株式日記と経済展望

ページを繰り越しましたのでホームページからどうぞ。


アメリカの軍事機密がイスラエルを通じて中国に流れている
ネオコンはアメリカを衰退させるためにイラクへ侵攻させた?


2006年3月31日 金曜日

いよいよ最新刊『次の超大国は中国だとロックフェラーが決めた』が発売されました。 3月31日 今日のぼやき

アルルです。更にイスラエルについて、ソーンは次のように述べる。

(引用開始)

 イスラエルは、ロスアラモス研究所の秘密情報を手に入れた最初の国だ。それから、許しがたい行為だが、彼らはこのきわめて危険な機密情報を、中国−これからのアメリカの最大の脅威−にも提供した。その見返りに、中国はイスラエルに最新の軍事機密を提供した。そうすることで、イスラエルが常に敵対するアラブ諸国の一歩先を行けるようにした。

 ほかの人はどう思うか知らないが、わたしはモサドと中国秘密情報局が手を組んだというこの事実に震え上がっている。というのも、イスラエルは現に中東で漁夫の利を得ているからだ。彼らがこの数十年の間アメリカに味方しているのは、これまではアメリカが。“お山の大将”(キング・オブ・ザ・ヒル)だったからである。

 だが、今では中国がわたしたちに取って代わろうとしていることをイスラエルは理解している。だから、イスラエルは忠誠心を捧げる相手をわたしたちアメリカから中国へと切り替えながら、それなのにいまだにアメリカから多額の対外援助を引き出し続けている。  「上」(p17)

(引用終わり)

アルルです。このイスラエルの諜報機関と中国との連携は、アメリカのエスタブリッシュメントの公認のもとで行われている、というのがソーンの見方である。その根拠付けとして、中国に対して、アメリカが、いや具体的にはアメリカの上層階級=貴族階級であるところの、ロックフェラー・グループがそのように意図的に中国を強大化させているのだと述べている。さらに引用を続ける

(引用開始)

 ロックフェラー家のピラミッドの頂点はシティグループであり、五万店舗以上の支店や系列会社を世界中に有する、広範囲に勢力を張った金融ネットワークとなっている。.‘世界中“という言葉が鍵だ。というのも、ロックフェラー家の忠誠心は、決してアメリカ合衆国に対するものではなく、世界規模の利益に対するものだからだ。

それから、アメリカの銀行で初めてモスクワや北京に出店したのはチェース・マンハッタン銀行であったのを、知っているだろうか。さらに、史上最大のトラック工場建設に出資したのも、チェース・マンハッタン銀行である。ただ落とし穴は、それがアメリカではなく、旧ソビエト連邦のカマ川沿いに建設されたことだ。旧ソ連と言えば、アメリカ最大の敵、悪の帝国、共産主義、スターリン、冷戦である。

 こうした情報を念頭に置きつつ、わたしたちは自問する必要がある。ロックフェラー一族のねら真の狙いは何なのか、と。最良の答えが、ゲイリー・アレン著『ロックフェラー帝国の陰謀見えざる世界政府』(高橋良典訳、自由國民社).の中に見つかる。

 「一族の動機は競争相手をわざと作り出すためにアメリカの資金とノウハウを使うことである。同時に、この国を疲弊させるために、考えうるあらゆる不正な策略を用いることだ。(中略)ただしその目的は決してアメリカ合衆国を破産させることではない。そうではなくて、われわれ国民の生産力、ひいては生活水準をもっと落とすことにある」    「上」(p82、訳者注、原書英文表記は引用では省いた)

(引用終わり)

アルルです。ここの部分は、副島隆彦監修で昨年の12月に発刊されている、ジョゼフ・マッカーシー著の『共産中国はアメリカがつくった』とあわせて理解できるだろう。

同時期に発刊された、『国防長官は何故死んだのか』(コーネル・シンプソン著)にも書かれているのであるが、共産ソビエトに対して、アメリカから秘密核技術が計画的に流出していたという事実がある。原爆製造の最高責任者であった、ロバート・オッペンハイマー Robert Oppenheimer 博士(ロスアラモス Los Alamos 原子爆弾研究所長、=マンハッタン計画責任者)自身や、ローゼンバーグ Rosenberg 夫妻などが、ソビエトと内通して、アメリカの核技術を大量にソ連に流出させたことが今では明らかになっている。

 もっと上部のアメリカのエスタブリッシュメントの中の、ロックフェラー一族が頂点から操(あやつ)った、ハリー・ホプキンスやハリー・デクスター・ホワイトといったルーズヴェルト政権の重要閣僚達が、当時の連合国仲間(同盟国)であるソビエトにきわめて不可解な、非常に激甘の姿勢があった。この背景が無ければたやすく核技術は流出しないし、戦争で疲弊していたソビエトや中国で、あんなにも急速に核実験が成功しなかっただろう。
すべては大きく仕組まれていた。単に個々のスパイたちの核技術の盗み出し、で出来ることではない。それと同じことが、現在も続いている。

また、アントニー・サットン教授というフーバー研究所の研究員を務めていた学者が、なぜかアメリカの最新技術が大量にソビエトに流れ出しているのを発見し、そこからアメリカのエスタブリッシュメントのアメリカの国益に対する裏切りを発見している。(詳しくは、アントニー・サットン著『ベスト・エネミー・マネー・キャン・バイ』などに書かれている。この本は未邦訳であるが、一部がこの『次の超大国は中国だとロックフェラーが決めた』に紹介してあった。) ソーンの次の文章を読んでみると良い。

(引用開始)

 その適例が中国である。中国は今や世界の次なる超大国として、アメリカに取って換わろうとしている。だからこの状況についてちょっと検討してみる。まず中国に「最恵国待遇」の地位を与えたのは誰か。アメリカ政府である。

 では、ハイテクノロジーのノウハウを提供して二一世紀へと向かわせたのは? アメリカ政府だ。そして、先端コンピュータ部品を供給したのは? これもアメリカ政府だ。中国製品はアメリカに大量に輸入されているのに、反対にアメリカ製品は中国政府から関税や政府の規制を受けている。こういう一方的な貿易協定を維持しているのは誰か? これもアメリカ政府だ。

このうえNAFTA(ナフタ)やGATT(ガット)が、いかにメチャクチャな協定(これもグローバリストたちが作り上げたものだ)かを知ったら、あなたは頭を掻きむしり、私たちのアメリカを意図的に弱体化させようとしている勢力は一体何なのかと考えるだろう。アメリカ合衆国、アメリカ国民がそれをしているのだろうか。それとも問題の背後に潜む怪物や蛇の仕業なのか。 
(上巻、p83)

(引用終わり)

 アルルです。以上が、本書の『次の超大国は中国だとロックフェラーが決めた』の重要な核になる部分の一つ目である。それ以外にも本書は、既に私たちが何度も紹介した、アメリカ現代陰謀理論(=真実の言論)の最高峰であるキャロル・キグリー Carrol Quigley 教授の『悲劇と希望』' Tragedy & Hope 'の紹介や、それ以外の約100冊の、世界の裏側の秘密を暴いた名著が紹介され、一冊あたり10箇所ぐらいずつの引用がなされている。だから、この上下2巻を読むと、網羅的に、約100冊の、アメリカの重要な定評のある政治思想書を読んだことになる。(中略)

最後に、最新のアメリカ政治情報を。現在、アメリカ国内では一本のレポート(論文)を巡って、密かな大激震が起きている。

 それは、アメリカのシカゴ大学のリアリスト派の研究者である、ジョン・ミアシャイマー教授が、アメリカ国内における、「イスラエル・ロビー」の活動の内容を詳細に記述し、批判した論文である。

 つまり、ネオコン批判は、そのままイスラエル批判に繋がるのである。これは少しばかり、フランシス・フクヤマも触れていたことである。日本では、産経新聞の古森義久(こもりよしひさ)氏のような「生き方そのものがネオコン」のような新聞記者達が、「ネオコンとユダヤ、イスラエルは関係ない」という嘘の情報を書き殴っているために、ネオコンはただの軍事強硬派程度の理解しかかない。

古森氏は、ユダヤ人のマレー・フリードマンという歴史家が書いた、“The Neoconservative Revoltion”という本を知らないのだろうか。この本の中では、ネオコンとはユダヤ人の政治思想運動であるということが明確に認められており、むしろそれを自賛する雰囲気がある。

 アメリカ国内では、去年秋から、ペンタゴンの諜報機関のメンバーがイスラエルロビーのAIPAC(エイパック)のメンバー二人に、アメリカの情報を売り渡した問題が発覚した。このアメリカ人は、ネオコンのダグラス・フェイス国防次官補の部下であり、フェイス次官補とイスラエル・ロビーとの関係から非常に問題視されるべき事件である。

 今週に入ってからも、アメリカのブッシュ政権の大統領国家安全保障担当補佐官(以前はライス国務長官がつとめていた)であった、スティーブン・ハドレー補佐官が突如辞任、後任に予算畑の、ジョシュア・ボルテン氏が就任するなど、ブッシュ政権のネオコン路線に露骨な批判が集まっている。

 ヴィクター・ソーンの言うように、アメリカの諜報組織CIAとイスラエルの諜報組織モサドは、一見するところ、仲が良さそうに見えるが、裏側ではCIAがモサドのアメリカ浸透に対して常に警戒を怠っていないのである。ここは重要な視点である。ミアシャイマー教授の暴露論文の登場の背景には、そのようなアメリカの表向きの支配者層とイスラエルの支配者層の緊張関係があることを見逃してはならないのである。

アルルの男・ヒロシ 拝



(私のコメント)
一昨日にミアシャイマーのイスラエルロビー批判論文を紹介しましたが、その中でも次のような文章がありますが、アメリカと中国とではイスラエルを通じて軍事的な連携が作られているようだ。

《 イスラエルは細心の注意を払うべき軍事技術を中国のような米国の潜在的な対抗者に供与してきた。国務省の査察官はそれを「体系的で増大傾向にある、公的に承認されない供与」と呼ぶ。また、会計検査院によれば、イスラエルは「米国の全ての同盟国の中で米国に対し最も活発なスパイ活動を行って」いる。 》

クリントン政権時代も大陸間弾道弾の重要機密が中国にアメリカの軍需産業を通じてもたらされましたが、小さなニュースになっただけで消えてしまいました。、アメリカの中にはイスラエルを通じて中国と連携しているグループがあるようだ。このような非愛国的行為はばれたら厳罰に処せられることなのですが、そのようなニュースはなかった。つまりアメリカの奥の院は中国とつながっている。

なぜアメリカ政府はこのような行為を見てみぬふりをしているのか、それはアメリカ政府ですら手の出せない奥の院が行なっている行為だからである。同じような事はソ連に対しても行なっており、冷戦時代も奥の院はソ連との貿易を独占して巨額の利益を上げていた。中国に対しても真っ先に投資をしたのは奥の院であり、中国を通じて巨額の利益を上げている。

アメリカ人でもこのようなニュースを知っているはずなのに、どうして奥の院に対する非愛国的行為が批判にさらされないのか不思議だったのですが、ようやくミアシャイマーやウォルトなどの批判論文が出るようになりました。知識人の間でも触れてはならない問題だったのですが、イラク問題が泥沼化してゆくにつれて、見て見ぬふりができなくなってきたようだ。

フランシス・フクヤマあたりは洞ヶ峠を決め込んでいるようですが、ネオコンの主張する「次はイランだ」というタカ派には批判的だ。アメリカにはとてもそこまでの国力も軍事力もないのですが、イスラエルにとってはイランを攻撃してくれればイスラエルを脅かす存在はなくなる。石油が目当てだという説もありますが、石油の軍事支配はアラブ諸国を敵に回すだけだ。

最悪の場合にはアメリカは中東の石油確保に失敗して国の生命線は絶たれることになるだろう。地理的に見ればイスラエルと中国との同盟で中東を支配する事が地政学的には一番有利な選択ですが、アメリカの奥の院はそこまでの設計図を描いているのだろうか。日本も将来はイスラエルと中国の勢力に加わって石油を分けてもらうようになるのかもしれない。

アメリカの大衆は星条旗を振りかざしてUSA!USA!と叫んでいますが、愛国心だけではアメリカの繁栄は図れない。9・11も誰の仕業かわからないのにイラクのサダムフセインが犯人だというガセネタでイラク侵攻しましたが、まったくのデタラメだった。アメリカ人はいつになったら目が覚めるのだろうか。BSEの牛肉を食べて頭が既にスポンジ状態になっているのだろう。

だからこそミアシャイマーのような知識人がタブーを破るように論文を書いたのですが、アメリカの奥の院によって葬り去られるかもしれない。あるいはアメリカでもイスラエル批判やユダヤ人批判起こってネオナチ的な国家に変身するかもしれない。キリスト教右派にはそのような体質がある。そうなれば日本は米中の間に挟まって動きが取れなくなる。アメリカが没落する前に日本は自主防衛体制を固めて米中に翻弄されないようにすべきだ。

小泉内閣もアメリカの奥の院が作ったものですが、靖国神社を参拝させているのも、中国がそれを非難しているのも奥の院の指示によるものです。小泉総裁は首相になる前は靖国参拝する人ではなく、皇室典範を改正して天皇制を骨抜きにするようなことを企む左翼的な人物だ。奥の院にとっても女系天皇を認めさせて天皇家をユダヤが乗っ取る事も考えているのだろう。あるいは雅子妃自身が既に日系ユダヤ人なのかもしれない。




バーナンキは雇用と物価双方に重点を置くか首尾一貫した
インフレターゲットの援用が可能である、と断言している。


2006年3月30日 木曜日

景気減速と利上げの板挟み 引き締め継続示唆のFRB

【ワシントン29日共同】バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長にとって最初の連邦公開市場委員会(FOMC)は、市場の予想通り0・25%の追加利上げとなった。FOMC声明は今後の景気減速を見通す一方で、原油高などによるインフレリスクを強調し、引き締め継続を示唆。新体制のFRBは金融政策のかじ取りでジレンマに直面しているようだ。

 米国経済は自動車販売の落ち込みが響き昨年10−12月期に実質年率1・6%成長と急ブレーキがかかったが、足元の今年1−3月期は「4・5−5・5%程度へ加速する」との見方が金融市場では広がっている。
(共同通信) - 3月29日18時43分更新


バーナンキのインフレターゲット論の復習 2005年12月5日 田中秀臣

ベン・バーナンキはFRB議長指名を受けての上院銀行委員会の公聴会においてグリーンスパン路線の継承を約束した。バーナンキは90年代からグリーンスパン後の金融政策のあり方のひとつとして、インフレターゲット政策を採用すべきだとする論陣を張っていた。

この上院での証言では、まさに物価安定と経済成長の安定、そして市場とのコミュニケーションを円滑に行うためにインフレターゲット導入が必要であると、バーナンキは力強く述べた。

このバーナンキ証言に対して、委員会のメンバーからインフレターゲットを採用することで物価安定が優先されてしまい雇用の確保が保たれないのではないか、という質問がだされた。それに対してバーナンキはインフレターゲットは物価と雇用の安定に共に貢献することができると言い切っている。

 インフレターゲットとは、改めて定義すると、インフレ率の一定の範囲(例えば2〜4%)におさえることを中央銀行が公表し、その達成のために必要な金融政策を行うことである。ただしバーナンキ自身がかって言ったように何がなんでもインフレ率の達成にこだわるような、「インフレ狂のいかれぽんち」に陥ることはない。

 バーナンキ自身は、現実の経済は非常に複雑であり、また不確実性を伴うものであるので、しばしばいわれる金融政策とその政策担当者を「自動車と運転手」の関係に喩えるのは誤りであると述べている(講演「金融政策の論理」2004年12月2日)。

なぜなら運転手は自分の走行中におこることがらをかなりの程度予測して運転しているが、金融政策の担当者には四半期先の予想でさえも困難なことが多い。確かに金融政策を通じて中央銀行は経済主体の予想に働きかけることができるが、それがどのように現実の経済に反作用するかを見極めることは実に難しい。

しかしそれだからこそこの複雑で不確実な経済において経済主体の予想に働きかける政策の方が、それを考慮しない政策よりも重要になる。なぜなら主体がどのように政策に反応するかの理解を欠いた政策実行は予期しない失敗を引きおこすからである。

 そして経済主体の予想形成とその経済への反作用をしっかりと政策当局が見極めるためには、予想をベースにした政策の実行とともに市場参加者と中央銀行とのコミュニケーションがきわめて重要になる、とバーナンキは述べている。

そして中央銀行は市場に対してその政策の目的や予測を伝えることで、市場からのリアクションに対して柔軟に対応するべきである、とも述べている。これらの政策に対する基本姿勢は、彼のインフレターゲット論の中にいかんなく反映されている。 (中略)

第二の要素のコミュニケーション戦略であるが、これはすでに自動車と運転手の比喩の話で触れたように、中央銀行が国民や市場参加者に対して政策目標、フレームワーク、経済予測を事前に公表することで、中央銀行の政策に対する信頼を醸成し、さらに政策責任の明確化と政策の決定過程とその帰結の透明性をはかろうというものである。

このことが自動車と運転手の比喩でも問題となった経済の不確実性について、少なくとも政策当事者の行動とそれを予測する民間主体の不確実性を大幅に減少することは疑いがないであろう。

 ところでこの「ベスト・プラクティス」としてのインフレターゲットがアメリカに導入される見込みはどうであろうか。従来、インフレターゲット導入への反対の論拠として、連邦準備制度の目的規定(連邦準備法2A条)とのダブルスタンダードになるという点をあげて反論するのが一般的であった。

 「連邦準備制度理事会及び連邦公開市場委員会は最大雇用、物価の安定及び緩やかな長期金利という目標を有効的に推進するために、生産を増加する経済の長期的潜在性と均衡する通貨及び信用総量の長期的成長を維持する」

 と連邦準備法にある。これはかってのハンフリー・ホーキンズ法の趣旨を反映した条文であるが、議会にもこの雇用と物価の両方への重視が強いことはすでに述べた。このようなダブルスタンダード批判について、バーナンキはここでインフレターゲットの柔軟性を強調し、雇用と物価双方にどんなウェイトづけを行っても首尾一貫したインフレターゲットの援用が可能である、と断言している。バーナンキ議長の意思が強固なことが伺われる。

 今後、アメリカでインフレターゲット導入の議論が高まることは当然に予想される。この議論が高まることによって日本においても同様の議論が高まることが予想されよう。実際に政府の一部では強力にインフレターゲット導入を視野にいれた日銀法改正論議まで行われようとしているようである。

すでに私はこのバーナンキ経済学を通して、日本銀行がその政策の説明責任、透明性、そして経済主体の予想形成、ほぼすべてにおいて稚拙な決定の連続であり、また今日においても外的な要因が重なっただけで金融政策のレジーム転換なきまま景気回復がある現状も指摘した。

簡単にいえば、丸山真男が過去に指摘した官僚的な「無責任主義」がまだ日本銀行とその利益団体ともいえる日銀シンパのエコノミストに根強い。この無責任主義を打破するためにもインフレターゲットの導入とそれによるリフレマインドの形成が日本社会にいま最も望まれているように思われる。


(私のコメント)
先週のNHKの「クローズアップ現代」に日銀の福井総裁が出ていましたが、インタビューの最後でバブルの発生と崩壊の過程での日銀の金融政策の誤りを認めていました。それは物価水準だけに気をとられていて、バブルの発生に気がつくのに遅すぎて金融の引き締めが遅れて、株と土地の相場だけが暴走してしまった。

それに対して三重野日銀総裁は「平成の鬼平」と言われてバブル潰しに出ましたが、今度は景気がクラッシュ状態なのに金融を引き締めすぎて金利の引き下げが遅れてしまった。まさに下手糞なドライバーの運転そのものでしたが、日銀は景気の先行きを見ながら金融をコントロールしていかなければならない。

10年前の日銀は景気の現状そのものも掴みきれなかったのですが、経済指標は3ヶ月前のものが出るから、景気の変動が大きい場合にはどうしても判断の遅れが出てしまう。だから市場との対話を進めながら現状を把握する必要があるのですが、政府日銀はどうしても一部大手輸出企業からの情報に偏りすぎているように思える。

またマスコミは政府や日銀の発表を記事にするだけで景気の状況をまともに調べないようだ。しかし現場の状況を調べようにも本当の景気の実態を知っているのは経営者と経理担当者の一部だけなのですが、なかなか本当のことは言わない事が多い。たとえば昨日まで派手に宣伝していた企業が突然倒産したりしているから実態が分からないのだ。

