍基地があるような状態では、いくら9条のことを言っても、外から見たら説得力がないでしょう」と言ったら、彼女らは「えっ、安保条約をなくすんですか。そんなこと、他の国には軍事力があるんだから怖いじゃないですか」と。「9条を守りたい」「米軍基地がないと怖い」と、同じ人が言うわけです。

編集部
 9条と安保や米軍基地、その二つの問題を、そもそもリンクして考えないわけですね。

ラミス
 そのために「役に立っている」のが沖縄ですよね。

編集部
 というと?

ラミス
 米軍基地といえば、みんなすぐ沖縄を連想するでしょう。横須賀基地を見に行く修学旅行はないのに、沖縄では米軍基地を見に行って、「すごいね、怖いね」。そして帰ってきて、「沖縄は大変ですね」という。そこには、「悲劇的な沖縄」を見るというスリルもあるでしょう。そして自分の住むところに戻ったら「平和な日本に帰ってきた、安心」と。そうして基地問題は「沖縄問題」とすることで、平和憲法と安保条約の矛盾については考えないようにしているんだと思います。
 何年か前、東京で護憲運動をやっている女性が沖縄に来たので、車で案内したことがあります。米軍基地のそばに住宅が密集している場所を通ったんですが、それを窓から見た彼女は「私はあんなところには住めない」と言った。これは、非常に興味深い発言ですよね。

編集部
 興味深い?

ラミス
 翻訳するならば、「私は基地のそばに住むなんていうことが我慢できないほど敏感で繊細な平和主義者である」ということ。でも、それを裏返せば、「どうしてあんなところに住めるの?」という、実際に住んでいる人たちへの軽蔑があるんだと思いませんか。
 だけど、そもそもどうしてそこに基地があるかというと、日米安保があるからですよね。それを結んだのは沖縄の人たちじゃない。誰も沖縄の人に「安保条約を結んでいいか」と聞いたことはありません。すべてヤマトの人たちが決めたこと。だから安保の問題、基地の問題は、沖縄問題ではなくて日本の問題なんです。
 そもそも「あんなところに住めない」というのは、「自分は『あんなところ』に住んでいない」と思っている言い方ですよね。でも本来、米軍基地は「沖縄にある」んではなくて「日本にある」んだから、東京だって客観的には「あんなところ」なんです。騒音は聞こえない、被っている迷惑の度合いもぜんぜん違う、けれど「基地がある」という意味では、沖縄も東京も、原則として同じはずなんです。

基地が必要なら、
必要としている人のところに置けばいい

編集部
 たしかに、本来は日本全体の問題であるはずの安保や基地の問題が、沖縄に基地が集中しているために「沖縄問題」として、他人事のように捉えられているところがあるのは事実ですね。そして、基地があることによって地元の人たちが感じている恐怖や危険も、私たちは本当の意味では理解できていない気がします。

ラミス
 3年前にも、沖縄の国際大学に、普天間基地のヘリコプターが墜落した事件がありましたよね。あのとき、海兵隊数百人が基地からフェンスを越えて大学に入って、事故現場の周りに黄色いテープを張り巡らした。沖縄の警察も消防隊も、県知事もその中には入れませんでした。僕は夜になってから見に行ったんだけど、憲兵隊がピストルを持って並んでいた。

編集部
 そのピストルは、住民に向けられているわけですよね?

ラミス
 住民にも、県警察や消防隊にも向けられています。本来、警察は現場の中に入って、たとえば過失があったかどうか証拠を集める義務があるし、消防隊も火事が起こってるんだからその原因を調べなきゃいけないんだけど、中に入れてもらえなかった。
 日米地位協定では、米軍の憲兵隊が基地の外で行動できるのは、基地の外にいる米兵が何か問題を起こしたときだけなんです。それも、警察当局にちゃんと「こういう米兵がいるから」と連絡をして、押さえに行くことができるだけ。日本国籍の人たちに対しての警察権はないわけですね。
 だから、そのキャンパスに海兵隊が入ってピストルを持って並んでいることには、一切法的な根拠はない。あれはもう、軍事行動です。つまり、外国の軍隊が、軍事行動でもって日本の領土の一部を占拠した。気づいていない人も多いと思うけど、これは明らかな国際問題ですよ。日本の右翼はどうしてそれを批判しないのかと思う。

編集部
 日本政府も厳重に抗議すべき問題なわけですね。

ラミス
 それどころか、そのとき当時の稲嶺知事はちょうど海外にいたんだけれど、急いで帰ってきて成田に着いて、小泉総理にこの事故の件で会って話がしたい、と言った。でも、総理は「会えない」。夏休み中だから、という理由でした。東京のホテルにいて、アテネオリンピックをテレビで見ていたらしいんです。これは、稲嶺知事だけではなくて沖縄県民全体に対するすごい侮辱ですよね。

編集部
 冒頭で話した沖縄タイムスの記事にも、こう書いてました。「2年前、8月13日の本土のニュースは、米軍ヘリ墜落のニュースよりもアテネ五輪を大きく報じていた」と。

ラミス
 あともう一つお話しておきたいのは、この間、本土の「9条の会」の事務局長が沖縄に来られたときにも話したんですが、今、本土では「9条を守ろう」という運動が高まっていますよね。「9条の会」も、非常に数が増えている。

編集部
 今、全国に4000以上の会があるそうですね。

ラミス
 彼に言わせると、もう5000を超えている。ところが一方で、日米安保に反対する組織はほとんどない。もちろんいくつかあるのは知っていますけど、やっている人はだいたい60年代、70年代の安保闘争からかかわっている「ベテラン」ばかり。
 そういう状況を沖縄から見ていると、なるほど、ヤマトの人たちは9条は欲しいけど、安保には特に反対していない、安保も欲しいみたいだね、と感じるわけです。そんなに欲しいのなら、欲しい人のところに基地を置けばいいじゃないか、という声が出るのが当然でしょう。
 これを言うと、たいていヤマトの人たちは怒ります。私は戦争反対だから、私の町に米軍基地を置くなんて考えられない、という。でもその人たちは、「安保条約が欲しいなら、基地もその条約の下にある地位協定も、日本全国に公平に分担するのがフェアーじゃないか」という沖縄の声に対して、何と反論するんでしょうか。


(私のコメント)
昨日の株式日記において、日独伊三国同盟と大東亜戦争、日英同盟と日露戦争との関係について書きましたが、外国と軍事同盟を結ぶとどうしても戦争に巻き込まれる危険性が高くなります。帝政ロシアにしても満州と朝鮮半島を欲しがっただけで日本を侵略する戦力は持っていなかった。事実ロシア海軍は日本海軍に壊滅的打撃を負った。

ならば日米安保がある限りにおいて、日本がアメリカの戦争に巻き込まれる可能性は非常に高いといえる。それに対して憲法九条がアメリカとの戦争に巻き込まれないための支えになっているのですが、憲法九条を変えるには日米安保を解消しなければ非常に危険だ。日米安保を堅持しつつ改憲するのは三国同盟や日英同盟と同じことになるのではないだろうか?

想定されるのは台湾海峡と朝鮮半島の戦争ですが、これはアメリカが勝手に日本から取り上げた地域なのだからアメリカが責任を持つべき問題であり、日本はこの問題に巻き込まれてはならない。一番危惧されるのは台湾問題であり、台湾が中国に併合されたら日本の通商に大きな問題が発生する。これに対してアメリカはどう出るのだろうか?

これとは別に集団的自衛権の問題がありますが、日本の法制局は集団的自衛権を認めていない。集団的自衛権には問題がなくともどこまでが自衛の範囲になるかが問題だ。台湾をめぐってアメリカと中国とが武力衝突することがあるのだろうか? もし米中が台湾をめぐる戦争になるのならば集団的自衛権を用いて日本も後方支援する必要がある。

しかしアメリカが台湾を見捨てた場合には、日本は日米安保も空洞化したとして廃棄すると強く言っておくべきだろう。それでもアメリカが台湾を見捨てた場合には日米安保を廃棄して自主防衛体制をとらなければならない。そうしなければ都合のいい時だけ日本に米軍基地を置き、日本を守らなければならない時にはアメリカは中立を決め込む恐れがある。

もしアメリカが台湾問題に対して中立を保った場合には台湾は中国に併合されるだろう。中国は南沙諸島に対しても勢力を拡大していますがアメリカは中立を保っている。だから台湾を見捨てる可能性も大きい。しかし台湾が中国に併合されれば日本は何らかの手を打たなければならない。台湾も選挙で国民党が勝利して併合気運が高まっている。

今のところは台湾問題に関してはアメリカに全部お任せするしかないだろう。日本から台湾を取り上げたのはアメリカだからだ。戦略的に見てアメリカが、日本から朝鮮半島と台湾を切り離したのは間違いであっただろう。むしろ台湾や朝鮮で独立運動が高まって独立させた方が問題はすっきりしたかもしれない。そうすればアメリカは朝鮮戦争で戦争する必要のなかったし起きなかっただろう。台湾の帰属問題で中国とも戦争になる恐れも回避できたはずだ。

おそらくは日本に米軍基地がある限り中国は台湾に対して手を出す事はないと思うが、もし中国が手を出してアメリカが何もしなかったのならば日本は重大な決を下す必要がある。事前に中国に手を出させない為には日本も核武装して断固たる姿勢を示しておけば中国は台湾に手は出せないだろう。

ダグラス・ラミス氏の意見によれば憲法九条と日米安保とは連動しているのですが、最近の護憲活動家は日米安保には触れようとなしていない。あえて無視をしているのですが日米安保破棄をなぜ訴えないのだろうか? 沖縄の軍事基地の問題は日米安保を破棄すればすべて解決される。沖縄の人たちから見れば本土の左翼ほど沖縄を見捨てている人たちはいないのだ。

もし沖縄の人たちと連帯しているのならば安保反対闘争こそ左翼活動の中心にすべきであり護憲運動は日米安保維持闘争なのだ。だから左翼と沖縄の人とは利益は反するはずなのですが左翼は沖縄を飯のタネにしているだけなのだ。沖縄から米軍基地を撤去するには日米安保の破棄しか方法はない。だから護憲運動をしている限り沖縄から米軍基地がなくなる事はない。護憲活動家は沖縄の犠牲を前提にして活動しているのだ。

ダグラス・ラミス氏がインタビューで答えているように、沖縄の米軍はヘリコプターが大学に墜落した時に米軍が出動して住民に銃を向けた。在日米軍の本性が出たとも言える事件なのですが小泉首相はダンマリを決め込んでしまった。日本の議会も官僚組織もイラクの暫定政権と大して変わらず「本当の」自主独立は認められていない。福田政権はイラクのマリキ政権と対して変わりがないのだ。

沖縄と台湾とは至近距離にあり台湾が中国領土になれば沖縄は目と鼻の先に中国が迫ってくる事になる。中国は台湾の次は沖縄は中国の領土だと言い出すだろう。そのとき沖縄の米軍は中立を保つだけで何もしない恐れがある。アメリカがイラク戦争で撤退すれば孤立主義になって日本からも軍隊を引き上げる時が来るかもしれない。


2008年前半の地雷、台湾総統選挙( 07/11/26) 吉崎達彦

 他方、台湾で民主的な選挙が行われることは、「ひとつの中国」原則を掲げる中国にとっては看過できないことである。中国にとって台湾は「核心的利益」であると位置付けられ、国防白書は「台湾独立を制止することは、中国の武装力の神聖な職責である」と明記している。それどころか、2005年に成立した「反国家分裂法」は、「台湾を中国から分裂させる重大な事態になれば、非平和的手段を取る」ことを定めている。

 中国がここまで頑なな姿勢を示しているのは、「中台統一」によって得られる経済的、軍事的なメリットもさることながら、長年にわたって領土回復を国家的目標としてきたために、引くに引けなくなっているという事情がある。実際に、中国の研究者たちと話をしていると、「台湾独立を認めた瞬間に、現政権は吹っ飛ぶ」「チベットもウイグルも独立を目指すようになる」といった厳しい声が相次ぐ。

2008 年3月22日に行われる総統選挙では、同時に「台湾の名で国連に新規加盟を行うことに賛成か、反対か」を問う公民投票が予定されている。中国側の「ひとつの中国」原則の論拠は、カイロ宣言やポツダム宣言などの古い文書に由来するけれども、民主主義体制が直接投票によって、独立や国連加盟を宣言すれば、そんな文書はいっぺんに吹っ飛んでしまいかねない。

こうなると中国側ができることは、せいぜいアメリカ経由で公民投票を自粛するように圧力をかけてもらうことぐらいだ。しかし、アメリカ国内にも親台派の勢力はあるし、民主主義体制に圧力をかけることもためらわれる。

「台湾に圧力をかけて欲しい」というお願いは、日本にも来るだろう。が、アメリカが言おうが日本が言おうが、台湾の公民投票成立を止める手段はない。来年前半には、こんな神経戦が中台海峡で行われる。日本もアメリカも、無関係というわけにはいかなくなるだろう。要警戒、である。



(私のコメント)
アメリカにとっては台湾問題は戦後の外交失政のひとつであり、台湾の独立運動が強まればアメリカがこれを制止するという矛盾した行動を取るようになった。これは中国に対して誤ったメッセージとなるだろう。胡錦濤総書記は柔軟な態度だが強硬な軍部を押さえきれるのだろうか? 

中国の軍部は宇宙の衛星をミサイルで打ち落とすぐらいのことをするから勝手に台湾との戦争も仕掛けるかもしれない。そのときアメリカはどう対応するのだろうか? アメリカが誇る原子力空母にも中国の潜水艦が付きまとっている。アメリカはイラクと台湾との二正面作戦を強いられるかもしれない。日本は高みの見物をしていればいいのだ。憲法九条を押し付けたのはアメリカだからだ。




「人口減少」で日本は繁栄する 』 日下公人:著 自制心が強い国家
は「実力を持った鎖国」という日本だけの行動の特異性が認識できる


2008年1月24日 木曜日

「人口減少」で日本は繁栄する』 日下公人:著

国内に問題を抱え続けるアメリカと中国

国家が外国に武力行使をするのは、多くの場合、内政に行き詰まったときである。国内問題を片づける力がないとき、問題を外国に転嫁するのである。アメリカのイラク攻撃は、国内問題が行き詰まった結果だった。アメリカは数年前から「内向き」になっており、それが外交では単独行動となって現われる。

二〇〇一年九月一一日の同時多発テロのあと、たちまち「愛国者法」という法律ができた。;一言で言うと「怪しい人間は、裁判や手続きは簡単にして、とにかく逮捕してよろしい」というもので、テロヘの恐怖心と報復感情があったにせよ、乱暴きわまりない。成立すると、中東系の姿・形をしている人を中心に五五〇〇人が拘束され、一年経って四五〇〇人が釈放された。

まさしく集団ヒステリーだが、アメリカは何度もこうした理不尽な振る舞いを繰り返している。禁酒法という暴挙もあるし、第二次世界大戦が始まると、日系人を強制的に収容した。二世、三世はアメリカ人であるにも拘わらず、である。

自由と民主主義を掲げながら、突然、手のひらを返すようなことを平気でする。若くてダイナミックな国、という言い方もできるだろうが、裏を返せば野蛮で理性的でない、という評価になる。もともとアメリカ人の多くは内向きで、外国のことに関心が乏しい。少し前までアメリカの政治家は、選挙区とアメリカのために力を尽くしていることをアピールしたいときは、「私はパスポートも持ってないんですよ」とスピーチの中で語るのが決まり文句だったという。

しかも二〇〇四年秋の大統領選が示すように、今、アメリカは南北に分裂している。すなわちジョン.ケリーが北部代表で、現大統領のジョージ・ブッシュが南部代表である。北部は「白人ベルト」地帯だが、その中心をなすWASP(白人でアングロサクソン、プロテスタント)の人口は減っている。一方、南部はもはやスペイン語圏になっている。商店には「英語が通じます」という看板があるくらいだ。

アメリカ国内の地域的、階層的な分裂はますます深まりこそすれ、融合には向かっていない。このままでは、またリンカーンの再登場が待たれるのではないだろうか。さもなくば、分離独立騒ぎにならないとも限らない。

中国も内政に問題がある。二〇〇五年の春、中国各地で大規模な反日デモが繰り広げられた。日本大使館、総領事館から日系のスーパーマーケットまで破壊された。中国人が経営する日本料理店まで標的にされた。「内政の文明化」がなされていないのである。

中国政府の有力者と話す機会があったが、彼は「日中友好親善をすると日本には四つの利益がある。まず一つ目は……」と言い始めたので、私は「それは日本が考えることですから、あなたに教わる必要はありません」と答えて取り合わなかった。

「友好親善が大事です」とも言ったが、「それはお互いの間の問題を解決したとき、自然に生まれるものだから、まず懸案を解決しましょう。中国が考える懸案は何ですか」と聞き返した。私は文明人らしく答えたつもリだが、それでは話が進まなかった。「友好親善」を金科玉条のように唱えて、そのためなら何でもする、唯々諾々と従うのは知的でない。外交の場でそう言う中国人も、賛成する日本人のほうも文明的でない。

日本は「野蛮国」など欲しくない

一六世紀の初頭、アジアにあって世界最大の軍事力を持っていたのは日本である。豊臣秀吉が天下統一をしたちょうどそのころ、オランダとポルトガルは、マラッカ海峡を通って東アジアに進出してきた。すでにスペインはマニラにいた。

