株式日記と経済展望

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先進国の景気がよかったのは、実は“通貨高”の時である
ことが多かった。つまり、国内に資金が流入した時代である。


2007年8月31日 金曜日

為替は株価、安いより高い方がいい 8月31日 宿輪純一

そうした背景の中で起きたのが1985年の「プラザ合意」という“事件”。ご存じの通り、1ドル=120円程度とドルに対する円の価値は一気に2倍に高まった。その後、円高が長く続き、日本の製造業は辛い時代を経験した。これが今でもトラウマになっている原因の1つである。だから、円安に向かうと輸出企業の株を中心に日本の株価は上昇する。今回の円高で為替差損による収益悪化の懸念から輸出関連株が総崩れとなったのは象徴的だ。

 かつて大蔵省(現・財務省)と日本銀行は、こうした国内の感覚にも配慮して、円売りドル買いの大量介入、つまり円安に向けた介入を繰り返した。最近中国に抜かれるまで世界最大の外貨準備を保持していたのは、そのためである。日本経済を牽引した製造業も、国も、円安を望んでいたわけだ。

 現在進行形の理由は、最近の個人による外貨預金や外貨投資信託などの対外投資の増加である。これも円高より円安が続く方が望ましい。円高になるとせっかく高金利の海外で運用していた資金が目減りし、損をする可能性が高まるからである。

 今や、個人投資家の存在感は機関投資家よりも増してきている。日本の家計金融資産は約1500兆円。この3%が外貨預金などの対外投資になっているという。外貨建て投信の残高は今年5月の段階で30兆円。これは2004年末の約3倍である。日銀関係者も述べていたが、為替市場を揺さぶる主役は「東京の主婦」になったという声も上がるほどだ。

 時代は変わりながらも、今や国や企業だけでなく、個人も円安が望ましいと思うようになっているのが日本の現状なのである。

国内資金の流出は低金利政策の効果を弱める

 そうした中で私が円高の方が好ましいと思う理由は大きく2つある。

 1つは、円安はゼロ金利に代表される低金利の金融緩和政策の効果を下げてしまうこと。マネーフローの視点で考えると、円安は国内資金の流出を意味し、企業が資金調達しにくくなる。

 本来、金融緩和の大きな目的の1つは、金利を下げて企業の設備投資などを活性化させることにある。確かに最近の国内経済情勢を見ると、円安を享受している企業の株を中心に株価は上昇した。だが、その上げ幅は以前の円安期よりも小さい。

円安と株価の上げ相場が共存した局面はこれまでも何度かあったが、荒っぽく言わせてもらえば円が対ドルで1円安くなると、日経平均株価で300〜400円は上げる力があった。しかし、ここにきて次第にこの力は弱まっており、1円安くなっても200円程度しか上がらなくなっている。つまり、設備投資をしやすい環境にはあるが、企業に資金が集まりにくい状況と考えられる。私は、この原因が国内資金の海外流出にあると見ている。

 円安による価格競争力の高まりは、確かに短期には輸出企業に好影響を与える。だが、今の日本企業を取り巻く環境は、かつての高度経済成長期とは異なる。円安は、日本からの輸出品の価格が下がるということである。これは、モノの取引という視点で考えると、海外からは日本商品の安売りに見える。

 商品を経営における基本視点である「価格」と「価値」という2つの側面でとらえた時、日本商品の“安売り”は果たして好ましいことだろうか。アジア各国をはじめとする新興国の工業力が高まっている今、安売り戦略よりも価値向上戦略が望ましいことはほとんどの経営者が知っている。高度経済成長期は、とにかく安いものを提供するのが是だった。だが、今の日本は、円安効果による価格競争力に頼らず、価値向上を競争力とすべきという見方はもはや議論をまたないだろう。

過去を振り返ってみても、先進国の景気がよかったのは、実は“通貨高”の時であることが多かった。つまり、国内に資金が流入した時代である。

 例えば、米国で最も景気がよかった1990年代半ば、財務長官だったロバート・ルービン氏は、それまでのドル安政策を180度転換し、ドル高政策を進めた。国境を越えてマネーが飛び回るグローバル経済という現実を見て、ドル高政策で世界中のマネーを集めたのである。そのマネーで未曾有の株高を誘導し、国内経済や海外新興市場へのマネー分配の中心地として米国経済は成長した。彼はこの功績で史上最高の財務長官と呼ばれている。

 ルービン氏が、ドル高政策のヒントを得たのは、80年代の円高による日本の好景気ではないかと思われる。プラザ合意後の円高期は、日本もかつてない株高になり、企業に新たな設備投資を可能にする活力を与えた。現在では、欧州もが明らかに「ユーロ高政策」を進め、資金が流入するユーロ高を歓迎し、好景気を享受しているのではないか。

 ユーロ高でも、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)諸国への輸出は急増している。中心となるドイツ企業は7年ぶりに過去最高の業績を更新した。ユーロのベースとなったドイツマルクは常にマルク高に誘導していたから、そのDNAが残っているのかもしれない。

 確かにドル高政策も円高政策もバブルを引き起こした側面があるから、肯定的にとらえられない部分もある。とはいえ、バブル経済とその崩壊は為替レートだけが原因ではないし、むしろ何事もやりすぎはよくないという戒めだろう。人体に例えれば、通貨は血液だ。血液が流出して健康を害し、企業の経済活動が不活性化するよりは、十分な血液を補充して活性化した状態の方が景気には好影響を与えるはずである。

今こそ、円高政策を打ち出す時

既に多くの方が指摘しているように、ここ数年の円安は日本の低金利が大きな原因となっている。低金利で資金を調達し、外貨で運用する「円借り(円キャリー)取引」によって、円安が進んだ。金利差はドルで約4%、ユーロで約3%あるので、この運用益を狙って日本から資金が流出していく。

 それでは、日本が金利を引き上げて円高に誘導すればいいかといえばそう簡単な話ではない。現段階での金利の引き上げは、国内の景気や株価に好影響を与えそうもないからである。消費者物価指数は、この数カ月ほぼ横ばい、あるいは下がっており、物価を理由に金利を引き上げることは困難だろう。

 GDP(国内総生産)は成長しているが、その構成要素の6割以上を占める個人消費はそれほど伸びていない。先の参議院選挙で自民党が大敗したことも金利引き上げにはマイナスに作用しそうだ。そもそも、先進国では為替レートのためだけに、金利を使うことはなくなっている。

 こうしたマクロ政策での円高誘導が困難だとすれば、ミクロな視点での政策で企業活動などを活性化し、「円=日本」を買ってもらえる環境を作るしかない。日本の製造業が強い理由は、早くから海外に進出して荒波にもまれていたからだということがよく言われる。だが、今の円安はそれとは逆行し、結果的に安売りであるとともに、企業に対する補助金となってしまっていないか。

 補助金による対症療法が必ずしも好結果をもたらさないことは、今や言うまでもないだろう。円安という価格戦略よりも、むしろ価値戦略を重視させる方向性を根づかせることが大事である。

 こうした政策に加えて、金融政策を担当する当局が通貨に対する議論を続け、自国が高く評価されるよう対外的に方針をきちんと示すことも大切なことだ。つまり、低く評価される円安よりも、高く評価される円高の方がよいと。そのためには、時に政府が円高に積極的に姿勢を見せることも必要だろう。

 今年8月にIMF(国際通貨基金)が「円相場が過小評価されている」という評価を出したように、「円(=日本)は本来よりも安く評価されている」という見方が世界に広がっている。米国経済への不安から円が買われた今回の「サブプライムローン問題」は資金の逆流という面が強いかもしれないが、実は日本への評価を象徴しているのではないだろうか。今こそ、勇気を持って円の評価を高める姿勢を見せることが日本経済を活性化させるカギを握っている。



(私のコメント)
9月から10月にかけて金融市場に大波乱が待っていそうな気がしますが、各国の中央銀行も毎日毎日が綱渡りのような毎日になるでしょう。しかし日本は波乱がある日は円が高くなり世界の通貨が円に避難する傾向が見られます。今回のサブプライムがらみのクレジットクランチは円が一番被害が少ないと見られているからでしょう。日本の投資家の多くはバブルに懲りて怪しげなマネーゲームに加わらなかったからだ。

バブルの教訓から言えることは現金が何より第一で短期国債が第二だということだ。利回りの高い債券や外債はそれだけリスクがある。サブプライムローンが問題なのはそれが証券化されて様々なファンドに紛れ込んでいるからだ。リスクを分散すればそれだけ安全性が高まると言う事なのですが、損失が確定しないとファンドの評価のしようがないから金融市場がストップしてしまう。

しばらくはどの銀行が危ないとか、どのファンドが潰れそうだとかいう風説が乱れ飛んで97年から98年の日本の金融市場のような場面になるでしょう。日本の金融恐慌の教訓から言えば護送船団方式で公的資金で救済してしまえばよかったではないかと思う。金額自体も100兆円程度の公的資金で銀行の不良債権の処理はついたのではないかと思う。

しかし今回の世界金融恐慌は1000兆円以上のバブルが吹っ飛ぶわけだから全部買い取るといってもどの中央銀行も二の足を踏むだろう。日本は1500兆円のバブルを17年かけて償却してきてやっと先が見えてきた。それに対して世界のバブルはどれほどの金額が吹っ飛ぶ事になるのだろう。しかも日本の場合は銀行に特定されていましたが今回の場合は何処にあるのか分からない。

日本は貿易黒字で円高だったから低金利の国債も発行できてカンフル注射を打ちながらバブルを克服してきた。しかし貿易赤字でドル安で金利が高めのアメリカはカンフル注射を打つだけの体力があるだろうか? 国債を発行するにもFRBが買ったらドルは暴落してしまう。日本や中国や産油国に買ってもらうしかないが、最近は売り越し気味だ。

1930年代の大恐慌のときはアメリカは経済が上昇期にあり20年かけて克服できましたが、今度の大恐慌は克服できるだろうか? 戦争で一気にデフレをふっとばすという方策もイラク戦争で厭戦気分が出てきている。あと残るのはアメリカの切り売りであり売れるものはみんな売る覚悟がいるだろう。

このように考えれば通貨は安いよりも高い方が安全なのであり、経済政策も打つ手がありますが、通貨が安いと海外に買ってもらわないと、中央銀行がいくら札を印刷してもワイマール共和国のハイパーインフレになる。アメリカの場合は食料もエネルギー資源もある程度あるから救われるのでしょうが、アルゼンチンのような光景がアメリカで見られるようになるだろう。

日本の場合は円が高くなる問題だから喜ぶべきなのですが、宿輪純一氏の記事にもあるように円高を日本にとってマイナスのイメージに植えつけてしまった。確かに輸出産業は価格競争力がなくなり苦しくなる。しかし海外に出れば円の使い道が多くなり、輸入品が安くなり生活は豊かになるはずだ。

日本のこれからは1500兆円の金融資産をどのように運用するかが生活の分かれ目になりますが、ハゲタカ外資のヘッジファンドに投資すれば、今回のようなサブプライムがらみの金融パニックに巻き込まれる事になる。外資系金融会社といえども魔法の杖があるわけではないのだから、特別な金融テクノロジーがあるわけではない。


サブプライムと過剰債務、経済にはテロより脅威=米調査 8月27日 ロイター

[ワシントン 27日 ロイター] 全米企業エコノミスト協会(NABE)の調査によると、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)に債務不履行(デフォルト)が発生するリスクと過剰債務が、経済にとってテロより大きな脅威と考えられている。

 調査は7月24日から8月14日に会員258人を対象に行った。

 テロが最大の懸念事項と回答したのは20%にとどまり、3月調査の35%から低下。サブプライム問題が最大の懸念事項との回答は18%、家計や企業の債務が最大の懸念と答えたのは14%だった。

 半面、調査に回答したエコノミストらは、住宅セクターの長期的な見通しについては、引き続き明るい見方を維持していた。42%が、住宅価格は向こう5年間は横ばい、と回答。住宅価格が上昇するとの回答は41%となり、価格下落を予想したのは16%にとどまった。



(私のコメント)
感度の鈍さはアメリカのエコノミストも日本のエコノミストも変わりがないようです。住宅ローンの貸し渋りや貸しはがしなどで需給関係が逆転して、担保処分売りが市場に出回るから下落しない方がおかしい。




アメリカに依存する二つの国、イギリスとイスラエル。しかしイギリスは
イラクから撤退して、アメリカ軍は補給路を断たれて絶体絶命か?


2007年8月30日 木曜日

米単独覇権主義に翻弄される英軍イラク撤退 8月29日 田中宇

チャーチル英首相(当時)の「鉄のカーテン演説」に始まる冷戦は、ドイツを分割し、ロシアを封じ込めるという、英国の仇敵だった独露を潰す策略だった(もともと米国が独露を敵視する必要性は低い)。冷戦後の経済グローバリゼーションの過程でも、世界の金融の中心には、ニューヨークと並んでロンドンが入っている。英国は、米国の世界戦略の「黒幕」であり続けてきた。

 ブッシュ政権が2002年に放った「単独覇権主義」は「米国は圧倒的に世界最強なのだから、もう同盟国など不要だ」という宣言であり、米国を隠然と動かしてきた英国の上層部にとって、大きな脅威だったはずだ。当時のブレア英首相が、米国が単独覇権主義の第1弾として単独で挙行しようとしたイラク侵攻に、英軍を是が非でも参加させて「英米同盟による戦争」に変えたかったのは当然だ。

 その後暴露された英政府の内部メモによると、ブレア氏は、実はイラクが大量破壊兵器を持っておらず、米政府が危機を誇張していることを侵攻前に知っていたが、それでもイラク侵攻に参加した。ブレア氏は、米国にとことんついていくことで、折を見て米国を“単独覇権主義”から“米英同盟中心主義”に引き戻そうとしたのだろう。しかし、その後のイラク占領の泥沼化や大量破壊兵器のウソを見て、英国の世論は激しく反米になり、ブレア氏の人気は凋落し、今年6月に首相を辞めざるを得なくなった。

 後を継いだブラウン首相は、国内世論を気にして米国から距離を置く素振りを見せているが、米国との同盟関係を切ることの不利益を十分知っているようで、イラクからの撤退を表明しないでいる。「英国は、既にバスラで失敗したのだから、さっさと撤退した方がよい」というメッセージを発しているのは、むしろ単独覇権主義を推進してきた「ネオコン」(新保守主義者)など、米国の強硬派である。ネオコンの親分はチェイニー副大統領であり、彼が辞めない限り、ブッシュ政権内で単独覇権主義を希求する動きは、弱まったとしても止まることはない。

米大統領選までは待てない英国、パワーバランスに変化

そもそも、英国のイラク占領が失敗した最大の責任は米国にある。ブレアはイラク侵攻前、フセイン政権後のイラクの復興計画を米国の国務省と組んで練っていた。当時のパウエル長官の国務省は、米政府内でも米英同盟を重視する国際協調主義だった。しかしブッシュ大統領は侵攻直前の2003年2月、イラク復興は国務省ではなく国防総省にやらせると決定した。

 英国と国務省がやれば、巧妙な政治展開によって、イラクに安定的な親米の傀儡政権を作って占領を成功させられたかもしれない。しかし、ネオコンの巣窟で単独覇権主義が強かった国防総省は、バース党員の完全公職追放など机上の空論的な民主化の強行と、軍事行動を過度に重視する戦略を繰り返し、占領を失敗させてしまった。そして、米国より国家的な体力が弱い英国が、先にイラク占領から脱落せざるを得なくなった。

 今後、2008年の米国大統領選挙で民主党候補が勝てば、米国は単独覇権主義を捨て、米英同盟を重視する国際協調主義に戻るかもしれない。しかし、英国がそれまでイラク駐留を続けるのは無理だ。米国の軍事力の激しい浪費も続く。

 イラク占領の失敗は、国際社会の根幹である米国の覇権と、米英同盟に危機をもたらしている。これは、受動的な対米同盟を享受してきた日本にとっても、大きな問題である。



世界の中の日本― これからの長期戦略 (2) 江田島孔明

△英国に見られるシーパワーとしての自己規定

英国はEUに深入りすることは今後も無いと思われる。むしろ統一憲法の扱いではEU脱退も考えられる。EU大統領の野心をもってるブレアの退陣が一つの試金石だろう。

なぜなら、EUに深入りしても場所が場所だけに欧州の物流・交易の中心には絶対なれない。(仏中心で)大陸ヨーロッパが1つになる事によって、欧州内で陸上ルートを使った物流・交易が極めてローリスクで行えるようになった、今回の拡大もその範囲の拡大と捉える事が出来る。域内のブロック化は、大西洋への出口として重要な位置にある海運の国の英にとっては、米国のその地域内での影響力低下も伴うからメリットよりデメリット大きいだろう。

だから英国は今後もEU諸国の統合強化を妨げるように動くであろうし、実際、数世紀前からの英国の大陸欧諸国に対しての基本的な戦略だ。

具体的には独仏分断のため、東欧の発言権を増しフランスに対抗させるといったやりかただ。英国がポーランドの欧州議席数交渉を支援したのはそのためだ。

はっきり言って、英国がEUに入っている理由はEUの情報を入手し、域内を分断するためなのだ。(トロイの木馬)これは独仏の利害と対立する。

そもそもランドパワーがシーパワーに対して優位性をもてるのは域内の統一がなって海上を利用しない物流・交易が容易になった時だ。

シーパワーとしてはランドパワーが分裂状態にある事が望ましいわけで海上を支配し分断されたランドパワーをつなぎ、その間で付加価値をつけマージンを得る事で富をなす。それが出来ないと辺境に甘んじるか引きこもるかするしかない。

△勢力均衡

このように、EUの分断、勢力均衡が必要なのは米国にとっても同じだから共通の利害関係にある以上、英にとっては米>欧で米英同盟は少なくともEU崩壊までは続くだろう。

日本には、欧米という表現で、大陸欧州も英国も米国も一緒くたにする見方がある。欧米を「同じ」キリスト教国や民主主義国、白人種といった見方もそうだ。

しかし、ランドパワーとシーパワーの視点からみると、大陸欧州と英米には「本質的かつ根本的な利害の対立」があることがわかる。つまり、英米は大陸欧州を分断して勢力均衡を図ろうとするし、大陸欧州は分断されてると、英米に利用されるから統合しようとするのだ。これがEU統合、ユーロ導入の意味であり、英米とEUが相容れない本質的理由だ。

ナポレオンの頃から、二度の世界大戦、更に冷戦期を通じて、この勢力均衡が英米の基本戦略であり、それはイデオロギー的に相容れないソ連と組んでドイツを潰したことでも分かる。

地政学的にみた場合、シーパワーたるアメリカは防衛線を島国たるイギリスに置き、独仏は防衛圏外(いざという時は見捨てる)とする、二度の世界大戦から、冷戦期を貫く戦略をとっていたのだ。

アメリカは第二次大戦において、フランスを解放したではないかという向きもあろうが、44年6月という時期は、既に東部戦線で決着が着いていたのであり、ノルマンディー上陸はナチスを打倒するのに必要であったとはいえない。遅すぎたのである。むしろ、米国はフランスを防波堤にして英国を守ったという見方もできる。この対米不信感は戦後のフランス人の深層心理に深く刻まれ、ドゴールのNATO脱退、独自核武装につながる。

裏を返せば、イギリスは二度の世界大戦、さらに冷戦期を通じて、リムランドとしてアメリカの欧州関与(パワーバランスのため)の最前線となることを受け入れ、代償としてアメリカに安全保障を依存したということである。これが、アメリカの軍事戦略にイギリスが全面的に付き合う、付き合わざるを得ない本当の理由である。単なる共通の利権があるとか同じアングロサクソンだからといった次元の低い話では全くないのである。

はっきり言えば、米国は二度の世界大戦以降、冷戦期を通じて欧州を防衛していたのではない。正しくは、大陸欧州を分断して勢力均衡を図っていたのだ。そのための前線基地として英国を利用していたのだ。現在の英米と大陸欧州の角逐の根底にはこの勢力均衡戦略がある。WW2末期、欧州の第二戦線をどこにつくるかについて、チャーチルはソ連を牽制するためにバルカンから東欧に米軍が上陸すべきと主張した。しかし米国はフランスに上陸支配しかつソ連へ東欧と東ドイツを譲ったのだ。この戦略の真の意図はソ連を利用して欧州を分断し勢力均衡を図ることだと私は見ている。つまり、独仏ソの封じ込めだ。



(私のコメント)
最近はテレビをつけると朝青龍の事ばかり報道していますが、それほど大問題なのでしょうか? 横綱が仮病がばれて処分食らってノイローゼになっただけではないか。にもかかわらずマスコミは朝から晩まで朝青龍を追いかけまわしている。他に報道すべきニュースは沢山あるのですが、マスコミはスポーツ選手と芸能人のスキャンダルが大好きだ。そしてそれを見ている大衆は白痴化されてバカになっていく。

ブッシュ大統領もノイローゼ気味のようですが、カール・ローブをはじめ側近達が次々辞めている。イラク問題が原因のようですが、イラク戦争を主導したネオコンが次々解任されていますが、イラクの米軍15万人は釘付けされたままだ。共和党の大物議員もイラクからの撤退を進言していますが、ブッシュ大統領は頑固に撤退しないとがんばっている。

しかしイラク南部を受け持っている英軍の動向が重要であり、もし英軍が撤退するとなると補給路であるバスラ港をはじめイラク南部一帯にもアメリカ軍が空白を埋めなければならなくなる。しかしアメリカ軍にはそれだけの予備兵力が無い。現在クウェートからバクダッドに至る幹線道路は毎日2000台のトラックが米軍の補給物資を運んでいる。

しかしその地域から英軍が撤退すれば米軍はイラクの中部から北部に孤立してイスラム勢力に包囲される事になる。イギリスのブラウン新首相もイラクから撤退したいのは山々ですが、そうなるとアメリカ軍を置いてきぼりにすることになり撤退を明言できない状態だ。イギリスにとってはアメリカのと同盟関係が戦略的に必要だからだ。

イギリスは人口が6000万人でGDPが23000億ドルでいずれも日本の半分以下だ。だからイギリスがアメリカから離れてEUのメンバーということになるとヨーロッパのはずれにある単なる島国になってしまう。現在のイギリスの国際的地位はアメリカとの親密な関係によるものであり、一国ではヨーロッパ大陸の諸国には対抗できない。軍事的にも二度の世界大戦ではアメリカに助けられた経験を持つ。

だから現在のアメリカに対する同盟関係に関してはイギリスとイスラエルは死活的意味を持つものであり、アメリカとの関係がなくなれば国が消滅するか衰退する運命にある。あるいはアメリカがイギリスとイスラエルに操られて行動しているともいえますが、黒幕はイギリスを支配している奥の院や国際金融資本だ。

アメリカにとってもEUの分断工作の拠点としてのイギリスの価値があるのであり、ネオコンの単独覇権主義はイギリスにとっては外交上の危機だった。だから独仏のイラク侵攻反対に対してイギリスはアメリカに加勢して何とか同盟を維持しましたが、イラク戦争の泥沼化は英国国内のアメリカ離れを呼びEUに接近する動きを見せている。

アメリカの単独覇権主義は、国際金融資本や奥の院の内政介入に対する独立の意味があるのかもしれない。アメリカやイギリスといった国家単位ではよく見えませんが、アメリカやイギリスを動かしているのは国際金融資本であり奥の院だ。米英にとってはイラクを軍事的に占領しても金ばかりかかってあまり意味はない。チェイニー副大統領は湾岸戦争のときにイラクに攻め込まなかったのは泥沼化することが分かっていたからだ。

それが今回はテロとの戦いということで米英の国際金融資本や奥の院による命令でイラクに攻め込んだ。軍部が50万の兵力が必要だと言う事で反対したようにイラク戦争は国家戦略としては意味がない。いわば泥沼化して負ける事が分かっていて戦争を始めたのだ。朝鮮戦争やベトナム戦争のような共産主義の拡大を防ぐと言う大義もなく、テロとの戦いを無理やり作って戦争を始めた。

ブッシュは昨日紹介したような、ばかげた演説を繰り返しているが、イラクに民主化が根付いて安定した国家になるわけが無い。結局は独裁国家か王政国家でないと治まらない。ではなぜ国際金融資本や奥の院がアメリカにイラク侵攻を命じたのか? 結局は失敗する事がわかっていて命じたのだろう。そうとしか考えられない。

アメリカが衰退する事はイスラエルにとってもイギリスにとっても死活問題であり、本来ならば止めさせるべき立場だろう。アメリカもようやく失敗に気がついて撤退時期を模索しているが、撤退するだけでなく国内に引き篭もって外国に関与しない孤立化政策をとるようになるだろう。これは国際金融資本や奥の院にとっては阻止しなければならない。

国際金融資本や奥の院にとってはアメリカが世界の警察官でないと困る事になる。イラクやアフガニスタンでアメリカ軍の強さを見せ付ければ中東一帯は大人しくなると見ていたのかもしれない。しかし結果は逆であり毎日のようにアメリカ兵の戦死が伝えられている。アメリカ軍は陸上戦闘では陸に上がった河童であり弱点を見せてしまった。

アメリカがなすべき使命は海洋通商路の確保であり、ロシアや中国やヨーロッパの諸国を大陸に封じ込めておく事であり、大陸内部の国家を分裂や対立状態にしておくことだ。日本も戦前は大陸内部に侵攻して失敗し、かつての大英帝国もアフガンでは敗退した。アメリカもイラクやアフガンまで攻め込んで失敗しようとしている。

国際金融資本や奥の院はなぜアメリカがボロボロになるような戦争を命じたのだろうか? 軍事力のハイテク化を過信した為かもしれない。しかし最後は歩兵部隊で地域を制圧しなければならない。アメリカとしてはイギリスにもイスラエルにも自分の国は自分で守れと言い出すだろう。アメリカの限界を見せる事でイギリスやイスラエルの内政関与を排除しようとする事もあるだろう。

日本はイギリスやイスラエルのようなアメリカへの内政関与は経済面に限られている。日本はイギリスの倍以上の大国であり、本気で軍事力を強化すればアメリカの軍事力に依存する必要性はないからだ。むしろアメリカ自身が脅威を感ずるかもしれない。その意味では日米安保は日本の軍事大国化を阻止する為にあった。

アメリカがもし国内に引き篭もってしまったら国際金融資本や奥の院は世界の警察官を誰に任せるのだろうか? イギリスには大英帝国の時のような国力はない。となると世界の海洋通商路を守る事ができるのは日本ぐらいしかない。最終的には日本とアメリカとイギリスとで分担して世界の警察官をになう事になるかもしれない。




国家宗教の神道が狂信的すぎ、天皇に根ざしていることから、民主化は
成功しないという批判があった。(アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュ)


2007年8月29日 水曜日

米大統領、戦前日本とアルカイダ同列視 歴史観に批判 8月24日 朝日新聞

ブッシュ米大統領が22日に中西部ミズーリ州カンザスシティーで行った演説は、自らのイラク政策を正当化するため、日本の戦後民主主義の成功体験を絶賛、フル活用する内容だったが、半面で戦前の日本を国際テロ組織アルカイダになぞらえ、粗雑な歴史観を露呈した。米軍撤退論が勢いを増す中でブッシュ氏の苦境を示すものでもある。

 冒頭は9・11テロかと思わせて、実は日本の真珠湾攻撃の話をする、という仕掛けだ。戦前の日本をアルカイダと同列に置き、米国の勝利があって初めて日本が民主化した、という構成をとっている。大正デモクラシーを経て普通選挙が実施されていた史実は完全に無視され、戦前の日本は民主主義ではなかった、という前提。「日本人自身も民主化するとは思っていなかった」とまで語った。

 退役軍人の会合とあって、朝鮮戦争やベトナム戦争の意義にも言及。すべて一緒くたにして「アジアでの勝利」は中東でも出来る、と訴えた。だが、米メディアは「日本や韓国は国民が同質的であり、イラクとは違う」「歴史から間違った教訓を引き出している」などと批判を伝えている。

 民主党のヒラリー・クリントン上院議員は同日、イラクのマリキ首相の罷免を要求。9月にはイラク駐留米軍のペトレイアス司令官の議会への報告があるが、抜本的な進展は見込まれておらず、かえって一層の批判が予想されている。

 だが、ブッシュ氏が政策転換に踏み切る兆しはない。最近は、第2次大戦末期に登場しながら不人気に終わったトルーマン大統領に「魅力を感じている」(関係者)という。共産主義と戦う姿勢が後世、一定の評価を得たためとみられる。

 テロとの戦いにかけるブッシュ氏だが、今回の演説は日本を含めた諸外国の歴史や文化への無理解をさらした。都合の悪い事実を捨象し、米国の「理想」と「善意」を内向きにアピールするものとなっている。

     ◇

■米大統領演説の日本関連部分(要旨)

 ある晴れた朝、何千人もの米国人が奇襲で殺され、世界規模の戦争へと駆り立てられた。その敵は自由を嫌い、米国や西欧諸国への怒りを心に抱き、大量殺人を生み出す自爆攻撃に走った。

 アルカイダや9・11テロではない。パールハーバーを攻撃した1940年代の大日本帝国の軍隊の話だ。最終的に米国は勝者となった。極東の戦争とテロとの戦いには多くの差異があるが、核心にはイデオロギーをめぐる争いがある。

 日本の軍国主義者、朝鮮やベトナムの共産主義者は、人類のあり方への無慈悲な考えに突き動かされていた。イデオロギーを他者に強いるのを防ごうと立ちはだかった米国民を殺害した。