私は株式相場が一番景気の実態に近いのではないかと思うのですが、アメリカのグリーンスパンFRB議長は株式相場を横目で見ながら金融政策を行なっていた。しかし日本の政府や日銀は株価に無関心を装って金融政策を誤ってきたのですが、株式相場が分からなければ経済政策が出来るはずがないのだ。三重野日銀総裁は株式相場をまったく無視して失敗したのだ。

速水日銀総裁も同じ間違いをして景気の低迷を長引かせてしまった。ゼロ金利解除がその例ですが、景気が回復し始めると金融を引き締めて景気回復の芽を潰してしまった。株価は最悪の状況から戻しているだけであり、土地の価格はいまだに下落を続けており、土地が底を打たなければ本格的な景気の回復はないだろう。

東京の一部では土地の価格が上がり始めましたが、これが全国に波及していけば景気回復がはっきりとしてくる。しかしアパート・マンションの賃貸相場や貸しビルの賃貸相場などはじりじりと下げ続けており、金回りは相変わらず厳しい。やはり土地の価格が上がらないと担保価値も上がらず銀行の貸し出しも伸びない。あくまでも日本の金融の基本は土地担保金融なのだ。

アメリカではバーナンキFRB議長が金利を小刻みに上げましたが、これは景気後退懸念よりも原油の値上がりによるインフレの抑制に重点を置いた政策だろう。日本でも原油の値上がりでインフレ気味になるかと思っていたのですが、デフレ傾向は続いている。消費がそれ以上に低迷しているから値上げをすると売上げが落ちてしまう。

小泉内閣は財務省の財政再建路線で増税を打ち出しているから、増税した分の消費が落ち込み、税収も落ち込むだろう。小泉構造改革の結果、所得が落ち込み消費も減った。雇用情勢はいくらか持ち直しましたが、賃金の上昇には結びついていない。グローバル経済で中国の低賃金に引っ張られてしまうのだ。

土地や株といった資産が暴落して賃金もカットされては消費は伸びるわけがありませんが、アメリカは土地も株も堅調だから少しぐらいの引き締めでも景気の底割れはない。バーナンキは日本の資産暴落の恐ろしさを知っているから三重野総裁のようなバブル潰しはしないだろう。しかし当時の日本のマスコミはバブルを潰せと言う大合唱を行なった。それは日銀の主張でもあったのだ。

小泉首相は経済の事は分からないと自ら言っているから丸投げしているが、経済の事が分かる首相ならば株や土地が安定して上昇する政策をとるはずだ。そうすれば日本の金融も安定して伸びるだろう。そうなれば日本のデフレも解消する。次の首相にはぜひとも経済の事が分かる人になって欲しいものだ。





イスラエルのロビー活動がアメリカの国益にとってマイナスだ
フクヤマはブッシュ後には孤立主義が高まると予測している


2006年3月29日 水曜日

フクヤマの質疑応答 3月27日 地政学を英国で学ぶ

また、ブッシュ政権の根本的な間違いは、「何がアメリカにとって脅威であるのか?」という点がしっかり判断できていなかった、ということです。

これに対して、フクヤマが「歴史の終わり」で示したような「民主化」というのはどういう位置づけになるのかというと、イラクみたいな状況では「民主化」というのはまったく答えにならない、ということでした。

フクヤマは基本的にこのような過激なイスラム原理主義というのはグローバル化の影響によって、民主主義の社会の中にいるイスラム移民二世・三世の世代がアイデンティティー・クライシスを起こすことによって生まれる、という解釈をしております。

今後のアメリカの成り行きですが、フクヤマはブッシュ後にはアメリカ国民の間で右でも左でも孤立主義が高まると予測しており、これに対処するために中道連合を形成するのが必要だ、という認識を示しておりました。

この中でもまず注目だったのは「イラン問題」について。

フクヤマにとってイラン問題の解決法は三つあり、それぞれ挙げると、

1、軍事力による強制的政権交代
2、国連安保理による制裁
3、ライスの提唱するような平和的な政権交代

ということになります。もちろんフクヤマは1の軍事力によるのはもう無理だと判断しており、やはりライスのような(リアリスト的な)和平的なプロセスがよいと考えているらしいです。

次に面白かった質問は、年をとったおばさんがした「ネオコン=ユダヤ人・イスラエル問題」

フクヤマはこれについて本の中でも一章使って書くつもりだったらしいのですが、結局はやめたといっておりました。

まず彼はクラウトハマーの例を出して、「ネオコンはたしかにイスラエル右派の外交政策を自分の中で思想化してしまっている」という指摘。

その他にもイスラエルロビーの弊害などをさらっと触れておりましたが、どうも歯切れの悪い印象。今回のミアシャイマー・ウォルトみたいな直接的な批判は行っておりません。


アメリカがイラク侵攻をしたのはイラクのオイルを狙っていたからではないか?という質問には、たしかにそれもあるかも知れないが、それよりも9・11のミスのおかげでインテリジェンスに関してブッシュ政権が必要以上に敏感になっており、そこで脅威を感じすぎてしまって侵攻した、という独自の分析を披露。


The Israel Lobby John Mearsheimer and Stephen Walt

ミアシャイマー等のイスラエルロビー批判論文の日本語訳(その一)阿修羅より抜粋

米国政府はイスラエルに継続的な外交的支持も与えてきた。1982年以降、米国はイスラエルを批判する32の安保理決議に拒否権を行使したが、これは他の常任理事国の拒否権行使の合計よりも多い。米国はアラブ諸国がイスラエルの核兵器をIAEA(国際原子力機関)の議題にすることを妨害してきた。

米国は戦時にはイスラエルを助け、和平交渉時にはイスラエルの立場に立った。ニクソン政権はソ連の干渉の脅威からイスラエルを守り、10月戦争の時にもそれを再供給した。米国政府はこの戦争を終結させた交渉と、その後の段階を追った長期に渡る過程の両方に深く関与した。それは、米国が1993年のオスロ合意に先行する交渉と合意後の交渉に重要な役割を果たしたのと似ている。

いずれの場合でも米国とイスラエルの担当者の間には時折摩擦が見られたが、米国は一貫してイスラエルの立場を擁護した。2000年のキャンプデービッドの米国人参加者の一人は後に「我々は余りに頻繁に働いた・・・イスラエルの弁護士として」と語っている。結局、ブッシュ政権の中東を転換させるという野心は少なくとも部分的にはイスラエルの戦略的状況を改善させることを狙っているのだ。

イスラエルの戦略的価値を疑う最後の理由は、イスラエルが忠実な同盟国としては行動していないことにある。イスラエルの当局者は米国の要求を頻繁に無視し約束を破る(住宅建設を止めるとかパレスチナ人の指導者の暗殺を差し控えるという約束を含む)。

イスラエルは細心の注意を払うべき軍事技術を中国のような米国の潜在的な対抗者に供与してきた。国務省の査察官はそれを「体系的で増大傾向にある、公的に承認されない供与」と呼ぶ。また、会計検査院によれば、イスラエルは「米国の全ての同盟国の中で米国に対し最も活発なスパイ活動を行って」いる。

1980年代初めに多量の機密物質をイスラエルに与えたジョナサン=ポラードの例(それは伝えられる所ではソ連のユダヤ人の出国ビザの増加の引き替えにソ連に譲渡された)に加え、2004年には米国国防省の重要な担当者であるラリー=フランクリンが機密情報をイスラエルの外交官に渡したことが明らかになって新たな物議をかもした。イスラエルは米国に対して諜報活動を行う唯一の国であり、自国の重要な後援者に対し諜報活動を行う意欲はその戦略的価値により深い疑いを投げかける。

ミアシャイマーとウォルトのイスラエルロビー批判論文の日本語訳(その二)阿修羅より抜粋

ユダヤ系米国人は米国の対外政策に影響力を行使するために多数の強力な組織を作り上げた。その中でもアメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)が最も強力で有名である。1997年にフォーチュン誌が米国の国会議員とそのスタッフにワシントンで最も強力な圧力団体を列挙するように依頼したところ、アメリカ・イスラエル公共問題委員会は米国退役軍人協会に次いで二番目に挙げられ、AFL-CIO(米国労働総同盟産業別組合会議)や米国ライフル協会より上位であった。ナショナルジャーナルが2005年3月に行った研究でも同様の結果となり、アメリカ・イスラエル公共問題委員会はワシントンでの「影響力番付」で全米退職者協会と同点の二位であった。

部分的にはユダヤ系の有権者の大統領選での影響力のおかげなのだが、イスラエル系圧力団体は行政機関にも重大な勢力を持っている。ユダヤ系住民は全体の3%未満の人口しかいないのだが、彼らは民主党と共和党の両方の候補者に多額の選挙献金を行う。ワシントンポスト紙は、民主党の大統領候補は選挙資金の60%をユダヤ系の支援者から得ているとかつて推計した。そして、ユダヤ系の有権者は投票率が高く、カリフォルニア・フロリダ・イリノイ・ニューヨーク・ペンシルバニア等の重要な州に集中しているために、大統領候補者は彼らの反感を買わないための努力を厭わない。

イスラエル系圧力団体の物の見方は主流派のマスメディアでも優勢である。「中東専門家の間の討論はイスラエル批判を想像することすら出来ない人々に占拠されている」とジャーナリストのエリック=オルターマンは記している。彼は反射的かつ無制限にイスラエルを支持すると期待できる61人の特別寄稿者(コラムニスト)と解説者を列挙する。

逆に、彼はイスラエルを一貫して批判するかあるいはアラブの立場を承認する専門家をたったの5人しか見つけられなかった。新聞は時折イスラエルの政策に挑戦する特集記事を載せるが、意見の均衡は明らかに逆側にある。このような記事を米国国内で主流派のマスメディアが報道することは想像するのも難しい。


(私のコメント)
アメリカの外交が今後どのように変化して行くかについては、日本の将来にも大きく関わりがあるので注意しなければならない。その中でアメリカの保守派の学者の一部からイスラエルロビーに対する批判が出始めている。この事は9・11テロの後の「株式日記」でも論じてきたのですが、中東政策の失敗の後は孤立主義的な傾向が深まるだろうと私も書いてきた。

アメリカはもはやイラクのような2000万人足らずの小国ですら統治できないような国力しかない。13万のアメリカ兵も軍事基地の中に閉じこもり治安活動が出来るような状況ではないらしい。いくら制空権を支配したところでテロリストを攻撃するには手も足も出ない。テロリストは住民の間に紛れ込んでいるから歩兵でもって虱潰しにしないとどうにもならない。

このような状況だから、フランシス・フクヤマ氏もイラン攻撃については軍事介入については無理だと断定している。イラクですら無理だったのだから当然の事ですが、イランについては安保理の制裁でも政権の交代は出来るのだろうか。かえってイランの強硬派を勢いづかすだけだろう。

このようにアメリカのネオコン=イスラエル政権は袋小路にはまってしまって、アメリカは世界中から白い目で見られるようになり、国内でも世論が分裂してベトナム戦争当時のように反戦運動も活発化して、経済力も疲弊してカーター政権の頃のような自信喪失状態になるのではないだろうか。

アメリカを蝕むイスラエルロビーに関しては、ミアシャイマー氏やウォルト氏などがはっきりとした批判を論文で発表するようになりました。やがてはイラク侵攻の失敗からネオコン=イスラエルへの批判の高まりとともに世論の動向も注意が必要だろう。もともとキリスト教右派はKKKなどの過激なグループとも無関係ではなく、ユダヤ人に対する批判も高まる事もあるだろう。

ネオコンとキリスト教右派との連携についても書いてきましたが、テレビ伝道師などへのイスラエルの工作が影響しているようだ。キリスト教は原理主義化すればするほどユダヤ教に近くなり、ハルマゲドンを信ずるなどのオカルト的な面もあり、信者の数は6000万人以上もの大集団で、アメリカは急速に宗教国家化している。

もはやアメリカは70年代の頃までのようなリベラルなアメリカではなくなり、宗教右派の勢力が全土を覆いつくすようになって、映画などを見ても独善的な宗教観が出てきて、おかしな映画が増えてきている。国力が衰退するにつけてアメリカにもネオナチ的な傾向も出てきて、過激な保守派が台頭してくるだろう。宗教右派がその母体となって国民の不満をユダヤ人や非白人に向ける事もあるかもしれない。

最近では不法移民に対する法案に反対する大規模なデモが起きていますが、白人の保守派も危機感を募らせて移民に対する締め付けも強まってきたようだ。このようにアメリカ人から寛容さが失われて排他的になり、やがてはユダヤ人に対する排斥運動にも発展するかもしれない。その要因の一つになりかねないのはイラク戦争の失敗ですが、あまりにもイスラエルよりの政策はイスラエルロビーによる工作活動によるもので、アメリカ人の怒りがユダヤ人やイスラエルに向かいかねない。

イラク攻撃がアメリカの石油確保が目的なのか、イスラエルに敵対するイラクを叩く為だったのかは分かりませんが、その為にアメリカ兵が2300人も戦死してその10倍もの負傷兵を出している。おそらくアメリカ人は何のためにイラクで戦っているのか知る時が来るだろう。その為にはもっと多くの戦死者が出ないとアメリカ人はわからないのだろう。




帰国子女と言われてもてはやされる人の書いた英語は
読めたものではない。文法的にいい加減で、内容がない。


2006年3月28日 火曜日

小学校英語、必修化を提言 中教審、高学年で週1時間

小学校段階の英語教育について検討してきた中教審外国語専門部会は27日、全国一律に小学校で英語を実施する「必修化」を提言する審議経過をまとめた。今後、親部会の教育課程部会で授業時間数などを審議するが、導入への異論はほとんどなく、正式に必修化が認められる見通し。
 成績をつける教科とはせず、5、6年生は週1時間程度、共通の教育内容を設定することを提言。コミュニケーション能力の育成を重視するとした。
 中教審の最終決定を受け、文科省は2006年度にも改定する小学校の学習指導要領に必修化を盛り込む。
(共同通信) - 3月27日17時15分更新


斉藤兆史、『英語達人塾 極めるための独習法指南』 2005.10.15 子持ちししゃも

英語が「ペラペラ」という人ほど、文法的にいい加減で、内容のないことしか話していない場合が多い。中身も「ペラペラ」なのだ。バイリンガルとか、帰国子女と言われてもてはやされる人の書いた英語は読めたものではない。これは私の実体験でもある。

われわれはそういう幻想を捨て、目指すべき目標を、日本人としての立場に立脚した中身のある英語を身につけることに替えたほうがよい。それが著者の主張の第一点。

第二点は英語を学ぶ際には、学校文法、発音記号をまずきっちり学ぶこと。現在、中学校や高校で行われているような、文法的な説明なしに表現を自然に覚えさせるという方法は、まったく実績のないもので、中学以降でそんな教授法をしても、英語ができるようになった人はいない。文法を知らなければ、応用が利かないのだから、教えられた以上の発展はないのだ。

何年も英語を勉強しているにもかかわらず、英語が出来ないのは学校で文法ばかり教えているからだ、という俗説は完全な誤り。むしろ文法を身につけられるほど勉強していないということだ。もちろん覚えた文法を使った会話や作文の練習の時間があまりに少ないこともいけない。

第三点。正しい発音で、文章を声に出して読む練習をすること。英語を母国語とする人の朗読を聞きながらシャドーイングすることで、発音、リズム、呼吸、間の取り方などをホーリスティックに身につける練習は、基本中の基本だ。物まねが下手な人は、センスがないと思うべし。噺家が師匠に稽古をつけてもらい、師匠の間を盗もうとするのと同じことだ。

第四点、本をたくさん読むことで、表現を覚え、それを使って作文をすること。その際、見たことのあるものだけしか使わないようにすべし。独創的な表現は、基本ができていないうちは使う必要はない。手垢のついた表現、常套句等と言われようと気にすることはない。本を読んだら、自分の考えを言い表すのに使えそうな表現をノートに書きためておき、それを組み合わせることで文章を作り出せ。

・・・植民地でもないのに、わざわざ貴重な時間を費やして、英語なんてものを学ぶ理由は、国際的に通用する言語を用いて、日本人が日本人としての立場から自己主張をすることで、世界に埋没することなく、世界と共存し、かつまた世界に貢献するため。ほとんどの日本人は、それを理解していないのが、浅薄な英会話ブームを生む原因になっているのだ。

現在の英会話ブームは、英語ができれば格好いい、国際人になれる、もしくは就職に有利なのではないか、という無根拠な確信に基づく浅薄なものだ。NOVAでスラングを覚えたり、イーオンで買い物の練習をするだけなら、まったく意味がない。

とにかく、英語を勉強する前に、英語で伝えるべきものを学ぶほうが先だ。英語が使えるようになっても、話すべき内容がないことに気づいたときの幻滅は恐ろしいものがある。英語を学ぶすべての人は、心しておかねばなるまい。


日本人に一番合った英語学習法 斎藤兆史(著)

●「バイリンガル」は幻想に過ぎない

バイリソガルという言葉は、一般的には「二つの言語を同等に話すことができる人」を意味する。狭義には「二つの言語を母語話者のように操れる能力」を、広義には「ある言語の話し手が、もう一つの言語で完結した有意義な発話ができる時点」を指すこともある。

また、あくまで個人に注目した場合、バイリンガルの下位概念には、(たとえば、違う言語を話す両親のもとで育った子供のように)幼少期に同時に二つの言語を習得した「同時バイリンガル」、第一言語をある程度習得した段階で二つ目の言語を習得した「継続バイリンガル」、両言語の能力が等しい「均衡バイリンガル」、二言語のそれぞれにおいて母語話者と同等の能力を持っ「二重バイリンガル」、杜会的に恵まれた人間だけが選択の結果として二言語を習得した「エリート・バイリンガル」などがある。

だが、ここで重要なのは、これらはほとんど理論上の概念であり、本当にそれによって表現されているような能力が存在するのかどうかすら確認されていないということだ。とくに、多くの日本人が理想とする、話し言葉と書き言葉のすべてのレベルにおいて日本語と英語をそれぞれの母語話者同然に操る「二重パイリンガル」の人など、私自身、会ったことがない。

「バイリンガル教育」などというと聞こえはいいが、それが目標とする能力はきわめてあやふやなものである。もちろん、国際結婚の夫婦の子供などに、違う言語を器用に使い分げる子供はいる。だが、その能力は、その家庭の言語習慣やその子を取り巻く言語状況など、じつにさまざまな要件がからみ合って生まれた偶然の産物なのだ。しかも、その子供が成人するまでその能力を維持しつづけ、それぞれにおいて母語話者に引げをとらぬ言語活動を行なうという保証はどこにもない。

一方、子供をバイリンガルにしようと思って、日本語と英語の両言語で教育しつづけた結果、子供が失語症になってしまったという実例もある。カズオ・イシグロのように、両親ともに純粋な日本語話者でありながら、イギリスという圧倒的た英語環境のなかで育った結果、両親の努力の甲斐なく、日本語学習を嫌がって完全な英語の母語話者になってしまった人もいる。

子供であれぽ、きわめて自然に日本語と英語の二つを習得するはずだとの思い込みが蔓延しているが、実際の言語習得は、あくまで子供次第、環境次第なのである。そもそも、人間の脳はそれほど器用ではない。放っておけば、かならず安定した単一言語状況を求めるものだ。

第一、画一的な教育によって、高度な二言語話者が生まれたためしがあるのだろうか。英語で苦労した親にかぎって、子供をバイリンガルにしたがるものだが、どこに目標とする実例があるのだろうか。コミュニヶーション中心主義やバィリンガル教育を推進している人たちのなかに、日本人が目標とするような高度な英語の使い手が一人でもいるだろうか。

つまり、音声コミュニケーション中心の早期教育によって日英の完全な二言語話者を大量生産できると考えるのは、幻想以外の何物でもないのである。それに基づく有害無益な言語教育に一日も早く歯止めを掛けないと、二言語話者どころか、日本語も英語もまともに操れない日本人が大量生産される危険性がある。

日本人が理想とする英語の使い手がいるとすれぱ、それは英文著作で世界を感動させた新渡戸稲造、岡倉天心、南方熊楠、鈴木大拙であり、また一度も海外に出ることなく、母語話者の英語の試験をするほどの英語力を身につげた斎藤秀三郎である。彼らの英語学習を手本とするかぎり、まずは完全に日本語を習得したうえで英文法を学び、原書の多読を中心とした語学学習を行なうのが一番いいということになる。 (P131−P134)

斎藤兆史[サイトウヨシフミ]
1958年、栃木県出身。東京大学文学部英語・英米文学科卒業後、同大学院修了。東京大学大学院総合文化研究科助教授。専攻は英学。文学を中心とする英文テクストを言語学的に分析する研究を行なう傍ら、英語教育の現状に関する提言を積極的に行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