スペインのマニラ総督は、豊臣秀吉が攻め込んできたら勝ち目はないと思ったので、明が弱体化していることを秀吉に入れ知恵する。秀吉は、日本を統一した後、東アジアの征服を考えていた。日本国内では戦国時代が終わって、主家を持たない武士など「人あまり」になったが、国内には彼らをおとなしくさせておくための領地がない。だから大陸でもどこでも領土を与えるから、自分で切り取ってこい、というわけだ。

「切り取り御免」という制度で、戦って勝手に取っていいという免許状を発行しようというのである。切り取られる側はたまったものではないが、この時代には当たり前だった。たとえば織田信長は明智光秀に、丹後の国は「切り取り御免」であるという免許状を出している。

さて、豊臣秀吉は明を征服しようとしたが、朝鮮半島で負けてやめた。文禄・慶長の役である。明はここで資金を使いすぎて弱体化する。日本を朝鮮半島から追い払うのに、貯金を全部使ってしまったらしい。その結果、国内の内乱が押さえられないところへ、満州族が南下してきて、抵抗力のなくなった漢民族の明は滅ぴる。こうして満州族による清が成立する。マニラにいたスペインの総督は計略大成功と思ったことだろう。

満州族に攻め立てられた明は、日本に助太刀を求めてきた。すでに徳川幕府の時代になっていたので、二代将軍・徳川秀忠の前で御前会議が行なわれる。この会議では「向こうが来てくれと頼んでいるのだから、今度は堂々と行ける。途中の妨害もないだろう。北京まで行って、明を助けて清と決戦すればいい」という話になった。

案外やれるのではないか。この際、朝鮮と明の両方を取ってしまえ、豊臣秀吉の大望が実現できるだろうという意見も出たらしい。が、結局は出兵しなかった。やってできないことはない、成功の可能性も高いが、ムダだという結論になった。野蛮国を取ってもしょうがない、というわけで日本は高度の文明国になっていた。

もう浪人に海外で領地を与える必要がなくなっていた。やっかい払いをするための”棄民政策”を取る必要がなくなっていた。そのときの日本人の精神は、国内で穏やかに暮らそう、外へ出てまたいざこざを起こしたくない、というものだった。

私は中国や韓国の要人に向かって、直裁にこんなことを言う。「日本軍国主義が侵略してくると言うが、あなた方のような野蛮国を誰も侵略などしない。日本にとって、韓国は要らない。中華人民共和国も要らない。頼まれても出兵しない」

徳川秀忠のときもそうだったはずだ。それだけの力を国内に使ったから、日本国内は開発・整備され豊かになった。もしも日本にヨーロッパ的な侵略主義と植民地略奪主義があったら、太閤秀吉が長命であろうとなかろうと、日本人はどんどん南下してフィリピンをスペインから奪い取ったはずである。それは軍事力を使うというほどの大事業ではない。

また徳川秀忠のときの明からの援兵依頼には、ただちに応じて出兵し、成功して朝鮮半島と中国北部を支配下に置いたかもしれない。さらに勢いに乗って大海軍を創設すれば、スペイン、オランダ、ポルトガルをアジアから駆逐して、大東亜共栄圏を徳川時代にすでに実現していたかもしれない。あるいは泥沼こうむの長期戦で大損害を被ったかもしれない。

……と考えるのは、いささか空想に過ぎるようだが、こういう空想は歴史認識のために、、は必要なことである。歴史の事実は一つで今さら変わらないが、どう認識するかとなると、それには前後左右・上下からの検討が必要で、それをして初めて「実力を持った鎖国」という日本だけの行動の特異性が認識できるのである。

欧米人や中国人は、実力と縄張りの広さはつねに正比例していると思っているから、"自制心が強い国家"の存在がわからない。この行き違いは今も繰り返されている。

反撃をしないからバッシングされる

喧嘩には、裏の手もある。悪い噂を立てて、個人的失脚を謀るという手がある。そういう手を使うのは国際常識である。

悪い噂とは、たとえば金銭と女性がらみのスキャンダルがある。日本の官僚で、アメリカ、中国を相手に、言いなりにならずに頑張った人は、例外なく悪い噂の一つや二つを流されている。本当は日本人全部がバックアップして守るべきなのだが、失脚させられたり、左遷させられたりした人が現実にいる。

だが、こうした国際常識は、日本も使うべきなのである。知人のアメリカ人の説だが、なぜ折に触れて「日本叩き」がなされるのかというと、「日本はこの種の個人攻撃の謀略をしないから」「反撃をしないから」だそうだ。

イギリスやフランスを相手にするのはやっかいだが、日本なら安心して叩けるというのである。この話は、二〇年も前から外務省の役人はみんな知っている。アメリカの政治家や官僚がフランスやイギリスを相手にして叩くと、すぐに連絡が入る。「お前の女性関係を知っている」「お前の金の秘密を知っている」、あるいは「折り入ってお話がしたい」と言って接近してきて、その人物と会っているところの写真を撮られる。怪しい人物でもないし、金など受け取ったわけでなくても、写真を撮られるとなかなかやっかいなことになる。

相手の人物が、某国の工作員だったと公表されるだけでも窮地に追い込まれる。いくら「そんな人とは知らなかった。友達の友達だから食事をしただけだ」と言い訳したところで、潔白を証明するのは大変だ。問題が「あった」ことを証明するのは、証拠を挙げればいいから楽だが、「なかった」ことの証明は原理的にもできないからだ。

そのときのアリパイは示せても、「ほかで何かしているんじゃないか」という疑惑は消せない。たとえば浮気の嫌疑をかけられたとき、疑われている某月某日に、その女性と会っていなかったアリバイは示せるかもしれない。だが「もっと別の日に会っていたんじゃないのか」とつつかれ始めたらきりがない。

国際社会には「007」の弟のような連中がたくさんいて、映画まがいの謀略が繰り広げられているのは常識である。法律や条約を盾に取った、正面からの妨害もあれば、こうした搦め手からの策賂もある。国際社会は、気心の知れた固定メンバーの集まりではないから、裏切ったところで取り立てて失うものがない。清らかな心だけでは食い物にされてしまうことを、日本人も知っておいたほうがいい。

陰謀とはストラテジー(戦略・政略)である

外国と経済活動で張り含う前に、大事なことがある。位負けしたり、腰が引けたりする弱気には、根元となっている"洗脳〃があるという点だ。

その"洗脳"とは「負けた国だからしょうがない」という言い訳である。第二次世界大戦で連合国に屈した、という意味だろうが、負けた国でも頑張っている国はある。「日本には頑張る方法がない、軍事力がない」と言うなら、軍事力をつけるにはどうしたらいいかから議論していくことだ。

そしてもうひとつは「工作力」をつけることだ。軍事力が間に合わないなら、この工作力がますます大事であることは、あらためて言うまでもない。「ストラテジー」とか「インテリジェンス」と言えば、洗練された感じがするが、やっていることは陰謀や工作で、それを積み上げていったうえに、自信ありげなそぷりが乗っかっている。

以前、「日本が叩かれるのは反撃をしないからだ。アメリカ政府要人の人事カードを作って、代々後輩に引き継ぐといい」と、日本の駐米大使や公使に話したら、そのときは実際に作ったらしい。ところが、作るのはそのときだけで引き継がれていない。しつこさに欠けるのである。「アメリカにも人事異動があってメンバーが替わるから」ということだが、返り咲くこともある。長く引き継いでこそ威力が出てくるものなのに、と残念である。

外務省も国土交通省も、経済産業省も「ストラテジー」や「インテリジェンス」で対抗する以前に、そもそも自分がやられた外国のそうした手口を公表すれぱよい。これは日本人には相手の悪口を言わないという美徳があるからで、ここでも道徳の高さが裏目に出ている。

しかし、ついにこの一〇年くらいの変化だが、外国の陰謀や横暴ぷりがメディアに載るようになってきた。当初は散発的に単行本で出されていたが、やがて総合雑誌や新聞にも広がってきた。そのためか、何かにつけて国際社会への従属を強調するような「進歩的」な新聞や雑誌は部数が減ってきている。少しずつ、当たり前のことが当たり前に語られるようになってきたのは確かだろうと思う。


(私のコメント)
最近では株の暴落で日本の株が一番売られていることから外人投資家も日本を見放したような事をテレビなどで見かける。構造改革が遅れているからだとか、GDPが90年代初めには世界一だったのに今では十八位まで落ちたとか、日本はグローバルな世界から取り残されているとか雑音がひどくなってきている。

確かに90年代から日本の経済の停滞は続いて欧米や中国などの好景気から取り残されているような状況だった。しかし欧米や中国などもバブル崩壊の兆しが見えてきて、実際には15年前に日本が体験したバブル崩壊を今頃アメリカや中国が直面し始めている認識が必要だと思う。

アメリカや中国は日下氏が指摘するようにヒステリー国家であり、ニューヨークで911テロ事件で二千数百人が亡くなったことで集団ヒステリーになってしまった。日本で95年の阪神大震災では六千六百人が死んだ事を思えばたいした数ではない。アメリカはテロのとの戦いということでテロリストの根拠地を叩くと称してアフガニスタンやイラクに爆弾の雨を降らせた。

中国では日本の総理大臣が靖国神社を参拝しただけで反日デモが起きて日系の商店が襲われた。アメリカにしても中国にしても内部に矛盾を抱えて、その不満を外部に向ける事で国民の関心をそらそうとしている。その対象になりやすいのが日本であり、なぜ日本が叩きやすいのかというと、虐められても反撃しないからだ。

小中学校で起きている虐めと同じであり、弱いものほど虐めの対象になりやすい。歴史的に見れば日本は中国やアメリカに虐められるほど弱い国ではないのですが、日本の政治家たちは”洗脳”されてしまって「日本は敗戦国だから仕方がない」といった虐められ根性がついてしまった。マスコミにしても同じで日本政府は記事しく批判しても中国やアメリカや国際金融資本に対しては腰が引けた事しかかけない。

日本の国会議員や高級官僚たちにはCIAや中国の公安がスキャンダルのリストを作って日本の要人たちを監視している。場合によっては事故や病気に見せかけた暗殺も行なっているようだ。日本もそれに対抗できるだけのスパイ防止法を作って防諜機関が外国の工作活動を阻止すべきなのだ。それに対して谷垣政調会長がスパイ防止法に反対している。しかし谷垣氏にも中国のハニートラップに引っかかったという噂もある。

日本国憲法が武力による問題の解決を禁止しているのなら、工作活動などで外国との外交交渉を有利にする必要がありますが、日本はひたすら国際社会との協調ということで外国からカモにされやすい状況になっている。日本は工作活動が出来ないのなら軍事力を強化して正々堂々と戦争で決着をつける力を持つべきなのだ。

テレビなどを見ても国際社会への従属を主張する学者やコメンテーターがいますが、国際社会など取り締る機関もない無法社会なのだ。アメリカや中国などは戦争や侵略などやりたいほうだいなのにアメリカ大統領や中国の国家主席が警察に捕まって裁判で裁かれることはない。自分の身は自分で守らなければイラクやアフガニスタンのように爆弾の雨が降りそそいでも誰も止めてはくれない。

日本が取るべき基本的な外交政策は徳川幕府の鎖国政策だ。もちろん一切の外交関係を絶つのではなく孤立化政策だ。強力な軍事力を持ってあらゆる外国からの内政干渉は排除しなければならない。昭和の軍人たちには徳川幕府の鎖国政策の意味が分からなかったようだ。朝鮮半島や中国大陸に進出するのは容易いが朝鮮や中国のような野蛮な国を取ってみても何の意味もない。

アメリカにしても民度において中国人と大して変わらなくて、だから中国人とアメリカ人は相性もいいのだろう。もともとアメリカ人は外国の事には関心がなくアメリカだけが世界だと思っている。そんな国と同盟を結んでいてもつまらない外交につき合わされるだけで意味はあるのだろうか? 

今日はインド洋に日本の護衛艦が出動しましたが日本の自衛隊はアメリカ軍の下請けだ。つまらない戦争に巻き込まれなければいいのですが、没落するアメリカにお付き合いをして日本も没落したのでは意味がない。これ以上ドルを買い支えてもアメリカ本国そのものが分裂していって崩壊するだろう。中国にしても内乱が起きて日本に助けを求めてくるかもしれないが一切関与してはならない。

つまり戦争に巻き込まれないためには16世紀の日本のように、スペインやポルトガルの侵略を排除したような強力な軍事力が必要だ。このような歴史の教訓を学ばずに非武装中立など言えるわけがない。日独伊三国同盟にしても日英同盟にしても結局は外国との戦争に巻き込まれた。日米同盟もアメリカは日本を戦争に巻き込もうとするだろう。だから私はあらゆる外国との同盟政策には反対する。




アメリカの利下げは日本の利上げに等しい効果をもたらす。日米の
金利差が縮小して逆円キャリーが起きて、米国はIMFの管理下へ?


2008年1月23日 水曜日

金融政策:死に物狂い策 1月23日 今日の覚書

FRBは基本金利を0.75%もばっさりやって3.5%にした。1月22日火曜日のことである。この決断が下されたのは緊急政策会議である。次回の定例会議は1月29日と30日の予定だったが、ここでは金利が0.5%引き下げられることが広く期待されていた。世界の株式市場が自由落下を続ける中、FRBは変わりにもっと大幅な、そしてもっと迅速なカットが必要だ、と決断。政治の世界で一週間は長過ぎるかもしれないが、金利引き下げを8日間待つことは、金融市場にとって耐え難い負担だったようである。

悪化し続ける経済展望の陰鬱さは、このような積極的な対策も許すのかもしれない。が、このタイミングは理解不能だ。定例会議まで一週間ほどというところで行われた金利引き下げには、パニックのかほり以上の臭いが漂っている。この決定と共に出されたFRBの声明は、この切り下げを「成長へのダウンサイド・リスク」(6つの短いパラグラフの中で2回も繰り返されたフレーズ)への対応として正当化している。また、住宅と雇用に関する先日の陰鬱なデータにも言及している。それでも、金融政策が支出に影響を与えるまでに必要な時間を考えてみれば、経済ニュースはこの数日間で大して悪化したわけではないのである。この急ぎ方は奇妙に見える。

悪化したのは金融市場のセンチメントだ。FRBは、この一週間の間にドン引きするほど素早くパニック・モードのスイッチが入ってしまった市場を元気付けるために行動したのだ、と結論を出すのは楽陳だ。しかし更なる株式市場へのダメージの懸念が金利切り下げの主な動機だったとすれば、これはウォール街での大規模処分祭阻止には殆ど役立たずだったじゃないか。FRBの発表直後に取引開始した途端、ダウ・ジョーンズは400ポイント以上も下がったぞ。連銀が行動する前についてた下げ幅と大して変わらんじゃないか。

市場が金融政策の緩和をナイス・サプライズと思わなかったのなら、それも当然だったろう。その短い任期の間に、ベン・バーナンキFRB議長殿は定例会議を、FRBの主要政策金利を変更するためだけに利用してきた。一週間前倒しして彼が行動したことこそ、FRBは市場が知らない何事かを知ってるんじゃまいか、などという疑惑を生んでるわけだ。それに、気持ち悪いのはタイミングだけじゃないのである。引き下げの規模だって、安心よりも不安をもたらしている。10年間の任期開始早々に金利を6.5%から1%にまで引き下げたアラン・グリーンスパン指揮下のFRBですら、一度として一度に0.5%以上カットしたことはなかった。

FRBの金利決定委員会に異議を表明したのは、ただ一人だった。定例会議を目前にしてこのような行動が許されるほど状況は悪くない、と主張して、ウィリアム・プールはこの引き下げに反対票を投じた。この主張に誰も意見を変えなかった、という事実は、委員会の連中の殆どが今では経済展望を思いっ切り心配しているか、金融市場メルトダウンの超やばいリスクがあるということだ。FRBが穏やかになるだろうと予測するインフレ懸念は、殆ど後回しにされてしまった。

それでも月末の会議は実施に踏み切ると予測されているし、FRBの委員会が黙って手を拱くためだけに開催されるはずもないわけで。1月30日に更に0.25%が引き下げられるだろう、と先物市場は織り込んでいる。恐らく、市場はそれまで何とかなるのだろう。


『サウジアラビアが脅えてドル暴落?』 2007年9月24日 今日の覚書

サウジアラビアは初めてFEDと共に金利引下げを行うことを断固として拒絶した。石油資源の豊かなペルシャ湾の王国は、中東全域で怒涛の如きドル離れを引き起こす危険のある動きの中で、ドル・ペッグ制を廃止する準備を進めているとほのめかしたのだ。

「これはドルにとって非常に危険な状況だ」とBNPパリバのカランシー・チーフ、ハンス・レデカーが言った。「サウジアラビアは将来世代基金に$8,000億抱えている。地域全体では$3.5兆が運用されている。インフレの脅威に直面するだろうし、アメリカの不景気用金利政策を輸入などしたくもないのだ」
と彼は言った。サウジアラビア中央銀行は今日、同国への莫大な額の資本流入を阻止すべく「適切な措置」を取ると述べたが、アナリストはこの政策は持続不可能であり、ドル・ペッグ制の崩壊に繋がるのは不可避となるだろうと言っている。

アメリカの近しい仲間として、サウジアラビア政府はこれまでのところペッグ制を守ろうとしてきたが、この繋がりは現在自らの経済を不安定化させつつある。FEDが昨日行った劇的な4.75%への0.5%利下げは、既に世界のドル指数で15年ぶりの値下がりを生じており、強力なユーロに対しては$1.40弱で史上最安値に達した。