 第2次大戦に着手した時、極東の民主主義国は二つしかなかった。オーストラリアとニュージーランドだ。日本の文化は民主主義とは両立しないと言われた。日本人自身も民主化するとは思っていなかった。

 結局、日本の女性は参政権を得た。日本の防衛大臣は女性だ。先月の参院選では女性の当選が過去最高になった。

 国家宗教の神道が狂信的すぎ、天皇に根ざしていることから、民主化は成功しないという批判があった。だが、日本は宗教、文化的伝統を保ちつつ、世界最高の自由社会の一つとなった。日本は米国の敵から、最も強力な同盟国に変わった。

 我々は中東でも同じことができる。イラクで我々と戦う暴力的なイスラム過激派は、ナチスや大日本帝国や旧ソ連と同じように彼らの大義を確信している。彼らは同じ運命をたどることになる。

 民主主義の兵器庫にある最強の武器は、創造主によって人間の心に書き込まれた自由を求める欲求だ。我々の理想に忠実であり続ける限り、我々はイラクとアフガニスタンの過激主義者を打ち負かすだろう。



【やったぱりバカだった】米大統領、戦前日本とアルカイダ同列視 歴史観に批判 8月25日 魁!清谷防衛経済研究所

まあ、これが平均的なアメリカ人の「常識」なんでしょうが。

 まず「第2次大戦に着手した時、極東の民主主義国は二つしかなかった」これは明らかに誤りです。我が国は大正デモクラシーを経て普通選挙行ってきた議会制民主国家でした。
自国民を日系人というだけで、をナチス同様収容所に放り込み、戦後も黒人差別を続けるような国家が人様に威張れるような民主主義国家というのでしょうか。
 その程度の民主主義を振り回すから世界中から嫌われるんですよ、この国は。


 また真珠湾攻撃に関して、
「ある晴れた朝、何千人もの米国人が奇襲で殺され、世界規模の戦争へと駆り立てられた」

とありますが、前にもここで書いたように、あれはだまし討ちでありません。

 その前からアメリカは中立を犯して英国や蒋介石政権に援助をしていました。これは明確に喧嘩を売ってるわけで、奇襲をうけても仕方ありません。
 しかも我が海軍の攻撃部隊は軍事施設及び軍艦などを軍事目標に攻撃を集中し、民間人の被害は極限されていました。
 少なくともこれは精密誘導兵器を多用したイラク戦で米軍が間違って殺したイラク民間人より遙かに少ないはずです
 そもそも一か八かの真珠湾攻撃でそんな無駄玉撃つものですか。軍艦ばかり狙って、軍用機ばかり狙って重油タンクやらドックですら狙わなかったのに。
 戦争後半、面白半分に民間人を銃撃していた米のパイロットと一緒にしてもらっては困ります。

 恐らく大統領閣下は好物のプリッエルを頬張りながら見た「パールハーバー」なる史実を無視した胡乱な娯楽映画を史実と勘違いしているのでしょう。

 日本の神道をキチガイ宗教扱いするならば、現在のアメリカのキリスト教の方が酷いでしょう。遙かに原理主義的で、イスラム原理主義者と大同小異です。

 しかしこの発言はこれはもっけの幸いです。
 この失言を理由にインド洋やクウェートに展開している自衛隊を呼び戻しましょう。それは我が国の責任でない、与太な歴史認識をもった合衆国大統領の責任です。

 こういうチャンスを利用しないと未来永劫米国は甘やった歴史観を持つし、そのような思い上がった「オレ様」主義が、やらなくてもいいイラク戦争みたいな起こしてきたわです。 

 こういうところでアメリカにちゃんとした物言いをすれば民主党を見直すんですが。


(私のコメント)
横綱の朝青龍がノイローゼで故郷のモンゴルへ治療に行くそうですが、アメリカのブッシュ大統領もテキサスの故郷に治療に行ったらどうだろう? かなり精神が錯乱しているようで神道をアルカイダと同一視している。大統領の演説はスピーチライターが書いて、いろいろと検証してこのような演説をしたのでしょうが、アメリカ政府レベルがこのような程度だからイラク戦争で大失敗をするのだ。

戦前の日本をテロ国家呼ばわりしているがアメリカの方こそ、大量破壊兵器が無いにもかかわらずイラクに爆弾の雨を降らせて60万人のイラク人の生命を奪った方こそテロ国家だ。パールハーバー攻撃も外交の一手段としての戦争行為であり、その前から中国大陸で日米の代理戦争が行なわれていた。

アメリカ人の歴史認識がこの程度である事は従軍慰安婦問題での連邦下院議会決議でよく分かりますが、世界最強の軍事力にかまけて自分の馬鹿さかげんに気がつかないようでは何時かはとんでもない災いをもたらすだろう。もちろんアメリカにも言論の自由があるから何を言おうと勝手だが、大統領が演説の場で言うとなると問題だ。

これに対して日本政府は何の反応を示していない。日米安保で日本はアメリカに守ってもらっていると言う引け目があるからでしょうが、これこそ日米安保が対等の関係でない事が証明されている。親米ポチ保守の人は一方的に守ってくれているのだからいいではないかという人もいるが、そのおかげで日本国内に80ヶ所近くもアメリカの軍事基地が展開して日本は占領状態にある。

だからこそ「株式日記」では自主防衛と核武装を主張しているのですが、現在の日本政府や多くの国民にとってはアメリカの従属国であったほうが心地良いのでしょう。日本国民の多くが国家の尊厳と名誉を捨ててしまった。戦後教育で日本がテロ国家であったような教育がなされて、神道まで侮辱されても何も言えないように洗脳されてしまったのだ。

その結果、日本人は侮辱されても反論しないようになり、中国や韓国の言いたい放題の非難を浴びても日本の政治家は謝罪と反省を繰り返した。しかしその事は日本人の奥底に怨念となって溜まっていって何時か爆発してパールハーバーを繰り返す事になるだろう。そんな事になるよりは、普段から論争で決着をつけるようにすべきなのだ。その方が数百万人もの死者を出す戦争をするより良いのだ。

中国や韓国は建国して60年程度でありアメリカは230年程度の歴史の浅い国であり歴史感覚が日本人やヨーロッパ人とは異なるようだ。歴史がない分、過去の事を持ち出して日本を非難する。ヨーロッパでそんなことをすれば収拾がつかなくなるからしないのですが、アメリカも従軍慰安婦で歴史カードを使い出した。

日本も相手国が歴史カードを使い出したのなら日本も歴史カードを使ってやり返せばいいのですが、昨日も書いたように「よその国の機嫌を損ねてはならぬ」と言う配慮が優先される。しかし論争した方が、結局は日本が腹を立てて戦争で決着つけるよりはましなのだ。だから従軍慰安婦問題でもどんどんアメリカに新聞に意見広告で主張すべきなのだ。

アメリカ大統領も中国や韓国と同じように歴史カードを大統領の演説で使い始めたのは、アメリカ人の民度も中国や韓国並だということだ。パールハーバーを9・11と同じとなぞらえるのは問題だ。ブッシュは戦争とテロとの区別もつかなくなり錯乱状態なのか? テロは一体誰がやったかわからないからテロなのですが、誰がやったかわかればそれは犯罪だ。

結局は犯人とされたビンラディンも捕まらず、アメリカ軍はアフガニスタンに爆弾をばら撒いて関係の無い市民を殺している。誰が敵で誰が味方がわからぬほどアメリカは錯乱状態なのだ。


以下の話は笑い話だと思うのですが、アメリカ人の馬鹿さ加減が分かるような話だ。


これはアメリカ海軍とカナダ当局との間で交わされた実際の無線の記録である。

29:水先案名無い人 :2007/08/26(日) 04:05:01 ID:GVTKwjqs0 [sage]

これはアメリカ海軍とカナダ当局との間で交わされた実際の無線の記録である。


カナダ  「衝突の危険あり、貴艦の針路を15度南に変更されたし」


アメリカ 「衝突の恐れあり、そちらの針路を15度北に変更されよ」


カナダ  「出来ない。衝突の恐れあり、 そちらの針路を15度南へ変更せよ」


アメリカ 「こちらアメリカ海軍の軍艦の艦長である。もう一度繰り返りかえす。
      そちらの針路を変更せよ」


カナダ  「NO、それは不可能だ。もう一度繰り返す、貴艦の針路を変更せよ」


アメリカ 「こちらはアメリカ海軍太平洋艦隊最大級の航空母艦
      エンタープライズである。 我々は駆逐艦八隻、巡洋艦四隻と
      多数の艦船を従えている。我々はそちらの針路を 15度北に
      変更するよう要求する。もう一度繰り返す。そちらが15度北に
      変進せよ。 我々の要求が容れられなければ、艦の安全の
      ために対抗措置をとる用意がある」


カナダ  「エンタープライズ、こちら灯台である、どうぞ」





相次ぐ新聞社販売店員の殺人事件。新聞業界のヤクザ的体質が
末端の社員に反映されるのだ! 新聞社は扇動機関なのか!


2007年8月28日 火曜日

茨城暴行死:新聞販売店従業員を傷害致死容疑で逮捕 8月27日 毎日新聞

茨城県利根町のスーパー前で26日に同県取手市双葉2の酒店経営、青柳進さん(67)が殴るけるの暴行を受けて死亡した事件で、県警取手署は27日、自首してきた、同県竜ケ崎市佐貫町の毎日新聞販売店従業員、高橋光太郎容疑者(25)を傷害致死容疑で逮捕した。「かっとなってやった」と供述しているという。

 調べでは、高橋容疑者は26日午後3時40分ごろ、ヤオコー利根店の飲食コーナーの4人掛けテーブルで居眠りをしていて、相席を頼もうと声をかけた青柳さんを店外に連れ出して殴るけるなどして、死亡させた疑い。青柳さんは病院に搬送されたが、約8時間後にくも膜下出血などで死亡した。

 高橋容疑者は現場から、近くに止めてあったバイクで逃走。同署が行方を追っていた27日午前、同署に自首してきた。【立上修】

 ▽毎日新聞東京本社代表室の話 取引先である販売店の従業員が逮捕され、誠に遺憾です。販売店は本人をすでに解雇しましたが、人事管理を徹底するよう改めて販売店を指導いたします。

毎日新聞 2007年8月27日 22時32分 (最終更新時間 8月27日 23時44分)



朝日の論調、3つの手口  8月26日 国際派日本人養成講座

■3.3つのパターン■

その後、高山氏は産経新聞のテヘラン支局長、ロサンゼルス支局長、編集委員などを歴任し、新聞報道の裏側を良く知る立から、辛辣なマスコミ批判を展開する。

特に朝日新聞については、その主張にいくつかの決まり切ったパターンがあることを見つけた。それは、以下の3つである。

 ・社会的弱者をいたわれ
 ・よその国の機嫌を損ねてはならない
 ・日本人を叱責せよ


朝日新聞がいつもこの3つのパターンで記事を書いていると想定すると、弊誌が過去に紹介した様々な(弊誌から見れば「異様な」)主張も、なるほど、と思えてくるのである。

たとえば、冒頭のハイジャック事件では、母子家庭の高校生は、社会的弱者である。「社会的弱者をいたわれ」というパターンから、社会的強者である全日空のような大企業が、社会的弱者である母子家庭に約700万円もの高額賠償を請求するの
は「ケシカラン」という結論となる。弱者が法を破って、強者に「多少」の損害を与えたぐらいは、「大目に見よ」ということになる。これでは法律も何もあったものではない。

実際に全日空は「取り立てる気はない」と言っているのだから、すでに大目に見ているわけで、国際常識から見れば「弱者」に優しい処置をとっている。それを無視して、さらに「親苦しめるのは酷」などと主張するのである。
   
■4.「朝鮮人従軍慰安婦」の「思い出すと今も涙」■

慰安婦問題は朝日が火をつけたのだが、その発端となった記事の一つも、やはり「弱者をいたわれ」パターンだった。

平成3(1985)年8月11日付け朝日新聞は、社会面トップで「思い出すと今も涙」「元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀重い口開く」とのタイトルで、「日中戦争や第二次大戦の際、女子挺身隊の戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた朝鮮人従軍慰安婦のうち、一人が」名乗り出たと報じた。

「思い出すと今も涙」「戦後半世紀重い口開く」などと、さす がに天下の英才の集まる朝日、文章もなかなかのものである。

しかし、実はこの女性は日本軍に強制徴用されたのではなく、14歳の時に母親によって朝鮮の置屋に売られた事を、自らある韓国紙に語っている。[a]

「弱者をいたわれ」というパターンに忠実に従うあまり、肝心の事実をねじ曲げての報道では、新聞の基本から外れてしまっている。14歳で親に売られた少女の身の上は気の毒だが、それは政府や軍の責任ではない、という常識が、「弱者をいたわれ」というパターンで覆われてしまっている。
   
■5.第2のパターン「よその国の機嫌を損ねてはならない」■

第2のパターンは「よその国の機嫌を損ねてはならない」だ。その例として、高山氏は船橋洋一氏のコラム「日本@世界」の「六ヶ所村再処理は凍結を」(平成16年12月2日付け)を挙げる。船橋氏は入社後、ハーバード大学に学び、北京、ワシントン特派員を歴任するという朝日を代表する国際派エリート記者である。

青森県の六ヶ所村の核再処理施設は、核爆弾にもなるプルトニウムを抽出するが、イランや北朝鮮の核疑惑が騒がれている時期に、日本が再処理を始めたら「世界の目は険しくなる」と危惧する。北朝鮮がそれを口実に核武装するかもしれない。日本への警戒感を生み出していることに、「日本はもっと敏感にならなければならない」と訴え、だから「日本は再処理を凍結するのがよい」と結ぶ。

使われたのは「よその国の機嫌を損ねてはならない」パターンだ。自分たちは核実験をやり、テポドンを飛ばすよ うな悪辣な国でも機嫌を損ねてはならない。そんな国々が少しでも危惧を持つようならエネルギー不足で日本が沈没しても我慢しろというわけだ。。[1,p208]

朝日は、このコラムを受けてエルバラダイIAEA(国際原子力機関)事務局長と会見し再処理問題について聞いているが(2005年1月7日付け)、日本はIAEAの査察を何度も受けており、局長が日本の核再処理について「険しい目」で見ている様子はまったく窺われない。

朝日の代表的国際派記者が「世界の目は険しくなる」と言っても、それは国際常識から相当ずれている場合がある、という事だろう。

■6.北朝鮮への異常なご機嫌取り■

「よその国の機嫌を損ねてはならない」パターンの極致が、北朝鮮へのご機嫌取りだろう。弊誌273号では、核、拉致、ミサイルに関する読売と朝日の社説を読み比べてみたが、朝日の論調はひたすら北朝鮮をなだめすかすのみである。[b]

平成6(1994)年に、北朝鮮が核開発施設を稼働させ、「米国からの援助があれば止める」と脅した際に、読売は「段階的制裁を」と主張したが、朝日はこう述べた。

北朝鮮が最終的に米国との交渉による解決を切望している以上、米国は北朝鮮との対話のパイプを閉ざすべきではない。

北朝鮮の脅しは米国と交渉したいというシグナルなのだから、米国はそれを聞いてやるべきだ、という。ナイフを振り回して、金をせびろうとする不良少年に対して、まずは話を聞いてやれ、というご機嫌取りである。

平成10(1998)年、北朝鮮側が拉致疑惑を全面否定した際に は、読売は「誠意ある取り組みがなければ、正常化交渉も、食糧の追加支援も困難だという明確なメッセージを」送り続ける べき、と主張した。それに対して、朝日の方は、被害者家族の 北支援に反対するのは、「肉親の情としては当然かもしれない」としつつ、

しかし、朝鮮半島の緊張をやわらげるには、構造的な食糧、経済危機をかかえる北朝鮮に必要な援助を続けつつ、軍事的な暴発を防ぎ、開放を促していくしか道はない。それがもうひとつの現実である。

ここでもやはり北朝鮮のご機嫌取りである。

この年の9月には、北朝鮮は日本列島越しにミサイル実験を行った。ここでも朝日は「とても容認できない」としつつも、最後は「約束通り10億ドルと食糧支援を」と結ぶ。

他国民を拉致したり、勝手に核兵器開発をしたり、他国の上空に勝手にミサイルを飛ばしたり、という無法は許されない、というのが国際常識だが、これらは朝日の社説では「よその国の機嫌を損ねてはならない」パターンに覆い隠されてしまっているのである。
   
■7.第3のパターン「日本人を叱責せよ」■

第3のパターンは、「日本人を叱責せよ」である。平成16 (2004)年4月のイラクでの人質事件では、社説「NGOの芽を摘むな」で「紛争地や貧困に苦しむ地域で人道支援をしているNGOや個人に対して、日本社会の理解が不足している」と社会全体に対してお説教を垂れた。

また、平成13(2001)年11月の海上自衛隊の護衛艦隊がア フガニスタン空爆を行っている米艦隊支援のためにインド洋に出港すると、「そんなに旗を立てたいか」と題した社説で嫌みを込めた小言を言う。

極めつけは平成元(1989)年4月の珊瑚落書き事件で、「80年代日本人の記念碑になるに違いない。百年単位で育ってきたものを、瞬時に傷つけて恥じない、精神の貧しさの、すさんだ心の・・・」と書いた。

これは、後に朝日新聞の記者自身が珊瑚礁に傷つけて書いた捏造記事だと判明したのだが、そこまでして「日本人を叱責せよ」パターンを使うとは、よほどこの思考方法が身に染みついているのだろう。
   
■8.自虐史観・歴史教科書問題で「日本人を叱責」■

「日本人を叱責せよ」パターンの走りと言えば、昭和46(1971)年に朝日に連載された本多勝一記者の「中国の旅」であろう。

かつて東京日日新聞(毎日新聞の前身)が戦争中に「南京を目指す日本軍の二人の少尉が100人斬り競争をした」という戦意高揚のでっち上げ記事を書いた。本田記者はそれを「殺人ゲーム」と再粉飾して、日本軍の残虐ぶりを糾弾し、反省を求めたのである。このあたりから自虐史観が広まっていった。[c]

自虐史観から教科書問題に発展させたのも、朝日である。昭和57(1982)年6月26日、朝日新聞は一面トップで、「教科書さらに『戦前』復権へ」と題した記事を掲載し、歴史教科書 の「日本軍が華北を侵略すると」という一節が、検定で「進出すると」に書き換えられたと報じた。これを受けて、その一ヶ月後、中国から「歴史教科書改竄」に関する正式な抗議がなされた。

しかし、これも虚報であることが判明したのだが、朝日はな かなかそれを認めず、「侵略→侵入」と修正した例はあった、などと苦し紛れの弁解を続ける。そうこうするうちに、宮沢官房長官が、「教科書記述については、中国、韓国など近隣諸国の批判に耳を傾け」る、という談話を発表する。

これに対して、朝日は自らの虚報は棚上げして、「なお今回の政府見解の表現には、いまひとつ率直さが足りない。残念なことである」(8月27日社説)と逆に政府を叱責した。[d]
   
■9.日本人の国民性につけこむ手口■

このように朝日の異常な報道・論説を辿っていくと、確かに「社会的弱者をいたわれ」「よその国の機嫌を損ねてはならない」「日本人を叱責せよ」のいずれかのパターンで書かれている。

実はこの3つは、日本人の国民性を巧みに突いた手口なのである。「社会的弱者をいたわれ」というのは、日本人が持つ国民相互の強い同胞感に訴える。「よその国の機嫌を損ねてはならない」とは、他者への気配り・思いやりを尊ぶ日本社会の特質に合致する。さらに「日本人を叱責せよ」は、自己反省と向上意欲の強い国民性から、受け入れられやすい。おそらく朝日は長年の経験から、この3つのパターンが日本人の国民性に強い訴求力を持つことを発見したのだろう。

これらの国民性は日本人の美質と言えるが、いずれも情緒的 なものであり、朝日の論調はそこを突くことによって、異様な主張をさも尤もらしく説くのである。

「社会的弱者をいたわれ」と言っても、弱者の犯罪までが見過ごされていい訳はない。「よその国の機嫌を損ねてはならない」と言っても、日本の国益を損ねてまで、相手の国の不法を黙認しなければならない義理はない。そして「日本人を叱責せよ」と言っても、やってもいないことまで謝る必要はない。

こう考えると、3つのパターンを駆使する朝日の姿勢は、社会の理非を糺すという言論機関というよりも、読者の情緒・感情に訴えて、自らの主張を広めようとする扇動機関にふさわしいと言えよう。

国際派日本人としては、日本の美しい国民性は維持しつつも、情緒的にそこにつけこまれる事のないよう、健全な理性と常識を鍛えておかねばならない。
(文責:伊勢雅臣)


(私のコメント)
このところ立て続けに新聞販売店員の殺人事件が起きていますが、やった手口もヤクザ顔負けの衝動的なものであり、相席を頼んだ人に対して殴る蹴るの暴行をはたらいて殺してしまった。朝日新聞の販売店員もネットサイトで知り合った仲間と、金を取る目的で女性を拉致して殺してしまった。犯行も残忍でありガムテープをぐるぐる巻きにして窒息死させてしまった。

たまたま殺人事件が続いたから目立ちますが、新聞販売店員による傷害程度の事件はかなりあるのではないかと思う。新聞の販売店員がすべてそうだと言うわけではありませんが、新聞業界全体に荒んだ環境があるのではないだろうか? 

新聞自体もインターネットの普及で経営も尻つぼみの傾向にあるし、販売部数の拡大には末端の販売店員に激しいプレッシャーがかかっているのだろう。本来ならば新聞記事の内容で勝負すべきなのでしょうが、どの新聞記事も似たり寄ったりで、通信社の配信された記事を新聞に掲載しているに過ぎない。独自取材による記事は2割ほどしかない。

新聞業界を支えているのは宅配システムによるものであり、新聞業界は再販制度と特殊指定制度で守られた特権業種なのだ。それらの規制緩和が行なわれると新聞は乱売合戦になりとても1000万部近い部数など維持できるものではない。このような自由競争から守られた新聞業界は政界とぐるになってヤクザ商法が許されているのだ。

新聞業界に新規参入しようと思っても宅配店を作るのは大変だし、既存の宅配店を利用しようとしても系列化されて自由競争が阻害されている。テレビやネットが普及した事によって新聞を保護する理由はなくなったと思うのですが、縄を張ったヤクザ商法が新聞業界に根付いて組織が維持されているのだ。

このような新聞業界の体質が末端の販売店員にもいきわたって、犯罪行為に走る者が続出する事になる。宅配制度が選択の自由を失わせて競争が起きないから新聞記事も質が落ちるばかりだ。それに比べるとネットやブログは只でありながら、記事の質が落ちればたちまち読者も減ってしまいますが、新聞はそのような競争がない。

もしブログなどで嘘記事などを書けば読者からのクレームで炎上させられるのに、新聞にも新聞のサイトにもコメントできるシステムがないのはどうしてなのだろう。テレビにしても一般視聴者が討論できる番組がほとんどなく、特定のコメンテーターがコメントしまくって世論を誘導している。それに対して視聴者が批判できる権利はないのだ。

「株式日記」の読者は質が高いせいか荒れる事も炎上する事もほとんどないが、ブログの中には炎上したりしているものがかなりある。その意味ではブログを書くことは真剣勝負であり、いいかげんな記事を書けば読者は集まらないし、面白くても嘘を書けば読者の批判にさらされる。ところが新聞はどんな事を書こうが批判を受け付けるシステムはない。これでは記事の質が高まる事はなく、特定勢力の扇動的な記事を書こうが批判される事はない。

だから「株式日記」のブログをかりて新聞テレビ批判をしているのですが、新聞テレビも批判を受け付けるシステムを設けるべきなのだ。新聞テレビの論理として面白くなければ見なければいいとか購読しなければいいとか言う論理があるが、新聞テレビは既得権益に守られたものであり、読者や視聴者は選ぶ権利がない。

だから新聞テレビは批判を受け付けないヤクザ体質だと思うのですが、このような体質が末端の販売店員に反映されて犯罪行為にはしる者が続出する事になる。本当ならば朝日新聞や毎日新聞はブログならば炎上してもおかしくはないところだ。

「国際派日本人養成講座」に書かれているように、朝日新聞や毎日新聞などには批判されるべき点が沢山あるのですが、彼らは読者の批判は受け付けない。だから彼らは好き勝手な扇動的な記事を書きたてて面白がっているのだ。従軍慰安婦問題も十分な検証もせずに記事を書き、日韓や日米の国際問題にまでなってしまった。

朝日新聞は日本人の視点よりも韓国人や中国人の視点で記事が書かれているものが多い。朝日新聞は「あさひ」と読むよりも「ちょうにち」と読んだ方が正確なのだろう。弱者をいたわり、外国の視点に立ち、日本人を叱責する態度は朝日新聞の体質ですが、弱者を語って日本政府を脅迫して日本人を痛めつける、朝日にはそんな記事があふれている。

しかし新聞テレビは第四の権力と言われるように、様々な既得権益に守られながら自らは言論の自由を謳いながら、読者の批判は受け付けない専制的体質を持っている。しかし最近はネットの普及で、新聞やテレビに対する批判も書かれるようになりました。しかし新聞記事を批判できるだけのインテリジェンスや分析力を備えた人は少ない。感情的に反発してもだめなのであり、理詰めで新聞記事の欠陥を突かなければならない。本当のことを知りたければブログを読まなければ世の中のことが分からないことが分かればいいのだ。


新聞販売店は組織の一部か?