(私のコメント)
3月の23日に英国のエコノミスト誌の記事を紹介しましたが、これはパソコンの機械翻訳任せの文章であり、大雑把な意味は分かるものの日本語としてはめちゃくちゃであり大変読みにくい文章だ。しかしこれを日本語として読みやすい文章に書き換える場合、かなり国際政治に詳しい教養がないと、いくら英語の達人でも翻訳する事は出来ないだろう。

中教審では小学校から英語教育を義務化するようですが、「ゆとり教育」以上の間違った方針だ。私自身の経験から言っても英語以前に覚えなければならない事が小学生には山とあるのですが、さらに英語を詰め込むとすると、さらに小学生の学習能力は低下してゆくだろう。

私の意見としては高校ぐらいで英語に興味がある人だけ集中的にやればいいことであり、それ以外では教養として文法程度の学習すればいいのではないかと思う。小学校や中学校で英語を学んでも他の科目の授業時間を減らすだけであり、有害無益な結果しかもたらさない。

私自身が英語教育の犠牲者であり、中学校で始めて英語教育に接しましたが、日本語での作文が満足できない状況で英語を学んでも身につくはずがない。ネット上でも「2ちゃんねる」などを見ても感覚的な言葉を発するのみで、すぐに「氏ね」などと切れてしまう人が多い。まとまった考えを文章にして書ける人が大変少ないのだ。

また、日本語を書くことのみならず読むことすらも学校を卒業するとマンガしか読まない人が増えてきた。携帯のメールでは長い文章は書くことは無理だし、読むことも困難だろう。ネット上でもこれだけブログなどがブームになっているのに、まとまった文章を毎日書いている人が非常に少ない。

「株式日記」も毎日原稿用紙で10枚以上の日記を書いていることになりますが、日記は一時間程度で書いているから、サラリーマンでも書けないはずはないのですが、書くべき記事を決めるのに大変時間がかかる。身の回りのことだけなら書けるけど半年か一年でネタが尽きてしまう。

だから、日本語環境ですらこのような状況だから、大人ですら英語を学んでも身につくはずがない。「日本人に一番合った英語学習法」を読むと、新渡戸稲造や岡倉天心などの英語の使い手が紹介されていますが、日本人が英語で本を書いて評価される事など例外的なことでしかない。

現代でも語学の達人が英米で10年以上学んでも、英語の文章を書いてもやはり英米人に文章を添削してもらう必要があるらしい。天才と呼ばれた南方熊楠ですらそうだった。それくらい日本語と英語とは距離があり、小学生が学ぶべきやさしい学習科目ではないのだ。

親米ポチ政権である小泉内閣がこのような英語教育を小学校から始めさせるのも、他に意図があるのであり、英語コンプレックスを植えつける事で日本人をアメリカの植民地人化するためのマインドコントロールとしての目的があるのだ。だから外人に話しかけられただけで英語で答えなければという強迫観念にかられてしまう。むしろここは日本なのだから外人に対して「日本語が出来ますか?」と言うくらいの気構えが欲しい。

今朝のワイドショーでもコメンテーターが「英語は国際語なのだから学ぶべきだ」と言っていましたが、みのもんたや久米宏といったテレビの有名なキャスターですら英語が出来ないのはなぜなのか?大テレビのアナウンサーに合格できる人は2000人に一人と言われるくらい難関なのですが、そういう人でも英語が出来ない。

メジャーリーグで活躍している野茂やイチローがアメリカで5年や10年アメリカで生活していても英語は話せない。英語で話しても正確に相手に伝わらないからですが、それくらい日本人が英語をマスターする事は難しい。ドイツ人やフランス人なら米英で何年か暮らせばマスターする事は出来るだろう。しかし日本語は言語的な繋がりはないから無理なのだ。

テレビでも英語の達者なタレントがぺらぺら話していますが、英米人から見れば間違いだらけの英語を使っているらしい。アン・ルイスというロック歌手がいましたが、日米のハーフですが英語も日本語も十分に話す事ができないようだった。宇多田ヒカルの英語の歌詞も酷いものらしい。アメリカに行ってスラングだらけの英語を教わっても意味がないだろう。

今でもアメリカやイギリスに語学留学している日本人は数十万人もいますが、仕事で英語を使えるような人はごく一部だろう。留学経験のある政治家や官僚は沢山いるのに英語を満足に話せる人はほとんどいない。外務省の在アメリカ大使館ですら新聞記事などの情報収集にはアメリカ人学生アルバイトを使っている。外務省のエリートですら英語が満足に出来ないのだ。

逆もそうであり、アメリカ人が日本語を学んでもご愛嬌レベルであり、話す事はできても読み書きは出来ない。語学の天才であったラフカディオ・ハーンですら日本語で書くことは出来なかった。漢字やアラビア語などは英米人にとっては宇宙人の文字である。それくらい外国語学は難解な学問なのですが小学生に習わせるのは無謀なのだ。




小泉政権のイメージと重なる「弱者切捨て」や「弱肉
強食」や「拝金主義」などの象徴がホリエモンだった。


2006年3月27日 月曜日

宮崎学X植草一秀対談 直言 第3回

宮崎:それで、腰砕けになった民主党の話をしていたところなんですが(笑)、かりにですね、ライブドア問題が起こったときに、責任追及の問題をですね、政治家へのカネの流れだけにスポットを当たるような方向にしたんだけれど、本来的にはもっと違ったところ、つまりライブドア的な、あるいは村上ファンドもそうなんですけど、ああいうあり方、規制緩和という流れについての追及をやられてしかるべきだったんだろうと。政治的背景としての問題としてですね、この点に関して植草さんは、ライブドアのようなものが出てきた、あれだけのことをカネをかき集めてやってしまうということに関して、竹中が進めてきた経済政策との関係の中で、どういうふうに見ていけばいいんでしょうか。

植草:去年の9・11総選挙の時、私は岡田さんにも手紙を書き、この状況では民主党は大敗する、戦略を変える必要があると伝えたんです。民主党はそもそも総選挙の時の争点の打ち出し方に失敗している。もっとも、民主党は結局争点を打ち出さなかったのですが。民主党は、ひたすら「政権交代したい」としか言わなかった。対する小泉自民党は、「公務員を20万人以上減らす改革をやるんだから改革を進めさせてくれ」と訴えた。何も知らない国民は小泉政権が何かいいことをしてくれるような錯覚を持つわけですね。で、小泉政権はホリエモンを「がんばった人が報われる社会」の象徴的な成功事例として、「改革の旗手」としてかつぎ上げたわけです。

 ところが、ホリエモンが今回こういうことになって、ホリエモンが象徴していたもの、「弱肉強食」、「市場原理主義」、「拝金主義」。そして外交でいえば「対米隷属=外資優遇」。結果としての「格差社会の全面容認」、「弱い者は消えろ」というコンセプトに対する激しい揺らぎが選挙後初めて噴出し始めたのだと思います。

 民主党は本来、昨年の総選挙でこうした争点を明確にし、自民党の基本コンセプトを明確に浮き彫りにして、それに対する対案を具体的に示すべきであった。基本的な政治信条、政治哲学において小泉自民党を徹底的に追及し、小泉自民党の本質を浮かび上がらせるべきだった。こうした本質論を抜きにして、政治家のカネにまつわるスキャンダルだけを取り上げる、成果があがれば面白いのかもしれませんが、それだけしかやっていない。私は去年の総選挙に際して、明確な重大争点が少なくとも二つ挙げられると言った。一つは、「本当の改革とは何か」という問題です。小泉首相は郵政民営化が改革の本丸だと言っているのですが、民主党は、「本当の改革は天下りの全面廃止」だと言うべきであると私は訴えました。

 小泉自民党は、4年以上も天下りに対してまったく何も対応していない。たとえば、テレビでの政党コマーシャルで、「郵政民営化と天下りの全面廃止、あなたはどちらが本当の改革だと思いますか? 民主党」などと訴えるべきだった。

 改革の入り口・出口という話がありますが、小泉政権は郵貯・簡保・年金がお金の入り口であるとの意味で「まず郵政から」と言ったと同時に、郵政を「突破口」として、もっと広く深く変革を進めてゆくようなイメージの話を繰り返し唱えていました。改革の本当の対象は何かと言うと、財政投融資でいえば、郵貯・簡保・年金で入った資金が特殊法人や公益法人に配分されてゆく、その対象の特殊法人、公益法人こそが「本丸」なのです。70余の特殊法人、2万6000も存在する公益法人の多くが、まさに「日本のブラックホール」なんですね。ここを根本から整理するのが「改革」なんですね。その本質は「郵政」ではなく、「天下り」なんです。「天下り全面廃止」こそが「真の改革」だということを明確に示し、小泉自民当に対して民主党は真正面から「改革真っ向勝負」をやるべきでした。

 もう一つのテーマは「弱者保護」です。去年の夏、国会周辺では障害者自立支援法反対の障害者の方が連日の座り込みをしていました。マスメディアはこの事実をほとんど伝えませんでした。がんばった人が報われるべきというのは正論だと思いますが、本当に社会が豊かであるかどうかの判定基準は、「豊かな人がどこまで豊かになれるか」ではなく、「本当の弱者に対して社会がどこまでケアできるか」に置かれるべきだと思うんですね。「天下り」のような特権者に対する利益供与はばっさりと切り込む一方で、真の弱者に対しては完全なケアを示す。ここに民主党の独自性をはっきりと打ち出すべきだと私は思いました。

 「効率的だけれども温かみのある政府」、あるいは「効率的だが弱者をしっかり支える民主党」という政治信条を明確に示すべきだった。この立場に立つとき、「障害者支援自立法」の是非を問うことは非常にわかりやすい政策対応だったと思うのです。法律の内容を知らない方は誤解するかもしれませんので補足しますと、「自立支援」というのは言葉の偽装で、法律の内容を性格に表現すれば「障害者支援削減法」です。真の弱者である障害者に対してまったく冷酷な対応を進めてきたのが小泉政権です。

 解散で法案は廃案になっていましたから、選挙後の国会での重要法案だったわけです。さらに一つ付け加えれば、小泉政権の四年半は「対米隷属」の四年半でした。イラク問題、新生銀行上場、郵政民営化法案など「対米隷属」以外の何者でもありません。「対米隷属」でこのまま進むのか、それとも、表現するなら「独立自尊」でいくのかということですね。

外交を含めた三つの「論点」、真の改革をめぐる正面からの論争、弱者保護の是非、そして対米隷属か独立自尊か。政治信条、政治哲学の論点を明確にして総選挙を戦うべきだった。小泉政権のイメージと重なる「弱者切捨て」や「弱肉強食」や「拝金主義」などを象徴するもっとも分かりやすい存在がホリエモンだった。

 今回の事件をてこに小泉政権の本質を浮き彫りにし、国民を眠りから覚まさせ、再考を促す戦術が取られていれば展開はまったく違ったものになったはずです。それが民主党の大失策によって、かえって武部幹事長に英雄気取りになられたのではあいた口がふさがりません。

 民主党の前原代表の責任は重大です。大事なことは自分が党首でいられ続けるかどうかではなくて、民主党に投票した有権者の立場に立って党首としてなすべきことを考えることです。政党は党首の私有物ではないのですね。国民の票を大量に背負っていることを自覚した行動が求められています。現状では、党首が先頭に立って、自分の利益のことのみを考えているように見えます。


(私のコメント)
民主党は岡田代表と前原代表の失策によって政党としての機能が失われてしまいましたが、その原因は政党の人材が充実していなかったためだ。党首をサポートする党職員も旧社会党からの人が多く期待できないし、野党ずれしてしまうと「何でも反対」していた旧社会党的な体質が身についてしまう。

岡田代表はまったくの社会党路線で選挙で失敗しましたが、そのあとを継いだ前原代表は改憲などにも積極的で現実路線が期待できましたが、追い風が吹き始めたのに「堀江ニセメール問題」で墓穴を掘ってしまった。一発逆転を狙わずに正攻法で行けば政権は自然に転がり込んできたはずなのに、官邸の仕掛けた罠に嵌められたのだろう。

対談の植草一秀氏も官邸の仕掛けた罠に嵌められて社会的地位を失ってしまいましたが、なぜ官邸が植草氏を警戒したのかは、植草氏の発言を読めば分かるように、自民党の一番痛いところを突いているからだ。

小泉内閣は丸5年も政権を担当してきたのに、いろいろ問題のある郵政の民営化法案を通しただけで、改革の本丸である「天下り」問題に対してはまったく手がつけられず、任期切れ末期になってようやく持ち出してきましたが、これも任期切れを計算したパフォーマンスなのだろう。

政官財の癒着関係を絶つには政権の交代が一番効果的なのですが、民主党が堀江メールで政権担当能力が無いことが証明されて、自民党はこのまま恒久的に政権を担当してゆくのだろうか。むしろ民主党は自民党と大連立を組んで、それから二つに分かれたほうがすっきりするのではないだろうか。

植草氏も対米従属路線と独立自尊路線の二つを例にあげていますが、あるいは弱肉強食市場原理主義と弱者救済福祉路線との対立軸もある。しかし現在の自民党と民主党では理念が混在していて有権者には分かりづらい。小選挙区制度も自民党では立候補できそうもないから民主党から出たような議員も沢山いるから理念の対立なども無きに等しい。

二大政党制の本場のイギリスやアメリカも二つの政党の理念に違いはあまりなくなり、単なる政権交代だけが行なわれているのですが、これは自民党内の派閥で政権交代してきたのとあまり違いはない。だから第一自民党と第二自民党が出来てそれで政権交代してもいいのではないかと思う。

むしろ自民党政権が長期化して政治と官僚とが癒着して、官僚に政治を丸投げしてしまう体質の方が問題なのですが、それを防ぐには10年ぐらいごとに政権が変わることに意味があるのだろう。だから小泉自民党が対米従属路線ならば民主党は独立自尊路線で対抗するような対立軸を出すべきだったのですが、岡田民主党は対中従属路線を出してしまった。だから選挙で大敗した。

また小泉内閣は弱肉強食路線を出してきましたが、民主党は財政再建にとらわれて対立軸を出せなかった。ならば天下り禁止とか公務員の一律賃金1割カットとかの政策を打ち出して、小泉政権の弱点を攻めるべきだったのだ。しかし民主党は公務員労組などの関係で公務員の賃金カットなどの改革は出着ない。その意味では前原代表で区切りがつけられるかと思ったのですが無理なようだ。

現代では公務員が強者であり、民間が弱者になっているが、これこそ弱肉強食なのだ。だから民主党が政権をとるには公務員労組依存体質を切れるかどうかにかかっている。政権をとるためには国民政党になる必要がありますが、特定の利益団体を切らねば国民の支持は集められない。民主党が政権をとろうと思うのならば天下り禁止と公務員の賃金カットが打ち出せるかにかかっていますが、力のない前原代表では無理だ。




アメリカと日台韓の恐るべき軍事力の増強の最終目的は何か?
世界戦国時代の決戦正面は、ユーラシアの中原である中東です


2006年3月26日 日曜日

フジテレビ「報道2001」より山崎氏と西部氏


米国、イラク基地の維持を望む可能性=中央軍司令官

[ワシントン 14日 ロイター] イラクで米軍の作戦を統括しているアビザイド中央軍司令官は14日、中東地域の穏健派を支援するとともに石油の輸送を守るため、米国がイラクで軍事的プレゼンスの長期維持を望む可能性があると述べた。
 ブッシュ政権はイラクに永続的な米軍基地を置く構想を否定しているが、同司令官は下院歳出委員会で、その可能性は否定できないと語った。
 同司令官はまた、イラクで内戦が発生する可能性はあるが、「現状は内戦からは程遠い」と述べた。
 
(ロイター) - 3月15日13時34分更新

なぜ日本に外国の軍事基地がこんなにあるのか?


冷戦後の米欧の枠組みの変容(VOL.7) 国際戦略研究者・山本英祐/地政学研究者・江田島孔明

 アメリカ軍の世界的な再編成(トランスフォーメーション)戦略は2010−2020年代に想定される世界大戦に向けたアメリカの世界的軍事再編です。これは今後の世界情勢に極めて死活的に大きな意味を持ちます。米軍再編成がアジア・欧州・中近東に与える重大な戦略的影響を分析したいと思います。

■米軍再編とアジア軍事情勢の緊迫化■(山本英祐)

◆米軍再編と日台韓の国防政策

 アジアでの米軍再編と日本・韓国・台湾各国の国防プログラムを整理すると以下のようになります。東アジア地域において劇的に急速な軍事増強が見られるのは明白です。

 以下のポイントを分析すれば、高度な軍事分析能力のある人であれば今後中期的に東アジアがどの様に動くかを読み取ることは可能でしょう。

1)在韓米軍の再編

 アメリカ太平洋軍(US Pacific Command;USPACOM)概要と編成は以下参照
http://www.pacom.mil/about/pacom.shtml

 −向こう3年間110億ドルを投資して在韓米軍近代化を図る

 −兵力を約3万7000人のうち、1万2500人削減

 −陸軍第二師団と龍山基地司令部のソウル以南への撤退(烏山基地、 平沢基地への統合)

 −パトリオットPAC3導入

 −日本海へのイージス艦の配備

 −無人偵察機(UAV)プレデター導入

 −迅速機動旅団(SBCT)配備。装輪式装甲戦闘車(LAV)配備

 −アパッチAH−64D対戦車ヘリ部隊の強化

2)韓国軍の自主防衛力強化 

 −国防費は13%増。国内総生産(GDP)比で今年の2・8%から2・9%に上昇(21兆4752億ウォン(約2兆1400億円)

 −空中警戒管制機(AWACS)導入事業

 −対空ミサイル誘導武器(SAM−X)

 −戦力投資費を16%増の7兆3003億ウォン(約七千億円)

 −海空戦力の大幅強化
    イージスシステム駆逐艦導入、ストライクイーグル(F15-K)、新型潜水艦(原子力潜水艦の可能性もあり)1万3千トンクラス揚陸強襲艦(ヘリ空母)導入など。

3)在日米軍の再編

 −米陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)を米軍座間基地(神奈川県)へ移転

 −米海軍太平洋艦隊哨戒偵察部隊司令部(米ハワイ州)を米軍三沢基地(青森県)へ移転

 −将来的に横須賀に原子力空母配備(2008年キティーホークが退役予定)とのファーゴ第7艦隊司令官コメント

 −航空自衛隊航空総隊司令部(東京都府中市)を米軍横田基地(東京都)へ移転

 −米本土への大陸間弾道弾(ICBM)の探知・追尾用の「GBRレーダー」の日本への配備。(日本海へ配備予定のイージス艦のレーダー情報とともに、データを米本土の迎撃ミサイル発射管制システムに送信する)

 −(在日米軍ではないが)グアム島のアンダーセン空軍基地にステルス爆撃機B2スピリット、無人偵察機グローバルホーク、空中給油機などの常駐を検討

4)自衛隊の強化

 −ミサイル防衛
パトリオットPAC3導入と新型レーダーの配備イージス艦にSM3の導入  
MD用の地上レーダー配備「FPS−XX」08年度から順次配備

 −自衛隊版RMAの実施
AWACS、空中給油機導入JDAM(GPS誘導爆弾)導入し支援戦闘機F2へ搭載

 −航空自衛隊航空総隊司令部(東京都府中市)を米軍横田基地(東京都)へ移転(航空自衛隊の指揮権がアメリカ空軍の傘下に編入されて行く?)