現在、世界中の投資家がアメリカ債券市場を避け始めるという危険が高まっている。今週公表された外国人保有に関する最新のアメリカ政府のデータは、米国債総売上を含め、米国債購入が$970億から7月にはたったの$190億へ崩壊したことを示している。アメリカとその他の国々との利回りの差が急速に狭まるにつれて、これが加速するかもしれないという危険があり、経常赤字(今年は$8,500億、またはGDPの6.5%に達すると予測されている)を補うために必要な外資流入を途切れさせるかもしれない。

レデカー氏は、海外の投資家は徐々に米長期国際市場から撤収しており、ドルを短期資金調達に依存させていると語った。この2年間は外国人が、アメリカの信用および短期証券市場の25-30%に資金調達してきた。「儲かれば喜んで金を提供してきたが、こんなに劇的に状況が変わってしまった中で何故リスクをとらなければならない?2008年代1四半期までにドルがユーロに対して$1.50まで下がるという可能性もないわけじゃない」。「アジアで危機が起こったけれどアメリカは景気が良かった、という1998年の状況とは全く違う。今回はアメリカそのものが問題だ」。レデカー氏は、ドルにとっての最大の危険は、下がり続けるアメリカの金利がいずれかの時点で逆円「キャリー・トレード」の引き金を引いて、莫大な額の資金がアメリカから日本に戻るようになることだ、と述べた。

商品取引王でありジョージ・ソロスの元パートナーであるジム・ロジャースは、ドルが既に圧力を受けている時にあれほど金利を引き下げるとはFEDは火遊びをしていると語った。リスクは、米国債からの逃避が殆どのモーゲージ向融資の基本価格を決定する長期金利を押し上げ、不動産市場を更なる危機に陥れるかもしれないということだ。「たとえベン・バーナンキが既にやっているよりももっと速く輪転機を回し始めたところで、我々は深刻な不況に見舞われる。ドルは崩壊する。債券市場も崩壊する。山ほど問題が出てくるよ」と彼は言った。

しかしFEDは、突然のダウンターン・リスクが現在は余りにも大きくドル安の危険性を超えている、と明確に計算している。元FED議長のアラン・グリーンスパンは今週、サブプライム危機がより厳しくなるにつれ住宅価格は「二桁台で」下がるかもしれず、家庭に支出を大幅に削らせるだろうと述べた。

明らかに、ドル・ペッグ制はサウジアラビアにとって障害となった。インフレは4%上昇し、M3は22%で急騰中だ。ペルシャ湾岸の別の地域では、その圧力はもっと悪い。UAEの現在のインフレ率は20年ぶりに9.3%となった。カタールは13%に達している。5月、クウェートはドル・ペッグ制を破棄する最初の石油王国となった。過剰なマネーサプライの伸びを抑え付け始めている動きだ。


(私のコメント)
アメリカにとっての最重要同盟国はサウジアラビアと日本なのですが、それは地政学的にも重要な位置を占めているだけではなく、アメリカ経済を支えているのはサウジアラビアと日本なのである。サウジアラビアは石油産出王国であり湾岸諸国のリーダー的存在である。事実、石油が高騰するたびにサウジアラビアは増産して価格の安定に貢献してきた。

またソ連の崩壊においても石油価格を暴落させる事で経済的に追い込むことが出来たのもサウジアラビアの協力があったからだ。また石油とドルとのリンクに協力する事でドルの基軸通貨制度を実質的に支えてきた。ドルでなければ石油が買えないのだから世界各国は争ってドルを調達して外貨として運用してきた。

このようなサウジアラビアの献身的なアメリカへの協力にもかかわらず、アメリカ外交はサウジアラビアに対して冷淡であり、イスラエルよりの政策を続けてきた。決定的に悪化したのは911テロ事件以降であり、アメリカの対サウジアラビア外交は悪化した。それまではサウジアラビアの駐米大使は特別な待遇を受けていたのですが、911テロによる見舞金すらつき返すほどアメリカは冷淡になった。豊富なオイルマネーもアメリカに還流させてアメリカの消費経済を支えてきた。

アメリカはドル基軸通貨制度の特権をフルに使って利益を享受してきた。ドルが長期的に安くなっても湾岸産油国や中国や日本がドルを還流させている限りは、アメリカは金融大国としてマネー戦略を実施する事ができた。アメリカのマネー戦略とは中国などの新興国に集中的に投資をして成長リターンを得る事で金融帝国となることだ。

サウジアラビアがオイルマネーを供給すれば、日本もゼロ金利政策で世界に低金利のマネーを供給し続けてきた。オイルマネーは産出する石油に限りがありますが、日本が供給するマネーは日本の産業力が担保になっているからオイルマネーのような波がない。

アメリカが1%という超低金利政策による住宅バブルで消費経済は爆発的に拡大してアメリカは世界の消費を一手に引き受ける事ができた。中国などの新興国もアメリカからの金融投資によって生産設備を整えて世界の工場となりアメリカに格安の商品を輸出して経済発展してきた。

しかしその仕組みにも転機がやってきた。そのきっかけの一つが日本の日銀がゼロ金利を解除した事で0,25%づつ二度にわたり切り上げられた。その度に円キャリーの逆流が起きて世界同時株安が発生した。しかしまだ0,5%の水準であり日本経済が低迷している限り超低金利は続き、日本からの資金供給が続くと思われてきた。

ところがアメリカも金融を引き締めてインフレ予防に乗り出して、日銀もゼロ金利か解除して金利を上げ始めた。それは特に問題ではなかったがサブプライムローンが焦げ付きはじめてCDOの流通がストップしてしまった。もともと信用度の低い証券のはずなのに格付け会社が高く評価して、アメリカの金融機関も様々なファンドに入れ込んで販売してしまった。

サブプライムローンの残高自体はたいしたことはないが、多くのファンドに紛れ込んでしまった為に評価損の正体が分からずに銀行同士でも疑心暗鬼になり信用不安まで生じはじめている。不良債権の実態すらまだつかめていないのだから公的資金の出動もままならない。プライムローンの住宅の値下がりも広がりはじめて、まさに90年代に体験した日本のバブル崩壊がアメリカで起き始めたのだ。

アメリカ政府やFRBは様々な手を打ち始めましたが、信用不安が収まるだろうか? アメリカの株価の動きを見る限りでは収まったようには見えない。最悪の場合にはドル自身の信用不安にも影響が及んでくるだろう。バーナンキは大幅に金利を下げましたが、それによってドルに連動している通貨国のドル離れが加速するだろう。そうしなければインフレが国内に蔓延してしまうからだ。

日本におけるバブル崩壊は公的資金注入で収まりましたが、アメリカの金融機関はは海外から資金を受けて資本を充実させている。中央銀行からの資金とは違って高金利であり15%で借りている。まさにサラ金並みの金利でありアメリカの金融機関は生活破綻者並みの信用度になってしまった。これが世界に誇る金融テクノロジー大国の末路なのだ。

アメリカ経済の舵取りは非常に難しくてバーナンキは金利低下に大きく舵を取りましたが、インフレがひどくなりドル安が本格化して長期金利が急騰して株が暴落して、本格的な大不況がやってくるかもしれない。アメリカは毎年100兆円近くもの海外からの投資に頼っている。しかし低金利になれば逆にアメリカからマネーが逃げて行く。まさにバーナンキはエンジンの逆噴射をしているのだ。アメリカこそIMFの管理下において構造改革しなければならない。




米、0.75%の緊急利下げ・FF金利3.5%、景気悪化に歯止め


2008年1月22日 火曜日 22:50:40

バーナンキのヘリコプターマネーは金融危機を回避できるか?


米、0.75%の緊急利下げ・FF金利3.5%、景気悪化に歯止め 1月22日 日経新聞

【ワシントン=小竹洋之】米連邦準備理事会(FRB)は22日、臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、最重要の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を緊急に0.75%引き下げ、年3.5%とすることを賛成多数で決めた。実施は即日。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を発端とする米景気の悪化や世界同時株安や米景気の悪化に歯止めをかけるため、29、30日に開く定例のFOMCを待たずに大幅な追加利下げに踏み切った。

 FF金利の引き下げは、4年3カ月ぶりの金融緩和に転じた昨年9月から4回目。累計では1.75%の下げ幅となった。臨時FOMCによるFF金利の緊急利下げは、米同時テロ発生直後の01年9月以来となる。

 金融機関向けの貸出金利である公定歩合も0.75%引き下げ、年4%とした。昨年8月の緊急利下げから5回目の引き下げで、累計では2.25%の下げ幅となった。(22:34)





「イラク戦争が主として石油のためであることを認めるのが
政治的に不都合であることは悲しい」 アラン・グリーンスパン


2008年1月22日 火曜日

イラク:石油生産量、開戦前に迫る 治安改善で 1月21日 毎日新聞

イラクの石油生産量が、03年のイラク戦争開戦直前レベルに迫る日量約250万バレルまで回復している。治安改善に伴い、武装勢力によるパイプライン攻撃が減少したことなどが理由。石油収入の分配を定める石油法案の成立のめどは立たないが、国家財政の大半を石油収入に依存する中、石油省は価格高騰を追い風に輸出の拡大を急いでいる。

 石油省によると、現在、日量約200万バレルを輸出。多くが有数の油田を抱える南部バスラ県から積み出されている。輸出拡大に向け先月17日には、国営の石油タンカー企業がバスラ港で27年ぶりに新型タンカーの進水式を行った。

 また先月、武装勢力の攻撃をたびたび受けていた北部キルクークからトルコのジェイハンを結ぶパイプラインが再開、米軍に破壊されたキルクークとシリアのバニヤスを結ぶパイプラインの再開も決まった。具体的な日程は明らかでないが、ロシア企業が再開に向けた調査を進めている。

 「日量300万バレルまでの生産拡大を計画している」。石油省報道官は外資の石油会社などと開発契約交渉がいくつも進んでいると胸を張る。ロイター通信によると、国際通貨基金(IMF)当局者は07年に1.3%だったとされる国内総生産(GDP)成長率は、石油生産の好調を維持できれば08年と09年には7%を超えるとしている。

 一方で、イラク北部のクルド自治政府が海外の石油会社などと独自に締結している油田の開発契約について、中央政府は石油法案の審議が継続中であることを理由に「契約は違法」との立場を崩していない。

 今月17日には、石油省が自治政府側と契約を結んだ海外の石油会社との協力関係の停止を決めたことが明らかになるなど、好調な石油生産は中央政府と自治政府の対立を深める要因にもなっている。(共同)



巨大石油企業がイラクに抱いた夢 1月5日 リンダ・マクウェイグ

西洋のメディアは、一般にこの法律を「石油収入分配法」と呼んでいる。つまり、潜在的に膨大な額になるイラクの石油収入を、互いに闘っているエスニック・グループ----シーア派、スンニ派、クルド人----のあいだでどう配分するかに関わるものと伝えられている。けれども、この法律はそれ以上のことを述べている。イラクの石油部門に対する外国の投資について法的枠組みを決め、巨大多国籍石油企業の支配権を復活させる可能性があるものとなっている。巨大石油企業は、1970年代に中東を席巻した強力な石油ナショナリズムの中で中東地域の支配権を失い、膨大な石油資源は中東諸国政府が握ることになった。最終的に賭かっているのは、イラクの砂の下に眠る石油という黒い金がもたらす巨大な富から利を得るのは誰か、である。イラクに暮らす、日々の食べ物にも事欠くような2500万人のイラク人か、それとも、ビッグ・オイルとして知られる世界で最も裕福な企業の所有者たちか。

結局、米英のビッグ・オイルが地上に残された未開発の石油大鉱脈を支配しようと身構えており、17万人の米兵たちがそれを助けるために駐留している中、キャピトル・ヒルにいる監視人とメディアは、それにまったく注目していないようなのである。部屋のど真ん中に膝までどっぷりと油に浸かった象がいるにもかかわらず、レイバーン・ビルのホールを歩くクシニッチと同様、まったく注目を浴びていない。ブッシュ政権はイラクでの災厄をめぐってすべてのものをむちゃくちゃにしているが、一点についてだけは大成功を収めている。ブッシュ政権がイラクの石油をむやみにほしがっていることから、人々の議論をそらすことにはなぜかしら成功したのである。

少なくとも、表面上はそのように見えた。詳しく調べてみると、実は、ISGが提唱していた戦略は、ブッシュ政権とほぼ同じであることが明らかになった。すなわち、十分に強力なイラク軍を創設し、米国の支配下に置かれたイラクという枠組みのもとで治安維持にあたらせること。実際、ISG報告は、イラク軍に米軍兵士を参加させ、イラク警察に米国の訓練官を派遣し、内務省にFBIのエージェントを送り込み、イラク諜報部門にCIAのエージェントを送り込むことで、イラクにおける米国の支配をいっそう拡大する見解を示していた。

そのように言ったあとで、ISGのメンバーたちは本当の仕事に取りかかり、どうすれば米国政府がイラクの石油を実効支配できるか検討し始める。例えば、報告書の勧告第62項は、外国からの投資を促すためのイラク石油法草案作成に、米国は「技術支援」を提供すべきであると述べる。勧告第63号は、「国際社会と国際エネルギー企業によるイラク石油部門への投資を米国が促し」、「イラクの指導者に国営石油産業を営利企業と見なすよう促す」ことを求めた。これらの勧告は、実質的に、イラク石油産業を再設計して外国からの投資と多国籍エネルギー企業に大きな役割を負わせるよう、米国政府に呼びかけているものである。

ホワイトハウスを運営する共和党政府の政策に対する攻撃となっているどころか、ISG報告書は、米国がイラクを支配することについて民主党も共和党も基本的に同じ考え----イラクの巨大な石油資源を多国籍石油企業に向けて開放すること----を持っていることを明らかにしている。

けれども、この超党派合意はイラクの人々自身の考えとは逆である。昨年6月と7月にワシントンの非営利組織「政策研究所」が行なった世論調査では、イラク人の3分の2近く----シーア派の66%、スンニ派の62%、クルド人の52%----が、イラクの石油部門を海外投資に開放することに反対していることが明らかになった。ワシントン政府内では、イラク人の反対はすでによく知られていた。イラク研究グループ(ISG)に参加したある上級研究員は、匿名を前提に、民主党も共和党も、イラクで多国籍企業が主な役割を果たす必要がある点について合意していると述べた。同時に彼は、そのやり方がイラク内部で政治家にも市民にも人気がないことを認めた。「[これをめぐる]視点は、『神が我々にこの石油をくれた。それはイラクの人々の利益のためだ。外国人がやってきて石油を持ち去ることは望まない』」というものだ、と彼は言う。「イラク人はむちゃくちゃ民族主義的だ。自分たちの産業を近代化するために外国の投資が重要だということさえわかっていない・・・・・・。イラクの政治体制はそこをまだ理解してないんだ」。

このコメントについて何よりも驚くのは、イラクの人々が米国の計画に反対していることを知りながら、なぜかしらイラク人の反対など無意味だと決めつけている点である。イラク人の反対は、尊重すべきものではなく、乗り越えなくてはならないものに過ぎないという考えは、イラクをめぐる米国政府の基本となっている。

侵略の動機として石油への言及が抹殺される点は重要である。というのも、それによって、イラク戦争は、最悪のイメージで語られる場合でさえ、素朴な大統領が中東に民主主義をもたらそうとして失敗した試みとして描き出され、ほかの主権国家の資源を盗むための帝国主義的企てとしては伝えられないからである。デニス・クシニッチが実質上村八分にあっているという事実も、ここから説明できる。彼は、単に戦争を強く批判しているだけではなく、それ以上のことを言っている。石油が侵略の動機の一つだったと示唆することで、彼はいわば無人地帯に足を踏み込み、同僚の民主党議員のあいだでさえ自分の立場をはずれたものにしているのである。民主党議員の多くは、陰謀論者と言われるのを避けるために、この話題からは距離を置いている。

しかしながら、新法のもとでの収入の分配をめぐってイラクの様々な政党派閥のあいだに大きな緊張が生まれたため、イラクはIMFの期限を守らなかった。一方、イラク石油労働者組合がイラクの石油を民営化【私有化】することに強く反対し、スンニ派、シーア派、クルド人の政治家たちも反対の声を強めていった。米国政府が新たに圧力を強めたため、イラク内閣は2007年2月に石油法を承認したが、翌月、イラク議会に法案を提出すると、強硬な反対にあった。議員たちが反対した項目の一つは、連邦石油・ガス評議会の設置である。この評議会には外国の石油専門家が参加し、海外石油企業との長期的協定に署名する権限を有するものだった。

2007年5月に断固たる態度のディック・チェイニーがバグダードを訪問しても、イラク議員に法案を採択させるには至らなかった。8月半ばには、419人の著名なイラク人石油専門家やエコノミスト、知識人が、請願書に署名し、新石油法に対して大きな憂慮を表明した。9月半ば、クルド人がイラク政府を無視して独自の石油法を採択するに至って、少なくとも短期的には、イラクの新石油法は挫折した。

爆撃で破壊され、多くの人々が殺され、政府がほとんど機能していない状況にあってさえ、イラクの人々は、イラクの石油を何らかのかたちで支配しようという米国の計画に対して驚くほどの抵抗を示している。米国がイラクの石油を支配するという任務が達成されるまで、米軍兵士の撤退を想像することは難しい。

米国連邦準備制度理事会の理事長を長く務め、それにより世界経済に対して神のような権力を発揮し、尊敬を集めているアラン・グリーンスパンは、一般に、不可思議、夢想的、聡明と言う形容詞で表わされる。2007年秋、彼が、長いこと待たれていた回想録を出版したことで、もう一つの形容詞、「いかさま」が付け加わった。