                ア
            ヤ  カ
            ク  が
            ザ  書
         バ  が  き
         カ  売
         が  っ
         読  て
      圖  む


      Λ_Λ
      (-@∀@)    
   φ⊂    )




韓国人の一般に知的な関心は低く、国民一人あたり年問平均読書量も
世界一低いといわれるような惨憎たる知的荒廃が生み出されている。


2007年8月27日 月曜日

「反日」を捨てる韓国 呉 善花(著)

「八○パーセント以上の語彙を失った」

戦後の韓国で漢字が廃止されたことによって引き起こされた弊害のなかでも、もっとも大きなものは、日常的にあまり使われない漢語、しかし非常に重要な語彙が、事実上一般の韓国人のあいだからしだいに失われていったことである。とくに高い精神性と抽象的な事物に関する語彙の大部分が、多くの人々にとって縁遠いものとなっていった。

たとえば「日帝問題」となると、韓国人はインテリだろうと庶民だろうときまって感情論となり、世界的な水準から歴史をみつめた冷静な議論になることがまずない。それは通常、反日教育や固陋な小中華主義のせいだとされてきた。しかし、そればかりではない。そもそも現代韓国は、漢字を廃止したため、世界を論ずるにふさわしい抽象度をもって議論を展開するための言語的なべースが、ほとんど崩壊状態にあるのである。

韓国がそうした悲惨な状況に陥っていることを率直に認める韓国人もけっして少なくない。たとえば、東方研究会会長の金暦顯氏は次のようにいう。

「……戦後国粋主義者たちによって漢字が学校教育から疎外された結果、意味もわからないままに言葉を使い、八○パーセント以上の語彙を失い、現在では世界最低の読書率を記録するにいたってしまった。一朝のうちに国民全体が読み書きのできない最低の状態に陥ったことを痛歎しないではいられない」(『ハングル十漢字文化』一九九九年八月創刊号)

八○パーセント以上失われたという語彙の大部分が、日常的にはあまり使われないものだ。しかし世界を論じたり高度な思考を展開したりするにはなくてはならない概念語、抽象語、専門語など「漢語高級語彙」の一群なのである。どれほど思考の広がりや奥行きが阻害されているかがわかろうというものだ。そのため、一般に知的な関心は低く、国民一人あたり年問平均読書量も世界一低いといわれるような惨憎たる知的荒廃が生み出されている。「国民全体が読み書きのできない最低の状態に陥った」というのは、けっして大げさな表現だとばかりはいえないのである。

表音文字の限界

韓国がこれほど見るも無残な状態に陥っているにもかかわらず、ハングル専用主義者たちはあくまで漢字は廃止すべきだと主張しつづけている。一方、日本人ならば、漢字廃止が国民の精神生活にどれだけ大きな影響をおよぼすかは、話すまでもないことだろうと思っていたが、どうもそうではないらしいということを、最近体験した。

社会科学系の日本の大学生、大学院生、韓国や中国からの留学生たち十数名が集まった場で韓国の漢字廃止問題をテーマに話をしたときのことである。私は漢字廃止による弊害について事例を挙げながら紹介し、最後に、そのために韓国人の思考水準がかなり低下しており、日韓の過去の歴史についての議論がまともにできない理由の一つもそこにある、といった話をした。

私が話し終えると、言語学を専門としているという日本の大学院生が次のような意見を述べたのである。

「あなたの話はまったく学問的ではない。言語は音声だけですべてを表わすことが可能なものだから、漢字をなくしたからといって何ら思考に影響を与えるものではない。子どもは文字を知らなくとも耳で聞いて言葉を覚えていく。そのことからも、表意文字が人間にとって必要なものではないことがわかる」

韓国のハングル主義者とそっくりの主張だったことに驚いたが、彼の頭のなかに光り輝いているのはおそらく、近代言語学の根本的なテーゼなのである。

近代一言語学によれば、言語体系は概念差異の系列と、それに関連する音声差異の系列である。そしてこの二つの関連する系から、一部の概念(意味されるもの)と一部の音声記号(意味するもの)の組み合わせが分離したものが言語である、ということになる。彼が「言語は音声だけですべてを表わすことが可能なものだ」というのは、そういう意味からのことだと思う。

しかし私の話は、そんな言語学理論のレベルにかかわるものではまったくない。私がいっていることは結局のところ、表音文字は音声で弁別できる以上の情報を表わすことができない、ということである。つまり表音文字は、聴覚情報をたんに視覚情報に変換した記号にすぎない。そして、人間の耳による情報処理能力に対して、目による情報処理能力は比較にならないほど大きなものだ。そういう論旨を受けとってほしかった。

中国人、日本人、かつての韓国人は、視覚の情報処理能力を充分に発揮することによって、音声で弁別できる以上の情報を表わすことが可能な、漢字という表意文字を用いて言語生活を送ってきたのである。別ないい方をすれば、視覚による弁別の助けを借りた言語生活を歴史的に展開してきたのである。

にもかかわらず、そうして使われてきた言葉の大群のすべてを音声記号だけで表わそうとすれば、実際的に処理しきれない膨大な情報がこぼれ落ちてしまう。その弊害はあまりにも大きく、そのために思考が阻害されることになるのは当然のことなのだ。私はそういうことをいっているのである。

韓国のハングル専用主義者たちもまた、この大学院生と同じようなことをいっている。ハングルはアルファベットよりも多くの音声を表記することができる、だから世界一優秀な表音文字なのだ、表意文字としての漢字の必要性はまったくないのだと。

にもかかわらず、なぜ歴史的な語彙の八○パーセント以上を失うことになったのか。彼らの言語=音声記号理論からは失う理由が見えず、同音異義語で困るといっても「言語は音声だけですべて表わすことが可能」なのだから、いくらでもつくれることになる。

ところが、現実に言葉を用いて生きている人々のほうでは、視覚の助けを借りられないために多くの言葉を失っていくし、そんなに膨大な新語創作など現実にはできるわけもない。これほど当然のことが、なぜかこの学者の卵やハングル専用主義者たちには共通に理解できない。実際的な言語生活の現場から学ぼうとしないからだというしかないだろう。

漢字訓読みの「効用」

なんとしても韓国には漢字教育が復活しなくてはならない。しかし、日本語を勉強するなかで本格的な漢字の知識を身につけてきた私の体験からすると、たんなる漢字復活だけでは、けっして韓国人の思考のあり方に革命的な変化がもたらされることはないと思える。

なぜ、そういうことがいえるのか。日本語を覚えはじめて間もないころ、一つの漢字にたくさんの読みがあることで、かなり頭のなかが混乱した。韓国では「生」という漢字は「セン」という音で表わすだけである。つまり日本式にいえば一つの漢字には一つの音読みしかない。「しかない」というよりも、一個の文字に対して複数の音が対応する(読みがある)日本のほうが尋常ではない。

「生」ならば、まず音読みとして「セイ」と「ショウ」の二つがある。さらに訓読みとして「いきる」「うむ」「はえる」「おう」「き」「なま」「うぶ」などがあり、人名や地名となるとそれ以外に意味不明なさまざまな音が充てられるのだからたいへんだ。なんでわざわざ漢字に充てるのか、全部平仮名で表記すれば簡単なのに……と思ってウンザリしたものである。

しかし、それだけで驚いてはいけなかった。同じ音をもつ言葉が、それぞれ意味の異なる多数の漢字の訓読みに充てられているのである。これにも困った。「顔に墨が付く」という用例で「付く」を教わると、こんどは別のところで「あなたの家に着く」という「着く」が出てくる。また「仕事に就く」とか「胸を突く」などが出てくる。こうなると、「つく」という言葉の正体がまことに不明瞭になってくる。そこで辞書を引いてみると仰天するのである。

「付く、着く、就く、即く」「吐く」「尽く、掲く」「突く、衝く、撞く」「揚く、春ぐ」「漬く」「築く」などがズラッと並んでいて、辞書に載っている以外にも「つく」の読みをもつ漢字はたくさんあるらしい。混乱はいっそう深まり、「つく」とはいったいどういう言葉なのか、まったくわからなくなってくる。

韓国語では「付く」を「ブッタ」というが、他の「つく」はほとんど別の言葉で表わされるから、「つく=ブッタ」と覚えるばかりでは日本語の「つく」という言葉の意味を知ったことにはならないのである。

そんな具合に、漢字と訓読みの関係ではたいへんな苦労をしたのだが、いまでも十分に読み分け、書き分けができているとはいえない。しかし、このややこしい訓読みがある程度こなせるようになってくると、自分でも驚くほど漢字の知識と日本語の力が身についてくるのである。あとに詳しく述べるが、それは訓読みを通すことによって、漢語が和語(固有語)としっかり結びついたかたちで頭に刻み込まれていくからである。

この漢字訓読みの「効用」を身にしみて感じてきたことからいうと、韓国で漢字教育が復活したとしても、とうてい日本人ほど自由自在に漢語を操って思考を展開することはできないと思わざるをえない。韓国には漢字の訓読みがなく、あくまで音読みされるだけだから、いくらたくさんの漢字を覚えたとしても、日本人のように身近な固有文化の手触りをもって確実に「自分のものとなる」ことは、とても期待できることではないのである。

たとえば、「むげんほうよう」という言葉を知らなくとも、漢字で「夢幻泡影」と書」けば、日本人ならば「ゆめ・まぼろし・あわ・かげ」という訓読みが反射的に重なるから、その意味は一目瞭然、「人生のはかないたとえ」といった言葉であることがすぐにピンとくる。韓国の場合はそうはいかない。夢・幻・泡・影という一つ一つの漢字の意味を記憶のなかからとり出さなくてはならない。

それはたとえば、英語の単語の並びをみて、頭のなかの単語帳から意味を探し出すのとほとんど同じことなのだ。ようするに国語を学ぶというよりは、外国語を身につけるのと同じように学んでいかなくてはならないのである。

そのため、どうしても国民のあいだに国語力の大きな格差が生じることになってしまう。よほどの力のある者を別にして、一般の韓国人が一般の日本人並みの漢字・漢語の理解力を獲得するには、最初から決定的な限界があるといわざるをえないのである。(P110〜P119)


世界一読書率の低い国民

自民族優越主義的な主張は論外として、漢字復活論者とハングル専用論者に共通しているのは、言語伝達の機能的な側面の利便さの議論に終始していることである。残念ながら、いまだ思考や発想のあり方にまでつっこんだ本格的な議論がなされるにはいたっていない。

私の考えでは、漢字排斥がもたらした最大の弊害は、韓国語では日本語と同じように概念語や専門用語の大部分が漢字語であるのに、漢字の知識(および漢字映像の助けに拠ってそれらの言葉を駆使することができなくなったところにある。そのため韓国人は、抽象度の高い思考を苦手とするようになってしまった、というのが私の考えである。

たとえば、漢字を知らないハングル専用世代の者がある文章を読んでいて「しこうのそんざい」という言葉にぶつかったとすると、大部分の者が何のことかわからない。「そんざい」はわかるけれども「しこう」がわからない。同様に、「けんじんにまなぶ」とあれば、「まなぶ」はわかるけれども「けんじん」がわからない。同様に、「すいぼうたいさく」とあれば、「たいさく」はわかるが「すいぼう」がわからない。

なぜそうなるかというと、「そんざい(存在)」「まなぶ(学ぶ)」「たいさく(対策)」は一般に使われる言葉だからわかるが、「しこう(至高)」「けんじん(賢人)」「すいぽう(水防)」となると、日常的にはまず使われない言葉であるため、とくに知識として学ばないかぎり知ることがないからである。

これらはみな日本では漢字で書かれるから、初歩的な漢字の知識があれば、いちいち言葉の意味を教えられなくてもおよその意味をつかんで文章を読み進めていくことができる。そして、そうしているうちに自然に正確な概念としての意味をつかんでいく。

こうして、ややこしい概念語を理解していく体験は非常に重要なことである。最近の日本では、難しい漢字の概念語をなるべく使わずに、できるだけやさしいいい方に変えていこうとする傾向が強いが、それはぜひともやめていただきたい。そんなことを続けていれば、韓国のように、じつに貧弱な概念の持ち合わせしかない者たちが大量に輩出することになってしまうことはあきらかだ。

先にも述べたように、韓国語の語彙の約七〇パーセントが漢字語である。この膨大な漢字語をいちいち固有語でいい換えたり、新しい言葉をつくったりして定着させていくことは、事実上不可能である。そのため、書き言葉としては右の例に挙げたようを言葉でもかなり頻繁に使われることになる。

するとどういうことになるかというと、新聞や雑誌や書物のなかに、意味不明の言葉がたくさん出てくることになる。ハングル専用世代はしかたなくそこを読み飛ばす。そのため、じつにいいかげんな読み方しかできていないのが実情である。

当然ながら、韓国にいた時分の私もそうしていた。恐ろしいのは、意味不明の言葉を読み飛ばすことが習慣となること、そして自分の知らない漢字語がちょくちょく出てくるような書物や雑誌を読まなくなってしまうことである。たとえば、政治・経済を専攻しなかった者には、時事評論雑誌などを読むのはとてもつらいことになる。私は韓国の大学では臨床病理学を専攻していたから、まずそうした雑誌には食指が動かなかった。

そうなるとこれもまた当然ながら、ジャーナリズムのほうも読者に合わせて語彙を選択するようになり、その悪循環から、概念語や専門語にきわめて乏しいまことに通俗的な丈章ばかりが社会に蔓延していくのである。

最近、漢字復活論者たちの論考をよく目にするようになって、彼らが韓国ではもっとも良質の教養と見識を身につけた理性的な知識人たちであることがよくわかった。こういう人たちも韓国でしっかり生きていたことを知ったのは、私には大きな救いだった。一部には自民族優越主義があるのだが、ハングル民族主義者のようにファナティックなものではない。

しかし、彼らがいっているように、韓国人はハングル尊用のおかげで「世界;読書率の低い国民」となってしまっている。

そしてそのことは、韓国人の知的レベルの低下をもたらしている。韓国人は教育熱心で知的レベルの高い人たちだといわれることがよくあるが、それはまったくあたっていない。私は日本に来てからも韓国で出版される書物や雑誌の文章をことあるごとに読んできているが、そのほとんどが「地に足がついていない」ものばかりだというしかない。それらの典型は、叙述は現実から遊離して具体性に乏しく、主張はあきらかに何かの共同幻想に酔っていることを感じさせる、といったものだ。

また私の世代以降のハングル世代の者たちと話していると、上の世代のほうによりいっそう高い教養と深い見識の持ち主がいると感じざるをえない。そして、日本人と話していればいるほど、韓国人のものの考え方がいかに単純かつ浅いものかと思い知らされる。とくに若者であるほどそうなのだ。

テレビ番組の多くは日本の真似で、日本で売れ筋のものはすぐにそのまま横流しのようにとり入れる。独自に番組を創作する力が育っていないのだ。戦後韓国の知的荒廃は、消費社会化の波とともにいっそう拍車がかかっている。

戦後韓国が歩んできた漢字廃止・ハングル専用の歴史は、そのこととまったく無縁ではない。私は日本を知り、日本語を知り、日本語の漢字の受け入れ方を知って、そのことをはっきり確認できたように思う。(P100〜P104)


(私のコメント)
「株式日記」では韓国はハングル化によって過去の歴史から遮断されてしまっていると書いて来ましたが、なぜ漢字を廃止してしまったのだろうか? 私自身はハングルのことはよく分からないのですが、ハングル文字は韓国人しか使わない文字であり、文化的にも鎖国状態にあるのではないだろうか? 

このように韓国人は過去とも遮断され、海外文化とも遮断されて孤立した状態に陥ってしまった。中国や台湾なら町の看板を見ても何の店かは漢字でわかるのですが、韓国の町はハングルだらけで何の店かも分からない。新聞を見ても同じであり漢字文化から離れてしまった。

昔の韓国は公文書は漢文で書かれていたから現代の韓国人のほとんどは昔の公文書を読むことが出来ない。あるいは韓国人は長い間中国に支配されてきた悲惨の歴史的過去から逃れる為に自ら文字そのものを漢字からハングルに変えたのかもしれない。

漢字を公文書にしている限り中国の一部に属するようなものであり、文化的な独立という意味もあったのだろう。漢字文化は日本にも影響をもたらしましたが、訓読みという方法で漢字を日本語として取り入れることに成功した。漢字は読むことも書く事も難しく全ての一般大衆が使いこなせる文字ではなく、本場の中国人でも読み書きのできる人は限られている。だから簡略文字を取り入れて中国も文字を変えてしまった。

私も漢字は苦手であり鉛筆やペンで書いていた頃は辞書を引きながら出ないと書く事が出来ず、日記なども三日坊主で続かなかった。ところがパソコンで文章を書けば勝手に漢字に変換されるので辞書も要らずにキーボードを叩くだけで文章が書ける。

もし日本語ワードプロセッサーが出来ていなかったならばインターネットも利用する事ができずにいたかもしれない。日本でも戦後に、かな文字やローマ字運動などがあって漢字が制限されていく方向にあった。銀行の通帳の記入もカタカナ入力で使われていたから非現実的なものではなく、ハングルを取り入れた韓国と同じ運命だったかもしれない。

日本語ワードプロセッサーのおかげで漢字も何とか生き延びましたが、入力自体はローマ字入力で書いているから、ある意味ではローマ字運動は生きているとも言える。パソコンワープロとインターネットがなければ私も毎日これほどの量の文章を書く事もなかっただろうし、日本語でブログを投稿する数は英語を抜いて世界一である事は、日本語が世界一読みやすく書きやすいからではないかと思う。

韓国語も呉善花氏の言うように漢字を復活させたらどうだろう。ワープロの普及は漢字の使いにくさを解消させたし、日本や中国で道に迷う事も少なくなるだろう。ハングル専用だと意味不明の言葉が増えて内容や意味が十分掴めずにいる事も多いようで、専門的な本などを読むのが難しくなってくる現象も起きるようだ。

韓国の知的荒廃はハングル専用が原因であると呉善花氏は指摘するが、ハングルに慣れてしまうと漢字をわざわざ覚えることに反対する人も多いようだ。このような文化的な荒廃した状況では電通がいくらテレビで韓流ブームを演出しても無理がある。韓国の海外への留学生の異常な多さは韓国のハングル文化に欠陥があるとしか思えない。



韓国人と朝日新聞の性格がよく似ているのはなぜだろう?

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A 脳内ソースを持ち出し.    ┃B 決定的な証拠を聞かれても答えず逃げる
  根拠の無いことをわめく   ┃     ∧_∧
    ∧_∧.....             ┃    <l|l `∀´> 状況証拠では明確ニダ
   <#`Д´>  名無しは粕!! ┃    ⊂    つ
    Oー、 //|人間失格ニダ! ┃     (  ヽノ
ビリビリ\ (;;V;;)/             ┃     レ\__フ
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C 自分に賛成しない人間は敵.┃D 正確な情報では反論できなくなり
   从_从人_从_从人_       ┃  妄想でレッテル貼り
从从ゞ オマエいくらで雇われた! ┃     ∧_∧ <キサマも粕ニダ!!
キサマタバレ∧__∧  从_从人__..  .┃     <♯`Д┌―――┐
⌒WWY´<#`Д´>外野はダマレ! ┃     /    . | i ̄ ̄i |
 从_从( |   | )⌒WW⌒⌒Y..┃    jm==== | i :: i |
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E ムキになってコピペ荒らし  .┃F 都合のいい仮定を持ち出しホルホルする
     ((((( ))))))         ┃ +   ∧_∧   .. ' ,:'.
       | |           .┃  ,:'.<  `∀´> ウリは正しいニダ〜
       ∧__∧    从_从人__....┃+ , ..⊂    つ     +
   ∩<#`Д´>'') フザケヤガッテ┃  ' ,:'ノ  つ ノ    +  。  , .. .    +
   ヾ      ノ  WW⌒⌒Y ┃      レ レ  〜 幸せ回路作動中 〜
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米国は不良債権の米国政府ドル紙幣印刷全額買い取りで銀行、証券
会社は存続。不良債権を米政府に押し付けて最高益すら出している


2007年8月26日 日曜日

政府系の資金供給に期待…「改革が先」と大統領は拒否 8月23日 FujiSankei Business i.

米連邦準備制度理事会(FRB)による公定歩合引き下げや、連日の資金供給にもかかわらず、米金融市場では、低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題を発端とした信用不安に歯止めが掛かっていない。このため、米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)など政府系住宅金融会社による住宅ローン債権の買い取り拡大という、サブプライム問題の震源を狙った「ピンポイント」の資金供給への期待が高まっている。

 ファニーメイなどの政府系住宅金融会社は、直接の政府保証は受けない民間会社だが、政府監督下に置かれ、政府の緊急融資も認められており、発行する社債は、米国債に準じる信用力を持っている。

 ≪厳しい上限設定≫

 ただ、ファニーメイが2004年に不正会計事件を起こしたことなどから、債権買い取りの上限が厳しく設定され、さらに監督強化などの改革法案が現在議会で審議中。ブッシュ大統領は、サブプライム問題が深刻化した9日の記者会見で、「改革が先だ」として債権買い取り上限引き上げを明確に拒否。危機対応の決め手となるかもしれない強力な手段を早々に封じてしまった。

 住宅ローン会社は、ファニーメイなどに債権を転売し、次の融資のための資金を調達する。住宅ローン債権担保債(MBS)市場や債権転売がうまく機能しないと「新規ローンが組めず、住宅を買いたい層が買えなくなって、住宅市場は一段と冷え込む」(米エコノミスト)ことになり、米景気には大きな打撃だ。

 ≪法改正が必要≫

 このため民主党有力議員らは、政府系機関による債権買い取り上限引き上げを強く求めている。ポールソン米財務長官は、買い取り上限引き上げを一応は否定しながらも、「政府系会社とも協議し、あらゆる手段を検討している。サブプライムなど優良でない債権の買い取り拡大には議会による法改正が必要」と述べ、議会の後押しを期待しているとも受け取れる微妙な立場を表明している。(ニューヨーク、ワシントン 時事)


米政府がドル札数百兆円印刷して銀行の不良債権を全額買い取り 8月25日 在京マスゴミ最大のタブー

金利15%の住宅ローン債権1500兆円が不良債権化(当たり前だ)、
ヘッジファンドや金融機関で預金封鎖、経営破たん、倒産が相次いでいますが、

何と米国政府がドル紙幣を1000兆円分印刷して金融機関の
住宅ローン不良債権を全額買い取りすることを発表しました。

これは米国政府が自由経済体制を放棄し、共産主義、社会主義体制入りしたことになります。

・米国の金融機関は完璧な護送船団方式。過保護行政、保護経済をやめろ。長銀や日債銀、山一證券を倒産させた日本を見習え

・日本は不良債権の自己責任原則で長銀、日債銀、山一證券を倒産させたのに、
 米国は不良債権の米国政府ドル紙幣印刷全額買い取りで銀行、証券会社は存続。不良債権を米政府に押し付けて最高益すら出している。


・日本の銀行は自由競争経済だが、アメリカの銀行は護送船団で過保護、まるで社会主義、米国株式会社だ。

・米金融機関が最高益の決算を出しながらFRBからの借金を踏み倒す
 と思われます。担保は紙くず同然の15%金利住宅ローン債権。
 それだけ金融機関の株価時価総額と国際業務の最低基準である
 自己資本比率8%が大事なのでしょう。
  日本の金融機関は自己資本を取り崩して数十兆円分の赤字を
 出し、公的資金も全て完済したのに。

・米国金融機関に自己責任もリスクも無い。不良債権作っても
 米政府が全部買い取ってくれる。

・日銀の三重野元総裁は不良債権処理の時に「自己責任原則が前提」
 と表明し、長銀や日債銀、山一證券を倒産させたのに。

・日本の金融機関には自己責任原則がある。長銀も日債銀も不良債権問題で
 倒産した。リスクを取ってリターンを出すのだ。
 この自己責任原則は米国金融機関(AIGアリコ保険)と米政府が日本に
 押し付けた。自分らは自己責任を取らないくせに。

米国の金融機関には自己責任原則は無い。不良債権は政府が全額買い取ってくれる。売却益まで出るではないか。それまでに取った利子も返さなくてもいいし、
巨額の利益を出しても米政府に金を返す必要は一切無い。
米国金融機関はリスクを一切取らずにリターンだけのうのうと受け取っている。
ブタどもめ。

・これで米国は日本に市場開放や規制緩和、自己責任を要求する権利は全く無い。


・これまでの不当な規制緩和、自己責任、自由化、市場開放の要求も全部
 取り下げろ。カスが。

2007/08/25-06:40 サブプライム債権も適格担保=公定歩合貸し出しでFRBが通達
 【ワシントン24日時事】米連邦準備制度理事会(FRB)は24日までに、先週利率引き下げを発表した公定歩合による市中金融機関への貸し出しについて、低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン債権や、資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)も、貸し出しの際の担保として認め得るとの見解を通達した。
 FRBは、17日の公定歩合引き下げの際に、貸出期限を最長30日まで認める一方で、適格担保については変更しないと明言している。通達は、金融機関からの問い合わせに回答する形で、担保範囲が必ずしも明確でなかった金融商品について、FRBの見解を示した。


米連銀、投資適格級の資産担保CPを担保として受け入れ検討へ
2007年08月25日09時35分

 [ワシントン 24日 ロイター] 米連邦準備銀行は、窓口貸出制度の下で投資適格級の資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)を担保として受け入れることを検討する。当局筋が24日、確認した。


 米連邦準備理事会(FRB)の窓口貸出のウェブサイト(www.frbdiscountwindow.org/cfaq.cfm?hdrID=21&dtlID=?hdrID=21)には「米連邦準備銀行は投資適格級のCPを受け入れる。ABCPは特定の種類のCPとみなされるので、検討の対象となる」との文言が掲載された。

 あるニューヨーク連銀当局者によると、担保に関する問い合わせに応じるためにこの情報が掲載された。

 サブプライム(信用度の低い借り手向け)住宅ローンは、焦げ付いていない限りにおいて担保として受理するとしている。

FRBの方向転換で不安心理の連鎖に歯止め
2007年08月20日17時55分

 [東京 20日 ロイター] 20日の東京市場は米連邦準備理事会(FRB)の政策転換を好感、市場に広まっていた不安心理がひとまず収まり、株価が反発したほか、円買戻しの動きも一服した。インフレを警戒していた米金融当局による緊急の公定歩合引き下げはアナウンスメント効果が大きく、市場混乱による経済への影響を危惧していた市場参加者には朗報となった。ただ、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の解決には、禁じ手ともいわれる中央銀行による住宅ローン関連債権の買い入れが必要、との声まで出ており、不安定な地合いは続いたままだ。



(私のコメント)
アメリカ政府は「株式日記」を読んでいるようで、サブプライムローンをきっかけとした今回の金融恐慌も、不良債権化した債券を全額を政府が買い取る事で解決させようとしている。「株式日記」でも銀行の不良債権を公的資金で簿価で買い取れば「失われた10年」は無かったはずなのだ。しかし日本ではマスコミがモラルハザードだと騒ぎ立てて山一や長銀や日債銀を潰してしまった。

しかしアメリカがバブル崩壊し始めたので、アメリカ政府自らが「自己責任原則」を無視して公的資金で救済しようとしている。しかし日本のバブル崩壊のときはモラルハザードだと騒ぎ立てた日本のマスコミはアメリカ政府が公的資金で不良債権化した債券を買い取って救済することに対しては何も言わないのはなぜなのか?

「株式日記」では「日銀が株や債権を買い取って市場を支えろ」と提言しましたが、日銀は株を買い取って1兆円もの利益を出している。このような金融恐慌が起きたときには緊急的な措置が大切なのですが、日本の東京大学を出て財務省のキャリア官僚になったような秀才には前例の無いことは理解する事ができず、財政再建路線をデフレの最中に推し進めている。

アメリカ政府やシンクタンクなどは日本のバブル崩壊をよく研究しているから、バブルを崩壊させないように、あらゆる事をしようとしている。ところが日本は金融危機が起きても銀行が保有する債権の厳格な査定を行なって債務超過ぎりぎりまで追い詰めて不良債権を吐き出させてきた。

しかしそんなことをするよりも公的機関が不良債権を買い取ってしまえば金融危機は一気に解決する事であり、貿易黒字国である限り日本には通貨発行権があるのだから、「国債」という名の通貨を発行する事で解決できたはずだ。つまり利息のつかない国債が紙幣であり、利息のつく紙幣が国債である。つまり紙幣も国債も政府が発行する通貨なのだ。

アメリカ政府がなぜ日本の経済政策にいろいろと口出しをしてきたのか、それは日本の現状を見れば明らかであり、日本の生保や銀行が外資に買収された事を見れば明らかだ。さらには小泉内閣は郵政を民営化して簡易保険の市場を乗っ取ろうとして民営化させた。

ところが今度のサブプライムローンをきっかけとする金融大恐慌は、アメリカの金融業界に致命傷を与えようとしている。今まで優良債券とされてきた住宅ローンの債券の買い手が無くなってしまったのだ。おそらく債券の買い手が現れるまで損失額は確定できない。だから政府が買い取って金融恐慌を治めてくれというのですが、買い取ればまさしくモラルハザードである。

アメリカのバブル崩壊の引き金は中国や産油国や日本などからの資金流入が逆流を始めたからだろう。貿易赤字国のアメリカ政府が国債を発行できたのも中国や産油国などが米国債を買ってきたからだ。ところが買い手がなくなれば米国政府は国債を発行できなくなり歳出を削減して、住宅ローン市場は金詰りになる。だから住宅価格も頭打ちになりサブプライムローンに焦げ付きが出るようになった。

逆に言うならば貿易黒字国は国債や通貨をどんどん発行して財政を積極化させることが出来る。しかし日本政府は財政再建と称して歳出を切り詰めていった。だから日本はいつまでたっても景気は回復せず、日本から流れたマネーはアメリカに行ってアメリカの景気を支えてきた。日本政府は国民の事よりもアメリカ経済のほうばかり向いているのだ。

近代的経済学を理解するには数学的なセンスが必要ですが、マイナスにマイナスをかけるとプラスになると言う事が理解できない大人が沢山いる。減税をして財政を増やすと税収が上がるという現象は東大を出た財務官僚たちには理解できないのだろう。小泉内閣では地方を切り捨ててきたから今回の選挙で負けましたが、小泉総理も安倍総理も数学的なセンスがないようだ。


財務省・日銀が機能しないのならば、県が「藩札」を発行して公共事業を行え 2003 年 5 月 08 日 株式日記

政府発行紙幣政策の誤解 経済コラムマガジン:
http://www.adpweb.com/eco/

スティグリッツ教授の主張は「この政府貨幣(紙幣)の発行をもっと大規模に行え」ということである。さらに重要なことはこの貨幣鋳造益や紙幣造幣益を『財政政策』に使えと提案しているのである。今日、国債の発行が巨額になり、政府は「30兆円枠」に見られるように、財政支出を削ろうと四苦八苦している。しかしこれによってさらに日本のデフレは深刻になっている。そこで教授は、国の借金を増やさなくとも良い政府紙幣を発行し、その紙幣造幣益を使って、減税や公共投資を行えば良いと提案しているのである。(中略)

14日のシンポジウムの様子が30日の日経に掲載されていた。しかし議論は錯綜しており、日本のエコノミストはほとんどスティグリッツ教授の言っていることを理解していない。せっかくフィッシャー理論を持出して、資産デフレの悪影響に言及しているのに、これに対する反応が全くない。日本のエコノミストはあいかわらず「規制緩和」「生産性の向上」「金融政策の浸透」と言った、実現性がないだけでなく、効果もはっきりしない(効果の測定さえ困難)な政策を訴えている。教授が指摘しているように、まず必要な政策は大胆な需要政策である。これによって経済が活性化し、うまく資産デフレが止められるかがポイントである。

5月4日のサンデープロジェクトは、日本のデフレがメインテーマであった。それにしても経済学者・エコノミストそして政治家達の意見は実に悲惨であった。それにしても「徹底した規制緩和」「予算の組替えで経済が回復する」「銀行の経営者をくびにしろ」はいい加減に止めてもらいたい。何もアイディアがないのなら、テレビ出演を断わるべきだ。特に「銀行の経営者をくびにしろ」は出来の悪い若手の銀行員がよく言っていることである。彼等は上がくびになれば、自分達の出世が早くなると考えているだけである。



(私のコメント)
日本経済が長い間低迷しているのは、日本のエコノミストが馬鹿であり、ノーベル賞学者のスティグリッツの話している事が理解できていない事だ。ミクロ経済とマクロ経済の違いも理解できないのに、「もっと規制緩和をしろ」とか「銀行の経営者をクビにしろ」としかいえないエコノミストの差が、日本とアメリカとの経済政策の差に現れている。

政府発行紙幣などという発想はスティグリッツクラスの頭脳の持ち主でないと非常識に見えるようだ。為替相場の自由化は金本位制にとって代わりましたが、貿易黒字国が通貨を発行し、赤字国は国債を黒字国に買ってもらうしか手はない。アメリカは武力で威圧して中国や日本や産油国に国債を買わせて来ましたが、イラク戦争の敗北がドルの信用を失墜させているのだ。




朝日新聞社員が人殺し!