 −海上制圧能力の向上
哨戒機PX開発
新DDH(ヘリ空母)導入
大型輸送補給艦の導入

5)台湾軍の強化

 −パトリオットミサイルPAC3配備(弾道ミサイル迎撃能力あり)

 −弾道ミサイル防衛にも対応可能な超高周波の早期警戒レーダー最大2基を米国が供与

 −キッド級ミサイル駆逐艦供与、ディーゼル推進潜水艦の供与

◆アメリカと日台韓の恐るべき軍事力の増強の最終目的は何か?◆

 いやはや、上記各国の状況をプロットしただけで東アジアで恐るべき速度で米軍と同盟国による国防力増強が進行していることはお分かりいただけるでしょう。東アジア米軍の兵力「削減」とか「韓国撤退」という言葉に惑わされてはいけません。兵力は縮小しても、米軍は兵器・装備を急激に近代化しています。

 更には同盟国の日本・韓国・台湾の国防力を急激に増強することによりアジアのアメリカ軍と同盟国軍は急速に戦力化されることになります。これについて、私は敢えてこう言いましょう。「2006年の米朝戦争」と「2015年の米中戦争」を睨んだ極東戦時体制確立であると。(但し実際の戦争はそれよりも前倒しになる可能性が高いというのが私の予測分析です。)

 そう言える理由は今後の特集で詳しく分析しましょう。

 アメリカ軍の戦略的関心の対象はもはや北朝鮮ではなくキーワードは「中国攻略」であるということ。そのためのミサイル防衛であり極東米軍強化再編成であり北朝鮮打倒後の米軍の朝鮮半島駐留継続です。

 そして日本・韓国・台湾も巻き込んで北朝鮮打倒後の「対中国戦略」をにらんだ巨大な極東防衛網の再編成と構築が進んでいるということです。

 次号以降はここから導き出される東アジアの将来を詳細に分析します。

■アメリカは東アジアでは日本に役割分担させ中東に集中させたいと考えている■(江田島孔明)

 これは米軍関係者に聞いたのですが、”アメリカは空母を日本に運用してもらいマラッカ海峡から沖縄までの制海権を維持して欲しい。”ということです。空母は金食い虫だからラムズフェルドは廃止論者です。東アジアでは米軍は好意的中立をたもち兵力は中東に集中させたい。これは財政的余裕の問題から導かれた解です。

 簡単にいうと「アジアのパワーバランスは日本でとって、米軍は中東に集中させたい。」ということ。在日米軍撤退といっても全面撤退ではなく、基地と武器を置いて兵力を引くという意味です。その力の空白を補うため今日本が軍拡やっているのです。

 明確な出典はありませんが、一部の関係者の間ではかなり共通認識です。 その場合でも「日中戦争」は織り込み済みです。日米連合による海空戦で完勝し、上海、香港などの分離独立という青写真です。

 アメリカの中東シフトはその他地域の空白を生みます。つまり、「欧州、アジアの安定条件が失われていく」ということです。私はこの流れを予測していました。だから環太平洋連合=第三次日英同盟が必要なのです。在日米軍関係者に聞いてみましょう、おそらく、自民党の一部には10年以内の「沖縄基地返還」を耳打ちしているはず。

 在日米軍の将来の再編については私はこう考えます。

1.近未来のアメリカの東アジア政策はグアムにB2を数機常駐させ、核搭載する

2.海兵隊は中東に回し、後任は送らない。

3.下地島の空港(対中国)を自由に使える状況にしておき、岩国、三沢の空軍や海兵隊は撤退。(対北朝鮮用の戦力なので)

4.厚木と横須賀と佐世保は規模を縮小して維持。福生は撤退というふうに私は考えます。

 この陣容でも対中国戦は日本の支援で十分勝てます。ラムズフェルドは空軍とミサイルで世界を管理できるという立場です。中国との戦闘は海空軍中心ですから、海兵隊なんかを沖縄に置いておく意味はないのです。それまでアメリカが持てばいいのですが。というのは米軍というより、アメリカに余裕が無いのです。

 今年度5000億ドルの財政赤字で税収回復の見込みなし。経済は空洞化している。欧州の大兵力も中東移転です。それから、アメリカは核を使いたがっています。兵力が足りず長期戦になるとアメリカは敗退です。アメリカ
の優位は核しかないのです。その核使用を正当化する大規模テロがどこで発生するかです。

 中東の枠組み変更はグローバルな問題であり、アジアや欧州の枠組み変更はローカルな問題でしかないという視点から、アジア・中東問題を分析する必要があります。世界戦国時代の決戦正面は、ユーラシアの中原である中東です。

なぜ日本が外国の駐留軍経費をこんなに負担するのか?


(私のコメント)
今朝のフジテレビの「報道2001」では西部邁氏と山崎拓議員が出て日米の安保問題を議論していましたが、日本政府はアメリカ軍との調整ばかりしていて、根本的な日本の国防政策を打ち出せないのはなぜなのか。目先的には金だけ出してアメリカ軍に国防を任せておいた方が安上がりなのでしょうが、長期的に見れば日本と言う国が独立国家でなくなる危険性がある。

すでに戦後60年も経っているのだから、小泉内閣を見るように極端にアメリカ依存度が高くなり、国内政策にいたるまでアメリカ政府の意向が働くようになってしまった。1994年からアメリカ政府から「年次改革要望書」が毎年突きつけられて、内政問題にまでアメリカの立法権が及ぶようになってきている。

ここまで来ると日本の国会は何のためにあるのかと言う疑問が出てきますが、番組では西部氏が「自分の国は自分が守るべきだ」という原則を自覚すべき時が来ているのだ。だから国防予算を5兆円から10兆円に拡大して、核武装も検討すべきと日本の知識人は提言すべき時が来ている。日本が核武装すれば中国だろうがロシアだろうが日本を攻撃しようなどとは考えなくなるだろう。

それに対してアメリカ自身はどのような国防戦略を考えているのだろうか。アメリカは国防の主力を欧州や東アジアから中東に軍事力をシフトする戦略を持っている。なぜアメリカが中東に軍事力をシフトするのかと言うと、世界の石油の埋蔵量の9割が中東に集中しており、アメリカはここを軍事的に支配する事を目指している。

その為に欧州や東アジアから軍事力を引き抜かなければなりませんが、出来た空白を日本が埋めなければなりませんが、日本政府はこのような戦略を国民に説明していない。日本政府自身もアメリカのトランスフォーメーションを理解していないのではないかと言う懸念すらあるのですが、金だけ出してアメリカに依存するやり方はアメリカ政府にとっても重荷になってきているのだ。

その意味においてはポチ保守派よりも民族保守派の方がアメリカの戦略に合致するのですが、小泉首相はポチ保守派の代表でありアメリカにおんぶに抱っこしていく事を考えている。そのためには思いやり予算の毎年6000億もの金や、グワム島への移転費用の7500億円も気前よく出してゆくのだろう。

しかし日米安保体制はどこまで信用できるのであろうか。アメリカは核戦争のリスクを犯してまで日本を守るのだろうか。日本が中国や北朝鮮との軍事的緊張が高まって核ミサイルで日本を攻撃した場合、アメリカは核で反撃するだろうか。反撃すれば全面核戦争になるがアメリカはそこまではしないだろう。あくまでも日米安保は保険に過ぎず、どのような状況になっても日本を守ってくれるのは日本の軍隊しかない。

アメリカのトランスフォーメーションは非常に雄大な戦略ですが、それだけの軍事力を中東に集中してもアメリカは勝てるのだろうか。現在のイラクの状況を見てもアメリカ国防総省はイラクの状況を甘く見すぎていたようだ。おそらく中東一帯の油田地帯を支配するためには100万の軍隊が必要だし、アメリカにはそれだけの経済力はない。ベトナム戦争の時も一時55万の兵力を送り込んだがアメリカはパンクしてしまった。

番組でも竹村健一氏が言っていたが「賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶ」と言いますが、大英帝国ですらイラク支配を諦めてクウェートや湾岸諸国に分離して支配する事にしましたが、アメリカは愚かにもイラクやイランにまで全土を支配する計画だが、核戦争でその地域のアラブ人を殲滅しない限りとても無理だ。

それまでにロシアや中国も何らかの反撃が予想されるし、戦略核ミサイルを充実させながら、非軍事的手段で欧州や東アジアや中東に浸透工作を行なってきてアメリカの軍事力を孤立化させるだろう。たとえ中東の石油を支配できてもアメリカ本土にどのようにして運ぶのか、パイプラインやタンカー航路が攻撃されればアメリカの戦略は破綻する。アメリカが誇る原子力空母も一発のミサイルで撃沈されるだろう。

このようにしてみればアメリカ一国では無理であり、利害の一致する日本や欧州諸国の協力がなければ無理な戦略であり、その為には日本の再軍備と核武装は欠かせない戦略なのだが、アメリカ政府も日本の核武装を認めるべきなのだ。




もはや日本の政治は左右の対決よりも、小泉竹中の
売国派と、それを阻止する愛国派との対立の時代だ。


2006年3月25日 土曜日

永田氏、仲介者は西澤孝氏と公表=議員辞職否定

衆院懲罰委員会は24日午前、永田寿康衆院議員(民主党員資格停止中)の身上弁明に対する質疑を行った。永田氏は虚偽の送金メールを持ち込んだ仲介者の氏名を西澤孝氏と公表し、「デュモンという会社の役員だった人」と述べた。永田氏はこれまで氏名を明らかにしてこなかったが、同日は「偽物の情報をつかまされた情報源との間に良好な信頼関係はないと考えた」と公表に踏み切った。岩国哲人委員長の質問に答えた。

 永田氏は、西澤氏からのメール提供について「だまされた」と明言。国会で質問したことに関しては「功を焦った」「裏付けが全く不十分だった」などと陳謝した。その上で「自らの責任だ。被害者でもあるが加害者でもあり、西澤氏に責任転嫁するつもりはない」と述べた。議員辞職については「政治家として信頼が戻るよう努力する」などと改めて否定した。 
(時事通信) - 3月24日13時1分更新


宮崎学X平野貞夫 特別対談

(前略)
宮崎:たとえば、あのメールが出てきた時に、今までのメディアだったらウラを取りますよ。徹底的に。ところが、ほとんどウラを取れなくなっている。メディアというのは。もっと情報はいっぱいあるんですよ、ライブドアの事業投資組合を通じてカネがいってるとかいってないとか。それぞれの情報の一部はメディアは聞き及んでいるわけですね。ガセか本当かわからない情報は、メディアは常に持っている。それを一個ずつ潰していくのが彼らの仕事なんです。

 ところが、今はそれをしなくなってしまっている。それはどういうことかというと、自分でウラ取って歩く能力が欠如しているのが一つ、それから波風の立つような情報を出すよりは、今は傾いている方向に自分たちが加わっているほうがラクなんですね。だから、ある軸があって、どちらかにがたっと傾いてくと、みんながそっちのほうにのっかっていってしまう報道のあり方というのがあると思うんですね。

 これは『直言』のメンバーでもあるジャーナリストの魚住昭くんなんかとも意見が一致していることなんですけど、今回のライブドア捜査のメディアの対応の問題の中で見えてきたことが一つあるわけです。それは、一つは堀江が逮捕されてからの20日の間にどれだけたくさんの検察リーク情報が流れたか。東京地検特捜部っていうのは、逮捕してからの情報なんていうのはなかなか出てこないところなんです。それにもかかわらず、ものすごい情報が流れていたんですね。なおかつ今まで、特にテレビメディアですが、地検特捜部のOBという人たちはメディアなんていうものをばかにしていたんですね。

 ところが、今回の問題に関してはそのうちの多くの人がテレビに出始めたと。ある人なんていうのは、特捜検事部長だった人なんかですが、3月末の人事と今回の捜査の関連なんてことまでコメントするに至っているんですね。こんなことはありえないことだった。僕はメディアっていうのは、検察との関係でいろいろあったんだろうけど、今回のように露骨にこの与えられた餌に食いつく現象を示したのは、今までなかったんじゃないかと。つまり、少し餌を与えられたら飛びつく習性がこの間身についてしまったんだろうと。メディアのほうが溶解していますねえ。だから、検証しないで食いつけるという。東京地検特捜部長だった人間の言うことなら、もうすでにオーソライズされている情報だから検証しなくてもいいんだという自らの取材能力の減退と、与えられた餌に食いついていれば安全だという。そういうことになっていったなと思いますね。

 それは今回のライブドア騒動とメディア問題で出てきたことなんだけれども、それは今の政治の問題と同じことが言えます。たとえば官邸リーク情なんていうものに関してもですね、けっこう簡単に食いついてしまうんですね。だから非常に操作されやすい体質になっている。だから、今回の前原の問題に関しても、僕はやっぱり前原は辞任すべきであるということをメディアは言うべきだった。政党というのはそんなもんなんだと。前原が個人的にどうだというのは別問題として、あれをやっちゃったら、やっぱり責任者は辞めるべきだと。スジ論としてどこも言わなくなってしまう。


平野:それが情報社会における議会民主政治のあり方のルールというんですか、価値観のなくなっている証拠なんですけどね。前原のメール問題への対応というのは、私は、永田というのはある種の犠牲者だと思うんです。私の推測でいいますとね、前原は9月の代表選挙で勝ちたいと、そのために一旗あげておきたいという心理があると思います。

 それから、野田国対委員長は、千葉4区の去年の選挙が944票で勝っているんです。藤田幹雄という自民党候補に。この次はどうなるかわからんということで、次点の藤田というのは、武部勤の親族なんです。武部の長男の嫁さんの兄弟なんです。議員になるまでは武部のウラ仕事をしていたようなんです。通信にいたようです。

 したがっておそらくあのメールがきたときにですね、野田はこれを使って武部を叩いておけば、藤田に勝てると。前原はこれが成功すれば代表選挙でも勝てるという、要するに野党第一党として国民を代表して、公の場で堂々と主張しなきゃいかんことを私的、個人の利益を入れ込んだところに、メール問題の本質があるのです。野党第一党の指導者が公私を混同させるということについては、私は役職だけでなく、政治家を辞める責任があると思うんですよ。これをメディアが指摘しないことに問題があると思います。

 それから、もう一つはですね、私もメールを使って国会で質問したことがあるんですが、ものすごく難しいんですね。根拠がないんだから。責任取るとこがないんだから。したがって、せいぜいメールを使ってやれることは、国民の世論の大勢の意見にそれを持ち上げることしかできないんですね。

 だから、私だったら、あのメールをもし使って質問するのであれば、ああいう追及のしかたはしません。「こういうメールがあると。私はこれは信じられないことなんだけれども、重要なことだし、あんたの責任で党の問題として調べてください」と、問題を預ければいいんですよ。調べないといったら、国民は疑惑があると思うんですよ。そりゃおかしいじゃないですか、とずっと引きずってごらんなさいよ。そのように使うもんなんですよ。


(私のコメント)
堀江メール問題は1ヶ月も続いていますが、国会審議のほうはどなっているのだろうか。9・11総選挙で民主党が大敗して与野党の力関係がなくなって、民主党は存在価値が無くなってしまった。総選挙で国民が小泉内閣を圧倒的に支持したからですが、その結果、国会では審議そのものが単なる儀式になってしまった。

だから四点セットがあろうと問題の追及はほとんどなされず、民主党は堀江メール問題で弱体化してしまった。本物なら小泉内閣も吹っ飛ぶようなメールを永田議員は裏も取らずに国会質問に取り出して自爆したのですが、何か裏があるのだろうと思っていましたが、まったくの永田議員が阿呆だったようだ。

それよりも永田議員の失策に対する民主党幹部の措置がなっておらず、前原代表も堀江メールを信じて墓穴を広げてしまった。西澤孝と言う情報提供者も雲隠れをしてしまって一杯食わされた事がはっきりしても、永田議員は西澤孝を信じ続けたのはなぜなのか。騙された事に気づくまでに一ヶ月もかかるとは永田議員の資質が問われる。

当然マスコミなども堀江メールが本物かどうか注目されましたが、もはやマスコミには裏を取るだけの能力がなくなったのだろうか。西澤孝と言うジャーナリストすら捕まえて取材をするといった事もなく、永田議員も雲隠れをしてしまった以上、堀江メール問題は民主党が自分でけじめをつけるべきなのですがそれも出来ないでいる。

今までの政党の対立軸は保守と革新といった左右の対立が主なものでしたが、現在では左翼政党は天然記念物となり政治的な影響力はまったくなくなった。だから民主党自身の政策も左翼的なものからの脱却と、自民党との対立軸が求められるのですが、もはや左右と言うよりも、保守派内の対立に移ってしまっている。

たとえば自民党内の郵政民営化問題でも二つに割れましたが、あくまでもアメリカに追随しようと言うポチ保守派と、日本独自路線を模索する愛国派との保守同士の主導権争いになってきている。だから民主党自身の存在価値がなくなって、民主党自身も中国との連携を模索する売国派と愛国派に分かれている。

最近でも皇室典範改正問題でも、左右に意見が分かれるよりも、皇室を廃止しようと言う売国派と、伝統を守ろうと言う愛国派に自民党も民主党も二つに分かれている。小泉竹中内閣はアメリカの国際金融資本家の助けを借りて政権を維持していますが、日本をアメリカの51番目の州にする事が目的なのだろう。

ならば民主党は自民党よりも愛国路線を打ち出して政策を競い合うべきなのですが、民主党の西村真悟議員は除名されてしまった。自民党も郵政民営化に反対した愛国派は自民党から追い出されてしまったが、それくらいアメリカの影響が強くなりすぎて、日本の議会は成り立たなくなってしまっている。

日本には憲法九条があり軍隊を持てず、外交と防衛はアメリカに丸投げしている以上は日本は独立国ではないのですが、このままでいいのか、それとも真の独立国として自立すべきなのかが問われる時代が来たのだろう。それに対して自民党も民主党も二つに割れて、小泉首相と前原代表は同じアナの狢なのだ。

それに対して自民党から追い出された平沼赳夫議員や、民主党から除名された西村真悟議員たちが中心になるような勢力が一つにまとまるべきなのだろう。つまり現在の自民党のような偽物の保守政党と真の保守政党とが存在しているのですが、国民にはその対立軸がよく見えない。マスコミの解説が悪いからですが、マスコミは売国派の巣窟であり、マスコミこそが小泉内閣を支えている。

おそらくはこれからは皇室典範改正問題が大きな対立問題になるのでしょうが、この問題については自民党も民主党も二つに割れるだろう。つまり最近の国会の空転の大きな原因は政党のねじれが生じていて、大きな再編成がなければ国民も問題点がよく分からなくなってきているのだ。




スティーブ・マックイーン主演 『砲艦サンパブロ』
中国の排外主義と日米英との紛争は今も昔も変わらない


2006年3月24日 金曜日

砲艦サンパブロ(1966年)

1926年の中国。楊子江沿いの閑港長沙に駐留する米海軍のオンボロ砲艦サンパブロ。異国の果てのヒマな任務に慣れ切った乗組員達は、毎日秩序のない怠惰な生活を送っていた。しかし、中国国民党と学生達の一斉蜂起が勃発、否応なしに歴史の過酷な渦に巻き込まれていく。名匠R・ワイズ監督の三時間に及ぶ大作で、題材を第二次大戦前の中国にとりながらも、製作当時激しさを増していたベトナム戦争への強烈な批判が見てとれる。大国による海外派兵の愚かさを、出先で犠牲となる水兵達の視線を通して活写、安易に戦闘シーンに流される事無く、艦内の人間模様に重点を置いた演出は堂々たるもの。主役の機関兵を演じたマックィーンは勿論、マコ、R・アッテンボロー、R・クレンナ、S・オークランド(彼は後に「ブリット」でもマックィーンと共演)と、出演者の多くが見事な演技を披露、見応えのある仕上りになっている。


「第一次南京事件」と日本側の無抵抗政策

第一次南京事件の背景をまずは説明しなければならないでしょう。
当時の南京には、日本は勿論、欧米列強国の領事館が存在しました。
当時、中国の排外運動は苛烈でした。それは教科書でも習ったことだと思います。
そして、当時はまだ満州事変すら起きておりません。
すなわち、日本の軍隊の影響力は南京において皆無でした。
そんな中、中国は袁世凱死去により、軍閥同士の内乱状態に陥っておりました。
無政府状態に陥った中国での居留民の安全が脅かされるようになり、英米はそれを非常に危惧していました。
一方、当時の日本は幣原外交の時代でした。
幣原外相が中国に対して宥和政策を採っていたのは歴史教育でも語られているところです。
そして、当時は日本人の間でも欧米列強に対する反感は強かった。
(ワシントン条約以降、明らかに国力で欧米に劣っていた日本の反感と恐怖は容易に想像が付きます)
そんな中、広東軍閥の蒋介石率いる北伐軍が南京へ進軍してきたのです。

北伐軍の南京突入が近い、と判断した日本領事館は、揚子江を哨戒中だった海軍の駆逐艦に警備を要請しました。
(当時の揚子江は国際水路でした。)
一方、日本人居留民も戦闘に巻き込まれるのを恐れ、領事館内に避難していました。
南京市外ではなく、領事館内に避難していたということから、北伐軍が南京に突入したとしても大規模な戦闘はないと考えていたことがわかります。
まして、軍閥とは無関係の外国領事館が攻撃を受けるということなど、想像もされていなかったはずです。
実際、領事館を警備をしていた海軍の水兵も、荒木大尉率いるわずか11人でした。
そして、1927年3月24日、時刻は午前7時という朝、日本領事館に突如北伐軍の兵士たちが突入してきたのです。
兵士たちは、領事館の人間、日本人居留民に対して暴行を加えました。(暴行の詳細についてはこちらを参照してください)
被害は、日本領事館のみならず、英米をはじめとする各外国領事館にも及びました。
このときに被害を受けたなかった領事館は、ドイツとソ連のみだったとされています。