少なくとも、グリーンスパンの大冊「激動の時代」を読んだ者の中には、彼が「いかさま」であるとの見解を持つ者がいただろう。というのも、著書の中で彼は、「誰もが知っていること、すなわち、イラク戦争が主として石油のためであることを認めるのが政治的に不都合であることは悲しい」と書いているのである。彼が議員秘書の仕事に応募する立場にないことは幸いだった。

実際、石油のために戦争するという点については、それが十分有効であると見なされる限り、米国はとくに遠慮なく認めてきた。たとえば、米国のエネルギー・アクセスを守ることは決定的な国家利益であり、国際法上の根拠はまったくないにもかかわらず、米国政府は軍事介入を合法化する大義と見なしてきたのである。1970年のアラブ諸国による石油輸出封鎖のあと、ジミー・カーターは次のようなカーター・ドクトリンを宣言した。「ペルシャ湾岸地域を支配しようとする外国勢力は、それがどこであれ、米国の決定的利益に対する攻撃であると見なし、軍事力を含む必要なあらゆる手段で撃退する」。

これについて、仮に、サダム・フセインのような、どうふるまうかわからない独裁者が湾岸地域の石油に対する米国のアクセスを危機に陥れようとしたらどうなるだろう? 1990年代半ば、こうしたシナリオを考慮して、ディック・チェイニー、ドナルド・ラムズフェルド、ポール・ウォルフォウィッツなどの著名な共和党員たちが、当時のビル・クリントン大統領に公開状を出し、「世界への石油供給のかなり」を含む米国の決定的な国家利益を守るためにサダム政権を転覆するよう求めていた。

サダムが1990年代後半から、米国企業ではなくロシア、フランス、中国の諸企業と石油開発交渉を進めていたという事実も、数年後に共和党が政権を握ったときに心配の種となっていたことは確かである。ニューヨークの「グローバル・ポリシー・フォーラム」のジェームズ・ポールが指摘するように、「それら他の企業はすべて、大きな収穫を手にする。石油産業の全将来を決めるようなものだ」。ビッグ・オイルは巨大な利益を上げてきたが、将来の利益は古い油田にかわる新たな油田を見つけることにかかっている。イラクは新油田を開発するために、ほかにないほど重要な地域だった。


(私のコメント)
久しぶりにイラク戦争について取り扱いますが、治安の一時的改善によってイラクの石油生産が戦前のレベルにまで改善している。イラクの米軍が17万人にまで増強されているからですが、ゲリラ勢力はこれによって一時的に抵抗を弱めたようだ。ゲリラ戦争においては敵が強力な戦力で攻めてきたら安全な聖域に撤退して、敵が撤退して戦力が小さくなるとまたゲリラ戦が始まる。このままイラクの治安が収まるものではない。

リンダ・マクウエイグ氏の記事によれば、共和党も民主党もイラクの石油を支配するという点では変わりがないのであり、90年代からアメリカの共和党タカ派グループがサダム・フセイン政権を転覆させる事を求めていた。そしてブッシュ政権の誕生によりその政策は実行されたのですが、名目は核開発をしているとか、大量破壊兵器を持っているとか、イラクに民主主義をもたらす為とか、いろいろ理由は変わった。

しかしイラクの石油の為である事は自明の事なのですがアメリカ政府は公には認めていない。カーター・ドクトリンにおいては湾岸地域を支配しようという海外勢力はアメリカに対する攻撃とみなして撃退すると宣言している。イラク戦争はそれに基づく実力行使なのですが、イラン支配もアメリカの戦略の内にはいっているのだろう。

カーター大統領は民主党政権であったから、次の大統領が民主党の大統領であってもイラクからアメリカが手を引く事はないのだろう。アメリカ軍がイラクから撤退する事はカーター・ドクトリンの崩壊を意味するものであり、アメリカの石油戦略の崩壊を意味する。だからいかなる事があろうとアメリカ軍がイラクから撤退する事はクリントンやオバマ候補のどちらが大統領に選ばれても撤退させる事は難しいだろう。

私がイラクのゲリラ側の戦略家とすれば、アメリカの大統領選挙で民主党が勝つ事を見越して待っていればイラクからアメリカ軍が一部撤退させるまで攻勢は控えて戦力の増強を行なうだろう。戦力が手薄になったところを攻勢をかけていけばアメリカ軍も全面撤退に追い込まれるかもしれない。

しかし石油がある限りアメリカも国運をかけて逆転攻勢をかけなければならないだろう。アメリカが中東の石油の支配権を失えばアメリカの世界覇権は失われたと見るべきであり経済的なダメージは計り知れないものとなる。湾岸諸国も一斉にアメリカ離れを起こして中国やロシアやUE諸国の勢力が手を伸ばしてくるだろう。

アメリカ政府を動かしているのはビックオイルと呼ばれる連中ですが、ブッシュもチェイニーもそこの出身だ。次の大統領になるクリントンかオバマはビックオイルとは関係がないからイラクからの撤退を選挙公約にしていますが、大統領になったらその公約は守れないだろう。イラク研究グループは目に見えない形での石油支配を目論んでいるようですがイラク政府自体がそれを認めないだろう。

イラク研究グループが手本としているのが日本であり、日本は米軍とFBIとCIAのエージェントにによって固められてがんじがらめになり、アメリカ政府の意のままに動くようになっている。マスコミにもエージェントはいて民主主義を利用して国民を自由自在に動かしてアメリカの従属国になっている。しかしイラクは日本とは違って歴史的に見ても徹底した抵抗運動でイギリス軍も追い払っている。そしてアメリカ軍も同じ目にあうのだろう。

問題の焦点はアメリカの世論がアメリカによる石油の支配を望むのか、イラクの自立を支持するのかにかかっていますが、共和党も民主党も今のところ石油支配の意思は同じだ。日本のように国民を上手くてなづけられればいいのですがイラク国民はそうはならないだろう。イラク戦争と日本とでは直接は関係がないように見えますが、アメリカの支配を受けている事に関しては同じであり、アメリカがイラク支配に失敗すればアメリカは決定的なダメージを負うことになり日本からも手を引く事も見えてくる。

日本の長期的戦略としては、アメリカ軍がアジアや中東湾岸諸国から手を引いた場合、その穴を日本が埋める必要がある。フランスが早くも動きはじめているが、日本の国会はガソリン国会に明け暮れている。中東から日本は9割も石油を輸入しているのに、アメリカが手を引いたら石油がどうなるか考えてもないのだろう。


ペルシャ湾岸に初の恒久基地=仏、UAEと軍事協定調印 1月16日 時事通信

【カイロ15日時事】フランスとアラブ首長国連邦(UAE)は15日、UAEの首都アブダビで、仏軍の恒久基地をUAEに建設する協定に調印した。サルコジ仏大統領のUAE訪問に合わせたもので、仏軍がペルシャ湾岸地域に恒久基地を設けるのは初めて。AFP通信などが仏大統領筋の話として伝えた。
 同筋は、この基地にはフランスの陸海空各軍の計400〜500人が駐留することになることを明らかにした。
 UAEは、核開発問題で緊張が高まるイランとペルシャ湾を挟んで近接。湾岸産油国からの海上石油輸送の要衝となっているホルムズ海峡にも近い。




概ね19世紀まではキリスト教の真理と人種差別はまったく自明のもの
であった。 母なる地球>クジラ>白人>黄色人種>黒人>霊長類・・・


2008年1月21日 月曜日

捕鯨問題 YouTubeで"炎上"(2008.01.15) 動画 2分45秒

ワシントン支局長・山本秀也 覚悟問われる日本の捕鯨 1月20日 産経新聞

≪盟友たちの反発≫

 年々薄くなっているという南極あたりの氷は、実のところ、逆に厚さを増している−。

 南極海での日本の調査捕鯨を取り巻く国際環境の厳しさを考えると、こんなふうに、進行する地球温暖化の現実とは正反対の光景さえ思い浮かべてしまう。

 日本の調査捕鯨船団が、昨年11月18日に下関港を離れた。だが、予定海域に到達する前に、今年から予定していたザトウクジラの捕獲を断念することになった。

 厚い氷に阻まれ、捕鯨船団が立ち往生したわけではない。日本政府による「1、2年の見合わせ」の決定のためだが、背後には米国、オーストラリアの強い反発がある。米国務省のマコーマック報道官は、船団出港の翌日、「日本が今年の捕鯨を自粛するよう呼びかけたい。とりわけ、ナガスクジラとザトウクジラには配慮を求める」と、米政府の具体的な要請を表明していた。

 この後、11月24日投開票の総選挙で政権交代があったオーストラリアでは、かつて日本の調査捕鯨阻止に「軍艦の派遣も辞さない」と息巻いたラッド労働党党首が新首相に就いた。さすがに海軍艦艇への出動命令は控えたが、豪税関の監視船が日本船団の追跡に乗り出した。

 年が明けて今月15日、豪連邦裁判所は、調査海域が豪州独自に設定した「クジラ保護海域」にあたるとの理由で、日本の捕鯨差し止めを命じたのである。

 ≪凍結された法的権利≫

 差し止めを求めたのは、野生動物保護を叫ぶオーストラリアの環境保護団体だ。日本側は「公海上での活動」として判決を拒む構えだが、司法の衣を着た政治的な圧力は、活動家による海上抗議などより、ある意味では対応が難しい。司法までもが「捕鯨反対」を支持したことで、今後の影響はオーストラリア国内にとどまらない懸念がある。

 日本にとって悩ましいのは、米国、オーストラリアといった安全保障分野での重要な同盟国が、またも日本を標的に「捕鯨反対」を声高に叫びだした点である。

 豪連邦裁の判断はいうまでもなく、IWC(国際捕鯨委員会)で認められた調査捕鯨の法的権利が、このところ事実上凍結されているようにすら思える。マコーマック報道官も調査捕鯨に関して「日本の法的権利は認めるにせよ」と前置きしつつ、「クジラの生息数に関するほとんどすべてのデータ収集は、非致死性調査が技術的に可能だと指摘しておく」と踏み込んでいた。

 この主張をかみくだけば、「調査の権利は認めるが、クジラを殺すな」ということだろう。言葉にこそしないが、「副産物」の鯨肉が調査後に日本の水産市場に流通する現状を想定すればこそ、「非致死性」というくだりに力も入る。日本がよって立つ科学的反証は一顧だにされない。ニューヨーク・タイムズ紙の社説(昨年4月1日)は、クジラの解体、販売をともなう捕鯨に「調査」の名を冠することを「世界中の生物学者が恥ずべきこととしている」と切り捨てたことがあった。

 米議会関係者によると、かつて民主党の大統領候補にもなったケリー上院議員ら米与野党議員は、マコーマック談話に続いて加藤良三駐米大使に書簡(11月29日付)を送り、「差し迫った約1000頭もの捕鯨を見合わせよ」と迫っている。

 ≪慰安婦問題との類似性≫

 捕鯨問題への賛否議論を見渡すと、慰安婦問題に関する米下院の対日非難決議といった歴史責任の議論にも似た構図がみえてくる。論争のキーワードを「史実」(慰安婦の実態)から(調査捕鯨の)「科学的根拠」に置き換えると、浮かび上がるのはかみ合わない議論と不信に満ちた感情論だ。

 まして対日非難の出所は、近隣の中韓ではなく、米豪や英国などだ。高飛車に来られると、日本人の体内時計は昭和20年に針が戻り、敗戦の古傷が痛む。日米豪の3首脳が、シドニーでの会談(昨年9月8日)で、アジア・太平洋地域での安保協力を誓ってわずか4カ月でこの捕鯨問題騒動である。ああ、寒い光景だ。

 鯨料理も食文化の一つととらえる日本に対し、米豪の捕鯨反対論の根底には、クジラという高等動物を食べること自体が野蛮だという思いがある。

 南極海を航行中だった日本の調査捕鯨船には先日、反捕鯨派の米環境保護団体のメンバー2人が侵入し、激しい妨害行為を行い、波紋を広げた。

 たかが、クジラ。されど、クジラ。日本が「国家の意思」として捕鯨を維持する覚悟なら、「科学」と「法理」を武器に、対日包囲網の中でも堂々と主張し続けるしかあるまい。(やまもと ひでや)



ガイア教の天使クジラ その1 神は細部に宿り給う

最近IWCの総会があった関係でいくつか反捕鯨問題のニュースを見かける。

痛いニュース(ノ∀`):“日本の怒り爆発!” 「国際捕鯨委員会(IWC)脱退も」 日本政府表明…新機関設立も
痛いニュース(ノ∀`):【捕鯨問題】「日本の対応は子どもじみたかんしゃく。母親は子供のかんしゃくを認識するものだ」…オーストラリア環境相

 他にも探せばいくらでも出てくると思うが、議論はたぶん私が初めてこの問題に興味を持ちだした十年以上前からまったく変わっていないだろう。賛成派は「欧米白人キリスト教圏の文化帝国主義反対!」と叫び反対派は「水産庁の役人利権に利用される民族主義者キモイ! グローバルスタンダードに逆らって国益を損ねるな!」と叫ぶ。

LinuxとかperlとかFXとか - そんなにみんなクジラ食いたいんだろうか?

 そんな中で上のページの人の「訳が判らない。」という素直な感想は貴重に見える。確かにこれはわからなくて当然と思う。私はおよそ主要な社会問題の中でこれほど理解の難しいものを他に知らない。

 私が初めて反捕鯨問題に興味を持ち始めた頃に一番驚いたのは、過激な捕鯨反対派の著作の中に、単に「鯨は知能が高い」というだけでなく「鯨は人間よりも知能が高い」という意見がしばしば登場することだった。

 それはもちろん反捕鯨派の主張としても主流というわけではなかったが、かといって少数の異常な例外として無視できるほどマイナーでもなかった。しかも彼らにとってそれはただの運動の口実などではなく、心の奥底からそれが真実であると(あるいはあって欲しいと)思っていることは確実だった。

 これは私にとって直感にも理屈にも真っ向から反する不思議なことだった。確かに他の条件が同じならば、知能が高い動物の方が可愛いと感じることは人類にある程度普遍的な傾向と思われるので、捕鯨反対派が鯨の知能を高く見積もりたがるのは不思議ではない。しかし人間よりもとなるとまったく話は別だ。

 人種差別の思想にとって「人間が最も頭の良い生物であること、そして白人がその他の人種より頭がよいということ、そしてそれが偶然ではなく必然であること」はまさに中心教義であり、そのことを真理として“証明”するために途方もない努力が傾けられてきた。

 捕鯨反対運動と人種差別感情に強い結びつきが、少なくとも相関性があるのは明白に思えた。だがそうするといくら反捕鯨運動の主張としては都合がいいからといって、もう一方の中心教義を全否定してしまうような信念が、過激派にとりわけ好まれるなどということが本当にあり得るだろうか?

 明らかに何かが間違っていた。例外は法則を試すというが、このことが納得できるようになった時には、私はこの世の何事かについて、何か重要なことを理解できるはずだと直感的に思った。しかし、その時はいくら頑張ってもそれ以上理解は進まなかった。私がこのことをやっと納得できるようになったのはずっと後になってからである。

 それは反捕鯨問題とはまったく関係なしに、宗教や哲学の歴史を勉強している時に予想外の方向からやってきた。結論から言うと捕鯨反対運動は人種差別と結びついているわけではないし、宗教じみているのでもない。現在の反捕鯨運動の精神はかつて人種差別に科学的根拠を与えてきた自然神学の残党であり、宗教じみているのではなく最初から宗教そのものなのである。

 もちろんいきなり言われてもなんのことかわからないだろうから、これから何度かに分けて説明していくけれども、冒頭の痛いニュースや、おそらく2ちゃんねる等で捕鯨反対派に対し強烈な反発を表明している人たちに、私から是非とも伝えたいメッセージが1つだけある。それは何も怖がる必要はないんだよってことだ。

 反捕鯨運動は君らが恐れているようなここ二、三十年で急速に台頭し瞬く間に日本の伝統文化の1つを壊滅に追い込んだ恐るべき勢力……なんかじゃあない。逆だ。かつて社会の指導原理として人類総てに神の恩寵を与えていたもの、かつて地球を股に掛けて先住民をスポーツハンティングし、奴隷船を駆り、断種手術を指揮し、絶滅収容所を経営していたものの、もう見る影もない哀れな成れの果ての姿なのであって、恐怖に怯え「弱い者いじめはもうやめてくれ!」と叫んでいるのは実は君ら以上に彼らの方なんだってことだ。

ガイア教の天使クジラ その2 神は細部に宿り給う

21世紀の現在では想像するのも難しいが、概ね19世まではキリスト教の真理と人種差別はまったく自明のものであった。全知全能の神をトップに戴く一次元的な階層構造があった。

 そういうものを書き表すのにおあつらえ向きな不等号厨メソッドを使うとこうである。

古い存在の大いなる連鎖(各階層の差を作り保証しているのは神)

 全知全能の父なる神>>>(全知全能の壁)>>>天使>(できるだけ低いと思いたい壁)>白人>(越えさせたくない壁)>黄色人種>黒人≧(あまり高くないと思いたい壁)≧霊長類>鳥獣>魚>地を這うもの>草木>無生物>塵芥

 進化論を筆頭とする科学の進歩によって、この美しく居心地の良いヒエラルキーを維持するのはだんだん難しくなっていった。もはや人間は動物とは違って神によって特別に創造されたと信じることは難しくなってきた。この“危機”に際しての対応は大きく2つの方向に分かれた。