極悪!朝日新聞拡張員らを逮捕 8月26日 スポニチ

愛知県警捜査一課と千種署は26日、派遣会社社員磯谷利恵さん(31)の遺体を岐阜県内の山林に遺棄したとして、死体遺棄の疑いで無職川岸健治(40)、朝日新聞拡張員神田司(36)、無職堀慶末(32)の3容疑者を逮捕した。

 県警は3人が名古屋市千種区の路上で磯谷さんを車で連れ去った後、現金を奪って殺害したとみて、千種署に捜査本部を設置、強盗殺人容疑で追及する。

 川岸容疑者らは犯罪者仲間を募る携帯電話のサイトで知り合ったといい、素性が分からないようお互いに偽名を名乗っていた。

 調べでは、3人は25日午前4時ごろ、岐阜県瑞浪市稲津町の山林に磯谷さんの遺体を遺棄した疑い。供述から山林を捜索したところ、遺体を発見した。3人はそれぞれ容疑を認めている。

 川岸容疑者らは調べに対し、24日午後10時ごろ、千種区自由ケ丘の路上で磯谷さんを乗用車で拉致、約2時間後に愛知県愛西市の駐車場で磯谷さんを車内にあったハンマーのような鈍器で頭を殴って殺害、現金約7万円を奪ったと供述している。磯谷さんとは面識はなかったという。事前に3人で会って、見ず知らずの女性から現金を強奪する計画を立てていた。

 川岸容疑者が25日午後1時ごろ、愛知県警本部に「女性を拉致して金を奪い、殺害した。遺体を岐阜県内に埋めた」と通報。供述などに基づきほかの容疑者を割り出した。川岸容疑者は「顔を見られたので殺した。死刑が怖くて通報した」と話している。

 遺体は服を着たまま、下半身だけに土がかけられ、顔全体に粘着テープが巻かれた跡があった。遺棄現場は、中央自動車道瑞浪インターチェンジの南東約5キロの市街地から離れた山林。


朝日新聞   朝日珍聞   朝日伝聞   朝日作文 指定暴力団朝日組
  ┝━━━━━┿━━━━━┿━━━━━┿━━━━━━┥
                               /~~~' 、    /)
                             、_/ /  ̄`ヽ}  ( i )))
                             》@ i(从_从)) ,//   <ココ!
                              ||ヽ|| ゚ -゚ノ| ||//
                              || 〈iつ介'ミiつ
                             ≦ く,ノ(つつ≧

(朝日新聞も来るところまで来たようです)




『労働新聞』を読んだこともない、米国の無知で想像力不足の官僚と
政治家数人に、朝鮮民族の運命をこれ以上任せることはできないのだ


2007年8月25日 土曜日

「南北」に影落とす「米中」(2007/8/24) 鈴置高史

10月に延期された第二回南北首脳会談。韓国と北朝鮮は「我が民族同士という精神に依って開く」と自主性を高らかにうたいあげた。しかし、会談の背景には中国と米国の影が見え隠れする。

知っていた中国、知らされていなかった?米国

 8月8日、南北は「8月末に平壌で首脳会談を開く」と発表した。その後に北朝鮮が「水害被害のため1か月程度伸ばして欲しい」と要請したため、10月上旬に延期すると8月18日に発表した。

 さて、首脳会談に向け南北が水面下で話し合っていたのを米国は知っていたのだろうか。8日の発表後、米国政府は「知らされていた」とは明かしたが、歯切れの悪さから見て直前まで知らされていなかったと見る向きが多い。少なくとも大歓迎の風はなかった。盧武鉉政権も「民族の自主性」をアピールするためだろう、韓国メディアに「米国に知らせたのは発表前日」とリークした。

 一方、関係者によると、中国は少なくとも7月末には秘密交渉を知っていたフシがあったという。さらに言えば「知っていた」のではなく、中国自身が南北双方に働きかけて会談実現を後押しした、との観測もある。

 昨年秋から動き始めた米国と北朝鮮の2国の急速な関係改善劇。中国は米朝が親密になるほどに神経を尖らせていた。米朝双方が緊張を解くのは中国にとっても大いに結構なことだ。しかし次第に「米朝は単なる関係改善を超え、中国を共通の敵として結託するのではないか」と疑い始めた「北朝鮮の描くシナリオ」=2007年4月9日参照)。

「北包囲網」を「中国包囲網」に

 中国の疑惑は以下のようなものだ。

 「急速に力を増す中国を恐れ、先進国は対中包囲網を敷き始めている。北朝鮮はこれを利用し『隣国の北朝鮮をてこ入れし味方につければ、より強力な対中包囲網ができる』と米国や日本に訴えているのではないか。米国の最近の急速な対北接近は、それに応えたものではないか」――。

 さらに、中国は以下のように対応策を考えたかもしれない。

 「今の時点で南北首脳会談を実施すれば、米朝関係の急速な進展に歯止めをかけられるかもしれない。首脳会談を開催すれば当然、韓国は北朝鮮に大型の援助を行う。これにより、北朝鮮は六か国協議を含め対米交渉に余裕を持って臨むことができる。核問題など巡り譲歩する際にも、その幅を減じタイミングを遅らせることができる。となれば、米国も北朝鮮に大胆には近づきにくくなる。つまり、中国にとって「行き過ぎた」米朝接近を食い止めることができるはずだ」――。

 韓国の盧武鉉政権はもともと首脳会談に乗り気だった。今年末の大統領選挙で保守派に政権をとり返されれば、失政続きと厳しい批判を受ける現政権首脳らは糾弾の対象となる可能性が極めて高い。最悪の場合、逮捕も覚悟する必要がある。それを避けるには、首脳会談を開催し「平和体制への転換」、「南北経済共同体」など緊張緩和の夢を国民に抱かせ、左派政権を維持するというのが数少ない策だ。

 北朝鮮は南ほど積極的になる必要はなかった。首脳会談を開かなくとも盧武鉉政権は「六か国協議の合意」を名目に北に援助を再開し始めていた。首脳会談に伴う援助ほど大型ではないにしろ、とにかく援助パイプが再開されたのだから、北は貴重な「首脳会談カード」は温存しておく手もあった。中国が会談を後押ししたとするなら、南ではなく北の背を強く押したに違いない。

 もちろん、南北会談に乗り出す韓国に対して米国が「北の核開発阻止の障害になる」と大型援助を牽制するだろうとは予想できた(実際、首脳会談発表直後に米国は牽制した)。だが、米国が南北会談を牽制するほどに韓国は反米の度を増す。

 それに米国自身も北朝鮮との関係改善を表明しており、以前と比べ対北支援に反対しにくい。これらを考えれば、米国も韓国の対北支援を結局は追認せざるをえない、と予測できた。

 中国が南北首脳会談を演出したか、証拠はない。ただ、中国が「米朝野合を食い止める」ことを目標に設定した際、首脳会談は手段の一つだ。逆に、首脳会談の受益者が中国であることも確かだ。

「韓国の反米」の原点、南北会談

 前回、2000年の第一回南北首脳会談を記録した本がある。韓国紙、中央日報の二人の記者、崔源起氏と鄭昌鉉氏が書いた「南北頂上会談600日」(2000年)だ。南北の交渉経過だけではなく韓国人の心情も率直に語っている。

 2002年に出版された日本語版(「朝鮮半島の一番長い日」東洋経済新報社)においてそれは著しい。日本語版は、北朝鮮に対しクリントン政権と比べはるかに厳しい姿勢で臨んだブッシュ政権が2001年に登場した後の状況を盛り込んでいるからだ。2人の記者はこう書いた。

 「韓国の30歳代と40歳代の人々は、米国主導の朝鮮半島秩序に嫌気を感じている」(日本語版への序文、一部略)、「『労働新聞』をただの一度さえも読んだこともない、米国の無知で想像力不足の官僚と政治家数人に、朝鮮民族の運命をこれ以上任せることはできないのだ」(同)。

 彼らはブッシュ政権こそが、せっかく実現しかけた南北和解を妨害したと考え批判する。前回の首脳会談は韓国人に「金正日も普通の人間だ」という思いを持たせ、北朝鮮への警戒感を失わせ、韓国が対北援助に乗り出すきっかけとなった。同時に、この本が主張したように反米感情を韓国人の心に定着させた。

 韓国の反米は2002年の在韓米兵の交通事故で韓国の女学生2人が死んだことで盛り上がり、世界にも知られるようになった。が、根には前回の南北会談以降「民族の和解を米国が邪魔する」との認識が韓国で広がっていたことがあった。

 こうした経緯がある以上、米国は首脳会談や韓国の対北援助を大きな声で叱りにくくなった。ことに韓国の中国接近がより明確になった今、それは単に反米感情を掻き立てるだけではなく、韓国をますます中国の側に寄せてしまう懸念もある(「異なる道を歩き始めた日韓」=2005年11月7日参照)。

「北の租借」と米海軍

 では、なぜブッシュ政権は突然に北朝鮮悪漢論から融和政策に転じたのだろうか。通説は「中東で足をとられ、朝鮮半島に軍事力と外交的勢力を割く余裕がなくなったため」だ。だが、それだけだったら米朝国交正常化まで唱える必要性は薄い。交渉を形式的に続け、問題を先送りしておけば済む話だ。

 中国が疑っているように、対中包囲網の一環として北朝鮮を懐柔しようとの発想も米国の変化を加速していると考えた方が自然かもしれない。

 中国の経済面での北朝鮮支配が急速に進んでいる。花房征夫・東北アジア資料センター代表は論文「中国の植民地と化した北朝鮮」(雑誌「現代コリア2006年7・8月合併号」に所収)で、北の日本海側の羅津港と、中国から同港までの幹線道路の50年間の使用権を中国企業が確保した、と指摘した。2005年末から始まった、鉱山開発や重工業の近代化など総額20億ドルにのぼる大型の経済支援の一環だ。

 花房氏は「中国は、悲願だった日本海に出て行ける港を確保した」と言う。同港を軍港として中国が使うかはまだ明らかになっていないが、日本海は米海軍と海上自衛隊が艦船を安心して浮かべておける「バスタブ」ではなくなるだろう。最近、米海軍が日本の太平洋側の室蘭港に空母の寄港を持ちかけていることを、中国の「羅津港租借」と関係づけて考える専門家もいる。

 米国にすれば北朝鮮懐柔は抽象的な「対中包囲網」政策の一環というよりも、具体的な「中国の軍事的展開への備え」にすでになっているのかもしれない。

「金正日後」を考える周辺国

 台湾問題が基本的には米中対立の構図にあるのに対し、北朝鮮問題は米中協調のテーマと考えられてきた。北の核廃棄という目標は米中に共通しているし、実現にも両国の協力が不可欠だからだ。ただ、「軍事的に台頭する中国」という新条件を東アジア世界に入力すると、朝鮮半島を「米中協調の場」という視覚で見るのはもう古めかしいのかもしれない。

 そして、もうひとつ考慮すべき条件が出てきた。金正日総書記の健康問題だ。今年5月、金正日総書記は平壌でドイツの医師団により心臓病の手術を受けた模様だ。手術は一応成功したとされるが、すでに65歳。「金正日後」を周辺各国は考え始めている。

 では、米中はそれぞれどう動くのだろうか。

 中国は米国に比べ「金正日後」に余裕を持って行動できる、という専門家が多い。後継者が誰になっても、例えば長男の金正男氏になろうと、妹の夫である張成沢・朝鮮労働党中央委員会第一副部長になろうと、あるいは軍部に実権が移ろうと、いずれとも中国は深いパイプを築きあげてきた。

 一方、米国。金正日総書記とはクリントン政権末期にオルブライト国務長官(当時)が訪朝して会見するなどある程度の関係は築いたが、それ以外の人脈はないに等しい。

 金正日総書記の健康が今後、悪化すると判断すれば、そして今、金正日政権とある程度の腹を割った話し合いができるとなれば、米国は同政権との関係改善に本気になるかもしれない。

 一方、「時を待てる」中国は現政権との関係修復にはそれほどに熱心になる必要はない。あるいは、北の政権を交代させてしまった方が早い、と考えるかもしれない。数年前まで中国の専門家は日本の専門家に「金正日政権は改革開放に誘導できる。日本は忍耐心を持て」と説教するのが普通だった。今や、そんな人はいない。金正日総書記への信頼を中国はすっかり失ったかに見える。

 朝鮮半島の構図は静かに変化しているのだ。



(私のコメント)
朝鮮半島情勢における米中朝の駆け引きは複雑怪奇であり、米朝の接近を「株式日記」でも書いてきましたが、中国もこの流れをただ見ていたわけではないようだ。南北のトップ会談は中国の米朝接近に対する妨害工作であり、中韓が米朝接近を牽制している。日本とロシアはカヤの外ですが、日本は外交をアメリカに丸投げしているから仕方がない。

北朝鮮が独立国であるうちは中国は日本海に港を持つことが出来ずミサイルも打ち込みにくい。つまり日米にとっては北朝鮮が独立国であったほうが防衛上は都合がいい。しかし放置していれば中国は北朝鮮を実質的に併合して日本海に港を持つだろう。それに対してアメリカは融和策で北朝鮮に歩み寄っている。

アメリカの軍艦が日本海で安心して航行できる為には、北朝鮮に融和策で平和条約まで結んで中国が手出しできないようにする必要がある。金正日もそこまで読んでいるのだろう。

アメリカはヨーロッパのポーランドやチェコにMDの基地を建設しようとしていますが、反対側の日本や日本海にもMDシステムを備えたイージス艦を配備しようとしている。中国東北部のミサイル基地からアメリカ本土の西海岸を狙うコースにもなり、発射直後に打ち落とすには日本海にイージス艦を浮かべておく必要がある。

しかし北朝鮮に中国の軍事基地が出来てミサイルや潜水艦の出撃基地が出来たら厄介な事になる。あるいは朝鮮半島が統一して中国寄りの国家になっても同じ事だ。アメリカ海軍は北海道の室蘭などを寄港地として備えているが、日本海が米中対決の場になる事を避けるには北朝鮮を取り込む必要がある。

このような状況を利用して金正日はアメリカに対して「韓国以上の同盟国になる用意がある」とリップサービスに国務省のライスとヒルが乗ってきた。中国やロシアを両天秤にかけてきた金正日ならアメリカをたらしこむ事など朝飯前だ。それに対して中国も韓国を動かして楔を打ち込んできた。北朝鮮は水害を口実に会談を10月に引き延ばしましたが、米中を天秤にかけているのだ。

中国とすれば金正日がアメリカに歩み寄れば彼を始末してしまうかも知れない。北朝鮮から金正日がいなくなればアメリカは交渉窓口がなくなり、中国は傀儡政権を北朝鮮に築くだろう。だからアメリカは焦っているのだ。

アメリカはイラクで泥沼に嵌っている間に、中国は着々と朝鮮半島や台湾に対して手を打ち始めている。中国が朝鮮半島と台湾を手に入れれば日本は王手をかけられたようなものでピンチになる。アメリカ外交が頼りにならない以上は日本が積極的な手を打つ必要がありますが、日本にはそのような外交戦略がない。何度も言うように日本は外交をアメリカに丸投げしている。

そのような無責任な日本に対してアメリカは最近は突き放した態度でいますが、いいかげんに日本は目を覚ますべきであり、スパイ防止法も作って情報部などを整備する必要がある。そうしなければ長期的に見てアメリカ軍が西太平洋から引いた後を中国が進出して日本は中国海軍に取り囲まれる事態になるだろう。

アメリカが現在のような強大な軍事力を維持できれば問題はないが、アメリカ経済は足元から火がつき始めており、軍縮を迫られるのは必然的であり、アメリカ軍がアメリカ本土にほとんど引き上げる事態も想定すべきなのだ。しかし日本政府や官僚たちはそんな事態を想定していない。

私はアメリカのCIAなどの能力を信用していない。CIAはどうやら英語の出来る中国人や韓国人や日本人から情報を仕入れて分析しているようだ。イラクなども分析を間違えたのは英語の出来るイラク人からしか情報を集めていなかったからだ。現代はインターネットの時代であり各国語の情報があふれていますが、CIAは北朝鮮や韓国の国情が掴めていない様だ。日本の国情もつかめていない。

あるいはブッシュやライスが無能であり、イラク戦争の失敗を認めようとしないためにCIAの情報も受け入れないのかもしれない。同じ失敗を東アジアでも犯しているとしか思えないのですが、中国に対する戦略的分析も点々バラバラであり中国を戦略的パートナーとするのか、新たなる冷戦の相手国なのか米国内でも意見が分かれている。このような国と同盟を組んできる日本も振り回されるだけであり、一貫した戦略を持たないアメリカは信用が出来ない。

アメリカ国内にも様々な勢力がしのぎを削り、選挙のたびに大統領や議員が変わるから一貫性が保てないのだろう。日本も民主党政権が出来れば対米関係や対中関係も変わるかもしれません。民主化された国ほど外交的なブレも大きくなるから、よけいに情報部を拡充して関係国の世論の動向も探るのが大きな役割となる。


一人浮いている朝日新聞

読売新聞 日印首脳会談―重層的な「新次元」の関係を築け
産経新聞 日印首脳会談―戦略的協力さらに育てよ
毎日新聞 日印関係―戦略的協調への第一歩に
日経新聞 多角的アジア外交へ日印関係広げよ

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朝日新聞 首相の訪印―価値観外交のすれ違い

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自由と繁栄の弧を守るヘリ空母「ひゅうが」が進水式。新型ヘリの
「オスプレイ」は小型ヘリ空母の実用性を飛躍的に高めるだろう。


2007年8月24日 金曜日

“ヘリ空母”進水 海自の新護衛艦 8月24日 東京新聞

水上戦闘艦で初めて空母と同じ全通甲板を採用した海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」の進水式が二十三日、横浜市のアイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッド横浜工場で行われた。

 基準排水量は、海自の所有艦船で最大の一三、五〇〇トン。全長百九十七メートルの飛行甲板を持ち、英国やイタリアが保有する軽空母とほぼ同じ規模。世界的な基準からみると“ヘリ空母”とも呼べる護衛艦で、周辺諸国などからも注目を集めそうだ。

 ひゅうがは、老朽化した「はるな」型のヘリ搭載護衛艦の後継として二隻建造するうちの一番艦。進水に続いて兵器や通信機器などの装備を施す工事を行い、二〇〇九年三月に就役予定。建造費は約一千億円。

 哨戒ヘリなど四機が同時に発着艦できるほか、二基のエレベーターを備え、最大で十一機のヘリを搭載することが可能。甲板下の格納庫ではローターを広げたまま本格的な整備も行える。ミサイルの垂直発射装置を備えているが、護衛艦として初めて艦砲が消えた。



未来的ヘリコプター「オスプレイ」装備の海兵隊、訓練終了 2007年3月4日 Garbagenews

【Air Force Times】が報じたところによると、ティルトローター型で一般にはオスプレイ(Osprey)と呼ばれるヘリコプターMV-22(海兵隊向け仕様)を装備する、ノースカロライナ州の第8海兵隊の基本訓練が終了した。今後彼らの活躍する場では、目を引くスタイルを持つオスプレイから海兵隊の猛者たちが登場することになる。

オスプレイは「垂直離着陸ができるヘリコプター」「速度が速く航続距離が長い通常の飛行機」の両方の利点を併せ持つような機体を、との要望から開発されたヘリコプター。胴体部分や電子機器をボーイング社が、他の部分をヘリコプターで有名なベル社が担当している。

オスプレイは主翼の両端に大型のローター(プロペラを回す部分)を装備したエンジンを装備し、このエンジンの角度を変えることで、ヘリコプターのように垂直離着陸もできるし、飛行機のように飛ぶことができる。また、ローターを斜め前に傾ければ、短距離離着陸も可能とされている。固定翼をも併せ持つため最大速度は300キロノットと通常のヘリコプターの1.5倍程度の速さを持ち、航続距離も3500キロを超える。また、空母などでも容易に利用できるよう、ローターと主翼は折りたたむこともできる。

「両者のよいところを併せ持つのだから万能では」という意見もあるが、その複雑な構造から仕様上のミスや操縦ミスなどで事故が相次ぎ、開発は遅れに遅れ1982年の計画開始から2005年10月にようやく量産第一号機が空軍に引き渡され、2009年までに実戦配備が行われる予定。

訓練に参加した、ある小隊の小隊長Dan Young中尉は「まったく見事な着陸だ」と評価した上で「実はオスプレイへの搭乗をためらった気持ちもあった、色々と噂を聞いていたからだと」と心のうちを明かしてくれた。なにしろオスプレイにはいくつもの墜落事故が発生しており、少なからぬ犠牲者も出ていたからだ。しかし「今世紀に入ってからは」大きな事故もなく、今回の部隊単位での訓練終了に無事こぎつけたことになる。

オスプレイを装備した同海兵隊今後実戦配備のための訓練に移行する。今年の夏か秋にはその訓練も終えて実戦配備につくだろう、ただしどこへ展開するのかはいまだ語られていないという。

現代戦のシミュレーションゲームや近未来の戦争映画やスパイモノには、その姿がSFチックなことから必ずといってよいほど登場したオスプレイ。実際の諜報戦や実戦で活躍するような場面は起きて欲しくないものだが、災害救助などの事態にも大いに活躍するに違いない。特に海兵隊の場合、そのようなシチュエーションも多いだろう。その点でもむしろ平和利用の面でその力を発揮してほしいものだ。



(私のコメント)
海上自衛隊の護衛艦の「ひゅうが」の進水式がありましたが、ようやく海上自衛隊もヘリ空母を持つことが出来るようになりました。島国である日本にとって海上交通路を守る事は必要不可欠なことですが、今まではアメリカ海軍に任せっぱなしで手も足も出せなかった。従来の護衛艦ではとても海上の護衛活動など出来るはずもなく、海洋上でも航空機の活用が不可欠でした。

護衛艦にもヘリは搭載されていましたが、最新型のヘリでも航続距離は2000キロで最高速度も260キロほどしかない。ところが「オスプレイ」は航続距離が3500キロで最高速度も555キロもあり倍以上の性能になっており、通常のプロペラ機と変わりのない性能になっている。巡航時にはプロペラを水平に向けて航行するからだ。

おそらく「ひゅうが」は「オスプレイ」を搭載する事を念頭に設計されたのだろう。ヘリ空母に従来の対潜ヘリを載せても艦の周囲を哨戒できるだけだ。ところがオスプレイなら速度も航続距離も倍だから作戦範囲は格段に広くなる。P3Cが届かない遠方で作戦活動するには11機ぐらい搭載できて十分な整備の出来るヘリ空母が必要だった。

もちろんオスプレイは開発費用も年数もかけて開発されたものであり、かなり高価になるらしい。しかも複雑なメカニックだから操縦も難しくてパイロットの養成も難しいだろう。アメリカ軍もすでに多くの事故死者を出している。しかし従来のヘリではイラクなどでも打ち落とされており、高空を速いスピードで飛べて戦闘機のように自在に飛べるヘリコプターでないと、携帯型対空ミサイルで打ち落とされてしまう。

積載量も10トン位あり軍用車両も楽に運べる。ミサイルや兵器を積めば戦闘機としても使えるし、空中給油機としても用途が考えられており、ヘリコプターでは不可能だった用途や、従来の戦闘機では離着陸できなかったところへも着陸できるから用途は無限にある。もちろん災害時の救済活動にもスピードと行動半径の広さが生かせるだろう。

アメリカ軍のトランスフォーメーション戦略においてはV−22オスプレイの採用が大きな要因ですが、アメリカ本土から空中給油をしながら地球上の何処へでも即座に駆けつけることが出来る。しかも従来の軍用機のように滑走路も要らない。だから米軍基地を前方展開する必要もない。航続距離も長いから大陸奥地まで進入することもできる。

出来るのならば日本も本格的な空母が望まれますが、費用や法制度上からも当分は難しい。しかし小型ヘリ空母でもオスプレイのような新型ヘリを採用すればかなりこことが出来るようになる。中国やロシアもこの新兵器にはかなり関心があるようで、普天間基地の問題もオスプレイが絡んでいる。オスプレイなら沖縄から重慶まで楽に飛べるからだ。

ヘリ空母もオスプレイも本格的な戦闘には向かないが、対ゲリラ戦や通常の治安活動には有効であり実用的価値は高い。しかも用途は輸送から戦闘分野まで何でもこなせる。原子力空母はあまりにも巨大になりすぎて費用などにおいてアメリカでももてあますかもしれないが、ヘリ空母なら費用も安く小回りも効いて多用途に使えるからこれからが楽しみだ。

◆V−22 オスプレイのユーチューブの動画をご覧ください。その可能性の高さが認識できるでしょう。

V-22 Osprey 2分33秒

V-22 Osprey (Part1) 6分5秒

V-22 Osprey (Part2) 6分50秒




アメリカが早ければ10月にも北朝鮮のテロ支援国家指定解除?
北朝鮮と拉致問題も棚上げして国交正常化で核武装も容認する?


2007年8月23日 木曜日

南北首脳会談延期で…衝撃のシナリオを青山がズバリ 8月23日 ぼやきくっくり

(要約)
青山繁晴
「はい。僕はさっきのフリップで『裏切り』と書いたんですけど、それは実は外交上のショックだということなんですね。で、皆さん、この番組で何度も言いましたが、あの参議院選挙で私たちは外交・安保を争点にしなかった、ないしはできなかった。その外交の分野で大きな裏切りが起きようとしててですね。で、今、VTRの中に『アメリカの国防総省から情報が』という表現があったんですけど、今回は本当は、情報というよりは警告です。というのは実は、国防総省の人は、一番最初の人は、3日前に僕に連絡をしてきたんですが、その後複数の方から似たような連絡がありました。それぞれ共通してるのは数少ない知日派、日本が好きな人、そういう人はブッシュ政権の中からどんどんいなくなったんですが、数少ないその人たちが共通して、その、情報提供というよりは、もう一度言いますが、警告として、『こんなことが青山さん、日本に起きようとしてるよ、これは日本は備えなきゃいけないんじゃないか』ということを言われたんです。それはズバリこれです」(パネル表示される)

村西利恵(進行役)
「国防総省の高官が青山さんに行った警告。『アメリカ国務省が早ければ10月にも、北朝鮮のテロ支援国家指定の解除を大統領に具申する』。これ、意見を伺うということですよね?」

青山繁晴
「はい。あの、すごく簡単に言うと、今、アメリカは北朝鮮をテロを行っている国家だと指定してますね。このテロの中には、私たちの国民を誘拐してる拉致もそのまま含まれてるわけですね。で、拉致問題が解決していないのは皆さんご承知の通りなんですが、それを早ければ10月にも解除の具体的な手続きに入ってしまうということなんです。この文章(パネル)は正確に書いてあるんですけど、念のためもう一度言いますとね、この高官というのは実は複数です。で、その方々が言ったことを総合すると、一番早くて10月、遅くとも年内には、この国務省からですね、国防総省じゃなくて、アメリカの同じ役所ですが違う役所の国務省から、北朝鮮をテロ国家だと言わずに良い国だと、はっきり言うと、いうふうに変えて下さいと大統領に最終的に意見が出されますよ、と。で、決めるのはあくまで大統領なんですけどもね、あくまでも国務省から言うだけですけども、もしブッシュ大統領がそれを決めてしまったら、じゃあ何が起きるかというと、ズバリこれです」(パネルの伏せられていた箇所表示される)

村西利恵
『拉致の棚上げ、核兵器の容認』

青山繁晴
「はい。これは皆さん、この、たとえば10月、遅くとも年内に全部拉致問題が解決するとは、そんな見通しは全くありませんよね。まだ100人以上の方が誘拐されてるらしいのに、帰ってきた方はただの5人ですから。だから実はもう、日本国民は誘拐されたままでいいんだということになってしまうと、言わざるをえませんね。それからもう一つ、まさしく去年の10月、1年前に核実験をやりましたが、その時に作ったであろう長崎型の小さな核兵器、それはもう認めてしまおうと。今のまんまの北朝鮮をそのまま認めるということがまもなく行われようとしてる。で、これあの、国防総省の人々が言ってきたというのは意味があってですね、国防総省は日本に理解がある。それは国防総省がえらいからとか正しいからとかではありません。そんな生やさしい話じゃなくて、要は国防総省が正しいからじゃなくて、米軍基地を抱えてるから日本に。お世話になってるから国防総省は比較的日本の味方で、国務省つまりアメリカの外務省は、日本に何のお世話にもなってないから。日本に恩義なんか感じてないから、意見の違いがあって」

村西利恵
「微妙に立場が違うんですね」

青山繁晴
「そうです。で、国防総省は『ほっとくと国務省がそこまでやってしまうから、日本は何か手を打たなきゃだめだよ。国内のことだけで目を奪われてると、こうやってやられてしまうよ』ということを警告してるわけですね」

山本浩之
「でも青山さん、このコーナーでも教えていただきましたが、北朝鮮をテロ支援国家、この指定を解除すると、とんでもないことになってしまうんじゃないですか?」

青山繁晴
「とんでもないことになります。まず北朝鮮にとって、テロ支援国家の指定から外されるということは、今のままの北朝鮮がアメリカと国交正常化できるということですから。貿易も再開するし、日本に核兵器やミサイルを向けたままの北朝鮮が、そのまま許されるということになりますから。はっきり言うと、アメリカの友だちは日本よりも北朝鮮になるのかというようにもね、思える事態になるわけです。で、今の話からしてもね、じゃあなぜアメリカはそんなことしなきゃいけないのか?ってことに当然来ますね。それを出して下さい」(パネル表示される)