このとき、揚子江を通過中だった日本の船会社の船舶が、北伐軍の攻撃を受けます。
この船舶を護衛していた駆逐艦の水兵一名がこのとき死亡しています。
日本だけでなく、英米にも死者が発生していました。
この北伐軍の暴虐に憤慨した英米は、揚子江より海軍を用いて南京市に砲撃を加えました。
暴行を加え続ける北伐軍への警告を意図したものでした。

英米が艦砲射撃による警告を加えようとする前に、
北伐軍が南京に接近している段階で、居留民の安全を憂えた英米が日本も共同介入に加わるよう要請していました。
しかし、幣原外相は、これを拒絶します。
英米に対して幣原外相は
「中国と全面戦争になれば、中国の拠点を全て制圧するのにどれだけかかるか分からない。中国に大きな利害関係がある日本は協力できない」
という趣旨の回答を行いました。
これは、当時の情勢を反映した、リアリストの回答のように思えます。しかし、幣原の採った政策は大きな問題となるのです。

日本領事館が北伐軍兵士に突入を受ける前日まで、領事館正門には荒木大尉らによって機関銃座と土嚢が設置されておりました。
それが森岡領事の「北伐軍を刺激しないように」との指示で撤去されたのです。
また、警備の水兵たちにも、武装解除を命じます。
後になって、森岡領事はこれを独断の指示だったと証言していますが、ではなぜそもそも海軍への警備を依頼したのかが疑問となります。
恐らく、幣原が英米の介入要請を断ったため、それに連なる指示が南京の日本領事館にも伝わっていたのだと思われます。
こうして、日本は北伐軍に対して「無抵抗」の態度を取ることで、平穏に南京占領を済ませようとしたのです。
しかし、現実には日本領事館に北伐軍の侵入を許すことになりました。
このとき南京には500人以上の日本人が居たとされますが、南京市内の日本人住居は全て暴行略奪の対象となりました。
朝から始まった暴虐は、昼前になって、北伐軍の指揮官らしき男によって、一時制止されましたが、その後も略奪は続きました。
日本人が北伐軍の暴虐から解放されるのは、午後四時に英米海軍が南京への砲撃をする中、日本海軍の決死隊が到着して日本人を砲艦まで避難させたときでした。

暴行略奪は、最初北伐軍の兵士によって始まりました。
しかし、排外の機運が高まっていた中国人市民たちは、この兵士たちの暴行に加わり、領事館や日本人住居に対して暴行略奪を加えたのです。
それに対し、日本人はただただ耐えるだけでした。
警備隊も武装解除された11人のみ、唯一の防御設備だった機関銃座と土嚢も撤去されており、中国人の大群に対し、なんらなす術はなかったのです。
警備隊を指揮していた荒木大尉は、軍人でありながら何ら抵抗することが出来なかったことを恥じ、救助に来た砲艦の上で自殺を図ります。

これは明らかに国際法に反する行為でした。
本来ならば、日本は直ちに北伐軍への抗議を行うべきだったでしょう。
しかし、幣原外相はそれをしませんでした。
それどころか、対中国との外交を有利に進めるため、被害の実態を隠蔽し、英米に責任の一端を押し付けようとしました。
領事館内で婦女子が中国人によって強姦されたという噂は根強くありましたが、その事実も外務省は否定しています。
この事件で死亡した日本人も、公式には駆逐艦の水兵一名しか発表されておりません。
結局、国際的には、この「第一次南京事件」を起こしたのは、北伐軍に紛れ込んでいたコミンテルンの陰謀と認定されました。
日本側もそのように判断し、蒋介石への追求は避けたのです。
元々中国軍閥と衝突が激しかったイギリスは、領事までもが殺される寸前だったこの事件をきっかけに、コミンテルンの親玉であるソ連との国交を断絶しています。


当然、事件の一報を聞いた、当時の日本国民は激怒しました。
野党からも、政府の対応の不手際を追求されましたが、追求されたのはあくまで日本政府の責任でした。
しかし、首謀者が中華民国だろうとコミンテルンだろうと、
日本人の中国への反感は、この「第一次南京事件」を契機に激しく燃え上がり、幣原外交への批判は急激に高まることになるのです。
というのも、この中国に対する「無抵抗政策」の失敗は、これが初めてではありませんでした。
ここで、この「南京事件」を第二次や第三次と呼ぶ根拠が出てくるのです。


(私のコメント)
昨日のNHK-BSで『砲艦サンパブロ』を放送していましたが、40年も前の映画ですが、この頃のハリウッド映画はこのような名作を作る能力があった。1966年の作品だからベトナム反戦を意識した内容の映画で、1926年の中国の内戦に巻き込まれようとするアメリカの砲艦の物語です。

1927年の第一次南京事件を時代背景にして、米英や日本に対する中国の外国排斥運動と、蒋介石軍や張作霖軍や共産党軍などが入り乱れていた時代ですが、100年近く経った現代も中国の状況にさほど変わりがないのに驚かされる。去年の4月の反日デモや日本領事館などへの襲撃を見ると、排外主義の伝統は今でも生きているようだ。

アメリカやイギリスの知識人は1920年代の中国の状況をよく知っているから、中国の排外運動はよく知っているのですが、日本人の若い人は近代中国史をほとんど知らないから、サッカーのアジア杯における反日デモで驚いた人が多いようだ。テレビなどでは日本軍の軍事支配に対する反発だと言っていますが、日支事変以前の頃も米英に対する排斥運動は激しかった。

むしろ日本は幣原外交政策で中国人の日本人への暴行事件に対して無抵抗主義を貫いていた。最近でも日本領事館の職員が中国の公安に脅されて自殺した事件がありましたが外務省は抗議することなく内密にしていた。それくらい日本は中国に対して刺激しないように努めていたのです。

『砲艦サンパブロ』では、第一次南京事件が起きて中国在留邦人保護のために出動しますが、使用していた中国人乗組員が共産党に捕まってリンチされる。当時は蒋介石と共産党が協力していて、共産党員が意図的に米英人などを襲って内戦に巻き込もうとしていたようだ。第一次南京事件では日本領事館も襲われて避難した女性が暴行された。

もちろん内乱状態になって日本政府から退去勧告なども出ていたのですが、多くの居留民が残っていて事件が起きた。これに対して幣原外相の弱腰外交が非難されて若槻内閣は総辞職に追い込まれた。このような状況を見ると最近の中国とよく似てきましたが、中国では抗議デモが年間八万件も起きて北京政府もいつまで持つのだろうか。

このように米英と日本は立場は一致していて中立を保つ状況だったのですが、日本国内の対中強硬論が台頭してきて山東出兵などはじめとして、日本軍は中国にずるずると引き込まれるようになった。このように中国共産党の陰謀によって日本軍は中国に介入するようになり、いつの間にか米英と日本は対立する立場になった。

盧溝橋事件も張作霖の爆殺もソ連崩壊後の資料が出てきて共産党の工作によるものと解明されましたが、日本軍は共産党の工作活動には気がつかなかったのだろうか。現在も中国には多くの日本企業が中国に進出していますが、北京政府の統制が弱まれば再び1920年代の頃のような軍閥が台頭して内乱状態になるだろう。そうなれば在留邦人が襲われて国内世論は強硬論が起こるだろう。

『砲艦サンパブロ』はアメリカから見た当時の中国がえがかれていますが、多くのアメリカ人や中国人が暴動にあって被害者を出しましたが、一時的には軍を出しても深入りはせずにすぐに引き揚げましたが、日本は次々と軍を投入して撤退はしなかったのが失敗の元で、米英からも疑りの目で見られるようになってしまった。

米英と日本とではどう違ったのだろうか。米英は事件の拡大を防ぐためのシビリアンコントロールが利いていたのに対して、日本は強硬な国民世論と軍部に政治が押し流されてしまった。軍人たちに大局的な見方が出来ていれば、上海事変でもすぐに兵を引くべきなのに深入りしていってしまった。だから共産党の陰謀に見事にはまってしまった。

砲艦サンパブロは軍艦と言うよりも武装がほとんどなくて動く領事館のようなものですが、海軍軍人にはこのような外交官としての見識もなくてはならないのですが、日本の海軍軍人は視野が狭く上海事変でも米内海相は陸戦隊を次々と投入してシナ事変を拡大してしまった。それに対して砲艦サンパブロの艦長は事件を起こしてしまった責任をとるような形で自殺的な戦死をする。それだけ政治的な認識があったのだ。その辺が日米の海軍軍人の資質の差なのだろうか。




インドの核武装は認め、核武装した北朝鮮は攻撃せず。
アメリカから攻撃されないためには核武装が一番の方法


2006年3月23日 木曜日

Congress should veto George Bush's nuclear agreement with India
Mar 9th 2006
From The Economist print edition

◆議会は、ジョージ・ブッシュのインドとの核合意を拒否するべきです。

現在からの十数年、ジョージ・ブッシュの書き直しへの核の決断が勇敢に正しいか、または危険に間違ったために広げられた爆弾が判断された防止のために統治する意志のブッシュさんは、初めて、友人を支持するように兵器開発にもかかわらず、核燃料と技術を輸入するのを許容して、インドとの彼の取引を結ぶのにおいて、準備して原則に執着するより思えませんでした。 彼は未来がためになる事実上は核クラブのメンバーがグローバルな反増殖政権と、北朝鮮とイランの核取り引きからの既に厳しい緊張でショックより重いので上昇しているインドを受け入れるギャンブルです。 彼のギャンブルは危険なものです。 その間、インドを収容する彼の多忙では、ブッシュさんは世界の、より厳しい所の1つで、より広い核抑制を得る機会を逃しています。

新しい思考が反増殖ゲームで必要です。 北朝鮮は、核拡散防止条約(NPT)のあらゆる規則を破って、誇らしげに爆弾を自慢します。 イランはいらないと主張しますが、危険な核燃料作成技術とを追求する「権利」を要求します; 創造的な解決策がそれらと向きをそらすのがわかっていない場合、他のものとして、これから、そうするかもしれなくなってください; 兵器作成のためにそれを転用することができました。 今週、アメリカと他のものは、国際原子力機関でイランが兵器化であると思われることを促進するために形が崩れている反核主義規則を曲げることができないと主張していました(記事を見てください)。 したがって、ブッシュさんは、なぜ既に核武装しているインドにまさしくそれをすると提案しますか?

◆ちょうど古くない考え

それがあって、来るとき、あなたは世界に対処しなければなりません。回答。 インドは、それがこれまでNPTの組み合わせで否定された核燃料と技術を輸入する必要があります、Group(NSG)とアメリカの法による原子力の非公式の規則、速く成長しているエネルギーが必要とするサポートに。 そして、インドは、イランでなくて、また北朝鮮でもありません。 彼らは、NPTに調印して、不正行為をしました。 パキスタンとイスラエルのように、インドは、条約と中断をどんな法にも兵器でしないのに決して合流しませんでした。 また、インドは責任がある民主主義です; イランが最近イスラエルを処理したとき、それは、テロリスト集団を支持しないし、または隣人を消滅させると脅かしません。 その間、アメリカが核貿易について規則を曲げることのお返しに、インドは、より民間である原子炉を国際的な安全装置の下に置いて、反増殖決議を固めるでしょう。

原子力がインド人の必要性と最もよく役立つか否かに関係なく、傍らに去ってください; それはそれが上がっていた反核主義規則を知りながらされたインドの選択です。 そして、インドの核兵器は壊れましたが、むしろ北朝鮮とイランとしてのビジネスが技術を誤用することによって、材料が民間目的に提供した兵器における始めを得たのは、実際には法ではありません。 ブッシュさんはそれにもかかわらず、だれも、インドが現在兵器に与えると予想しない権利です。

しかし、核インドがある反核主義規則が許容するのと同じくらい広くて同じくらい近い友情を持つのは、1つのものです。 '両国'利益のためにはそれが既にいます。 インドのために傍らに規則をけなすのは、全く別です。 いかにも、ブッシュさんは、歓迎が彼らが引き継ぐことができるくらいのしつこいであるなら他の核道楽半分の人に与えられると提案していません; それはメッセージになるでしょうが、イランは、今週聞くのを好みます。 むしろ、彼は取引が通ることであるなら最初にアメリカの自己の法を修正しなければならない議会とNSGの他のものに例外として民主的で、好意的で、遵法のインドを扱って欲しいです。

インドが代わりに致命的に規則を弱める例外を立証することができたという問題がここにあります。 取引の厄介な詳細、およびそのありそうな波及効果には悪魔がいます。

インドはNPTに調印していないかもしれませんが、アメリカは調印しました。 そうする際に、それは、それらの核兵器がいじくりまわされている他国を助けないと約束しました。 また、それは国際的な安全装置(現在、そうしないで、またインドはこれから、そうしない)の下にそれらのすべての核施設を持っている国だけが下取りの民間核技術の利益を得るべきであるという補強している原則を開拓しました。 国がNPTに調印するつもりであり、核兵器自体を放棄するなら、彼らはできるだけ多くの他のものが先例に倣うだろうという保証を必要としました。 それらを奨励するために、条約はまっすぐになりました、そして、民間原子力との利益を持つことにおける助け;は義務を振り捨てたか、または無視したものから差し控えられました。

インドとの核貿易を許すと、その掘り出し物は特にダメージが大きい方法で壊れます。 規則は噛み付き始めました: インドは民間ものと同様に軍事の目的のためにウランの物資を欠いていました。 核燃料を民間原子炉に輸入するのを許容することによって、アメリカは直接兵器プログラムにおけるボトルネックを緩和するでしょう(また、維持するのに同意して、インドがアメリカの他の反増殖法を犯しても、奇妙に、供給をあおってください、いくつかの自社が過去にそうしたように)。 よりひどく、インドの以前に、民間目的のためにあると主張されますが、弾頭のためのプルトニウムを生産するために理想的に合った実験用高速増殖炉プログラムはすべての安全装置から免除されることです。 それは、これから、一握りだけではなく、1年あたり何十本もの兵器を生産するためにインドを許容するでしょう。

そして、負傷に侮辱を加えてください。 唯一でないのは、NPTの反核主義制限を受け入れた国に利用可能な民間利益のすべてが提供される核武装しているインドです。 また、それは条約、アメリカ、ロシア、中国、イギリス、およびフランスによって認識された5つの公式の核強国の本当の義務についてもしあるならばわずかしか受け入れていません。 すべてがすべての核実験を禁止しながら、条約に少なくとも調印しました。インドは衰退しました。 すべてが兵器目的のためのプルトニウムと高濃縮ウランの生産を終わらせました(中国だけがまだそれほど公的に言っていません); インドはきっぱり同様にするアメリカの要求を拒否しました。

◆問題の流れ

インドへの規則変更は、ある他の国が彼らの核オプションも再考するのを必ず奨励するでしょう。 しかし、より少ない損害が拡散防止利得が本当のものであったなら与えられたでしょうに。 特に、インドが、どんな掘り出し物の状態としても核分裂性物質を作るのを止めるように押されるべきでした。 パキスタンはそのようなモラトリアムに合流したかもしれません。 中国と インドはその核の測定を好みました; ものも作り出すのを止めたので、抑制の、より広い波を作ろうとする好機がありました。

南アジアと東アジアの両方が、緊急に危険な地方の競争から刺し傷を取り出すそのような野心満々の信頼醸成措置を探る必要があります。 これは中東でも触媒として働いたかもしれません。 過去のイスラエルには、より強いクレームが大きい隣人による短い歴史が目的とされる多くのために囲まれた海までそれを運用する抑止力のためにありました。 しかし、核は速く浸食しています。 アメリカの軽い突きで、ディモーナ原子炉(それはもうプルトニウムを必要としない)を止めると、新しい思考はいつかイラン問題も巧妙におこなうのを助けることができた大規模破壊なしの兵器中東に関してかきたてられるかもしれません。

徳の高い反核主義者サイクルの代わりに、現在、悪質な核が、よりありそうです。 中国が、増殖傾向があるパキスタンにアメリカがインドにしたがっていることをすると主張すると予想することができます、過去に増殖の流れに通じた地方の軍備競争に加えて。 また、より自由な乗りをインドに与えるのも彼らの挑戦におけるイランと北朝鮮を勇気づけそうです、彼らのすべての隣人のセキュリティのための潜在的跳ね返りで、日本、韓国、およびサウジアラビアとエジプトから台湾まで。

だれも、友人とパートナーとして互いを提供するために世界の最も豊かな民主主義とその最も大きい1つには多くがあると疑いません。 しかし、インドの核兵器の野心を補助するのがブッシュさんの贈り物にあるべきではありません。 議会がアメリカの反増殖法を変えるように頼まれるとき、それはいいえを示すべきです。


(私のコメント)
最近のアメリカ外交は何を考えているのか分からない。現在の一番の課題はイラク問題なのですが、当初の計画によればとっくに引き揚げているはずですが、現状では三年も経つのにブッシュ在任中は引き揚げないと声明している。おかげで日本の自衛隊も5月にも引き揚げる予定が延期になったようだ。

アメリカの計画としてはイラクを民主化してアメリカの思いのままになる国家に改造する事を目指していたのでしょうが、イラクは内戦の様相が強くなってきて、クルドやスンニーやシーア派などが対立を深めてきている。これらに対してアメリカは有効な手が打てずに、混乱を助長して内戦化してしまった。

アメリカとインドのインドの関係については3月4日にも書きましたが、アメリカがF16やF18を売却するなどのニュースがあり、その戦略的な目的は何なのかはっきりしませんが、対中包囲網なのだろうか。さらに米国インドの原子力協定はインドの核武装を容認するものであり、核拡散防止条約を空文化するものだ。

しかし、これとイランに対する核疑惑に対する締め付けはダブルスタンダードであり、アメリカは先制攻撃も辞さない計画もあるようですが、イラクに攻め込んだ理由も核開発疑惑があるということで、イラクに侵攻してみたら核開発の施設はまったくなかった。単なるアルミのパイプを核兵器開発の材料と報道してみたりした国民扇動は、まったくのデタラメだった。

アメリカとインドの原子力協定もエコノミスト誌は反対していますが、ブッシュ政権の意図は何なのかよく分からない。北朝鮮の核開発についてもアメリカは経済制裁以上のことはせず、イラクのように空爆や侵攻などもせず、強力な制裁手段はとれずにいる。フランスもインドに原子力発電設備の売込みを図るなど追随する動きも見られている。

このようなインドの動きを見て、日本や韓国や台湾やサウジやエジプトなども核兵器開発に乗り出すかもしれない。これらの国がいっせいに核開発すれば中国の周辺の国はほとんど核武装国家になり、中国は核の脅威に囲まれる事になる。イランやイラクの核開発の動きに対する制裁に惑わされているが、アメリカの本意としては友好国の核武装は容認するつもりなのかもしれない。

これは中国においては脅威であり、防がねばならない状態だ。親中派の田中宇氏などは中国包囲網の説を否定しているが、アメリカの親中派の勢力を過大評価しているのではないかと思う。これ以上中国が強大化すれば中東の石油の利権争いに邪魔になるし、中国海軍がインド洋まで進出すれば、アメリカの石油輸送ルートも遮断される恐れがある。

13億人の中国が近代化するためには石油の確保は必要であり、自動車を乗り回すようになれば中東の石油を独り占めする必要がある。イランの石油も中国が狙っているが、アメリカとしては核疑惑をネタにしてイラクのように軍事的にでも支配したいところだ。それくらいアメリカにとっては石油の確保は死活問題ですが、中国の中東進出は脅威だ。

だから核拡散問題から見ればブッシュ政権の動きは支離滅裂ですが、中国の中東進出を防ぐ意味ではインドに梃入れをする必要がある。しかしインドも近代化すれば石油は中国以上に必要になるがどうするのだろうか。このようにアメリカの外交戦略は様々な思惑が飛びかってブッシュの考えはつかめない。エコノミスト誌ではないですがアメリカは「異常愛博士」ではなくて「異常契約博士」なのだ。

このような世界の流れから見れば日本の核武装もそう先の話ではないかもしれない。中国としては日本やアメリカに工作員を送り込んで反核平和運動を推進するのでしょうが、中国の軍備拡張は周囲の国の核武装化で包囲される事になるだろう。核兵器はむしろ戦争を防止する手段としては有効な兵器であり、防御的な兵器であることが分かってきたのだろう。




ベースボールから見るアメリカ単独覇権主義の破綻
イラクからWBCまでことごとく裏目に出る米国の戦略


2006年3月22日 水曜日

【WBCコラム】世にも珍しい試合方式で消えた優勝 『スポーツ朝鮮』

三球三振させられなかったせいで、すごすごと帰り支度をしなければならないのか。2ストライク1ボールならまだ投手が優位だ。それなのにサヨナラホームランを打たれたかのような気分なのが悔しい。