 1つは今でもID論を推進しているような、単純に用語をキリスト教的でないできるだけ科学的なものに置き換えるだけで、基本的にキリスト教の教えをそっくりそのまま守ろうとする方向。もう1つは進化等の科学的事実は認めるものの、今度は自然科学そのものに神の意志や人間への愛を見て取ろうとする自然神学の方向である。

存在の大いなる連鎖修正版(各階層の差を作り保証しているのは進化)

 神≒やがて人間が進化するべき究極の知性>>>(超未来の壁)>>>より高度に進化した人類>(できるだけ低いと思いたい壁)>白人>(越えさせたくない壁)>黄色人種>黒人≧(あまり高くないと思いたい壁)≧霊長類>哺乳類>鳥類>は虫類>両生類>魚類>昆虫その他>草木>微生物>無生物>塵芥

 全ての生物が人間に向かって一直線に進化の階段を「向上」してきたこと、そして白人が全ての人種の中で最も進化した人間であることを示すために、ありとあらゆる努力が傾けられた。この方向性はヒトラーの絶滅収容所に象徴される20世紀前半にピークに達し、その反動で一気に衰退した。

 存在の大いなる連鎖は再び修正を迫られることになった。この“危機”に対する反応は前回よりももっと深刻で四分五裂することになったが、ある一派はフェミニズム・公民権運動・反帝国主義・自然保護運動その他諸々の思想状況の変化を目一杯取り込んで比較的魅力的な以下のような形に再構成することに成功した。

存在の大いなる連鎖最新版(各階層の差を作り保証しているのはラブリーでスピリチュアルな何か)

 母なる地球ガイア>>>(超科学の壁)>>>クジラ・イルカ>(できるだけ低いと思いたい壁)>白人>(越えさせたくない壁)>黄色人種≧黒人≧(あまり高くないと思いたい壁)≧霊長類≧哺乳類≧鳥類≧は虫類≧両生類>魚類>昆虫その他>草木>微生物>>>無生物>塵芥

 これが新しい存在の大いなる連鎖である。クリスチャン・ラッセンの絵が新しい宗教画である。計画性のない焼き畑で森林を破壊し、援助物資を内戦や子作りに浪費し、賢く可愛いチンパンジーやゴリラを迫害し、気高く罪のない鯨を殺害する愚かで野蛮な土人どもは、やはり自然を愛する我々が保護し導いてやらなければならない。新しい「白人の責務」である。これらは昔と比べると随分いい加減で格好悪くなってしまったけれども、それでも何もないよりはずっと安心だ。

 ここまで来てやっと過激な捕鯨反対派の中に「クジラは人間よりも知能が高い」という主張をするものがいることの意味がわかってくるだろう。古い存在の大いなる連鎖では「天使」、少し前の版では「より高度に進化した人類」がいた地位に相当するもの、自分たち白人のすぐ上にあって究極の存在との仲立ちをしてくれるものが、新しい大いなる存在の連鎖にも必要だったからだ。その地位に担ぎ上げるのに一番適していたのがクジラ・イルカだったのだ。

(今回の話にはあまり関係ないので深く追究はしないが、実在の宗教とその歴史を見る限り、どうも人にとって全知全能の神などの概念だけを信じろというのはとても難しく、天使や精霊といったそれとの仲立ちをしてくれる概念を必要とするようである。)

 私はもちろん白人ではないけれども、神の似姿からサルの同類に転落してしまった無念と恐怖を理解できないふりをすることはできない。反捕鯨派の主張が非科学的だと言って非を鳴らすのは簡単だがそれは何も解決を導くことはできない。問題はそこにはないからだ。もし本当に何か進展が必要だと思うのなら、少なくとも彼らの叫びをまともに受け止めて答えることができるようにならなければならない。

 「お前らはこれ以上いったい何を要求する気だ? 珍味だか伝統文化だか知らないがそんなもののために、棺桶に片足突っ込んで思想の墓場に運ばれる時を待っている老人の最後のわずかな希望まで奪おうとしないでくれ! クジラがカバに近縁の哺乳類の一種に過ぎないと認めてしまったら、いったい誰が俺たちをお前たち劣等人種と違って神の御心にかなう者であることを保証してくれるというんだ!?」


(私のコメント)
アメリカ・イギリス・オーストラリアにおける反捕鯨活動は主に日本を目標としている。捕鯨を行なっている国は日本だけではないのですが、反捕鯨活動は一種の宗教活動であり、クジラの生息の実態調査をして科学的な反論をしても、一種の宗教活動なのだから何の効果も無いようだ。特にオーストラリアで左翼政権が発足して日本の調査捕鯨活動に対してオーストラリア海軍の出動すらさせようとしている。

クジラが絶滅しかけているという反捕鯨活動家の意見は正しいのだろうか? クジラといっても多くの種類がいて、クジラの中にはミンククジラのように増えすぎて漁業に影響も出ている事もあるようだ。ミンククジラはサンマやイワシを大量に食べるから、ミンククジラが増えすぎればサンマやイワシが捕れなくなる。

最近では日本食ブームで魚料理が世界的に増えて魚資源の高騰が問題になり、マグロなどは捕獲制限も行なわれるようになった。牛などの畜産では狂牛病や成長ホルモンなどを使った薬物汚染が問題になり、魚料理に切り替える人が増えた為だ。クジラなども乱獲によって減少しているのなら保護すべきですが、増えているのに反捕鯨活動の意味が何なのだろうか?

産経新聞によれば差し止めを求めているのは野生生物の保護を求める環境保護団体のようですが、IWCでも認められた調査捕鯨をも認めない。日本ではクジラは昔からとって食していたのですが牛や馬などは食する事はなかった。逆に西洋では牛や豚を食べてクジラなどは脂を取るだけだった。だから西洋の食文化を日本に押し付けるものであり、一種の食文化帝国主義なのだ。

だから反捕鯨活動は文化戦争でもあり、反捕鯨を主張する国がアメリカやイギリスやオーストラリアなのはなぜなのだろうか? 過激な反捕鯨団体の中にはクジラは「人間よりも知能が高い」という人がいるが科学的な根拠があるのだろうか? イルカなどはある程度の芸はするが人間より高い知能があるとは思えない。イルかが国家を作り海洋に大都市を作って生活しているとでも言うのだろうか?

「神は細部に宿り給う」というブログでは、反捕鯨と人種差別との深い関係を述べていますが、歴史的に彼ら白人が犯してきた罪の大きさに彼ら自身が発狂せんばかりに罪の意識にさいなまれているのだ。19世紀まではキリスト教と白人優越主義は自明のものとされて、アメリカでは先住民族が虐殺されて、オーストラリアではイギリスから移住してきた白人がタスマニア人を絶滅させ、大陸のアボリジニをスポーツハンティングの対象にされた。

しかし20世紀の大東亜戦争によって白人優越主義は否定されてアジア・アフリカ諸国は白人による植民地支配から解放される事になった。だから白人にとっては白人優越主義を打ち破った日本は恨みの対象であり、キリスト教徒でもなく白人でもない日本に対して歪んだ形で恨みが反捕鯨活動となって現れてきているのだ。

彼らの論理によれば、全知全能の神と白人との間にはクジラという人類よりも高い知能をもつ存在があり、そのクジラを捕獲して食べる日本人は野蛮人だという教義だ。いわゆる神と人類との仲立ちをするのがクジラであり、クジラこそ一種の超人類だとする宗教なのだろう。

白人はかつてはキリスト教布教のためと称して有色人種を虐殺の対象として植民地支配してきた。そのキリスト教をクジラに置き換えれば、反捕鯨活動は神に成り代わって地球という自然環境を守る正義の行いとなり、クジラを食する野蛮な日本人を文明化させるための聖戦なのだろう。そうする事で歴史的に彼らが犯してきたキリスト教による白人優越主義の罪から逃れようとする行為なのだ。





中国に進出した企業への逆風が強まっている。大連では、1年で
40%も賃金が上昇した。中国から逃げ遅れた企業は夜逃げしかない!


2008年1月20日 日曜日

【社説】中国から夜逃げする韓国企業 1月17日 朝鮮日報

最近、中国の山東省煙台市で3000人以上の現地職員を雇用していた韓国企業が、役員十数人もろとも「夜逃げ」したという。中国に進出していた韓国企業が経営悪化により、遅延していた給料の支払いや借金の返済を行わないまま勝手に撤退した例はこれまでにもあったが、今回の規模は群を抜いている。輸出事業の採算性が低下したため、事業を清算しようとしたところ、中国現地の債権者らから身体的な危害を加えられる恐れがあったため、逃亡したものだという。

 最近、中国に進出していた韓国企業が逃げるように撤退する例が後を絶たない。青島市だけに限っても、適切な手続きなしに撤退した韓国企業の数は、2004年に18件だったのが、2007年には1月からの9カ月だけで43件を記録している。公式には把握されていない零細企業の例を含めれば、実際の件数はもっと多いはずだ。

 こうしたことが起きる最大の原因は、中国における事業清算手続きが非常に厳格に定められていることにある。企業を誘致する際には、あの手この手でその気にさせる中国政府だが、事業をやめようとすると、まったく異なる姿勢に転ずる。税務・社会保険・土地管理・登記などに関する機関をかけずり回り、いちいち許可を得なければならず、それまでに控除されてきた所得税や土地使用料をすべて支払わなければならない義務まで生じる。さらに手続きにかかる期間も6カ月から2年に及ぶ。体力のない中小企業の立場では、もう逃げ出すよりほかに方法がないという気になってもおかしくないという。

 問題はこうした企業の問題が、韓中間の通商摩擦にまで拡大する可能性があることだ。そうなれば現地の韓国企業に対する中国政府の監視や監督が厳しくなるだけでなく、銀行が融資の返済期限を前倒しし始めるといった悪影響も予想される。

 韓国企業のイメージが低下するとともに、韓国の中小企業関係者が中国の労働者や債権者に監禁・暴行されるといった事件まで発生している。今後は、中国の法制度を十分検討することなく、安価な労働力だけに惹かれて安易に進出するようなことはあってはならない。韓国政府も中国政府との交渉を通じ、事業清算手続きの簡素化などの打開策を講じるべきだ。



賃金急上昇と格差是正策で中国進出企業に大打撃必至 2007年9月15日 週刊ダイアモンド

中国に進出した企業への逆風が強まっている。
 「この三年、日本では考えられないほど人件費が上がった。もし、このまま上昇が続けば大変なことになるだろう」。中国・大連に工場を持つ、あるメーカーの社長は重い口を開く。

 大連では、1年で40%も賃金が上昇した。南部地域での上昇率はさらに大きいという。4月に中小企業金融公庫が行なった調査では、進出企業の42%が「労務費上昇が顕著」であることを最大の経営課題に挙げている。
 
さらに経営者たちの頭を悩ませるのが、来年1月1日から施行される「労働契約法」である。
 現在、中国の工場では、内陸部の農村などからの出稼ぎ労働者が主力だ。彼らをいわゆる期間工として使用することで、企業側は低廉かつ柔軟な労働力を確保することができた。だが同法の施行後は、これが難しくなる。二回目の契約更新を迎える従業員や勤続10年以上の従業員に対して、無期限の雇用契約を結ぶことが義務づけられ、また契約を更新せず満了する場合は、退職金を支払わねばならなくなるのだ。このほか労働組合の権限拡大なども定められており、企業側の負担増大は必至だ。

 「なんとか従来と同じかたちにできないか検討中」(前出メーカー社長)と、進出企業は対応策を模索している最中だが、追い打ちをかけるかのように中国政府は「工資法(賃金法)」の制定を準備中だ。同法の詳細はまだ不明だが、関係者によれば、自治体や経済開発区ごとに定められている最低賃金に、一定の基準を設けるものになるのではないかという。
 
中国では、地域間、あるいは企業間、従業員間での賃金格差が場合によっては数十倍にも及び、問題となっている。日系企業の多くは水準よりも高い賃金を支払っていると見られるが、従来、水準の低かった地域での賃金上昇も予想される。また賃金法は「同一労働には同一賃金」を義務づけることが主眼と目されており、これに基づけばパートタイムの労働者にも、正規従業員並みの賃金を支払わなければならなくなる可能性がある。「繊維、雑貨、IT関連の組み立てなど、労働集約型の企業は直撃を受ける」(ジェトロ海外調査部・中国北アジア課)。

 各企業は生産効率の向上などでコストアップの吸収に努めているものの、「安価な労働力」という中国進出のメリットは薄れつつある。さらに、逆風は労務費上昇だけにとどまらない。2008年からは税制が改定され、政府が定める「ハイテク企業」に該当するもの以外は、従来の外資系企業にあった税減免措置を受けられなくなる。

 すでに04年以降段階的に続けられている輸出税還付率の引き下げ(つまり実質的な輸出税増税)や、委託加工の禁止・制限強化、人民元の切り上げなども収益を圧迫しており、経営環境は厳しさを増すばかりだ。
 
いずれの施策も、年10%以上という急激な経済成長の陰で後回しにされてきた労働者の権利保護や格差是正、あるいは貿易摩擦の解消を図るものであり、中国に投資する諸外国としても反駁は難しい。だが、進出企業にとって打撃となるのは間違いなく、特に余力のない中小企業には、“撤退”という選択を迫られるところも出てきそうだ。
本誌・河野拓郎


(私のコメント)
かなり前に「株式日記」では、中国に進出した企業はいずれボストンバック一つで逃げ出す覚悟がいるだろうと書いた事があります。いよいよその時がやってきたようだ。朝鮮日報の記事では9ヶ月の間に43件も夜逃げした韓国企業が出てきている。それくらい中国の外資系企業の環境が悪くなってきている。

経済環境の悪くなった一番の原因は労働者賃金の上昇ですが、大連では一年で40%上昇してしまった。南部ではもっと上昇しているらしい。このような事はテレビではどういうわけか報道されない。もっぱら上海や大連の超高層ビルばかり映しているが、あれは外国向けのショーウィンドウに過ぎない。

超高層商業ビルや超高層マンションは水や電気を大量に消費するが、どちらが欠けてもビルとして使い物にならなくなる。特に中国は慢性的な水不足で北京や上海や大連では水が無い。黄河や揚子江は断水が続き、地下水を汲み上げて地盤沈下が起きている。だから中国の超高層ビルラッシュは自殺行為なのだ。イギリスが香港を手放さざるを得なかったのは本土からの水供給がないと香港は成り立たないからだ。

韓国はウォン高で生産工場を中国に次々移転させましたが、その韓国企業が中国から次々逃げ出している。人件費の高騰のほかに人民元が今年に入って切り上げのペースが大きくなりはじめて中国からの輸出に黄色信号が出始めたのだ。そして中国のインフレはコスト高をさらに激しくしている。中国は石油や原材料を輸入しているから海外インフレが直接響いてしまう。

中国のような人口が無尽蔵であるような国ですら、格安の若年労働者が不足し始めたという事は、安い生産コストを求めているグローバル企業は新たな低賃金の労働力を求めて中国から他に移転せざるを得なくなったと言う事だ。しかし中国では法律が十分整備されていないから工場をたたむにも簡単ではないようだ。だから韓国企業は夜逃げせざるを得なくなっていますが、一昔前にも韓国に進出した日本企業が同じような体験をしている。

中国にしても労働組合が非常に強くて賃上げ闘争で頻繁にストライキが起きる。だからこそ中国で今年に入って賃上げが非常なペースで上がってきている。これもNHKをはじめとするテレビは全く報道しませんが、元高とインフレと労働賃金引き上げによる工場や企業の倒産が非常な勢いで増えている。

日本から中国に進出した企業の数は14000社にも及びますが、これらの多くが三重苦によって危機に立たされていると見るべきだろう。ほとんどが中小零細企業であり韓国企業と共通している。大企業ならばアジア各地に分散して進出しているからいいが中小零細企業は全財産を中国に投資している。それが夜逃げをしなければならない状況になれば企業倒産を意味する。

これから中国各地の企業では労働争議が頻発して裁判沙汰も多くなるだろう。そのために日本人経営者は身柄を拘束されて日本に帰れない事もありうる。以前の韓国でも起きたことであり、日本人経営者はFAXで工場閉鎖宣言を送るような状況になってしまった。だから現在中国にいる日本人経営者や幹部はいつでも逃げ出せる用意をしておくべきだろう。家族は少なくとも日本に帰すべきだ。


今日のサンデープロジェクトでアメリカの金融危機問題が話し合われていましたが、アメリカの経済戦略としては世界からアメリカに金を集めて、世界の金融センターとなりアジア特に中国に投資してその成長利益を稼ぐ事がアメリカの経済戦略であった。しかしその戦略に狂いがあちこちに生じはじめている。

1月20日放送のサンデープロジェクトより
榊原英資氏は中国は2050年にはGDP世界第一位になると言っているが
榊原英資氏は国際金融資本の宣伝屋でありアメリカ帝国の手先なのだ


そのまず第一が不動産ローンの証券化であり、デェリバティブなどの金融テクノロジーであった。しかしそれらは金を集める為の営業上の宣伝材料でしかない。90年代もIT革命がアメリカで起きて恒久的なアメリカの繁栄が続くと宣伝されたが2000年にITバブルが弾けて幻想である事が分かった。アメリカが誇る金融テクノロジーもバブルが弾けてみれば幻想である事がわかる。

はたして中国はアメリカが期待するような世界の工場として成長を続けることが出来るのだろうか? 経済成長を続けるには共産党独裁政権との折り合いをどのようにつけるつもりなのだろうか? 旧ソ連が直面したような政治の自由化は非常に大きな混乱をもたらす。ゴルバチョフも非常に緩やかな自由化を予定していたが一気に共産主義政権は崩壊してしまった。中国でもこれから同じような問題が起きるだろう。

東ドイツの例を見ても自由化したからといって完全に西ドイツのような先進国にはなれなかったように、旧ソ連も西欧諸国のような先進国になるのは非常に難しい。中国も自由化したからといって日本並みになるのは不可能だろう。アメリカ人から見れば中国人も日本人も見分けがつかないから、中国も経済成長すれば民主化が進んで日本のような先進国になれると思うのは当然だ。しかしそれは間違っている。日本と中国とは経済倫理がまるで違う。

現在の中国の経済発展は外資の資本と技術によるものであり、自立的な発展ではない。外国から資本と技術が入ってこなくなれば中国経済は停滞してしまうだろう。毛沢東がいくら自力更生を訴えても中国は自力による経済発展は出来なかった。90年代からの経済成長はアメリカの金融経済戦略に基づくものであり、米中経済同盟が結ばれた結果によるものだ。そのターゲットになったのが日本であり、日本から資本と技術を移転させる事がアメリカの戦略なのだ。

しかしその戦略には綻びが生じ始めておりアメリカの金融がガタガタになりつつある。中国も環境破壊やインフレや賃金の上昇や元高によって経済に変調が来ている。「株式日記」では米中経済同盟は共倒れになるだろうと予測しているのですが、アメリカがおかしくなれば中国もおかしくなり、日本は米中がバブル崩壊で起きる混乱に巻き込まれないような準備をしておくべきなのだ。

サンデープロジェクトの諸氏は日本は積極的に打って出ろとおっしゃっていましたが、日本はまだ病み上がりだ。アメリカも中国も経済的混乱から政治的混乱が起きて何が起きるか分からない。アメリカも中国も経済的行き詰まりを戦争などで解消しようとするかもしれない。台湾海峡や朝鮮半島がその舞台になるかもしれない。そのとき日本はどうするのだろうか?