村西利恵
「アメリカが急ぐ理由、2つあるということなんですが。1つは『テロ支援国家が1つ減ることになる』」

青山繁晴
「はい。これはね、今回国防総省の方々が、知日派といえども警告してくれてるんだけど、やっぱり僕は怒りを感じるから、『国防総省、国務省の違いはともかくとして、とにかくアメリカ政府が日本を裏切ろうとしていると。それを日本国民が受け入れるはずがないじゃないですか』と言ったら、国防総省の日本をよく知ってる人は、『言ってることはわかるけれど、アメリカ国民の立場から見たら、日本国民が誘拐されてることを知ってるアメリカ国民なんか実はほとんどいないから。要は“アジアからテロ国家を一つ減らしたんだ”というわかりやすい話になるんだ』と。すでにリビア、カダフィ大佐のリビアというテロ支援国家を外して、中東から1個減らした。今度はアジアからも減らした。ブッシュ政権は任期切れがだんだん近づいてくる中で、8年間も大統領やってきたのに外交成果がほとんどなくて、イラク戦争の泥沼だけがある。その中でアジアでテロ国家が1個減ったんだと、わかりやすい説明ができる、ということが一つ。それから実はもう一つあるんです。出して下さい」(パネルの伏せられていた箇所表示される)

青山繁晴
ウランの権益。これ難しい話に見えて、難しくないです。まずね、いきなり話が飛ぶようですけど、今、地球温暖化ってことが大きな問題になってますね。要はエネルギー燃やす時の二酸化炭素を減らしましょうと。その中で原子力発電所は二酸化炭素少ないから、世界中で原子力発電所の見直しが始まってて、で、日本は柏崎苅谷原発がね、地震の影響があるからまたあまり盛り上がってないけども、世界では原発を増やすという話になってますね。アメリカも何十年ぶりかで新しい原発を作ろうとなってる。で、原子力発電所をやる時に必ず必要なのがこのウランなんですが、北朝鮮は前は石ころと泥しかない国だと言われてて、油はないんだけど、実はこのウランは推定400万トンぐらいありそうなんです

青山繁晴
「400万トンという数字わかりにくいでしょうが、北朝鮮を別にした他の国々、たとえば世界で一番多いと言われてきたオーストラリアとか、少しあるけれどもアメリカとか、要するに北朝鮮以外の全部の国のウランの埋蔵量を合わせると、400万トンなんです」

青山繁晴
「ということは、北朝鮮がちゃんとウランを生産し出したら、世界の半分は北朝鮮にあるってことになるわけです。すでに中国やロシアはこのウランを取ろうという動きを始めていて、それをアメリカは中国、ロシアに奪われたくない。で、アメリカの金融資本の中にはすでに、北朝鮮でウランの権益を取らなきゃいけないと、ブッシュ政権にプレッシャーをかけてる所が実はあります。今日は名前は出せないけど、僕はその関係者に確認もしました。だから本当はあの金融制裁の解除も実はこういう大きなバックがあり、テロ支援国家から外してしまえ、もう日本国民の誘拐なかなか解決しない、それはほっとけっていうのも、こういうことが裏にあるからなんですね。これがさっきのヤマヒロさんの話にもあった通りね、どういう結果になるかということ、もう一度言うと、これですね」(パネル表示される)

青山繁晴
(テロ支援国家指定が)解除されると、日米同盟が最大の危機に陥らざるをえないです。それは僕はこのコーナーの最初に言いました通りね、この国は62年前にアメリカに戦争に負けて、その後アメリカから民主主義を取り入れて、日米同盟を結んで62年間やってきたわけですね。それを日本国民を誘拐したままの北朝鮮とそういうことをやるってことは、実はとうとうアメリカが日本を裏切るってことですから。今までのこの国の敗戦後のあり方を根本から問い直される危機であると同時に、問い直されるってことになります。そしてね、もう一つ皆さん考えていただきたいことがあって、さっき早ければ10月にもと。何で10月なんだろう。ね。10月、これ言われてぱっと頭に浮かぶ人は少ないと思います。10月、実はこれが予定されています」(パネル表示される)(後略)


(私のコメント)
8月20日の株式日記で『アメリカは突如として敵対していた勢力と手を組んで、今まで同盟していた勢力を陥れてきた実績がある。だから北朝鮮問題も注意しないと日本はアメリカに裏切られるかもしれない。』と書きましたが、北朝鮮に対してもテロ支援国家として共闘してきたのに、北朝鮮をテロ支援国家の指定を解除して国交回復までするようだ。拉致問題は核武装問題は棚上げされたままになる可能性がある。

アメリカと北朝鮮との間でどのような秘密交渉があったのかわかりませんが、今年に入ってからのアメリカの対北朝鮮外交は融和ムードに向かっている。北朝鮮の金正日は中国とロシアとを天秤にかけて渡り歩いてきたから、アメリカの弱みにつけこんで懐柔するくらいは朝飯前なのだろう。

アメリカはイラク戦争で泥沼に嵌って外交的にも孤立してしまった。このままではイラク戦争をしたバカな大統領という実績しか残らないから、北朝鮮との国交を回復したという実績を残したいのだろう。クリントン政権の末期にも同じような動きがあり、クリントン大統領の訪朝が検討された。クリントン大統領も外交的には何の実績も残さなかったからだ。

日本にしても同じようなもので、外交的に実績を上げられないと北朝鮮に歩み寄って点数を上げようとする。韓国のノムヒョン大統領も南北会談も同じような動機だ。つまりブッシュ大統領とノムヒョン大統領の外交的手腕は同じ程度のお粗末さなのだ。ライス国務長官がしっかりしていないからですが、これでライスの大統領選への見込みは絶たれたようだ。

北朝鮮にはウランの埋蔵量が世界の半分ぐらいあるという話も眉唾物ですが、それならイラクなどに攻め込むよりも北朝鮮を軍事占領してウラン鉱石を独占した方が、アメリカのエネルギー問題からはプラスのはずだ。中国だって原子力発電所の建設ラッシュでウラン鉱石は喉から手が出るほど欲しいはずですが、中国が北朝鮮のウラン鉱石に手を出したと言う話は聞いていない。

確かに中国や北朝鮮はレアメタルなどを産出するからウラン鉱石もあるだろう。もし本当に400万トンもあるのなら中国が先に手を出しているはずだ。日本にとってもレメタルは喉から手が出るほど欲しい資源であり、それならば北朝鮮は鉱山開発をすれば外貨が楽に稼げるはずだ。北朝鮮に関しては日本だって詳しいはずだがウラン鉱石がそんなにあるという話は聞いたことが無い。


赤色支那が併呑しようとする、北朝鮮の鉱山  「月刊日本」2007年3月号掲載

1.約束された土地 北朝鮮

 北朝鮮には、タングステンに代表される希少金属(レアメタル)資源が豊富に埋蔵している。むろん、白金を産出しないなど、全ての鉱石を産出する分けではないが、朝鮮半島は世界の「鉱物標本室」と呼ばれているように、有用鉱物は200種を越える。代表的な鉱石に、ウラン、タングステン、マグネサイト、磁鉄鉱、石灰石、黒鉛などがある。それらは朝鮮半島における大規模な地殻変動に由来している。

 萩原遼によれば、「経済大国をめざす中国は鉄や石炭などの資源がのどから手が出るほどほしい」(『正論』2006年12月号)故に、茂山鉄山の50年間独占開発権を9億ドルで獲得した、恵山銅山の経営権を2,400万ドルで握った、龍登炭鉱から年100万トンの無煙炭生産をすることで合意した、羅津港の二つの埠頭の50年間独占使用権を得た、平壌第一百貨店も5,000万元で10年間の営業権を買い取った、などと列挙し、これらの進出は表向き企業を立てているが、実際は赤色支那政府だと断じている。

 赤色支那がレアメタルの輸出国から輸入国へ転換する、のは時間の問題となった。それは原油輸出国から輸入国への転換に匹敵する影響を国際経済へ与えるであろう。赤色支那がレアメタルの輸入国へ転じれば、モノによっては日本も原料の入手難に陥る恐れが生じてきた。現時点での赤色支那が輸入に頼っているレアメタルは、パラジウム、ジルコニウム、コバルト、ハフニウム、マンガン、ニオブ、ニッケル、ルビジウム、チタンなどである。これらのレアメタルの中で、北朝鮮に求められない鉱物資源もあるが、豊富な資源もある。ジルコニウム、コバルト、マンガン、ニッケル、チタンなどは北朝鮮に有望な鉱山が存在している。

 萩原遼はKOTRA(大韓貿易投資振興公社)の資料に基づいて、北朝鮮の地下資源の潜在価値は2,288兆ウオン(約183兆円)もあるから、赤色支那は電気を引いて本格的な掘削態勢を整えている、と断じている。(「中国の属国化する北朝鮮」『正論』2月号、77頁)

2.埋蔵量が世界の半ばに達すると推測されているウラン資源

 ウランの価格が10倍に達する急激な値上がりを示した、という情報が『産経新聞』紙などで昨年末に流れた。ウランの価格は1ポンド(約0.45Kg)当たり、2000年末には7ドルであった。それが2002年に10ドル、2006年6月に44ドル、12月中旬に72ドルと、この6年間で10倍に達した。2007年には75ドル、2008年に80ドルへ上昇が見込まれている、と言うのである。

 ウラン価格の上昇を受けて、日本政府は原子力発電に用いるウラン燃料の安定的確保を計るため産出国の探鉱開発の支援を決めている。(『産経新聞』2006/8/25)小泉純一郎首相のカザフスタン訪問は、同国のウラン探鉱への支援を視野に入れたものであった。此の時点で、世界の確認埋蔵量は474万トン、オーストラリアが114万トン、二位がカザフスタンで81万トン、そして三位がカナダの44万トン、米国は4位で34万トンであった。

 現在、北朝鮮のウラン埋蔵量は400万トン(韓国統一院)という説もあるが、この根拠は不明である。日本原子力産業会議では埋蔵量2,600万トン、採掘可能量400万トンという数字を出しており、数字上では韓国統一院と同じである。これは昨年の世界での確認埋蔵量に匹敵する数字である。この豊富な埋蔵量に、電力を原発に求めようとしている赤色支那が、北朝鮮のウラン資源に無関心でおられないだろう。(後略)



(私のコメント)
このような話が本当ならば北朝鮮は宝の山ですが、韓国の情報でもあり政治的な宣伝に過ぎない。アメリカにとっては北朝鮮などはあってもなくてもどうでもいい国であり、だからこそ北朝鮮とは休戦状態のまま放置されてきた国であり、冷戦崩壊と共に朝鮮半島の戦略的価値は下がったままだ。

そのような北朝鮮にブッシュ政権は外交的な成果だけを求めてテロ国家の指定の解除をしようとしている。少なくとも国務省の中にそのような動きがある。北朝鮮が普通の国ならそれでもいいのでしょうが、偽札や覚せい剤や偽タバコの密売などマフィアがするようなことを国家ぐるみで行なっている。レメタルやウランが大量にあるのならそんなことはしなくて済むはずです。

日本にとっては北朝鮮は隣でもあり核兵器の開発やミサイルの開発で重大な脅威を感じている。先日もテレビで北朝鮮には核弾頭が10発ぐらい持っており、その照準は日本しかないと報道していた。日本は日米安保に防衛を依存していますが、アメリカは北朝鮮に対して不可侵を文書で約束している。つまり日米安保は北朝鮮に対しては空洞化しており、そのことは株式日記でも何度も書いてきた。

それに対する日本政府の反応は鈍いものであり、国民に至ってはその事実すら知る人は少ない。日本政府や日本国民にとっては日米安保が空洞化していることは認めたくもないし日米安保を信じて疑う事をしない。しかしアメリカは核ミサイルを持ったままの北朝鮮と平和条約を結び国交を回復しようとしている。そして10発前後の核弾頭を装備したノドンミサイルが日本を照準にしているのだ。

日本は防衛のみならず外交もアメリカに依存してきた。日本の政治家は非常に臆病だから独自外交するとアメリカの御機嫌を損なうとしてしてこなかった。田中角栄シンドロームがあるのだ。だから外交をアメリカに丸投げして日本政府の存在価値は無きに等しい。だからこそ今回のような非常に重要問題も、アメリカの裏切り外交に対して何の抗議もできないままだ。




FRBは、【日銀と欧州中央銀行(ECB)に呼びかけ、米国の
金利低下分と同じ率の協調利下げを、日銀とECBに要請する】


2007年8月22日 水曜日

サブプライム・ローン問題から露呈した 8.09信用危機(2) 8月21日 吉田繁治

米国の住宅ローン問題は、欧米の資金市場で信用危機を起こし、10日間で、世界の株の暴落のため、300兆円〜500兆円が失われる事態に発展しました。今、世界の金融とファンドは、台風に合ったように混乱しています。

8.09ショックは、上昇気流ではなく、ローン証券の下降気流から、でした。株価や為替相場も、気候と同じ複雑系です。方程式にするには、多すぎる要因が絡みます。

◎重要な点は、どの要因を、だれが、どう重視するかという認識が、その都度、変わることです。そのため、線的な動きにはならない。今市場には、大別すれば、2つの認識が交錯しています。事実への解釈と、将来への希望が異なるためです。

(1)多数派:
【予想】
8.09の流動性ショックの余波は、各国中央銀行、特に米国FRBのマネー供給(=債券買い)と利下げ誘導の効果によって、早ければ9月、遅くとも10月には終わる。
【事実】
世界の金融市場には、高い利回りを求める流動性(ファンド、証券会社、金融機関、個人)が、あふれている。
【予想】
低リスク債券(国債や格付けの高い社債)を買う動きが起こり、それが世界の金利を下げるという過程を経て、自信を回復し、再び株価上昇へ向かう。

(2)少数派:
【予想】中央銀行のマネー注入は、当面の、市場心理を落ち着かせることにしかならない。2月末の上海市場の下落からの同時株安も、震源は、サブプライムローンの延滞率上昇だった。ファンドが絡んだ債券への価値不安の根は深い。
【事実】
金融市場には、高い利回りを求める流動性(ファンド、証券会社、金融機関、個人)があふれているが、リスク資産を手放す方向へ向かう。【予想】株価は長期低落傾向を示し、世界的なバブル崩壊へ向かう。

これは、どちらが、動かすマネー量で大勢を占めるかで、決まります。
  
■11.中央銀行のマネー注入策の有効性

【状況】
金融の縮小に、最も巨(おお)きな影響をもつのは、株価の下落です。世界の株の総時価は5000兆円クラスと、世界のGDPに匹敵するくらい大きい。

長期間の低金利、及びリスクプレミアムの低下を原因とする、世界の株の、過去の高騰のため、今は(わずか)10%の下落で、500兆円の含み損が発生します。

【予想】
米国の住宅ローン問題(残高$13兆:1500兆円)で言えば、住宅価格の下落は、2007年、2008年と続く可能性が高い。

【予想の理由】今回のショックによって、住宅ローン担保証券のリスク率が広く認識されています。

今年、米国の住宅ローンの審査は厳しくなった。、FRBが債券買いでマネー供給をしても、高まった回収リスク率をリスクプレミアムとして含むべきローン金利は、高くなります。

(1)再びローンマネーが低利で大量供給されて、
(2)世帯が住宅価格が上がると再認識するという2つの要素が揃わないと、高くなりすぎた米国の住宅価格は下げます。

■12.FRBのマネー供給には限界がある

日銀は、2003年にゼロ金利を敷き、30兆円分の量的緩和を実行しました。米国FRBが、こうした「超金融緩和策」を採れるかどうか?

【予測的な結論】
◎重要な結論は、「米国FRBは、日銀のような、超金融緩和策は取れない」ことです。 以下でそれを論証します。

その理由は、貿易黒字国との金利差がないと「米国が必要とする年間100兆円相当の海外からの$債券買いの超過」がなくなるからです。

▼資本輸出国の日本

日本の、世帯の個人金融資産1500兆円は、銀行預金・郵貯・簡保を50%とする現金性の資産内容です。企業が設備投資に使いきれていない余剰マネーがあった。

日銀のマネー増発策とは、証券市場での国債買いです。金融機関から長短国債を買い、代金として、日銀当座の各行の口座に現金を振り込むことです。

これによって金利を下げ、金融機関マネーを増やす。
(注)この方法は、FRBや欧州中央銀行も同じです。

◎わが国財務省の国債発行策は、「眠った預金マネーを使う」ことでした。短期金利をゼロにできたのは、海外から資金を呼びこむ必要はなかったからです。日本は「資本輸出国」です。(注)中国と産油国も同じです。

▼資本輸入国の米国

◎他方、米国は100兆円規模の、マネーの超過流入が必要な「資本輸入国」です。従って、資本輸出国より高い国債金利を、保たねばならない。例えば日本とは3%レベルの金利差が要る。

現在、世界の外貨準備は、$5.1兆と巨額です。590兆円相当で、米ドルが380兆円(64%)、ユーロ130兆円(25%:7年3月末)です。 米国の貿易赤字累積から、毎年、急激に増えています。

◎各国の輸入に必要な以上の外貨準備の巨額化は、流動化も意味します。外貨準備は、輸入の3か月分くらいでいい。今は世界貿易の9か月分はあるでしょう。

FRBのマネー注入策で米国の金利が下げれば、中国や産油国は、保有している、余剰なドル債券を売る姿勢を示します。これはドル価格の崩落を意味します。

◎資本赤字国では、利下げと資金供給を行いすぎれば、通貨が下落し、資本流入が減る(=ドル売りが増える)ことに帰結します。日本がゼロ金利にし、量的緩和を行ったとき、円売り(=ドル債券買い)が起こったのと同じ原理です。

【結論】
以上のことから、米FRBの、過剰な利下げとマネー注入は「ドルの信用不安」を呼ぶことがわかります。

◎従って住宅価格の下落をとめるのに必要な利下げと資金供給には天井があります。

米国の貿易赤字は、今は、中国と産油国に対して大きい。中国や産油国は、米政府が要請すれば為替差損を蒙ってもドルを買ってきた日本とは異なります。

従って、FRBは、ドル債は比較金利が高く、利益が出るということを守り続けねばならない。

FRBの金融緩和策によって、住宅価格の下落を止めるというには、限界があります。短期間での価格暴落を止めるという、限定された効果しかないはずです。

▼米国FRBの金融政策は協調利下げの呼びかけをするだろう

以上のことから、FRBの今後の金融政策は、【日銀と欧州中央銀行(ECB)に呼びかけ、米国の金利低下分と同じ率の協調利下げを、日銀とECBに要請する】ということでしょう。

これは、世界的な低金利策への回帰です。06年3月以降の、世界インフレ警戒からの利上げ基調が、転換することを意味します。

◎【結論】しかし、世界から、米ドル債券、米国株は売られます。
【ドル下落傾向】が続くでしょう。

$13兆(1500兆円:07年残高)の住宅ローン債権の、内容悪化の衝撃は大きい。債権内容が悪化する理由を、再度言えば、【上がりすぎた住宅価格】の下落です。2008年まで続くことはほぼ確定です。

◎8.09ショックが、恐慌的な変化になるかどうかは、今続発しているヘッジファンドの破綻が、どのレベルまで進むかにかかっています。ヘッジファンドについては、論を改めねばならない。

ハリケーンが収束するか、大気の不安定化が増し、次のハリケーン同時多発(信用恐慌)になるか、損失を蒙ったヘッジファンドの資産内容にかかっています。


広がる信用崩壊  8月21日  田中 宇

ここ数年、欧米の大手銀行の中には、関係会社を作ってローン債権の証券化(債券化)を手がけたところが多い。今回の債券市場の崩壊によって大損を被った関係会社を、母体の銀行が救済しなければならないところが出てきているが、まだ損失が表面化していないケースが多いと推測されている。今後、世界のどの銀行が大損失を発表するか分からない状態だ。金融界は、無数の小さな手榴弾を抱え、いつどこで誰の爆死するか分からない状態だと形容され、この事態は今後もしばらく続くと予測されている。銀行家が、他の銀行に金を貸したがらないのは理解できる。(関連記事

 従来、銀行は誰かに融資をしたら、それを自行で抱え、債権として財務諸表に計上していた。ところが1990年代からアメリカを中心に盛んになった「証券化」の手法によって、銀行は自行の債権を証券化(債券化)し、小分けにして投資家に売ることで、財務諸表に計上しなくてすむ方法を見つけた。債権を自行で抱えると、融資先が経営難に陥ったときに不良債権になる。融資先の企業の格付けが落ちるだけで、債権が不良化したとみなされて、銀行自体の格付けが落ちる。国際決済銀行(BIS)も、銀行が債権を抱えすぎることを禁止している。(関連記事

 世界の銀行は、債権を抱えず証券化して売却することを好むようになり、この10年間で、あらゆる債権が証券化され、債券として売られるようになった。小分けされた債券は、リスクの大きさごとに類別され、同じ等級のリスクの複数の種類の債券を混ぜて新商品の債券として売るといった複雑な商品化が行われた。無数の牛や豚の挽き肉を混ぜてハンバーグを作るようなものである。

▼「もう危機は終わったと言っている人は馬鹿」

 ハンバーグが元々どの豚の肉だったか判別するのが難しいのと同様、こうした債券は、もともとの債権債務関係を突き止めることが容易でない。だから、アメリカでサブプライムのローンが破綻したことが、どの債券に損失を与えているかを事前に特定することは難しく、実際に破綻が進行していかないと、誰が大損するか分からない。

 今、債券市場で起きていることは、それまで「挽き肉は安くてうまい」と思っていた人々が、何かの事件をきっかけに「挽き肉は何が入っている分からず危険だ」と集団心理で思うようになり、挽き肉が入っていると想像される加工食品はすべて売れなくなり、人々は最も安心確実な「国債」という肉だけを買いたがるようになったようなものだ。

 8月20日、日本の株価は前週末の急落から大きく反発して上がった。日本の個人投資家の間では、前週末に米連銀が貸出金利を下げたことで「もう大丈夫かも」という見方が広がったようだが、実際には、アメリカの事態は全く好転していない。この日アメリカでは、全く売れなくなっている社債市場を蘇生させようと連銀や財務省が非公式に金融界に働きかけた。しかし投資家は社債を忌避して安全な国債を買いたがる傾向をむしろ強め、国債の相場は上昇を続けた。(関連記事

 社債が売れない状態が続くと、企業の資金調達が難しくなり、実体経済への悪影響が広がり、株価も下がる。連銀や日銀など各国の中央銀行が動き出したことで危機が終息過程に入ったと見るのは間違いで、危機の第1幕が終わり、これからもっとひどい2幕目が始まると考えた方が良い、と8月15日付けのフィナンシャルタイムスの記事は書いている。(関連記事

 往々にしてプロパガンダ色が強い英エコノミスト誌も、8月16日付けの社説で「市場参加者の全員が売りたい状況なので、資産価値の下落がどこまで、どんな速さで続くのか、誰にも想像がつかない」「今回の危機は(証券化という)金融界の新構造に深く根ざしている(ので深刻だ)。もう危機は終わったと言っている人々は、馬鹿(fool)か、自分の利害を守るために(でたらめを)言っているだけだ」と、事態の深刻さを率直に指摘している。関連記事

今はまだ、債券市場の崩壊は社債分野のみで、米国債はむしろ社債からの逃避先として買われている。しかし、長期的に見ると、米国債は安心できる投資先ではない。従来、中国やアラブ産油国など、世界の中で外貨を貯め込んでいる諸国は、ドル建てでの貯蓄を好み、米国債を買っていた。米国債(長期債)の半分近くは外国勢が買っている。しかし、米経済の成長が減速したりインフレになったりして、資金をドル建てで置いておくメリットが減ると、米国債も売れなくなる。ドルと米国債の力が落ちることは、アメリカの覇権失墜そのものである。

 国際情勢に対する私の関心の中心は、アメリカの覇権がどうなるかということだ。アメリカの覇権衰退と多極化は、世界の構造を大きく変える。ここ3回ほど、毎回アメリカの金融危機について書き続けているが、この問題を連続して書いているのは、この金融危機が、イラク占領の失敗とならぶ、アメリカの覇権衰退の引き金になっていく可能性があるからだ。



(私のコメント)
90年代は日本のバブル崩壊が起きましたが、今度は世界的なバブル崩壊が起きようとしています。日本のバブル崩壊は住宅ローンを貸した銀行に限られましたが、今回のバブル崩壊は銀行が住宅ローンを証券化して販売した為に、どこが損失を被っているか分からない事です。そして金額もなかなか特定できない。

従来のバブル崩壊は銀行に公的資金を注入すれば何とか回復できたのですが、アメリカのバブル崩壊は債券市場にガン細胞が転移して医者も手を出せないほど悪化する危険性が出てきてしまった。いくら中央銀行が債券市場を買い支えても、どこに病巣があるのか分からないのだから、どのファンドや金融機関が破綻するまで分からないのだ。

アメリカの住宅市場の値下がりは始まったばかりであり、日本の住宅価格の値下がりは50%の値下がりでしたが、アメリカの場合は値下がり幅も値下がり期間も小さくて済むだろう。サブプライムローンの破綻はこれからが本格的になり1000万人がローンの返済が出来なくなると思われます。

銀行は住宅ローンを証券化して販売してしまったからリスクは回避できますが、買ったファンドが証券を換金できなくて破綻する事故が続出するようになってしまった。債券市場も機能不全に陥って売買が出来なくなり、日米欧の中央銀行が買い手の無い債券を買って信用不安の沈静を図っている。

問題はまだまだ始まったばかりであり、一旦は収まってもしばらくするとファンドの破綻や金融機関の破綻が表面化して再発する事だ。問題は元本の何倍ものデリバティブが絡んで証券の合成が複雑化して情報の開示が不可能な事だ。これでは政府やFRBの手のうちようもなく、その都度の対応に追われるだろう。

日本のバブルの崩壊は「だめな銀行を潰せ」という声が大きくなりましたが、今回の場合は「だめなファンドを潰せ」ということになる。そうなるとどのファンドも危機から逃げる為にはリスクのある証券を売り払わなければならない。しかしその買い手が見つからないから問題が大きくなる。

証券市場にはもともともリスクの高いジャンクボンドがありましたが、ファンドの利回りを高める為にはジャンクボンドをどうしてもファンドに含める必要がある。さらには保険もかけて何倍にもレバレッジを効かせて運用しているから、含まれているジャンクボンドがファンドの命取りになる場合がある。

一番参考になるのは1998年に破綻したLTCMの破綻ですが、FRBは奉加帳を金融機関に回して危機を回避した。しかし今回の場合はLTCMクラスの破綻が幾つも出てくることが予想される。そうなった場合に奉加帳を回すわけにいかないだろう。かといってファンドを公的資金で救済するわけにも行かない。銀行とは違って公的な役割が少ないからだ。

アメリカがイラク戦争で泥沼に浸かっている間に、足元で火がつき始めましたが、そのうちにイラクどころではなくなって、うやむやのままイラクから撤退していかなければならなくなるだろう。中東諸国や中国がアメリカの債券を売り払い始めている。そうなるとアメリカは資金調達が出来なくなり戦争も出来なくなるのだ。

現代の戦争はミサイルが飛びかうのではなくてドルやユーロや円が飛び交って戦争の勝敗が決まる。ソ連が滅んだのも経済破綻であり、アメリカもイラクで戦争しながら国内の金融破綻を回避する事は不可能に近い。ブッシュ大統領もイラク戦争で頭が一杯であり国内の事はほったらかしだ。ハリケーンカトリーヌの災害があった時点でイラク撤退を決断すべきだった。




中国の成長率が10−11%とは「真っ赤な嘘だ」とレスター・ソロー博士
  電力消費と購買力平価からみても、「せいぜい4%の成長であろう」


2007年8月21日 火曜日

中国の成長率が10−11%とは「真っ赤な嘘だ」 8月21日 「宮崎正弘の国際ニュース

その好き嫌いは別にして、レスター・ソローと言えば、世界的に著名な経済学者。マサチューセッツ工科大学(MIT)教授の傍ら、世界的ベストセラーを何冊か書いた。殆どは日本訳されている。

 ソローはこう言った。
 「アメリカ経済を今世紀末に中国が越える? あり得ない。第一にアメリカ人の平均所得は43000ドル、中国は1000ドルだ。この基礎データをベースにして計算予測しても、しかも、いくら迅速な高度成長を遂げるにしても、中国が、もし、アメリカ経済を越えるという事態は22世紀末でしか起こり得まい」(インターナショナル・ヘラルド・トリビューン、8月21日付け)。
 
 日本が高度成長を遂げていた1970年代、電力消費は年率60%伸びた。中国はどうか? 日本と同じスピードであると仮定しても、経済成長は6%という計算にしかならず、とても公式発表の10%以上にはならない。

 ソロー博士は、経済学者として統計学上の仕組みから、中国の成長の嘘をしっかりと暴く。
 「都市部の急速な発達が、中国の経済成長のほぼ7割を支えているとしても、10%成長をするには都市部が33%成長していなければ計算に合わない。
 それなのに、たとえば、広東の成長が10%と記録された年(2001)、その命脈を握る(金融と流通と株式で)、香港経済は景気後退に襲われていた」。


 前から言われているように中国の統計は作為的、恣意的、かつ出鱈目であり、いかなる統計も信用できないのである。

 「過去十年間の中国の成長率が本物であるとすれば、電力消費の伸びが、それとは異なる記録を示している」。

 かくしてソロー博士の結論はこうである。
 「中国の過去十年の成長率はせいぜいが4・5%。たぶん4%と見て良いだろう。いや、その4%成長さえ、楽天的かもしれない」。

 嘗て中国経済専門で、世界的に著名なロウスキー教授が、じつはソローと同じことを言った。よほど真実が暴かれたのがくやしかったのか、中国はロウスキー教授を「ごろつき学者」とこき下ろした。

 だから、次の中国の台詞は判っている。
「ソローのように中国に悪意を抱いた、悪質なごろつき学者は。。。」云々。


中国の軍拡を助けるブッシュ 伊藤貫 ジェームス・マン 対談 ボイス7月号

◆中国人はプロパガンダの天才

伊藤
マンさんは以前、「中国政府のアメリカ政治に関する理解力は、アメリカ人以上定」とお書きになったことがあります。アメリカの政治家と官僚をおだてたり、洗脳したり、故意に対立させたりして、彼らを中国政府にとって都合の良い方向へ操っていく中国人のテクニックは、素晴らしいものです。なぜ中国人は、これほどまでに他国の内政を操るのがうまいのでしょうか?