 哀惜の念に耐えられない。いや、張り裂けんばかりの憤りさえ感じる。6試合勝って、たった一度負けただけなのに。口惜しさを胸にしまい、WBC韓国代表チームが見せてくれたこれまでの苦労に拍手を送りたい。

 アメリカが主導した今回のWBC。世にも珍しい試合方式のせいで韓国は最大の犠牲者となった。韓国は1次リーグ(アジアラウンド)で日本に3−2で勝った。ベスト8に入った2次リーグでもう一度戦って2−1で勝利した。韓国の2次リーグ成績は3勝。1組の1位として準決勝に進出。一方、日本は1勝2敗で脱落が予想されたが、2次リーグ最終日に米国がメキシコに敗れる波乱があり最小失点の原則によって漁利の利で準決勝に上がった。

 ほとんどすべての国際大会では組を2つに分けて進行し、ベスト4が決まったらクロストーナメントで決勝に進む2チームを決める。しかし大会初めての年に無理に欲を出した米国は、同じ組のチーム同士を再び準決勝で戦わせる日程を採択した。2組の最強チーム、ドミニカ共和国に決勝戦まで会わなくて済むように、という意図以外に説明のしようがない。

 その結果、韓国は準決勝で日本とまた戦うことになった。1つの大会で同じチームと三度も戦うという、失笑するしかないようなことになった。すでに二度勝った韓国だ。もう一度勝ってあたりまえ、負ければ脱落という滑稽なプレッシャーを抱えて三度目の対日本戦を行った代表チーム。

 日本は韓国よりプロ野球の歴史が50年も長い。高校だけで約4700チームもある日本と、50前後しかない韓国では、基本的な資源からして相手にならない。だから客観的な戦力に優れた日本に二度連続で勝ったことさえも奇跡のような出来事だった。

 奇跡は三度はやって来なかった。2次リーグ以後2勝2敗の日本が決勝でキューバと試合をすることになった。欲をかいた米国はベスト4にも上がれずに恥をかき、大会最大の波乱を巻き起こして興行を引っ張った韓国は悔しいことに帰り仕度をする羽目になった。WBCの制度的な矛盾が韓国野球100年史の快挙の足を引っ張ったことになる。それでも幸いなことは、韓国野球の隠れた底力は今や全世界から認められたのだ。


自滅したがるアメリカ  2006年3月14日  田中 宇

アメリカとインドの原子力協定は「これ以上悪いタイミングはないと思われるぐらい悪いタイミングで行われた」と指摘する新聞記事も出ている。米印間の協定は、アメリカを中心とする「国際社会」が、イランに圧力をかけて核開発をやめさせようとしているまさにそのときに調印されたからである。(関連記事

 イランはNPTに加盟し、IAEAの査察も受けている。IAEAは、イランが核兵器を開発していると考えられる根拠をつかんでいない。アメリカは、NPT体制に加盟しているイランを先制攻撃の対象にする一方、NPTに加盟せずに核兵器を開発したインドには、追加の核兵器を開発できる技術を与えている。これを見て、もともとアメリカに負けず強硬姿勢だったイランは「核開発は軍事用ではなく発電用なので絶対にやめない」という態度をさらに強めている。(関連記事

 ブッシュ政権は、イランに戦争を仕掛ける口実を作るため、最悪のタイミングでインドと原子力協定を結んだのかもしれない。ブッシュ政権の中には「戦争によってしかイランの政権転覆は実現できない」と考えているネオコン的な強硬派がいる。以前の記事に書いたように、彼らは昨年7月のイランの選挙で対米強硬派のアハマディネジャドが勝って大統領になるのを助けたりしている。

 ブッシュ政権内の強硬派は、EUやロシアが頑張ってイランと交渉して外交的にイランの核疑惑が解決されてしまうことを避けたいはずだ。彼らがブッシュ大統領を動かし、イランをめぐる外交交渉が盛り上がってきた矢先に、インドとの原子力協定を締結させたのかもしれない。

▼中国包囲網にもなっていない

 米印間の原子力協定は、インドを軍事的に強い国にすることで「中国包囲網」を強化する意図があるという指摘もあるが、これは当たっておらず、ブッシュ政権がインドとの核協定を正当化するためにマスコミにリークした説明だと思われる。親中国派のキッシンジャー元国務長官は、インドへの核供与をやんわり批判する最近の論文で「アメリカの対インド政策は、しばしば(本当の目的は別のところにあると示唆する)ウインクをともなって、中国包囲網として正当化されている」と書いている。(関連記事

 中国とインドは、冷戦時代の対立関係を2002年ごろから劇的に好転させ、中印にロシアを加えた3大国で、ユーラシア大陸の新しい安全保障体制を構築し始めている。インドは、中国やロシアと戦略的な関係を築くとともに、アメリカとも友好関係を維持するという、両立ての戦略を採っている。アメリカは今回の核協定に至る交渉の中で、インドに対し、中国との関係見直しを促すような要求を何も行っていない。そもそも最近のブッシュ政権は、台湾の陳水扁政権の独立傾向を批判したりして、全体的に中国に対して腰が引けている。「中国包囲網」は口だけである。(関連記事


(私のコメント)
歴史的に見て超大国が滅亡への道をたどるのは、些細な事から始まる事が多いのですが、9・11以降のアメリカは明らかにおかしい。それはメジャーリーグのベースボール中継を見ても変化を感ずるし、今回のワールドベースボールクラシックを見ても感じる。メジャーリーグの実力からすれば下手な小細工をしなくてもいいはずですが、ルールの小細工をしても結局はアメリカチームは二次予選で敗退してしまった。

決勝戦はメジャーリーガーが二人しかいない決勝戦となり、メジャーリーグの計算は裏目に出てしまった。メジャーリーグの商品価値は下がり日本やキューバの野球の商品価値は上がった。メジャーリーグは世界から優れた選手を集めた世界一のリーグのはずでしたが、いつの間にか世界に追いつかれていたのだ。

まったく関係ないように思えますが、アメリカの外交戦略にもメジャーリーグとまったく同じ誤りを犯しているように思えたならない。アメリカ軍は確かに強大な軍事力を持っていますが、イラクには13万の兵力しか投入できず、ハイテク兵器で武装したアメリカ軍が、小銃しか持たないテロリストに苦戦している。

アメリカ軍は目に見える敵には無敵ですが、目に見えないテロリストには強大さが裏目に出て弱点をさらしてしまう。さらにイラクの13万の兵力を維持するために莫大な軍事予算を使わなければならず、アメリカ政府も長期化するイラク戦争に苦しみ始めた。さらにアメリカ政府はイランを先制攻撃目標にしはじめていますが、その為にインドに接近して原子力協定を結びましたが、アメリカの外交政策は支離滅裂だ。

自分で定めたルールで自分勝手に振舞う態度はメジャーリーグもアメリカ政府もまったく変わらず、その結果アメリカ政府もメジャーリーグのように自滅してしまうのは目に見えている。イラクだけですら米軍は苦戦しているのにイランを先制攻撃すれば、軍事的には勝てるが国土も人口もイラクの3倍もあるイランをどのように制圧するのか。私はイラクですら長期的な制圧は無理だろうからイラクへの先制攻撃に反対したが、アメリカは既に音を上げ始めている。

最近のアメリカの外交政策は支離滅裂であり、ライス国務長官はソ連を崩壊させた切れ者ですが、次はアメリカを崩壊させるつもりなのだろうか。イラクからは兵を引くに引けず、戦局打開のためにイランに攻め込もうという破れかぶれの行動を選ぶのだろうか。アメリカは空爆だけで済ませたいらしいが、イランは当然反撃してくるから、それを覚悟しているのだろうか。

日本はWBCの優勝にわいていますが、アメリカとイランとが戦争状態になればホルムズ海峡は閉鎖されて日本に石油はやって来なくなります。そうなれば日本にとっても死活問題なのですが、どういうわけか日本の報道はWBC日本優勝などで埋められてしまう。しかし私がアメリカからの野球中継を見ているだけでもアメリカのデタラメ振りが目につくにつけ、アメリカのイランに対する無理難題がダブってならない。

超大国アメリカにとって石油がなければ成り立たないのは明らかであり、だからこそイラクに先制攻撃を仕掛けたのですが、イラクを軍事的に制圧する事など不可能であると分かってしたのだろうか。田中宇氏が指摘しているように自滅する事が分かって戦争を始めたのかもしれない。それはちょうど日本が軍部を押さえきれずに大東亜戦争を始めた理由によく似ている。そしてブッシュ大統領はイラクからは撤退しない決意を固めたようだ。


任期中に完全撤退なし イラク米軍でブッシュ氏

【ワシントン21日共同】ブッシュ米大統領は2003年のイラク戦争開戦から3年が過ぎた21日、ホワイトハウスで記者会見し、イラク駐留米軍の「完全撤退」は「将来の大統領とイラク政府が決めることだ」と述べ、09年1月までの自らの任期中には実現できない見通しであることを初めて明らかにした。
 大統領はこれまで、駐留米軍を段階的に削減させる方針を示してきた。しかし今回の発言は、この先約3年間はイラク軍への全面的権限移譲は不可能と米政権が考えていることを意味する。開戦から3年を経ても治安の改善が見込めず「出口」が一向に見えない中、大統領自らが見通しの厳しさを認めた形で、日本の陸上自衛隊の撤退時期やその後の復興支援に影響を与える可能性がある。
(共同通信) - 3月22日12時45分更新




中国人や韓国人の性格の悪さは政府から国民まで一緒
講和条約や友好条約を結んでも謝罪と賠償を求め続ける


2006年3月21日 火曜日

【緯度経度】 米国での慰安婦訴訟の教訓  産経新聞 2006年3月18日

慰安婦問題といえば、最近でもなおNHKの番組や朝日新聞の報道をめぐって、論議が絶えないが、 米国内でこの問題で日本を非難する勢力にとって大きな後退となる最終判決がこのほど出された。 米国の司法や行政の良識を思わせる適切な判決だったのだが、ここにいたるまでの5年以上の原 告側の執拗な動きからは日本側にとっての多くの教訓もうかがわれる。

米連邦最高裁判所は第二次大戦中に日本軍の「従軍慰安婦」にさせられたと主張する中国や韓国 の女性計15人が日本政府を相手どって米国内で起こしていた損害賠償請求などの集団訴訟に対し、 2月21日、却下の判決を下した。この判決は米国内でのこの案件に関する司法の最終判断となった。 もう慰安婦問題に関して日本側に賠償や謝罪を求める訴えは米国内では起こせないことを意味する 点でその意義は大きい。

この訴えは最初は2000年9月に首都ワシントンの連邦地方裁判所で起こされた。米国では国際法違 反に対する訴訟は地域や時代にかかわらず受けつけるシステムがある一方、外国の主権国家につい ては「外国主権者免責法」により、その行動を米国司法機関が裁くことはできないとしている。ところが 同法には外国の国家の行動でも商業活動は例外だとする規定がある。元慰安婦を支援する側は慰 安婦を使った活動には商業的要素もあったとして、この例外規定の小さな穴をついて、日本政府への訴えを起こしたのだった。<中略>

6年近くもこの訴訟を一貫して、しかもきわめて粘り強く進めた組織の中核は「ワシントン慰安婦問題 連合Inc」という団体だった。在米の韓国人や中国人から成り、中国政府関連機関とも連携する政治 団体である。Incという語が示すように資金面では会社のような性格の組織でもあるという。

この「ワシントン慰安婦問題連合Inc」は実は2000年12月に東京で開かれた「女性国際戦犯法廷」にも 深くかかわっていた。この「法廷」は模擬裁判で慰安婦問題を主に扱い、日本の天皇らを被告にして、その模擬裁判を伝えたNHK番組が日本国内で大きな論議の原因となった。「慰安婦問題連合」はまた、 その少し前には中国系米人ジャーナリスト、アイリス・チャン氏著の欠陥本、「レイプ・オブ・南京」の宣 伝や販売を活発に支援した。

この種の組織は日本の戦争での「侵略」や「残虐行為」を一貫して誇張して伝え、日本の賠償や謝罪 の実績を認めずに非難を続ける点では間違いなく反日団体といえる。その種の団体が日本を攻撃するときによく使う手段が米国での訴訟やプロパガンダであり、その典型が今回の慰安婦問題訴訟だった。 米国での日本糾弾は超大国の米国が国際世論の場に近いことや、日本側が同盟国の米国での判断 やイメージを最も気にかけることを熟知したうえでの戦術だろう。日本の弱点を突くわけである。

だから「慰安婦問題連合」は日ごろワシントン地域で慰安婦についてのセミナーや写真展示、講演会な どを頻繁に開いている。最高裁の最終判決が出るつい4日前も下院議員会館で慰安婦だったという女性たちを記者会見させ、「日本は非を認めていない」と非難させた。

だが米国の司法は最高裁での却下という結論を打ち出した。行政府のブッシュ政権も一貫して「日本 の賠償は対日講和条約ですべて解決ずみ」という立場を裁判の過程でも示した。

しかし立法府である米国議会は「慰安婦問題連合」などの果敢なロビー工作を受けて、慰安婦問題 ではまだ日本を非難する決議案をたびたび出している。その種の工作の持続性、粘り強さは今回の 訴訟での軌跡がよく示している。日本側も米国という舞台でのこの種の争いの重要性を十二分に意識して、果敢に反撃すべきだろう。反撃すればそれなりの成果も得られる。今回の最高裁の判決は そんな教訓を与えてくれるようである。

(古森義久)


歴史確定は政治家の仕事にあらず 乗ってはならぬ中国の靖国追及 政治評論家 屋山太郎

<<<東条ヒトラーを同列扱い>>
三月七日に李肇星外相は小泉首相が靖国参拝をやめないことにいらだって、 ヒトラーを引き合いに、傲慢無礼な記者会見を行った。

政治家も外務官僚も実に手軽に「歴史認識」の共通項を探ろうとするが、そのようなことは民主主義国では不可能だと知るべきだ。栗山尚一元駐米大使は 雑誌『外交フォーラム』の一、二月号に「和解-日本外交の課題」と題して書いているが、副題に「反省を行動で示す努力を」とある。この論旨を一言でいえば、中国の気の済むまで謝り続けろということにほかならない。

その謝罪のあり方の”見本”として氏は、ドイツの周辺国への謝り方を紹介し ているが、外交官が日本とドイツを比べること自体、常識が狂っている。ヒトラーのやった犯罪はユダヤ人種の抹殺のため市井に暮らすユダヤ人を 連れ出し、何百万人もガス室に送って虐殺したのである。この行為と軍官僚として戦時体制の内閣を引き継いだ東条英機首相の戦争行為とは全く質が異なる。

ニュルンベルク裁判を模して行われた東京裁判では「人道に対する罪」に 該当しなかった。次官までやった外交官がヒトラーと東条首相を同列に扱うとは信じ難い話だ。その栗山氏ですら、譲歩に譲歩を重ねて中国の歴史認識に近づいたとしても、中国は満足しないだろうという。

<<<現在と将来語るのが本分>>>
どうにもならなくなった二国間関係は「条約を結ぶ」という行為でリセットされるのが国際ルールだ。日本は一九五二年のサンフランシスコ平和条約で連合国四十九カ国との関係をリセットし、フィリピンやビルマ(現ミャンマー)に対しては賠償を含めた条約を結んでリセットした。韓国、中国とは、一九六五年の日韓基本条約、一九七八年の日中平和友好条約でそれぞれリセットした。

これに比べてドイツはヒトラーの政権が崩壊し、米英仏ソの占領が開始され た結果、周辺国のどことも条約は結べなかった。だからこそユダヤ人への個人保証を余儀なくされたのである。ドイツ人はユダヤ人虐殺の罪を全部ヒトラーにかぶせているが、ホロコーストにかかわったドイツ人は何万人にも及ぶ。日本人は「悪い奴は東条英機だ」と責任回避して逃げるような卑怯なことはしなかった。

ソース:産経新聞(東京版)3月13日12版13面(オピニオン面)


(私のコメント)
日本と韓国との間では1965年に日韓基本条約が結ばれ、日本と中国との間では1978年に日中友好条約が結ばれて講和がなされたのですが、中国と韓国は相変わらず過去のことを蒸し返しては嫌がらせをしてきますが、このことが日本人の中国嫌いや韓国嫌いを増やす結果になっている。

60年以上も昔の事を持ち出しては「日本人は過去のことを反省していない」と現代に日本人に対して反省を求めても、当時のことを知っているのはもはや80歳以上のお年寄りぐらいしかいない。そのお年寄りたちも過去のことを話したがらないから、現代の日本人は過去を反省しろと中国人や韓国人に言われても、戸惑うばかりなのだ。

もちろん日本は戦前から戦中にかけて軍国主義国家であり、東アジアを戦乱に巻き込んだ責任は大きい。日本にとっては不幸にも敗戦で日本中が焼け野原になり、多くの人が戦死した。このような結果をもたらしたのは当時の日本人全てに責任があると思うのですが、連合国による東京裁判での真相追求以外では、日本人による戦犯の追及はついに行なわれなかった。

言った誰に日本の戦争責任を被ってもらうのか、その責任の所在がよく分からないのだ。ドイツならヒトラーとナチ党に責任を被せればよいのでしょうが、日本では東條英機をはじめとするA級戦犯に責任を負わせて、多くの戦前戦中の政府高官や軍人たちは処罰される事なく、責任を追及されることなく、負けると分かっている戦争をなぜ始めたのかすら分からないのだ。

当時の状況を冷静に分析すれば、中国から兵を引くのはもちろん、満州や朝鮮半島からも国力を消耗するだけであったから手を引くべきであった。皮肉にも戦争に負ける事でそれは実現したが、軍事官僚たちは自分の愚かさが分からないから勝手に戦争させて、アメリカには当然負ける事が分かっているから負けさせて、バカ軍人たちを分からせたのだろう。

しかし当時の日本人も日清日露戦争程度の戦争認識しかなく、全面戦争で負けると言う事がどれほどの被害をもたらすか認識が無かったのだろう。アメリカと戦争をしても勝敗のけじめがついた時点で講和できると状況認識が甘かったのだ。だから日本全土が灰になり日本人は腰を抜かして、戦争責任の追及など出来るような状況ではなくなってしまった。

だから、これから本題に入るのですが、中国や韓国から戦争責任を追及されても反論する気力もなく、言われるままに謝罪と反省を繰り返すばかりで、日本人としての誇りすら失ってしまった。軍や政府の高官たちは沈黙して説明責任を果たさないから、当事者たちが何を考えていたかも分からないのだ。

一番その意味で責任が大きいのは昭和天皇自身なのですが、天皇陛下自身も沈黙して何も語らず、回想録も残さなかった。だから戦前から戦中の事を分析しようにも真相が分からないから、日本人は反省しようにも分からない事だらけだ。ドイツでは多くの軍人か回想録を残し、ナチの幹部もシュペーア軍需大臣なども回想録を残している。

ところが日本の軍人や政府高官はほとんど回顧録などは残さず亡くなってしまったから研究のしようがない。おそらく日本の支配階層は回顧録を書くだけの知性もなく日記すらつけていなかったのだろう。日本の軍人の回顧録では今村均大将の回顧録を持っていますが、それ以外には質量ともに備わった回顧録がない。

現代の日本人も言えると思うのですが、使われる立場の人材としては非常に優秀でも、自ら考えて決断を下す意味での優秀な人材は少なかったのだろう。だから中国人や韓国人から反省しろと言われても、自分自身は命令された事をやっただけと言うしかないのだろう。それだけ人材の資質が低かったのだ。

従軍慰安婦の問題ですが、3月6日に「からゆきさん」のことを書きましたが、戦前の日本や朝鮮は非常に貧しくて、自分の娘を売ってしまう事は珍しくない事であり、業者が日本軍相手に売春宿を経営していて、そこに売られた娘たちが沢山いた。親たちがいた頃は「従軍慰安婦」など言い出さなかったのに、親が高齢で亡くなったころになって「従軍慰安婦」を捏造してきましたが、当時の状況が分かれば政治問題化しなかったのですが、日本の政治家も資質が低いから戦前の知識がなくて、韓国人に言われるままに謝罪してしまう。軍事徴用を強制連行と言い換えたりするのも、日本人の無知につけこんだ行為ですが、調べれば分かる事だ。

中国の外相が東條英機をヒトラーになぞらえるのも、プロパガンダなのですが、日本人の近代史の無知識つけこんだ行為ですが、これも調べれば分かる事で、日本人は反論しなければ、間違った事でも中国では既成事実化されてしまう。それが中国や韓国の文化であり、歴史の改ざんは王朝が変わるたびに行なわれてきた。社会科学的な歴史認識など彼らにはないのだ。