わが国の場合、マスコミを支配する「金持ち」は外国の資本家であり、
わが国の政府は彼らが牛耳る米国や国際金融資本に操縦されている。


2008年1月19日 土曜日

格差歴然 新聞52社「ボーナス一覧」 2008年1月号 FACTA

日経は30歳で126万円!

ボーナスの額を比べると歴然である。表で「回答額」とあるのが各社の冬のボーナスだが、毎日の回答額は35歳モデルで100万円を切る87万円。一方、日経は30歳モデルで126万6千円と、年齢差を無視した単純比較でざっと40万円、年齢差を考慮した実質格差は50万円近くに達する。

ちなみに新聞労連非加盟の産経も、夏期は37歳で84万3千円と毎日並みだった。一般の大企業の今冬ボーナスが平均82万円(日本経団連調べ)。それに比べて毎日、産経が低水準とはいえないが、新聞業界というムラ社会では、朝日、読売、日経の「勝ち組」と、毎日、産経の「負け組」にくっきり分かれている。

勝ち組の中では、日経の40歳171万7千円が頭ひとつ抜け出した。朝日の41歳167万5千円を上回り、30歳での数字も126万6千円と、読売の同年齢117万5千円を上回っている。

「今冬の最大の話題は、名実ともに日経の首位奪取。日経の30歳支給額が共同の39歳と肩を並べた。30歳モデルで126万円というのは、驚異的なレベルだ。かつては朝日が断トツだったが、部数減、広告減の二重苦で日経の後塵を拝することになった」――大手紙労組の幹部はこう解説する。

ただし、朝日の場合は、別に社外秘の「リフレッシュ手当」なる一時金があるともいわれる。さらに、残業代を含まない月次の本給および家族手当などからなる「基準内賃金」(いわゆる基本給)をベースにして見ると、日経は「3.57」カ月分、朝日は「3.22」カ月分。つまり、月給では依然、朝日が首位だ。

中京圏のガリバー紙である中日新聞の子会社である東京新聞も、40歳で134万5千円と、それなりにいい数字だ。同紙はかつて「都新聞」といい、文芸などに独特の強みを持つ東京ローカル紙だったが、経営難から中日に買収された。旧東京社員は悲哀をなめたが、待遇はすこぶるよくなった。

通信社では、共同通信が39歳で126万9千円と、大手紙のやや下につけているが、時事通信は30歳モデルで68万7千円と毎日、産経よりさらに苦しい。記者クラブに夜遅くまで居残って「アルバイト原稿にいそしんでいるのが時事。次いで毎日、産経」と揶揄される所以だ。(中略)

「勝ち組」にもリストラの嵐

さて、今後の業界展望は「ますます寒さが募る」というほかない。

第一に、人口減少社会に入り、日本語の新聞を読むマーケット自体が縮み続けている。これまでは日本語という「非関税障壁」が外資の参入を妨げてきたが、今後は世界中で日本人以外にほとんど読者がいないという内弁慶が弱点になる。

第二に、「新聞は読まない、取らない。ニュースはテレビ、インターネットで十分」という若年層の「新聞離れ」が追い打ちをかける。より正確に言えば、雑誌を含めた「紙媒体離れ」はますます加速している。

第三に、紙代やインク代、トラックでの輸送費を直撃している原油高も、新聞社には賃下げ圧力となる。

第四に、消費税率の引き上げが日程に上りつつあることも決定的なマイナス材料だ。「2009年にも現行の5%から8%に上がる」との見方が新聞経営者の共通認識だが、その3%の上げ幅を丸ごと購読料に転嫁できる社はそう多くない。

第五に、高給を支えてきた再販・特殊指定の撤廃も控えている。消費税率のアップは毎日、産経の「リングからの退場」を促し、日経、読売、朝日にも「賃下げ、リストラの嵐」が吹く。地方紙も安泰ではない。

現に朝日の社内では「来春は賃上げよりも雇用維持を」の賃下げ論が浮上している。長らく新聞労使のプライスリーダーとして業界を引っ張ってきた朝日ですら、「賃上げどころではない」との悲観的な空気が社内を覆っている。

待遇面で朝日に追いついたといわれる日経の「春」もいつまで続くか。下期に入って株価下落、景気の先行き不透明感とともに業績が急降下。社内でも来春闘について「賃上げが厳しいならば、手当を要求すべきだ」といった慎重論が出始めている。

日本語の「壁」と再販制度に守られ、「最後の護送船団」と言われる新聞業界だが、一部の浮世離れした高額ボーナスも、この冬が「天井」になるかもしれない。



ジャーナリズムの本当の目的 2007年7月13日 ライブドアニュース

【PJ 2007年07月13日】− ジャーナリズムの目的とは何だろう。「真実を伝えること」とは本当だろうか。少なくともマスコミがそのような目的で動いているとは思えない。『ニューヨークタイムズ』の記者だったジョン・スウィントンは次のような名演説をした。

 「今日のアメリカにおいて、報道の自由などというものは存在しない。わたしは正直な意見を新聞に書かないことで給料をもらっている。われわれは金持ちたちの舞台裏の道具であり、召し使いだ。われわれは知性の売春婦なのだ」

 このことは現在のわが国についても言えるのではないか。全国で商店街の衰退が続いているが、NHKや新聞各紙は商店主の頑張りや行政のてこ入れで客を取り戻したわずかな成功事例を紹介するばかり。原因である大店法の廃止に触れることはない。

 地方の医師不足が深刻だが、この原因は医局制の廃止と診療報酬のマイナス改定にある。しかし、マスコミはこのことに触れず、医師の増員を説く専門家の話と、創意工夫で乗り切る地域を紹介するだけである。

 農水省の統計によれば、前回の調査から全国で500の集落が消失し、全国の過疎地比率は50パーセントを超えた。2000年の農地法改正が離農に拍車を掛けた形だが、食管法廃止に始まる農業自由化と関係づける報道を見たことがない。ある新聞は農水省の後援も得て、大規模化と法人化による成功事例を紹介するばかりである。

 5月に会社法が施行された。外国株対価の合併を認め、外資による国内企業の買収を円滑にする三角合併の解禁が盛り込まれている。しかしマスコミは、「一円から会社が設立できるようになった」「企業の社会的責任を重視する世論に応えた」と礼賛してきた。

 余剰弁護士を抱える米国は、わが国をリーガルマーケットにするため司法制度改革を要求した。しかし、マスコミは「日本は弁護士が足りない」「裁判を身近に」と宣伝。改革が持つ本当の意味に触れず、新試験の合格率が目標を下回ったことや不合格者の進路などを問題にしている。

 郵政民営化で10月以降、わが国は国債売却による金融システム崩壊の危機を抱える。しかし、マスコミは「郵政選挙」で国益擁護派議員を「抵抗勢力」とたたき、“刺客”を「小泉チルドレン」と持ち上げた。公社職員の給与に一切税金は使われていないのに、「公務員10万人を減らせる」との小泉前首相のデマを宣伝した。

 道路公団の赤字体質を宣伝し、民営化に追いやった。しかし、公団は一貫した黒字経営で、償還準備金を12兆円も積み立て無料化寸前だった。

 社会保険庁の解体を招いたのは年金納付率の低下が非難されてのことだったが、2002年に徴収業務を市町村から引き上げたことをどのマスコミも伝えない。米国は、公的年金を運用受託する米国の金融機関が運用先の日本企業で株主権限を行使(委任投票)できるよう求めてきた。年金記録のずさん管理が大報道された末に出てきたのは、ICチップを使って個人情報を一元管理する「社会保障カード」の導入である。米国はこの数年、無線ICチップの導入も求めている。

 これらの改革はすべて、毎年米国から出される『年次改革要望書』に明記されているが、どの新聞もこの文書をまともに取り上げていない。

 談合排除は『年次改革要望書』に明記されていることなのに、公共工事をめぐる談合事件を相も変わらず報じている。

 教育市場の開放は『日米投資イニシアティブ報告書』にもある通り米国の要求なのに、いじめや未履修の問題を騒ぎ立て、参入の障壁となる教育委員会を批判してきた。

 大手菓子メーカーの不二家は期限切れの材料を使ったと連日報じられたため、販売休止に追い込まれた。ある外資系証券会社は事件前に不二家株を大量取得し、空売りしたとみられる。本社の土地と建物は、米シティーグループのものになった。

 竹中平蔵氏らのインサイダー疑惑を指摘していた植草一秀元教授の痴漢容疑は、裁判で無実を決定づける証言が出てきた。起訴状で犯行があったとされる時間帯に植草氏が何もしてなかったことを、7月4日の公判で目撃者が明かした。しかし、どのマスコミもこのことに触れず、「大した証言は出てこなかった」と片付けている。

 マスコミをめぐっては、記者クラブ制や再販制度、広告、電波の許認可制などさまざまな制約があるから、記者が無意識でも権力の手先として働くことになるのだろう。ただし、わが国の場合、マスコミを支配する「金持ち」は外国の資本家であり、わが国の政府は彼らが牛耳る米国に操縦されている。わが国におけるジャーナリズムの目的とは、真実を隠し、外国による支配を円滑にすることではないか。
【了】



(私のコメント)
「株式日記」というブログでありながら私が株の売買をやめてしまったのは東証がまさにインサイダー天国であり、株をやればやるほど一部の特権階級のカモになってしまうからだ。特権階級にはハゲタカ外資もインサイダーのやり放題だし、マスコミの記者たちも今回の事件のようにおいしい所はいただいて、残りかすをニュースにして売り抜けるのだ。

新興株式市場はヤクザたちの資金集めの場所となり、ホリエモンや村上ファンドはその一部に過ぎない。だからマスコミとヤクザとは底では繋がっており、だからこそホリエモンや村上ファンドを最初は英雄のように取り上げて報道していたのだ。自民党もホリエモンを息子や弟だと言っていた幹事長がいましたが、マスコミ、ヤクザ、自民党は底では繋がっている。

新聞やテレビ業界は高給とりで有名ですが中堅社員では年収1000万円以上が当たり前だ。なぜそんなの高給が貰えるのかというと新規参入が出来ない最後の護送船団業界だからだ。ニュースなどでは規制緩和だとか自由競争だとか言っておきながらマスコミ業界だけは再販制度や公共電波を独占してただで使っている。そこに莫大な利益を生む秘密がある。

自分達が1000万円もの年収がありながらワーキングプアや格差社会を報道したところで矛盾を感じないのだろうか? 彼らの意識としては国会議員や高級官僚の意識に近くて自分達を特権階級として見ているのだ。だから国会議員も高級官僚もマスコミ業界も世襲化が進んできて、高級官僚の葬式には高級官僚が大勢焼香にやってくる。みんな親戚だからだ。

彼らは情報をも独占して、自由に加工して偏向した記事を新聞やテレビで報道していますが、それは彼らにとっては権益を守る行為なのだ。国会議員と高級官僚とマスコミの特権階級の三者のスクラムは強固なものであり、国民を奴隷のように働かせてそこから上がる税金でおいしい蜜をすする寄生虫のようなものだ。

NHKの記者による株のインサイダー取引はほんの氷山の一角であり、本当のインサイダー取引とは官僚から国会議員に材料が流されヤクザが稼いでアングラマネーが政界に還流する仕組みだ。同じく官僚から記者クラブを通じてニュースが流されますが、こちらはカモを誘導する為の報道であり、新聞やテレビで報道される時はインサイダーたちは仕込んだ株を売り抜ける時なのだ。

東証には証券取引等監視委員会もありますが、ほとんど機能していないようだ。新興証券市場はぶったくりの増資や新規上場が横行していますが取り締られるのはほんの一部でしかない。気の毒なのはこのような材料に踊らされている投資家たちであり、ライブドアの株などは子供たちまで巻き込んで株の売買が行なわれた。テレビがライブドアやホリエモンを取り上げるたびに株は上がり続けた。

新聞業界もテレビ業界もインターネットの登場で曲がり角に立たされている。ネットの登場で無数の電子新聞社が出来て、無数のネットテレビ局が登場してきている。ユーチューブなどにはテレビ番組がアップされているが、テレビ局は著作権を楯にこれらを消しまくっている。これらは放送に新規参入してきたネットを妨害する事が目的であり、彼らこそ守旧派なのだ。

テレビ業界もデジタル化で多チャンネル化は容易になったのですがCS放送ぐらいで軒並み赤字経営だ。地上波もデジタル化して自由化されて多チャンネル化すればテレビ局の既得権益は無くなる。新聞も再販制度が廃止されれば無料新聞などが主流になるのだろう。すでに無料雑誌が出回っていますがブログなども電子無料雑誌のようなものだ。

「株式日記」も無料の日刊電子新聞のようなものですが、広告は載せていないから広告主に左右される事なく記事を書く事が出来る。もし「株式日記」を骨抜きにするには1億円ぐらいで買収するか、毎月100万円ぐらいの広告を掲載する事しかないだろう。それくらい出してくれればアメリカさんよいしょの記事を書くかもしれない。テレビに出ているコメンテーターたちは金に買収された者たちだ。

「ジャーナリズムの本当の目的」の記事を読んでもらえれば分かるように、日本のマスコミは権力の手先であり、その権力とは日本政府を通じたアメリカによる支配なのだ。毎日のように行なわれているテレビの報道キャンペーンには必ず何らかの裏がある。地球温暖化についての裏についても「株式日記」で書きましたがマスコミを支配する「金持ち」たちの陰謀なのだ。

食品偽装についても裏があり、江戸時代から続いてきた老舗の菓子屋もヤリ玉に上がりましたが資産を乗っ取る為の陰謀なのだ。政治家達は改革改革といいながらアメリカから突きつけられた「年次改革要望書」の内容を実現しているだけだ。つまり日本は独立国の体をなしておらず、外国の資本家達の植民地なのだ。その統治手段としてテレビが使われて金で雇われたコメンテーターたちが国民を世論誘導している。


なぜ新聞社の社員が冬のボーナスだけで200万円近いボーナスがもらえるのだろうか? 彼らもテレビ局のコメンテーターのように金で雇われた記者なのだ。だから「金持ち」たちの悪口は書く事が出来ない。本当のところを知りたかったら「株式日記」を読んでもらうしかないだろう。それくらいマスコミは腐りきっているのです。




バブル崩壊後の日本で倒産する山一証券を救出せず、底値を買いたた
いたのがメリルリンチでしたね? 過去の恩を仇で返すのがウォール街。


2008年1月18日 金曜日

このままだとアメリカ国家は今年中に破綻するでしょう 1月18日 ベンジャミン・フルフォード

サブプライムローン問題は深刻であり、1929年の大恐慌以来の危機に匹敵するだろう。しかしこれはアメリカだけの危機である。アメリカは60年間も国際社会において出来の悪いチンピラみたいに振舞ってきた。石油支配と軍事支配によって色々な国からお金を奪ってきた、今そのツケがまわってきたのだろう。

アメリカは株バブルがはじけそうになり、それを防ぐため不動産バブルを作ったが、もうこれ以上作れるバブルはない。結果的に問題を先送りにしたため、更に大きくした。

日本のバブルがはじけた時は、日本人同士の問題だったために解決できたが、アメリカの場合は外国からのお金に依存しているためそうはいかない。アメリカは毎年8500億ドルくらい借りないとやっていけない、対外借金が多い巨大債務国である。

このままだとアジア危機のように、アメリカも今年中に潰れるだろう。もし助けられたいのなら、諸外国の言うことを聞かなくてはならない。今こそアメリカに戦争を止めさせるための絶好のチャンスです。



「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 1月17日

(読者の声4) サブプライムローンの破綻が恐慌にまで発展するのか、宮崎正弘先生の見解を早急に伺いたいと思っております。
      (HU生、大阪)

(宮崎正弘のコメント) 昨日も或るメーカーさんの新年会で講演に呼ばれ、この問題で、90分熱弁をふるって参りました。
近く、講演要旨を掲げるか、したいと思います。

 台湾取材のまとめをしているため、ちょっと国内経済の現場ニュアンスがつかめずにいたのですが、昨日たまたま講演のかえりに出席した『全国竹村会』(竹村健一氏の勉強会)の懇親会で、来賓にきたのが安部前総理、塩崎前官房長官、町村現官房長官、渡辺喜美(金融担当)大臣。それに中川昭一氏ら。会場には経済評論家の三原淳雄氏も居合わせ、話題は当然、サブプライム一色です。

 簡潔に言えば、世界のそうそうたる投資家、投資銀行がシティ、メリル、モルガンなどの「救済」に入りました。合計500億ドルがウォール街に注がれます。乗り遅れた日本も「みずほ銀行」が12億ドル強(1400億円)をメリルリンチに出資し、ようやく、ゲームに参加する意欲を見せました。邦銀は、このみずほの『決断』に追随するでしょう。

またバーナンキFRB議長は利上げを宣言しておりますので、あるいはこれでサブプライム問題は一段落へ向かうのではありませんか?
 ただ個人的に残念なのは、日本の金融機関が旺盛だったおりに微罪で大和銀行を起訴し、ついに在米大和銀行の攻撃から、日本に金融恐慌を引き起こさせ、BIS規制を押しつけ、要するにライバルをけ落としたのがウォール街でした。

その前にもウォール街が中南米への焦げ付きで危なかった折にも、住友はゴールドマンサックスへ500億円を出資したりして、ライバルを救った。
 だが、バブル崩壊後の日本で倒産する山一証券を救出せず、底値を買いたたいたのがメリルリンチでしたね?