マン
中国政府はワシントンの政治家を理解するだけでなく、国務省やCIAの内部対立、そして連邦議会内の派閥争いまでを明瞭に理解し、これらの内紛を利用して自分たちの目的を巧みに達成していきます。アメリカのビジネスマンを操って政治家や官僚に圧力をかけることもうまいのです。中国人の政治理解力は、非常に洗練されたものです。しかも彼らは、他国の内政が理解できないフリをすることもうまい。ほんとうは細かいところまですべて理解しているくせに、そのときの都合によって「中国政府は鈍感だから、諸外国の内政事情がまるで理解できない」という漬技をしたりするのです(笑)。中国人というのはとても頭が良くて、政治的にとても洗練されています。

伊藤
そうですね。中国人は優秀だ。私自身も、中国の学者や官僚のほうが日本の学者や官僚よりも頭が良くて勉強家だ、という印象を受けています。他国の政治操作やブロバガンダにかけて、中国人はほとんど天才的ですね。

マン
一九三〇年代のアメリカの政治家たちは中国の国民党の指導者層から、まったく事実とは異なった「中国理解」を植え付けられました。最近のアメリカのリーダーたちも中国政府によって、中国にとって都合の良い「中国理解」を植え付けられているのです。皮肉ですね。歴史はまた繰り返すのでしょうか。なぜかアメリカ人は中国に対して、ロマンティックな幻想をもちたがるようです。たんに政治家や官僚だけでなく、ピジネスマンや学者や知識人までが、中国に関して好意的で楽観的な期待を抱きたがるのです。アメリカ人の多くは、「現実の中国で実際に何が起きているか」ということに関して無知なのです。

伊藤
親中的なアメリカ人、たとえばキッシンジャーやブッシュ(父)やペリー元国防長官は、「米中両国の協力によって日本を抑えつける」という戦略思考を好んでいます。このような思考も一九三〇年代の繰り返しのように見えますが。

マン
キッシンジャーやブッシュ(父)にそのような傾向があるのは事実です。しかし最近のワシントンの親中派の言い分は、「日本は、弱弱しくてわれわれが相手にするに値しない国だ。日本外交は頼りにならない。だからアメリカは中国をバートナーとしてアジア外交を運営すぺきだ」というものです。これらの親中派にとっては、日本外交が弱々しいことが「米中の戦略的バートナーシップ」をブロモートする口実となっています。

イラク戦争の最大の勝利者とは

伊藤
過去十七年問のアメリカ政府の一貫したグランド・ストラテジー(基礎的な国家戦略)は、「アメリカを中心とする一極覇権構造を長続きさせる」というものです。しかし中国、ロシア、フランス、インドなどは、一極覇権構造に反対です。これら諸国の指導者たちは公式の場で、「国際構造は多極化すべきである」と主張しています。さて、アメリカが中国に対して「心地良いシナリオ」に基づいた経済関係を続けるならぱ、中国の経済力と軍事力は今後ますます強大化していきます。アメリカ政府は一方では一極覇権構造の長期化を望みながら、他方では中国の覇権国化を支援する政策を実施しています。ブッシュとチェイニーは、この矛盾に気がついていないように見えますが。

マン
そのとおりです。現ブッシュ政権は一極構造の長期化を意図しながら、実際には国際構造を多極化の方向に向かわせている。とくにイラク戦争の失敗は、一極構造にとって大きなダメージとなりました。アメリカ政府はこの変化にどう対応すべきなのか、まだその戦略を決めちれない状態です。このまま多極化の現実を認めて、その多極化した世界でリーダーシッブを確保しようとするのか、それとも「国際政治のゴタゴタはもうたくさんだ」という態度で、孤立主義的な方向へ向かうのか。アメリカ国民のあいだには「海外の紛争に巻き込まれたくない」というムードが強くなっています。いずれにせよアメリカ政府は「中東問題を何とか解決する必要があります。ネオコンたちの「アメリカのイラク制圧によって、PLOやシリアを恫喝する」というプランは失敗したのです。パレスチナ問題は未解決のままです。

伊藤
ご存じのように中国政府は、ベルリンの壁が崩壊した一九八九年から「われわれは一極覇権に反対する。われわれは多極化した国際構造を求める」と明言してきました。今回のネオコン族による中東政策の大失敗は、中国政府の多極化戦略にとって大きなブラスとなりました。ロシア政府ももちろん、ネオコン外交の失敗に大喜びしています。アメリカ政府が中東地域で失敗すればするほど、中国とロシアにとって自分たちの勢力圏を構築することが容易になるからです。ネオコン族はそもそも「われわれは中国に対してタフな態度をとる」と広言してきた連中なのに、彼らの覇権主義外交の失敗は中国の勢力圏構築を容易にすることに貢献しています。ほんとうに皮肉ですね。

マン
そうです。ブッシュ政権によるイラク戦争の最大の勝利者は、中国なのです。中国外交が、今回の戦争から最大の利益を得ている。ワシントンには「ブッシュはいずれイランを攻撃するだろう」と主張する人もいますが、アメリカ政府はこれ以上、中東地域の紛争を拡大させるべきではありません。アメリカ外交には、もうそんな余力はないからです。

伊藤
中国の今年の軍事予算は公式には四五〇億ドルということになっています。しかしCIAとペンタゴンは、中国軍は実際にはその三倍くらい使っていると計算しています。ロンドンのIISS(国際戦略研究所)は、中国の実際の軍事支出を約一四〇〇億ドルと推定しています。日本の軍事予算は四〇〇億ドルですから、中国の軍事費はすでに日本の三倍以上の規模です。マンさんはご著書”チャイナファンタジー”において「いまから二十五年後も、中国の軍事力が米軍に追いつくことはありえない」と書いておられます。米中両国は核武装国ですから、米中の軍隊が正面衝突することはありえない。しかし中国の急速な軍拡は、アジア諸国にとって深刻な脅威となっています。

マン
私はアメリカ人だから、中国からの軍事的脅威を恐れないのです。しかし私が日本人だったらもちろん、中国の軍拡を恐れるでしょう。アジア諸国にとって中国の軍事力増強は大問題です。中国は、アジア地域を自已の勢力圏にしてしまう可能性があります。台湾の併合も、武力に訴えて行なう必要はなくなるのではないでしょうか。アジアにおける中国の経済力と軍事力が圧倒的に優越したものになれば、台湾を戦争せずに吸収できるでしょう。最近の中国政府の指導部は、「台湾併合を武力によって行なう必要はない」と考えているようです。私は、この新しい台湾戦略はいまのところ成功していると見ています。

伊藤
う-ん、中国の指導者層は頭が良いですねえ。彼らはいつも二十年先のことまで明確に企画し、着々と中華勢力圏を築いている。中国人はガッツもあるし、大したものです。彼らは北朝鮮の核兵器問題も、中国の外交利益を強化するために巧みに利用してきましたね。

マン
六カ国協議に拍いて中国政府は、アメリカを助けるフリをしながら実際には中国外交の利益どなるようにこの問題を利用しています。中国が本気で北朝鮮の核武装を阻止するつもりだったら、いつでも食料とエネルギーの供給をストップして北朝鮮を締め付けることができたはずです。中国政府は本音レベルでは、北朝鮮の核武装を既成事実として受け容れるつもりなのでしょう。

伊藤
過去六年間のブッシュ政権は、ほんとうに頼りになる中国政策や北朝鮮政策をもっていたのでしょうか。ネオコン族に「調教」されたブッシュは無謀な中東戦争に没頭するばかりで、中国と北朝鮮に対しては、その場その場の彌縫策を出してきただけですね。

マン
ブッシュ政権は内部分裂のため、明確な政策を決めることができないのです。

伊藤
外交政策の決定においてブッシュが最も頼りにしてきたのは、コンドリーザ・ライスです。彼女が政権内の意見対立を解決するポジションにいたはずですが。

マン
ライスという女性はとても政治的な人物です。彼女はいつも政治的な打算によって動く。自分にとって不利になるようなことはけっしてやりたがらない。彼女はつねに「ブッシュが自分をどう思うか」ということを最も気にしている。ライスが「主義」や「原則」や「外交哲学」めいたことを口にしても、それらはすぺて政治的な計算に基づいた言動にすぎません。だから日本人が、ライス国務長官の外交政策を理解し難いと感じるのも当然のことですね。彼女には、長期的な外交戦略を考案するという能力はありません。彼女が気に掛けているのは、短期的な戦術的利益だけです。

”ヒラリー大統領”のアジア政策

伊藤
ライスのような人物を国務長官という重職につけておくブッシュは、外交政策の判断力に欠けていますね。さて最後になりますが、来年の大統領選に関してお尋ねします。咋年と今年の世論調査によりますと、「来年の大統領選では民主党が有利」ということになっています。しかも民主党の大統領候補で人気ナンバーワンなのは、ヒラリー・クリントンです。これは日本にとって困ったことです。ご存じのようにクリントン夫妻は一九八○年代から九六年まで、中国共産党と人民解放軍のスバイ組織から繰り返し収賄(違法な資金受領)していました。そしてクリントン夫妻の外交政策は、露骨なまでに親中嫌日的でした。とくにヒラリーは、FBIの捜査官が「人民解放軍スパイ機関の工ージェントであった」と正式に認定したジョン・ホアンやジョニー・チャンから、数十回も収賄している。中国は、日本をターゲットとする中距離弾道核ミサイルと巡航核ミサイルを毎年増産している国です。中国のスパイ組織から収賄してきた女性が米国大統領になるというのは、対米依存主義の外交を行なってきた日本にとって大変に危険な状況です。

マン
そのような過去の違法資金問題は、ヒラリーの外交政策に影響を与えないと思います。あれはもう、十年も前の事件です。クリントン夫妻は、以前の同僚を裏切ったり、部下や友人たちを平気で見捨てたりする連中です。十年前に彼らが中国といかなる関係にあったとしても、それによってヒラリーのアジア政策が影響を受けるとは思えません。

伊藤
う-ん、そうでしょうか。人民解放軍のスバイ機関は「クリントン夫妻がいつ、どこで、どのような方法によって中国のエージェントからカネを受け取ったか」という証拠を保存しているはずです。〃ヒラリー大統領〃はつねに、「私は中国政府に証拠を握られている」ということを意識せざるをえないでしょう。自主防衛能力を欠く日本にとって、これはたいへん危険なことです。(P75〜P79)

危険な幻想 中国が民主化しなかったら世界はどうなる?


(私のコメント)
中国政府が発表する二桁の経済成長ははたして本当なのだろうか? 以前にもこの問題を書いた事がありますが、北京や上海などの都市部を見れば超高層ビルや高速道路の建設ラッシュで大変な成長ぶりだ。しかし電力消費量などの伸び率などを逆算すると二桁成長に疑問がでてくる。

日本の高度成長時代は電力消費量が年率60%以上もの増加しましたが、より電化が進んでいる現代においては電力の消費量はそれ以上の増大になっていなければならないはずだ。このような状況を計算してみると6%成長がいいところであり、経済の二桁成長は政治宣伝に過ぎないのではないかと思う。

沿岸地域の大都市を見れば毎年の二桁成長も本当に思えますが、中国の原油輸入量や発電量などの統計から見ると経済成長の数字とは矛盾する動きを見せている。


中国の1月と2月の発電量、前年同期より16%増 2007年3月25日 CRI

中国の電力企業連合会がこのほど発表した統計によりますと、今年の1月と2月の発電量は、前の年の同じ時期に比べて16.6%増え、4479億キロワットアワーあまりとなっています。

 今年中国では、9000万キロワットアワーの発電設備を増設することにしており、そのうちの大部分は火力発電設備です。

 2002年に入ってから、中国では電力供給不足の問題を抱えるようになり、この問題を解決するため、発電設備への整備に力を入れてきました。ここ数年、発電量は毎年二桁の伸び率を保っており、今後は、電力構造に対する更なる調整を行い、クリーンな電力の推進を急いでいく方針です。



(私のコメント)
このニュースをプロの情報分析官が分析すれば、中国経済の二桁成長が嘘である事がすぐに分かるはずだ。前年同期比16%の発電量の増加でどうして二桁の経済成長が可能なのだろうか? 日本の高度経済成長期には電力消費量は毎年60%もの伸びでしたが、中国の伸びは16%しかないのだ。逆算すれば3%か4%の成長であり、普通の発展途上国とたいして変わりがない。

伊藤貫氏が言うように中国人はプロパガンダの天才であり、お人好しなアメリカ人を騙すくらいは朝飯前だ。マン教授もアメリカ人は中国で実際に何が起きているかについては無知であると言っている。1930年代のアメリカ人も中国によって騙されたのですが、アメリカ人は何度でも騙すくらいは中国人にとっては朝飯前だ。

従軍慰安婦問題も中国系のNGOのプロパガンダがアメリカの下院議員を動かしましたが、アメリカの議員は宣伝を信じて自分で調べようともしない。日本と戦争をしてまで中国を助けたのに、結局は中国には共産党政権が出来てしまった。アメリカ人は専門家でも漢字が読める人は少なく、必然的に英語が出来る中国人から情報を仕入れる。だから騙されるのだ。

昨日もマン教授の三つのシナリオについて紹介しましたが、「心地よいシナリオ」と「動乱のシナリオ」は実現性が薄く、「軍事独裁国シナリオ」が一番現実性が高い。中国政府は「心地よいシナリオ」と「動乱のシナリオ」を使い分けながらアメリカを騙し、油断させながらアジアの地域覇権を取るつもりだ。軍事独裁国家ならどんなに国民が反乱を起こしても力で抑え込める。

それに対してアメリカはイラクにのめり込んで動きが取れなくなり、マン教授が指摘するようにイラク戦争の最大の勝利者は中国であり、アメリカはもはやイランを攻撃するだけの国力は無い。そのような時にヒラリークリントンがアメリカの大統領になったら日本はどうなるのだろう。クリントン夫妻は中国共産党や人民解放軍とはズブズブの関係であり、日本と台湾は戦わずして中国の手に落ちるかもしれない。

昨日の中国が太平洋の西半分を要求したというニュースは冗談ではないのだろう。日本政府はアメリカ政府を全面的に信頼しているが、ヒラリークリントンがアメリカ大統領になれば中国とどんな密約を結ぶかわからない。キッシンジャーやペリー元国防長官のように米中の協力で日本を押さえつけるというシナリオは現実性がある。両国とも日本から技術と金を搾り取って行く事に共通の利益がある。

このような国際情勢を分析すれば、親中左翼も間違っているし親米ポチ保守も間違いである事がわかるだろう。日本としても中国やアメリカの親日派と手を組んで反日勢力を押さえ込む必要がありますが、日本にはそのようなことが出来る情報機関がない。外務省はチャイナスクールの巣窟だし、防衛省は各省の出先機関でしかない。

NHKでもようやく中国の環境汚染問題や有害な輸出品に対して報道するようになりましたが、中国の経済発展は経済的混乱と貧富の格差の問題と環境汚染の問題が一気に表面化して独裁主義の強権で押さえ込んで、外に対しては恫喝と脅迫を繰り返して勢力圏を広げていくだろう。それに対して日本は首相が靖国神社を参拝も出来ない状況に戻ってしまった。安倍総理は中国のプロパガンダに負けたのだ。



我に太平洋の権益を半分よこすアル


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   / 中\ _☆☆☆_  
.   (  `八)  (⊂_`# )   ざけんな、コラ!
   (    )  ( ∞  ) 
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   (_,)_)  (_,(__)


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    ∧∧    |   |  あ?
   / 中\ _☆☆☆_  
.   (  `八)  (# ´_⊃)    ∧_∧  それはナイスなアイデアニダ
   (    )  ( ∞  )   (⊂_` )= >
   | | |   | | |    ⊂  ⊂ )
   (_,)_)  (_,(__)    (_(_つ





中国側が、太平洋を東西に分割し東側を米国、西側を中国が管理する
ことを提案した。米政府内の親中派の間では提案に前向きな受け止め。


2007年8月20日 月曜日

中国、太平洋の東西分割提案か 米軍は拒否 8月20日 共同通信

17日付の米紙ワシントン・タイムズは、キーティング米太平洋軍司令官が最近訪中して中国軍事当局者と会談した際、中国側が、太平洋を東西に分割し東側を米国、西側を中国が管理することを提案したと報じた。米側は拒否したという。提案の詳細には触れていない。

 米太平洋空軍のへスター司令官は「空間を誰にも譲らないのが、われわれの方針だ」と記者団に述べ、西太平洋地域を米軍の影響下に置く必要性を強調した。

 米政府内の親中派の間では提案に前向きな受け止めもあったが、国防当局は西太平洋の覇権を中国に譲り渡す「大きな過ち」だと主張。日本などアジアの同盟国との関係を台無しにしかねないとして断ったという。(共同)



中国の軍拡を助けるブッシュ 伊藤貫 ジェームス・マン 対談 ボイス7月号

◆欺瞞に満ちた前提

伊藤
マンさんは新著において、米中関係のあり方を三つのシナリオに分けて解説されています。まずマンさんが「心地良いシナリオと名づけたシナリオを説明してください。

マン
「心地良いシナリオ」というのは米中関係の流れをきわめて楽観的に解釈し、「アメリカが中国と活発な貿易・投資を続けていれば、現在は一党独裁国家である中国もいずれ自由で民主的な国に生まれ変わり、中国の外交関係も平和と協調をべースとしたものになるだろう」という予測に基づいたシナリオです。アメリカの政治家、大企業、金融機関、国務省官僚、中国学専門家、大手マスコミなどにとって、この「心地良いシナリオ」はとても便利なものです。アメリカが、急速な軍備拡張を進める抑圧的な独裁国と現在のような経済関係を維持することを、都合よく正当化するシナリオですから。

伊藤
アメリカの大企業、金融機関、シンクタンクなどには、現在のままの米中関係を維持することに既得利権がありますね。

マン
そうです。ビジネスマンも政治家もシンクタンクも、米中関係に関して楽観的な予測を述べることによって各種の利益を得ています。アメリカの政界・経済界のリーダーたちは、中国が今後、開明的で自由主義的な国になっていくことを「歴史の必然的な流れである」と語っています。でも、そんな「歴史的必然性」などどこにもないのですよ。多くの中国人がコカ・コーラを飲み、マク下ナルドのハンバーガーを食べ、アメリカの映画を見てインターネットを使えば、中国政府は軍拡政策と人権弾圧政策をやめるのでしょうか。都市に住む富裕な中国人がアメリカの消費生活の真似をすることと、中国という国が政治的にどのような性格の国なのか、ということには何の関係もないのです。

伊藤
アメリカ人というのは自惚れが強い国民だから、他国の消費者がアメリカの消費スタイルを真似すると、「彼らの考え方も、きっとわれわれと同じになったのだ!」と早合点したがる(笑)。しかし、じつは中国の政治システムが最もアメリカに近い方向に進んでいたのは一九八○年代中ごろ、胡耀邦や趨紫陽が共産党のリーダーだった時期ですね。八○年代後半からの中国はむしろ独裁制を強化し、権威主義的な軍事覇権国になることを国家の最優先目標としている。

マン
天安門事件が起きた一九八九年以降、アメリカ政府の対中政策は「自由貿易と工ンゲージメント(関与)政策を続けれぱ、中国の国内体制は民主化していく」という欺瞞に満ちた前提を使っています。そのような前提を使うことによって既得利権を維持しようとする人たちが、米国の対中政策を決定する地位にあるからです。この欺瞞は民主・共和両党に共通したものです。

伊藤
ブッシュ(父)大統領はとても親中的でした。彼は天安門事件のあと、米中関係を維持する戦略的な根拠として、「中国は日本をカウンター・バランスするために必要だ」とまでいっていました。クリントン政権も親中嫌日的でした。しかし現ブッシュ政権は、最初は中国に対して厳しい態度をとるようなポーズを見せていたのですが。

マン
しかし現ブッシュ政権が「心地良いシナリオ」を採用していることは、以前の政権と同じです。プッシュ(息子)の対中政策は、実質的にはクリントンと同じですね。ブッシュは「経済的自由が政治的自由を生む。民主主義への期待も高まっていくだろう。われわれが中国と自由貿易を続ければ事態は改善していくはずだ」といっています。このような根拠なき楽観主義はクリントンと同じではありまぜんか。

伊藤
でもブッシュは、中国のことを「戦略的競争者」と呼んだことがありますね。

マン
それは最初の大統領選挙中(二〇〇〇年)のことです。しかし彼は大統領になってからは、中国を二度と「戦略的競争者」と呼んでいません。ブッシュ外交の最大の特徴は「自由と民主主義を世界中に拡める」という主張です。彼は今回のイラク戦争も「自由と民主主義を拡めるため」という理由で正当化しようとしています。しかしブッシュは中東やアフリカの独裁国を非難することはあっても、中国が抑圧的な一党独裁国であることをけっして非難しません。彼は中国との自由貿易を拡大させているけれど、中国政府の人権弾圧政策を非難することはない。

伊藤
そうですね。ブッシュは北朝鮮問題も、中国共産党に丸投げしてしまいました。彼は中国の急速な軍拡政策を厳.しく非難したこともない。最近六年問のブッシュ政権の対中宥和政策によって、日本の地政学的環境は明らかに悪化しています。

マン
アメリカ人の対中政策の議論には、いつも二つの決まり文句が登場します。エンゲージメント(関与)とインテグレーショソ(統合)です。「現在の中国がどれほど抑圧的な独裁国家であっても、われわれがエンゲージメント政策を続ければ、そのうち中国は責任感あるメソバーとして国際社会にインテグレートされていくだろう」という議論です。この二つの便利な決まり文句を繰り返すことによって、アメリカ人は「実際の中国が、どのような国になろうとしているのそか」という厄介な問題から目を逸らすことができるのです。だから政治家も官僚もマスコミ人も、やたらに「エンゲージメント」「インテグレーション」と繰り返すのです。

伊藤
同感です。日本政府もアメリカ政府も、人民解放軍によるチベット人やウイグル人の虐殺に対して何の抗議もしない。両国とも、都合の悪い事実に関しては知らぬ顔です。

議論されない「第三のシナリオ」

伊藤
さて「心地良いシナリオ」の次に、「動乱のシナリオ」を説明していただけますか。

マン
「心地良いシナリオ」が「中国はいずれ平和を愛好する民主主義国になるから、われわれは心配する必要はない」と主張するのに対して「動乱のシナリオ」は「中国はいずれ内部矛盾のため崩壊してしまうから、われわれは心配する必要はない」と主張するものです。たしかに中国から来るニュースを見ると、貧富の差の拡大、都市部と農村部の対立、労働争議の発生、農民の反乱、公害の悪化、共産党の内部抗争、官僚の腐敗、等々、ネガティブなものが多い。だから「動乱のシナリオ」を主張する人たちは、いずれ崩壊・分裂してしまうであろう中国を警戒する必要はない、と説くのです。しかし中国共産党は、現在の諸困難よりもはるかに巨大な困難を乗り越えてきた政党です。現在の中国は、貧冨の差や公害の悪化によって崩壊するような脆弱な国家ではありません。「動乱のシナリオ」が現実となる可能性は低いのです。

伊藤
それでは、マンさんの持説である「第三のシナリオ」を説明してください。

マン
私は「心地良いシナリオ」も「動乱のシナリオ」も現実のものとはならず、中国は現在のような抑圧的な独裁政治を維持したまま、経済力と軍事力を着々と増強していく可能性が強いと思います。当然のことながら中国の近隣諸国にとってもアメリカにとっても、冨国強兵を続ける独裁国というのは困った存在になります。だからアメリカの政治家と官僚と学者は、この都合の悪い「第三のシナリオ」について議論したがらない。しかし中国がこのまま経済力と軍事力を蓄積していけば、中国はいずれ世界の抑圧的独裁諸国や軍事優先国のリーダーとなることでしょう。そのような中国の存在が、国際社会にとって好ましいといえるのでしょうか。

伊藤
アメリカのビジネスマンが、都合の悪い「第三のシナリオ」について語りたがらないのは理解できます。彼らは金儲けにしか輿味がない。大企業とウォールストリートの金融業者から巨額の政治献金を受け取っている民主・共和両党の政治家が「都合の悪いシナリオ」に輿味を示さないのも、理解できることです。しかし真実を追求するという建前になっている学者までが、中国に関しては「心地良いシナリオ」しか語らないというのは困ったことですね。

マン
古い世代の中国専門家には、「われわれは一九五〇年代にマッカーシズムによって迫害された」という被害者意識をもつ人が多く、それに対する反動として中国共産党を批判したがりません。一九六〇年代と七〇年代に中国学を専攻した学生たちも、これら先輩たちの態度から大きな影響を受けています。それに、中国学を専攻する者が現在の中国政府を真正両から批判すると、いろいろとネガティブなことが起きるのです。調査や研究を妨害される、とか。

伊藤
そこら辺の事情は、日米で同じですね。それでは国務省の官僚はどうですか? 彼らも「中国政府を怒らせてはいけない」と、とても神経を使っているようですが。

マン
国務省の中国担当官たちは、中国に関するネガティブな情報が公になることを好みません。彼らは中国に関して秘密主義者です。一九九〇年代、中国が米中間の協定に違反して第三世界の独裁国にミサイルを密売していたときも、国務省官僚はその事実を隠蔽しようとしました。「米中間で余計な問題を起こしたくない」というのが彼らの態度です。

伊藤
その態度は日本の外務省に似ていますね。外務省官僚も、中国に恫喝された日本の領事館員が自殺に追い込まれた事件を必死に隠蔽しようとしました。国務省も外務省も、よほど中国政府が怖いのでしょうか。

マン
国務省の官僚は中国政府と衝突したくないのです。彼らは、当面の対中関係がスムーズに行くことを最重視している。それが米中外交だと思っている。

伊藤
役人か擦め事を嫌がるのは、世界共通の態度かもしれません。だから国務省も外務省も中国に関しては、ことさらに楽観的な「心地良いシナリオ」を繰り返すのでしょう。でもアメリカの大部分のマスコミ人まで、この「心地良いシナリオ」の真似をするのはどういうわけですか。マンさんは例外ですが、多くのマスコミ人の対中観はあまりにも画一的なのではないでしょうか。

マン
う-ん、大部分のジャーナリストというのは、毎日、毎日、その日に起こったとを追いかけるだけで精一杯で、じっくり落ち着いて米中関係の本質を考える暇などないのです。ジャーナリズムというのは短期的な出来事を追いかける職業であり、長期的なトレンドを分析する職業ではありません。私も北京特派員だったときは、その日の出来事を追いかけるだけの生活をしており、長期的・歴史的な視点をもつことができませんでした。いつも表面的な現象を追いかけている『ニュiヨーク・タイムズ』の外交コラムニスト、トム・フリードマンなどは、「経済活動の自由化が中国政治を民主化する」と、典型的な楽観論を唱えていますね。 (P71〜P75)


(私のコメント)
現在の胡錦濤政権は微笑外交を繰り返していますが、アメリカとの経済関係を最重要視して政権の安定を図っています。政権はそのように思ってはいても中国人の本性がだんだんと現れてきて超大国意識にのぼせ上がってアメリカに対して挑戦的な態度を見せるようになってきている。これは昔も今も同じであり中華思想は彼らの根底にある。

日本にとっては中国はすぐ隣の隣国ですが、アメリカにとっては太平洋の向こう側の遠い国に過ぎない。だからどうしても中国に対する見方が日本とは違ってくる。レーガン大統領がソ連を悪魔の帝国と呼んでいたのに対して、中国に対するアメリカの融和的な態度はどうしてなのだろうか? 中国の軍人の高官の中にはアメリカ本土を核攻撃する事を仄めかす人もいるのですが、どうしてなのだろう?