号外ニュース

日本、キューバを下し世界一に!=WBC

王JAPANが悲願の世界一! ワールドベースボールクラシック決勝が21日(日本時間)、米国ペトコ・パークで行われ、日本が10−6とキューバを下し、世界一に輝いた。
(スポーツナビ) - 3月21日15時0分更新


              ∧ ∧  
             ( *‘ω‘)
              )   ノ
             ⊂⊂ノ〜
バンザイ  バンザイ   | ||   ヤッター  オメデトー
   ∧_∧ ∧_∧  ∧_∧  ∧_∧
 (^(,, ´∀`)) ・∀・)(ヽ    )')((・∀・ /')
  ヽ    /ヽ    ノ ヽ    ノ  ノ   ノ
   ノ  r ヽ /    | /  O | ( -、 ヽ
  (_,ハ_,),_,/´i,_,ノ (,_,/´i,_,ノ  し' ヽ,_,)


(私のコメント)
WBCで日本チームはほとんど諦めかけていた優勝を勝ち取る事ができました。キューバチームも粘り強く追いついてきたところを、突き放す追加点を重ねてきたのが勝因です。さすが王監督の采配も当たり優勝しました。WBCもまだ改善するところもありますが、本気のアメリカチームと対戦したいものです。




ゼロ金利・低金利・量的緩和策の犠牲は家計でした。
世帯当たりで平均すれば、失った所得は528万円になる。


2006年3月20日 月曜日

量的規制緩和解除の意味を解く 2006年3月14日号 吉田繁治

(前略)
▼(6)ゼロ金利・低金利・量的緩和策の犠牲は家計でした。

負債をもつところにとって、ゼロ金利策は利益です。逆に、金融資産をもっている世帯にとっては損失です。合計は、ゼロサムです。金利は、所得移転です。

1991年のときの預金金利(6〜7%レベル)が続いていたとすれば、4500万の家計が得ていた金利の総額は、15年で238兆円です。世帯当たりで平均すれば、失った所得は528万円に相当します。(日銀の試算) 
 
米国や西欧なら、家計が反乱を起こし、政府を何回もを変える金額です。日本の世帯は、どんなに文句を言ってはいても、根底では政府に協力しますね。

マネー・エクソダス(金利差を求めた海外へのマネー逃避)も、大きくはなかった。実際す、ごい世帯であると思います。(注)今は、預金の海外流出は、海外投資信託の買いで、増えています。

世帯の金融所得のなさが、90年代から現在に到るまで、消費が伸びなかったもっとも大きな原因です。所得が増えねば、消費は伸びません。日本の世帯は合計では、金融資産の額で超成熟国です。
(注)金融資産には、所得差より大きな格差がありますが・・・

1400兆円の金融資産(預金が700兆円+年金+保険+債券+株)をもつ世帯は、2%の金利上昇があれば1年で28兆円の実質利益を得ます。金融資産の絶対額が大きな、日本のような国の世帯では、給料の伸びよりも「金利利益」が大きくなります。(この認識は大切です。)

しかしゼロ金利策のため、世帯は金融資産額でリッチではあっても、金融利益では貧困なままでした。(注)米国の世帯は、住宅の値上がり益を、1年で70兆円くらい得ています。逆に、資金を借りる企業側(銀行、企業、国家)が、ほぼ同じ額の264兆円を「超過利潤」として得てきました。この264兆円の超過利潤があったことが、150兆円と見積もられた不良債権の処理が進んだ理由です。

家計から企業・銀行・国(国債)への「264兆円の所得移転」が、企業と銀行の財務収支を改善し、収益を回復させます。これが日本の企業にとって、もっとも大きな「量的緩和+低金利の恩恵」でした。他方、家計にとっては「見えない課税」でした。

(注)官僚の天下りが非難される理由も、政府部門の借金である国債の低金利から生じる恩恵を、自分達の給料や退職金に使うからです。国債を含む政府部門の借金は、総額で1000兆円です。

1400兆円の、世帯の金融資産のうち、
・1000兆円を国が使い、
・残り400兆円を企業が使っているというのが、日本の資金循環の特徴です。

ここにも、普通の目でみれば、異常な構造があります。企業の設備投資が生産性を上げ、経済成長(=個人所得の増加)をもたらします。設備投資に回るべき資金で国、の赤字を埋めても、経済成長はないからです。

■7.日銀の資金供給を見る

銀行の資金の調達と運用を見ました。銀行の基本機能は、4500万世帯の預金を借り、250万社の企業への有効な貸付で運用することです。しかしこれが、「企業の返済100兆円」と「国の借り入れ増100兆円」という異常な運用になっていたことを確認します。

▼世帯の貯蓄における重大な変化

2000年以降は、さすがの日本の世帯も、
(1)所得の伸びの低下・減少と、
(2)高齢世帯の増加という構造変化から、1400兆円の金融資産を上限に。増えなくなりました。

世帯主が50代半ば以降になると、貯蓄の増加は止まり、次第に金融産を取り崩すように変わります。
(余談ですが)団塊の世代は年金を受けとらず、健康であれば70歳まで働くことになりますね。年金で支えるには、約1000万人は「数が多すぎます」 今の年金の基本は、30年も前の設計です。

世帯の金融資産が増えないという、重大な変化が2000年代になって起こっています。これは、わが国の資金循環において、後戻りしない刮目(かつもく)すべき変化です。

日本経済のもっとも重要な過去の前提は、
(1)世帯の貯蓄性向が高く金融資産を増やす、
(2)それを企業が設備投資に使い、経済が成長するということでした。

ところが今後は、日本の世帯も米国の世帯のように「貯蓄を増やさない(増やせない)」ことを前提にしなければなりません。これが今後の金融と経済を見るとき、もっとも重要な要素です。

日本では、国の毎年の赤字である国債、地方債を買う「元本資金」を、世帯は出すことができなくなっています。金融や経済で重要なのは、残額ではなくその増減です。国の1年での資金不足は、総額で60兆円くらいです。

(世帯の預金を使う代理として)国債を買ってきた金融機関に代わり、企業が国債を買うか? これは、あり得ません。海外から買うには、金利が低すぎます。

確かに、2000年代初頭は、250万の会社が、合計で年間10兆円〜20兆円の資金余剰(=返済と預金増加)を出すことで、資金の出し手になっていました。しかしこれはもう続きません。

事実、06年2月には、250万社の企業の合計では、資金の使い手に変わっています。これが8年6ヶ月ぶりの、企業融資の増加の意味です。物価が上昇するようになると、企業は資金の需要者に変わって行きます。設備投資を、増やすからです。

世帯も企業も、政府赤字を補う余剰資金を出せない。

残るのはどこか? 
海外からの資金流入か、日銀です。
海外から日本の、低利の国債を買うことは極く稀です。(後略)


(私のコメント)
ゼロ金利政策は日本の金融政策の失敗から来るものですが、その原因を探ればBIS規制を受け入れた事にあります。なぜBIS規制がなされるようになったかと言うと、海外進出する日本の金融機関を規制するためですが、日本の金融機関を規制することで利益を得るのがアメリカの金融資本であった。

日本やヨーロッパの金融機関は有担保融資が大きく無担保融資は少ないのですが、アメリカでは無担保融資が大きかった。そのような金融構造では金融機関の自己資本比率も日本やヨーロッパでは低くてもいいが、アメリカでは無担保金融だから銀行の自己資本比率は高くないとやっていけなかった。だからBIS規制で8%と言う高い自己資本比率に規制することでアメリカの金融機関を有利にする事にしたのだ。

その結果、日本の金融機関は貸し出した融資を回収せざるを得なくなり、日本の金融体制は破綻状態に陥ってしまった。多くの日本の金融機関は破綻してアメリカ資本に買い取られましたが、これは日本政府がアメリカの要求に屈したためであり、その責任は日本政府ならびに大蔵省にあるのですが、日本国民はそのような陰謀があったと知らされていないからおとなしい。

第一、BIS規制が何なのか知っている日本国民は非常に少ない。学者やエコノミストですらこのような陰謀が見抜けず、BIS規制をグローバルスタンダードとして認めた。しかしドイツなどはBIS規制の実施を先送りにして破綻を回避したのだから日本政府も回避しようとすればできたはずだ。さらにアメリカは時価会計原則を押し付けて日本の銀行を追い詰めていきましたが、日本の政治家たちはアメリカの陰謀を見抜くことが出来ずに日本は追い詰められて行った。

そもそも無担保金融のアメリカと有担保金融の日欧で同じ基準を設ける事に無理があるのですが、アメリカは無理やりにでも日本を”構造改革”して日本を思いのままにしようとしている。アメリカの最終目標は日本の金融機関を手に入れて、1400兆円の日本人の金融資産を手に入れることだ。郵貯の350兆円も民営化することでアメリカの金融資本は手にすることが可能になった。

「株式日記」ではBIS規制や時価会計を批判してきましたが、アメリカと言う国は自分の国が不利になるとルール改正して強引に自国に有利にしてしまいますが、日本の政治家たちはアメリカの言いなりになって自国民を苦しめ続けて平気なのだ。このような陰謀を学者やエコノミストは見抜けず、見抜いた人もテレビなどではしゃべる事ができなかった。

ゼロ金利政策も5年の長きにわたっていますが、その正体を日本の国民は知る事ができないようだ。分かりやすくいえば264兆円もの金が家計に入るはずが、金融機関の経営改善のために使われてしまったと言う事で、見えない税金として利子所得から天引きされてしまったのだ。そのようになったのも日本がBIS規制や時価会計を受け入れたからです。

一世帯あたりにすると失われた利子所得は528万円にもなりますが、これからはサラリーマン増税として所得や消費税として奪い取られてゆく事になる。なぜならばゼロ金利政策はそろそろ限界に来ており、直接税金として負担してもらわないと財政も成り立たなくなるからだ。

バブルの崩壊する前ならばBIS規制や時価会計を撤廃すればよかったのですが、日本政府はそれが出来なかった。バブルが崩壊して金融危機が起きた時は、銀行の不良債権を簿価で買い取って、すばやく銀行を再建させればよかったのでしょうが、何も分かっていないマスコミがモラルハザードと騒いだために出来なくなり、やむなく政府はゼロ金利と言う見えない税金264兆円を家計から見えないように徴収する事に成功した。

日本国民をいつまでも騙し続ける事が出来なくなると、今度は大増税で政府は家計を苦しめる事になりそうだ。それでも日本国民はじっと我慢をしている。日本の金融機関は保険会社をはじめとして次々とアメリカ金融資本に買収され、メガバンクも外資の手が伸びている。日本政府が税金として徴収した金はアメリカの金融資本に吸い取られていく構造が見えて来ましたが、日本国民はじっと我慢をしながら、じりじりと貧しくなってゆくのだ。




ギリシア文明の起源に新説 元来が本質的に「黒いアテナ」
だったのを「白いアテナ」に変えたのは歴史の「偽造」だ


2006年3月19日 日曜日

ホメーロスとは何者か―ヨーロッパ、西洋文明の見直し 小田実

私は、今、ホメーロスの「イーリアス」の翻訳にとりかかっている。訳していて、あらためて考えることがある。ホメーロスとは何者か。これは1960年にギリシャをはじめて訪れて以来ずっと考えて来た疑問だ。

 ホメーロスはふつう「ヨーロッパ、西洋文学の父」だとされている。しかし、ヨーロッパも西洋もただの土地の名ではない。ヨーロッパ文明、西洋文明あってのヨーロッパ、西洋だ。ホメーロスの生きた紀元前8世紀の世界にその名の文明があったのか。当時のヨーロッパ、西洋はただの黒い樹林のひろがりだったのではないか。同じことは、「西洋哲学の始祖」ソクラテス、「西洋歴史の父」トゥキディデス、「西洋医学の開祖」ヒポクラテス諸氏にも言える。ホメーロスよりかなりあとだが、彼らが生きた時代、ヨーロッパ、西洋はこれまたただの黒い樹林のひろがりで、その名の文明はまったくなかった。

 なかったものの「父」やら「始祖」「開祖」やらにはなれない。逆に言うと、その子孫を僭称することはできない。無関係なはるか昔の偉人を先祖と称して自分をえらく見せるのはサギ師がよくやることだ。ホメーロス、ソクラテスらはギリシア人、ギリシャをふくめての地中海世界の人間―その先祖であったことはたしかだが、それはどんな先祖であったのか。今ギリシア、地中海世界に少しでも旅すれば判ることだが、その地の住民は、私たちがヨーロッパ人、西洋人と言うとすぐさま思い浮かべる金髪、長身、脚はまっすぐ長いというたぐいの、まさにギリシャ彫刻のごとき人間群ではない。第一、彼等の肌色は純粋の「白」ではない。もっと色がついている。もっと「黒い」。

 しかし、これがもともとホメーロス、ソクラテスらが生きた古代ギリシア世界だったのだと言い出したのが、15年前、1987年に出版されて物議を醸した、そして今もって是か否かで論争がつづいている(「東地中海世界について聖書以来もっとも論議された本」と評した人もいる)マーティン・バナールの「黒いアテナ」と題した一冊の書物だ。「アテナ」はアテネの護(まも)り神としてあった女神でここでは総称してギリシアのことだが、その名が総称しての古代ギリシアは、ヨーロッパ、西洋文明の父祖の地としてふさわしい、そう当然のこととして人が考える「白いアテナ」ではなかった。バナールに言わせると、もっと色のついた、「黒いアテナ」だった。

 本の中身は「黒いアテナ」につけられた副題がよく示している。「古代文明のアフロ・アジア的根(ルーツ)」。完成すれば四巻になる(今二巻目までが出ている)この本の一巻目につけられた副題は「古代ギリシアの偽造1785−1985」。

「偽造」ということばはきついが、「偽造」は現在に至るまで200年間行なわれて来たことになる。

 バナールは今はアメリカ合州国のコーネル大学の教授だが、もともとイギリスのケンブリッジ大学で中国学を専門にしていた60歳代半ばの学者だ。ベトナム反戦運動に参加し、同時に当時イギリスでは事実上何の研究もされていなかったベトナム文化を研究、日本史も勉強した。のち、「東地中海」に研究対象を移し、ヘブライ語、エジプト語を勉強し(彼には少しユダヤ人の血が入っている。そう彼は言う)、さらにギリシア研究に至って、彼は重大な「発見」を二つする。ひとつは、ギリシア語の語彙の半分はインド・ヨーロッパ語系のものだが、あと25%は西セム語系(ヘブライ語―古来のユダヤ人の言語もそこに入る)、20−25%はエジプト語だという「発見」だ。しかし、なぜかくも混交が起こったのか。ただの通商交易で起こるわけはない。それは、かつて古代ギリシアがエジプトと西セム語系言語をもつ古来のユダヤ人のフエニキアの「植民地」であったからだ。これはバナールの第二の「発見」だが、そうだとすると、当然、古代ギリシアには、「黒い」エジプトもその構成要素のなかに入って、古代ギリシアは「白いアテナ」ではなくて、「黒いアテナ」になる。パナールはそう強力に証拠とともに主張した。

 これだけでも大論争がまき起こってふしぎはないが、もうひとつ重大な主張を彼はまた証拠を集めてやってのけた。それは、侵略と植民地支配で力をつけて世界の中心にのし上がったヨーロッパ、西洋が、近代に入って自分たちの文明を古代ギリシアに始まるものとして、ここ200年のあいだに、元来が「黒いアテナ」であった古代ギリシアを「白い」自分たちの先祖にふさわしく「白いアテナ」に「偽造」したという主張だ。

 私には、こうした大論争に加わり得るほどの知識はない。ただ、1960年以来の私の実際の「ギリシア体験」から、バナールの主張は正しいと考えている。そしてまた、「文明の衝突」というような派手なことばで現代の世界を語ろうとする言説が横行するなかで大事だと考えている。「衝突」をうんぬんするまえに、「白」のなかにも「黒」があると考えるのが、今、必要なことだ。ことに、「白」を「文明」と決めつけ、「黒」を打倒、撲滅すべき「野蛮」とする昨今の世界の風潮のなかで大事なことだ。私には、世界の「テロリスト」一掃をとなえ、イラクなど「黒い」「悪の枢軸」攻撃を呼号するブッシュ氏の背後に彼の考える「白いアテナ」が見えかくれする。しかし、ブッシュ氏よ、「白いアテナ」はほんとうは「黒いアテナ」だったのだ。


(私のコメント)
私はまだこの本は読んではいないのですが、欧米の学校では世界史はギリシア・ローマ文明から始められているのは明らかにおかしい。もちろん付けたし的に四大古代文明も説明されていますが、欧米の世界史の影響を受けてギリシア・ローマ文明から歴史が始まったような世界史は捏造されたものだ。

ヨーロッパにとっては世界史はギリシア文明から始まったのでしょうが、正確にはギリシア・ローマの世界は中東の一部としての世界であり、直接西欧には入ってきてはおらずビザンチン帝国に見られるようにギリシア・ローマ文明は一旦中東に移り、それがスペインのイスラム国家から翻訳されて西欧に入り込んできた。

西欧で歴史らしい歴史が始まったのは13世紀にスペインからイスラム文明が入り込んでからであり、中世のヨーロッパはただの辺境の森林地帯でしかなかった。ヨーロッパの中世はキリスト教による支配で停滞していたのではなく、もともとから当時のヨーロッパは辺境の地であり文明の及ばぬ地であったのだ。

ヨーロッパに文明が及んできたのはスペインにイスラムの文化が入ってきてからであり、イスラムの文化が入ってきたきっかけは十字軍の遠征であり、その敗北からイスラムの文化を認めるようになりヨーロッパにも翻訳されて紹介されるようになった。それがルネッサンスとなって開花したのだろう。

日本における世界史の教育もヨーロッパが中心であり、イスラムや中国の文明は付けたし的に紹介されているに過ぎない。しかしギリシア・ローマ文明はエジプトやメソポタミア文明から派生したものでありヨーロッパ独自の文明と言うわけではないのだ。ヨーロッパ文明とは大航海時代になんとか東洋と並ぶようになり、明らかに優位となったのは18世紀からの僅か200年ほどの歴史に過ぎない。

その時点で世界史の改ざんが行なわれてギリシア・ローマ文明は白人の作り出した文明であり、世界の歴史が始まったと作り直されたのだ。古代ローマ帝国を滅ぼしたのはゲルマン人と呼ばれる野蛮人たちだが、彼らは武勇には優れていたが文化文明とは縁が無い野蛮人で、中世ヨーロッパの王は自分の名前すらも満足に書けない人物が多く、書記や経理はユダヤ人が担当していた。

キリスト教の聖書が英語やドイツ語に翻訳されたのも16世紀頃の事であり、その頃になってようやく自分たちの言葉でラテン語やアラビア語などの書物がようやく翻訳できるようになったからこそヨーロッパに文明がもたらされる事になったのだ。ヨーロッパ人が大航海できるようになったのもアラビア人から教わったからだ。

「黒いアテナ」という本は白人優位的な歴史観を根本的にひっくり返すものですが、とうぜん欧米でも話題になり聖書以来のもっとも論議された本と言う人もいる。ギリシア・ローマ文明を白人古来の文明とすることで白人の優位性を証明しようとしたのでしょうが、本当のアテナは「白いアテナ」ではなく「黒いアテナ」であった可能性が高いようだ。

ギリシャ語における語彙もセム語やエジプト語の語彙が半数もあるということは中東やアフリカの影響を証明するもので、もともと古代ギリシアはエジプト王国の植民地だったのだろう。それが西欧の白人優位主義とキリスト教とが結びついた結果、ギリシヤ・ローマとオリエントとは遮断されてしまったのだ。キリスト教がなかった頃はギリシア・ローマとオリエントとは一緒だった。それがイスラム教の登場でますます断絶は強くなり「黒いアテナ」は「白いアテナ」に改竄されたのだ。




映画『シリアナ』の真実 アメリカ政府と民間の石油
企業が密接につながっているかを克明に描写している


2006年3月18日 土曜日

元CIA工作員ロバート・ベアが語る映画『シリアナ』の真実 大野和基

映画の登場人物はギャガンが実際に会った人々

「まさか自分が書いた本がきっかけで映画ができるとは夢にも思わなかった」
元CIAケースオフィサー(直接雇われている工作員)で中東に長期赴任していたロバート・ベアは、開口一番そう言った。ペアとは何度も会っているが、今回はコロラド州ロッキー山脈の山中にある人口550人ほどのこぢんまりした町の自宅で会った。そこでベアはいまスキー三昧の日々を送っている。