 日本には「敵失」に立ち向かう、つまりライバルを蹴落とすというゲーム感覚がないのです。


介入資金の一部で欧米銀行に出資する提案 1月17日 HiT株式教室

財務省発表の「外貨準備等の状況」によれば07年12月末の日本の外貨準備は9733億ドル(108円レートで105兆円)あります。03年から04年にかけての円高時に介入し、前FRB議長に後で、「あれは特に効果が無かった」と言われた介入でしたが、その後も放置されたままになっています。また、ほとんどが米財務省証券で運用されていると見られています。

昨年前半は個人投資家が日米金利差に着目し、一方的なドル買い投機に走り、1ドル=120円台が長く続きました。介入資金をいくらでも巻き戻すことが可能でした。FRBトップが「介入は効果無し」のお墨付きを与えているほどですから、前半のドル高の時期にドル売り・円買いで着地しても問題は無かったはずです。しかし、政府は為替水準がどのように変化しても全く行動しませんでした。

米国の金利が急低下した今となっては円買いに巻き戻すことは不可能で、財務省は無策にならざるを得ないでしょう。とすれば、法的制約は別問題として、数%をシティグループやメリルなどの米大手金融機関に出資するという考えはどうでしょう。ドル資産からドル資産への移動ですから、為替を刺激することもなく、大義名分もあります。日本の受け取り利息が2倍になり、米国の金融システムの安定に寄与したという「貸し」を作ることが出来ます。日本にとって、ドル預金を預け換えたに過ぎませんから気楽なものです。オイルマネーや中国に先を越されましたが、これから便乗しても遅くはありません。

そして、一部はUBSのような欧州系の大手金融機関にも出資すると外貨準備の一部を堂々とユーロにシフトすることが出来そうです。それでも、105兆円の中から数兆円を動かす程度ですから、全体とすればそれほど問題ではないでしょう。しかも、「国際貢献」になります。軍事支援よりも金融秩序に対する支援のほうが余程スマートというものです。世界的に日本の地位低下が海外の運用担当者から広く聞かれるようになり、日本株は「独歩安」の様相を呈しています。マーケットから忘れられつつある日本の存在感を示すには良い機会でしょう。

日経平均はザラ場中に乱高下しつつも、引けて見れば典型的なテクニカル・リバウンドとなりました。オーバーシューティングのシグナルはいくつもありましたので、常識的な戻りはあってしかるべきでしょう。ただ、米国市場は大幅利下げ期待があり、やや安易な解決策に頼り過ぎている面は注意が必要ではないでしょうか。


(私のコメント)
ようやくアメリカの金融と経済の実態が表面化してきましたが、ニューヨークの株価もいよいよ危なくなってきました。今日も300ドル以上の安値で引けましたが、いままで安定していたのが不思議だったのですが新年になってからずるずると下げ始めた。アメリカ人もようやく深刻な状況が分かり始めたのだろう。日本人ならバブル崩壊の経験があるからアメリカの状況も分かるのですが、これから金融機関の倒産や貸し渋りや貸しはがしが起きてきてバブル崩壊も本格化するだろう。

日本の経験からすれば株も土地も売り払って現金で持っている事が唯一の対策と言えるのですが、アメリカの場合はデフレではなく狂乱インフレが襲ってくるからゴールドなどで運用するしかないかもしれない。大不況とインフレが同時に襲ってくるからだ。あるいは産金株などに投資をしておけば来るべきアメリカの大恐慌も乗り切れるだろう。

ウォール街では利下げの声が大きいのですが、利下げをすればドルが海外に逃げ出してインフレが加速してしまうだろう。しかし利下げをしなければサブプライムがらみの金融の混乱が収まらない。おそらく大幅な利下げをしても株はさらに下落してドル安とインフレが加速するようになるだろう。つまりFRBは手の打ちようが無くバンザイするしかない。

金融機関の決算発表で評価損の損失は海外からの出資だけでは間に合わない事が明らかになってきた。すでに出資したドバイやシンガポールや中国の政府系金融機関も出資した事を後悔する時がやってくるだろう。アメリカの金融機関の評価損はまだ発生し始めたばかりであり不動産の下落もまだ始まったばかりだからだ。

おそらくアメリカでもバブル崩壊の終息宣言は何度も出されるだろうが、これから続く失われた10年から20年は続くのだ。おそらく90年代のロシアのような狂乱インフレがアメリカを襲ってアメリカ国民の大部分の財産を奪い取ってしまうはずだ。出来る対策といえば今の内に売れるものは全部売って外貨に変えておくことだ。

日本が持っている105兆円の外貨準備もいずれ紙切れ同然になるだろう。それくらいなら「HiT株式教室」で言うように金融機関救済に使ってしまったほうがいいのかもしれない。どうせ105兆円の外貨準備は売り払う事ができないのだ。「株式日記」ではドル債券は売り払ってユーロに切り替えろと書いて来ましたが、今が最後のチャンスだ。

アメリカのウォール街は日本の金融機関を陥れるためにスキャンダルを流しては株を売りたたいて暴落して安くなった株をごっそりと買い占めてきました。だから主要株の3割が外資系の株主になってしまった。BIS規制や時価会計をグローバルスタンダードとして日本に押し付けて銀行の持ち合い株を吐き出させたのもウォール街の連中だ。倒産した新生銀行を10億円で買って1兆円で再上場させたのもハゲタカファンドであり、彼らのあくどいやり方はサブプライムローンの自爆テロで自ら招いた災害なのだ

日本の金融機関はこのようなウォール街のハゲタカ連中を救うような義理はない。むしろ手持ちのドルや株を売りたたいて逃げる最後のチャンスが来たのだ。どうせ彼らを助けたところで恩を仇で返されるだけなのだ。ヒラリー・クリントン候補のようにアジアの最重要パートナーは中国だというアメリカ人が多くなり日本は無視するのがアメリカ人だ。だから日本はアメリカを救う義理はない。

アメリカが犯した致命的ミスはイラク戦争ですが、ブッシュ大統領はアメリカを没落させた大統領として歴史に残る事になるだろう。アメリカにとっての最重要同盟国はサウジアラビアと日本のはずですが、アメリカ政府はサウジアラビアよりもイスラエルを大事にしてサウジとアメリカとの関係を険悪にした。さらに日本を軽視して中国を最重要パートナーにして下院では従軍慰安婦の非難するを決議した。これでは日本の対米感情は良くなるわけは無い。

そうはいっても日本政府はアメリカの言いなりだから、言われるがままに経済協力させられるだろう。日本政府は疲弊した地方はほっておいてもアメリカにだけは言う事を聞く。日本の株式市場には無関心でもドルやアメリカ株が暴落すれば買い支えるのが政府日銀なのだ。郵政民営化もアメリカの言われるがままにした。

おそらくサブプライム問題で邦銀にも対しても資金を拠出させられるのだろう。日本の不景気はほったらかしてもアメリカが不況になれば我が身を削ってアメリカを助けるのが日本政府だ。昨日のニュースでもこのように報じている。


邦銀、米欧金融機関支援の用意=大手3行が100億ドル準備と英紙 1月16日 時事通信

【ロンドン16日時事】16日付の英紙タイムズは、みずほコーポレート銀行による米証券大手メリルリンチへの12億ドル出資を経済面トップで伝え、日本の3大金融グループが低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン危機にあえぐ米欧の金融機関に対し、「口を出さない投資パートナー」として救済に乗り出す構えだと報じた。

 同紙によると、3大グループ関係筋は、3行が合計で最大100億ドル(約1兆0600億円)の資金を用意し、資本増強を求めるウォール街の金融機関との交渉に応じる用意があると述べているという。



(私のコメント)
邦銀の決定も日本政府からの圧力で決まったものだろう。インド洋での給油再開でも分かるように日本の政治家はアメリカからの圧力に弱い。小沢一郎はアメリカから脅されて反対票を投じられなかった。小渕総理のように急病で葬り去ったことなどよく知っているからだ。




『無法バブルマネー終わりの始まり』 松藤民輔:著 日本の金融機関
は労せずして、欧米の金融機関に「不戦勝」してしまったに等しい。


2008年1月17日 木曜日

無法バブルマネー終わりの始まり」 松藤民輔:著

ゴーストタウン化が始まった!

いま、金融機関ばサププライムローンによる融資どころか、プライムローン(なんの延滞もない健全顧客向けのローン)にまで融資をストップしている。年収五〇〇〇万円を超えるリッチな顧客向けのジャンボローンですら、新規融資は止まったままである。それほど過剰反応している、ということだ。

当然、住宅を販売しようにも売れない。新築住宅の適正在庫期問は四ヵ月なのだが、いまや延びに延びて一〇ヵ月である。中古住宅マーケットはさらに"塩漬け〃状態である。ロサンゼルスでわたしが見たように、売れない在庫が溜まると、それはそのまま地域一帯がゴーストタウン化することにもつながっていく。地域の治安、安全という観点でも、すぐに解決すべく取り組まなければならない重要な問題であるのだが、手の打ちようがない。

「サブプライムローンの利上げを今後五年問凍結する」とブッシュは発表した(一二月六日)。残念ながら焼け石に水にすぎない。債務者の多くは安く買って、高く売る転売時の利ざや稼ぎのためにサブプライムローンを契約したのだ。よりよい住生活を満喫するためではない。

これだけマーケットが冷え込んでいると、おいそれと住宅を販売したり、転売できるとは考えにくい。当然、延滞率のさらなる上昇は避けられまい。元本はもちろん、利息だって支払えない。仮に一〇年凍結されたとしても、効果は薄い。それよりも融資した資金が回収できなければ、金融機関(=住専)はどうなるのか? もちろん、すべてが不良債権化し、破綻してしまうことになる。

シティがとりわけ大幅な損失を被っているのは、この債務担保証券(CDO)について、自己投資分(「プロップトレーディング」という)のほか、投資家向けの販売在庫を抱えているため、予想外にロスが膨らんでしまったからである。CDOは価格変動が激しいうえに、相対取引(一対一の取引)のため、価格形成過程も不透明きわまりない。「本当の価値を評価できる人は少数」(銀行関係者)といわれるほどで、アメリカの金融機関では、ほとんど格付け会社の信用格付けをべースに価格を計算しているにすぎなかったのである。

メリルの巨額損失を皮切りに、大手格付け機関のムーデイーズ・インベスターズ・サービスが大量のCDOを格下げしたことが、じつはシティの評価損をさらに膨張させることになった。いわば、CDOの格下げが金融機関の評価損を拡大し、評価損の拡大が経営を圧迫し、経営の圧迫がさらにCDOの格下げを招いてしまう、という負の連鎖(悪循環)が欧米の金融機関を襲ったのである。

さらにシティの場合、懸念すべきことが一つある。それはオフバランス(簿外)のSIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル)という運用会社が大量の住宅関連証券を抱えている場合、当局(アメリカ証券取引委員会)はこれを銀行本体の財務から切り離さず、連結対象にするかもしれない、という問題だ。もしそうなったら、資産が数百億ドル(数兆円)という規模で増えることになるから、自己資本の積み増しが必要になってくる。

今後、これらの証券についてどういう判断をするか、政府介入による救済となるか(おそらく、口先だけの介入)、シティならずとも固唾を飲んで注目しているのが現在の金融機関の実情であろう。

「クレジットクランチ」の恐怖

アメリカの住宅ローン会社が経営破綻やリストラに追い込まれている。すでに一〇〇社が新規貸し出し停止、破産を申請せざるをえなくなり、数万人という単位で従業員が解雇されている。

日本人なら思い出すはずだ。右肩上がりのどきは、住宅(不動産)を担保に銀行はいくらでも融資してくれた。ふつう、融資は物件相場(時価)に対して七掛けの七掛けである。たとえば三〇〇〇万円の不動産なら、三〇〇〇万円×○・七×○・七で、一四七〇万円が適正融資額とされる。ところが、バブル期にいたっては、値上がり率が一〇パーセントなら、時価ブラス値上がり額の総額を融資していたのである。つまり、三〇〇〇万円の不動産には三三〇〇万円融資してくれたのだ。

かたや一四七〇万円、かたや三三〇〇万円。この融資力ともいうべき銀行経営の見識の差が、そのままバブル崩壊後の銀行生き残りを左右した。三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)が生き残れたのは、バブル最盛期でも「バンカーの物差し」が揺らぐことがなかったからであり、一方、消えた銀行は、ブームに踊ってしまって自らの物差しを見失った結果にすぎない。そのときは小さな違いかもしれないが、「経営」においては、このボタンの掛け違いがあとあとになって大きく響いてくる。

さて、住宅ローン会社の経営が悪化したのは、なにより銀行や投資家が、それまで認めていた住宅ローンを今度は担保として認めなくなってしまったからである。いわゆる、金融機関のは「貸し渋り」が始まったのだ。近々、「貸し剥がし」も展開されるはずだ。いや、もうすでに始まっているのではなかろうか。

従来、ローン会社は、ローン債権や証券を担保に資金を借り入れたり、社債を発行して資金まかなを賄っていた。だが、これもサブプライム債による「クレジットクランチ(信用収縮)」で吹っ飛んでしまった。金融機関同士で資金を融通し合う「インターバンク」ですら、疑心暗鬼でフリーズしているのだ。無理もない。

アメリカの金融マーケットは、住宅ローン証券(七〇〇兆円)、社債(一〇〇〇兆円)、国債(四〇〇兆円)などの債券市場が五〇〇〇兆円分もあり、株式市場はその半分くらいしかない。

アメリカ最大手の住宅ローン会社カントリーワイド・フィナンシャル社など、一年という短期間に返済期限が来る負債が六〇〇億ドル(七兆円)と全体の三割を占めるのに対して、現金は一一億ドル(一二六五億円)しかなかった。社債発行ができず、四〇行もの銀行団から一一五億ドル(一兆三〇〇〇億円)の資金を融通してもらって、なんとか事業を継続することができた。融資の前日まで、「倒産か!」という噂がまことしやかに流れていたものである。NYダウ暴落の翌日(八月一七日)、FRBは公定歩合を○・五パーセント引き下げて五・七五パーセントにしたが、じつは、「カントリーワイド社を助けるため?」というのが金融市場でのもっぱらの話だったのである。

全米の住宅ローン市場の一三パーセントものシェアを持つ最大手であっても、サブプライム債を発火点とする「クレジットクランチ(信用収縮)」の前には無力であったといわざるをえない。

カントリーワイド社は"輸血"で命を取り留めたわけだが、もう一つの大手住宅金融専門会社アメリカン・ホーム・モーゲージ・インベストメント社は、資金調達難に陥ったまま、八月六日に廃業(倒産申請)している。住宅業界ならいくらでも融資してくれた時代とは様変わりである。これが「クレジットクランチ」の怖さなのだ。

いったん「クレジツトクランチ」が始まってしまうと、どんな優良顧客でも、ローンは組めなくなってしまう。そして、現金での購入者以外に住宅が売れなくなってしまえば、もはやビジネスとして成立しない。住宅産業は青息吐息だ。ここまで来てしまった以上、ブッシュの戦略も破綻せざるをえない。そればかりか、アメリカ経済そのものが完全に失速してしまう。(P56〜P61)

日本がラッキーなこれだけの理由

不幸中の幸いというか、日本の場合、メガバンクは公的資金注入によって身動きがとれず、サブプライム関連商品はその六パーセントを保有するにとどまっている。

少々個別に見ると、野村ホールディングスが一〜九月期で一四五六億円の損失を計上し、みずほ証券は九月期中間決算で二六〇億円のサブプライム関連損失を発表した。下期にも追加ロスが発生しかねないからか、二〇〇八年一月に予定していた新光証券との合併を五月七日に延期することとなった。