冷戦時代ならソ連に対するチャイナカードとして利用価値はありました。しかし現在はロシアなどと上海協力機構を結成してアメリカに対する敵意をだんだんと現し始めました。中国は明らかに天安門事件の後は独裁主義を強化して軍事覇権を強化する戦略に切り替えている。しかしアメリカのキッシンジャーなどの戦略家はそれに気がつかずに戦略的パートナーと位置づけている。

アメリカのエスタブリッシュメント達はジェームス・マン教授の見方によれば「心地よいシナリオ」に基づいて対中政策を行なっている。それは80年代からのブッシュ(父)政権から現在のブッシュ(子)政権にまで引き継がれている。特に民主党のクリントン政権の親中反日政策は中国と連携して日本経済を潰しにかかった。そして経済力を付けた中国は軍備を近代化して、太平洋の西半分をよこせと言うまでになってきた。

不可解でならないのはアメリカの国務省の態度であり、日本へF22の輸出を差し止めたのは国務省だ。中国を刺激すると言う事だが、国務省は米中が連携して日本を押さえ込む戦略を続けている。従軍慰安婦決議の影の仕掛け人も国務省であり、日本の弱体化こそが米中にとって利益となると考えているようだ。

産経新聞の記事の「親中派」とは国務省の事であり、米中による太平洋の分割支配とは中国の野心であると同時に、アメリカの政権内部にもそれと同調する勢力があるから、日本にとってはアメリカも信頼できない。ブッシュ大統領ですら中国を独裁政権であるとは決して非難しない。チベットやウイグル自治区などはアフリカのスーダンのダルフールより酷い虐殺を繰り返している。

アメリカ政府がアフリカや中東の独裁者を非難しても中国の独裁者は決して非難はしない。アメリカの手前勝手のダブルスタンダード外交は理解しがたいものであり、中国が経済的に豊かになれば民主的国家になると言うのは日本を手本にしているのでしょうが、アメリカ人は昨日も言ったように日本人と中国人とは同じだと考えている。

アメリカにも対日政策を重視する人もいますが、中国に対するカウンターバランスとして見ているだけであり、日本がアジアの盟主になる事を望んでいるわけではない。要するに単なる中国に対する番犬であり、国防総省はこの見方だ。しかし中国が軍事力を強大化してアメリカがイラク戦争でこけて孤立化政策をとるようになったら太平洋に西半分を中国に渡すつもりかもしれない。

そのようになった場合の日本の戦略は否が応でも自主防衛体制をとらなければならないのであり、核武装をしなければ中国に対抗できない。たとえMDを開発したとしても日本が反撃能力を持たなければ意味はないのだ。日米安保体制は現在では中国に対するものですが、肝心のアメリカは中国を経済的に豊かにして民主国家にさせる幻想にとらわれている。

中国は豊かになった分を軍事力の強化に使っているのにアメリカにはその危機感が無いのだ。民主党や国務省の一部では共産主義に対する容共派がいて、中国の共産党に対する連帯意識が強いようだ。蒋介石ですらアメリカの容共勢力に見捨てられて台湾に逃れましたが、アメリカは突如として敵対していた勢力と手を組んで、今まで同盟していた勢力を陥れてきた実績がある。だから北朝鮮問題も注意しないと日本はアメリカに裏切られるかもしれない。

今なら中国の太平洋の分割提案は冗談だと笑っていられますが、アメリカがこのままおかしくなっていけば日本を見捨てて中国に妥協するかもしれない。それだけアメリカは油断もすきも無い国なのだ。




イージーマネー収縮の予兆か。中国が黙って米国債売り。
サブプライム爆弾破裂で中国がアメリカに引導を渡す時がきた?


2007年8月19日 日曜日

中国、6月の米国債保有23億ドル減少 外貨準備の多元化図る 8月17日 日中経済通信

米財務省が15日夜発表したデータによると、中国が6月時点で保有している米国債は前月の4074億ドルに比べ23億米ドル減の4051億米ドルだった。中国の米国債保有高は引き続き日本に次ぐ世界第2位の額となっている。

中国の米国債保有高は今年4月、58億ドル減少し4140億ドルとなった。これは2005年10月以来初めての減少で、データのある最近7年間では最大の減少幅となった。一部の市場関係者は、これは中国が外貨準備の多元化を図っているためだが、中国が米国債を大量に売却する可能性は今後も低いとみている。

日本が保有する米国債も減少傾向にあり、6月の時点で保有している米国債は5月の6152億ドルから6123億ドルに減少した。



長期金利上昇の「地鳴り」 7月30日 地価インフレ情報発信館

イージーマネー収縮の予兆か。中国が黙って米国債売り。
「池の中のクジラ」となったファンドがのたうつ。


2007.8 FACTA

・・・安倍内閣はタガが外れたのか。スキャンダルの火砕流で隠れてしまったが、山本有二金融担当相の“無神経発言”にも鳥肌が立った。6月29日の閣議後会見で、外貨準備の運用多様化について「民間主導の市場で、公的部門がどの程度関与が可能であるか、ベストポイント(最適点)を探ることが何より肝心だ」と述べ、慎重な表現ながら外準の積極運用と分散投資を示唆した。驚いたのは財務省。尾身幸次財務相は同日「安全と流動性の確保が絶対に必要」と火消しに躍起になった。

無理もない。10年前の97年6月、アジア通貨危機の直前に当時の橋本龍太郎首相が「米国債を売りたい衝動に駆られたことがある」と発言し国債市場が急落(長期金利上昇)、ワシントンの逆鱗に触れたからだ。

・「謎」は消えたが新たなコナンドラム

・・・いま日本の外準は9136億ドル(6月末現在)と中国に次ぐ世界第2位。大半を米国債で運用しているから、日本が売れば米国債相場は総崩れになりかねない。が、山本金融相は7月1日からシンガポールを訪問、政府投資公社GICを視察して、あっけらかんと「斬新」と語った。

中国がGICや投資会社タマセクを手本に「国家投資公司」(SIC)を9月にも設立、2千億ドル(約25兆円)を海外で積極運用しようとしているのが羨ましいのだろう。同行した伊藤隆敏東大教授の助言があったのか。最近の経済財政諮問会議でも、外準の分散投資が議題になっており、安倍首相も乗り気と言われる。それが第2の橋本事件になりかねないタブーとは夢にも思わぬ無邪気―。しかも最悪のタイミングなのだ。

景気が堅調でも短期金利が上昇しても低位安定のまま、ぴくりとも動かなかった米長期金利。連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン前議長をして、説明不能の「コナンドラム」(謎)と首を傾げさせたが、それがついに“解凍”されたのだ。

動意づいたのは5月下旬。景気の底堅さを指摘し、インフレリスクを強調したバーナンキFRB議長の発言がきっかけだった。目新しさはなかったが、この発言を機にゴールドマン・サックスなどが年内利下げの予想を引っ込めた。他の米欧金融機関も追随、利下げ期待が支えの債券市場が壊走状態となったのである。

6月には指標である10年物米国債利回りが5.3%まで跳ね上がって、債券トレーダーは泰平の眠りをさまされた。しばらく小康状態だったが、7月6日に再び5.18%まで上昇する。5%ラインは米長期金利の「天井」ではなく「床」になった。

・中国が黙って抜けた「ブレトンウッズU」

・・・ファンダメンタルズで説明できないとなれば、相場論しかない。この下げ相場の売り本尊はどこか。・・・ほかでもない、中国である。その外準は6月末時点で1兆3千億ドルと世界一。うち2千億ドルを対外運用する予定のSICは早々と設立前に米投資ファンド、ブラックストーンに30億ドル出資する。が、これは予告編にすぎまい。

日本と同じく中国も外準の大半を米国債で運用していたが、すでに4月の段階で保有額を減らし始めていたのだ。米国の対外・対内証券投資統計によれば、4月末の中国の米国債保有額は4140億ドルと、3月末より58億ドル減っている。05年10月以来の減少幅である。

ニューヨーク連銀が保管している海外通貨当局保有の米国債残高で見ても、4月下旬の減少が目立っている。4月12〜18日に2億ドル減だったのが、その後の1週間で79億ドルも減った。一言多い橋龍と違い、中国は黙って売るのだ。

・・・中国による米国積売却は、米国における中国バッシングに対する仕返しとも見える。米議会では中国を狙い撃ちにした貿易制裁法案が目白押し。米商務省は中国紙製品に実に23年ぶりとなる相殺関税をかけ、米通商代表部(USTR)は知的財産権侵害で中国を世界貿易機関(WHO)に提訴した。追い討ちをかけるように、ペットフードなど中国製品に安全性を槍玉に挙げる米政府とマスコミのキャンペーンが燃えあがる。

・・・そういえば「コナンドラム」の名付け親、グリーンスパン氏はさりげなく謎解きの仮説の一つとして「アジアお得意様」説を示していた。中国を筆頭にアジアの通貨当局が、ドル買い介入で得た外貨準備でせっせと米国債を購入しているから、米国債は安定的に消化され、米長期金利は低位に安定している―と。

アジアの通貨当局による米国債の安定消化によって支えられるドル体制を、エコノミストたちは「ブレトンウッズU(第2次ブレトンウッズ体制)」と呼ぶ。すると、新しいコナンドラム―長期金利 “解凍”の謎も解が与えられる。中国の翻意によって「ブレトンウッズU」が揺らぎだしたのだ。

だからこそ、山本金融相の発言は最悪のタイミングだった。基軸通貨ドルの王座を揺るがす中国の尻馬にやすやすと日本が乗れば、どれだけワシントンを逆上させるか。仲良し官邸団のセンスの悪さには驚く。

しかも、長期金利“解凍”はイージーマネー(過剰流動性)を前提にしていたウォール街を直撃しつつある。最も弱い鎖の環は米証券大手ベア・スターンズだった。6月22日、傘下のヘッジファンドを救済するため、ベアは32億ドル(3,900億円)を緊急融資すると発表した。ベア傘下のファンドが住宅ローンの焦げ付きで信用不安に陥ってしまったのだ。

・「サブプライム禍」次々に飛び火

・・・ベアが招くベア(弱気)?この規模は、1998年にロシア金融危機の影響で破綻したLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)に対し、FRBが大手金融機関に奉加帳を回して集めた36億ドルの緊急融資以来の大型救済である。「金融システム危機には至らない」と米証券取引委員会(SEC)のコックス委員長らは不安を鎮めようと躍起だが、春先から問題化していたサブプライム(信用度の低い人向け)住宅ローンの焦げ付きが、投資銀行の経営まで揺さぶりだした意味は、決して小さくない。

米住宅ローンの残高は低金利と住宅価格の高騰で約10兆ドルまで拡大したが、昨年来の住宅バブルの崩壊で流れは完全に逆。サブプライムローンを中心に、住宅ローン全体の15%にあたる約1兆5千億ドルが60日の延滞に陥っている。米国では90日間の延滞で差し押さえとなるが、すでに7千億〜8千億ドルは差し押さえにあっている。

夏休みが終わり、担保処分の動きが本格化する秋口から、住宅市場には一段の揺さぶりがかかるだろう。ことが住宅市場だけで済まないのは、住宅ローン全体の6割強が住宅ローン抵当証券(MBS)として証券化されているからだ。

・・・燎原の火のごとく、これがヘッジファンドにも飛び火している。ユナイテッド・キャピタル・アセット・マネジメントは、資産担保証券(ABS)を保有する傘下のファンドについて、解約手続きを一時停止する事態に追い込まれた。ABSが売るに売れない状態となり、解約資金が手当てできなくなったのである。

次に火が付くのは企業向けけのローンだろう。7月以降、大型のレバレッジド・バイアウト(LBO)ローンの実行が予定されている。クライスラー、学生ローンのサリーメイ、カジノホテルのハラーズなど、LBOの予定額は計2千億ドルを超える。

・ファンド上場は早いもの勝ち

・・・これらLBOローンが次々と証券化されれば、債券市場が供給過剰になりかねない。信用度の低いジャンク債が暴落すると、新たな投資ファンドの波綻を誘発する―と関係者は気をもむ。

・・・足元の金利上昇は一時的と言いつつも賢人グリーンスパンは「10年債の利回りは将来上昇するだろう」と御託宣を垂れる。冷戦の終焉とともに訪れたグローバリゼーションの時代は、中国などの豊富な労働力を供給し、マネーの面でも潤沢な流動性をもたらした。そんな好都合な時代はいずれ終わり、流動性も枯渇してくるはずだ、とのたまう。「ブルータス、お前もか」と嘆きが市場から聞こえてきそうだ。日本の金融機関や機関投資家もここで宴に終わられては困るというのが本音だろう。誰よりも内心やきもきしているのが日本財務省である。

国と地方を合わせた政府の長期債務の残高は800兆円。何とか乗り切ってきたのは日本の長期金利にも低位安定が続くコナンドラムがあったからだ。その恩恵が消えたら国債の利払いが膨張する。ムーディーズは7月4日、政府債務の状況が改善に向かっているとして、日本国債の格付けを「A2」から引き上げる方向で見直すと発表したが、いかにもバッドタイミングだ。

2月の追加利上げ時と違って、8月利上げをもくろむ福井俊彦日銀総裁の言い回しは慎重だ。余計なことを言って長期金利がハネ上がる事態を警戒しているからだろう。

もの言えば唇寒し―。


(私のコメント)
世界的な金融危機が起きていますが、これを収めることが出来るのはアメリカのバーナンキFRB議長ではなく、世界に資金を供給している日本の福井日銀総裁にある。しかし福井総裁はそのように自覚しているだろうか? 世界の通貨が暴落して日本の通貨だけが暴騰している。だから日本が今までどおりに円キャリを続けますと宣言すれば当面はパニックは収まる。

しかしいつまでも円キャリは続けられずに逆流は起きる。円キャリを無くすには金利差を少なくする事ですが、日本とアメリカとの経済力の格差が金利差となって現れる。問題の根本は日本政府の経済政策が無策である事であり、国内にあり余っているマネーを国内で使わせる政策が無い事だ。

日本は物あまりで買うものが無いと言うエコノミストの意見ですが、一番の金を使う若い人が非正社員化で金が使えず、マネーの還流が上手くいっていない。バブル以前なら住宅ローンや消費者ローンで使っても雇用が安定していたから返す事ができた。しかし今は雇用不安で使えないし結婚も子育ても難しくしている。

アメリカでは経済は空洞化していても金融がしっかりしているから若い人たちはローンを利用して消費を増やしてきた。その金はどこから来たかというと日本からだ。それが行きすぎて現在のサブプライム破綻が来たのですが、その原因は日本の長すぎる経済不況がアメリカの消費を過熱させてしまったのだ。

小渕内閣の時はなんとしても景気を良くしようというビジョンがありましたが、小泉内閣の構造改革は雇用不安を拡大して非正社員化が進んで格差社会を広げてしまった。グローバル化でやむをえない面がありますが、財政再建を優先して財政を縮小させた事が不況を長引かせてしまった。金融をいじくりすぎて銀行不安が広がってローン市場を縮小させたのだ。

りそなを公的資金で救済してからは最悪の事態は避けられましたが、政府の金融政策のお粗末さが不況を長引かせている。アメリカのグリーンスパンはそれとは逆に住宅ローンを盛んにして住宅の値上がりがさらに消費を拡大させる政策で好景気を持続させた。日本はなぜそのような政策がとれなかったのだろうか?

アメリカのサブプライム破綻から信用不安が世界に広がっている。明らかにアメリカのバブルがしぼみ始めたのだ。その原因は中国の米国債売りがあるのではないだろうか? 80年代からの日米経済摩擦がありましたが、それと同じ事が米中経済摩擦となりギクシャクし始めたのだ。日本はアメリカからいくら叩かれてもじっとしていましたが、中国人は中華思想の持ち主であり叩かれれば仕返しをするだけの根性がある。

同じようなことはドイツとアメリカとの間でもありドイツの利上げがブラックマンデーの引き金になった。中国がこのまま米国債売りを続ければ第二のブラックマンデーが到来する。そうなればアメリカは再び日本からマネーを搾り取って難局を切り抜けようとするだろう。日本政府はドイツや中国のような気骨のある政治家がいないから日本を犠牲にしてまでアメリカを助けてきたのだ。

アメリカの軍事力は国力に比べて過大であり、日本の軍事力は国力に比べて過小である。その無理がアメリカの経済破綻となって現れる。だから日本が軍事力を強化してアメリカを助けるのが正道なのですが、日本は憲法九条と日米安保にすがって甘えているのだ。

中国政府自身はアメリカとの協調体制で経済繁栄を続けたいと思っているが、中国人の中華思想はそれを許さない。中国人は侮辱されれば必ず仕返しをする。日本人はいかなるアメリカ人の侮辱にも耐えてきた。アメリカ人は中国人も日本人のように従順でおとなしいと見ていたのでしょうが、それがアメリカの命取りになるだろう。

中国がアメリカに協力的だったのは経済発展が必要だったからであり、その経済発展が軌道に乗れば中国は頭に乗ってアメリカの対して挑戦的な面が出て来る。それが日本人とは違うところでありバッシングされれば必ず仕返しをする。アメリカはイラクを日本のように上手く統治できるとイラク戦争に踏み切りましたが、イラク人と日本人との違いも分からないアメリカ人が日本人と中国人の違いが分かるわけはない。

日本はアメリカから米国債は売るなと言われれば売らないが中国人は売るだろう。つまりアメリカ経済の破綻は中国の米国債売りによって始まるのだ。あるいは日銀が金利を引き上げても同じですが日銀総裁にそんなことが出来るわけがない。日本は超低金利のまま長く続く不況をじっと耐え忍んで待つしかないのでしょう。

近い将来中国とアメリカのパートナーシップは崩壊して経済戦争を始めるだろう。中国はソ連との一枚岩の団結は長く続けられなかったように、アメリカとのパートナーシップも長くは続かないだろう。超大国意識が米中とも強烈だから対等な関係が持てないのだ。日本はそれまで米中に対しては面従腹背でのらりくらりとしている事が肝心だ。




8月9日、まず、欧州の金融市場で「コールローン取引」が、
事実上、停止するという稀な事態が起こりました。「信用危機」です。


2007年8月18日 土曜日

緊急特集:サブプライム・ローン問題から露呈した 8.09信用危機(1) 8月17日 ビジネス知識源 吉田繁治

【8.09という異常日】
2007年8月9日、まず、欧州の金融市場で「コールローン取引」が、事実上、停止するという稀な事態が起こりました。「信用危機」です。実に、信用危機までが起こった。・・・新聞を見て、思わずあっと叫びました。お互いが、相手の資金状況を、疑ったためです。

放置すれば、銀行、証券会社、ファンドの資金不足から、連鎖倒産が起こります。金融の「システミックな危機」の勃発です。日本にも1997年と2003年ころに、金融機関の信用危機が起こっています。対策はゼロ金利と、日銀による30兆円の資金投入(量的緩和)でした。

わが国の金融危機は、自己資本の少なさ、あるいは会計上の債務超過の問題だったため、ゆっくりした対策でも間に合いました。

●今回の欧州と米国金融市場は、緊迫しています。
1日を争う資金繰り問題と、担保差し入れだったからです。理由は、欧州と米国の金融機関、及びヘッジファンドが、「証券の売買業」であるためです。証券の金融機関間の売買が停止すれば、一夜で、連鎖倒産が起こります。一刻も、猶予(ゆうよ)がない。

●その理由は、欧米の多くの金融機関と証券会社の資金調達と運用は、2000年代で、1998年に破産したLTCM(Long Term Capital Management)に近くなっているからです。

【3日間で42兆円の資金注入】
この「信用危機」を見た欧州中央銀行と米国FRB(連邦準備銀行)は、3日間で、緊急に、42兆円相当という巨額の「債券買い」を実行します。これは、異常な金額の買いです。金融市場に売りに出た「証券」を中央銀行が買い上げ、42兆円の現金(流動性)を注入した。

金融機関が、証券を買わないので、マネーの無限発行権をもつ中央銀行が買って、市場の混乱と連鎖破綻を収めたと言っていい。この緊迫した流動性の注入によって、連鎖倒産の危機は(今のところ)回避されています。

【発表はのんびり】
世界に向かい、欧州中央銀行と米国FRB(連邦準備銀行)が、「ザプライムローン問題であって、部分的」と発表するのは当然です。FRBの学者:バーナンキ議長は「せいぜい10兆円の問題」言う。しかし金融機関が売りに出た証券を買わないという事態は深刻です。

(推測)実は、ザプライムローン問題だけでない。推測ですが、米国の住宅ローンうち、証券化されたのの全体(約600兆円の証券の時価価値)の問題でしょう。サプライムローン問題は「隠れ蓑」に思えます。サブプライムローン証券の、時価価値の問題だけなら、42兆円もの投入は要らない。

【その証拠に、株価は、即刻反応した】
その間、世界の株式市場(約5000兆円の時価総額)は金融株を中心に、(上海を除き)暴落と言っていい5%から15%の価格低下を示しています。時価総額は、300兆円も失われました。

実際にお金を賭けている多くの人が「相当な疑心暗鬼」になったことを示します。損をした人は多いでしょう。読者の方々中の5人に1名くらいの人は、株や外為(FX)、あるいは投資信託をやっている感じを受けます。前日の8月8日まで、世界の株価は、絶好調と言える最高値をつけていたのです。

【テーマ】
この「信用危機」が、

●「世界の資産バブル崩壊(信用恐慌)」になって行くのか、
●当局の発表と、多数派の見方のように「部分的、一時的な調整」

で終わるのか、本稿では、ここを探って行きます。予測するのに「リスク」があることは、承知しています。大切なことは、何を根拠に、どう論理展開するかです。特別な情報を、持つわけではない。特別とされる情報は、むしろ信用できない。せいぜい主要新聞や経済誌です。経済誌を読むのは習慣になっています。そこから、重要と思えるデータを拾い、データにまかせ、論理で考えるだけです。

【警鐘】
06年から「世界の資産バブルの崩落予想」を、その根拠とともに、10編以上も、書いてきたことは事実です。根拠は、9.11(2001年)以後の、世界の低金利とマネーの過剰です。今回の8.09ショックで、予測が当ったという気持ちはありません。世界のマネー量と、資産価格を、統計から拾えば「資産バブル」は、誰でも予測できたからです。

1年でわずか2〜5%の、リスクのある利益見込みに、世界の投機資金が殺到するようになっています。原因は、それより低い金利で、投機資金の多額借り入れができるからです。

気持ちでは「予測どおりのことは(いずれ、やはり)起こる」という感じです。その方法は、「人々の認識の転換点」を推測するというものです。株価や不動産は、いつも、理論価格から適正と判断される水準を超えるか、下回ります。まずこの理論価格の構造から検討します。
 
(中略)
 
■6.英米の住宅ローンの特徴は証券化

なぜ、米国の住宅価格の下落が、欧州大陸を含む世界の金融機関、証券会社、そしてヘッジファンドの「信用危機」へつながったのか?これを理解するには、米国の住宅ローン債権で発達した「証券化」に触れなければなりません。(住宅が高騰した英国も、ローンの証券化では米国とほぼ共通です)

米国の住宅ローンは、残高が$10兆(06年:1100兆円〜1200兆円) と巨額です。住宅が高い日本の、住宅ローンの残高は200兆円です。約6倍。米国人は実に多く住宅ローンを借りています。1世帯当りで、日本の2.5倍です。5000万円のローンはざらです。払えるのか・・・

日本の政府部門(国、自治体、特別行政法人)の総負債1100兆円に匹敵します。わが国では、政府部門の負債、利払い、巨額借り換え(08年で約170兆円)が、経済の最大問題です。

米国には、日本のような巨額政府債務の問題は、ない。 代わりに、世帯の、住宅ローン債務の巨額化の問題があると言っていい。世帯の財政が、問題です。貯蓄率ゼロを続け、負債が増え続けている世帯の財政が、米国の問題です。世界経済にとって、大問題と言ってもいい。

【米国住宅ローンの増加】 【うちサブプライム・ローン比率】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2000年   $ 5兆       3%
2002年   $ 6兆       5%
2004年   $ 8兆       12%
2006年   $10兆       13%
2007年推計($11兆)     (15%)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2000年から2006年の6年間に、住宅ローンの残高は、$5兆(600兆円)から$10兆(1200兆円)に倍増しています。この間、海外から、米国の債券買いに集まった約500兆円〜600兆円が、そっくり住宅ローンになっていると言っていい。

(中略)

【MBS証券として売却】
それら住宅ローンは、住宅抵当権つきの証券(MBS:Mortgage Backed Securities)として、証券会社が、金融機関、年金ファンド、海外金融機関、機関投資家に売却しています。MBSが買われる理由は、国債より利回りが高いためです。

【住宅担保つきという安心】
ローン返済が滞っても、住宅が担保だから、それを競売すれば回収できるという安心があった。住宅が値上するという条件下では、MBSは、他の債券より利回りがよく確実な証券だったのです。

安易な住宅ローンは「貧者からの略奪ローン」とも言われました。3ヶ月返済が遅れれば、ローン会社が抵当権を執行し、住んでいる人を追い出し、競売したからです。そのとき、住宅価格が上がっていれば、余分な利益もあった。

▼MBS証券(Mortgage Backed Securities)を世界に売る

これらの住宅ローン証券の発行残は、2006末で$5.7兆(680兆円)と巨額です。全住宅ローンの約60%が証券化され、MBSとして、国の内外に売られています。米国内だけでなく、(1)欧州の金融機関、(2)世界のヘッジファンド、(3)日本や中国・アジアの金融機関、証券会社が買っています。

▼そして8.09ショック

●住宅抵当証券(MBS)の価値を決めるのが、延滞率です。延滞率が高くなれば、MBSの市場価格は急落します。欧州に8.09ショックが起こった理由がこれです。利回りがいいからと、米国住宅ローン証券(MBS)を多額に買っていたファンドや金融機関が、短期資金の調達ができなくなって、破たん寸前に陥った。(注)わが国金融機関は、MBSの購入は比較的少ない。これは若干の安心。株価が問題ですが。

【疑心暗鬼が信用縮小になる】
●今、金融市場に起こっている「疑心暗鬼」は、相手金融機関やファンドが「どんな内容のMBSをどれくらい持っているか? 含み損はいくらか?」ということです。[短期資金が欲しいのは、MBSの値下がりの含み損失のためではないか?]→[それならリスクが高い]→[手控えよう]となった。

●【結果】これが、欧州の金融機関間の、貸し借りが急減した8.09ショックです。金融機関間取引が、事実上なくなってしまった。欧州中央銀行は、金融破たんの連鎖と、短期金利の急上昇を恐れ、8月9日から、緊急の巨額資金注入を行います。

こうした緊急処置は、2001年の同時多発テロの9.11ショックで、米国証券市場が売買を停止して以来です。1週間での緊急資金注入は、3000億ドル(36兆円)でした。異例なことです。今回はそれより多い。9.11は、とんでもない衝撃でした。それより多い。

欧州中央銀行が、どれくらい慌てたかを、この金額が実証します。中央銀行は公表する「見解(言葉)」は重要ではない。重要なのは「資金の行動」です。42兆円の緊急資金注入が、行動です。これは、異例です。

■7.サブプライム・ローンは米国の住宅価格高騰州に多い

延滞率が急に上がったのは、2005年ころに実行されたサブプライム・ローンが、2007年から「金利10%」の時期にはいったからです。

▼2007年〜2008年の延滞予測のための、2005年の貸付データ
住宅ローンの延滞率が、今後、どう向かうかを判断するため、2005年の主な州別の、住宅ローンの新規貸付額を見ます。(資料:みずほ総合研究所NY)

2005年   新規住宅ローン   うちサブプライム  割合   
       
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
加州    $7570億(90兆円) $1950億(23兆円) 26%
フロリダ  $2490億(30兆円) $ 530億(6兆円)  21%
NY    $1290億(15兆円) $ 240億(3兆円)   19%
・・・・・          (他州もNYに類似)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
全米   $2兆8800億(345兆円)$6190億(74兆円) 20%

米国の住宅価格は、2005年は、全米平均で10%以上の高騰でした。

2005年の住宅ローンの新規実行額は、$2兆8800億(345兆円)にも上ります。たった1年で、ものすごい額の住宅ローンが組まれた。この年、住宅は、超ブームだった。これが、米国の消費景気を支えていました。米国では住宅を買うと、3台は所有する車もほぼ同時に、リースで買います。インテリアや家具も、中流の世帯は、約400万円分も買います。ホームデポも家具店も好調でした。

同年のサブプライム・ローンも74兆円(20%)と巨額でした。その中で最大は、90兆円のローンを組んだカリフォルニア州です。加州は、住宅価格の値上がりが、もっとも高い州でした。(注)直近では下落しています

●今年、延滞率が急に増えたと言われるサブプライム・ローンは、2005年に組まれたものです。当然、これは2006年も同じように組まれています。

●容易に想定できるのは、住宅ローンの延滞率は2007年、2008年と、今の14%より、相当に上がるということです。これは「確定的事実」です。「認識」はどう変わるでしょうか?

■8.今後、もっと上がる延滞率

住宅ローンの総残高$10兆(06年末)のうち、延滞が生じているのは(サブプライム・ローンの延滞14%を含んで)、約5%です。今後、新たに、3%の延滞が加わる可能性が高いとされています。延滞率は8%($8000億:100兆円分)に上がる見込まれています。(米国調査機関:07年2月時点)

この予想は、まだ延滞率が低かった07年2月時点のものです。今は8月です。

6ヵ月後の今予想すれば、延滞率は、少なくとも$10兆の10%、つまり$1兆(120兆円)にはなるでしょう。・・・もっと高いかもしれない。その理由は、米国の住宅ローン証券(MBS)が、8.09ショックを起点に、世界で、ほとんど売れなくなったことです。

●サブプライム・ローンを組みこんだ証券だけが売れないのではない。Alt-Tはもちろん、普通のプライムローンを組みこんだ証券も売れなくなっています。欧米の大手証券会社は、住宅ローン証券を組みこんだヘッジファンドの証券に対し、資金を融資しないと言明しました。(Financial Times:07.08.16)自分を守るためです。これは激烈です。

住宅ローン証券(MBS)が売れなければ、あるいはそれを担保に融資がなければ、元になる資金がないので、ローンが組めません。ローンが組めなければ、住宅は売れない。延滞からの競売も増える。価格はもっと下がる。

【07年8月現在】
●直近で言えば、ローン審査が厳しくなって、サブプライム・ローン、インタレストオンリー・ローン、頭金のないローン、審査の容易なAlt-Tは、組めなくなっています。住宅価格が下がれば、目いっぱい借りたローンの延滞率は、どんどん上昇します。

米国では、ホーム・エクイティ・ローンがある。3000万円の抵当権のローンを組んで買った住宅が時価4000万円に上がると、1000万円分を使途自由のローンとして借りることができていました。住宅価格が下がれば、この分も、追加の担保か、返済を迫られます。世帯の破産でしょう。

放置すれば、米国の住宅価格は、今後も、スパイラルに下がる可能性が高い。米国の住宅ローン残高(1200兆円)の、割引現在価値(NPV)は、いったいいくらなのか? 今、誰も、これを計算できない。米国の半分の、5000万世帯が借りているとして、1世帯平均で2400万円の住宅ローンです。

▼どうなるのか?