ベアが、映画監督のスティーブン・ギャガンから連絡を受けたのは、「CIAは何をしていた?」(新潮社刊)が出てまもない2002年の夏頃だった。サンタモニカのレストランに招待されたベアは、そこで中東に赴任していた頃の事を2時間ばかり話した。ギャガンはベアの話に夢中になり、すっかり魅了された。

ベアは当時、娘(映画では息子になっている)を二ースのボーディング・スクール(全寮制学校)に連れて行かなければならなかった。そこでギャガンにこんな提案をしたのだ。

「中東の石油産業に関与してかる輩は、夏になるとみんな南仏で遇ごすんだ。そこに行けば、石油産業を裏で繰っているやつにも会える。何なら紹介してあげるよ。何を訊いてもいい」
ギャガンは二つ返事でOKした。
南仏でギャガンに紹介した人のほとんどは、ベアがCIAで工作員をしているときに知り合った人物だが、中には誰も本当の名前を知らない億万長者もいた。

その人物は、関係者に“裏取引専門家”と呼ばれていたが、チャリティーに数百万ドルの寄付をする偽善者でもあった。

ギャガンは、彼から石油業界がどのように動いているかを詳しく学んだ。
実際にブラックマンデーにかかわったテロリストもいた。彼はなぜテロリストになったのか、どういうマインドを持っているのか、といった普通では知り得ないテロリストの内面を覗くこともできた。
取材旅行の間、ギャガンは、多くの人々から赤裸々な話を聞いているうちに、感化されたのかもしれない。彼は自分が深刻なヘロイン中毒である身の上話をベアにしていた。
「大金を持つとどうしてもそラなってしまうので、非常に怖がっていたよ。マリブにある彼の自宅も小さい借家のアパートらしい。今回の映画についても、映画があまりにも政治的な色が濃いこともあり、興行面を気にしてかて……収入から経費を引いて、残りは配給にかかる費用の方に回したそうだ。みんなに観てもらいたいんだよ」

映画のストーリーはもちろんフィクションだが、中に出てくる話は、事実に基づいた内容だ。
例えば、映画でナシール王子を誘拐・暗殺する話が出てくるが、それもペイルートで起こった話がもとになっている。カタール政府に反対したハマド王子は、シリアに身を隠していたが、95年と97年にクーデターを起こそうとしたことが原因で、98年と99年に誘拐されている。

ロンドンで実際に開かれた石油会議では、ベア自身がスピーチをしているが、そこで開かれたパーティーと同様のシーンも映画に出てくる。その会議にもギャガンはどういう雰囲気かをつかむために潜入した。
また、ベア役であるジョージ・クルーニーが拷問を受けて、爪をはがされるという残酷なシーンがある。実際にベアの爪をみると、はがされた形跡はないが、そのことを尋ねると、「80年代、ベイルートでアメリカ人がよくイラン人に拷問を受けたんだが、爪はがしは相手が口を開かないときの常套手段だった。私個人は経験ないが」とベアは説明した。

映画に登場する人物も、間違いなくギャガンが実際に会った人々がヒントになっている。
ジュネーブで会った豪邸を3つも持っている石油業界の人物(故人)は、ロナルド・レーガンと懇意にしていた超大物だった。武器と石油でぼろ儲けしているカーライル・グループの人にも取材を申し込んだが、予想通り拒否され、おまけにギャガンが他の人物と話している間も、ずっと監視され続けた。
シリアのダマスカスでは、ギャガンはイラン・シーア派の指導者にも面会したが、彼こそが「アメリカがイラクを沈静化化したければ、空爆ではなく、一つ一つの通りで闘っていくしかない」と言った人物だ。彼からも多くのヒントを得た。
ベアが、シリアの石油担当大臣にギャガンを会わせたときは、自分が元CIA工作員だとは言えないので、彼は石油ディーラーになりすまして会った。変装はベアにとってはお手のものだ。

実際、CIAに裏切られ、FBIから取り調べを受けた

映画の中で1回だけ、ベア本人が出てくる場面がある。「パスポートを出せ。すべてのパスポートだ」とクルーニーを尋問するところだ。
「あの撮影はメリーランド州ボルティモアで行われたが、たった数秒間の台詞を言うのに、何時間もかかった。しかも最低賃金でね」
ベアもCIA工作員のときには、いくつもパスポートを持っていたが、すべてアメリカ政府発行する偽名のパスポートだった。本名のパスポートはない。中には外国政府が発行したように見せかけた外国のパスポートもある。それもアメリカ政府が作ったというから興昧深い。

ベアは95年、CIAからの命令でサダム・フセインを暗殺しようと試みるが、途中でCIAに裏切られ、FBIから取り調べを受けたことがある。映画の中では、クルーニーが、ナシール王子暗殺の指令を受けるが、計画中にCIAから裏切られるシーンがある。「どうして私が取調べを受けているのか」とスタン・ゴフ役のウィリアム・ハートに問い質すところだ。

また、情報筋がホワイトハウスに誤った情報を提供したために、それが原因で間違った方向に動く事件もある。例えば99年、誤報が原因で石油関連企業であるハリバートン社が不利な立場に置かれるケースがあったが、当時CEOであったチェイニーがその代償を払った。映画に出てくる法律事務所のディーン・ホワイティング代表に入ってきた情報もその類だ。王子を悪党にして潰せば、王子が中国に渡そうとしていた探油権がアメリカに戻ってくる―狙われた王子は何が起こっているのか、まったく知らないままだ。

さらに映画の終盤で、CIAがミサイルで車を爆破するシーンがある。これは、2002年の11月、CIAがプレデターという無人機からミサイルを発射して、アルカイダの車を爆破した事件をもとにしている。そこで1人のアメリカ人が犠牲になっているが、彼がアルカイダのメンバーなのかどうかはわからない。
事故に見せかけて消す方法は、CIAや他の諜報機関が使う常套手段だ。実際に謀殺かどうかは結論が出されていないが、ダイアナ妃が死んだのも確かに事故だった…-。ベアはこともなげに言う。
「モロッコで王が事故にあったが、あれも事故に見せかけているだけで、実際は計画的な殺害だ。CIA工作員ならピンとくるし、いろんな方法を教えられる。妻を殺したかったら、電気ショック事故に見せかけるとかね」

現実の世界でも全体を把握している人はいない

この映画を観ると、誰もが混乱してしまう。日本人の私だけでなく、アメリカ人でもそうだった.ベアにインタビューした後、彼の友人たちと一緒に映画を鑑賞したが、観た後、ベアはみんなから質問攻めにあった。

「この映画は、意図的観客を混乱させるように作られている。映画の出演者も他の人が何をしているか、わかっていない。普通の映画なら観客はわかるだろうが、観客もわかりづらい。ギャガンが、できるだけ事実を忠実に再現しようとしたから、こうなっただけなんだ」
たとえば、ペルシャ湾には南と北に有名な油田がある。映画では、これを一つにする話とカザフスタンの油田の話が同時に出てくる。そこに民間の法律事務所の調査がからんできて、事態はますます混乱してくるようにみえるが、現実の世界でも全体を把握している人はほとんどいないと、ベアは言う。

商社に勤めるマット・デイモンも、アナリストとしてのナシール王子へのアドバイスと金儲けのこと以外には関心がない。だから、他で何が起こっているかまったくわからない。
中東で武器商人の暗殺を遂行したクルー二ーも、暗殺には成功するが、武器の1つをテロリストに渡してしまう。ちなみにこのシーンの続きに出てくる、ちょっとした暴動シーンは実際に起きているものを撮影したそうだ。

「こういうことも、すべてが偶然の結果なんだ。普通のハリウッド映画では考えられないほど、プロットが複雑なんだよ」

いくらフィクションとはいえ、あまりにも現実をリアルに描いているため、ノンフィクションと勘違いする人もいるほどだ。クルーニーは映画の中で、最後に死んでしまうが、プレミア試写のときに会った人から、「でもベア氏、あなたはまだ生きていますね。なぜ?」と言われたほどである。


アメリカ政府と民間の石油企業とのつながり

私は、元CIA長官のウルージーにもインタビューしたことがあるが、彼も、この映画にアドバイスしているという。
2001年9月11日に起きた、同時多発テロ事件がすべてを変えたとウルージーは話していたが、ベアも同じ意見だ。
「石油企業のユノカルは、タリバンとも関係があるので、アメリカ政府仁情報を流していた。しかし、ビン・ラディンがその日にテロ事件を起こすことはわからなかったよ」
石油企業とアメリカ政府との関係は非常に密接で、政府はCIAからよりも石油企業からの情報頼るほどだ。民間の企業がこういう諜報活動にかかわっているのは、別に驚きではないという


それにしても、我々の知らない世界のオンパレードだが、果たしてギャガンがこの映画で描きたかったこと、伝えたかったことは何だったのか。12月9日の「NFR((ナショナル・パブリック・ラジオ)」のインタビューに次のように答えている。
「最初の1時間は、とにかく現実にどっプり浸かっている感覚を観客に与えるのが目的だ。現実がどのように動いているのか、生きているというのはどういうことなのか、その世界に観客を投げ込むのです。後半は、前半で起きていることが、ヒューマニティという共通点通してつながっていくのです。アフガニスタンの洞窟に住んでいる男が、ワールド・トレードセンターを崩壊させることができるという現実を伝えたかった。世界が非常に緊密につながっていて、“糸をちょっと引っ張るだけ”で世界を震撼させることがあるということを劇的に伝えたかった」

自爆テロ行為はもちろん許せないが、青年がそういう行為を取るにいたる環境がある。映画に出てくるワシームだ。採油権が中国に渡ったためにコネツクコネックス社で働いていた彼が突然解雇され、路頭に迷うが、そのときに心の支えになったのがイスラム神学校だった。そこで過激な思想を受け入れるようになっていく過程が映画ではよく描写されている。

ベアは最後にタイトルにまつわる面白い話をしてくれた。
「この映画は、二つの石油会杜の合併と同時に、暗殺や策略、テロなど複数の話が並行して進むので複雑だ。しかし、映画のタイトルに使われている“シリアナ”という言葉は、あるシンクタンクが石油の利権をめぐって作った中東再建のための架空の国名なんだが、実際、石油に関して言えば、中東の国境はあいまいでもある。その一方で、そんな夢は妄想でしかないことも意味している。この映画は、妄想の実現のために、いかにアメリカ政府と民間の石油企業が密接につながっているかを克明に描写しているんだ。その内容があまりに事実に近いので、ワシントンのプレミアのとき、招待されたAEI(アメリカン・エンタープライズ・インスティチュート)というブッシュ政権にもっとも近いシンクタンクの人たちは、映画の途中で出て行ったほどだ。映画が現実に近すぎて、観るに耐えられなかったのだろう」

確かに、今までのハリウッド映画とは違い、複雑なプロットの映画だが、中東の石油事情を知る入り口としては最適だし、頭を使うのが好きな人にはもってこいだろう。


(私のコメント)
昨日は今話題の「シリアナ」を見てきましたが、ドキュメンタリータッチの映画でハリウッド的な派手さは無い映画でした。この映画は見る人が見ないと面白さは分からないのですが、多くの映画ファンにとっては途中で寝てしまうような退屈な映画に見えるようだ。私も途中で何度かウトウトした。

しかし映画の中の台詞を見れば意味深なものが多くて関係者が見れば冷や汗ものの映画なのだろう。映画を見ればアメリカという国そのものが石油産業で作られたものであり、飯のタネである石油がアメリカ国内では枯渇しつつある現状では、アメリカの石油産業は中東と中央アジアに進出せざるを得ない。

そのきっかけになったのが9・11ですが、アメリカ軍はテロ退治の大義名分をかざしてイラクに直接支配に乗り出しましたが、そこはアメリカにとっての墓場になるだろう。「シリアナ」こそはアメリカの墓場なのだ。映画の中では中東からヨーロッパまでのパイプライン計画が出てくるが、パイプラインはテロリストにとっては格好の目標だ。

石油産業の黒幕にとってはアメリカ政府も一機関に過ぎず、大統領といえども彼らには逆らえずにイラクに侵攻しましたが、ハイテクを誇るアメリカ軍は小銃しか持たないテロリストに苦戦している。映画でアメリカに都合の悪い中東の王子を、はるか上空からピンポイントで精密誘導ミサイルで爆殺する場面がありますが、これで世界の独裁者は安心して眠れるところが無くなった。

だからアメリカにとっては中東は独裁国家であってくれたほうが支配しやすいはずですが、アメリカは中東を民主化するとして直接支配に乗り出した。アメリカは世界を騙して中東を支配しようとしたのに、一番騙されたのがアメリカになるという皮肉は「策士、策におぼれる」のたとえのように跳ね返ってくる。

映画の初めの部分でも中国が中東に乗り出している事が描かれていますが、アメリカとは違って友好的に進出しているから厄介な相手だろう。その意味でもアメリカと中国とは石油をめぐって中東で熾烈な奪い合いが行なわれるだろう。そして中国が中東の石油を支配するようになればアメリカは戦わずして中国に敗れる事になる。

地政学的に見ればアメリカが中東で勝つことはありえないことなのですが、世界中で石油の9割が中東にある以上、アメリカは石油を求めて中東に行かざるを得ないのですが、長期戦になって負ける事ははっきりしている。ワシントンのシンクタンクの頭の良い研究者も質が低下してきたのだろう。




日本人の品性はいろいろな面で非常に上品で、
世界の常識とはまるで違うくらいに高級だ。(日下公人)


2006年3月17日 金曜日

第21回 日本は「質の経済」、アメリカは「量の経済」 日下公人

日本人は「クオリティが高いか低いか」に敏感だ。それに比べると、外国人はクオリティがほとんどわからないのではないかと感じる。彼らは日本人とつき合って、だんだんとわかるようになってくるのだ。それで、日本の商品を買うようになったり、日本風に物事を考えたりする外国人が増えてきた。アメリカ人などもそうだ。一言でいうと、日本は「質の経済」でアメリカは「量の経済」である。あるいは外交なら、日本は「モラルのある礼儀正しい外交」で、アメリカは「力一本槍の外交」。これは日本人から見れば野蛮だが、アメリカ人はそうは思っていない。

 日本人の品性はいろいろな面で非常に上品で、世界の常識とはまるで違うくらいに高級だ。だから、昨今の憲法改正論で僕が「一番ここを変えてもらいたい」と思うのは憲法前文だ。前文には「世界の国はみんなよい国だ、日本さえ悪い気を起こさなければ世界は平和である、だから日本は何もかも他の国にお任せする」と書いてあるのだが、それは現実とは違うことに国民が気づいている。

 そこで僕は、前文を「世界には程度の高い国と低い国といろいろあって、日本はそれに応じておつき合いいたします」と改正してもらいたいと思っている。悪い国とは悪くつき合う、立派な国とは立派につき合う。そういう憲法前文にしておいたほうが現実に合っていて、しかもそういう「程度の調節」ができる国は日本しかないのではないか。相手がどんな程度の高い国でも、日本はきちんとつき合うことができる。ただ、程度の低い国とのつき合いが最近はできていないことが問題で、それをこれから大いに開発すべきだと僕は思っている。

 しかし、日本の指導者は「程度の低い国とはつき合うな」という話をしない。これに国民のほうが、じれったくなっている。国民の意識に変化が見られるのだ。「悪い国には悪いといったらどうだ。上品なことばかりいっていても、らちが明かない」と国民は思い始めている。ただ、国民はメッセージとしては曖昧な「らちが明かない」というようないい方しかできない。新聞やテレビはそうした声を取り上げない。それでも、現実を見抜いている「庶民の声」は、どんどん高まっている。

「質の経済」の話を日本人に向かってするのは難しい。しかしアメリカ人にはしやすい。理由は2つある。第1に、日本人に向かって「日本人はハイクオリティをたいへん好む」といっても、「そうですよ、だから実行しています」と応じられてしまうだけだから、わざわざいう必要がないのだ。

 第2は、その日本人のなかでも、学歴の高い人はクオリティの話ではなくて、もっとデータに基づいた話を聞きたいというからだ。そういう人は、クオリティの話は非科学的で、非学問的であると思いこんでいる。もっとスペックやモジュールになるような、数値になるような話を聞きたいと思っている人が増えている。そういう人に「クオリティ」の話をしても、聞き損だと思われてしまう。もっと数字や統計を挙げて、欧米の先例や理論をいってくれというのが彼らの要望だ。

 でも僕は、「そんな数字になるようなものは程度が低い」と思っている。アメリカ人は、スペック化して、モジュール化して、これで合理化した、生産性が上がった、ハイクオリティの生活をしていると思っている。そんなことしかしていない。しかしそれは、我々日本人からすれば野蛮な生活に見える。社会秩序についても、普通の日本人は「そんなことでいいんですか」とアメリカに対して思っている。(中略)

今、世界で最もクリエイティビティのあるマーケットは日本だ。だから、日本で日本人が気に入ってくれるものをつくって、気に入ってくれるようなやり方で販売しなければいけない。それを考えられるのは、やはり日本人が適役なのだ。日本人のなかでも一部の人ではあるが、それは「他国のクオリティの低さに汚染されていない人」だ。アメリカはほとんど参考にならない。

 日本の産業は、すでにそういう段階に入っている。そうした成功例がたくさん出てきている。それにもかかわらず、数字になっているような、統計的裏づけのあるような話を求める人が多い。「数字を求めるなら、クオリティの話はできませんよ」と僕はいいたい。


(私のコメント)
日米間における牛肉の輸入再開問題は先日も論じましたが、アメリカ産牛肉は効率性を徹底的に追求した結果、成長ホルモン剤を使用して飼育の効率性を徹底的に高めて、さらに抗生物質を使用して病気にもかからないようにして、徹底した合理化がはかられている。確かにそうすれば効率的な畜産経営ができるのですが、BSEに対する検査体制は杜撰だ。これでは日本に輸入しても買う客は限られるだろう。

中国からの輸入野菜についても農薬の過剰使用の問題が起こっている。確かに安くて見た目がよければ最初は売れるのでしょうが、農薬汚染や抗生物質や成長ホルモン剤や遺伝子組み換え作物など問題になれば日本では売れなくなるだろう。それだけ日本では品質が問題になるようになっている。

これは農畜産品のみならず工業製品でも同じであり、自動車などアメリカ製のみならず韓国製や中国製の自動車などは、なかなか日本に参入できない。特にアメリカ製自動車などはヤナセなどは仕上げ直して売っているくらいだから品質的に日本ではとても売れない。日本では安くて見た目がよければ売れるものではなく、品質がよくなければ売れない。

しかし品質はなかなか数字データー化しにくいから製品に生かすことが難しい。食品に有害なものが含まれていないかは調べるのが大変だし、自動車も故障の発生割合などを調べるのも大変だ。それよりもどうしても値段や見た目の方が分かりやすい。アメリカや中国などではそれでも商売になるのでしょうが日本ではいったん評判を落としたら商売は出来なくなる。

これは商品や製品だけではなく国家や人間にも当てはめられるものであり、アメリカでは成果主義で業績は数字化されて給与や待遇に反映されるシステムですが、それではサービスの品質が悪くなってしまう。成果主義では自分以外は全て敵だから助け合う事は無く、裏に回れば足の引っ張り合いでサービスが向上するわけが無い。

外交交渉でもアメリカなどではがんがん圧力をかけて相手を屈する交渉して主張を押し通せば成果主義では得点を上げることになりますが、相手からは恨みを買って敵を作ってしまう。中国なども靖国で攻め立てれば日本の政治家は屈してきたからそれでよかったのですが、内政干渉しては中国の品性を疑われるだろう。

しかしアメリカや中国にもっと上品な外交を要求しても無理な話で、それは彼らが作る商品や製品にもどうしても現れてしまう。ヨーロッパにはブランド品があるがアメリカにはブランド品と呼べるものが無い。アメリカ企業は安さを求めてみんな外国へ工場を移してしまってブランド価値をなくしてしまった。中級品以下のものはそれでもいいのでしょうが、高級品は品質が決め手になるから品位の無い国で作る事はできない。

竹中大臣は何でもアメリカのやり方を日本に取り入れて構造改革したいらしいが、成果主義を取り入れた企業はコストのかかるベテラン社員の首を切り、未熟な社員ばかりになってかえって業績を落としている。正社員からパートの社員に入れ替えれば人件費は低くなるがサービスの品質は低下する。ノウハウの蓄積も無いからマニュアル以上のサービスが出来ない。

だから低品質の総理大臣と低品性の竹中大臣は日本社会には合わないのだ。だからホリエモンのような低品性の日本人が出てくるようになってきたが時代のあだ花だろう。



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