また、滝野川信用金庫は七三億円のロスを出し、九月中間期は最終赤字としている。あいおい損保は、サブプライム債を組み込んだデリバティブで九月中問決算で二五二億円の評価損を計上する、と発表した。

あいおい損保が購入したのは、資産担保証券(ABS)をさらに束ねた債務担保証券(CD〇)であり、九月末で一一一四億円分を保有しているとのこと。ほかに証券化商品に投資するファンド(SIV)が発行した債券も四〇億円分保有しているが、こちらは評価損を計上しない。なぜなら、CDOを売却せずに満期まで持ち続け、格付けが高く維持されれば元本割れリスクは小さくなる、という判断だからだ。、評価損を吸収しても、業績が好調なために傷は少ない。連緒経常利益は一〇二億円と上方修正しているほどだ。

さすがに株安、円高を背景にした国内の投資信託の成績は急速に悪化してしまっている。海外の不動産投資信託(REIT)はサブプライム問題の影響をダイレクトに受ける。とくに海外REITで運用する投信の落ち込みは目立つ。下落率がいちばん激しかったのは「ワールド・リート・オープン」で一五・八パーセント。八月一六日までの一ヵ月半で、過去一年間の上昇分をすべてご破算にしてしまうほどの落ち込みだ。

しかし、わたしは日本企業の場合、どれだけ損失を出そうが、サブプライム問題についてはびびそれほど心配しないでいいと考えている。メリルリンチやシティに比べたら微々たるものだ。日本のメガバンクなど、金融の中心部はなんの心配もいらない。

もし、これがバブル期に遭遇していたらと思うと、恐怖のあまり卒倒しかねない。あの〃イケイケドンドン"の雰囲気の中で狂乱していた日本人のことだ。二一世紀中には、とても復活できないほどのダメージを受けていたと思う。それを考えれば、日本は”ついている”と思わずにはいられない。

しかも、アメリカと違って、日本人の金融資産は一五〇〇兆円もある。世界最大の「国富フアンド」といってもいい。海外に資金を移そうという資産家も稀有であり、バブル経済のピーク時でも金融機関や不動産、ゼネコンなどのプロ以外の一般市民は投機に手を出さなかったばかりか、ゼロ金利時代を通じてさらに資産を増やしてしまう国民である。

今後、欧米の金融機関は、かつての日本の銀行がそうであつたように、しばらくは身動きがころとれないはずである。勝手に投機して、勝手に転んで、勝手に沈んでいく。この間、日本の金融機関はなにもしなかった(できなかった)。労せずして、欧米の金融機関に「不戦勝」してしまったに等しい。(P78〜P81)


松藤民輔氏(株式会社ジパング代表取締役)略歴
 1955年福岡生。明治大学卒業後、日興證券、メリルリンチ、ソロモン・ブラザーズで年収2億円(当時)の敏腕セールスとして活躍。日本のバブル崩壊を読み切り、投資の主役は「ペーパーマネー(株式、債券)」から「ゴールド(金現物)」の時代に移ると予見。95年に株式会社ジパング設立。2005年にアメリカ・ネバダ州の金鉱山を買収。日本第3位の金鉱山オーナーとなる。
 世界的な投資家・ファンドマネジャーと公私ともに親しく、『英エコノミスト』誌に「この10年間でいちばん注目すべき日本人」と紹介される。
 10/19放送『ガイアの夜明け??マネー動乱』(テレビ東京系)に出演。著書にベストセラーシリーズ『アメリカ経済終わりの始まり』『世界バブル経済終わりの始まり』、最新刊に『無法バブルマネー終わりの始まり』(いずれも講談社)がある。


(私のコメント)
日本の株式はかなり売り込まれていますが、円高によって外人投資家にとって売りやすくなっているためだ。円高といってもユーロなどと相対的に見れば円は90円台でもおかしくはないはずだ。だから円高で輸出企業の採算が悪くなるから売られているのではない。ヨーロッパや中東などへの輸出で採算はいいからだ。中国の元も徐々に切り上げてきているから円高ではなくドルの独歩安が実態なのだ。

ドルの独歩安の原因はアメリカのいわずと知れたサブプライムがらみのクレジットクランチが原因なのですが、アメリカの大手金融機関の内情が今どのようになっているか世界中が疑心暗鬼になっている。しかし日本人なら誰もが体験してきた事だからある程度は推測できるのですが、松藤民輔氏のようにかつてメリルリンチやソロモンで働いてきた人なら推測が出来る。

私もかつては銀行員だったからバブル時代のイケイケムードはわかる。私は仕事をしながら銀行はこんなことをしていて良いのだろうかと支店長などに意見を具申した事がありましたが、金融情勢や経済情勢に疎い人たちばかりで会社の外の世界が分からぬ井の中の蛙のような世界だった。しかし金融の世界で生きていくには情報分析力がないと生きていけないのに、銀行員達はノルマを達成する事しか関心がない。

本当に有能なビジネスマンなら会社を辞めても一人でやっていけるから私も銀行を辞めたが、私のいた銀行は今や影も形も無い。確かにバブル当時の土地神話は誰もが疑わず焦げ付いても担保の土地や建物は右から左に売れた。だから不動産融資は質よりも量でビジネスが出来た。しまいには貸し出しノルマまで出して銀行は貸し出し競争に走った。私は客に対して今は止めた方がいいとアドバイスして後に感謝された記憶がある。

このような状況で三菱銀行だけは融資限度額を守っていたからこそバブル崩壊でも経営破たんせずにすみましたが、バブル当時は土地でありさえすれば担保になって銀行からいくらでも金が借りられたし、銀行の方から土地を斡旋して買わせたりしていた。まさに当時は土地は宝物のようであり、国鉄の跡地ですら売り惜しみをしていた。

これと同じような現象がアメリカやイギリスやスペインなどで起きていたことであり、住宅ローン会社や金融機関は証券化ビジネスなどでリスクを転売できるのだからこれほどおいしいビジネスはなかったようだ。シティなどが巨額な評価損を計上したのは販売在庫がそれだけ大量にあったということであり、他の金融機関も多額の評価損を抱え込んでいるはずだ。金融機関よりもファンドの方が大量のサブプライムがらみのCDOを持っているはずなのですが、それはまだまだこれからの話だ。

松藤氏によればアメリカもバブル崩壊で住宅ローンがストップ状態であり、資産家向けのローンですら出ない状況ではまさにクレジットクランチが起きている。金融機関も資金の手当てが出来ずに社債の起債すら出来ない状況だ。日本の銀行もバブル崩壊で不動産と聞いただけで融資の話は断られて、私の不動産ビジネスも開店休業になってしまった。不動産にしてもCDOにしても銀行にとっては買い手がなければ価値はゼロなのだ。

日本の銀行はハゲタカ外資に不良債権の担保を二束三文で売らされましたが、今度はアメリカの不良債権の担保物件を日本が買い占めるチャンスがやってくる事だろう。アメリカのバブル崩壊はまだ始まったばかりであり、欧米のこれから10年から20年は「失われた時代」になるだろう。日本は実体経済がしっかりしていたから耐え抜く事ができましたが、アメリカは金融と不動産しか産業と呼べるものがない。その二つが駄目になったらアメリカは農産物しか売るものがない。

日本は奇跡的にサブプライムがらみのCDOなどに手を出す事が無くバブル崩壊の波に飲み込まれることを免れた。一般国民もこのような高利回りの金融商品には手を出さなかったから1500兆円も金融資産は無傷だった。この1500兆円の日本の金融資産が世界経済を救う事になるだろう。確かに中東の産油国や中国のバブル成金はまだ景気はいいですがアメリカがおかしくなれば一蓮托生だ。

松藤民輔氏の「無法バブルマネー」の本はサブプライムの事ばかりでなく、中国経済やロシア経済の今後の見通しなども書いてある。中国も元の切り上げと狂乱インフレでバブル経済の化けの皮が剥がれる時も近づいている。ペトロチャイナの時価総額が世界一といっても流通しているのは2%ほどであり、この2%を吊り上げれば政府保有分も含めて計算すれば世界一になる。まさに上海の超高層ビルと同じであり中国の虚像なのだ。その化けの皮が剥がれるのがバブル崩壊だ。

米中バブル経済崩壊で共倒れの時はすぐそこに迫っている。日本はこの大波に飲み込まれないように慎重に行動する必要がある。インチキな経済評論家やエコノミストに騙されてはならない。「株式日記」を書いている私や松藤氏のような実際に経済活動をしている人で無いと本当の経済が分かるわけが無いのだ。学者や新聞記者のような耳学問では裏の裏が分からない。




主要米国株価指標が、昨年8月の安値ラインをこえ、新安値を更新した。
今年のNYダウ平均は、秋にかけて8000〜6000ドルまで暴落するかな?


2008年1月16日 水曜日

ダウ全面安、277ドル下げ=景気懸念強まる一方 1月16日 時事通信

【ニューヨーク15日時事】15日の米株式相場は、米銀最大手シティグループの巨額赤字決算に加え、年末商戦の不振を示す米小売売上高などの悪材料が重なったため、米景気の腰折れ懸念が一段と強まり、ほぼ全面安の展開となった。ダウ工業株30種平均の前日終値比下げ幅は一時289ドルまで拡大し、277.04ドル安の1万2501.11ドルと昨年4月以来、約9カ月ぶりの安値で引けた。ハイテク株中心のナスダック総合指数も60.71ポイント安の2417.59と大幅安で取引を終えた。

 ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比4億0540万株増の18億1507万株。
 シティは同日早朝、2007年10―12月期に98億3300万ドル(約1兆0600億円)の最終赤字に転落したと発表。債務不履行が急増している低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン関連の評価損が181億ドル(約1兆9500億円)に膨らんだことが響いた。

 また、同社と証券大手メリルリンチはそれぞれ、昨年来2度目となる外資による資本増強策を公表した。このため、米大手金融機関の資本不足が一向に解消されないことに市場の不安はさらに強まり、相場は寄り付き直後から売り一色となった。

 さらに、米商務省が発表した12月の小売売上高が前月比0.4%減に落ち込み、年末商戦が後半で失速したことも判明。米国経済のけん引役である個人消費の鈍化が裏付けられ、市場には「景気腰折れの可能性が高まった」(中堅証券)との見方が広がった。(続)


デフォルトリスク 1月11日 松藤民輔

デフォルト(債務不履行)リスクの増大という記事が目についた。債務返済不履行に対する保証コストが1年前の10倍ほどに上昇している。1000万ドルの債券に対する年間保証コストがベアスターンズの場合は、現在23万ドル、メリルでは20万ドルまで上昇している。1年前まではそれぞれ2万ドルだった。

倒産リスクはNY株式市場の中でより現実的な話となり、独り歩きを始めている。今週NYダウで新安値をつけた事から3月末までにかなり大きな下げが予測できる。次なる大きな下げは、間違いなくどこか大手の銀行か、ファンドの破綻によるものになる。

金が900ドルラインに近づいていることもデフォルトリスク増大の兆候とも言える。米国短期金利が再び大きく下げ始めている。米国景気後退により、次なるFOMCで政策金利がかなり大胆に下げられることは間違いないだろう。

円は107円を底に、円安トレンドに乗ったようだ。大きな株価の下落とドル高、円安が見える時、金融恐慌という言葉が市場を歩き始めるだろう。



銀行 1月8日 松藤民輔

BKXというボブ達が用いる銀行株指数は先週83まで下げた。1年前が121であったことを考えると、銀行危機が始まっていることを示している。

一昨年、ウォールストリート・ジャーナル誌(WSJ)は全米の銀行の預金が足りないことを書いている。約9000にのぼる中小の銀行を含めたシステム全体の預金のキャッシュ伸び率が、1933年の連邦預金保険公社の誕生以来、最低レベルを記録したというのだ。

キャッシュが欲しい。Give Us Your Cash! と言いたくなる程、銀行全体の預金が不足している。流動性の危機はすでに2007年1月12日のWSJの記事によって指摘されていたのだった。

そしてサブプライムの問題、証券化が引き起こした大問題は、今年、銀行倒産によってその問題の大きさが見えてくる。

BKXという指数の暴落は、すでに流動性危機が社会問題になり、政府、中央銀行すら、対応できない可能性を示している。ある数字が示す現実は我々が読む日々の現実より 正確に未来を示している。

先週、ダウジョーンズ運輸株20種平均、ラッセル2000指数、S&P500, S&P600など主要米国株価指標が、昨年8月の安値ラインをこえ、新安値を更新した。このことからダウ平均は南に向いている事がわかる。今年のニューヨークダウ平均は、秋にかけて8000〜6000ドルまで暴落するのではないかな?



(私のコメント)
いよいよアメリカの株式も下げ始めましたが、大手金融機関の決算発表が立て続けにあるからだ。金融市場に異変があればいずれ消費にも影響が出てくることは避けられない。すでに住宅ローンの貸し出しは激減しているし、住宅が値下がりすれば信用枠も減ってカードで買い物も出来なくなる。つまり歯車が逆転し始めたのです。

根本的な問題はアメリカへの投資が減り始めた事で金融市場が金詰りになってきて、バブルをこれ以上膨らませられなくなって住宅市場が下落した。下落した事でサブプライムローンがらみの債券が売れなくなり金融機関の手持債券に大きな穴が開いてしまった。9日の株式日記に書いたようにボツリヌス菌の入った幕の内弁当は誰も買わない。

米大手金融機関は穴を中東やシンガポールや中国の政府系ファンドから資金を調達して埋めていますが、住宅市場が下げきらないと穴は次々と発生して大きくなるから信用不安が生じてしまう。そして穴が埋めきれなければ金融機関は倒産するしかなくなる。バブル崩壊はまだ始まったばかりであり金融機関の損失がまだどれくらいだか確定できないから信用不安は住宅市場が持ち直すまで続く事になる。

日本でもデフレを解消するためにインフレターゲット政策が検討されましたが、日銀は強く反対してデフレ経済が続いている。経済構造が供給力過剰になるといくら金をジャブジャブに供給してもインフレは起きないのだ。それに対して石油や食料などの供給力に限度がある物は金がジャブジャブにあることでインフレが発生してしまった。

アメリカの住宅も供給が過剰になれば値下がりする。空き家の大量在庫処分が終わらないと住宅価格が底打ちして値上がりする事はない。これは中央銀行が資金供給しても救われる問題ではない。石油や食品だけが上がる悪性インフレが生ずるだけで経済の歪みが大きくなるだけだ。このようにインフレとデフレが混在する事で中央銀行は打つ手がなくなってしまう。

最終的な指標は消費水準がどうなるかですが、住宅価格が下がればカードも使えなくなり消費が落ち込む。消費が落ち込めば企業業績が悪くなり株も下落する。このような現象がアメリカやEUでは続くだろう。日本では都会のマンションブームが一時起きましたが線香花火で終わりそうだ。日本経済がなかなか回復しないのは住宅価格が全国的に見ればまだ回復していないからだ。つまりそれだけ住宅価格のサイクルは長期的なものであり、アメリカやEUの住宅が値下がりして、底打ちして持ち直すのは10年20年先の話になるだろう。

中東の石油バブルも中国の世界の工場バブルも近いうちに崩壊するだろう。林立する超高層のビル群を見るとバブル崩壊を連想してしまう。アメリカのエンパイアステートビルもバブルの象徴ですが完成と同時に30年代の大恐慌で空室だらけになってしまった。まさに超高層ビルはバベルの塔ならぬバブルの塔なのだ。

シティやメリルリンチなどは海外から資金調達して一時しのぎをしていますが、景気のいい中東産油国や中国もクラッシュすればアメリカの大手金融機関も資金調達の目処がなくなってしまう。その時が本当の危機ですが日本経済を早く立ち直らせないと世界経済のリード役がいなくなる。



現在起きている欧米の金融危機は世界に広がり、それは石油の高騰による石油エネルギー文明の終わりの始まりだ。自動車もガソリンや軽油をエネルギー源としていましたが、これからは電気自動車が主流になるだろう。その電気の元になるのはソーラー発電機や風力発電機で家庭にも普及するだろう。大型のリチウムイオン電池が実用化されれば自動車のみならず家庭用電源として使われるようになる。そのリチウムイオン電池の7割を日本が作っている。

従来の火力発電や原子力発電も継続されるがコストは上昇して行く。自動車も極度に軽量化されてハイテク素材でないと造れないものになるだろう。日本は自動車用高張力鋼板の供給国であり、そのようなハイテク素材の多くを供給している。原子力発電用の炉の生産も現在では日本の三社が独占状態で、わずかなピンホールでもあれば大事故になるから、どの国でも作れるものではない。

このように考えれば産業用のインフラのほとんどの技術を日本が独占している。テレビにしても欧米では作るのを諦めてしまった。作ろうと思えば作れるのでしょうが技術開発競争において日本に追いつけないのだ。技術評論家達は携帯電話を例にあげてガラパゴスだとか何とか言っていますが、欧米の携帯電話はインターネットすら満足に出来ないものが多い。アップルのiPhoneにしても1ページを表示するのに2分もかかる。こんなのが6万円もするのだから馬鹿げている。

アメリカでは製造業をあきらめて金融立国を目指してきましたが、デリバティブや証券化ビジネスが金融テクノロジーとして最高のものとして宣伝されてきましたが、サブプライム問題で分かったように一旦おかしくなればデリバティブや証券化ビジネスはとんでもない障害をもたらす。分かりやすくいえば詐欺なのだ。欧米が景気が良かったのは住宅ローンを梃子にした消費が良かった為であり、それは80年代の日本の不動産資本主義を真似たものだ。



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