本稿は、8.09までの解説です。今後を予測するには、現在までの推移を、論理的にたどることが必要だからです。

【対策】8.09ショックが、金融の連鎖崩壊にならないように、日米欧の中央銀行は合計42兆円の、短期債券買いをしています。

●今報じられているのは、住宅ローン関連の金融会社やヘッジファンドの、次々に明らかになる損失です。信用危機は、現在進行形です。

【300兆円】
8.09ショックで、世界の株価が下がって、失われた時価は、合計で300兆円の巨額です。これは、金融機関、証券会社、そしてとりわけヘッジファンドの、含み損を増やしています。日本の株は、今1日に総売買の50%〜65%が外人ファンドの売買です。資金が不足したファンドからは、株は売られるでしょう。

・米国住宅ローンの延滞率の増加が、直接的なローン証券の価格低下だけではなく、間接的に世界の株価ショック(300兆円の時価の喪失)にも連鎖しました。米ドル(及び米ドル債券)は世界で売られています。そのため、円も、急に上がってきた。

肝心なことは、「今後どう向かうか」です。世界の恐慌の引き金になるのか?信用縮小は、日米欧の中央銀行の奮闘で、一定線で止まるのか?2001年以降の世界は、低金利と過剰流動性を原因に、「資産(株・不動産)」価格の高騰の7年でした。上がりすぎたものは、下がるのが原理ですが、果たしてどう向かうか?

とりあえず確定したことは、7月には予想されていた日銀の8月利上げ(+0.25%で0.75%)はないことです。

次号で、もっと踏み込んで予測します。

日本の新聞は、一般紙はもちろん経済新聞を含め、お盆休みのためか「のんびり」した論調です。米ウォール・ストリート・ジャーナルや英フィナンシャル・タイムズは、現下の、相当に緊張したシーンを伝えています。記事量は10倍以上。ウォール・ストリート・ジャーナルとフィナンシャル・タイムズは「論説報道」です。わが国の新聞は「発表された事実の報道」です。相当に違います。

当局は「たいしたことはない」と言う。本当でしょうか?


(私のコメント)
90年代のクリントン政権からブッシュ政権まで、ことあるごとに日本の銀行に対して不良債権を処理しろと強く圧力をかけてきましたが、日本の銀行は損失を確定できなかった。担保に取っていた不動産が売りたくても売れなかったからだ。現在のアメリカでもそれと同じようなことが起きつつあります。ただし違うのはアメリカやイギリスは不動産も証券化されて売買されるので処理が早いと言う事です。

よく銀行の債権放棄はモラルハザードだと言われてきました。一億円の債権が半値に値下がりして5000万円になったら残りの5000万円は債権放棄したのと同じなのですが、日本でそれをやろうとすると5000万円に税金がかけられる。ところが証券化されていると証券だから半値に値下がりしても債権放棄ではないから税金がかけられない。

だからアメリカの大統領から強く圧力をかけられても日本の銀行は処理が出来なかった。アメリカの住宅ローンは1200兆円あまりで60%が証券化されて売買されている。しかしその証券が買い手がなくて値がつかない状況になっている。だから金融機関も損失が確定できないでいる。

そんな時に日本の総理大臣がアメリカの大統領に向かって不良債権を処理しろといったら怒るだろう。そのような事をアメリカは90年代からずっと日本に圧力をかけてきたのだ。ようやく日本も不動産の証券化が進みましたが、住宅ローンの担保処理で債権放棄が無税で出来れば日本のバブル崩壊の後始末ももっと早く処理できたはずだ。

日本の税法は時代の流れに遅れて時代遅れになっているから問題の処理がなかなか出来ないでいる。税務官僚や法律家はどうしても頭が固くて、そのくせ自分では頭がいいと思い込んでいる。法律を改正する政治家は実務が分からないから税法をいじくれない。だからどうしても税務官僚に丸投げしてしまう。

株式の税法も証券化の時代に乗り遅れているからアメリカやイギリスに後れを取ってしまうのだ。日本では株で儲けてはいけないような税制になっているが、アメリカでは年金などのインフラになっているから株式の値上がりは必要不可欠であり、株が値下がりする事は年金崩壊につながる。だから株式投資にはあらゆる優遇措置がとられているのに日本では株で儲ける事は悪なのだ。オーストラリアでは相続税すらない。

アメリカの住宅ローンの残高は1200兆円あまりですが、バーナンキはサブプライムの焦げ付きは10兆円だといっていた。日本のエコノミストはそれを真に受けてサブプライムの焦げ付きが確定できているのだから問題はないと解説していたが、日本の専門家達も何も分かっていないのだ。1200兆円の住宅ローンの規模でバブルが崩壊して10%の焦げ付きで済むはずがないのだ。

事実はすでに欧米の中央銀行が42兆円もの資金供給をしているように、誰も買わなくなった債券を中央銀行が買っている。8月9日にはクレジットクランチが起きかけたのですが、世界の株式市場から300兆円ものマネーが消失してしまった。こんなのはまだまだ序の口で、日本のバブル崩壊は1500兆円ものマネーが消えてしまった。だから今回の世界金融恐慌でいくらのマネーが消滅するか誰にも分からない。

日本は経済力があるから1500兆円もの資産消滅が起きても何とか持ち堪えましたが、アメリカで株と不動産の暴落で資産消滅が起きたら耐えられないだろう。401Kの年金は破綻して社会不安が拡大する。住宅ローンが返せなくて持ち家も失い年金も無いとなれば町に浮浪者があふれることになる。アメリカから投機資金も逃げ出してドルは暴落する。

アメリカ経済が世界の景気を支えてきたともいえるのですが、そのアメリカが駄目になったらどこが世界経済を支えるのだろうか? EUも今回のバブル崩壊に巻き込まれてしばらくはだめだろう。今までは日本からの資金供給が世界経済を活気付けていたのですが、その方法も限界だ。日本の奥さん連中までFXに手を出して円の急騰で火傷をしている。

日本の不動産や株式市場の活性化が望まれているのに税制上のメリットが無い為に国内に投資されずに2、3%の金利差で外国証券買いに向かっているのは馬鹿げている。国内にはあり余る資金があるのにそれが国内で使われず外国の債券買いになっている。アメリカの住宅ローンは1200兆円なのに日本の住宅ローンは200兆円しかない。経済規模が半分だとしても600兆円の住宅ローンがあっていいはずだ。

アメリカでは住宅ローン利子は減税の対象だしセカンドハウスも減税の対象だ。日本では中越沖地震で見られるように老朽化した住宅の倒壊が目立ちました。息子達が実家をセカンドハウスとして建替えれば減税にもなるし景気対策にもなるし相続税対策にもなる。「株式日記」では様々な景気対策を発表してきたのに、財務省は頑として景気対策としての税制改正をしようとはしない。逆にサラリーマン減税を廃止して消費を冷やしまくっている。

経済官僚やマスコミの経済記者などは経済実態を情報公開しようとはしない。あるいは本当に知らないのかもしれない。でなければ「株式日記」がこんなに読者を集めるわけが無い。「株式日記」を読んでいれば今回の大暴落も火傷せずに済んだと思いますが、新聞テレビしか見ない人は一体何が起きているのか真相が分からないようだ。バーナンキFRB議長ですらデタラメなサブプライム情報で混乱させている。




サブプライムショック発の信用収縮が、デリバティブ爆弾に着火し、
最悪の事態(デリバティブ破綻による世界恐慌)も想定すべきだ。


2007年8月17日 金曜日

世界が円の役割に気づき始める。 8月10日 エスプレッソダイアリー@信州松本

もう日銀は8月に利上げなんかできないでしょう。もしも利上げをしたら、世界の市場に与える影響が大きすぎる。CNBCには、「円キャリー・トレードは死んだ」とか、「日銀の利上げはないだろう」と解説する人たちが登場しています。いま起きているロンドン市場の暴落が収まったとしても、しばらく世界の市場が神経質な動きを続けることは間違いありません。

私には円高のリスクが世界中に拡散しているようにも見えます。たしかに貿易だけを考えれば、ユーロ安やポンド安は欧州にとって有利。しかし、それで信用収縮が広がり続けたら、元も子もない。私たちが気づかないうちに、円という通貨の役割が、とてつもなく大きくなっていたのかもしれません。

これまでの世界では、信用収縮が起きるたびに米ドルを司るグリーンスパンが機動的な判断を下してきました。アメリカが金利を下げて、充分な流動性があることをアピールすれば良かった。しかし、いまアメリカが金利を下げたとしたら、それはドル不安やアメリカのインフレにつながってしまう恐れがある。多くの新興国は、自国の通貨高を引き受けきれないでしょう。だとしたら、どこかの通貨が潤沢な資金供給の源になる必要がある。

私には、米ドルが背負ってきた世界経済という名の重い荷物を、円が共に分かち合うことを求められている局面のように感じます。つまり、円もまたドルが歩んできたような通貨安の道を選び、世界の信用創造に貢献することが期待されているのではないか。福井総裁のところには、バーナンキから電話が行くかもしれません。「日本の利上げは、世界経済に与える影響が大きすぎるよ」、と。

日本の物価は、上がらざるを得ないでしょう。いまのような我慢を続けていても、もう誰も儲からない。内需関連の会社は、次から次へと合併せざるを得ず、社長や役員の人数も減ってゆきます。つまり円安によって、日本は世界の成長に貢献すると同時に、内なる構造改革を受け入れざるを得ないところまで追い詰められているとも言える。以前は世界の平和と安全のために軍隊を出すことを求められた日本ですが、いまは世界の経済のために資金を出すことが求められているのではないでしょうか。いわゆる「ワタナベさん」が出すお金で、世界経済の安定的な成長が約束されるのです。

ふつうなら先進国の中央銀行の動向は、事前にある程度は読めるものです。ところが日本の場合は、政策が不透明になってしまっている。ゼロ金利を解除するときには、さんざん透明性を求められて、1%前後の消費者物価の上昇を目安にするという話になっていました。

ところが最近では、物価がマイナスを続けているのに利上げだから、いったい何を基準にしているのか分からず、「蓋然性が高い」という曖昧な話で利上げが決められている。だから8月に利上げするのかどうか?も、まるで競馬の予想のような状態です。もしも日銀の政策決定会合が開かれるまで、このような不透明感が続くなら、私は世界経済に与える影響が大きいと思います。

嵐は続いてます。どこで株や為替が反転するのか?それを多くの人々が見守っています。バーナンキ議長はFOMCを終え、きのうは合衆国大統領が記者会見で対応を語りました。ポールソン財務長官は「いかなる形であれアメリカへの投資を歓迎する」と話し、ドルの維持に務めています。

次は、日銀の福井総裁が記者会見するなり、新聞のインタビューに応じるなりして、何らかのメッセージを出すことになるかもしれません。さすがに「利上げしません」とは言えないものの、円が世界で果たす役割について何かを喋らないわけにはいかない、と私は思います。そして市場は8月の利上げ見送りを確信し、円安へと歩みやすくなるのではないか…。

大量のお金を抱きかかえたまま、周囲を見ないで何もしないでいることは、ときとして他の人々にとって不愉快の原因ともなります。今回の株安と円高は、世界の経済にとって円という通貨が極めて重要な役割を演じる時代に入ったことを告げているのではないでしょうか。もう誰もが円高と株安との相関を胸に深く刻んでいるはずです。2007年の夏、マーケットは世界に2つの選択肢を示しました。ひとつは、円安&株高。もうひとつは、円高&株安です。通貨マフィアたちは、前者を選ぶと予想します。



収縮はデリバティブ破産へ 世界恐慌の可能性 8月17日 国家破綻研究ブログ

今回の世界同時株安に関連して、各国の中央銀行は、信用収縮に対応するために、流動性(簡単に言うとマネー)を供給しています。その額は、トータルで30兆円とも言われています。しかし、それにもかかわらず、世界株式市場は、大きく株安となっています。アメリカだけではなくイギリスの不動産バブル崩壊の可能性も指摘されており、これ以上の信用収縮には、世界経済はギブアップとなることもありえます。

過去のエントリーで、
『信用創造の縮小によって、50兆ドル(5000兆円)とも言われる巨額のデリバティブ(派生金融商品。非常に簡単に言うと、レバレッジの効いた権利取引)の焦げ付きも懸念されるところです(「「2011年金利敗戦」とサブプライムローン・デリバティブ破綻 国家破産のための保険を」)』
『このような信用創造の縮小は、過熱気味の世界景気に、ボディーブローのように効いてきます。それを先送りするかのようにジャブジャブに供給される円とドルですが、それとてもある一定の臨界点を超えると、巨額のデリバティブの焦げ付きもありうるのではないでしょうか(「アメリカ景気減速か サブプライムローン破綻 世界景気減速・世界同時株安ふたたび? 日本国破産の遠因か」)』
と書きましたが、まさに、サブプライムショック発の信用収縮が、デリバティブ爆弾に着火しようとしているように見えます。ですが、長期金利が上がっていないことから、不発に終わる可能性もあると見ています。

LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の破綻を思い出された方もおられると思います。あの時も、質への逃避が起きました。今回も、主要通貨の長期金利は上がっていません。

ただの、中規模の世界株式調整であって欲しいが、最悪の事態(デリバティブ破綻による世界恐慌)も想定しなければならない、と主張します。また、デリバティブ破綻が起こらなくても、この調整は、グズグズと数ヶ月続く可能性がある、とも指摘します。


(私のコメント)
今週は夏休みで書くこともなくて閑ネタを考えていたのですが、アメリカでサブプライム爆弾が破裂して、それがディリバティブ破綻につながって世界の金融機関がクラッシュしそうだ。世界中のファンドマネージャーが夏休みに入ってバカンス中だから、世界中のファンドの状況の実態がつかめず損失の規模もまだ特定できない。株式の暴落は世界金融恐慌のほんの一部の現象であり、問題は債券市場だ。

為替市場から見るとドルとユーロの暴落と円の急騰は何を物語っているのだろうか? 円キャリによるドル経済圏とユーロ経済圏にバブルが起きた。世界中が好景気に沸いて株高と不動産バブルに沸いて、日本だけが株安と不景気が長く続いてゼロ金利で資金需要は国内では無く、日本の資金は海外に流失していった。

ユーロ高とヨーロッパの不動産バブルは日本からの資金で起きたのだろう。アメリカではサブプライムで不動産ブームも終わりを迎えましたが、ヨーロッパの不動産バブルもそろそろ終わろうとしている。だから中央銀行の対応を見ると欧州中銀の資金供給が一番大きく、ヨーロッパの不動産バブルが大きかった事を物語っている。

サブプライムだけが問題ならアメリカだけの問題ともいえますが、欧州中銀が資金供給した金額が一番多いということはEUが不動産バブル崩壊の規模が大きい事を示している。さらに世界各地の不動産バブルにも波及して、世界の投機資金は円キャリの逆流によって昨日と今日で7円もの円高になっている。今回の世界同時株安は日銀の金利引き上げによるものではなく、欧米のバブル崩壊によるものだ。

今月の日銀の金利の引き上げは不可能になり、福井総裁が強行すれば世界金融恐慌を起こしかねない。むしろ金利の引き下げで不安定になった世界の金融を落ち着かせる必要がある。エスプレッソダイアリーに書いてある通りに日本のゼロ金利からの金利の引き上げによる金融市場の変調が現れ始めたのだ。

USドルが果たしてきた世界の基軸通貨の交替期が来たのであり、円の役割は世界金融においてますます重要性が高まってきているように思える。それは円ドルチャートやユーロ円チャートを見れば分かるように、世界の投機マネーは大変動があるときは一番強い通貨に集まる傾向にある。つまり円が世界の基軸通貨になることが望まれているのだ。

しかし円が世界の基軸通貨になるためには、経済力だけではなく軍事力や情報力などをつけなければなりませんが、日本の政治家や経済界にはそのような気概はない。日本の学者達は日本の本当の実力を評価しようとはせず、自虐的になり日本を貶しアメリカを世界にスーパーパワーと称賛する。・・・今までならそれでも良かったのですがアメリカは明らかに衰退期に入っている。

規模から言えばEUのユーロがドルに代わる基軸通貨になる可能性がありますが、通貨の後ろ盾になる経済力の強さと質的な面では円が基軸通貨になる資格をもっているのではないかと思う。日本は80年代から円高に耐えてきましたが、それが円を世界一強い通貨にしてきた。ドルはいくら安くなってもアメリカの産業は復活せず金融だけで稼ぐようになった。しかし金融は今度のような金融パニックが起きれば壊滅的打撃を被る。

中国も元も注目されていますが、中国は世界の工場と言われても資本と技術は外資に頼った世界の下請工場に過ぎない。元が切り上げられれば中国の輸出産業は壊滅的打撃を被る。ユーロもユーロ高にどれだけ耐えることが出来るだろうか? 円ほどは強くは無いと思える。それに対して日本は素材や部品などで円がいくら高くなろうと耐えるだけの力をつけてきた。

「株式日記」ではかつて「大東亜共円圏」構想について書いたことがあります。中国や韓国や東南アジアは日本の経済圏に入りつつあります。いずれも日本の資本と技術に依存した経済圏だからです。


大東亜共円圏構想について(その3) 1998年5月4日 株式日記

アメリカは91年のソ連の崩壊により軍事力による世界支配の時代を終えました。これから当分軍事力でアメリカを上回る国家は現れないでしょう。中国もいずれソ連と同じ崩壊の道を歩むと見ています。もしアメリカに対抗できる軍事国家が出来る可能性がある国は日本だけでしょう。日本が本気になって軍備を増強したらソ連以上の軍事的脅威になります。これからの戦争はスーパーコンピューターと軍事衛星とミサイルが主要な兵器となります。それらを作るハイテク技術は日本がアメリカを上回っているかも知れません。しかしその心配は当分ありません。そしてアメリカは金融による世界支配を目指し始めました。ユーロの誕生もマルク、フラン、ポンドといったバラバラの体制ではドル帝国に巻き込まれる恐れから誕生したものです。出来ることなら日本もドル本位制から脱却してユーロとの連携を深め、少しでもドル帝国主義にによる金融略奪から逃れる作戦を立てるべきでしょう。出来ることなら大東亜共円圏を作りドルからもユーロからも独立した新しい通貨圏を作ることを目指すべきです。アジア諸国の繁栄は主に日本からの投資と技術協力により経済発展をしてきました。しかしドル帝国主義者はそれを横取りすべく陰謀を図ってきたのです。まず85年のプラザ合意で円高ドル安を仕掛けることにより、円資本をアメリカとアジアに引き出させます。そして今度は急激に円安ドル高に誘導します。ミスター円こと榊原氏はルービン、サマーズの二人の思惑に気がつかず円安ドル高の陰謀に躍らされます。日本の輸出企業を救うためでもありました。しかし思惑とは別に円は60%もの円安により、アジアの経済競争力は低下しました。そこをソロスをはじめヘッジファンドがアジア経済の破壊活動を始め、見事に成功してタイに始まり韓国までその支配下に置くことに成功しました。そして今回のアジアの経済危機は日本によるものであると、アメリカ政府議会は宣伝しています。確かに日本はアメリカに躍らされた面があります。日本政府がドル帝国の陰謀に気がつかなかった責任があります。アメリカはドルの安定を計ることをせず、むしろ上げ下げすることによりドルを武器として使っているのです。FRBは今までどれだけ協調介入に協力しただろうか。基軸通貨でありながらその努力した形跡は見られない。


(私のコメント)
日本こそ世界のスーパーパワー国家として世界をリードすべき国家なのですが、日本の政治家や官僚にはその気概は無い。日本はあまりにも自虐的で自己卑下しすぎる。政治家や官僚にとってはその方が気楽であり小日本主義でいた方が楽でしょう。現在のアメリカが担っている役割をするとしたら安倍総理にしても福井日銀総裁にしても明らかに力量不足で、日本にはそれを支えるシンクタンクも無い。中央官庁も学歴秀才ばかりで壮大な世界戦略を考える頭脳の持ち主はいない。

1998年5月の株式日記を見ていただければ分かるように、私の描いた「大東亜共円圏構想」は自覚のあるなしに関わらずに実現の方向に向かっているようだ。1998年は日本のバブル崩壊で最悪の時期であり山一證券をはじめとして次々と倒産して外資に買収された時期だ。だから危機感から「株式日記」を書き始めたのですが、10年近く前と比べてみれば現在の日本は変わりつつあることがわかる。





今回の株安で日米英の株式市場から300兆円以上の価値が消えて
なくなっています。世界の金融機関は全て破綻となるリスクも出てきた。


2007年8月16日 木曜日

日経平均が大幅続落、一時1万6000円を割り込む 8月16日 読売新聞

16日の東京株式市場は、前日の米株式市場の下落を受けて相場が大幅に続落し、日経平均株価(225種)は一時、前日終値比552円67銭安の1万5922円94銭を付け、今年に入っての最安値を更新した。

 1万6000円を割り込んだのは昨年11月29日以来、約8か月半ぶりだ。

 日本銀行は16日午前9時20分、3日ぶりとなる資金供給に踏み切り、金融機関が資金を貸借する短期金融市場に4000億円を供給した。日銀は今月10、13の両日に計1兆6000億円の資金供給を実施したが、15日までに吸収していた。

 この日の東京株式市場は、米国の低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)焦げ付き問題が米景気を減速させるとの懸念から、幅広い銘柄で売り注文が先行し、取引開始直後に日経平均の下げ幅が300円を超えた。日銀の資金供給を受けていったんは下げ渋ったものの、その後再び下落するなど軟調な展開となっている。


市場には8・15暴落説 8月13日 ゲンダイネット

 瀕死の安倍政権がトドメを刺されそうだ。株式市場の大暴落である。10日も大幅に下げているが、市場関係者が冷や冷やしているのが8月15日なのである。

「ヘッジファンドは四半期末の45日前から解約を受け付けます。8月15日は7―9月期末である9月30日の45日前。この日、米国のヘッジファンドには、大量の解約が殺到するとみられています。これが現実になれば、ヘッジファンドは一斉に保有株を売って現金化する換金売りに走る。このアンワインド(巻き戻し)で、NY株に大暴落の恐れが出ているのです」(証券ストラテジスト)

 原因は、米市場を混乱させているサブプライムローンの深刻化だ。この問題で巨額の損失を被ったり、清算に追い込まれたりしたファンドは、表面化したものだけでも十数件に上る。ファンドで資金を運用中の投資家は戦々恐々だ。

「ファンドで運用されている資金の6割は年金マネーです。保険料を払っている加入者の手前、損失は放置できないし、目の前のリスクを軽減しなければ注意義務違反で訴えられかねない。15日に米国株がたたき売り状態になれば、日本市場にも飛び火するのは確実。16日の東証は大混乱です」(証券関係者)

 そんな時に、市場にも国民にも信頼がない安倍政権だから最悪だ。



世界で300兆円以上が吹き飛び更に? 8月16日 ワールドレポート

今回の株安で日米英の株式市場から300兆円以上の価値が消えてなくなっています。

これでもピークから10%も下がっていませんので、過去の下げ(20〜30%)に比べれば少ないほうであり、今後高値から20〜30%安になるのかどうか。
それともより深刻化し50%以上の下落になるのか。

今は誰も分かりませんが、今市場は<自壊>作用を起こしており、このままいけば、最悪の事態に陥るかも知れません。

ただ、ここで一旦下げ止まれば、値幅取りを狙って小型株が急騰するでしょうが、さてどうなるでしょうか。

金融株がメルトダウンの瀬戸際に 8月15日 ワールドレポート

昨日のAOLのブログ<Nevada>にて解説しました金融メルトダウンですが、今日も東京市場を直撃しており、みずほ、三菱UFJ、三井住友、そろって安値となってきています。
いくら、邦銀の所有するサブプライム債は高格付けだからといいましても、今や、この格付けが意味を成さなくなってきているのです。
しかも、全体像が見えない恐怖に市場がおののいているのです。


今日付けのVol.65 ワールドレポート(2007年8月15日)ではより深く解説させて頂きますが、このままいけば世界の金融機関は全て破綻となるリスクも出てきており、いくら預金がありましても価値をなくすという事態にまで発展するかも知れません。
世界がどのような形で今の金融市場を救えるのか。
詳しく解説させて頂きたいと思っています。


最後の砦 8月16日 ぐっちーさんの金持ちまっしぐら

えー、とまりません・・・

どこまでいくの、あなた・・・と言いたいんですが、多分9月はもっとひどいような気がする。CDSがじわじわ広がりだしており、前に申し上げたとおり、トリガーを引いたときに本当に機能するかどうかだれもしらない商品というかシステム。デフォルトオプションを行使してみたら相手が資金繰りに苦しんで倒産していた、ということはJGBオプションでもありうる訳で、上場もされていないのだから、何の保証もない。

個人的にはこれが本当に機能するかどうかが現時点での最大の関心事ですね。

さて、アメリカは 本日住宅着工が発表されます。一喜一憂しても仕方ないんですが140万戸を切ると大騒ぎになるでしょうね。

カントリーワイド(アメリカのモーゲージローン及び証券化の最大手)も資金調達ができず、最終的な調達レートは10%を超えたと伝えられてます(未確認)。この会社はこのままFRBが放置するならアメリカの住宅市場は崩壊する・・・なんて繰り返し声明をだしていましたが、人のせいにしている場合ではありませんね。

ただ、ここがもし倒産とかすると、多分被害は今の100倍くらいになるかな。彼らが組成したCDOはかなりましなほうで、これまで逝かれてしまうとさすがに・・・・です。注目しましょう。



(私のコメント)
夏休みなのに株の暴落が止まりませんが、9月のファンド解約分の払い戻しの為の資金を確保する為に売らざるを得ないのであり、それが15日から出てくるからだ。それが分かっているのだから前もって空売りをかけていれば確実に儲かるのですが、ファンドの方はそんな余裕もないようだ。おそらく公的なところからの買い支えなどもあるのでしょうが、金融株や優良株ほど売られるのは海外からの換金売りなのだ。

「株式日記」を読んでいただいている読者の方は、現在何が起きているのか分かっている事と思いますが、テレビなどでは連日株が大きく下げている事は報じても、サブプライムがどうのこうのと経済記者たちは言っていますが、現在起きているのはクレジットクランチで世界各国の中央銀行は無制限の資金供給をしてパニックを抑えようとしている。

現在の世界で起きていることは80年代に日本で起きていたことであり、80年代の日本企業は財テクと称して本業をほったらかしてマネーゲームにのめり込んでいた。だぶついて金利の安かったユーロダラーを借りて株や土地を買っていたのだ。大衆も銀行から金を借りて住宅やマンションを買ったり株を買っていた。それが90年代に入って株や土地が暴落して、最初に住専などが破綻した。

住専に相当するのがサブプライムローンであり、銀行は焦げ付きかけた住宅ローンを住専に肩代わりさせていたところも多かった。しかしサブプライムだけの焦げ付きだけで済むわけはなく信用不安まで引き起こす状況になっている。欧米のファンドや金融機関はこれからが正念場で、ファンドや銀行の倒産騒ぎが起きてくるだろう。

日本の銀行も円キャリなどで世界に大量の資金を貸し付けているから日本にもクレジットクランチは波及してくる。一番安全だと思われていた債券が売りたくても買い手がいない状況では損失額も特定できない。マネーゲームが行きすぎれば何時かはこのような事は起きるのであり、日本で起きた「失われた10年」が世界的規模で起きる可能性がある。

アメリカの動向が一番注目されるのですが、FRBは金利を下げる事も上げる事もできず立ち往生している。出来るのは量的緩和だけで、世界から集まっていたマネーはアメリカから一斉に逃げ出してEUや日本に資金逃避させるだろう。そうなれば何もしなくてもドルが暴落して株も暴落する。先進国だけなら協調もできるのでしょうが、発展途上国のマネーは協調体制に従うだろうか?

アメリカのブッシュ政権のブレーンだったカールローブ補佐官が辞めましたが、政権が弱体化している時に経済パニックが起きて収拾が取れるのだろうか? グリーンスパン議長やルービン財務長官の頃なら大丈夫だったのでしょうが、バーナンキ議長とポールソン長官ではまだ実績がない。いくらアメリカ経済やドルは大丈夫だとか言っても実際にパニックが起きてしまうと新興国のマネーはアメリカから逃げざるを得ない。

安倍総理に代わっても経済政策には期待が持てそうもない。政府になんとしても景気を回復させようという意思がないからだ。財務省は景気が回復しかけると増税したり利上げして景気の芽を摘んでしまう。ゼロ金利政策もアメリカにマネーを還流させるものであり、日本の景気が回復して金利が上がると円キャリの逆流が起きて世界同時株安が起きてしまう。今回の株安も日銀の利上げが影響している。


「銭の風になって」

          あなたのモニターの前で 泣かないでください
          そこにお金はありません 戻ってなんかきません
          銭の風に 銭が風になって
          あの大きな市場を 吹きわたっています

♪      \\ ♪  //     \\ ♪  //     \\ ♪  //
     ♪    ∧ ∧     ∧ ∧   ∧ ∧     ∧ ∧    ∧ ∧     ∧∧   
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